JP2009513114A - 微生物安定化ビール - Google Patents

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Abstract

本発明はイソマルツロースにより微生物安定化したビールの低雑菌製造のための手段及び方法に関する。

Description

本発明は微生物安定化ビールの製造のための手段及び方法に関する。
最近約十年の間に再び多数の小規模醸造所、いわゆる自家醸造所(パブブルーワリー[pub breweries])が生まれた。これらは、たいてい自営の飲食店での小売や小さな容器、例えば瓶の直接販売をまかなうに過ぎない小さな生産規模並びに簡単な醸造及び充填法において大規模醸造所と異なる。
大規模醸造所は大規模な工業設備を備えており、これによってビールの製造と充填が雑菌抑制又は低雑菌条件のもとで可能であるが、小規模醸造所の多くは適当な予防策や対策なしで済ませている。ビール有害微生物による汚染が完全に回避される有利な条件をもたらす構造的、プロセス技術的処置は、小規模醸造所にとってたいてい経済的に魅力がない。
他方では、ほかならぬ低雑菌製造及び充填は醸造成績にプラスの影響を及ぼす。製造に引き込まれる微生物の多くは「ビールに有害」だからである。ビール有害生物が少ない状態で製造されたビールは長い貯蔵に適しており、完全に無菌でない環境でもたやすく瓶又は樽に詰めることができ、マイナスの結果は予想されない。
大規模工業的に管理される醸造所も小規模醸造所も微生物安定化したビールの製造及び充填を行うことができる、なるべく簡単で安価な方法及び手段の提供が望まれる。
とりわけ瓶、樽又は類似の容器へのビールの充填に関連して、ビールの雑菌汚染、即ち微生物不安定化の危険が存在する。「低雑菌」とは、完全な無菌のことではない。ビールに存在するビール有害菌、特に微生物、例えば細菌及び真菌の数は、ビールが数週間や数ヶ月の長い貯蔵期間にわたって腐敗しないように少なくなければならない。ビール有害菌の数を少なくすれば、ビールに有害な培養が発生する確率が小さい。充填が飲料又はビールが無菌の状態で行われることが好ましい。
ビール及びその他の飲料の低雑菌充填のための方法は先行技術により周知である。ビールの低雑菌充填は生物学的監視に多額の費用をかけて行われる。この場合は充填設備及び付属スペースの徹底的な浄化及び殺菌処置が行われる。この処置は高い生物学的管理費を伴い、多額の労務費と高いコストをもたらす。低雑菌の不断の監視のためにも、その順守のためにも、一部で費用のかかる設備上又はプロセス技術上の対策を講じなければならない。ところが必要な費用に比して安全性は比較的小さい。従ってこのような対策が適用されるのはまれである。雑菌汚染の危険が特に高い糖分含有ビール飲料、例えばビールミックス飲料又はマルツビールの充填にはこの方法は必ずしも十分でない。
ビールの低雑菌充填のための別の対策は高温短時間加熱(HTST)である。その場合ビールは短時間加熱装置、たいていプレート熱交換器により貫流式で加熱され、続いて再び冷却される。HTSTは充填装置の直前に設置するのが理想的である。それでも例えば充填工程の間に、又はすでに汚染した容器に詰めることによって二次汚染の危険がある。HTSTはしばしば適用される処置であるが、糖分含有ビール飲料の充填には必ずしも十分でない。
ビールの低雑菌充填のためのもう一つの対策はメンブランフィルタ又は無加熱除菌である。この方法は基本的にHTSTに相当するが、菌の減少のために短時間加熱装置の代わりにメンブランフィルタシステムが使用される。これはフィルタの孔径に基づきビールの中にある微生物を分離するものである。この場合も二次汚染の危険がある。この方法も糖分含有ビール飲料の充填には必ずしも十分でない。
別の対策は充填済みの閉じた瓶又は缶のとりわけトンネルパストライザー又はチャンバー型パストライザーでの完全熱殺菌である。この方法ではビールを詰めた容器が例えば熱湯又は蒸気によって加熱され、続いて再び冷却される。この方法は配給距離が長い醸造所で、例えば海外へのビール輸出の場合に使用されることが多い。この場合は充填時の二次汚染の危険をコントロールすることができる。従って糖分含有飲料、例えばマルツビール又はビールミックス飲料でも十分に確実に生物安定化することができる。この方法は設備費が高いためコストがかかる。高い経常費、例えば高い水及びエネルギー需要のほかに、高い設備投資コスト、大きな所要場所が欠点である。さらに容器及び蓋に対して通常高い要求(特に温度及び圧力安定性)が課せられる。例えば飲料分野でよく使われるPET製のプラスチック瓶は熱殺菌が不可能である。さらに熱殺菌操作により味が損なわれることが欠点である。
ビールの低雑菌充填又は充填した微生物安定化ビールの調製のためのもう一つの可能性は、果汁、レモネード製造業で周知の方法である。化学殺菌がこれに数えられる。幾つかのレモネードで保存剤、二炭酸ジメチル(DMDC)を充填の直前に使用することが食品法規により可能である。通常、先行するHTSTが必要である。正しく適用すれば、添加した物質が充填済みの閉じた瓶の中でなお作用し、若干の時間の後に分解する。この物質は健康に有害であり、凝固点が高いため、醸造工場でその技術的適用が大変難しいのが欠点である。許可された濃度は濃縮レモネード分又はレモネード原料でしか使用できないようなものであるから、この物質の適用は糖分含有ビール、例えばビールミックス飲料又はマルツビールには不適当である。しかもビール充填に関連して、この物質を早い時点で添加しなければならないので、充填済みの瓶でもはや効果がないという危険がある。従って上記の化学殺菌は一般にビール充填には考えられない。
果汁及びレモネード製造業の分野で周知の別の充填法は防腐、即ち無菌充填である。これはクリーンルーム及び絶縁技術といった多額の設備技術的費用を要する。さらにこの方法は認証及び従業員資格検定を含む品質保証計画の見直しを前提とする。大規模ビール充填においても自家醸造所の充填においてもこれを使用するのは、高い技術的組織的費用のため非現実的である。
そこで本発明の根底にある技術問題はおおむね、特に簡単かつ安価に実行され、ビール有害微生物の数を製造中及び/又は製造後に効果的に減少し又は安定化する、ビール及びビールミックス飲料の製造及び充填のための方法及び手段を提供することである。こうして充填状態で微生物安定化したビール又はビールミックス飲料を得るものである。さらにこの方法及び手段は、プロセスの諸段階の大幅な調整をせずに、既知のビール製造法及び醸造設備での使用に適合している必要がある。
この技術問題は、醸造用水、ホップ及び少なくとも1つの炭水化物源からビール及びビールミックス飲料を製造するための方法において、第1段階(a)で醸造用水、ホップ及び炭水化物源を混合して麦汁を作り、次の段階(b)で麦汁を煮沸し、次の段階(c)で麦汁を微生物発酵させる方法を提供することによって解決される。その場合本発明に基づく方法は、炭水化物源が微生物安定化剤としてイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物を含むことを特徴とする。
こうして本発明は、醸造用水、ホップ及び炭水化物源からビール又はビールミックス飲料を製造する方法であって、その際微生物安定化剤としてイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物が炭水化物源に含まれ、又は好ましくは炭水化物源がイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物からなる方法を提示するものである。意外なことに、本発明者は炭水化物源中のイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物が不利、即ちビールに有害と認められる微生物の菌数を減少し、又は得られるビールを微生物安定化することを見出した。イソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物によってこの微生物の数がその後の製造工程や充填時に増加しないため、続いてビール有害菌が少ないか又はビール有害菌をおおむね含まない微生物安定化ビールが得られる。こうして得られ、充填されたビールは特に長い貯蔵に適している。
この場合「微生物安定化」又は「菌安定化」とは、原則として微生物汚染及び腐敗にさらされた食品が、微生物のそれ以上の又は望ましくない増殖を抑制し又は完全に阻止する特定の性質を有することを意味する。菌とも呼ばれるこのような微生物は、まず第一に細菌及び真菌、例えば糸状菌又は酵母菌である。その代謝活性により食品の品質と味に悪影響を及ぼす生物だけでなく、人間の健康を脅かす恐れのある潜在的に病原性の菌もこれに数えられる。本発明に基づく菌安定化の結果、このような微生物の数を適宜な貯蔵期間内に所定の限界値以上に増加せず、従って食品が腐敗しないか又はこの微生物から健康の危険が生じることはない。
本発明に関連して「ビール」とは、当業者が容易に認識しうるように、麦汁、即ちそれに含まれる炭水化物分の完全な又はほぼ完全な発酵の後に得られるビールだけを意味するのではない。この場合ビールとは、まったく又は部分的にしか発酵していない少なくとも1つの別の炭水化物分を製造の前、間又は後に加えて得られるビールミックス飲料をも意味する。例えばこの場合、ビールとは、常法により製造されるビールに製造の際又は後にイソマルツロースを加えたビールミックス飲料を意味する。
製麦穀物(麦芽)、未製麦副原料(Getreide-Rohfrucht enthalt(raw grain))又は製麦穀物と未製麦副原料の混合物を含む炭水化物源に菌安定化剤を加えることが好ましい。従って本発明に基づき使用される炭水化物源では、好ましくは麦芽及び/又は未製麦副原料の一部がイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物に替えられている。別の好ましい実施形態では炭水化物源の残余の成分、即ち特に麦芽及び/又は未製麦副原料と添加されるイソマルツロースの比は6:1〜1:1、好ましくは4:1〜2:1、特に好ましくは応用分野に応じて実に6:1、5:1、4:1、3:1、2:1又は1:1である。
周知の実証済みのビール製造法をなるべく変更しないために、イソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物を好ましくは醸造用水とホップの混合の前に、シロップ、溶液及び/又は結晶質固形物として炭水化物源に加えることが好ましい。別の好ましい変法では、イソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物を残余の炭水化物源とともに醸造用水及びホップに加えて麦汁とする。
イソマルツロースは仕込室でビールに加え、その後全主発酵及び後発酵を通過させることが好ましい。
代案としてイソマルツロースをもっぱら又は補足的に主発酵の後に加える。主発酵の後のイソマルツロースの添加は、イソマルツロースが主発酵中に代謝されないことを保証するが、しかし後発酵の際に通常、酵母の残留活性がなお存在する。
別の好ましい実施形態ではイソマルツロースを補足的に又はもっぱら濾過の後に始めてビールに加える。イソマルツロースを濾過の後にビールに加えるならば、混合物は酵母の分離によって、所望の発酵操作による変化をこうむらない。
別の好ましい実施形態では、イソマルツロースは補足的に又はもっぱらビール又はビールミックス飲料の充填又は貯蔵の直前に加えられる。
イソマルツロース添加の上記のすべての方式で、イソマルツロースは本発明に基づき菌安定化剤、菌増殖阻止剤又は菌阻止剤として作用する。いずれにしてもイソマルツロース添加は、シロップ、溶液又は結晶質固形物のいずれの形であれ、周知のビール製造工程にたやすく適用されるから、プロセス技術的又は設備的支出増加が避けられる。
とりわけレモネード分のため通常腐敗しやすいビールミックス飲料では、ビール分にイソマルツロースを使用することはビールミックス飲料の生物安定性の著しい改善に寄与する。そのほか別の周知の利点、例えば製造されるビールミックス飲料の糖尿病患者適合性が得られる。
意外なことに、ビールミックス飲料でのイソマルツロースの本発明に基づく好ましい使用は、味の劣化という他の砂糖代替物又は甘味料で周知の不利な効果をもたらさない。特にビール又はビールミックス飲料へのイソマルツロースの添加は味覚の特徴、例えば芳醇味をまったく又は僅かしか損なわない。
そこでイソマルツロースを甘味料として含むビール又はビールミックス飲料も本発明の別の目的である。イソマルツロースは唯一の甘味料として含まれることが好ましい。またイソマルツロースは唯一のこくのある甘味料として含まれることが好ましい。
従って特にここで説明する本発明方法及び本発明に基づく好ましい変法によるビール又はビールミックス飲料の低雑菌製造、好ましくは充填のための、菌安定剤又は菌阻止剤としてのイソマルツロースの使用も本発明の目的である。
イソマルツロースは意外なことにビール酵母、例えばSaccharomyces cerevisiae又は
Saccharomyces carisbergensisによって同化又は代謝がまったく行われないか又は極めて同化又は代謝されにくい還元糖である。パラチノースTMの名称で知られているイソマルツロース(6-0-α-D-グルコピラノシルフルクトース)は、天然に、例えば蜂蜜に存在する二糖ケトースである。ドイツ特許DE4414185C1によれば、例えば特にProtaminobacter rubrum、E-rwinia rhapontici及びSerratia plymuthica種の固定化細菌細胞又はそれから単離されたスクロース異性化酵素を使用して酵素転位によりスクロースからイソマルツロースを工業的に製造することができる。
