JP2010146870A - 二次電池電極用バインダー - Google Patents

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利恭 西岡
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皇雄 三崎
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Abstract

【課題】 二次電池電極用組成物の配合安定性に優れ、該組成物を集電体に塗布した際の耐ブロッキング性、耐粉落ち適性、結着力に優れた二次電池電極用バインダーの提供。
【解決手段】 フッ素含有不飽和単量体0.02〜13重量%、脂肪族共役ジエン系単量体10〜38重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体49〜88.88重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなる二次電池電極用バインダーおよび該二次電池電極用バインダーと二次電池電極用活物質を主として含有する二次電池電極用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、導電性炭素質材料である電極用活物質を集電体金属箔に接着保持させる二次電池電極用バインダーおよび該二次電池電極用バインダーと電極用活物質を主として含有する二次電池電極用組成物に関するものである。
リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などの二次電池は、小型電子機器の電源として、その重要性が認識されて以来、その社会的重要性は日々増加の一途をたどっている。今後は、ハイブリッドカーや家庭用の大型二次電池の開発が加速度的に進むと予想される。これら二次電池の電極は、導電性炭素質材料である電極用活物質とバインダーを主として含有する二次電池電極用組成物を集電体金属箔に塗布乾燥して製造される。その結着剤としては、通常ポリマーバインダーが利用されている。このポリマーバインダーには主として次の諸性能が要求される。
(1)二次電池電極用活物質にポリマーバインダーを配合して二次電池電極用組成物を作製する際、粗大凝集物を発生させない配合時の安定性(以下、配合安定性と称する)。
(2)二次電池電極用組成物を塗布乾燥した後の電極を巻き取る工程での耐ブロッキング性(以下、耐ブロッキング性と称する)。
(3)電極を巻き取る工程での擦れやその後の裁断などで塗布された活物質層から活物質の微粉などが発生しない耐粉落ち適性(以下、耐粉落ち適性と称する)。
(4)二次電池電極用組成物の集電体金属箔に対する結着力(以下、結着力と称する)。
従来から、ポリマーバインダーとしてポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーがこの分野に利用されてきたが、前述の諸性能を十分満足させるレベルには至っていない。また、ポリフッ化ビニリデン以外のエマルジョン系バインダーも後述の特許文献などで種々提案されているが、前述の諸性能を満足できるバインダーは、未だ見出せていないのが実情である。
特開平5−74461号 特開平11−25989号公報
本発明の課題は、前述の配合安定性、耐ブロッキング性、耐粉落ち適性、結着力に優れた二次電池電極用バインダーを提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、二次電池電極用バインダーとして、特定の共重合体ラテックスを使用するにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、フッ素含有不飽和単量体0.02〜13重量%、脂肪族共役ジエン系単量体10〜38重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体49〜88.88重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなる電池電極用バインダーを提供するものである。
本発明の二次電池電極用バインダーは、二次電池電極用活物質との配合安定性に優れ、二次電池電極用組成物を塗布乾燥したあとの耐ブロッキング性、耐粉落ち適性、結着力に優れ、高性能二次電池電極の作製を可能にする。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明における共重合体ラテックスは、フッ素含有不飽和単量体0.02〜13重量%、脂肪族共役ジエン系単量体10〜38重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体49〜88.88重量%から構成される単量体を乳化重合して得られるものである。
フッ素含有不飽和単量体としては、次式に示したものが使用できる。
CH=CHR1−CO−O−R
(ただし、Rは水素またはメチル基、Rはフッ素原子を含有する炭素数1〜12のフッ化炭化水素基である)
このようなフッ素含有単量体としては、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート、フッ化アリール(メタ)アクリレート、フッ化アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。それらの中でもフッ化アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。このような単量体の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル(メタ)アクリレート、1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3[4〔1−トリフルオロメチル−2、2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
特に2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレートが好ましい。
これらのフッ素含有不飽和単量体は、全単量体に対して0.02〜13重量%の範囲にある必要がある。フッ素含有不飽和単量体が0.02重量%未満では耐粉落ち適性、結着力が低下し、13重量%を超えると結着力が低下することに加えて、共重合体ラテックスを重合する際の安定性が低下し、ラテックス凝集物が増加する。好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエンが好ましい。
これらの脂肪族共役ジエン系単量体は、全単量体に対して10〜38重量%の範囲にある必要がある。脂肪族共役ジエン系単量体が10重量%未満では耐粉落ち適性と結着力が低下し、38重量%を超えると耐ブロッキング性が低下する。好ましくは15〜38重量%、
さらに好ましくは20〜35重量%である。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用することができる。特に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。
