JP2012119214A - リチウムイオン二次電池用負極材、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】容量の充放電速度依存性(レート特性)、充放電サイクル特性を改善したリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材及びリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極材、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、非水電解質二次電池とりわけリチウムイオン二次電池は、高いエネルギー密度を実現できることから携帯電話、PHS(簡易携帯電話)、小型コンピューター等の携帯機器類用、電力貯蔵用、電気自動車用、電動工具用などの用途の電源として注目されている。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に、電解質を備えている。正極は、正極集電体上に、正極活物質を含む正極活物質層を有している。負極は、負極集電体上に、負極活物質を含む負極活物質層を有している。電解質は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
負極活物質としては、黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。炭素材料ではリチウムイオンの吸蔵および放出時における結晶構造の変化が非常に少ないため、電池容量などが安定して得られる。
また、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えて、ケイ素あるいはスズなどの高容量材料を用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)あるいはスズの理論容量(994mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。
一方、リチウムイオン二次電池では充放電時にリチウムイオンを吸蔵した負極活物質が高活性になるため、電解質が分解されやすくなると共に、リチウムイオンの一部が不活性化しやすくなり、充分なサイクル特性を得ることが困難になる。さらには自動車用等電池の大容量化、高出力化が進む中で、電池容量の充放電速度依存性(レート特性)の改良も要求される。このような充放電特性の改善は今後のリチウムイオン二次電池の普及において不可避の課題である。
リチウムイオンの電極への挿添を積極的に促進する界面活性剤を含む電池が開示されて(例えば、特許文献1参照)いる。この方法では特徴となる化合物が炭素質電極上に修飾され、その一部に親溶媒部位を有することで界面活性能を発現して、リチウムイオンの電極への挿添を助けている。しかしながらこの方法では修飾の均一性や安定性が悪く、充放電サイクル寿命が短いという欠点があった。また容量の充放電速度依存性も充分に改善されてはいなかった。
一方、カーボネート変性シロキサンを含む電解液の使用によりLi極/電解液界面の抵抗が減少することが記載されて(例えば、非特許文献1参照)いる。しかしながら効果発現のための必要量が多い。また、ポリエーテル変性シロキサンを用い、同様にLi極/電解液界面の抵抗を低減できることを確認して(例えば、非特許文献2参照)いる。炭素負極でもその現象は観測されるものの、その効果は大幅に小さくなっている。
特許第4135300号公報
第50回電池討論会予稿集2A15 技術情報協会セミナー資料(2010年1月27日)リチウムイオン二次電池 電解液の設計と添加剤選定,界面制御 1.電解液の安全性及び添加剤の種類及び使い方
本発明の目的は、容量の充放電速度依存性(レート特性)、充放電サイクル特性を改善したリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
2.前記分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物が下記一般式(1)または一般式(2)で表されることを特徴とする前記1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
Figure 2012119214
(式中、Aは炭素原子、ケイ素原子、又は窒素原子を表し、L、L、Lはそれぞれ独立に二価の連結基を表し、Rは一価の有機基を表す。nは0または1の整数を表す。Xはリチウムイオン配位性の基を表し、Yは架橋性基を表し、Zは疎水性基を表す。)
Figure 2012119214
(式中、Qは炭素原子を表し、破線はQとともに飽和または不飽和の環を構成する原子数1〜10の原子団を表す。L、L、Lは一般式(1)のL、L、Lと同義の二価の連結基を表し、R、X、Y、Zは、それぞれ一般式(1)のR、X、Y、Zと同義の基を表す。nは一般式(1)のnと同義の整数を表す。)
3.前記架橋性基がケイ素を含んでいることを特徴とする前記1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
4.前記1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明ではリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基の三つの部位を併せ持つ化合物をリチウムイオン二次電池用負極材に用いることで、電極活物質表面に薄く強固でかつ電解液濡れ性のよい保護被膜を作ることができ、充放電時のリチウムイオンの界面移動抵抗を大幅に低減できるため、容量の充放電速度依存性(レート特性)を改善したリチウムイオン二次電池を提供できる。またサイクルが進むことによる保護被膜の劣化や厚膜化を抑制できるため充放電サイクル特性をも改善したリチウムイオン二次電池を提供できる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明では分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物をリチウムイオン二次電池用負極材に用いることで電極−電解液界面の抵抗を抑えることができ、容量の高速充放電特性(レート特性)を改善することが可能である。
