JP2003503426A - FVIIaアンタゴニスト - Google Patents

FVIIaアンタゴニスト

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JP2003503426A JP2001507270A JP2001507270A JP2003503426A JP 2003503426 A JP2003503426 A JP 2003503426A JP 2001507270 A JP2001507270 A JP 2001507270A JP 2001507270 A JP2001507270 A JP 2001507270A JP 2003503426 A JP2003503426 A JP 2003503426A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、FVIIa媒介又は関連過程又は事象、例えばFXからFVaへの、FVIIからFVIIaへの、又はFIXからFIXaへの変換などを阻害又は阻止する新規な化合物に関する。特別な態様では、本発明の化合物はVIIa因子(FVIIa)、そのチモーゲンVII因子(FVII)に結合し、及び/又はFVII又はFVIIaの本発明の化合物との結合を阻止する。また本発明は新規な化合物を含有する製薬組成物並びにその診断、治療、及び予防法における用途も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (発明の分野) 本発明は、FXからFXaへの、FVIIからFVIIaへの、又はFIXか
らFIXaへの触媒的変換等のFVIIa媒介又は関連プロセス又は事象を阻害
又は阻止する新規な化合物に関する。特別な態様では、本発明の化合物は因子V
IIa(FVIIa)、そのチモーゲン因子VII(FVII)に結合し、及び
/又はFVII又はFVIIaの本発明のペプチド化合物との結合を阻止する。
また本発明は、新規な化合物を含む製薬組成物並びにそれらの研究、診断、治療
、及び予防方法における使用にも関する。
【0002】 (関連する開示の説明) 因子VIIa(FVIIa)はトリプシン様血漿セリンプロテアーゼであり、
凝固カスケードの外部経路を通してホメオスタシスに参画している(Davie等, (
1991) Biochem. 30(43): 10363-10370)。FVIIaは、そのチモーゲン因子V
II(FVII)から1個の内部ペプチド結合の分解によって変換する。循環し
ているFVIIaは、FVIIaへの結合に先立って、FVIIは、血管内皮細
胞により血漿から分離された細胞上で連続的に発現される組織因子(TF)と結
合する(Carson, S.D. 及びJ.P. Bronza, (1993) Blood Coag. Fibrinol. 4: 28
1-292)。TF及びFVIIはカルシウムイオンの存在下で1対1のタンパク質
複合体(TF-FVIIa)を形成する(Wildgoose等, (1993) Biochem. 32: 11
4-119)。この結合は、C-末端EGFドメイン(EGF2)とプロテアーゼドメ
インとの間に位置する部位(ヒトFVII(hFVII)についてはArg15
2-Ile153)におけるFVIIのFVIIaへのタンパク質分解を促進す
る(Hagen 等, (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83: 2412-2416)。多くの
セリンプロテアーゼがインビトロでFVIIを活性化するが、FVIIのインビ
ボ活性化に寄与するプロテアーゼは知られていない(Wildgoose等, 上掲)。
【0003】 TFはFVIIaに対する補因子として作用し、膜近傍でTFのC-末端にお
いて相互作用するFVIIaGlaドメイン及びN-末端ドメイン全体に配置さ
れるFVIIaプロテアーゼドメインを有する(Higashi等, (1994) J. Biol. C
hem., 269:18891-18898)。ヒトTF(hTF)細胞外ドメイン及びその活性部
位阻害FVIIaとの複合体が、最近x線結晶分析によって同定された(Harlos
等, (1994) Nature 370: 662-666; Muller等, (1994) Biochemistry 33: 10864;
Banner等, (1996) Nature 380: 41-46)。 TF−FVIIa複合体は、外因性血液凝固の第一次的な開始剤を構成する(
Carson, S.D.及びJ.P. Brozna, (1993) Blood Coag. Fibrinol., 4: 281-292; D
avie, E.W.等 (1991) Biochemistry, 30: 10363-10370; Rapaport, S.I.及びL.V
.M. Rao, (1992)Arterioscler. Thromb., 12: 1111-1121)。この複合体は、F
XからXa因子(FXa)、FIXからIXa因子(FIXa)、及びそれに加
えてFVIIからFVIIaへの活性化により外因性経路を開始させる。TF−
FVIIaの作用は最終的にプロトロンビンからトロンビンへの変換を誘発し、
多くの生物学的機能を実行する(Badimon, L.等 (1991) Trends Cardiovasc. Me
d. 1: 261-267)。トロンビンの最も重要な機能は、フィブリノーゲンのフィブ
リンへの変換であり、それは重合して凝血塊を形成する。またTF−FVIIa
複合体は、接触活性化系の生理学的効果を拡張する二次的因子としても関与して
いる。
【0004】 この血漿プロテアーゼ系の関与は、動脈及び静脈の血栓症、敗血性ショック、
成人呼吸困難症候群(ARDS)、播種性血管内血液凝固症(DIC)及び他の
様々な疾患状態を含む種々の臨床的表現型に重要な役割を果たしていることが示
唆されている(Haskel, E.J.等 (1991), Circulation, 84: 821-827; Holst, J.
