JP5428657B2 - 撥液−親液パターニング用トップコート組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、撥液-親液パターニング用トップコート組成物と該組成物を用いる撥液-親液パターンの形成方法に関する。
インクジェット技術に代表される塗布プロセスを用いてディスプレイ用の画素やバイオチップなどのデバイスを製造するためには、予め基板をフォトリソグラフィー法によりμmスケールで撥液領域と親液領域にパターニングする必要がある。基板に親液-撥液パターンを形成するために、通常のレジスト組成物中に炭素数4〜6のフルオロアルキル基(以下、Rf基と省略)を含有する(メタ)アクリレート重合体を撥液剤として内添する方法が特許文献1に開示されている。しかし、このRf基含有(メタ)アクリレートの構造では撥液領域に十分な撥液性を付与できない問題があった。この問題を解決するために発明者らは、炭素数6以下のRf基を含有し、なおかつ、通常の(メタ)アクリレートのα位を塩素原子などの嵩高い官能基に置換した特殊なアクリレート重合体を内添する方法を発明した(特許文献2)。
しかし、撥液剤をレジスト組成物に内添する方法では、撥液領域の撥液性が不十分であり、これが塗布プロセスによるデバイス作製の適用範囲を狭める原因であった。内添法では、インク溶剤として汎用されるプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと省略)に対する接触角は60°以下であり、インクジェットプロセスによる画素形成は、画素の粗い概ね40型以上の大型ディスプレイにしか適用できなかった。
特許文献3(特開2000-180841)は、実施例1において、ガラス基板に、クロム膜をスパッタしてその上にポジ型レジストを膜厚6μmとなるよう塗布し、さらに炭素数6のRf基含有アクリレートホモポリマーをパーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)で0.1重量%に希釈した撥インク処理剤をスピンコート法によりポジ型レジスト膜上に塗布して二層膜を調製することにより、膜厚6μmのブラックマトリクスを形成する方法を開示している。特許文献3は通常の高さ(1〜2μm)よりも遙かに背の高いブラックマトリクスを撥液バンク機能付き基板間隙制御用スペーサとして用いる方法である。特許文献3に記載の含フッ素重合体は撥液性が良好ではないが、ブラックマトリクスの背が高いために、インクジェット法での画素形成が可能である。しかし、通常の高さのブラックマトリクスでは良好な画素形成は難しかった。
さらに高い撥液性が実現できれば、例えば、32型以下のテレビやモバイルパソコン、携帯電話などの高精細なディスプレイの画素形成がインクジェットプロセスで可能となる。
発明者らは特許文献4(特開2007-264459)において、光源側のレンズとフォトレジスト層の間に液体(すなわち、液浸露光用液体。通常、純水が使用される)を充たし、解像度や焦点深度の向上を図る方法(いわゆる液浸リソグラフィー)で使用される溶剤溶解型トップコート組成物を開示している。この発明は一部、本発明と類似の材料を使用している。しかし、特許文献4は、半導体用途で数十nmスケールの微細加工を実施するために、溶剤溶解型トップコート層でフォトレジスト層を液浸露光用液体の水から守り、さらに液浸露光用のレンズに対する水の追随性を向上させることを目的とするものである。従って、特許文献4は、本発明の目的である基板をフォトリソグラフィー法によりμmスケールで撥液領域と親液領域にパターニングすることを示唆するものではない。また特許文献4は撥水性の向上を目的とするものであり、一方、本発明はPGMEAに代表される撥液性の向上を目的とすることも大きな違いである。
特開2005-315984 WO/2006/129800 特開2000-180841 特開2007-264459
本発明の目的は、上記現状に鑑み、対PGMEA接触角70°以上の撥液領域を有する撥液-親液パターニングを可能とするトップコート組成物と、該組成物を用いた撥液-親液パターンの形成方法を実現することである。
本発明は、「特定のフッ素系ポリマーをフッ素系溶媒に溶解して調製したトップコート組成物」を「通常のレジスト膜」上に二層コーティングすることにより、対PGMEA接触角70°以上の撥液領域を有する撥液-親液パターンを形成することである。これにより塗布プロセスによる画素形成が従来よりもさらに高精細なディスプレイにまで展開できる。
本発明は、
(A)炭素数1〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート
[ただし、α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数2〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。]
を少なくとも70重量%以上含有するフッ素系ポリマー、および
(B)溶媒
を含んでなる撥液-親液パターニング用トップコート組成物を提供する。
本発明は、感光性塗膜の上に、トップコート組成物を二層コーティングして得られた二層膜をフォトリソグラフィー法によってパターニングすることによる撥液-親液パターンの製造方法をも提供する。
本発明は、基板上に均一に形成された感光性樹脂層の上に、さらにトップコート組成物を二層コーティングして得られた二層膜をフォトリソグラフィー法により、パターン状に撥液化されたバンクを形成することを特徴とするディスプレイ用カラーフィルタまたは発光基板の製造方法をも提供する。
本発明によれば、撥液-親液パターニング用トップコート組成物を用いてフォトリソグラフィー法により製造されたプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに対する接触角が70°以上の撥液バンクが得られる。
本発明によれば、透明基板の上に形成されている、
(i)撥液-親液パターニング用トップコート組成物の層、および
(ii)感光性樹脂層
からなる二層膜が得られる。
本発明のトップコート組成物と撥液-親液パターンの形成方法は、上述の構成よりなるものであるので、対PGMEA接触角70°以上の撥液領域を有する撥液-親液パターンを形成できる。
図1は、フッ素系ポリマー内添型レジスト薄膜とレジスト/トップコート二層薄膜の対PGMEA接触角を比較した結果である。
以下に本発明を詳細に説明する。
●フッ素系ポリマー(A)製造に用いるフッ素系モノマー(a)
本発明のトップコート組成物の構成成分であるフッ素系ポリマー(A)を製造するためのフッ素系モノマー(a)は、炭素数1〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレートである。フルオロアルキル基の炭素数は、4〜6であることが好ましい。α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、シアノ基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数2〜20の直鎖状または分岐状アルキル基である。
α位置換アクリレートは、
式:
Figure 0005428657

[式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、あるいは炭素数2〜20の直鎖状または分岐状アルキル基。
