JP6585698B2 - バチルス(Bacillus)種のセリンプロテアーゼ - Google Patents

バチルス(Bacillus)種のセリンプロテアーゼ Download PDF

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願特許第61/968853号(2014年3月21日出願)の利益を主張するものであり、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、バチルス(Bacillus)種からクローニングされたセリンプロテアーゼ、及びその変異体に関する。セリンプロテアーゼを含有している組成物は、布地及び硬質表面のクリーニング、並びに様々な工業用途に好適である。
セリンプロテアーゼは、タンパク質のペプチド結合の加水分解を開始する、活性部位であるセリンを持つ酵素である(EC番号3.4.21)。これらはその構造に基づき、キモトリプシン様(トリプシン様)又はサブチリシン様の2つに大別される。原型のサブチリシン(EC番号3.4.21.62)は、元々B.ズブチリス(B. subtilis)から得られた。サブチリシン及びその相同体は、MEROPS分類法のうちS8ペプチダーゼファミリーのメンバーである。ファミリーS8のメンバーは、アミノ酸配列中に、Asp、His、及びSerの順で触媒トライアドを有する。
セリンプロテアーゼは産業用酵素の技術分野において古くから既知であるが、特定の条件及び用途に適した工学操作されたプロテアーゼが今なお必要とされている。
本発明の組成物及び方法は、バチルス(Bacillus)種からクローニングされた組み換えセリンプロテアーゼ、及びその変異体に関する。セリンプロテアーゼを含有している組成物は、布地及び硬質表面のクリーニング、並びに様々な工業用途に好適である。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸であり、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXaNLVXTSLGXSXVGGXbXXcDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、X、Xa、Xb、及びXcは任意のアミノ酸であり、ただしこのとき、Xaはアルギニンであり、Xb及びXcはグリシンではない。いくつかの実施形態では、モチーフのVXG配列はVQGである。いくつかの実施形態では、VQG配列は63〜65番目の残基位置にあり、このときポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、ポリペプチド又はその活性フラグメントは、80〜82番目の残基位置にあるVSG配列を含み、このときポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を有する組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、このとき挿入は39〜47番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、39〜47番目の残基位置はHQSLANLVNTSLGで置換されており、このとき残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を有する組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、このとき欠失は51〜64番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置はVGGSTMDVQGHで置換されており、このとき残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を有する組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、このとき欠失は68〜95番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、68〜95番目の残基位置はVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVで置換されており、このとき残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
いくつかの実施形態では、本発明は、WHY系統群の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、SWT77系統群の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、SWT22系統群の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、WP026675114系統群の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、BspAG00296系統群の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、ただし、このアミノ酸配列が、WP010283106、国際公開第2012175708号−0002、国際公開第2012175708号−0004、又は国際公開第2012175708号−0006を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、ただし、このアミノ酸配列が、WP010283106、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、又は同第2012175708号−0006を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002又は同第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002又は同第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであり、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。
いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、プロテアーゼ活性、具体的にはカゼイン加水分解活性を有する。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、8〜12の範囲のpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも50%を保持する。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、50℃〜75℃の範囲の温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも50%を保持する。いくつかの実施形態では、組み換えポリペプチドは、自動食器洗浄洗剤及び洗濯用洗剤等の洗剤組成物中でクリーニング活性を有する。
いくつかの実施形態では、本発明は、界面活性剤と、上記組み換えポリペプチドと、を含む、組成物である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、洗濯用洗剤、布地柔軟化洗剤、食器用洗剤、及び硬質表面洗浄用洗剤等の洗剤組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つのカルシウムイオン及び/又は亜鉛イオン、少なくとも1種の安定剤、少なくとも1種の漂白剤、リン酸塩、又はホウ酸塩を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、リン酸塩を含まず、及び/又はホウ酸塩を含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、粒状、粉末、固形、バー状、液体、錠剤、ゲル、ペースト、又は一回用量型組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、アシルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ−マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β−グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル−エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ、追加のセリンプロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、1つ又は2つ以上の追加の酵素又は酵素誘導体を更に含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、表面又は物品を上記組成物と接触させることを含む、クリーニング方法である。いくつかの実施形態では、本発明は、上記組み換えポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターによって、宿主細胞を安定的に形質転換することを含む、組み換えポリペプチドの産生方法である。
BspAG00296セリンプロテアーゼの発現用pHYT−BspAG00296のプラスミドマップを示す。 BspM04033セリンプロテアーゼの発現用pBN−BspM04033のプラスミドマップを示す。 DMC基質に対するBspAG00296のプロテアーゼ活性のプロットを示す。 DMC基質に対するBspM04033のプロテアーゼ活性のプロットを示す。 強力液体(HDL)洗濯用洗剤中のBspAG00296のクリーニング効率曲線を示す。 強力乾燥(HDD)洗濯用洗剤中のBspAG00296のクリーニング効率曲線を示す。 自動食器洗浄(ADW)洗剤中のBspAG00296のクリーニング効率曲線を示す。 強力液体(HDL)洗濯用洗剤中のBspM04033のクリーニング効率曲線を示す。 強力乾燥(HDD)洗濯用洗剤中のBspM04033のクリーニング効率曲線を示す。 自動食器洗浄(ADW)洗剤中のBspM04033のクリーニング効率曲線を示す。 WHY系統群、SWT77系統群、BspAG00296系統群、WP026675114系統群、及びSWT22系統群のサブチリシン、並びに様々なその他細菌由来のセリンプロテアーゼの系統樹を示す。 サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123のアミノ酸配列の、いくつかのその他細菌由来のセリンプロテアーゼ配列とのCLUSTAL Wアライメントを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。 サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123のアミノ酸配列の、いくつかのその他細菌由来のセリンプロテアーゼ配列とのCLUSTAL Wアライメントを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。 サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123のアミノ酸配列の、いくつかのその他細菌由来のセリンプロテアーゼ配列とのCLUSTAL Wアライメントを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。 サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123のアミノ酸配列の、いくつかのその他細菌由来のセリンプロテアーゼ配列とのCLUSTAL Wアライメントを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。 は、サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123のアミノ酸配列の、いくつかのその他細菌由来のセリンプロテアーゼ配列とのCLUSTAL Wアライメントを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。 触媒残基D33及びH66(BspM04033の一次配列による残基番号)によってカッコで囲まれるモチーフを含む、WHY系統群アミノ酸配列の領域の構造ベースのアライメントを示す。 WHY系統群のサブチリシンにおいて見いだされる、配列モチーフの変化の構造画像を示す。 BspAG00296及びSWT77−trの結晶構造からモノマーを重ねて示している図を示す。 SWT77−trの構造をB.レンタス(B. lentus)のサブチリシンと比較した際に見いだされる、配列モチーフの変化の構造画像を示す。
いくつかのバチルス(Bacillus)種由来の組み換えセリンプロテアーゼに関する組成物及び方法が記載される。この組成物及び方法は、特に組み換えBspAG00296及びBspM04033が、塩基性反応条件及び高温において、界面活性剤存在下でプロテアーゼ活性を有するという観察結果に一部基づいている。これらBspAG00296、BspM04033の特徴は、SWT77、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、及びSWT123で共有されていると予測され、この特徴によって、これらプロテアーゼが、布地及び硬質表面のクリーニング、並びに織物、皮革、及び羽毛の加工における使用に適するようになる。新規プロテアーゼは、洗濯用洗剤及び食器用洗剤が挙げられるが、これらに限定されない、タンパク質分解用組成物に含めるのにも適している。
I.定義
本組成物及び方法を詳細に説明する前に、明確にするために以下の用語が定義される。定義されない用語及び略語は、当該技術分野において用いられるそれらの通常の意味を有するものとする。本明細書で特に定義されない限りは、本明細書で使用する技術用語及び科学用語はいずれも、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。特に指定しない限り、本開示の実施は、当該技術分野内の分子生物学、タンパク質工学、微生物学及び組み換えDNAにおいて通常使用される従来技術を伴う。このような技術は当業者に既知のものであり、当業者に広く知られている数多くの文献及び参考文献に記載されている。本明細書に記載されているものと類似した又は等価な任意の方法及び材料が本開示の実施に使用されるが、本明細書には一部の好適な方法及び材料を記載する。以降で定義される用語は、総じて本明細書を参照することでより詳しく説明される。
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈に明示されない限り、複数形も包含する。別途記載のない限り、核酸配列は5’から3’方向に左から右に記述され、アミノ酸配列はアミノ基からカルボキシ基の方向に左から右に記述される。本開示が、これとは反対の指示がない限り、本明細書に記載されている特定の方法論、プロトコール及び試薬に限定されるものではないことを理解されたい。
本明細書全体を通して与えられるあらゆる最大数値限度は、それよりも小さいあらゆる数値の限度が、あたかもこうしたより小さい数値の限度が本明細書に明確に記載されているかのように包含されることが意図される。本明細書全体を通して与えられるあらゆる最小数値限定には、それよりも大きいあらゆる数値の限度が、あたかもこうしたより大きい数値の限度が本明細書に明確に記載されているかのように包含される。本明細書全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭い全ての数値範囲を、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように包含される。
数値に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、この用語が文脈において具体的に定義されない限り、数値の+/−0.5の範囲を指す。例えば、「pH約6」は、pHが具体的に定義されない限り、pHが5.5〜6.5であることを指す。
本明細書で使用するとき、用語「プロテアーゼ」及び「プロテイナーゼ」は、タンパク質及びペプチドを分解する能力を有する酵素を指す。プロテアーゼは、ペプチド又はポリペプチド鎖においてアミノ酸を共に結合してタンパク質を形成するペプチド結合を加水分解することにより「タンパク質分解」を行う能力を有する。タンパク質消化酵素としてのプロテアーゼのこの活性は、「タンパク質分解活性」と呼ばれる。タンパク質分解活性の測定には、多くの周知の手順がある。例えば、タンパク質分解活性は、各プロテアーゼが好適な基質を加水分解する能力を分析する、比較アッセイにより確認することができる。プロテアーゼ活性又はタンパク質分解活性の解析に有用な代表的な基質としては、限定するものではないが、ジメチルカゼイン(Sigma C−9801)、ウシコラーゲン(Sigma C−9879)、ウシエラスチン(Sigma E−1625)、及びウシケラチン(ICN Biomedical 902111)が挙げられる。これらの基質を用いる比色分析は当該技術分野において周知である(例えば、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,376,450号を参照されたい)。pNAペプチジルアッセイ(例えば、Del Mar et al.,Anal Biochem,99:316〜320,1979を参照されたい)も、活性酵素濃度の測定における使用が見出されている。このアッセイは、酵素が、可溶性の合成基質、例えばスクシニル−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p−ニトロアニリド(suc−AAPF−pNA)を加水分解する際に放出される、p−ニトロアニリンの放出速度を測定する。加水分解反応による黄色の生成速度を分光光度計で410nmにて測定するが、この速度は活性酵素濃度に比例する。更に、280ナノメートル(nm)での吸光度測定を利用して、精製したタンパク質サンプル中の全タンパク質濃度を求めることができる。「基質に対する活性」/「タンパク質濃度」により、酵素の特異的な活性が得られる。
プロテアーゼ等のポリペプチドに関連して本明細書で使用するとき、用語「変異体」は、親又は参照ポリペプチド(野生型ポリペプチドを非限定的に含む)のアミノ酸配列と少なくとも1つのアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。この違いは、挿入、欠失、又は置換のいずれかである修飾であってよい。いくつかの実施形態では、親又は参照ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるポリペプチド変異体は、1つ又は2つ以上の、自然発生的又は人為的なアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含む。別の実施形態では、親又は参照ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるポリペプチド変異体は、1つ又は2つ以上の、自然発生的アミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含む。更なる実施形態では、親又は参照ポリペプチドのアミノ酸配列と異なるポリペプチド変異体は、1つ又は2つ以上の、人為的なアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を含む。
本明細書で使用するとき、「バチルス(Bacillus)属」としては、当業者に既知の「バチルス(Bacillus)」属の全ての種を包含し、B.ズブチリス(B. subtilis)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.レンタス(B. lentus)、B.ブレビス(B. brevis)、B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)、B.クラウジイ(B. clausii)、B.ソノレンシス(B. sonorensis)、B.ハロデュランス(B. halodurans)、B.プミルス(B. pumilus)、B.ラウタス(B. lautus)、B.パブリ(B. pabuli)、B.セレウス(B. cereus)、B.アガラドハエレンス(B. agaradhaerens)、B.アキバイ(B akibai)、B.クラキイ(B. clarkii)、B.シュードファーマス(B. pseudofirmus)、B.レヘンシス(B. lehensis)、B.メガテリウム(B. megaterium)、B.コアグランス(B. coagulans)、B.シルクランス(B. circulans)、B.ギブソニイ(B. gibsonii)、及びB.チューリンギエンシス(B. thuringiensis)が挙げられるが、これらに限定されない。バチルス(Bacillus)属は分類学上の再構築を絶えず受けているものと認識される。したがって、B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)(現在では「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と命名されている)、又はB.ポリミクサ(B. polymyxa)(現在では「パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)」)等の生物が挙げられるが、これらに限定されない、これまでに再分類された種を包含するものと意図される。ストレスの多い環境条件下での耐性内生胞子の産生は、バチルス(Bacillus)属を定義する特徴であるとみなされているものの、この特徴は、近年、アリシクロバチルス(Alicyclobacillus)、アンフィバチルス(Amphibacillus)、アネウリニバチルス(Aneurinibacillus)、アノキシバチルス(Anoxybacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、フィロバチルス(Filobacillus)、グラシリバチルス(Gracilibacillus)、ハロバチルス(Halobacillus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、サリバチルス(Salibacillus)、サーモバチルス(Thermobacillus)、ウレビバチルス(Ureibacillus)、及びビルジバチルス(Virgibacillus)と命名された複数の属にも該当する。
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、本明細書ではほぼ同じ意味で使用され、ヌクレオチドモノマーが鎖状に共有結合している任意の長さのポリマーを指す。デオキシリボヌクレオチドからなるポリヌクレオチドであるDNA(デオキシリボ核酸)、及びリボヌクレオチドポリマーであるRNA(リボ核酸)は、異なる生物学的機能を有するポリヌクレオチド又は核酸の例である。ポリヌクレオチド又は核酸としては、限定するものではないが、一本鎖、二本鎖、若しくは三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリッド、又はプリン塩基及びピリミジン塩基、若しくは他の天然の、化学的に改変された、生化学的に改変された、非天然の、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが挙げられる。遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、発現配列標識(EST)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、運搬RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、リボザイム、相補的DNA(cDNA)、組み換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマーは、ポリヌクレオチドの非限定例である。
本明細書で使用するとき、用語「変異」は、参照アミノ酸配列又は核酸配列に生じた変化を指す。この用語には、置換、挿入及び欠失が包含されることを意図する。
本明細書で使用するとき、用語「ベクター」は、核酸を標的細胞又は組織の中に導入する又は移入するために使用される核酸構築物を指す。ベクターは、典型的には、外来DNAを細胞又は組織に導入するために使用される。ベクターとしては、プラスミド、クローニングベクター、バクテリオファージ、ウイルス(例えば、ウイルスベクター)、コスミド、発現ベクター、シャトルベクター等が挙げられる。典型的には、ベクターは複製開始点、マルチクローニング部位、及び選択マーカーを備えている。ベクターを標的細胞に挿入するプロセスは、典型的に形質転換と呼ばれる。いくつかの実施形態では、本発明は、セリンプロテアーゼポリペプチド(例えば、前駆体又は成熟セリンプロテアーゼポリペプチド)をコードするDNA配列を含むベクターを包含するものであり、当該DNA配列は、好適な宿主内でのDNA配列の発現、並びに組み換えポリペプチド鎖のフォールディング及び転座を行うことができる好適なプロ配列(例えば、分泌性のシグナルペプチド配列等)に機能的に連結される。
本明細書で使用するとき、用語「発現カセット」、「発現プラスミド」又は「発現ベクター」は、対象とする核酸を標的細胞で発現させるための組み換え又は合成により生成される核酸構築物又はベクターを指す。発現ベクター又は発現カセットは、典型的には外来核酸の発現を促進するプロモーターヌクレオチド配列を含む。また、典型的には発現ベクター又は発現カセットは、標的細胞で特定の核酸の転写を可能にする任意の他の指定された核酸エレメントを包含する。組み換え型発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片に組み込むことができる。多くの原核及び真核細胞発現ベクターが、市販されている。
本明細書で使用するとき、「プラスミド」は、染色体DNAとは独立して複製することのできる染色体外DNA分子を指す。プラスミドは二本鎖(ds)であり、環状であってもよく、典型的にはクローニングベクターとして使用される。
本明細書で、核酸配列を細胞に導入する文脈において使用するとき、用語「導入」は、核酸配列を細胞に移入するのに好適な任意の方法を指す。かかる導入法として、原形質融合、トランスフェクション、形質転換、エレクトロポレーション、接合、及び形質導入が挙げられるが、これらに限定されない。形質転換は、遺伝子材料(例えば、DNA)の取り込み、任意でゲノムへの組み込み、及び発現により生じる、細胞の遺伝的変化を指す。
本明細書で使用するとき、核酸は、別の核酸配列と機能的に関連を持つよう配置された場合に、別の核酸配列と「機能的に連結」される。例えば、プロモーターがコード配列の転写に影響を与える場合、プロモーター又はエンハンサーは、ヌクレオチドコード配列に機能的に連結される。リボソーム結合部位は、コード配列の翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に機能的に連結され得る。通常、「機能的に連結された」DNA配列は隣接している。ただし、エンハンサーが隣接する必要はない。連結は、好都合な制限部位におけるライゲーションにより達成される。このような部位が存在しない場合には、従来の実践に従い、合成オリゴヌクレオチドアダプタ又はリンカーが用いられ得る。
本明細書で使用するとき、用語「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば、DNAセグメント)を指し、コード領域の前及び後に続く領域を包含する。場合によっては、遺伝子は、個々のコード化セグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
本明細書で使用するとき、細胞を参照して使用する場合の「組み換え」は、典型的には、その細胞が外来核酸配列の導入により改変されていること、あるいは、その細胞がそのように改変された細胞から誘導されることを指す。例えば、組み換え細胞は、未改変(非組み換え型)の細胞において同一の形で見られない遺伝子を含み得るか、又は組み換え細胞は、改変されて細胞に再導入されている未改変の遺伝子(未改変の細胞で見られる)を含み得る。組み換え細胞は、細胞から核酸を除去することなく改変されている細胞に対して内因性の核酸を含み得るが、このような改変としては、遺伝子置換、部位特異的変異、及び当業者に既知の関連技術によって生じる改変が挙げられる。組み換えDNA技術には、インビトロで組み換えDNAを生産する技術、及び組み換えDNAが発現され得る又は増加し得る細胞に組み換えDNAを移入して、それによって組み換えポリペプチドが産生される技術が挙げられる。ポリヌクレオチド又は核酸の「組み換え」及び「組み換える」は、概して、2つ以上の核酸若しくはポリヌクレオチド鎖若しくは断片をアセンブル又は結合させて新しいポリヌクレオチド又は核酸を生成することを指す。
核酸又はポリヌクレオチドは、未改変の状態にせよ又は当業者に既知の手法により工学操作された場合にせよ、転写及び/又は翻訳されてポリペプチド又はそれらの断片を産生できるのであれば、ポリペプチドを「コードする」と言われる。このような核酸のアンチセンス鎖も、同様に、配列をコードすると言われる。
用語「宿主株」及び「宿主細胞」は、対象とするDNA配列を含む発現ベクターにとって好適な宿主を指す。
「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマー配列からなる。「タンパク質」及び「ポリペプチド」なる用語は、本明細書ではほぼ同じ意味で使用される。IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN)に従い定義されるアミノ酸の一文字表記及び三文字表記を、本開示全体を通して使用する。一文字のXは、20種のアミノ酸のうちのいずれかを指す。ポリペプチドは、遺伝子コードの縮重により1種以上のヌクレオチド配列によりコードされる場合があることも理解されたい。変異は、親アミノ酸の一文字表記、続いて位置番号、次に変異アミノ酸を表す一文字表記により記載される。例えば、87番目のグリシン(G)のセリン(S)への変異は、「G087S」又は「G87S」と表される。変異は、また、アミノ酸の三文字表記に続いて、ポリペプチド鎖のN末端から数えた位置により記載されることがあり、例えば、10番目のアラニンはAla10で記載される。複数の変異は、変異間に「−」、「+」、「/」又は「;」を挿入して示す。87位及び90位での変異は、「G087S−A090Y」若しくは「G87S−A90Y」、又は「G87S+A90Y」若しくは「G087S+A090Y」のいずれかとして表される。欠失については、一文字コード「Z」を使用する。親配列に対する挿入については、一文字コード「Z」を位置番号の左側に記載する。欠失については、一文字コード「Z」を位置番号の右側に記載する。挿入については、位置番号は、挿入されるアミノ酸の前の位置番号にアミノ酸毎に0.01を加えた番号である。例えば、位置87と88の間に三つのアミノ酸、アラニン(A)、セリン(S)及びチロシン(Y)を挿入することは、「Z087.01A−Z087.02S−Z087.03Y」と表される。したがって、上記の全ての変異に加え第100番目の位置に欠失が存在する場合には、「G087S−Z087.01A−Z087.02S−Z087.03Y−A090Y−A100Z」となる。改変について記載するとき、位置の後に続く括弧内に記載のアミノ酸は置換一覧を意味し、すなわち、その位置において、掲載の任意のアミノ酸により置換がなされる。例えば、6(L,I)とは、6位がロイシン又はイソロイシンで置換され得ることを意味する。
「プロ配列」又は「プロペプチド配列」とは、適切なフォールディング及びプロテアーゼの分泌にとって必要な、シグナルペプチド配列と成熟型プロテアーゼ配列との間のアミノ酸配列を指す。これらは、分子内シャペロン分子と称されることもある。プロ配列又はプロペプチド配列の開裂により、成熟型活性プロテアーゼを生じる。細菌由来のセリンプロテアーゼは、プロ酵素と表現されることが多い。
用語「シグナル配列」及び「シグナルペプチド」は、成熟型又は前駆体型タンパク質の分泌又は直接輸送に関与し得るアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、典型的に、前駆体型又は成熟型タンパク質配列のN端末に位置する。シグナル配列は内因性又は外来性であり得る。シグナル配列は通常、成熟型タンパク質には存在しない。シグナル配列は、典型的には、タンパク質の輸送後にシグナルペプチダーゼによりタンパク質から開裂される。
用語「成熟」型タンパク質、ポリペプチド又はペプチドとは、シグナルペプチド配列及びプロペプチド配列を持たないタンパク質、ポリペプチド又はペプチドの機能的形態を指す。
用語「前駆体」型タンパク質又はペプチドとは、タンパク質のアミノ末端又はカルボニル末端に機能的に連結されたプロ配列を有する成熟型タンパク質を指す。前駆体は、プロ配列のアミノ末端に、制御可能なように連結された「シグナル」配列を有する場合もある。前駆型タンパク質又はペプチドは、翻訳後活性に関係する追加のポリペプチド(例えば、前駆体から開裂されて、成熟型のタンパク質又はペプチドを後に残すポリペプチド)を有する場合もある。
アミノ酸配列又は核酸配列に関する用語「野生型」は、そのアミノ酸配列又は核酸配列が未改変又は自然発生的配列であることを示す。本明細書で使用するとき、用語「自然発生的」とは、自然界で見出される任意のもの(例えば、タンパク質、アミノ酸、又は核酸配列)を指す。反対に、用語「非自然発生的」とは、自然界で見出されない任意のもの(例えば、研究室で作製された組み換え核酸及びタンパク質配列、又は野生型配列の改変)を指す。
本明細書でアミノ酸残基の位置に関して使用するとき、「対応する(「corresponding to」又は「corresponds to」又は「corresponds」)」とは、タンパク質若しくはペプチド中の列挙された位置にあるアミノ酸残基、又はタンパク質若しくはペプチド中の列挙された残基と類似、相同、若しくは等価であるアミノ酸残基を指す。本明細書で使用するとき、「対応する領域」とは、概して、関連するタンパク質又は参照タンパク質における類似の位置を指す。
本明細書で使用するとき、用語「に由来する」及び「から得られる」とは、当該生物株により産生されるあるいは産生され得るタンパク質だけでなく、このような株から単離されるDNA配列によってコードされ、このようなDNA配列を含有している宿主生物で産生されるタンパク質も指す。更にこれらの用語は、合成DNA配列及び/又はcDNA起源のDNA配列によりコードされかつ当該タンパク質の識別特徴を有するタンパク質を指す。例示すると、「バチルス(Bacillus)に由来するプロテアーゼ」は、バチルス(Bacillus)により自然に産生されるタンパク質分解活性を有する酵素、並びにバチルス(Bacillus)供給源により産生されるものと類似しているが、遺伝子工学技術を使用することにより、セリンプロテアーゼをコードする核酸によって形質転換された他の宿主細胞によって産生されるセリンプロテアーゼを指す。
2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈において、用語「同一」は、以下に記載され、当該技術分野において既知の配列比較又は解析アルゴリズムを用いて測定されるとき、最大限一致するように整列させたときに同じである2つの配列中の核酸又はアミノ酸を指す。
本明細書で使用するとき、「相同遺伝子」又は「相同タンパク質」は、互いに同一又は非常に類似しており、共通の祖先に由来すると考えられる、一対の遺伝子又はタンパク質を指す。この用語は、種分化(すなわち、新種の発生)により分離される遺伝子又はタンパク質(例えば、オルソロガス遺伝子又はオルソロガスタンパク質)、並びに遺伝子複製により分離されている遺伝子又はタンパク質(例えば、パラロガス遺伝子又はパラロガスタンパク質)を包含する。
本明細書で使用するとき、「同一性%」又は「同一性パーセント」又は「PID」は、タンパク質配列の同一性を指す。同一性パーセントは、当該技術分野において既知の標準的手技を用いて決定できる。有用なアルゴリズムとして、BLASTアルゴリズムが挙げられる(Altschul et al.,J Mol Biol,215:403〜410,1990;及びKarlin and Altschul,Proc Natl Acad Sci USA,90:5873〜5787,1993参照)。BLASTプログラムは、そのほとんどがデフォルト値に設定される複数の検索パラメーターを使用する。NCBI BLASTアルゴリズムにより、生物学的類似性の点で最も相関する配列が特定されるものの、20残基未満のクエリ配列には推奨されない(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389〜3402,1997及びSchaffer et al.,Nucleic Acids Res,29:2994〜3005,2001)。核酸配列の検索におけるデフォルトのBLASTパラメーター例は次の通りである。隣接ワード閾値=11;E値カットオフ=10;スコアマトリックス=NUC.3.1(マッチ=1、ミスマッチ=−3);ギャップ開始=5;及びギャップ伸長=2。アミノ酸配列の検索におけるデフォルトのBLASTパラメーター例は次の通りである。ワードサイズ=3;E値カットオフ=10;スコアマトリックス=BLOSUM62;ギャップ開始=11;及びギャップ伸長=1。アミノ酸配列同一性パーセント(%)は、最適/最大のアラインメントが得られるようにプログラムによって作成された任意のギャップを含む「参照」配列の残基総数で、マッチする同一残基数を除することによって求められる。BLASTアルゴリズムでは、「参照」配列を「クエリ」配列と呼ぶ。
本明細書で使用するとき、「相同タンパク質」又は「相同プロテアーゼ」は、一次、二次、及び/又は三次構造に明確な類似性を有するタンパク質を指す。タンパク質相同性は、タンパク質を整列させるとき、一次アミノ酸配列の類似性を指す場合もある。タンパク質配列の相同性検索は、NCBI BLASTのBLASTP及びPSI−BLASTを閾値(E値カットオフ)0.001で用いて実施できる(Altschul SF,Madde TL,Shaffer AA,Zhang J,Zhang Z,Miller W,Lipman DJ.Gapped BLAST and PSI BLAST a new generation of protein database search programs。Nucleic Acids Res 1997 Set 1;25(17):3389〜402)。この情報を用いて、タンパク質配列をグループ化できる。系統樹は、アミノ酸配列を用いて作ることができる。アミノ酸配列をVector NTI Advance suite等のプログラムに入力し、近隣結合(NJ)法を用いて樹形図を作成できる(Saitou and Nei,Mol Biol Evol,4:406〜425,1987)。樹形構成は、配列距離について木村の相関を用い、ギャップ位置を無視して計算できる。AlignX等のプログラムは、系統樹上に表示された分子名に続いて、カッコ内に計算した距離値を表示できる。
分子間の相同性を理解すると、分子の進化の過程、並びにそれらの機能に関する情報を明らかにでき、新たに配列決定されたタンパク質が既に特徴が明らかであるタンパク質と相同である場合、新たなタンパク質の生化学的機能の強い兆候が見られる。2つの実体間の最も基本的な関連性は相同性であり、2つの分子が共通の祖先に由来している場合、相同であると言われる。相同分子、つまり相同体は、パラログ及びオルソログの2つの種類に分けられる。パラログは、1つの種内に存在する相同体である。多くの場合パラログは、詳細な生化学的機能が異なっている。オルソログは、異なる種内に存在する相同体であり、非常に類似した、又は同一の機能を有する。タンパク質スーパーファミリーは、共通の起源であると推測できる、タンパク質の最も大きいグループ(系統群)である。通常、この共通の起源は、配列アライメント及び機序的類似性に基づく。スーパーファミリーは、典型的には、ファミリー内で配列類似性を示すいくつかのタンパク質ファミリーを含む。用語「タンパク質クラン」は、MEROPSプロテアーゼ分類システムに基づくプロテアーゼスーパーファミリーにおいて一般に使用される。