「イソマルツロース含有混合物」とは、イソマルツロースとその他の炭水化物の少なくとも1つ、特にフルクトース、グルコース、スクロース、トレハルロース、ロイクロース、タガトース、ツラノース、イソマルトース、イソメリジトース、重合度3又は4又はそれ以上のオリゴ糖もしくはこれらの混合物との組合せである。一変型では混合物はイソマルツロースとフルクトースを含み、別の変型では混合物はイソマルツローストグルコースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとスクロースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとトレハルロースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとロイクロースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとタガトースを含み、別の変形では混合物はイソマルツロースとツラノースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとイソマルトースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースとイソメリジトースを含み、別の変型では混合物はイソマルツロースと重合度3又は4又はそれ以上のオリゴ糖を含む。好ましい実施形態ではイソマルツロース含有混合物は、好ましくはProtaminobacter rubrumの死細胞又は生細胞もしくはそれから作られた酵素抽出物を使用してスクロースのグルコシド交換反応により得られるスクロース異性化産物である。発明の特に好ましい実施態様では、イソマルツロース含有混合物は約79−85%のイソマルツロース、8−10%のトレハルロース、0.5−2%のスクロース、1−1.5%のイソマルトース、オリゴ糖、2.5−3.5%のフルクトース及び2.0−2.5%のグルコースを含み、又はこれらからなる。なおこのデータは%固形物含量に関するものである。
「麦汁」とは、不溶分を除去した、炭水化物源、例えば麦芽のエキスのことであり、これに水及び好ましくはホップを混合して煮沸する。ホップとともに煮沸した後、いわゆる煮上がり麦汁が得られる。煮沸した麦汁は冷却の後にもと入れ麦汁となる。麦汁は好ましくはマイシェ調製、マイシェ濾過、麦汁煮沸及び麦汁処理によって製造される。麦汁の製造は、特にまず炭水化物源、特に麦芽の不溶分を可溶の発酵可能な物質に変え、残りの固形分を分離し、最後にスパイス、即ちホップを加えるという目標のために行われる。マイシェ調製では好ましくはまず粉砕した炭水化物源、特に麦芽と醸造用水が混合される。続いて好ましくはいわゆる仕込み工程で特殊な温度・時間プログラムにより炭水化物源の含有物の適宜な酵素変換が行われる。その場合最も重要なプロセスはデンプンの発酵可能な糖類、例えばグルコース、マルトース又はマルトトリオース及び発酵不能なデキストリンへの分解である。マルトース生成の最適温度は60℃―65℃、デキストリン生成の最適温度は70℃−75℃である。温度はビールの種類に応じて麦汁の最終発酵度を決定する。マイシェ濾過と熱い醸造用水(78℃)による濾過粕の除去の後、麦汁に好ましくはホップを加えて、好ましくは60分〜100分煮沸し、その場合製造されるビールの種類に応じて好ましくは約150なしい500g/hlのホップを加える。初期量の好ましくは約6−10%を蒸発することによって、原麦汁含量を調整する。また煮沸の際にも無菌化され、タンパク質の凝固が起こり、ホップ苦味質が異性化され、香気物質が生成され、一部は蒸発うる。煮沸され、ホップが加えられた麦汁は続いて好ましくはワールプールで、及び/又は濾過により凝固物が除去される。通常プレート熱交換器で行われる麦汁の冷却の後に、好ましくは冷凝固物の一部が除去され、発酵に使われる微生物への酸素の供給のために激しい通気が行われる。続いて直ちに麦汁に好ましくは少なくとも1つの適当な、発酵力のある微生物、例えば酵母を混合する。発酵に使用される麦汁は様々な炭水化物源を含むことができるから、本発明方法を使用して淡色又は濃色の微生物安定化ビールを製造することができる。
こうして本発明に基づき麦汁のエキスの一部がイソマルツロースに替えられる。麦汁の代謝可能な炭水化物の割合が減少するから、とりわけ製造される飲料のアルコール含量が通常のビールに比して低減される。本発明に基づき製造される微生物安定化ビールのアルコール含量は、場合によってはアルコール除去法を使用して一層引き下げることができる。無アルコール・ビールとは、アルコール含量が0.5%以下で、好ましくは約7〜8%の原麦汁エキスを有するビールのことである(%データは別に指示しなければ容積%である)。「低アルコール・ビール」とは、本発明に基づきアルコール含量が5%未満、特に4%未満のビールのことである。
「炭水化物源」とは、炭水化物を含み、炭水化物の少なくとも一部が麦汁の製造の際に発酵可能な可溶の糖、例えばグルコース、マルトース又はマルトトリオースに変えられ、これがその後微生物、特に酵母の発酵で炭素源として利用される材料、例えば穀物製品を意味する。本発明の好ましい実施形態では、使用される炭水化物源は製麦穀物、未製麦副原料又はこれらの混合物である。
製麦穀物は好ましくはオオムギ、コムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ、ライコムギ、コメ、モロコシ及び/又はトウモロコシの穀粒又は種子に製麦法を施したものである。未製麦副原料は好ましくはオオムギ、コムギ、ライムギ、カラスムギ、キビ、モロコシ、ライコムギ、コメ及び/又はトウモロコシの、ひき割りにしたが製麦してない穀粒又は種子である。
好ましくは原料を発酵の前に糖化する。そのためにデンプンを非発酵性のデキストリン及び発酵性のグルコース、マルトース及びマルトトリオースに変える麦芽固有の加水分解酵素、例えばアミラーゼ、マルターゼ等を利用する。製麦の際に、軟化した穀物を好ましくは12℃〜18℃で発芽させ、酵素生成と溶解過程が所望の程度に達したならば、直ちに発芽プロセスを中止する。これは好ましくは大きな通気量で高い温度を適用することによって行われる。好ましくは40〜50℃で予備乾燥(萎凋)することによって、含水量を50%から10〜12%に下げることができる。次に麦芽を好ましくは約4〜5%の含水量にするために、温度を好ましくは約80〜85℃に高めることができる。この操作は焙燥と呼ばれる。
発酵過程は好ましくは2段階で行われる。主発酵は微生物、特に酵母、即ち下面発酵酵母又は上面発酵酵母を加えることによって開始される。主発酵の終りに酵母は発酵槽の底又は円錐部に分離される。主発酵で得た若ビールは好ましくは冷却され、後発酵が行われ、その際残留エキスが発酵され、ビールが好ましくは清澄化される。発酵とともに麦汁味が消え、特に後発酵で純粋なビール味が形成される。この過程は熟成と呼ばれる。発酵は例えば様々な発酵温度、上面発酵式及び下面発酵式製法、開放発酵及び密閉発酵等によって影響される。
発酵のために下面発酵型Saccharomyces cerevisiae株、上面発酵型Saccharomyces cerevisiae株、Saccharomyces carisbergensis、Saccharomyces diastaticus及びSchizosaccharomyces pombeから選ばれた単数又は複数の微生物を使用することが好ましい。
本発明に基づく方法を使用して微生物安定化した上面発酵又は下面発酵ビールを製造することが好ましい。下面発酵ビールは下面発酵で得られ、その際酵母は発酵の後に容器の底に沈積し、そこで分離することができる。上面発酵ビールは、上面発酵で得られるビールであって、その場合酵母は発酵の終了とともに上へ上昇し、可能な限り上で分離される。
本発明の別の好ましい実施形態では、少なくとも1種の酵母とラクトバチルスの種、アセトバクターの種及びグルコノバクターの種の代表からなるグループから選ばれた少なくとも1つの生酸菌とを使用して発酵過程が行われる。この実施形態の好ましい実施態様では、例えばS.cerevisiae及び/又はS.diastaticus及び/又はSchizosaccharomyces pombe及びラクトバチルスの代表を使用して発酵が行われる。乳酸菌とも呼ばれるラクトバチルスは乳酸発酵の能力がある。このような発酵に基づき製造された低アルコール又は無アルコールビール又はビール類似飲料は、例えばベルリンヴァイスビールに相当するマイルドな酸味が特徴である。
この実施形態の別の好ましい実施態様では、例えばS.cerevisiae及び/又はS.diastat-
icus及び/又はSchizosaccharomyces pombe及びアセトバクターの代表を使用して発酵が行われる。アセトバクター属は狭い意味で酢酸菌を包含し、エタノールの酸化により酢酸を生成することができる。製造される低アルコール又は無アルコールビール又はビール類似飲料には、ラクトバチルスを使用して得られる飲料の味と明らかに異なる酸味が付与される。
この実施形態の別の好ましい実施態様では、例えばS.cerevisiae及び/又はS.diastat-
icus及び/又はSchizosaccharomyces pombe及びグルコノバクターの代表を使用して発酵が行われるs。グルコノバクターは一方ではエタノールを酢酸に、他方ではグルコースをグルコン酸に酸化することができる。この混合発酵によって作られた低アルコール又は無アルコールビール又はビール類似飲料も快適な酸味を有する。
従って上記の方法で製造することができ、とりわけこの方法で製造される微生物安定化ビールも本発明の目的である。
本発明方法によって製造された微生物安定化低アルコール又は無アルコールビール、ダイエットビール、マルツトルンク、マルツビール又はビール類似清涼飲料も目的である。好ましい実施形態では、それは淡色微生物安定化低アルコール又は無アルコールビール又は濃色微生物安定化低アルコール又は無アルコールビールである。
この場合「マルツトルンク」とは、とりわけ麦芽の香りと甘味があり、僅かにホップが加わり、さらに低アルコール又は無アルコールの炭酸含有濃色飲料のことである。好ましくはマルツトルンクは麦芽分の原麦汁エキス約7−8%で発酵される。濾過の後に好ましくは甘味づけ用の糖分(グルコース、スクロース)で原麦汁エキス12%(原麦汁エキスの約3分の1)に調整される。
慣用の糖分、即ちスクロースに対するイソマルツロースの利点、例えば少ない甘味度、高い微生物安定性、糖尿病患者への適合性、抗う蝕性に基づき、原麦汁に対するイソマルツロースの割合をさらに高く選定することができる。
本発明に基づく微生物安定化ビールとハーブエキス、香料、カフェイン、着色料、アミノ酸、食用酸、果実成分、例えば果汁、果実ピューレ、果実パルプ又は果実エキス、砂糖、砂糖代替物、例えば糖アルコール、強力甘味物質、水及び火酒(エタノール)から選ばれた少なくとも1つの別の成分を含む微生物安定化ビールミックス飲料ももう一つの目的である。好ましくはビールミックス飲料は本発明に基づく微生物安定化ビールと少なくとも1つの別の成分からなる。
「ハーブ成分」とは、特に植物部分、好ましくはアニス、吉草根、イラクサ、キイチゴの葉、イチゴの葉、ウイキョウ、ハゴロモグサ、エゾツルキンバイ、チョウセンニンジン、野ばらの実、ハイビスカスの花、ラズベリーの葉、ニワトコ、ホップ、ショウガ、オトギソウ、カミラ、コエンドロ、ミドリハッカ、ラパコ植物、ラベンダー、レモングラス、マヨラナ、ゼニアオイ、メリッサ、ヤドリギ、ペパーミント、キンセンカ、ローズマリー、リンドウ、セイヨウノコギリソウ、ジャコウソウ、ヒソプス、シナモン等のエキス、溶液、抽出物又はエッセンスを意味する。
「果実成分」とは、特に好ましくはリンゴ、バナナ、ナシ、パイナップル、オレンジ、グレープフルーツ、桜桃、酸果サクランボ、レモン、シトロン、トケイソウの実、モモ、スナヂグミ、ラズベリー、イチゴ、キイチゴ、スグリ、セイヨウスグリ、キウィフルーツ等の果実エキスを意味する。
ビールミックス飲料はアロマ成分として天然の又は天然と同じ匂い物質及び/又は風味物質、例えば植物又は果実の香油、例えば柑橘油、ペパーミント油又はチョウジ油、果実エッセンス、付香果汁、アニス、メタノール、ユーカリ等を含むことが好ましい。
着色料成分は好ましくは植物起原の着色料、例えばカロチノイド、フラボノイド又はアントシアン、動物起原の着色料、無機顔料例えば酸化鉄顔料、酵素又は非酵素発酵の生成物、加熱生成物例えばカラメル、着色用糖類もしくは合成着色料、例えばアゾ、トリフェニルメタン、インジゴイド、キサンテン又はキノリン化合物である。適当な合成着色料は例えばエリスロシン、インジゴカルミン又はタルトラジンであり、これらは本発明に基づくビールミックス飲料の色修正のため又は魅力的な外観を生じるために使用される。
アミノ酸成分は好ましくは必須アミノ酸の混合物である。好ましいアミノ酸はヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、トレオニン、トリプトファン、バリン及びタウリンである。
酸成分は好ましくは食用酸である。また好ましい実施形態では、本発明に基づく飲料は炭酸飲料であり、即ち炭酸/二酸化炭素を含むことができる。
また特に好ましい実施形態では、本発明に基づくビールミックス飲料はカフェイン成分、例えばコーヒー豆、茶の木又はその一部、マテ茶の木又はその一部、コーラナッツ、カカオ豆又はガラナのエキス、加工品又は抽出物を含む。
下記の実施例により発明を詳述する。
実施例1:モデル培地でのイソマルツロースの代謝
1.1 モデル培地
モデル培地は次のように作製した。即ち50gのイソマルツロースを500mlの二回蒸留水に溶解し、6.7gのイースト・ニトロゲン・ベース(YNB)を500mlの二回蒸留水に溶解し、5mlのイソマルツロース溶液をダーラム管付き試験管でオートクレーブし、YNB溶液を単独でオートクレーブし、次にすでに5mlのイソマルツロース溶液を入れてオートクレーブした試験管に、それぞれ5mlを無菌でピペットで移した。
