JP2013252135A - 改変された性質を有するアルファ−アミラーゼ - Google Patents
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- D06M16/003—Biochemical treatment of fibres, threads, yarns, fabrics, or fibrous goods made from such materials, e.g. enzymatic with enzymes or microorganisms
Abstract
【解決手段】親AmyS様アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列に対し相同性が少なくとも95%のアミノ酸配列を有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に対応するアミノ酸位置に置換を有するアルファ−アミラーゼ変異体と、b)別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1とを含む組成物、この組成物による織物のデサイジング方法または洗濯または洗浄方法。
【選択図】図7
Description
<配列表>
添付のSEQ ID NO: 1〜30からなる配列表の全てを、参照として本願に組み込む。
<関連出願とのクロスリファレンス>
本願は米国仮出願60/985,619 (2007年11月5日出願)、61/026,579 (2008年2月6日出願)、61/041,075 (2008年3月31日出願)、及び61/059,411 (2008年6月6日出願)に基づく利益を主張し、これらの出願は参照として本願に組み込まれる。
正味電荷、基質特異性、基質分解性、基質結合性、熱安定性、1以上のpH域における活性、1以上のpH域における安定性、酸化環境下での安定性、Ca2+要求性、比活性度、触媒反応速度、触媒効率、キレート剤の存在下での活性、キレート剤存在下での熱またはpH安定性、デサイジングでの有用性、洗浄プロセスでの有用性、タンパク質発現系での発現量、またはその他の対象とする性質。
例えば、1以上の改変により、AmyS様アルファ−アミラーゼ等の親α-アミラーゼと比較して低減されたCa2+依存性、および/または、改変されたpH/活性依存性(プロファイル)、および/または、改変された熱安定性を有する変異体が得られる。
好ましい実施形態では、参照アミラーゼはSEQ ID NO: 1または2であり、組成物は洗濯、食器または硬質表面洗浄、デサイジング、あるいは繊維または汚れ処理に用いられる製品の一成分である。
いくつかの実施形態では、変異体は酸化に対する安定性が改変されている。またアルファ−アミラーゼ変異体は、親AmyS-様アルファ−アミラーゼのアミノ酸位置8, 9, 96, 200, 206, 284, 307, 311, 316, 及び438残基を含めてメチオニン残基の1以上の置換または欠失を備え、ここで参照アルファ−アミラーゼはSEQ ID NO: 2である。
また別の実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は、次の位置における置換を1以上備える:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン。
いくつかの実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は少なくともS242A, S242D, S242E, S242F, S242G, S242H, S242L, S242M, S242N, S242Q, またはS242Tのいずれかを含む、S242変異体である。
(a)正味電荷、(b)基質特異性、(c)基質分解性、(d)基質結合性、(e)熱安定性、(f)1以上のpH域における活性、(g)1以上のpH域における安定性、(h)酸化環境下での安定性、(i)Ca2+要求性、(j)比活性度、(k)触媒反応速度、(1)触媒効率、(m)キレート剤存在下での活性、(n)キレート剤存在下での熱またはpH安定性、(o)デサイジング効果、(p)タンパク質発現系における発現量。
この方法の一例では、少なくとも1の物品は少なくとも1の澱粉含有物質で汚されており、この汚れの除去がアルファ−アミラーゼ変異体によって促進される。この方法の実施形態では、組成物にはさらに、別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1が含まれる。
別の実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は次の組み合された置換を有する:a) Q97E, Q319E, Q358E, Q443E; b) Q97E, Q319R, Q358E, Q443R; c) Q97E, Q319R, Q358E; d) Q97E, Q319R, Q443E; e) Q97E, Q319R, Q443R; f) Q97E, Q358R; g) Q97E, Q443E; h) Q319R, Q358E, Q443E; または i) Q319R, Q358R, Q443E。
以下、本願発明について詳しく説明する。
本願では以下の略号と定義を用いる。本願で用いる「1つの」及び「この」等の単数形には、特に断りのない限り複数形も含まれる。
従って、例えば「1のポリペプチド」と言うときは複数の同様のポリペプチドも含まれ、「その処方」と言うときは当業者に公知の同等の処方を含め、1以上の処方が含まれる。
特に断りの無い限り、以下の略号を用いる。
AATCC; 米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)
ADW; 自動食器洗浄機
AE; アルコールエトキシレート
AEO; アルコールエトキシレート
AEOS; アルコールエトキシ硫酸塩
AES; アルコールエトキシ硫酸塩
AFAU; 酸性菌類アルファ−アミラーゼ単位
AGU; グルコアミラーゼ活性単位
AOS; α−オレフィンスルホン酸塩
AS; アルキル硫酸塩
BAA; 細菌性アルファ−アミラーゼ
℃; 摂氏
CCL; 組み合わせ電荷ライブラリー
cDNA; 相補DNA
CMC; カルボキシメチルセルロース
dE; CIE-LAB色空間による全色差
dH2O; 脱イオン水
dIH2O; 脱イオン水、Milli-Q濾過水
DE; デキストロース当量 (Dextrose Equivalent)
DNA; デオキシリボ核酸
dNTP; デオキシリボ核酸三リン酸塩
DO; 溶解酸素
DP3; 3個のサブユニットの重合度
DPn; n個のサブユニットの重合度
DS;(またはds); 乾燥固形成分
DSC; 示差走査熱量測定
DTMPA; ジエチルトリアミンペンタ酢酸
EC; 酵素委員会 (enzyme commission for enzyme classification)
EDTA; エチレンジアミンテトラ酢酸
EDTMPA; エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
EO; エチレンオキサイド
eq; 当量
ETOH; エタノール
F&HC; 衣類・日用品ケア剤 (fabric and household care)
FTU; 「フィターゼ」単位、フィチン酸塩加水分解単位
g (またはgm); グラム
GAU; グルコアミラーゼ単位
gpg; グレイン/ガロン (grains per gallon)
g/l; グラム/リットル
Genencor; Danisco US Inc社, Genencor Division, Palo Alto, CA
H2O; 水
HDG; ヘビーデューティ顆粒洗剤
HDL; ヘビーデューティ液体洗剤
HFCS; 高フラクトースコーンシロップ
HFSS; 高フラクトース澱粉ベースシロップ
HPAEC-PAD; アンペロメトリック検出器付高性能アニオン交換クロマトグラフィー
hr; 時間
IKA; IKA Works Inc.社 2635 North Chase Parkway SE, Wilmington, NC
IPTG; イソプロピルβ-D-チオガラクトシド
JPN; 日本
kg; キログラム
LA; ルリア寒天 (Luria Agar)
LAS; 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
LB; ルリア培地 (Luria Broth)
LU; リパーゼ単位
M; モル
MBD培地; MOPSベース既知組成培地
MES; 2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸
mg; ミリグラム
min; 分
mL (またはml); ミリリトル
mm; ミリメートル
mM; ミリモル
MOPS; 3-(N-モルフォリノ)-プロパンスルホン酸
MW; 分子量
NA; 北米
Ncm; ニュートンセンチメートル
NEO; ネオマイシン
ng; ナノグラム
nm; ナノメータ
NOBS; ノナノニルオキシベンゼンスルホネート
N; 規定 (Normal)
NTA; ニトリロトリ酢酸
PAHBAH; p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジン
PCR; ポリメラーゼ連鎖反応
PEG; ポリエチレングリコール
pi; 等電点
ppm; 百万分の一
PVA; ポリビニルアルコール
PVP; ポリビニルピロリドン
RAU; 参照アミラーゼ単位
RMS; 二乗平均平方根
RNA; リボ核酸
rpm; 毎分回転数
SAPU; 分光光度分析酸性プロテアーゼ単位
SAS; 二級アルカンスルホネート
IX SSC; 0.15M NaCl, 0.015Mクエン酸ナトリウム, pH 7.
sec; 秒
%SRI; パーセント汚染除去指数
SSF; 同時糖化発酵
TAED; テトラアセチルエチレンジアミン
Tm; タンパク質の融点またはDSC測定カーブの熱中央値
TNBS; トリニトロベンゼンスルホン酸
μg; マイクログラム
μl, (μL); マイクロリットル
μNm; マイクロニュートンメートル
μm; マイクロメートル
μM; マイクロモル
U; 単位
V/V; 容積/容積
WE; 西ヨーロッパ
wt%; 重量パーセント
w/v (またはW/V); 質量/体積 (weight/volume)
w/w (またはW/w); 質量/質量 (weight/weight)
wt; 野生型
幾つかの側面では、本発明は遺伝子工学及び分子生物学の分野において日常的に用いられている技術を用いる。以下の文献に、本願で用いる方法が記載されている。
Sambrook et al, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL (2nd Ed., 1989); Kreigler, GENE TRANSFER AND EXPRESSION; A LABORATORY MANUAL (1990) and Ausubel et al, Eds. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (1994)。
好ましくは、澱粉とは植物中に存在する天然の炭化水素を意味し、植物の非限定的例示として穀物、草、塊茎、根茎が挙げられ、より詳しくは、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ソルガム、キャッサバ、キビ、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカに由来する。
また、澱粉というときは、酵素評価用の検出可能な基質として化学修飾された澱粉、あるいは使用時の性質を改良するために化学的または酵素的に修飾された澱粉等の、合成澱粉または修飾された澱粉も意味する。
フィターゼの活性はフィターゼ単位(FTUまたはU)として定義され、1 FTUは、pH 5.5、37℃の0.0015 mol/lフィチン酸ナトリウム塩から、無機リンを1分間に1マイクロモル放出させることができる酵素の量と定義される。この定義はフィターゼの定量に有用であり、活性測定のシンプルな基準である。
イーストのフィチン酸塩分解酵素 (例えばシュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、ピチア・アノマラ(Pichia anomala)、アークスラ・アデニニボラン(Arxula adeninivorans))、グラム陰性菌のフィチン酸塩分解酵素 (例えば大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)種、クレブシエラ(Klebsiella)種)、グラム陽性菌のフィチン酸塩分解酵素 (例えばバスラス種)が同定され分析されている。多くの植物由来のフィターゼ、及びペニシリウム(Penicillium)種、アスペルギルス(Aspergillus) 種、トリコデルマ( Trichoderma) 種、ムコール・ピリホルミス(Mucor piriformis)、クラドスポリウム(Cladosporium)種等の糸状菌由来のフィターゼも知られている。加水分解の開始部位に応じて、3-フィターゼ(EC 3.1.3.8)と6-フィターゼ(EC 3.1.3.26)に分類される。また、フィターゼは「最適」pHに基づき「酸性」(最適pH約5)及び「アルカリ性」(最適pH約9) に分類されている。ROVABIO (Genencor International社) 等の多種類のフィターゼが市販されている。
一般に、アルファ-アミラーゼ(EC 3.2.1.1; (α-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)は、澱粉中のα-D-(l→4) O-グリコサイド結合をランダムに切断するエンド型酵素と定義される。
これに対し、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2; α-D-(l→4)-グルカンマルトヒドロラーゼ)や、マルトゲン性α-アミラーゼ(EC 3.2.1.133)のようないくつかの生成物特異的アミラーゼ等のエクソ型澱粉分解酵素は、基質の非還元末端から澱粉分子を切断する。β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20; α-D-グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3; α-D-(l→4)-グルカングルコヒドロラーゼ)、及び生成物特異的アミラーゼは、澱粉から特定の鎖長のマルトオリゴ糖を産出することができる。
本願では、バスラス・ステアロサーモフィリス由来の野生型アルファ−アミラーゼ、または「AmyS」アミラーゼをXTRA またはSPEZYME XTRAと呼ぶことがある。XTRAとSPEZYME XTRAはGenencor International社から入手可能な市販のAmySである。
ゲオバシラス・ステアロサーモフィリス由来アルファ−アミラーゼは、アミノ酸レベルでは、本願のSEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列を有するアルファ−アミラーゼと実質的に同一である。Spezyme XtraはDanisco US Inc社, Genencor Divisionから市販されている。ゲオバシラス・ステアロサーモフィリスは、文献ではバシラス・ステアロサーモフィリスと記載されている場合があり、本願では両者を同義で用いる。