等 (1993) Haemostasis, 23(補1): 112-117; Creasey, A.A.等 (1993) J. C1in.
Invest., 91: 2850-2860; またColman, R.W. (1989)N. Engl. J. Med., 320: 1
2071209; Bone, R.C. (1992) Arch. Intern. Med., 152: 1381-1389も参照)。 FVIIのプロテアーゼドメインと反応性の抗体がTF-FVIIaタンパク
質分解機能を阻害することが示された(Dickinson 等, (1998) J. Mol. Biol. 2
77: 959-971)。VII因子のEGF2ドメインに想到するペプチドは、FXの
TF-FVIIa媒介活性化の潜在的な阻害剤である(Husby等, J. Peptide Res
. (1997) 50: 475-482)。FVIIの種々の領域(例えば、hFVIIのアミノ
酸残基372−337及び103−112)に対応する幾つかのペプチドが、そ
れらのTF-FVIIa媒介凝固を阻害する能力に基づいて治療的抗凝固剤とし
て提案されている(国際公開公報WO 90/03390; 国際公開公報WO 95/00541)。T
F結合できる活性部位修飾されたFVII変異体は、TF/FVIIa媒介凝固
の防止のための製薬組成物として提案されている(国際公開公報WO 91/11515)
。国際公開公報WO 96/40779は、FX活性化を阻害するTFのペプチド断片を記
載している。米国特許第5,759,954号、第5,863,893号、第5,880,256号及び第5,8
34,244号は、TF-FVIIa活性を阻害し、組織因子開始プロトロンビン時間
(PT)の延長が示された変異体クニッツ型セリンプロテアーゼ阻害剤を記載し
ている。これは、これらのTF-FVIIa活性部位がTF-FVIIa複合体の
阻害を通してFX活性化を防止する能力に一致する。
【0005】 (発明の概要) 本発明は、FXからFXaへの、FVIIからFVIIaへの、又はFIXか
らFIXaへの触媒的変換等のFVIIa媒介又は関連プロセスを阻害し、それ
により血液凝固の外因性経路の開始事象を阻止する化合物及び組成物を提供する
。さらに、本発明の組成物は、FVII又はFVIIaに結合し、FXのTF-
FVIIa媒介活性化を阻害することにより、内因性TFの血栓性効果を中和す
ることができる。従って、本発明の組成物は、TF-FVIIa媒介又は関連プ
ロセスを阻害するための治療及び予防方法において有用である。有利には、この
組成物は潜在的なFVIIaの阻害を可能にし、及びTF-FVIIaは、好ま
しい実施態様では、低用量の製薬製剤をの提供を可能にする。 従って、本発明は、FVII又はFVIIaへの結合によって、FVII又は
FVIIa媒介凝固事象を阻害する化合物を提供する。これらの化合物は、好ま
しくはFVII又はFVIIaに結合し、約100μM、好ましくは約100n
M未満のKdを持ち、好ましくは実質的に凝固カスケードの他のプロテアーゼの
活性を阻害する。本発明の化合物は、例えば、ペプチド又はペプチド類似物など
のペプチド誘導体であり得る。そのような化合物の特別な例は、線状又は環状ペ
プチド及びそれらの組み合わせであり、好ましくは約10から100アミノ酸残
基の長さであり、場合によってはN-末端又はC-末端或いは両方において修飾さ
れていてもよく、それらの塩及び誘導体、機能的類似物であり、FXのFVII
a媒介活性化の阻害に使用するための配列の末端にアミノ酸又はポリペプチドを
持つ延長されたペプチド鎖である。
【0006】 さらに本発明は、FXのFVII/FVIIa媒介活性化を阻止する化合物の
同定方法を提供し、当該方法は: (1)FVII/FVIIaを本発明の化合物と、候補化合物の存在下及び不
存在下において、本発明の化合物のFVIIFVIIaへの特異的結合が起こる
条件下で接触させ; (2)候補化合物の存在下及び不存在下において生じた本発明のペプチド化合
物のFVII/FVIIaへの特異的結合の量を検出する工程を含んでなり、候
補化合物不存在下における結合量に対する候補化合物存在下における結合量が当
該候補化合物がFXのFVII/FVIIa活性化を阻止する能力を示す。 さらに本発明は、限定されないがTF76(配列番号:8)のペプチド結晶を
含むペプチド結晶、及びそれらのここに記載する種々の方法における使用を提供
する。一態様によると、本発明は、本発明のペプチドのペプチド模倣物又はペプ
チド類似物の同定方法を提供し、当該方法は、小分子データベースを、本発明の
ペプチド結晶から誘導されたパラメータ、例えばTF76について記載されたも
のでスクリーニングする工程を含む。従って、特別な態様によれば、本発明は、
ここに提供するペプチド化合物の構造パラメータを使用して同定されたペプチド
類似物及びペプチド模倣物などの化合物の同定に関する。
【0007】 さらに本発明は、FXのFXaへの活性化を阻害する方法を提供し、当該方法
は、FVIIをTFと、本発明のペプチド化合物(即ち、或る態様では、FVI
I/FVIIaと本発明のペプチド化合物との相互作用を防止する化合物)の存