最初のバッチでpH値、アルコール含量及び酸素の不在といったパラメータを、充填したビールに現れるように調整した。即ち5%アルコール含量(エタノール)、pH値4.5及び無酸素インキュベーション(無酸素ビール容器)。その他のバッチではそれぞれの増殖阻止因子を変えた(表1を参照)。
Figure 2009513114
未処理のモデル培地のpH値は5.1である。100mlのモデル溶液に基づき、所望のpH値の調整のために必要な0.1N硫酸の量0.05mol/lが決定された。培地に追加炭素源を供給しないために、硫酸を選んだ。
10mgの溶液が約0.1mgのイソフムロンを含むように、20%イソフムロン溶液を1:20に希釈した。
20%溶液: 1mgの溶液は0.2mgのイソフムロンを含み、10mgの溶液は2mgの
イソムロンを含む。
希釈1:20: 10mgの希釈溶液は0.1mgのイソフムロンを含み、10mgの溶液
(0.1mgイソフムロン)を10mlのモデル溶液に加える。リットル
当り10mgのイソフムロンに相当する。
アルコール含量は96%未変性アルコールで当該の濃度に調整した。
好気性雰囲気でインキュベートした試験管を綿栓で閉じ、嫌気性試料も綿栓で閉じ、但し無酸素ビール容器でインキュベートした。
1.2 微生物
ビール有害菌であることが周知であるか、又は予備試験でイソマルツロースを利用する能力を示した微生物グループを選んだ。この微生物を表2に示す。
Figure 2009513114
微生物を100mlの栄養液で培養し、次にイソマルツロース溶液で洗浄し、5mlのイソマルツロース溶液に再懸濁した。0.5mlの再懸濁溶液入りの試験管をインキュベートした。インキュベーションは26℃で行った。
1.3 分析
増殖の指標として混濁の発生及びガス発生を試験管で評価した。実際のイソマルツロース分解を確かめるために、インキュベーションの前後にエキスを測定し、ジニトロサリチル酸(DNS)との反応で吸光測定によりインキュベーションの前後の還元糖の含量を決定した。
溶液のエキス測定はたわみ共振子(Anton-Paar社)による濃度測定で行った。
3,5-ジニトロサリチル酸の3-アミノ-5-ニトロサリチル酸への還元によってイソマルツロース含量を決定した。それによって溶液に黄色から赤褐色への変色が生じる。還元糖の濃度はこの変色に基づき測光法で定量的に決定することができる。イソマルツロースは試験培地で唯一の糖であるから(現実の培地、例えば麦汁と異なり)、インキュベ−ションの前後のイソマルツロースの濃度をDNS法で決定することができる。
50mlの蒸留水に30gの酒石酸ナトリウムカリウムを溶解し、20mlのNaOH(2mol/l)を加えた。この溶液に1gのジニトロサリチル酸(DNS)を攪拌しつつ加えた。続いて蒸留水を注ぎ足して100mlにした。
25mlの被検溶液を試験管に仕込み、0.25mlのDNS溶液を混合した。2つの溶液を一緒に沸騰水で5分間加熱した。冷却の後に9mlの水(蒸留)を加え、混合した後、546nmで吸光を測定した。校正直線を作成した後、こうしてインキュベ−ションの前後のモデル溶液中のイソマルツロースの濃度を決定することができた。
得られた校正直線は溶液中の糖1.5%以下の濃度範囲で最良の精度を有することが示された。従って溶液中のイソマルツロースが(インキュベーションの前に)理論上5%で最良の精度の範囲に到達するように、測定する試料を測定の前に1:5に希釈した。
1.4 結果
表3は混濁発生とガス発生のパラメータに基づく目視増殖判定の結果を示す(n.b.=観察されず、+:混濁及び/又はガス発生、−:混濁又はガス発生なし)
Figure 2009513114
混濁発生及びガス発生の基準に従って判断すれば、すべての酵母ですべての条件のもとで増殖が起こった。但しSaccharomyces diastaticusではガス発生を伴わずに混濁発生だけが観察された。このことは発酵する酵母には異常である。Pectinatus frisingensis及びMegasphera cerevisiaeは嫌気条件下で混濁を生じる性質があるが、Lactobacillus b-revisとPediococcus damnosuaでは増殖の兆候が現れなかった。
インキュベーション期間にわたって混濁発生及びガス発生のパラメータを目視により記録した。観察された結果を以下に示す。
1.4.1 Pediococcus brevis、Lactobacillus brevis、 Megasphera cerevisiae、 Pectinatus frisingensis
接種したどのバッチでも混濁の発生及びガス発生を観察することができなかった。
1.4.2 Schizosaccharomyces pombe
すでに数日後に幾つかのバッチでガス発生が観察された。ところが変化したパラメータの濃度に規則性を観察することはできなかった。1週間のインキュベーションの後にダーラム管で最大限検出されるガス量が例外なく生成され、幾つかのバッチでは酵母が沈降し始めた。10日後にすべてのバッチの酵母が沈降していた。
1.4.3 Saccharomyces diastaticus
この酵母は第1週の間に僅かな混濁を生じ、それが第2週で強さを増した。混濁発生は明らかにアルコール濃度6%及び6.5%によって遅延した。同様にpH値3.6の場合も、より高いpH値で混濁発生が観察されてから3日後に初めて混濁の発生が記録された。生じる細胞集団の大部分が液面に常在することは注目に値する。このことは好気性及び嫌気性インキュベーションを行ったいずれのバッチにも当てはまる。どのバッチでも酵母は3週間以内にガスを発生しなかった。第2及び第3週の間に酵母は、液面でガラスに付着する細胞物質を除き完全に沈降した。
周縁部にある酵母細胞と底に沈降した酵母細胞の顕微鏡観察は、大きな割合の異常に小さな細胞を示した。収穫した小さな細胞を麦汁寒天に塗抹した後、再び正常な大きさの細胞が観察された。このことからSaccharomyces diastaticusは、イソマルツロースが唯一利用可能な炭水化物源である場合、増殖不全の傾向があると推定される。
1.4.4 Saccharomyces cerevisiae MJJ 2
6.5%の濃度のアルコールの添加は混濁の発生を第2週の初めまで遅らせ、ガス発生は第2週の中ごろに初めて生じた。低い濃度ではアルコールは明らかに酵母の増殖を妨げなかった。pH値の低下は3.8の値まではやはり増殖阻害効果がなかった。3.6のpH値ではガスと混濁が第2週の中ごろに初めて発生した。ホップの添加によって混濁発生とガス発生がやはり第2インキュベーション週まで遅らされた。ガス発生は他の系列より少なかった。嫌気条件でインキュベートしたバッチでは好気条件でインキュベートした試料より増殖活性の発生が緩慢であった。第3週の間に酵母が沈殿した後、生じたガス容積は好気性試料のガス容積を下回った。
1.4.5 全体的観察
図1にDNS検定により確かめた、インキュベーションせず及び保存因子なしで3週間嫌気性インキュベーションした後のすべてのバッチにおけるイソマルツロース濃度を示す(嫌気性インキュベーション、保存因子なし、26℃で3週間インキュベーション)。
Schizosaccharomyces pombe及び Saccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートしたバッチを除き、すべての値はインキュベーションなしのモデル溶液の測定濃度から5%以下の変動範囲内にある。
このことから、酵母Schizosaccharomyces pombe及び Saccharomyces cerevisiae MJJ 2だけが嫌気性雰囲気で保存因子の添加なしで、観察期間内にイソマルツロースを分解することができたことがわかる。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2はモデル溶液のイソマルツロース含量を26%減少したが、Schizosaccharomyces pombeはイソマルツロースを完全に代謝することができた。
被検細菌は嫌気条件のみでインキュベートしたところ、どのバッチでもイソマルツロース分解が認められなかった。酵母を好気条件でもインキュベートした。Schizosaccharomyces pombeは好気条件でもすべての保存パラメータ、すべての濃度でイソマルツロースを完全に代謝した。
図2はSaccharomyces diastaticusとともにインキュベートした試料のDNS法で測定したイソマルツロース濃度を示す(26℃で3週間インキュベーション後の系列の平均値)。結果を種々の保存因子の平均値として示す。
Saccharomyces diastaticusは好気的条件でもイソマルツロースを代謝しうることが示された。この測定系列では、5%の誤差範囲に納まらない偏差が測定濃度に現れた。イソマルツロース5%超の測定濃度の場合はインキュベーション時間中に僅かな割合の水が溶液から蒸発したと想定される。従ってこの測定値は単なる傾向とみなすべきである。
図3はSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートした試料のDNS法で測定したイソマルツロース濃度を示す(好気条件でインキュベートした選択的因子系列の平均値、26℃での嫌気的インキュベーションとの比較)。
Saccharomyces cerevisiae MJJ 2は好気的雰囲気で無酸素の場合より良好なイソマルツロース利用を示した。図ではっきり分かるように、pH値及びアルコール添加の変動は、ここで調べた限りでは、この酵素のイソマルツロース代謝を阻止することができない。ところがホップ苦味質の存在及び酸素の不在でのイソマルツロース利用は、Saccharomyces cerevisiae MJJ 2にとって明らかに困難である。
実施例2:市販のダイエットビールにイソマルツロースを混合する
市販のダイエットビール(この場合ヘニンガー・ダイエット・ピルゼン[Henninger Diet-Pils])にある量のイソマルツロースを添加して、実際の残留エキスの含量が4%wt/wtとなるようにした。このビールではビール特有のすべての選択的因子が組み合わされている。そこでイソマルツロース含有ダイエットビールをテスト微生物(実施例1、表2)とともに26℃で7日間インキュベートした。社団法人中部ヨーロッパ分析委員会(Mitteleuropaeische Analysenkommission e.V.(MEBAK))の醸造技術的分析法の規定に従って麦汁及びビールを分析し、さらに各種糖類を測定することにより、試験系列に並行して分析を行った。現実の溶液、ビールにはイソマルツロースのほかにその他の還元糖が存在するから、各種の糖類及び酸の分析によってイソマルツロース利用を決定した。安定な状態を作り出すために、分析の前にテスト微生物を膜濾過(0.45μm)で分離した。各種の酸及び糖類の測定は周知のようにHPLC/GC(高性能液体クロマトグラフィー/ガスクロマトグラフィー)法で行った。
どのバッチで混濁発生に基づき増殖が観察されたかを表4に示す(−=混濁なし、+=混濁、++=強い混濁)。
Figure 2009513114
観察期間内にPediococcus damnosusとLactobacillus brevisは増殖(試料の混濁)をまったく示さず、Schizosaccharomyces pombeとSaccharomyces diastaticusは僅かな混濁しか生じなかった。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2、 Pectinatus frisingensis及び Megasphera cerevisiaeは強い混濁を発生することができた。
図4は26℃で7日のインキュベーションの後のダイエットビールの各種糖類の分析の結果を示す。
ゼロビール(=イソマルツロースを添加しない市販のダイエットビール)では分析した糖がどれも見当たらなかった。従ってそこには利用可能な低分子糖がないのである。イソマルツロースを混合し、インキュベートしないダイエットビールでは22.5g/lのイソマルツロースのほかに微量のフルクトースとグルコースしか見られなかった。Sch-
izosaccharomyces pombeとともにインキュベートしたビールを除き、インキュベートしたビールでは測定及び秤量精度の範囲内で、インキュベートしないビールと同様なイソマルツロース濃度が認められた(偏差<5%)。やはりSchizosaccharomyces pombeとともにインキュベートしたビールでだけグルコースとフルクトースの測定可能な濃度が形成されていた。
表5に個々のビールのイソマルツロース濃度及び初期濃度に対する当該の比を示す。
Figure 2009513114
膜濾過により微生物を分離した後、接種したすべてのビールになおイソマルツロースが初期濃度で存在した。唯一の例外は、Schizosaccharomyces pombeを接種したビールであった。ここでは17%の減少が生じ、この場合だけグルコース及びフルクトース、即ちイソマルツロースの分解産物が測定可能な濃度で認められた。従って混濁発生に基づいて確認される細胞増殖が、酵母Schizosaccharomyces pombeの場合だけイソマルツロースに基づいて生じたのである。
さらにインキュベートしたビールのpH値を測定した。すべての値は4.5又は4.6であった。この結果は試料の各種の酸の分析とともに、試料中でインキュベートされた微生物が酸を生成しなかったことを示し、さらに特にラクトバチルスでは増殖が起こらなかったことを証明している。ラクトバチルスによる飲料腐敗の場合の重要な要因は、当該の飲料の香味をはなはだしく損なう乳酸生成である。
図5から各種の酸の分析の結果が明らかである。測定された酸の含量は異常に高い濃度で変動がない。Pectinatus frisingensisとともにインキュベートした試料でのみ、インキュベートしない試料に比して僅かに高いコハク酸及び酢酸含量が見られる。値は0.3g/lと僅かである。乳酸(乳酸塩)含量については、Pectinatus frisingensis、 Pedi-
