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生理活性化合物の消失半減期延長のための方法及び組成物
(発明の分野)
本発明は、血漿タンパク質等の予定した分子に結合する、ペプチドリガンドと呼ばれている新規な化合物に関する。特定の態様では、本発明はペプチドリガンドドメイン及び例えば生物活性分子といった活性ドメインを含むハイブリッド分子を含む組成物に関する。活性ドメインは診断又は治療の目的で利用できる分子を包含しうる。好ましい実施態様では、ペプチドリガンドドメイン及び活性ドメインを含むハイブリッド組成物は、薬物動態学的又は薬理学的な特性が改良されている。さらに本発明はペプチドリガンドの調査、診断又は治療的用途を提供し、ペプチドリガンド分子を含む製薬組成物といった組成物を包含する。
(関連した開示文献の説明)
ファージディスプレイは、強制的及び非強制的なペプチドライブラリを作成する方法を提供する(Devlin等, (1990) Science 249:404-406; Cwirla等, (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382; Lowman (1997) Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:401-424)。これらのライブラリは、予定標的分子に結合能力のあるペプチドリガンドを同定及び選択するのに使用することができる(上掲のLowman (1997));Clackson及びWells (1994) Trends Biotechnol. 12:173-184; 上掲のDevlin等, (1990))。細胞標的に存在し(Arap等, (1998)Science 279:377-380);IL-αの結合を阻害するヒトI型インターロイキン1(IL-1)レセプターに結合し(Yanofsky等, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7381-7386);サイトカインエリスロポエチン(EPO)に対するレセプターに結合及びそれを活性化し(Wrighton等, (1996) Science 273:458-463);ヒトトロンボポエチンレセプターに結合して、天然リガンドトロンボポエチン(TPO)の結合と競合する(Cwirla等, (1996) Science, 276:1696-1699)、ペプチド修飾を同定するために、又は天然タンパク質結合リガンドから親和性向上又は成熟したペプチドリガンドを生成する(Lowma等, (1991) Biochemistry 30:10832-10838)ために、該技術が使用される。
一価のファージディスプレイにより作成された構造的に構築されたペプチドライブラリを用いて、インシュリン様成長因子1結合タンパク質(IGFBP)に特異的に結合する14アミノ酸ペプチドが単離された(Lowman等, (1998), Biochemistry, 37:8870-8878)。ペプチドはヘリックス構造を有し、インビボでIGFBPに結合してインシュリン様成長因子-a(IGF-1)活性を遊離する(上掲のLowman等(1998))。インビボでのファージ選択を利用して、脳及び腎臓のような種々の器官に選択的局在化に媒介可能なペプチド(Pasqualini及びRuoslohti (1996) Nature 380:364-366)、並びにαVβ又はαVβインテグリンを担持する特定の腫瘍タイプに帰着するペプチドが同定されている(Arapら, (1998) Science 279:377-380)。米国特許第5,627,263号には、αβインテグリンにより認識され、これと選択的に結合するペプチドが記載されている。親和性又は特異性が改善されたタンパク質の例には、ヒト成長ホルモン、亜鉛フィンガー、プロテアーゼインヒビター、心房性ナトリウム利尿因子、及び抗体が含まれる(Wells, J. 及びLowman H.(1992), Curr. Opin. Struct. Biol. 2:597-604;Clackson, T.及び Wells, J.(1994), Trends Biotechnol. 12:173-184;Lowman等, (1991) Biochemistry 30(10):832-838;Lowman及びWells J.(1993), J. Mol. Biol. 234:564-578;Dennis M.及び Lazarus R.(1994), J. Biol. Chem. 269(22):137-144)。
血清アルブミンが結合するとインシュリンの薬力学が向上すると考えられる。10−16の炭素原子を有する飽和脂肪酸でのインシュリンのアシル化は、アルブミンに対して親和性のあるインシュリンを生成する(Kurtzhals, P.等(1995) Biochem. J. 312:725-731)。アシル化インシュリン間のアルブミン結合親和性の差は、様々な分子のウサギへの皮下注射後の血糖低下作用タイミングと相関関係がある。アルブミンとの結合の緊密さは血糖低下の遅延と相関関係があり、あるいは、皮下組織のアルブミンに結合しているアシル化インシュリンに依存して、非アシル化インシュリンと比較した場合にアシル化インシュリン吸収率が低くなる。
CD4のV1及びV2ドメインがヒト血清アルブミン(HSA)と融合した血清アルブミンCD4コンジュゲートが記載されている(Yeh, P等 (1992), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1904-1908)。コンジュゲートの消失半減期は、ウサギの実験モデルにおいて溶解性CD4(sCD4)の140倍であった。
連鎖球菌タンパク質G由来のアルブミン結合ドメインに融合したヒト溶解性補体レセプター1型(sCR1)のインビボ半減期延長が報告されている(Makrides, S.等(1996) J. Pharmacol. Exptl. Ther. 277:532-541)。約80のアミノ酸(断片BA)、及び約155のアミノ酸(断片BABA)を有するタンパク質Gのアルブミン結合ドメインを含有する構造である。
約60のアミノ酸を有するタンパク質AのZドメインから誘導した標識IgG結合ドメイン、及び約200のアミノ酸を有する連鎖球菌タンパク質G(Bドメイン)から誘導された血清アルブミン結合ドメインの薬物動態についての記載がある(EP0486525)。
(発明の概要)
本発明は、血漿タンパク質に結合する新規な化合物を提供する。本発明の化合物(ペプチドリガンドと呼ぶ)は、例えばペプチド又はペプチド誘導体、例えばペプチド模倣物及びペプチド類似物である。本発明の好ましい態様によれば、化合物は血清アルブミン又はIgG-Fc等の免疫グロブリンの一部といった血漿タンパク質に結合する非天然に発生するアミノ酸配列である。好ましくはペプチドリガンドは約10〜20のアミノ酸残基の非天然に生じるアミノ酸配列である。
このような化合物は、好ましくは、約100μM未満、好ましくは100nM未満の解離定数、Kにより特徴づけられる親和性を有する所望の血漿タンパク質に結合し、好ましくは他の血漿タンパク質に実質的には結合しない。このような化合物の特定の例は、直鎖状又は環状、特に環状のペプチド、好ましくは約10〜20の長さのアミノ酸残基、その組み合わせ、N末端又はC末端又は両方で修飾されていてもよいもの、並びにその塩及び誘導体、その機能類似体、及び配列の末端でアミノ酸又はポリペプチドを有する延長したペプチド鎖を含む。
好ましいペプチドリガンドはIgG-Fcに結合し、直鎖状又は環状のペプチド、好ましくは次の核となる式を含む環状のペプチド化合物を含む:
Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak 、ここで Xaai は欠いている、又は1〜4のアミノ酸好ましくは4のアミノ酸のペプチドであり;Xj は好ましい配列 Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Val-Trp (配列番号:9);又は Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Glu-Leu-Val-Trp (配列番号:10);又は Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Gly-Glu-Leu-Val-Trp(配列番号:139)を有する9のアミノ酸が好ましく、ここで Xaa1 は好ましくは Ala, Ser, 又は Thr; Xaa2 は好ましくは Trp 又は Tyr; Xaa3 は好ましくは His, 又は Trp;Xaa4 は好ましくは Leu 又は Met であり、Xaak は欠いているか、又は1〜5のアミノ酸、好ましくは5のアミノ酸であり、環状のペプチド又はその類似物がIgG-Fc結合の量的生物活性を保持する限りにおいて選択できる。
この化合物群の中で好ましいものは、次の配列を含むIgG-Fcに結合する化合物である:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (配列番号:11);
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (配列番号:12);
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 (配列番号:13)、ここで Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr; Xaa6 は Trp 又は Tyr;Xaa7 は His 又は Trp;及び Xaa8 は Leu 又は Met;及び
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 (配列番号:14)、ここで Xaa4 は Ser, Arg, 又は Asp; Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr; Xaa6 は Trp 又は Tyr; Xaa7 は His 又は Trp; Xaa8 は Leu 又は Met; 及び Xaa9 は Glu, Ser, Thr 又は Val。
血清アルブミンに結合する好ましいペプチドリガンドは、直鎖状又は環状のペプチド、好ましくは次の式を含む環状のペプチド化合物を含む:
Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa
Phe-Cys-Xaa-Asp-Trp-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Ser-Cys (配列番号:113)
Val-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Cys-Phe (配列番号:114)
Cys-Tyr-Xaa1-Pro-Gly-Xaa-Cys (配列番号:115) 及び
Asp-Xaa-Cys-Leu-Pro-Xaa-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:116)
(ここで、各一般式は、N末端に(Xaa)x-及びC末端に-(Xaa)zを更に含む)。
Xaaがアミノ酸であり、x及びzが0(ゼロ)以上の全ての数、一般的には100未満、好ましくは10未満、より好ましくは0、1、2、3、4又は5、より好ましくは4又は5であり、Xaa1がIle、Phe、Tyr及びValからなる群から選択される一般式のペプチド化合物であることが好ましい。
特定の態様では、本発明はペプチドリガンドドメイン及び活性ドメインを含むハイブリッド分子を形成する、生理活性化合物とペプチドリガンドの組み合わせに関する。本発明の生理活性化合物は治療又は診断用の薬剤として利用できるあらゆる化合物を含む。生理活性化合物の非限定的な例としては、数例を挙げると、酵素、ホルモン、サイトカイン、抗体又は抗体断片等のポリペプチド、並びに鎮痛薬、解熱剤、抗炎症剤、抗生物質、抗ウィルス剤、抗真菌剤、心血管作動薬、腎機能及び電解質代謝に効果のある薬剤、中枢神経系に作用する薬剤及び化学療法剤等の有機化合物が含まれる。
好ましい実施態様では、ペプチドリガンドドメイン及び活性ドメインを含むハイブリッド分子は、活性ドメインを含むがペプチドリガンドドメインを欠く同様の生理活性分子に比較すると薬物動態的又は薬理学的な特性が改善されている。ハイブリッドの改善された薬物動態的又は薬理的な特性によって、低用量製剤及び新規な製薬組成物が提供される。ある態様では、本発明はハイブリッド分子の治療的又は診断的使用を含む新規な組成物の使用方法を提供する。
特定の態様では、本発明はペプチドリガンドと比較的短い消失半減期を有する生理活性化合物の組み合わせに関する。組み合わせは、例えば生理活性化合物の消失半減期を増大させることによって生理活性化合物のインビボ使用を包含する本発明の態様における生理活性化合物の治療的又は診断的効果を改善させることを含む、様々な目的を考慮して調製される。血清アルブミン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質又はトランスフェリン等の血漿タンパク質に対するペプチドリガンドの生理活性化合物との融合又は結合(つまり「コンジュゲート」)は、増大した消失半減期を有する組成物を提供する。このような組み合わせ又は融合は、従来から組み換え宿主細胞で、又は二官能性の架橋剤の使用によって作成される。
本発明の他の態様では、ここで開示される例えばIgG-Fcペプチドリガンド等の免疫グロブリンに対する結合親和性のあるペプチドリガンドを用いて抗体を精製するための方法及び組成物が含まれる。
本発明はさらに、ここで開示される組成物の治療又は診断的な用途にも及ぶ。従って、本発明は、製薬的に許容可能な賦形剤と本発明のハイブリッド分子を含む製薬組成物を包含する。
(好ましい実施態様の詳細な説明)
I.定義
本発明の文脈における「ペプチドリガンド」なる用語は、特定の標的分子に結合するように機能する非自然発生アミノ酸配列を指して意味する。本発明の文脈におけるペプチドリガンドは、一般的に拘束されている(つまり、例えばβターン又はβプリーツシートを引き起こすアミノ酸の存在ような構造のいくつかのエレメントを有している、又は例えばジスルフィド結合したCys残基の存在により環化している)か、又は拘束されていない(線形)、約50アミノ酸残基未満、好ましくは約40アミノ酸残基未満のアミノ酸配列である。約40アミノ酸残基未満のペプチドリガンドでも、約10〜約30アミノ酸残基のペプチドリガンド、特に約20のアミノ酸残基のペプチドリガンドが好ましい。しかしながら、現在の開示を読むと、当業者であれば、本発明のペプチドリガンドを区別するのは特定のペプチドリガンドの長さではなく、特定の標的分子に結合するその能力であることを認識するであろう。よって、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24及び25アミノ酸残基のペプチドリガンドが、同様に本発明の文脈におけるペプチドリガンドに適している。
本発明のペプチドリガンドは、ペプチドリガンドが標的分子、例えばインビトロで、好ましくはインビボで特定細胞型担持標的分子に「帰着する(homes)」、「結合する」又は「標的とする」ならば、十分な親和性と特異性を持って標的分子に結合するであろう(例えば、Pasqualini及びRuoslahti(1996) Nature, 380:364-366、及びArapら,(1998) Science, 279:377-380における「homes to(帰着する)」、「homing(帰着)」及び「targets(標的とする)」という用語の使用を参照されたい)。一般的に、ペプチドリガンドは、約1μM未満、好ましくは約100nM未満、特に好ましくは約10nM未満の解離定数、Kdで特徴づけられる親和性で標的分子に結合する。しかしながら、標的分子に対して約1nM未満、好ましくは約1pM〜1nMの親和力を有するペプチドリガンドが、同様に有望な本発明のペプチドリガンドである。一般に、前記のように特定の標的分子に結合するペプチドリガンドは、ここに記載されるような当分野に標準的な多くの技術の任意のものにより単離し、同定することができる。
ペプチドリガンドは自然、並びに非自然的に生じたアミノ酸残基を含有していてもよい上述したアミノ酸配列である。よって、特定のアミノ酸又はペプチドの構造を模倣した非アミノ酸化学構造を含みうる、いわゆる「ペプチド模倣物」及び「ペプチド類似物」も本発明の文脈におけるペプチドリガンドとできる。このような模倣物及び類似物は、類似の物理的特徴、例えば大きさ、電荷又はそれらのペプチド対の片方に見出されるような適切な空間的配向にある疎水性等を示すものとして一般に特徴付けられる。ペプチドの模倣化合物の特定の例は、一又は複数のアミノ酸間のアミド結合が、例えば炭素-炭素結合又は当該分野でよく知られている他の結合で置換された化合物である(例えば、Sawyer, in Peptide Based Drug Design pp.378-422(ACS, Washington DC 1995)を参照のこと)。
従って、本発明の範囲における「アミノ酸」なる用語は最も広い意味に使用され、自然に生じるLα-アミノ酸又は残基を含むことを意味する。自然に生じるアミノ酸に対して一般的に使用されている1文字及び3文字略号がここでも使用される(Lehninger, A.L., Biochemistry, 第2版, pp.71-92,(1975) Worth Publishers, New York)。標準的な1文字の記号と標準的な3文字の記号の間の対応は、当業者にはよく知られており、ここに記述しておく:A=Ala;C=Cys;D=Asp;E=Glu;F=Phe;G=Gly;H=His;I=Ile;K=Lys;L=Leu;M=Met;N=Asn;P=Pro;Q=Gln;R=Arg;S=Ser;T=Thr;V=Val;W=Trp;Y=Tyr。この用語には、D-アミノ酸、並びに化学的に修飾されたアミノ酸、例えばアミノ酸類似物、ノルロイシン等のタンパク質に通常導入されない自然に生じるアミノ酸、及びアミノ酸に特徴的な当該分野において公知の特性を有する化学的に合成された化合物が含まれる。例えば、天然Phe又はProと同じペプチド化合物の配座制限を許容するフェニルアラニン又はプロリンの類似物又は模倣物が、アミノ酸の定義に含まれる。このような類似物及び模倣物はここではアミノ酸の「機能的等価物」と称する。アミノ酸の他の例は、出典を明示してここに取り込まれるRoberts及びVellaccio The Peptides:Analysis, Synthesis, Biology, Gross及びMeiehofer, eds., Vol.5 p341, Academic Press, Inc, N.Y. 1983に列挙されている。
