JP5898108B2 - 改変された性質を有するアルファ−アミラーゼ - Google Patents
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Description
<配列表>
添付の配列番号:1〜31(SEQID NO: 1〜31)からなる配列表の全てを、参照として本願に組み込む。
正味電荷、基質特異性、基質分解性、基質結合性、熱安定性、1以上のpH域における活性、1以上のpH域における安定性[例えば特定のpH(例えば低pH (例えばpH < 6、特にpH < 5)または高pH (例えば pH > 9)]における安定性の改善、酸化環境下での安定性、金属イオン要求性[例えばCa2+依存性、またはCa2+要求性]、比活性度、触媒反応速度、触媒効率、フィチン酸または他のフィターゼの存在下での活性(すなわちフィターゼによる阻害に対する感受性)、フィチン酸存在下での熱またはpH安定性、液状化テストにおけるピーク粘度に対する影響力、液状化テストにおける最終粘度に対する影響力、その他の対象とする性質。
例えば、1以上の改変により、AmyS様アルファ−アミラーゼ等の親α-アミラーゼと比較して、低減されたCa2+依存性、および/または、改変されたpH/活性依存性(プロファイル)、および/または、改変された熱安定性を有する変異体が得られる。
a) 次に挙げる位置における1以上の置換:アミノ酸位置349のシステイン、アミノ酸位置428 のシステイン、アミノ酸位置97のグルタミン酸、アミノ酸位置97のアルギニン、アミノ酸位置319のグルタミン酸、アミノ酸位置319のアルギニン、アミノ酸位置358のグルタミン酸、アミノ酸位置358のアルギニン、アミノ酸位置443のグルタミン酸、アミノ酸位置443のアルギニン;
b) アミノ酸位置97, 319, 349, 358, 428, または443に対応するアミノ酸位置の内の1以上におけるその他の配列修飾;
c) 位置F178, R179, G180, I181, G182, またはK183,またはこれらのペアのアミノ酸位置の内の1以上における欠失;
d) アミノ酸位置178, 179, 180, 181, 182, または183の内の1以上におけるその他の配列修飾;
e) N193F置換または V416G置換、または両置換;
f) アミノ酸位置193または 416、または両者におけるその他の配列修飾;
g) 修飾されたアルファ−アミラーゼ変異体の一部に存在するプロリン残基の内の1以上におけるアラニン、グリシン、セリン、スレオニン、バリンまたはロイシン残基による置換;
h) 修飾されたアルファ−アミラーゼ変異体の一部に存在するプロリン残基の内の1以上における別の天然由来アミノ酸残基による置換;
i) 親アルファ−アミラーゼ中に存在するシステイン残基の内の1以上におけるセリン、アラニン、スレオニン、グリシン、バリンまたはロイシン残基による置換;
j) 親アルファ−アミラーゼ中に存在するシステイン残基の内の1以上における別の天然由来アミノ酸残基による置換;
k) ここで、配列番号:7を番号付与の参照アミラーゼとして、以下の突然変異M15T,L, M15X, V128E, V128X, H133Y, H133X, N188S,T,P, N188X, M197T,L, M197X, A209V, A209X, M197T/W138F, M197T/138Y, M15T/H133Y/N188S, M15N128E/H133Y/N188S, E119C/S130C, D124C/R127C, H133Y/T149I, G475R, H133Y/S187D または H133Y/A209V;
l) 配列番号:7を参照アミラーゼとして、位置M15, V128, A111, H133, W138, T149, M197, N188, A209, A210, H405, T412の1以上におけるその他の修飾;
m) 親アルファ−アミラーゼが配列番号:7を含み、1以上のシステイン残基(C363)の欠失または置換、または、配列番号:2が参照アミラーゼのとき、位置M8, M9, M96, M200, M206, M284, M307, M311, M316 及び M438にあるメチオニン残基の欠失または置換;
n) 配列番号:1または2が参照アミラーゼのとき、P17, D19, T21, N28, S51, G72, V74, A82, Q86, Q89, A93, G95, Q97, Wl15, D117, P123, S124, D125, N127, I130, G132, Q135, P145, G146, G148, S153, Y159, W166, S169, K171, R179, G180, I181, G182, K183, Wl87, P209, N224, S242, P245, G256, D269, N271, T278, N281, G302, A304, R308, T321, Q358, P378, S382, K383, T398, H405, T417, E418, P420, G421, P432, W437, G446, G454, S457, T459, T461, S464, G474または R483に対応するアミノ酸残基の1以上における修飾;または
o) 次のいずれかの置換の集合a) Q97E, Q319E, Q358E, Q443E; b) Q97E, Q319R, Q358E, Q443R; c) Q97E, Q319R, Q358E; d) Q97E, Q319R, Q443E; e) Q97E, Q319R, Q443R; f) Q97E, Q358R; g) Q97E, Q443E; h) Q319R, Q358E, Q443E; またはi) Q319R, Q358R, Q443E。
S242Q, またはS242T変異体のいずれかである。
いくつかの実施形態では、アミノ酸残基の番号付与に用いられる参照アルファ−アミラーゼは、好ましくは配列番号:1または2である。
NO:3, 4, 16, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, または30、のいずれかをコードするコード配列を含む核酸、すなわちポリヌクレオチドが提供される。
また、このポリヌクレオチドを含むベクター及び宿主細胞、またはベクターが提供される。
S242Q, または
S242T変異体のいずれかである。
また、アルファ−アミラーゼ変異体は、次の位置における置換を1以上備える:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン。
ひとつの実施形態に係る組成物には、配列番号:2に対し少なくとも95%の相同性を有し、アミノ酸配列 配列番号:1から成る参照アルファ−アミラーゼの位置番号242に相当する位置にアミノ酸置換を有するアルファ−アミラーゼ変異体が含まれる。上記のように、親AmyS様アルファ−アミラーゼは、好ましくは配列番号:1, 2, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15,または16を備える。
S242Q, またはS242T変異体である。
ひとつの実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体はさらに、参照アルファ−アミラーゼのアミノ酸位置7, 179, 180, 193, 319, 349, 358, 416, 428, または443に対応するアミノ酸位置の1以上に配列修飾を有する。
アルファ−アミラーゼ変異体は、次の位置における置換を1以上備える:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン。
ひとつの実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体には、例えばN193F置換またはV416G置換、またはこの両置換のように、N193置換またはV416置換、またはこの両置換を有する。
別の実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体は位置179及び180にアミノ酸欠失を有する。
ひとつの実施形態では、澱粉にフィターゼを添加しない方法と比較した場合、フィターゼを用いることによりアルファ−アミラーゼ変異体の熱安定性を増加させることができる。ひとつの実施形態では、澱粉スラリーに添加する前に、フィターゼとアルファ−アミラーゼ変異体を単一のブレンド物とする。
別の実施形態では、フィターゼは配列番号:31のアミノ酸配列を備える。
この方法にはさらに、液状化された澱粉を糖化して発酵性糖とする工程と、この発酵性糖を回収する工程とが含まれる。いくつかの実施形態では、この方法にはさらに発酵性糖を適切な発酵条件下で発酵させて、アルコール等の最終製品を得る工程が含まれる。
いくつかの実施形態では、酵素組成物には少なくとも1のアルファ−アミラーゼとフィターゼとが含まれる。いくつかの実施形態では、酵素組成物はブレンド物である。別の側面では、本願は澱粉基質を発酵させる方法に関し、この方法にはアルファ−アミラーゼとフィターゼを同時または別々に添加することが含まれる。別の側面では、酵素組成物で処理された澱粉基質を発酵させて、アルコールを得ることができる。
フィチン酸加水分解酵素には、細菌性フィターゼまたは菌性フィターゼを用いることができる。菌性フィターゼには、アスペルギルス(Aspergillus)フィターゼや、ブチアウクセラ(Buttiauxella)フィターゼを用いることができる。いくつかの実施形態では、細菌性フィターゼは大腸菌に由来する。
a) 澱粉含有スラリーと、この澱粉から発酵性基質を生成させるために十分な量の少なくとも1のフィターゼ及び少なくとも1のアルファ−アミラーゼとを接触させる工程であって、フィターゼとアルファ−アミラーゼとを同時、ほぼ同時または任意の順序で別々に接触させ、アルファ−アミラーゼは親AmyS様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%の同一性を有するアミラーゼ変異体であって参照アルファ−アミラーゼの位置242に相当するアミノ酸位置に置換を備え、このアミラーゼ変異体は検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を示す工程と、
b) フィターゼとアルファ−アミラーゼが活性化される条件下で、発酵性基質を生成させるために必要な時間澱粉スラリーをインキュベートする工程であって、アミラーゼより先にフィターゼを接触させる場合、アミラーゼとスラリーとを接触させる前に、澱粉スラリーを糊化温度より約0から30℃低い温度でインキュベートし、次いで澱粉を加水分解するために必要な時間、温度を糊化温度より高くする工程とが含まれる。
アルファ−アミラーゼ変異体は、好ましくはS242A, S242D, S242E, S242F, S242G, S242H, S242L, S242M, S242N, S242Q, またはS242Tアルファ−アミラーゼ変異体のいずれかである。
いくつかの実施形態では、発酵性糖を回収し、精製または異性化する。別の実施形態では、フィターゼを液状化工程の前に添加する。また別の実施形態では、アルファ−アミラーゼをフィターゼとともに添加する。さらに別の実施形態では、液状化工程において第2のアルファ−アミラーゼを添加する。
この方法は、澱粉含有材料または澱粉と、少なくとも1の本願のアルファ−アミラーゼ変異体を含む組成物とを、アルファ−アミラーゼが検出可能な活性を示す条件下において接触させる工程が含まれ、アミラーゼ変異体は本願に開示するいずれかのアミラーゼ変異体であり、澱粉は少なくともその一部がアミラーゼ変異体により分解される。
好ましい実施形態では、アルファ−アミラーゼ変異体はS242A, S242D, S242E, S242F, S242G, S242H, S242L, S242M, S242N,
S242Q, またはS242T変異アルファ−アミラーゼのいずれかである。
これらの方法は、澱粉分解、液状化、発酵、アルコール製造、甘味料製造、発酵性基質製造、洗浄、洗濯、汚染除去、または製パン等のプロセスの一部において好適に使用することができる。
本願では以下の略号と定義を用いる。本願で用いる「1つの」及び「この」等の単数形には、特に断りのない限り複数形も含まれる。
従って、例えば「1のポリペプチド」と言うときは複数の同様のポリペプチドも含まれ、「その処方」と言うときは当業者に公知の同等の処方を含め、1以上の処方が含まれる。
特に断りの無い限り、以下の略号を用いる。
AATCC; 米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of
Textile Chemists and Colorists)
ADW; 自動食器洗浄機
AE; アルコールエトキシレート
AEO; アルコールエトキシレート
AEOS; アルコールエトキシ硫酸塩
AES; アルコールエトキシ硫酸塩
AFAU; 酸性菌類アルファ−アミラーゼ単位
AGU; グルコアミラーゼ活性単位
AOS; α−オレフィンスルホン酸塩
AS; アルキル硫酸塩
BAA; 細菌性アルファ−アミラーゼ
℃;
摂氏
CCL; 組み合わせ電荷ライブラリー
cDNA; 相補DNA
CMC; カルボキシメチルセルロース
dE; CIE-LAB色空間による全色差
dH2O; 脱イオン水
dIH2O; 脱イオン水、Milli-Q濾過水
DE; デキストロース当量 (Dextrose Equivalent)
DNA; デオキシリボ核酸
dNTP; デオキシリボ核酸三リン酸塩
DO; 溶解酸素
DP3; 3個のサブユニットの重合度
DPn; n個のサブユニットの重合度
DS;(またはds); 乾燥固形成分
DSC; 示差走査熱量測定
DTMPA; ジエチルトリアミンペンタ酢酸
EC; 酵素委員会 (enzyme commission for enzyme
classification)
EDTA; エチレンジアミンテトラ酢酸
EDTMPA; エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸
EO; エチレンオキサイド
eq; 当量
ETOH; エタノール
F&HC; 衣類・日用品ケア剤 (fabric and
household care)
FTU; 「フィターゼ」単位、フィチン酸塩加水分解単位
g (またはgm); グラム
GAU; グルコアミラーゼ単位
gpg; グレイン/ガロン (grains per gallon)
g/l; グラム/リットル
Genencor;
Danisco US Inc社, Genencor Division, Palo Alto, CA
H2O; 水
HDG; ヘビーデューティ顆粒洗剤
HDL; ヘビーデューティ液体洗剤
HFCS; 高フラクトースコーンシロップ
HFSS; 高フラクトース澱粉ベースシロップ
HPAEC-PAD; アンペロメトリック検出器付高性能アニオン交換クロマトグラフィー
hr; 時間
IKA; IKA Works
Inc.社 2635
North Chase Parkway SE, Wilmington, NC
IPTG; イソプロピルβ-D-チオガラクトシド
JPN; 日本
kg; キログラム
LA; ルリア寒天 (Luria Agar)
LAS; 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
LB; ルリア培地 (Luria Broth)
LU; リパーゼ単位
M; モル
MBD培地; MOPSベース既知組成培地
MES; 2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸
mg; ミリグラム
min; 分
mL (またはml); ミリリトル
mm; ミリメートル
mM; ミリモル
MOPS; 3-(N-モルフォリノ)-プロパンスルホン酸
MW; 分子量
NA; 北米
Ncm; ニュートンセンチメートル
NEO; ネオマイシン
ng; ナノグラム
nm; ナノメータ
NOBS; ノナノニルオキシベンゼンスルホネート
N; 規定 (Normal)
NTA; ニトリロトリ酢酸
PAHBAH; p-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジン
PCR; ポリメラーゼ連鎖反応
PEG; ポリエチレングリコール
pi; 等電点
ppm; 百万分の一
PVA; ポリビニルアルコール
PVP; ポリビニルピロリドン
RAU; 参照アミラーゼ単位
RMS; 二乗平均平方根
RNA; リボ核酸
rpm; 毎分回転数
SAPU; 分光光度分析酸性プロテアーゼ単位
SAS; 二級アルカンスルホネート
IX SSC; 0.15M
NaCl, 0.015Mクエン酸ナトリウム, pH 7.