Yは、直接結合、酸素原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、環状脂肪族基または芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY1)CH2−基(但し、Y1は水素原子またはアセチル基である。)、または、-(CH2)nSO2-基(nは1〜10)である。
Rfは炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
であることが好ましい。
Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、特に炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
α位置換アクリレートの例は、次のとおりである。
Figure 0005428657

Figure 0005428657

Figure 0005428657

Figure 0005428657

Figure 0005428657

Figure 0005428657
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
[式中、Rfは炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
フッ素系ポリマー(A)の製造に用いるフッ素系モノマー(a)は、上述のα位置換アクリレートのみを用いてホモポリマーを重合しても良いし、コモノマー(b)を共重合して、アルカリ可溶性を向上させても良い。
コモノマー(b)は、メタクリル酸のようにアルカリ可溶性であることが好ましい。コモノマー(b)は、一般に、フッ素原子を含有しない。
コモノマー(b)の例は、(b1)不飽和有機酸、および(b2)高軟化点モノマーである。
不飽和有機酸(b1)は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、および少なくとも1つの酸基[例えば、カルボキシル基(COOH基)]を有するモノマーであり、フッ素系ポリマー(A)の酸価が40〜200mgKOH/gとなるように共重合する。酸価は、JIS 0070. 2.1で定義されるものであり、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいう。不飽和有機酸の特に好ましい例は、不飽和カルボン酸、例えば、遊離の不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物である。不飽和有機酸(b1)の例は、(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸およびケイ皮酸である。不飽和有機酸(b1)は、電磁波照射領域における架橋剤との架橋性、および、電磁波非照射領域におけるアルカリ現像液との溶解性をフッ素系ポリマー(A)に付与する。
高軟化点モノマー(b2)は、一般に、
・ホモポリマーの状態でガラス転移点または融点が100℃以上、特に120℃以上のモノマーである。
高軟化点モノマー(b2)は、
・CH=C(R)COOR
[RはHまたはCH、R:炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基である。]
であることが好ましい。Rの例は、イソボルニル、ボルニル、フェンシル(以上はいずれもC1017, 炭素原子/水素原子=0.58)、アダマンチル(C1015, 炭素原子/水素原子=0.66)、ノルボルニル(C12, 炭素原子/水素原子=0.58)などの架橋炭化水素環が挙げられる。これらの架橋炭化水素環に水酸基やアルキル基(炭素数、例えば1〜5)が付いていても良い。
高軟化点モノマー(b2)の例は、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、およびアダマンチル(メタ)アクリレートである。ノルボルニル(メタ)アクリレートの例は、3-メチル-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、1,3,3-トリメチル-ノルボルニル(メタ)アクリレート、ミルタニルメチル(メタ)アクリレート、イソピノカンファニル(メタ)アクリレート、2-{[5-(1’,1’,1’-トリフルオロ-2’-トリフルオロメチル-2’-ヒドロキシ)プロピル]ノルボルニル }(メタ)アクリレートである。アダマンチル(メタ)アクリレートの例は、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル-α-トリフルオロメチル(メタ)アクリレートである。
フッ素系モノマー(a)/コモノマー(b)の重量比は、100/0〜70/30、特に99.5/0.5〜85/15の範囲である。
●フッ素系ポリマー(A)の製造
フッ素系ポリマー(A)は、以下のようにして製造することができる。モノマーおよび必要な成分を溶媒に溶解させ、窒素置換後、重合触媒を加えて20〜120℃の範囲で1〜20時間、撹拌する方法が採用される。
重合に用いられる溶媒は有機溶媒、水溶性有機溶媒、水などが使用できる。重合後のフッ素系ポリマーの溶解性と環境への負荷が小さいことから、ハイドロフルオロエーテルを用いても良い。溶媒は重合組成物中に10〜90重量%の範囲で用いられる。
フッ素系ポリマーの分子量を調整するためにメルカプタン類、ハロゲン化アルキル類などの連鎖移動剤を添加しても良い。メルカプタン類としては、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2−メルカプトエタノール、メルカプト酸イソオクチル、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸メトキシブチル、シリコーンメルカプタン(信越化学製 KF−2001)などが、ハロゲン化アルキル類としては、クロロホルム、四塩化炭素、四臭化炭素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合後のフッ素系ポリマーは、後述するトップコート組成物用溶媒(B)を重合溶媒に用いる場合はそのままトップコート組成物として用いても良いし、未反応モノマーを除去するために、貧溶媒と混合して精製しても良い。貧溶媒はヘキサン、メタノール、エタノールなどが使用される。あるいは、ロータリーエバポレーターなどを用いて重合溶媒を留去しても良い。
フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、3,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めたものである(標準ポリスチレン換算)。フッ素系ポリマーがGPC用溶媒として汎用されるテトラヒドロフランに溶解しない場合は便宜的にメタクリル酸を5重量%共重合したポリマーで分子量を測定しても良い。
●トップコート組成物の製造
トップコート組成物は前述のフッ素系ポリマー(A)を溶媒(B)に好ましくは0.01〜5重量%、特に0.02〜0.5重量%の範囲の濃度で溶解して調製する。0.01〜5重量%であることにより、十分な撥液性が発現し、現像が明瞭である。
溶媒(B)はフッ素系ポリマー(A)を溶解して、なおかつ、下層のレジスト膜を溶解しないものが選択され、通常はフッ素系溶媒が使用される。
溶媒(B)は、ハイドロフルオロエーテルであることが好ましい。ハイドロフルオロエーテルは、式:
2n+1-O-C2x+1 (1)
[式中、nは1〜6の数、xは1〜6の数である。]
で示される化合物であることが好ましい。