CLUSTAL Wアルゴリズムは、配列アライメントアルゴリズムの別の例である(Thompson et al.,Nucleic Acids Res,22:4673〜4680,1994)。CLUSTAL Wアルゴリズムのデフォルトパラメーターは、以下の通りである。ギャップ開始ペナルティ=10.0;ギャップ伸長ペナルティ=0.05;タンパク質重みマトリックス=BLOSUMシリーズ;DNA重みマトリックス=IUB;分岐配列遅延(Delay divergent sequences)%=40;ギャップ分離距離=8;DNA転位重み=0.50;親水性残基リスト=GPSNDQEKR;ネガティブマトリックスの使用=オフ;残基特異性ペナルティのスイッチ=オン;親水性ペナルティのスイッチ=オン;及び末端ギャップ分離ペナルティのスイッチ=オフ。CLUSTALアルゴリズムでは、どちらか一方の末端に存在する欠失を含める。例えば、500個のアミノ酸からなるポリペプチドのどちらか一方の末端で(又はポリペプチド内に)アミノ酸5個の欠失を有する変異体は、「参照」ポリペプチドに対して99%の配列同一性パーセントを有する(同一残基495個/500個×100)。このような変異体は、ポリペプチドに対して「少なくとも99%の配列同一性」を有する変異体に包含されるであろう。
核酸又はポリヌクレオチドが、例えば他のタンパク質、核酸、細胞等が挙げられるがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されているとき、核酸又はポリヌクレオチドは「単離され」ている。同様に、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドが、例えば他のタンパク質、核酸、細胞等が挙げられるがこれらに限定されない他の成分から少なくとも部分的又は完全に分離されているとき、ポリペプチド、タンパク質又はペプチドは「単離され」ている。単離された分子種は、モルベースで、組成物中に他の分子種よりも豊富に含まれている。例えば、単離された種は、含まれている全ての高分子種の(モルベースで)少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%を構成し得る。好ましくは、対象とする種は、本質的に均一に精製される(すなわち、通常の検出手法により組成物中で汚染種が検出されることはない)。純度及び均一性は、当該技術分野で周知の多数の技術、例えば核酸又はタンパク質試料のそれぞれアガロース又はポリアクリルアミドゲル電気泳動後の染色による可視化を用いて決定することができる。必要に応じて、高解像度の技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は同様の手法を用いて材料を精製することができる。
核酸又はポリペプチドに使用される場合、用語「精製された」は、概して、当業者に周知の解析技術により決定したときに、核酸又はポリペプチドが他の成分を本質的に含まないことを意味する(例えば、精製ポリペプチド又はポリヌクレオチドは、電気泳動ゲル、クロマトグラフィー溶出液、及び/又は密度勾配遠心分離にかけた培養液中で、別個のバンドを形成する)。例えば、電気泳動ゲルで本質的に1本のバンドのみが生じる核酸又はポリペプチドは、「精製されている」。精製されている核酸又はポリペプチドは、少なくとも純度約50%のものであり、通常、少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約99.5%、約99.6%、約99.7%、又は約99.8%以上(例えば、モル重量による純度)のものである。関連する意味で、精製又は濃縮技術の適用後に分子の濃度が実質的に増加している場合、組成物はその分子について濃縮されている。用語「濃縮された」とは、化合物、ポリペプチド、細胞、核酸、アミノ酸、又は他の特定の材料若しくは成分が開始組成物よりも高い相対濃度又は絶対濃度で組成物中に存在することを指す。
本明細書で使用するとき、用語「機能アッセイ」は、タンパク質活性の指標を提供するアッセイを指す。いくつかの実施形態では、この用語は、タンパク質を、通常の性能で機能し得るかに関して解析するアッセイ系を指す。例えば、プロテアーゼの場合、機能アッセイは、プロテアーゼがタンパク質基質を加水分解する実効性を評価することを包含する。
用語「クリーニング活性」は、タンパク質分解、加水分解、クリーニング、又は本開示の他のプロセスの際に一般的に適用される条件下で、セリンプロテアーゼポリペプチド又は参照プロテアーゼにより得られるクリーニング性能を指す。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチド又は参照プロテアーゼのクリーニング性能は、物品又は表面上の1種又は2種以上の様々な酵素反応性の染み(例えば、食物、草類、血液、インク、牛乳、油及び/又は卵タンパク質による染み)をクリーニングするための様々なアッセイを用いることで決定され得る。変異体又は参照プロテアーゼのクリーニング性能は、物品又は表面上の染みを標準的なクリーニング条件に晒す工程、及び染みが除去される程度を、様々なクロマトグラフィー、分光光度法、又はその他の定量法を用いて評価する工程によって決定され得る。代表的なクリーニングアッセイ及び方法は、当該技術分野において既知であり、国際公開第99/34011号及び米国特許第6,605,458号(両方が参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるもの、並びに、以下の実施例に含まれるクリーニングアッセイ及び方法が挙げられるが、これらに限定されない。
用語、セリンプロテアーゼポリペプチド又は参照プロテアーゼ「クリーニング有効量」は、特定のクリーニング組成物中で所望のレベルの酵素活性を達成するプロテアーゼの量を指す。このような有効量は、当業者によって容易に確認され、使用される特定のプロテアーゼ、クリーニング用途、クリーニング組成物の具体的な組成、及び必要とされる組成物が液体又は乾燥形態(例えば、粒状、錠剤、バー状)のいずれであるのか、等の多くの要因に基づくものである。
用語「クリーニング助剤」は、クリーニング組成物に包含される、本開示のセリンプロテアーゼポリペプチド以外の任意の液体、固体、又はガス状の材料を指す。いくつかの実施形態では、本開示のクリーニング組成物は、1種又は2種以上のクリーニング助剤を包含する。各クリーニング助剤は、典型的には、クリーニング組成物の特定のタイプ及び形態(例えば、液体、粒状、粉末、バー状、ペースト、スプレー、錠剤、ゲル、フォーム、又はその他の構成)に応じて選択される。好ましくは、各クリーニング助剤は、組成物に使用されるプロテアーゼ酵素と適合性である。
クリーニング組成物及びクリーニング配合物は、任意の対象物、物品、及び/又は表面をクリーニング、漂白、消毒、及び/又は殺菌するのに好適な任意の組成物を含む。このような組成物及び配合物として、例えば、液体及び/又は固体組成物、例えば、クリーニング又は洗剤組成物(例えば、液体、錠剤、ゲル、バー状、粒状、及び/又は固体洗濯洗浄又は洗剤組成物、並びにおしゃれ着用洗剤組成物等);硬質表面クリーニング組成物及び配合物(例えば、ガラス、木材、セラミック及び金属製のカウンター甲板及び窓用のもの);カーペットクリーナー;オーブンクリーナー;布地フレッシュナー;布地柔軟剤;及び織物、洗濯洗浄性能増進用クリーニング又は洗剤組成物、洗濯用添加型クリーニング組成物、及び洗濯物のシミ抜き前処理用クリーニング組成物;食器手洗い用又は食器手動洗浄用組成物(例えば、食器「手洗い」用又は食器「手動」洗浄用洗剤)及び自動食器洗浄組成物(例えば、「自動食器洗浄洗剤」)を包含する食器洗浄用組成物が挙げられるが、これらに限定されない。丸剤、錠剤、ジェルキャップ、又は予め計量された粉末、懸濁液、若しくは液体等の他の一回用量単位が挙げられるが、これらに限定されない、任意の好適な一回用量単位も本発明において有用である。
本明細書で使用するとき、クリーニング組成物又はクリーニング配合物としては、別途記載のない限り、粒状又は粉末状万能又は強力洗浄剤、特に、クリーニング洗剤;液体、粒状、ゲル、固形、錠剤、ペースト状、又は一回用量型万能洗浄剤、特にいわゆる強力液体(HDL)洗剤又は強力乾燥洗剤(HDD)型;おしゃれ着用液体洗剤;高起泡型のものを含む食器手洗い又は食器手動洗浄剤;食器手洗い又は食器手動洗浄、食器自動洗浄、或いは家事用及び業務用の様々な錠剤、粉末、固形、粒状、液状、ゲル状及びすすぎ助剤型の食器類若しくは食卓用食器類洗浄剤;抗菌性手洗い用液体クリーニング及び殺菌剤、固形石鹸、マウスウォッシュ、義歯クリーナー、車洗浄剤、カーペット洗浄剤、風呂場クリーナー等の液体クリーニング及び殺菌剤;人間及び他の動物の毛髪用シャンプー及び/又は毛髪用リンス;シャワージェル及びバブルバス、並びに金属製品クリーナー;加えて、漂白添加剤及び「染み抜きスティック」又は前処理型等のクリーニング補助剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、粒状組成物は「コンパクト」形態であり;いくつかの実施形態では、液体組成物は「濃縮」形態である。
本明細書で使用するとき、「布地クリーニング組成物」としては、洗濯用添加型組成物等の手洗い用及び洗濯機用洗剤組成物、並びに染みの付いた布地(例えば、衣類、リネン類、及び他の繊維材料)の浸け置き及び/又は前処理に使用するのに好適な組成物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「非布地用クリーニング組成物」として、例えば、食器手洗い用若しくは手動食器洗浄又は自動食器洗浄洗剤組成物、口腔洗浄用組成物、義歯洗浄用組成物、コンタクトレンズ洗浄用組成物、創傷清拭用組成物、及びパーソナルクレンジング組成物が挙げられるが、これらに限定されない、非織物(すなわち、非布地)表面用クリーニング組成物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「洗剤組成物」又は「洗剤配合物」は、特定の布地及び/又は非布地製の物体又は物品等の、汚れた又は泥のついた物体を洗浄するために洗浄媒質中で使用することが意図される組成物に関して使用される。本開示のこのような組成物は、任意の特定の洗剤組成物又は配合物に限定されない。実際に、一部の実施形態では、本開示の洗剤は、少なくとも1種の本開示のセリンプロテアーゼポリペプチドと、加えて、1種又は2種以上の界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー(例えば、ビルダー塩)、漂白剤、漂白活性化剤、青味剤、蛍光染料、凝固阻害剤、マスキング剤、酵素活性化剤、抗酸化剤、及び/又は可溶化剤を含有する。場合によっては、ビルダー塩はケイ酸塩とリン酸塩の混合物であり、好ましくはケイ酸塩(例えば、メタケイ酸ナトリウム)をリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウム)よりも多く含む。例えば、限定するものではないが、クリーニング組成物又は洗剤組成物等の、本開示のいくつかの組成物は、リン酸塩(例えば、リン酸塩又はリン酸塩ビルダー)を含まない。
本明細書で使用するとき、用語「漂白」は、材料の増白(すなわち、ホワイトニング)及び/若しくはクリーニングを行うために充分な時間及び/又は適切なpH及び/又は温度条件下での物質(例えば、布地、洗濯物、パルプ等)又は表面の処理を指す。漂白に好適な化学物質の例としては、例えば、ClO、H、過酸、NO等が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書で使用するとき、プロテアーゼ(例えば、本開示のセリンプロテアーゼポリペプチド)の「洗浄性能」は、組成物にセリンプロテアーゼポリペプチドを加えていない洗剤と比較して、追加のクリーニング性能を洗剤に付与するセリンプロテアーゼポリペプチドの洗浄への貢献を指す。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。一部の試験系では、洗剤組成物、泡濃度、水硬度、洗浄機構、時間、pH、及び/又は温度等の他の関連する要因を、特定のマーケットセグメントにおける家事用途に典型的な条件(例えば、食器手洗い又は食器手動洗浄、自動食器洗浄、食器クリーニング、食卓用食器類クリーニング、及び布地クリーニング等)を模倣するように調節することができる。
本明細書において使用される用語「関連する洗浄条件」は、食器手洗い、自動食器洗浄、又は洗濯洗剤のマーケットセグメントに含まれる家事で実際に使用される条件であって、具体的には、洗浄温度、時間、洗浄機構、泡濃度、洗剤のタイプ及び水硬度等の条件を意味する。
用語「改良された洗浄性能」の使用により、関連する洗浄条件下での染み除去において、良好な最終結果が得られること、あるいは対応する野生型又は初期親プロテアーゼと比較して、同じ最終結果を得るのに必要とされる本開示のセリンプロテアーゼポリペプチドが、重量ベースで少なくなることを意味する。
本明細書で使用するとき、用語、「消毒」は、汚染物質を表面から除去すること、並びに、物品の表面上の微生物の阻害又は死滅を指す。本開示が、特定の表面、物品、又は除去しようとする汚染物質若しくは微生物に限定されることは意図するところではない。
本明細書における洗浄組成物の「圧縮」形態とは、密度に最もよく反映され、組成物の観点からは無機充填剤塩の量に反映される。無機塩充填剤は、粉末形態の洗剤組成物の通常の成分である。通常の洗剤組成物では、塩充填剤は、相当量で、典型的には組成物全体の約17〜約35重量%で存在する。対照的に、コンパクト組成物では、塩充填剤は、組成物全体の約15重量%以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、塩充填剤は、組成物の約10重量%以下、より好ましくは約5%重量以下の量で存在する。いくつかの実施形態では、無機塩充填剤は、硫酸アルカリ塩及びアルカリ土類金属塩、並びアルカリ塩化物及びアルカリ土類金属塩化物から選択される。いくつかの実施形態では、塩充填剤は硫酸ナトリウムである。
II.セリンプロテアーゼポリペプチド
本開示は、新規セリンプロテアーゼ酵素を提供する。本開示のセリンプロテアーゼポリペプチドは、単離されたポリペプチド、組み換えポリペプチド、実質的に純粋なポリペプチド、又は非自然発生的ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、このポリペプチドは、クリーニング用途で有用であり、その必要のある物品又は表面をクリーニングする方法において有用なクリーニング組成物に組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、WHY系統群ポリペプチドであってよい。WHY系統群は、N末端付近(BspAG00296、BspM04033、及びこの系統群の他のメンバーにおいてWの残基位置は7)の、完全に保存された残基WHYに由来する。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、WHY系統群ポリペプチドであってよく、ただし、ポリペプチドが国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸であり、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸であり、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、DTGIDXXHXXLXaNLVXTSLGXSXVGGXbXXcDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDは活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHは活性部位であるヒスチジンであり、X、Xa、Xb、及びXcは任意のアミノ酸であり、ただしこのとき、Xaはアルギニンであり、Xb及びXcはグリシンではない。いくつかの実施形態では、モチーフのVXG配列はVQGである。いくつかの実施形態では、VQG配列は63〜65番目の残基位置にあり、このときポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、80〜82番目の残基位置にあるVSG配列を含み、ポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、80〜82番目の残基位置にあるVSG配列を含み、ポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、80〜82番目の残基位置にあるVSG配列を含み、ポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置は、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を含み、この挿入は39〜47番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。別の実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を含み、この挿入は39〜47番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。更に別の実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を含み、この挿入は39〜47番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、39〜47番目の残基位置は、HQSLANLVNTSLGで置換されている。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、この欠失は51〜64番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされている。別の実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、この欠失は51〜64番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。なお更なる実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、この欠失は51〜64番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGSTMDVQGH、VGGSA/PEDVQGH、VGGNPEDRQGH、又はVGGTPADVHGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGSTMDVQGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGSA/PEDVQGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGSAEDVQGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGSPEDVQGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGNPEDRQGHで置換されている。いくつかの実施形態では、51〜64番目の残基位置は、VGGTPADVHGHで置換されている。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、この欠失は68〜95番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。別の実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、この欠失は68〜95番目の残基位置にあり、残基位置は、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされており、ただし、このポリペプチドが、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321のアミノ酸配列を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、68〜95番目の残基位置は、VAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVで置換されている。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、SWT77系統群にある。SWT77系統群は、近隣結合方法の使用等によって系統樹を作成することによる、実施例13に記載されるように決定することができる。いくつかの実施形態では、任意のSWT77系統群メンバーの距離値は、SWT77配列の直近の先祖ノード内にある。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、SWT22系統群にある。SWT22系統群は、近隣結合方法の使用等によって系統樹を作成することによる、実施例13に記載されるように決定することができる。いくつかの実施形態では、任意のSWT22系統群メンバーの距離値は、SWT22配列の直近の先祖ノード内にある。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、WP026675114系統群にある。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、WP026675114系統群にあり、ただしこのポリペプチドがWP026675114でないことを条件とする。WP026675114系統群は、近隣結合方法の使用等によって系統樹を作成することによる、実施例13に記載されるように決定することができる。いくつかの実施形態では、任意のWP026675114系統群メンバーの距離値は、WP026675114配列の直近の先祖ノード内にある。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド、又はその活性フラグメントは、新規ポリペプチド又は本発明の上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このときポリペプチド又はその活性フラグメントは、BspAG00296系統群にある。BspAG00296系統群は、近隣結合方法の使用等によって系統樹を作成することによる、実施例13に記載されるように決定することができる。いくつかの実施形態では、任意のBspAG00296系統群メンバーの距離値は、BspAG00296配列の直近の先祖ノード内にある。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチドは、例示されるポリペプチドに対して特定の程度のアミノ酸配列相同性を有する、例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、及び配列番号44からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、70%、72%、74%、76%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する、ポリペプチドである。別の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例示されるポリペプチドに対して特定の程度のアミノ酸配列相同性を有する、例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、及び配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、70%、72%、74%、76%、78%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する、ポリペプチドである。相同性は、例えば本明細書において述べるBLAST、ALIGN、又はCLUSTAL等のプログラムを使用した、アミノ酸配列アラインメントにより決定することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、プロテアーゼ活性(例えば、ジメチルカゼイン加水分解活性)を有する、単離された、組み換え型の、実質的に純粋な、又は非自然発生的酵素である。
アルカリプロテアーゼ活性等のプロテアーゼ活性を有する、本発明のポリペプチド酵素も提供され、かかる酵素は、上記アライメント法のいずれかを使用して整列させたとき、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列と、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下のアミノ酸残基が異なる、アミノ酸配列を含む。より更に、アルカリプロテアーゼ活性等のプロテアーゼ活性を有する、本発明のポリペプチド酵素が提供され、かかる酵素は、上記アライメント法のいずれかを使用して整列させたとき、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、又は配列番号43のアミノ酸配列と、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下のアミノ酸残基が異なる、アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド又はその活性フラグメントは、本発明の新規ポリペプチド又は上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、及び配列番号44からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、この組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、X003N、X006R、X010E、X020I、X026N、X028R、X029I、X038A、X041P、X042N、X044R、X048D、X053R、X059G、X061G、X085Q、X088R、X090I、X096G、X098N、X103M、X104Y、X107Q、X113A、X115S、X117N、X131D、X132S、X133D、X136N、X137N、X138I、X139N、X143S、X144S、X146T、X147L、X157R、X168N、X169A、X178N、X179R、X180T、X204Y、X207G、X208Q、X209F、X210R、X212L、X219T、X222V、X229I、X230K、X231S、X231A、X239T、X240Q、X241V、X243N、X245L、X246R、X247D、X255L、X256N、X257Q、X264N、X266Y、X271A、及びX273Gからなる群から選択される、少なくとも1つの置換を含む。いくつかの実施形態では、本発明のポリペプチド又はその活性フラグメントは、本発明の新規ポリペプチド又は上記ポリペプチドのうち任意のものであってよく、このポリペプチド又はその活性フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、及び配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、この組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントは、X003N、X006R、X010E、X020I、X026N、X028R、X029I、X038A、X041P、X042N、X044R、X048D、X053R、X059G、X061G、X085Q、X088R、X090I、X096G、X098N、X103M、X104Y、X107Q、X113A、X115S、X117N、X131D、X132S、X133D、X136N、X137N、X138I、X139N、X143S、X144S、X146T、X147L、X157R、X168N、X169A、X178N、X179R、X180T、X204Y、X207G、X208Q、X209F、X210R、X212L、X219T、X222V、X229I、X230K、X231S、X231A、X239T、X240Q、X241V、X243N、X245L、X246R、X247D、X255L、X256N、X257Q、X264N、X266Y、X271A、及びX273Gからなる群から選択される、少なくとも1つの置換を含む。いくつかの実施形態では、置換は、P003N、Q006R、N010E、T020I、S026N、I028R、Q029I、H038A、Q041P、S042N、A044R、N048D、Q053R、S059G、M061G、H085Q、T088R、V090I、N096G、S098N、L103M、F104Y、T107Q、S113A、D115S、G117N、N131D、Q132S、S133D、A136N、A137N、A138I、Q139N、N143S、A144S、S146T、I147L、A157R、S168N、V169A、T178N、G179R、A180T、V204Y、N207G、G208Q、Y209F、A210R、F212L、S219T、A222V、N229I、R230K、A231S、V231A、S239T、N240Q、A241V、S243N、M245L、Q246R、N247D、P255L、T256N、F257Q、D264N、N266Y、Q271A、及びS273Gからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、WP010283106、WP006679321、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、又は同第2012175708号−0006を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、WP010283106、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、又は同第2012175708号−0006を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、同第2012175708号−0006、WP026675114、WP025025887、WP010283106、又はWP006679321を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、WP026675114、又はWP010283106を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002又は同第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、WP026675114、又はWP025025887を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002を含まないことを条件とする。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002又は同第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0002、同第2012175708号−0004、又はWP026675114を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0004を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであるが、ただし、このアミノ酸配列が、国際公開第2012175708号−0004又はWP026675114を含まないことを条件とする。いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のアミノ酸配列を含む、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントである。
上記のように、本発明の変異体酵素ポリペプチドは、酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性)を有し、例えば、食器類、食卓用食器類、布地、及び硬質表面を有する物品(例えば、テーブル、卓上、壁、家具、床、天井等の硬質表面)をクリーニングする方法が挙げられるが、これらに限定されない、クリーニング用途に有用である。本発明の1つ又は2つ以上の変異体セリンプロテアーゼ酵素ポリペプチドを含む代表的なクリーニング組成物を以下に記載する。本発明の酵素ポリペプチドの酵素活性(例えば、プロテアーゼ酵素活性)は、当業者に周知の手順を利用して容易に求めることができる。酵素活性及びクリーニング性能を評価する方法について、以下に例を示す。本発明のポリペプチド酵素の、染み(例えば、血液/牛乳/インク又は卵黄等のタンパク質性の染み)の除去、硬質表面のクリーニング、又は衣類、食器類、若しくは食卓用食器類のクリーニングについての性能は、当業者に周知の手順を利用して、及び/又は実施例に記載の手順を利用して容易に決定することができる。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、広範なpH条件でプロテアーゼ活性を有し得る。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、実施例7において例示される通り、ジメチルカゼインを基質としてプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、pH約4.0〜約12.0でプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、pH約6.0〜約12.0でプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、pH約6.0〜約12.0、又は約7.0〜約12.0での最大プロテアーゼ活性の、少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、pH6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、又は11.5超でプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、pH12.0、11.5、11.0、10.5、10.0、9.5、9.0、8.5、8.0、7.5、7.0、又は6.5未満でプロテアーゼ活性を有する。
いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、約10℃〜約90℃、又は約30℃〜約80℃の温度範囲でプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、約55℃〜約75℃の温度範囲でプロテアーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、約55℃〜約75℃の温度で最大プロテアーゼ活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、又は90%を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼは、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃超の温度で活性を有する。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼは、75℃、80℃、70℃、65℃、60℃、又は55℃未満の温度で活性を有する。
いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、ストレス条件下、50℃において20分後に少なくとも80%の活性を有する。ストレス条件は、例えば、実施例11に示されるものであってよい。いくつかの実施形態では、ストレス条件は、LAS/EDTAアッセイ、Tris/EDTAアッセイ、又はOMO HDLアッセイの状態である。
いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、クリーニング組成物中でクリーニング性能を示す。クリーニング組成物は、多くの場合、酵素の安定性及び性能に有害であり、クリーニング組成物を、酵素、例えばセリンプロテアーゼが機能を保持するには過酷な環境にする。したがって、酵素をクリーニング組成物に加えて、酵素機能(例えば、クリーニング性能により示されるもの等のセリンプロテアーゼ活性)を期待することは簡単ではない。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、自動食器洗浄(ADW)洗剤組成物中でクリーニング性能を示す。いくつかの実施形態では、自動食器洗浄(ADW)洗剤組成物におけるクリーニング性能には、卵黄の染みのクリーニングが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、洗濯洗剤組成物中でクリーニング性能を示す。いくつかの実施形態では、洗濯洗剤組成物におけるクリーニング性能には、血液/牛乳/インク染みのクリーニングが含まれる。各クリーニング組成物において、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、漂白成分による又はよらないクリーニング性能を示す。
本発明のポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の挿入、欠失、及び/又は保存的若しくは非保存的のいずれかの置換等といった様々な変化を受けることができ、このような変化としては、この変化によってポリペプチドの酵素活性が実質的に変更されないものが包含される。同様にして、本発明の核酸には様々な変更を施すこともでき、例えば、同じ又は異なるアミノ酸をコードしている特定のコドン等の1つ以上のコドン中の1つ以上のヌクレオチドの1つ以上を置換することによるサイレント変異(例えば、コードされているアミノ酸はヌクレオチドの変異により変更を受けない場合)又は非サイレント変異、配列中の1つ以上の核酸(又はコドン)の1つ以上の欠失、配列中の1つ以上の核酸(又はコドン)の1つ以上の付加又は挿入、及び/又は配列中の1つ以上の核酸(又はコドン)の1つ以上の開裂又は切断を施すこともできる。核酸配列における多くのこのような変更は、得られるコードされているポリペプチド酵素の酵素活性を、もとの核酸配列によりコードされているポリペプチド酵素と比較して実質的に変更し得るものではない。本発明の核酸配列を改変し、1つ又は2つ以上のコドンを含有させて、発現系(例えば、細菌発現系)において最適な発現を提供させることもでき、一方、所望される場合、前述の1つ又は2つ以上のコドンには尚も同じアミノ酸をコードさせることもできる。
いくつかの実施形態では、本発明は、所望の酵素活性(例えば、プロテアーゼ酵素活性又はクリーニング性能活性)を有する酵素ポリペプチド類を提供し、このポリペプチドは、本明細書に記載のアミノ酸置換を有する配列を含み、かつ1つ又は2つ以上の追加のアミノ酸置換、例えば、保存的及び非保存的置換も含み、このポリペプチドは、所望の酵素活性(例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号7、配列番号10、配列番号11、配列番号14、配列番号15、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、配列番号37、配列番号40、配列番号43、又は配列番号44のポリペプチド酵素のクリーニング活性又は性能に反映されるもの等のタンパク質分解活性)を示し、維持し、又はおよそ維持する。本発明に従うアミノ酸置換には、限定するものではないが、1つ以上の非保存的置換及び/又は1つ以上の保存的アミノ酸置換が包含され得る。保存的なアミノ酸残基置換は、典型的には、1つの機能クラスのアミノ酸残基に含まれるメンバーの、同じ機能クラスに属する残基による置き換えを包含する(保存的なアミノ酸残基は機能的相同性(%)の算出において相同又は保存的に機能するものとみなされる)。保存的アミノ酸置換は、典型的には、アミノ酸配列中のアミノ酸を機能的に類似するアミノ酸により置換することを含む。例えば、アラニン、グリシン、セリン、及びトレオニンは機能的に類似するものであり、このため互いに保存的アミノ酸置換を提供し得る。アスパラギン酸及びグルタミン酸は、互いに保存的置換を提供し得る。アスパラギン及びグルタミンは、互いに保存的置換を提供し得る。アルギニン、リジン、及びヒスチジンは、互いに保存的置換を提供し得る。イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリンは、互いに保存的置換を提供し得る。フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンは、互いに保存的置換を提供し得る。
