JP2008287251A - 撥液レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】撥液レジスト組成物が、炭素数4〜6のフルオロアルキル基を含有するα-Cl置換アクリレート(a1)と不飽和有機酸(a2)と高軟化点モノマー(ホモポリマーの状態でTgが100℃以上)(a3)とエポキシ基または水酸基のいずれかを含む架橋基含有モノマー(a4)とを含有してなる共重合体(A)を含有する。撥液レジスト組成物は、共重合体(A)、光架橋触媒(B)、溶媒(C)、架橋剤(D)、アルカリ可溶性ポリマー(E)からなる。
【選択図】なし
Description
本発明の二番目の技術分野は、基板上に形成された「特定のフッ素系ポリマーを配合したフォトレジスト層」上に液浸露光用液体を配置し、該液浸露光用液体を介してフォトレジスト層を選択的に露光した後、フォトレジスト層を現像液で処理してレジストパターンを形成する液浸法によるレジストパターン形成方法に関する。
基板に微細な親液-撥液パターンを形成するための撥液レジスト組成物に配合するフッ素系ポリマーとして炭素数4〜6のフルオロアルキル基(以下、Rf基と省略)含有(メタ)アクリレート重合体が特開2005-315984に開示されているが、このRf基含有(メタ)アクリレートの構造では撥液領域に十分な撥液性を付与することができず、さらにレジスト膜のアルカリ可溶性が損なわれる問題があった。
(i)光架橋領域における架橋性が不十分なために、現像時に撥液領域から親液領域にフッ素系ポリマーが溶出し易い、
(ii)レジスト溶媒として汎用されるアルキレングリコール系溶剤へのフッ素系ポリマーの溶解性が不十分、
という問題があった。またアルカリ可溶性が損なわれる問題は残されたままであった。
本発明の他の目的は、液浸露光用液体によるフォトレジスト膜への悪影響を防止し、さらに液浸露光用液体の液浸露光用のレンズへの追随性を向上させてフォトレジスト層上に液滴が残留しないようにするために、従来必要とされた保護層を形成することなしに液浸露光を可能とするレジスト組成物、言い換えると、トップコートレス液浸リソグラフィに適用できるレジスト組成物と、液浸法によるレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
(a1)炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート 100重量部
[α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]、
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部、
(a3)高軟化点モノマー 5〜120重量部、および
(a4)必要により、エポキシ基(a4−1)または水酸基(a4−2)のいずれかを含む架橋基含有モノマー 5〜30重量部
を繰り返し単位とするフッ素系ポリマー(A1)を含有し、フッ素系ポリマー(A1)のフッ素濃度が15〜35重量%、酸価が40〜200mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜20,000である撥液レジスト組成物
によって達成される。
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部
に加えて、
(a4−1)エポキシ基を含む架橋基含有モノマー 5〜60重量部、および
(a6)(R1O)nR2
[R1は−(CH2)2−または−(CH2)3−、R2は水素またはメチル基、nは1〜10である。]で示されるアルキレンオキサイド基を含有するモノマー 10〜40重量部
を含む含フッ素ポリマー(A2)であってもよい。
本発明は、従来から知られるフォトレジスト組成物中にフッ素系ポリマー(A)を配合することにより、保護膜を形成することなくフォトレジスト層を該液浸露光用液体から守り、液浸露光用液体の液浸露光用のレンズへの追随性を向上させる。
本発明の撥液レジスト組成物で使用するフッ素系ポリマー(A)において、成分(a1)は炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα-Cl置換アクリレートである。α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。フッ素系ポリマー(A)は、さらに不飽和有機酸(a2)および高軟化点モノマー(a3)を含有する。
・α位置換アクリレート(a1)100重量部
・不飽和有機酸(a2)5〜45重量部、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは20〜30重量部
・高軟化点モノマー(a3)5〜120重量部、好ましくは20〜100重量部、より好ましくは20〜50重量部
である。
α位置換アクリレート(a1)は、フッ素系ポリマー(A)に対して15〜70重量%、より好ましくは25〜65重量%、例えば40〜60重量%であることが好ましい。
フッ素系ポリマー(A)については、フッ素濃度の下限を15重量%まで減らすことができる。α位置換アクリレート(a1)を減らして(a4−1)エポキシ基を含む架橋基含有モノマーを増量することにより、フッ素系ポリマーの(i)撥液レジスト組成物中での相溶性、(ii)他の原料との架橋性、(iii)アルカリ可溶性を改善できる。好ましい態様においては、フッ素系ポリマー(A)のフッ素濃度は、15〜35重量%、好ましくは17〜30重量%、より好ましくは18〜27重量%である。
フッ素系ポリマー(A)はランダム、交互、ブロック、グラフト共重合体のいずれでも良い。
式:
[式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基
Yは、直接結合、酸素原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、環状脂肪族基または芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY1)CH2−基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)、または、-(CH2)nSO2-基(nは1〜10)である。
Rfは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
であることが好ましい。
α位置換アクリレート(a1)の例は、次のとおりである。
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(H)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
[式中、Rfは炭素数4〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
・ホモポリマーの状態でガラス転移点または融点が100℃以上、特に120℃以上のモノマーである。
高軟化点モノマー(a3)は、
・CH2=C(R1)COOR2
[R1はHまたはCH3、R2:炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基である。]
であることが好ましい。R2の例は、イソボルニル、ボルニル、フェンシル(以上はいずれもC10H17, 炭素原子/水素原子=0.58)、アダマンチル(C10H15, 炭素原子/水素原子=0.66)、ノルボルニル(C7H12, 炭素原子/水素原子=0.58)などの架橋炭化水素環が挙げられる。これらの架橋炭化水素環に水酸基やアルキル基(炭素数、例えば1〜5)が付いていても良い。
−(R1O)nR2
[R1は−(CH2)2−または−(CH2)3−、R2は水素またはメチル基、nは1〜10である。]である。アルキレンオキサイド基を含有するモノマー(a6)としては、
CH2=CR3COO(R1O)nR2
[R1は−(CH2)2−または−(CH2)3−、R2およびR3は水素またはメチル基、nは1〜10である。]