sec; 秒
%SRI; パーセント汚染除去指数
SSF; 同時糖化発酵
TAED; テトラアセチルエチレンジアミン
Tm; タンパク質の融点またはDSC測定カーブの熱中央値
TNBS; トリニトロベンゼンスルホン酸
μg; マイクログラム
μl, (μL); マイクロリットル
μNm; マイクロニュートンメートル
μm; マイクロメートル
μM; マイクロモル
U; 単位
V/V; 容積/容積
WE; 西ヨーロッパ
wt%; 重量パーセント
w/v (またはW/V); 質量/体積 (weight/volume)
w/w (またはW/w); 質量/質量 (weight/weight)
Wt; 野生型
幾つかの側面では、本発明は遺伝子工学及び分子生物学の分野において日常的に用いられている技術を用いる。以下の文献に、本願で用いる方法が記載されている。
Sambrook et al, MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL (2nd Ed., 1989);
Kreigler, GENE TRANSFER AND EXPRESSION; A LABORATORY MANUAL (1990) and Ausubel
et al, Eds. CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (1994)。
2D ED., John Wiley and Sons, New York (1994) 及び THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY,
Harper Perennial, NY (1991)は、本発明の技術分野の当業者が用いる、あるいは本願において多く用いられている用語の一般的な辞書である。本明細書で述べられているのと同じか、あるいは類似の種々の方法及び物質を本発明の実施に用いることができる。本明細書中では特定の好ましい方法及び物質にのみ言及する。
(Xは任意の数)で表わされ、アミロースおよび/またはアミロペクチンから成る複合多糖から成る炭水化物化合物を意味する。
好ましくは、澱粉とは植物中に存在する天然の炭化水素を意味し、植物の非限定的例示として穀物、草、塊茎、根茎が挙げられ、より詳しくは、小麦、大麦、トウモロコシ、ライ麦、米、ソルガム、キャッサバ、キビ、ジャガイモ、サツマイモ、及びタピオカに由来する。
また、澱粉というときは、酵素評価用の検出可能な基質として化学修飾された澱粉、あるいは使用時の性質を改良するために化学的または酵素的に修飾された澱粉等の、合成澱粉または修飾された澱粉も意味する。
フィターゼの活性はフィターゼ単位(FTUまたはU)として定義され、1 FTUは、pH 5.5、37℃の0.0015 mol/lフィチン酸ナトリウム塩から、無機リンを1分間に1マイクロモル放出させることができる酵素の量と定義される。この定義はフィターゼの定量に有用であり、活性測定のシンプルな基準である。
イーストのフィチン酸塩分解酵素 (例えばシュワニオミセス・オクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、
ピチア・アノマラ(Pichia
anomala)、アークスラ・アデニニボラン(Arxula adeninivorans))、グラム陰性菌のフィチン酸塩分解酵素 (例えば 大腸菌、シュードモナス(Pseudomonas)種、 クレブシエラ(Klebsiella)種)、グラム陽性菌のフィチン酸塩分解酵素 (例えばバスラス種)が同定され分析されている。多くの植物由来のフィターゼ、及びペニシリウム(Penicillium)種、アスペルギルス(Aspergillus) 種、トリコデルマ( Trichoderma) 種、ムコール・ピリホルミス(Mucor piriformis)、クラドスポリウム(Cladosporium)種等の糸状菌由来のフィターゼも知られている。加水分解の開始部位に応じて、3-フィターゼ(EC 3.1.3.8)と6-フィターゼ(EC 3.1.3.26)に分類される。また、フィターゼは「最適」pHに基づき「酸性」(最適pH約5)及び「アルカリ性」(最適pH約9) に分類されている。ROVABIO (Genencor
International社)等の多種類のフィターゼが市販されている。
一般に、アルファ-アミラーゼ(EC 3.2.1.1;
(α-D-(1→4)-グルカングルカノヒドロラーゼ)は、澱粉中のα-D-(l→4) O-グリコサイド結合をランダムに切断するエンド型酵素と定義される。
これに対し、β-アミラーゼ(EC3.2.1.2; α-D-(l→4)-グルカンマルトヒドロラーゼ)や、マルトゲン性α-アミラーゼ(EC 3.2.1.133)のようないくつかの生成物特異的アミラーゼ等のエクソ型澱粉分解酵素は、基質の非還元末端から澱粉分子を切断する。β-アミラーゼ、α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20; α-D-グルコシドグルコヒドロラーゼ)、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3; α-D-(l→4)-グルカングルコヒドロラーゼ)、及び生成物特異的アミラーゼは、澱粉から特定の鎖長のマルトオリゴ糖を産出することができる。
本願では、バスラス・ステアロサーモフィリス由来の野生型アルファ−アミラーゼ、または「AmyS」アミラーゼをXTRA またはSPEZYME XTRAと呼ぶことがある。XTRAとSPEZYME XTRAはGenencor International社から入手可能な市販のAmySである。
ゲオバシラス・ステアロサーモフィリス由来アルファ−アミラーゼは、アミノ酸レベルでは、本願の配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するアルファ−アミラーゼと実質的に同一である。Spezyme XtraはDanisco US Inc社, Genencor Divisionから市販されている。ゲオバシラス・ステアロサーモフィリスは、文献ではバシラス・ステアロサーモフィリスと記載されている場合があり、本願では両者を同義で用いる。
本願に配列番号:1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16として示すアミノ酸配列のいずれかを有するアルファ−アミラーゼは全てAmyS様アルファ−アミラーゼであると言え、従って親アルファ−アミラーゼに適している。
i) 配列番号: 1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16に示すアミノ酸配列の少なくともいずれか1に対し、相同性(同一性)を少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%有するアルファ−アミラーゼ、および/または
ii) 上記の特異的アルファ−アミラーゼのいずれかをコードするDNA配列とハイブリダイズされたDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼ、または 本願の配列番号: 1, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 15 及び16に示すアミノ酸配列をコードするWO 06/002643の配列番号: 9 (BAN), 5 (BSG), 3 (SP722), 1 (SP690), 7 (LAT), 11 (AA560)に示されたDNA配列、または本願の明細書から明らかなDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼが含まれる。
市販のAmyS様アルファ−アミラーゼは、次の商品名で販売されている商品に含まれている。SpezymeTM AA 及び ULTRAPHLOW (Danisco US Inc社, Genencor Divisionから入手可能)、及びKeistase TM (Daiwa社から入手可能) 、及びLIQUEZYME SC (Novozymes社, Denmarkから入手可能)。
後述のセクション1.5で、AmyS様アルファ−アミラーゼについてさらに説明する。後述するTable
Aに有用なAmyS様アルファ−アミラーゼのリストと、アミノ酸配列同士を比較する有用な方法を示す。
当業者であれば、本願の酵素としての使用可能性を判断するために、他のアルファ−アミラーゼについて同様の表を作成できることを理解できよう。
核酸変異体には、本願に開示するヌクレオチド配列にハイブリダイズ可能な相補的な配列が含まれる。例えば、本願の変異体核酸配列は、ストリンジェントな条件下(例えば 50℃で0.2X SSC { IX SSC = 0.15 M
NaCl, 0.015 Mクエン酸ナトリウム、pH 7.0})で本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列と少なくとも一部相補的であってもよい。好ましくは、変異体には、高度にストリンジェントな条件下(例えば 65℃で0.1X SSC)で、本願に開示するヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能な配列に相補的な配列が含まれる。
または、熱安定性が高い酵素は、示差走査熱量測定を用いて参照酵素と比較したとき、より高い熱容量を示す。
酵素活性に関しては、「pH安定性」とは酵素が特定のpH、または特定のpH範囲において触媒活性を保持していることを意味する。
タンパク質コンフォメーションに関しては、あるpHにおいてタンパク質が不可逆的に変成されていないとき、その酵素は安定であると見なす。このような場合、その酵素が触媒活性を示すことができるpHに戻されたとき、再び触媒として作用する。
pH安定性という用語を、例えば参照酵素と対比する等、相対比較の意味で用いることもある。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体の方が野生型B. リケニホルミスアルファ−アミラーゼよりも高活性である場合、例えば両者を所与のpH、またはpHを含め同一条件で比較したとき、本願のアルファ−アミラーゼ変異体の方が野生型B. リケニホルミスアルファ−アミラーゼよりもpH安定性が高い。
一般に、問題となるpH値はその酵素を実際に使用するときのpH値、またはその酵素が本来有する酵素活性を保持可能なpHの限界値またはその近傍のpH値である。
vitroの実験で有用なヌクレオチド配列を意味し、あるいは、1以上の細胞型へ核酸を導入するとき有用なヌクレオチド配列を意味する。ベクターには、クローン化ベクター、in vivo またはin vitroでの発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージミド、コスミド、ファージ粒子、カセット等が含まれる。
このアライメント及び相同性または同一性パーセントは、例えばCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel et al. (eds)
1987, Supplement 30, section 7.7.18) に記載されているような、公知のソフトウエアプログラムを用いて評価することができる。このようなプログラムにはGCG Pileupプログラム、FASTA (Pearson et al. (1988) Proc. Natl, Acad. Sci USA 85: 2444- 2448)、及びBLAST (BLAST
Manual, Altschul et al. , Natl Cent. Biotechnol. Inf., Natl Lib. Med. (NCIB NLM
NIH), Bethesda, Md., and Altschul et al, (1997) NAR 25:3389- 3402)が含まれている。また別のアライメントプログラムは、初期パラメータを用いるALIGN Plus (Scientific and Educational Software, PA)である。また別の有用な配列解析プログラムはSequence
Software Package Version 6.0 (Genetics Computer Group, University of Wisconsin,
Madison, WI)に含まれているTFASTA Data Searching Programである。
核酸は一本鎖の形態のとき他の核酸配列とハイブリダイズすることができ、適切な温度及び溶液イオン強度の条件化で他の核酸配列とアニールすることができる。ハイブリッド形成条件及び洗浄条件は公知である。(例えば上記のSambrook (1989), 特に第9章及び11章参照) いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件は、Tm65℃, 0.1×SSC, 0.1% SDSである。
選択可能マーカーの非限定的例示として、抗生物質(例えばハイグロマイシン、ブレオマイシン、またはクロラムフェニコール)に対する耐性を改変する遺伝子、および/または、例えば唯一の炭水化物を栄養源とする特定の基質上で成長するように宿主細胞に栄養的選択性を賦与する等の、代謝選択性を賦与する遺伝子が挙げられる。
Collectionを意味する。
「NRRL」はPeoria, IllにあるAgricultural Research
Service Culture Collection, National Center for Agricultural Utilization
Researchを意味する。(以前の名称はUSDA Northern Regional Research Laboratoryであった。)
本願の英文明細書では、タンパク質とそのタンパク質をコードする遺伝子を記述するとき、慣例により遺伝子をイタリック体で表記する。(例えばamyL (B.リケニホルミスAA)をコードする遺伝子はamyLと表記する。)タンパク質はイタリック体で表記せず、最初の文字を大文字で表記することがある。(例えばamyL遺伝子でコードされたタンパク質は、AmyLまたはamyLと表記する。)特に断りのない限り、核酸は左から右に向かって5'から3'方向に記載し、アミノ酸配列は左から右に向かってアミノ基からカルボキシル基方向に記載に記載する。
本願では、アミノ酸残基の命名に従来用いられている1文字及び3文字のコードを用いる。分かり易くするため、アルファ−アミラーゼ変異体の表記には以下に示す命名法を用いる。
元のアミノ酸:位置:置換アミノ酸
Ser242Ala または
S242A
位置30のアラニンの欠失は次のように表記する:
Ala30* または
A30* または ΔA30
リジン等のアミノ酸残基の挿入は次のように表記する:
Ala30AlaLys または A30AK
(30-33)* または
Δ(A30-N33)
*36Asp または
*36D
Ala30Asp+Glu34Ser または A30N+E34S
A30N,E あるいは、A3ON
または A3OE
R, N, D, A, C, Q, E, G, H, I, L, K, M, F, P, S, T, W, Y, V。
さらに、「A30X」は下記の置換のいずれかであることを意味する。
A30R, A30N, A30D, A30C, A30Q, A30E, A30G, A30H, A30I, A30L, A30K, A30M, A30F,
A30P, A30S, A30T, A30W, A30Y, or A30 V; または短縮して次のように表記する:
A30R,N,D,C,Q,E,G,H,I,L,K,M,F,P,S,T,W,Y,V.
上記の番号付与に用いた親酵素が、置換用として示されたアミノ酸残基を上記の指定位置に既に備えている場合には、次のように表記する:
例えば、野生型にNまたはVが存在する場合、「X30N」または 「X30N,V」
これは、他の対応する親酵素は、位置30において「Asn」または「Val」で置換されることを示す。
[荷電アミノ酸]
Asp, Glu, Arg, Lys, His
[負荷電アミノ酸](負荷電の最も強いものが最初)
Asp, Glu
[正荷電アミノ酸](正荷電の最も強いものが最初)
Arg, Lys, His
[中性アミノ酸]
Gly, Ala, Val, Leu, lie, Phe, Tyr, Trp, Met, Cys, Asn, Gln, Ser, Thr, Pro
[疎水性アミノ酸](疎水性の最も強いものが最後)
Gly, Ala, Val, Pro, Met, Leu, lie, Tyr, Phe, Trp,
[親水性アミノ酸](親水性の最も強いものが最後)
Thr, Ser, Cys, Gln, Asn
4.1 種々のアルファ−アミラーゼのアミノ酸
バシラス種により産出される多くのアルファ−アミラーゼはアミノ酸レベルでの相同性(同一性)が高く、本願の親酵素として有用である。公知のバシラスアルファ−アミラーゼ相互間の同一性パーセント(アミノ酸配列基準)を下記のTABLE Aに示す。
例えば、B. リケニホルミスのアルファ−アミラーゼ(LAT)(配列番号: 7)とB. アミロリケファシエンスのアルファ−アミラーゼ(配列番号: 9)との相同性は約81%であり、G. ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼ(BSG) (配列番号: 1) との相同性は約65%であることが知られている。
さらに、SP690 及び SP722を含む相同アルファ−アミラーゼがWO 95/26397に開示されている。また、Tsukamotoらのバシラス種(配列番号:6)由来の#707アルファ−アミラーゼ(Tsukamoto et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 151 (1988), pp. 25-31)が知られている。WO 97/00324(KAO Corporation)にKSM AP1378アルファ−アミラーゼが開示されている。
上記のAmyS-様アミラーゼを親アルファ−アミラーゼとして用いることができる。好ましい実施形態では、親アルファ−アミラーゼは、例えば上記のSEQ ID NO:1 または2のアミノ酸配列を有するG. ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼのように、G. ステアロサーモフィリスから誘導されたものである。
親アルファ−アミラーゼ(すなわちバックボーン・アルファ−アミラーゼ)はハイブリッドアルファ−アミラーゼでもよい。すなわち、少なくとも2のアルファ−アミラーゼから誘導されたアミノ酸配列の組合せから成るアルファ−アミラーゼでもよい。
または、少なくとも1のAmyS-様アミラーゼ及び少なくとも1の細菌性非AmyS-様アミラーゼから誘導された複数のアミノ酸配列の一部同士の組合せから成る。または、少なくとも1のAmyS-様アミラーゼ及び少なくとも1の菌性非AmyS-様アミラーゼから誘導された複数のアミノ酸配列の一部同士の組合せから成る。アミノ酸配列の一部が誘導されるAmyS-様アミラーゼは、本願の特異的AmyS-様アミラーゼのいずれかである。
相同性とは、2つの配列の間の関係について、例えば1の配列が他の配列から派生したこと、またはその逆であることを示唆する、2つの配列の間の同一性の程度と定義することができる。相同性は目視による比較または計算で求めることができる。より便利な方法は、GCGプログラムパッケージ(上記)に含まれているGAP等の公知のコンピュータプログラムを用いることである。
すなわち、Gap GCG
v8を、同一性についての初期スコアリング・マトリックス、及び以下の初期パラメータを設定して用いる:核酸配列、及び配列比較についてそれぞれGAPクリエーション・ペナルティ5.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.3、タンパク質配列比較についてGAPクリエーション・ペナルティ3.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.1。GAPでは、アライメントと同一性の計算に、Needlemanと Wunschの方法を用いている。(Needleman and Wunsch, (1970), J. MoI. Biol. 48: 443-453)
この構造のアライメントを行う1つの方法は、GCGパッケージに含まれるPile Upプログラムを、初期設定値をGAPクリエーション・ペナルティ3.0、及びGAPエクステンション・ペナルティ0.1に設定して用いることである。アライメントを行う別の方法には、疎水性クラスター分析法(Gaboriaud et al. , FEBS Lett. 224: 149- 155, 1987)や、逆ステッディング法(Huber, T; Torda, AE, Protein Sci. 7(1): 142-149, 1998)等がある。
上記のAmyS-様アルファ−アミラーゼの解析に用いるオリゴヌクレオチドプローブは、対象とするアルファ−アミラーゼのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の全部または一部に基づいて調製することができる。
Cold Spring Harbor, 1989に記載されている。
すなわち、「から誘導された」という用語は、合成および/またはcDNA起源のDNA配列でコードされたアルファ−アミラーゼであって、対象とするアルファ−アミラーゼの特性を備えるアルファ−アミラーゼを意味する。
また、この用語は親アルファ−アミラーゼが天然アルファ−アミラーゼの変異体であること、すなわち天然アルファ−アミラーゼの1以上のアミノ酸残基を修飾(挿入、置換、欠失)して得られた変異体であることを意味する。
ひとつの実施形態では、本願のアルファ−アミラーゼ変異体は上記の修飾に加え、1以上の修飾を有する。すなわち、修飾されたアルファ−アミラーゼ変異体の一部の1以上のプロリン残基(Pro)が、天然の非プロリン残基のいずれかで置き換えられていることが好ましく、この非プロリン残基はアラニン、グリシン、セリン、スレオニン、バリン、またはロイシンのいずれかであることが好ましい。
このような修飾の2以上をアルファ−アミラーゼ変異体に導入することができる。
M15, V128, A111, H133, W138, T149, M197, N188, A209, A210, H405, T412。
特に、以下の一重、二重、三重、または多重突然変異が好ましい。
M15X,特にM15T,L;
V128X,特にV128E;
H133X,特にHl33Y;
N188X,特にN188S,T,P;
M197X,特にM197T,L;
A209X,特にA209V;
M197T/W138F; M197T/138Y; M15T/H133Y/N188S;
M15N128E/H133Y/N188S; E119C/S130C; D124C/R127C; H133Y/T149I;
G475R,H133Y/S187D; H133Y/A209V.