これらのエチレン系不飽和カルボン酸単量体は、全単量体に対して0.1〜10重量%の範囲にある必要がある。エチレン系不飽和カルボン酸単量体が0.1重量%未満では共重合体ラテックスを重合する際の安定性が低下し、ラテックス凝集物が増加する。10重量%を超えると共重合体ラテックス製造時に粘度が高くなりすぎて、撹拌不良となり、安定に重合工程を進めることが出来ない。好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1.0〜9重量%である。
これらと共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体等が挙げられ、これらは、1種または2種以上用いることができる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。なお、本発明においては、シアン化ビニル系単量体を1〜30重量%含有することが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレンが好ましい。
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
不飽和カルボン酸アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリルアミドが好ましい。
さらに、上記単量体の他に、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等、通常の乳化重合において使用される単量体は何れも使用可能である。
本発明の共重合体ラテックスの重合には、公知の乳化剤や界面活性剤を使用することができる。例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、デヒドロアビエチン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
また、本発明においてはフッ素系界面活性剤が重合安定性の面で好適に使用される。その具体的な例としては、パーフルオロブチルスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有リン酸エステル、パーフルオロアルキル基含有カルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物などが適時適量使用することができる。
本発明の共重合体ラテックスの重合には、公知の連鎖移動剤を制限されることなく使用することができる。例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられ、これらを1種または2種以上使用することができる。
本発明の共重合体ラテックスの重合には、公知の重合開始剤として、過硫酸リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性重合開始剤を適宜用いることができる。特に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドの使用が好ましい。単量体100重量部に対する重合開始剤の量は特に制限されないが、単量体組成、重合反応系のpH、他の添加剤などの組み合わせを考慮して適宜調整される。
本発明の共重合体ラテックスの重合には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物を使用することができる。特に、沸点が適度に低く、重合終了後に水蒸気蒸留などによって回収、再利用しやすいシクロヘキセンやトルエンが、本発明の目的とは異なるものの、環境問題の観点から好適である。
本発明における共重合体ラテックスの数平均粒子径やゲル含有率は、特に限定されないが、共重合体ラテックスの重合安定性などの観点から、数平均粒子径は50〜300nmの範囲にあることが好ましい。更に好ましくは70〜250nmである。また、ゲル含有率は20重量%から95重量%の範囲にあることが好ましい。これらの数値は、共重合体ラテックスの重合において使用する各種乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤の種類およびその使用量や添加方法、重合水の使用割合等を適宜調整することにより所望の範囲に調整することが可能である。なお、これらの測定方法については後述する。
本発明の共重合体ラテックスの重合には、必要に応じて酸素補足剤、キレート剤、分散剤等の公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらは種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。更には消泡剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を用いることも差し支えなく、これらも種類、使用量ともに特に限定されず、適宜適量使用することが出来る。また、本発明の製造方法で製造された共重合体ラテックスは、その使用目的に応じて他のラテックスと適宜適量ブレンドすることもできる。
本発明の共重合体ラテックスの重合にあたって、単量体ならびにその他の成分の添加方法については特に制限されるものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができ、また、本発明においては、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れも採用することができる。
本発明で用いられる二次電池電極用活物質は、特に限定されないが、例としては、黒鉛、炭素繊維、樹脂焼成炭素、リニア・グラファイト・ハイブリット、コークス、熱分解気層成長炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン系有機半導体、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ系炭素、黒鉛ウィスカー、擬似等方性炭素、天然素材の焼成体、およびこれらの粉砕物などがあげられ、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の共重合体ラテックスは、二次電池電極用活物質のバインダーとして使用されるものであり、電極活物質の粒子どうし、および活物質と集電体金属箔とのバインダーとして作用するものである。その際、該共重合体ラテックスは、活物質100重量部に対して固形分で0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で含有することにより電極用組成物として調製することができる。本発明の共重合体ラテックスの配合量が0.1重量部未満では、結着力が低下すると予想され、10重量部を超えると電池として組み立てた際の電池諸特性に悪影響をおよぼすと予想される。