ococcus damnosus及び Megasphera cerevisiaeとともにインキュベートした試料でゼロ試料と比較して減少したことが確認される。明らかに、利用可能な基質が不足しているため、乳酸塩が代謝されたのである。糖新生のための基質として乳酸塩が利用されるという、文献に記載された過程である。Lactobacillus brevisとともにインキュベートした試料ではインキュベートしない試料と同様な含量が測定された。即ち乳酸塩は代謝されないし、細菌の代謝によって新たな乳酸塩も生成されなかった。このことはこの細菌の代謝活性の欠如の別の証拠として評価される。
実施例3:「ダイエットビール」の製造
「ダイエットビール」とは、完成品に理想的には炭水化物としてイソマルツロースしか存在しないビールを意味する。
激しくマイシェ化することがダイエットビールの製造のために決定的に重要であるから、麦芽の強力分解酵素の最適温度を極めて重視する仕込み法を手本として利用した。即ち
50℃で仕込み開始、15分休み
55℃に昇温(1℃/min)、30分休み
62℃に昇温(1℃/min)、45分休み
65℃に昇温(1℃/min)、45分休み
68℃に昇温(1℃/min)、30分休み
70℃に昇温(1℃/min)、30分休み
72℃に昇温(1℃/min)、20分休み
78℃に昇温(1℃/min)
マイシェ化終了
麦芽仕込み量は100%がピルゼン麦芽からなり、ホップは、CO2エキスからなる煮上がり麦汁リットル当り90mgアルファ酸の用量で加えた。
一部をイソマルツロース添加のない比較例として作製し、試飲し、分析した。このビールはゼロビールである。ビールの他の部分にイソマルツロースを煮沸中に加えた。このため主発酵時にはビールにイソマルツロースが存在した。
主発酵はそれぞれ無圧で下面発酵酵母Saccharomyces carisbergensis MJJ 11で15〜19℃で行った。麦汁のエキス含量をなるべく十分に分解するために、発酵の終りに温度を上げた。予定の最終発酵度に到達した後、ビールおろしを行った。
社団法人中部ヨーロッパ分析委員会(Mitteleuropaeische Analysenkommission e.V.(MEBAK))の醸造技術的分析法の規定に従って麦汁及びビールを分析し、さらに各種糖類を測定することにより、試験系列に並行して分析を行った。ビールのアロマに関連して、選んだアロマ活性エステル及び高級アルコール並びにアセトアルデヒドの含量を測定した。さらに完成ビールの酸含量を分析により検出し、完成ビールを互いに比較するとともに、試飲して評価した。
本発明に基づき製造したダイエットビールでは官能的特性、例えば匂い品質、味覚品質、芳醇味、爽快感及び苦味(苦み)品質の阻害は示されなかった。多くの場合本発明に基づくダイエットビールは周知のダイエットビール(この場合ヘニンガー・ダイエットピルゼン)よりよいとされた。
実施例4:減アルコールビールの製造
原麦汁の一部をイソマルツロースに替えて、「通常の」発酵で在来のフォルビールと比較して少ないアルコールが生じるようにした。実施例3で前述したプロセスで、なるべく高い発酵度が実現されるように仕込みを行った。得られる炭水化物の完全な発酵によって当然のことながら高いアルコール含量が生じる。そこで本例ではより短く、あまり激しくない、従って麦芽の炭水化物が発酵可能な糖に完全に変換されない仕込みプログラムを利用した。即ち
62℃で仕込み開始、休みなし
66℃に昇温(1℃/min)、30分休み
72℃に昇温(1℃/min)、20分休み
78℃に昇温
マイシェ化終了
煮沸の時点で原麦汁の約4分の1をイソマルツロースに替えることによって、酵母にとって利用可能な基質が減少されることになる。こうして在来のフォルビールと比較して少ないアルコールを含むビールを作ることができる。ホップ添加はダイエットビールのように煮出し麦汁リットル当りアルファ酸90mgで行った。
主発酵は下面発酵酵母Saccharomyces carisbergensis MJJ 11により12℃で無圧で行った。ビールおろしは最終発酵で予想されるエキスより約1.5%高いエキス含量で行った。
付随する分析(MEBAK及びアロマ特異的)は実施例3と同様であった。
実施例3のように、本発明に基づき製造された無アルコールビールは官能的特性の阻害を示さなかった。多くの場合、本発明に基づく無アルコールビールは周知の無アルコールビールより良しとされた。
実施例5:「マルツトルンク」の製造
マルツトルンクは極めて不完全な発酵で製造することになっていることから、なるべく高い発酵度のための仕込みプログラムを利用する必要はなかった。実施例4と同じ仕込みプログラムを利用した。
製品の色をマルツビールで通例のように濃色に調整するために、次の麦芽混合物を利用した。
‐40% ピルゼン麦芽
‐30% ミュンヘン麦芽
‐20% カラメル麦芽
‐10% 色麦芽
エキスの半分が麦芽から得られ、別の半分はイソマルツロース(結晶糖)の形で煮沸時に補充されるように、原麦汁エキスを調整した。全体として原麦汁エキス12%に調整した。ホップ添加は煮出し麦汁リットル当りアルファ酸15mgで行った。
熱凝固物を分離した後、マルツトルンクをケグに詰め、冷却の後、少量の酵母(Saccharomyces carisbergensis MJJ 11)を混合した。0℃で半日の接触時間の後、別の貯蔵容器に移し替えることによって酵母をほとんど分離した。この発酵方式はいわゆる低温接触法によるものである。2週間の貯蔵に続いて濾過と充填を行った。
得たマルツトルンクを実施例3及び4のように官能的及び分析的(MEBAK及びアロマ特異的)に評価し、市販のマルツビールと比較した。
実施例3及び4のように、本発明に基づき製造されたマルツトルンクも官能的特性の阻害を示さない。多くの場合、本発明に基づくマルツトルンクは周知の市販のマルツビールより良しとされた。
実施例6:ビールミックス飲料の製造
6.1 バッチ
ビール分とレモネード分から12の異なるビールミックス飲料を10リットル規模で作製した。その際ビール分とレモネード分甘味物質とを様々に変えた。
試験のために次の4つの異なるビールタイプを選んだ(飲料の生物安定性についてのその後の試験も考慮して)。
・市販のビールミックス飲料をシミュレートするためのピルゼンビール。
・残留炭水化物含量が極めて少ないダイエットビール。この場合固有の利用可能な炭水化物がほとんどないので、使用されるレモネード分甘味物質が芳醇味にとって決定的である。また万一の汚染の場合にビール特有の基質がない。
・無アルコール・ピルゼンビール。これで作ったビールミックス飲料は選択的因子、アルコールを含まず、ビールミックス飲料の芳醇味に対するアルコールの影響もない。
・ドッペルボック。これはフォルビールと比較して高いアルコール含量と、他方では高い残留エキス含量を有する。万一の汚染に対して、レモネードの甘味料に加えて残留エキス含量が基質をなす。
レモネード分はWild社のシトロン・アマレモン香料、商品番号3-110050331及びクエン酸を含む原料から作製した。甘味料として
・スクロース
・イソマルツロース
・Wild社の甘味物質混合物(スイートアップ[Sweet Up]:シクラメート、サッカリン、アスパルテーム及びアセスルファムKからなる)
を使用した。
この甘味物質混合物はビールミックス飲料の製造で工業規模で使用され、従って実際に近いから、この製品を選んだ。さらに甘味物質を混合することによって、個々の成分の味覚上の欠点が修整される。クエン酸は酸味付けのために利用した。
秤量した添加物を醸造用水で溶解させた。
種々の甘味料及びビールを変えることで、ビールミックス飲料の下記の試験バッチが生じた。
Figure 2009513114
スクロースと甘味物質混合物は周知のように配量し、Wild Flavours社の勧告に従った。試飲の後に他のレモネードと同様の甘味度に調整することによって、イソマルツロースを配量した。ビールとレモネードを一緒に30リットル・ケグに詰め、混合し、続いて炭酸ガスを注入した。炭酸ガス注入は栓の頭の液体通路を経てCO2を導入することによって行った。CO2の結合のために、ケグに1.8バールの圧をかけ0℃で24時間貯蔵した。低温貯蔵の後にケグの圧力はなお0.8−0.9バールであった。
6.2 評価
10人の試飲者で三点嗜好試験(MEBAKによる)を行った。それぞれ同じ基礎ビールで、異なる甘味料を含む変型を飲み比べた。どの甘味料が官能的に好ましいかを見つけ出すこととした。異質の試料を確かめ、それぞれの嗜好を記録することにした。異質の試料の対応関係が正しいときだけ、嗜好が評価された。
また製造されたビールミックス飲料で評価試飲を行った。この場合、特別な基準が適用された。評価によってビールミックス飲料の種々の甘味料に応じた味覚の識別を試みた。決定的に重要なのは、甘みの味覚であった。これは他の特性のようにプラス及びマイナスで評価することができる。甘みのほかに次の評価基準があった。
芳醇味、苦味、果実風味、酸味、調和(甘味・酸味比)及び清涼感。判定は1〜5段階があり、“3”が求める値であった。それ以上の値は強すぎる味覚、例えば「甘すぎる」であった。“3”より下の値は少なすぎる味覚、例えば「あまり甘くない」であった。こうして試飲者は個々の基準の品質を正確に判定することが可能であった。清涼感の評価は1〜3の段階しかなく、この場合3は「清涼」、1は「清涼でない」であった。最後に1(=最悪の結果)〜5(=最良の結果)の整数で全体的品質を評価した。
6.3 結果
6.3.1 化学的技術的分析
次にレモネードの個別成分の分析を示す。
Figure 2009513114
水は処理の後にごく低い硬度が特徴である。これは酸味づけビールミックス飲料の製造のために理想的に必要とされるものである。
Figure 2009513114
ピルゼンビールと違ってダイエットビールははるかに少ない見かけの残留エキス(炭水化物)を含み、無アルコールビールは同様の残留エキスでアルコールが少なく、ドッペルボックは著しく多くのアルコールと残留エキスを含むことがはっきり分かる。ダイエットビールは苦味価が小さい。このことはビール有害微生物による汚染の場合に不利な影響が出る恐れがある。
測定したpH値はピルゼンと無アルコール・ピルゼンで最低と測定され、ドッペルボックは最高の値を示した。
次の表は完成ビールミックス飲料の分析を示す。
Figure 2009513114
Figure 2009513114
Figure 2009513114
Figure 2009513114
種々の基礎ビールに起因する分析値の相違がはっきり分かる。ビールミックス飲料のpH値はレモネエード分のクエン酸が原因ですべて基礎ビールのpH値より高い。
レモネードで希釈されたため、苦味価は基礎ビールのおよそ半分である。この「半減」によってダイエットビールの低い初期苦味の影響が減少し、ミックス飲料の苦味価はすべて同程度である。ビールミックス飲料のアルコール含量は基礎ビールに対応して測定された。無アルコールビールで作った飲料は0.1容積%以下のアルコールを含み、従って基礎ビールのように無アルコールとみなされる。ピルゼンまたはダイエットビールを使用した飲料は約2.5容積%又は2.7容積%足らずのアルコールを有し、ドッペルボックで作ったミックス飲料の値は4容積%足らずである。この値は普通の純ビール飲料の値と同様である。測定されたエキス含量も基礎ビールに対応し、最高のエキス含量を有するのは、スクロースより高い添加量に基づき、イソマルツロースで甘味をつけた飲料である。スクロース含有飲料は二番目に高いエキスを有し、甘味物質で甘味をつけたミックスは最低のエキスを有する。全体としてダイエットビールに基づく飲料は最小のエキスを有し、ピルゼンビールによるミックス飲料がこれに続く。面白いことに基礎ビール、ドッペルボック及び無アルコールビールはほぼ同じ残留エキス含量であった。無アルコールビールは明らかに未発酵の残留エキスを含んでいたからである。ダイエットビールが糖尿病患者に適合することから、甘味物質混合物(ほとんど無カロリー)及びイソマルツロース(低血糖指数)を用いたミックス飲料もそれぞれ糖尿病患者に適合する。
6.3.2 試飲
同じ基礎ビールで個々の甘味料の好みを把握するための3点識別試験の結果を表に示す。
試飲はそれぞれ10人が行った。3つの甘味料が試験の対象であったから、評価される試飲は基礎ビールごとに合計30回となった。
Figure 2009513114
基礎ビールとしてピルゼンを含むビールミックス飲料では15の試飲が正しく割り当てられており、従って種々のビールミックス飲料は使用する甘味料に応じて有意な差異がある。15の正しい割当のうち甘味料含有飲料を好ましいとするもの8、イソマルツロースを含む飲料を好ましいとするもの5であった。2人の試飲者は基礎ビールとしてピルゼンを含みスクロースで甘味づけしたビールミックス飲料を好ましいとした。
基礎ビールとしてダイエットビールを含むビールミックス飲料では、イソマルツロース含有飲料を好ましいとするのが最も多く、甘味物質含有ビールミックス飲料を最も良いと感じるものが最も少なかった。
無アルコールビールを混合したビール飲料の19人の試飲者が3点識別試験で一致する試料を正しく割り当て、従って19点と評価された。基礎ビールとして無アルコール・ピルゼンを使用した場合は、2つの糖による甘味づけが同様な回数で好ましいとされ、両者は甘味料混合物より明らかに良いと感じられた。
ボックビールを混合したビール飲料の17点が評価に採用された。最も快適と感じられたのはイソマルツロースによる甘味づけであり、続いてスクロースであった。1人の試飲者だけはこの基礎ビールで甘味物質による甘味づけを最も快適と感じた。
全体として4種の異なる基礎ビールで糖類、イソマルツロース及びスクロースはほぼ同じ回数で最も快適な甘味づけと感じられ(イソマルツロースはやや多く好ましいとされた)、甘味料混合物の使用が好ましいとされるのは明らかに最も少なかった。
6.3.2.1 アロマプロファイル
図6に評価試飲の結果を示す。