ペプチドリガンドは例えば、標準的な固相合成法により合成され、遺伝子によりコードされるアミノ酸に限定されない。遺伝子コードによりコードされない一般的に遭遇するアミノ酸には、例えば国際公開番号WO90/01940に記載されているもの、例えばGlu及びAspについての2-アミノアジピン酸(Aad);Glu及びAspについての2-アミノピメリン酸(Apm);Met、Leu、及び他の脂肪族アミノ酸についての2-アミノブチル酸(Abu);Met、Leu、及び他の脂肪族アミノ酸についての2-アミノヘプタン酸(Ahe);Glyについての2-アミノイソブチル酸(Aib);Val、及びLeu及びIleについてのシクロヘキシルアラニン(Cha);Arg及びLysについてのホモアルギニン(Har);Lys、Arg及びHisについての2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);Gly、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtGly);Gly、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtGly);Asn、及びGlnについてのN-エチルアスパラギン(EtAsn);Lysについてのヒドロキシルリジン(Hyl);Lysについてのアロヒドロキシルリジン(AHyl);Pro、Ser、及びThrについての3-(及び4)-ヒドロキシプロリン(3Hyp、4Hyp);Ile、Leu、及びValについてのアロ-イソロイシン(AIle);Alaについてのp-アミジノフェニルアラニン;Gly、Pro、及びAlaについてのN-メチルグリシン(MeGly、サルコシン);IleについてのN-メチルイソロイシイン(MeIle);Met及び他の脂肪族アミノ酸についてのノルバリン(Nva);Met及び他の脂肪族アミノ酸についてのノルロイシン(Nle);Lys、Arg及びHisについてのオルニチン(Orn);Thr、Asn及びGlnについてのシトルリン(Cit)及びメチオニンスルホキシド(MSO);Pheについてのメチルフェニルアラニン(MePhe)、トリメチルフェニルアラニン、ハロ(F、Cl、Br、及びI)フェニルアラニン、トリフルオリルフェニルアラニンが含まれる。
本発明の文脈におけるペプチドリガンドは「設計」されうる、つまりそれらは非天然の又は非天然的に生じたペプチドリガンドである。「非天然の」又は「非天然的に生じた」とは、特定のペプチドリガンドのアミノ酸配列が天然に見出されないことを意味する。つまり、非天然の又は非天然的に生じたペプチドリガンドのアミノ酸配列は、天然発生タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と一致しない。この多様なペプチドリガンドは、当業者によく知られている種々の技術を使用して作成又は選択されうる。例えば、拘束されている又は拘束されていないペプチドライブラリが無作為に作製され、該分野の標準的な技術、例えばLowmanら, (1998) Biochemistry 37:8870-8878を利用してファージにディスプレイする。
本発明の文脈で使用される際のペプチドリガンドは、治療又は診断用の物質に「コンジュゲート」されうる。「コンジュゲート」という用語は、広義に使用され、当該分野で既知の結合又は接合の全ての方法を包含する。例えば、典型的な実施態様では、治療又は診断用の物質はタンパク質であり(ここで「タンパク質性治療剤」と称される)、ペプチドリガンドはタンパク質性治療剤のC又はN末端のアミノ酸伸長部分をなすであろう。さらに、タンパク質性治療剤とペプチドリガンドの間には短いアミノ酸リンカー配列を置いてもよい。このシナリオにおいて、ペプチドリガンド、任意のリンカー及びタンパク質性治療剤をタンパク質性治療剤をコードする配列を含む核酸によってコードしていてもよく、場合によっては以下に記載する短いポリペプチドをコードする任意のリンカー配列、及びペプチドリガンドをコードする配列に(DNA配列が近接、又は読み枠にあるという意味で)連結している。この典型的なシナリオにおいて、ペプチドリガンドはタンパク質性治療剤に場合によってはリンカー配列を介して「コンジュゲートされ」ると考えられる。関連した実施態様では、ペプチドリガンドアミノ酸配列は、当然ペプチドリガンドアミノ酸配列の挿入によってタンパク質性治療剤の機能を妨げないで提供されるように、タンパク質性治療剤アミノ酸配列の部分に組み込まれ、又は置換される。この実施態様において、「コンジュゲート」はペプチドリガンドをコードする配列に介入され、作用可能に連結されるタンパク質性治療剤をコードする配列を含む核酸によりコードされうる。更なる典型的な実施態様では、ペプチドは、タンパク質性治療剤又は他の治療剤に、場合によってはペプチドはリンカー配列を介して例えば化学的にコンジュゲートすること等により連結されうる。典型的には、この実施態様においてペプチドリガンドは、アミノ酸の側鎖を介して治療剤の活性を妨げないタンパク質性治療剤の中のどこかでタンパク質性治療剤に連結されうる。繰り返すと、ペプチドは治療剤に「コンジュゲート」されると考えられる。
本発明の中で使用される「標的分子」という用語は、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、多糖類、オリゴ糖、核酸等を含む。標的分子は、例えば、これに限らないが、血清アルブミン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質又はトランスフェリン等の血漿タンパク質を含む様々な血清因子等の細胞外分子、又は赤血球又はリンパ球の表面に見られるタンパク質を含み、当然、細胞表面タンパク質へのペプチドリガンドの結合は細胞の通常機能を実質的に妨げないように提供される。
「抗体」及び「免疫グロブリン」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片又は領域と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生成し、各々が単一の抗原結合部位と残りの「Fc」断片又は領域を持つ。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかも知れないが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常Cys226又はPro230の位置のアミノ酸残基からカルボキシ末端まで伸展すると定義される。
ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、さらに抗原を架橋させ得るF(ab')断片が得られる。Fab’断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含む。
「治療」とは、治療的処置及び予防又は抑制手段の両方を指す。治療の必要があるものには、既に羅患しているもの、並びに疾患が予防されるべきものが含まれる。
治療の目的とされる「哺乳動物」とは、ヒト、家庭及び農場用動物、及び動物園、スポーツ又はペット用動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む、哺乳動物に分類されるあらゆる動物を意味する。好ましくは哺乳動物はヒトである。
「疾患」は本発明のペプチドリガンドを含有する組成物で治療することで恩恵を得るあらゆる症状のことである。これには、問題の疾患に哺乳動物を罹患させる素因になる病理状態を含む、慢性及び急性の疾患又は病気が含まれる。
「消失半減期」は通常の意味で使用され、Goodman and Gillman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics 21-25 (Alfred Goodman Gilman, Louis S. Goodman, and Alfred Gilman, eds., 6th ed. 1980)に記載されている。概略して言うと、この用語は薬剤消失の時間的経過の量的な測定を包含して意味する。通常、薬剤濃度は消失過程飽和に要求される値には至らないので、多くの薬剤の消失は指数関数的である(つまり一次速度式に従う)。指数関数過程の度合は、時間の単位あたりの機能変化を表すその速度定数kにより、又はその半減期t1/2、過程の完了度が50%になるのに必要とされる時間によって表される。これらの2つの定数の単位はそれぞれ時間−1と時間である。一次速度定数及び反応の半減期は単純な関係(kxt1/2=0.693)であり、適宜交換することができる。一次消失速度は一定割合の薬剤を単位時間あたりに失うことを示すので、時間に対する薬剤濃度の対数のプロットは初期分散相(つまり薬剤の吸収と分散が完了した後)から全ての時間で直線となる。薬剤消失の半減期はグラフ等から正確に決定することができる。
「形質移入」とはあらゆるコード配列が実際に発現されるかされないにかからわず、宿主細胞によって発現ベクターが取り込まれることを意味する。数多くの形質移入法が当業者に知られており、例えばCaPO沈殿及びエレクトロポレーションである。成功裏の形質移入はこのベクターの作用の任意の指標が宿主細胞内で生じる場合に一般に認められる。
「形質転換」は、生物にDNAを導入し、染色体外成分として又は染色体組み込みとして、DNAが複製されることを意味する。使用される宿主細胞によって、形質転換は、該細胞に適した基本的な技術を用いて成される。Sambrook等のMolecular Cloning (第2版), Cold Spring Harbor Laboratory, NY (1989)の1.82章に記載されているような塩化カルシウムを使用したカルシウム処理は、一般に頑丈な細胞壁バリヤーを含む原核生物又は他の細胞で使用される。Shaw等, (1983)Gene, 23: 315及び1989年6月29日に公開のWO 89/05859に記載のように、アグロバクテリウム ツメファシエンスでの感染はある植物細胞の形質転換に用いられる。そのような細胞壁を持たない哺乳動物細胞にとっては、上掲のSambrook等,の16.30−16.37章に記載のリン酸カルシウム析出法が好ましい。哺乳動物細胞ホストシステム形質転換の一般的な形態は、Axelにより、1983年8月16日発行の米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母の形質転換は、典型的にはVan Solingen等, (1977)J. Bact., 130:946及びHsiao等, (1979)Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 76:3829の方法により実施される。しかしながら、核酸移入、エレクトロポレーション、又はプロトプラスト融合によるような細胞にDNAを導入する他の方法もまた使用することができる。
ここで使用されるように、「肺投与」という用語は、吸入により肺を通しての本発明の製品の投与を意味する。ここで使用されるように、「吸入」という用語は、肺胞への気体の吸気を意味する。特定の実施態様では、取り込みは、本発明の製品の自己投与により、又は、例えばレスピレータを使用する患者に対してのレスピレータを介しての投与により生じうる。本発明の製品に関して使用される「吸入」という用語は、「肺投与」と同義である。
ここで使用される場合、「非経口」なる用語は、腸以外によって、特に静脈内(i.v.)、動脈内(i.a.)、腹膜内(i.p.)、筋肉内(i.m.)、心室内、及び皮下(s.c.)経路で本発明の化合物を導入することを意味する。
ここで使用されるように、「エアロゾル」という用語は、気体のサスペンションを意味する。特に、エアロゾルは、本発明の製品の粒子化及び気体へのそのサスペンションに関する。本発明によれば、エアロゾル製品は、エアロゾル化に適した本発明の化合物、例えば吸入又は肺投与のための粒子化及び気体へのサスペンションを含む製品である。
II.本発明の実施の方法
A.ペプチドリガンド
本発明の文脈中でのペプチドリガンドは、標的、好ましくは血清アルブミン又は免疫グロブリン等の血清タンパク質に結合し、直接結合アッセイで、又は標的結合についての標的に対する既知のリガンドとの競合能力によって同定することができる。血清アルブミンと結合する好ましいペプチドリガンドは、直鎖状又は環状のペプチド、好ましくは次の式を含む環状の化合物を含むか、又は次の式のペプチドを有する特定哺乳動物種の血清アルブミン結合に競合するペプチドである:
Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa
Phe-Cys-Xaa-Asp-Trp-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Ser-Cys (配列番号:113)
Val-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Cys-Phe (配列番号:114)
Cys-Tyr-Xaa1-Pro-Gly-Xaa-Cys (配列番号:115)
及び Asp-Xaa-Cys-Leu-Pro-Xaa-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:116)
(ここで、各一般式は、N末端に(Xaa)x-及びC末端に-(Xaa)zを更に含む)。
上記の一般式のペプチド化合物であることが好ましく、ここでXaaはアミノ酸であり、x及びzは0(ゼロ)以上の全ての数、一般的には100未満、好ましくは10未満、より好ましくは0、1、2、3、4又は5、より好ましくは4又は5であり、Xaa1はIle、Phe、Tyr及びValからなる群から選択される。
血清アルブミンに結合する更に好ましいペプチドリガンドはここで記載されるように次の一般式 Trp-Cys-Asp-Xaa-Xaa-Leu-Xaa-Ala-Xaa-Asp-Leu-Cys (配列番号:117)及び
Asp-Leu-Val-Xaa-Leu-Gly-Leu-Glu-Cys-Trp (配列番号:118)
(ここで、各一般式は、N末端に(Xaa)x-及びC末端に-(Xaa)zを更に含み、Xaaがアミノ酸であり、x及びzがゼロ以上の全ての数、一般的には100未満、好ましくは10未満、より好ましくは0、1、2、3、4又は5、より好ましくは4又は5である)に関して同定される。
本明細書のこの態様に従って、図、及び特に哺乳動物の血清アルブミンに結合するペプチドリガンド選択に適当なアミノ酸、及び例示されるペプチドについては図5Aないし5F、8Aないし8F及び図9を作成した。好ましい態様では、数種の血清アルブミンにわたって結合するペプチドリガンドの選択については図9に具体例を示した。
本発明のこの態様に従う好ましい化合物は次のものを含む:
Asp-Leu-Cys-Leu-Arg-Asp-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:119)
Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:120)
Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp (配列番号:121)
Gln-Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp-Phe (配列番号:122)
Gln-Gly-Leu-Ile-Gly-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Gly-Asp-Ser-Val (配列番号:123)
Gln-Gly-Leu-Ile-Gly-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Gly-Asp-Ser-Val-Lys (配列番号:124)
Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:125)
Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:126)
Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:127)
Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp (配列番号:121)
Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Ala-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Gly-Asp-Asp (配列番号:128)
Glu-Val-Arg-Ser-Phe-Cys-Thr-Asp-Trp-Pro-Ala-Glu-Lys-Ser-Cys-Lys-Pro-Leu-Arg-Gly (配列番号:129)
Arg-Ala-Pro-Glu-Ser-Phe-Val-Cys-Tyr-Trp-Glu-Thr-lle-Cys-Phe-Glu-Arg-Ser-Glu-Gln (配列番号:130)
Glu-Met-Cys-Tyr-Phe-Pro-Gly-Ile-Cys-Trp-Met (配列番号:131)
好ましい実施態様では、本発明のペプチドリガンドはIgG-Fcに結合し、インビトロアッセイにおいてIgG-Fcの結合についての、次の一般式を有するペプチドリガンドとの競合能力によって同定することができる:
Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak 、ここで Xaai は欠いている、又は1〜4のアミノ酸、好ましくは4のアミノ酸のペプチドであり;Xj は好ましい配列 Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Val-Trp (配列番号:9);又は Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Glu-Leu-Val-Trp (配列番号:10);又は Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Gly-Glu-Leu-Val-Trp (配列番号:139)を有する9のアミノ酸が好ましく、ここで Xaa1 は Ala, Ser, 又は Thr;Xaa2 は Trp 又は Tyr;Xaa3 は His, 又は Trp;Xaa4 は Leu 又は Met、及び Xaak は欠いている、又は1〜5のアミノ酸、好ましくは5のアミノ酸であり、環状のペプチド又はその類似物が上記のようなIgG-Fcに結合する量的生物活性を保持する限りにおいて選択される。
この化合物群の中で好ましいものは次の配列を含む化合物である:
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa (配列番号:11);
Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa-Xaa(配列番号:12);
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-XaalO-Xaa11-Xaal2-Xaal3 (配列番号:13)、ここで Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr;Xaa6 は Trp 又は Tyr;Xaa7 は His, 又は Trp;及び Xaa8 は Leu 又は Met;及び