在下でTF-FVIIa複合体の形成が可能な条件下で接触させ、さらにTF-F
VIIa複合体をFXと接触させる工程を含む。本発明のこの態様によると、接
触工程はインビボ又はインビトロで行ってよい。 特別な態様では、本発明は、ペプチド化合物と他のペプチド化合物又は他のタ
ンパク質、特に血清タンパク質又はペプチドとの組み合わせに関する。この組み
合わせは種々の目的を意図して調製され、例えば、ここに記載する種々の多量体
化ドメインの使用によるペプチド化合物のFVII/FVIIaに対する親和性
又は結合活性の向上;例えばペプチド化合物のZタンパク質融合物としての発現
によるペプチド化合物の安定性の向上又はその回収及び精製の促進;及び、例え
ば血清半減期の延長又は短縮による、又は例えばペプチド化合物の血清アルブミ
ン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質又はトランスフェリンなどの血漿タン
パク質への融合(このような融合は、組換え宿主細胞において、又は二官能性架
橋剤の使用により便利になされる)による、ペプチド化合物のインビボ使用を含
む本発明の態様におけるペプチド化合物の治療的有効性の向上を含む。
【0008】 さらに本発明は、FVII/FVIIa媒介疾患の治療のためのペプチドなど
の化合物を含有する、製薬組成物を含む組成物、並びにキット及び製造物を包含
する。キット及び製造品は、好ましくは: (a)容器; (b)前記容器上のラベル;及び (c)前記容器内に収容された本発明の抗体又は抗体断片を含む組成物を含ん
でなり;当該組成物はFVII/FVIIa媒介疾患の治療に有効である。好ま
しくは、前記容器上の任意のラベルが当該組成物がFVII/FVIIa媒介疾
患の治療に使用でき、前記組成物中の化合物が、FVII/FVIIaに結合し
てFXのFVII/FVIIa媒介活性化を防止する化合物を含むことを表示す
る。キットは、場合によっては、製薬的に許容されるバッファーを収容した第二
の容器及び凝血関連疾患の治療のために組成物を使用するための指示といった付
属的成分を含む。 また、凝固障害疾患、特にFVII/FVIIa又はTF-FVIIa複合体
の包含によって特徴づけられるものの治療に有用な方法も開示される。従って、
本発明は、FVII/FVIIa又はTF-FVIIa媒介疾患又は障害を、必
要とする宿主において治療する方法を提供し、当該方法は、宿主に本発明の化合
物の治療的有効量を投与することを含む。この方法は、FVII/FVIIa又
はTF-FVIIa関連事象を防止、阻止又は阻害するのに有用である。好まし
い実施態様では、本発明の方法は、血液凝固に伴う組織損傷の重篤さ又は程度を
緩和又は防止するために用いられる。
【0009】 さらに本発明は、本発明の化合物の様々な投薬形態を提供し、限定されないが
、化合物の腸管外、経口、直腸及び肺投与に適したものを含む。本発明の好まし
い態様では、吸入に適した治療的投薬形態を提供し、本発明はFVII/FVI
Ia媒介又は関連プロセス又は事象の治療的処置、例えば本発明の化合物の肺性
投与を介するFXの活性化を提供する。より詳細には、本発明は、本発明の化合
物、特にペプチド化合物の、吸入による肺性投与に関する。即ち、本発明は、本
発明の化合物、より好ましくは本発明のペプチド化合物の、FVII/FVII
a媒介又は関連プロセス又は事象を阻止又は防止するのに有効な量と分散剤とを
含有するエアロゾル製剤を提供する。一実施態様では、本発明の化合物、特に本
発明のペプチド化合物は、液体エアロゾル製剤で提供される。あるいは、化合物
は乾燥粉末エアロゾル製剤として提供することもできる。従って、本発明による
と、製剤は、FVII/FVIIa又はTF-FVIIa媒介又は関連事象の治
療のための本発明の化合物の他の腸管外経路に代えて、有効かつ非侵襲で提供さ
れる。
【0010】 (好適な実施態様の詳細な説明) 定義 特許請求の範囲及び明細書で使用する用語は、特に断らない限り以下に記載す
るように定義される。 説明を通して使用される略語は次のものを含む:IXa因子についてのFIX
a及びチモーゲンIX因子についてのFIX;Xa因子についてのFXa及びチ
モーゲンX因子についてのFX;VIIa因子についてのFVIIa;組織因子
についてのTF;組織因子−VIIa因子複合体についてのTF-FVIIa;
FVII及び/又はFVIIaについてのFVII/FVIIa;細胞外ドメイ
ンアミノ酸残基1−219からなる可溶性組織因子についてのsTF又はTF −219 ;細胞外ドメイン及び膜貫通アミノ酸残基1−243からなる膜組織因
子についてのTF1−243(Paborsky等, (1991) J. Biol. Chem., 266: 2191
1-21916);プロトロンビン時間についてのPT;活性化部分トロンボプラスチ
ン時間についてのAPTT。 「薬剤」及び「化合物」という表現は、本発明の範囲内では交換可能に使用さ
れ、FVII/FVIIaと本発明のペプチド化合物との間の相互作用を阻止又
は防止する任意の分子又は物質を意味する。このような分子は、小有機分子及び
生体有機分子、例えばペプチド模倣物及びペプチド類似物、抗体、免疫グロブリ
ン、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、多糖類、オリ