本願にSEQ ID NO:1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16として示すアミノ酸配列のいずれかを有するアルファ−アミラーゼは全てAmyS様アルファ−アミラーゼであると言え、従って親アルファ−アミラーゼに適している。
i) SEQ ID NO: 1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16に示すアミノ酸配列の少なくともいずれか1に対し、相同性(同一性)を少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%有するアルファ−アミラーゼ、および/または
ii) 上記の特異的アルファ−アミラーゼのいずれかをコードするDNA配列とハイブリダイズされたDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼ、または 本願のSEQ ID NO: 1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16に示すアミノ酸配列をコードするWO 06/002643のSEQ ID NO: 9 (BAN), 5 (BSG), 3 (SP722), 1 (SP690), 7 (LAT), 11 (AA560)に示されたDNA配列、または本願の明細書から明らかなDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼが含まれる。
市販のAmyS様アルファ−アミラーゼは、次の商品名で販売されている商品に含まれている。SpezymeTM AA 及び ULTRAPHLOW (Danisco US Inc社, Genencor Divisionから入手可能)、及びKeistase TM (Daiwa社から入手可能) 、及びLIQUEZYME SC (Novozymes社, Denmarkから入手可能)。
後述のセクション1.5で、AmyS様アルファ−アミラーゼについてさらに説明する。後述するTable Aに有用なAmyS様アルファ−アミラーゼのリストと、アミノ酸配列同士を比較する有用な方法を示す。
当業者であれば、本願の酵素としての使用可能性を判断するために、他のアルファ−アミラーゼについて同様の表を作成できることを理解できよう。
核酸変異体には、本願に開示するヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な相補的な配列が含まれる。例えば、本願の変異体核酸配列は、ストリンジェントな条件下(例えば 50℃で0.2X SSC { IX SSC = 0.15 M NaCl, 0.015 Mクエン酸ナトリウム、pH 7.0})で本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列と少なくとも一部相補的であってもよい。好ましくは、変異体には、高度にストリンジェントな条件下(例えば 65℃で0.1X SSC)で、本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列に相補的な配列が含まれる。
または、熱安定性が高い酵素は、示差走査熱量測定を用いて参照酵素と比較したとき、より高い熱容量を示す。
酵素活性に関しては、「pH安定性」とは酵素が特定のpH、または特定のpH範囲において触媒活性を保持していることを意味する。
タンパク質コンフォメーションに関しては、あるpHにおいてタンパク質が不可逆的に変成されていないとき、その酵素は安定であると見なす。このような場合、その酵素が触媒活性を示すことができるpHに戻されたとき、再び触媒として作用する。
pH安定性という用語を、例えば参照酵素と対比する等、相対比較の意味で用いることもある。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体の方が野生型B. リケニホルミスアルファ−アミラーゼよりも高活性である場合、例えば両者を所与のpH、またはpHを含め同一条件で比較したとき、本願のアルファ−アミラーゼ変異体の方が野生型B. リケニホルミスアルファ−アミラーゼよりもpH安定性が高い。
一般に、問題となるpH値はその酵素を実際に使用するときのpH値、またはその酵素が本来有する酵素活性を保持可能なpHの限界値またはその近傍のpH値である。
このアライメント及び相同性または同一性パーセントは、例えばCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel et al. (eds) 1987, Supplement 30, section 7.7.18) に記載されているような、公知のソフトウエアプログラムを用いて評価することができる。このようなプログラムにはGCG Pileupプログラム、FASTA (Pearson et al. (1988) Proc. Natl, Acad. Sci USA 85: 2444- 2448)、及びBLAST (BLAST Manual, Altschul et al. , Natl Cent. Biotechnol. Inf., Natl Lib. Med. (NCIB NLM NIH), Bethesda, Md., and Altschul et al, (1997) NAR 25:3389- 3402)が含まれている。また別のアライメントプログラムは、初期パラメータを用いるALIGN Plus (Scientific and Educational Software, PA)である。また別の有用な配列解析プログラムはSequence Software Package Version 6.0 (Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, WI)に含まれているTFASTA Data Searching Programである。
核酸は一本鎖の形態のとき他の核酸配列とハイブリダイズすることができ、適切な温度及び溶液イオン強度の条件化で他の核酸配列とアニールすることができる。ハイブリッド形成条件及び洗浄条件は公知である。(例えば上記のSambrook (1989), 特に第9章及び11章参照) いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件は、Tm65℃, 0.1×SSC, 0.1% SDSである。
選択可能マーカーの非限定的例示として、抗生物質(例えばハイグロマイシン、ブレオマイシン、またはクロラムフェニコール)に対する耐性を改変する遺伝子、および/または、例えば唯一の炭水化物を栄養源とする特定の基質上で成長するように宿主細胞に栄養的選択性を賦与する等の、代謝選択性を賦与する遺伝子が挙げられる。
本願では、アミノ酸残基の命名に従来用いられている1文字及び3文字のコードを用いる。分かり易くするため、アルファ−アミラーゼ変異体の表記には以下に示す命名法を用いる。
元のアミノ酸:位置:置換アミノ酸
Ser242Ala または S242A
位置30のアラニンの欠失は次のように表記する:
Ala30* または A30* または ΔA30
リジン等のアミノ酸残基の挿入は次のように表記する:
Ala30AlaLys または A30AK
(30-33)* または Δ(A30-N33)
*36Asp または *36D
Ala30Asp+Glu34Ser または A30N+E34S
A30N,E あるいは、A30N または A30E
R, N, D, A, C, Q, E, G, H, I, L, K, M, F, P, S, T, W, Y, V。
A30R, A30N, A30D, A30C, A30Q, A30E, A30G, A30H, A30I, A30L, A30K, A30M, A30F, A30P, A30S, A30T, A30W, A30Y, or A30 V; または短縮して次のように表記する:
A30R,N,D,C,Q,E,G,H,I,L,K,M,F,P,S,T,W,Y,V.
例えば、野生型にNまたはVが存在する場合、「X30N」または 「X30N,V」
これは、他の対応する親酵素は、位置30において「Asn」または「Val」で置換されることを示す。
[荷電アミノ酸]
Asp, Glu, Arg, Lys, His
[負荷電アミノ酸](負荷電の最も強いものが最初)
Asp, Glu
[正荷電アミノ酸](正荷電の最も強いものが最初)
Arg, Lys, His
[中性アミノ酸]
Gly, Ala, Val, Leu, lie, Phe, Tyr, Trp, Met, Cys, Asn, Gln, Ser, Thr, Pro
[疎水性アミノ酸](疎水性の最も強いものが最後)
Gly, Ala, Val, Pro, Met, Leu, lie, Tyr, Phe, Trp,
[親水性アミノ酸](親水性の最も強いものが最後)
Thr, Ser, Cys, Gln, Asn, Asp, Lys, Arg
4.1 種々のアルファ−アミラーゼのアミノ酸
バシラス種により産出される多くのアルファ−アミラーゼはアミノ酸レベルでの相同性(同一性)が高く、本願の親酵素として有用である。公知のバシラスアルファ−アミラーゼ相互間の同一性パーセント(アミノ酸配列基準)を下記のTABLE Aに示す。
例えば、B. リケニホルミスのアルファ−アミラーゼ(LAT)(SEQ ID NO: 7)とB. アミロリケファシエンスのアルファ−アミラーゼ(SEQ ID NO: 9)との相同性は約81%であり、G. ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼ(BSG) (SEQ ID NO: 1) との相同性は約65%であることが知られている。
さらに、SP690 及び SP722を含む相同アルファ−アミラーゼがWO 95/26397に開示されている。また、Tsukamotoらのバシラス種(SEQ ID NO:6)由来の#707アルファ−アミラーゼ(Tsukamoto et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 151 (1988), pp. 25-31)が知られている。WO 97/00324(KAO Corporation)にKSM AP1378アルファ−アミラーゼが開示されている。
上記のAmyS-様アミラーゼを親アルファ−アミラーゼとして用いることができる。好ましい実施形態では、親アルファ−アミラーゼは、例えば上記のSEQ ID NO:1 または2のアミノ酸配列を有するG. ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼのように、G. ステアロサーモフィリスから誘導されたものである。
親アルファ−アミラーゼ(すなわちバックボーン・アルファ−アミラーゼ)はハイブリッドアルファ−アミラーゼでもよい。すなわち、少なくとも2のアルファ−アミラーゼから誘導されたアミノ酸配列の組合せから成るアルファ−アミラーゼでもよい。
または、少なくとも1のAmyS-様アミラーゼ及び少なくとも1の細菌性非AmyS-様アミラーゼから誘導された複数のアミノ酸配列の一部同士の組合せから成る。または、少なくとも1のAmyS-様アミラーゼ及び少なくとも1の菌性非AmyS-様アミラーゼから誘導された複数のアミノ酸配列の一部同士の組合せから成る。アミノ酸配列の一部が誘導されるAmyS-様アミラーゼは、本願の特異的AmyS-様アミラーゼのいずれかである。
相同性とは、2つの配列の間の関係について、例えば1の配列が他の配列から派生したこと、またはその逆であることを示唆する、2つの配列の間の同一性の程度と定義することができる。相同性は目視による比較または計算で求めることができる。より便利な方法は、GCGプログラムパッケージ(上記)に含まれているGAP等の公知のコンピュータプログラムを用いることである。
すなわち、Gap GCG v8を、同一性についての初期スコアリング・マトリックス、及び以下の初期パラメータを設定して用いる:核酸配列、及び配列比較についてそれぞれGAPクリエーション・ペナルティ5.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.3、タンパク質配列比較についてGAPクリエーション・ペナルティ3.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.1。GAPでは、アライメントと同一性の計算に、Needlemanと Wunschの方法を用いている。(Needleman and Wunsch, (1970), J. MoI. Biol. 48: 443-453)
この構造のアライメントを行う1つの方法は、GCGパッケージに含まれるPile Upプログラムを、初期設定値をGAPクリエーション・ペナルティ3.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.1に設定して用いることである。アライメントを行う別の方法には、疎水性クラスター分析法(Gaboriaud et al. , FEBS Lett. 224: 149- 155, 1987)や、逆ステッディング法(Huber, T; Torda, AE, Protein Sci. 7(1): 142-149, 1998)等がある。
上記のAmyS-様アルファ−アミラーゼの解析に用いるオリゴヌクレオチドプローブは、対象とするアルファ−アミラーゼのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の全部または一部に基づいて調製することができる。
すなわち、「から誘導された」という用語は、合成および/またはcDNA起源のDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼであって、対象とするアルファ−アミラーゼの特性を備えるアルファ−アミラーゼを意味する。
また、この用語は親アルファ−アミラーゼが天然アルファ−アミラーゼの変異体であること、すなわち天然アルファ−アミラーゼの1以上のアミノ酸残基を修飾(挿入、置換、欠失)して得られた変異体であることを意味する。
ひとつの実施形態では、本願のアルファ−アミラーゼ変異体は上記の修飾に加え、1以上の修飾を有する。すなわち、修飾されたアルファ−アミラーゼ変異体の一部の1以上のプロリン残基(Pro)が、天然の非プロリン残基のいずれかで置き換えられていることが好ましく、この非プロリン残基はアラニン、グリシン、セリン、スレオニン、バリン、またはロイシンのいずれかであることが好ましい。
M15, V128, A111, H133, W138, T149, M197, N188, A209, A210, H405, T412。
特に、以下の一重、二重、三重、または多重突然変異が好ましい。
M15X,特にM15T,L;
V128X,特にV128E;
H133X,特にHl33Y;
N188X,特にN188S,T,P;
M197X,特にM197T,L;
A209X,特にA209V;
M197T/W138F; M197T/138Y; M15T/H133Y/N188S;
M15N128E/H133Y/N188S; E119C/S130C; D124C/R127C; H133Y/T149I;
G475R,H133Y/S187D; H133Y/A209V.