8.1 概論
以下に、本願の変異体中の突然変異と、この突然変異により生じる所望の改変された性質(親AmyS-様アルファ−アミラーゼに対し改変された性質)との関係を説明する。
ひとつの側面では、本願は上記のような改変された性質を有するアルファ−アミラーゼ変異体に関する。
ここで、
(a) 変更点はそれぞれ独立して(i)その位置を占めるアミノ酸の下流側へのアミノ酸の挿入、(ii)その位置を占めるアミノ酸の欠失、または(iii)その位置を占めるアミノ酸の別のアミノ酸による置換であり、
(b) その変異体はアルファ−アミラーゼ活性を有し、
(c) 各アミノ酸位置が、例えばGenencor社から商品名SPEZYME XTRAとして販売されている切断されたアルファ−アミラーゼ等の、配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するG.ステアロサーモフィリス等の親アミラーゼのアミノ酸配列の位置に相当する。
S242Q, S242N 及び S242E変異体が好ましい。
I181, Gl82, 及び
K183残基をカルシウム−ナトリウム結合領域における突然変異の効果を検討するために選択し、またアルファ−へリックスの中央に位置するプロリンは独特であることからP245を選択した。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体において、改変された安定性、特に改良された安定性(すなわち増加または減少)を得る上で重要な突然変異(アミノ酸置換および欠損を含む)、特に高温度(すなわち70〜120℃)、および/または厳しいpH(すなわち低pHまたは高pH領域、すなわちそれぞれpH4.0から6.0、pH 8.0から11.0)、特に60 ppm未満のカルシウムフリー濃度(すなわち非結合、従って溶液中)において、改良された安定性を得る上で重要な突然変異には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかである。安定性は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
改変されたCa2+安定性とは、Ca2+が欠乏した条件下での酵素の安定性が改善されることを意味する。すなわち、安定性が親酵素に対し増加または減少することである。本願のアルファ−アミラーゼ変異体では、改変されたCa2+安定性、特に改良されたCa2+安定性、すなわち増加または減少した安定性を、特に高pH領域(すなわちpH8.0から10.5)において得るために重要な突然変異(アミノ酸置換及び欠失を含む)には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかが含まれる。
また別の側面では、特に10-60℃、好ましくは20-50℃、特に30-40℃において改変された比活性度、特に増加または減少した比活性度を得る上で重要な突然変異(アミノ酸置換及び欠失を含む)には、「改変された性質」に記載された突然変異のいずれかが含まれる。比活性度は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、親アルファ−アミラーゼに対し改変された酸化安定性、特に改善された酸化安定性を有することができる。増加された酸化安定性は、例えば洗剤組成物において有用であり、減少された酸化安定性は、例えば澱粉液化用の組成物において有用である。酸化安定性は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
改変されたpH特性、特に高pH(すなわちpH 8〜10.5)または低pH(すなわちpH 4〜6)における改善された活性を得るために重要なアミノ酸位置及び突然変異には、活性部位残基の近傍のアミノ酸残基の突然変異が含まれる。
好ましい特定の突然変異/置換には、上記の「改変された性質」に記載された対象とする位置に関する突然変異/置換が含まれる。改変されたpH特性はの評価方法は、下記の「測定方法」の項に記載されている。
改変された洗浄性能、特に高pH(すなわちpH 8.5〜11)における洗浄性能を得るために重要なアミノ酸位置及び突然変異には、上記の「改変された性質」に記載された対象とする位置に関する突然変異/置換が含まれる。
洗浄性能は、下記の「測定方法」の項の記載に従って評価することができる。
遺伝子に突然変異を導入する方法は、アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列をクローン化する方法として知られている。このような方法には、以下説明する、アルファ−アミラーゼをコードする配列中の特定の部位に突然変異を誘発させる方法が含まれる。
親アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列は、公知の種々の方法により、対象とするアルファ−アミラーゼを産出する細胞または微生物から分離することができる。
まず、対象とするアルファ−アミラーゼを産出する有機体由来の染色体DNAまたはメッセンジャーRNAを用いて、ゲノムDNAおよび/またはcDNAライブラリーを構築する。α−アミラーゼのアミノ酸配列が分かっている場合、相同の標識オリゴヌクレオチドプローブを合成し、これを用いて対象とする有機体から調製したゲノムライブラリーに由来するアルファ−アミラーゼをコードするクローンを特定する。
または、アミノ酸配列が分かっているα−アミラーゼ遺伝子に相同の配列を含む標識されたオリゴヌクレオチドをプローブとして用い、例えば低ストリンジェント条件のハイブリッド形成及び洗浄を用いて、アルファ−アミラーゼをコードするするクローンを特定することもできる。
(1981)に記載されたホスホルアミダイド法、またはMatthes et al. , EMBO J. 3 : 801 -895 ( 1984)に記載された方法等である。
ホスホロアミダイト法では、オリゴヌクレオチドを例えば自動DNA合成機で合成し、次に精製、アニーリング、ライゲーション、および適切なベクター中でクローニングする。
あるいは、例えば米国特許No.
4,683,202またはR.
K. Saiki et al. EMBO J. 3:801-895 (1988) に開示された特定のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってこのようなDNA配列を調製することもできる。
アルファ−アミラーゼをコードするDNA配列を単離し、突然変異させる所定の配列を特定した後、合成オリゴヌクレオチドを用いて突然変異を導入する。このようなオリゴヌクレオチドには、所定の突然変異部位に隣接するヌクレオチド配列が含まれている。突然変異ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを合成しているとき挿入する。
特定の方法では、アルファ−アミラーゼをコードする配列を橋渡しするDNAの一本鎖ギャップが、アルファ−アミラーゼ遺伝子を有するベクター中に作られる。次にこの一本鎖DNAの相同な位置に、所定の突然変異を有する合成ヌクレオチドをアニールする。残りのギャップをDNAポリメラーゼI (Klenow断片)で埋め、得られた構築体をT4リガーゼによってライゲートする。この方法の例は、Morinaga et al. Biotechnology 2:636-639 (1984)に開示されている。
米国特許No.
4,760,025には、多重突然変異をコードするするオリゴヌクレオチドを、カセットの一部を改変して導入することが開示されている。しかしMorinagaの方法によれば、様々な種類と長さのオリゴヌクレオチドを導入することができるので、さらに多様な突然変異を随時導入することができる。
96/00343 (Novo Nordisk A/S)、または対象とする置換や欠失等の突然変異を含むハイブリッド酵素が得られるその他の方法を用いることができる。
本願に開示する方法、または別の公知の方法で作られ、酵素変異体をコードするDNA配列は、適切なプロモータ、オペレータ、リボソーム結合部位、翻訳開始シグナル、及び、任意にリプレッサー遺伝子、または種々のアクティベータ遺伝子をコードする制御配列を有する発現ベクターを用いて、酵素として発現させることができる。
本願のα-アミラーゼ変異体をコードするDNA配列の転写を行なうために、特に細菌性宿主中で転写を行なうために適するプロモータの例として、大腸菌の乳糖オペロンのプロモータ、スプレプトマイセス・セリカラー・アガラーゼ(Streptomyces coelicolor agarase)遺伝子のdagAのプロモータ、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ遺伝子(amyL) のプロモータ、ゲオバシラス・ステアロサーモフィルス・マルトース生成性アミラーゼ遺伝子(amyM)のプロモータ、バシラス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α-アミラーゼ(amyQ) のプロモータ、バシラス・スブチリスxylA及びxylB遺伝子のプロモータ等が挙げられる。
菌類宿主中での転写において有用なプロモータの例として、A.オリザエ(oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、A. ニガー(niger)の中性アルファ−アミラーゼ、A. ニガーの酸安定性アルファ−アミラーゼ、A. ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイリパーゼ、A.オリザエのアルカリ性プロテアーゼ、A.オリザエのオリオースリン酸イソメラーゼ、またはA. ニジュランス(nidulans)のアセトアミダーゼ等をコードする遺伝子由来のものが挙げられる。
また、ベクターは選択マーカーを備える。選択マーカーは、例えばバシラス・スブチリス由来、またはバシラス・リケニホルミス由来のdal遺伝子のように宿主細胞の欠陥の相補体となる遺伝子、または、例えばアンピシリン耐性、カナマイシン耐性、クロラムフェニコール耐性、またはテトラサイクリン耐性等の、抗生物質耐性を賦与する遺伝子である。ベクターはさらに、amdS, argB, niaD 及びsC等のアスペルギルス選択マーカー、ハイグロマイシン耐性を高めるマーカーが含まれる。あるいは例えば、国際公開WO 91/17243に開示されているように、同時形質転換によって選択を行うこともできる。
Cold Spring Harbor, 1989参照)。
細菌の形質転換は、例えばプロトプラスト形質転換、または公知の方法でコンピテント細胞を用いて行うことができる
宿主細胞から分泌されたα-アミラーゼ変異体は、培地から公知の方法により回収することができる。この方法には、細胞を濾過または遠心分離によって培地から分離し、硫酸アンモニウム等の塩で培地中の蛋白性物質を沈殿させ、次にイオン交換や、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフを行なうことが含まれる。
9.4.1 フィルタースクリーニング評価
以下の評価方法を用いて、高pHまたは低pH、および/またはCa2+が欠乏した条件下で、親酵素及びAmyS様アルファ−アミラーゼとの比較において改変された安定性を示すAmyS様アルファ−アミラーゼ変異体のスクリーニングを行うことができる。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、10マイクログラム/mlカナマイシンを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 8.6-10.6のグリシン-NaOH緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、室温で2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回スクリーニングを繰り返す。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、関連性の有る抗菌薬、例えばカナマイシンまたはクロラムフェニコールを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 8.5〜10の炭酸塩/重炭酸塩緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、室温で2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回スクリーニングを繰り返す。
バシラスのライブラリーをセルロースアセテートフィルター(OE 67, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany) のサンドイッチに塗布し、また37℃において少なくとも21時間、10マイクログラム/mlクロラムフェニコールを含むTY寒天プレート上のニトロセルロースフィルター(Protran-Ba 85, Schleicher & Schuell, Dassel, Germany)上に塗布する。セルロースアセテート層をTY寒天プレートの上に位置させる。
コロニーを有するセルロースアセテートフィルターは、使用するまでの間、室温においてTY-プレート上で保管する。
インキュベートした後の残留活性を、pH 6.0のクエン酸緩衝液中で、1%アガロース及び0.2% 澱粉を含むプレート上で評価する。ニトロセルロースフィルターの評価用プレートも、フィルターサンドイッチと同様にして印を付け、50℃で2時間インキュベートする。フィルターを除去した後、評価用プレートを10% ルゴール液で染色する。
澱粉を分解する変異体は暗青色中の白点として検出され、次に保管プレート上で特定される。陽性の変異体について、最初のスクリーニングと同じ条件でさらに2回再スクリーニングを繰り返す。
再スクリーニング後の陽性形質転換体を保管プレートから採取し、二次プレート評価を行う。
各陽性形質転換体を、5 mL
LB+クロラムフェニコールを用いて37℃において22時間培養する。各陽性形質転換体のバシラス培養菌と、比較参照用の対応バックボーン(親アルファ−アミラーゼ)を発現するクローンとを、pH4.5のクエン酸緩衝液を用いて90℃においてインキュベートし、サンプルを0, 10,
20, 30, 40, 60及び80分後に採取する。3μLのサンプルを評価用プレートに植える。評価用プレートを10%ルゴール液で染色する。改良された変異体は、バックボーンよりも高い残留活性(評価用プレート上のハローとして検出される)を示す。改良された変異体を核酸配列の解析により特定する。
変異体の安定性は、以下のようにして評価することができる。
分析対象の変異体発現バシラス培養菌を、クロラムフェニコールを含有する10mLLB中で37℃において21時間培養する。この培地800マイクロリットルと、pH4.5のクエン酸緩衝液200マイクロリットルとを混合する。サンプルを70μLずつに分けて複数のPCRチューブ中に注入し、70℃または90℃において時間を種々変更して(典型的には5, 10,
15, 20, 25 及び
30分間)、PCR装置を用いてインキュベートする。0分のサンプルについては、高温でのインキュベートは行わない。サンプル中の活性は、下記の「アルファ−アミラーゼ活性の評価」で説明するように、20から200マイクロリットルのアルファ−アミラーゼPNP-G7基質 MPR3 (Boehringer Mannheim Cat. No. 1660730) をトランスファーすることにより測定する。
測定結果は、(時間0に対する)活性パーセントを時間に対してプロットして示すか、または、所定時間インキュベートした後の残留活性パーセントで表わす。
関連する発現プラスミドを含むバシラス・スブチルス株を、以下のようにして発酵させ、精製する。
この株を、-80℃のストック溶液から採取した10μg/mlカナマイシンを含むLB-寒天上に洗浄に塗布し、37℃で一晩培養する。得られたコロニーを、10μg/ml クロラムフェニコールを含む100 mLのPS-1培地を有する500 mL振蕩フラスコ中に移す。
S-1培地の組成は以下の通りである。
パールシュガー: 100
g/l
大豆かす: 40 g/l
Na2HPO4, 12 H2O: 10 g/l
PluronicTM PE 6100: 0.1 g/l
CaCO3: 5 g/l
この培地を37℃、270rpmで5日間振蕩する。
UF-フィルター濾過物をS-SEPHAROSE
F.Fに流通させ、溶出は0.2M
NaClを添加した上記緩衝液を用いた段階溶出により行う。溶出液をpH9.0の10 mM Trisに対し透析し、Q-SEPHAROSE F.F. に流通させ、直線濃度勾配の0〜0.3M
NaCl溶液 6カラム容積を用いて溶出させる。
活性(PHADEBASアッセイで測定)を有する分画を貯留し、pH 7.5に調整し、残留する色を0.5% w/v活性炭で5分間処理することにより除去する。
比活性度は、PHADEBASTM
アッセイ(Magle
Life Sciences社)を、活性/mg酵素で用いて評価した。
この製品の取扱説明は下記の通りである。(下記「アルファ−アミラーゼ活性の評価」も参照)
等電点は、等電点電気泳動法(例えばPharmacia, Ampholine, pH
3.5- 9.3)により求める。
アミラーゼの安定性は、次のようにして評価することができる。
この酵素を関連する条件下でインキュベートする。サンプルを異なる時間、例えば0, 5, 10, 15 及び30後に採取し、アッセイ緩衝液(50 mM Britton緩衝液、pH 7.3)で25倍に希釈し(全サンプルについて同じ希釈率)、標準条件のpH7.3、37℃においてPHADEBASアッセイ(Magle Life Sciences社)を用いて活性を測定する。
1. PHADEBASアッセイ
アルファ−アミラーゼの活性をPHADEB
ASTMタブレットを基質に用いる方法で評価する。PHADEBASタブレット(PHADEBASTM Amylase Test, 供給元Magle Life Sciences社)には、ウシ血清アルブミンと緩衝物質とタブレットとが添加された、青く着色され架橋された澱粉ポリマーが含まれている。
NaOHでpHを所定値に調整)が入れられた試験管中に、1つのタブレットを懸濁させる。この試験は所定の温度の水浴中で行なう。試験するアルファ−アミラーゼを50mM Britton-Robinson緩衝液で希釈する。1ミリリットルのアルファ−アミラーゼ溶液に、50mM Britton-Robinson緩衝液を5mL添加する。澱粉がアルファ−アミラーゼによって加水分解され、水溶性の青い断片が生じる。得られた青色溶液を分光光学的に測定し、620 nmにおける吸光度がアルファ−アミラーゼ活性の指標となる。
アルファ−アミラーゼの活性を、PNP-G7基質を用いて評価することができる。PNP-G7はp-ニトロフェニル-アルファ,D-マルトヘプタオシド(maltoheptaoside)の略であり、エンド-アミラーゼで切断されるブロックオリゴサッカライドである。切断後、キットに含まれるアルファ-グルコシダーゼが基質を消化してPNP分子を放出する。PNP分子は黄色を呈するので、λ=405 nm (400-420 nm)における可視光吸光度を測定することができる。PNP-G7基質及びアルファ-グルコシダーゼを含むキットは、Boehringer-Mannheim社(cat. No. 1054635) が製造販売している。
複数の異なる濃度のLAS (直鎖アルキルベンゼンスルホン酸; Nansa
1169/P)を用いて、変異体を40℃で10分間インキュベートする。
残留活性をPHADEBASTMアッセイ法、または、PNP-G7基質を用いる別の方法により評価する。
以下のLAS濃度を用いる。
500 ppm, 250 ppm, 100 ppm, 50 ppm, 25 ppm, and 10 ppmまたは0 ppm。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、様々な工業用途に応用可能な種々の特性を有する。本願の1以上の酵素変異体または組成物は上記のように、洗剤、特に洗濯用洗剤組成物、食器洗浄用洗剤組成物、硬質表面洗浄用組成物、布、織物、衣類のデサイジング用組成物、パルプ及び紙の製造用組成物、ビール醸造、エタノール製造、及び澱粉転換プロセスに用いることができる。
天然澱粉は、室温では水に溶解しない微細な粒子からなる。水性澱粉スラリーを加熱すると粒子が膨潤し、その後破裂して溶液中に澱粉粒子が拡散する。この「糊化」プロセスでは、粘度が大きく上昇する。工業プロセスでは固体成分量は通常30-40%であるため、澱粉の加工を容易にするために希釈または「液状化」する必要がある。現在の工業的手法では、このような粘度の低下は酵素による分解を利用して行われている。
液状化や糖化等の従来の澱粉転換プロセスは、例えば本願に参照として組み込まれるU.S. 3,912,590 及びEP公開番号252,730 及び 63,909に開示されている。
ひとつの実施形態では、澱粉を分解して糖や脂肪代替物等の低分子量炭水化物成分にするプロセスには、脱分岐工程が含まれる。
澱粉を糖へ転換する場合、澱粉は脱高分子化される。このような脱高分子化プロセスには、例えば前処理工程と、これに続く2または3のプロセス、すなわち液状化プロセス、糖化プロピレン、あるいは目的とする最終製品によっては任意の異性化プロセスが含まれる。
目的とする最終糖製品が例えば高フラクトースシロップである場合、デキストリンシロップをフラクトースに転換する。糖化プロピレンの後、pHを6-8の範囲、好ましくはpH 7.5まで増加させ、イオン交換によりカルシウムを除去する。次に、例えば不動化したグルコースイソメラーゼ(GensweetTM IGI-HF等)を用いてデキストリンシロップを高フラクトースシロップに転換する。
一般に、全粒穀物からのアルコール製造(エタノール)は、以下の4つの主要な工程に分類される。
製粉
液状化
糖化
発酵