ゴ糖類、核酸、製薬剤及びそれらの対諸物などを含む。本発明の好ましい化合物
は、本発明のペプチド化合物のペプチド類似物又は模倣物を含む。これらは、例
えば、化合物がここに記載するFVII/FVIIa阻害活性を保持するならば
非天然発生アミノ酸を含むペプチドを含む。同様に、ペプチド模倣物及び類似物
は、本発明のペプチド化合物の構造に類似し、記載するFVII/FVIIa阻
害活性を保持する非アミノ酸化学構造を含んでもよい。このような化合物は、一
般的には、対応するペプチド化合物で見られるような適当な空間配置において存
在するサイズ、電荷又は疎水性といった類似の物理的特徴を示す。ペプチド模倣
化合物の特別な例は、一又は複数のアミノ酸の間のアミド結合が、例えば、炭素
−炭素結合又はこの分野で知られた他の結合に置換された化合物である(例えば
、Sawyer, in Peptide Bases Drug Design, pp. 378-422 (ACS, Washington DC
1995)を参照)。
【0011】 ここで使用される用語「ペプチド」は、束縛された(即ち、例えば、βターン
又はβプリーツシートを開始するアミノ酸の存在のような構造の要素を有する、
又はジスルフィド結合されたCys残基の存在により環化された)あるいは非束
縛(例えば線状)アミノ酸配列を意味し、約50アミノ酸残基、好ましくは約4
0アミノ酸残基未満であり、それ又はその間の二量体などの多量体を含む。約4
0アミノ酸残基未満のペプチドの中で、好ましくは約10から約30アミノ酸残
基のペプチド、特に約20のアミノ酸残基のペプチドである。しかしながら、こ
の開示を読むに当たり、当業者は、ペプチドを識別するのは特定のペプチドの長
さではなく、FVII/FVIIaへの結合及びここに記載のペプチド化合物と
の結合競合能力であることを理解するであろう。従って、例えば、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24及び25アミノ酸残基は、本発明の内容において等し
く化合物であり得る。 「アミノ酸」は本発明の範囲内では天然起源L−α−アミノ酸または残基を意
味する。各アミノ酸について通常に使用される用語および三文字略号をこの明細
書では使用する(Lehninger, A.L., Biochemistry, 2d ed., pp. 71-92(1975)、Wo
rth Publishers, New York)。この用語はD-アミノ酸並びにアミノ酸類似物な
どの化学修飾アミノ酸、ノルロイシンなどの通常はタンパク質に組み込まれない
天然発生アミノ酸、及びこの分野でアミノ酸の特徴であると知られた特性を持つ
化学合成された化合物を含む。例えば、天然Phe又はProと同様のペプチド
化合物のコンホメーション的制限を可能にするフェニルアラニン又はプロリンの
類似物又は模倣物は、アミノ酸の定義に含まれる。このような類似物及び模倣物
は、ここで、アミノ酸の「機能的等価物」と呼ばれる。アミノ酸の他の例は、Ro
berts及びVellaccio (The Peotides: Analysis, Synthesis, Biology,) Eds. Gr
oss and Meiehofer, Vol. 5 p341, Academic Press, Inc, N.Y. 1983に列挙され
、それをここに参考として取り入れる。
【0012】 本発明で使用される「保存的」アミノ酸置換という用語は、機能的に等価なア
ミノ酸を置換するアミノ酸置換を意味する。保存的アミノ酸変化は、結果的なペ
プチドのアミノ酸配列に変化を生じない。例えば、類似の極性の一又は複数のア
ミノ酸は等価に作用し、ペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらさない。保存的
アミノ酸置換の最大の組は以下の通りである: (1)疎水性:His, Trp, Phe, Met, Leu, Ile, Val, Ala; (2)中性の親水性:Cys, Ser, Thr; (3)極性:Ser, Thr, Asn, Gln; (4)酸性/負に荷電:Asp, Glu; (5)荷電:Asp, Glu, Arg, Lys, His; (6)正に荷電:Arg, Lys, His; (7)塩基性:His, Lys, Arg; (8)鎖配向に影響する残基:Gly, Pro; 及び (9)芳香族:Trp, Tyr, Phe, His さらに、構造的に類似したアミノ酸は、特定のアミノ酸の幾つかと保存的に置
換できる。構造的に類似するアミノ酸は:(Ile, Leu, 及びVal);(Phe及びTy
r);(Lys及びArg);(Gln及びAsn);(Asp及びGlu);及び(Gly及びAla)
を含む。この点において、アミノ酸は、側鎖の嵩、電荷及び/又は疎水性に基づ
いて置換されると理解される。 アミノ酸残基は、それらの側鎖基について環状又は非環状、芳香族又は非芳香
族として更に分類され、これらの名称は当業者の常識である。
【0013】
【0014】 例えば、ここに記載する標準的な固相合成技術で合成されたペプチドは、アミ
ノ酸を含む置換のために遺伝子にコードされたアミノ酸に限定されない。遺伝子