他の保存的アミノ酸置換基も想定され得る。例えば、アミノ酸は、類似の機能又は化学構造又は組成(例えば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、イオウ含有)により分類することができる。例えば、脂肪族のグループには、グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)が含まれ得る。互いに保存的な置換であるものと考えられるその他のアミノ酸を包含するグループには、芳香族(フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W))、硫黄含有(メチオニン(M)、システイン(C))、塩基性(アルギニン(R)、リジン(K)、ヒスチジン(H))、酸性(アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E))、非極性非荷電残基(システイン(C)、メチオニン(M)、及びプロリン(P)、親水性非荷電残基(セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、及びグルタミン(Q))が挙げられる。アミノ酸のその他の分類も当業者に周知であり、様々な一般的な文献に記載されている。上記の置換基と共に、本明細書においてポリペプチド配列を列挙することで、保存的に置換された全てのポリペプチド配列の明白な一覧を提供する。
上記のアミノ酸残基分類には、より保存的な置換が存在し、これらも同様に又は別法として好適であり得る。より保存的である保存的置換基としては、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンが挙げられる。
本発明のポリペプチド配列の保存的置換変異体(例えば、本発明のセリンプロテアーゼ変異体)は、わずかな割合の、場合によりポリペプチド配列中のアミノ酸の5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、若しくは1%未満、又は10個未満、9個未満、8個未満、7個未満、6個未満、5個未満、4個未満、3個未満、2個未満、又は1個未満のアミノ酸と、同じ保存的置換基の保存的に選択されたアミノ酸との置換を包含する。
III.セリンプロテアーゼをコードする核酸
本発明は、単離された、非天然起源の、又は組み換え型の核酸(本明細書では「ポリヌクレオチド」とも呼ばれる)を提供し、これは集合的に本発明のポリペプチドをコードする「本発明の核酸」又は「本発明のポリヌクレオチド」と呼ばれ得る。以下に記載の全てのものを含む本発明の核酸は、典型的に、対象とするポリペプチドをコードする配列又はそれらの断片を含むプラスミド発現ベクターの発現を介した本発明のポリペプチドの組み換えによる産生(例えば発現)に有用である。上記の通り、ポリペプチドは、酵素活性(例えば、タンパク質分解活性)を有するセリンロプロテアーゼポリペプチドを包含し、クリーニング用途、並びにクリーニングする必要のある物品又は表面(例えば、物品の表面)をクリーニングするためのクリーニング組成物に有用である。
いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、例示されるポリヌクレオチドに対して特定の程度の核酸相同性を有するポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号5、配列番号8、及び配列番号12からなる群から選択される核酸配列を含む。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号5、配列番号8、及び配列番号12からなる群から選択される核酸配列に対する相補的核酸配列を有してもよい。相同性は、例えば本明細書において述べるBLAST、ALIGN、又はCLUSTAL等のプログラムを使用した、アミノ酸配列アラインメントにより決定することができる。
いくつかの実施形態では、本発明は、上記の表題「本発明のポリペプチド」と付けられた節及び本明細書の他の場所に記載される、任意のポリペプチド(任意の融合タンパク質等が包含される)をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された、組み換え型の、実質的に純粋な、又は非自然発生的核酸を提供する。本発明は、上記及び本明細書の他の箇所に記載の、本発明の任意のポリペプチドの2つ以上の組み合わせをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された、組み換え型の、実質的に純粋な、又は非自然発生的の核酸も提供する。本発明は、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードする核酸を提供し、このセリンプロテアーゼポリペプチドは、タンパク質分解活性を有する成熟型である。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼ(例えば、BspAG00296)は、相同プロペプチド配列(例えば、BspAG00296プロペプチド)と共に組み換えにより発現される。別の実施形態では、セリンプロテアーゼは、異種プロペプチド配列(例えば、別のサブチリシンプロテアーゼ由来のプロペプチド配列)と共に組み換えにより発現される。
本発明の核酸は、任意の好適な合成技術、操作技術、及び/又は単離技術、又はこれらの組み合わせを用いて作製できる。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の固相合成法等の標準的な核酸合成技術を用いて製造することもできる。このような技術では、典型的には50個まで又はそれ以上のヌクレオチド塩基の断片を合成して、次いで連結することで(例えば、酵素的若しくは化学的連結方法、又はポリメラーゼによる組み換え方法)、本質的に任意の所望の連続的な核酸配列が形成される。本発明の核酸の合成は、典型的には、自動合成法で実行されるように、古典的なホスホラミダイド法(例えば、Beaucage et al.Tetrahedron Letters 22:1859〜69[1981]参照)、又は、Matthesらによって述べられた方法(Matthes et al.,EMBO J.3:801〜805[1984]参照)を用いる化学合成が挙げられるが、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の好適な方法によって促進してもよい。本発明の核酸は、自動DNA合成装置を使用しても作製できる。カスタマイズされた核酸を、各種供給業者(例えば、The Midland Certified Reagent Company、the Great American Gene Company、Operon Technologies Inc.及びDNA2.0)に発注することができる。核酸を合成するその他の手法及び関連する原理は、当該技術分野において既知である(例えば、Itakura et al.,Ann.Rev.Biochem.53:323[1984];及びItakura et al.,Science 198:1056[1984])。
上記のように、核酸の改変に有用な、DNAの組み換え技術は、当該技術分野において周知である。例えば、制限エンドヌクレアーゼによる消化、ライゲーション、逆転写、及びcDNAの生産、並びにポリメラーゼ連鎖反応(例えば、PCR)等の技法が知られており、当業者により容易に使用される。本発明のヌクレオチドは、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる、又はこれをPCR増幅させることができる1つ又は2つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを利用して、cDNAライブラリをスクリーニングすることにより得ることもできる。cDNAクローンのスクリーニング及び単離手順、並びにPCRによる増幅手順は当業者に周知のものであり、当業者に既知の標準的な参考文献に記載されている。本発明の核酸のいくつかは、自然発生的ポリヌクレオチド主鎖(例えば、酵素又は親プロテアーゼをコードするポリヌクレオチド主鎖)を、例えば既知の突然変異誘発法(例えば、部位特異的突然変異誘発、部位飽和突然変異誘発、及びインビトロ組み換え)によって変化させることによって得ることができる。本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードする本発明の改変されたポリヌクレオチドを生成するのに好適であるものとして様々な方法が当該技術分野において既知であり、例えば、部位飽和突然変異誘発、系統的突然変異誘発、挿入突然変異誘発、欠失突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、部位特異的変突然変異誘発、及び定向進化、並びにその他の各種リコンビナトリアルなアプローチが挙げられるがこれらに限定されない。
IV.セリンプロテアーゼを産生するベクター、宿主細胞、及び方法
本発明は、本明細書に記載の少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリヌクレオチド(例えば、本明細書に記載の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含む単離若しくは組み換えベクター、少なくとも1種の本発明の核酸又はポリヌクレオチドを含む単離若しくは組み換え型の発現ベクター又は発現カセット、少なくとも1種の本発明の核酸又はポリヌクレオチドを含む単離された、実質的に純粋な、又は組み換えDNA構築物、少なくとも1種の本発明のポリヌクレオチドを含む単離又は組み換え型細胞、少なくとも1種の本発明のポリヌクレオチドを含む細胞を含む細胞培養物、少なくとも1種の本発明の核酸又はポリヌクレオチドを含む細胞培養物、並びにこのようなベクター、核酸、発現ベクター、発現カセット、DNA構築物、細胞、細胞培養物、又はこれらの任意の組み合わせ若しくは混合物を1種以上含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の少なくとも1種の核酸又はポリヌクレオチドを含む本発明のベクター(例えば、発現ベクター又はDNA構築物)を少なくとも1つ含む組み換え細胞を提供する。いくつかのこのような組み換え細胞は、このような少なくとも1つのベクターにより形質転換又は形質移入される。このような細胞は、典型的には宿主細胞と呼ばれる。このような細胞の一部のものは、例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)細胞等のバチルス(Bacillus)種の細胞が挙げられるが、これらに限定されない、細菌細胞を含む。本発明は、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む、組み換え細胞(例えば、組み換え宿主細胞)も提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の核酸又はポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチド配列が、効率的な遺伝子発現に必要とされる1つの又は追加の核酸セグメント(例えば、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードする本発明のポリヌクレオチドに操作可能に連結されているプロモーター)に操作可能に連結されている、発現ベクター又は発現カセットである。ベクターには、転写ターミネーター及び/又は選択遺伝子を含有させることができ、選択遺伝子は、例えば、抗生物質を含有させた培地で増殖させることによりプラスミド感染させた宿主細胞の持続的な培養を維持することのできる、抗生物質耐性遺伝子等である。
発現ベクターは、プラスミド又はウイルスDNAから誘導され得るか、又は代替的な実施形態では、これらの両方の要素を含有する。代表的なベクターとして、pC194、pJH101、pE194、pHP13(Harwood and Cutting[eds.],Chapter 3,Molecular Biological Methods for Bacillus,John Wiley & Sons[1990](B.ズブチリス(B. subtilis)に好適な複製プラスミドとしては92頁に記載されているものが挙げられる)参照、また、Perego,Integrational Vectors for Genetic Manipulations in B.subtilis,in Sonenshein et al.,[eds.]B.subtilis and Other Gram−Positive Bacteria:Biochemistry,Physiology and Molecular Genetics,American Society for Microbiology,Washington,D.C.[1993],pp.615〜624も参照のこと)、及びp2JM103BBIが挙げられるが、これらに限定されない。
細胞において、対象とするタンパク質(例えば、セリンプロテアーゼポリペプチド)を発現及び産生させるため、セリンロプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの少なくとも1つのコピー、及び場合によっては複数のコピーを含む、少なくとも1種の発現ベクターを、セリンプロテアーゼの発現に好適な条件下で細胞に形質転換させる。本発明のいくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチド(並びにベクターに含有させるその他の配列)をコードしているポリヌクレオチド配列を宿主細胞のゲノムに組み込むのに対し、別の実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターは、細胞内に自律性の染色体外エレメントとしてとどまる。本発明は、染色体外の核酸エレメント、並びに宿主細胞のゲノムに組み込まれる移入ヌクレオチド配列の両方を提供する。本明細書に記載のベクターは、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを産生させるのに有用である。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド構築物は、セリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを宿主染色体に組み込みかつ任意選択的に増幅させることのできる、組み込みベクター上に存在する。組み込み部位の例は、当業者に周知である。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの転写は、選択された前駆体プロテアーゼのための野生型プロモーターにより実施される。他のいくつかの実施形態では、プロモーターは、前駆体プロテアーゼとは異種であるものの、宿主細胞中で機能するものである。具体的には、細菌宿主細胞で使用するのに好適なプロモーターの例としては、例えば、amyE、amyQ、amyL、pstS、sacB、SPAC、AprE、Veg、HpaIIプロモーター、B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)のマルトース生成アミラーゼ遺伝子、B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)(BAN)のアミラーゼ遺伝子、B.ズブチリス(B. subtilis)のアルカリプロテアーゼ遺伝子、B.クラウジイ(B. clausii)のアルカリプロテアーゼ遺伝子、B.プミルス(B. pumilis)のキシロシダーゼ遺伝子、B.チューリンギエンシス(B. thuringiensis)のcryIIIA、及びB.リケニフォルミス(B. licheniformis)のα−アミラーゼ遺伝子のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。追加のプロモーターとしては、限定するものではないが、A4プロモーター、並びにファージλPR又はPLプロモーター、及び大腸菌lac、trp又はtacプロモーターが挙げられる。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、細菌及び真菌等の任意の好適な微生物宿主細胞において産生させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、は、グラム陽性細菌において産生させることができる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、バチルス(Bacillus)種、ストレプトマイセス(Streptomyces)種、エシェリキア(Escherichia)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、トリコデルマ(Trichoderma)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、サッカロマイセス(Saccharomyces)種、又はピチア(Pichia)種である。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、バチルス(Bacillus)種の宿主細胞によって産生される。本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドの産生に有用なバチルス(Bacillus)種宿主細胞の例として、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.レンタス(B. lentus)、B.ズブチリス(B. subtilis)、B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)、B.レンタス(B. lentus)、B.ソノレンシス(B. sonorensis)、B.ブレビス(B. brevis)、B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.コアグランス(B. coagulans)、B.シルクランス(B. circulans)、B.プミルス(B. pumilis)、B.チューリンギエンシス(B. thuringiensis)、B.クラウジイ(B. clausii)、及びB.メガテリウム(B. megaterium)、並びに、バチルス(Bacillus)属内の他の微生物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドの産生には、B.ズブチリス(B. subtilis)宿主細胞が使用される。米国特許第5,264,366号及び同第4,760,025号(再発行34,606)には、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドの産生に使用できる様々なバチルス(Bacillus)宿主株が記載されているものの、その他の好適な株を使用することもできる。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを産生するために使用できるいくつかの工業用細菌株としては、非組み換え(すなわち、野生型)バチルス(Bacillus)種株、並びに、自然発生株の変異体及び/又は組み換え株が挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主株は組み換え株であり、宿主には、対象とするポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが導入されている。いくつかの実施形態では、宿主株は、B.ズブチリス(B. subtilis)宿主株であり、特に組み換えバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)宿主株である。数多くのB.ズブチリス(B.subtilis)株が既知であり、限定するものではないが、例えば、1A6(ATCC 39085)、168(1A01)、SB19、W23、Ts85、B637、PB1753〜PB1758、PB3360、JH642、1A243(ATCC 39,087)、ATCC 21332、ATCC 6051、MI113、DE100(ATCC 39,094)、GX4931、PBT 110、及びPEP 211株が挙げられる(例えば、Hoch et al.,Genetics 73:215〜228頁[1973年]、また同様に、米国特許第4,450,235号及び同第4,302,544号、並びに欧州特許第0134048号を参照されたい。これら各公報は参照によりその全文が組み込まれる)。発現宿主細胞としてのB.ズブチリス(B. subtilis)の使用は、当該技術分野において周知である(例えば、Palva et al.,Gene 19:81〜87[1982];Fahnestock and Fischer,J.Bacteriol.,165:796〜804[1986]及びWang et al.,Gene 69:39〜47[1988]参照)。
いくつかの実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主細胞は、degU、degS、degR、及びdegQの遺伝子のうち少なくとも1つに変異又は欠失を含む、バチルス(Bacillus)種である。いくつかの実施形態では、変異はdegU遺伝子中のものであり、いくつかの実施形態では、変異はdegU(Hy)32中のものである(例えば、Msadek et al.,J.Bacteriol.172:824〜834[1990]及びOlmos et al.,Mol.Gen.Genet.253:562〜567[1997]参照)。いくつかの実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主は、scoC4(例えば、Caldwell et al.,J.Bacteriol.183:7329〜7340[2001]参照);spoIIE(例えば、Arigoni et al.,Mol.Microbiol.31:1407〜1415[1999]参照)及び/又は、oppA若しくはoppオペロンの他の遺伝子(例えば、Perego et al.,Mol.Microbiol.5:173〜185[1991]参照)に、変異又は欠失を含む。実際に、oppA遺伝子の変異と同じ表現型を生じるoppオペロンにおけるいかなる変異も、本発明の変化させたバチルス(Bacillus)株に関するいくつかの実施形態において有用であろうと想到される。いくつかの実施形態では、これらの変異は単独で生じるが、他の実施形態では複数の変異が組み合わさって存在する。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドの産生に使用できる、変化させたバチルス(Bacillus)宿主細胞株は、上記遺伝子の1種又は2種以上に予め変異を含有しているバチルス(Bacillus)宿主株である。加えて、内因性のプロテアーゼ遺伝子に関する変異及び/又は欠失を含むバチルス(Bacillus)種宿主細胞が有用である。いくつかの実施形態では、バチルス(Bacillus)宿主細胞は、aprE及びnprE遺伝子の欠失を含む。別の実施形態では、バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、5種類のプロテアーゼ遺伝子の欠失を含み、一方別の実施形態では、バチルス(Bacillus)種宿主細胞は、9種類のプロテアーゼ遺伝子の欠失を含む(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0202535号参照)。
宿主細胞は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法の利用により、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている少なくとも1種の核酸で形質転換される。プラスミドDNA構築物又はベクターを利用して、核酸(例えば、DNA)をバチルス(Bacillus)細胞又は大腸菌(E. coli)細胞に導入する方法、及びこのようなプラスミドDNA構築物又はベクターをそのような細胞に形質転換する方法は既知である。いくつかの実施形態では、プラスミドは、続いて大腸菌(E. coli)細胞から単離され、バチルス(Bacillus)細胞に形質転換される。しかしながら、大腸菌(E. coli)等の介在微生物を用いることは必須ではなく、いくつかの実施形態では、DNA構築物又はベクターは直接バチルス(Bacillus)宿主に導入される。
当業者は、本発明の核酸又はポリヌクレオチド配列をバチルス(Bacillus)細胞に導入する好適な方法を十分に承知している(例えば、Ferrari et al.,「Genetics,」in Harwood et al.[eds.],Bacillus,Plenum Publishing Corp.[1989],pp.57〜72;Saunders et al.,J.Bacteriol.157:718〜726[1984];Hoch et al.,J.Bacteriol.93:1925〜1937[1967];Mann et al.,Current Microbiol.13:131〜135[1986];Holubova,Folia Microbiol.30:97[1985];Chang et al.,Mol.Gen.Genet.168:11〜115[1979];Vorobjeva et al.,FEMS Microbiol.Lett.7:261〜263[1980];Smith et al.,Appl.Env.Microbiol.51:634[1986];Fisher et al.,Arch.Microbiol.139:213〜217[1981]及びMcDonald,J.Gen.Microbiol.130:203[1984]参照)。実際に、プロトプラスト形質転換及び会合(congression)を包含する形質転換、形質導入、及びプロトプラスト融合等の方法は周知であり、本発明でも好適に使用される。本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている核酸を含むDNA構築物又はベクターを宿主細胞に導入するために、形質転換法が使用される。バチルス(Bacillus)細胞を形質転換させるのに当該技術分野において既知の方法としては、部分的に相同性の常在性プラスミドを保有しているコンピテントセルにドナープラスミドを取り込ませることを包含するプラスミドマーカーレスキュー形質転換法(Contente et al.,Plasmid 2:555〜571[1979];Haima et al.,Mol.Gen.Genet.223:185〜191[1990];Weinrauch et al.,J.Bacteriol.154:1077〜1087[1983]及びWeinrauch et al.,J.Bacteriol.169:1205〜1211[1987]参照)等の方法が挙げられる。この方法では、組み込まれるドナープラスミドは、染色体の形質転換を模倣するプロセスにおいて、常在性の「ヘルパー」プラスミドの相同領域と組み換えられる。
共通して使用される方法に加え、いくつかの実施形態では、宿主細胞は、DNA構築物、又は本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている核酸を含むベクターにより、直接形質転換される(すなわち、DNA構築物又はベクターを宿主細胞に導入する前の増幅、あるいは別のプロセスに中間体細胞は使用されない)。本発明のDNA構築物又はベクターの宿主細胞への導入法には、核酸配列(例えば、DNA配列)を、プラスミド又はベクターに挿入することなく、宿主細胞に導入するための、当該技術分野において既知の物理的及び化学的方法が包含される。このような方法として、塩化カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、ネイキッドDNA、リポソーム等が挙げられるが、これらに限定されない。更なる実施形態では、DNA構築物又はベクターは、プラスミドに挿入されることなく、プラスミドと共に同時形質転換される。更なる実施形態では、選択マーカーは、当該技術分野において既知の方法により、変更を加えたバチルス(Bacillus)株から除去される(Stahl et al.,J.Bacteriol.158:411〜418[1984]及びPalmeros et al.,Gene 247:255〜264[2000]参照)。
いくつかの実施形態では、本発明の形質転換細胞は、一般的な栄養培地で培養される。温度及びpH等の好適な具体的な培養条件は当業者に既知であり、科学文献に詳しく記載されている。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチド又は本発明の少なくとも1種の核酸を含む培養(例えば、細胞培養)を提供する。同様に、本発明の核酸、ベクター、又はDNA構築物を少なくとも1つ含む組成物も提供する。
いくつかの実施形態では、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている少なくとも1種のポリヌクレオチド配列により形質転換させた宿主細胞を、好適な栄養培地で、本発明のプロテアーゼを発現させる条件下で培養した後、得られるプロテアーゼを培地から回収する。細胞培養に使用する培地には、宿主細胞を増殖させるのに好適な、適切な添加剤を含有している最少培地又は複合培地等といった任意の一般的な培地を含む。好適な培地は、販売元から入手することができ、又は公開されている処方に従って調製することもできる(例えば、the American Type Culture Collectionのカタログを参照されたい)。いくつかの実施形態では、細胞により産生されたプロテアーゼは、限定するものではないが、例えば、遠心沈降又は濾過による培養液からの宿主細胞の分離、塩(例えば、硫酸アンモニウム)による上清又は濾液中のタンパク質様成分の沈殿、クロマトグラフィー精製(例えば、イオン交換、ゲル濾過、アフィニティー等)等の従来法により培地から回収される。プロテアーゼ変異体を回収又は精製するための任意の好適な方法が、本発明において有用である。
いくつかの実施形態では、組み換え宿主細胞により産生されたセリンプロテアーゼポリペプチドは、培養培地に分泌される。精製促進ドメインをコードしている核酸配列を使用して、タンパク質の精製を促進することができる。セリンプロテアーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むベクター又はDNA構築物は、セリンプロテアーゼポリペプチドの精製を促進する精製促進ドメインをコードしている核酸配列を更に含む(例えば、Kroll et al.,DNA Cell Biol.12:441〜53[1993]参照)。かかる精製促進ドメインとして、例えば、固定化金属での精製が可能なヒスチジン−トリプトファンモジュール等の金属キレート化ペプチド(Porath,Protein Expr.Purif.3:263〜281[1992]参照)、固定化免疫グロブリンでの精製が可能なプロテインAドメイン、及びFLAGS伸長/アフィニティー精製系で使用されるドメインが挙げられるが、これらに限定されない。精製ドメインと非相同的なタンパク質との間に、凝固因子XA又はエンテロキナーゼ等の開裂可能なリンカー配列(例えば、Invitrogen(San Diego,CA)から入手可能な配列)を含めることも、精製を促進するために有用である。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチド等の酵素の酵素活性を検出及び測定するためのアッセイは周知である。プロテアーゼ(例えば、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチド)の活性を検出及び測定するための様々なアッセイも、当業者に既知である。特に、当業者に周知であるように、280nmでの吸光度として又はフォーリン法を用いる比色法により測定した、カゼイン又はヘモグロビンからの酸可溶性ペプチドの放出に基づくアッセイを、プロテアーゼの活性を測定するのに利用できる。他の例示的なアッセイは、可溶性の発色性基質を包含する(例えば、Ward,「Proteinases」,in Fogarty(ed.).,Microbial Enzymes and Biotechnology,Applied Science,London,[1983],pp.251〜317参照)。他の例示的なアッセイとしては、限定するものではないが、スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−パラニトロアニリドアッセイ(suc−AAPF−pNA)及び2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩アッセイ(TNBSアッセイ)が挙げられる。当業者に既知の多くの更なる文献は、好適な方法を提供している(例えば、Wells et al.,Nucleic Acids Res.11:7911〜7925[1983];Christianson et al.,Anal.Biochem.223:119〜129[1994]及びHsia et al.,Anal Biochem.242:221〜227[1999]参照)。
様々な方法を使用して、宿主細胞における成熟型プロテアーゼ(例えば、本発明の成熟型セリンプロテアーゼポリペプチド)の産生レベルを評価することができる。このような方法としては、限定するものではないが、例えば、プロテアーゼに特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれかを利用する方法が挙げられる。例示的な方法としては、限定するものではないが、例えば、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、及び蛍光活性化セルソーティング(FACS)が挙げられる。これらの及びその他のアッセイは、当該技術分野で既知である(例えば、Maddox et al.,J.Exp.Med.158:1211[1983]参照)。
いくつかのその他の実施形態では、本発明は、本発明の成熟型セリンプロテアーゼポリペプチドを作製又は産生するための方法を提供する。成熟型セリンプロテアーゼポリペプチドは、シグナルペプチド又はプロペプチド配列を含有しない。いくつかの方法は、例えば、バチルス(Bacillus)種細胞(例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)細胞)等の組み換え細菌宿主細胞において本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを作製又は産生することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを産生する方法を提供し、この方法は、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている核酸を含む組み換え発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を、セリンプロテアーゼポリペプチドの産生を誘導する条件下で培養することを含む。いくつかのこのような方法は、培養物からセリンプロテアーゼポリペプチドを回収することを更に含む。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを産生する方法を提供し、この方法は、(a)本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドをコードしている核酸を含む組み換え発現ベクターを細胞集団(例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)細胞等の細菌細胞)に導入することと;(b)この細胞を、発現ベクターによりコードされているセリンプロテアーゼポリペプチドの産生を実施する条件下で、培養培地で培養することと、を含む。いくつかのこのような方法は、(c)細胞又は培養培地からセリンプロテアーゼポリペプチドを単離することを更に含む。
V.セリンプロテアーゼを含む組成物
A.布地ケア及びホームケア製品
特に断りのない限り、本明細書に提供される成分又は組成物のレベルは全て、成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。酵素成分の重量は活性タンパク質の合計に基づくものである。百分率(%)及び比率は全て、特に断りのない限り、重量で計算している。全ての百分率(%)及び比率は、特に断りのない限り、総組成物に対し計算している。本発明の組成物は、クリーニング組成物、例えば、洗剤組成物等を包含する。例示された洗剤組成物において、酵素レベルは、組成物の合計重量に基づき純粋な酵素濃度として表現され、かつ特に断りのない限り、洗剤成分は組成物の合計重量に基づき表記される。
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される助剤の非限定的な一覧は、本発明のクリーニング組成物での使用に好適である。いくつかの実施形態では、これらの助剤は、例えば、クリーニング性能を補助又は強化させるために、クリーニングされる基材を処理するために、あるいは香料、着色剤、又は染料等の場合にはクリーニング組成物の美観を改善するために組み込まれる。本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドにこのような助剤が加えられることは理解されたい。このような追加成分の正確な性質及びその添加レベルは、組成物の物理的形態、及び組成物が使用されるクリーニング操作の性質によって決まる。好適な助剤として、漂白触媒、その他の酵素、酵素安定系、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、染料移行剤、分散剤、抑泡剤、染料、香料、着色剤、塩充填剤、光活性化剤、蛍光剤、布地コンディショナー、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、縮み防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、殺真菌剤、カラースペックル、シルバーケア、黄ばみ防止及び/又は腐食防止剤、アルカリ源、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調節剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、付着助剤、分散剤、追加の酵素、及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、漂白促進剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、ポリマー分散剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。以下の開示に加え、このような他の助剤の好適な例、及び使用量は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号、同第6,326,348号、同第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号、及び同第5,646,101号(これら全ては参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている。洗濯組成物中で、クリーニング助剤が本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドと適合するものでない実施形態では、これら2種の構成成分を組み合わせることが適切になるまでの間、クリーニング助剤及びプロテアーゼを別々に保管する(すなわち、互いに接触させない)好適な方法が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離等)。上述の補助成分は、本発明のクリーニング組成物の残部を構成し得る。