全粒穀物を粉砕して加工しやすくするため製粉する。乾式製粉及び湿式製粉の2種の方法が用いられている。乾式製粉では、全穀粒が製粉され後のプロセスで用いられる。湿式製粉では胚と粗引粉(澱粉粒とタンパク質)の分離が良く、シロップの製造において少数の例外を除いて広く用いられている。
液状化プロセスでは、澱粉粒子をDPが4より大きいマルトデキストリンへ加水分解することによって可溶化する。加水分解は酸処理、またはアルファ−アミラーゼによる酵素処理により行うことができる。酸加水分解は、限られた場合に用いられる。原料は、製粉された全粒でも、あるいは澱粉加工の副生物のいずれでもよい。
液状化された澱粉を含有する材料を、グルコアミラーゼ等の糖化酵素の存在下で糖化する。糖化プロセスは12時間から120時間行なう(例えば12から90時間、12から60時間、または12から48時間)。
しかし、予備糖化を温度30から65℃、通常約60℃において約30分から2時間(例えば30から90分)行い、次に発酵させながら完全に糖化させることも一般的である。これは同時糖化発酵(SSF)と呼ばれている。pHは通常4.2〜4.8、好ましくは4.5である。同時糖化発酵(SSF)プロセスでは、糖化だけを行なう工程は無く、イーストを酵素とともに添加する。
もし液状化プロセスの活性アミラーゼが残留し、糖化プロセスの間にも存在(すなわち変性されていない場合)していると、パノースの量が1〜2%に達する。これは糖化の収量を著しく低下させることになるため、非常に好ましくない。
この発酵性糖を、さらに精製、および/または転換して有用な糖製品にすることができる。さらに、この糖を、最終製品を製造するための微生物発酵プロセスの発酵用原料として用いることができる。
最終製品は、アルコール(例えばエタノールやブタノール)、有機酸(例えばコハク酸や乳酸)、糖アルコール(例えばグリセロール)、アスコルビン酸中間体(例えばグルコネート、2-ケト-D-グルコネート、2,5-ジケト-D-グルコネート、及び2-ケト-L-グロン酸)、アミノ酸(例えばリジン)、タンパク質(例えば抗体及びその断片)等である。
本願の方法で用いるイーストの量は、適切な時間内に商業的に十分な量のエタノールを製造することができる量である(例えば25〜40%のDSを含む基質から少なくとも10%のエタノールを72時間以内に製造できる量)。通常の市販されているイースト細胞は、発酵培養液1 mL中のイースト生菌数が約104から約1012、好ましくは約107から約1010である。イーストをマッシュに添加した後、約24〜96時間、例えば35〜60時間発酵させる。温度は約26〜34℃で、典型的には約32℃である。pHは3〜6、好ましくはpH約4〜5である。
UNIVERSITY PRESS, UKを参照することができる。
より詳しくは、目的最終製品が乳酸であるときは、ラクトバシラス種(L. カゼイ(casei))を用いる。目的最終製品がグリセロールまたは1,3- プロパンジオールであるときは、大腸菌を用いる。目的最終製品が2-ケト-D-グルコネート、2,5-ジケト-D-グルコネート、及び2-ケト-L-グルタミン酸であるときは、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)を発酵微生物として用いる。これらは例示であり、当業者であれば目的最終製品を得るために種々の発酵微生物が用いられることを理解できよう。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体はビール製造プロセス、及び類似の発酵プロセスにおいて有用である。通常、マッシュ化プロセスにおいてアルファ−アミラーゼを添加する。ビール製造プロセスは、実質的に上記の製粉、液状化、糖化、及び発酵プロセスと同様である。
製粉された澱粉含有材料に、水とリサイクルされた希薄スティレッジとを混合して、水性スラリーとする。このスラリーには、15から55% w/wの乾燥固形成分(ds) (例えば20から50%、25から50%、25から45%、25から40%、20から35%、及び30から36%のds)が含まれる。
いくつかの実施形態では、リサイクルされた希薄スティレッジ(バックセット)の量は、約10から70% v/v (例えば10から60%、10から50%、10から40%、10から30%、10から20%、20から60%、20から50%、20から40%、または20から30%) である。
好ましい実施形態では、スラリーのpHは約4.5から約6.0未満の範囲である(例えば、pH 4.5から5.8、pH 4.5から5.6、pH 4.8から5.8、pH 5.0から5.8、pH 5.0から5.4、pH 5.2から5.5、またはpH 5.2から5.9)。スラリーのpHは、スラリーに添加された希薄スティレッジの量と、スティレッジに含まれる物質の種類に応じて約4.5から約5.2の範囲になる。例えば、希薄スティレッジのpHは3.8
から4.5の範囲である。
別の例として、下記のTable
Bに、異なる量の希薄スティレッジを粉砕全粒トウモロコシ(32% ds)に添加し、華氏155度で2時間撹拌した後のpHの値を示す。
いくつかの実施形態では、スラリーにはフィターゼと、任意成分のアルファ−アミラーゼが含まれ、このスラリーを約5分から約8時間
(例えば5分から6時間、5分から4 時間、5分から2 時間、または15分から4 時間) インキュベート(前処理)する。
また別の実施形態では、スラリーを約40から115℃ (例えば45から80℃、50から70℃、50から75℃、60から110℃、60から95℃、70から110℃、70から85℃、または77から86℃) の温度範囲でインキュベートする。
(例えば0から25℃、0 から20℃、0から15℃、0から10℃、または0から5℃) 低い温度でスラリーをインキュベートする。
いくつかの実施形態では、温度は約68℃未満、約65℃未満、約62℃未満、約60℃未満、または約55℃未満である。いくつかの実施形態では、温度は約45℃より高く、約50℃より高く、約55℃より高く、または約60℃より高い。
いくつかの実施形態では、フィターゼとアルファ−アミラーゼを含むスラリーを澱粉糊化温度より低い温度でインキュベートすることを、第一 (1°)液状化と呼ぶ。
に、約2分から約6時間(例えば2分から4時間、90分から140分間、または90分から140分間)、pH約4.0から5.5において、好ましくは1時間から2時間曝される。
公知の高温ジェットクッキングシステムにより、例えば1から15分間のような短い時間、温度を高くすることができる。次に、約75℃から95℃(例えば80℃から90℃、または80℃から85℃)の温度範囲において、澱粉をさらに15から150分間 (例えば30から120分間)加水分解する。
好ましい実施形態では、これらの工程ではpH調整を行わない。液状化マッシュのpHは約pH 4.0から pH 5.8 (例えばpH 4.5から5.8、pH 4.8 から.4、またはpH 5.0から5.2) の範囲である。いくつかの実施形態では、二次液状化工程において熱安定性アルファ−アミラーゼの追加添加を行う。しかし、別の実施形態ではアルファ−アミラーゼの追加添加は行なわない。
任意に、発酵後に例えば蒸留によってアルコール(例えばエタノール)を抽出し、その後さらに1以上の任意の工程を行うことができる。
発酵の残渣は穀物粒である。この残渣は通常、液状または乾燥状態で動物飼料に用いられる。また別の実施形態では、最終製品には「蒸留乾燥粒(DDG)」と「可溶分入り蒸留乾燥粒(DDGS)」等の発酵副生物が含まれ、これらは例えば動物飼料に用いられる。
液状化、糖化、発酵、蒸留、及びエタノールの回収方法の詳細は周知である。
本願の方法では、糖化と発酵は同時、または別々に行う。
アルカリアルファ−アミラーゼ変異体を、澱粉補強された古紙またはボール紙からパルプ、紙、ボール紙等のリグノセルロース材料を製造する場合に用いることができ、特に再パルプ化が7以上のpHで生じ、アミラーゼが補強澱粉を分解することにより古紙の分解が促進される場合に用いることができる。アルファ−アミラーゼ変異体は、澱粉コートされた印刷済の紙から製紙用パルプを製造するプロセスにおいて特に有用である。このプロセスはWO 95/14807に開示された方法で実施され、a) 紙を分解してパルプにするステップと、b) ステップa)の前後またはステップa)の間に澱粉分解酵素で処理するステップと、c) ステップa)及びb)の後でインク粒子をパルプから分離するステップとから成る。
アルファ−アミラーゼ変異体は、布、織物、衣料品のデサイジングにおいても有用である。
繊維加工業では、澱粉被覆サイズ剤を除去するデサイジングプロセスを促進する副原料として、古くからアルファ−アミラーゼが用いられてきた。サイズ剤は、布を織る際に横糸の保護被覆剤として機能する。布を織った後にサイズ剤を完全に除去することは、その後の工程での洗浄、漂白、染色でよい結果を得るために重要である。酵素による澱粉分解が好まれるのは、繊維に悪影響を及ぼさないからである。
製造コストを下げて生産量を増加させるために、デサイジング加工は洗浄及び漂白工程と組み合わされることがある。このような場合には、澱粉の分解にアルカリまたは酸化剤等の非酵素系副原料が用いられる。これは、従来のアルファ−アミラーゼは高pHや漂白剤の存在下では正常に機能しないためである。
非酵素系の澱粉サイズ剤分解剤は比較的反応性が高い薬品であるため、繊維にダメージを与えることがある。本願のアルファ−アミラーゼ変異体はアルカリ性溶液中での性能が向上している事から、この用途に用いることができる。セルロースを含む布または織物をデサイジングする際、アルファ−アミラーゼをそれ単独、またはセルラーゼと組み合わせて用いることができる。
市販のデサイジング用の製品としてGenencor社のOPTISIZETM FLEXが挙げられる。
本願のアルファ−アミラーゼ変異体は、洗濯及び食器洗浄用等の、種々の洗浄または洗濯用の洗剤組成物の添加成分として用いることができる。
洗剤用添加剤、及び洗剤組成物には1以上の他の酵素が含まれていてもよく、このような他の酵素は例えばプロテアーゼ、リパーゼ、ペルオキシダーゼ、他の澱粉分解活性酵素、例えば別のアルファ−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、マルトゲンアミラーゼ、CGTase、および/または、セルラーゼマンナナーゼ (例えばDanisco US Inc.社, Genencor DivisionのMANNASTARTM)、ペクチナーゼ、ペクチン、リアーゼ、クチナーゼ、および/または、ラッカーゼ等である。
好ましいプロテアーゼには、動物、植物または微生物由来のプロテアーゼが含まれる。微生物由来のプロテアーゼが好ましい。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼ、またはトリプシン様プロテアーゼである。
アルカリ性プロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバシラス由来のスブチリシンであり、例えばスブチリシン・ノボ(subtilisin Novo)、スブチリシン・カールスバーグ(subtilisin Carlsberg)、スブチリシン309、スブチリシン147、及びスブチリシン168(例えばWO 89/06279)等である。
トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば豚または牛由来)、及びWO 89/06270とWO 94/25583に開示されたフサリウムプロテアーゼである。
DuralaseTM, EsperaseTM,及びKannaseTM (Novo Nordisk A/S社); MaxataseTM,
MaxacalTM, MaxapemTM, ProperaseTM, PurafectTM,
Purafect OxPTM, FN2TM,及びFN3TM (Genencor International,
Inc社)が含まれる。
好ましいリパーゼには、細菌または細菌由来のリパーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
有用なリパーゼの例には、例えばフミコーラ・ラヌギノサ(lanuginose)(T・ラヌギノサ)(EP 258068及びEP 305216参照)、またはフミコーラ・インソレンス(insolens)(WO 96/13580参照)等のフミコーラ(Humicola; サ−モミセス(Thermomyces)の異名) 由来のリパーゼ;シュードモナス(Pseudomonas)由来のリパーゼ (例えばP.アルカリゲネス(alcaligenes)またはP.シュードアルカリゲネス(pseudoalcaligenes)(EP218272参照)、P.セパシア(cepacia)( EP331376参照)、P.スタッツェリ(stutzeri)(GB
1,372,034参照)、P.フルオレセンス(fluorescens)、シュードモナス株SD 705(WO 95/06720及びWO 96/27002参照)、P.ウィスコンシネス(wisconsinensis)(WO 96/12012参照);バシラス由来のリパーゼ、例えばB.スブチリス由来(Dartois et al.
(1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B.ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)(JP
64/744992参照)、またはB.プミルス(pumilus)(WO 91/16422参照)が含まれる。
他の例は、WO
92/05249, WO 94/01541, EP 407 225, EP 260 105, WO 95/35381, WO 96/00292, WO
95/30744, WO 94/25578, WO 95/14783, WO 95/22615, WO 97/04079 及び WO 97/07202に開示されたリパーゼ変異体である。
1以上の追加のアミラーゼを用いることもできる。
適したアミラーゼ(アルファおよび/またはベータ)には、細菌または菌類起源のものが含まれる。化学修飾または遺伝子組み換えされた変異体も含まれる。このようなアミラーゼには、例えばバシラスから得られるアルファ−アミラーゼ、例えばGB 1,296,839に詳細が開示されているB.リケニホルミスから得られるアルファ−アミラーゼが含まれる。
有用なアルファ−アミラーゼの例として、WO 94/18314, WO 96/39528, WO 94/02597, WO 94/18314, WO 96/23873, 及びWO 97/43424に開示された変異体が挙げられ、特に、次のいずれか1以上の位置に置換を有するアルファ−アミラーゼ変異体が挙げられる:5, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202,
208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408, 及び444。
NATALASETM FungamylTM 及びBANTM (Novozymes A/S社), RapidaseTM,及びPurastarTM
(Genencor社) 等が挙げられる。
好ましいセルラーゼには、細菌または細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。
好ましいセルラーゼには、バシラス属、シュードモナス属、トリコデルマ属、フミコーラ属、フザリウム属、シエラビア族、アクレモニウム属由来のセルラーゼが含まれ、例えばU.S.P.4,435,307, UU.S.P.5,648,263, U.S.P.5,691,178, U.S.P.5,776,757 及びWO 89/09259に開示されたフミコーラ・インソレンス(Humicola
insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィリア(Myceliophthora thermophila)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)が含まれる。
トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma
reesei) 由来のセルラーゼは、U.S.P.4,689,297, U.S.P.5,814,501, U.S.P.5,324,649, WO 92/06221 及びWO 92/06165に開示されている。
バシラス由来のセルラーゼは、U.S.P6,562,612に開示されている。
(Novo Nordisk A/S社); ClazinaseTM及びPuradaxTM HA (Genencor International, Inc社);及びKAC-500(B) TM
(花王)がある。
適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼには、植物、細菌、または細菌由来のセルラーゼが含まれる。化学的に修飾された変異体、遺伝子工学による変異体も含まれる。有用なペルオキシダーゼの例には、コプリヌス(Coprinus)属由来のペルオキシダーゼが含まれ、例えばWO 93/24618, WO 95/10602,及びWO 98/15257に開示されたコプリヌス・シネレウス(cinereus)及びその変異体由来のペルオキシダーゼが含まれる。
市販のペルオキシダーゼの例はGuardzymeTM
(Novozymes A/S社)である。
4,106,991及びU.S.P
4,661,452の開示に従い調製することができ、所望により公知の方法でコーティングすることができる。ワックス状のコーティング材料の例として、平均分子量が1000から20000のポリエチレンオキサイド製品(例えばポリエチレングリコール, PEG);16から50のエチレンオキサイドユニットを有するエトキシ化ノニルフェノール;アルコールが炭素数12から20で、15から80のエチレンオキサイドユニットを有する、エトキシ化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセライドが挙げられる。流動床での使用に適したフィルムコーティング用材料の例は、GB 1483591に開示されている。酵素調合液は、例えばプロピレングリコール等のポリオール、糖、糖アルコール、乳酸、ホウ酸を公知の方法で添加して安定化されている。その他の酵素安定剤も公知である。保護された酵素は、例えばEP 238,216に開示された方法で調製することができる。
洗剤用組成物は、非イオン性若しくは半極性、および/またはアニオン性、および/またはカチオン性、および/または両性イオン性の界面活性剤を、1以上含有する。界面活性剤は一般に、重量%で0.1%から60%含有される。
酵素変異体は、洗浄液1リットルにつき約0.01から約100 mgの酵素蛋白に相当する量が添加され、例えば洗浄液1リットルにつき約0.05から約5.0 mgの酵素蛋白に相当する量が添加され、特に洗浄液1リットルにつき約0.1から約1.0 mgの酵素蛋白に相当する量が添加される。
本願の酵素を以下に示す食器洗浄用洗剤組成物に用いることができる。
1) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤:
0.4-2.5%
メタ珪酸ナトリウム:
0-20%
ジ珪酸ナトリウム:
3-20%
トリ珪酸ナトリウム:
20-40%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム:
2-9%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 1-4%
硫酸ナトリウム: 5-33%
酵素:
0.0001-0.1%
2) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート): 1-2%
ジ珪酸ナトリウム:
2-30%
炭酸ナトリウム:
10-50%
ホスホン酸ナトリウム:
0-5%
クエン酸三ナトリウム二水和物: 9-30%
酢酸ニトリロ三ナトリウム
(NTA): 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物:
5-10%
テトラアセチルエチレンジアミン (TAED): 1-2%
ポリアクリレートポリマー(例えばマレイン酸/アクリル酸共重合体): 6-25%
酵素:
0.0001-0.1%
香料: 0.1-0.5%
水: 5-10 %
3) 顆粒 自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤:
0.5-2.0%
ジ珪酸ナトリウム:
25-40%
クエン酸ナトリウム:
30-55%
炭酸ナトリウム: 0-29%
重炭酸ナトリウム:
0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物:
0-15%
テトラアセチルエチレンジアミン (TAED): 0-6%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-5%
クレイ: 1-3%
ポリアミノ酸: 0-20%
ポリアクリル酸ナトリウム:
0-8%
酵素:
0.0001-0.1%
4) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤:
1-2%
ゼオライロMAP: 15-42%
ジ珪酸ナトリウム:
30-34%
クエン酸ナトリウム:
0-12%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物:
7-15%
テトラアセチルエチレン:
0-3%
ジアミン(TAED)ポリマー: 0-4%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-5%
有機ホスホネート: 0-4%
クレイ: 1-2%
酵素:
0.0001-0.1%
硫酸ナトリウム: 残余成分
5) 顆粒自動食器洗浄機用組成物
非イオン性界面活性剤: 1
-7%
ジ珪酸ナトリウム:
18-30%