コードにコードされない共通に見られるアミノ酸は、例えば、国際公開公報WO 9
0/01940及び下記の表Iに記載されるもの、並びに、例えば、Glu及びAsp
についての2-アミノアジピン酸(Aad);Glu及びAspについての2-ア
ミノピメリン酸(Apm);Met、Leu、及び他の脂肪族アミノ酸について
の2-アミノブチル酸(Abu);Met、Leu、及び他の脂肪族アミノ酸に
ついての2-アミノヘプタン酸(Ahe);Glyについての2-アミノイソブチ
ル酸(Aib);Val、及びLeu及びIleについてのシクロヘキシルアラ
ニン(Cha);Arg及びLysについてのホモアルギニン(Har);Ly
s、Arg及びHisについての2,3-ジアミノプロピオン酸(Dpr);G
ly、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtGly);Gly
、Pro及びAlaについてのN-エチルグリシン(EtGly);Asn、及
びGlnについてのN-エチルアスパラギン(EtAsn);Lysについての
ヒドロキシルリジン(Hyl);Lysについてのアロヒドロキシルリジン(A
Hyl);Pro、Ser、及びThrについての3-(及び4)ヒドロキシプロ
リン(3Hyp、4Hyp);Ile、Leu、及びValについてのアロ-イ
ソロイシン(AIle);Alaについてのアミジノフェニルアラニン;Gly
、Pro、及びAlaについてのN-メチルグリシン(MeGly、サルコシン
);IleについてのN-メチルイソロイシイン(MeIle);Met及び他
の脂肪族アミノ酸についてのノルバリン(Nva);Met及び他の脂肪族アミ
ノ酸についてのノルロイシン(Nle);Lys、Arg及びHisについての
オルニチン(Orn);Thr、Asn及びGlnについてのシトルリン(Ci
t)及びメチオニンスルホキシド(MSO);PheについてのN-メチルフェ
ニルアラニン(MePhe)、トリメチルフェニルアラニン、ハロ(F、Cl、
Br、及びI)フェニルアラニン、トリフルオロフェニルアラニンである。
【0015】
【0016】 突然変異誘発に適した抗体の或る残基又は領域の同定のために有用な方法は、
Cunningham及びWells (1989), Science 244: 1081-1085 (1989)に記載されてい
るように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残
基の残基又は基が同定され(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基
)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリペプチドアニリ
ン)に置換され、アミノ酸とFIXGlaドメインとの相互作用に影響を及ぼす
。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位
において又はそれに対して更に又は他の置換を導入することにより精密にされる
。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質
は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における性能を分析するため
に、Alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実
施し、発現された抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。 タンパク質又はペプチドライブラリのファージディスプレーは、向上した親和
性、変化した特異性、又は向上した安定性を持つ化合物の選択についての他の方
法論を提供する(Smith, G.P., (1991) Curr. Opin. Biotechnol. 2: 668-673;
Lowman, (1997) Ann. Rev. Biomol. Struc. 26: 401-404)。一価形態でM13
遺伝子IIIコートタンパク質との融合物として表示された高親和性タンパク質
(Clackson, T., (1994)等, Trends Biotechnol. 12: 173-183)は、クローニン
グ及び多くのラウンドの結合選択の後にファージミド粒子にパッケージされた対
応するDNAの配列決定によって同定される。
【0017】 他の化合物は、免疫原ポリペプチド、例えば、ベータラクタマーゼ等の細菌性
ポリペプチド又は大腸菌Trp位置にコードされる酵素又は酵母タンパク質、プ
ロテインAのZドメイン等の他のポリペプチド、及び免疫グロブリン定常領域又
は他の免疫グロブリン領域等の長半減期を持つタンパク質とのC-末端融合物、
アルブミン、又は1989年4月6日に公開された国際公開第WO89/02922号公報に記載
されたフェリチンの、ここに述べた化合物の−又はC-末端への融合物を含む。
さらに、アミノ酸残基の側鎖上の遊離の官能基も、アミド化、アシル化又は、例
えば、化合物の溶解性をその活性に影響を与えず変化させることのできる他の置
換によって修飾することができる。「Ac-」は、例えばCHCO-修飾N末端を