本発明のクリーニング組成物は、例えば、洗濯用途、硬質表面のクリーニング用途、自動食器洗い及び食器の手洗いを含む食器洗浄用途、並びに義歯、歯、毛髪及び肌のクリーニング等の美容用途において、有利に利用される。本発明の酵素は、コンタクトレンズ洗浄用途及び創傷清拭用途での使用にも適している。加えて、低温の溶液中で有効性作用が増大するという独特の利点により、本発明の酵素は洗濯用途に理想的なものである。更に本発明の酵素は、粒状及び液体組成物において有用である。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、クリーニング添加剤製品においても有用である。いくつかの実施形態では、低温溶液を用いるクリーニング用途において有用である。いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の酵素を少なくとも1種含むクリーニング添加剤を提供し、当該クリーニング添加剤は、更に漂白効果が所望される場合に、クリーニングプロセスに含めるために理想的に適している。このような場合の例としては、限定するものではないが、例えば、低温溶液を用いるクリーニング用途が挙げられる。いくつかの実施形態では、添加剤は最も単純な形態の1種以上のプロテアーゼである。いくつかの実施形態では、添加剤は、クリーニングプロセスに添加される剤形にパッケージングされる。いくつかの実施形態では、添加剤は、過酸化物供給源が用いられかつ漂白効果の増加が所望されるクリーニングプロセスに添加される剤形にパッケージングされる。限定するものではないが、例えば、丸剤、錠剤、ゲルキャップ、又は予め計量された粉末若しくは液体等の他の一回用量単位が挙げられる、任意の好適な一回用量単位が、本発明において有用である。いくつかの実施形態では、このような組成物を増量するために充填剤又はキャリア材料を含める。好適な充填剤又はキャリア材料としては、限定するものではないが、例えば、様々な硫酸塩、炭酸塩及びケイ酸塩並びにタルク、及びクレイ等が挙げられる。液体組成物に好適な充填剤又はキャリア材料としては、限定するものではないが、例えば、水、又はポリオール及びジオール等の低分子量の一級及び二級アルコールが挙げられる。このようなアルコールの例としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールが挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、このような材料を約5%〜約90%含有する。酸性充填剤はpHを低下させるために有用である。あるいは、いくつかの実施形態では、クリーニング添加剤として、以下により詳細に記載されるような補助成分が挙げられる。
本発明のクリーニング組成物及びクリーニング添加剤は、単独で又はその他のプロテアーゼ及び/又は追加の酵素と組み合わせて本明細書で提供される、有効量の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを必要とする。必要とされる酵素レベルは、1種以上の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを添加することにより達成される。典型的には、本発明のクリーニング組成物は、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドのうち少なくとも1種を、少なくとも約0.0001重量%、約0.0001〜約10、約0.001〜約1、又は約0.01〜約0.1重量%含む。
本明細書に記載のクリーニング組成物は、典型的には、水性クリーニング操作において使用している間、洗浄水が約4.0〜約11.5、又は更には約5.0〜約11.5、又は更には約5.0〜約8.0、又は更には約7.5〜約10.5のpHを有するよう配合される。液体製品の処方は、典型的には、pHが約3.0〜約9.0、又は更には約3〜約5になるよう配合される。粒状洗濯製品は、典型的にはpHが約9〜約11になるよう配合される。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、pH約8.0〜約12.0、又は約8.5〜約11.0、又は約9.0〜約11.0等の洗浄条件下でアルカリpHを有するよう処方できる。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、pH約5.0〜約8.0、又は約5.5〜約8.0、又は約6.0〜約8.0、又は約6.0〜約7.5等の洗浄条件下で、中性のpHを有するよう処方できる。いくつかの実施形態では、中性のpH条件は、20℃にてクリーニング組成物を脱イオン水に1:100(重量:重量)で溶解させて、標準的なpHメーターを利用して測定することで測定できる。推奨される使用レベルでpHを調節する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられ、これらは当業者には周知のものである。
いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドを粒状組成物又は液体中で使用するとき、保管中にセリンプロテアーゼポリペプチドを粒状組成物以外の成分から保護するため、セリンプロテアーゼポリペプチドがカプセル化された粒子の形態であることが望ましい。更に、カプセル化は、クリーニングプロセス中のセリンプロテアーゼポリペプチドの利用能を調節する手段でもある。いくつかの実施形態では、カプセル化は、セリンプロテアーゼポリペプチド及び/又は追加の酵素の性能を増強する。これに関し、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、当該技術分野において既知の任意の好適なカプセル材でカプセル化される。いくつかの実施形態では、カプセル材は、典型的には、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドの少なくとも一部をカプセル化する。典型的には、カプセル材は、水溶性及び/又は水分散性である。一部の実施形態では、封入剤のガラス転移温度(Tg)は0℃以上である。ガラス転移温度は、WO 97/11151号により詳細に記載されている。カプセル材は、典型的には、炭水化物、天然又は合成ゴム、キチン、キトサン、セルロース及びセルロース誘導体、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、パラフィンワックス、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。カプセル材が炭水化物である場合、典型的には、単糖、オリゴ糖、多糖、及びこれらの組み合わせから選択される。一部の典型的な実施形態では、カプセル材はデンプンである(例えば、欧州特許第0 922 499号;米国特許第4,977,252号、同第5,354,559号、及び同第5,935,826号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、カプセル材は、熱可塑性物質、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル及びこれらの混合物等のプラスチックから製造されるマイクロスフェアであり、有用な市販のマイクロスフェアとしては、限定するものではないが、EXPANCEL(登録商標)(Stockviksverken,Sweden)、並びにPM 6545、PM 6550、PM 7220、PM 7228、EXTENDOSPHERES(登録商標)、LUXSIL(登録商標)、Q−CEL(登録商標)、及びSPHERICEL(登録商標)(PQ Corp.,Valley Forge,PA)として供給されるものが挙げられる。
本明細書に記載のように、本発明のプロテアーゼ変異体は、限定するものではないが、洗濯用洗剤及び食器用洗剤等のクリーニング産業において特に有用である。これらの用途では、酵素を様々な環境ストレス下に置く。本発明のプロテアーゼ変異体は、様々な条件下で安定であることから、現在使用されている多数の酵素よりも有利である。
実際に、多様な洗剤の配合、多様なクリーニング水の容量、多様なクリーニング水の温度、及び多様なクリーニング時間の長さを含む各種クリーニング条件が存在し、クリーニングに関与するプロテアーゼはこれらの条件に晒される。加えて、異なる地域で使用される洗剤配合物では、クリーニング水中に、関連する成分が異なる濃度で存在する。例えば、欧州の洗剤は一般的には4500〜5000ppmの洗剤成分をクリーニング水中に有するが、日本の洗剤は一般的には667ppmの洗剤成分をクリーニング水に有する。北アメリカ、特に合衆国では、一般的には約975ppmの洗剤成分をクリーニング水中に有する。
低濃度洗剤系には、約800ppm未満の洗剤成分がクリーニング水に存在する洗剤が包含される。日本の洗剤は、クリーニング水中におよそ667ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に低濃度洗剤系とみなされる。
中間濃度の洗剤には、約800ppm〜約2000ppmの洗剤成分がクリーニング水中に存在する洗剤が包含される。北アメリカの洗剤は、洗浄水中におよそ975ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に中間濃度の洗剤系であるとみなされる。ブラジルでは、典型的にクリーニング水中におよそ1500ppmの洗剤成分が存在する。
高濃度洗剤系には、約2000ppm超の洗剤成分が洗浄水中に存在している洗剤が包含される。欧州の洗剤は、クリーニング水中におよそ4500〜5000ppmの洗剤成分が存在していることから、一般に高濃度洗剤系であるとみなされる。
ラテンアメリカの洗剤は、概して高起泡性のリン酸塩ビルダー洗剤であり、クリーニング水中に1500〜6000ppmの範囲の洗剤成分が存在していることから、ラテンアメリカで使用されている洗剤の範囲は、中間濃度及び高濃度洗剤の両方に包含される。上記のように、ブラジルでは、クリーニング水中に典型的におよそ1500ppmの洗剤成分が存在する。しかしながら、例えば、他のラテンアメリカの国々に限定されないが、高起泡性のリン酸ビルダー洗剤が使用されている他の地域では、クリーニング水中に、洗剤成分が最大で約6000ppm存在している高濃度洗剤系が使用されている場合がある。
前述の内容を考慮すると、世界中の典型的な洗浄液中の洗剤組成物の濃度は、約800ppm未満の洗剤組成物(「低濃度洗剤地域」)、例えば、日本の約667ppmのものから、約800ppm〜約2000ppmの洗剤組成物(「中間濃度の洗剤地域」)、例えば、米国の約975ppm及びブラジルの約1500ppmのもの、そして約2000ppm超の洗剤組成物(「高濃度洗剤地域」)、例えば、欧州の約4500ppm〜約5000ppmのもの、及び高起泡性リン酸ビルダーの地域では約6000ppmのものまで様々であることが明白である。
典型的な洗浄液の濃度は経験的に決定される。例えば、米国では、典型的な洗濯機の洗浄液容量は約64.4Lである。したがって、クリーニング溶液中に約975ppmの洗剤濃度を得るためには、64.4Lのクリーニング液に約62.79gの洗剤組成物を添加しなくてはならない。この量は、消費者が、洗剤に付属された計量カップを用いてクリーニング水に量り入れる典型的な量である。
更なる例として、異なる地域では異なるクリーニング温度が使用される。日本で使用されているクリーニング水の温度は、一般的に、欧州で使用される温度よりも低い。例えば、北アメリカ及び日本での洗浄水の温度は、典型的には約10℃〜約30℃(例えば、約20℃)の間である一方、欧州の洗浄水の温度は、典型的には約30℃〜約60℃(例えば、約40℃)である。しかしながら、エネルギーの節約の観点から、多くの消費者は冷水洗浄の使用に切り替えている。加えて、いくつかの更なる地域では、典型的に洗濯だけでなく食器洗浄用途にも冷水が使用されている。いくつかの実施形態では、本発明の「冷水洗浄」は、約10℃〜約40℃、又は約20℃〜約30℃、又は約15℃〜約25℃の洗浄温度、並びに約15℃〜約35℃の範囲内の他の全ての組み合わせの洗浄温度、及び10℃〜40℃の範囲に含まれる全範囲の温度において、洗浄に好適な「冷水洗剤」を使用するものである。
更なる例として、異なる地域では、典型的に、異なる硬度の水が用いられている。水の硬度は、通常、Ca2+/Mg2+合計のグレイン/ガロン単位で記述される。硬度は、水中のカルシウム(Ca2+)及びマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。米国ではほとんどの水は硬水であるが、硬度の程度は様々である。中硬水(60〜120ppm)〜硬水(121〜181ppm)は、60〜181ppm(ppmをグレイン/USガロン単位に変換する場合、ppm数を17.1で除したものがグレイン/ガロンに相当する)の鉱物を含有する。
Figure 0006585698
欧州の水硬度は、典型的には、Ca2+/Mg2+を組み合わせて、約0.180(例えば、約0.180〜約0.342)グレイン/リットル(約10.5(例えば、約10.5〜約20.0)グレイン/ガロン)を超える(例えば、Ca2+/Mg2+を組み合わせて約0.26グレイン/リットル(約15グレイン/ガロン))。北アメリカの水硬度は、一般的には日本の水硬度よりも高いものの、欧州の水硬度より低い。例えば、北米の水硬度は、約0.05〜約0.18グラム(約3〜約10グレイン)、約0.05〜約0.14グラム(約3〜約8グレイン)、又は約0.1グラム(約6グレイン)であり得る。日本の水硬度は、典型的には、北米の水硬度よりも低く、通常約0.07グラム/リットル(約4グレイン/ガロン)未満であり、例えば、Ca2+/Mg2+を組み合わせて約0.05グラム/リットル(3グレイン/ガロン)である。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1組の洗浄条件(例えば、水温、水硬度、及び/又は洗剤濃度)において驚くべき洗浄性能を示すセリンプロテアーゼポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、その他のセリンプロテアーゼポリペプチドプロテアーゼに対し、洗浄性能において適合する。本発明のいくつかの実施形態では、本明細書において提供するセリンプロテアーゼポリペプチドは、増強された酸化安定性、増強された熱安定性、様々な条件下で増強されたクリーニング能力、及び/又は増強されたキレート安定性を示す。更に、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、洗剤を含有しないクリーニング組成物への、単独使用、又はビルダー及び安定剤と組み合わせての使用が見いだされる。
本発明のいくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%のレベルで本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドと、組成物の重量をもとに、クリーニング助剤を含む残部(例えば、約99.999重量%〜約90.0重量%)と、を含む。本発明のいくつかのその他の実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%のレベルの少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドと、クリーニング助剤を含むクリーニング組成物の残部(例えば、約99.9999重量%〜約90.0重量%、約99.999重量%〜約98重量%、約99.995重量%〜約99.5重量%)とを含む。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、クリーニング性能及び/又は布地ケア及び/又は食器洗浄効果を提供する追加の洗剤用酵素を1種以上含む。
好適な酵素の例として、追加のセリンプロテアーゼ、アシルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ−マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、メタロプロテアーゼ、非セリンプロテアーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、ペルヒドロダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β−グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル−エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、及びキシロシダーゼ、又は任意の組み合わせ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アミラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼ等の一般的に適用可能な酵素をプロテアーゼと共に含む酵素混合物(すなわち、「カクテル」)が使用される。
本発明の組成物には、本明細書で提供されるセリンプロテアーゼポリペプチドに加え、任意のその他の好適なプロテアーゼの使用が見いだされる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物由来のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、微生物由来のプロテアーゼが使用される。いくつかの実施形態では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、好ましくはアルカリ性の微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼである。アルカリプロテアーゼの例として、サブチリシン、バチルス(Bacillus)由来のものが挙げられる(例えば、サブチリシン、レンタス(lentus)、アミロリケファシェンス(amyloliquefaciens)、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシン309、サブチリシン147、及びサブチリシン168)。更なる例として、米国特許第RE 34,606号、同第5,955,340号、同第5,700,676号、同第6,312,936号、及び同第6,482,628(これら全ては参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されている変異体プロテアーゼが挙げられる。追加のプロテアーゼ例として、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ由来)、及び国際公開第89/06270号に記載のフサリウム(Fusarium)プロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明において有用な市販のプロテアーゼ酵素として、MAXATASE(登録商標)、MAXACAL(商標)、MAXAPEM(商標)、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)、PURAFECT(登録商標)OXP、PURAMAX(商標)、EXCELLASE(商標)、PREFERENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P100、P110、P280)、EFFECTENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000、P1050、P2000)、EXCELLENZ(商標)プロテアーゼ(例えば、P1000)、ULTIMASE(登録商標)、及びPURAFAST(商標)(Genencor);ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYM(商標)、POLARZYME(登録商標)、OVOZYME(登録商標)、KANNASE(登録商標)、LIQUANASE(登録商標)、NEUTRASE(登録商標)、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標)(Novozymes);BLAP(商標)及びBLAP(商標)変異体(Henkel Kommanditgesellschaft auf Aktien(Duesseldorf,Germany))、並びに、KAP(B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)サブチリシン;Kao Corp.(Tokyo,Japan))が挙げられるが、これらに限定されない。様々なプロテアーゼは、国際公開第95/23221号、同第92/21760号、同第09/149200号、同第09/149144号、同第09/149145号、同第11/072099号、同第10/056640号、同第10/056653号、同第11/140364号、同第12/151534、米国特許出願公開第2008/0090747号、及び、米国特許第5,801,039号、同第5,340,735号、同第5,500,364号、同第5,855,625号、同第RE34,606号、同第5,955,340号、同第5,700,676号、同第6,312,936号、同第6,482,628号、同第8,530,219号、並びに様々なその他特許に記載されている。いくつかの更なる実施形態では、国際公開第1999014341号、同第1999033960号、同第1999014342号、同第1999034003号、同第2007044993号、同第2009058303号、同第2009058661号、同第2014194032号、同第2014194034号、及び同第2014194054号に記載されているメタロプロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない、メタロプロテアーゼが本発明で有用である。代表的なメタロプロテアーゼとして、nprE(B.ズブチリス(B. subtilis)で発現する中性メタロプロテアーゼの組み換え型(例えば、国際公開第07/044993号参照))、及びPMN(B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefacients)由来の精製中性メタロプロテアーゼ)が挙げられる。
加えて、任意の好適なリパーゼが本発明において有用である。好適なリパーゼとしては、限定するものではないが、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体は本発明に包含される。有用なリパーゼの例として、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(例えば、欧州特許第258 068号、及び同第305 216号参照)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例えば、欧州特許第238 023号参照)、カンジダ(Candida)リパーゼ、例えば、C.アンタルチカ(C. antarctica)リパーゼ(例えば、C.アンタルチカ(C. antarctica)リパーゼA又はB;例えば、欧州特許第214 761号参照)、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)リパーゼ及びP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)リパーゼ(例えば、欧州特許第218 272号参照)、P.セパシア(P. cepacia)リパーゼ(例えば、欧州特許第331 376号参照)、P.スタットゼリ(P. stutzeri)リパーゼ(例えば、英国特許第1,372,034号参照)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)リパーゼ、B.リパーゼ(例えば、B.ズブチリス(B. subtilis)リパーゼ[Dartois et al.,Biochem.Biophys.Acta 1131:253〜260[1993]);B.ステロサーモフィラス(B. stearothermophilus)リパーゼ[例えば、JP64/744992号参照];及びB.プミルス(B. pumilus)リパーゼ[例えば、国際公開第91/16422号参照])が挙げられる。
更に、本発明のいくつかの実施形態には、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)リパーゼ(Yamaguchi et al.,Gene 103:61〜67[1991]参照)、ゲオトリクム・カンジドウム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimada et al.,J.Biochem.,106:383〜388[1989]参照)、及び様々なリゾプス(Rhizopus)リパーゼ、例えば、R.デレマー(R. delemar)リパーゼ(Hass et al.,Gene 109:117〜113[1991]参照)、R.ニベウス(R. niveus)リパーゼ(Kugimiya et al.,Biosci.Biotech.Biochem.56:716〜719[1992])、及びR.オリゼ(R. oryzae)リパーゼが挙げられるが、これらに限定されない、数多くのクローン化されたリパーゼの使用が見いだされる。
本発明のいくつかの実施形態では、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(国際公開第88/09367号参照)、及びフザリウム・ソラニ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(同90/09446号参照)が挙げられるがこれらに限定されないクチナーゼ等の、他の種類のリパーゼポリペプチド酵素も使用が見いだされる。
その他の好適なリパーゼとしては、M1 LIPASE(商標)、LUMA FAST(商標)、及びLIPOMAX(商標)(Genencor);LIPEX(登録商標)、LIPOLASE(登録商標)及びLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes);及びLIPASE P(商標)「Amano」(Amano Pharmaceutical Co.Ltd.(Japan))等のリパーゼが挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の追加のリパーゼのレベルのリパーゼと、組成物の重量に基づき残部のクリーニング助剤と、を更に含む。本発明の他のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物はまた、更にリパーゼを、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%リパーゼのレベルで含む。
本発明のいくつかの実施形態では、任意の好適なアミラーゼが、本発明において有用である。いくつかの実施形態では、アルカリ性溶液に使用するのに好適である任意のアミラーゼ(例えば、α及び/又はβ)も有用である。好適なアミラーゼとしては、限定するものではないが、細菌由来のもの又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。本発明において有用なアミラーゼとしては、限定するものではないが、バチルス・リケニフォルミス(B. licheniformis)から得られるα−アミラーゼが挙げられる(例えば、英国特許第1,296,839号参照)。追加の好適なアミラーゼとして、国際公開第9510603号、同第9526397号、同第9623874号、同第9623873号、同第9741213号、同第9919467号、同第0060060号、同第0029560号、同第9923211号、同第9946399号、同第0060058号、同第0060059号、同第9942567号、同第0114532号、同第02092797号、同第0166712号、同第0188107号、同第0196537号、同第0210355号、同第9402597号、同第0231124号、同第9943793号、同第9943794号、同第2004113551号、同第2005001064号、同第2005003311号、同第0164852号、同第2006063594号、同第2006066594号、同第2006066596号、同第2006012899号、同第2008092919号、同第2008000825号、同第2005018336号、同第2005066338号、同第2009140504号、同第2005019443号、同第2010091221号、同第2010088447号、同第0134784号、同第2006012902号、同第2006031554号、同第2006136161号、同第2008101894号、同第2010059413号、同第2011098531号、同第2011080352号、同第2011080353号、同第2011080354号、同第2011082425号、同第2011082429号、同第2011076123号、同第2011087836号、同第2011076897号、同第94183314号、同第9535382号、同第9909183号、同第9826078号、同第9902702号、同第9743424号、同第9929876号、同第9100353号、同第9605295号、同第9630481号、同第9710342号、同第2008088493号、同第2009149419号、同第2009061381号、同第2009100102号、同第2010104675号、同第2010117511号、及び同第2010115021号に見られるものが挙げられる。本発明において有用な市販のアミラーゼとしては、限定するものではないが、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)、及びBAN(商標)(Novozymes)、並びにPOWERASE(商標)、RAPIDASE(登録商標)及びMAXAMYL(登録商標)P(Genencor)が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%の追加のアミラーゼのレベルのアミラーゼと、組成物の重量に基づき残部のクリーニング助剤と、を更に含む。同様に、本発明の一部の他の実施例では、本発明のクリーニング組成物はまた、更にアミラーゼを、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%アミラーゼのレベルで含む。
いくつかの更なる実施形態では、任意の好適なセルラーゼが、本発明のクリーニング組成物において有用である。好適なセルラーゼとしては、限定するものではないが、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。好適なセルラーゼとして、フミコーラ・インコレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(例えば、米国特許第4,435,307号参照)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好適なセルラーゼは、色ケア効果を有するセルラーゼである(例えば、欧州特許第0 495 257号を参照されたい)。本発明において有用である市販のセルラーゼとして、CELLUZYME(登録商標)、CAREZYME(登録商標)(Novozymes)、REVITALENZ(商標)100(Danisco US Inc)及びKAC−500(B)(商標)(Kao Corporation)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、セルラーゼは、N−末端部分が欠失している成熟野生型又は変異体セルラーゼの部分又はフラグメントとして組み込まれる(例えば、米国特許第5,874,276号参照)。追加の好適なセルラーゼとして、国際公開第2005054475号、同第2005056787、米国特許第7,449,318号、及び同第7,833,773号に見いだされるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の重量に基づき約0.00001重量%〜約10重量%のレベルの追加のセルラーゼと、組成物の重量に基づき残部のクリーニング助剤と、を更に含む。本発明の他のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物はまた、更にセルラーゼを、組成物の重量に基づいて約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%のレベルで含む。
洗剤組成物で使用するのに好適な任意のマンナナーゼも同様に本発明において有用である。好適なマンナナーゼとしては、限定するものではないが、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。本発明で有用な様々なマンナナーゼが既知である(これらの全てが参照することにより本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第6,566,114号、同第6,602,842号、及び同第6,440,991号参照)。本発明において使用が見いだされる市販のマンナナーゼの例としては、MANNASTAR(登録商標)、PURABRITE(商標)、MANNAWAY(登録商標)が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の約0.00001重量%〜約10重量%のレベルの追加のマンナナーゼと、組成物の重量に基づき残部のクリーニング助剤と、を更に含む。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物はまた、更に、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%レベルでマンナナーゼを含む。
いくつかの実施形態では、ペルオキシダーゼは過酸化水素又は過酸化水素供給源(例えば、過炭酸塩、過ホウ酸塩又は過硫酸塩)と組み合わせて本発明の組成物に使用される。いくつかの代替的な実施形態では、オキシダーゼは酸素と組み合わせて使用される。いずれのタイプの酵素も「溶液を漂白する」(すなわち、布地を一緒にクリーニング液でクリーニングする場合に、繊維製品の染料が、その染料で染色されている布から他の布へと色移りするのを予防する)ために、好ましくは増感剤と共に使用される(例えば、国際公開第94/12621号及び同第95/01426号を参照されたい)。好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、限定するものではないが、植物、細菌又は真菌由来のものが挙げられる。いくつかの実施例では、化学物質により改変された又は遺伝子改変された変異体が包含される。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、組成物の重量に基づいて約0.00001重量%〜約10重量%のレベルの追加のペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼと、組成物の重量に基づき残部のクリーニング助剤と、を更に含む。本発明の他のいくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物はまた、更にペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼを、組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.001重量%〜約5重量%、約0.001重量%〜約2重量%、約0.005重量%〜約0.5重量%ペルオキシダーゼ及び/又はオキシダーゼのレベルで含む。
いくつかの実施形態では、有用な追加の酵素として、ペルヒドロダーゼが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、国際公開第2005056782号、同第2007106293号、同第2008063400号、同第2008106214号、及び同第2008106215号参照)。加えて、いくつかの実施形態では、上述の酵素の混合物、特に、1種以上の追加のプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、及び/又は少なくとも1種のセルラーゼ等の酵素の混合物が、本明細書に包含される。実際に、これらの酵素の多様な混合物が本発明において有用であることは想到される。様々なレベルのセリンプロテアーゼポリペプチドと、1種以上の追加の酵素を、いずれも独立して、約10%の範囲までとし、クリーニング組成物の残部をクリーニング助剤としてもよいことも想到される。具体的なクリーニング助剤の選別は、クリーニングされる表面、物品、又は布地、並びに使用時(例えば、洗剤を用いた洗浄中)のクリーニング条件に所望される組成物の形態を考慮することで容易になされる。
好適なクリーニング助剤の例として、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、その他の酵素、酵素安定系、キレート剤、蛍光増白剤、汚れ放出ポリマー、染料移行剤、移染防止剤、触媒材料、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、ポリマー分散剤、泥汚れ除去剤、構造弾性化剤、分散剤、抑泡剤、染料、香料、着色剤、塩充填剤、ヒドロトロープ、光活性化剤、蛍光剤、布地コンディショナー、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、顔料、加水分解性界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、縮み防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、殺真菌剤、カラースペックル、シルバーケア、黄ばみ防止及び/又は腐食防止剤、アルカリ源、可溶化剤、キャリア、加工助剤、顔料、及びpH調節剤が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、米国特許第6,610,642号、同第6,605,458号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,698,504号、同第5,695,679号、同第5,686,014号、及び同第5,646,101号参照)。具体的なクリーニング組成物材料の実施形態を以下に詳細に例示する。クリーニング助剤が、クリーニング組成物中で本発明のプロテアーゼ変異体と適合性でない実施形態では、2つの成分を組み合わせることが適切になるまでの間、クリーニング助剤及びプロテアーゼを分離した(すなわち、互いに接触させない)ままにしておくという好ましい手段が使用される。このような分離手法には、当該技術分野において既知の任意の好適な方法が包含される(例えば、ゲルキャップ法、カプセル封入、錠剤、物理的分離等)。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される有効量の1種以上のセリンプロテアーゼポリペプチドを、タンパク質性の染みを除去する必要のある様々な表面をクリーニングするのに有用な組成物に含有させる。このようなクリーニング組成物としては、硬質表面、布地、及び皿のクリーニング等の用途向けのクリーニング組成物が挙げられる。実際に、いくつかの実施形態では、本発明は布地クリーニング組成物を提供するが、他の実施形態では、本発明は非布地用クリーニング組成物を提供する。特に、本発明は、口腔ケア組成物(歯磨剤、歯磨き粉、マウスウォッシュ等、並びに義歯クリーニング用組成物を包含する)、皮膚クリーニング組成物及び毛髪クリーニング組成物等のパーソナルケアに好適なクリーニング組成物も提供する。本発明は、任意の形態(すなわち、液体、粒状、バー状、半固形、ゲル、乳濁液、錠剤、カプセル剤等)の洗剤組成物を包含することを意図する。