Triクエン酸ナトリウム:
10-24%
炭酸ナトリウム:
12-20% :
モノペルスルフェート(2KHSO5.KHSO4.K2SO4): 15-21%
漂白剤安定剤: 0.1
-2%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-6%
ジエチレントリアミンペンタ酢酸五ナトリウム塩: 0-2.5%
酵素:
0.0001-0.1%
硫酸ナトリウム、水: 残余成分
6) 洗浄用界面活性剤を含む顆粒及び液体食器洗浄用組成物
非イオン性界面活性剤:
0-1.5%
オクタデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物: 0-5%
オクタデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物 とヘキサデシルジメチルアミンN-オキシド二水和物から成るC18/C16の80:20重量比ブレンド物: 0-4%
オクタデシルビス(ヒドロキシエチル)アミンN-オキシド 無水物とヘキサデシルビス(ヒドロキシエチル)アミンN-オキシド無水物から成るC18/C16の70:30重量比ブレンド物: 0-5%
平均エトキシ化率が3のC13-C15アルキルエトキシスルフェート: 0-10%
平均エトキシ化率が3のC12-C15アルキルエトキシスルフェート: 0-5%
平均エトキシ化率が12のC13-C15エトキシ化アルコール: 0-5%
平均エトキシ化率が9のC12-C15エトキシ化アルコールブレンド物: 0-6.5%
平均エトキシ化率が30のC13-C15エトキシ化アルコールブレンド物 0-4%
ジ珪酸ナトリウム:
0-33%
トリポリリン酸ナトリウム:
0-46%
クエン酸ナトリウム:
0-28%
クエン酸: 0-29%
炭酸ナトリウム: 0-20%
過ホウ酸ナトリウム一水和物:
0-1 1.5%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 0-4%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 0-7.5%
硫酸ナトリウム:
0-12.5%
酵素:
0.0001-0.1%
7) 非水性液体自動食器洗浄機用組成物
液状非イオン性界面活性剤(例えばアルコールエトキシレート): 2.0-10.0%
アルカリ金属ケイ酸塩:
3.0-15.0%
アルカリ金属リン酸塩:
20.0-40.0%
高級グリコール、ポリグリコール、ポリオキシド、グリコールエーテルから選択される液状キャリア: 25.0-45.0%
安定剤(例えばリン酸とC16-C18アルカノールの部分エステル): 0.5-7.0%
消泡剤(例えばシリコーン): 0-1.5%
酵素:
0.0001-0.1%
8) 非水性液体食器洗浄用組成物
液状非イオン性界面活性剤 (例えばアルコールエトキシレート) 2.0-10.0%
ケイ酸ナトリウム:
3.0-15.0%
アルカリ金属炭酸塩:
7.0-20.0%
クエン酸ナトリウム
0.0-1.5%
安定剤(例えばシリコーンと低分子量ジアルキルポリグリコールエーテルの微細分散混合物):
0.5-7.0%
低分子量ポリアクリレートポリマー: 5.0-15.0%
クレイゲル増粘剤(例えばベントナイト): 0.0-10.0%
ヒドロキシプロピルセルロースポリマー: 0.0-0.6%
酵素:
0.0001-0.1%
高級グリコール、ポリグリコール、ポリオキシド、グリコールエーテルから選択される液状キャリア:
残余成分
9) チクソトロピック液体自動食器洗浄機用組成物
C12-C14脂肪酸: 0-0.5%
ブロック共重合体界面活性剤:
1.5-15.0%
クエン酸ナトリウム
0-12% トリポリリン酸ナトリウム: 0-15%
炭酸ナトリウム: 0-8%
トリステアリン酸アルミニウム: 0-0.1%
クメンスルホン酸ナトリウム:
0-1.7%
ポリアクリレート増粘剤:
1.32-2.5%
ポリアクリル酸ナトリウム:
2.4-6.0%
ホウ酸: 0-4.0%
ギ酸ナトリウム:
0-0.45%
ギ酸カルシウム:
0-0.2%
n-デシジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム: 0-4.0%
メタノールアミン(MEA): 0-1.86%
水酸化ナトリウム(50%): 1.9-9.3%
1,2-プロパンジオール:
0-9.4%
酵素:
0.0001-0.1%
消泡剤、染料、香料、水: 残余成分
10) 液体自動食器洗浄機用組成物
アルコールエトキシレート:
0-20%
脂肪酸エステルスルホネート:
0-30%
ドデシルスルホン酸ナトリウム: 0-20%
アルキルポリグリコシド:
0-21%
オレイン酸: 0-10%
ジ珪酸ナトリウム一水和物:
18-33%
クエン酸ナトリウム二水和物:
18-33%
ステアイン酸ナトリウム:
0-2.5%
過ホウ酸ナトリウム一水和物:
0- 13%
テトラアセチルエチレンジアミン(TAED): 0-8%
マレイン酸/アクリル酸共重合体: 4-8%
酵素:
0.0001-0.1%
11) 保護された漂白剤粒子を含む液体自動食器洗浄機用組成物
珪酸ナトリウム: 5-10%
ピロリン酸三カリウム:
15-25%
トリ珪酸ナトリウム:
0-2%
炭酸カリウム: 4-8%
保護された漂白剤粒子、例えば塩素: 5-10%
高分子性増粘剤:
0.7-1.5%
水酸化カリウム: 0-2%
酵素:
0.0001-0.1%
水: 残余成分
12) 過ホウ酸塩を過炭酸塩二変更した1), 2), 3), 4), 6) 及び10)に記載の自動食器洗浄機用組成物
13) さらにマンガン触媒を含む l)-6)に記載の自動食器洗浄機用組成物
マンガン触媒は、"Efficient
manganese catalysts for low-temperature bleaching", Nature 369: 637-39
(1994)に開示された化合物のいずれか1である。
14) プレミアHDL液体洗剤の処方
Bio-Soft S-101: 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
Steol CS-330: ラウレス硫酸ナトリウム
Bio-soft N25-7: 7モルのEOを含む直鎖アルキルエトキシレート
Stepanate SXS: キシレンスルホン酸ナトリウム
15) ウルトラ液体洗剤処方
Tionopal CBS-X: 蛍光増白剤
Alpha-step MC-48: アルファ−スルホメチルエステルナトリウム
Makon TD-6: トリデシルアルコールエトキシレート
10.17.1 フィターゼの使用
本願で有用なフィターゼには、インキュベート工程または液状化工程等での使用条件下においてフィチン酸塩および/またはフィチン酸を加水分解することができる酵素が含まれる。いくつかの実施形態では、フィターゼは、イノシトールヘキサホスフェートから少なくとも1の無機リン酸塩を放出させることができる(例えばフィチン酸)。
フィターゼは、フィチン酸塩分子中のどの位置にあるホスフェートエステルを選択的に加水分解するかによって分類される(例えば3-フィターゼ (EC 3.1.3.8) または 6- フィターゼ (EC 3.1.3.26)等)。
フィターゼの典型的な例はミオ-イノシトール-ヘキサキスホスフェート-3-ホスホヒドロラーゼである。
また、フィターゼをペニシリウム・ホーデイ(hordei)(ATCC No. 22053)、P. ピセウム(piceum)(ATCC No. 10519)、またはP. ブレビ-コンパクタム(brevi-compactum)(ATCC No. 48944)等のペニシリウム属から得ることもできる。例えばUSP 6,475,762が参照される。
さらに、フィターゼを、バシラス属(例えばB.スブチリス)、シュードモナス属、ペニオフォラ属(Peniophora)、大腸菌、 シトロバクター(Citrobacter)属、エンターバクター(Enterbacter)属、及びブチアウクセラ (Buttiauxella)属(WO2006/043178参照) から得ることもできる。
(BASF社)、RONOZYME P (Novozymes A/S社), PHZYME (Danisco A/S社, Diversa) 及びFINASE (AB Enzymes社)等がある。
細菌性フィターゼの活性評価方法、及びフィターゼのユニットの定義は、EngelenらのJ. of AOAC International, 11: 760 − 764 (1994)に記載されている。フィターゼは、野生型フィターゼ、活性な変異体、またはこれらの断片の内のいずれでもよい。
ブチアウクセラ属の株はDSMZ, the German National Resource Center for Biological Material (Inhoffenstrabe 7B, 38124 Braunschweig, Germany) から入手できる。
寄託番号NCIMB 41248のブチアウクセラ属のP1-29株は、有用なフィターゼが得られる特に好ましい株の例である。
いくつかの実施形態では、フィターゼはWO 06/043178に開示されたBP-野生型、またはその変異体(例えばBP-11)であり、または2007年3月6日出願の米国特許出願No. 11/714,487に開示された変異体である。例えば、BP-野生型及びその変異体はWO 06/043178の表1に開示されており、アミノ酸の番号はPCT出願の配列番号:3に従う。
いくつかの実施形態では、フィターゼは配列番号:31に示すアミノ酸配列を有する。また別の実施形態ではフィターゼは配列番号:31に示すものである。
「フィターゼ活性」(FTU)は、無機リン酸塩の放出により評価する。
無機リン酸塩は、酸性モリブデン塩/バナジウム塩試薬と黄色の錯体を形成する。この黄色錯体を、分光光度計を用いて波長415nmで測定し、リン酸塩の標準曲線を用いて放出された無機リン酸塩を定量する。フィターゼの1単位(FTU)とは、European Standard
(CEN/TC 327,2005-TC327WI 003270XX)に規定された反応条件下で、フィチン酸塩から1分間に1マイクロモルの無機リン酸塩生じる酵素の量である。
<フィチン酸含有量>
フィチン酸を、5%スラリー(乾燥したサンプルの場合)のpHをpH 10に調整することによりサンプルから抽出し、イオン交換カラムを用いたHPLC法により定量した。NaOH傾斜勾配溶出液を用いてフィチン酸を溶出させた。標準フィチン酸と比較することによって、溶液中のフィチン酸含有量を計算により求めた。
いくつかの側面では、本願によりa) 親AmyS様アルファ−アミラーゼに対しアミノ酸配列同一性を少なくとも95%有し、参照アルファ−アミラーゼの位置242に対応するアミノ酸位置に置換を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体であって、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有するアルファ−アミラーゼ変異体と、b) 少なくとも1の他の酵素とから成る組成物が提供される。
正味電荷、基質特異性、基質分解性、基質結合性、熱安定性、1以上のpHにおける活性、1以上のpHにおける安定性、酸化環境下での安定性、Ca2+要求性、比活性度、触媒反応速度、触媒効率、フィチン酸塩存在下での活性、フィチン酸塩存在下での熱またはpH安定性、液状化テストにおけるピーク粘度に対する影響力、液状化テストにおける最終粘度に対する影響力。
好ましい実施形態では、本願の変異体は1以上の改変された性質を有する。例えば本願の変異体は、AmyS様−アミラーゼ等の親アルファ−アミラーゼと比較して、改良された熱安定性、及び液状化におけるピーク粘度を減少させる能力、または液状化におけるピーク粘度及び最終粘度の両方を減少させる能力を備える。
このような酵素は、アルコール、洗剤および洗浄助剤、汚れ除去剤、織物処理剤またはデサイジング剤等の有用な最終製品を得るための澱粉加工、糖転換、発酵等の分野において公知である。他の酵素として好ましいものはフィターゼである。ひとつの実施形態では、配列番号:17から成るフィターゼを用いる。
S242Q,またはS242T変異体である。このような変異体は、本願の実施例に例示され説明されている。
より詳しくは、本願の変異体は、次の位置における置換を1以上備える:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン。
本願では、N193F置換またはV416G置換またはこの両置換、例えばN193F置換またはV416G置換またはこの両置換を有する変異体が有用である。本願では、位置179及び180に対応するアミノ酸位置にアミノ酸の欠失を有するアミラーゼ変異体を用いることもできる。
上記のように、本願の変異体は活性を発揮し得る条件下において検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を示す。
上記に有用な親アミラーゼを開示した。いくつかの実施形態では、親アミラーゼは配列番号: 1, 2, 15, または16のものである。別の実施形態では、親アミラーゼは配列番号: 6, 7, 8, 9, 10, 1 1, または12のものである。
別の側面では、本願によりアルファ−アミラーゼ変異体を他の酵素、特にフィターゼとともに用いる方法が提供される。ひとつの実施形態では、これにより澱粉スラリーを処理する方法が提供される。この処理は液状化プロセス、糖化プロセス、及び発酵プロセス等の一部である。
この方法には通常、
a) 澱粉スラリーに少なくとも1のフィターゼと少なくとも1のアルファ−アミラーゼを添加する工程と、
b) フィターゼ及びアルファ−アミラーゼの活性が生じる条件下で澱粉スラリーをインキュベートすると工程が含まれる。
この方法には、フィターゼとアルファ−アミラーゼの添加を同時、またはほぼ同時、または適当な時間間隔をおいて任意の順序(すなわちフィターゼが先、またはアミラーゼが先)で行う、添加工程が含まれる。
組成物に含まれるアルファ−アミラーゼは、配列番号:2に対し少なくとも95%の相同性を有し、参照アミラーゼの位置番号に対応するアミノ酸242に置換を有するアルファ−アミラーゼ変異体である。このアルファ−アミラーゼ変異体は、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有する。
参照アミラーゼについては上記に説明した。この方法のひとつの実施形態では、参照アミラーゼは配列番号:1または2のものである。
より詳しくは、アルファ−アミラーゼ変異体は、次の位置における置換を1以上備える:位置349のシステイン、位置428のステイン、位置97のグルタミン酸、位置97のアルギニン、位置319のグルタミン酸、位置319のアルギニン、位置358のグルタミン酸、位置358のアルギニン、位置443のグルタミン酸、位置443のアルギニン。
いくつかのアルファ−アミラーゼ変異体では、N193F置換またはV416G置換またはこの両置換、例えばN193F置換またはV416G置換またはこの両置換を有することが有用である。他の修飾については、位置179及び180のアミノ酸を欠失させることができ、この欠失は単独または他の上記の修飾と組み合わせて行なうことができる。
ひとつの実施形態では、添加工程においてアミラーゼを添加する前にフィターゼを添加する。
好ましくは、フィターゼを最初に添加する場合は、フィターゼを添加した後でアルファ−アミラーゼを添加する前に、スラリーを予備インキュベートする。予備インキュベートは、フィチン酸塩含有量の減少が検出されるように十分な時間行う。
いくつかの実施形態では、フィターゼを用いることにより、スラリーにフィターゼを添加しない方法と比較して、アルファ−アミラーゼの熱安定性が向上する。
a) 澱粉含有スラリーと、澱粉から発酵性基質を製造するために十分な量の少なくとも1のフィターゼ及び少なくとも1のアルファ−アミラーゼとを接触させる工程と、
b) 澱粉含有スラリーを、フィターゼ及びアルファ−アミラーゼが活性化する条件下で発酵性基質が製造される時間インキュベートする工程とを含み;ここで
フィターゼをアルファ−アミラーゼより先に接触させたときは、スラリーをアルファ−アミラーゼに接触させる前に糊化温度より約0から30℃低い温度でインキュベートし、次に、澱粉を加水分解するために必要な時間スラリーの温度を糊化温度より高くする。
参照アミラーゼは配列番号:1または2を備え、いくつかの実施形態ではアルファ−アミラーゼ変異体はS242A, S242D, S242E, S242F, S242G, S242H, S242L, S242M, S242N, S242Q, またはS242T変異体である。
i) 親AmyS様アルファ−アミラーゼに対し少なくとも95%の相同性を有し、参照アミラーゼの位置番号242に相当するアミノ酸位置に置換を有し、検出可能なアルファ−アミラーゼ活性を有する少なくとも1のアルファ−アミラーゼ変異体と、
ii) 少なくとも1の別の酵素とが含まれる。
AmySの成熟配列の位置S242における変異体を、 部位特異的突然変異誘発を用いて構築した。突然変異誘発に用いたテンプレートは、New England Biolabs社(Massachusetts)のdam-Methylaseを用いたメチル化pHPLT- AmyS(図2参照)であった。縮重プライマー(S242F(フォワード) 及び S242R(リバース)、それぞれ下記の 配列番号: 17 及び18)を合成し、Operon (Huntsville, AL)中へ希釈し10μMにした。
Operonは相補的フォワード及びリバース配列を有し、この両配列はいずれも反応においてライゲーションするための5'リン酸塩基を有する。親アルファ−アミラーゼの配列は配列番号:2であった。標的位置をNN(G/C)でランダム化したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、Stratagene Quik-ChangeTM Multi-siteキット(Stratagene社, La Jolla CA) によりライブラリーを構築した。選択したアミノ酸(すなわちS242)を、代替可能な19種のアミノ酸全てによりランダムに置換した。
下記のS242プライマーを突然変異誘発に用いた。
<QUIK-CHANGETM反応>
この反応では、無菌蒸留水H2Oを18μL、キットに含まれる10x 緩衝液を2.5μL、キットに含まれるdNTPを1 μL、フォワードプライマーを1.25 μL (10 μM ストック液)、 リバースプライマーを1.25 μL (10 μM ストック液)、 テンプレートとしてpHPLT-AmySプラスミドDNAを1 μL (〜70 ng)、及びキットに含まれる酵素ブレンド物を1 μL 用い、全容量は26.5 μLであった。
先ず95℃で1分間の反応を1回行い、次に95℃で1分間、55℃で1分間、65℃で10分間のサイクルを25回繰り返した。
I (10 U/μL)をMulti-site
Quik-ChangeTM反応混合物に添加し、37℃で18時間インキュベートし、次にさらに0.5 μL添加し3時間反応させた。
amyE::xylRPxylAcomK-phleo))中に形質転換し、37℃で1時間振蕩した。次に、全ての形質転換体をLA + 10
ppm Neo + 1% 不溶性澱粉のプレートに塗布し (1つのプレートに25 μL、別のプレートに75 μL)、37℃で一晩インキュベートした。
96の形質転換体を150
μLのLB + 10 ppm
Neoを有するマイクロタイタープレートに植菌し、37℃で一晩成長させた。96ピンの複製ツールを用いて、一晩成長させたプレートから、より大きなLA + 10 ppm Neo + 1%不溶性澱粉のプレートに移しかえ、Quintara Biosciences社 (Berkeley, CA)へ送り、コロニーのPCRと配列解析を行った。
μL のLB + 10
ppm Neoを有する96ウエルマイクロタイタープレートに変異体を4個一組の形態で植菌し、対照サンプルも植菌した。植菌したマイクロタイタープレートを37℃、250 rpmで6時間インキュベートした。
複製ツール(Enzyscreen社, Leiden, The Netherlands)を用いて、マイクロタイタープレートの培地を新しいマイクロタイタープレートに植菌した(マイクロタイタープレート及びプレートの蓋は Enzyscreen社製)。新しいマイクロタイタープレートには、タンパク質を発現させるためにMBD培養液150ul、及びタンパク質発現の栄養素の5 mM CaCl2を入れておいた(G. Vogtentanz et al, A Bacillus subtilis fusion protein system to
produce soybean Bowman-Birk protease inhibitor, Prot. Expr. & Purif. 55
(2007) 40-52参照)。
タンパク質発現用プレートを37℃、250 rpm、湿度70%で64時間培養した。次に、発現させた培養液をミクロフィルタープレート(0.22 μm, Millipore社, Billerica, MA)で濾過し、熱安定性改善効果のスクリーニングに供した(実施例3参照)。
実施例1のマイクロタイタープレートのコロニーを、ネオマイシンを10ppm含む澱粉プレート上に線状に塗布した。この澱粉プレートを37℃で一晩インキュベートし、シングルコロニーを採取し、培養液(下記参照)とネオマイシン10ppmとを入れた250 mL振蕩フラスコ(培養液は25 mL)に植菌した。この培養液を37℃、275 rpmで約8時間 (OD (600 nm)が2.0に達するまで) 培養した。この培養液と50%グリセロールとを2:1の比率で混合し、それぞれラベルを付した培養バイアルに個別に入れ、-80℃で冷凍した。以後の選択されたアルファ−アミラーゼの製造には、これらのグリセロールストック溶液を用いた。
(w/v)のSoytoneを含むminimal MOPS培養培地(Neidhardt et al., J.