8.1 概論
以下に、本願の変異体中の突然変異と、この突然変異により生じる所望の改変された性質(親AmyS-様アルファ−アミラーゼに対し改変された性質)との関係を説明する。
ひとつの側面では、本願は上記のような改変された性質を有するアルファ−アミラーゼ変異体に関する。
ここで、
(a) 変更点はそれぞれ独立して(i)その位置を占めるアミノ酸の下流側へのアミノ酸の挿入、(ii)その位置を占めるアミノ酸の欠失、または(iii)その位置を占めるアミノ酸の別のアミノ酸による置換であり、
(b) その変異体はアルファ−アミラーゼ活性を有し、
(c) 各アミノ酸位置が、例えばGenencor社から商品名SPEZYME XTRAとして販売されている切断されたアルファ−アミラーゼ等の、SEQ ID NO:2に示すアミノ酸配列を有するG.ステアロサーモフィリス等の親アミラーゼのアミノ酸配列の位置に相当する。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体において、改変された安定性、特に改良された安定性(すなわち増加または減少)を得る上で重要な突然変異(アミノ酸置換および欠損を含む)、特に高温度(すなわち約70〜120℃)、および/または厳しいpH(すなわち低pHまたは高pH領域、すなわちそれぞれpH4.0から6.0、pH 8.0から11.0)、特に60 ppm未満のカルシウムフリー濃度(すなわち非結合、従って溶液中)において、改良された安定性を得る上で重要な突然変異には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかである。安定性は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
改変されたCa2+安定性とは、Ca2+が欠乏した条件下での酵素の安定性が改善されることを意味する。すなわち、安定性が親酵素に対し増加または減少することである。本願のアルファ−アミラーゼ変異体では、改変されたCa2+安定性、特に改良されたCa2+安定性、すなわち増加または減少した安定性を、特に高pH領域(すなわちpH8.0から10.5)において得るために重要な突然変異(アミノ酸置換及び欠失を含む)には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかが含まれる。
また別の側面では、特に約10-60℃、好ましくは20-50℃、特に約0-40℃において改変された比活性度、特に増加または減少した比活性度を得る上で重要な突然変異(アミノ酸置換及び欠失を含む)には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかが含まれる。比活性度は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、親アルファ−アミラーゼに対し改変された酸化安定性、特に改善された酸化安定性を有することができる。増加された酸化安定性は、例えば洗剤組成物において有用であり、減少された酸化安定性は、例えば澱粉液化用の組成物において有用である。酸化安定性は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
改変されたpH特性、特に高pH(すなわちpH 8〜10.5)または低pH(すなわちpH 4〜6)における改善された活性を得るために重要なアミノ酸位置及び突然変異には、活性部位残基の近傍のアミノ酸残基の突然変異が含まれる。
好ましい特定の突然変異/置換には、上記の「改変された性質」に記載された対象とする位置に関する突然変異/置換が含まれる。改変されたpH特性はの評価方法は、下記の「測定方法」の項に記載されている。
改変された洗浄性能、特に高pH(すなわちpH 8.5〜11)における洗浄性能を得るために重要なアミノ酸位置及び突然変異には、上記の「改変された性質」に記載された対象とする位置に関する突然変異/置換が含まれる。
洗浄性能は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
遺伝子に突然変異を導入する方法は、アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列をクローン化する方法として知られている。このような方法には、以下説明する、アルファ−アミラーゼをコードする配列中の特定の部位に突然変異を誘発させる方法が含まれる。
親アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列は、公知の種々の方法により、対象とするアルファ−アミラーゼを産出する細胞または微生物から分離することができる。
まず、対象とするアルファ−アミラーゼを産出する有機体由来の染色体DNAまたはメッセンジャーRNAを用いて、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを構築する。α−アミラーゼのアミノ酸配列が分かっている場合、相同の標識オリゴヌクレオチドプローブを合成し、これを用いて対象とする有機体から調製したゲノムライブラリーに由来するアルファ−アミラーゼをコードするクローンを特定する。
または、アミノ酸配列が分かっているα−アミラーゼ遺伝子に相同の配列を含む標識されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用い、例えば低ストリンジェント条件のハイブリッド形成及び洗浄を用いて、アルファ−アミラーゼをコードするするクローンを特定することもできる。
ホスホロアミダイト法では、オリゴヌクレオチドを例えば自動DNA合成機で合成し、次に精製、アニーリング、ライゲーション、および適切なベクター中でクローニングする。
あるいは、例えば米国特許No. 4,683,202またはR. K. Saiki et al. EMBO J. 3:801-895 (1988) に開示された特定のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってこのようなDNA配列を調製することもできる。
アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列を単離し、突然変異させる所定の配列を特定した後、合成オリゴヌクレオチドを用いて突然変異を導入する。このようなオリゴヌクレオチドには、所定の突然変異部位に隣接するヌクレオチド配列が含まれている。突然変異ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを合成しているとき挿入する。
特定の方法では、アルファ−アミラーゼをコードする配列を橋渡しするDNAの一本鎖ギャップが、アルファ−アミラーゼ遺伝子を有するベクター中に作られる。次にこの一本鎖DNAの相同な位置に、所定の突然変異を有する合成ヌクレオチドをアニールする。残りのギャップをDNAポリメラーゼI (Klenow断片)で埋め、得られた構築体をT4リガーゼによってライゲートする。この方法の例は、Morinaga et al. Biotechnology 2:636-639 (1984)に開示されている。
米国特許No. 4,760,025には、多重突然変異をコードするするオリゴヌクレオチドを、カセットの一部を改変して導入することが開示されている。しかしMorinagaの方法によれば、様々な種類と長さのオリゴヌクレオチドを導入することができるので、さらに多様な突然変異を随時導入することができる。
本願に開示する方法、または別の公知の方法で作られ、酵素変異体をコードするDNA配列は、適切なプロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び、任意にリプレッサー遺伝子、または種々のアクティベータ遺伝子をコードする制御配列を有する発現ベクターを用いて、酵素として発現させることができる。
あるいは、ベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そのベクターが組み込まれた染色体とともに複製される。
本願のα-アミラーゼ変異体をコードするDNA配列の転写を行なうために、特に細菌性宿主中で転写を行なうために適するプロモータの例として、大腸菌の乳糖オペロンのプロモータ、スプレプトマイセス・セリカラー・アガラーゼ(Streptomyces coelicolor agarase)遺伝子のdagAのプロモータ、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ遺伝子(amyL) のプロモータ、ゲオバシラス・ステアロサーモフィルス・マルトース生成性アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモータ、バシラス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α-アミラーゼ(amyQ) のプロモータ、バシラス・スブチリスxylA及びxylB遺伝子のプロモータ等が挙げられる。
菌類宿主中での転写において有用なプロモータの例として、A.オリザエ(oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、A. ニガー(niger)の中性アルファ−アミラーゼ、A. ニガーの酸安定性アルファ−アミラーゼ、A. ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイリパーゼ、A.オリザエのアルカリ性プロテアーゼ、A.オリザエのオリオースリン酸イソメラーゼ、またはA. ニジュランス(nidulans)のアセトアミダーゼ等をコードする遺伝子由来のものが挙げられる。
また、ベクターは選択マーカーを備える。選択マーカーは、例えばバシラス・スブチリス由来、またはバシラス・リケニホルミス由来のdal遺伝子のように宿主細胞の欠陥の相補体となる遺伝子、または、例えばアンピシリン耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、またはテトラサイクリン耐性等の、抗生物質耐性を賦与する遺伝子である。ベクターはさらに、amdS, argB, niaD 及びsC等のアスペルギルス選択マーカー、ハイグロマイシン耐性を高めるマーカーが含まれる。あるいは例えば、国際公開WO 91/17243に開示されているように、同時形質転換によって選択を行うこともできる。
細菌の形質転換は、例えばプロトプラスト形質転換、または公知の方法でコンピテント細胞を用いて行うことができる
宿主細胞から分泌されたα-アミラーゼ変異体は、培地から公知の方法により回収することができる。この方法には、細胞を濾過または遠心分離によって培地から分離し、硫酸アンモニウム等の塩で培地中の蛋白性物質を沈殿させ、次にイオン交換や、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフを行なうことが含まれる。
9.4.1 フィルタースクリーニング評価
以下の評価方法を用いて、高pHまたは低pH、および/またはCa2+が欠乏した条件下で、親酵素及びAmyS様アルファ−アミラーゼとの比較において改変された安定性を示すAmyS様アルファ−アミラーゼ変異体のスクリーニングを行うことができる。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、10マイクログラム/mlカナマイシンを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 8.6-10.6のグリシン-NaOH緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、室温で2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回スクリーニングを繰り返す。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、関連性の有る抗菌薬、例えばカナマイシンまたはクロラムフェニコールを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 約8.5〜10の炭酸塩/重炭酸塩緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、室温で約2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを約10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回スクリーニングを繰り返す。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、10マイクログラム/mlクロラムフェニコールを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 6.0のクエン酸緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、50℃で2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回再スクリーニングを繰り返す。
再スクリーニング後の陽性形質転換体を保管プレートから採取し、二次プレート評価を行う。
各陽性形質転換体を、5 mL LB+クロラムフェニコールを用いて37℃において22時間培養する。各陽性形質転換体のバシラス培養菌と、比較参照用の対応バックボーン(親アルファ−アミラーゼ)を発現するクローンとを、pH4.5のクエン酸緩衝液を用いて90℃においてインキュベートし、サンプルを0, 10, 20, 30, 40, 60及び80分後に採取する。3μLのサンプルを評価用プレートに植える。評価用プレートを10%ルゴール液で染色する。改良された変異体は、バックボーンよりも高い残留活性(評価用プレート上のハローとして検出される)を示す。改良された変異体を核酸配列の解析により特定する。
変異体の安定性は、以下のようにして評価することができる。
分析対象の変異体発現バシラス培養菌を、クロラムフェニコールを含有する10mLLB中で37℃において21時間培養する。この培地800マイクロリットルと、pH4.5のクエン酸緩衝液200マイクロリットルとを混合する。サンプルを70μLずつに分けて複数のPCRチューブ中に注入し、70℃または90℃において時間を種々変更して(典型的には5, 10, 15, 20, 25 及び 30分間)、PCR装置を用いてインキュベートする。0分のサンプルについては、高温でのインキュベートは行わない。サンプル中の活性は、下記の「アルファ−アミラーゼ活性の評価」で説明するように、20μLから200μLのアルファ−アミラーゼPNP-G7基質 MPR3 (Boehringer Mannheim Cat. No. 1660730) をトランスファーすることにより測定する。