特に分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物として前記一般式(1)または一般式(2)の化合物を用いることが好適である。
<一般式(1)で表される化合物>
前記一般式(1)において、Rで表される一価の有機基とは炭素鎖あるいは炭素環を基本骨格とする1価の基の総称である。
この「1価の有機基」は、炭素鎖あるいは炭素環を基本骨格として有していれば、全体としてはどのような構造を有する基であってもよく、炭素以外の他の元素の1種あるいは2種以上を構成元素として有していてもよい。
上記した「他の元素」は、置換基中にどのような形態で含まれていてもよい。この「形態」とは、元素の数や組み合わせなどを意味し、それらについては任意に設定可能である。
具体的には、水素が含まれる形態としては、例えば、アルキル基、ビニル基あるいはアリール基などが挙げられる。酸素が含まれる形態としては、例えば、エーテル結合(−O−)などが挙げられる。
ハロゲンが含まれる形態としては、例えば、ハロゲン化アルキル基などが挙げられる。もちろん、「他の元素」が含まれる形態は、上記以外の他の形態であってもよい。
他には例えば、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アルキルチオ基、アセチル基等も含まれる。
Rは、上記した一連の形態によって構成される基であれば、どのような基であってもよいが、中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基あるいはハロゲン化アリール基、あるいはこれらの基を組み合わせた基であるのが好ましく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、あるいはこれらを組み合わせた基であるのが更に好ましい。
、L、Lはそれぞれ独立に二価の連結基であり、2価の連結基とは1価の連結基の任意の水素原子を取り除き連結手とした構造である。L、L、Lの好ましい連結基としてはアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、カルボニル基、スルホニル基とこれらを組み合わせた基を挙げることができる。例えばエチレン基、プロピレン基、エチレンオキシ基、エチレンオキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基などを挙げることができる。
Xはリチウムイオン配位性の基であり、リチウムイオンに配位しやすい基であればよいが、高極性の官能基を含む基があげられる。例えばカーボネート基、ニトリル基、スルホニル基、ポリアルキレンオキシ基、ポリアルキレンアミノ基、ウレイド基、あるいはこれらがフッ素化されたもの、これらを組み合わせた基などが挙げられる。
Yは架橋性基であり、反応して架橋構造を作るものであればよいが、例えばスチレン誘導体やアクリル酸誘導体、エポキシド、オキセタン、イソシアネート、チオイソシアネート、アルコキシシラン、ハロシランなどが挙げられる。
Zは疎水性基であり、一般的な疎水性基が挙げられるが、炭素数5以上のアルキル基、とりわけ分岐アルキル基や、シクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アルキル基で置換されたシリル基、パーフルオロアルキル基などが好ましく用いられる。
一般式(2)において、L、L、Lは一般式(1)のL、L、Lと同義の二価の連結基を表し、R、X、Y、Zは、それぞれ一般式(1)のR、X、Y、Zと同義の基を表す。nは一般式(1)のnと同義の整数を表す。
破線はQとともに飽和または不飽和の環を構成する原子数1〜10の原子団を表しており、飽和または不飽和の環を構成する原子数1〜10の原子団とは、炭素原子と硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子などで構成された環状化合物であり、たとえばベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、チオフェン環、ピリジン環、ベンゾフラン環などが挙げられる。
一般式(1)、一般式(2)ともに架橋性基としてはケイ素原子を含んだ構造であることが好ましく、例えばシランカップリング剤として一般に用いられる構造が挙げられるが、特にシロキシ基やハロシリル基を含んでいることが好ましい。
以下に、本発明に用いられる分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基を併せ持つ化合物の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2012119214
Figure 2012119214
本発明に用いられる分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基を併せ持つ化合物は従来公知の方法によって合成することが可能である。
架橋性基は一般に反応活性の高い構造であることが多いので、取り扱いの平易性を鑑みると、疎水性基とリチウムイオン配位性基を備えた化合物に架橋性基を導入する合成ルートをとることが好ましい。
Figure 2012119214