Xaal-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-Xaal0-Xaa11-Xaal2-Xaa13 (配列番号:14)、ここで Xaa4 は Ser, Arg, 又は Asp;Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr;Xaa6 は Trp, Tyr;Xaa7 は His, 又は Trp;Xaa8 は Leu 又は Met;及び Xaa9 は Glu, Ser, Thr 又は Valである。好ましい実施態様では、本発明のIgG-Fc結合ペプチドリガンドは、ここで示される配列番号:2−配列番号:3、配列番号:8;及び配列番号:11−配列番号:111に示されるあらゆるペプチドリガンドと競合し、好ましくはIgG-Fcに結合する配列番号:9と競合しうる。
他の好ましい実施態様では、本発明のペプチドリガンドはヒト血清アルブミンに結合し、インビトロアッセイにおけるヒト血清アルブミンの結合についての、次の一般式を有するペプチドリガンドとの競合能力によって同定することができる:
Asp-Xaa-Cys-Leu-Pro-Xaa-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:116)
Phe-Cys-Xaa-Asp-Trp-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Ser-Cys (配列番号:113)
Val-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Cys-Phe (配列番号:114)又は
Cys-Tyr-Xaa1-Pro-Gly-Xaa-Cys (配列番号:115)
(ここで、各一般式は、N末端に(Xaa)x-及びC末端に-(Xaa)zを更に含み、 Xaa はアミノ酸、x及びzは好ましくは4又は5であり、Xaa1はIle、Phe、Tyr及びValからなる群から選択される)。
好ましい実施態様では、本発明のヒト血清アルブミン結合ペプチドリガンドはここで前記される配列番号:120−131に示されるあらゆるペプチドリガンドと競合し、好ましくはヒト血清アルブミン結合について配列番号:122と競合しうる。
以上から理解されるように、「競合する」及び「競合能力」という用語は相対的な用語である。よって、本発明のペプチドリガンドを記述するために用いられる際のこの用語は、ここで記載したような標準的な競合アッセイにおいて、50μMで存在する場合、好ましくは1μM、より好ましくは100μMで存在する場合、好ましくは1nM以下で存在する場合の、例えば配列番号:8又は配列番号:122の結合の50%を阻害するペプチドリガンドを意味する。このようなペプチドリガンドは、一般的に実施例の章に記載するような標準的な競合アッセイで測定されるように約1μM未満、好ましくは約100nM未満、より好ましくは約10nM未満の親和性でIgG-Fcに結合する。しかしながら、血清タンパク質、例えば血清アルブミン又はIgG-Fcに対して約1nM未満、好ましくは約1pM〜1nMの親和性を有するペプチドリガンドも同様に本発明の文脈におけるペプチドリガンドに適している。
ペプチド又は他の化合物がここで記載したようなIgG-Fc(又は他の血漿タンパク質、例えば血清アルブミン)への結合についてペプチドリガンドと競合する「能力」を有するかを決定するインビトロアッセイシステムについて、当業者であれば多数の標準的な競合アッセイの任意のものを使用することができる。競合結合アッセイは、限定された量のリガンドに結合する試験試料検体と競合する、標識した標準物の能力に依存する。試験試料の検体の量は、リガンドに結合することになる標準物の量に反比例する。
よって、当業者は、限定するものではないが、数例を挙げると、放射免疫測定(RIA)、酵素免疫測定(EIA)、好ましくは酵素結合免疫測定(ELISA)、「サンドウィッチ」免疫測定、免疫放射定量測定、蛍光免疫測定、及び免疫電気泳動測定等の技術を用いる競合アッセイシステムを含む手段を用いて、ペプチド又は他の化合物がIgG-Fc(又は血漿タンパク質等の他の標的)に結合するペプチドリガンドと競合する能力を有するかを決定してもよい。
これらの目的のために、選択されたペプチドリガンドは検出可能成分で標識され(検出可能に標識したペプチドリガンドを、ここで「トレーサー」と呼ぶ)、IgG-Fcドメイン又は他の標的の結合について候補化合物との競合アッセイに使用される。多くの検出可能な標識が使用可能であり、好ましくは次の範疇にグループ分けできる:
(a)放射性同位体、例えば、35S、14C、125I、H及び131I等。ペプチド化合物は、例えばColigen等, 編, Current Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2 (1991), Wiley-Interscience, New York, N. Yに記載された技術を用いて放射性同位体で標識され、放射活性はシンチレーションカウンティングにより測定できる。
(b)蛍光標識、例えば希土類キレート(ユーロピウムキレート)又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン(lissamine)、フィコエリトリン及びテキサスレッド等が使用できる。蛍光標識は、例えば上掲のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いてペプチド化合物にコンジュゲートさせることができる。蛍光は、蛍光光度計を用いて定量化できる。
(c)種々の酵素−基質標識が利用でき、米国特許第4,275,149号は、それらの幾つかの概説を提供している。酵素は好ましくは種々の技術を用いて測定可能な色素原基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は基質における色変化を触媒し、それは分光学的に測定可能である。あるいは、酵素は基質の蛍光又は化学発光を変化させることもある。蛍光変化を定量化する技術は上述している。化学発光基質は化学反応によって電子的に励起され、次いで(例えば化学発光計を用いて)測定可能な光を放出する、または蛍光受容体にエネルギーを供与しうる。酵素標識の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、ヘテロ環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等を含む。
酵素−基質の組み合わせの例は、例えば以下を含む:
(i)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)と基質としての過酸化水素、過酸化水素が染料前駆物質(例えば、ABTS、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンヒドロクロリド(TMB))を酸化する;
(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と色素原基質としてのパラ-ニトロフェニルホスフェート;及び
(iii)β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)と色素原基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光原基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼ。
特定のアッセイによれば、トレーサーは固定化された標的とともに、種々の濃度の非標識候補化合物の存在下でインキュベートされる。有効候補化合物の濃度を増加させると、トレーサーの固定化標的への結合と効果的に競合する。最大の結合トレーサーの50%の非標識候補化合物の濃度が「IC50」と呼ばれ、候補化合物のIgG結合親和性を反映する。従って、1mMのIC50を持つ候補化合物は、1μMのIC50を持つ候補ペプチドよりも標的と実質的に弱い相互作用を示す。
いくつかのファージディスプレイELISAアッセイでは、変異した(「mut」)配列の結合親和性は、B.C. Cunningham, D.G. Lowe, B. Li, B.D. Bennett, and J.A. Wells, EMBO J. 13:2508 (1994)に記載される方法を用いてコントロール(「con」)ペプチドに対して比較され、パラメータEC50により特徴づけられる。アッセイは、EC50(con)/EC50(mut)がK(con)/K(mut)に近い条件下で実施された。
従って、本発明は、記載したインビトロアッセイにおいてIgG又はヒト血清アルブミン等の標的分子結合について「競合する能力を有する」化合物を提供する。好ましくは、化合物はIgG又はヒト血清アルブミン等の標的に対して1μM未満のIC50を持つ。これらの化合物の中で好ましいのは、約100nM未満、好ましくは約10nM未満、又は約1nM未満のIC50を持つ化合物である。本発明のこの態様で更に好ましい実施態様では、化合物はIgG又はヒト血清アルブミン等の標的分子に対して約100pM未満、より好ましくは約10pM未満のIC50を示す。
ここで記載されるペプチドリガンドと競合する候補化合物の能力を決定するための好ましいインビトロアッセイは次のもので、実施例により十分に記載する。好ましい実施態様では、候補化合物はペプチドである。IgG又はヒト血清アルブミンに結合する標識したペプチドリガンドトレーサーと競合する候補化合物の能力はELISAを用いて測定される。候補化合物のバッファー希釈物をIgG又はヒト血清アルブミンで被覆したマイクロタイタープレートに添加して(実施例の章に記載されているように)トレーサーと共に1時間おく。マイクロタイタープレートを洗浄バッファーで洗浄し、IgG又はヒト血清アルブミンと結合したトレーサーの量を測定する。
B.ペプチドリガンド組み合わせ
本発明によれば、ペプチドリガンドはペプチドリガンドドメインと活性ドメインを含むハイブリッド分子を形成する生理活性化合物に連結していてもよい。本発明の生理活性化合物は治療又は診断用の薬剤として利用できるあらゆる化合物を含む。生理活性化合物の非限定的な例としては、酵素、ホルモン、サイトカイン、抗体又は抗体断片等のポリペプチド、並びに鎮痛薬、解熱剤、抗炎症剤、抗生物質、抗ウィルス剤、抗真菌剤、心血管作動薬、腎機能及び電解質代謝に効果のある薬剤、中枢神経系に作用する薬剤、化学療法剤等の有機化合物が含まれる。本発明によれば、ペプチドリガンドドメインは活性ドメインに場合によっては可動性のリンカードメインを介して結合する。
本発明のハイブリッド分子は適切なペプチドリガンドと活性ドメインを組み合わせることにより構築される。結合のタイプ及びその作成方法によれば、そのN又はC末端を介してペプチドリガンドドメインは活性ドメインのN又はC末端に加えられうる。例えば、組換え技術により本発明のハイブリッド分子を調製する場合、場合によってはリンカードメインを介して、ペプチドリガンドをコード化する核酸は活性ドメイン配列をコード化する核酸に作用可能に結合される。典型的には、構築物は、ペプチドリガンドのC末端が活性ドメインのN末端に結合されている融合タンパク質をコードしている。しかしながら、特に合成技術が使用される場合、例えばペプチドリガンドのN末端が活性ドメインのN又はC末端に結合されている融合体もまた可能である。
ある場合には、ペプチドリガンドドメインは、活性ドメインにそのN又はC末端で結合するというよりもむしろ、活性ドメイン分子中に挿入されうる。この構造はペプチドリガンドドメイン及び活性ドメインの機能を保持する限りにおいて本発明を実施するのに使用できる。例えば、ペプチドリガンドは、免疫グロブリンのその標的に結合する能力を妨げることなく免疫グロブリンの非結合軽鎖CDRに挿入されてもよい。ペプチドリガンドドメインに適合できる活性ドメイン分子の領域は実験的に(つまり、挿入部位の選択、無作為化、及び生じたコンジュゲートの活性ドメインの機能のアッセイにより)同定してもよく、又は関係する活性ドメイン分子(例えばタンパク質である活性ドメイン)のファミリーの間の配列比較によって低い配列相同性の領域があることを同定してもよい。低配列相同性領域は、高度に保存された領域であるというよりもペプチドリガンドドメインの挿入を許容すると思われる。3次元構造が(例えば、X線結晶解析又はNMR研究により)分かっている活性ドメイン分子について、3次元構造はペプチドリガンド挿入部位への誘導を与えうる。例えば、高い変動性(例えば、大きい温度因子又は「B」因子)を有するループ又は領域は、高度に規則的な構造領域、あるいはリガンド結合又は触媒作用に関する領域であるというよりもペプチドリガンドドメイン挿入に順応すると思われる。
C.リンカードメイン
本発明に従うと、ペプチドリガンドドメインは、ペプチドリガンドドメインはリンカーを介して活性ドメインに結合されてもよい。本発明のハイブリッド分子のリンカー成分はハイブリッド分子の機能に必ずしも関与しないが寄与しうる。従って、本発明では、リンカードメインは、活性ドメインとペプチドリガンドドメインの間に空間的ブリッジを提供する任意の分子群である。
リンカードメインは変化できる長さ及び構成とできるが、本発明によれば、重要なのはリンカードメインの長さその構造ではない。リンカードメインは、好ましくは、標的分子に対する立体的及び/又は高次構造的制約を実質的に生じないで、ハイブリッド分子のペプチドリガンドドメインを結合させる。従って、リンカードメインの長さは、ハイブリッド分子の2つの「機能」ドメイン、つまりペプチドリガンドと活性ドメインの性質に依存する。
当業者であれば、原子の様々な組み合わせが様々な結合間の既知の距離に基づいて可変長の分子を提供することが分かるであろう(Morrison及びBoyd, Organic Chemistry, 3版, Allyn及びBacon, Inc., Boston, MA (1977))。例えば、リンカードメインは可変長のポリペプチドでありうる。ポリペプチドのアミノ酸組成がリンカーの性質と長さを決定する。好ましい実施態様において、リンカー分子は柔軟な親水性ポリペプチド鎖を有する。具体的には、例えばここでの実施例の章に記載されるもののようにリンカードメインは一又は複数のGly及び又はSer残基を有する。
D.組換え合成
本発明は、ここに記載されるようなペプチドリガンド、又はペプチドリガンドドメインとポリペプチド活性ドメインを有するハイブリッド分子をコードする単離された核酸、好ましくはDNAを含む物質の組成物を包含する。本発明のペプチドをコードするDNAは当該分野で知られている様々な方法によって調製することができる。これらの方法は、限定されるものではないが、出典明示により開示の全体がここに取り込まれるEngels等, (1989), Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 28:716-734に記載された任意の方法、例えばトリエステル、亜リン酸、ホスホラミダイト及びH-ホスホネート法による化学合成を含む。一実施態様では、発現宿主細胞により好まれるコドンはコード化DNAの設計に使用される。あるいは、ペプチドをコードしているDNAを、組換えDNA法、例えば部位特異的突然変異誘発(Kunkel等, (1991) Methods Enzymol., 204:125-139; Carter等, (1986) Nucl. Acids Res. 13:4331; Zoller等, (1982) Nucl. Acids Res. 10:6487)、カセット突然変異誘発(Wells等, (1985) Gene 34:315)、制限選択突然変異誘発(Carter, Directed Mutagenesis: A Practical Approach (M. J. McPherson, ed.) IRL Press, Oxford, 1991)等々を使用して一又は複数の変異体をコードするように変更させることができる。
上記したような好ましい態様では、核酸は標的分子に結合する能力のあるペプチドリガンドをコードする。標的分子は、例えば、細胞外分子、例えばこれに限らないが血清アルブミン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質又はトランスフェリン等の血漿タンパク質を含む様々な血清因子、又は赤血球又はリンパ球の表面に見られるタンパク質を含み、当然、細胞の通常の機能を実質的に妨げない細胞表面タンパク質へのペプチドリガンドの結合を提供する。
本発明の他の好ましい態様では、核酸はペプチドリガンドドメイン配列及び活性ドメインを含むハイブリッド分子をコードする。本発明のこの態様において、活性ドメインは治療又は診断用の薬剤として利用できるあらゆるポリペプチド化合物、例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン、抗体又は抗体断片を含みうる。本発明のこの態様における核酸分子はハイブリッド分子をコードし、ペプチドリガンドドメイン配列をコードする核酸は生物活性剤をコードする核酸に(DNA配列が近接している又は読み枠にあるという意味で)連結していてもよい。場合によっては、DNA配列はリンカードメインアミノ酸配列をコードする核酸配列によって連結されうる。
この態様において、本発明は更に、本発明のペプチドをコードするDNA分子に作用可能に結合した発現コントロール配列、ベクターで形質転換した宿主細胞によりコントロール配列が認識されるDNA分子を含むプラスミド等の発現ベクターを含む。一般的には、プラスミドベクターは宿主細胞と適合性がある種から取り出された複製及びコントロール配列を含む。ベクターは通常、複製部位並びに形質転換細胞において表現型の選択を提供することができるタンパク質をコードする配列を有する。
原核生物宿主中での発現に対しては、好適なベクターにはpBR322(ATCC第37017)、phGH107(ATCC第40011)、pBO475、pS0132、pRIT5、pRIT20又はpRIT30シリーズの任意のベクター(Nilsson及びAbrahmsen (1990), Meth. Enzymol., 185:144-161)、pRIT2T、pKK233-2、pDR540及びpPL-ラムダが含まれる。本発明の発現ベクターを含む原核生物宿主細胞には、大腸菌K12株294(ATCC第31446)、大腸菌株JM101(Messing等, (1981) Nucl. Acid Res., 9:309)、大腸菌株B、大腸菌χ1776(ATCC第31537)、大腸菌c600、大腸菌W3110(F-、ガンマ-、原栄養菌株、ATCC第27325)、大腸菌株27C7(W3110、tonA、phoA、E15、(argF-lac)169、ptr3、degP41、ompT、kan)(米国特許第5,288,931号、ATCC第55244)、枯草菌、サルモネラ菌、セラチア・マルセッセンス、及びシュードモナス種が含まれる。
原核生物に加えて、真核生物体、例えば酵母菌、あるいは多細胞生物体由来の細胞を宿主細胞として使用することができる。一般的なパン酵母又はサッカロミセス・セレヴィシアのような酵母宿主細胞中での発現に対しては、好適なベクターには、2ミクロンプラスミドに基づくエピソーム的に複製するベクター、組込み型ベクター、及び酵母人工染色体(YAC)ベクターが含まれる。SF9細胞のような昆虫宿主細胞での発現に対しては、好適なベクターにはバキュロウイルスベクターが含まれる。植物宿主細胞、特にタバコのような双子葉植物宿主における発現に対しては、好適な発現ベクターにはアグロバクテリウムツメファシエンスのTiプラスミドに由来するベクターが含まれる。