Bacteriol. 119(3): 736-747, 1974)を入れた500mL振蕩フラスコを用いて、37℃で60時間培養することにより行った。
以下の手順により、疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて発酵後の培養液から酵素を精製した。
培養液を10倍に濃縮し、次にpH6.8の50 mM MES、2 mM CaCl2及び1M硫酸アンモニウムを含む溶液で元の濃度に戻し、次に無菌グラスファイバーフィルターで濾過した。
サンプルを、同じ緩衝液で予め平衡状態にしたPHENYL SEPHAROSE FF高密度カラム(20 x 95 mm; Amersham, GE Healthcare Bio-Sciences社, Sweden) に注入した。10カラム容積の硫酸アンモニウムを含まない前記緩衝液を注入し、引き続き用いて5カラム容積の水を注入して非アミラーゼタンパク質を溶出させた。
対象とする酵素は、pH
6.8の50 mM MES、2 mM CaCl2、及び40%プロピレングリコールを含む溶液で溶出させた。
この実施例に、本願の変異体が親アルファ−アミラーゼに対し改変された性質を有することを示す。
G.ステアロサーモフィラスのアルファ−アミラーゼ(AmyS)変異体の、ハイスループット熱安定性スクリーニングを行った。
各上清からサンプルを採取してさらに0.02 ppmまで希釈し、蛍光標識したトウモロコシ澱粉基質及び上記の方法を用いた酵素変異体活性測定に供した。
また、各上清からさらにサンプルを採取し、サーモサイクラーにより95℃で30分間熱ストレスをかけ、pH 5.8の50mM NaOAc/2.6mM CaCl2/0.002%
Tween-20緩衝液で0.02ppmに希釈し、蛍光標識した基質及び下記の方法を用いて残留活性を測定した。
トウモロコシ澱粉(Invitrogen社, Eugene, OR) を用いた。アミラーゼ活性の指標となる蛍光の増加を、SpectraMAX
M2 (Molecular Devices社, Sunnyvale, CA)を用いて測定した。反応を室温下で行い、この装置のキネティックモードで5分間記録した。励起波長は485nmで、515nmのカットオフフィルターを用い520nmの蛍光を測定した。
疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いて、振蕩フラスコの発酵培養液からSpezyme Xtra, S242A, S242E, 及びS242Qを精製した。50%プロピレングリコール及び2mM CaCl2を含有するpH 6.8の50 mM MESを用いてタンパク質をカラムから精製された状態で溶出させた。
MoI. Biol. 41, 191- 218, 1995) に記載されている。
約500μLの0.5mg/ml野生型バシラス・ステアロサーモフィリスのα-アミラーゼ、またはS242A, S242E, 及びS242Q変異体(いずれも2mM塩化カルシウムを添加または無添加)について、30〜120℃の範囲を走査した。
同じサンプルについて、可逆性をチェックするために再スキャンした。α-アミラーゼの場合、熱変性は不可逆である。道板緩衝液はpH5.5の10 mM酢酸ナトリウムであった。凝集により生じ得る誤差を最小にするため、スキャン速度を200℃/hrとした。DSC曲線のサーマル・ポイント(Tm)を、供試したタンパク質の熱安定性の指標とした。Table 4-1に、供試したアミラーゼタンパク質の熱融点を示す。図5に、野生型アミラーゼ及びアミラーゼ変異体の熱融解曲線及び融点を示す。
カルシウムの添加により、野生型アミラーゼ及びS242A変異体のTmは各々6℃及び5.3℃上昇した。S242EのTmの上昇は4.4℃であった。S242QのTmの上昇は3.7℃であった。これは、S242Q変異体はカルシウムによってそれほど安定化されないか、またはS242Q変異体の安定性はカルシウムに依存しないことを示唆している。
野生型アミラーゼに対するS242A,
S242E, 及びS242Q変異体のTmの上昇は、各々5℃, 5.4℃, 及び3℃であった。このことから、変異体の熱力学的特性が、野生型アミラーゼまたはSpezyme Xtraとは異なることが示唆される。この結果は、応用試験における改善された性能とも一致する(実施例5参照)。
この実施例に、供試した変異体は親アルファ−アミラーゼだけでなく、工業上一般的な酵素に対しても改変された活性プロファイルを有することを示す。タンパク質の同定は、精製したサンプルまたはプレートのサンプルを用いて行った。アルファ−アミラーゼ変異体、及び標準アルファ−アミラーゼの評価は同じ濃度で行った。
400マイクロリットルの澱粉懸濁液を2.5分かけて70℃にした。次に、この澱粉懸濁液に希釈した酵素7μLを手早く添加し、タンパク質の最終的濃度を約0.36ppmにした。次に反応混合物を予め85℃に加熱しておいた振蕩機に取り付け、300rpmで撹拌した。所定時間後、125mM NaOHを50μL添加して反応を終了させた。反応チューブ内の反応液を遠心分離し、上清を10mM NaOHで10倍に希釈し、HPAEC-PAD(アンペロメトリック検出器付高性能アニオン交換クロマトグラフィー)でDP(重合度)プロファイルを分析した。
この実施例では、野生型親アミラーゼに対し改変された残留活性を有するS242A 及びS242Q変異体が、親アルファ−アミラーゼに対しても改変された残留活性を有することを示す。実施例2のアルファ−アミラーゼ変異体を精製し、粘度計で試験する前に、総タンパク質及び比活性度を測定した。
SC, Ethyl, 及びXtraのいずれよりも良い性能を示した。これら2種の変異体は、低ピーク粘度を特徴とするXtraよりも低いピーク粘度と、低最終粘度を特徴とするLiquozyme
SC及びEthylよりも低い最終粘度を示した。低タンパク質濃度の場合(総タンパク質20μg)、変異体とLiquozyme SCのピーク粘度の差は、より顕著に表れた。図9、10、及び11を参照。
水と希薄スティレッジの70:30混合液を用いてトウモロコシ全粒粉の32%(乾燥固形トウモロコシ)スラリーを調製した。10N NaOHによりスラリーのpHをpH5.8に調整した。水と蒸気を用いて、ジャケット付きケトル中のスラリーを70℃(華氏158度)まで加熱した。液状化用酵素(SPEZYME Xtra,
LiquozymeSC, またはS242Q)を添加し、約10分かけてスラリーを85℃(華氏185度)まで加熱した。
スラリーの温度が85℃に達した後、85℃でさらに10分間インキュベートした。パイロットプラントのジェットクッカー(Hydro-Thermal Corp.社, Waukesha, WisconsinのM103ハイドロヒーター付)を用いて、スラリーを107℃(華氏225度)に保たれたジェットクッカーに滞留時間3分で流通させた。ジェットクッカーから液状化物を回収し、85℃の水浴中に入れた。ジェットクッキング後の液状化物に、再度液状化用酵素を添加した。液状化物を85℃に保ちながら、連続的に90分間撹拌した。0, 30, 60 及び90 分後にサンプルを採取した。
ジェットクッキング後のサンプルの全てについて、DE(Schoorls法を用いた)と粘度(Brookfield型粘度計(Lab-Line Instruments Inc.社, Melrose Park, IL), スピンドル3使用、20rpmで測定)を測定した。
ジェットクッキングの前及び後における液状化酵素の添加量は「X + Y」の形で表示した。ここで、Xはジェットクッキング前の添加酵素単位数を表し、Yはジェットクッカーを流通させた後の液状化物への添加酵素単位数を表す。
結果を図12及び13に示す。
液状化用熱安定アルファ−アミラーゼの熱安定性に対するフィチン酸阻害の除去効果を検討した。
ジャケット付きケトル中で、トウモロコシ全粒粉(Badger State Ethanol社, Monroe, WIから入手)と、30% v/vの希薄スティレッジを含む水とを用いて、トウモロコシ固形成分の最終濃度が約32%のスラリーを調製した。スラリーを十分混合し、pHを測定した(pH5.2)。pH調整は行わなかった。
ジャケット付ケトル中でスラリーを混合し、前処理温度である70℃まで昇温した。70℃に達する直前に、液状化用酵素、すなわちアルファ−アミラーゼ(トウモロコシ乾燥固形成分1グラム当り4AAU)を添加した。フィターゼを添加(トウモロコシ乾燥固形成分1グラム当り4FTU)した同様のスラリー、及びフィターゼ無添加の同様のスラリーを処理しインキュベートまたは第1液状化工程を開始した。アミラーゼが添加され、フィターゼが添加または無添加のスラリーを30分間インキュベートした。
この実施例で用いたフィターゼはBP-17であった。この実施例ではフィターゼをアミラーゼと同時に添加したが、例えばアミラーゼの前に添加する等、別々に添加することもできる。
ジャケット付ケトル中で、トウモロコシ全粒粉(Badger State Ethanol社, Monroe, WIから入手)と、30% v/vの希薄スティレッジを含む水とを用いて、トウモロコシ固形成分の最終濃度が約32%のスラリーを調製した。スラリーを十分混合し、pHを測定した(pH5.2)。
ジャケット付ケトル中でスラリーを混合し、70℃まで昇温した。70℃に達する直前に、液状化用酵素、すなわちS242Qアルファ−アミラーゼ変異体(トウモロコシ乾燥固形成分1グラム当り3AAU)を添加し、インキュベートまたは第1液状化工程を開始した。アルファ−アミラーゼ存在下でフィターゼを添加(トウモロコシ乾燥固形成分1グラム当り4FTU)した同様のスラリー、またはフィターゼ無添加の同様のスラリーを30分間インキュベートした。
この実施例ではフィターゼをアミラーゼと同時に添加したが、例えばアミラーゼの前に添加する等、別々に添加することもできる。
得られた液状化物を、実施例10Bで使用した。
ジャケット付きケトル中で、トウモロコシ全粒粉(Badger State Ethanol社, Monroe, WIから入手)と、30% v/vの希薄スティレッジを含む水とを用いて、トウモロコシ固形成分の最終濃度が約32%のスラリーを調製した。スラリーを十分混合し、pHを測定した(pH5.2)。希釈したNaOHを用いてpHを5.8に調整した。
ジャケット付きケトル中でスラリーを混合し、前処理温度である70℃まで昇温した。70℃に達する直前に、液状化用酵素、すなわちS242Qアルファ−アミラーゼ変異体(トウモロコシ乾燥固形成分1グラム当り3AAU)を添加し、インキュベートまたは第1液状化工程を開始した。
このスラリーを、フィターゼは添加せずにアルファ−アミラーゼの存在下で30分間インキュベートした。
上記の実施例は、pH5.5のスラリーで行った。図21参照。得られた液状化物は、実施例10Aで使用した。
インキュベーション(第1液状化)の際、BP-17フィターゼを添加することにより、粉砕全粒トウモロコシ中のフィチン酸含有量が0.60%トウモロコシdsから0.09%トウモロコシdsまで低下した(低下率>85 %)(図20)。図14及び15に示されたDE(デキストロース当量)の増加または粘度の減少からも、華氏225度(107.2℃)におけるジェットクッキングによりアルファ−アミラーゼがインキュベートされたことが認められる。
しかし、90℃の第2液状化工程におけるDE生成進行と粘度低下に示されるように、ジェットクッキングの前にフィターゼを添加することによりアルファ−アミラーゼの熱安定性が顕著に増加した。同様の結果は、図14及び15に示すジェットクッキングにおいても認められた(データは示していない)。
理論により限定するものではないが、フィターゼの添加により、アミラーゼの活性に対するフィチン酸の阻害作用が最小化、減少、または除去されるものと考えられる。
アルファ−アミラーゼのフィチン酸による阻害作用を除去したときの、アルファ−アミラーゼの熱安定性の増加について検討した。全粒トウモロコシの第2液状化工程の前に、フィターゼを用いてフィチン酸を加水分解し、低pHにおけるpH安定性改善効果を評価した。
rpm)を測定した。DE生成進行と粘度のデータを図16〜17に示す。
図20に示すように、DE生成進行速度はフィターゼの添加量とともに増加し、4
FTU/gm dsにおいて最大になる。これらの結果から、フィターゼはスラリーからフィチン酸を除去することによってS242Qアルファ−アミラーゼ変異体の熱安定性を増加させることが示される。
この実施例では、S242Qアルファ−アミラーゼ変異体に対するpHの影響を検討した。
水と希薄スティレッジの比が70:30の混合物を用いて、32%(トウモロコシ固形成分)の全粒トウモロコシのスラリーを調製した。スラリーのpHは5.2であった。H2SO4を用いてスラリーのpHを4.2から4.8の範囲まで下げた。
水と蒸気を用いて、ジャッケット付ケトル中でスラリーを70℃まで加熱した。スラリーに液状化用酵素、すなわちS242Qアルファ−アミラーゼ変異体(4 AAU/gm ds)を添加し、さらにBP-17(4 FTU/gm ds)を添加した。スラリーの前処理を、温度70℃一定で45分間した。次に、スラリーを90℃の水浴中に入れた。連続的に撹拌しながら、90℃において90分間、液状化を行った。0, 30, 60 及び90分後にサンプルを採取した。全てのサンプルについて、DE(Schoorls法による)、及び粘度(Brookfield粘度計、スピンドル2、20
rpm)を測定した。DE生成進行と粘度のデータを図18〜19に示す。
液状化物をエタノール発酵における発酵原料として用いて、エタノール生産を行った。
トウモロコシ全粒粉(Badger
State Ethanol社,
Monroe, WIから入手)のスラリーに、30% v/vの希薄スティレッジを含む水を混合して、最終濃度が約32% dsのスラリーを調製した。
実施例8、パートCに示した液状化物を用いた(液状化物A)。同時糖化発酵(SSF)工程の前に、H2SO4を用いて第2液状化物のpHを4.2に調整した。
実施例8Bの液状化物を用いた(液状化物B)。SSF前のpH調整は行わなかった。
各実施例では、培地を調製する前に容器の風袋重量を測定した。32% DSトウモロコシ液状化物を2Lのフラスコに入れた。Red Star Ethanol Redイースト(RED STAR社(Lesaffre))接種材料を、このイースト10グラムに 1グラムのグルコースと40グラムの水を添加し、1時間ゆっくり撹拌して調製した。
接種材料5mlを平衡化した各発酵槽に入れ、次にG ZymeTM
480 Ethanol (Danisco US Inc社, Genencor Division)を0.4 GAU/g dsトウモロコシに添加し、同時糖化発酵を開始した。最初の総重量を記録し、フラスコを32℃に保たれた水浴中に入れた。異なる時間間隔でサンプルを採取し、HPLCを用いて炭水化物とエタノールの含有量を測定した。さらに、1キログラムの各液状化物を用いて発酵を行った。発酵中の重量の低下を異なる時間ごとに測定した。アルコールの量は、二酸化炭素の放出に伴う重量低下に基づき測定した。
発酵の終わりに、最終総重量を測定した。培養液を5Lの丸底容器に定量的に移した。真空下で蒸留を行い、200mlの水が入った受け容器中に約800mlのエタノールを回収した。エタノールを2Lになるまで希釈し、HPLCで分析した。容器内残留物を乾燥する前に、その重量とDSを測定した。残留澱粉の分析はDDGS(可溶分入り蒸留乾燥粒)を用いて行った。化学量論計算は、重量損失、蒸留物、及び残留澱粉の分析結果に基づき行った。
[CO2の重量減少を用いたエタノール量の計算]
EtOH生成量(mmol)
= CO2重量減(g)/88
EtOH生成量(g) =
(CO2重量減(g)/88)×92 → CO2重量減(g)×1.045
EtOH生成量(ml) =
((CO2重量減(g)/88)×92)/0.789 → CO2重量減(g)×1.325
Table 11に、pH無調整で行ったプロセス、及び従来プロセスの各プロセスにおけるDDGS(可溶分入り蒸留乾燥粒)中の硫酸塩含有量及びフィチン酸含有量を示す。
このデータは、これら2つのプロセスにおける遊離硫酸塩含有量とフィチン酸含有量の大きな違いを示している。
インキュベーションにおいて熱安定性アルファ−アミラーゼにフィターゼを添加することにより、低フィチン酸含有量、高有効(遊離)リン酸塩含有量、低硫酸塩含有量のDDGSが得られた。
すなわち、pH調整を行わないプロセスにより、澱粉を液状化する際の液状化用熱安定性アルファ−アミラーゼの低pHにおけるpH安定性が付与される。
実施例において、以下の評価方法を用いた。これらの方法を一部変更した場合、各実施例に変更点を記載した。これらの評価方法において、反応により生じた生成物の吸光度の測定には分光光度計を用いた。
[BCA (ビシンコニン酸)アッセイ]
マイクロタイタープレートスケールのサンプルのタンパク質含有量の測定には、BCA (Pierce)アッセイを用いた。使用した薬品及び試薬は:BCAタンパク質評価用試薬とPierce希釈緩衝液(50mM MES, pH6.5, 2mM CaCl2, 0.005% TWEENTM-80)であった。使用した測定装置はSpectraMAX
(340型;
Molecular Devices社)のMTP読取機であった。マイクロタイタープレートはCostar社製(9017型)であった。
ブラッドフォード染料試薬(Quick
Start社)法を用いて、マイクロタイタープレートスケールのサンプルのタンパク質含有量を測定した。使用した薬品及び試薬は:Quick Startブラッドフォード染料試薬(BIO-RAD カタログNo.500-0205)、及び希釈緩衝液(1OmM NaCl, 0.1mM CaC12, 0.005%TWEENTM-80)であった。使用した装置は、Biomek FX
Robot (Beckman社)、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(9017型)のマイクロタイタープレートを用いた。
この評価で用いた洗剤は、酵素を含まない洗剤か、または市販の洗剤中の酵素を本願に開示する熱不活性化法で不活性化した洗剤であった。使用した装置はEppendorf Thermomixer、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(9017型)のマイクロタイタープレートを用いた。
HDL;米国の条件)>