例として、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドの使用が見いだされる複数種のクリーニング組成物を以下に詳細に記載する。本発明のクリーニング組成物が、洗濯機を用いる洗浄方法で使用するのに好適な組成物として配合されるいくつかの実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは少なくとも1種の界面活性剤と、少なくとも1種のビルダー化合物と、並びに好ましくは、有機高分子化合物、漂白剤、追加の酵素、抑泡剤、分散剤、石鹸カス分散剤、汚れ懸濁剤及び再付着防止剤、及び防食剤から選択される1種以上のクリーニング助剤と、を含有する。いくつかの実施形態では、洗濯用組成物は柔軟剤も含有する(すなわち、追加のクリーニング助剤として)。本発明の組成物は、固体又は液体形態の洗剤添加剤への使用も見いだされる。このような添加剤は、従来の洗剤組成物の性能を補う及び/又は強化することが意図されるものであり、クリーニングプロセスの任意の段階で添加できる。いくつかの実施形態では、20℃で測定した場合、本明細書の洗濯洗剤組成物の密度は約400〜約1200g/リットルの範囲であり、一方別の実施形態では約500〜約950g/リットルの範囲である。
食器手洗い方式で使用する組成物として配合される実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは少なくとも1種の界面活性剤と、好ましくは有機高分子化合物、起泡剤、第2族金属イオン、溶媒、ヒドロトロープ、及び追加の酵素から選択される少なくとも1種の追加のクリーニング助剤と、を含有する。
いくつかの実施形態では、米国特許第6,605,458号に提供されるような様々なクリーニング組成物は、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドと共に使用される。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む組成物は、コンパクトな粒状布地クリーニング組成物である一方、別の実施形態では、組成物は、着色された布地を洗濯するのに有用な粒状布地洗浄組成物であり、更なる実施形態では、組成物は、洗浄能を通して柔軟効果を提供する粒状布地クリーニング組成物であり、追加の実施形態では、組成物は、強力液体布地クリーニング組成物である。いくつかの実施形態では、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号に記載のもの等の布地クリーニング組成物である。加えて、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、欧州又は日本の洗浄条件(例えば、米国特許第6,610,642号参照)下で特に有用である粒状洗濯洗剤組成物への使用が見いだされる。
いくつかの代替的な実施形態では、本発明は、本明細書で提供される少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む硬質表面クリーニング組成物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号、同第6,376,450号、及び同第6,376,450号に記載されるもの等の硬質表面クリーニング組成物である。
なお更なる実施形態では、本発明は、本明細書で提供される少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む食器洗浄用組成物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,610,642号及び同第6,376,450号のもの等の硬質表面クリーニング組成物である。いくつかのなお更なる実施形態では、本発明は、本明細書で提供される少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む食器洗浄用組成物を提供する。いくつかの更なる実施形態では、少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む組成物は、米国特許第6,376,450号及び同第6,376,450号に記載のもの等の口腔ケア組成物を含む。上記米国特許第6,376,450号、同第6,605,458号、同第6,605,458号、及び同第6,610,642号に含まれる化合物及びクリーニング助剤の処方及び説明が、本明細書に提供されるセリンプロテアーゼポリペプチドと共に使用される。
本発明のクリーニング組成物は、配合者により選択される任意のプロセスにより、任意の好適な形態に処方され、かつ調製される(例えば、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、及び同第5,486,303号参照)。低pHのクリーニング組成物が所望される場合、かかる組成物のpHは、モノエタノールアミン又は酸性材料(例えば、HCl)等の追加の材料により調整される。
いくつかの実施形態では、本発明によるクリーニング組成物は、酸性化粒子又はアミノカルボン酸ビルダーを含む。アミノカルボン酸ビルダーの例としては、アミノカルボン酸、それらの塩及び誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、アミノカルボン酸ビルダーは、アミノポリカルボン酸ビルダー、例えば、グリシン−N,N−二酢酸又は一般式MOOC−CHR−N(CH2COOM)2(式中、RはC1〜12アルキルであり、Mはアルカリ金属である)の誘導体である。いくつかの実施形態では、アミノカルボン酸ビルダーは、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、GLDA(グルタミン酸−N,N−二酢酸)、イミノ二コハク酸(IDS)、カルボキシメチルイヌリンイヌリン及びそれらの塩及び誘導体、アスパラギン酸−N−一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸−N−一プロピオン酸(ASMP)、イミノ二コハク酸(IDA)、N−(2−スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N−(2−スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N−(2−スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N−(2−スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、IDS(イミノ二酢酸)及びそれらの塩及び誘導体、例えば、N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α−アラニン−N,N−二酢酸(α−ALDA)、セリン−N,N−二酢酸(SEDA)、イソセリン−N,N二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン−N,N−二酢酸(PHDA)、アントラニル酸−N,N−二酢酸(ANDA)、スルファニル酸−N,N−二酢酸(SLDA)、タウリン−N,N−二酢酸(TUDA)及びスルホメチル−N,N−二酢酸(SMDA)及びこれらのアルカリ金属塩及び誘導体とすることができる。いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、約400μ〜約1200μの加重幾何平均粒径と、少なくとも550g/Lのかさ密度を有する。いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、少なくとも約5%のビルダーを含む。
いくつかの実施形態では、酸性化粒子は、有機酸及び鉱酸等の任意の酸を含み得る。有機酸は、1種又は2種のカルボキシル部分を有し得るものであり、いくつかの例では、最大15個、特に最大10個の炭素を有することができ、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプリン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、セバシン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、酒石酸、及びグリオキシル酸等である。いくつかの実施形態では、酸はクエン酸である。鉱酸としては、塩酸及び硫酸が挙げられる。いくつかの例では、本発明の酸性化粒子は、アミノカルボン酸ビルダーを高レベルで含む高活性の粒子である。硫酸は、最終的な粒子の安定性に更に貢献することも判明している。
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される助剤の非限定的な一覧は、本発明のクリーニング組成物での使用に好適である。いくつかの実施形態では、これらの助剤は、例えば、クリーニング性能を補助又は強化させるために、クリーニングされる基材を処理するために、あるいは香料、着色剤、又は染料等の場合にはクリーニング組成物の美観を改善するために組み込まれる。これらの助剤が本発明のプロテアーゼ変異体に添加されることは理解されたい。このような追加成分の正確な性質及びその添加レベルは、組成物の物理的形態、及び組成物が使用されるクリーニング操作の性質によって決まる。好適な補助剤としては、限定するものではないが、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、付着助剤、分散剤、追加の酵素、及び酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、漂白増進剤、過酸化水素、過酸化水素供給源、予形成された過酸、高分子分散剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は色素が挙げられる。以下の開示に加え、このような他の補助剤の好適な例及び使用レベルは、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号、及び同第6,326,348号に記載されており、これら公報は参照により組み込まれる。上述の補助成分は、本発明のクリーニング組成物の残部を構成し得る。
いくつかの実施形態では、本発明に従うクリーニング組成物は、少なくとも1種の界面活性剤及び/又は界面活性剤系を含み、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。いくつかの低pHクリーニング組成物の実施形態(例えば、原液のpHが約3〜約5の組成物)では、界面活性剤がこのような組成物により加水分解される恐れがあると考えられることから、典型的には当該組成物はエトキシル化アルキル硫酸塩を含まない。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、クリーニング組成物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約60重量%のレベルで存在する一方、代替的な実施形態では約1重量%〜約50重量%のレベルで、あるいは更に他の実施形態では約5重量%〜約40重量%のレベルで存在する。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、1種以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含む。少なくとも1種のビルダーを組み込むいくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、クリーニング組成物の重量に基づいて、少なくとも約1重量%、約3重量%〜約60重量%、又は更には約5重量%〜約40重量%のビルダーを含む。ビルダーとしては、限定するものではないが、例えば、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、ケイ酸アルカリ金属塩、炭酸のアルカリ土類金属塩及びアルカリ金属塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボン酸塩化合物、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩(例えば、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸)、並びにメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩等のポリカルボン酸類が挙げられる。実際に、本発明の様々な実施形態では任意の好適なビルダーが有用であることが想到される。
いくつかの実施形態では、ビルダーは水溶性の硬度イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)、例えば、クエン酸塩及びポリリン酸塩等(例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウム、並びにトリポリリン酸ナトリウムとトリポリリン酸カリウムとの混合物等)を形成する。当該技術分野において既知のものが挙げられる(例えば、欧州特許第2 100 949号参照)、任意の好適なビルダーが、本発明において有用であることが想到される。
いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるビルダーは、リン酸塩ビルダー及び非リン酸塩ビルダーを包含する。いくつかの実施形態では、ビルダーはリン酸塩ビルダーである。いくつかの実施形態では、ビルダーは非リン酸塩ビルダーである。存在させる場合、ビルダーは、組成物の0.1重量%〜80重量%、又は5〜60重量%、又は10〜50重量%のレベルで使用する。いくつかの実施形態では、製品は、リン酸塩及び非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。好適なリン酸塩ビルダーとしては、一リン酸塩、二リン酸塩、三リン酸塩又はオリゴマー程度のポリリン酸塩が挙げられ、これらの化合物のアルカリ金属塩が包含され、ナトリウム塩が包含される。いくつかの実施形態では、ビルダーは、三リン酸ナトリウム(STPP)とすることができる。更に、組成物には、カルボン酸塩及び/又はクエン酸塩を含ませることができる。好ましくは、クエン酸は本発明のpH組成物を達成するよう機能する。その他の好適な非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸及びそれらの部分的に又は完全に中和された塩、ポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸及びそれらの塩のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、上記の化合物の塩としては、アンモニウム及び/又はアルカリ金属塩、すなわち、リチウム、ナトリウム、及びカリウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。好適なポリカルボン酸としては、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸が挙げられ、いくつかの実施形態では、それらのポリカルボン酸は、いずれの場合にも互いに別々のものであり、炭素原子2個以下の少なくとも2つのカルボキシル基を含有する。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は少なくとも1種のキレート剤を含有する。好適なキレート剤としては、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。少なくとも1種のキレート剤を使用する実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、対象とするクリーニング組成物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約15重量%又は更には約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含む。
いくつかの更なる実施形態では、本明細書で提供されるクリーニング組成物は、少なくとも1種の付着助剤を含有する。好適な付着助剤としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボン酸塩、ポリテレフタル酸等の汚れ剥離ポリマー、カオリナイト等のクレイ、モンモリロナイト、アタパルジャイト(atapulgite)、イライト、ベントナイト、ハロイサイト、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書に記載されるように、再付着防止剤は、本発明の一部の実施形態において有用である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は有用である。例えば、自動食器クリーニング機の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、表面改質の目的で、特にシーチングのために、フィルミングとスポッティングを防止するため、及び光沢を改善するために有用である。これらの非イオンの界面活性剤は、また、汚れの再付着の防止にも有用である。いくつかの実施形態では、再付着防止剤は、当該技術分野において既知の非イオン性界面活性剤である(例えば、欧州特許第2 100 949号)。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、エトキシル化非イオン性界面活性剤、エポキシ保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール及びアミンオキシド系界面活性剤とすることができる。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、1種以上の移染防止剤を包含する。好適なポリマー移染防止剤としては、これらに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種の移染防止剤が使用される実施形態では、本発明のクリーニング組成物において、クリーニング組成物の重量に基づき約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、又は更には約0.1重量%〜約3重量%を構成する。
いくつかの実施形態では、ケイ酸塩が本発明の組成物に含まれる。このようないくつかの実施形態では、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶質フィロケイ酸塩)は有用である。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は約1%〜約20%のレベルで存在する。いくつかの実施形態では、ケイ酸塩は組成物の約5重量%〜約15重量%のレベルで存在する。
いくつかの更なる実施形態では、本発明のクリーニング組成物は分散剤も含有する。好適な水溶性有機材料には、ホモポリマー型若しくはコポリマー型の酸又はそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されず、このうち、ポリカルボン酸は、炭素原子2個以内の程度で互いに離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
いくつかの更なる実施形態では、クリーニング組成物に使用される酵素は任意の好適な技術により安定化されている。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される酵素は、最終組成物中にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源を存在させて、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給することで安定化する。いくつかの実施形態では、酵素安定剤としては、オリゴ糖、多糖、及びアルカリ土類金属塩等の無機二価金属塩、例えば、ギ酸カルシウム等のカルシウム塩が挙げられる。酵素安定化に関する様々な技術が本発明において有用であると想到される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で使用される酵素は、最終組成物中に、亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンの水溶性供給源、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV)イオン)の水溶性供給源を存在させて当該イオンを酵素に供給することで安定化される。塩化物及び硫酸塩もまた、本発明のいくつかの実施形態において有用である。好適なオリゴ糖類及び多糖類(例えば、デキストリン)の例は、当該技術分野において既知である(例えば、国際公開第07/145964号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、例えば、ホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸塩、4−ホルミルフェニルボロン酸)及び/又はトリペプチドアルデヒド等の可逆的プロテアーゼ阻害剤もまた、所望により更に安定性を改善させるために有用である。
いくつかの実施形態では、漂白剤、漂白活性化剤及び/又は漂白触媒が、本発明の組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、無機及び/又は有機漂白化合物を含む。無機漂白剤として、ペルハイドレート塩(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過ケイ酸塩)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、無機ペルハイドレート塩はアルカリ金属塩である。いくつかの実施形態では、無機ペルハイドレート塩が、更なる保護はされずに結晶質の固体として含まれるが、他のいくつかの実施形態では、この塩はコーティングされる。当該技術分野において既知の任意の好適な塩が、本発明において有用である(例えば、欧州特許第2 100 949号参照)。
いくつかの実施形態では、漂白活性化剤を本発明の組成物に使用する。漂白活性化剤は、典型的に、60℃以下の温度で洗浄中に漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書に用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件下で好ましくは約1〜約10個の炭素原子、特に約2〜約4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸及び/又は任意に置換された過安息香酸を生じる化合物が挙げられる。追加の漂白活性化剤が当該技術分野において既知であり、本発明において有用である(例えば、欧州特許第2 100 949号参照)。
加えて、いくつかの実施形態において及び本明細書に更に記載されるように、本発明のクリーニング組成物は、少なくとも1種の漂白触媒を更に含む。いくつかの実施形態では、マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、並びにコバルト錯体、銅錯体、マンガン錯体、及び鉄錯体も有用である。追加の漂白触媒も本発明において有用である(例えば、米国特許第4,246,612号、同第5,227,084号、同第4,810,410号、国際公開第99/06521号、及び欧州特許第2 100 949号参照)。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は1種以上の触媒性金属錯体を含有する。いくつかの実施形態では、金属系漂白触媒は有用である。いくつかの実施形態では、金属系漂白触媒には、所定の漂白触媒活性を有する遷移金属カチオン(例えば銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンカチオン)、漂白触媒活性をわずかしか有さない又は全く有さない補助金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムカチオン)、及び触媒型及び補助金属カチオンに関して所定の安定性定数を有する金属イオン封鎖剤、具体的には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系が含まれる(例えば、米国特許第4,430,243号参照)。いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物はマンガン化合物により触媒される。このような化合物及び使用レベルは当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第5,576,282号参照)。追加の実施形態では、コバルト漂白触媒は、本発明のクリーニング組成物において有用である。様々なコバルト漂白触媒が当該技術分野において既知であり(例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号参照)、既知の手順により容易に調製される。
いくつかの更なる実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、マクロ多環式剛性配位子(MRL)の遷移金属錯体を含有する。実際問題として、制限を目的とするものではないが、いくつかの実施形態では、本発明により提供される組成物及びクリーニング方法は、水性クリーニング媒質中に少なくとも1pphmの次数で活性MRL種を供給するように調整され、及びいくつかの実施形態では約0.005ppm〜約25ppm、より好ましくは約0.05ppm〜約10ppm、及び最も好ましくは約0.1ppm〜約5ppmのMRLがクリーニング液中に供給される。
いくつかの実施形態では、本発明の遷移金属漂白触媒の遷移金属としては、限定するものではないが、例えば、マンガン、鉄及びクロムが挙げられる。同様に、MRLとしては、限定するものではないが、例えば、特定の架橋型超剛性配位子(例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ(6.6.2)ヘキサデカン)が挙げられる。好適な遷移金属MRLは、既知の手順により容易に調製される(例えば、国際公開第2000/32601号及び米国特許第6,225,464号参照)。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、金属ケア剤を含有する。金属ケア剤は、アルミニウム、ステンレス鋼、及び非鉄金(例えば、銀及び銅)を包含する金属の、変色、腐食、及び/又は酸化の予防及び/又は軽減に有用である。好適な金属ケア剤としては、欧州特許第2 100 949号、国際公開第9426860号及び同第94/26859号に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、金属ケア剤は亜鉛塩である。いくつかの更なる実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、1種以上の金属ケア剤を約0.1重量%〜約5重量%含む。
いくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、変異体セリンプロテアーゼポリペプチドプロテアーゼを有する高密度液体(HDL)組成物である。THDL液体洗濯洗剤には、アニオン性洗剤界面活性剤(線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換アルキル硫酸塩、スルホン酸アルキル、アルキルアルコキシル化硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルホスホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される);及び任意選択的に非イオン界面活性剤(線状又は分岐状又はランダム鎖、置換又は非置換アルキルアルコキシル化アルコール、例えば、C〜C18アルキルエトキシル化アルコール及び/又はC〜C12アルキルフェノールアルコキシレートからなる群から選択される)を含む、洗剤界面活性剤を含ませることができ(10%〜40%)、任意選択的に、アニオン性洗剤界面活性剤(親水性指数(HIc)が6.0〜9のもの)の非イオン性洗剤界面活性剤に対する重量比は1:1である。好適な洗浄界面活性剤には、カチオン性洗浄界面活性剤(アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物、及び/又はこれらの混合物からなる群から選択される)、双極性及び/又は両性洗浄界面活性剤(アルカノールアミンスルホベタインからなる群から選択される)、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、並びにこれらの混合物も含まれる。
組成物には、任意選択的に、両親媒性アルコキシル化グリースクリーニングポリマーからなる界面活性増強ポリマー(surfactancy boosting polymer)(分岐親水性及び疎水性を備える分岐部分を有するアルコキシル化ポリマーからなる群から選択され、例えば、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを0.05重量%〜10重量%)、及び/又はランダムグラフトポリマー(典型的には、不飽和C〜Cカルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、飽和ポリアルコール、例えば、グリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性主鎖と、C〜C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C〜Cモノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC〜Cアルキルエステル、及びこれらの混合物からなる群から選択される疎水性側鎖とを含む)を含ませることができる。
組成物には、追加ポリマー、例えば汚れ剥離ポリマー(アニオン性末端保護ポリエステル、例えば、SRP1、ランダム又はブロック構成で、単糖類、ジカルボン酸、ポリオール及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のモノマー単位を含むポリマー、ランダム又はブロック構成のエチレンテレフタレート系ポリマー及びそれらのコポリマーであって、例えば、Repel−o−tex SF、SF−2及びSRP6、Texcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325、Marloquest SLを含む)、再付着防止ポリマー(分子量500〜100,000Daの範囲の、アクリル酸、マイレン酸(若しくはマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、及びこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種のモノマーを含むポリマー、ビニルピロリドンホモポリマー、並びに/又はポリエチレングリコール等のカルボキシレートポリマーを0.1重量%〜10重量%含む)、セルロースポリマー(アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロースであって、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物等から選択されるものを含む)、並びに高分子カルボキシレート(マレイン酸/アクリル酸ランダムコポリマー又はポリアクリル酸ホモポリマー等)等を含めることもできる。
組成物は、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくは飽和又は不飽和C12〜C24脂肪酸(0重量%〜10重量%)、及び付着補助剤を含んでもよく、付着補助剤の例としては、多糖類、好ましくはセルロース系ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)、及びDAD MACと、ビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、ハロゲン化イミダゾリニウム、及びそれらの混合物との、ランダム又はブロック構成のコポリマー、カチオン性グアーガム、カチオン性セルロース(例えば、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース等)、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアシルアミド、並びにそれらの混合物が挙げられる。
組成物には、更に、移染防止剤を含ませることもでき、移染防止剤としては、例えば、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、並びに/又はこれらの混合物、キレート剤(例えば、エチレン−ジアミン−四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシ−エタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’−二コハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド(HPNO)、又はメチルグリシン二酢酸(MGDA)が挙げられる)、グルタミン酸N,N二酢酸(N,N−ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリム塩(GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンジスルホン酸、クエン酸及びその任意の塩、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、及びこれらの誘導体が挙げられる。
組成物は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、クチナーゼ、ラッカーゼ、ホスホリパーゼ、リゾホスホリパーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ペルヒドロダーゼ、アリールエステラーゼ、及びこれらの任意の混合物から選択される酵素(通常は、約0.01重量%の活性酵素〜0.5重量%の活性酵素)を更に含んでよい。組成物は、酵素安定化剤(例としては、プロピレングリコール若しくはグリセロール等のポリオール類、糖若しくは糖アルコール、乳酸、可逆的プロテアーゼ阻害剤、ホウ酸、若しくは芳香族ホウ酸エステル等のホウ酸誘導体、又は4−ホルミルフェニルボロン酸等のフェニルボロン酸誘導体が挙げられる)を含んでもよい。
組成物は、シリコーン又は脂肪酸系抑泡剤、色調染料、カルシウムカチオン及びマグネシウムカチオン、視覚的シグナル成分、消泡剤(0.001重量%〜約4.0重量%)、及び/又は構造化剤/増粘剤(0.01重量%〜5重量%、ジグセリド及びトリグリセリド、ジステアリン酸エチレングリコール、結晶セルロース、セルロース系材料、微小繊維状セルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ジェランガム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるもの)を更に含んでよい。
前記組成物は、任意の液体状(例えば、液体状若しくはゲル状、又はこれらの任意の組み合わせ等)であってよい。
いくつかの実施形態では、本発明のクリーニング組成物は、錠剤、カプセル、分包剤、パウチ、及び多区画パウチ等の一回用量形状で提供される。いくつかの実施形態では、一回用量形状は、多区画パウチ(又は他の一回用量形状)内の成分を制御放出するよう設計される。好適な一回用量型及び制御放出形式は、当該技術分野において既知である(例えば、欧州特許第2 100 949号、国際公開第02/102955号、米国特許第4,765,916号及び同4,972,017号、並びに、一回用量型及び制御放出形式に使用するための好適な材料については国際公開第04/111178号参照)。いくつかの実施形態では、一回用量形状は、水溶性フィルムで包装された錠剤又は水溶性パウチとして提供される。様々な一回用量形状が、欧州特許第2 100 947号及び国際公開第2013/165725号(参照により本明細書に組み込まれる)に提供されており、当該技術分野において既知である。
いくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、変異体セリンプロテアーゼポリペプチドプロテアーゼを有する高密度粉末(HDD)組成物である。HDD粉末洗濯用洗剤は、アニオン性洗浄性界面活性剤(例えば、直鎖若しくは分子鎖又はランダム鎖の、置換若しくは非置換アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアルコキシル化サルフェート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルカルボキシレート及び/又はこれらの混合物)、非イオン性洗浄性界面活性剤(例えば、直鎖若しくは分子鎖又はランダム鎖の、置換若しくは非置換C8〜C18アルキルエトキシレート、及び/又はC6〜C12アルキルフェノールアルコキシレート)、カチオン性洗浄性界面活性剤(例えば、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物)、双極性及び/又は両性洗浄性界面活性剤(例えば、アルカノールアミンスルホ−ベタイン)、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物を含む、洗浄性界面活性剤;ホスフェートを含まないビルダー(例えば、ゼオライトビルダー、これらの例には、0重量%〜10重量%未満の範囲のゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP及びゼオライトMAPが含まれる)、ホスフェートビルダー(例えば、0重量%〜10重量%未満の範囲のトリポリリン酸ナトリウム)、クエン酸、クエン酸塩、及びニトリロ三酢酸、又は15重量%未満の範囲のこれらの塩、ケイ酸塩(0重量%〜10重量%未満の範囲のケイ酸ナトリウム若しくはカリウム、又は、メタケイ酸ナトリウム、又は、層状ケイ酸塩(SKS−6))、カルボネート塩(0重量%〜10重量%未満の範囲の炭酸ナトリウム及び/又は重炭酸ナトリウム);並びに、漂白剤(光漂白剤、例えば、スルホン化フタロシアニン亜鉛、スルホン化フタロシアニンアルミニウム、キサンテン系染料、及びこれらの混合物を含む)、疎水性又は親水性漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸、又はこれらの塩、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン−TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート−NOBS、ニトリルクアット、及びこれらの混合物)、過酸化水素、過酸化水素源(例えば、無機ペルハイドレート塩、これらの例には、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、又は過ケイ酸塩の一又は四水和物ナトリウム塩が含まれる)、予形成された親水性及び/又は疎水性過酸(例えば、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキシ一硫酸及び塩)、及びこれらの混合物、並びに/又は漂白触媒(例えば、イミン漂白促進剤、これらの例には、イミニウムカチオン及びポリイオンが含まれる)、イミニウム双性イオン、変性アミン、変性アミンオキシド、N−スルホニルイミン、N−ホスホニルイミン、N−アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン、及びこれらの混合物、金属含有漂白触媒(例えば、亜鉛又はアルミニウム等の補助金属カチオン、及びエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四(メチレンホスホン酸)等の封鎖剤と併せた、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンカチオン、及びこれらの水溶性塩)を含んでよい。
組成物には、香料マイクロカプセル、デンプンカプセル化香料アコード、色相剤(hueing agent)、追加のポリマー(布地保全剤(fabric integrity)及びカチオン性ポリマー)、染料固定剤、布地柔軟剤、増白剤(例えば、C.I.蛍光増白剤)、凝集剤、キレート剤、アルコキシル化ポリアミン、布地付着助剤、及び/又はシクロデキストリン等の追加の洗剤原料を更に含ませることができる。
いくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、本発明のセリンプロテアーゼを有する自動食器洗い(ADW)洗剤組成物である。ADW洗剤組成物は、0〜10重量%の量で存在する、エトキシル化非イオン界面活性剤、アルコールアルコキシル化界面活性剤、エポキシ保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール、又はアミンオキシド界面活性剤からなる群から選択される2種以上の非イオン界面活性剤;5〜60%の範囲の、リン酸塩(一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩又はオリゴマーポリリン酸塩(oligomeric-poylphosphates)のいずれかのビルダー、好ましくはトリポリリン酸ナトリウム−STPP又はリン酸塩を含有しないビルダー[アミノ酸ベースの化合物、例えば、MGDA(メチル−グリシン−二酢酸等)、及びそれらの塩及び誘導体、GLDA(グルタミン−N,N二酢酸)及びそれらの塩及びそれらの誘導体、IDS(イミノジコハク酸)及びそれらの塩及びそれらの誘導体、カルボキシメチルイヌリン、及びそれらの塩及び誘導体、並びにそれらの混合物、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、B−アラニンニ酢酸(B−ADA)及びそれらの塩]、0.5重量%〜50重量%の範囲のポリカルボン酸及びそれらの部分的に又は完全に中和された塩のホモポリマー及びコポリマー、ポリカルボン酸単量体及びヒドロキシカルボン酸単量体及びそれらの塩;約0.1重量%〜約50重量%の範囲のスルホン化/カルボキシル化ポリマー(製品に寸法安定性を提供する);約0.1重量%〜約10重量%の範囲の乾燥助剤(ポリエステルから選択され、特にアニオン性ポリエステルと、場合により、特に、酸、アルコール、又はエステル官能基の重縮合をもたらす3〜6個の官能基を有するモノマー、ポリカーボネート、ポリウレタン−、及び/又はポリウレア−ポリオルガノシロキサン化合物又はそれらの活性環状カーボネート及び尿素タイプの前駆体化合物との組み合わせ);約1重量%〜約20重量%の範囲のシリケート(ケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウム、例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶性フィロ珪酸);無機漂白剤(例えば、過酸化水素化物塩、例えば、過ほう酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩、及び過珪酸塩)及び有機(例えば、ジアシル及びテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸、ジペルオキシテトラデカン二酸、及びジペルオキシヘキサデカン二酸等の有機過酸);約0.1重量%〜約10重量%の漂白活性剤−有機過酸前駆体;漂白触媒(マンガントリアザシクロノナン及び関連する錯体、Co、Cu、Mn及びFeビスピリジルアミン及び関連する錯体、並びにペンタミン酢酸コバルト(III)及び関連する錯体から選択);約0.1重量%〜5重量%の金属ケア剤(ベンザトリアゾール(benzatriazoles)、金属塩及び錯体、及び/又は珪酸塩から選択);自動食器洗浄洗剤組成物1g当たり約0.01〜5.0mg活性酵素の範囲の酵素(アシルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド−β−1、4−グルカナーゼ、エンド−β−マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ型マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノロキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、還元酵素、ラムノガラクツロナーゼ、β−グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチルエステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、及びキシロシダーゼ、及びこれらの任意の混合物);並びに酵素安定成分(オリゴ糖、多糖及び無機二価金属塩から選択)を含んでよい。
上記の通り、本発明のクリーニング組成物は、配合者により選択される任意のプロセスにより、任意の好適な形態に処方され、かつ調製され、その非限定例は、米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、同第5,486,303号、同第4,515,705号、同第4,537,706号、同第4,515,707号、同第4,550,862号、同第4,561,998号、同第4,597,898号、同第4,968,451号、同第5,565,145号、同第5,929,022号、同第6,294,514号、及び同第6,376,445に記載されている。低pHのクリーニング組成物が所望される他のいくつかの実施形態では、このような組成物のpHは、HCl等の酸性材料を添加することで調整される。
本明細書で開示されるクリーニング組成物は、部位のクリーニングにおいて有用である(例えば、表面、物品、食器類又は布地)。典型的には、このような部位の少なくとも一部を、原液又は洗浄液で希釈した本発明のクリーニング組成物と接触させ、そしてその後、場合により、その部位を洗浄及び/又はすすぎ洗いする。本発明の目的に関し、「洗浄」には、擦ること及び機械的撹拌が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水温は、典型的には、約5℃〜約90℃であり、部位が布地を含む場合、水と布地との割合は、典型的には、約1:1〜約30:1である。
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを有益に含有する代表的な洗剤処方としては、参照により本明細書に援用される国際公開第2013063460号、第78〜152頁に見られるものが挙げられ、特に、第94〜152頁に見られるものが挙げられる。セリンプロテアーゼは、通常、酵素タンパク質のレベルが、組成物の0.00001重量%〜10重量%になるように洗剤組成物に組み込まれる。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、組成物の0.0001重量%超、0.001重量%超、0.01重量%超又は0.1重量%超のセリンプロテアーゼを含む。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、組成物の1重量%未満、0.1重量%未満、0.01重量%未満、又は0.001重量%未満のセリンプロテアーゼを含む。
本発明は、クリーニングの必要がある物品又は表面(例えば、硬質表面)をクリーニング又は洗浄する方法を提供し、こうした方法としては、これらに限定するものではないが、食器類、食卓用食器類、布地物品、洗濯物物品、パーソナルケア物品等のクリーニング又は洗浄方法、及び硬質若しくは軟質表面(例えば、物品の硬質表面)のクリーニング又は洗浄方法が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明は、クリーニングする必要のある物品、対象物、又は表面をクリーニングするための方法を提供し、この方法は、物品又は表面(又はクリーニングされることが所望される物品又は表面の一部)を本発明の少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチド又は本発明の組成物と、物品、対象物若しくは表面を所望される程度まで洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又はそうするのに好適な及び/又は有効な条件下で接触させることを含む。このような方法のいくつかのものは、物品、物体、又は表面を水ですすぐ工程を更に含む。このような方法のいくつかのものでは、クリーニング組成物は食器洗剤組成物であり、クリーニングされる物品又は物体は食器類又は食卓用食器類である。本明細書で使用するとき、「食器類」は、食品を給仕する際又は食べる際に一般的に使用される物品である。食器類は、これらに限定するものではないが、例えば深皿、平皿、カップ、椀等のようなものであり得る。本明細書で使用するとき、「食卓用食器類」はより広義の用語であり、これらに限定するものではないが、例として深皿、金属食器、ナイフ、フォーク、スプーン、箸、ガラス食器、水差し、ソース入れ、飲用容器、給仕用具等が挙げられる。「食卓用食器類」は食品を給仕する又は食べるための上記又は類似物品のいかなるものも包含することを意図する。このような方法の一部では、クリーニング組成物は、自動食器クリーニング用洗剤組成物又は食器手洗い用洗剤組成物であり、クリーニングされる物品又は物体は、食器又は食卓用食器類である。このような方法のいくつかのものでは、クリーニング組成物は、洗濯洗剤組成物(例えば、粉末洗濯洗剤組成物又は液体洗濯洗剤組成物)であり、クリーニングされる物品は布地物品である。その他のいくつかの実施形態では、クリーニング組成物は洗濯物前処理用組成物である。
いくつかの実施形態では、本発明は、それぞれ所望によりクリーニング又はクリーニングが必要な布地物品をクリーニング又はクリーニングする方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、布地又は洗濯物クリーニング組成物を包含する、プロテアーゼ変異体を含む組成物、及びクリーニングが必要な布地物品又は洗濯物物品を準備する工程と、この布地物品又は洗濯物物品(又はクリーニングが望ましい物品の一部)を、組成物に、布地又は洗濯物物品を望ましい程度までクリーニング又はクリーニングするのに十分な又は有効な条件下で接触させる工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、本発明は、所望によりクリーニングする必要のある物品又は表面(例えば、硬質表面)をクリーニング又は洗浄するための方法を提供し、方法は、クリーニング又は洗浄される物品又は表面を準備する工程、並びに物品又は表面(又はクリーニング又は洗浄することが所望される物品又は表面の一部)を、本発明の少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチド又は少なくとも1種のこのようなセリンプロテアーゼポリペプチドを含む本発明の組成物に、所望される程度まで物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又はそうするのに十分又は有効な条件下で接触させる工程を含む。このような組成物としては、これらに限定するものではないが、例えば、本発明のクリーニング組成物又は洗剤組成物(例えば、食器手洗い用洗剤組成物、食器手洗い用クリーニング組成物、洗濯洗剤又は布地洗剤又は洗濯物若しくは布地クリーニング組成物、液体洗濯洗剤、液体洗濯物クリーニング組成物、粉末洗濯洗剤組成物、粉末洗濯物クリーニング組成物、自動食器洗浄用洗剤組成物、洗濯用補助クリーニング又は洗剤組成物、洗濯物クリーニング添加剤、及び洗濯物シミ抜き前処理用組成物(laundry pre-spotter composition)等)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本方法は、特に追加のクリーニング又はクリーニングが望ましい場合に、1回以上繰り返される。例えば、場合によっては、本方法は任意で、その物品又は表面を望ましい程度までクリーニング又はクリーニングするのに十分な又は有効な時間にわたって、物品又は表面を少なくとも1種のプロテアーゼ変異体又は組成物に接触させ続ける工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、物品又は表面を水及び/又は別の液体ですすぎ洗いする工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、物品又は表面を少なくとも1種の本発明のプロテアーゼ変異体又は本発明の組成物と再度接触させる工程と、その物品又は表面を望ましい程度までクリーニング又はクリーニングするのに十分な又は有効な時間にわたって、物品又は表面を少なくとも1種のプロテアーゼ変異体又は組成物に接触させ続ける工程と、を更に含む。いくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、食器洗い用洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は食器又は食卓用食器類である。本方法のいくつかの実施形態では、クリーニング組成物は、自動食器クリーニング用洗剤組成物又は食器手洗い用洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は食器又は食卓用食器類である。本方法のいくつかの実施形態では、クリーニング組成物は洗濯洗剤組成物であり、クリーニングされる物品は布地物品である。
本発明はまた、自動食器洗浄機で食卓用食器類又は食器類をクリーニングする方法を提供し、この方法は、自動食器洗浄機を準備する工程、食卓用食器類又は食器類をクリーニングするのに十分な量の、少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む自動食器洗浄機用組成物又は本発明の組成物を自動食器洗浄機内に(例えば、組成物を適切な又は食器洗浄機内に装備された洗剤区画若しくはディスペンサーに入れることにより)入れる工程と、自動食器洗浄機内に食器類又は食卓用食器類を入れる工程と、食卓用食器類又は食器類がクリーニングされるよう自動食器洗浄機を操作する工程(例えば、製造元による取り扱い説明書に従って)と、を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載の任意の自動食器洗浄機用組成物を包含し、組成物は、限定するものではないが本明細書で提供される少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む。自動食器洗浄用組成物の使用量は、製造元による取り扱い説明書又は提案に従って容易に決定することができ、本明細書に記載のものを含めて、本発明のプロテアーゼ変異体を少なくとも1種含むいかなる形態の自動食器洗浄用組成物(例えば、液体、粉末、固体、ゲル、錠剤等)も使用できる。
本発明は、所望によりクリーニングする必要のある表面、物品又は対象物をクリーニングするための方法も提供し、本方法は、所望される程度まで物品又は表面をクリーニング又は洗浄するのに十分な時間にわたって及び/又はそうするのに十分な若しくは有効な条件下で、物品又は表面(又はクリーニングすることが所望される物品又は表面の部分)を、原液若しくは洗浄溶液に希釈した本発明の少なくとも1種の本発明のセリンプロテアーゼポリペプチド又は本発明のクリーニング組成物と接触させる工程を含む。必要に応じて、その後、表面、物品、又は対象物を(任意に)洗浄し及び/又はすすいでもよい。
本発明は、洗濯物又は布地物品を洗濯機でクリーニングする方法も提供し、方法は、洗濯機を準備する工程と、洗濯物又は布地物品をクリーニングするのに十分な量の、本発明の少なくとも1種のセリンプロテアーゼポリペプチド酵素を含む洗濯洗剤組成物を(例えば、組成物を洗濯機内の適切な又は備え付けの洗剤区画又はディスペンサーに入れることにより)洗濯機内に入れる工程と、洗濯機内に洗濯物又は布地物品を入れる工程と、及び洗濯物又は布地物品がクリーニングされるように洗濯機を(例えば、製造元の取扱説明書に従って)操作する工程と、を包含する。本発明の方法は、限定するものではないが、本明細書で提供される少なくとも1種の任意のセリンプロテアーゼポリペプチド酵素を含む、本明細書に記載の任意の洗濯物洗浄用洗剤組成物を包含する。洗濯洗剤組成物の使用量は、製造元の取扱説明書又は提案に従って容易に決定することができ、本明細書に記載のものを含めて、本発明の変異型プロテアーゼを少なくとも1種含むいかなる形態の洗濯洗剤組成物(例えば、固体、粉末、液体、錠剤、ゲル等)も使用できる。
B.織物の加工
本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを用いて布地を処理する(例えば、布地を湯通しする)組成物及び方法も提供される。布地の処理方法は当該技術分野において周知である(例えば、米国特許第6,077,316号を参照されたい)。例えば、布地の感触及び外観は、その布地を溶液中のセリンプロテアーゼと接触させる工程を含む方法により改善することができる。布地は、圧力下で溶液により処理することができる。
本発明のセリンプロテアーゼは、織物の製織の間に若しくはその後に、又は糊抜き段階、若しくは1つ以上の追加の布地加工工程の間に、適用することができる。糸は、織物の製織の間に、相当程度の機械的歪みに晒される。織機において織る前に、縦糸を糊付け用デンプン又はデンプン誘導体でコーティングし、引張り強度を増して、切断を防ぐことが多い。本発明のセリンプロテアーゼは、これらの糊付け用デンプン又はデンプン誘導体を取り除くために、製織の間又はその後に適用することができる。製織後にセリンプロテアーゼを使用して、均一かつ耐洗浄効果を確保すべく布地を更に加工する前に、糊付けコーティングを取り除くことができる。
本発明のセリンプロテアーゼは、単体で使用して、又は他の糊抜き用化学試薬、及び/若しくは糊抜き用酵素と共に、(例えば、水性組成物中の)洗剤添加剤として使用して、綿含有布地等の布地の糊抜きを行ってよい。また、アミラーゼは、インディゴ染色デニム布地及び衣類のストーンウォッシュ加工したような見た目を作り出すための組成物及び方法において使用することもできる。衣服の製造に際し、布地を裁断し、衣服又は衣類に縫製し、その後仕上げることができる。特にデニムジーンズの製造に関し、異なる酵素による仕上げ方法が開発されている。デニム衣類の仕上げは、通常、酵素による湯通し工程により開始され、この間、衣類はタンパク質分解酵素による作用を受け、布地には柔軟性がもたらされ、木綿は以降の酵素による仕上げ工程による作用を受けやすくなる。セリンプロテアーゼは、デニム衣類の仕上げ方法(例えば、「バイオストーン加工」)、酵素による糊抜き方法及び、布地への柔らかさの付与方法、並びに/又は仕上げ加工にて使用することができる。
C.皮革及び羽毛の加工
本明細書に記載のセリンプロテアーゼポリペプチドは、羽毛、皮膚、毛髪、皮革、及び等価物等の動物由来のタンパク質の酵素による除去及びそれらの分解又は廃棄への使用が更に見出される。いくつかの例では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを含む溶液中に動物の死骸を浸漬することで、従来の熱湯消毒水への浸漬又は抜羽プロセスと比較して皮膚を損傷から保護するよう機能させることができる。一実施形態では、羽毛には、羽毛の消化又は分解の開始に好適な条件下で、本発明の単離されたセリンプロテアーゼポリペプチドを噴霧することができる。いくつかの実施形態では、本発明のセリンプロテアーゼは、上記の通りに酸化剤と組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施形態では、原羽毛の油脂の除去は本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドを使用することにより補助される。いくつかの実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、羽毛のクリーニング並びに繊維の消毒及び部分的脱水のために組成物に使用される。更に別の実施形態では、本開示のセリンプロテアーゼポリペプチドは、羽毛由来のタンパク質の回収への使用が見出される。いくつかの別の実施形態では、セリンプロテアーゼポリペプチドは、約0.5%(v/v)の界面活性剤を添加して又は添加せずに、95%エタノール又はその他の極性有機溶媒と組み合わせて利用される。
D.動物飼料
本発明の更なる態様では、本発明のセリンプロテアーゼポリペプチドは、セリンプロテアーゼ及びそれらの変異体を含む動物飼料組成物、動物飼料添加剤、及び/又はペットフードの成分として使用することができる。更に、本発明は、1種類以上の動物飼料材料、及び/又は動物飼料添加物成分、及び/又はペットフード材料に、セリンプロテアーゼポリペプチドを混合することを含む、このような動物飼料組成物、動物飼料添加組成物、及び/又はペットフードの調製方法に関する。更に、本発明は、動物飼料組成物、及び/又は動物飼料添加組成物、及び/又はペットフードの調製における、セリンプロテアーゼポリペプチドの使用に関する。
用語「動物」は、全ての非反芻及び反芻動物を含む。特定の実施形態では、動物は、馬及び単胃動物等の非反芻動物である。単胃動物の例としては、豚及び家畜豚(子豚、育成豚、雌豚等)、鶏(七面鳥、アヒル、鶏、ブロイラー、産卵鶏等)、魚(鮭、鱒、テラピア、ナマズ、及び鯉等)、及び甲殻類(海老及び車海老等)が挙げられるがこれらに限定されない。更なる実施形態では、動物は反芻動物であり、畜牛、幼若牛、ヤギ、羊、キリン、バイソン、ヘラジカ、エルク、ヤク、水牛、シカ、ラクダ、アルパカ、リャマ、レイヨウ、エダツノレイヨウ、及びニルガイが挙げられるがこれらに限定されない。
この文脈において、用語「ペットフード」は、イヌ、ネコ、スナネズミ、ハムスター、チンチラ、高級ラット、モルモット、飼育用鳥類(カナリア、インコ、及びオウム等)、飼育用爬虫類(亀、とかげ、及びヘビ等)、並びに飼育用水生生物(熱帯魚、及び蛙等)であるがこれらに限定されない家庭内飼育用動物のための飼料を意味するものと理解されることが意図される。
用語「動物飼料組成物」、「飼料原料」及び「飼葉」は、互換的に使用され、かつa)シリアル類、例えば、小粒(例えば、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、及びこれらの組み合わせ)及び/又はトウモロコシ若しくはソルガム等の大粒;b)シリアル、例えば、トウモロコシグルテンミール、醸造乾燥粒可溶化物(DDGS)(特にコーンベースの醸造乾燥粒可溶化物(cDDGS)、小麦ふすま、ホイートミドリングス、小麦ショート、米ふすま、もみ殻、オーツ殻、パーム核、及びシトラスパルプからの生成物;c)大豆、ひまわり、落花生、ハウチワマメ、えんどう、そら豆、綿、キャノーラ、魚肉、乾燥結晶タンパク質、肉骨粉、じゃがいもタンパク質、乳清、コプラ,胡麻等の資源から得られたタンパク質;d)植物及び動物資源から得られる油脂;e)ミネラル及びビタミンからなる群から選択される1種以上の試料成分を含ませることができる。
以下の実施例は、本開示の特定の好ましい実施形態及び態様を実証及び例示する目的で示されるものであって、限定と解釈されるべきものではない。
以下の実験の開示において、以下の略語を適用する:ADW(自動食器洗浄);BMI(血液/牛乳/インク);BSA(ウシ血清アルブミン);CAPS(N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸);CHES(N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸);DMC(ジメチルカゼイン);HDD(強力乾燥/粉末);HDL(強力液体);HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸);MTP(マイクロタイタープレート);ND(未実施);OD(吸光度);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);ppm(百万分率);QS(十分量);rpm(毎分回転数);AAPF(スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリド);TNBSA(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸);v/v(容量対容量);w/v(重量対容量)。
(実施例1)
タンパク質定量方法
Stain Free Imager Criterionによるタンパク質定量
Stain−free Imager Criterion法によってタンパク質を定量した。この方法は、各バンドの強度が対象とするタンパク質中に存在するトリプトファン残基の量に依存する、染料を含まない予成形PAGEゲルを利用する。PAGE用Criterion(商標)TGX(Tris−グリシン延長型)Stain−Free(商標)予成形ゲルは、独自のトリハロ化合物を含む。これが、Gel Doc(商標)EZ撮像システムによる、タンパク質の迅速な蛍光検出を可能にする。トリハロ化合物は、UV誘発反応においてトリプトファン残基と反応して蛍光を発し、Gel Doc EZ撮像装置によってゲル内を容易に検出できる。アッセイに使用した試薬:濃縮(10×)Laemmliサンプルバッファー(Kem−En−Tec、カタログ#42556);18又は26ウェルのCriterion TGX Strain−Free予成形ゲル(Bio−Rad、それぞれカタログ#567−8124及び567−8125);及びタンパク質マーカー「Precision Plus Protein Standards」(Bio−Rad、カタログ#161−0363)。アッセイは以下のように実施した:25μLのタンパク質サンプル及び25μLの0.5M HCLを、氷上の96ウェルPCRプレートに10分間加え、プロテアーゼを失活させて自己加水分解を予防した。次に、50μLの酸タンパク質ミックスを、96ウェルPCRプレート中の、0.385mgのDTTを含むサンプルバッファー50μLに加えた。Bio−RadのMicroseal「B」Filmでプレートを封し、PCR機に配置し、70℃で10分間加熱した。その後、チャンバをランニングバッファーで満たし、ゲルカセットを設置した。続いて、10μLの各サンプルをマーカーと共に各ポケットに加えた。その後、200V 35分間の電気泳動を開始した。電気泳動後、ゲルをImagerに移した。Image Labソフトウェアを使用して、各バンドの強度を計算した。標準サンプルのタンパク質量及びトリプトファン含量を知ることによって、検量線を作成できる。バンド強度及びトリプトファン数をタンパク質濃度に外挿することによって、実験サンプルの量を測定できる。このタンパク質定量法を、実施例で定められるアッセイに使用される、サンプルBspAG00296及びBspM04033プロテアーゼの調製に用いた。
N及びC末端アミノ酸の決定
配列確認の準備において、単離されたタンパク質サンプルを、10kDaのスピンフィルター一連の化学処理にかけてよい。尿素及びDTT処理によって、サンプルを変性し、還元する。グアニジン化工程を実施してリジンをホモアルギニンに変換し、リジン側鎖のアセチル化を防いだ。続く、ヨードアセトアミドを用いるアセチル化反応は、タンパク質のN末端残基のみを修飾する。続いて、サンプルを、18O水を含む緩衝液と混合し、消化のために酵素トリプシン及びキモトリプシンを加える。得られるペプチドは、18O及び16Oを混合して含むが、カルボキシル末端は、天然の16Oを保持している。消化産物を、ナノLCシステム、続いて、LTQ Orbitrap(Thermo Fisher)高分解能質量分析器を用いて分離解析し、ペプチドのMS/MSフラグメントスペクトル、及びペプチドの同位体パターンからアミノ酸配列を推定した。
場合によっては、LC−MS/MSによる解析前に、タンパク質サンプルを、以下で説明するようなSDS−PAGEゲルで泳動した。N及びC末端の決定を含む配列確認の準備において、次に、SDS−PAGEゲルのタンパク質バンドを、以下で説明するような一連の化学処理にかけた。各化学処理間に、蒸留水及びエタノールを用いてゲル片を洗浄した。DTT/ヨードアセトアミド処理によって、タンパク質を還元/アルキル化した。グアニジン化工程を実施してリジンをホモアルギニンに変換し、リジン側鎖のアセチル化を防いだ。スルホ−NHS−アセテートを用いるアセチル化反応は、N末端残基のみを修飾する。ゲル片を、18O:16O水、及びタンパク質消化のためのキモトリプシン又はトリプシンを含む緩衝液で膨潤させた。ゲル内処理を必要としないサンプルについて上で記載した後続工程を続けた。
(実施例2)
セリンプロテアーゼBspAG00296の発見及び同定
バチルス(Bacillus)種1M5(Culture Collection Dupont)を、産業用途で有用な酵素源候補として選択した。バチルス(Bacillus)種1M5により産生される酵素及びこれら酵素をコードする遺伝子を同定するため、合成(SBS)法によるIllumina(登録商標)配列決定法を利用して、バチルス(Bacillus)種1M5の完全なゲノムの配列を決定した。ゲノムの配列決定及び配列データのアセンブリはBaseClear(Leiden,The Netherlands)で実施した。コンティグはBioXpr(Namur,Belgium)により注釈付した。バチルス(Bacillus)種1M5株においてこの方法により同定された遺伝子のうち1つが、様々なその他の細菌のセリンプロテアーゼに対し相同性を示すタンパク質をコードする。この遺伝子配列、BspAG00296.nを配列番号1に示す。
配列番号1には、BspAG00296.n遺伝子のヌクレオチド配列を示す。ATGAAGAAGTTCTTATGTCTGTCGGTGTTGATGTTGGTTTTATCTGTGTTTTCTGGCAATGTGTTGGCGAATGATGAGGTCAAAAAGGAAGATTATGTTGACGGGCAGTTGATTGTTTCAGTGGACGCAAGCTTTGACTCAAAAGGGAAGCCGATGCTTCAAGCATTGACAAGCACCTCGAAGCTGTTGAATGCAGAATTGAAGAAAAACGGTTTTGAAGTAGCGGATTCGCTGCTGGAAGTGAAGGGAAATGATTCCGTCGATATTTTCAGCGACAGCTTTAAAGAGGAGGCAGCAAAAAATACCGGATTTGTTTACCTTGTAGAATATTCTACAGATGCTTATGCTTCCATCGATGATGCGAAGAAGGCGCTCGAAAAACAGTTAACGGACATCGGCTTAAAAGTAAAATATGTCTCTGAAAACTTTACAGTCGAGCTGTCGGCCGAAGCGGCTGAAGAGGTAATACAGCCGGCAATGCATGCTAATCAGCGCTGGCATTATGAAATGATTCGGGCGCCGCAAGCTTGGAATATTACGACCGGCAGCAGGAATGTTCGAATGGCGGTGCTTGATACAGGAATTGATTCATCACATCCGAACTTAGCAAACCTTGTGAATACAAGCTTGGGGAGGAGCTTTGTCGGCGGAACGCCTGCTGATGTACACGGACATGGGACTCATGTTGCCGGTACGATTGCCAGCTACGGCTCCGTATCAGGTGTTATGCAAAACGCTACGCTTATTTCCGTAAAAGTATTGGATAACAGCGGCAGCGGCACAATTTATGGCATCCAGCAAGGCATTCTGTATGCCGCGAGCATTAACGCCGATGTAATCAACATGTCCTTGGGAGGCGGCAGCTACAATCAAGGAATGAATGATGCGATTCAGACAGCCGTTAATTCCGGAACAGTTGTCGTGGCTGCGTCAGGAAACAACGGGGCATCAAGCATTTCCTACCCTGCCGCTTACAGCGGAGCGATTGCTGTCGGTTCCGTGACATCCAGCCGGACAAGATCAAGCTTCTCCAACTATGGATCAGGCTTAGAGTTAATGGCTCCTGGCTCCAATATTTACAGCACATATCCAAACAGCCGGTATGCCACGCTATCCGGAACATCAATGGCAACGCCGCATGTTGCCGGGGTCGCCGGGTTAATCCGCTCGGTCAATCCTAATCTTTCCGCGGCGCAAGTAAGAACGATTTTGCGGAATACGGCTCAATACGCAGGCAGCTCCACGCAGTACGGCTATGGAATCGTCGATGCGTATGCTGCGGTACTCTCAGCCCGC。
BspAG00296.n遺伝子によりコードされるプレプロ酵素を配列番号2に示す。このタンパク質は、N−末端に、SignalP−NNにより予測される通りの長さ23残基のアミノ酸のシグナルペプチドを有する(Emanuelsson et al.,Nature Protocols(2007)2:953〜971)。配列番号2において、このシグナルペプチド配列には下線を引き、ボールド体で示す。シグナルペプチドが存在することから、このセリンプロテアーゼは分泌酵素であることが示唆される。この酵素は、135残基のアミノ酸であることが予測されるプロ配列を有する。完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(BspAG00296、274残基のアミノ酸)を配列番号3に示す。
配列番号2には、セリンプロテアーゼ前駆体BspAG00296のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
配列番号3には、成熟型プロテアーゼBspAG00296の予測されるアミノ酸配列を示す(274残基のアミノ酸)。AMHANQRWHYEMIRAPQAWNITTGSRNVRMAVLDTGIDSSHPNLANLVNTSLGRSFVGGTPADVHGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNATLISVKVLDNSGSGTIYGIQQGILYAASINADVINMSLGGGSYNQGMNDAIQTAVNSGTVVVAASGNNGASSISYPAAYSGAIAVGSVTSSRTRSSFSNYGSGLELMAPGSNIYSTYPNSRYATLSGTSMATPHVAGVAGLIRSVNPNLSAAQVRTILRNTAQYAGSSTQYGYGIVDAYAAVLSAR。
(実施例3)
BspAG00296の異種発現
B.ズブチリス(B. subtilis)において、B.ズブチリス(B. subtilis)aprEプロモーター、B.ズブチリス(B. subtilis)aprEシグナルペプチド配列、天然のBspAG00296プロテアーゼプロペプチド、成熟型BspAG00296プロテアーゼ、及びBPN’ターミナーターからなる発現カセットを使用して、BspAG00296プロテアーゼを産生させた。このカセットをpHYT複製シャトルベクターにクローニングし、好適なB.ズブチリス(B. subtilis)株を形質転換した。pHYTベクターは、BstEII及びEcoRI部位を使用して、テトラサイクリン耐性遺伝子の後ろに転写終結部位を付加することによって、pHY300PLK(Takara)から誘導した(転写終結配列、GGTTACCTTGAATGTATATAAACATTCTCAAAGGGATTTCTAATAAAAAACGCTCGGTTGCCGCCGGGCGTTTTTTATGCATCGATGGAATTC)(配列番号45)。BamHI及びHindIII部位内にクローニングしたリンカーを用いて、pHY300PLK中のHindIII部位も取り除いた(新たなリンカー配列、GGATCCTGACTGCCTGAGCTT)(配列番号46)。
BspAG00296遺伝子(pHYT−BspAG00296)を含有しているpHYTベクターのマップを図1に示す。
BspAG00296を産生するため、尿素を主要な窒素源とし、グルコースを主要な炭素源とし、ロバストな細胞増殖のため1%ソイトンを添加した、MOPs緩衝系の富化半合成培地で、pHYT−BspAG00296を含有するB.ズブチリス(B. subtilis)形質転換体を培養した。培地には25ppmテトラサイクリンを添加した。インキュベート後(32℃で2日間)、増殖培地中にBspAG00296プロテアーゼが検出された。遠心分離及びろ過後、BspAG00296プロテアーゼを含む培養上清を、アッセイ及び精製に用いた。
BspAG00296タンパク質サンプルを実施例1に記載されるように解析した。最も主要なタンパク質(約28kDa)の配列を決定し、配列番号4に記載の配列に対応させた。
配列番号4には、主要型の成熟型プロテアーゼBspAG00296のアミノ酸配列(273残基)を示す。MHANQRWHYEMIRAPQAWNITTGSRNVRMAVLDTGIDSSHPNLANLVNTSLGRSFVGGTPADVHGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNATLISVKVLDNSGSGTIYGIQQGILYAASINADVINMSLGGGSYNQGMNDAIQTAVNSGTVVVAASGNNGASSISYPAAYSGAIAVGSVTSSRTRSSFSNYGSGLELMAPGSNIYSTYPNSRYATLSGTSMATPHVAGVAGLIRSVNPNLSAAQVRTILRNTAQYAGSSTQYGYGIVDAYAAVLSAR。
(実施例4)
セリンプロテアーゼBspM04033の発見及び同定
バチルス(Bacillus)種WDG290種1M5(Culture Collection Dupont)を、産業用途で有用な酵素源候補として選択した。バチルス(Bacillus)種WDG290により産生される酵素及びこれら酵素をコードする遺伝子を同定するため、合成(SBS)法によるIllumina(登録商標)配列決定法を利用して、バチルス(Bacillus)種WDG290の完全なゲノムの配列を決定した。ゲノムの配列決定及び配列データのアセンブリはBaseClear(Leiden,The Netherlands)で実施した。コンティグはBioXpr(Namur,Belgium)により注釈付した。バチルス(Bacillus)種WDG290株においてこの方法により同定された遺伝子のうち1つが、様々なその他の細菌のセリンプロテアーゼに対し相同性を示すタンパク質をコードする。この遺伝子の配列、BspM04033.nを配列番号5に示す。
配列番号5には、BspM04033.n遺伝子のヌクレオチド配列を示す。ATGGA GGAGAAAAATGTGAAAAAAAGTGCAGTTTGGGTCCTTATGACGGTGTTGGTTTTCAGTCTGTTTTTAAATCCTGCCGGAATTGGCGCGCAGGCCTCTGATGCAGCTTCAGAAAAAGATGACACTGCCTACATAGAGGGGCAGTTGATTGTATCGGTAAAGAGCAGTGACGTTTCAGTGAAGGGAATCGAAGGGGTAAACAAGAAGATCATGGGCGATGTCCTGAGAGAACGGGGATTCGCCATAACGGATTCTATTATGGGACTCGGCGATCCTGCTGAAGTGAATGCCTTTACGAACCAGGAGTTCAGTGAATCCGTCGTGAAGAATATGGGGCTCGTTTACCTTGCAGAATACGATGTGTCTGTTTATGCATCAGTAGAAGAAGCGAAACGGGAGCTGGCCGAAGCGCTCAAAGAGAACGGAATGGAAATCAGACACATCTCGAAGAACTATGAAATGCACGCGATCGGGGAACCTGCCGATGTCTCTCCCCAGATGCACCCGAACCAGCAGTGGCATTACAACATGATTAATGCACCGCAGGCGTGGGGGACAACGACAGGCTCCTCAAGTGTCATTCAGGCTGTGCTTGATACGGGGATTGACCACAATCATCAGAGTCTCGCAAACTTAGTAAACACAAGTCTCGGACAGAGCTTTGTGGGCGGAAGTACGATGGATGTTCAAGGGCACGGAACGCACGTTGCCGGTACGATTGCAAGCTACGGTTCTGTGTCCGGCGTGATGCACAATGCTACGCTCGTACCGGTTAAAGTGCTGAATGACAGTGGATCAGGGTCACTTTTCGGCATTACGCAGGGAATCCTGTATTCAGCTGATATCGGGGCCGACGTGATCAACATGTCTCTTGGCGGCGGCGGTTACAACCAGAGTATGGCAGAAGCTGCACAGACAGCGGTAAATGCCGGTTCGATTGTAATTGCGGCAAGCGGAAATGACGGAGCGGGCAGTATTTCGTATCCGGCAGCGTACAGCAGCGTCATTGCGGTTGGGTCTGTAACCTCGACAGGTGCCCGTTCCAACTTCTCAAACTACGGCAGCGGACTTGAACTGATGGCACCTGGTTCAAATATTTACAGCACCGTACCGAATAACGGCTATGCCACATTCTCGGGTACGTCGATGGCATCCCCGCATGCAGCAGGTGTTGCCGGTCTGATGAGAGCGGTCAATCCGAATCTATCGGTATCGAATGCCAGATCGATTATGCAGAACACGGCTCAGTATGCCGGAAGCCCGACTTTCTACGGGTACGGGATCGTTGACGCGAACGCAGCGGTTCAGCAGGCATCAGGGGGAAGCGGCGGTCCTTCCAATATTACTGAAACGAGTATATCCACTGACCGTTTCTATGTGCAGCGAGGTCAGAACGTGACGTCAACTGCTCAGGTTACGAATGAAAACGGACAGGGTCTTGCCAACGCGACGGTGACCTTCACCATCACCCGTCCAAACGGATCAACGCTTACGAATACAGCAACGACCAACAGTTCCGGTTTCGCCTCATGGACGGTCGGCACATCCGGTGCCACCGCAACAGGCACCTATTCAGTAGAAGCATCATCTTCTCTTCAGGGGTATCAGGGAAGTTCCGCTTCAACGAGTTTCTTTGTTTAC。