を使用しても良い。(a6)は、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、日本油脂製ブレンマーAPシリーズ(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)であるAP-400:n≒6、AP-550:n≒9、AP-800:n≒13、ブレンマーPEシリーズ(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)であるPE-90:n≒2、PE-200:n≒4.5、PE-350:n≒8、ブレンマーPPシリーズ (ポリプロピレングリコールモノメタクリレート)であるPP-1OOO:n≒4〜6、PP-500:n≒9、PP-800:n≒13、 ブレンマーPMEシリーズ(メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート)であるPME-1OO:n≒2、PME-200:n≒4、PME-400:n≒9、PME-1OOO:n≒23、PME-4000:n≒90 などが例示される。
フッ素系ポリマーは、以下のようにして製造することができる。モノマーおよび必要な成分を溶媒に溶解させ、窒素置換後、重合触媒を加えて20〜120℃の範囲で1〜20時間、撹拌する方法が採用される。
撥液レジスト組成物における成分は、次の組合せであってよい。
フッ素系ポリマー(A)、光架橋触媒(B)および溶媒(C);
フッ素系ポリマー(A)、光架橋触媒(B)、溶媒(C)および架橋剤(D);
フッ素系ポリマー(A)、光架橋触媒(B)、溶媒(C)、架橋剤(D)およびアルカリ可溶性ポリマー(E)。
本発明においては、フッ素系ポリマー(A)を用いて、例えば、次の方法により、パターン化された複数の撥液領域と親液領域から成る基板(以下、単に「パターン基板」と省略する)を作製する。
方法(2): フッ素系ポリマー(A)、光架橋触媒(B)および架橋剤(D)を溶媒(C)に溶解する。このフッ素系ポリマー溶液を基板上に塗布して感光性の撥液膜を形成し、フォトマスクを介して電磁波を照射すると、照射領域のみが硬化する。アルカリ水溶液で現像することにより、パターン基板が得られる。
方法(3): フッ素系ポリマー(A)、光架橋触媒(B)、架橋剤(D)およびアルカリ可溶性ポリマー(E)を溶媒(C)に溶解する。このフッ素系ポリマー溶液を基板上に塗布して感光性の撥液膜を形成し、フォトマスクを介して電磁波を照射すると、照射領域のみが硬化する。アルカリ水溶液で現像することにより、パターン基板が得られる。
光架橋触媒(B)はラジカル光重合開始剤(B1)と光酸発生剤(B2)が例示される。ラジカル光重合開始剤(B1)は、光によりラジカルを発生する化合物であり、例えば、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。フッ素系ポリマー中にエポキシ基含有モノマー(a4−1)が含有される場合は、ラジカル光重合開始剤(B1)として特開2003-76012公報に記載されるキノンジアジド基含有化合物を用いても良い。
IRGACURE 651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
IRGACURE 184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
IRGACURE 2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、
IRGACURE 127:2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、
IRGACURE 907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、
IRGACURE 369:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、
IRGACURE 379:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、
IRGACURE 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、
IRGACURE 784:ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、
IRGACURE OXE 01:1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、
IRGACURE OXE 02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、
IRGACURE261、IRGACURE369、IRGACURE500、
DAROCUR 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、
DAROCUR TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、
DAROCUR1116、DAROCUR2959、DAROCUR1664、DAROCUR4043、
IRGACURE 754 オキシフェニル酢酸:2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、
IRGACURE 500:IRGACURE 184:ベンゾフェノン=1:1の混合物、
IRGACURE 1300:IRGACURE 369:IRGACURE 651= 3:7の混合物、
IRGACURE 1800 :CGI403:IRGACURE 184=1:3の混合物、
IRGACURE 1870:CGI403:IRGACURE 184=7:3の混合物、
DAROCUR 4265:DAROCUR TPO:DAROCUR 1173= 1:1の混合物
などが例示される。ここでIRGACUREはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、DAROCURはメルクジャパン製である。
前記の他の光の照射により酸を発生する化合物は、例えば、2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物、2−トリハロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物、2−トリハロメチル−5−ヒドロキシフェニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物である。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じて溶媒(特に、水溶性有機溶媒、有機溶媒(特に、油溶性有機溶媒)、水)を加えても良い。同じ種類の溶媒がフッ素系ポリマーを製造するためにも用いられる。溶媒は、フッ素系ポリマー(A)に不活性でこれを溶解するものである。溶媒の例は、水溶性有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコール、3−メトキシブチルアセテート(MBA)、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、乳酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールなどが、有機溶媒としては、クロロホルム、HFC141b、HCHC225、ハイドロフルオロエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても2種以上を混合しても良い。溶媒はフッ素系ポリマーおよびレジスト構成原料の溶解性、安全性の観点から、特にPGMEAとMBAが好ましい。
溶媒は撥液レジスト組成物中に、30〜95重量%、例えば50〜90重量%の範囲で用いられることが好ましい。
架橋剤は単官能、または、好ましくは二個以上の官能基を有する化合物であり、ラジカル重合反応により硬化するタイプが好ましく、カチオン重合反応により硬化するタイプであっても良い。前者は不飽和二重結合基であるアクリロイル基やビニル基が官能基であり、後者はエポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基が官能基となり、
