JP5394719B2 - 二次電池電極用バインダー - Google Patents
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Description
(1)二次電池電極用活物質にポリマーバインダーを配合して二次電池電極用組成物を作製する際、粗大凝集物性を発生させない配合時の安定性(以下、配合安定性と称する)。
(2)二次電池電極用組成物を塗布乾燥した後の電極を巻き取る工程での耐ブロッキング性(以下、耐ブロッキング性と称する)。
(3)二次電池電極用組成物の集電体金属箔に対する結着力(以下、結着力と称する)。
(4)二次電池製造工程で電極が折りたたまれた際に、二次電池電極用組成物の塗布層が折れたり割れたりしないこと(以下、耐折れ割れ性と称する)。
従来から、ポリマーバインダーとしてポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系ポリマーがこの分野に利用されてきたが、前述の諸性能を十分満足レベルには至っていない。また、ポリフッ化ビニリデン以外のエマルジョン系バインダーも後述の特許文献などで種々提案されているが、前述の諸性能を満足できるバインダーは、未だ見出せていないのが実情である。
すなわち、本発明は二次電池電極用バインダーであって、該バインダーが、エチレン系不飽和カルボン酸のリチウム塩1.0〜10重量%、脂肪族共役ジエン系単量体5〜60重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜94.99重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスであることを特徴とする二次電池電極用バインダーを提供するものである。
本発明における共重合体ラテックスは、エチレン系不飽和カルボン酸のリチウム塩0.01〜10重量%、脂肪族共役ジエン系単量体5〜60重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜94.99重量%から構成される単量体を乳化重合して得られるものである。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部、ブタジエン10部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル1部、スチレン5部、アクリル酸リチウム2.0部、メタクリル酸リチウム2.0部、t−ドデシルメルカプタン0.30部、シクロヘキセン4.0部、過硫酸カリウム0.7部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン25部、アクリロニトリル5部、スチレン48部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.25部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.4部と水酸化カリウム0.2部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス1を得た。
共重合体ラテックス1の数平均粒子径は170nm、pH7.0、ゲル含有率80%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水135部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.30部、ブタジエン10部、アクリロニトリル5部、スチレン10部、メタクリル酸リチウム8.0部、t−ドデシルメルカプタン0.20部、シクロヘキセン2.0部、αスチレンダイマー0.50部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.01部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.15部を仕込み35℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を55℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン15部、スチレン52部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.10部を300分間連続添加しながら、重合温度を55℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.2部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化カリウム0.8部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス2を得た。
共重合体ラテックス2の数平均粒子径は190nm、pH7.5、ゲル含有率67%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水140部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.10部、ブタジエン20部、メチルメタクリレート5部、アクリル酸リチウム5.0部、t−ドデシルメルカプタン0.50部、α−メチルスチレンダイマー0.7部、過硫酸カリウム0.85部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン25部、メチルメタクリレート21部、スチレン24部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.4部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.7部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス3を得た。
共重合体ラテックス3の数平均粒子径は220nm、pH7.5、ゲル含有率75%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.60部、ブタジエン13部、アクリロニトリル8部、スチレン7部、アクリル酸4.0部、メタクリル酸1.0部、t−ドデシルメルカプタン0.60部、シクロヘキセン6.0部、αスチレンダイマー0.80部、硫酸第一鉄0.003部、L−アスコルビン酸0.07部、エチレンジアミン四酢酸0.005部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.25部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を50℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン18部、スチレン49部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.40部を300分間連続添加しながら、重合温度を50℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.15部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化リチウム0.6部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス4を得た。