有用な哺乳動物宿主細胞の例には、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等 (1997), J. Gen Virol., 36:59);ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin (1980), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216);マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather (1980), Biol. Reprod., 23:243-251);サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL 2); イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞 (BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562, ATTC CCL51);TRI細胞(Mother等 (1982), Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68);MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌細胞株(HepG2)が含まれる。哺乳動物宿主細胞における発現に対しては、有用なベクターには、SV40由来のベクター、サイトメガロウイルス由来のベクター、例えばpRK5及びpRK7を含むpRKベクター(Suva等 (1987), Science, 237:893-896; EP307,247(3/15/89)、EP278,776(8/17/88))、ワクシニアウイルス又は他のポックスウイルス由来のベクター、及びモロニーのマウス白血病ウイルス(MoMLV)由来のベクターのようなレトロウイルスベクターが含まれる。
場合によっては、対象のペプチドをコードしているDNAは宿主細胞によって培地中への発現産物の分泌を生じさせる分泌リーダー配列に作用可能に結合される。分泌リーダー配列の例には、stII、エコチン(ecotin)、lamB、ヘルペスGD、lpp、アルカリホスファターゼ、インベルターゼ、及びアルファ因子が含まれる。ここでの使用にまた適しているのはプロテインAの36アミノ酸リーダー配列である(Abrahmsenら, (1985) EMBO J., 4:3901)。
宿主細胞はこの発明の上述の発現又はクローニングベクターで形質移入され、好ましくは形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように変性された一般的な培養液中で培養される。
本ペプチドを作成するのに使用される原核宿主細胞は、一般に上掲のSambrookら, に記載されるようにして培養することができる。
本発明のペプチドを作成するのに使用される哺乳動物宿主細胞は、様々な培地で培養することができる。商業的に入手可能な培地、例えばハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地((MEM)、シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM)、シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。さらに、Ham及びWallace, (1979), Meth. in Enz. 58:44, Barnes及びSato, (1980), Anal. Biochem. 102:255, 米国特許第4,767,704号;同4,657,866号;同4,927,762号;又は同4,560,655号;WO 90/03430;WO87/00195;米国特許再発行第30,985号;又は米国特許第5,122,469号、文献によりここに取り込まれる全ての開示に記載された任意の培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン、及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商品名)薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)、及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
この開示で引用される宿主細胞は、インビトロ培地の細胞、並びに宿主動物内にある細胞を包含する。
E.化学合成
本発明の化合物を生成する他の方法は、化学合成を含む。これは、当業者に知られた方法論を用いて実施される(Kelly, R.F. & Winkler, M.E. in Genetic Engineering Principles and Methods, Setlow, J.K, ed., Plenum Press, N.Y., Vol. 12, pp 1-19(1990); Stewart, J.M. Young, J.D., Solid Phase Peptide Synthesis, Pierce Chemical Co., Rockford, IL (1984)参照;また米国特許第4,105,603号; 第3,972,859号; 第3,842,067号; 及び第3,862,925号も参照)。
本発明のペプチド類似物は固相ペプチド合成を用いて便利に作成される。Merrifield, (1964)J. Am. Chem. Soc., 85: 2149 ; Houghten,(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5132 。固相ペプチド合成はまた、活性ドメインがポリペプチドであるか、又はそれを含んでいると、本発明のハイブリッド分子組成物を調製するのに使用することができる。
固相合成は、保護されたアミノ酸を不活性個体支持体に結合させることにより推定ペプチドのカルボキシ末端において開始される。不活性な固体支持体は、開始アミノ酸のC末端のアンカーとして働くことのできる任意の高分子であり得る。典型的には、高分子支持体は、上掲のStewart及びYoungの2及び4ページの図1-1及び1-2に示されるような架橋高分子樹脂(例えば、ポリアミド又はポリスチレン樹脂)である。一実施態様では、C末端アミノ酸はベンジルエステルを形成するポリスチレン樹脂と連結している。高分子支持体は、例えば、ペプチド合成の阻害アミノ酸のαアミノ基を解放するのに使用される条件下でペプチドアンカー結合が安定であるものが選択される。塩基不安定α保護基が使用され、次いでペプチドと固体支持体の間の酸不安定結合を使用するのが好ましい。例えば、酸不安定エーテル樹脂は、上掲のStewart及びYoungの16ページに記載されるような塩基不安定Fmocアミノ酸ペプチド合成に効果的である。あるいは、ペプチドアンカー結合及び差別的にアシドリシスに移行するα保護基が使用できる。例えば、フェニルアセトアミドメチル(Pam)樹脂のようなアミノメチル樹脂は、上掲のStewart及びYoungの11-12ページに記載されるようにBoc-アミノ酸ペプチド合成に関連してうまく働く。
開始アミノ酸が不活性固体支持体に連結した後、開始アミノ酸のαアミノ酸保護基を例えば塩化メチレンのトリフルオロ酢酸(TFA)で除去し、例えばトリエチルアミン(TEA)で中和する。開始アミノ酸のαアミノ基の脱保護に続いて、合成における次のα-アミノ-及び側鎖保護したアミノ酸を添加する。次に残りのα-アミノ酸、必要ならば側鎖保護されたアミノ酸を縮合により所定の順序で続けて結合させ、個体支持体に結合した中間体化合物を得る。あるいは、ペプチド断片を伸長している固相ペプチド鎖に付加する前に、幾つかのアミ酸を互いに結合させて所望のペプチド断片を形成してもよい。
2つのアミノ酸、又はアミノ酸とペプチド、又はペプチドとペプチドの間の縮合反応は、通常の縮合方法、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)又はDIC(N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド)法、活性エステル法、p-ニトロフェニルエステル法、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス[ジメチルアミノ]ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)法、N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル法など、及びウッドワード試薬K法等に従って実施される。
ペプチドの化学合成に共通なのは、アミノ酸の任意の反応性側鎖基を適切な保護基で保護することである。最終的には、これらの保護基は、所望のポリペプチド鎖が連続的に組み立てられた後に除去される。さらに共通なのは、アミノ酸又はペプチド断片上のαアミノ基を保護するが、それがアミノ酸又はペプチド断片のC末端カルボキシル基で成長固体支持体ポリペプチド鎖の遊離N末端のアミノ酸と反応し、続いてαアミノ酸基を選択的に除去し、次のアミノ酸又はペプチド断片を固体ペプチド鎖に付加させる。従って、ペプチド合成において一般的には、中間体化合物が生成され、それはペプチド鎖の所望の配列に局在化した各アミノ酸残基を含み、その個々の残基は側鎖保護基を有することである。これらの保護基は、実質的に同時に除去され、固相から取り外した後に所望のポリペプチド生成物が生成される。
α-及びε-アミノ酸側鎖基を、ベンジルオキシカルボニル(省略して、Z)、イソニコチニルオキシカルボニル(iNOC)、o-クロロベンジルオキシカルボニル[Z(2Cl)]、p-ニトロベンジルオキシカルボニル[Z(NO)]、p-メトキシベンジルオキシカルボニル[Z(OMe)]、t-ブトキシカルボニル(Boc)、t-アミルオキシカルボニル(Aoc)、イソボロニルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-(4-ビフェニル)-2-プロピル-オキシカルボニル(Bpoc)、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、メチルスルホンエトキシカルボニル(Msc)、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2-ニトロフェニルスルフェニル(NPS)、ジフェニルホスフィノチオイル(Ppt)、及びジメチロホスフィノチオイル(Mpt)基などで保護できる。
カルボキシ官能基の保護基としては、ベンジルエステル(OBzl)、シクロヘキシルエステル(Chx)、4-ニトロベンジルエステル(ONb)、t-ブチルエステル(Obut)、4-ピリジルメチルエステル(OPic)等が例示される。アミノ及びカルボキシル基以外の官能基を有するアルギニン、システイン、及びセリンなどの特定のアミノ酸は、適当な保護基で保護するのが望ましいことが多い。例えば、アルギニンのグアニジノ基は、ニトロ、p-トルエンスルホニル、ベンジルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、p-メトキシベンゼンスルホニル、4-メトキシ-2,6-ジメチルベンゼンスルホニル(Nds)、1,3,5-トリメチルフェニルスルホニル(Mts)等で保護される。システインのチオール基は、p-メトキシベンジル、トリチルなどで保護されうる。
前記されるような多くの阻害アミノ酸は、Novabiochem(サンディエゴ,CA)、Bachem CA(Terrence, CA)又はPeninsula Labs(ベルモント,CA)のように商業的に入手できる。
上掲のStewart及びYoungは、ペプチド調製のための方法に関して詳細な情報を提供する。αアミノ基の保護は14−18ページに記載され、側鎖ブロックは18−28ページに記載されている。アミン、ヒドロキシル及びスルフヒドリル官能基の保護基の表が149−151ページに提供されている。
所望のアミノ酸配列が完成した後、ペプチドは固体支持体から離され、回収され、精製されうる。ペプチドは、ペプチド固相結合を崩壊することのできる試薬により固体支持体から取り除かれ、場合によっては、ペプチドの阻害側鎖官能基を脱保護する。一実施態様では、ペプチドは、液体フッ化水素酸(HF)を有するアシドリシスにより固相から取り外すが、残っている側鎖保護基も取り除く。好ましくは、ポリペプチド中の残基のアルキル化(例えば、メチオニン、システイン、及びチロシン残基のアルキル化)を回避するために、アシドリシス反応混合物はチオ-クレゾール及びクレゾール捕捉剤を含む。FH離脱の後、樹脂はエーテルで洗浄され、遊離ペプチドは酢酸溶液の連続洗浄で固相から抽出される。混合した洗浄液は凍結乾燥され、ペプチドが精製される。
F.ハイブリッドの化学コンジュゲート
本発明の特定の実施態様では、ハイブリッド分子は、治療的又は診断的用途を有する有機化合物である活性ドメイン、あるいは一本鎖の核酸をコードすることができない構造のポリペプチド活性ドメインとペプチドリガンドドメインの融合体を含みうる。後者の実施態様の例としては、ペプチドリガンドのアミノ末端と活性ドメインのアミノ末端の融合体、又はペプチドリガンドのカルボキシ末端と活性ドメインのカルボキシ末端の融合体を含む。
化学コンジュゲートは、様々な二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を用いて、これら実施態様のハイブリッド分子の調製に使用することができる。
G.ジスルフィド結合ペプチド
前記したように、本発明のいくつかの実施態様では、環化ペプチドリガンドを含む。ペプチドリガンドはシステイン基の間のジスルフィド結合の形成により環化されうる。このようなペプチドは前記したような化学合成により作成され、次いでジスルフィド結合の形成に使用される任意の簡単な方法により環化される。例えば、ペプチドは、還元した形態のメルカプト基を有する固相合成物から回収され、薄い溶液に溶解されうるが、分子内システイン濃度は、分子内ジスルフィド結合形態を最適化するための分子内システイン濃度を上回り、例えば25mMから1μM、好ましくは500μMから1μM、より好ましくは25μMから1μMのペプチド濃度であり、次いで分子内ジスルフィド結合を生成するのに十分な弱酸化剤、例えば金属陽イオン、フェリシアン化カリウム、テトラチオン酸ナトリウム等のような触媒を有する又は有しない分子酸素に遊離メルカプト基をさらすことにより酸化される。あるいは、ペプチドはPeltonら, (1986) J. Med. Chem., 29:2370-2375に記載されるようにして環化することができる。
環化は、例えば第1のCysと第2のCysの間のジスルフィド結合又はラクタム結合の形成により行われる。ジスルフィド結合を形成することのできる残基は例えばCys、Pen、Mpr、及びMpp及びその2-アミノ基含有等価物を含む。ラクタムブリッジを形成することのできる残基は、例えばAsp、Glu、Lys、Orn、αβ-ジアミノブチル酸、ジアミノ酢酸、アミノ安息香酸、及びメルカプト安息香酸を含む。ここでの化合物は、例えばCysのN末端アミノ基又は他のアミノ酸に対して共有結合を形成する隣接していない残基の側鎖基を利用しうるラクタム結合により環化することができる。あるいは、ブリッジ構築はまた、本発明の化合物を環化するのに使用することができ、例えばペプチド及びペプチド類似物を含み、S-S、CH2-S、CH2-O-CH2、ラクタムエステル又は他の結合により環化できる。
H.医薬組成物
本発明のハイブリッド分子を含有する医薬組成物は、非経口、局所、経口又は局部的(エアロゾル又は経皮など)又はその任意の組み合わせを含む任意の適切な形で投与されうる。
本発明の他の適した組成物は、製薬的に許容可能な担体を有する前記組成物の任意のものを含むが、担体の性質は投与方式によって異なり、例えば経口投与では通常固体担体が用いられ、I.V.投与では液体塩溶液担体である。
本発明の組成物は、患者及び本発明の組成物のタンパク質に適合する製薬的に許容可能な成分を含む。これらは一般に懸濁物、溶液及びエリキシル剤、特にリン酸緩衝塩水、生理食塩水、ダルベッコの媒質などの生物学的バッファーを含む。エアロゾル、又はデンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等(経口固体調製物の場合、粉末、カプセル、及び錠剤)の担体を用いてもよい。
ここで使用する用語「製薬的に許容可能な」とは、一般的に、連邦または州政府の規制当局に承認されたもの又は米国薬局方又は動物、特にヒトに使用するための他の一般に認められた、薬局方に列挙されているものを意味する。
製剤の選択は、上記のバッファー、又は例えば製薬級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウムセルロース、炭酸マグネシウム、等を含む賦形剤の種々のものを用いてなすことができる。組成物の「PEG化(PEGylation)」は、当該分野で知られた技術を用いて実施してもよい(例えば、国際特許公報番号WO92/16555、Enzonの米国特許第5,122,614号、及び国際特許公報番号WO92/00748を参照)。
本発明の投与の好ましい経路は、エアロゾル又は吸入の形態である。本発明の化合物は、分散剤と混合され、乾燥粉末のようなエアロゾル形態で、あるいは溶液又は希釈液での懸濁液として投与することができる。
ここで使用する用語「分散剤」とは、化合物のエアロゾル化又は肺組織でのタンパク質の吸収、又は両方を助ける薬剤を意味する。好ましくは分散剤は製薬的に許容可能である。適した分散剤は、当該分野にてよく知られ、これに限らないが界面活性剤等を含む。例えば、液体エアロゾルを形成する溶液の噴霧化によって生じる表面に発生する化合物、特にペプチド化合物の凝集を減少させるために、当該分野で一般的に使用される界面仮性剤が使用されうる。限定しないが、このような界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類及びアルコール類、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤である。使用される界面活性剤の量は様々で、一般に製剤の約0.001重量%から約4重量%の範囲であろう。特定の様態では、界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート又はソルビタントリオレアートである。適した界面活性剤は当該分野でよく知られ、特定の処方、化合物の濃度、希釈剤(液体形態の場合)又は粉末の形態(乾燥粉末の製剤の場合)等による所望の特性をもとに選択することができる。
更に、ペプチドリガンドの選択、所望の治療効果、肺組織の性質(例えば、病気の又は健康な肺)、及び多くの他の要因によって、液体又は乾燥製剤は更に以下に記載されるような更なる成分を含むことができる。