(a) ウレタン(メタ)アクリレート
(b) エポキシ(メタ)アクリレート
(c) ポリエステル(メタ)アクリレート
(d) ポリエーテル(メタ)アクリレート
(e) シリコーン(メタ)アクリレート
(f) (メタ)アクリレートモノマー
(g) エポキシ系モノマー
(h) ビニルエーテル系モノマー
(i) オキセタン系モノマー
に分類される。(a)〜(f)がラジカル重合反応で硬化するタイプであり、(g)〜(i)はカチオン重合反応により硬化するタイプである。
オキサゾリン化合物としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン等の重合性単量体の共重合体を挙げることができる。
本発明の架橋剤に1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)のような多感能チオールを併用すると、硬化速度が向上する。多感能チオールの量は、たとえば、架橋剤100重量部に対して0.1〜20重量部、例えば1〜10重量部であってよい。
本発明の架橋剤は炭化水素基の一部または全部の水素がフッ素に置換されていても良い。非フッ素系の架橋剤はフッ素系ポリマーよりも表面に偏析しにくいので、フッ素系ポリマーの下に存在し最表面のフッ素系ポリマーと十分に架橋できないことがある。このことが現像後の撥液性に悪影響を及ぼすことがある。架橋剤もフッ素系にすることで、表面にフッ素系ポリマーと架橋剤が共存し、最表面で架橋でき、現像時の溶解を防止できる効果がある。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じてアルカリ可溶性ポリマー(E)を併用しても良い。アルカリ可溶性ポリマー(E)は、カルボキシル酸、水酸基、スルホン酸などのアルカリで中和すると水溶性の塩を生成する官能基を有するポリマーを意味する。アルカリ可溶性ポリマー(E)は非フッ素系ポリマーであることが好ましい。非フッ素系ポリマーは、例えば、水素添加により一部環状アルコール構造に変換したフェノール樹脂、ポリビニルフェノールのOH基の一部をアルキル基で保護した樹脂、スチレンと共重合したポリビニルフェノール樹脂、(メタ)アクリレートモノマー類と共重合したポリビニルフェノール樹脂、更にカルボキシ基を有する樹脂、水酸基またはカルボン酸基含有の(メタ)アクリレート共重合体などである。特許2820553、特許3148429、特開2004-35685に記載のフルオレン骨格を有するものは特に好ましい。
アルカリ可溶性ポリマー(E)の量は、フッ素系ポリマー(A)1重量部に対して、0.1〜2000重量部、例えば20〜1000重量部、特に100〜500重量部であってよい。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じて炭素数8〜12のフルオロアルキル基(例えば、パーフルオロアルキル基)を有するモノマー(例えば、パーフルオロオクチルエチルアクリレートなどのフルオロアルキル(メタ)アクリレート)、および、このモノマーを繰り返し単位とするポリマーを配合しても良い。フルオロアルキル基を有するモノマーは、Rfの炭素数が8〜12であり、Xが水素原子またはメチル基(Xはα置換されていてもよい。)である前記一般式(I)で示されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
炭素数8〜12のフルオロアルキル基を有するモノマー、および、ポリマーの量は、フッ素系ポリマー(A)100重量部に対して、20重量部以下、例えば1〜10重量部、特に1〜5重量部であってよい。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じて各種顔料を添加しても良い。例えば、黒色顔料としてはカーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、硫化ビスマス、ペリレンブラックなどである。また、黒色以外の顔料として、例えば、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、ベリノン系、アントラキノン系、ペリレン系等のもの及びこれらの混合物、ミロリブルー、酸化鉄、コバルト系、マンガン系、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン及びこれらの混合物が挙げられる。これらの顔料については、塗膜の透明性を維持しつつ塗膜を着色するために、可視光の波長の下限である0.4μm以下の粒子径に分散されることが好ましく、実用上より好ましくは0.2〜0.3μmの平均粒子径を有するものである。
顔料の量は、撥液レジストの固形分 100重量部に対して、100重量部以下、例えば10〜70重量部、特に30〜60重量部であってよい。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じて酸捕捉剤を添加することにより、膜中で酸発生剤から発生した酸の拡散を制御しても良い。酸捕捉剤としては、塩基性化合物が好ましく、アミン(特に、有機アミン)、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などが用いられる。昇華やレジスト性能を劣化させないものであればよい。これらの酸捕捉剤の中でも、有機アミンが画像性能が優れる点で好ましい。酸捕捉剤の具体例としては、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機アミンが好ましい。
酸捕捉剤の量は、光酸発生剤(B2)100重量部に対して、20重量部以下、例えば0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部であってよい。
本発明の撥液レジスト組成物には必要に応じてその他の各種添加剤が用いられる。例えば、膜の平滑性を向上させるためのフッ素系、シリコーン系、炭化水素系界面活性剤や、膜の密着性を向上させるためのシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、その他、暗反応抑制のための熱重合禁止剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤などが挙げられる。
その他の添加剤の量は、撥液レジスト固形分100重量部に対して、30重量部以下、例えば 0.01〜20重量部、特に0.1〜10重量部であってよい。
本発明の基板に用いる基材は、シリコンウエハ、合成樹脂、ガラス、金属、セラミックなどである。
金属としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、白金等が挙げられる。
セラミックとしては、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、ジルコニア、チタン酸バリウム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素)、硫化物(例えば、硫化カドミウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)等が挙げられ、これらの混合物を使用して良い。
パターン表面の形状は、最終的に製造する素子の目的に応じて適当なものを選択すれば良く、円、四角形、三角形、直線、曲線などが例示される。互いのパターンは接していても離れていても良い。例えば、ライン&スペースの場合、ライン幅およびライン間隔は、0.5〜100μm、例えば、1〜20μmであって良い。ライン幅は等間隔であっても良いし、幅が変化しても良い。ラインの形状は直線でも曲線でも良い。
撥液レジスト組成物の膜をフォトリソグラフィー法でパターニングするためには、電磁波を照射する。
本発明で膜に照射する電磁波は、波長10〜400nmの光であり、紫外線(UV, 200〜400nm)、真空紫外光(VUV, 150〜200nm)、極端紫外線(EUV, 10〜120nm)などが例示される。VUVを用いる場合、光源は波長172nmのVUVを発光できる市販のキセノンエキシマランプが使用できる。またUVを用いる場合、光源は水銀キセノンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンエキシマランプが使用できる。さらに、248nmのKrFエキシマレーザー、193nmのArFエキシマレーザー、157nmのF2エキシマレーザーを使用しても良い。露光量は1〜10,000mJ/cm2、特に1〜1000mJ/cm2であってよい。