ハイドロフルオロエーテル(以下、HFEと省略)はフッ素系ポリマーの溶解性が良好で環境に負荷を与えない点で好ましく、米国3M社のノベックHFE7100(化学式C4F9OCH3),7200(化学式C4F9OC2H5),7300(化学式C6F13OCH3),7500(化学式C3HF6-CH(CH3)O-C3HF6)などが使用され、特にHFE7100が好ましい。
フッ素系ポリマーの溶解性を改善するために、溶媒(B)は非フッ素系溶媒をも含有しても良い。
非フッ素系溶媒の例は、アルコール、例えばイソプロピルアルコール(以下、IPAと省略)、ケトン、例えば、アセトン、エーテル、例えばジエチルエーテルなどである。
フッ素系溶媒(例えば、HFE)と非フッ素系溶媒の混合重量比は、100/0〜90/10、特に100/0〜98/2であることが好ましい。100/0〜90/10である場合には、下層の溶解が生じることなく、撥水バンクが良好に形成される。フッ素系溶媒と非フッ素系溶媒の混合物において、フッ素系溶媒(例えば、HFE)と非フッ素系溶媒の混合重量比は99.9/0.1〜90/10であってよい。非フッ素系溶媒がIPAである場合に、HFE/IPAの混合重量比は、100/0〜95/5の範囲、特に100/0〜99/1の範囲が好ましい。
トップコート組成物には、必要に応じて、消泡剤、吸光剤、保存安定剤、防腐剤、接着助剤、光酸発生剤などを添加しても良い。
●下層に使用するレジスト組成物
nm〜μmスケールのパターンを形成できるレジスト組成物であれば特に限定されず、ネガ型でもポジ型でも良い。例えば、
「高分子先端材料 One Point 10 レジスト材料」(著者 伊藤洋), 共立出版株式会社(2005)
に記載のレジスト組成物であれば特に限定されない。
以下にネガ型レジスト組成物について説明する。
ネガ型レジスト組成物は、光架橋触媒、溶媒、架橋剤、アルカリ可溶性ポリマーなどが必須成分であり、これを基板上に塗布して感光性塗膜を形成し、フォトマスクを介して電磁波を照射すると、照射領域のみが硬化してアルカリ現像液に不溶化するので、アルカリ現像液で現像することによりパターンが形成される。
・光架橋触媒
光架橋触媒はラジカル光重合開始剤または光酸発生剤が使用される。
ラジカル光重合開始剤は、光によりラジカルを発生する化合物である。ラジカル光重合開始剤の市販品としては、
IRGACURE 651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
IRGACURE 184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
IRGACURE 2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、
IRGACURE 127:2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、
IRGACURE 907:2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、
IRGACURE 369:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、
IRGACURE 379:2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、
IRGACURE 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、
IRGACURE 784:ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、
IRGACURE OXE 01:1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、
IRGACURE OXE 02:エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、
IRGACURE261、IRGACURE369、IRGACURE500、
DAROCUR 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、
DAROCUR TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、
DAROCUR1116、DAROCUR2959、DAROCUR1664、DAROCUR4043、
IRGACURE 754 オキシフェニル酢酸:2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、
IRGACURE 500:IRGACURE 184:ベンゾフェノン=1:1の混合物、
IRGACURE 1300:IRGACURE 369:IRGACURE 651= 3:7の混合物、
IRGACURE 1800 :CGI403:IRGACURE 184=1:3の混合物、
IRGACURE 1870:CGI403:IRGACURE 184=7:3の混合物、
DAROCUR 4265:DAROCUR TPO:DAROCUR 1173= 1:1の混合物
などが例示される。ここでIRGACUREはチバ製、DAROCURはメルクジャパン製である。
また、増感剤として、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどを、重合促進剤として、DAROCUR EDB(エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート)、DAROCUR EHA(2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート)などを併用しても良い。
光酸発生剤[Photochemical acid generator(PAG)]は光をあてることによって反応し酸を発生する材料である。PAGは、光を吸収する発色団と分解後に酸となる酸前駆体より構成されており、このような構造のPAGに特定波長の光を照射することで、PAGが励起し酸前駆体部分から酸を発生する。PAGの市販品として、和光純薬製のWPAG−145[Bis(cyclohexylsulfonyl)diazomethane]、WPAG−170[Bis(t−butylsulfonyl)diazomethane]、WPAG−199[Bis(p−toluenesulfonyl)diazomethane]、WPAG−281[Triphenylsulfonium trifluoromethanesulfonate]、WPAG−336[Diphenyl−4−methylphenylsulfonium trifluoromethanesulfonate]、WPAG−367[Diphenyl−2,4,6−trimethylphenylsulfonium p−toluenesulfonate]、チバ製のIRGACURE PAG103[(5-propylsulfonyloxyimino-5H-thiophen-2-ylidene)- (2-methylphenyl)acetonitrile]、IRGACURE PAG108[(5-octylsulfonyloxyimino-5H-thiophen-2-ylidene)- (2-methylphenyl)acetonitrile)]、IRGACURE PAG121[(5-p-toluenesulfonyloxyimino-5H-thiophen-2-ylidene)- (2-methylphenyl)acetonitrile]、IRGACURE PAG203、CGI725、三和ケミカル製のTFE-トリアジン[2-[2-(Furan-2-yl)ethenyl]-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine]、TME-トリアジン[2-[2-(5-Methylfuran-2-yl)ethenyl]-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine]MP-トリアジン[2-(Methoxyphenyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine]、ジメトキシトリアジン[2-[2-(3,4-Dimethoxyphenyl)ethenyl]-4,6-bis(trichloromethyl)-s-triazine]などを使用することができる。