一般に液体エアロゾル製剤は、製薬的に許容可能な希釈剤にペプチドリガンド/活性ドメインハイブリッド及び分散剤を含む。本発明の乾燥粉末エアロゾル製剤は、ペプチドリガンド/活性ドメインハイブリッド及び分散剤の細かく分離した固形からなる。液体又は乾燥粉末エアロゾル製剤のどちらかを用いて、製品はエアロゾル化されなければならない。つまり、エアロゾル化した投与量が実際に肺胞に届くようにするために液体又は固体粒子にまで壊さねばならない。一般に質量中位力学径(mass median dynamic diameter)は、薬の粒子が肺胞に届くためには5マイクロメーター以下であろう(Wearley, L.L., (1991), Crit. Rev. in Ther. Drug Carrier Systems 8:333)。「エアロゾル粒子」という用語は、肺投与に適した、つまり肺胞に届きうる液体又は固体粒子を記載するためにここで使用される。他の考慮すべきこととしては、例えば送達装置の様式、製剤中の更なる化合物及び粒子特性が重要である。薬の肺投与のこれらの態様は、当該分野においてよく知られ、製剤の取り扱い、エアロゾル化方法及び送達装置の様式は当分野の通常の技術者に最も日常的な実験で必要とされる。
送達装置の様式に関して、当分野で既知のエアロゾル化の任意の形式は、これに限らないが、ネブライザー、液体製剤の噴霧化又はポンプエアロゾル化、及び乾燥粉末製剤のエアロゾル化を含み、本発明の実施に使用することができる。固体製剤投与の独自に設計した送達装置が示される。しばしば、液体又は乾燥粉末製剤のエアロゾル化は噴霧剤を必要としうる。噴霧剤は、当分野で一般的に使用される任意の噴霧剤でよい。特に限定しないが、このように利用できる噴霧剤の例は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロフルオロフルオロカーボン、又はヒドロカーボンであり、トリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン、又はその組み合わせを含む。
本発明の好ましい態様では、エアロゾル化の装置は、定量吸入器である。定量吸入器は、投与によって変化する用量ではなくて、投与時に特定の投与量を提供する。このような定量吸入器は液体又は乾燥粉末エアロゾル製剤のどちらかで使用されうる。定量吸入器は当分野でよく知られている。
ペプチドリガンド/活性ドメインハイブリッドが肺に到達すると、多くの製剤依存因子が薬剤吸入に影響を及ぼす。化合物の循環レベルが要求される疾患又は障害の治療において、エアロゾル粒子サイズ、エアロゾル粒子形態、感染、肺疾患又は塞栓の有無のような要因が化合物の吸入に影響しうることが理解されるであろう。ここに記載される各製剤において、任意のルブリケータ、吸収促進剤、タンパク質安定剤又は懸濁剤を使用してもよい。これらの更なる薬剤の選択は、目的により異なる。化合物の局所送達が所望又は探求される場合、吸収促進のような変化はそれ程重要でないことが理解されるであろう。
I.液体エアロゾル製剤
本発明の液体エアロゾル製剤は、通常ネブライザーで使用されうる。ネブライザーは圧縮気体吹きつけ又は超音波のどちらかでありうる。当該分野で既知の任意のネブライザーは、本発明と関連して使用することができ、これに限らないが:Ultravent、Mallinckrodt社(セントルイス、MO);アクロンIIネブライザー(Marquest Medical Products、エングルウッドCO)である。本発明と関連して利用できる他のネブライザーは、1986年11月25日公開の米国特許第4,624,251号;1972年11月21日公開の同第3,703,173号;1971年2月9日公開の同第3,561,444号及び1971年1月13日公開の同第4,635,627号に記載されている。
製剤は担体を含みうる。担体は循環系に溶解でき、及び製薬的に許容可能な高分子であり、ここで製薬的に許容可能とは当該分野での技術者が治療法の一部として患者に該担体を注入する製薬的に許容されることを意味する。好ましくは、担体はクリアランスの許容可能な血中濃度半減期を有する循環系で比較的安定である。このような高分子はこれに限らないが、大豆レシチン、オレイン酸及びソルビタントリオレアートを含み、ソルビタントリオレアートが好ましい。
当実施態様の製剤はまた、タンパク質安定化剤又は浸透圧の調節に利用できる他の薬剤も含んでいてもよい。薬剤の例は、これに限らないが、塩、例えば塩化ナトリウム、又は塩化カリウム及び糖類、例えばグルコース、ガラクトース又はマンノース等を含む。
J.エアロゾル乾燥粉末製剤
本医薬製剤はペプチドリガンドの細かく分包された粉末形態及び分散剤を含む乾燥粉末吸入製剤として使用されうる。化合物の形態は、一般に凍結乾燥粉末である。ペプチド化合物の凍結乾燥形態は標準的な技術で得られる。
他の実施態様では、乾燥粉末製剤は、本発明の1又は複数の化合物、分散剤及び充填剤を含む細かく分包された乾燥粉末を含む。本製剤に混合して使用できる充填剤は、ラクトース、ソルビトール、スクロース、又はマンニトールのような薬剤を含み、装置からの粉末の分散を円滑にする量である。
K.研究、産業、及び診断用組成物
好ましい実施態様では、本発明のペプチドリガンド又はハイブリッド分子は固体支持体等の高分子と非共有吸着又は共有結合させる。本発明はペプチドリガンド又はハイブリッド分子と複合される高分子を包含すると理解される。好ましい実施態様では、例えば下に開示されるIgG-Fcペプチドリガンドのように、本発明のペプチドリガンドは、免疫グロブリンに対向する。このようなペプチドリガンドは親和性精製剤と使用してもよい。この方法では、ペプチドリガンドは当該分野でよく知られた方法を用いてセファデックス樹脂又は濾過紙等の固相支持体上に固定される。固定したペプチドリガンドは精製するために免疫グロブリンタンパク質(又はその断片)を含有する試料と接触させ、支持体を、固定したペプチドリガンドに結合した免疫グロブリンタンパク質以外の試料中の全ての物質を実質的に取り除く適当な溶媒で洗浄する。最後に、支持体を他の適した溶媒、例えばグリシン緩衝液、pH5.0で洗浄して、ペプチドリガンドから免疫グロブリンタンパク質を離す。
一般に、固体支持体はポリマーゲルなどの不活性マトリクスであり、三次元構造と材料の格子又はネットワークを有する。合成又は天然の殆ど全ての高分子が、二官能性試薬で架橋されたとき、適切な液体中でゲルを形成する。好ましくは、選択される高分子は、アフィニティクロマトグラフィでの使用に便利なものである。アフィニティクロマトグラフィに使用される殆どのクロマトグラフマトリクスはキセロゲルである。このようなゲルは乾燥時に収縮してゲルマトリクスのみを含むコンパクトな固体となる。乾燥キセロゲルが液体に再懸濁されると、ゲルマトリクスは液体を吸収し、膨潤し、ゲル状態に戻る。ここで使用するのに適したキセロゲルは、セルロース、架橋デキストラン(例えばセファロース)、アガロース、架橋アガロース、ポリアクリルアミドゲル、及びポリアクリルアミド−アガロースゲルなどのポリマーゲルを含む。
あるいは、エアロゲルもアフィニティクロマトグラフィに使用できる。これらのゲルは乾燥時に収縮しないが、周囲の空気の透過のみを可能にする。乾燥ゲルが液体に曝露されると、後者はゲル中の空気と置換される。ここでの使用に適したエアロゲルは、多孔性ガラス及びセラミックゲルを含む。
またここに包含されるのは、誘導体化ゲルと結合した本発明のペプチドリガンド又はハイブリッド分子であり、その誘導体部分はゲルマトリクスへのハイブリッド分子の結合を促進し、アフィニティクロマトグラフィにおけるペプチド−標的分子相互作用の立体的障害を回避する。あるいは、類似の利点のために、ゲルマトリクスとハイブリッド分子との間にスぺーサーアームを挿入することもできる。
前記の変形としては、遺伝子融合及びペプチドリガンドの精製試薬としての使用が考えられる。本発明のこの態様によれば、ペプチドリガンドをコードする遺伝子は、ベクターに他のタンパク質又は他のタンパク質の断片をコードする遺伝子と関連づけされる。これは、ペプチドリガンドが他のタンパク質又はペプチドと融合として宿主細胞によって生産される結果をもたらす。「他の」タンパク質又はペプチドとは、多くの場合、細胞からの分泌が可能なタンパク質又はペプチドであり、所望するペプチドの培養液からの単離及び精製を可能にし、所望するペプチドが菌体内に止まる場合に生じる宿主細胞を破壊する必要性を除く。あるいは、融合タンパク質は細胞内に発現することも可能である。高度に発現される融合タンパク質を使用するのが有用である。
遺伝子融合の使用は、プロテインAの結合、より詳しくはプロテインAのZドメインのIgGへの結合が融合タンパク質の精製の為の「親和性ハンドル」を提供することから頻繁に使用されるタンパク質Aの使用に類似している。本発明の好ましい態様に従うと、血清アルブミンに結合するペプチドリガンドは、固体血清アルブミン支持体上に融合したタンパク質の精製のための「親和性ハンドル」として使用される。例えば、所望のペプチドリガンドをコードするDNA配列は、タンパク質の遺伝子の部位特異的突然変異誘発によって融合することができる。融合タンパク質の発現と分泌の後、酵素混合物から生成することのできる遊離ペプチドを得るために、酵素的に切断されうる。融合タンパク質は、メチオニン、又はヒドロキシアミン、Asn及びGly残基間を切断する臭化シアンのような化学薬品を使用することによって切断が可能である。標準的な組換えDNA技術を使用することにより、これらアミノ酸をコードするヌクレオチド塩基対は、所望するペプチドをコードする遺伝子の5' 末端の直前に挿入することができる。あるいは、融合タンパク質のタンパク質分解による切断を使用することが可能である。Cater, Protein Purification: From Molecular Mechanism to Large-Scale Process, Ladish等., eds.(American Chemical Society Symposium Series No.427,1990), Ch13, page 181-193。
以下の実施例は、例示のために提供されるもので、限定するものではない。明細書中の全ての文献の開示は、ここに出典明示することにより取り込まれる。
IgG-Fcペプチドリガンド
インビトロでの選択は、インビボでのペプチド機能の作用を制限することなく、IgG-Fc表面に結合するペプチドリガンドを同定してなされた。選択は様々な細胞性ホルモン及びレセプターに結合するペプチドを生成するのに近年使用されている多価及び一価のファージディスプレーの組み合わせを用いて行われた。N. C. Wrighton, 等(1996), Science 273:458, O. Livnah,等(1996), Science 273:464。x10の Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak の形態の異なるペプチドからなる一のジスルフィド制限ペプチドライブラが構築され、ここで Xaa はNNSコドン由来のランダムアミノ酸であり、 i+j+k=18、及びj=4から10である。このライブラリはグリシンとセリンの残基からなる短いリンカーを有する遺伝子VIIIタンパク質とのN末端融合体としてM13のバクテリオファージの表面で発現した。H. B. Lowman等(1998), Biochernistry 37: 8870-8878。より具体的には、ライブラリはSTII分泌シグナルペプチド、20アミノ酸長のペプチドライブラリ、つまり Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak (ここで、XaaはNNSコドン由来のランダムアミノ酸、i+j+k=18、及びj=4から10である)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Glyリンカー (配列番号:1)、及び成熟タンパク質の一番目の残基で開始するM13遺伝子VIIIを含んでいた。
原則として、のライブラリの偏りのない性質によってIgG-Fcの任意の領域に潜在的に結合するプチが選択された。しかしながら、数回の選択の後、ライブラリは単一のペプチド、Fc-I(Glu-Thr-Gln-Arg-Cys-Thr-Trp-His-Met-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Glu-Arg-Glu-His-Asn) (配列番号:2)が優位となった。選択はH. B. Lowman等,上掲に記載されるように、次の修飾で実施された:マイクロタイターのウェルを5μg/mlのIgG-Fcを用いて被覆し;非特異性結合を更に防ぐためにカゼイン阻害バッファ(Pierce社)を0.1%のBSAの代わりに使用し;ファージの溶出に75mMのDDT又は同等の結果となる0.2mMのグリシンpH2.0の何れかを作用させた。IgG-FcはCD4-IgGイムノアドヘシンタンパク質のパパイン切断によって得られる、Capon等, (1989), Nature, 337:525。切断された物質はタンパク質Aセファロース、続いてSuperdex-75(Pharmacia社)に通して精製し、次いで280nmの吸光度で定量した。
選択実験を再び繰り返してFc-I、更に関連ペプチド、Fc-II(Lys-Glu-Ala-Ser-Cys-Ser-Tyr-Trp-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Val-Ala-Gly-Val-Glu)(配列番号:3)を得た。Fc-IIペプチドはFc-Iに見られる開始Gly-Glu-Leu-Val-Trp(配列番号:132)配列及びシステインスペーシングを共有していた。明らかに、これら2つのペプチドは、開始プールに存在する他のIgG-Fc結合ペプチドの何れをも超えて選択されるのに十分高い親和性を有するIgG-Fcに結合した。2つのペプチドは標準9-フルオレニルメトキシカルボニルプロトコルを用いて固相ファージ上で合成され、逆相HPLCにより精製され。質量をエレクトロスプレー質量分析により確認し、精製したペプチドを280nmのUV吸光度で定量した。
競合ELISAをH. B. Lowman,等, 上掲に記載される方法と同様の方法で実施した。概略して言うと、タンパク質A Zドメインを5μg/mlの濃度でマイクロタイターウェル上に固定し、遮断して、記したように洗浄した。濃度312nMから0.3nMのビオチニル化IgG-Fc濃度215μMから0.8μMのペプチドの合物の基を調製した。これらの混合物を固定したタンパク質A Zドメインと1時間インキュベートした。次いでプレートをアビジン/HRPコンジュゲートを用いて記載したように洗浄して発させた。次にビオチン-IgG-Fcの各濃度について阻害曲線を算定し、次いでKiを得るために最大阻害の半分の値の曲線、「IC50」をゼロビオチン-IgG-Fc濃度に対して推定した。Fc-I及びFc-IIペプチド双方とも、約5μMの阻害定数(Ki)でIgG-Fcとの結合においてタンパク質A(Zドメイン)(B. Nilsson等(1987), Protein Eng. 1:107)と競合することが分かった。結果から、これらのペプチドがタンパク質A結合部位と一致するIgG-Fc上の重複部位に結合することが示唆された。
Fc-IIペプチドのDNA配列を、STIIシグナル配列、Fc-IIペプチド Lys-Glu-Ala-Ser-Cys-Ser-Tyr-Trp-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Val-Ala-Gly-Val-Glu (配列番号:3)、Gly-Gly-Gly-Pro-Gly-Gly-Gly リンカー(配列番号:4)、及び残基253で開始するM13遺伝子IIIタンパク質を有する構築物を得るためにカセット突然変異によって一価のファージディスプレイフォーマットを実施した。Fc-II配列を一価のファージディスプレイによって親和性成熟した。5組の残基をペプチド配列の非システイン位置を完全に網羅する6つの分離したライブラリで無策位に突然変異させ、次いでIgG-Fcに対してスクリーニングした。
一組の二次生成の一価のファージディスプレイライブラリをFc-II配列 Lys-Glu-Ala-Ser-Cys-Ser-Tyr-Trp-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Val-Ala-Gly-Val-Glu (配列番号:3) に基づいて構築し、ここで5つの配列残基は2つのシステイン以外の1、4、7、10、12、及び16の位置で開始する各ライブラリのNNSコドンを用いてランダム化された。各ライブラリは約1x10の多様性を有していた。これらのライブラリをそれぞれIgG-Fcに結合させるために6回スクリーニングし、次いで配列決定した。次にこの選択からの好ましい残基を、完全長ペプチド配列に及ぶ3つの更なるライブラリを用いて組換えた。3つの更なるライブラリを1つのペプチドの各位置の好ましいアミノ酸を再結合するために遺伝子コードの縮重を用いて構築した。これらのライブラリDNA配列は次の塩基(IUPACコード)の混合物を含む: DRG GWA GMA RRC TGC KCT TRS CAC MTG GGC GAG CTG GTC TGG TGC RVC RVM BKC GAS KDW (配列番号:5)、DRS VWG SVG RRC TGC KCC TRS YRS MTG GGC GAG CTG GTC TGG TGC RNC VVS NBS GWS KDM (配列番号:6)、及び DNS NNS NNS VNS TGC BVG TDS HRS MDS GGC GAG STC KKG WRG TGC RNM NNS NNS NNS NNM (配列番号:7)。またこれらのライブラリをIgG-Fcに対して6回ソートし、次いで配列決定した。
IgG-Fcに対してスクリーニングした後、これらのライブラリからのコンセンサス型は、高度に保存された13残基を核にする配列(Asp-Cys-Ala-Trp-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Thr) (配列番号:8)を示唆した。一致するペプチド(Fc-III)を合成し、これが100nMのIC50を有するFcに対するタンパク質A(Zドメイン)の結合を阻害することが分かった。従って、Fc-IIIはFc-IIよりも短い7つの残基であるが、50倍固く結合する。サイズが小さいにも関わらず、Fcに対するFc-IIIの結合親和性はタンパク質A及びタンパク質Gのドメイン(それぞれ約4倍大きく、約10nMのKSで結合する)のものより10倍弱いに過ぎなかった。S. R. Fahnestock,等 in Bacterial Immunogloblin-Binding Proteins (Academic Press, Inc. 1990) Vol.1, chap. 11. R. Karlsson, L. Jendeberg, B. Nilsson, J. Nilsson, P. Nygren (1995), J. Immuno. Methods 183:43。
表Iは、上記方法を用いて同定した模範的なIgG-Fcペプチドリガンドのアミノ酸配列とIgG-Fc結合親和性の一覧である。
表I
IgG-Fcペプチドリガンド配列と親和性
配列 配列番号 結合親和性