本発明の二次電池電極用組成物には、必要に応じて、水溶性増粘剤などの各種添加剤が添加されていてもよい。例としてはカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどの水溶性増粘剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダなどの分散剤、ラテックスの安定化剤としてのノニオン性、アニオン性界面活性剤などが挙げられる。
本発明の二次電池電極用組成物は、集電体金属箔に塗布、乾燥して二次電池の電極として用いるものである。塗布する方法としては特に限定されないが、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法など任意のコーターヘッドを用いることができる。また、塗布後の乾燥方法も特に限定されないが、放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できる。
本発明の二次電池電極用組成物を用いて作った電極を用いて二次電池を製造する際に使用される集電体、セパレーター、非水系電解液、端子、絶縁体、電池容器等については既存のものが特に制限無く使用可能である。また、本発明の共重合体ラテックスは正極用バインダーとしても負極用バインダーとしても使用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を変更しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は重量基準によるものである。また実施例における共重合体ラテックスの作製や諸物性の評価は次の方法に拠った。
共重合体ラテックス1の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部、ブタジエン10部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル5部、スチレン5部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート8部、メタクリル酸2.0部、イタコン酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.30部、シクロヘキセン4.0部、過硫酸カリウム0.7部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン20部、アクリロニトリル5部、スチレン41部、純水10部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(DIC株式会社製メガファックF−445)0.25部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.4部と水酸化カリウム0.2部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス1を得た。
共重合体ラテックス1の数平均粒子径は220nm、pH7.2、ゲル含有率85%、ラテックス凝集物重量0.002%であった。
共重合体ラテックス2の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水135部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3部、ブタジエン10部、アクリロニトリル5部、スチレン10部、アクリル酸4.0部、メタクリル酸3.0部、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.20部、シクロヘキセン2.0部、α−スチレンダイマー0.50部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を55℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン10部、スチレン55部、純水15部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(DIC株式会社製メガファックF−445)0.30部を300分間連続添加しながら、重合温度を55℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水15部、過硫酸カリウム0.2部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化カリウム0.8部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス2を得た。
共重合体ラテックス2の数平均粒子径は160nm、pH8.0、ゲル含有率75%、ラテックス凝集物重量0.001%であった。
共重合体ラテックス3の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水140部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.20部、ブタジエン10部、メチルメタクリレート5部、アクリロニトリル15部、メタクリル酸5.0部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート2部、t−ドデシルメルカプタン0.50部、α−メチルスチレンダイマー0.7部、過硫酸カリウム0.85部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン23部、メチルメタクリレート21部、アクリロニトリル7部、スチレン12部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.3部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(DIC株式会社製メガファックF−445)0.1部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.7部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス3を得た。
共重合体ラテックス3の数平均粒子径は190nm、pH8.2、ゲル含有率65%、ラテックス凝集物重量0.003%であった。
共重合体ラテックス4の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.30部、ブタジエン9部、アクリロニトリル5部、スチレン15部、アクリル酸4部、イタコン酸1部、t−ドデシルメルカプタン0.60部、シクロヘキセン6.0部、αスチレンダイマー0.80部、硫酸第一鉄0.003部、L−アスコルビン酸0.07部、エチレンジアミン四酢酸0.005部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.25部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を50℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン11部、アクリロニトリル5部、スチレン50部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部を300分間連続添加しながら、重合温度を50℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.15部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化カリウム0.7部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス4を得た。