トリメチロールプロパンに炭酸カリウム、アセトン、及びトリメチロールプロパンと等モルのアリルブロマイドを加え、120℃加温で36時間攪拌を行う。得られた溶液をろ過濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製し、原料1を得た。
原料1に炭酸カリウム、原料1と等モルの原料2、アセトンを加え、120℃24時間加熱攪拌したのち、ろ過濃縮、カラム精製を行い、原料3を得た。
原料3に原料3と等モルの原料4、炭酸カリウム、アセトンを加え、120℃24時間加熱攪拌を行ったのち、ろ過濃縮、カラム精製を行い原料5を得た。
1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンと原料5とトルエンを混合し、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金(0)触媒(Pt(dvs))を加えて加熱攪拌、ろ過濃縮することで化合物Aを合成した。
その他の化合物についても、連結中心となる化合物に従来公知の方法により逐次的に置換基を導入していくことで合成可能である。例えば連結中心が複数のハロゲンが置換した化合物を用いた場合には、Li配位性基や疎水性基等を求核剤として有機金属化合物(有機リチウム化合物、グリニャール試薬など)に変換して作用させ、SN2反応やSN1反応によって置換基を導入することができる。またアルコール化合物を塩基によってアルコキシドにしてエーテル基として導入することもできる。あるいは連結中心がアルコールやアミンの場合には導入する化合物をカルボン酸、酸無水物、酸ハライド等にしてエステル基やアミド基として縮合させることで導入することができる。逆に連結中心側を求核剤とし、導入する置換基をハライドやアルコールとしてSN2、SN1反応で連結する場合や、縮合反応においては酸とアルコール・アミンを反転させて連結する場合もある。
シランカップリング基を導入する場合には例示化合物Aと同様に触媒を用いて合成することが好ましい。
連結中心に異なる置換基を導入していくときには、当量や温度、触媒種等を変化させることで逐次反応が可能であり、分離にはクロマトグラフィーを用いればよい。また本発明に用いる化合物は複数種の置換基を連結中心に対し導入しているため、キラリティのある化合物ができるが、ラセミ体であっても性能に問題はない。
以下に、連結中心の例を挙げる。
Figure 2012119214
本発明ではリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基の三つの部位を併せ持つ化合物は電解液組成物または電極スラリーに混合して用いるが、その含有量は電池性能を妨げない範囲に設定する必要がある。電解液組成物に混合する場合には電池性能への影響が大きいため、その含有量は0.001質量部から60質量部であることが好ましく、0.001質量部から30質量部であることがより好ましく、0.01質量部から10質量部であることがより好ましく、0.01質量部から5質量部であることが最も好ましい。
電極スラリーに混合して用いる場合には、架橋性基の反応性や製膜時の取り扱い性を考慮して適宜設定すればよいが、該化合物が負極材全固形分の0.001質量部から30質量部であることが好ましく、0.001質量部から10質量部であることがより好ましい。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる電極材料について詳述する。
<負極材(負極活物質)>
負極については、特に制限は無く、集電体に負極活物質を密着させたものが利用できる。黒鉛系やスズ合金系などの粉末を、スチレンブタジエンゴムやポリフッ化ビニリデンなどの結着材とともにペースト状として、集電体上に塗布して、乾燥後、プレス成形して作製したものが利用できる。物理蒸着(スパッタリング法や真空蒸着法など)によって3〜5ミクロンのシリコン系薄膜を、集電体上に直接形成したシリコン系薄膜負極なども利用できる。リチウム金属負極の場合は、銅箔上に10〜30ミクロンのリチウム箔を付着させたものが好適である。本発明においては炭素を主成分とする負極材が好ましく用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、前述した分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基を併せ持つ化合物を作用させることでその効果を発揮するが、後述するリチウムイオン二次電池を構成する別の部材、例えば電解質組成物中に含ませておいて間接的に負極材に作用させてもよい。
また前述した分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基を併せ持つ化合物の他にその架橋を助ける架橋助剤を含んでいることが好ましく、架橋助剤としては例えばアクリル酸誘導体やエポキシド、オキセタンなどの構造を含む多官能の重合性化合物やシランカップリング剤などが挙げられ、シランカップリング剤であることがより好ましい。
また本発明のリチウムイオン二次電池用負極材とは二次電池として使用する段階(充放電時)ばかりでなく製造段階の負極材も意味している。すなわち使用段階において、本発明に用いる化合物の架橋性基が架橋のために全て消費されていることがあるが、この場合も製造段階においては本発明の負極材に該当する。
<正極材(正極活物質)>
正極活物質としては、無機系活物質、有機系活物質、これらの複合体が例示できるが、無機系活物質あるいは無機系活物質と有機系活物質の複合体が、特にエネルギー密度が大きくなる点から好ましい。