また、光以外に、波長0.1〜10nmのX線、波長0.001〜0.01nmの電子線、波長10〜300nmのレーザー光線の電磁波を用いても良い。
本発明では、上記の電磁波を照射後に、溶媒に対する溶解性のコントラストを利用して、溶媒可溶な領域を除去する工程、いわゆる「現像」を行う。現像に使用される溶媒(現像液)は、フッ素系ポリマーの製造に用いたものやアルカリ水溶液を用いる。アルカリ水溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ水溶液や、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン等の環状アミン類のアルカリ類からなる有機アルカリ水溶液を用いる。これらは単独で用いても良いし二種類以上を混合しても良い。また、界面活性剤を添加しても良い。
現像方法は、浸漬法、液盛り法、シャワー法、パドル法、超音波法などで10秒〜10分の範囲で行って良い。
本発明では、パターンを形成した基板に機能性化合物の溶液または分散液を塗布する。機能性化合物溶液を塗布する方法は、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、印刷法、転写法、インクジェット法[P.Calvert, Chem.Mater., 13, 3299(2001)]、バーコード法、キャピラリー法などが挙げられる。
半導体化合物としては、有機系が好ましく、例えば、ペンタセン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリp-フェニレンビニレン、層状ヘロブスカイト化合物などが挙げられる。
導電性化合物としては、室温で102 S/cm 以上の導電性を有するものである。例えば、有機系ではポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリp-フェニレンビニレン、ポリアニリンなどが挙げられる。これらの化合物をドーピングすることにより導電性を向上しても良い。金属系では金、銀、銅などのナノ粒子を液体に分散したものが挙げられる。
顔料は前述の撥液レジスト組成物中に配合するものと同様である。
サーモクロミック化合物とは、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化する化合物の総称であり、例えば、サリチリデンアニリン類、ポリチオフェン誘導体、テトラハロゲノ錯体、エチレンジアミン誘導体錯体、ジニトロジアンミン銅錯体、1,4−ジアザシクロオクタン(daco)錯体、ヘキサメチレンテトラミン(hmta)錯体、サルチルアルデヒド(salen)類錯体などが挙げられる。
機能性化合物の層の厚さは、0.1nm〜100μm、例えば、1nm〜1μmであって良い。
本発明において、機能性化合物を溶解する溶媒は、表面張力40mN/m以下、例えば30mN/m以下である有機溶媒であることが好ましい。表面張力が40mN/m以下であることによって、溶液がパターン形状にそって容易に濡れ拡がることができる。
水を用いる場合は、界面活性剤や上記の水溶性有機溶媒などを添加して、表面張力を低下させても良い。
溶媒の除去は、蒸発などによって行える。溶媒の除去は、基材を、加熱(例えば、60〜200℃)することによって、行える。溶媒除去は、減圧(例えば、0.01〜100Pa)下で行っても良い。
本発明の撥液レジスト組成物は、ディスプレイ用カラーフィルタをインクジェット法で製造する際に必要となるブラックマトリクスの撥液化に極めて有用である。インクジェット法はカラーフィルタを低コストで製造するための技術として期待されているが、インクジェット技術単独ではブラックマトリクス内(画素部)に赤、緑、青のインクを正確に印刷するだけの着弾精度が不足している。そのため、ブラックマトリクスの上部を撥液化して、誤って外れたインク液滴を画素内に引き戻す必要がある。また、画素の膜厚を稼ぐために赤、緑、青のインクがブラックマトリクスの高さを超える量まで注入される場合には、ブラックマトリクスの上部の撥液化が必須である。前者の撥液性はインク溶液の転落角が、後者の撥液性は静的接触角が指標となる。
フッ素系ポリマーを含有する従来の撥液レジスト組成物には、撥液性と、感光性組成物を形成する他素材との相溶性を両立できるものではなかったが、これに対し、本発明の撥液レジスト組成物は極めて高い撥液性と相溶性を両立している。
・方法1
本発明の撥液レジスト組成物中に黒色の顔料を分散させたものを用いて、フォトリソグラフィー法により、親液性透明基板上に撥液化されたブラックマトリクスを形成する方法である。このときの撥液レジスト組成物の例としては、例えば、
フッ素系ポリマー(A) 0.1-20重量%
アルカリ可溶性ポリマー 0-20重量%
架橋剤 1-10重量%
光架橋触媒(B) 0.5-5重量%
黒色顔料 5-20重量%
溶媒(C) 残部(合計100重量%とする)
が挙げられる。
親液性透明基板上に均一に形成された感光性樹脂ブラック層の上に、本発明の撥液レジスト組成物を均一に塗布した後、フォトリソグラフィー法により、親液性透明基板上に撥液化されたブラックマトリクスを形成する方法である。このときの撥液レジスト組成物の例としては、例えば、
フッ素系ポリマー(A) 0.1-20重量%
アルカリ可溶性ポリマー 0-20重量%
架橋剤 1-10重量%
光架橋触媒(B) 0.5-5重量%
溶媒(C) 残部(合計100重量%とする)
が挙げられる。
方法1,2は液状の撥液レジスト組成物をカラーフィルタ用の基板に直接塗布してブラックマトリクスを形成する方法である。一方、文献「"LCD用カラーフィルター作製システム「トランサー」の開発", Fuji film Research & Development, No.44, p-25(1999)」に記載されているように、予めPETフィルム上に感光性ドライフィルムを作製しておき、それをカラーフィルタ用の基板に転写する方法でブラックマトリクスを形成する場合にも、本発明のフッ素系ポリマーが適用できる。この場合、感光性樹脂層あるいは酸素遮断層にフッ素系ポリマーを添加する。感光性樹脂層では方法1と同様の処方を用い、酸素遮断層では20〜30重量%のポリビニルアルコール溶液中にフッ素系ポリマーを0.1-5重量%配合したものを用い、それらを塗布、乾燥する。
本発明のパターン形成方法においてフッ素系ポリマー(A)を用いる。フッ素系ポリマー(A)はフッ素系ポリマー(A1)またはフッ素系ポリマー(A2)であることが好ましい。このフッ素系ポリマー(A)が配合されるレジスト組成物は、従来公知のレジスト組成物を使用することができる。レジスト組成物としては、たとえばノボラック樹脂とジアゾナフトキノンを主成分とするポジ型フォトレジスト(g線、i線リソグラフィー)、ポリヒドロキシスチレンをバインダー樹脂に用いた化学増幅型ポジ型またはネガ型レジスト(KrFリソグラフィー)、側鎖に脂環式構造を有するアクリル系ポリマーやポリノルボルネン構造を有する脂環式重合体などを用いた化学増幅型ポジ型フォトレジスト(ArFリソグラフィー)などが代表例としてあげられる。
本発明では高速なパターン露光処理を達成するために液浸露光用液体の液浸露光用のレンズに対する追随性を向上させる必要があり、そのためにフォトレジスト層は液浸露光用液体に対して高い動的撥水性が必要である。
本発明で用いるフォトレジスト層は、液浸露光用液体として純水を用いた液浸露光時、従来のフォトレジスト層を最外層にもつもの、または従来のレジスト用反射防止層を最外層にもつものなどに比べ、撥水性、耐水性、防水性の少なくとも1つについて優れているため、特に側鎖に脂環式構造を有するアクリル系ポリマーやポリノルボルネン構造を有する脂環式重合体などを用いた化学増幅型ポジ型フォトレジスト(ArFリソグラフィー)を用いた液浸フォトリソグラフィープロセスにおいて特に好ましく適用でき、精密なパターン形状やパターンの高寸法精度、さらにはそれらの再現性において効果的に目的を達成するものである。