Milli-Q水の硬度を6gpg(Ca/Mg=3/1)に調整し、増白剤無添加で1.5g/1のAATCC 2003標準参照液状洗剤を添加した。洗剤溶液を少なくとも15分間激しく撹拌した。次に、5 mM HEPES(遊離酸)を添加してpHを8.0に調整した。
本願に開示した方法により試験用洗剤を調製した。使用した装置は、New Brunswick Innova 4230振蕩/インキュベータ、及びSpectraMAX(340型) MTP読取機であった。Costar社製(3641型)のマイクロタイタープレートを用いた。Center for Test Materials (Vlaardingen, Netherlands)から入手した黄色染料入り熟成米澱粉見本片(CS-28)を使用した。
この見本片を水洗した後、0.25インチの円形小見本片を切り取った。96ウエルのマイクロタイタープレートの各ウエルに、小見本片を2枚ずつ入れた。試験用洗剤の温度を20℃(北アメリカ条件)または40℃(西ヨーロッパ条件)に保った。
小見本片が入れられたマイクロタイタープレートの各ウエルに、洗剤溶液190μLを添加した。この混合物に、希釈した酵素溶液を10μL添加した。マイクロタイタープレートを接着性薄膜でシールし、所定の温度(20℃または40℃)のインキュベータ中において750rpmで撹拌しながら1時間インキュベートした。
その後、各ウエルから溶液を150μL採取し、新しいマイクロタイタープレートに入れ、SpectraMAX
MTP読取機を用いて488nmにおいて測定し、洗浄効果を評価した。小試験片と洗剤を含み酵素は含まない参照サンプルと、ブランクサンプルについても洗浄効果を評価した。
吸光度の測定値を、ブランクの値(すなわち酵素を用いずにインキュベートした小見本片の測定値)で較正した。得られた吸光度の値を加水分解活性の指標とした。
いくつかの実施例では、アルファ−アミラーゼの濃度と比活性度を、抑制性ポリクロナール抗体を用いた滴定により求めた。バシラス・ステアロサーモフィリスのアルファ−アミラーゼ (AmyS)に対するポリクロナール抗体は、AmyS及びバシラス種 TS23由来のアルファ−アミラーゼに対する抑制性が強いことが分かった(例えば結合力が強いため、滴定した抗体の量に比例してアミラーゼの活性が直線的に低下する)。すなわち、この抗体を用いて酵素濃度を測定することができ、さらにこの濃度測定値から比活性度を求めることができる。
変異体タンパク質サンプルの電気泳動移動度を、PHASTGELシステム(GE Healthcare社)を用いて、プレキャストした濃度7.5%または12.5%ネイティブポリアクリルアミドゲル(PHASTGEL Homogeneous)上で測定した。0.88 M L- アラニン中のpH 8.8の 0.25 M Tris緩衝液から成るバッファー・ストリップ(PHASTGEL Native)を用いた。典型的な電気泳動条件は、アノードとカソード間の距離3.7cm、400Vで12.75分であった。
μgのタンパク質のサンプルと、5%グリセロール+ 0.05% ブロモフェノールブルーとを混合し、ゲル上の各レーンで測定した。電気泳動は、100Vで1時間行った。
blue)染料で染色し、10%メタノール及び10%酸性水溶液で脱色した。使用したネイティブゲルの種類に応じて、12から20種のタンパク質変異体を同時に測定した。これにより、同一ゲル上の標準電荷ラダーに対するタンパク質変異体サンプルの電気泳動移動度を速やかに評価することができた。
市販の洗剤を用いて、酵素以外の成分の性能を維持しながら、洗剤に含まれるタンパク質成分の酵素活性を熱により不活性化させた。すなわち、この方法は酵素変異体の試験において使用する市販の洗剤の調製に適している。
北アメリカ(NA)と西ヨーロッパ(WE)のヘビーデューティ衣類液状 (HDL) 洗剤の場合、計量した液状洗剤(ガラス瓶入り)を95℃の水浴中で2時間加熱して不活性化した。北アメリカ(NA)と日本(JPN)のヘビーデューティ衣類液状 (HDG) 洗剤の場合、8時間加熱して熱不活性化し、西ヨーロッパ(WE)のHDGは5時間加熱して熱不活性化した。NAとWEの自動食器洗浄機(ADW)用洗剤は8時間加熱して熱不活性化した。これらの洗剤はスーパーマーケットで購入した。
不活性化の程度を正確に測定するため、熱処理した洗剤、及び熱処理していない洗剤の両者を5分以内に溶解して試験に用いた。洗剤の活性はsuc-AAPF-pNA法で行った。
TERG-O-TOMETER法による洗浄性能の評価>
タンパク質及び炭水化物汚れの標準的な洗浄試験方法を用いた。布見本片の汚れの程度は、洗浄の前と後に標準的な方法で測定した。布見本片は、トウモロコシ澱粉、米澱粉、または血、ミルク、及びカーボンブラック混合物のいずれかで汚された綿布であった。布見本片はTestfabrics, Inc.社 (West Pittiston, PA)から購入した。トウモロコシ澱粉(EMPA 161)、血、ミルク、及びカーボンブラック(EMPA 116)人口汚れ材はCenter for Testmaterials BV 社製(Vlaardingen, Netherlands)であった。
各サンプルの試験前後における汚れの程度を、D65 (6500°K)標準光源を備えるMinolta Reflectometer CR-410を用いて、光反射率により測定した。L, a, b値の違いを、CIE-LAB色空間により定義された全色差(dE)に変換した。汚れの洗浄効果は、未洗浄(洗浄前)と非汚染の布の全色差の差に対する洗浄前後の全色差の差の比率から求めた、汚れ除去指数(%SRI)として表した。
洗浄試験で用いた洗剤は、pH8の5mM HEPES緩衝液を含む1.5 g/LのAATCC HDL WOB 2003液状洗剤、0.7g/LのAATCC HDD WOB 1993顆粒状洗剤、過ホウ酸塩及びTAED漂白剤を含む8g/LのIEC A* 60456顆粒状洗剤、または5g/LのPersil Power Gel液体洗剤であった。
酵素を直接洗浄液に入れ、次に40g/Lまたは200g/Lの汚れ見本片布を完全に洗浄液に漬かるようにして入れて反応を開始した。洗浄は100rpmで撹拌しながら、 20℃、25℃、30℃、40℃、または50℃において、10, 15, または40分間行った。洗浄後、汚れ見本片を水道水で3分間すすぎ洗いし、電気洗濯機により1000rpmで脱水して余分な水を除き、低温のパーマネントプレスモードの乾燥機で約45分間乾燥させた。
光反射率測定により汚れ除去の程度を評価し、汚れ除去指数(%SRI)を求めた。実験の参照条件では酵素を用いずに洗浄し、ポジティブ参照条件では数種類の市販の酵素を用いて洗浄した。
EnzChekTM Ultra Amylase Assayキット (E33651, Invitrogen社)を用いてBODIPY-澱粉アッセイを行った。
1mg/mLのDQ澱粉基質ストック溶液を、凍結乾燥された基質が入れられたバイアルにpH4.0の50 mM酢酸ナトリウム緩衝液100μLを加えて溶解させることにより調製した。このバイアルを約20秒振り混ぜた後、室温で暗所に置き、時々撹拌して完全に溶解させた。バイアルにアッセイ緩衝液(50mM酢酸ナトリウムと2.6mM CaCl2, pH5.8)900μLを加え、20秒間撹拌した。この基質溶液を室温で暗所に置き、使用するまで4℃で保管した。
この1mg/mL基質溶液からアッセイ緩衝液を用いて100μg/mLの試験用溶液を調製し、試験に供した。100μg/mLの基質溶液190μLを、平底96-ウエルマイクロタイタープレートの各ウエルに入れた。各酵素サンプル10μLをウエルに入れ、サーモミキサーを用いて800rpmで30秒間撹拌した。基質と緩衝液のみを含むブランクサンプル(酵素を含まないブランク)も含めてアッセイを行った。マイクロタイタープレート蛍光読取機を用いて、蛍光強度の変化率を25℃で5分間測定した(励起波長: 485 nm, 蛍光測定波長: 520 nm)。
[トウモロコシ粉基質の澱粉加水分解による酵素活性評価]
粉体分配装置(V&P
Scientific社)を用いてオーガニックトウモロコシ粉(Azure
Farms社, lot
no. 03227)をGreiner96-ウエルマイクロタイタープレート(ポリプロピレン製、黒、平底チムニーウエル、Cat.
No. 655209) 上に均一に撒いた。
各ウエルにpH5.6の20mM酢酸ナトリウム85μLを入れ、混合した。マイクロタイタープレート上を薄膜でシールし、70℃のサーモミキサーで20〜30分間、予備インキュベートした。20mM酢酸ナトリウム緩衝液により、各酵素サンプルをAgilentポリプロピレンプレート(5042-1385)中で希釈した。希釈した酵素サンプル11μLを、基質の入ったプレートに添加して別の薄膜で密閉した。
次にプレートを、95℃に予備加熱され、金属ブロックを備えたLabnet VorTemp 56 インキュベータ/振蕩機に移し、500rpmで振蕩した。30分間インキュベートした。振蕩後、プレートを氷上で急冷し、100μLの0.1N H2SO4を各ウエルに添加して澱粉加水分解反応を停止させた。プレート中のサンプルを軽く撹拌して、澱粉加水分解反応生成物をPAHBAHアッセイまたはHPLCで分析した。
0.5N水酸化ナトリウム80μLを空のPCRプレートの各ウエルに入れ、次に20μLのPAHBAH試薬(5%w/v p-ヒドロキシ安息香酸ヒロラジド(PAHBAH,
Sigma # H9882, 0.5N HCl中に溶解)を入れて混合した(PAHBAH反応プレート)。10μLの澱粉加水分解反応上清をPAHBAH反応プレートに添加した。全てのプレートをシールして95℃のサーモサイクラー(MJ Research Tetrad)で2分間処理し、次いで20℃まで冷却した。処理後のPAHBAH反応混合物のサンプル80μLを読取プレートに入れ、分光光度計で405nmの吸光度を測定した。
Sigma (St. Louis, MO) から入手した標準溶解性糖質(DP1-DP7)をMilli-Q水で100mg/mLに希釈し、糖質のピークエリアを実際の糖質濃度へ換算するために使用した。前記澱粉加水分解アッセイにおいて反応を終了させたプレートのサンプルを、Beckman Coulter Allegra 6R Centrifugeを用いて25℃、3000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離プレートから上清をピペットで採取し、Multiscreen-HVフィルタープレート(Catalog No. MAHVN4550)に移した。
このフィルタープレートをHettich
Rotanta遠心分離機中のAgilent
HPLCプレート上で、25℃、6000rpmで10分間遠心分離した。きれいな別のAgilent HPLCプレートの各ウエルに50μLの0.01N硫酸移動相(0.1N硫酸をMilli-Q水で10倍に希釈)を入れた。濾過したサンプルを軽く撹拌し、この濾液50μLを、各ウエルに50μLの移動相が入れられたプレートの対応するウエルに移した。希釈した標準糖質をプレートの空のウエルに入れ、較正用として使用した。
プレートの内容物をプラットホーム振蕩機で軽く撹拌し、プレートをNalgene Pre-slit Well Capで覆った。HPLCカラム(Bio-Rad Aminex HPX-87Hカラム Cat No. 125-0140)に、移動相2リットルを一定速度0.6mL/分で流し状態調整した。
プレート中の全てのサンプルについて、カラムに20μL注入し、検出器にAMINEXH.M及びRID (屈折率)を用いて分析した。分析後、HPLCカラム中の流速を0.05mL/分に下げた。
この評価では、粘度計を用いてトウモロコシ澱粉基質溶液の粘度低下を測定した。
蒸留水中にトウモロコシ粉乾燥固形成分30%を含むトウモロコシ澱粉基質スラリーを作り、硫酸を用いてpHを5.8に調整した。測定毎に50グラム(乾燥固形成分15グラム)を計量し、10分間予備インキュベートして70℃にした。アミラーゼを添加した後、温度を直ちに70℃から80℃に上げ、粘度計の回転速度を75rpmにした。スラリーとアミラーゼの混合物の温度が85℃に達したら、温度を一定に保ちながら粘度を30分間測定した。
トウモロコシ茎葉及び繊維に対するアミラーゼ(AmyS)電化ラダー(電荷変化= 野生型AmySに対し-12から+12)の基質結合性を評価した。使用した基質には搾りかす(National Renewable Energy Laboratoryが希釈酸で前処理、洗浄しpH5に緩衝したブラジルのサトウキビ搾りかす)、AFEX(アンモニア繊維膨潤トウモロコシ茎葉)、及びPCS (希硫酸で前処理し、洗浄し、pH5に調整されたトウモロコシ茎葉)が含まれていた。全ての基質について、使用する前に固形成分濃度を所定の値に調整した。
試験に用いるアミラーゼ電荷ラダー変異体を精製し、濃度200ppmに希釈した。ホウ酸塩緩衝液(40mM, pH8.5, 0.016% Tween-80)を用いて1%セルロース繊維溶液を調製した。150μLの繊維溶液をマイクロタイタープ濾過レートの各ウエルに入れた。150μLのホウ酸塩緩衝液を、参照用として別のウエルに入れた。10μLのアミラーゼ荷電ラダー変異体を、各々2サンプルを一組として濾過プレートに入れた。濾過プレートを室温で2時間インキュベートした。濾液を回収し、上清中のアミラーゼ活性をBODIP Y-澱粉アッセイにより測定した。
標準洗浄条件において、アミラーゼ変異体をCS-28米澱粉小見本片とともに、またはCS-28米澱粉小見本片無しで30分間インキュベートした。BODIPY-澱粉アッセイにより遊離酵素の量を測定した。小見本片に結合した酵素の量を次の式により計算した:
結合割合 = (見本片無での酵素活性 - 見本片有での酵素活性) / (見本片無での酵素活性)
この実施例では、バシラス・ステアロサーモフィリスアミラーゼのアルファ−アミラーゼ由来の欠失突然変異体 (S242Q突然変異と、C-末端における29アミノ酸欠失とを有する;本願ではS242Qと呼ぶ)、及びB.スブチリス中でのこの変異体の産出について説明する。
形質転換は公知の方法で行った(例えばWO 02/14490参照)。親アミラーゼをコードする遺伝子をpHPLT発現ベクター中にクローン化した。pHPLT発現ベクターは、LATプロモータ(PLAT)、LATシグナルペプチド(preLAT)をコードする配列、及びこれに続くクローン化用のPstl及びHpal 制限酵素認識部位を有する。
このB.スブチリス細胞はキシロース誘導プロモータに結合されたコンピテンシー遺伝子(comK)を有するので、DNA結合及び取り込み能力を誘導するためにキシロースを用いた(Hahn et al , MoI. Microbiol, 21 : 763-775, 1996参照)。
110 = pUB 110複製起源; neo = pUBl 10のネオマイシン耐性遺伝子由来; Plat = B.リケニホルミスアミラーゼ由来の転写プロモータ; Pre LAT = B.リケニホルミスアミラーゼ由来のシグナルペプチド;SAMY 425ss = 欠失AmyE遺伝子配列のコード領域 (本願において発現される欠失AmyE変異体のコード領域で置換されたもの);及びターミネーター = B.リケニホルミスアミラーゼ由来の転写ターミネーターが含まれる。
この実施例では、上記の実施例の形質転換B.スブチリスの種々の遺伝子組み換え酵素を発現させる方法について説明する。
mLスケール>
S242Q(またはその変異体)
を含むB.スブチリスクローン発現ベクターを、グリセロールストック液からの自己複製子をLB培養液150μL + 10μg/ml ネオマイシンを含む96-ウエル培養プレート(BD, 353075)に入れ、37℃、220rpmで加湿雰囲気下において一晩培養することにより複製した。
5mL のプラスチック製培養チューブ中で、一晩培養した培養液100μLを合成培地2000μL+ 10μg/mlネオマイシンに植菌した。培養媒体には、MOPS緩衝液中に窒素源としての尿素、炭素源としてのグルコース、及び健全な細胞を成長させるための1% SOYTONEとカルシウム5mM を含む、富栄養半合成培地を用いた。
培養チューブ内の試料を37℃、250rpmで72時間インキュベートした。インキュベートした後、培養液を3000 x gで10分間遠心分離した。上清を15mLのポリプロピレン製円錐管に静かに移し、次に80μLのサンプルを96ウエルプレートに分取し、タンパク質を定量した。
この実施例では、酵素電荷ラダーの作り方と組み合わせ電荷ライブラリーの構築方法を説明する。
様々な物性を有する多数のタンパク質変異体を、公知の部位特異的突然変異誘発法(例えばGenencor International出願、U.S. Pat. Appln. Ser. No. 10/576,331, 11/581,102, 及び11/583,334参照) で調製するか、または公知のライブラリーから選び出した。所定の複数のタンパク質プローブのセットを、対象とする試験方法で評価した。
以下の表に示すアミラーゼ変異体電荷ラダーの例について、本願に開示する方法で評価した。これらの表には、親酵素に対する電荷変化が示されている。
[B.ステアロサーモフィリス AmyS-S242Q CCLの構築]
形質転換したB.スブチリス株 (遺伝子タイプ: ΔaprE, ΔnprE,
amyE::xylRPxylAcomK-phleo)からAmyS-S242QプラスミドDNAを単離し、CCL構築用のテンプレートとしてDNA2.0 Inc.社へ送った。
DNA2.0 Inc.社
(Mountain View, CA)に、Table 15-2に示すAmy S- S242Q (S242Q)アミラーゼ中の各4部位のポジショナル・ライブラリーを構築するよう依頼した。変異体は96-ウエルプレート中のグリセロールストック液として送られてきた。
この実施例では、S242Q変異体を1.0 μg/ml含むAATCC HDL洗剤、または S242Q変異体を5 mM含むHEPES緩衝液の、様々なイオン強度下における小見本片評価試験について説明する。実施例12に示した方法を用いた(「米澱粉見本片によるアミラーゼの性能評価」と「トウモロコシ粉加水分解」参照)。
この限られたタンパク質プローブのセットにより特定された最適な電荷は、電荷組合せライブラリー全体について観察された最適な電荷に一致する。従って、複数のタンパク質プローブを用いることにより、電荷組合せライブラリー全体の挙動を予測することができる。
With Applications to Colloidal and Biological Systems, Academic Press 2nd Ed.