・溶媒
溶媒は、水溶性有機溶媒、有機溶媒、水などであり、水溶性有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコール、3−メトキシブチルアセテート(MBA)、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、乳酸エチル、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールなどが、有機溶媒としては、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても2種以上を混合しても良い。
・架橋剤
架橋剤は単官能、または、好ましくは二個以上の官能基を有する化合物であり、ラジカル重合反応により硬化するタイプが好ましく、カチオン重合反応により硬化するタイプであっても良い。前者は不飽和二重結合基であるアクリロイル基やビニル基が官能基であり、後者はエポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基が官能基となり、
(a) ウレタン(メタ)アクリレート
(b) エポキシ(メタ)アクリレート
(c) ポリエステル(メタ)アクリレート
(d) ポリエーテル(メタ)アクリレート
(e) シリコーン(メタ)アクリレート
(f) (メタ)アクリレートモノマー
(g) エポキシ系モノマー
(h) ビニルエーテル系モノマー
(i) オキセタン系モノマー
に分類される。(a)〜(f)がラジカル重合反応で硬化するタイプであり、(g)〜(i)はカチオン重合反応により硬化するタイプである。
(a)〜(e)は樹脂に(メタ)アクリロイル基を付加したものであり、オリゴマー、ベースレジン、プレポリマーなどと表現されることが多い。
(f) (メタ)アクリレートモノマーは、単官能あるいは多官能のアルキル(メタ)アクリレートや、500mPa s(25℃)以下の低粘度ポリエーテル(メタ)アクリレートであり、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成製アロニックスM−450)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成製アロニックスM−405)などが例示される。
光架橋触媒として光酸発生剤を用いる場合は、架橋剤に酸架橋剤を用いても良い。酸架橋剤は、一分子中に酸性基と架橋する複数(例えば2〜10)の反応基(例えば、カルボン酸、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、N-メチロール基、アルキルエーテル化したN-メチロール基、エポキシ基など)を有する化合物、あるいは、酢酸の多価金属塩であり、アミノ樹脂、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、酢酸アルミニウムなどが例示される。
アミノ樹脂としては、メラミン系化合物、グアナミン系化合物、尿素系化合物等のアミノ基の一部もしくはすべてをヒドロキシメチル化した化合物、または該ヒドロキシメチル化した化合物の水酸基の一部もしくはすべてをメタノール、エタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール等でエーテル化した化合物、例えば、ヘキサメトキシメチルメチロールメラミンであり、日本サイテックインダストリーズ製のアルキル型、メチロール型、イミノ型の各種アミノ樹脂などが挙げられる。
・アルカリ可溶性ポリマー
アルカリ可溶性ポリマーは、カルボキシル酸、水酸基、スルホン酸などのアルカリで中和すると水溶性の塩を生成する官能基を有するポリマーを意味する。アルカリ可溶性ポリマーは非であることが好ましい。非は、例えば、水素添加により一部環状アルコール構造に変換したフェノール樹脂、ポリビニルフェノールのOH基の一部をアルキル基で保護した樹脂、スチレンと共重合したポリビニルフェノール樹脂、(メタ)アクリレートモノマー類と共重合したポリビニルフェノール樹脂、更にカルボキシ基を有する樹脂、水酸基またはカルボン酸基含有の(メタ)アクリレート共重合体などである。特許2820553、特許3148429、特開2004-35685に記載のフルオレン骨格を有するものは特に好ましい。
●基材
本発明の基板に用いる基材は、シリコンウエハ、合成樹脂、ガラス、金属、セラミックなどである。基材は、透明であることが好ましいが、非透明であってもよい。
合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよく、例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エボキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。合成樹脂製の基板を用いれば、軽量、透明、安価、曲げられるなどの特徴を基板に付与できる。
ガラスとしては、例えば、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラス等が挙げられる。
金属としては、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、白金等が挙げられる。
セラミックとしては、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素、ジルコニア、チタン酸バリウム)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素)、硫化物(例えば、硫化カドミウム)、炭化物(例えば、炭化ケイ素)等が挙げられ、これらの混合物を使用して良い。
いずれの基板を用いる場合でも、プラズマ処理やUVオゾン処理などの前処理を行っても良い。これらの前処理により、基板表面に親液性の官能基(例えば、OH基、COOH基、NH基)を導入できる。
●二層コーティングの方法
上記基材の表面に、レジスト組成物を塗布プロセスにより均一に処理する。処理方法は、膜厚を制御できるものであれば公知の塗布法を採用することができる。例えば、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、フローコート法、バーコート法、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法などが採用でき、基材の種類、形状、生産性、膜厚の制御性などを考慮して選択できる。例えば、レジスト組成物をスピンコート法で基板に塗布して下層のレジスト膜を形成した後、引き続きトップコート組成物をスピンコート法で塗布して上層を形成する。トップコート組成物を塗布するときの湿度は50%以下、特に40%以下が好ましい。湿度が50%以下であると製膜後のRf基の配向が良好であり、撥液性に悪影響を及ぼす頻度が低い。