BspM04033.n遺伝子によりコードされるプレプロ酵素を配列番号6に示す。このタンパク質は、N−末端に、SignalP−NNにより予測される通りの長さ33残基のアミノ酸のシグナルペプチドを有する(Emanuelsson et al.,Nature Protocols(2007)2:953〜971)。配列番号6において、このシグナルペプチド配列には下線を引き、ボールド体で示す。シグナルペプチドが存在することから、このセリンプロテアーゼは分泌酵素であることが示唆される。この酵素は、133残基のアミノ酸であることが予測されるプロ配列を有する(この予測は、パエニバチルス(Paenibacillus)サブチリシン中のプロ成熟型接合部に基づく:国際公開第2012175708号、配列番号6)。プロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(BspM04033、382残基のアミノ酸)を配列番号7に示す。
配列番号6には、セリンプロテアーゼ前駆体BspM04033のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
配列番号7には、予測される成熟型プロテアーゼBspM04033(382残基のアミノ酸)のアミノ酸配列を示す。QMHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSNARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGGPSNITETSISTDRFYVQRGQNVTSTAQVTNENGQGLANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNSSGFASWTVGTSGATATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
(実施例5)
BspM04033の異種発現
B.ズブチリス(B. subtilis)において、B.ズブチリス(B. subtilis)aprEプロモーター、B.ズブチリス(B. subtilis)aprEシグナルペプチド配列、天然のBspM04033プロテアーゼプロペプチド、成熟型BspM04033プロテアーゼ、及びBPN’ターミナーターからなる発現カセットを使用して、BspM04033プロテアーゼを産生させた。このカセットをpBN系複製シャトルベクター(Babe’ et al.(1998),Biotechnol.Appl.Biochem.27:117〜124)にクローニングし、このプラスミドを用いてB.ズブチリス(B. subtilis)の好適な株を形質転換した。
BspM04033遺伝子(pBN−BspM04033)を含有しているpBNベクターのマップを図2に示す。
プラスミドpBN−BspM04033中のBspM04033遺伝子のプロ成熟ヌクレオチド配列を、配列番号8に示す。TCTGATGCAGCTTCAGAAAAAGATGACACTGCCTACATAGAGGGGCAGTTGATTGTATCGGTAAAGAGCAGTGACGTTTCAGTGAAGGGAATCGAAGGGGTAAACAAGAAGATCATGGGCGATGTCCTGAGAGAACGGGGATTCGCCATAACGGATTCTATTATGGGACTCGGCGATCCTGCTGAAGTGAATGCCTTTACGAACCAGGAGTTCAGTGAATCCGTCGTGAAGAATATGGGGCTCGTTTACCTTGCAGAATACGATGTGTCTGTTTATGCATCAGTAGAAGAAGCGAAACGGGAGCTGGCCGAAGCGCTCAAAGAGAACGGAATGGAAATCAGACACATCTCGAAGAACTATGAAATGCACGCGATCGGGGAACCTGCCGATGTCTCTCCCCAGATGCACCCGAACCAGCAGTGGCATTACAACATGATTAATGCACCGCAGGCGTGGGGGACAACGACAGGCTCCTCAAGTGTCATTCAGGCTGTGCTTGATACGGGGATTGACCACAATCATCAGAGTCTCGCAAACTTAGTAAACACAAGTCTCGGACAGAGCTTTGTGGGCGGAAGTACGATGGATGTTCAAGGGCACGGAACGCACGTTGCCGGTACGATTGCAAGCTACGGTTCTGTGTCCGGCGTGATGCACAATGCTACGCTCGTACCGGTTAAAGTGCTGAATGACAGTGGATCAGGGTCACTTTTCGGCATTACGCAGGGAATCCTGTATTCAGCTGATATCGGGGCCGACGTGATCAACATGTCTCTTGGCGGCGGCGGTTACAACCAGAGTATGGCAGAAGCTGCACAGACAGCGGTAAATGCCGGTTCGATTGTAATTGCGGCAAGCGGAAATGACGGAGCGGGCAGTATTTCGTATCCGGCAGCGTACAGCAGCGTCATTGCGGTTGGGTCTGTAACCTCGACAGGTGCCCGTTCCAACTTCTCAAACTACGGCAGCGGACTTGAACTGATGGCACCTGGTTCAAATATTTACAGCACCGTACCGAATAACGGCTATGCCACATTCTCGGGTACGTCGATGGCATCCCCGCATGCAGCAGGTGTTGCCGGTCTGATGAGAGCGGTCAATCCGAATCTATCGGTATCGAATGCCAGATCGATTATGCAGAACACGGCTCAGTATGCCGGAAGCCCGACTTTCTACGGGTACGGGATCGTTGACGCGAACGCAGCGGTTCAGCAGGCATCAGGGGGAAGCGGCGGTCCTTCCAATATTACTGAAACGAGTATATCCACTGACCGTTTCTATGTGCAGCGAGGTCAGAACGTGACGTCAACTGCTCAGGTTACGAATGAAAACGGACAGGGTCTTGCCAACGCGACGGTGACCTTCACCATCACCCGTCCAAACGGATCAACGCTTACGAATACAGCAACGACCAACAGTTCCGGTTTCGCCTCATGGACGGTCGGCACATCCGGTGCCACCGCAACAGGCACCTATTCAGTAGAAGCATCATCTTCTCTTCAGGGGTATCAGGGAAGTTCCGCTTCAACGAGTTTCTTTGTTTAC。
プラスミドpBN−BspM04033により発現されるBspM04033前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、配列番号9に示し、予測されるプロペプチドを下線で示す。
Figure 0006585698
BspM04033を産生するため、pBN−BspM04033を含有するB.ズブチリス(B. subtilis)形質転換体を、15mLのFalconチューブ内の10ppmネオマイシンを含むTSB(ブロス)中で16時間培養し、この予備培養液300μLを、10ppmネオマイシンを添加した30mLの培養培地(以下で説明)を満たした、500mLのフラスコに加えた。このフラスコを、32℃で、180rpmの定速回転で混合しながら48時間インキュベートした。コニカルチューブ内で14500rpmにて20分間遠心分離することによって、培養物を回収した。培養上清をアッセイに使用した。培養培地は、主要な窒素源として尿素を富化させ、主要な炭素源としてグルコースを富化させ、ロバストな細胞増殖のため1%ソイトンを添加したMOPs緩衝剤系の半合成培地とした。
BspM04033タンパク質サンプルを実施例1に記載されるように解析した。このサンプルは、一方は約44kDa、もう一方は約28kDaである、2種類の主要型酵素を含んでいた。大きい方のタンパク質は、配列番号10に示されるように、プロ配列と、後続の残基Q1(Gln)を欠く、プロセシングされたプロテアーゼ領域の全長に相当する。配列番号10は、この観察された全長BspM04033タンパク質(プラスミドpBN−BspM04033により発現)(381残基のアミノ酸)を示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSNARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGGPSNITETSISTDRFYVQRGQNVTSTAQVTNENGQGLANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNSSGFASWTVGTSGATATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
サンプルを保管して、最も主要なタンパク質サンプル(約28kDa)の配列を決定し、配列番号11に記載の配列である、C末端切断型に対応させた。このポリペプチドは、予測されるプロ領域に続くGln1を欠き、ペプチダーゼS8ファミリードメインの長さと一致している。
配列番号11には、観察されたプロテアーゼBspM04033(276残基のアミノ酸)の主要型のアミノ酸配列を示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSNARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGS。
(実施例6)
セリンプロテアーゼBspW01765の発見及び同定
バチルス(Bacillus)種SWT211(Dupont Culture Collection)を、産業用途で有用な酵素源候補として選択した。バチルス(Bacillus)種SWT211により産生される酵素及びこれら酵素をコードする遺伝子を同定するため、合成(SBS)法によるIllumina(登録商標)配列決定法を利用して、バチルス(Bacillus)種SWT211の完全なゲノムの配列を決定した。ゲノムの配列決定、並びに配列データのアセンブリ及び注釈付はBaseClear(Leiden,The Netherlands)で実施した。SWT211においてこの方法により同定された遺伝子のうち1つが、様々なその他の細菌のセリンプロテアーゼに対し相同性を示すタンパク質をコードする。この遺伝子の配列、BspWO1765.nを、配列番号12に示す。
配列番号12には、BspWO1765.n遺伝子のヌクレオチド配列を示す。ATGAAGAAGTTATTTACCTTGTTTTTATTGACACTTGTAATGCTTGTGGGGTTATTTTCTGTAAATGTCATGGCAGATAATGAGGAAGAAAAAGAAGACCATAAGTACATTGAAGGTCAATTAATCGTATCGGTAGAACCGGATGCAAATGATAACTCAATAGGACAAATGAATATCACCTCAGATAAATTACAAAATAACTCCTCTCTAAAGAATAAAGGATTTAAAATAGCAGATTCTTTATTGGAAAACAATACTCCTGGTGTTCAAAGTATATTCAGCAGTAGCTTTGTACAAGATGCTGCGAAAAGAACAGGGCTCGTTTACCTCATAGAATATTCCCCAGAAAAATTTGAATCCATTCAGGCAGCAAAAAAAGACCTTGAAAAAACCTTAACAGAACTTGGATTTAATGTGAGATATGTTTCAGAAAACTTTGTTGTTGAGCTTTTAGAGACAGAAGCTACCTCAGATACTGGTGAAGATATCATCACGCCATTTATGCACAGTAATCAAGAATGGCATTACGGCATGATTAATGCCCCTGATGCTTGGGGTATTACTACAGGTGACAGTAATGTAACAATAGCAGTATTGGATACTGGAATAGATTCTAGCCATTCAAGTTTAAGTAACTTAGTAGATACTAGTCTTGGAAGAAGCTATGTTGGTGGTTCTCCAGAGGATGTTCAAGGTCATGGAACGCACGTAGCAGGTACGATAGCAAGCTATGGTGCAGTATCGGGTGTCATGCAGGATGCAACACTCATTTCTGTCAAAGTTTTAGGTGATGATGGAAGTGGGTCAATGTATGGCATACAACAAGGAGTTTTATATGCTACAAGTATTGGTGCAGACGTCATTAATATGTCTTTAGGCGGAGGCGGTTATAATCAAGGTTTCAATGATGCTATTGATACAGCAGTTGCGAATGGATCAGTTGTAATTGCTGCTTCTGGTAATGATGGTAGAGCTTCTATTTCCTATCCAGCAGCTTATGATGGAGCAATTGCAGTTGGGTCAGTAACTTCTAGTGGTAATCGCTCAAACTTCTCTAACTATGGAAGTGGTCTTGAGTTAATGGCACCAGGATCAAGTATCTACAGCACCTATCCTAATGGTCAGTACAGAACGTTATCAGGTACATCTATGGCAGCTCCACATGCTGCAGGTGTTGCAGGACTAGTACGGGCAGTAAATCCGAACTTGTCAGTAGCAGAAGTGAGAAACATATTAGCGGATACAGCACAATATGCAGGTAGTTCTCATCAGTATGGAAACGGTATTGTAGATGCTTTTGCAGCGGTTCAAGCAGCAGGTGGATCTGGTGGAACACCATCACCTGGTGTTACGAATACAGTTGTTTCAACAGATAAAAGTGTTTATGAGCGTGGTGAGCAAGTAACGATGACAACAACTGTTACAGATGAAGGCGGTAATGCTCTTCAAGACGCTACAGTTAATTACACAATTACACGTCCAAATGGATCTACTGTAACAAATACAACAACTACAAATTCAAATGGAATTGCAACGTGGATAATTGGATCTAATTCACAAACTGCTTTAGGGACTTACGATGTGACGGCAGAAACTAGTCTATCAGGCTATCAAACTAGCTCTGATACTACTTCCTTTAGCTTCTCTGATCAAGCACAGACCCAACAAACAGTAACGGATGTTTCAACGAATAGTAGCTATTATGCACGTGGTCAGAATGTAACCATATCAGCTGAAGTGAAGGATCAAGATGGAGAGGCCCTATCAAATGCTACGGTTTCTTTTACAATTATCAGACCAAATGGAAGTACGTTGACGAATACAGCTACAACTAATAGCGCAGGTGTGGCCACTTGGACTGTATCAACGAGTAGTGGAACTGCAAGAGGGACATATGAAGTAACTGCAGAGTCTTCTTACTCTACTTATGATGGAAGTTCAGATACCACAATCTTTTATGTTTAT。
BspWO1765.n遺伝子によりコードされるプレプロ酵素を配列番号13に示す。このタンパク質は、N−末端に、SignalP−NNにより予測される通りの長さ23残基のアミノ酸のシグナルペプチドを有する(Emanuelsson et al.,Nature Protocols(2007)2:953〜971)。配列番号13において、このシグナルペプチド配列には下線を引き、ボールド体で示す。シグナルペプチドが存在することから、このセリンプロテアーゼは分泌酵素であることが示唆される。この酵素は、(バチルス・ボゴリエンシス(Bacillus bogoriensis)プロテアーゼ中のプロ成熟型接合部に基づいて:国際公開第2012175708号、配列番号4参照)、142残基のアミノ酸(配列番号13中のイタリック)であることが予測されるプロ配列を有する。プロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(BspWO1765、488残基のアミノ酸)を配列番号14に示す。BspWO1765の成熟鎖は、N末端のペプチダーゼS8ファミリードメインと、C末端の未知の機能を有するドメインからなる。BspWO1765プロテアーゼの触媒性ペプチダーゼドメインの配列は、270残基のアミノ酸であると予測され、配列番号15に示される。
配列番号13には、セリンプロテアーゼ前駆体BspWO1765の予測されるアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
配列番号14には、成熟型プロテアーゼBspWO1765の予測されるアミノ酸配列を示す(382残基のアミノ酸)。MHSNQEWHYGMINAPDAWGITTGDSNVTIAVLDTGIDSSHSSLSNLVDTSLGRSYVGGSPEDVQGHGTHVAGTIASYGAVSGVMQDATLISVKVLGDDGSGSMYGIQQGVLYATSIGADVINMSLGGGGYNQGFNDAIDTAVANGSVVIAASGNDGRASISYPAAYDGAIAVGSVTSSGNRSNFSNYGSGLELMAPGSSIYSTYPNGQYRTLSGTSMAAPHAAGVAGLVRAVNPNLSVAEVRNILADTAQYAGSSHQYGNGIVDAFAAVQAAGGSGGTPSPGVTNTVVSTDKSVYERGEQVTMTTTVTDEGGNALQDATVNYTITRPNGSTVTNTTTTNSNGIATWIIGSNSQTALGTYDVTAETSLSGYQTSSDTTSFSFSDQAQTQQTVTDVSTNSSYYARGQNVTISAEVKDQDGEALSNATVSFTIIRPNGSTLTNTATTNSAGVATWTVSTSSGTARGTYEVTAESSYSTYDGSSDTTIFYVY。
配列番号15には、BspWO1765プロテアーゼのペプチダーゼS8ファミリードメインの予測されるアミノ酸配列を示す(270残基のアミノ酸)。MHSNQEWHYGMINAPDAWGITTGDSNVTIAVLDTGIDSSHSSLSNLVDTSLGRSYVGGSPEDVQGHGTHVAGTIASYGAVSGVMQDATLISVKVLGDDGSGSMYGIQQGVLYATSIGADVINMSLGGGGYNQGFNDAIDTAVANGSVVIAASGNDGRASISYPAAYDGAIAVGSVTSSGNRSNFSNYGSGLELMAPGSSIYSTYPNGQYRTLSGTSMAAPHAAGVAGLVRAVNPNLSVAEVRNILADTAQYAGSSHQYGNGIVDAFAAVQ。
(実施例7)
BspAG00296及びBspM04033のプロテアーゼ活性
BspAG00296、BspM04033プロテアーゼのプロテアーゼ活性を、ジメチルカゼイン(DMC)基質の加水分解を測定することによって試験した。DMCアッセイに使用した試薬溶液は次の通りとした。100mM炭酸ナトリウムpH9.5中、2.5%ジメチルカゼイン(DMC、Sigma)、試薬A中、0.075% TNBSA(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸、Thermo Scientific)。試薬A:15mLの4N NaOH中に45.4gのNa.10HO(Merck)を入れ、MQ水で最終容量1000mLにしたもの、希釈液:10mM NaCl、0.1mM CaCl、0.005% Tween−80。プロテアーゼ上清を、アッセイに適当な濃度まで希釈液で希釈した。96ウェルのマイクロタイタープレート(MTP)に95μLのDMC基質を満たし、その後、5μLの希釈したプロテアーゼ上清を加えた。次に、100μLの試薬A中TNBSAを、ゆっくり混合しながら加えた。SpectraMaxプレートリーダーを、室温にて動態解析モードで使用して、405nmで5分間にわたって活性を測定した。プロテアーゼを含まないブランクの吸光度を値から引いた。活性は、mOD/分で示した。BspAG00296のプロテアーゼ活性曲線を図3に、BspM04033を図4に示す。DMCアッセイを用いて、BspAG00296プロテアーゼの比活性が56mOD/分/ppm、BspM04033プロテアーゼが71mOD/分/ppmであることがわかった。同じアッセイ条件下において、GG36及びBPN’プロテアーゼの比活性は、それぞれ54及び23mOD/分/ppmであることがわかった。
(実施例8)
BspAG00296及びBspM04033プロテアーゼのpH特性
BspAG00296及びBspM04033プロテアーゼのタンパク質分解活性についてのpH依存性を、50mM CaClを含む50mMアセテート/Bis−Tris/HEPES/CHES緩衝液中でアゾ−カゼインを基質として用いて試験した。4〜12のpHにおいて、pHを1ずつ上昇させて活性を測定した。Protaxyme AK錠剤(Megazyme,Ireland)1つを、適当な緩衝液1.9mLと磁石と共にガラス製試験管に加え、続いて、電磁撹拌機を取り付けた温度制御した水浴中で、40℃にて5分間穏やかに水和させた。新たに調製したプロテアーゼサンプル(アッセイに適当な濃度まで脱イオン水で希釈)100マイクロリットルを、予水和させた基質に加え、40℃で10分間反応を行った。反応を止めるために10mLの2%w/v Tris緩衝液、pH12を加え、溶液を混合し、直ちにサンプルをWhatmanの1番濾紙を通して濾過した。上清を回収し、上清の590nmにおける吸光度を測定し、反応生成物を定量した。緩衝液のみのコントロールの吸光度を引き、得られた値を、至適pHにおける活性を100%として、相対活性の割合に変換した。このアッセイ条件下において、BspAG00296は、6〜12のpH範囲にわたり≧50%の活性を維持していると測定され、BspM04033は、7〜12のpH範囲にわたり≧50%の活性を維持していると測定された。
(実施例9)
BspAG00296及びBspM04033プロテアーゼの温度特性
BspAG00296及びBspM04033プロテアーゼのタンパク質分解活性についての温度依存性を、50mM CaClを含む50mMアセテート/Bis−Tris/HEPES/CHES緩衝液、pH9中でアゾ−カゼインを基質として用いて試験した。30℃〜80℃の温度において、10℃ずつ上昇させて活性を測定した。Protaxyme AK錠剤(Megazyme,Ireland)1つを、適当な緩衝液1.9mLと磁石と共にガラス製試験管に加え、続いて、電磁撹拌機を取り付けた温度制御した水浴中で、設定した温度にて5分間穏やかに水和させた。新たに調製したプロテアーゼサンプル(アッセイに適当な濃度まで脱イオン水で希釈)100μLを、予水和させた基質に加え、30℃〜80℃の温度で10分間反応を行った。反応を止めるために10mLの2%w/v Tris緩衝液、pH12を加え、溶液を混合し、直ちにWhatmanの1番濾紙を通して濾過した。上清を回収し、上清の590nmにおける吸光度を測定し、反応生成物を定量した。各サンプルの値から、緩衝液のみのコントロールの吸光度を引き、得られた値を、至適温度における活性を100%として、相対活性の割合に変換した。このアッセイ条件下において、BspAG00296は、55〜75℃の範囲にわたり≧50%の活性を維持していると測定され、BspM04033は、55〜80℃の範囲にわたり≧50%の活性を維持していると測定された。
(実施例10)
BspAG00296及びBspM04033のクリーニング性能
BspAG00296及びBspM04033プロテアーゼのクリーニング性能を、洗濯系用途に関してはBMI(綿に血液/牛乳/インクを染みこませたもの)布見本小片(EMPA−116、Center for Testmaterials,The Netherlands)、及び食器系の用途に関しては卵黄(ポリアクリル布に卵黄を染みこませ、エージングし、カーボンブラック染料で染色したもの)布見本小片PAS−38、Center for Testmaterials,The Netherlands)について試験した。予め打抜き(MTPに合うように)、予めリンスした布片を含むMTP(Corning 3641)に、酵素添加に先立ち洗剤を満たした。市販の洗剤を熱失活させて酵素を除去し、表2に記載の通りに添加した。
強力液体(HDL)洗濯用洗剤を95℃の水浴で4時間加熱し、失活させた。強力乾燥(HDD)洗濯用洗剤を、10% w/v溶液を調製し、95℃で4時間加熱することによって失活させた。HDD及びHDL洗剤を4時間加熱後、プロテアーゼ活性は残存しなかった。失活処理後、プロテアーゼ活性を、N−suc−AAPF−pNA基質を用いて試験した。AAPF加水分解アッセイに使用した試薬溶液は次の通りとした。0.005%のTWEEN(登録商標)−80を含む100mMのTris/HCl(pH8.6)(Tris希釈緩衝液)、10mMのCaCl及び0.005%のTWEEN(登録商標)−80を含む100mM Tris緩衝液(pH8.6)(Tris/Ca緩衝液)、並びに160mMのsuc−AAPF−pNA/DMSO(suc−AAPF−pNA保存溶液)(Sigma:S−7388)。基質の希釈溶液を調製するために、1mLのsuc−AAPF−pNA原液を100mLのTris/Ca緩衝液に加え、ウェルをよく混合した。1mg/suc−AAPF−pNA希釈液を入れたMTPプレート(Costar9017)に酵素サンプルを加え、室温で、SpectraMaxプレートリーダーを動態モードで使用して、405nmで3分間活性をアッセイした。プロテアーゼ活性は、mOD/minで表した。
表1に示す最終洗剤洗浄濃度(g/L)を含む洗浄溶液を作製し、クリーニング性能アッセイに使用した。
Figure 0006585698
洗剤の供給元:Kirkland Ultra HDD及びHDL(Sun Products)は、2012年に米国の地方のスーパーマーケットで購入した。OMO color HDD及びOMO Klein & Krachtig(Unilever)は、2013年にオランダの地方のスーパーマーケットで購入した。GSM−Bは、WFK Testgewebe GmbH(Germany、www.testgewebe.de)から購入し、その組成を表2に示す。
Figure 0006585698
クリーニングアッセイには、希釈バッファー(10mM NaCl、0.1mM CaCl、0.005% Tween−80)で希釈した10μLのプロテアーゼを、洗剤を満たした布見本小片プレートに、最終酵素濃度が0.04〜10ppmになり、最終体積が200μLになるまで加えた。HDL又はHDD処方による洗濯クリーニングアッセイを25℃で15分間実施し、一方、自動食器洗浄(ADW)アッセイは40℃で30分間実施した。
インキュベート後、100μLの上清を新しいMTP(Kisker G080−F)に移しEMPA−116布片については600nm、又はPAS−38布片については405nmでSpectraMaxプレートリーダーを用い吸光度を読み取った。緩衝液のみのコントロールから得られた吸光度を引き、600nm(HDL及びHDD洗剤について)、並びに405nm(ADW洗剤について)で得られたOD値をプロテアーゼ濃度の関数としてプロットした。このデータをラングミュア曲線に代入した。BspAG00296及びBspM04033のクリーニング性能を、それぞれ図5〜7、及び図8〜10にグラフで示す。
(実施例11)
プロテアーゼの安定性評価
BspAG00296、BspM04033、B.種NN018132(国際公開第2012175708号−002)全長配列(配列番号16)及び切断型(配列番号17)、GG36(配列番号18)、並びにFNA(配列番号19)プロテアーゼの安定性を、様々な条件下で決定した。
配列番号16には、全長B.種NN018132プロテアーゼの配列を示す。LMHNNQRWHYEMINAPQAWGITTGSSNVRIAVLDTGIDANHPNLRNLVDTSLGRSFVGGGTGDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNARLIPVKVLGDNGSGSMYGIQQGILYAASINADVINMSLGGGGYDSGMNNAINTAVSSGTLVIAASGNDGRGSISYPAAYSNAIAVGSVTSNRTRSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTYPNGQFRTLSGTSMATPHVAGVAGLIKSANPNLSVTQVRNILRDTAQYAGSSNQYGYGIVNAYAAVQAAGGGAVSYETNTSVSTNQSTYYRGNNVTMTAIVTDQNNSRLQGATVNFTITRPNGTTVTNATTTNSSGVATWTIGSNSSTAVGTYQVRAQTTYPNYQSSSATTSFRLQ。
配列番号17には、切断型B.種NN018132プロテアーゼの配列を示す。MHNNQRWHYEMINAPQAWGITTGSSNVRIAVLDTGIDANHPNLRNLVDTSLGRSFVGGGTGDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNARLIPVKVLGDNGSGSMYGIQQGILYAASINADVINMSLGGGGYDSGMNNAINTAVSSGTLVIAASGNDGRGSISYPAAYSNAIAVGSVTSNRTRSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTYPNGQFRTLSGTSMATPHVAGVAGLIKSANPNLSVTQVRNILRDTAQYAGSSNQYGYGIVNAYAAVQAAGG。
配列番号18には、GG36プロテアーゼの配列を示す。AQSVPWGISRVQAPAAHNRGLTGSGVKVAVLDTGISTHPDLNIRGGASFVPGEPSTQDGNGHGTHVAGTIAALNNSIGVLGVAPSAELYAVKVLGASGSGSVSSIAQGLEWAGNNGMHVANLSLGSPSPSATLEQAVNSATSRGVLVVAASGNSGAGSISYPARYANAMAVGATDQNNNRASFSQYGAGLDIVAPGVNVQSTYPGSTYASLNGTSMATPHVAGAAALVKQKNPSWSNVQIRNHLKNTATSLGSTNLYGSGLVNAEAATR。
配列番号19には、FNAプロテアーゼ(BPN’Y217L)の配列を示す。AQSVPYGVSQIKAPALHSQGYTGSNVKVAVIDSGIDSSHPDLKVAGGASMVPSETNPFQDNNSHGTHVAGTVAALNNSIGVLGVAPSASLYAVKVLGADGSGQYSWIINGIEWAIANNMDVINMSLGGPSGSAALKAAVDKAVASGVVVVAAAGNEGTSGSSSTVGYPGKYPSVIAVGAVDSSNQRASFSSVGPELDVMAPGVSIQSTLPGNKYGALNGTSMASPHVAGAAALILSKHPNWTNTQVRSSLENTTTKLGDSFYYGKGLINVQAAAQ。
安定性を、設定した温度でインキュベートした後に残存するタンパク質分解活性を測定することによって、以下に示す3種類のストレス条件下で試験した。
1.LAS/EDTA:0.02% LAS、50mM HEPES(pH8)中2.1mM EDTA、0.005% Tween 80
2.Tris/EDTA:50mM Tris、1mM EDTA、pH9、0.005% Tween 80
3.OMO HDL:10% OMO Klein & Krachtig(使用前にプロテアーゼを失活)
ストレス条件では、希釈した酵素サンプルを、96ウェルPCRプレート中でストレス緩衝液/洗剤に混合し、30℃、40℃、50℃、60℃及び75℃で20分間、Tetrad2 Thermocyclerを用いてインキュベートした。非ストレス条件では、酵素をストレス媒体と混合した直後にアッセイし、ベースライン(初期活性)を確立した。ストレス及び非ストレス条件下のプロテアーゼ活性を、上記の、AAPF−pNA(OMO HDL)又はDMC(LAS/EDTA及びTris/EDTA)基質のいずれかの加水分解アッセイによって測定した。各温度における非ストレス時の活性に対するストレス時の活性の比をとり、100を乗じて、残存活性パーセントを算出した。様々な温度で実施した各条件における各プロテアーゼの残存活性パーセントを表3〜5に示す。
Figure 0006585698
Figure 0006585698
Figure 0006585698
(実施例12)
更なるB.種セリンプロテアーゼの同定
別のB.種のゲノムを配列決定することによって、更なるサブチリシンを同定した。B.種SWT81(BspAA02831)、B.種SWT4(SWT4_1110112)、B.種SWT22(SWT22_1181566)、B.種SWT32(SWT32_1214607)、B.種SWT40(SWT40_1237842)、B.種SWT41(SWT41_1431481)、B.種SWT77(SWT77_1339394)、及びB.種SWT123(SWT123_1418561)をDuPont Culture Collectionから得た。ゲノムの配列決定、アセンブリ及び注釈付は、本質的に実施例2に記載されるものとした。全てのゲノムは、BspAG00296及びBspM04033に相同なタンパク質をコードしていた。
BspAA02831のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号20に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(BspAA02831、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号20には、BspAA02831のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
BspAA02831のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号21に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(BspAA02831、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号21には、BspAA02831のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(BspAA02831、381残基のアミノ酸)を配列番号22に示す。MHNNQRWHYEMINAPQAWNITTGSRNVRIAVLDTGIDANHPNLRNLVNTSLGRSFVGGGTGDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNATLIPVKVLGDNGSGSMYGIQQGILYAASVNSDVINMSLGGGGYSQGMDDAIRTAVSSGTIVVAATGNDSRGSISYPAAYSGAIAVGSVTSNRTRSSFSNYGQGLELMAPGSNIYSTYPNGQFRTLSGTSMATPHVAGVAGLIRAANPNISVSEARSILQNTAQYAGSFNQYGYGIVDANAAVRAARGQSQQPSYETNTTVSTNASSYRRGQSVTVRADVVDQDGRALANSTVQFTITRPNGTTVTNTATTNNSGVATWTIATSSSTARGTYGVQAATSLSGYEGSTATTSFSVN。
SWT4のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号23に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT4、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号23には、SWT4のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT4のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号24に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT4、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号24には、SWT4のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT4、381残基のアミノ酸)を配列番号25に示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSVSYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSNARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGDPSNITETSISTDRFYVQRGQNVTSTAQVTNENGQGLANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNSSGFASWTVGTSGATATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
SWT22のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号26に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT22、488残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号26には、SWT22のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT22のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号27に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT22、488残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号27には、SWT22のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT22、488残基のアミノ酸)を配列番号28に示す。MHRNQEWHYGMINAPDAWGITTGSSNVRMAVLDTGIDSSHPSLRNLVDTSLGRSYVGGNPEDRQGHGTHVAGTIASYGNVSGVMQNASLISVKVLGDDGSGSTYGIQQGVLYAASINSDVINMSLGGGGYSQGFSDAIDTAVANGTVVIAASGNDGRASISYPAAYDGAIAVGSVTSSGSRSNFSNYGNGLELMAPGSSIYSTYPNGQYRTLSGTSMAAPHAAGVAGLVRAVDPSLSVSQVRGILADTAQYAGSSHQYGNGIVDAYAAVQAAGGSGGAPAPSETNTSVSTNGSVFERGDDVTMTASVTDDNGNGLQGAAVNFTITRPNGSTVTNTATTNSSGNATWTIGSNSQTALGTYEVTAETTLSGYESSSDTTSFSFSNQAQTHQTVTDVSTNSNYYARGQNVTVSAEVRDQDGAVLSNATVSFTITRPNGSTVTNTGATNSAGVATWTVSTSGATATGTYQVTAETTLTNYDGSSDSTSFYVY。