共重合体ラテックス4の数平均粒子径は130nm、pH7.2、ゲル含有率64%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水135部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.20部、ブタジエン1部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル10部、スチレン5部、アクリル酸リチウム3.0部、t−ドデシルメルカプタン0.10部、シクロヘキセン2.0部、過硫酸カリウム0.7部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン2部、メチルメタクリレート30部、アクリロニトリル7部、スチレン40部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.25部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、重合温度を75℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化ナトリウム0.3部、水酸化カリウム0.3部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス5を得た。
共重合体ラテックス5の数平均粒子径は160nm、pH8.0、ゲル含有率42%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.20部、ブタジエン20部、アクリロニトリル2部、スチレン3部、アクリル酸リチウム2.0部、メタクリル酸リチウム4.0部、t−ドデシルメルカプタン0.60部、シクロヘキセン6.0部、α−スチレンダイマー0.80部、硫酸第一鉄0.002部、L−アスコルビン酸0.05部、エチレンジアミン四酢酸0.010部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.20部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を50℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン50部、スチレン19部、純水15部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.30部を300分間連続添加しながら、重合温度を50℃から70℃に徐々に上昇させながら重合を継続した。重合開始360分後から600分後までは、純水10部、過硫酸カリウム0.30部を240分間連続添加しながら、重合温度を70℃に保って重合を継続した。重合開始600分後以降に重合転化率が97%を超えたことを確認して、槽内温度を35℃以下に冷却し、水酸化カリウム0.8部を加えた後、水蒸気蒸留によって未反応単量体を除去して共重合体ラテックス6を得た。
共重合体ラテックス6の数平均粒子径は170nm、pH7.2、ゲル含有率66%であった。
ステンレス製耐圧重合反応機に、減圧下で純水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.15部、ブタジエン10部、メチルメタクリレート2部、アクリロニトリル1部、スチレン5部、メタクリル酸リチウム12.0部、t−ドデシルメルカプタン0.30部、シクロヘキセン4.0部、過硫酸カリウム0.7部を仕込み30℃で重合を開始した。重合開始から60分かけて、重合温度を70℃に上昇させた。重合開始60分後から360分後までは、ブタジエン25部、アクリロニトリル5部、スチレン40部、純水10部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王製ペレックスSS−L)0.25部を300分間連続添加しながら、重合温度を70℃から75℃に徐々に上昇させながら重合を継続しようとしたが、重合開始300分後でラテックスの粘度上昇のため撹拌が不能となり、重合停止剤を添加して、反応を中止した。
共重合体ラテックスの数平均粒子径は動的光散乱法により測定した。尚、測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用した。
室温雰囲気にて共重合体ラテックスフィルムを作成する。その後ラテックスフィルム約1gを秤量しXgとする。これを400ccのトルエンに入れ48時間膨潤張溶解させる。その後、これを秤量済みの300メッシュの金網で濾過し、その後トルエンを蒸発乾燥させ、その乾燥後重量からメッシュ重量を減じて、試料の乾燥後重量を秤量しYgとする。ゲル含有率は次の式(1)より求めた。単位は重量%である。
式(1)ゲル含有率 = Y/X*100
二次電池電極用活物質としては、粒子径が1〜35nmの人造黒鉛を使用し、人造黒鉛を100重量部にスラリー増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを2重量部、共重合体ラテックス4部とを全固形分が50重量%となるように適量の水を加えて混練し二次電池電極用組成物を調製した。
二次電池電極用組成物を集電体となる厚さ20μmの銅箔の両面に塗布し、120℃で5時間乾燥した。乾燥した熱プレスで圧縮成型する前の10cm四方の電極を3枚切り出し、肉眼で認識できる粗大凝集物の個数を3枚表裏全てについてカウントし、その総個数により次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:粗大凝集物が3個以下で優秀
○:粗大凝集物が4個〜10個で良好
△:粗大凝集物が11個〜20個でやや不良
×:粗大凝集物が21個以上で不良
配合安定性の評価と同様に作製した電極を120℃の熱プレスで5分間圧縮し成型した。その電極表面にナイフを用いて、活物質層から集電体に達する深さまでの切り込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本入れて碁盤目状に25マスの切り込みをいれた。この切り込みを入れた部分の表面に粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質層が脱落したマス目の数をカウントした。この操作を5つの試料について1回ずつ実施して、合計125マスの内、脱落したマス目の個数をカウントし、この個数により次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:脱落したマスが無く優秀
○:脱落したマスが1個〜20個で良好
△:脱落したマスが21個〜50個でやや不良
×:脱落したマスが51個以上で不良
配合安定性の評価と同様に作製した電極を5cm四方に切り出し、5枚重ねて80℃の熱プレスで48時間圧縮した。圧縮から開放した際の様子から、官能的に次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:指で軽く弾かなくても5枚全部がバラバラになる。優秀。
○:指で軽く弾けば5枚全部がバラバラになる。良好。
△:指で軽く弾いても5枚全部がバラバラにならない。やや不良。
×:指で軽く弾いても1枚もバラバラにならない。不良。
配合安定性の評価と同様に作製した電極を10cm×5cmの長方形に切り出し、180度に二つ折りにした5cm四方の試験片を3つ重ねて80℃の熱プレスで48時間圧縮した。圧縮から開放した際に折り目を伸ばし、内側と外側の両方の折り目部分を光学顕微鏡で観察した。その観察結果によって次のように評価した。結果を表1に示した。
◎:折れ割れが無い。優秀。
○:集電体は見えないが活物質層に僅かに折れ割れが観察される。良好。
△:活物質層に折れ割れが観察され、僅かに集電体の露出が観察される。やや不良。
×:活物質層に折れ割れが観察され、多くの折れ割れ部分で集電体の露出が観察される。不良。
Claims (2)
- エチレン系不飽和カルボン酸のリチウム塩1.0〜10重量%、脂肪族共役ジエン系単量体5〜60重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体30〜94.99重量%から構成される単量体を乳化重合して得られた共重合体ラテックスからなる二次電池電極用バインダー。
- 請求項1に記載された二次電池電極用バインダーと二次電池電極用活物質を主として含有する二次電池電極用組成物。
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