このように二層コーティングを完了した後、溶媒を乾燥させるためのプリベークを実施する。プリベークは、70〜150℃で1秒間〜10分間(例えば110℃で1分間)加熱する。下層のレジスト膜の厚さは、一般に50nm〜100μm、例えば100nm〜10μm、特に500nm〜5μmであって良い。トップコート膜の厚さは、一般に1nm〜100nm、例えば2nm〜80nm、特に3nm〜50または20nmであって良い。
次にフォトリソグラフィー法を用いて二層コーティングした二層膜を撥液-親液パターニングする。表面自由エネルギーが異なる複数の領域[(1)プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)接触角70°以上の領域、特に80°以上の領域と、(2)PGMEA接触角10°以下の領域、特に5°以下の領域]から構成されるパターン基板が調製される。
フォトリソグラフィー法により、トップコート膜およびレジスト膜からなるバンクが形成される。バンクは、一般に、バンクの上面にトップコート膜を有しており、バンクの側面にトップコート膜を有していない。バンクの上面は、PGMEA接触角が70°以上であることが好ましい。バンクの側面およびバンクの無い底面(例えば、基材表面)において、PGMEA接触角10°以下であることが好ましい。
二層コーティングした二層膜をフォトリソグラフィー法で撥液-親液パターニングするためには電磁波を照射する。
●電磁波(露光)
本発明で二層膜に照射する電磁波は、波長10〜400nmの光であり、紫外線(UV, 200〜400nm)、真空紫外光(VUV, 150〜200nm)、極端紫外線(EUV, 10〜120nm)などが例示される。VUVを用いる場合、光源は波長172nmのVUVを発光できる市販のキセノンエキシマランプが使用できる。またUVを用いる場合、光源は水銀キセノンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、キセノンエキシマランプが使用できる。さらに、248nmのKrFエキシマレーザー、193nmのArFエキシマレーザー、157nmのF2エキシマレーザーを使用しても良い。露光量は1〜10,000mJ/cm2、特に1〜1000mJ/cm2であってよい。
また、光以外に、波長0.1〜10nmのX線、波長0.001〜0.01nmの電子線、波長10〜300nmのレーザー光線の電磁波を用いても良い。
光やX線でフォトリソグラフィーを行う場合は、フォトマスクを介して膜に光を照射しても良いし、米国テキサス・インスツルメンツ社が開発したDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)のようなMicro Electro Mechanics(MEMS)を使用して、マスクレスでパターン状に光を照射しても良い。DMDは10μmスケールの可動式の鏡(マイクロミラー)48万〜131万個を格子状に配列したデバイスであり、このミラーにランプ光を反射させて膜にパターン状に光を照射する。
一方、電子線、レーザー光線では、市販の描画装置を用いてフォトマスクなしで直接、均一に表面処理された基板にパターンを描画する。電子線の露光量はラスター描画では10〜10,000μC/cm2、特に100〜1,000μC/cm2、ショット描画では100〜100,000fC/dot、特に1,000〜10,000fC/dotであってよい。
露光の後に、ベーク(ポストエクスポージャーベーク)を行ってもよい。ポストエクスポージャーベークは、70〜150℃で1秒間〜10分間(例えば80℃で1分間)加熱することによって行える。
●現像
本発明では、上記の電磁波を照射後に、溶媒に対する溶解性のコントラストを利用して、溶媒可溶な領域を除去する工程、いわゆる「現像」を行う。現像に使用される溶媒(現像液)は、通常、アルカリ水溶液が用いられる。アルカリ水溶液は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ水溶液や、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、N−メチルピロリドンなどの第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンなどの第四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン等の環状アミン類のアルカリ類からなる有機アルカリ水溶液を用いる。これらは単独で用いても良いし二種類以上を混合しても良い。また、界面活性剤を添加しても良い。アルカリ現像液の製品として、ヘキスト製P3 Disperseシリーズが挙げられる。
現像方法は、浸漬法、液盛り法、シャワー法、パドル法、超音波法などで10秒〜10分の範囲で行って良い。
本発明では、撥液-親液パターンの濡れのコントラストを強調するために、パターン形成後に、プラズマ処理やUVオゾン処理などの処理を行っても良い。また、これらの処理の後に熱処理を行っても良い。この熱処理は、70〜150℃で1秒間〜10分間(例えば110℃で1分間)加熱することによって行える。
ポジ型レジスト組成物
ポジ型レジスト組成物の場合には、露光されると現像液に対して溶解性が増大する化合物(例えば、ポリマー)を用いる。露光された部分が現像液により除去され、パターンが形成される。
●撥液-親液パターンの形状
撥液-親液パターンの形状は、最終的に製造する素子の目的に応じて適当なものを選択すれば良く、円、四角形、三角形、直線、曲線などが例示される。互いのパターンは接していても離れていても良い。例えば、ライン&スペースの場合、ライン幅およびライン間隔は、0.5〜100μm、例えば、1〜20μmであって良い。ライン幅は等間隔であっても良いし、幅が変化しても良い。ラインの形状は直線でも曲線でも良い。親液領域の形状が矩形の場合、矩形の長さは、0.5〜500μm、例えば、10〜100μmであって良い。撥液領域の線幅は0.5〜500μm、例えば、10〜100μmであって良い。
●撥液-親液パターンを形成した基板に対する機能性化合物溶液の塗布
本発明では、撥液-親液パターンを形成した基板に機能性化合物の溶液または分散液を塗布する。機能性化合物溶液を塗布する方法は、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、印刷法、転写法、インクジェット法[P.Calvert, Chem.Mater., 13, 3299(2001)]、ノズルプリンティング法、バーコード法、キャピラリー法などが挙げられる。
機能性化合物の層は、パターン表面の上に、機能性化合物を溶媒に溶解した溶液を塗布し、溶媒を除去することによって形成することができる。表面自由エネルギーが異なる複数の領域に機能性化合物溶液を塗布すると、機能性化合物溶液は、対PGMEA接触角70°以上、特に80°以上の領域を避けて、対PGMEA接触角10°以下、特に5°以下の領域のみに濡れ拡がる。こうして、機能性化合物の層が基板にパターン化された親液領域上に形成される。
機能性化合物の例は、半導体化合物、導電性化合物、ディスプレイ用画素を形成するための色素または顔料、フォトクロミック化合物、サーモクロミック化合物、レンズ材料、生命科学薬剤などである。
半導体化合物としては、有機系化合物が好ましく、例えば、ペンタセン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリp-フェニレンビニレン、層状ヘロブスカイト化合物などが挙げられる。