基礎ビールとしてピルゼンを含む種々のビールミックス飲料のアロマプロファイル(図6a)はよく似ている。注目すべき相違はパラメータ、苦味及び酸味に認められる。この場合甘味物質で甘味づけした飲料がそれぞれ最適を超える値を得た。糖類、スクロース及びイソマルツロースによる甘味づけは甘味物質混合物より明らかに効果的にこの味覚を補償する。
基礎ビールとしてダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料(図6b)でもアロマプロファイルは似ている。やはり甘味物質による甘味づけで苦味及び酸味の味覚が最も強く働き、イソマルツロースで甘味付けした飲料ではこのパラメータが最も弱く感じられる。スクロースで甘味づけしたビールは芳醇味のパラメータで最悪に近い評価を得た。全体として芳醇味は予想通りピルゼンを基礎ビールとするビールミックス飲料より明らかに不良と評価された。
基礎ビールが無アルコール・ピルゼンのビールミックス飲料(図6c)では、アロマプロファイルに言うべきほどの相違はほとんど認められなかった。イソマルツロースで甘味づけしたビールは果実風味、芳醇味、調和のパラメータで僅かによい採点を得た。酸味は甘味物質を使用した場合に最も強く感じられたが、この場合は甘味も最も鮮明であり、まれに甘味が強すぎると感じられた。
基礎ビールとしてドッペルボックを含むビールミックス飲料の評価試飲の結果については、この基礎ビールを含む飲料のアロマプロファイルは他の基礎ビールとかなりはっきりした差があることが分かる。芳醇味及び調和も甘味もこの場合は理想点3を超え、従って理想から突出し又は偏ると評価された。これに対して苦味は、基礎ビールが高い苦味価を有するにかかわらず、ダイエットビールと比較して明らかに小さく感じられた。使用したボックビールの芳香はこの場合明らかにレモネード分より優勢であり、ミックス飲料の評価を他の基礎ビールの場合より悪くした。
6.3.2.2 清涼効果及び全体的品質
さらにビールミックス飲料の総合的特徴の1つとして清涼効果及び全体的品質を評価した。表14にこの評価の結果を示す。
Figure 2009513114
基礎ビールとしてピルゼンビールを含むビールミックス飲料は、この評価パラメータで最高の値に格付けされた。これに対してドッペルボックに基づく飲料は清涼感が最も少ないと格付けされた。種々の甘味物質については、明確な記述を行うことができず、イソマルツロースは例えばピルゼン・ミックス飲料で清涼感が最も少ないと評価され、これに対してダイエット・ミックス飲料では最良である。他の甘味料の評価は同様である。
官能的全体的品質の評価では明確な傾向はない。最良と評価された4つのビールミックス飲料に、イソマルツロースで甘味づけしたビールミックス飲料が3回含まれている。最も不良と評価された飲料は基礎ビールとしてのダイエットビール及び甘味料混合物を含む飲料である。この飲料にはごく少量の炭水化物しか存在しない。基礎ビールとしてドッペルボックを含むミックス飲料は全体として最も不良と評価された。
清涼感と全体的品質の平均値(表15)は、いずれの場合もイソマルツロースとスクロースが甘味物質混合物より明らかに良好と評価されたことを示す。イソマルツロースは全体的品質で評価がよかったが、一方、スクロースで甘味づけした飲料は清涼感がやや勝ると感じられた。
Figure 2009513114
スクロース及びイソマルツロースによるビールミックス飲料の甘味づけは、実施した試飲に基づきほぼ同等と見られ、これと比較して甘味物質混合物の使用は明らかに劣っている。
6.4 ビールミックス飲料の汚染
6.4.1 バッチ
混合を完了した飲料を手動充填機で0.5リットル・ペットボトルに詰めた。ねじ締めの前にCO2流の中で各々50μlの洗浄した純粋培養懸濁液をボトルにピペットで移した。
次の細菌を汚染のために利用した。
・Lactobacillus brevis(DSM:20054)
・Pediococcus damnosus(DSM:20331)
・Megasphera cerevisiae(野生株)
さらに次の酵母を入れた瓶をインキュベートした。
・Saccharomyces diastaticus(野生株)
・Saccharomyces cerevisiae MJJ 2
・Schizosaccharomyces pombe(野生株)
インキュベーションは密閉した瓶で遮光して20℃で行った。
6.4.2 微生物腐敗の測定
ボトルの中の混濁をプロセス光度計(Sigrist KTL 30-21)で測定角90°及び25°で測定した。酵母と細菌の異なる細胞サイズを考慮するために、2つの異なる測定角で測定を行った。検出可能な混濁最大値は20EBCであった。
使用したペットボトルの選んだ点での変形に基づいて膨張の発生を検出した。
・ボトルの絶対高さ
・高さ11.5cmの直径
・肩張出し部
測定のためにデジタル・スライドルールを利用した。
6.4.3 混濁の経過
種々のバッチのインキュベーションの後に、下記の図に示す混濁の経過が明らかになった。
6.4.3.1 Saccharomyces diastaticus
図11aはSaccharomyces diastaticusで汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。スクロースで甘味づけした飲料はインキュベーションの第2日にすでに最大混濁値に達する。甘味物質で甘味づけした場合は、混濁が緩やかに上昇するが、やはり観察期間内に最大値に達する。明らかにSaccharomyces diastaticusは基礎ビールの残留エキスに基づいて増殖し、飲料を混濁させることができる。イソマルツロース含有飲料の混濁は最も緩慢に上昇する。おそらく増殖はおおむねビールエキスに基づいて行われ、イソマルツロースは飲料の腐敗を速めない。
図11bはSaccharomyces diastaticusで汚染した、基礎ビール、ダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。基礎ビールとしてダイエットビールを使用れば、慣用のスクロース甘味づけの場合にだけ明瞭な混濁が発生する。ダイエットビールは独自のエキスを持ち込まないから、Saccharomyces diastaticusは甘味物質混合物もイソマルツロースも基質として利用できないと推論することができる。
図11cはSaccharomyces diastaticusで汚染した、基礎ビール、無アルコール・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。無アルコール・ビールを含むバッチでは、すべてのバッチが観察期間内に混濁最大値に達する。スクロースは最も急速な混濁増加を生じ、他の2つのバッチでは酵母はアルコールに妨げられずにビール分の残留エキスに基づき増殖することができる。最も緩慢な腐敗はイソマルツロース含有バッチで起こる。
図11dはSaccharomyces diastaticusで汚染した、基礎ビール、ドッペルドックを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ドッペルボックの使用によってビールミックス飲料に持ち込まれた高いアルコール含量にかかわらず、ほとんどすべてのバッチが同じ速さでインキュベーション第3日に最大混濁値に達する。このミックス飲料は最も高いpH値とかなり低い苦味質含量を有する。使用した基礎ビールはさらに多量の腐敗可能な残留エキスを含み、これに基づいて細胞増殖が行われた。
6.4.3.2 Saccharomyces cerevisiae MJJ 2
図11eはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2で汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。上面発酵酵母Saccharomyces cerevisiae MJJ 2はスクロースの存在下で最も急速な細胞増殖を生じる。イソマルツロース・バッチでは混濁の増加が明らかに遅いが、疑いなくイソマルツロースに基づいて起こる。甘味物質で甘味づけした場合に混濁が増加しないことは、甘味物質もピルゼン・ビールの残留エキスも増殖の基礎として利用できないことを証明している。
図11fはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2で汚染した、基礎ビール、ダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ダイエットビールに基づいて作ったビールミックス飲料では、スクロース含有飲料が非常に急速に混濁し始める。イソマルツロースはスクロースより緩慢に代謝されるが、基礎ビールとしてピルゼンビールを使用した場合よりは急速である。このことはダイエットビールがより少ないホップとやや少ないアルコールを含むことにおおむね起因する。この試験バッチでこれらの2つの物質は酵母の増殖をさほど阻止しない。甘味物質を含むバッチでは混濁の増加が起こらない。
図11gはSaccharomyces cerevisiaeで汚染した、基礎ビール、無アルコール・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。アルコールの不在で、この酵母はこのビールにある残留エキスの少なくとも一部を利用することができる。このことは甘味物質による甘味づけの場合、混濁が増加することで証明される。スクロースによる甘味づけではすでに第3日に混濁の最大値に到達する。イソマルツロース含有バッチでは混濁の増加がより緩慢に進行する。すべてのバッチで、ビールにある残留エキスの一部が利用される。
図11hはSaccharomyces cerevisiaeで汚染した、基礎ビール、ドッペルボックを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ここで観察された酵母も、基礎ビールとしてドッペルボックを含むすべてのバッチで非常に急速に増殖することができる。このことは発酵可能な残留エキスが多量であること、かつ選択的因子、pH値及び苦味質含量の影響が比較的少ないことに起因する。
6.4.3.3 Schizosaccharomyces pombe
図11iはSchizosaccharomyces pombeで汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。基礎ビール、ピルゼン及び酵母Schizosaccharomyces pombeを含むバッチは極めて典型的でない経過を示す。一方では甘味物質、他方ではスクロースを含むバッチはほとんど初めから顕著な混濁を有するが、時間の経過とともにほぼ一定であるから、この場合は充填時の過度の酸素吸収により場合によって引き起こされるビール分のコロイド混濁があると推論される。主として25°混濁測定の値が高いことがその根拠である。25°での測定はややもすれば小さい混濁粒子を指示する傾向があり、これに対して酵母細胞は90°でも識別されるはずである。
図11jはSchizosaccharomyces pombeで汚染した、基礎ビール、ダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ビール分としてダイエットビールを含むミックス飲料をSchizosaccharomyces pombeとともにインキュベートした場合、どのバッチにも明瞭な混濁増加が認められない。このことは、酸素の遮断並びにアルコール及びホップの存在が同時に作用して酵母の増殖が阻止されたためと評価される。ところがこの酵母は純ダイエットビールの同様な試験系列ですでにイソマルツロースを利用することができたから、この場合はおそらくレモネードによって引き下げられたpH値がこのバッチの細胞増殖の阻止に対して決定的な役割を果たしている。表10で分かるように、ビールミックス飲料のpH値は3.5又はそれより僅かに下であり、一方、ビールのpH値は4を僅かに超える。
図11kはSchizosaccharomyces pombeで汚染した、基礎ビール、無アルコール・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。アルコールの不在でSchizosaccharomyces pombeは低いpH値にかかわらず、僅かな活性を示すことが明らかである。このことは少なくともスクロースの代謝に当てはまる。イソマルツロース及び甘味物質を含むバッチの利用しにくい甘味づけの場合は、観察期間内にごく僅かな、不明確な混濁増加しか認められない。
図11lはSchizosaccharomyces pombeで汚染した、基礎ビール、ドッペルボックを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ドッペルボックで作った飲料はすべてのバッチでかなり急速な混濁増加を示す。これは前述の高い割合の発酵可能な糖分がビールから持ち込まれるだけでなく、さらにこのビールミックス飲料はすべてのバッチで最高のpH値を有することにも起因する(表12を参照)。この場合pH値は3.8を僅かに超える。
6.4.3.4 Pediococcus damnosus
図11mはPediococcus damnosusで汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ピルゼンビールを使用する場合は、すべてのバッチが Pediococcus damnosusによる汚染の後に長時間安定である。スクロースで甘味づけしたバッチは観察期間の終りに明瞭な混濁、それとともに腐敗を示した。