無機系活物質として、例えば、Li0.3MnO、LiMn12、V、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li1.2(Fe0.5Mn0.50.8、Li1.2(Fe0.4Mn0.4Ti0.20.8、Li1+x(Ni0.5Mn0.51−x、LiNi0.5Mn1.5、LiMnO、Li0.76Mn0.51Ti0.49、LiNi0.8Co0.15Al0.05、Fe、等の金属酸化物、LiFePO、LiCoPO、LiMnPO、LiMPOF(M=Fe,Mn)、LiMn0.875Fe0.125PO、LiFeSiO、Li2−xMSi1−x(M=Fe,Mn)、LiMBO(M=Fe,Mn)などのリン酸、ケイ酸、ほう酸系が上げられる。なお、これらの化学式中、xは0〜1の範囲であることが好ましい。
さらに、FeF、LiFeF、LiTiFなどのフッ素系、Li2FeS2、TiS、MoS、FeS等の金属硫化物、これらの化合物とリチウムの複合酸化物が挙げられる。有機系活物質としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、等の導電性高分子、有機ジスルフィド化合物、有機イオウ化合物DMcT(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)、ベンゾキノン化合物PDBM(ポリ2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン−3,6−メチレン)、カーボンジスルフィド、活性硫黄等の硫黄系正極材料、有機ラジカル化合物等が用いられる。
また、正極活物質の表面には、無機酸化物が被覆されていることが電池の寿命を延ばす点で好ましい。無機酸化物を被覆するに当たっては、正極活物質の表面にコーティングする方法が好ましく、コーティングする方法としては、例えばハイブリタイザーなどの表面改質装置を用いてコーティングする方法などが挙げられる。
かかる無機酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等のIIA〜VA族、遷移金属、IIIB、IVBの酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉛、γ−LiAlO、LiTiO等が挙げられ、特に酸化ケイ素が好ましい。
<電極合剤>
本発明に用いる電極合剤としては、導電剤、結着剤やフィラーなどの他に、リチウム塩、非プロトン性有機溶媒等が添加されたものが挙げられる。
前記導電剤は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−148554号公報に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載)などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
本発明では電極合剤を保持するための結着剤を用いる。このような結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
前記結着剤は、一種単独または二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
前記フィラーは、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。
<集電体>
正・負極の集電体としては、本発明の非水二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅あるいは銅合金がより好ましい。
前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<電解質組成物>
本発明のリチウムイオン二次電池は電解質組成物(電解液ともいう)を含んでいる。
以下、電解質組成物の構成成分について説明する。
<支持電解質塩>
本発明の電解質組成物には支持電解質塩としてリチウムイオンの塩が用いられる。
リチウム塩のアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、Ph、(C、(CFSO、CFCOO、CFSO 、CSO 等が挙げられる。
アニオンとしては、SCN、BF 、PF 、ClO 、SbF 、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、(CFSO、CFSO がより好ましい。
代表的な電解質塩としては、例えばLiCFSO、LiPF、LiClO、LiI、LiBF、LiCFCO、LiSCN、LiN(SOCF、LiN(SOF)、などが挙げられる。これらは一種または二種以上を混合してもよい。
電解質中の支持電解質塩の配合量は、5〜40質量%とすることが好ましく、特に、10〜30質量%とすることが好ましい。
(有機溶媒)
本発明の電解質組成物には有機溶剤を用いることが可能である。本発明に用いることのできる有機溶媒としては非プロトン性溶媒が挙げられ、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、アニソール、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
さらに、一般に難燃性溶媒である、フッ素系溶媒やリン酸エステルを用いることもできる。