(a)フォトレジスト層の形成工程:
基板にフォトレジスト組成物を回転塗布法等によって10〜5000nm、好ましくは50〜1000nm、より好ましくは100〜500nmの膜厚で塗布する。
ついで150℃以下、好ましくは80〜130℃の所定の温度でプリベーク処理を行って、フォトレジスト層を形成する。
つぎにフォトレジスト層の上に、所望のパターンを有するマスクおよび露光用の縮小投影レンズを介して、電磁波を照射し、フォトレジスト層の特定の領域を選択的に露光することによってパターン描画を行う。
本発明においては、縮小投影レンズとレジスト層の間に液浸露光用液体(純水)を満たした状態で露光するものである。
本発明の方法によれば、このような純水で満たした状態において、フォトレジスト層の表面に偏析したフッ素系ポリマー(A)の効果により、精密なパターン形状やパターンの高寸法精度、さらにはそれらの再現性において目的を達成するものである。
続いて、必要に応じて、70〜160℃、好ましくは90〜140℃で30秒間〜10分間程度の露光後ベーキング(PEB工程)を行うことによって、フォトレジスト層の露光領域に潜像を形成させる。このとき、フォトレジスト組成物として光酸発生剤を含む化学増幅型のレジスト組成物を使用した場合、露光によって生じた酸が触媒として作用して、フォトレジスト層中の溶解抑止基(保護基)が分解されて溶解性が向上するか(ポジ型)、または、架橋剤と架橋することにより溶解性が現象する(ネガ型)。
ついでフォトレジスト層に対して現像液で現像処理を行うと、ポジ型の場合、フォトレジスト層の未露光部分は現像液に対する溶解性が低いため基板上に残存するが、一方、露光領域は現像液に溶解する。反対にネガ型の場合、フォトレジスト層の露光部分は現像液に対する溶解性が低いため基板上に残存するが、一方、未露光領域は現像液に溶解する。
現像液としては2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が好ましく用いられる。フォトレジスト層表面との濡れ性を調整するため、2.38重量%TMAH水溶液中に界面活性剤やメタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノールなどのアルコール類を添加したものを用いてもよい。
また、このように形成した微細レジストパターンをマスクとして、その下の所定の層をエッチングして導電膜あるいは絶縁膜の所望の微細パターンを形成し、さらに他の工程を重ねて半導体装置など電子装置を製造することができる。これらの工程はよく知られているところであるから、説明は省略する。
レジスト組成物から溶剤のみを除去した組成物の外観を五段階で評価した。相溶性が良好なものから順に
◎>○>△>×>××
と評価した。
マスクアライナーで露光後に現像したパターンを光学顕微鏡で観察することにより、現像性を五段階で評価した。ここで言う「現像性」とは、現像後に残ったUV露光領域のパターンの形状、UV未露光領域の膜の除去性の総合評価であり、現像性が良好なものから順に◎>○>△>×>××
と評価した。
形成した親液ー撥液パターン上にカラーインクをインクジェット法で製膜した後のカラーパターンの形状を光学顕微鏡で観察することにより、カラーパターンの分裂性を五段階で評価した。分裂性が良好なものから順に
◎>○>△>×>××
と評価した。
静的接触角と転落角の測定
静的接触角は、水平に置いた基板にマイクロシリンジから水、n-ヘキサデカンまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより求めた。
また、転落角は以下の方法で求めた。水平に置いた基板にマイクロシリンジから、水の場合は20μL、n-ヘキサデカンとPGMEAの場合は5μL滴下し、基板を毎秒2°の速度で傾斜させ、液滴が転落し始めるまでを、ビデオマイクロスコープで動画として記録した。その動画を再生し、液滴が転落し始める角度を転落角とした。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にフルオロアクリレートCH2=C(Cl)COOCH2CH2C4F9[略称Rf(C4)α-Clアクリレート]144g、メタクリル酸(略称MAA)36g、イソボルニルメタクリレート(略称iBMA)60g、ラウリルメルカプタン(略称LSH)22.2g、PGMEA 490gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これに2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)1.8gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は5,000であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート78g、MAA19.5g、iBMA19.5g、グリシジルメタクリレート(略称GMA)13g、LSH12.7g、PGMEA266gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN1gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。重合後のポリマー溶液2gをアルミカップに秤量し、130℃で2時間乾燥した後の蒸発残分から固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は7,500であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、製造例2の反応上がりのRf(C4)α-Clアクリレート/MAA/iBMA/GMA=60/15/15/10mass共重合体溶液100g(GMAに由来するエポキシ基を23.2mmol含有)、アクリル酸1.67g(共重合体のエポキシ基と等量)、GMAとアクリル酸の合計に対して1000ppm(重量)のトリフェニルホスフィン(触媒)、全組成物に対して50ppm(重量)のヒドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)を入れ、窒素気流下で80℃ 18時間反応することによりフッ素系ポリマー中に不飽和基を導入した。反応液中の残存アクリル酸をガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は8,000であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート36g、MAA9g、iBMA6g、GMA6g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(略称MATMS)3g、LSH5.8g、PGMEA123gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN0.5gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。重合後のポリマー溶液2gをアルミカップに秤量し、130℃で2時間乾燥した後の蒸発残分から固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は3,100であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート36g、MAA9g、iBMA3g、GMA6g、MATMS3g、HEMA3g、LSH6.0g、PGMEA123gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN0.5gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。