共重合体ラテックス4の数平均粒子径は150nm、pH8.5、ゲル含有率64%、ラテックス凝集物重量0.005%であった。
共重合体ラテックス5の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水135部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.20部、ブタジエン6部、アクリロニトリル2部、スチレン10部、アクリル酸3.0部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート15部、t−ドデシルメルカプタン0.10部、シクロヘキセン2.0部、過硫酸カリウム0.7部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン14部、アクリロニトリル3部、スチレン47部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.10部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.3部、水酸化カリウム0.3部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス5を得た。
共重合体ラテックス5の数平均粒子径は180nm、pH8.0、ゲル含有率78%、ラテックス凝集物重量0.456%であった。
共重合体ラテックス6の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.20部、ブタジエン3部、メチルメタクリレート10部、アクリロニトリル5部、スチレン3部、アクリル酸2.0部、メタクリル酸4.0部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート5.0部、t−ドデシルメルカプタン0.60部、シクロヘキセン6.0部、αスチレンダイマー0.80部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.010部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.20部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を50℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン4部、メチルメタクリレート4部、アクリロニトリル10部、スチレン50部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.30部を300分間連続添加しながら、重合温度を50℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.30部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化カリウム0.8部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス6を得た。
共重合体ラテックス6の数平均粒子径は170nm、pH7.2、ゲル含有率42%、ラテックス凝集物重量0.052%であった。
共重合体ラテックス7の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.35部、ブタジエン15部、メチルメタクリレート7部、アクリロニトリル10部、スチレン3部、メタクリル酸1.0部、イタコン酸1.0部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート3.0部、t−ドデシルメルカプタン1.0部、シクロヘキセン10部、αスチレンダイマー0.40部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.010部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.20部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を50℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン25部、メチルメタクリレート19部、アクリロニトリル11部、スチレン5部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部を300分間連続添加しながら、重合温度を50℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.30部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.7部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス7を得た。
共重合体ラテックス7の数平均粒子径は190nm、pH8.0、ゲル含有率56%、ラテックス凝集物重量0.023%であった。
共重合体ラテックス8の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.10部、ブタジエン10部、スチレン10部、1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート5.0部、t−ドデシルメルカプタン0.50部、シクロヘキセン8.0部、過硫酸カリウム0.5部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン20部、アクリロニトリル2部、スチレン53部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.25部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続する予定であったが、重合開始120分後で反応系内に多量のラテックス凝集物が発生したため、重合停止剤を添加して、反応を中止した。
共重合体ラテックス9の作製