[1992])によれば、静電相互作用は主として、相互作用に関与する一定電位または一定電荷の物質(酵素、基質、繊維、及び洗剤)の間の二重層力の強度、そのサイズ、及び周囲環境の誘電率によって決まる。
洗剤処方等の複雑な媒体中での粒子の静電挙動を明らかにするためには、同一のDebye遮蔽距離を有する単純化された環境における粒子間の相互作用を明らかにすれば足りる。これは、洗浄時の洗剤と同じpHと伝導度の緩衝液を選択することにより、実施することができる。
このような試験に適した緩衝液は、異なる量のNaCl等の中立の電解質を含む pH8.0の5 mM HEPES緩衝液である。この緩衝液にNaCl を2.5 mM 添加することにより、pHと伝導度を北米の洗浄条件に適合させることができる。さらに高濃度のNaClを添加すれば、一般に水の硬度が高いことと洗剤濃度が高いことによりイオン強度が高い、日本及び欧州の洗浄条件に適合させることができる。
この実施例では、熱安定性とタンパク質電荷の関係の評価について説明する。アルファ−アミラーゼの評価は、上清の加熱前後でのBODIPY澱粉加水分解に基づいて行った。実施例12と同じ薬品及び試薬を用いた。
濾過した培養液上清を、002%Tween
を含むpH 5.8の50 mM酢酸ナトリウム + 2 mM CaCl2を用いて連続的に希釈した。希釈した各培養液上清10μLについて、BODIPY澱粉加水分解により初期アミラーゼ活性を求めるための試験を行った。各希釈培養液上清50μLを、薄型VWR PCR 96ウエルプレートに入れた。各ウエルに鉱物油30μLをシール剤として添加した。
このプレートを、BioRad
DNA engine Peltier Thermal Cyclerを用い、親酵素の安定性に応じて95℃において30分間または60分間インキュベートした。インキュベートした後、このプレートを4℃で5分間冷却し、室温で保存した。各サンプル10μLを新しいプレートに入れ、実施例1に示したBODIPY澱粉アッセイにより、最終的アミラーゼ活性を測定した。
サンプルの残留活性を、最終的吸光度と最初の吸光度の比で表わした。最終的吸光度と最初の吸光度はいずれもブランクにより較正した。比の値が大きいほど、変異体の熱安定性が良いことを示す。これは、液状衣類洗剤の酵素の熱安定性を改良するためにタンパク質の物性、この場合は正味電荷、を最適化する例である。
この実施例に、酵素の性能が電荷に影響され得ることを示す。
酵素の性能評価は、実施例12に示した不活性化した洗剤を用いて行った。性能指数(PI)が1より大きいものを、性能が良いとした。PIは、変異体の残留活性と親(すなわちS242Q)の残留活性との比率である。結果をTable 18-1 及び18-2に示す。
この実施例では、酵素の2種の性質が、タンパク質の電荷変化に対し相反する依存性を示すために負の相関関係にある場合でも、複数のアミノ酸置換の導入により、酵素のこれら2種の性質を同時に改善することができることを説明する。
例えば燃料エタノール製造や洗剤に用いられる澱粉液状化用の遺伝子組み換えAmyS-242Q変異体の場合、アミラーゼ発現特性と澱粉加水分解特性の両者が改善されることが望ましい。しかし、この2種の特性は両立しないように見える。
本願の方法によれば、単一突然変異を選択的に組み合わせることにより、澱粉加水分解特性を損なうことなくアミラーゼ発現特性を向上させることができる。本願の方法によれば、第1の特性(例えば発現特性)が向上し、第2の特性(例えば澱粉加水分解特性)が向上ないし維持された選択的多置換AmyS-242Q変異体を製造することができる。
本願の方法によれば、単一突然変異を選択的に組み合わせることにより、洗浄性能を損なうことなくアミラーゼ発現特性を向上させることができる。本願の方法によれば、第1の特性(例えば発現特性)が向上し、第2の特性(例えば米澱粉小見本片洗浄性能)が向上ないし維持された選択的多置換AmyS-242Q変異体を製造することができる。
Table 19-1に示す複数置換変異体は、親酵素と同等ないし改善された発現特性と、親酵素と同等ないし改善されたBODIPY-澱粉加水分解特性とを有する。またTable 19-2に示す複数置換変異体は、親酵素と同等ないし改善された発現特性と、親酵素と同等ないし改善された米澱粉洗浄性能とを有する。
26B, 27A 及び
27B参照)、負の相関関係にある(図25 A及び25B参照)。しかし、発現及び活性の両者が改善される変異体も多数存在し、ライブラリーを本願の方法で分析することにより、このような変異体を特定することができる。
S242変異体(S242A,
242A, 242C, 242D, 242E, 242F, 242G, 242H, 242I, 242K, 242L, 242M, 242N, 242P,
242Q, 242R, 242T, 242V, 242 W, 及び242Y)のライブラリーについて、タンパク質発現特性、pH 5.8及びpH 4における比活性度、Corn Flour 85に対する比活性度、及び
所定の温度での残留活性(実施例3参照) を評価した。この結果を、野生型(またはS242S親アミラーゼ)、及び参照酵素(SPEZYME ETHYL)と比較して示す。データをTable 20-1に示す。
B.スブチリスAmyS及びAmyS変異体のpH5.8及びpH4におけるマルトヘプタオースに対するアルファ−アミラーゼ活性を、比色分析による酵素結合速度分析を用いてグルコースの産出量を測定することにより測定した。酵素反応は、平底96-ウエルマイクロタイタープレートを用いて室温で行った。
pH5.8の評価では、AmyS及びAmyS変異体の各上清10μLを緩衝液40μLと混合した。緩衝液は酢酸ナトリウム(pH 5.8)、CaCl2、Tween-20、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ (Sigma-
Aldrich, cat. No. 8375)、及びグルコースオキダーゼ(Genencor OxyGoTM)から成り、最終的に容積を50μLにしたとき、各成分の濃度がそれぞれ50 mM, 2.6 mM, 0.005% (w/v), 20 U/ml, 及び50 U/mlとなる。
反応は、50mM酢酸ナトリウム(pH 5.8)、5.4 mg/mLの2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)ジアンモニウム塩 (Sigma-Aldrich社, cat. No. Al 888)、及びマルトヘプタオース10 mM
(Sigma-Aldrich社, cat. No. M7753) を含む緩衝液50 μlを添加することにより開始した。次に5秒間撹拌した。
SpectraMAX 250分光光度計(Molecular Devices社)を用いて、反応中の405nmにおける発色を9秒毎に240秒間測定した。酵素活性は、120〜240秒における測定値から求めた発色速度で表わした。
pH4.0における酵素活性の評価は、pH4.0の緩衝液を用いた点を除き上記と同じ方法で行った。
Claims (24)
- 配列番号1、配列番号2、及び配列番号15からなる群から選択された親アルファ-アミラーゼポリペプチド配列に、少なくとも95%の同一性を有し、かつ、配列番号1のアミノ酸位置242に相当する位置に置換を有するアミノ酸配列からなるアルファ-アミラーゼ変異体であって、
当該変異体は、アルファ-アミラーゼ活性と前記親アルファ-アミラーゼよりも5.7〜9.3℃高い融点(Tm)を有し、ここで前記融点(Tm)は、精製された状態かつカルシウムイオン無添加の状態で測定されたものであり、かつ、
配列番号1の位置242に相当するアミノ酸位置における置換はS242Q、S242E、及びS242Aからなる群から選択されるものである、
アルファ-アミラーゼ変異体。 - 請求項1に記載されたアルファ-アミラーゼ変異体であって、前記アミノ酸配列は、配列番号1のAmyS様アルファ−アミラーゼポリペプチド配列に少なくとも98%の同一性を有するものである、アルファ-アミラーゼ変異体。
- 請求項1に記載されたアルファ-アミラーゼ変異体をコードする単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載された単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項3に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは請求項4のベクターを含む単離された宿主細胞。
- バシラス・スブチリス(B.subtilis)、バシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バシラス・レンタス(B.lentus)、バチスル・ブレビス(B.brevis)、バシラス・ステアロサーモフィリス(B.stearothermophilus)、バシラス・アルカロフィリス(B.alkalophilus)、バシラス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バシラス・コアギュランス(B.coagulans)、バシラス・サーキュランス(B.circulans)、バシラス・ラウタス(B.lautus)、バシラス・ツリンギエンシス(B.thuringiensis)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・ムリナス(S. murinus);大腸菌、またはシュードモナス種である、請求項5に記載の単離された宿主細胞。
- a)請求項1に記載のアルファ-アミラーゼ変異体、とb)少なくとも1個の追加の酵素からなる澱粉液状化用組成物。
- 前記追加の酵素がフィターゼである、請求項7に記載の組成物。
- 前記フィターゼが配列番号31である配列を有する請求項8に記載の組成物。
- 澱粉スラリーを処理する方法であって、
a)澱粉スラリーに少なくとも1のフィターゼと、請求項1に記載のアルファ−アミラーゼ変異体の少なくとも1種類とを添加する工程であって、フィターゼとアルファ−アミラーゼとを同時またはほぼ同時に添加し、またはいずれかの順序で別々に添加する工程と、
b)フィターゼとアルファ−アミラーゼ変異体が活性化される条件下で澱粉スラリーをインキュベートする工程とを含む、澱粉スラリーを処理する方法。 - 前記フィターゼが前記アルファ-アミラーゼの前に添加されるものである、請求項10に記載の方法。
- 請求項10に記載の方法であって、前記澱粉スラリーは、前記フィターゼを添加した後、前記アルファ−アミラーゼ変異体を添加する前に、予備インキュベートされる方法。
- フィターゼの使用により、澱粉スラリーをフィターゼと接触させない同等の方法と比較して、アルファ−アミラーゼ変異体の熱安定性が増加する、請求項10に記載の方法。
- 前記フィターゼと前記アルファ−アミラーゼ変異体が前記デンプンスラリーに添加される前には、単一のブレンド物に含まれるものである、請求項10に記載の方法。
- 前記フィターゼが配列番号31のアミノ酸配列を有するものである、請求項10に記載の方法。
- 粉砕された穀物を含む澱粉含有スラリーから発酵性基質を製造する方法であって、
a)澱粉含有スラリーと、この澱粉含有スラリーから発酵性基質を生成させるために十分な量の少なくとも1のフィターゼ、及び少なくとも1の請求項1に記載のアルファ−アミラーゼ変異体を接触させる工程であって、前記フィターゼ、及びアルファ−アミラーゼ変異体との前記接触は、同時に、ほぼ同時に、または任意の順序で別々に始められる工程、及び
b)フィターゼとアルファ−アミラーゼ変異体が活性化される条件下で、発酵性基質を生成させるために必要な時間、澱粉含有スラリーをインキュベートする工程であって、フィターゼとの接触が前記アルファ−アミラーゼ変異体より先に行われ、前記アルファ−アミラーゼ変異体と前記澱粉含有スラリーとを接触させる前に、澱粉スラリーを糊化温度より0から30℃低い温度でインキュベートし、次いで澱粉を加水分解するために必要な時間、温度を糊化温度より高くする工程、
を含む方法。 - 澱粉含有材料または澱粉を処理する方法であって、澱粉含有材料または澱粉と、請求項1に記載のアルファ−アミラーゼ変異体を少なくとも1種類含む組成物とを、アルファ−アミラーゼ変異体が検出可能な活性を生じる条件下で接触させる工程を含み、前記澱粉含有材料または前記澱粉の少なくとも一部が前記アルファ−アミラーゼ変異体によって分解される方法。
- フィターゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングルカノトランスファラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、β−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インバターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチナーゼ、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、ヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、カラギナーゼ、またはこれらの2個以上の組み合わせである、少なくとも1の別の酵素を用いることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
- 澱粉分解、液状化、発酵、アルコール製造、甘味料製造、発酵性基質製造、洗浄、洗濯、汚染除去、または製パンのプロセスの一部である、請求項17に記載の方法。
- 1つの単位として提供される1以上のパッケージから成るキットであって、
前記キットは、
i)請求項1に記載のアルファ−アミラーゼ変異体の少なくとも1種と、
ii)少なくとも1の追加の酵素
とを含み、
エタノール製造、ビール製造、若しくはパルプ及び紙製造に使用されるキット、又は
洗浄若しくは洗濯用の洗剤組成物を処方するためのキット。 - さらに、前記アルファ−アミラーゼ変異体を使用するための取扱説明書と、澱粉分子の酵素による切断を含む有用なプロセスにおいて少なくとも1の追加の酵素とが含まれる請求項20に記載のキット。
- 前記追加の酵素がフィターゼである、請求項20に記載のキット。
- 配列番号1の位置97、319、358、または443に相当するアミノ酸の位置にさらにアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のアルファ-アミラーゼ変異体。
- アルファ−アミラーゼ変異体が配列番号1、配列番号2、及び配列番号15からなる群から選択されるアルファ−アミラーゼポリペプチドの配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなる、請求項1のアルファ-アミラーゼ変異体。
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