測定結果は、(時間0に対する)活性パーセントを時間に対してプロットして示すか、または、所定時間インキュベートした後の残留活性パーセントで表わす。
関連する発現プラスミドを含むバシラス・スブチルス株を、以下のようにして発酵させ、精製する。
この株を、-80℃のストック溶液から採取した10μg/mlカナマイシンを含むLB-寒天上に洗浄に塗布し、37℃で一晩培養する。得られたコロニーを、10μg/ml クロラムフェニコールを含む100 mLのPS-1培地を有する500 mL振蕩フラスコ中に移す。
S-1培地の組成は以下の通りである。
パールシュガー: 100 g/l
大豆かす: 40 g/l
Na2HPO4, 12 H2O: 10 g/l
PluronicTM PE 6100: 0.1 g/l
CaCO3: 5 g/l
この培地を37℃、270rpmで5日間振蕩する。
UF-フィルター濾過物をS-SEPHAROSE F.F (Pharmacia社)に流通させ、溶出は0.2M NaClを添加した上記緩衝液を用いた段階溶出により行う。溶出液をpH9.0の10 mM Trisに対し透析し、Q-SEPHAROSE F.F. に流通させ、直線濃度勾配の0〜0.3M NaCl溶液 6カラム容積を用いて溶出させる。
活性(PHADEBASアッセイで測定)を有する分画を貯留し、pH 7.5に調整し、残留する色を0.5% w/v活性炭で5分間処理することにより除去する。
比活性度は、PHADEBASTM アッセイ(Magle Life Sciences社)を、活性/mg酵素で用いて評価した。
この製品の取扱説明は下記の通りである。(下記「アルファ−アミラーゼ活性の評価」も参照)
等電点は、等電点電気泳動法(例えばPharmacia社, Ampholine, pH 3.5- 9.3)により求めることができる。
アミラーゼの安定性は、次のようにして評価することができる。
この酵素を関連する条件下でインキュベートする。サンプルを異なる時間、例えば0, 5, 10, 15 及び30後に採取し、アッセイ緩衝液(50 mM Britton緩衝液、pH 7.3)で25倍に希釈し(全サンプルについて同じ希釈率)、標準条件のpH7.3、37℃においてPHADEBASアッセイ(Magle Life Sciences社)を用いて活性を測定する。
1. PHADEBASアッセイ
アルファ−アミラーゼの活性をPHADEB ASTMタブレットを基質に用いる方法で評価する。PHADEBASタブレット(PHADEBASTM Amylase Test, 供給元Magle Life Sciences社)には、ウシ血清アルブミンと緩衝物質とタブレットとが添加された、青く着色され架橋された澱粉ポリマーが含まれている。
従って、この基準を満たすように酵素の希釈度を調整する必要がある。特定の条件(温度、pH、反応時間、緩衝液条件)の組み合わせにおいて、1 mgのアルファ−アミラーゼが有る値の量の基質を加水分解して青色を生じる。この色の強度を620nmにおいて測定する。所定の組み合わされた条件において、測定された吸光度は、対象とするアルファ−アミラーゼの比活性度(純粋なアルファ−アミラーゼタンパク質の活性/mg) に比例する。
アルファ−アミラーゼの活性を、PNP-G7基質を用いて評価することができる。PNP-G7はp-ニトロフェニル-アルファ,D-マルトヘプタオシド(maltoheptaoside)の略であり、エンド-アミラーゼで切断されるブロックオリゴサッカライドである。切断後、キットに含まれるアルファ-グルコシダーゼが基質を消化してPNP分子を放出する。PNP分子は黄色を呈するので、λ=405 nm (400-420 nm)における可視光吸光度を測定することができる。PNP-G7基質及びアルファ-グルコシダーゼを含むキットは、Boehringer-Mannheim社(cat. No. 1054635) が製造販売している。
吸光度変化の時間依存性の傾きが、所定の組み合わされた条件における測定対象のアルファ−アミラーゼの活性に比例する。
複数の異なる濃度のLAS (直鎖アルキルベンゼンスルホン酸; Nansa 1169/P)を用いて、変異体を40℃で10分間インキュベートする。
残留活性をPHADEBASTMアッセイ法、または、PNP-G7基質を用いる別の方法により評価する。
LASをpH7.5の0.1Mリン酸緩衝液で希釈する。
以下のLAS濃度を用いる。
500 ppm, 250 ppm, 100 ppm, 50 ppm, 25 ppm, and 10 ppmまたは0 ppm。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、洗浄プロセス及び汚れ除去における様々な工業用途に応用可能な種々の特性を有する。
本願の1以上の酵素変異体または組成物は上記のように、洗剤、特に洗濯用洗剤組成物、食器洗浄用洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物に用いることができる。また本願の変異体を、布、織物、衣類のデサイジング用組成物、パルプ及び紙の製造用組成物、ビール醸造、エタノール製造、及び上記の澱粉転換プロセスに用いることができる。
アルカリアルファ−アミラーゼ変異体を、澱粉補強された古紙またはボール紙からパルプ、紙、ボール紙等のリグノセルロース材料を製造する場合に用いることができ、特に再パルプ化が7以上のpHで生じ、アミラーゼが補強澱粉を分解することにより古紙の分解が促進される場合に用いることができる。アルファ−アミラーゼ変異体は、澱粉コートされた印刷済の紙から製紙用パルプを製造するプロセスにおいて特に有用である。このプロセスはWO 95/14807に開示された方法で実施され、a) 紙を分解してパルプにするステップと、b) ステップa)の前後またはステップa)の間に澱粉分解酵素で処理するステップと、c) ステップa)及びb)の後でインク粒子をパルプから分離するステップとから成る。
アルファ−アミラーゼ変異体は、布、織物、衣料品のデサイジングにおいても有用である。
繊維加工業では、澱粉被覆サイズ剤を除去するデサイジングプロセスを促進する副原料として、古くからアルファ−アミラーゼが用いられてきた。サイズ剤は、布を織る際に横糸の保護被覆剤として機能する。布を織った後にサイズ剤を完全に除去することは、その後の工程での洗浄、漂白、染色でよい結果を得るために重要である。酵素による澱粉分解が好まれるのは、繊維に悪影響を及ぼさないからである。
製造コストを下げて生産量を増加させるために、デサイジング加工は洗浄及び漂白工程と組み合わされることがある。このような場合には、澱粉の分解にアルカリまたは酸化剤等の非酵素系副原料が用いられる。これは、従来のアルファ−アミラーゼは高pHや漂白剤の存在下では正常に機能しないためである。
非酵素系の澱粉サイズ剤分解剤は比較的反応性が高い薬品であるため、繊維にダメージを与えることがある。本願のアルファ−アミラーゼ変異体はアルカリ性溶液中での性能が向上している事から、この用途に用いることができる。セルロースを含む布または織物をデサイジングする際、アルファ−アミラーゼをそれ単独、またはセルラーゼと組み合わせて用いることができる。
市販のデサイジング用の製品としてGenencor社のOPTISIZETM FLEXが挙げられる。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、洗濯及び食器洗浄用等の、種々の洗浄または洗濯用の洗剤組成物の添加成分として用いることができる。
洗剤用添加剤、及び洗剤組成物には1以上の他の酵素が含まれていてもよく、このような他の酵素は例えばプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、他の澱粉分解活性酵素、例えば別のアルファ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、マルトゲンアミラーゼ、CGTase、および/または、セルラーゼマンナナーゼ (例えばDanisco US Inc.社, Genencor DivisionのMANNASTARTM)、ペクチナーゼ、ペクチン、リアーゼ、クチナーゼ、および/または、ラッカーゼ等である。
好ましいプロテアーゼには、動物、植物または微生物由来のプロテアーゼが含まれる。微生物由来のプロテアーゼが好ましい。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ、またはトリプシン様プロテアーゼである。
アルカリ性プロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバシラス由来のスブチリシンであり、例えばスブチリシン・ノボ(subtilisin Novo)、スブチリシン・カールスバーグ(subtilisin Carlsberg)、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168(例えばWO 89/06279)等である。
トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば豚または牛由来)、及びWO 89/06270とWO 94/25583に開示されたフサリウムプロテアーゼである。他の有用なプロテアーゼの例が、WO98/23732, WO99/20770, WO 92/19729, WO 98/20115, WO 98/20116,及び WO 98/34946に開示されている。
好ましいリパーゼには、細菌または細菌由来のリパーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
有用なリパーゼの例には、例えばフミコーラ・ラヌギノサ(lanuginose)(T・ラヌギノサ)(EP 258068及びEP 305216参照)、またはフミコーラ・インソレンス(insolens)(WO 96/13580参照)等のフミコーラ(Humicola; サ−モミセス(Thermomyces)の異名) 由来のリパーゼ;シュードモナス(Pseudomonas)由来のリパーゼ (例えばP.アルカリゲネス(alcaligenes)またはP.シュードアルカリゲネス(pseudoalcaligenes)(EP218272参照)、P.セパシア(cepacia)( EP331376参照)、P.スタッツェリ(stutzeri)(GB 1,372,034参照)、P.フルオレセンス(fluorescens)、シュードモナス株SD 705(WO 95/06720及びWO 96/27002参照)、P.ウィスコンシネス(wisconsinensis)(WO 96/12012参照);バシラス由来のリパーゼ、例えばB.スブチリス由来(Dartois et al. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B.ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)(JP 64/744992参照)、またはB.プミルス(pumilus)(WO 91/16422参照)が含まれる。
他の例は、WO 92/05249, WO 94/01541, EP 407 225, EP 260 105, WO 95/35381, WO 96/00292, WO 95/30744, WO 94/25578, WO 95/14783, WO 95/22615, WO 97/04079 及び WO 97/07202に開示されたリパーゼ変異体である。
1以上の追加のアミラーゼを用いることもできる。
適したアミラーゼ(アルファおよび/またはベータ)には、細菌または菌類起源のものが含まれる。化学修飾または遺伝子組み換えされた変異体も含まれる。このようなアミラーゼには、例えばバシラスから得られるアルファ−アミラーゼ、例えばGB 1,296,839に詳細が開示されているB.リケニホルミスから得られるアルファ−アミラーゼが含まれる。
有用なアルファ−アミラーゼの例として、WO 94/18314, WO 96/39528, WO 94/02597, WO 94/18314, WO 96/23873, 及びWO 97/43424に開示された変異体が挙げられる。
好ましいセルラーゼには、細菌または細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
好ましいセルラーゼには、バシラス属、シュードモナス属、トリコデルマ属、フミコーラ属、フザリウム属、シエラビア族、アクレモニウム属由来のセルラーゼが含まれ、例えばU.S.P.4,435,307, UU.S.P.5,648,263, U.S.P.5,691,178, U.S.P.5,776,757 及びWO 89/09259に開示されたフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィリア(Myceliophthora thermophila)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)が含まれる。
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei) 由来のセルラーゼは、U.S.P.4,689,297, U.S.P.5,814,501, U.S.P.5,324,649, WO 92/06221 及びWO 92/06165に開示されている。
バシラス由来のセルラーゼは、U.S.P6,562,612に開示されている。
適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌、または細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。有用なペルオキシダーゼの例には、コプリヌス(Coprinus)属由来のペルオキシダーゼが含まれ、例えばWO 93/24618, WO 95/10602,及びWO 98/15257に開示されたコプリヌス・シネレウス(cinereus)及びその変異体由来のペルオキシダーゼが含まれる。
市販のペルオキシダーゼの例はGuardzymeTM (Novozymes A/S社)である。
洗剤用組成物の酵素は、例えばプロピレングリコールまたはグリセロール等のポリオール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸、例えば芳香族ボレートエステル等のホウ酸誘導体、または例えば4-フォルミルフェニルホウ酸等のフェニルホウ酸誘導体等の、公知の酵素安定剤を用いて安定化される。洗剤用組成物は、例えば国際公開番号WO 92/19709及びWO 92/19708の開示内容に従い処方することができる。