ペプチド
全てのペプチドはN末端にアミ
ン、C末端にアミドを有する

KEASCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:3 5000 nM (Ki)
ETQRCTWHMGELVWCEREHN 配列番号:2 5000 nM (Ki)
DLADCSWHMGELVWCSRVEG 配列番号:15 50 nM (Kd)
WEADCAWHLGELVWCTPMEF 配列番号:16 30 nM (IC50)
DCAWHLGELVWCT 配列番号:8 100 nM (IC50)

ファージクローン (M13/gIII ディスプレイ) 全てのファージ
親和性がEC50S
N/A = 別々ではなくアッセイした。
結合を選択したので、EC50は<1uM
であるか、それより良いと考えられる

列挙した全てのペプチドがIgG-Fcと結合する。

集束ライブラリ

配列 配列番号 結合親和性
KEASCSYWLGELVWCDTLTE 配列番号:17 N/A
KEASCSYWLGELVWCSPGVE 配列番号:18 734 nM
KEASCSYWLGELVWCSGVEG 配列番号:19 N/A
KEASCSYWLGELVWCSAGVE 配列番号:20 N/A
ESEDCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:21 N/A
EKEDCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:22 N/A
EDPDCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:23 N/A
EEADCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:24 N/A
NADDCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:25 N/A
SETTCSYWLGELVWCVAGVE 配列番号:26 N/A
AWKTCQWLGELVWCVAGVE 配列番号:27 N/A
DLADCSYWLGELVWCSRVEG 配列番号:28 776 nM
KEADCAWHLGELVWCVAGVE 配列番号:29 l38 nM
KEAECSYHLGELVWCVAGVE 配列番号:30 N/A
KEARCWYWHGELVWCSDPEE 配列番号:31 8O9 nM
KEASCSYHLGELVWCVAGVE 配列番号:32 416 nM
KEASCSWHLGELVWCVAGVE 配列番号:33 225 nM
KEASCSYWLGELVWCTEGVE 配列番号:34 818 nM
KEASCSYWLGELVWCDDGVE 配列番号:35 N/A
KEASCSYWLGELVWCSEGVE 配列番号:36 N/A
KEASCSYWLGELVWCSPGVE 配列番号:18 N/A
KEASCSYWLGEVWKCKSGVE 配列番号:37 N/A
KEASCSYWLGELVWCDNGVE 配列番号:38 N/A
KEASCSYWLGELVWCDTFDE 配列番号:39 301 nM
KEASCSYWLGELVWCDGLDE 配列番号:40 326 nM
KEASCSYWLGELVWCVGLDE 配列番号:41 278 nM
KEASCSYWLGELVWCEDTLE 配列番号:42 N/A
KEASCSYWLGELVWCEDTME 配列番号:43 N/A
KEASCSYWLGELVWCEDMME 配列番号:44 N/A
WVEDCSWHMGELVWCDGGEF 配列番号:45 l39 nM
KEASCSYWLGELVWCDWMNG 配列番号:46 N/A
KEASCSYWLGELVWCDDTPV 配列番号:47 N/A
KEASCSYWLGELVWCDDYGE 配列番号:48 N/A
KEASCSYWLGELVWCSDLWE 配列番号:49 N/A
WRGGCSWHMGELVWCEHDME 配列番号:50 N/A
AVSKCSFHMGELVWCSDVMN 配列番号:51 N/A
NQVSCSYSRGELVWCSKQSQ 配列番号:52 N/A
GRMECAWHQGELVWCTPTLE 配列番号:53 N/A
GTMECSWHQGELVWCTPTLA 配列番号:54 N/A
EMRDCSWHLGELVWCAHMEG 配列番号:55 N/A
GSWECAYHLGELVWCETGSG 配列番号:56 N/A
VAEPCAYHLGELVWCEVLKG 配列番号:57 N/A
KEAMCSYWLGELVWCESDMP 配列番号:58 N/A

設計クローン

DLADCSWHLGELVWCSRVEG 配列番号:59 9 nM
DLADCSWHLGELVWCVGLDE 配列番号:60 28 nM
WVEDCSWHLGELVWCVGLDF 配列番号:61 31 nM

二次最適化

KVADCAWHMGELVWCTEVEG 配列番号:62 23 nM
GEEDCSYHLGELVMCTELDD 配列番号:63 69 nM
GVADCAWHLGELVWCTERED 配列番号:64 N/A
GEEDCAWHLGELVWCSGGDF 配列番号:65 lOOnM
WEADCAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:66 7 nM
GEADCSYHLGELVWCNDFEE 配列番号:67 l56nM
WVDCAYHLGELVWCSTFEE 配列番号:68 9 uM
WVEDCAWHMGELVWCTKVDE 配列番号:69 70 nM
READCAWHLGELVWCSERDL 配列番号:70 47 nM
EEASCAYHLGELVWCDAFDV 配列番号:71 77 nM
RVASCAWHLGELVWCDGLDG 配列番号:72 N/A
GEADCAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:73 38 uM
GEASCAYHLGELVWCDEGEG 配列番号:74 386 nM
RVEDCAYHLGELVWCTEGDE 配列番号:75 63 nM
EEPDCSWHLGELVMCTPMEV 配列番号:76 l4 nM
KEADCAWHMGELVWCSEMEG 配列番号:77 66 nM
EQADCAWHLGELVWCTPMVF 配列番号:78 8 nM
EEPDCSWHLGELVWCTPIEV 配列番号:79 l5 nM
GEPDCAWHLGELVWCTPMVF 配列番号:80 7 nM
GEQDCSYHMGELVWCTTVDG 配列番号:81 2lO nM
GVRNCAYHLGELVWCTPMEF 配列番号:82 lO nM
RVADCAWHMGELVWCSELEV 配列番号:83 44 nM
GEADCAWHLGELVWCTPMDL 配列番号:84 N/A
GEQDCSWHLGELVWCTPMEV 配列番号:85 N/A
GMRDCSYHLGELVWCSDMEL 配列番号:86 N/A
EVADCSWHLGELVWCTEGEF 配列番号:87 54 nM
GEEDCAWHLGELVWCTDVED 配列番号:88 52 nM
EVEDCAYHLGELVWCSDLEG 配列番号:89 82 nM
WEEDCAWHLGELVWCAEFDE 配列番号:90 44 nM
KEASCAWHLGELVWCSEVEE 配列番号:91 130 nM

ファージでのALAスキャン

AEADCAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:92 20 nM
WAADCAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:93 34 nM
WEPDCAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:94 36 nM
WEAACAWHLGELVWCTKVEE 配列番号:95 55 nM
WEAACSWHLGELVWCTKVEE 配列番号:96 10 nM
WEADCAAHLGELVWCTKVEE 配列番号:97 798 nM
WEADCAWALGELVWCTKVEE 配列番号:98 139 nM
WEADCAWHAGELVWCTKVEE 配列番号:99 56 nM
WEADCAWHLAELVWCTKVEE 配列番号:100 12 nM
WEADCAWHLGALVWCTKVEE 配列番号:101 11 nM
WEADCAWHLGEAVWCTKVEE 配列番号:102 1890 nM
WEADCAWHLGELAWCTKVEE 配列番号:103 4670 nM
WEADCAWHLGELVACTKVEE 配列番号:104 3380 nM
WEADCAWHLGELVWCAKVEE 配列番号:105 101 nM
WEADCAWHLGELVWCTAVEE 配列番号:106 10 nM
WEADCAWHLGELVWCTKAEE 配列番号:107 8 nM
WEADCAWHLGELVWCTKVAE 配列番号:108 4 nM
IgG-Fcペプチドリガンドで標識した抗VEGF Fabの構築
ペプチドリガンドドメインと活性ドメインを有するハイブリッド分子を形成するためにIgG-Fcペプチドリガンドを生理活性化合物と結合させてもよい。この実施例では、IgG-FcペプチドリガンドをヒトVEGF認識Fab断片と結合させる。ヒトVEGFに対する中和抗体をマウスのハイブリドーマから事前に同定しておき、ト化しファージディスプレイで最適化した。Muller等(1998), Structure 6:1153-1167; Chen等(1999), J. Mol. Biol. 293:865-881; 及び国際特許公開番号WO98/45331参照。無関係のIgGに対する結合親和性を、それらの結合親和性を壊すことなくFabに加えることができるかを試験するために、この抗体の2つのヒト化Fab型を選択した。実施例1に記載されるペプチド-ファージディスプレイ方法で同定され、最適化されたIgG-Fcペプチドリガンド、 DCAWHLGELVWCT (配列番号:8)、ペプチドとFabの間に可動性を与える短いペプチドリンカー(Gly-Gly-Gly)と共に使用る。この抗体の場合には軽鎖が抗結合への僅かな寄与を有することが既知である(Muller等, 1998, 上掲)ので、Fabの軽鎖が融合物に選択される。原則としてペプチドリガンドドメインはN末端、C末端に導入しても、又はもとのFab配列中に挿入しても、IgG結合を導入するように機能することができる。ここで記載されるのはN末端融合 DCAWHLGELVWCTGGG-(軽鎖)(配列番号:109) 並びにC末端融合 (軽鎖)-GGGWEADCAWHLGELVWCT (配列番号:110)である。
体軽鎖のN末端でIgG-Fcペプチドリガンドの融合を作成するように、抗VEGFプラスミドの突然変異のためにオリゴデオキシヌクレオチド、HL-569を設計し、合成した。HL-569の配列(更なるペプチド配列に下線を引いた)は: 5'-ACA AAC GCG TAC GCT GAC TGC GCT TGG CAC CTG GGC GAG CTG GTC TGG TGC ACC GGA GGA GGA GAT ATC CAG TTG ACC-3' (配列番号:111)。GACコドンは軽鎖のN末端のSTII選択シグナル配列に続き、GATコドンは成熟(野生型)軽鎖の一番目の残基に相当する。
他のオリゴデオキシヌクレオチド、HL-570を、抗体軽鎖のC末端へのペプチドリガンドの融合構築のために設計し、合成した。HL-570の配列(更なるペプチド配列に下線を引いた)は:5'-AAC AGG GGA GAG TGT GGA GGA GGA TGG GAA GCA GAC TGC GCT TGG CAC CTG GGC GAG CTG GTC TGG TGC ACC TAA GCT GAT CCT CTA C-3'(配列番号:112)。下線を引いたGGAの前にあるTGTコドンは軽鎖の残基Cys-214に相当し、TAA「停止コドン」は翻訳されるペプチド配列の末端を標識する。ファージミドpY0192及びpY0317(Muller等, 1998, 上掲;Chen等, 1999;及び国際特許公開番号WO98/45331に記載)はヒト抗VEGF抗体の低親和性及び高親和性形態をそれぞれコードしており、2つのIgG-ペプチドオリゴのそれぞれを突然変異させて構築物pY0192-569、pY0192-570、pY0317-569、及びpY0317-570を得た。
ペプチドリガンド標識した抗VEGF Fabを含むハイブリッド分子のファージELISA分析
ファージELISA競合結合アッセイ(Lowman(1998), Methods Mol. Biol. 87:249-264)を、N末端とC末端でIgG-Fcペプチドリガンドで標識した抗VEGF抗体変異体の見かけの結合親和性に比較して用い、遺伝子IIIタンパク質のC末端ドメインの融合としてバクテリオファージM13粒子で一価的に表示した。
ハーセプチン(登録商標)としても知られる無関係のヒト化IgG、4D5-IgGによってリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2マイクロg/mLでNunc Maxisorp免疫吸着プレート上を被覆した。XL-1ブルー大腸菌(Stratagene)を一晩培養して得たファージミド粒子を0.5%のウシ血清アルブミンと0.05%のTween-20を含むPBSで希釈した。ファージミド粒子を溶解したハーセプチン(登録商標)の連続希釈液と混合し、非吸着プレート(Nunc F96)で20分間平衡化し、次いで非結合ファージの除去のためにハーセプチン(登録商標)被覆したMaxisorpプレートに移動させた。20分後プレートをPBS/Tweenで洗浄し、抗ファージモノクローナル抗体HRPコンジュゲート(Pharmacia)及びOPD基質(Sigma)で発させた。構築物、pY0192-569、pY0192-570、pY0317-569、及びpY0317-570のそれぞれについての約100−300nMのIC50値を置換曲線で示した図1
IgG-Fcペプチドリガンドで標識した抗VGF FabへのIgG結合のビアコア(商品名)分析
無関係のIgG、ハーセプチン(登録商標)としても知られる4D5-IgGの、固定VEGFバイオセンサーチップに事前に結合させたFabに対する結合を測定するために、表面プラズモン共鳴器(ビアコア社、ピスカタウェイ、ニュージャージー)を用いた。
pY0317及びpY0317-570(それぞれコントロール抗VEGF高親和性のヒト化Fab、及びIgG-Fcペプチドリガンドドメインで標識したVEGF高親和ヒト化Fab;上掲の実施例2、及びWO98/45331参照)によりコードされるFab変異体を大腸菌で発現させ、タンパク質G(Pharmacia社)親和性クロマトグラフィーで精製した。組み換えヒトVEGFを記述されるように(Muller等, 1998, 上掲)ビアコア(商品名)CM-5バイオセンサーチップ(ビアコア社)上に固定した。VGFの固定の後、チップをエタノールアミンで遮断し、ペプチドリガンドをY0317−570 Fab、又はY0317コントロールで標識し、0.05%のTween-20と0.01%のアジ化ナトリウムを含有するPBSバッファーに投入した。Fab投入の後、ハーセプチン(登録商標)を投入し、投入後の解離率(koff)を得た。
結果(図2)は、ハーセプチン(登録商標)がコントロールY0317 Fab以外の標識物に結合したことを示す。1:1ラングミュア結合モデル(Karlsson等(1991), J. Immunol. Methods 145:229-240(1991))を用いて、2.8x10−3、秒−1のkoff、及び8.5分の対応する消失半減期(t1/2)をY0317-570について測定した。物質の限界信頼できるon-rate(結合率)の測定を妨げた。しかしながら、得られたkoffは30nMから300nM(konは10−10−1−1とみなす)の平衡結合親和性、Kがペプチド結合とファージELISAの結果(上)に一致することを示唆する。重要なことには、ビアコア(商品名)の結果(図2)も、標識したFabが抗(固定VEGF)と無関係のIgGの両方に同時に結合できることを示す。
IgG-Fcペプチドリガンド標識した抗VEGF Fabは延長した消失半減期を有する
IgG-Fcペプチドリガンド標識した抗VEGF Fab(Fab-Y0317-570)の血液クリアランス速度と組織分布を、標識していないコントロール抗VEGF Fab Y0317のものと比較する。消失半減期と分布容積の測定は重量2.8から3kgのニュージーランドシロウサギで行う。血漿試料中に存在する被験物質の量は当該分野で既知の任意の方法、例えばELISA又はRIAを用いて測定する。
薬物動態分析を被験物質血漿濃度を用いて実施する。投与後の経過時間に対してプロットした場合に各被験物質の集団平均血漿データは多次指数関数プロフィールに一致する。データを、標準的な2分画モデルによりボーラス投与量と分布及び消失相の一次速度定数に当てはめる。静脈内投与のデータに最適な一般式は:c(t)=Ae−αt+Be−βtであり、ここでc(t)は時間tにおける血漿濃度であり、AとBはY軸上の切片であり、αとβはそれぞれ分布及び消失相の見かけの一次速度定数である。α相はクリアランスの初期相であり、動物の全ての細胞外液中のタンパク質の分布を示すのに対し、衰退曲線の第2又はβ相部分は真の血漿クリアランスを示す。このような方程式に合させる方法は当該分野でよく知られている。例えば、A=D/V(α-k21)/(α-β)、B=D/V(β-k21)/(α-β)、及びα及びβ(α>β)は次の二次方程式の平方根である:V=分布容積、k10=消失率、k12=分画1から分画2への移動率及びk21=分画2から分画1への移動率を用いたr+(k12+k21+k10)r+k21k10=0、D=投与量。
試験日の朝、6羽のニュージーランドシロウサギ(体重2.8−3.0kg)を固定器に入れた。血液試料採取のために耳動脈に、投与のために反対側の耳静脈にカテーテルを挿入した。
ウサギを2つの集団(n=3/集団)に分けた。集団1の動物はコントロール抗VEGF Fab-Y0317の静脈内投与ボーラスを受けた。集団2のウサギはFab-Y0317-570を受けた。集団の条件の概要と投与量については以下の表に示す。