導電性化合物としては、室温で102 S/cm 以上の導電性を有するものである。例えば、有機系ではポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリp-フェニレンビニレン、ポリアニリンなどが挙げられる。これらの化合物をドーピングすることにより導電性を向上しても良い。金属系では金、銀、銅などのナノ粒子を液体に分散したものが挙げられる。
顔料は、黒色顔料としてはカーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、硫化ビスマス、ペリレンブラックなどである。また、黒色以外の顔料として、例えば、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、フタロシアニン系、キナクドリン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、ベリノン系、アントラキノン系、ペリレン系等のもの及びこれらの混合物、ミロリブルー、酸化鉄、コバルト系、マンガン系、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン及びこれらの混合物が挙げられる。これらの顔料については、塗膜の透明性を維持しつつ塗膜を着色するために、可視光の波長の下限である0.4μm以下の粒子径に分散されることが好ましく、実用上より好ましくは0.2〜0.3μmの平均粒子径を有するものである。また、色素としては、有機EL用に開発された高分子または低分子の塗布型の発光材料が挙げられる。
フォトクロミック化合物としては、有機系が好ましく、例えば、アゾベンゼン誘導体、スピロピラン誘導体、フルギド誘導体、ジアリールエテン誘導体などが挙げられる。
サーモクロミック化合物とは、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化する化合物の総称であり、例えば、サリチリデンアニリン類、ポリチオフェン誘導体、テトラハロゲノ錯体、エチレンジアミン誘導体錯体、ジニトロジアンミン銅錯体、1,4−ジアザシクロオクタン(daco)錯体、ヘキサメチレンテトラミン(hmta)錯体、サルチルアルデヒド(salen)類錯体などが挙げられる。
機能性化合物の層の厚さは、0.1nm〜100μm、例えば、1nm〜1μmであって良い。
機能性化合物を溶解する溶媒の例は、有機溶媒、水溶性有機溶媒、および水である。機能性化合物が水に難溶性の場合、有機溶媒または水溶性有機溶媒に溶解させる必要がある。
本発明において、機能性化合物を溶解する溶媒は、表面張力40mN/m以下、例えば30mN/m以下である有機溶媒であることが好ましい。表面張力が40mN/m以下であることによって、溶液がパターン形状にそって親液領域内に容易に濡れ拡がることができる。
有機溶媒としては、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、炭化水素(例えば、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素)等が挙げられ、有機溶媒はフッ素化されていてもされていなくてもどちらでも良い。有機溶媒の具体例は、パーフルオロデカリン、ハイドロフルオロエーテル、HCFC225、クロロホルム、1,1,2,2-テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、酢酸ブチル、ヘキサン、イソペンタン、トルエン、キシレン、アニソール、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、水溶性有機溶媒の具体例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ、エチルセルソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、乳酸エチル、モノグライム、ジグライム、トリグライム、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
水を用いる場合は、界面活性剤や上記の水溶性有機溶媒などを添加して、表面張力を低下させても良い。
機能性化合物の溶液における機能性化合物の濃度は、0.1〜30重量%、例えば、1〜20重量%であって良い。
溶媒の除去は、蒸発などによって行える。溶媒の除去は、基材を、加熱(例えば、60〜200℃)することによって、行える。溶媒除去は、減圧(例えば、0.01〜100Pa)下で行っても良い。
本発明は、電子、光学、医療、化学分析などの幅広い用途のデバイスに用いることが可能である。例えば、電子デバイスとしては、トランジスタ、メモリ、発光ダイオード(EL)、レーザー、太陽電池などの集積回路に利用できる。これらのデバイスからフレキシブルディスプレイ、無線タグ、ウエアラブルなコンピュータなどが製造される。また、光学デバイスとしては、液晶ディスプレイのカラーフィルタや有機ELなどのディスプレイ用画素(例えば、発光基板)、光メモリ、光変調素子、光シャッター、第二次高調波(SHG)素子、偏光素子、フォトニッククリスタル、レンズアレイなどに、医療デバイスとしては、DNAアレイ、タンパク質アレイなどのバイオチップなどに利用できる。化学分析デバイスとしては、微小化学プラント、微小化学分析システムなどのマイクロ化学チップに利用できる。
●撥液バンクの撥液化
本発明のトップコート組成物は、ディスプレイ用カラーフィルタまたは発光基板をインクジェット法で製造する際に必要となる撥液バンクの撥液化に極めて有用である。撥液バンクは、カラーフィルタまたは発光基板において、マトリクス状に配置され、色素または発光材料(例えば、半導体材料)などを分離する。バンクの上面は撥液性を有しており、一方、バンクの側面およびバンクのない部分(例えば、基板の表面)は撥液性を有していない。こうして、色素または発光材料は、バンクによって充分に分離され、さらに、バンクの間に形成された空間に隙間無く広がる。
撥液バンクは、液晶ディスプレイのカラーフィルタおよび有機ELディスプレイの発光基板において有用に使用できる。
(i)カラーフィルタにおけるブラックマトリクスの撥液化
本発明のトップコート組成物は、ディスプレイ用カラーフィルタをインクジェット法で製造する際に必要となるブラックマトリクスの撥液化に極めて有用である。インクジェット法はカラーフィルタを低コストで製造するための技術として期待されているが、インクジェット技術単独ではブラックマトリクス内(画素部)に赤、緑、青のインクを正確に印刷するだけの着弾精度が不足している。そのため、ブラックマトリクスの上部を撥液化して、誤って外れたインク液滴を画素内に引き戻す必要がある。また、画素の膜厚を稼ぐために赤、緑、青のインクがブラックマトリクスの高さを超える量まで注入される場合には、ブラックマトリクスの上部の撥液化が必須である。この撥液性の指標として対PGMEA接触角が選択されることが多い。
(ii)発光基板におけるバンクマトリクスの撥液化
有機ELにおいて使用する発光基板において、撥液バンクがマトリクス状で使用される。本発明のトップコート組成物を使用することによって、良好な撥液性を有する撥液バンクを形成することが可能になる。
以下に、本発明のトップコート組成物を用いてブラックマトリクスを撥液化するための方法について説明する。
親液性透明基板上に均一に形成された感光性樹脂ブラック層の上に、本発明のトップコート組成物を均一に塗布した後、フォトリソグラフィー法により、親液性透明基板上に撥液化されたブラックマトリクスを形成する方法である。このときのブラックレジスト組成物の例としては、例えば、