酵素変異体は、洗浄液1リットルにつき約0.01から約100 mgの酵素蛋白に相当する量が添加され、例えば洗浄液1リットルにつき約0.05から約5.0 mgの酵素蛋白に相当する量が添加され、特に洗浄液1リットルにつき約0.1から約1.0 mgの酵素蛋白に相当する量が添加される。
本願の酵素を以下に示す食器洗浄用洗剤組成物に用いることができる。
1) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤: 0.4-2.5%
メタ珪酸ナトリウム: 0-20%
ジ珪酸ナトリウム: 3-20%
トリ珪酸ナトリウム: 20-40%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム: 2-9%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 1-4%
硫酸ナトリウム: 5-33%
酵素: 0.0001-0.1%
2) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート): 1-2%
ジ珪酸ナトリウム: 2-30%
炭酸ナトリウム: 10-50%
ホスホン酸ナトリウム: 0-5%
クエン酸三ナトリウム二水和物: 9-30%
酢酸ニトリロ三ナトリウム (NTA): 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物: 5-10%
テトラアセチルエチレンジアミン (TAED): 1-2%
ポリアクリレートポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸共重合体): 6-25%
酵素: 0.0001-0.1%
香料: 0.1-0.5%
水: 5-10 %
3) 顆粒 自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤: 0.5-2.0%
ジ珪酸ナトリウム: 25-40%
クエン酸ナトリウム: 30-55%
炭酸ナトリウム: 0-29%
重炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物: 0-15%
テトラアセチルエチレンジアミン (TAED): 0-6%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-5%
クレイ: 1-3%
ポリアミノ酸: 0-20%
ポリアクリル酸ナトリウム: 0-8%
酵素: 0.0001-0.1%
4) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤: 1-2%
ゼオライロMAP: 15-42%
ジ珪酸ナトリウム: 30-34%
クエン酸ナトリウム: 0-12%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物: 7-15%
テトラアセチルエチレン: 0-3%
ジアミン(TAED)ポリマー: 0-4%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-5%
有機ホスホネート: 0-4%
クレイ: 1-2%
酵素: 0.0001-0.1%
硫酸ナトリウム: 残余成分
5) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤: 1 -7%
ジ珪酸ナトリウム: 18-30%
Triクエン酸ナトリウム: 10-24%
炭酸ナトリウム: 12-20% :
モノペルスルフェート(2KHSO5.KHSO4.K2SO4): 15-21%
漂白剤安定剤: 0.1 -2%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-6%
ジエチレントリアミンペンタ酢酸五ナトリウム塩: 0-2.5%
酵素: 0.0001-0.1%
硫酸ナトリウム、水: 残余成分
6) 洗浄用界面活性剤を含む顆粒及び液体食器洗浄用組成物
非イオン性界面活性剤: 0-1.5%
オクタデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物: 0-5%
オクタデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物 とヘキサデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物から成るC18/C16の80:20重量比ブレンド物: 0-4%
オクタデシルビス(ヒドロキシエチル)アミンN-オキシド 無水物とヘキサデシルビス(ヒドロキシエチル)アミンN-オキシド無水物から成るC18/C16の70:30重量比ブレンド物: 0-5%
平均エトキシ化率が3のC13-C15アルキルエトキシスルフェート: 0-10%
平均エトキシ化率が3のC12-C15アルキルエトキシスルフェート: 0-5%
平均エトキシ化率が12のC13-C15エトキシ化アルコール: 0-5%
平均エトキシ化率が9のC12-C15エトキシ化アルコールブレンド物: 0-6.5%
平均エトキシ化率が30のC13-C15エトキシ化アルコールブレンド物 0-4%
ジ珪酸ナトリウム: 0-33%
トリポリリン酸ナトリウム: 0-46%
クエン酸ナトリウム: 0-28%
クエン酸: 0-29%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物: 0-1 1.5%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 0-4%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-7.5%
硫酸ナトリウム: 0-12.5%
酵素: 0.0001-0.1%
7) 非水性液体自動食器洗浄機用組成物
液状非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート): 2.0-10.0%
アルカリ金属ケイ酸塩: 3.0-15.0%
アルカリ金属リン酸塩: 20.0-40.0%
高級グリコール、ポリグリコール、ポリオキシド、グリコールエーテルから選択される液状キャリア: 25.0-45.0%
安定剤(例えばリン酸とC16-C18アルカノールの部分エステル): 0.5-7.0%
消泡剤(例えばシリコーン): 0-1.5%
酵素: 0.0001-0.1%
8) 非水性液体食器洗浄用組成物
液状非イオン性界面活性剤 (例えばアルコールエトキシレート) 2.0-10.0%
ケイ酸ナトリウム: 3.0-15.0%
アルカリ金属炭酸塩: 7.0-20.0%
クエン酸ナトリウム 0.0-1.5%
安定剤(例えばシリコーンと低分子量ジアルキルポリグリコールエーテルの微細分散混合物): 0.5-7.0%
低分子量ポリアクリレートポリマー: 5.0-15.0%
クレイゲル増粘剤(例えばベントナイト): 0.0-10.0%
ヒドロキシプロピルセルロースポリマー: 0.0-0.6%
酵素: 0.0001-0.1%
高級グリコール、ポリグリコール、ポリオキシド、グリコールエーテルから選択される液状キャリア: 残余成分
9) チクソトロピック液体自動食器洗浄機用組成物
C12-C14脂肪酸: 0-0.5%
ブロック共重合体界面活性剤: 1.5-15.0%
クエン酸ナトリウム 0-12% トリポリリン酸ナトリウム: 0-15%
炭酸ナトリウム: 0-8%
トリステアリン酸アルミニウム: 0-0.1%
クメンスルホン酸ナトリウム: 0-1.7%
ポリアクリレート増粘剤: 1.32-2.5%
ポリアクリル酸ナトリウム: 2.4-6.0%
ホウ酸: 0-4.0%
ギ酸ナトリウム: 0-0.45%
ギ酸カルシウム: 0-0.2%
n-デシジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム: 0-4.0%
メタノールアミン(MEA): 0-1.86%
水酸化ナトリウム(50%): 1.9-9.3%
1,2-プロパンジオール: 0-9.4%
酵素: 0.0001-0.1%
消泡剤、染料、香料、水: 残余成分
10) 液体自動食器洗浄機用組成物
アルコールエトキシレート: 0-20%
脂肪酸エステルスルホネート: 0-30%
ドデシルスルホン酸ナトリウム: 0-20%
アルキルポリグリコシド: 0-21%
オレイン酸: 0-10%
ジ珪酸ナトリウム一水和物: 18-33%
クエン酸ナトリウム二水和物: 18-33%
ステアイン酸ナトリウム: 0-2.5%
過ホウ酸ナトリウム一水和物: 0- 13%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 0-8%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 4-8%
酵素: 0.0001-0.1%
11) 保護された漂白剤粒子を含む液体自動食器洗浄機用組成物
珪酸ナトリウム: 5-10%
ピロリン酸三カリウム: 15-25%
トリ珪酸ナトリウム: 0-2%
炭酸カリウム: 4-8%
保護された漂白剤粒子、例えば塩素: 5-10%
高分子性増粘剤: 0.7-1.5%
水酸化カリウム: 0-2%
酵素: 0.0001-0.1%
水: 残余成分
12) 過ホウ酸塩を過炭酸塩二変更した1), 2), 3), 4), 6) 及び10)に記載の自動食器洗浄機用組成物
13) さらにマンガン触媒を含む l)-6)に記載の自動食器洗浄機用組成物
マンガン触媒は、"Efficient manganese catalysts for low-temperature bleaching", Nature 369: 637-39 (1994)に開示された化合物のいずれか1である。
14) プレミアHDL液体洗剤の処方
Bio-Soft S-101: 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
Steol CS-330: ラウレス硫酸ナトリウム
Bio-soft N25-7: 7モルのEOを含む直鎖アルキルエトキシレート
Stepanate SXS: キシレンスルホン酸ナトリウム
15) ウルトラ液体洗剤処方
Tionopal CBS-X: 蛍光増白剤
Alpha-step MC-48: アルファ−スルホメチルエステルナトリウム
Makon TD-6: トリデシルアルコールエトキシレート
いくつかの側面では、本願によりa) 親AmyS様アルファ−アミラーゼに対しアミノ酸配列同一性を少なくとも95%有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に対応するアミノ酸位置に置換を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体であって、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有するアルファ−アミラーゼ変異体と、b) 別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1とが含まれる組成物が提供される。
このような改変された性質には例えば、正味電荷、基質特異性、基質分解性、基質結合性、熱安定性、1以上のpH域における活性、1以上のpH域における安定性、酸化環境下での安定性、Ca2+要求性、比活性度、触媒反応速度、触媒効率、キレート剤の存在下での活性、キレート剤存在下での熱またはpH安定性、デサイジングでの有用性、洗浄プロセスでの有用性、タンパク質発現系での発現量、またはその他の対象とする性質が含まれる。当業者であれば、このような改変された性質は、アミラーゼの最終用途、またはアミラーゼの製造、またはこの両者において有用である。
洗濯や洗浄等のいくつかの用途では、酸化に対する安定性やキレート剤に対する安定性、あるいは異なる金属イオン濃度に対する安定性を有することがが有用である。このため、いくつかの実施形態では、変異体は酸化に対する安定性が改変されている。またアルファ−アミラーゼ変異体は、親AmyS-様アルファ−アミラーゼのアミノ酸位置8, 9, 96, 200, 206, 284, 307, 311, 316, 及び438残基を含めてメチオニン残基の1以上の置換または欠失を備え、ここで参照アルファ−アミラーゼはSEQ ID NO: 2である。
別の実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体はさらに、参照アルファ−アミラーゼ(好ましくはSEQ ID NO: 2)のアミノ酸位置97, 179, 180, 193, 319, 349, 358, 416, 428, または443に対応するアミノ酸位置の1以上において、配列修飾を有する。
好ましい実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は改変された金属イオン依存性、あるいはカルシウム無添加時における改変された活性または安定性、キレート剤存在下での改変された活性をまたは安定性有する。このようなアミラーゼ変異体は洗濯及び洗浄プロセスにおいて有用である。
ひとつの実施形態では、このキットにはa) 親AmyS-様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも約95%相同のアミノ酸配列を有するとともに参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換を有するアルファ−アミラーゼ変異体であって、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有するアルファ−アミラーゼ変異体と、b) 別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1とが含まれる。
別の側面では、本願はアルファ−アミラーゼ変異体を布や織物のデサイジング、及び洗濯または洗浄プロセスに使用する方法に関する。
いくつかの実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体はS242A, S242D, S242E, S242F, S242G, S242H, S242L, S242M, S242N, S242Q, またはS242Tのいずれかである。