重合後のポリマー溶液2gをアルミカップに秤量し、130℃で2時間乾燥した後の蒸発残分から固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は14,000であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート36g、MAA9g、iBMA9g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(略称HEMA)6g、LSH5.9g、PGMEA123gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN0.5gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は7,700であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、反応上がりの製造例4のRf(C4)α-Clアクリレート/MAA/iBMA/HEMA=60/15/15/10mass共重合体溶液100g(HEMAに由来する水酸基を25.4mmol含有)、2−イソシアナトエチルアクリレート(昭和電工製カレンズAOI、略称AOI)3.58g(共重合体の水酸基に対して0.9等量)、全組成物に対して50ppm(重量)のヒドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)を入れ、窒素気流下で45℃ 1時間反応(無触媒)することによりフッ素系ポリマー中に不飽和基を導入した。反応液中の残存AOIをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。反応液を二日間、室温放置して、溶媒不溶分を沈殿させた後、濾過した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は8,000であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート36g、MAA9g、GMA3g、HEMA12g、LSH6.5g、PGMEA124gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN0.5gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は9,100であった。
製造例7のMAA9gをアクリル酸(略称AA)9gに、LSH6.5gを6.9gに置き換える以外は同じ方法でフッ素系ポリマーを調製した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は6,100であった。
製造例7のRf(C4)α-Clアクリレート36gを27gに、GMA3gを12.6gに、HEMA12gを11.4gに、LSH6.5gを7.2gに置き換える以外は同じ方法でフッ素系ポリマーを調製した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は7,000であった。
製造例7のRf(C4)α-Clアクリレート36gを27gに、GMA3gを15gに、HEMA12gを9gに、LSH6.5gを7.2gに置き換える以外は同じ方法でフッ素系ポリマーを調製した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は13,000であった。
製造例11のMAA9gをAA9gに、LSH7.2gを7.6gに置き換える以外は同じ方法でフッ素系ポリマーを調製した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は6,900であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、反応上がりの製造例7のRf(C4)α-Clアクリレート/MAA/GMA/HEMA=60/15/5/20mass共重合体溶液133.6g、AOI 4.80g、全組成物に対して50ppm(重量)のヒドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤)を入れ、窒素気流下で45℃ 1時間反応(無触媒)することにより無触媒でフッ素系ポリマー中に不飽和基を導入した。この製造方法ではスズ系の触媒を添加しなくとも容易に反応が進行する。反応液中の残存AOIをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は19,000であった。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Clアクリレート36g、MAA9g、GMA3g、プロピレングリコール(8mol)メタクリレート(略称PEG(8)MA)12g、LSH5.2g、PGMEA121gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN0.4gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するα-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。固形分濃度を測定すると33重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたフッ素系ポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は10,100であった。
表1にまとめたように、製造例2の各モノマーの比率を変えたものを製造例15〜19とした。LSHとAIBNはそれぞれ10mol%、1mol%配合した(いずれも対モノマー濃度)。
表1にまとめたように、製造例1〜4,8、9,11のRf(C4)α-Clアクリレートをパーフルオロヘキシルエチルメタクリレート[略称Rf(C6)メタクリレート] に置き換えたものを製造例20〜26とした。LSHとAIBNはそれぞれ10mol%、1mol%配合した(いずれも対モノマー濃度)。
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にMAA10.5g、HEMA42g、iBMA47.5g、2−メルカプトエタノール5.1g、PGMEA68.6gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN1.1gを添加し、18時間重合した。反応液中に残存するiBMAモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。固形分濃度を測定すると34重量%であった。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、ポリマーを単離した。得られたポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は5,200であった。
製造例27と同様の方法で、MAA6.4g、HEMA6.4g、iBMA19.2g、2−メルカプトエタノール1.6g、PGMEA78gを重合して、MAA/HEMA/iBMA=30/30/40mass共重合体を得た。重量平均分子量は6,400であった。製造例7と同様に上記反応上がりのフッ素系ポリマーに共重合されているHEMAの水酸基に対して0.9等量のAOIを反応させてポリマー中に不飽和基を導入した。得られたポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は6,000であった。
表1にまとめたように、製造例1,2,7,8のRf(C4)α-Clアクリレートをパーフルオロオクチルエチルアクリレート[略称Rf(C8)アクリレート]に置き換えたものを比較製造例1,2,3,4とし、パーフルオロテトラエチルアクリレート[略称Rf(C4)アクリレート]に置き換えたものを比較製造例5,6,7,8とした。LSHとAIBNはそれぞれ10mol%、1mol%配合した(いずれも対モノマー濃度)。
比較製造例9〜14
製造例2の各種モノマーとLSHの量を表1に示すように置き換えたものを比較製造例9〜14とした。比較製造例11は重合中にポリマーが溶媒不溶となりゲル化したのでレジスト組成物として不適であった。
MAA:メタクリル酸
iBMA:イソボルニルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
AA:アクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシメタクリレート
AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート
PEG(8)MA:プロピレングリコール(8)メタクリレート
MATMS:3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
LSH:ラウリルメルカプタン
製造例1(実施例1)または比較製造例1(比較例1)のフッ素系ポリマー1重量%、製造例27のアルカリ可溶性ポリマーA 19重量%、酸架橋剤サイメル300[ヘキサメトキシメチルメラミン](日本サイテックインダストリーズ社製)4重量%、酸発生剤IRGACURE PAG103[(5-propylsulfonyloxyimino-5H-thiophen-2-ylidene)- (2-methylphenyl)acetonitrile](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート74重量%の溶液を調製した。製造例1のフッ素系ポリマーを用いた場合、溶液は透明であったが、比較製造例1では多量の不溶分が沈殿して、撥液レジスト組成物として不適であった。この溶液と分散液を濃硫酸/過酸化水素水(=3/7容量)混合溶液に一時間浸漬することにより超親水化したガラス基板にスピンコートして基板上に膜厚(溶媒を除いた膜厚)2μmの膜を作製した。プレベークとして80℃ 3分間加熱後、この膜にライン/スペース=10μm/10μmのフォトマスクを介して、ズース・マイクロテック社製マスクアライナMA4IRから紫外線(g線、h線、i線の混合)を積算光量50mJ/cm2の条件で照射し、さらに露光後ベーク(PEB)として80℃ 3分間加熱した。この操作で照射領域は架橋してアルカリ水溶液に不溶となる。次に、アルカリ現像液P3 disperse M(ヘンケルジャパン社製)の15%水溶液に1分間浸漬することにより現像した後、水洗、乾燥し、ポストベークとして200℃で1時間加熱して、撥液領域と親液領域から成るパターン基板を作製した。パターンを電界効果型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で観察したところ、実施例1では線幅10μmの明瞭なラインパターンが形成された。一方、比較例1ではラインの形状に乱れが観察された。
実施例1のフッ素系ポリマーを表2に示す製造例のものに置き換えて、実施例2〜15、比較例2〜6を行った。結果を表2に示す。
表3に示す製造例1(実施例16)〜製造例26(実施例29)または比較製造例1(比較例7)〜比較製造例14(比較例20)のいずれかのフッ素系ポリマー1重量%、製造例27のアルカリ可溶性ポリマーB 19重量%、ラジカル重合架橋剤ペンタエリスリトールテトラアクリレート8重量%、熱架橋剤サイメル300 0.5重量%、リカシッドTH(新日本理化製テトラヒドロ無水フタル酸)0.5重量%、IRGACURE−127(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.8重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70.2重量%の溶液を調製した。この溶液をガラス基板にスピンコートして基板上に膜厚(溶媒を除いた膜厚)2μmの膜を作製した。プレベークとして90℃ 3分間加熱後、この膜にライン/スペース=10μm/10μmのフォトマスクを介して、マスクアライナMA4IRから紫外線を積算光量200mJ/cm2の条件で照射した。次に、アルカリ現像液P3 disperse Mの4%水溶液に1分間浸漬することにより現像した後、水洗、乾燥し、ポストベークとして200℃で1時間加熱して、撥液領域と親液領域から成るパターン基板を作製した。結果を表3に示す。
表4に示す各種フッ素系ポリマーをPGMEAで固形分濃度25重量%に希釈した。この溶液をスピンコート法によりシリコンウェハ上に塗布し、ホットプレート上で90℃、180秒間加熱して乾燥させることにより、膜厚800nmのフッ素系ポリマー単独膜を形成した。アルカリ可溶性は水晶振動子マイクロバランス(QCM)測定システム(MAXTEK社製THICKNESS MONITOR TM-400)で溶解時間を測定することにより評価した。アルカリ現像液はP3 disperse Mを用いた。結果を表4に示す。MAAのみ(製造例1)と比較して、MAA+GMA(製造例2)、MAA+GMA+HEMA(製造例8、11)、AA+GMA+HEMA(製造例9)ではアルカリ可溶性が改善された。特に製造例9、11のアルカリ可溶性が良好であった。
製造例8(Rf(C4)α-Clアクリレート/MAA/GMA/HEMA=60/15/5/20mass共重合体)のフッ素系ポリマーをPGMEAで希釈して固形分濃度30重量%溶液を調製した。一方、比較製造例15として、製造例8のRf(C4)α-Clアクリレートをメチルメタクリレート(略称MMA)に置き換えた非フッ素系ポリマー(MMA/MAA/GMA/HEMA=60/15/5/20mass共重合体)を重合し、同じように固形分濃度30重量%溶液を調製した。両者を50℃で3ヶ月保存した結果、製造例8のフッ素系ポリマー溶液の外観は全く異常なく、酸価も調製直後の88mgKOH/gを維持したが、比較製造例15はゲル化した。この試験結果により、α位置換アクリレートを含有することで、カルボキシル基とエポキシ基と水酸基を同一分子中に共存させても安定であることが確認された。
有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、BrewerScience社製)を、スピンコート法によりシリコンウェハ上に塗布し、ホットプレート上で225℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚100nmの有機系反射防止膜を形成した。次に、ポジ型レジスト「TArF−P6111ME(東京応化工業製)」に、製造例1(実施例32)、製造例8(実施例33)、比較製造例5(比較例22)のフッ素系ポリマー(A)を固形分に対して5重量%配合した。これらのレジストを先の反射防止膜上にスピンコート法で塗布し、ホットプレート上で110℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、反射防止膜上に膜厚200nmのレジスト膜を形成した。
これらのレジスト膜の液滴容量20μLの対水後退接触角は72°(実施例32)、84°(実施例33)、45°(比較例22)であった。
次に、マスクパターンを介して、露光装置NSR−S302A(ニコン製)により、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を露光した。露光処理後基板を回転させながら、保護膜上に25℃にて純水を2分間滴下し続け、擬似液浸環境下においた。
前記純水の滴下工程の後、130℃、90秒間の条件でPEB処理した後、各保護膜を残したまま、25℃にて2.38重量%TMAH水溶液で60秒間現像した。この現像工程によりレジスト膜の現像が良好に実現できた。このようにして得た100nmのライン・アンド・スペースが1:1となるレジストパターンを走査型電子顕微鏡により観察したところ、実施例27,28ではパターンプロファイルは良好なものであり、ゆらぎ等は全く観察されなかった。一方、比較例22はパターンのゆらぎ、膨潤などが発生し、良好なパターンが得られなかった。
製造例1(実施例34)、製造例11(実施例35)のフッ素系ポリマーX重量%(X:0.1、1、10)、製造例27のアルカリ可溶性ポリマーA (20−X)重量%、サイメル300 4重量%、酸発生剤IRGACURE PAG103 1重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75重量%の溶液を調製した。また、フッ素系ポリマーなしの場合を比較例23とした。これらのレジスト溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして膜厚(溶媒を除いた膜厚)800nmの膜を作製した。プレベークとして80℃ 3分間加熱後、フォトマスクなしで、マスクアライナMA4IRから紫外線を積算光量200mJ/cm2の条件で照射し、さらに露光後ベーク(PEB)として80℃ 3分間加熱した。この操作で均一な撥液領域を有するトップコートレス液浸レジスト膜が作製された。これらのレジスト膜の液滴容量20μLの対水後退接触角の結果を表5に示す。