示し、「-NH2」は -NH2修飾C末端を示す。 本発明の内容で好ましいアミノ酸配列は、非天然発生アミノ酸配列である。非
天然発生により、アミノ酸配列が自然に見られないことを意味する。好ましいの
は、約10から30アミノ酸残基、好ましくは約20アミノ酸残基の非天然発生
アミノ酸配列である。これらは、ペプチド、ペプチド類似物及び模倣物を含み、
天然又は非天然発生アミノ酸を含む。特に好ましいのは、天然発生アミノ酸から
なる上記の配列である。
【0018】 本発明の特定の態様で使用される用語「多量体化ドメイン」は、化合物、特に
ペプチド化合物が、直接又は「リンカードメイン」を介して結合する分子の部分
を指すことを意味する。多量体化ドメインは、好ましい実施態様では、2又はそ
れ以上の多量体化ドメインの相互作用を促進するアミノ酸ドメインである。多量
体化ドメインは2又はそれ以上の多量体化ドメインの相互作用を促進するが、本
発明の内容においては、多量体化ドメインに結合するペプチドがマルチマーの一
部として存在する必要はない。 本発明の好ましい態様によると、多量体化ドメインは、2又はそれ以上の多量
体化ドメインの安定な相互作用を促進するポリペプチドである。例としては、限
定されないが、多量体化ドメインは、免疫グロブリン定常領域等の免疫グロブリ
ン配列、ロイシンジッパー、疎水性領域、親水性領域、2又はそれ以上の多量体
化ドメイン間に分子間ジスルフィド結合を形成する遊離のチオールを含むポリペ
プチド、又は、例えば米国特許第5,731,168号に記載された「窪みへの隆起」ド
メインでありうる。当該特許では、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミ
ノ酸側鎖を大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置換することに
より隆起が形成される。隆起と同一又は小さなサイズの相補的な窪みは、場合に
よっては、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例えばアラニン又はトレオニ
ン)に置換することにより第2のポリペプチドの界面に形成されrt。
【0019】 従って、好ましい態様では、多量体化ドメインは、2又はそれ以上の多量体化
ドメインの安定な相互作用を促進又は可能にする、あるいは単量体の多量体化ド
メインからダイマー又は他のマルチマーの形成を促進又は可能にする分子の一部
を提供する。好ましくは、本発明のこの態様によれば、多量体化ドメインは免疫
グロブリン定常ドメインである。免疫グロブリン定常ドメインは、本発明の化合
物のインビボ循環半減期を向上させ、場合によって当業者が、ここに記載の「エ
フェクター機能」を以下の本発明の或る提要に導入することを可能にする。 本明細書及び請求の範囲を通じて、免疫グロブリン重鎖の残基の番号付けは、
ここに明示して参考として取り入れるKabat等, Sequences of Proteins of Immu
nological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institute of
Health, Bethesda, MD. [1991]に記載されたようなEUインデックスのもので
ある。「KabatのようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1EU抗体の残基
番号付けを指す。
【0020】 「抗体」(Abs)及び「免疫グロブリン」(Igs)は同じ構造的特徴を持
つ糖タンパク質である。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示す一方、免疫
グロブリンは抗体と抗原特異性を欠く他の抗体様分子の双方を含む。後者の種類
のポリペプチドは、例えばリンパ系により低レベルで、また骨髄腫により増大し
たレベルで生産される。 「抗体」及び「免疫グロブリン」は、通常は2つの同一の軽(L)鎖及び2つ
の同一の重(H)鎖からなる約150,000ダルトンの異種四量体糖タンパク
質である。各軽鎖は重鎖にジスルフィド結合で結合しているが、ジスルフィド鎖
の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変化する。また、各重鎖及
び軽鎖は規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖はアミノ(N
)末端可変ドメイン(VH)を持ち、それに続いてカルボキシ(C)末端定常ド
メインがある。各軽鎖は可変N末端ドメイン(VL)及びC末端定常ドメインを
持ち;軽鎖の定常ドメイン(CL)は重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と並
び、軽鎖可変ドメインは重鎖可変ドメインと並んでいる。免疫グロブリンポリペ
プチド鎖のドメイン定義に従うと、軽(L)鎖は2つの立体配置的に類似したド
メインVL及びCLを有し;重鎖は4つのドメイン(VH、CH1、CH2、及
びCH3)を有し、これら各々は1つの鎖間ジスルフィド架橋を有している。