本願の方法は、洗濯または洗浄される1以上の物品を、親AmyS-様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも約95%相同のアミノ酸配列を有するとともに参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体が含まれる組成物に接触させる工程が含まれる。アルファ−アミラーゼ変異体は検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有する。この接触工程は、1以上の物品が洗濯または洗浄される条件及び時間において行われる。
好ましくは、少なくとも1の物品は少なくとも1の澱粉含有物質で汚されており、この汚れの除去がアルファ−アミラーゼ変異体によって促進される。
例えば組成物には、別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1が含まれる。
好ましい実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は、例えばN193F置換またはV416G置換、またはこの両置換のように、N193置換またはV416置換、またはこの両置換を有する。
本願の実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は親アルファ−アミラーゼに対し、例えばpH >約8での洗浄性能が改善されている。
AmySの成熟配列の位置S242における変異体を、 部位特異的突然変異誘発を用いて構築した。突然変異誘発に用いたテンプレートは、New England Biolabs社(Massachusetts)のdam-Methylaseを用いたメチル化pHPLT- AmyS(図2参照)であった。縮重プライマー(下記に示すS242F(フォワード) 及び S242R(リバース))を合成し、Operon (Huntsville, AL)中へ希釈し10μMにした。
Operonは相補的フォワード及びリバース配列を有し、この両配列はいずれも反応においてライゲーションするための5'リン酸塩基を有する。親アルファ−アミラーゼの配列はSEQ ID NO:2であった。標的位置をNN(G/C)でランダム化したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、Stratagene Quik-ChangeTM Multi-siteキット(Stratagene社, La Jolla CA) によりライブラリーを構築した。選択したアミノ酸(すなわちS242)を、代替可能な19種のアミノ酸全てによりランダムに置換した。
下記のS242プライマーを突然変異誘発に用いた。
この反応では、無菌蒸留水H2Oを18μL、キットに含まれる10x 緩衝液を2.5μL、キットに含まれるdNTPを1 μL、フォワードプライマーを1.25 μL (10 μM ストック液)、 リバースプライマーを1.25 μL (10 μM ストック液)、 テンプレートとしてpHPLT-AmySプラスミドDNAを1 μL (〜70 ng)、及びキットに含まれる酵素ブレンド物を1 μL 用い、全容量は26.5 μLであった。
先ず95℃で1分間の反応を1回行い、次に95℃で1分間、55℃で1分間、65℃で10分間のサイクルを25回繰り返した。
1マイクロリットルのDpn I (10 U/μL)をMulti-site Quik-ChangeTM反応混合物に添加し、37℃で18時間インキュベートし、次にさらに0.5 μL添加し3時間反応させた。
96の形質転換体を150 μLのLB + 10 ppm Neoを有するマイクロタイタープレートに植菌し、37℃で一晩成長させた。96ピンの複製ツールを用いて、一晩成長させたプレートから、より大きなLA + 10 ppm Neo + 1%不溶性澱粉のプレートに移しかえ、Quintara Biosciences社 (Berkeley, CA)へ送り、コロニーのPCRと配列解析を行った。
複製ツール(Enzyscreen社, Leiden, The Netherlands)を用いて、マイクロタイタープレートの培地を新しいマイクロタイタープレートに植菌した(マイクロタイタープレート及びプレートの蓋は Enzyscreen社製)。新しいマイクロタイタープレートには、タンパク質を発現させるためにMBD培養液150ul、及びタンパク質発現の栄養素の5 mM CaCl2を入れておいた(G. Vogtentanz et al, A Bacillus subtilis fusion protein system to produce soybean Bowman-Birk protease inhibitor, Prot. Expr. & Purif. 55 (2007) 40-52参照)。
タンパク質発現用プレートを37℃、250 rpm、湿度70%で64時間培養した。次に、発現させた培養液をミクロフィルタープレート(0.22 μm, Millipore社, Billerica, MA)で濾過し、熱安定性改善効果のスクリーニングに供した(実施例3参照)。
実施例1のマイクロタイタープレートのコロニーを、ネオマイシンを10ppm含む澱粉プレート上に線状に塗布した。この澱粉プレートを37℃で一晩インキュベートし、シングルコロニーを採取し、培養液(下記参照)とネオマイシン10ppmとを入れた250 mL振蕩フラスコ(培養液は25 mL)に植菌した。この培養液を37℃、275 rpmで約8時間 (OD (600 nm)が2.0に達するまで) 培養した。この培養液と50%グリセロールとを2:1の比率で混合し、それぞれラベルを付した培養バイアルに個別に入れ、-80℃で冷凍した。以後の選択されたアルファ−アミラーゼの製造には、これらのグリセロールストック溶液を用いた。
以下の手順により、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて発酵後の培養液から酵素を精製した。
培養液を10倍に濃縮し、次にpH6.8の50 mM MES、2 mM CaCl2及び1M硫酸アンモニウムを含む溶液で元の濃度に戻し、次に無菌グラスファイバーフィルターで濾過した。
サンプルを、同じ緩衝液で予め平衡状態にしたPHENYL SEPHAROSE FF高密度カラム(20 x 95 mm; Amersham, GE Healthcare Bio-Sciences社, Sweden) に注入した。10カラム容積の硫酸アンモニウムを含まない前記緩衝液を注入し、引き続き用いて5カラム容積の水を注入して非アミラーゼタンパク質を溶出させた。
対象とする酵素は、pH 6.8の50 mM MES、2 mM CaCl2、及び40%プロピレングリコールを含む溶液で溶出させた。
この実施例に、本願の変異体が親アルファ−アミラーゼに対し改変された性質を有することを示す。
G.ステアロサーモフィラスのアルファ−アミラーゼ(AmyS)変異体の、ハイスループット熱安定性スクリーニングを行った。
各上清からサンプルを採取してさらに0.02 ppmまで希釈し、蛍光標識したトウモロコシ澱粉基質及び上記の方法を用いた酵素変異体活性測定に供した。
また、各上清からさらにサンプルを採取し、サーモサイクラーにより95℃で30分間熱ストレスをかけ、pH 5.8の50mM NaOAc/2.6mM CaCl2/0.002% Tween-20緩衝液で0.02ppmに希釈し、蛍光標識した基質及び下記の方法を用いて残留活性を測定した。
疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて、振蕩フラスコの発酵培養液からSpezyme Xtra, S242A, S242E, 及びS242Qを精製した。50%プロピレングリコール及び2mM CaCl2を含有するpH 6.8の50 mM MESを用いてタンパク質をカラムから精製された状態で溶出させた。
約500μLの0.5mg/ml野生型バシラス・ステアロサーモフィリスのα-アミラーゼ、またはS242A, S242E, 及びS242Q変異体(いずれも2mM塩化カルシウムを添加または無添加)について、30〜120℃の範囲を走査した。
同じサンプルについて、可逆性をチェックするために再スキャンした。α-アミラーゼの場合、熱変性は不可逆である。道板緩衝液はpH5.5の10 mM酢酸ナトリウムであった。凝集により生じ得る誤差を最小にするため、スキャン速度を200℃/hrとした。DSC曲線のサーマル・ポイント(Tm)を、供試したタンパク質の熱安定性の指標とした。Table 4-1に、供試したアミラーゼタンパク質の熱融点を示す。図5に、野生型アミラーゼ及びアミラーゼ変異体の熱融解曲線及び融点を示す。
カルシウムの添加により、野生型アミラーゼ及びS242A変異体のTmは各々6℃及び5.3℃上昇した。S242EのTmの上昇は4.4℃であった。S242QのTmの上昇は3.7℃であった。これは、S242Q変異体はカルシウムによってそれほど安定化されないか、またはS242Q変異体の安定性はカルシウムに依存しないことを示唆している。
野生型アミラーゼに対するS242A, S242E, 及びS242Q変異体のTmの上昇は、各々5℃, 5.4℃, 及び3℃であった。このことから、変異体の熱力学的特性が、野生型アミラーゼまたはSpezyme Xtraとは異なることが示唆される。この結果は、応用試験における改善された性能とも一致する(実施例5参照)。
この実施例に、供試した変異体は親アルファ−アミラーゼだけでなく、工業上一般的な酵素に対しても改変された活性プロファイルを有することを示す。タンパク質の同定は、精製したサンプルまたはプレートのサンプルを用いて行った。アルファ−アミラーゼ変異体、及び標準アルファ−アミラーゼの評価は同じ濃度で行った。
400マイクロリットルの澱粉懸濁液を2.5分かけて70℃にした。次に、この澱粉懸濁液に希釈した酵素7μLを手早く添加し、タンパク質の最終的濃度を約0.36ppmにした。次に反応混合物を予め85℃に加熱しておいた振蕩機に取り付け、300rpmで撹拌した。所定時間後、125mM NaOHを50μL添加して反応を終了させた。反応チューブ内の反応液を遠心分離し、上清を10mM NaOHで10倍に希釈し、HPAEC-PAD(アンペロメトリック検出器付高性能アニオン交換クロマトグラフィー)でDP(重合度)プロファイルを分析した。
実施例において、以下の評価方法を用いた。これらの方法を一部変更した場合、各実施例に変更点を記載した。これらの評価方法において、反応により生じた生成物の吸光度の測定には分光光度計を用いた。
[BCA (ビシンコニン酸)アッセイ]
マイクロタイタープレートスケールのサンプルのタンパク質含有量の測定には、BCA (Pierce)アッセイを用いた。使用した薬品及び試薬は:BCAタンパク質評価用試薬とPierce希釈緩衝液(50mM MES, pH6.5, 2mM CaCl2, 0.005% TWEENTM-80)であった。使用した測定装置はSpectraMAX (340型; Molecular Devices社)のMTP読取機であった。マイクロタイタープレートはCostar社製(9017型)であった。
ブラッドフォード染料試薬(Quick Start社)法を用いて、マイクロタイタープレートスケールのサンプルのタンパク質含有量を測定した。使用した薬品及び試薬は:Quick Startブラッドフォード染料試薬(BIO-RAD カタログNo.500-0205)、及び希釈緩衝液(10mM NaCl, 0.1mM CaC12, 0.005%TWEENTM-80)であった。使用した装置は、Biomek FX Robot (Beckman社)、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(9017型)のマイクロタイタープレートを用いた。
この評価で用いた洗剤は、酵素を含まない洗剤か、または市販の洗剤中の酵素を本願に開示する熱不活性化法で不活性化した洗剤であった。使用した装置はEppendorf Thermomixer、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(9017型)のマイクロタイタープレートを用いた。
Milli-Q水の硬度を6gpg(Ca/Mg=3/1)に調整し、増白剤無添加で1.5g/1のAATCC 2003標準参照液状洗剤を添加した。洗剤溶液を少なくとも15分間激しく撹拌した。次に、5 mM HEPES(遊離酸)を添加してpHを8.0に調整した。
本願に開示した方法により試験用洗剤を調製した。使用した装置は、New Brunswick Innova 4230振蕩/インキュベータ、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(3641型)のマイクロタイタープレートを用いた。Center for Test Materials (Vlaardingen, Netherlands)から入手した黄色染料入り熟成米澱粉見本片(CS-28)を使用した。
この見本片を水洗した後、0.25インチの円形小見本片を切り取った。96ウエルのマイクロタイタープレートの各ウエルに、小見本片を2枚ずつ入れた。試験用洗剤の温度を20℃(北アメリカ条件)または40℃(西ヨーロッパ条件)に保った。
小見本片が入れられたマイクロタイタープレートの各ウエルに、洗剤溶液190μLを添加した。この混合物に、希釈した酵素溶液を10μL添加した。マイクロタイタープレートを接着性薄膜でシールし、所定の温度(20℃または40℃)のインキュベータ中において750rpmで撹拌しながら1時間インキュベートした。
その後、各ウエルから溶液を150μL採取し、新しいマイクロタイタープレートに入れ、SpectraMAX MTP読取機を用いて488nmにおいて測定し、洗浄効果を評価した。小試験片と洗剤を含み酵素は含まない参照サンプルと、ブランクサンプルについても洗浄効果を評価した。
吸光度の測定値を、ブランクの値(すなわち酵素を用いずにインキュベートした小見本片の測定値)で較正した。得られた吸光度の値を加水分解活性の指標とした。
いくつかの実施例では、アルファ−アミラーゼの濃度と比活性度を、抑制性ポリクロナール抗体を用いた滴定により求めた。バシラス・ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼ (AmyS)に対するポリクロナール抗体は、AmyS及びバシラス種 TS23由来のアルファ−アミラーゼに対する抑制性が強いことが分かった(例えば結合力が強いため、滴定した抗体の量に比例してアミラーゼの活性が直線的に低下する)。すなわち、この抗体を用いて酵素濃度を測定することができ、さらにこの濃度測定値から比活性度を求めることができる。
変異体タンパク質サンプルの電気泳動移動度を、PHASTGELシステム(GE Healthcare社)を用いて、プレキャストした濃度7.5%または12.5%ネイティブポリアクリルアミドゲル(PHASTGEL Homogeneous)上で測定した。0.88 M L- アラニン中のpH 8.8の 0.25 M Tris緩衝液から成るバッファー・ストリップ(PHASTGEL Native)を用いた。典型的な電気泳動条件は、アノードとカソード間の距離3.7cm、400Vで12.75分であった。