アルカリ可溶性ポリマー 0-20重量%
架橋剤 1-10重量%
光架橋触媒 0.5-5重量%
黒色顔料 5-20重量%
溶媒 残部(合計100重量%とする)
が挙げられる。
撥液化されたブラックマトリクスを有する透明基板上に、カラーフィルタ用の赤、緑、青の顔料分散液をインクジェット法により塗布し、溶媒を除去することでカラーフィルタが極めて低コストで製造できる。
本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
実施例及び比較例において、各測定は以下の方法で行った。なお、特に断らない限り、全ての操作を25℃で行った。
●現像性の評価
マスクアライナーで露光後に現像したパターンを光学顕微鏡で観察することにより、現像性を五段階で評価した。ここで言う「現像性」とは、現像後に残ったUV露光領域のパターンの形状、UV未露光領域の膜の除去性の総合評価であり、現像性が良好なものから順に◎>○>△>×>××
と評価した。
●カラーパターンの分裂性の評価
形成した親液ー撥液パターン上にカラーインクをインクジェット法で製膜した後のカラーパターンの形状を光学顕微鏡で観察することにより、カラーパターンの分裂性を五段階で評価した。分裂性が良好なものから順に
◎>○>△>×>××
と評価した。
接触角は全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学製)を用いて次の方法で測定した。水平に置いた基板にマイクロシリンジからプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより求めた。
以下に示す製造例、比較製造例のポリマーを合成した。以下に詳しい合成方法を説明する。
製造例1[トップコート用Rf(C4)α-Clホモポリマー]
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、Rf基炭素数4のα位を塩素に置換したフルオロアクリレートCH=C(Cl)COO−CHCH[略称Rf(C4)α-Cl] 4g、HFE7200 16g、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)0.04gを入れ、70℃に加熱後、12時間窒素気流下で撹拌した。反応液中に残存するRf(C4)α-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。
製造例2(トップコート用Rf(C4)α-Cl/MAA=95/5mass共重合体)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中に、Rf基炭素数4のα位を塩素に置換したフルオロアクリレートCH=C(Cl)COO−CHCH[略称Rf(C4)α-Cl] 3.8g、メタクリル酸(略称MAA)0.2g、HFE7200 16g、AIBN 0.04gを入れ、70℃に加熱後、12時間窒素気流下で撹拌した。反応液中に残存するRf(C4)α-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は35,000であった。
製造例3[トップコート用Rf(C6)α-Clホモポリマー]
製造例1のRf(C4)α-Clを、Rf基炭素数6のα位を塩素に置換したフルオロアクリレートCH=C(Cl)COO−CHCH613[略称Rf(C6)α-Cl] に置き換える以外は全く同じ方法でフッ素系ポリマーを製造した。
比較製造例1〜4[従来のトップコート用フルオロ(メタ)アクリレートホモポリマー]
製造例1のRf(C4)α-Clを、Rf基炭素数4のフルオロアクリレートCH=C(H)COO−CHCH[略称Rf(C4)α-H](比較製造例1) 、Rf基炭素数4のフルオロメタクリレートCH=C(CH)COO−CHCH[略称Rf(C4)α-CH3] (比較製造例2)、Rf基炭素数6のフルオロメタクリレートCH=C(CH)COO−CHCH13[略称Rf(C6)α-CH3] (比較製造例3) 、Rf基炭素数8のフルオロアクリレートCH=C(H)COO−CHCH817[略称Rf(C8)α-H] (比較製造例4)に置き換える以外は全く同じ方法でフッ素系ポリマーを製造した。
比較製造例5[レジスト内添用フッ素系ポリマーRf(C4)α-Cl/MAA/iBMA=60/15/25mass%]
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にRf(C4)α-Cl 2.4g、MAA0.6g、イソボルニルメタクリレート(略称iBMA)1g、n−ドデシルメルカプタン 対モノマー10mol%、メトキシブチルアセテート16gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN 対モノマー1mol%を添加し、12時間重合した。反応液中に残存するRf(C4)α-Clモノマーをガスクロマトグラフィーで分析することより、転化率が95%以上であることを確認した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、フッ素系ポリマーを単離した。得られたの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は5,000(ポリスチレン換算)であった。
比較製造例6〜9[従来のレジスト内添用フッ素系ポリマー]
比較製造例5のRf(C4)α-Clを、Rf(C4)α-H(比較製造例6) 、Rf(C4)α-CH3(比較製造例7)、Rf(C6)α-CH3(比較製造例8)、Rf(C8)α-H(比較製造例9)に置き換える以外は全く同じ方法で従来構造のレジスト内添用フッ素系ポリマーを製造した。
製造例4(アルカリ可溶性ポリマー)
還流冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌装置を備えた四つ口フラスコ中にMAA 10.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 42g、iBMA 47.5g、メルカプトエタノール 対モノマー10mol%、PGMEA 232gを入れ、70℃に加熱後、30分間窒素気流下で撹拌した。これにAIBN 対モノマー1mol%を添加し、12時間重合した。得られた反応液をヘキサンで沈殿、真空乾燥して、アルカリ可溶性ポリマーを単離した。得られたポリマーの分子量をGPCで測定すると、重量平均分子量は5,000(ポリスチレン換算)であった。
実施例1(トップコート)
まず、シリコンウエハ上に、アルカリ可溶性ポリマー(製造例4)20重量%、サイメル300(日本サイテックインダストリーズ製メラミン樹脂)4重量%、IRGACURE PAG103(チバ製光酸発生剤)1重量%、PGMEA75重量%の組成のネガ型レジスト組成物を2000rpmでスピンコートし(下層の膜厚800nm)、熱処理なしで直ちにトップコート組成物[製造例1のRf(C4)α-ClホモポリマーをHFE7100に0.05重量%となるように希釈したもの]を2000rpmでスピンコートした(上層の膜厚5nm)。上層と下層の膜厚は、それぞれを単独でシリコンウエハ上に製膜したものを剃刀で切削したサンプルを調製して、原子間力顕微鏡により測定した。トップコート組成物の濃度は現像性と撥液性が両立できる濃度として選択した。
次に、プリベーク80℃ → フォトマスクなしで露光(g,h,i線の混合)200mJ/cm2 → 露光後ベーク(PEB) 80℃ → アルカリ現像(ヘキスト製 P3 disperse Mの原液) → ポストベーク110℃により、基板のシリコンウエハ上に均一な撥液塗膜を作製し、対PGMEA接触角を測定した。