【0021】 重鎖の定常(C)ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なる
クラスに分けることができる。これらは5つの主要な分類:IgA、IgD、I
gE、IgG及びIgMである。免疫グロブリンクラスは、更にサブクラス(ア
イソタイプ)、例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA及び
IgAに分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメ
インは、各々α、δ、ε、γ、及びμドメインと呼ばれる。任意の脊椎動物種か
らの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(
κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる1つ又は2つの明らかに異なる型に分類できる
。配列研究により、IgMのμ鎖が5つのドメインVH、CHμ1、CHμ2、
CHμ3、及びCHμ4を含むことが示された。IgE(ε)の重鎖も5つのド
メインを含む。 異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元的立体配置は良
く知られている。これらのIgA及びIgMはポリマーであり、各サブユニット
は2つの軽鎖と2つの重鎖を含む。IgG(γ)の重鎖はヒンジ領域として知ら
れるCHγ1及びCHγ2ドメイン間にあるポリペプチド鎖の長さを含む。Ig
Aのα鎖はO-結合グリコシル化部位を含むヒンジ領域を有し、μ及びε鎖はγ
及びα鎖のヒンジ領域に類似する配列は持たないが、それらは他のものが持たな
い第4の定常ドメインを含む。免疫グロブリン鎖のドメイン組成は次のように要
約することができる。 軽鎖 λ=VλCλ κ=VκCκ 重鎖IgG(γ)=VH CHγ1、ヒンジ CHγ2 CHγ3 重鎖IgG(μ)=VH CHμ1、CHμ2 CHμ3 CHμ4 重鎖IgG(α)=VH CHα1、ヒンジ CHα2 CHα3 重鎖IgG(ε)=VH CHε1、CHε2 CHε3 CHε4 重鎖IgG(δ)=VH CHδ1、ヒンジ CHδ2 CHδ3
【0022】 ヒトIgGFc領域の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる)
は通常アミノ酸残基で約位置231からアミノ酸残基で約位置340まで伸展す
る。CH2ドメインは、他のドメインと密接には対をなさないという点で独特で
ある。むしろ、2つのN-結合分岐炭水化物鎖が未変性の天然IgG分子の2つ
のCH2ドメインの間に介在されている。 「CH3ドメイン」は、残基C末端からFc領域のCH2ドメインへの一続き
を含む(すなわち、IgGのアミノ酸残基で約位置341からアミノ酸残基で約
位置447)。 「ヒンジ領域」は、ヒトIgG1のGlu216、又は約Cys226から約
Pro230の伸展として一般に定義されている(Burton, Molec. Immunol. 22:
161-206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間S-S結合を
形成する最初と最後のシステイン残基を同じ位置に配することにより、IgG1
と整合させられうる。 Fc領域の「低ヒンジ領域」は、通常はヒンジ領域のC末端に隣接する残基の
伸展として定義される、即ち、Fc領域の残基233から239である。
【0023】 TF−FVIIa仲介または関連プロセスまたは事象、あるいはこれと同等に
、血漿FVIIaに関連する活性は、本発明によればTF−FVIIaの存在を
必要とする任意の事象である。凝血塊形成の一般的機構は、Medical Physiology
, 13th ed., Lange, Los Altos CA, pp411-414 (1987)の総説においてGanongに
より概説されている。血液凝固には、血小板凝集を誘発するトロンビン生成及び
血小板プラグを安定化するフィブリン形成という2つの経路の合流が必要とされ
る。このプロセスは、各々が別々のプロ酵素およびプロ補因子の存在を必要とす
る幾つかの段階を含む。このプロセスは、フィブリンの架橋および血栓形成で終
了する。フィブリノーゲンはトロンビンの作用でフィブリンに変換される。一方
、トロンビンは、プロトロンビンのタンパク質分解的切断によって形成される。
このタンパク質分解は活性化された血小板表面に結合するFXaによって行われ
、FVaとカルシウムの存在下でプロトロンビンを切断する。TF−FVIIa
は凝固の外部経路によるFXのタンパク質分解的活性化のために必要である。従
って、TF−FVIIaが媒介または関連するプロセスまたはFVIIaに関連
する活性は、TF−FVIIa複合体形成からフィブリン血小板凝塊形成まで及
び最初にTF−FVIIaの存在を必要とする凝固カスケードにおける任意の段
階を含む。例えばTF−FVIIa複合体はFXからFXa、FIXからFIX
a、及びこれに加えてFVIIからFVIIaへの活性化によって外部経路を開
始させる。
【0024】 TF−FVIIa媒介または関連プロセス又はFVII/FVIIa媒介又は
関連活性は、例えば、因子VII及び他の必要な試薬の存在下での因子Xから因