市販の洗剤を用いて、酵素以外の成分の性能を維持しながら、洗剤に含まれるタンパク質成分の酵素活性を熱により不活性化させた。すなわち、この方法は酵素変異体の試験において使用する市販の洗剤の調製に適している。
北アメリカ(NA)と西ヨーロッパ(WE)のヘビーデューティ衣類液状 (HDL) 洗剤の場合、計量した液状洗剤(ガラス瓶入り)を95℃の水浴中で2時間加熱して不活性化した。北アメリカ(NA)と日本(JPN)のヘビーデューティ衣類液状 (HDG) 洗剤の場合、8時間加熱して熱不活性化し、西ヨーロッパ(WE)のHDGは5時間加熱して熱不活性化した。NAとWEの自動食器洗浄機(ADW)用洗剤は8時間加熱して熱不活性化した。これらの洗剤はスーパーマーケットで購入した。
不活性化の程度を正確に測定するため、熱処理した洗剤、及び熱処理していない洗剤の両者を5分以内に溶解して試験に用いた。洗剤の活性はsuc-AAPF-pNA法で行った。
タンパク質及び炭水化物汚れの標準的な洗浄試験方法を用いた。布見本片の汚れの程度は、洗浄の前と後に標準的な方法で測定した。布見本片は、トウモロコシ澱粉、米澱粉、または血、ミルク、及びカーボンブラック混合物のいずれかで汚された綿布であった。布見本片はTestfabrics, Inc.社 (West Pittiston, PA)から購入した。トウモロコシ澱粉(EMPA 161)、血、ミルク、及びカーボンブラック(EMPA 116)人口汚れ材はCenter for Testmaterials BV 社製(Vlaardingen, Netherlands)であった。
各サンプルの試験前後における汚れの程度を、D65 (6500°K)標準光源を備えるMinolta Reflectometer CR-410を用いて、光反射率により測定した。L, a, b値の違いを、CIE-LAB色空間により定義された全色差(dE)に変換した。汚れの洗浄効果は、未洗浄(洗浄前)と非汚染の布の全色差の差に対する洗浄前後の全色差の差の比率から求めた、汚れ除去指数(%SRI)として表した。
洗浄試験で用いた洗剤は、pH8の5mM HEPES緩衝液を含む1.5 g/LのAATCC HDL WOB 2003液状洗剤、0.7g/LのAATCC HDD WOB 1993顆粒状洗剤、過ホウ酸塩及びTAED漂白剤を含む8g/LのIEC A* 60456顆粒状洗剤、または5g/LのPersil Power Gel液体洗剤であった。
酵素を直接洗浄液に入れ、次に40g/Lまたは200g/Lの汚れ見本片布を完全に洗浄液に漬かるようにして入れて反応を開始した。洗浄は100rpmで撹拌しながら、 20℃、25℃、30℃、40℃、または50℃において、10, 15, または40分間行った。洗浄後、汚れ見本片を水道水で3分間すすぎ洗いし、電気洗濯機により1000rpmで脱水して余分な水を除き、低温のパーマネントプレスモードの乾燥機で約45分間乾燥させた。
光反射率測定により汚れ除去の程度を評価し、汚れ除去指数(%SRI)を求めた。実験の参照条件では酵素を用いずに洗浄し、ポジティブ参照条件では数種類の市販の酵素を用いて洗浄した。
EnzChekTM Ultra Amylase Assayキット (E33651, Invitrogen社)を用いてBODIPY-澱粉アッセイを行った。
1mg/mLのDQ澱粉基質ストック溶液を、凍結乾燥された基質が入れられたバイアルにpH4.0の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液100μLを加えて溶解させることにより調製した。このバイアルを約20秒振り混ぜた後、室温で暗所に置き、時々撹拌して完全に溶解させた。バイアルにアッセイ緩衝液(50mM酢酸ナトリウムと2.6mM CaCl2, pH5.8)900μLを加え、20秒間撹拌した。この基質溶液を室温で暗所に置き、使用するまで4℃で保管した。
この1mg/mL基質溶液からアッセイ緩衝液を用いて100μg/mLの試験用溶液を調製し、試験に供した。100μg/mLの基質溶液190μLを、平底96-ウエルマイクロタイタープレートの各ウエルに入れた。各酵素サンプル10μLをウエルに入れ、サーモミキサーを用いて800rpmで30秒間撹拌した。基質と緩衝液のみを含むブランクサンプル(酵素を含まないブランク)も含めてアッセイを行った。マイクロタイタープレート蛍光読取機を用いて、蛍光強度の変化率を25℃で5分間測定した(励起波長: 485 nm, 蛍光測定波長: 520 nm)。
トウモロコシ茎葉及び繊維に対するアミラーゼ(AmyS)電化ラダー(電荷変化= 野生型AmySに対し-12から+12)の基質結合性を評価した。使用した基質には搾りかす(National Renewable Energy Laboratoryが希釈酸で前処理、洗浄しpH5に緩衝したブラジルのサトウキビ搾りかす)、AFEX(アンモニア繊維膨潤トウモロコシ茎葉)、及びPCS (希硫酸で前処理し、洗浄し、pH5に調整されたトウモロコシ茎葉)が含まれていた。全ての基質について、使用する前に固形成分濃度を所定の値に調整した。
試験に用いるアミラーゼ電荷ラダー変異体を精製し、濃度200ppmに希釈した。ホウ酸塩緩衝液(40mM, pH8.5, 0.016% Tween-80)を用いて1%セルロース繊維溶液を調製した。150μLの繊維溶液をマイクロタイタープ濾過レートの各ウエルに入れた。150μLのホウ酸塩緩衝液を、参照用として別のウエルに入れた。10μLのアミラーゼ荷電ラダー変異体を、各々2サンプルを一組として濾過プレートに入れた。濾過プレートを室温で2時間インキュベートした。濾液を回収し、上清中のアミラーゼ活性をBODIP Y-澱粉アッセイにより測定した。
標準洗浄条件において、アミラーゼ変異体をCS-28米澱粉小見本片とともに、またはCS-28米澱粉小見本片無しで30分間インキュベートした。BODIPY-澱粉アッセイにより遊離酵素の量を測定した。小見本片に結合した酵素の量を次の式により計算した:
結合割合 = (見本片無での酵素活性 - 見本片有での酵素活性) / (見本片無での酵素活性)
この実施例では、バシラス・ステアロサーモフィリスアミラーゼのアルファ−アミラーゼ由来の欠失突然変異体 (S242Q突然変異と、C-末端における29アミノ酸欠失とを有する;本願ではS242Qと呼ぶ)、及びB.スブチリス中でのこの変異体の産出について説明する。
形質転換は公知の方法で行った(例えばWO 02/14490参照)。親アミラーゼをコードする遺伝子をpHPLT発現ベクター中にクローン化した。pHPLT発現ベクターは、LATプロモータ(PLAT)、LATシグナルペプチド(preLAT)をコードする配列、及びこれに続くクローン化用のPstl及びHpal 制限酵素認識部位を有する。
このB.スブチリス細胞はキシロース誘導プロモータに結合されたコンピテンシー遺伝子(comK)を有するので、DNA結合及び取り込み能力を誘導するためにキシロースを用いた(Hahn et al , MoI. Microbiol, 21 : 763-775, 1996参照)。
この実施例では、上記の実施例の形質転換B.スブチリスの種々の遺伝子組み換え酵素を発現させる方法について説明する。
S242Q(またはその変異体) を含むB.スブチリスクローン発現ベクターを、グリセロールストック液からの自己複製子をLB培養液150μL + 10μg/ml ネオマイシンを含む96-ウエル培養プレート(BD, 353075)に入れ、37℃、220rpmで加湿雰囲気下において一晩培養することにより複製した。
5mL のプラスチック製培養チューブ中で、一晩培養した培養液100μLを合成培地2000μL+ 10μg/mlネオマイシンに植菌した。培養媒体には、MOPS緩衝液中に窒素源としての尿素、炭素源としてのグルコース、及び健全な細胞を成長させるための1% SOYTONEとカルシウム5mM を含む、富栄養半合成培地を用いた。
培養チューブ内の試料を37℃、250rpmで72時間インキュベートした。インキュベートした後、培養液を3000 x gで10分間遠心分離した。上清を15mLのポリプロピレン製円錐管に静かに移し、次に80μLのサンプルを96ウエルプレートに分取し、タンパク質を定量した。
この実施例では、酵素電荷ラダーの作り方と組み合わせ電荷ライブラリーの構築方法を説明する。
様々な物性を有する多数のタンパク質変異体を、公知の部位特異的突然変異誘発法(例えばGenencor International出願、U.S. Pat. Appln. Ser. No. 10/576,331, 11/581,102, 及び11/583,334参照) で調製するか、または公知のライブラリーから選び出した。所定の複数のタンパク質プローブのセットを、対象とする試験方法で評価した。
以下の表に示すアミラーゼ変異体電荷ラダーの例について、本願に開示する方法で評価した。これらの表には、親酵素に対する電荷変化が示されている。
[B.ステアロサーモフィリス AmyS-S242Q CCLの構築]
形質転換したB.スブチリス株 (遺伝子タイプ: ΔaprE, ΔnprE, amyE::xylRPxylAcomK-phleo)からAmyS-S242QプラスミドDNAを単離し、CCL構築用のテンプレートとしてDNA2.0 Inc.社へ送った。
DNA2.0 Inc.社 (Mountain View, CA)に、Table 15-2に示すAmy S- S242Q (S242Q)アミラーゼ中の各4部位のポジショナル・ライブラリーを構築するよう依頼した。変異体は96-ウエルプレート中のグリセロールストック液として送られてきた。
この実施例では、S242Q変異体を1.0 μg/ml含むAATCC HDL洗剤、または S242Q変異体を5 mM含むHEPES緩衝液の、様々なイオン強度下における小見本片評価試験について説明する。実施例12に示した方法を用いた(「米澱粉見本片によるアミラーゼの性能評価」と「トウモロコシ粉加水分解」参照)
この実施例では、熱安定性とタンパク質電荷の関係の評価について説明する。アルファ−アミラーゼの評価は、上清の加熱前後でのBODIPY澱粉加水分解に基づいて行った。実施例6と同じ薬品及び試薬を用いた。
濾過した培養液上清を、002%Tween を含むpH 5.8の50 mM酢酸ナトリウム + 2 mM CaCl2を用いて連続的に希釈した。希釈した各培養液上清10μLについて、BODIPY澱粉加水分解により初期アミラーゼ活性を求めるための試験を行った。各希釈培養液上清50μLを、薄型VWR PCR 96ウエルプレートに入れた。各ウエルに鉱物油30μLをシール剤として添加した。このプレートを、BioRad DNA engine Peltier Thermal Cyclerを用い、親酵素の安定性に応じて95℃において30分間または60分間インキュベートした。インキュベートした後、このプレートを4℃で5分間冷却し、室温で保存した。各サンプル10μLを新しいプレートに入れ、実施例1に示したBODIPY澱粉アッセイにより、最終的アミラーゼ活性を評価した。
サンプルの残留活性を、最終的吸光度と最初の吸光度の比で表わした。最終的吸光度と最初の吸光度はいずれもブランクにより較正した。比の値が大きいほど、変異体の熱安定性が良いことを示す。これは、液状衣類洗剤の酵素の熱安定性を改良するためにタンパク質の物性、この場合は正味電荷、を最適化する例である。
この実施例に、酵素の性能が電荷に影響され得ることを示す。
酵素の性能評価は、実施例12に示した不活性化した洗剤を用いて行った。性能指数(PI)が1より大きいものを、性能が良いとした。PIは、変異体の残留活性と親(すなわちS242Q)の残留活性との比率である。結果をTable 12-1 及び12-2に示す。
この実施例では、酵素の2種の性質が、タンパク質の電荷変化に対し相反する依存性を示すために負の相関関係にある場合でも、複数のアミノ酸置換の導入により、酵素のこれら2種の性質を同時に改善することができることを説明する。
例えば燃料エタノール製造や洗剤に用いられる澱粉液状化用の遺伝子組み換えAmyS-242Q変異体の場合、アミラーゼ発現特性と澱粉加水分解特性の両者が改善されることが望ましい。しかし、この2種の特性は両立しないように見える。
本願の方法によれば、単一突然変異を選択的に組み合わせることにより、澱粉加水分解特性を損なうことなくアミラーゼ発現特性を向上させることができる。本願の方法によれば、第1の特性(例えば発現特性)が向上し、第2の特性(例えば澱粉加水分解特性)が向上ないし維持された選択的多置換AmyS-242Q変異体を製造することができる。
本願の方法によれば、単一突然変異を選択的に組み合わせることにより、洗浄性能を損なうことなくアミラーゼ発現特性を向上させることができる。本願の方法によれば、第1の特性(例えば発現特性)が向上し、第2の特性(例えば米澱粉小見本片洗浄性能)が向上ないし維持された選択的多置換AmyS-242Q変異体を製造することができる。
Table 13-1に示す複数置換変異体は、親酵素と同等ないし改善された発現特性と、親酵素と同等ないし改善されたBODIPY-澱粉加水分解特性とを有する。またTable 13-2に示す複数置換変異体は、親酵素と同等ないし改善された発現特性と、親酵素と同等ないし改善された米澱粉洗浄性能とを有する。
この実施例では、85℃と97℃においてカルシウム濃度を変化させたときのS242Q変異体のデサイジング性能を、Ethyl及びXtraと比較した。CaCl2の濃度は、実験毎にMilli Q水で調製したpH ~6.5のCaCl2ストック溶液の添加量を変えることにより、0〜20 ppmの範囲で変化させた。実験では、0.01ppm活性タンパク質のEthyl、Xtra、及びS242Q変異体を使用した。実験はLAUNDER-O-METERを用いて、液比50:1で行った。性能試験は、澱粉に指示染料を結合させた米澱粉汚れ見本片布(TestFabrics Cat. No. CS-28; TestFabrics Inc.社) を用いて行った。実験毎に、3枚のCS-28見本片(6cm×8cm)と4枚のプリント生地見本片(Testfabrics, Style 400R; 3インチ×4インチ) を試験材料に用いた。Milli Q water/Caを入れたLAUNDER-O-METERの温度を予め85℃または97℃にしておき、次に酵素と見本片を投入した。30分間反応させた後、全色差測定の前に見本片を水洗いして乾燥させた。
Claims (27)