比較例1〜4(トップコート)
実施例1のトップコート組成物に使用するフッ素系ポリマーを比較製造例1〜4に置き換えて、対PGMEA接触角を測定した。
比較例5〜9(内添)
レジスト組成物に内添したフッ素系ポリマーは、比較製造例5〜9のフルオロ(メタ)アクリレート共重合体である。アルカリ可溶性を付与するためにMAAを共重合し、レジスト溶媒への溶解性を付与するためにiBMAを共重合した。このフッ素系ポリマー1重量%(=対固形分換算で4重量%)と、アルカリ可溶性ポリマー(製造例4)19重量%、サイメル300 4重量%、IRGACURE PAG103 1重量%、PGMEA75重量%から成るネガ型レジスト組成物を、スピンコート2000rpm → プリベーク80℃ → 露光200mJ/cm2 → PEB80℃ → アルカリ現像(10%に希釈したP3 disperse M) → ポストベーク110℃により、基板のSi-waferに撥液塗膜を作製した(膜厚800 nm)。フッ素系ポリマー4重量%(対固形分)は現像性と撥液性が両立できる濃度として選択した。
結果を以下の表1および図1に示す。
表1.トップコートと内添の対PGMEA静的接触角の比較
Figure 0005428657
表1は、フッ素系ポリマー内添型レジスト薄膜(以下、内添と省略)とレジスト/トップコート二層薄膜(以下、トップコートと省略)の対PGMEA接触角を比較した結果である。表1に記載したフルオロ(メタ)アクリレートの繰返単位名は、内添は共重合体に用いたフルオロ(メタ)アクリレートを示し、トップコートはホモポリマーに用いたフルオロ(メタ)アクリレートを示している。トップコートと内添のいずれの場合でも、C4の中では圧倒的にα-Clが優れた撥液性を発現した。これは室温でポリマー中のRf(C4)α-Cl繰返単位の分子運動性が抑制されていることが原因と考えられる。一部の例外を除き、トップコートの方が内添よりも高い撥液性を発現した。内添ではフッ素系ポリマーにアルカリ可溶性とレジスト溶解性を付与するために、それぞれメタクリル酸とiBMAを共重合せざるを得ず、そのため撥液性が犠牲にされていた。一方、トップコートではフッ素系ポリマーをレジストに溶解させる必要性がないのでホモポリマーで良く、フルオロ(メタ)アクリレートが有する最高の撥液性を発現させることが可能である。また、アルカリ可溶性は二層目に使用するハイドロフルオロエーテル中のホモポリマー濃度で調整すれば良く、0.05重量%が最適であった。この最適濃度は、コーティング方法などにより変動する。
実施例2、3(トップコート)
実施例1のトップコート組成物のフッ素系ポリマーを製造例2(実施例2)、製造例3(実施例3)に置き換えて、対PGMEA接触角を測定した結果、それぞれ78.2°、76.7°であった。ただし、実施例3では製造例3を溶解する溶剤をHFE7100/イソプロピルアルコール=99/1重量比とした。
本発明は、電子、光学、医療、化学分析などの幅広い用途のデバイスに用いることが可能である。例えば、電子デバイスとしては、トランジスタ、メモリ、発光ダイオード(EL)、レーザー、太陽電池などの集積回路に利用できる。これらのデバイスからフレキシブルディスプレイ、無線タグ、ウエアラブルなコンピュータなどが製造される。また、光学デバイスとしては、液晶ディスプレイのカラーフィルタや有機ELなどのディスプレイ用画素、光メモリ、光変調素子、光シャッター、第二次高調波(SHG)素子、偏光素子、フォトニッククリスタル、レンズアレイなどに、医療デバイスとしては、DNAアレイ、タンパク質アレイなどのバイオチップなどに利用できる。化学分析デバイスとしては、微小化学プラント、微小化学分析システムなどのマイクロ化学チップに利用できる。

Claims (14)

  1. (A)炭素数1〜6のフルオロアルキル基を有するα位置換アクリレート
    [ただし、α位の置換基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子または塩素原子)、または、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
    を少なくとも70重量%以上含有するフッ素系ポリマー、および
    (B)溶媒
    を含んでなる撥液-親液パターニング用トップコート組成物。
  2. α位置換アクリレートにおけるα位の置換基が、塩素原子である請求項1に記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物
  3. フッ素系ポリマー(A)の濃度が0.01〜5重量%の範囲である請求項1に記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物。
  4. 溶媒(B)が、ハイドロフルオロエーテルと非フッ素系溶媒との混合重量比100/0〜90/10の混合溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物。
  5. 溶媒(B)が、
    2n+1-O-C2x+1 (1)
    [式中、nは1〜6の数、xは1〜6の数である。]
    のハイドロフルオロエーテルである請求項1〜のいずれかに記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物。
  6. トップコート組成物により形成されるトップコート膜の厚さが1nm〜100nmである請求項1〜のいずれかに記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物。
  7. 感光性塗膜の上に、請求項1に記載のトップコート組成物を二層コーティングして得られた二層膜をフォトリソグラフィー法によってパターニングすることによる撥液-親液パターンの製造方法。
  8. 透明基板上に均一に形成された感光性樹脂ブラック層の上に、さらに請求項1〜のいずれかに記載に記載のトップコート組成物を二層コーティングして得られた二層膜をフォトリソグラフィー法により、パターン状に撥液化されたブラックマトリクスを形成することを特徴とするディスプレイ用カラーフィルタの製造方法。
  9. 請求項に記載の製造方法で製造されたディスプレイ用カラーフィルタ。
  10. 基板上に均一に形成された感光性樹脂層の上に、さらに請求項1に記載のトップコート組成物を二層コーティングして得られた二層膜をフォトリソグラフィー法により、パターン状に撥液化されたバンクを形成することを特徴とするディスプレイ用発光基板の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法で製造されたディスプレイ用発光基板。
  12. 請求項1に記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物を用いてフォトリソグラフィー法により製造されたプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに対する接触角が70°以上の撥液バンク。
  13. 透明基板の上に形成されている、
    (i)請求項1に記載の撥液-親液パターニング用トップコート組成物の層、および
    (ii)感光性樹脂層
    からなる二層膜。
  14. トップコート組成物の層の厚さが1nm〜100nmである請求項1に記載の二層膜。
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