Claims (20)
- (a1)炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート 100重量部
[α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]、
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部、および
(a3)高軟化点モノマー 5〜120重量部
を繰り返し単位とするフッ素系ポリマー(A1)を含有し、フッ素系ポリマー(A1)のフッ素濃度が15〜35重量%、酸価が40〜200mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜20,000である撥液レジスト組成物。 - フッ素系ポリマー(A1)の繰り返し単位が、さらに、
(a4)エポキシ基(a4−1)または水酸基(a4−2)のいずれかを含む架橋基含有モノマー 5〜30重量部
を含む請求項1に記載の撥液レジスト組成物。 - フッ素系ポリマー(A1)のエポキシ基に不飽和有機酸を反応させることを特徴とする請求項2に記載の撥液レジスト組成物。
- フッ素系ポリマー(A1)の水酸基にイソシアネート基含有不飽和化合物を反応させることを特徴とする請求項2に記載の撥液レジスト組成物。
- フッ素系ポリマー(A1)の繰り返し単位が、さらに、
(a4−1)エポキシ基を含む架橋基含有モノマー 5〜30重量部、および
(a5)SiO含有モノマー 2〜20重量部
含む請求項1に記載の撥液レジスト組成物。 - (a1)炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート 100重量部
[α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]、
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部、
(a4−1)エポキシ基を含む架橋基含有モノマー 5〜60重量部、および
(a6)(R1O)nR2
[R1は−(CH2)2−または−(CH2)3−、R2は水素またはメチル基、nは1〜10である。]で示されるアルキレンオキサイド基を含有するモノマー 10〜40重量部
を繰り返し単位とするフッ素系ポリマー(A2)を含有し、フッ素系ポリマー(A2)のフッ素濃度が15〜35重量%、酸価が40〜200mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜20,000である撥液レジスト組成物。 - フッ素系ポリマー(A2)の繰り返し単位が、さらに、
(a5)SiO含有モノマー 2〜20重量部
含む請求項6に記載の撥液レジスト組成物。 - フッ素系ポリマー(A2)の(a6)のアルキレンオキサイド基末端の水酸基にイソシアネート基含有不飽和化合物を反応させることを特徴とする請求項6に記載の撥液レジスト組成物。
- フッ素系ポリマー(A1)またはフッ素系ポリマー(A2)、光架橋触媒(B)、溶媒(C)、要すれば架橋剤(D)、要すればアルカリ可溶性ポリマー(E)を含有してなる請求項1〜8に記載の撥液レジスト組成物。
- 光架橋触媒(B)が光ラジカル重合開始剤、架橋剤(D)が多官能(メタ)アクリレートである請求項9に記載の撥液レジスト組成物。
- フルオロアルキル基が炭素数4のパーフルオロアルキル基である請求項1〜10のいずれかに記載の撥液レジスト組成物。
- 高軟化点モノマー(a3)が、ホモポリマーの状態でガラス転移点または融点が100℃以上のモノマーである請求項1〜5、9〜11のいずれかに記載の撥液レジスト組成物。
- 高軟化点モノマー(a3)が、
・CH2=C(R1)COOR2
[R1:HまたはCH3、R2:炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基]である請求項1〜5,9〜11のいずれかに記載の撥液レジスト組成物。 - 請求項1〜13のいずれかに記載の撥液レジスト組成物中に固形分に対して10〜70重量%の黒色顔料を分散させたものを用いて、フォトリソグラフィー法により、親液性透明基板上にパターン状に撥液化されたブラックマトリクスを形成することを特徴とするディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
- 親液性透明基板上に均一に形成された感光性樹脂ブラック層の上に、さらに請求項1〜13のいずれかに記載の撥液レジスト組成物を均一に塗布した後、フォトリソグラフィー法により、パターン状に撥液化されたブラックマトリクスを形成することを特徴とするディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の撥液レジスト組成物を樹脂フィルム上に塗布、乾燥して製造した感光性ドライフィルムを用いて、フォトリソグラフィー法により、親液性透明基板上にパターン状に撥液化されたブラックマトリクスを形成することを特徴とするディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
- パターン状に撥液化されたブラックマトリクスを有する親液性透明基板上に、赤、緑、青の顔料を分散した分散液を塗布し、溶媒を除去することを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載のディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
- 請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法で製造されたディスプレイ用カラーフィルタ。
- (a1)炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート 100重量部
[α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]、
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部、および
(a3)高軟化点モノマー 5〜120重量部
を繰り返し単位とするフッ素系ポリマー(A1)であり、フッ素系ポリマー(A1)のフッ素濃度が15〜35重量%、酸価が40〜200mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜20,000であるフッ素系ポリマー(A1)、あるいは
(a1)炭素数4〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート 100重量部
[α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX1X2基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]、
(a2)不飽和有機酸 5〜45重量部、
(a4−1)エポキシ基を含む架橋基含有モノマー 5〜60重量部、および
(a6) −(R1O)nR2
[R1は−(CH2)2−または−(CH2)3−、R2は水素またはメチル基、nは1〜10である。]で示されるアルキレンオキサイド基を含有するモノマー 10〜40重量部
を繰り返し単位とするフッ素系ポリマー(A2)であり、フッ素系ポリマー(A2)のフッ素濃度が15〜35重量%、酸価が40〜200mgKOH/g、重量平均分子量が3,000〜20,000であるフッ素系ポリマー(A2)
を含んでなるトップコートレス液浸リソグラフィ用のレジスト組成物。 - 請求項19のレジスト組成物により基板上にフォトレジスト層を設けた後、該基板のフォトレジスト層の上に液浸露光用液体を配置し、該液浸露光用液体を介してフォトレジスト層を選択的に露光した後、フォトレジスト層を現像液で現像処理してレジストパターンを形成する液浸法によるレジストパターン形成方法。
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