集団 重量 投与集団 名目投与量 投与濃度 投与量
(kg) (mg/kg) (mg/mL) (mL)
1 2.9 Control-Fab-Y0317 1 3 0.97
1 3.0 Control-Fab-Y0317 1 3 1.00
1 2.9 Control-Fab-Y0317 1 3 0.97
2 2.8 Fab-Y0317-5701 3 0.93
2 3.0 Fab-Y0317-5701 3 1.00
2 2.9 Fab-Y0317-5701 3 0.97

投与の直前と投与後10、20、40分、1、2、3、4、6、8、24及び48時間に順次血液試料(0.5mL)を採取した。血液を血清分離管に収集し、室温で凝血させ(〜30分)、遠心分離した。血清を採取し、分析までの間直ちに−70℃で保存した。
ELISAプレートを0.5マイクロg/mlのVEGFを含有する50mMの炭酸バッファー、pH9.6で、4℃で一晩被覆し、さらに0.5%のウシ血清アルブミン、10ppmのプロクリン300(スペルコ社、Bellefonte, PA)含有PBS(8mMのNaHPO、1.5mMのKHPO、2.7mMのKCl及び137mMのNaCl、pH7.2)で室温で1時間遮断した。標準物(0.41−100ng/ml)と0.5%のウシ血清アルブミン、0.05%のポリソルベート20、0.25%のCHAPS、0.2%のウシγグロブリン(シグマ社、St. Luis、MO)及び5mMのEDTAを含有するPBS中の試料の2倍連続希釈(最小希釈1:100)をプレートで2時間インキュベートした。結合した抗体を、ペルオキシダーゼギF(ab')2抗ヒトIgG(ab')2(Jackson ImmunoResearch社、West Grove, PA)で、次いで基質としての3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(Kirkegaard&Perry Laboratories)で検出した。プレートを工程の間で洗浄した。吸着をTiterek stacker reader(ICN社、コスタメサ、カリフォルニア州)の450nmで読み取った。標準曲線を4つのパラメータの回帰曲線適合プログラム(カレイダグラフ, Synergy software社, Reading, PA)を用いて当てはめた。標準曲線の範囲にあるデータの点を、試料のFab濃度計測するのに使用した。
データ分析:時間プロフィールに対する濃度のグラフをカレイダグラフ(カレイダグラフ(商品名)V.3.09著作権 1986-1997. Synergy software社, Reading, PA)を用いて作成した。読み取り可能値未満(LTR)として記録された値はPK分析に含まれず、グラフには示されない。薬物動態パラメータはWinNonlinソフトウェア(WinNonlin(登録商標)Professional V.3.1 WinNonlin(商品名)著作権 1998-1999. Pharsight Corporation. Mountain View, CA)を用いた分画別分析により測定された。薬物動態パラメータを他記載されてい(Ritschel WA 及びKearms GL. Handbook of basic pharmacokinetics including clinical applications, 5th edition. American Pharmaceutical Assoc., Washington, DC. 著作権 1999)ようにして算定した。
結果を図3に記載する。ボーラス投与と一次生産性(WinNonlin)を用いた2分画モデルは時間データに対する得られた血清濃度に当てはめて使用された。測定された薬物動態パラメータは以下の表に示した。
薬物動態パラメータ概要
(静脈内投与;1mg/kg)
パラメータ 集団1 集団2
Control Fab-Y0317 Fab-Y0317-570
AUC(h*μg/mL) 13.6±1.2 215±56
Cmax(μg/mL) 15.6±0.6 13±0.7
CL(mL/h/kg) 74.2±6.7 4.8±1.1
K10半減期(hr) 0.6±0.02 11.3±3.6
α半減期(hr) 0.39±0.03 1.15±0.31
β半減期(hr) 1.93±0.27 37.6±19
V1(mL/kg) 64.1±2.37 75.2±4.23
Vss(mL/kg) 112±7.7 225±54
両方の薬剤の分布の初期(V1)は血清量にほぼ等しかった。Fab-Y0317-570(225mL/kg)の分布の見かけの定常状態量は内因性IgGへの結合に十分な量を示すコントロールFab(112mL/kg)の予測よりも約2倍高かった。コントロールFab-Y0317はFab-Y0317-570(4.8mL/h/d)に比較して血清から約15倍早く排除された(クリアランス=74mL/h/kg)。Fab-Y0317-570の全体暴露(AUC)はFab-Y0317のものよりも〜16倍高かった。Fab-Y0317は投与の24時間後血清で検出不可能であったが、Fab-Y0317-570の血清濃度は依然として投与の48時間後1μg/mLを超えていた。分布(α)半減期(1.15h)及び消失(β)半減期(37.6h)は共にコントロールFabよりも著しく長かった。
これらの結果は、内因性IgGに結合する13のアミノ酸のFab-Y0317への付加がFabクリアランスを有意に遅延させ、半減期を増加し、全体の暴露を促進することができることを示唆する。
血清アルブミンペプチドリガンド
ファージライブラリ及び選択条件−ファージディスプレイペプチドライブラリをウサギ、ラット及びヒトアルブミンに対して選択した。遺伝子8に融合するランダムペプチド配列を発現するファージライブラリ(Lowman等, Biochem. 37, 8870(1998))5つのグループにプールした:プールAはCXGPXC (配列番号:133)、XCXGPXCX (配列番号:134)及びXCXCXを含み、ここでj=8−10;プールBはX20及びXCXCXを含み、ここでj=4−7;プールCはX及びXCXCXを含み、ここでj=4−6;プールDはXCXCXを含み、ここでj=7−10;プールEはCXCXCCXCXC (配列番号:135)、CCXCXC (配列番号:136)、CCXCXCXCC (配列番号:137)、CXCXCXCX (配列番号:138)を含み、ここでXは20の天然発生Lアミノ酸を示す。それぞれの場合において、i+j+k=18及び|i−k|<2。10のライブラリのそれぞれが108クローン以上である。
ファージライブラリプールを結合バッファ(PBS、1%のオボアルブミン、0.005%のTween-20)に懸濁し、maxisorpプレート(PBS中10μg/ml、4℃で一晩;プレートはブロッカーカゼイン(Pierce Chemical, Rockford, IL)で遮断した)上に直接固定したウサギ、ラット又はヒトアルブミンに対して分類した。2時間後、結合していないファージを洗浄(PBS、0.05%のTween-20)を繰り返して取り除き、結合したファージを500mMのKCl、10mMのHCl、pH2で溶出した。溶出したファージをVCSM13ヘルパーファージ(Stratagene, La Jolla, CA)を用いてXL1-Blue細胞で増殖した。濃縮を、オボアルブミン又はカゼインでの成功裏の被覆に比較して成功裏に被覆されたアルブミンと結合したファージ数の滴定によってモニターした。
ファージELISA−ファージクローン(〜1011ファージ)をラット、ウサギ又はヒトアルブミンで被覆したプレートに加えた。マイクロタイタープレートを洗浄バッファーで洗浄し、結合したファージをHRP/抗M13コンジュゲートで溶出した。結合したHRPの量をABST/H基質を用いて405nmでの変化を監視することにより測定した。
ウサギ、ヒト又はラットアルブミンへの結合を選択したファージクローンにより示されるペプチド配列図4に示。また3種の固定したアルブミンに結合する個々のファージクローンの能力も示す。これは、ファージELISAを用いて試験された。ラットアルブミンへの結合を選択しクローンRBはまた、ヒト及びウサギアルブミン結合能力もあることに注意してほしい。
一価のファージでの配列成熟−部分的にランダム化したライブラリを4の選択クローンそれぞれをコードするオリゴヌクレオチドを用いて構築したが、記述されているように(Dennis等, Nature 404, 465(2000))塩基の70−10−10−10混合物で合成した。これらのライブラリの潜在的な多様性は当初の未処置のライブラリと同じであるが、各「ソフトランダム化」ライブラリは図4の選択配列に偏りを有する。各ライブラリは再びその起源に関係なくラット、ウサギ又はヒトアルブミンへの結合を選択した。例えば、もとはラットアルブミンへの結合を同定していても、クローンRBのソフトランダム化から生じるライブラリはラット、ウサギ又はヒトアルブミンに対して選択された。ソフトランダム化に従って同定された配列を、ファージELISAにより決定されるようなそれらの種特異性と共に図5に示す。ほとんどのクローンがそれらが選択したアルブミンの種に特異的であるように見えるが、RBソフトランダムライブラリ由来のクローンはこれらの種の全てに結合する。
またファージクローンをアカゲザル、マウス及びウシアルブミンへの結合について試験した。RBソフトランダム化ライブラリ由来のクローンを同様にこれらの種のアルブミンのそれぞれへの結合に対して検出され、オボアルブミン及びカゼインへの結合欠に基づいてアルブミンに固有であった(図6)。複数種のアルブミンに結合するクローン(多重特異性結合剤)を図7に示す。
ハードランダム化−RB配列のソフトランダム化由来の配列をさらに、ハードランダム化法を用いて成熟させた。選択残基(下線を付した)定常XDXCLPXWGCLWX (配列番号:366)を高度に保存する一方、残りの部分を十分にランダム化するしいライブラリ構築た。N及びC末端の両方で1残基さらに短い、第2のライブラリも構築された。ラット、ウサギ又はヒトアルブミンに対して選択されたこれらライブラリ由来の配列を図8Aないし8Fに示す。
ペプチド合成−ペプチドを手動又は自動(Milligen 9050)何れかの、PEGポリスチレン樹脂を用いた0.25mモル大のFmocでの固相ファージ合成によって合成した(Bodanszky M.,(1984) Principles of Peputide Synthesis, Springer, Berlin)。側鎖保護基を取り除き、ペプチドを95%のトリフルオロ酢酸(TFA)と5%のトリイソプロピルシラン樹脂から切断した。飽和したイオジンの酢酸溶液をジスルフィド結合の酸化のために添加した。ペプチドを0.1%のTFAを有する水/アセトニトリル勾配用いて逆相HPLCによって精製した。ペプチド分析HPLC>95%純粋であり、その同一性を質量分析により検証した。
ペプチドSA08のカルボキシ末端リシン、NHS-LC-ビオチン(Poerce Chemical社, Rockford, IL)で誘導体化し、得られたSA08bを上述のようにHPLCで精製した(Ac-QGLIGDICLPRWGCLWGDSVKb (配列番号:124)-nここでKbはリシン-ビオチンを表す)。
SA08結合アッセイ−ウサギ、ラット又はマウスアルブミンをPBS中10μg/ml、4℃で一晩、maxisorpプレート上に直接固定した。プレートを阻害剤カゼイン(pierce Chemical社, Rockford, IL)を用いて25℃で1時間阻害した。続けて希釈した試料を結合バッファー(上)に懸濁し、プレートに添加して、続いて10nMのSA08bを添加して25℃で1時間おいた。マイクロタイタープレートをPBS、0.05%のTween20で洗浄し、アルブミンに結合したSA08bをストレプトアビジン/HRPで希釈した。HRP結合量は、ABTS/H基質を用いて測定し、405nmでの変化をモニターした。
同定したファージ配列に対応するペプチドを合成し、ラット、ウサギ又はマウスアルブミンに対する親和性をSA08b結合アッセイを用いて測定した(図9及び10)。
アルブミン結合Fab融合作成、発現及び精製−アルブミンとの結合がインビボのタンパク質及びペプチドの半減期を増加させるかどうかを試験するために、SA06の配列を結合組織因子(TF)に対するFab断片(D3H44)に融合させた。SA06配列をFabの軽鎖(D3H44-L)又は重鎖(D3H44-Ls)のどちらかのカルボキシ末端に加えた。さらに、折り畳みの問題に対する対策として、図11に記載されるようなアラニン(それぞれ、D3H44-Ls及びD3H44-Hs)により置換された鎖内ジスルフィド以外は同一の構成とした。
融合物をアルカリホスファターゼプロモーターの制御下で発現させ、stII分泌シグナルを用いて大腸菌から分泌させた。Fab融合を、1mMのEDTA、10mMのトリス-HCl、pH8、4℃に1時間、細胞を懸濁することによりペリプラズムから回収した。細胞の破片を遠心分離によって取り除き、抗TF FabをHi-Trap(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)TF親和性カラムを用いて選択的に精製した。適切に折り畳まれたD3H44-L又はD3H44-Lsをウサギアルブミン親和性カラム(CNBr活性化セファロース4Bに結合したウサギアルブミン、Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて更に精製した。両方のカラムをPBSで洗浄し、50mMのHClで溶出した。溶出した分画を1Mのトリス pH8で中和した。内毒素をトリトンX114(Aida及びpabst, J. Immunol. Methods 132, 191(1990))での抽出に従って更に取り除いた。
FX活性アッセイ(図12)、及び組織因子依存性凝固の延長を測定するプロトロンビン間アッセイ(図13)(方法についてはDennis 等, Nature 404, 465(2000)参照)で測定されるように、精製したD3H44融合はTFに結合する能力を保持していた。アルブミン結合配列(WT)を欠くD3H44と異なり、D3H44-L及びD3H44-Lsは共にSA08b結合アッセイ(図14)で測定されるように、アルブミンに対する結合能力がある。更に、D3H44アルブミン結合融合は共に、ビオチンTF結合アッセイ(図15)で判断されるように、TFとアルブミンを同時に結合する能力がある。このアッセイにおいて、固定化したアルブミンに対するD3H44融合の結合は、ビオチニル化TFで検出される。野生型D3H44(WT)はアルブミン結合能力がなく、従ってビオチニル化TFの添加でシグナルを発生しない。
D3H44アルブミン結合融合の薬物動態−D3H44変異体をウサギに0.5mg/kgボーラスとして与えた。各グループは3羽のウサギ(F(ab')2グループで5つ)で構成される。提示した時点で得られた血清試料を連続希釈し、TF結合ELISAを用いてD3H44の濃度を測定した。
薬物動態分析を被験物質血漿濃度を用いて実施する。各被験物質の集団平均血漿データは投与後の経過時間に対してプロットした際、多次指数関数的プロフィールに従う。データをボーラス投与での標準2分画モデルと分布及び消失相の一次速度定数に当てはめる。静脈内投与のデータに最も適合する一般式は:c(t)=Ae−αt+Be−βtであり、ここでc(t)は時間tでの血漿濃度、A及びBはY軸の切片、及びα及びβはそれぞれ分布及び消失相の見かけの一次速度定数である。α相はクリアランスの初期相であり、動物の全ての細胞外液中へのタンパク質の分布を示すが、衰退曲線の第2又はβ相の部分は真の血漿クリアランスを示す。このような方程式に合致させる方法は当分野でよく知られている。例えば、A=D/V(α-k21)/(α-β)、B=D/V(β-k21)/(α-β)、α及びβ(α>β)は次の二次方程式の平方根である:V=分布容積、k10=消失率、k12=分画1から分画2への移動率及びk21=分画2から分画1への移動率、及びD=投与量を用いたr+(k12+k21+k10)r+k21k10=0。
データ分析:時間プロフィールに対する濃度のグラフをカレイダグラフ(カレイダグラフ(商品名)V.3.09著作権 1986-1997. Synergy software社, Reading, PA)を用いて作成した。読み取り可能値未満(LTD)として記録された値はPK分析に含まれず、グラフには示されない。薬物動態パラメータはWinNonlinソフトウェア(WinNonlin(登録商標)Professional V.3.1 WinNonlin(商品名)著作権 1998-1999. Pharsight Corporation. Mountain View, CA)を用いた分画別分析により測定された。薬物動態パラメータを他記載されてい(Ritschel WA 及びKearms GL. Handbook of basic pharmacokinetics including clinical applications, 5th edition. American Pharmaceutical Assoc., Washington, DC. 著作権 1999)ようにして算定した。
アルブミン結合ペプチドのD3H44に対する融合によって、改善した薬物動態パラメータを有するタンパク質となる(図16及び17)。D3H44-Lは野生型Fabに比較して70倍増加した半減期(K10-HL)及び20K又は40Kポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化されたD3H44 Fabに対する類似した半減期を有する。
ここに列挙した全ての文献は全文を出典明示によりここに取り込む。
ペプチド-リガンド標識した抗VEGF Fabファージミド粒子のIgG結合を示すファージ競合ELISAアッセイ。4つの異なる構築物が示される:pY0192-569(塗りつぶした大丸)、pY0192-570(白抜きの大丸)、PY0317-569(塗りつぶした小丸)、及びpY0317-570(「x」)。 ペプチド-リガンド標識した抗VEGF Fab Y0317-570(標識したもの;上のパネル)Y0317 Fab(コントロール;下のパネル)に結合するIgGのビアコア(商品名)分析。上の略画は、標識したFab実験で観察された結合現象のモデルを示す。 Fab-Y0317-570及びFab-Y0317の時間に対するグループ平均血清濃度のデータ(±SD)を図に示す。 ウサギ、ヒト又はラットアルブミンに対する結合で選択されたファージクローンにより開示されたペプチド配列を図4に示す。また、3種の固定化アルブミンに結合する個々のファージクローンの能力を示す。 ソフトランダム化に従って特定した配列を、ファージELISAにより決定される種特異性と共に図5に示す。 RBソフトランダム化ライブラリ由来のクローンについて、これらの種の各アルブミンへの結合をELISAにより検出し、オボアルブミン及びカゼインへの結合の欠損に基づきアルブミンを特定した。 複数種のアルブミンに結合するクローン(多種結合型)が図7に示される。 ラット、ウサギ及びヒトアルブミンに対して選択されたライブラリ由来の配列が図8に示される。 同定したファージ配列に相当するペプチドを合成し、ラット、ウサギ又はマウスアルブミンに対するそれらの親和性をSA08b結合アッセイを用いて測定した。 SA06同定ファージ配列に相当するペプチドを合成し、ラット、ウサギ又はマウスアルブミンに対するその親和性をSA08結合アッセイを用いて測定した。 SA06配列をFabの軽鎖(D3H44-L)又は重鎖(D3H44-Ls)の何れかのカルボキシ末端に加えた。さらに、個々の構築物に、図11に示されるようなアラニン(それぞれD3H44-Ls及びD3H44-Hs)により置換された鎖内ジスルフィドを作成した。 精製D3H44融合体は、FX活性化アッセイを用いて測定される、TF結合能力を保持した。 精製D3H44融合体は、組織因子依存性の凝固の延長を測定するプロトロンビン時間アッセイを用いて測定される、TF結合能力を保持した。 アルブミン結合配列(WT)を欠くD3H44と異なり、D3H44-LとD3H44-Lsのどちらもアルブミン結合能力があることが、SA08b結合アッセイで測定された。 どちらのD3H44アルブミン結合融合体もTFとアルブミンに同時に結合する能力があることが、ビオチン-TF結合アッセイにより決定された。 アルブミン結合ペプチドとD3H44の融合は改善された薬物動態パラメータを有するタンパク質を生じる。 アルブミン結合ペプチドとD3H44の融合は改善された薬物動態パラメータを有するタンパク質を生じる。