- a)SEQ ID NO:1,2,6,7,8,9,10,11,12,15、16からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる親AmyS−様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%相同のアミノ酸配列を有し、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列からなる参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換S242Qを有するとともに、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体と、
b)別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1とを含む組成物であって、
当該組成物は洗濯、食器または硬質表面洗浄、デサイジング、または繊維または汚れ処理に用いられる製品の一成分である、組成物。 - 前記アルファ−アミラーゼ変異体が、前記親AmyS様アルファ−アミラーゼまたは参照アルファ−アミラーゼと比較して下記の性質の1以上が改変されている、請求項1に記載の組成物:(a)正味電荷、(b)基質特異性、(c)基質分解性、(d)基質結合性、(e)熱安定性、(f)1以上のpH域における活性、(g)1以上のpH域における安定性、(h)酸化環境下での安定性、(i)Ca2+要求性、(j)比活性度、(k)触媒反応速度、(1)触媒効率、(m)キレート剤存在下での活性、(n)キレート剤存在下での熱またはpH安定性、(o)デサイジングでの有用性、洗浄プロセスでの有用性(p)タンパク質発現系における発現量。
- 前記別の酵素が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチナーゼ、リアーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、またはこれらの組合せのいずれかである、請求項1または2に記載の組成物。
- 界面活性剤が非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性イオン性のいずれかである、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記親AmyS-様アルファ−アミラーゼと比較して、前記アルファ−アミラーゼ変異体の酸化に対する安定性が改変されており、また当該アルファ−アミラーゼ変異体がさらに、前記親AmyS−様アルファ−アミラーゼのアミノ酸位置8, 9, 96, 200, 206, 284, 307, 311, 316, 及び438に相当する位置のメチオニン残基のうち1以上の置換または欠失を備え、ここで参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列がSEQ ID NO: 2である、請求項1に記載の組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体がさらに、請求項1の参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸位置97, 179, 180, 193, 319, 349, 358, 416, 428, または443に対応するアミノ酸位置の1以上において挿入、置換または欠失を有する、請求項1に記載の組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が次の位置における置換を1以上備える、請求項6に記載の組成物:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン、ただし、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が、N193置換または、V416置換、またはこの両置換を有する、請求項5、6または7のいずれか1項に記載の組成物であり、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体がN193F置換またはV416G置換、またはこの両置換を有する、請求項8に記載の組成物であり、当該置換の位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
。 - 前記アルファ−アミラーゼ変異体が位置F178, R179, G180, l181, G182及びK183 に1以上のアミノ酸欠失を有する、請求項5から9のいずれか1項に記載の組成物であり、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
- アルファ−アミラーゼ変異体が改変された金属イオン依存性、カルシウム無添加時における改変された活性または安定性、またはキレート剤存在下での改変された活性をまたは安定性有する、請求項10に記載の組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が、前記親AmyS−様アルファ−アミラーゼに対し8より高いpHでの洗浄性能が改善されている、請求項1に記載の組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が次の組み合わされた置換のいずれかを有する、請求項7に記載の組成物:a)Q97E,Q319E,Q358E,Q443E; b) Q97E,Q319R,Q358E,Q443R; c) Q97E,Q319R,Q358E; d) Q97E,Q319R,Q443E; e) Q97E,Q319R,Q443R; f) Q97E,Q358R; g) Q97E,Q443E; h) Q319R,Q358E,Q443E;または i) Q319R,Q358R,Q443E、ただし、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
- 請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物、または、SEQ ID NO:1,2,6,7,8,9,10,11,12,15,16からなる群から選択されたアミノ酸配列からなる親AmyS−様アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列に対し少なくとも95%相同のアミノ酸配列を有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換S242Qを有するとともに、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有し、当該参照アミラーゼがSEQ ID NO: 1または2のアミノ酸配列からなるものである、少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体、を含む洗剤用または洗浄剤用処方品。
- 織布工程からの織物のデサイジング方法であって、請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物、または親AmyS−様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%相同のアミノ酸配列を有するとともに、参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換S242Qを有し、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有するアルファ−アミラーゼ変異体と、織物とを、織物からサイジング剤の少なくとも一部が除去される条件及び時間接触させる工程を含む、デサイジング方法であり、当該親AmyS−様アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1,2,6,7,8,9,10,11,12,15、16からなる群から選択され,当該参照アルファ−アミラーゼは、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列からなるアミラーゼである、方法。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が、前記親AmyS様アルファ−アミラーゼまたは前記参照アルファ−アミラーゼと比較して下記の性質の1以上が改変されている、請求項15に記載のデサイジング方法:(a)正味電荷、(b)基質特異性、(c)基質分解性、(d)基質結合性、(e)熱安定性、(f)1以上のpH域における活性、(g)1以上のpH域における安定性、(h)酸化環境下での安定性、(i)Ca2+要求性、(j)比活性度、(k)触媒反応速度、(1)触媒効率、(m)キレート剤存在下での活性、(n)キレート剤存在下での熱またはpH安定性、(o)デサイジング効果、(p)タンパク質発現系における発現量。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が次の位置における置換を1以上備える、請求項15に記載のデサイジング方法:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン、ただし、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、方法。
- 洗濯または洗浄方法であって、親AmyS−様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%相同のアミノ酸配列を有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換S242Qを有するとともに検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有するアルファ−アミラーゼ変異体を含む組成物、または請求項14に記載の洗剤用処方品と、洗濯または洗浄される1以上の物品とを、当該1以上の物品の少なくとも一部が洗濯または洗浄され得る条件及び時間において接触させる工程を含み、当該、親AmyS−様アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1,2,6,7,8,9,10,11,12,15、16からなる群から選択され,当該参照アルファ−アミラーゼは、SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列からなるアミラーゼである、洗濯または洗浄方法。
- 少なくとも1の物品が少なくとも1の澱粉含有物質で汚されており、この澱粉汚れの除去がアルファ−アミラーゼ変異体によって促進される、請求項18に記載の洗濯または洗浄方法。
- 前記組成物に、別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の1以上がさらに含まれる、請求項18に記載の洗濯または洗浄方法。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が、前記親AmyS−様アルファ−アミラーゼと比較して8より高いpHでの洗浄性能が改善されている、請求項19に記載の洗濯または洗浄方法。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が次の位置における置換を1以上備える、請求項18に記載の洗濯または洗浄方法:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン、ただし、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、方法。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が次の組み合わされた置換のいずれかを有する、請求項22に記載の洗濯または洗浄方法:a)Q97E,Q319E,Q358E,Q443E; b)Q97E,Q319R,Q358E,Q443R; c)Q97E,Q319R,Q358E; d)Q97E,Q319R,Q443E; e)Q97E,Q319R,Q443R; f)Q97E,Q358R; g)Q97E,Q443E; h)Q319R,Q358E,Q443E;または i)Q319R,Q358R,Q443E、ただし、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、方法。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が位置F178, R179, G180, l181, G182またはK183 に1以上のアミノ酸欠失を有する、請求項18に記載の洗濯または洗浄方法であり、当該位置は、請求項1に記載された参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列の上記番号の位置に相当する位置である、組成物。
- 前記アルファ−アミラーゼ変異体が改変された金属イオン依存性、カルシウム無添加時における改変された活性または安定性、またはキレート剤存在下での改変された活性をまたは安定性有する、請求項24に記載の洗濯または洗浄方法。
- a)親AmyS−様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%相同のアミノ酸配列を有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換S242Qを有するとともに検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体、または請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物であって、当該親AmyS−様アルファ−アミラーゼのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1,2,6,7,8,9,10,11,12,15、16からなる群から選択され,当該参照アルファ−アミラーゼは、SEQ ID NO:1または2からなるアミラーゼである組成物と、
b)別の酵素、洗剤、界面活性剤、キレート剤、酸化剤、酸性化剤、アルカリ化剤、過酸化物源、水硬化剤、塩、洗剤複合化剤、ポリマー、安定化剤、及び衣類柔軟剤の内の少なくとも1つ、
とを含むキットであって、
当該キットは織物のデサイジング、または澱粉含有物質で汚された一以上の物品を洗濯または洗浄するために使用されるものである、キット。 - さらに、前記キットを織物のデサイジング、または澱粉含有物質で汚された1以上の物品を洗濯または洗浄する際の取扱説明書が含まれている、請求項26に記載のキット。
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