SWT32のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号29に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT32、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号29には、SWT32のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT32のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号30に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT32、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号30には、SWT32のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT32、381残基のアミノ酸)を配列番号31に示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSDARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGGPSNITETSISTDRFYVQRGQNVTSTAQVTNENGQGLANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNGSGFASWTVGTSGATATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
SWT40のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号32に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT40、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号32には、SWT40のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT40のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号33に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT40、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号33には、SWT40のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT40、381残基のアミノ酸)を配列番号34に示す。MHNNQRWHYEMINAPQAWNVTTGSRNVRIAVLDTGIDANHPNLRNLVNTSLGRSFVGGGTGDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMQNATLIPVKVLGDNGSGSMYGIQQGILYAASVNSDVINMSLGGGGYSQGMDDAIRTAVSSGTIVVAATGNDSRGSISYPAAYSGAIAVGSVTSNRTRSSFSNYGQGLELMAPGSNIYSTYPNGQFRTLSGTSMATPHVAGVAGLIRAANPNISVAEARSILQNTAQYAGSFNQYGYGIVDANAAVRAARGQTEQPRYETNTTVSTNASTYRRGQSVTVRADVVDQDGRALANSTVQFTITRPNGTTVTNTATTNSSGVATWTIGTSSSTARGTYGVQAATSLSGYEGSTATTSFVVN。
SWT41のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号35に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT41、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号35には、SWT41のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT41のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号36に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT41、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号36には、SWT41のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT41、381残基のアミノ酸)を配列番号37に示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWGTTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVNAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMASPHAAGVAGLMRAVNPNLSVSDARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGGPSNITETSISTDRFYVQRGQNVTSTAQVTNENGQGLANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNGSGFASWTVGTSGATATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
SWT77のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号38に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT77、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号38には、SWT77のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT77のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号39に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT77、381残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号39には、SWT77のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT77、381残基のアミノ酸)を配列番号40に示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWETTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVDAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMAAPHAAGVAGLMRAVNSNLSVSDARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQASGGSGGPSNITETSISTDRYYVQRGQNVTSTAQVTNENGQALANATVTFTITRPNGSTLTNTATTNSSGVASWTVGTSGGTATGTYSVEASSSLQGYQGSSASTSFFVY。
SWT123のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号41に示す。予測されるシグナルペプチド配列は下線であり、プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT123、488残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号41は、SWT123のプレプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
SWT123のプロ酵素型のアミノ酸配列を配列番号42に示す。プロ配列はイタリックである。予測される、完全にプロセシングを受けた成熟鎖(SWT123、488残基のアミノ酸)の配列は太字である。
配列番号42には、SWT123のプロ酵素型のアミノ酸配列を示す。
Figure 0006585698
完全にプロセシングを受けた成熟鎖に予測される配列(SWT123、488残基のアミノ酸)を配列番号43に示す。MHSNQEWHYGMINAPDAWGITTGSSNVRIAILDTGIDSSHPSLRNLVDTGLGRSYVGGSPEDVQGHGTHVAGTIASYGAVSGVMQDATLISVKVLGDDGSGSMYGIQQGVLYAASVGADVINMSLGGGGYNQGFSDAIDTAVANGTVVIAASGNDGRASISYPAAYDGAIAVGSVTSSGNRSNFSNYGSGLELMAPGSSIYSTYPNGQYRTLSGTSMAAPHAAGVAGLVRAVNPNLSVAEVRSILADTAQYAGSTYQYGNGIVDAFAAVQAAGGSGGTPSPGVTNTVVSTDKSVYERGDQVTMTATVTDEDGNALQGASVNYTITRPNGSDVTNTATTNTNGIATWTIGSNSQTAIGTYDVTAESSLSGYESSTDTTSFRFSDQAQSQQTVTDVSTNSSYYARGQNVTISAEVTDQDGAALSNATVSFTITRPNGSTLTNTATTNSAGVASWTVSTSSGTARGTYEVTAESTYSTYEGSSDTTSFYVY。
(実施例13)
相同なプロテアーゼの同定
BspAG00296(配列番号3、274残基のアミノ酸)、BspM04033(配列番号11、276残基のアミノ酸)、及びSWT77(配列番号40、381残基のアミノ酸)の予測される成熟型のアミノ酸配列を、NCBI非冗長タンパク質データベースに対して、BLAST検索した(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,25:3389〜402,1997)。クエリ配列としてそれぞれ配列番号3、配列番号7、及び配列番号40を用いて、検索パラメーターをデフォルト値に設定して、Genome Quest Patentデータベースに対する類似性検索を行った。BspAG00296についての検索結果のサブセットを表6及び7に、BspM04033について表8及び9に、SWT77について表10及び11に示す。いずれの検索セットに関しても、同一性パーセント(PID)は、ペアワイズアラインメントにおいて、同一残基数をアラインメントした残基の数で除したものとして定義した。「配列長」と称されたカラムは、一覧の登録番号に関連するタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指し、一方「アライメント長」と称されたカラムは、PID計算に使用されたアライメントしたタンパク質配列の長さ(アミノ酸で)を指す。
Figure 0006585698
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以下のサブチリシンのアミノ酸配列についての系統樹を作製した。BspAG00296(配列番号4)、BspM04033(配列番号11)、BspWO1765(配列番号15)、BspAA02831(配列番号22)、SWT4(配列番号25)、SWT22(配列番号28)、SWT32(配列番号31)、SWT40(配列番号34)、SWT41(配列番号37)、SWT77(配列番号40)、SWT123(配列番号43)、B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)(NCBI登録番号:CAA24990)、B.レンタス(B. lentus)(NCBI登録番号:P29599)、B.種SprC(NCBI登録番号:AAC43580)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)(NCBI登録番号:CAJ70731)、B.種NN018132(配列番号17)及びB.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(国際公開第2012175708A2号の配列番号4)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(NCBI登録番号:WP026675114.1、B.チモネンシス(B. timonensis)(NCBI登録番号:WP010283106)、及びP.デンドリチフォルミス(P. dendritiformis)(NCBI登録番号:WP006679321)。配列をVector NTI Advance suiteに入力し、近隣結合(NJ)法を用いて樹形図を作成した(Saitou and Nei,Mol Biol Evol,4:406〜425,1987)。木構成は、以下のパラメーターを用い算出した:配列距離については木村の相関を用い、ギャップ位置は無視した。AlignXは、図11に示される系統樹上に表示された分子名に続いて、カッコ内に計算した距離値を表示する。BspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123、B.種NN018132(配列番号17)及びB.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(国際公開第2012175708A2号の配列番号4)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(NCBI登録番号:WP026675114.1、B.チモネンシス(B. Timonensis)(NCBI登録番号:WP010283106)、及びP.デンドリチフォルミス(P. dendritiformis)(NCBI登録番号:WP006679321)サブチリシンは、全て同じ領域に密集し(図11に示されるように)、WHY系統群を形成する。BspM04033、SWT4、SWT32、及びSWT77サブチリシンは、全て同じサブ領域に密集し(図11に示されるように)、SWT77系統群を形成する。BspAG00296サブチリシンは、サブ領域に密集し(図11に示されるように)、BspAG00296系統群を形成する。BspAA02831、SWT40、及びWP026675114サブチリシンは、全て同じサブ領域に密集し(図11に示されるように)、WP026675114系統群を形成する。BspWO1765、SWT41、SWT123、及びSWT22サブチリシンは、全て同じサブ領域に密集し(図11に示されるように)、SWT22系統群を形成する。
(実施例14)
WHY系統群サブチリシンの独自の特徴
BspAG00296(配列番号4)、BspM04033(配列番号11)、BspWO1765(配列番号15)、BspAA02831(配列番号22)、SWT4(配列番号25)、SWT22(配列番号28)、SWT32(配列番号31)、SWT40(配列番号34)、SWT41(配列番号37)、SWT77(配列番号40)、SWT123(配列番号43)、B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)のBPN’サブチリシン(pdbエントリー、2STI)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)のカールスバーグ(pdbエントリー、1CSE)、B.レンタス(B. lentus)サブチリシン(pdbエントリー、1JEA)、B.種NN018132(配列番号17)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(国際公開第2012175708号−004)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(NCBI登録番号:WP026675114)、B.マンナニライティカス(B. mannanilyticus)(NCBI登録番号:WP025025887)、B.チモネンシス(B. timonensis)(NCBI登録番号:WP010283106)、及びP.デンドリチフォルミス(P. dendritiformis)(NCBI登録番号:WP006679321)のプロテアーゼの構造類似性を探索するため、Molecular Operating Environment(MOE)ソフトウェア(Chemical Computing Group,Montreal,Quebec,Canada)の「アライン」オプションを用いて、構造ベースのアライメントを行い、図12に示す。アライメントは、従来の配列アライメントに対する追加のガイドとして、保存された構造モチーフを適用する。MOEの2012.10配布版にある標準的なデフォルトプログラムを用いて、このアライメントを行った。
図12に示されるように、サブチリシンBspAG00296、BspM04033、BspWO1765、BspAA02831、SWT4、SWT22、SWT32、SWT40、SWT41、SWT77、SWT123、B.種NN018132(配列番号17)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(国際公開第2012175708号−004)、B.ボゴリエンシス(B. bogoriensis)(NCBI登録番号:WP026675114)、B.マンナニライティカス(B. mannanilyticus)(NCBI登録番号:WP025025887)、B.チモネンシス(B. timonensis)(NCBI登録番号:WP010283106)、及びP.デンドリチフォルミス(P. dendritiformis)(NCBI登録番号:WP006679321)配列の構造アライメントは、三次元構造が存在する(pdbエントリー、それぞれ2ST1、1CSE及び1JEA)サブチリシン(B.アミロリケファシェンス(B. amyloliquefaciens)のBPN’、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)のカールスバーグ、及びB.レンタス(B. lentus)のサブチリシン)の配列に対して、1ヶ所の挿入と2ヶ所の欠失という共通パターンを示す。1JEA及び1CSE構造中の残基番号は、サブチリシンBPN’に対するものであり、BspM04033及び示されるその他全てのプロテアーゼについての残基番号は、連続する一次配列である。
これらのWHY系統群のサブチリシンは、後にWHY系統群と名付けられる系統群を設定するのに十分な特徴を共有しており、この名称WHYは、N末端付近の完全に保存された残基WHYに由来する(BspM04033及びこの系統群の他のメンバーにおいてWは7番目の残基位置)。加えて、WHY系統群サブチリシンは、B.レンタス(B. lentus)サブチリシンと共通の欠失を共有しており、そのためこの構造を参照として用いて、WHY系統群サブチリシンの特徴の識別から予想される結果を理解する。P.デンドリチフォルミス(P. dendritiformis)、B.マンナニライティカス(B. manannilyticus)、B.チモネンシス(B. timonensis)サブチリシンを除いて、この系統群の全ての他のメンバーは、図13に示されるモチーフ内のBspM04033の45〜47番目に相当する位置に、保存されたNLV残基を有する。これらWHY系統群サブチリシンの特徴に共通である他の顕著な点は、モチーフ(図13)内の欠失1に続く配列VQG(BspM04033中の63〜65番目の残基)、及び、欠失2に続く配列VSG(BspM04033中の80〜82番目の残基)である。この独特の配列領域の編集により、WHY系統群に、その他市販のペプチダーゼS8サブチリシンファミリーの酵素とは異なる特徴が付与される。
図13では、WHY系統群モチーフが、触媒残基D33及びH66(BspM04033の一次配列による残基番号)によってカッコで囲まれている。Asp(D)33、His(H)66、及びSer(S)216からなる触媒トライアドは、全てのセリンプロテアーゼに共通している。
B.レンタス(B. lentus)サブチリシン及びその他市販のサブチリシンと比較するとき、D33−H66モチーフは、全てのWHY系統群配列に見いだされる共通の挿入(挿入1)及び欠失(欠失1)を組み込んでいる。挿入1の結果、B.レンタス(B. lentus)サブチリシン中の残基HPDLNIRGG(39〜47)が、BspM04033中のHQSLANLVNTSLG(40〜52)に置き換わる。欠失1の結果、B.レンタス(B. lentus)サブチリシン中の残基VPGEPSTQDGNGH(51〜64)が、BspM04033中の残基VGGSTMDVQGH(56〜66)に置き換わる。pdbエントリー1JEAでは、番号はサブチリシンBPN’に対するものである。サブチリシンBPN’に対して、B.レンタス(B. lentus)及びカールスバーグサブチリシンのいずれも、配列中の異なる場所に生じる1残基の欠失を有する(図13参照)。
上記WHY系統群モチーフの外側に、WHY系統群酵素では、第2の共通する欠失(欠失2)が見つかっている。この場合、B.レンタス(B. lentus)サブチリシンの残基VAGTIAALNNSIGVLGVA PSAELYAVKV(68〜95)が、BspM04033のVAGTIASYGSVSGVMHNATL VPVKV(70〜94)に置換されている。B.レンタス(B. lentus)等のサブチリシン、並びにBPN’及びカールスバーグでは、この領域は保存されたカルシウム結合部位を形成する。BspM04033配列の欠失2に見いだされる残基の改変の結果、対応するカルシウム結合部位がなくなった。
図14は、B.レンタス(B. lentus)サブチリシンの構造を用いる、WHY系統群のメンバーの構造モデルを示す。B.レンタス(B. lentus)サブチリシン構造を対照として用いて(明灰)、WHY系統群モチーフセグメントを黒くハイライトしている。全てのセリンプロテイナーゼに共通する、触媒トライアドのAsp(D)33及びHis(H)66残基の側鎖を棒状に示す。これらの2つの欠失及び1つの挿入が生じるとされる並んだループも矢印で示す。
B.レンタス(B. lentus)サブチリシン、並びにサブチリシンBPN’及びカールスバーグでは、70〜94番目の残基を含むセグメントは、延長したループを形成し、これらサブチリシンのN末端にある残基Asp41及び残基Gln2と共に、強力なカルシウム結合部位をもたらす。このカルシウム結合部位は、これらサブチリシンの不可欠な部分である。突然変異誘発によってこのカルシウム結合がなくなると、サブチリシンBPN’の安定性が実質的に低下する(Bryan et al.1991 Biochemistry 31 4937〜4945)。欠失2のせいで、BspM04033サブチリシンの残基TIASYGSVSGV(73〜83)からなる短縮したループ領域は、カルシウムを結合しなくなると予想される。注目されるのは、Asp41が挿入1の領域に現れ、WHY系統群サブチリシンのN末端における配列が、成熟型タンパク質のN末端において、他のサブチリシンと実質的に異なることである(図13)。本明細書では、挿入1は、WHY系統群プロテアーゼの実質的に異なるN末端配列(図13)と共に、タンパク質安定性に寄与し、上記カルシウム結合ループの欠如を補うと仮定される。サブチリシンBPN’、カールスバーグ、及びB.レンタス(B. lentus)は、欠失2によって失われるループ中のカルシウム結合によって、大いに安定化されることが知られている。WHY系統群サブチリシンが、EDTA等のキレート剤を含有する洗剤の存在下で、これらの他のサブチリシンに対して安定化されることが見いだされているため、この非常に魅力的な特徴は、欠失2と変更されたN末端との組み合わせで、WHY系統群サブチリシンにある独特の配列モチーフによって生じた結果だろう。最後に、その他の共通の欠失である欠失1は、別の隣接するループ(図14)に生じると見られ、挿入1及び欠失2によってもたらされた改変を補完するために、タンパク質の主鎖を修飾すると仮定され得る。図14から明らかに、挿入1は、欠失2によって短縮される別のループに隣接するループに起こる。WHY系統群の三次元構造では、延長されるループが、欠失2によってもたらされる空洞を補うと仮定される。
以下に挙げるのは、本明細書で報告したWHY系統群酵素のうち最も安定なメンバーであるBspM04033と、別の以前に述べられたメンバーであるB.種NN018132との間の残基の差である。P3N、Q6R、N10E、T20I、S26N、I28R、Q29I、H38A、Q41P、S42N、A44R、N48D、Q53R、S59G、M61G、H85Q、T88R、V90I、N96G、S98N、L103M、F104Y、T107Q、S113A、D115S、G117N、N131D、Q132S,S133D、A136N、A137N、A138I、Q139N、N143S、A144S、S146T、I147L、A157R、S168N、V169A、T178N、G179R、A180T、V204Y、N207G、G208Q、Y209F、A210R、F212L,S219T、A222V、N229I、R230K、A231S、V231A、S239T、N240Q、A241V、S243N、M245L、Q246R、N247D、P255L、T256N、F257Q、D264N、N266Y、Q271A、及びS273G。
(実施例15)
WHY系統群サブチリシンの結晶構造
2種類の切断型WHY系統群構造の三次元構造を、X線結晶構造解析法を用いて決定した。精製したBspAG00296(配列番号4、273残基のアミノ酸)及び切断型SWT77−tr(配列番号44、273残基のアミノ酸)タンパク質からなる精製したSWT77の構造を解析した。2種類のタンパク質はWHY系統群モチーフを共有しているが、74.4%が同一にすぎない一次アミノ酸配列を有する。
単離され結晶化された、切断型SWT77プロテアーゼ(SWT77−tr、273残基のアミノ酸)の配列を配列番号44に示す。MHPNQQWHYNMINAPQAWETTTGSSSVIQAVLDTGIDHNHQSLANLVNTSLGQSFVGGSTMDVQGHGTHVAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVLNDSGSGSLFGITQGILYSADIGADVINMSLGGGGYNQSMAEAAQTAVDAGSIVIAASGNDGAGSISYPAAYSSVIAVGSVTSTGARSNFSNYGSGLELMAPGSNIYSTVPNNGYATFSGTSMAAPHAAGVAGLMRAVNSNLSVSDARSIMQNTAQYAGSPTFYGYGIVDANAAVQQAS。
BspAG00296の構造は、分解能1.5Åまで、格子定数、a=111.1、b=63.3及びc=72.7Å、β=90.02°の非対称単位中に2つの分子を有する空間群C2にあると判定された。結晶を、20mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)及び0.15M NaCl中、1%タンパク質溶液で開始する、ハンギングドロップ法によって得た。リザーバ溶液に、0.8M NHSO、200mM MgCl及び0.1M Bis−Trisプロパン(pH6.5)を含めた。Bruker X8 Proteumシステム(Bruker Axis Inc.,Madison,WI,USA)にデータを収集した。開始モデルとしてのB.レンタス(B. lentus)サブチリシン(subtiltin)pdbエントリー1JEAの座標による分子置換法を用いて、構造を決定した。プログラムCOOT(Emsley,P et al Acta Cryst.D66 486〜501(2010))を利用して、得られた電子密度にBspAG00296の座標を当てはめた。当てはめた後、及び再当てはめして調節した後、CCP4ソフトウェアスイートに一般的なデフォルト設定を利用し、REFMACプログラムにより座標を精密化した。最終モデルは立体化学的に良好であり、1.5Åまでの全てのデータについて、R−workは0.14、R−freeは0.15であった。
SWT77−trの構造は、分解能0.188Åまで、格子定数、a=149.3、b=80.1及びc=82.4Åの非対称単位中に4つの分子を有する空間群P21212にあると判定された。結晶を、50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)及び0.10M 塩化ナトリウム、及び1mM PMSF中、20mg/mLのSWT−77−trタンパク質原液で開始する、ハンギングドロップ法によって得た。リザーバ溶液に、3.5M ギ酸ナトリウム+0.10Mビシン(pH9.0)を含めた。Bruker X8 Proteumにデータを収集した。開始モデルとしてBspAG00296構造のモノマーを用いる分子置換法を用いて、構造を決定した。Cootソフトウェアパッケージを用いてSWT77−trの座標を当てはめ、CCP4ソフトウェアパッケージシステム内のREFMACプログラムを用いてモデルを精密化した。最終モデルは立体化学的に良好であり、1.88Åまでの全てのデータについて、R−workは0.17、R−freeは0.22であった。
BspAG00296及びSWT77−trのモノマーの座標は、1567個の共通原子について、全体RMS0.342Åで重なり合う。これら2つの構造は、非対称単位中に2つ又は4つの分子を含む異なる空間群にあると判定されたが、2つの構造の全体的な折り畳みは、実験誤差内で同一である。これを図15Aに示す。
これは、WHY系統群の改変により、他の既知の市販サブチリシンにある強力なカルシウム部位が除かれることを裏付ける。図15Bに示されるように、欠失1及び2を含むセグメントの領域において、SWT77−tr(黒)の主鎖の折り畳みの模式をB.レンタス(B. lentus)サブチリシン(明灰)と比較すると、SWT77−tr中の76〜81番目の残基によって形成されるループ内にカルシウムの電子密度が見つからず、これは、挿入1及び同様にN末端セグメントの改変によっていくらか補償されている。
図15Bに示されるように構造を重ね合わせると、他のプロテアーゼで見られるカルシウム結合を排除する、欠失2及びN末端により生じる改変、並びに、挿入1及び欠失1により生じる改変がはっきりと見られる。

Claims (15)

  1. 組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントであって、配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、タンパク質分解活性を有し、
    (a)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、DTGIDXXHXXLXNLVXTSLGXSXVGGXXXDVXGHモチーフを含み、このとき最初のDが活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHが活性部位であるヒスチジンであり、Xは任意のアミノ酸であるか、又は、
    (b)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、DTGIDXXHXXLX NLVXTSLGXSXVGGX XX DVXGHモチーフを含み、このとき最初のDが活性部位であるアスパラギン酸であり、最後のHが活性部位であるヒスチジンであり、X、Xa、Xb、及びXcが任意のアミノ酸であり、ただし、Xaがアルギニンであるとき、Xb及びXcはグリシンではない、組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  2. 配列番号3又は配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、タンパク質分解活性を有する、請求項1に記載の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  3. (a)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、80〜82番目の残基位置にあるVSG配列を含み、ここで、前記ポリペプチド又はその活性フラグメントのアミノ酸位置が、配列番号7に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされ;
    (b)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を含み、ここで、前記挿入が39〜47番目の残基位置にあり、前記残基位置が、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされ、ここで、前記39〜47番目の残基位置がHQSLANLVNTSLGで置換されていてもよく;
    (c)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、ここで、前記欠失が51〜64番目の残基位置にあり、前記残基位置が、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされ、ここで、前記51〜64番目の残基位置が、VGGSTMDVQGH、VGGSA/PEDVQGH、VGGNPEDRQGH、又はVGGTPADVHGHで置換されていてもよく;及び/又は
    (d)前記ポリペプチド又はその活性フラグメントが、配列番号18と比較して少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失を含み、ここで、前記欠失が68〜95番目の残基位置にあり、前記残基位置が、配列番号18に定めるアミノ酸配列に対応して番号付けされ、ここで、前記68〜95番目の残基位置が、VAGTIASYGSVSGVMHNATLVPVKVで置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  4. 前記ポリペプチドが、5〜12の範囲のpHにおいて、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも50%を保持し;及び/又は前記ポリペプチドが、55℃〜80℃の範囲の温度において、その最大プロテアーゼ活性の少なくとも50%を保持する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  5. 前記ポリペプチドが、ストレス条件下、50℃において20分後に少なくとも80%の活性を保持し、ここで、前記ストレス条件が、LAS/EDTAアッセイ、Tris/EDTAアッセイ、又はHDLアッセイから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  6. 前記組み換えポリペプチド又はその活性フラグメントが、X003N、X006R、X010E、X020I、X026N、X028R、X029I、X038A、X041P、X042N、X044R、X048D、X053R、X059G、X061G、X085Q、X088R、X090I、X096G、X098N、X103M、X104Y、X107Q、X113A、X115S、X117N、X131D、X132S、X133D、X136N、X137N、X138I、X139N、X143S、X144S、X146T、X147L、X157R、X168N、X169A、X178N、X179R、X180T、X204Y、X207G、X208Q、X209F、X210R、X212L、X219T、X222V、X229I、X230K、X231S、X231A、X239T、X240Q、X241V、X243N、X245L、X246R、X247D、X255L、X256N、X257Q、X264N、X266Y、X271A、及びX273Gから選択される少なくとも1つの置換を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチド又はその活性フラグメント。
  7. 界面活性剤と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドと、を含む組成物であって、前記組成物が、洗濯用洗剤、布地柔軟化洗剤、自動食器洗浄洗剤、手洗い用食器洗浄洗剤、及び硬質表面クリーニング用洗剤から選択される洗剤組成物であり得る、組成物。
  8. 前記組成物が、少なくとも1種のカルシウムイオン及び/又は亜鉛イオン;少なくとも1種の安定剤;少なくとも1種の漂白剤;少なくとも1つの補助成分;及び/又は、アシルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、アラビノシダーゼ、アリールエステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カラギナーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、コンドロイチナーゼ、クチナーゼ、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−マンナナーゼ、エステラーゼ、エキソ−マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、グルコアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヒアルロニダーゼ、ケラチナーゼ、ラッカーゼ、ラクターゼ、リグニナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、ペントサナーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、ホスファターゼ、ホスホリパーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、プルラナーゼ、レダクターゼ、ラムノガラクツロナーゼ、β−グルカナーゼ、タンナーゼ、トランスグルタミナーゼ、キシランアセチル−エステラーゼ、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、キシロシダーゼ、メタロプロテアーゼ、追加のセリンプロテアーゼ、及びこれらの組み合わせから選択される1種又は2種以上の追加の酵素又は酵素誘導体を更に含む、請求項7に記載の組成物。
  9. (a)前記組成物が、0.001重量%〜1.0重量%の、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチドを含み;
    (b)前記組成物がリン酸塩を含まなく;
    (c)前記組成物がリン酸塩を含み;
    (d)前記組成物がホウ素を含まなく;
    (e)前記組成物がホウ素を含み;又は
    (f)前記組成物がpH7〜12で処方される、請求項7又は8に記載の組成物。
  10. クリーニング方法であって、表面又は物品を、(i)緩衝液と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組み換えポリペプチド、又は、(ii)請求項7〜9のいずれか一項に記載の組成物、と接触させることを含む、方法。
  11. 組み換えポリペプチドの作製方法であって、
    (a)請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターにより、宿主細胞を安定的に形質転換することと、
    (b)前記形質転換した宿主細胞が前記ポリペプチドを産生するのに好適な条件下で、前記形質転換した宿主細胞を培養することと、
    (c)前記ポリペプチドを回収することと、を含む、方法。
  12. 配列番号3及び配列番号4から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を含む、ポリヌクレオチド。
  13. 請求項12に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  14. 請求項13に記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  15. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、織物若しくは皮革加工組成物、羽毛加工用組成物、動物飼料用組成物、コンタクトレンズ洗浄用組成物、又は創傷清拭用組成物。
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