Claims (60)

  1. 治療用又は診断用物質の消失半減期を延長するためのコンジュゲートであって、血漿タンパク質結合能力のある設計されたアミノ酸配列を有するペプチドを含み、前記ペプチドが治療用又は診断用物質にコンジュゲートしており、該コンジュゲートの消失半減期がコンジュゲートしていない治療用又は診断用物質のものを超えているコンジュゲート。
  2. 配列がペプチドライブラリのスクリーニングにより選択される請求項1に記載のコンジュゲート。
  3. ライブラリスクリーニングがペプチドのファージディスプレイを含む請求項2に記載のコンジュゲート。
  4. ペプチドが約40残基よりも短い請求項1に記載のコンジュゲート。
  5. ペプチドが約30残基よりも短い請求項4に記載のコンジュゲート。
  6. ペプチドが約20残基よりも短い請求項5に記載のコンジュゲート。
  7. 配列が Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak であり、ここでi、j及びkの合計が約25以下である請求項1に記載のコンジュゲート。
  8. 血漿タンパク質が免疫グロブリンである請求項1に記載のコンジュゲート。
  9. 免疫グロブリンがIgGである請求項8に記載のコンジュゲート。
  10. 配列が Xaai-Cys-Xaaj-Cys-Xaak であり、ここでi、j及びkの合計が約25以下である請求項9に記載のコンジュゲート。
  11. i、j及びkの合計が約18以下である請求項10に記載のコンジュゲート。
  12. i、j及びkの合計が約11以下である請求項11に記載のコンジュゲート。
  13. 免疫グロブリンがIgMである請求項8に記載のコンジュゲート。
  14. 血漿タンパク質が血清アルブミンである請求項1に記載のコンジュゲート。
  15. 治療用又は診断用物質がタンパク質を含む請求項1に記載のコンジュゲート。
  16. 血漿タンパク質に対するペプチドの親和性が約500nM以下の平衡解離定数、Kによって特徴付けされる請求項1に記載のコンジュゲート。
  17. が約100nM以下である請求項15に記載のコンジュゲート。
  18. が約50nM以下である請求項17に記載のコンジュゲート。
  19. ペプチドがタンパク質のアミノ末端にコンジュゲートしている請求項に15記載のコンジュゲート。
  20. ペプチドとタンパク質の間に更にリンカーを含む請求項19に記載のコンジュゲート。
  21. ペプチドがタンパク質のカルボキシ末端にコンジュゲートしている請求項15に記載のコンジュゲート。
  22. ペプチドとタンパク質の間に更にリンカーを含む請求項21に記載のコンジュゲート。
  23. ペプチドがアミノ又はカルボキシ末端以外のタンパク質の領域にコンジュゲートしている請求項15に記載のコンジュゲート。
  24. 請求項19のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド。
  25. 請求項20のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド。
  26. 請求項21のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド。
  27. 請求項22のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド。
  28. 請求項23のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド。
  29. ペプチド配列が配列番号:3、4、9、及び17〜111からなる群から選択される請求項1に記載のコンジュゲート。
  30. ペプチド配列が配列番号:9である請求項29に記載のコンジュゲート。
  31. 治療用物質の消失半減期を延長する方法であって、血漿タンパク質結合能力のある設計されたアミノ酸配列を有するペプチドに物質をコンジュゲートすることを含み、コンジュゲートされた物質の消失半減期がコンジュゲートされていない治療用物質のものを超える方法。
  32. i)配列 Trp1-Glu1-Ala1-Asp1-Cys1-Ala2-Trp2-His-Leu1-Gly-Glu2-Leu2-Val-Trp3-Cys2-Thr-Pro-Met-Glu3-Phe (配列番号:16)を含む;又は
    ii)インビトロアッセイでIgG-Fc結合について配列番号:18 と競合し、次の:
    Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 (配列番号:14)(ここで Xaa4 はSer, Arg, 又はAsp; Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr;Xaa6 は Trp, Tyr;Xaa7 は His, Trp;Xaa5 は Leu 又は Met;及び Xaa9 は Glu, Ser, Thr 又は Valである)に従って置換された配列番号:18の1から6のアミノ酸を有し;及び
    iii)ii)のペプチドを含む、
    ペプチド。
  33. 次の式:Xaai-Cys1-Xaaj-Cys2-Xaak(ここで Xaai は欠いている、又は1から4のアミノ酸であり;Xaaj は9のアミノ酸であり、Xaak は欠いている、又は1から5のアミノ酸である)を有する請求項32に記載のペプチド。
  34. 約1TM未満のIgG-Fcに対するIC50を有する請求項32に記載のペプチド。
  35. 約100nM未満のIgG-Fcに対するIC50を有する請求項34に記載のペプチド。
  36. 約10nM未満のIgG-Fcに対するIC50を有する請求項35に記載のペプチド。
  37. 請求項32のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
  38. 請求項32のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドの補体。
  39. インビトロアッセイでIgG-Fc結合について、Trp1-Glu1-Ala1-Asp-Cys1-Ala2-Trp2-His-Leu1-Gly-Glu2-Leu2-Val-Trp3-Cys2-Thr-Pro-Met-Glu3-Phe (配列番号:16) と競合し、式 Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Cys-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-Cys-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13 (配列番号:14)(ここで Xaa(l-4) は欠いているか又は1から4のアミノ酸であり;Xaa5 は Ala, Ser, 又は Thr からなる群から選択され;Xaa6 は Trp 又は Tyr からなる群から選択され; Xaa7 は His 又は Trp からなる群から選択され;Xaa8 は Leu 又は Met からなる群から選択され;及び Xaa(9-13) は1から5のアミノ酸である)を有する11から20のアミノ酸を有するペプチド。
  40. 請求項39のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
  41. 請求項39のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドの補体。
  42. 治療用又は診断用物質とコンジュゲートするペプチドであって、前記ペプチドが血漿タンパク質結合能力のある設計されたアミノ酸配列を有し、該コンジュゲートの消失半減期がコンジュゲートしていない治療用又は診断用物質のものを超えるペプチド。
  43. i)配列 Asp-Xaa-Cys-Leu-Pro-Xaa-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:116)(ここで一般式はN末端に(Xaa) 5 -及びC末端に-(Xaa) 4 を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を含む、又は
    ii)インビトロアッセイでヒト血清アルブミン結合について、配列 Asp-Xaa-Cys-Leu-Pro-Xaa-Trp-G1y-Cys-Leu-Trp (配列番号:116)(ここで 一般式はN末端に(Xaa) 5 -及びC末端に-(Xaa) 4 を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を有するペプチドと競合し、又は
    iii)ii)の配列を含む、
    ペプチド。
  44. ペプチド配列が請求項43のペプチドである請求項1に記載のコンジュゲート。
  45. 配列 Asp-Leu-Cys-Leu-Arg-Asp-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:119)を有するペプチド。
  46. 配列 Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp (配列番号:120)を有するペプチド。
  47. 配列 Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp (配列番号:121)を有するペプチド。
  48. 配列 Gln-Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp-Phe (配列番号:122)を有するペプチド。
  49. 配列 Gln-Gly-Leu-Ile-Gly-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Gly-Asp-Ser-Val (配列番号:123)を有するペプチド。
  50. 配列 Gln-Gly-Leu-Ile-Gly-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Gly-Asp-Ser-Val-Lys (配列番号:124)を有するペプチド。
  51. 配列 Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:125)を有するペプチド。
  52. 配列 Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:126)を有するペプチド。
  53. 配列 Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:127)を有するペプチド。
  54. 配列 Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Pro-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp (配列番号:121)を有するペプチド。
  55. 配列 Arg-Leu-Met-Glu-Asp-Ile-Cys-Leu-Ala-Arg-Trp-Gly-Cys-Leu-Trp-Glu-Asp-Asp (配列番号:128)を有するペプチド。
  56. ペプチド配列が請求項44ないし55の何れかのペプチドである請求項1に記載のコンジュゲート。
  57. i)配列 Phe-Cys-Xaa-Asp-Trp-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Ser-Cys (配列番号:113)(ここで 一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を含み、又は
    ii)インビトロアッセイでヒト血清アルブミン結合について、配列 Phe-Cys-Xaa-Asp-Trp-Pro-Xaa-Xaa-Xaa-Ser-Cys (配列番号:113)(ここで 一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を有するペプチドと競合し、又は
    iii)ii)の配列を含む、
    ペプチド。
  58. i)配列 Val-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Cys-Phe (配列番号:114)(ここで 一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を含み、又は
    ii)インビトロアッセイでヒト血清アルブミン結合について、配列 Val-Cys-Tyr-Xaa-Xaa-Xaa-Ile-Cys-Phe (ここで 一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、Xaa はアミノ酸である)を有するペプチドと競合し、又は
    iii)ii)の配列を含む、
    ペプチド。
  59. i)配列 Cys-Tyr-Xaa1-Pro-Gly-Xaa-Cys (配列番号:115)(ここで一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、 Xaa はアミノ酸であり、Xaa1 は Ile, Phe, Tyr 及び Val からなる群から選択される)を含み、又は
    ii)インビトロアッセイでヒト血清アルブミン結合について、配列 Cys-Tyr-Xaa1-Pro-Gly-Xaa-Cys (配列番号:115)(ここで 一般式はN末端に(Xaa) x -及びC末端に-(Xaa) z を更に含み、Xaa はアミノ酸であり、Xaa1 は Ile, Phe, Tyr 及び Val からなる群から選択される)を有するペプチドと競合し、又は
    iii)ii)の配列を含む、
    ペプチド。
  60. ペプチド配列が請求項57、58又は59の何れかのペプチドである請求項1に記載のコンジュゲート。
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