図11nはPediococcus damnosusで汚染した、基礎ビール、ダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。基礎ビール、ダイエットビールを使用したときに見られる混濁の経過は、基礎ビール、ピルゼンの場合の混濁の経過とよく相関する。スクロース含有バッチの急速な混濁増加はアルコール及び苦味質の含量がやや少ないことに理由がある。独自の炭水化物分を持ち込まないダイエットビールでもスクロースによる甘味づけの場合だけ混濁増加が検出されたことは、細胞増殖が実際に甘味料、スクロースに基づいて行われ、他の甘味料はPediococcus damnosusにとって生存の基礎をもたらさないという、基礎ビール、ピルゼンで行われた仮定を支持する。図11oはPediococcus damnosusで汚染した、基礎ビール、無アルコール・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。
無アルコール・ビールを含むバッチでもスクロースを含むバッチだけが混濁の増加を示す。Pediococcus damnosusはスクロースだけを利用することができる。
図11pはPediococcus damnosusで汚染した、基礎ビール、ドッペルボックを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。他のバッチで観察された混濁発生は、この場合高いアルコール分によって遅らされる。しかし観察期間の終わりごろにすべてのバッチで混濁の僅かな増加がある。このことから、この場合はビール分の残留糖分に基づき僅かな増殖が起こると結論される。
6.4.3.5 Lactobacillus brevis
図11qはLactobacillus brevisで汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。基礎ビール、ピルゼンを含むバッチをLactobacillus brevisとともにインキュベートした場合は、混濁の増加が観察されない。僅かに高い一定の値は、好ましくは接種の際の細胞懸濁液の導入に由来する基礎混濁とみなされる。
図11rはLactobacillus brevisで汚染した、基礎ビール、ダイエット・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。観察したすべてのバッチは長時間一定であった。スクロースを含むバッチで混濁の僅かな増加が認められる。この効果は、場合によってはダイエットビールのアルコールと苦味質濃度がやや少ないことに起因する。
図11sはLactobacillus brevisで汚染した、基礎ビール、無アルコール・ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。無アルコール基礎ビールを含むバッチでスクロース含有バッチに観察される混濁の増加は、Lactobacillus brevisがアルコールの不在下でスクロース含有飲料を腐敗しうることを証明している。他の2つのバッチは一定であり、イソマルツロース又は甘味物質の利用が行われない。
図11tはLactobacillus brevisで汚染した、基礎ビール、ドッペルボックを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。基礎ビールとしてドッペルボックで作ったビールミックス飲料バッチでは、混濁の増加が認められない。おそらく高いアルコール含量に基づき、かつpH値がビールに典型的な値より低いこともあって、増殖活性が検出されないのである。
6.4.3.6 Megasphera cerevisiae
図11uはMegasphera cerevisiaeで汚染した、基礎ビール、ピルゼンを含むビールミックス飲料の混濁の経過を示す。ここでMegasphera cerevisiaeによるバッチの全体の代表例として基礎ビール、ピルゼンを含むミックスの試験系列を示すことにする。どのバッチでも混濁の増加が観察されなかった。あらゆる可能性を考えて、これはドッペルボック・ミックスの場合ですら明らかに4以下というpH値に関係がある。
6.4.4 膨張の形成
混濁と同様に清涼飲料の明確な腐敗は、いわゆる膨張の発生である。微生物活性によりボトル内容物の腐敗が起こると、内圧の増加によるボトルの変形(膨張)及び混濁の発生が認められる。
図12a〜lに示したインキュベートしないボトル(ゼロボトル)の寸法は、ボトルの充填の後、但しインキュベーションの前に測定したものである。このことは、この基準値に対する僅かな変動は炭酸ガス注入飲料を20℃で貯蔵することによって起こる通常の圧力上昇に基づくことを意味する。以下ではこの膨張を標準膨張と呼ぶ。下記の図の例でこれを示すことにする。
図12aはMegasphera cerevisiaeとともにインキュベートした汚染ボトルの高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。Megasphera cerevisiae入りの充填ボトルのインキュベーションの後に、ゼロボトルに対して充填ボトルの僅かな偏りが起こることが分かる。しかし測定した混濁からは増殖が確認されなかった。さらにMegaspheraはたとえ増殖が起こったとしてもごく小量のCO2しか生成せず、ボトルの内圧の上昇にほとんど寄与しないことが指摘される。
膨張の発生は一般に細菌よりも酵母による飲料腐敗の検出に適している。酵母は代謝活性のもとで著しく多くのCO2を発生するからである。従って膨張の発生による危険は細菌よりも酵母による腐敗にとって重要である。細菌はむしろ混濁と悪臭によって飲料を腐敗させる。
図12bはSaccharomyces diastaticusとともにインキュベートした汚染ボトルの高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。発生するボトル変形は、混濁発生ですでに確認された過程とおおむね相関する。寸法の僅かな変動は、炭酸ガス注入飲料を20℃で貯蔵したことで生じる内圧の上昇によって引き起こされる。Saccharomyces diastaticusを接種したボトルの絶対高さの明瞭な変化は、スクロース含有バッチでだけ観察される。
図12cはSaccharomyces diastaticusとともにインキュベートした汚染ボトルの直径の変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。高さ測定と同様に、ボトル寸法の明瞭な変化は、Saccharomyces diastaticusがスクロースを利用することができた場合にだけ認められる。
図12dはSaccharomyces diastaticusとともにインキュベートした汚染ボトルの肩張出し部の変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。やはりSaccharomyces diastaticusとともにインキュベートした後の明瞭な変化は、スクロースで甘味づけした飲料でだけ認められる。面白いことに張出し部の最も強い偏りはダイエットビールを含むバッチで起こる。この場合は炭水化物分がもっぱらレモネード分の甘味づけに由来する。Saccharomyces diastaticusを接種したすべてのバッチでスクロースだけが代謝基質として利用された。
図12eはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートした汚染ボトルの高さ変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートしたバッチについては、スクロースで甘味づけした飲料で明瞭な偏りが起こるといえる。細胞増殖により多少とも混濁が起こるイソマルツロース含有飲料は、僅かな高さ膨張を示すが、スクロースによる甘味づけの場合より明らかに少ない。
図12fはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートした汚染ボトルの直径の変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートしたボトルの直径の変化については、高さ膨張と同様にスクロースで甘味づけした飲料で明瞭な変形が起こるが、イソマルツロース及び甘味物質含有バッチの場合の膨張は標準膨張の範囲内で推移するといえる。
図12gはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートした汚染ボトルの肩張り出し部高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートしたボトルのパラメータ、肩張り出し部高さに関するボトルの当該の変形はスクロースで甘味付けした試験バッチでだけ生じたことがはっきり分かる。
図12hはSchizosaccharomyces pombeとともにインキュベートした汚染ボトルの肩張り出し部高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。Schizosaccharomyces pombeとともにインキュベートしたバッチではさほどの増殖が起こらず、従って標準膨張を超えるボトルの膨張は認められなかった。図12i及びjで同じことがいえる。
図12iはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともにインキュベートした汚染ボトルの直径の変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。図12jはSchizosaccharomyces pombeとともにインキュベートした汚染ボトルの肩張り出し部高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。細菌で汚染した試験バッチでは、予想通り明瞭な変形は起こらず、その場合混濁も測定されなかった。Pediococcus damnosusはスクロースで甘味づけしたミックス飲料で混濁を生じることができた(例外:基礎ビールとしてのドッペルボック)。ダイエットビール及び無アルコールビールを含むミックスでは明らかに観察期間の終了の前である。高さ膨張に僅かな偏りが認められる。
図12kはPediococcus damnosusとともにインキュベートした汚染ボトルの高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。但しこの膨張はごく僅かであり、他の測定点では検証されなかった。その理由は、Pediococcusが強い代謝選択性のもとでも少量のCO2しか生成できないホモ発酵乳酸菌に属することである。
図12lはLactobacillus brevisとともにインキュベートした汚染ボトルの高さの変化と未変形ボトル(ゼロボトル)との比較を示す。無アルコールビール及びスクロース甘味づけレモネード分で作ったビールミックス飲料でだけ、混濁に基づきLactobacillus brevisの増殖が確認された。Lactobacillus brevisはヘテロ発酵性であるが、しかし増殖がごく緩慢にしか起こらなかったので、パラメータ、高さ膨張にだけ標準膨張をごく僅かに超える偏りが認められた。
6.5 要約
選んだ様々な基礎ビールに関連し、アルコール含量、ビール分の炭水化物投入量及び苦味質含量といったパラメータが異なるビールミックス飲料が作製された。甘味料を種々変えることによってミックス飲料にスクロース又はイソマルツロースが可能な基質として供給され、もしくはレモネード側で甘味物質を使用することにより利用可能な炭水化物が導入されなかった。低アルコールだが高糖分の清涼飲料では有害菌としての酵母の重要性が大であるから、飲料を3つの異なる酵母で故意に汚染して20℃でインキュベートした。酵母Saccharomyces diastaticusは通常、低分子炭水化物を発酵する能力があるだけでなく、長鎖炭水化物、いわゆるデキストリンを発酵することもできるので、ビール有害菌として特に重要であるから、この酵母を選んだ。さらに酵母Schizosaccharomyces pombe及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 2を使用した。これらの酵母は予備試験でイソマルツロースを利用することができた。Schizosaccharomyces pombeは充填したビールでもその能力があった。
これらの酵母のほかに、充填したビールにとって腐敗菌として重要な意義がある細菌も使用した。Pediococcus damnosua、Lactobacillus brevis及びMegasphera cerevisiaeを選んだ。
酵母Saccharomyces diastaticus及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 2は多くの場合汚染した飲料を極めて急速に腐敗させる性質があることが示された。これは強い混濁の形成によって、またボトルの強い変形(膨張発生)によって起こった。ところがSaccharomyces diastaticusはダイエットビールを含む試験バッチ(もっぱらレモネード分による炭水化物投入)でスクロースの存在下でのみ増殖することができたが、Saccharomyces cerevisiae MJJ 2はイソマルツロースで甘味づけしたバッチでも増殖した。但しスクロースによる甘味づけの場合より意外に緩慢であった。このことから、Saccharomyces cerevisiae MJJ 2は、スクロースの場合より意外に緩慢ではあるが、事情によってはイソマルツロースも利用することができると推論される。Saccharomyces diastaticusは意外なことに作製したどの飲料においてもイソマルツロースを利用することができなかった。
この酵母は一般にイソマルツロースを基質として利用することができない。ダイエットビール以外の基礎ビールで作製したバッチで検出されたサッカロミセス酵母の増殖はすべての甘味づけ法でほとんど同じであり、ビール分が完成ミックス飲料に持ち込んだ多量の残留エキスの利用によるものである。
Schizosaccharomyces pombeは一般に被検バッチで、感知しうるほどの活性を示さなかった。これはとりわけレモネードの混入によりpH値が普通のビールより著しく低いことに関係があると思われる。