フッ素系溶媒としては例えば、含フッ素化エーテル類(例えば、(パーフルオロプロピル)(パーフルオロエチル)エーテル、ジ(パーフルオロプロピル)エーテル、(パーフルオロブチル)(パーフルオロプロピル)エーテル、(パーフルオロヘキシル)(パーフルオロブチル)エーテル、等)、含フッ素化カルボン酸エステル類(例えば、酢酸パーフルオロエチル、酢酸パーフルオロエチル、トリフルオロ酢酸エチル、トリフルオロ酢酸ブチル、トリフルオロ酢酸パーフルオロブチル、プロピオン酸トリフルオロメチル、プロピオン酸パーフルオロブチル、2,2,2−トリフルオロプロピオン酸トリフルオロメチル、パーフルオロプロピオン酸エチル、パーフルオロプロピオン酸パーフルオロエチル、等)、含フッ素カーボネート(例えば、CFCHOCOOCHCF、CFCFCHOCOOCHCFCF、CFCFCHOCOOCH、CFCHOCOOCH、CFCHOCOOCH、CFCHOCOOCHCH、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ジメチル−1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1,2−ジエチル−1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、1−メチル−2−エチル−1,2−ジフルオロエチレンカーボネート、等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
リン酸エステルとしては例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)などが挙げられる。
これら有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
(イオン液体)
本発明においては、電解質組成物はイオン液体を含有することが、燃焼防止性の効果が大きく好ましい。
イオン液体とは、常温(25℃)において溶融状態にあるイオン性物質のことであり、カチオン種とアニオン種とを有する塩であれば特に限定されない。
カチオン種としては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、四級アンモニウムカチオンピリジニウムカチオン、四級ホスホニウムカチオン、グアジニウムカチオン、イソウロニウムカチオン、チオウロニウムカチオン等が挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン等のジアルキルイミダゾリウムイオン;3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン等のトリアルキルイミダゾリウムイオンなどを挙げることができる。
ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−ブチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−デシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ドデシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンなどを挙げることができる。
ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−デシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ドデシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオンなどを挙げることができる。
四級アンモニウムカチオンとしては、例えば、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルデシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルドデシルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムイオン、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオンなどを挙げることができる。
また、対アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、BF 、BFCF 、BF 、PF 、NO 、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、(CFSO、(CSO、(FSO、(CFSO)(FSO)N、AlCl 、AlCl などを用いることができる。中でも、水分に対する安定性、導電率の点では、パーフルオロアルキルイミド塩系が好ましく、特に導電率の点では、CFCO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、(CSO、(FSO、(CFSO)(FSO)Nがより好ましく、(CFSO、CSO、(FSO、(CFSO)(FSO)Nが特に好ましい。
これらの組み合わせにおいては、導電率の面でイミダゾリウム系イオン性液体が好ましく、特に好ましくはエチルメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、ブチルメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、ブチルジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、エチルメチルイミダゾリウムビスフルオロスルホニルイミドなどが挙げられる。
これらの化合物の融点は80℃以下であることが好ましく、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。
イオン液体の電解質組成物中に対する含有量としては、10質量%〜99質量%が好ましく、特に30質量%〜95質量%が好ましい。
<添加剤>
本発明の電解質組成物は、無機微粒子、重合性化合物及び高分子を含有することが出来る。有機溶媒の含有量を少量又は不使用とし、無機微粒子と重合性化合物、又は無機微粒子と高分子を電解質に含有することで固体電解質とすることも可能である。
(無機微粒子)