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.50部、ブタジエン10部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル1部、スチレン5部、メタクリル酸6.0部、アクリル酸6.0部、2、2、2−トリフルオロエチルメタアクリレート2.0部、t−ドデシルメルカプタン0.30部、シクロヘキセン4.0部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン25部、アクリロニトリル5部、スチレン38部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.60部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続しようとしたが、重合開始240分後でラテックスの粘度上昇のため撹拌が不能となり、重合停止剤を添加して、反応を中止した。
共重合体ラテックスの数平均粒子径の測定
共重合体ラテックスの数平均粒子径は動的光散乱法により測定した。尚、測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用した。
共重合体ラテックス重合時のラテックス凝集物の測定
固形分重量濃度測定済みの共重合体ラテックス500gを重量既知の200メッシュステンレス金網でろ過し、120℃で60分乾燥する。メッシュ上に捕捉されたラテックス凝集物の重量を秤量し、試料重量の固形分重量で除した重量%をラテックス凝集物重量とした。
共重合体ラテックスのゲル含有率の測定
室温雰囲気にて共重合体ラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルム約1gを秤量しXgとする。これを400ccのトルエンに入れ48時間膨張溶解させる。その後、これを秤量済みの300メッシュの金網で濾過し、その後トルエンを蒸発乾燥させ、その乾燥後重量からメッシュ重量を減じて、試料の乾燥後重量を秤量しYgとする。ゲル含有率は次の式(1)より求めた。単位は重量%である。
式(1)ゲル含有率 = Y/X*100
二次電池電極用組成物の作製
二次電池電極用活物質としては、粒子径が1〜35nmの人造黒鉛を使用し、人造黒鉛を100重量部にスラリー増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを2重量部、共重合体ラテックス4部とを全固形分が50重量%となるように適量の水を加えて混練し、二次電池電極用組成物を調製した。
配合安定性の評価
二次電池電極用組成物を集電体となる厚さ20μmの銅箔の両面に塗布し、120℃で5時間乾燥した。乾燥した熱プレスで圧縮成型する前の10cm四方の電極を3枚切り出し、肉眼で認識できる粗大凝集物の個数を3枚表裏全てについてカウントし、その総個数により次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:粗大凝集物が3個以下で優秀
○:粗大凝集物が4個〜10個で良好
△:粗大凝集物が11個〜20個でやや不良
×:粗大凝集物が21個以上で不良
結着力の評価
配合安定性の評価と同様に作製した電極を120℃の熱プレスで5分間圧縮し成型した。その電極表面にナイフを用いて、活物質層から集電体に達する深さまでの切り込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本入れて碁盤目状に25マスの切り込みをいれた。この切り込みを入れた部分の表面に粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質層が脱落したマス目の数をカウントした。この操作を5つの試料について1回ずつ実施して、合計125マスの内、脱落したマス目の個数をカウントし、この個数により次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:脱落したマスが無く優秀
○:脱落したマスが1個〜20個で良好
△:脱落したマスが21個〜50個でやや不良
×:脱落したマスが51個以上で不良
耐ブロッキング性の評価
配合安定性の評価と同様に作製した電極を5cm四方に切り出し、5枚重ねて80℃の熱プレスで48時間圧縮した。圧縮から開放した際の様子から、官能的に次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:指で軽く弾かなくても5枚全部がバラバラになる。優秀。
○:指で軽く弾けば5枚全部がバラバラになる。良好。
△:指で軽く弾いても5枚全部がバラバラにならない。やや不良。
×:指で軽く弾いても1枚もバラバラにならない。不良。
耐粉落ち適性の評価
配合安定性の評価と同様に作製した電極を10cm×5cmの長方形に切り出し、5枚重ねた。実験台の上に市販の上質紙を置き、その上に100メッシュのステンレスメッシュを置いた。そのメッシュ上で5枚重ねた電極試験片をハサミで1cm間隔ごとに切断し、その際にこぼれ落ちた活物質粉末の状態を観察した。その観察結果によって次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:まったく粉落ちが無い。優秀。
○:ごくわずかに粉落ちが観察される。良好。
△:少し多く粉落ちが観察される。やや不良。
×:多量の粉落ちが観察される。不良。
本発明の二次電池電極用バインダーは、二次電池電極用活物質との配合安定性に優れ、二次電池電極用組成物を塗布乾燥したあとの耐ブロッキング性、耐粉落ち適性、結着力に優れ、高性能二次電池電極の作製を可能にする。

Claims (5)

  1. フッ素含有不飽和単量体0.02〜13重量%、脂肪族共役ジエン系単量体10〜38重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体49〜88.88重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなる二次電池電極用バインダー。
  2. フッ素含有不飽和単量体0.02〜13重量%、脂肪族共役ジエン系単量体10〜38重量%、エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.1〜10重量%およびシアン化ビニル系単量体1〜30重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体19〜87.88重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなる二次電池電極用バインダー。
  3. フッ素含有単量体が、次式で表される化合物である請求項1又は2記載の二次電池電極用バインダー。
    CH=CHR1−CO−O−R
    (ただし、R1は水素またはメチル基、R2はフッ素原子を含有する炭素数1〜12のフッ化炭化水素基である)
  4. 単量体100重量部に対してフッ素系界面活性剤0.01重量部以上の存在下で乳化重合して得られた請求項1〜3何れかに記載の共重合体ラテックスからなる二次電池電極用バインダー。
  5. 請求項1〜4何れかに記載された二次電池電極用バインダーと二次電池電極用活物質を主として含有する二次電池電極用組成物。
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