ビール有害菌を接種した試験バッチの評価で目立つのは、Pediococcus damnosua とLactobacillus brevisがスクロースで甘味づけしたバッチしか混濁させることができなかったことである。イソマルツロース又は甘味物質で甘味づけしたバッチでは、これらの細菌は混濁を生じることができなかった。同じく調べたMegasphera cerevisiaeは一般にビールミックス飲料で増殖することができなかった。その理由はとりわけ飲料の低いpH値に求められる。
要約すれば、調べた生物のうちSaccharomyces cerevisiae MJJ 2だけは、甘味づけとして使用したイソマルツロースを利用することができるが、しかしその代わりに存在するスクロースより意外に緩慢である。他のすべての生物は意外なことにイソマルツロースを利用することができない。
従ってビールミックス飲料のレモネード分の甘味づけのためのスクロースの使用に比して、イソマルツロースは生物安定性を著しく改善することができる。甘味物質混合物を含むバッチは、本発明に基づきイソマルツロースで甘味づけした飲料と同様に安定であることが証明された。ところがこのバッチは全体として受け入れがたい不良な試飲成績を示す。
実施例7:発酵した真正麦汁のアロマプロファイルに対するイソマルツロースの影響
7.1 真正麦汁
ピルゼン麦汁を作製した。この麦汁の一部を処理して、エキスの約4分の1がイソマルツロースからなるようにした。未処理の原麦汁とイソマルツロース含有麦汁を、モデル麦汁で使用したのと同じ酵母により同じ条件(無圧、12℃)で発酵した。
通常のビール製造の実際をシミュレートしようとしたので、これらの麦汁を1段階で最終発酵まで持ってゆくのではなく、約1〜1.5%までが予想されるエキスによる最終発酵で、次に1℃で14日の後発酵とした。こうして作られたビールをMEBAKによるビール特異的分析及びガスクロマトグラフィーにより、モデル麦汁と同じ特定のアロマ成分について分析した。さらに評価試飲を行った。分析的に測定されるアロマプロファイル及び味覚のイソマルツロース含量に応じた変化を評価した。
VLB[ベルリン工業大学ビール研究・教育センター]の研究醸造設備でビール麦汁(ピルゼン風)を作製した。これを水で再希釈し、イソマルツロースを加えることによって、麦汁のエキス含量の約25%がイソマルツロースからなるように調整した。変更のない麦汁とイソマルツロース含有麦汁を同じ条件下で種々の酵母により並行的に発酵した。
表16に麦汁分析を示す。
Figure 2009513114
これらの麦汁をよく似たエキス含量に調整した。イソマルツロースの添加は、発酵度を低下させた。麦汁固有のエキスがイソマルツロースで置き換えられるため、発酵不能な(最終発酵度分析で)炭水化物の割合が上昇するからである。その他の分析値は再希釈に従って変化し、即ち苦味質又はタンパク質分の含量が低下する。
2つの麦汁をそれぞれ下記の4つの酵母で発酵させた。
・Saccharomyces carisbergensis MJJ 11
・Saccharomyces cerevisiae MJJ 25
・Saccharomyces cerevisiae MJJ 2
・Schizosaccharomyces pombe
7.2 アロマ成分の分析
すべての発酵バッチで発酵の終了後(=4日間エキス減少なし)次のアロマ成分が決定された。アセトアルデヒド、酢酸エチル、1-プロパノール、イソブタノール、イソ酢酸アミル、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、2-フェニルエタノール、酢酸フェニルエチル。重要なアロマ成分のほかに、発酵中に生じたvic-ジケトンも検出された。これは多くの場合、醸造の実際で主発酵の制御のための基幹物質として利用される比較的重要なアロマ成分である。
7.3 結果
7.3.1 発酵の経過
Saccharomyces carisbergensis MJJ 11による発酵では、2つの真正麦汁(イソマルツロースあり及びなし)の発酵の過程で次の結果が得られる。即ちエキスの減少はまず初めにほぼ同様に進行し、次にイソマルツロース含有麦汁の減少曲線は扁平になる。イソマルツロースを含まない麦汁が所望の値に到達した後、イソマルツロース含有麦汁の発酵も中断した。予想通りこの場合は残留エキスが高い。
Saccharomyces cerevisiae MJJ 25による発酵でもエキス減少曲線は初めだけ平行である。曲線は比較的早期に(早ければ第5発酵日に)相違を示し、残留エキスの差が比較的顕著である。
Saccharomyces cerevisiae MJJ 2による発酵では、真正麦汁(イソマルツロースあり及びなし)の発酵の過程で次の結果が示される。即ち発酵の経過は前述と同様であり、エキス減少は同様に始まり、その後イソマルツロース含有麦汁の曲線が扁平になる。
Schizosaccharomyces pombeによる発酵では、真正麦汁(イソマルツロースあり及びなし)の発酵の過程で次の状況が示される。即ちエキス経過曲線はSchizosaccharomyces pombeの場合とほぼ同様に経過する。到達する最終値もよく似ている。イソマルツロースはこの酵母によっても基質として利用されるからである。
7.3.2 完成ビールの分析
表17はSaccharomyces carisbergensis MJJ 11及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 25で発酵した麦汁(イソマルツロースあり及びなし)の分析値を示す。
Figure 2009513114
表18はSchizosaccharomyces pombe及び Saccharomyces cerevisiae MJJ 2で発酵した麦汁(イソマルツロースあり及びなし)の分析値を示す。
Figure 2009513114
イソマルツロースを混合したビールでは、イソマルツロースが発酵しなかったので、発酵後の残留エキスが比較的高いことがはっきり分かる。その結果、すべての場合にアルコール含量が低くなる。このことはSchizosaccharomyces pombeにも当てはまる。Schiz-osaccharomyces pombeはモデル麦汁でイソマルツロース含有溶液を基準溶液と同様に利用することができた。複合混合炭水化物溶液では明らかにこの酵母によってまず初めに他の糖類が利用される。この試験系列ではイソマルツロースを分解する前に、発酵がすでに終わっていた。イソマルツロース含有ビールのpH値は対照ビールより例外なく僅かに低い。苦味価にも同じことが当てはまるが、この場合は低い値は再希釈に起因する。
7.3.3 アロマ成分
図7aはSaccharomyces carisbergensis MJJ 11及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 25により真正麦汁を発酵した後のアロマ成分の含量を示す。
アロマ成分の生成に対するイソマルツロース添加の明瞭な影響は認められない。MJJ 11はイソマルツロースなしのバッチのほとんどすべての成分で比較的多量の当該物質を生成するが、しかし差は僅かである。利用される基質の量が絶対的にやや少ないことがおそらく原因である。さらにSaccharomyces cerevisiae MJJ 25は場合によってはイソマルツロース含有溶液でより高い濃度の当該物質を生成することが認められる。ここに示したデータに基づいて、イソマルツロースの存在が生成されるアロマプロファイルに影響を及ぼすと明言することはできない。
図7bはSchizosaccharomyces pombe及び Saccharomyces cerevisiae MJJ 2により真正麦汁を発酵した後のアロマ成分の含量を示す。
アロマ成分の生成に対するイソマルツロース添加の明瞭な影響はやはり認められない。全体として利用された基質の量が少ないこともあって、多くの場合イソマルツロースの添加によって生成される麦汁中の観察物質は少ない。Schizosaccharomyces pombeはイソマルツロースの存在下でやはりやや多くのアセトアルデヒドを生成することが注目される。
イソマルツロースを含まない麦汁ではジアセチル及びペンタンジオンの生成が少ない。濃度の差は基質の代謝が少ないことだけでは説明できない。イソマルツロース含有麦汁ではエキスのおよそ4分の1がイソマルツロースに替えられている。ところがイソマルツロースを含む麦汁で測定された含量は未処理の麦汁と比較して50%以下に過ぎない。麦汁中のイソマルツロースの存在は、ジアセチル及びペンタンジオンといった物質の生成に関連する代謝経路を妨げるのである。この場合、例外はSchizosaccharomyces pombeで発酵させた麦汁である。この酵母はイソマルツロースを含む麦汁で多くのジアセチルと多くのペンタンジオンを生成する。
イソマルツロースの存在はエステル及び高級脂肪族アルコール(及びアセトアルデヒド)のグループの物質の発生に対してあまり影響しない。この場合例外は酵母Schizosaccharomyces pombeである。基質としてマルトースの代わりにイソマルツロースがあるならば、Schizosaccharomyces pombeは明らかにより多くのアセトアルデヒドを生成する。この酵母はvic-ジケトンの生成においても例外である。醸造業の代表的な酵母で、明らかにイソマルツロースの存在によってこの物質の生成が遅らされる。
7.3.4 試飲
化学分析に加えて主発酵及び後発酵の終了後にビールの評価試飲を行った。それぞれ1〜5の等級で次のパラメータを評価した。甘味、苦味、ホップ香、麦芽風味、果実風味、爽快感、芳醇味及び全体的印象。
次に試飲の結果を示す。
図8aはSaccharomyces carisbergensis MJJ 11で発酵した真正麦汁によるビールの評価試飲の結果を示す(試飲者10人)。Saccharomyces carisbergensis MJJ 11による発酵の後に試飲の仕組みによって生じるアロマプロファイルは、麦汁中のイソマルツロースの有無にかかわりなく、ほぼ一致して重なり合う。全体的印象でだけイソマルツロース・ビールは評価がよかった。しばしば挙げられた理由は「まろやかな」味覚であった。但し個々のパラメータは同じ評価であった。
図8bはSaccharomyces carisbergensis MJJ 25で発酵した真正麦汁によるビールの評価試飲の結果を示す(試飲者10人)。Saccharomyces carisbergensis MJJ 25による発酵の後もアロマプロファイルはほぼ一致して重なり合う。やはりイソマルツロース含有ビールは全体的採点が僅かによく判定された。但し個々のパラメータは同じ評価であった。ところがSaccharomyces carisbergensis MJJ 25による発酵では、ビールの苦味も果実風味も強く感じられた。
図8cはSaccharomyces cerevisiae MJJ 2で発酵した真正麦汁によるビールの評価試飲の結果を示す(試飲者10人)。Saccharomyces cerevisiae MJJ 2による発酵でもビールはやはりかなり似た評価を受けた。イソマルツロースを含まないビールは甘味が少ないと感じられる一方で、苦味が目立って強く、他方ではイソマルツロースの存在によって明らかに幾分相殺された。全体的品質では2つのビールは同じ評価であった。
図8dはSchizosaccharomyces pombeで発酵した真正麦汁によるビールの評価試飲の結果を示す(試飲者10人)。Schizosaccharomyces pombeによる発酵ではビールの明瞭な相違が明らかである。イソマルツロース含有ビールはより甘く感じられたが、明らかにこの甘味は麦芽風味として感じられた。苦味の強さは同じ程度に感じられたが、イソマルツロースを含まないビールではこの苦味がややホップ香のように感じられ、含まれるイソマルツロースによって明らかに相殺された印象があった。しかし全体的品質の評価ではイソマルツロース含有ビールはやはり僅かに良好な評価を得た。
イソマルツロース含有ビールは基準ビールと明瞭な相違があると感じられないことが多かった。全体的品質では、その添加が味覚への有害な影響、例えば強い苦味を相殺することによってビールの印象をやや「まろやか」なものにすることができる。
実施例8:細菌のイソマルツロース利用及びビール固有の選択的因子が酵母のイソマルツロース利用に及ぼす影響
8.1 培地の作製
5%のイソマルツロースと6.7g/l YNB(Yeast Nitrogen Base)を含むモデル溶液を無菌で作製した。ダーラム管付き試験管で10ml規模で26℃でインキュベーションを行った。
それぞれの選択的因子を次のように調整した。
・リン酸の添加によるpH値操作
・イソフムロンの添加による苦味質含量
・96%未変性エタノールの添加によるアルコール含量
・嫌気性微生物槽でのインキュベーションによる酸素の遮断
イソマルツロースの利用をガス発生の調節(目視)、DNS法による測定(測光法)及び各種糖類の分析(HPLC)により測定した。
8.2 調べた微生物及び分析
次の酵母のイソマルツロース利用を調べた。
・Saccharomyces carisbergensis MJJ 11(醸造用酵母)
・Saccharomyces cerevisiae MJJ 2(醸造用酵母、良好なイソマルツロース利用菌)
・Schizosaccharomyces pombe(良好なイソマルツロース利用菌)
・Saccharomyces diastaticus(ビール有害菌、過剰発酵の可能性あり)
また周知のビール有害菌のイソマルツロース利用を調べた。そのために「理想的条件」即ち嫌気性、28℃、21日インキュベーションを選んだ。
・Pediococcus damnosus(DSM:20331)
・Megasphera cerevisiae(野生株)
・Pectinatus frisingensis(DSM:20465)