無機微粒子としては、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アンチモン、クレー、酸化スズ、酸化タングステン、酸化チタン、リン酸アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウムや、これらの複合酸化物が好ましく使用できる。
無機微粒子の平均粒径は、安全性、電圧特性の面から0.05〜50μmであることが好ましく、更に0.1〜20μmであることが好ましい。
平均粒径は、各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値であり、この値は電子顕微鏡写真から評価することができる。即ち、電池組成物または粒子紛体の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、一定の視野範囲にある粒子を200個以上測定して各粒子の球換算粒径を求め、その平均値を求めることにより得られた値である。
無機微粒子の含有量は特に限定はないが、イオン性液体100質量%に対して、0質量%以上100質量%以下が好ましい。更に好ましくは10質量%以上70質量%以下である。
(重合性化合物)
重合性化合物を用いる場合、重合により高分子化する重合性モノマー、または、重合性オリゴマーが用いられる。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマーやカチオン重合性モノマーが挙げられ、特に限定されないが以下に示されるエチレン性不飽和モノマーが好ましく用いられる。
(高分子化合物)
高分子化合物を用いる場合、重合単位(モノマー)の数平均重合度が1000個以上のものであることが好ましく、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフロライド、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル、ポリ(メタ)アクリル酸アリール、ポリフルオレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタンなどが好適に用いられる。中でもポリ(メタ)アクリル酸アルキルが好ましく用いられる。
上述した重合性化合物及び高分子を合わせた電解質中の支持電解質塩の配合量は、0〜40質量%が好ましい。特に、固体電解質とする場合には、10〜30質量%が好ましい。
<セパレーター>
本発明のリチウムイオン二次電池は、セパレーターを併用して使用することも可能である。セパレーターは正電極と負電極とを電子的に絶縁してショートを防止し、イオンの移動のみを可能とする機能を有する。特に、電解液が分解して電池内部が発熱した場合、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を持つことが必要であり、閉塞温度が90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
セパレーターを構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどの単一の材料、あるいは2種以上の複合化材料を含む絶縁性プラスチックで形成された多孔体や、シリカゲル等の無機微粒子を用いることができる。
絶縁性プラスチックで形成されたセパレーターの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05〜30μmであり、0.1〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20〜90%であり、35〜80%が好ましい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが好ましい。
<二次電池の作製>
ここでは、本発明の二次電池の作製について説明する。本発明の二次電池の形状としては、シート、角、シリンダーなどいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
前記合剤の塗布方法としては、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法およびスクイーズ法等が好適に挙げられる。その中でも、ブレード法、ナイフ法およびエクストルージョン法が好ましい。また、塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることができる。塗布は、片面ずつ逐時でも、両面同時に行ってもよい。
さらに、前記塗布は、連続でも間欠でもストライプでもよい。その塗布層の厚み、長さおよび巾は、電池の形状や大きさにより決められるが、片面の塗布層の厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが好ましい。
前記電極シート塗布物の乾燥および脱水方法としては、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線および低湿風を、単独あるいは組み合わせた方法を用いることできる。乾燥温度は80〜350℃が好ましく、100〜250℃がより好ましい。含水量としては、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質では、それぞれ500ppm以下にすることが好ましい。
シートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特にカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は特に限定されないが、0.2〜3t/cmが好ましい。前記カレンダープレス法のプレス速度としては、0.1〜50m/分が好ましく、プレス温度は室温〜200℃が好ましい。正極シートに対する負極シート幅の比としては、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が特に好ましい。正極活物質と負極活物質との含有量比は、化合物種類や合剤処方により異なる。
上記により作製された正極、負極をセパレータフィルムで挟み、電解液を充填させることで非水系の二次電池が構成される。電解液を充填させる際、真空下で充填させることで、電解液の浸透性が向上する点から好ましい。
本発明の二次電池の形態は、特に限定されないが、コイン、シート、円筒等、種々の電池セルに封入することが出来る。
本発明の二次電池の用途は、特に限定されないが、例えば、電子機器としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
以下実施例により本発明を説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
(1)電解質組成物の作製
表1〜表3に示す通り電解質組成物成分を混合して、電解質組成物を調製した。
(2)正極の作製
正極活物質として、LiCoOを43質量部、鱗片状黒鉛2質量部、アセチレンブラック2質量部、さらに結着剤としてポリアクリロニトリル3質量部を加え、アクリロニトリル100質量部を媒体として混練して得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、露点−40℃以下の乾燥空気中、230℃で30分脱水乾燥した。
(3)負極の作製
グラファイト96質量%とポリフッ化ビニリデン共重合体4質量%とN−メチルピロリドンと表1〜表3に示す通り本発明の化合物を加えて、混合してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔上に200μmの厚さで塗布し、130℃で5分間遠赤外線乾燥後、ロールプレスして負極を作製した。
(4)二次電池の作製
上記で得られた正極と負極それぞれを3cm×3cmの大きさに断裁し、電流端子(タブ)を超音波溶接後、酸素濃度10ppm以下、露点−60℃以下の乾燥空気で満たされたドライブース内にて、正極と、4cm×4cmに裁断した厚さ30μmの東燃タピルス(株)製0不織布TAPYRUS P22FW−OCS、負極をこの順に重ね合わせた後、ラミネートフィルム製の外装体に入れ、前記調製した電解質を注液し、ヒートシールして表1〜表3に示す、電解質構成物を含有する二次電池1〜76を作製した。
尚、表1〜表3に記載されている略号は以下の化合物を意味する。
Figure 2012119214
EC:エチレンカーボネート
DMC:ジメチルカーボネート
PC:プロピレンカーボネート
TFSA:ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン
FSA:ビス(フルオロスルホニル)アミドアニオン
P13:N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン
EMI:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン
SiU:1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素
(5)二次電池の評価
(放電容量・サイクル性の評価)
上記作製したリチウム二次電池について、計測器センター社製の充放電測定装置を用いて、6mAの電流で、電圧を2Vから4.2Vまで充電し、10分間の休止後、6mAの電流で電池電圧3Vまで放電した。この充放電を50回繰り返し、初期の放電容量を基準(100%)としたときの50サイクル目の放電容量維持率(%)を計算した。
得られた結果を表1〜表3に示す。
(レート特性の評価)
充電、放電電流を、それぞれ30mA、90mAに変更し、初期の放電容量を基準(100%)としたときのそれぞれの放電容量の割合を計算し、高速充放電における放電容量の低下度合いすなわちレート特性の指標とした。得られた結果を表1〜表3に示す。
Figure 2012119214
Figure 2012119214
Figure 2012119214
表1〜表3より本発明の化合物を用いたリチウムイオン二次電池はサイクル性、レート特性ともに良好であることが分かる。

Claims (4)

  1. 分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
  2. 前記分子内にリチウムイオン配位性基と架橋性基と疎水性基とを併せ持つ化合物が下記一般式(1)または一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
    Figure 2012119214
    (式中、Aは炭素原子、ケイ素原子、又は窒素原子を表し、L、L、Lはそれぞれ独立に二価の連結基を表し、Rは一価の有機基を表す。nは0または1の整数を表す。Xはリチウムイオン配位性の基を表し、Yは架橋性基を表し、Zは疎水性基を表す。)
    Figure 2012119214
    (式中、Qは炭素原子を表し、破線はQとともに飽和または不飽和の環を構成する原子数1〜10の原子団を表す。L、L、Lは一般式(1)のL、L、Lと同義の二価の連結基を表し、R、X、Y、Zは、それぞれ一般式(1)のR、X、Y、Zと同義の基を表す。nは一般式(1)のnと同義の整数を表す。)
  3. 前記架橋性基がケイ素を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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