・Lactobacillus brevis(DSM:20054)
「野生株」の呼称は、汚染したビールから単離され、DSM番号(DSM:ドイツ微生物コレクション)を持たない株であることを意味する。
さらにビール有害菌として、かつ食品工業でプロバイオティクス培養としてのラクトバチルスの意義にかんがみ、その他のラクトバチルスを研究した。
・L. fructivorans(DSM:20203)
・L. fructivorans(野生株)
・L. corniformis(DSM:20001)
・L. lindneri(DSM:20690)
・L. lindneri(DSM:20961)
・L. casei(DSM:2001)
・L. curvatus(野生株)
・L. brevis(DSM:6235)
・L. brevis(野生株)
・L. acidophilus(DSM:20242)
・L. amylovorus(DSM:20552)
・L. delbrueckii(DSM:20047)
・L. fermentum(DSM:20049)
・L. gasseri(DSM:20077)
・L. johnsonii(DSM:20553)
・L. plantarum(DSM:12028)
・L. reuteri(DSM:20015)
・L. rhamnosus(DSM:20023)
・L. salivarius(DSM:20492)
ラクトバチルスについては、この細菌種がすべてのアミノ酸を合成できるわけでないことが文献で知られているから、未処理の培地と平行して、培地がさらに2%のペプトンを含む実験を行った。同じく文献で周知のホップ耐容性及びホップ非耐容性のラクトバチルスの区分に関連して、培地が20mg/lのイソフムロンを含む第3の試験系列を追加した。
イソマルツロースの濃度は42.3g/lであることをHPLCで確かめた。この値を初期値として、インキュベーションの後の下記の残留含量と対比した。モデル培地はそのままビールに典型的な選択的因子を加えてインキュベートした。
8.3 結果
8.3.1 酵母
14日のインキュベーション期間の後にSaccharomyces carisbergensis MJJ 11では図9に示す結果が生じた。
図9aはインキュベートしないモデル溶液及びSaccharomyces carisbergensis MJJ 11とともに14日のインキュベーション期間(嫌気性、26℃)の後のイソマルツロース含量を示す(HPLCで測定)。
測定値は5%の精度で初期値に相当することが分かる。このことは、イソマルツロースの代謝が行われなかったことを意味する。最低の値は選択的因子なしの溶液で測定されたが、この場合も代謝による減少に言及することはできない。この試験系列に基づき、Saccharomyces carisbergensis MJJ 11は現存する選択的因子にかかわりなく、観察期間内にイソマルツロースを発酵することができなかったと言える。
次の図には酵母Saccharomyces cerevisiae MJJ 2による当該の試験系列を示す。この酵母は先行する試験系列によりイソマルツロースを利用する能力があることが知られている。
図9bはインキュベートしないモデル溶液及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともに14日のインキュベーション期間(嫌気性、26℃)の後のイソマルツロース含量を示す(HPLCで測定)。
14日のインキュベーションの後に選択的因子なしのバッチで減少が測定された。しかしこの場合もこの減少は僅かにすぎず、変更のないバッチでは同様の減少が測定されなかった。
図9cはインキュベートしないモデル溶液及びSaccharomyces cerevisiae MJJ 2とともに14日のインキュベーション期間(好気性、26℃)の後のイソマルツロース含量を示す(HPLCで測定)。
予想通りSaccharomyces cerevisiae MJJ 2は好気的条件下でイソマルツロースを著しくよく利用できることが示された。未変更のバッチでは14日後に約75%のイソマルツロースが代謝されている。好気的雰囲気でさらにpH値4の場合はイソマルツロースが分解しやすいことが確認されたが、pH値をさらに引き下げるとイソマルツロース利用はもはや起こらない。
この酵母の酸素欠如はすでにイソマルツロースの基質としての利用をはなはだ困難にした。ホップ苦味質及びアルコールの存在並びに値4以下へのpH値の低下はイソマルツロースの代謝を完全に停止する。
同じ試験をSchizosaccharomyces pombeで行った。図9dはインキュベートしないモデル溶液及びSchizosaccharomyces pombeとともに14日のインキュベーション期間(嫌気性、26℃)の後の糖含量を示す(HPLCで測定)。
この酵母はすべての試験条件下で、与えられたイソマルツロースを基質として利用できることがはっきり分かる。pH値が最低に調整されたバッチでだけ、依然として測定可能なイソマルツロース残留濃度が存在するから、pH値がさらに低下すれば、場合によってはイソマルツロース利用が阻止されることになるが、3以下のpH値はごく少数の飲料にしか見られず、その場合でもpH値はこの値をさほど下回らない。ビールに典型的な選択的因子は、5%のアルコールを含み、苦味質が存在するバッチのように複合する場合でも、イソマルツロース利用を妨げることはできない。
Schizosaccharomyces pombeはイソマルツロースを効果的に利用できることが確認された。単糖グルコース及びフルクトースで測定した値は、この酵母がイソマルツロースを細胞外で分解し、その上で単糖が同化されることを明らかにしている。
飲料有害菌として知られている酵母Saccharomyces diastaticusによる試験系列を行ったところ、別の状況が示された。図9eはインキュベートしないモデル溶液及びSaccharomyces diastaticusとともに14日のインキュベーション期間(嫌気性、26℃)の後のイソマルツロース含量を示す(HPLCで測定)。
調べたどのバッチでもイソマルツロース濃度の減少が検出されなかった。やはり値は5%の変動範囲内で一定であるから、Saccharomyces diastaticusはイソマルツロースを発酵することができないと推論することができる。
8.3.2 細菌
図10に4つの周知のビール有害菌を用いたインキュベーション試験の結果を示す。
図10aはインキュベートしないモデル溶液及び選んだビール有害菌で21日のインキュベーション期間(嫌気性、28℃)の後のイソマルツロース含量を示す(HPLCで測定)。
どのバッチでも測定精度の範囲内でイソマルツロース利用が検出されなかった。ここで調べた細菌はいずれもイソマルツロースに基づき増殖することができない。
ビール有害菌としてだけでなく、哺乳動物の腸腔及び歯牙細菌叢の生物としてのラクトバチルス属の意義、かつプロバイオティクス培養として食品工業で使用可能であることにかんがみ、さらに種々のラクトバチルスのグループのイソマルツロースを利用する可能性を調べた。
図10bは種々のラクトバチルスによる21日のインキュベーション期間(嫌気性、28℃)の後のイソマルツロース含量を示す(DNS検定により測定)。
3週間の長いインキュベーション期間の後にイソマルツロース濃度の変動は5%以内である。最低の値は細菌L. lindnerii 20961、L. brevis 6235及びL. rhamnosus 20023で測定された。値は5%変動幅以内にあり、さらに目視によっても細胞集団の増殖が観察されなかった。従ってこの測定に基づき、調べた生物はイソマルツロースを利用することができるとは言えない。
ラクトバチルスがすべてのアミノ酸を合成できるわけでないことは文献で知られているから、モデル溶液に2%のペプトンを加えた別の試験系列を行った。こうして、ただ窒素源が存在しないという理由だけで万一の増殖が検出されないことがないようにするためである。
図10cは種々のラクトバチルスとさらにペプトンを添加した21日のインキュベーション期間(嫌気性、28℃)の後のイソマルツロース含量を示す(DNS検定により測定)。
やはりどの測定値でも初期値に対して5%を超える減少は測定されなかった。ところがこの場合幾つかの値はこの限界値にかなり近づいている。さらにペプトンなしの試験系列で最低の値であった生物で、再びかなり低い値が測定されたことが注目される。
Lactobacillus lindnerii 20961のような生物では、適当な適応の後にイソマルツロースの利用が可能になることが絶対にあり得ないとはいえない。しかしこの場合3週間にわたって理想的な条件のもとでインキュベートしたが、それでもイソマルツロース濃度は僅かしか減少しなかったことを考慮に置かねばならない。従って万一の測定誤差を考慮しても(幾つかの値は初期濃度より高い)、ここに示す測定に基づき利用が検出されなかったとみなすことができる。
同様に阻害物質としてホップ苦味質を添加した試験系列は、この場合もインキュベーションの後の測定値が初期値の95%以上であることを明らかにした。従って観察期間内にイソマルツロースの利用はやはり検出されなかった。
ビール有害生物とともにインキュベーションする前及び後のイソマルツロース濃度を示す。 イソマルツロース濃度と種々の安定性因子の関係を示す。 S. cerevisiae MMJ 2とともにインキュベートした試料のイソマルツロース濃度を示す。 7日のインキュベーションの後の各種糖類の分析を示す。 酸濃度と選んだ微生物との関係を示す。 基礎ビールとレモネードからなるビールミックス飲料の評価試飲を示す(理想点:3):基礎ビール=ピルゼン(図6a)、基礎ビール=ダイエットビール(図6b)、基礎ビール=無アルコール・ピルゼン(図6c)、基礎ビール=ドッペルボック(図6d) 真正麦汁の発酵の後のアロマ成分の割合を示す。 真正麦汁によるビールの評価試飲を示す。 モデル溶液の発酵の後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 モデル溶液の発酵の後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 モデル溶液の発酵の後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 モデル培地を細菌で発酵した後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 モデル培地を細菌で発酵した後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 モデル培地を細菌で発酵した後のイソマルツロース含量を示す。初期値の上下5%の数値範囲を強調した。 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料の混濁の経過を示す。測定角90°及び25° 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料入りのペットボトルの膨張発生を示す。 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料入りのペットボトルの膨張発生を示す。 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料入りのペットボトルの膨張発生を示す。 甘味料、スクロース(Suc)、イソマルツロース(Pal)又は甘味物質混合物(Sm)を含む汚染したビールミックス飲料入りのペットボトルの膨張発生を示す。

Claims (11)

  1. 醸造用水、ホップ及び炭水化物源から微生物安定化ビール及びビールミックス飲料を製造する方法であって、
    a)醸造用水、ホップ及び炭水化物源を混合して麦汁とする工程、
    b)麦汁を煮沸する工程、及び
    c)麦汁を微生物発酵する工程
    を含み、炭水化物源が微生物安定剤としてイソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物を含むことを特徴とする、前記方法。
  2. 炭水化物源が製麦穀物及び/又は未製麦副原料を含む請求項1に記載の方法。
  3. イソマルツロース又はイソマルツロース含有混合物が、炭水化物源の残余の成分とイソマルツロースの比4:1〜2:1で炭水化物源に含まれる上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  4. イソマルツロース含有混合物又はイソマルツロースを、シロップ、溶液又は結晶質固形物として炭水化物源に添加する上記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法によって製造される微生物安定化ビール。
  6. a)請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造される又は製造された微生物安定化ビール及び
    b)ハーブエキス、香料、カフェイン、着色料、アミノ酸、食用酸、果実成分、例えば果汁、果実ピューレ、果実パルプ又は果実エキス、砂糖、砂糖代替物、例えば糖アルコール、強力甘味物質、水及び火酒(エタノール)から選ばれた少なくとも1つの別の成分
    を含むビールミックス飲料。
  7. 甘味料としてイソマルツロースを含む請求項6に記載のビールミックス飲料。
  8. 唯一の甘味料としてイソマルツロースを含む請求項7に記載のビールミックス飲料。
  9. 唯一のこくのある甘味料としてイソマルツロースを含む請求項7に記載のビールミックス飲料。
  10. ビール又はビールミックス飲料の低雑菌製造のための微生物安定剤としてのイソマルツロースの使用。
  11. 微生物安定化ビール又はビールミックス飲料の製造のためのイソマルツロースの使用。
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