子Xaへの変換についてRoy, S. (1991) J. Biol. Chem., 266: 4665-4668、O'B
rien, D.等 (1988) J. Clin. Invest., 82: 206-212, Lee等(1997) Biochemistr
y 36: 5607-5611; Kelley等, (1997) J. Biol. Chem. 272: 17467-17472に記載
されたもののような標準的な検定法を使用して便利に測定できる。 TF−FVIIa関連疾患または障害は、深部脈管血栓症、動脈血栓症、発作
、腫瘍転移、血栓分解、動脈硬化症及び血管形成術後の再狭窄のような脈管病、
炎症、敗血症ショック、毒血症、低血圧、成人呼吸困難症候群(ARDS)、汎
発性血管内血液凝固(DIC)及びその他の疾患のような急性および慢性の徴候
を含むフィブリン形成に関連する慢性血塞性疾患または障害を意味する。TF−
FVIIa関連障害は、前記のようなインビボ凝固障害に限定されるものではな
く、透析操作、血液濾過または外科手術の間の血液バイパス等のプロセスで患者
からインラインで取り出された血液を含む血液の体外循環に起因する血液凝固と
いったエキソビボのTF−FVIIa関連プロセスも含む。
【0025】 ここで使用される用語「肺性投与」は、本発明の製剤の吸入による肺経由の投
与を指す。ここで使用される用語「吸入」は、空気の肺胞への取り込みを指す。
特定の例では、取り込みは、本発明の製剤の事故投与によっても、呼吸器をつけ
た患者への呼吸器を通した吸入又は投与によっても行われる。本発明の製剤につ
いての用語「吸入」は、「肺性投与」と同義語である。 ここで使用される用語「腸管外」は、本発明の化合物の腸以外の身体への導入
、特に静脈内(i.v.)、動脈内(i.a.)、腹腔内(i.p.)、筋肉内
(i.m.)、心室内及び皮下(s.c.)経路を意味する。 ここで使用される用語「エアロゾル」は、空気中の懸濁物を指す。特にエアロ
ゾルは本発明の製剤の粒子化及びその空気中への懸濁を意味する。本発明による
と、エアロゾル製剤は、本発明の化合物を含む製剤であり、吸入又は肺性投与の
ためにエアロゾル化、即ち粒子化及び空気中への懸濁に適している。
【0026】 本発明の文脈中で使用される「治療」という用語は、疾患又は障害に対する治
療的処置並びに予防又は防御的手段を含むことを意味する。即ち、例えば治療と
いう用語は、疾患又は障害の罹患前又は後に薬剤を投与し、それにより疾患又は
障害の全ての徴候を防止又は除去することを含む。他の例として、疾患の臨床的
顕現の後に疾患の徴候に抗するために薬剤を投与することは疾患の「治療」を包
含する。さらに、投与が疾患又は障害の臨床パラメータ、例えば組織侵襲の程度
又は白血球輸送の量又は範囲、及びおそらく疾患の緩和に影響する場合、罹患後
及び臨床的徴候が進行した後に薬剤を投与することは、疾患の「治療」を包含す
る。 「治療の必要がある」ものには、疾患又は障害に既に羅患しているヒト等の哺
乳動物が含まれ、疾患又は障害が予防されるべきものが含まれる。 用語「アシル」は最も広い意味で使用され、カルボキシ基を含む約1〜約16
炭素原子の飽和又は不飽和、線状、分岐状又は環状鎖を意味する。よって用語ア
シルは、例えば、ホルミル、アセチル、ベンゾイルなどの基を含む。用語「疎水
性アシル」は、R1-C(=O)-基を指し、ここでR1はアルキル、アリール又は
他の非極性基である。
【0027】 (発明の実施の形態) 化合物の選択 本発明は、FVIIからFVIIaへの、FIXからFIXaへの、又はFX
からFXaへの触媒的変換等のFVIIa媒介又は関連プロセス又は事象を阻害
し、それにより血液凝固の外因性経路の自称を阻止する化合物及び組成物を提供
する。本発明の好ましい化合物は、、FVII/FVIIa結合について図8に
記載したペプチド化合物と競合する能力によって識別され、以下のように選択で
きる。 化合物が上記のペプチド化合物と競合する「能力」を有するかを決定するイン
ビトロアッセイシステムについて、当業者は多くの標準的競合アッセイを採用す
ることができる。このような方法は、これらに限られないが、数例を挙げると放
射免疫測定、酵素免疫測定(EIA)、好ましくは酵素結合免疫測定(ELIS
A)、「サンドウィッチ」免疫測定、沈殿反応、ゲル拡散反応、免疫拡散測定、
凝集測定、補体-固定測定、免疫放射定量測定、蛍光免疫測定、プロテインA免
疫測定、及び免疫電気泳動測定等の技術を用いる競合アッセイシステムを含む。
【0028】 これらの目的のために、図8の選択されたペプチド化合物は検出可能部分で標
識され(検出可能なペプチド化合物を、ここで「トレーサー」と呼ぶ)、FVI
I/FVIIa結合について候補化合物との競合アッセイに使用される。多くの
標識が使用可能であり、好ましくは次の範疇にグループ分けできる: (a)放射性同位体、例えば、35S、14C、125I、H及び131
等。ペプチド化合物は、例えばCurrent Protocols in Immunology, Volumes 1 a
nd 2, Coligen等, 編, Wiley-Interscience, New York, Pubs. (1991)に記載さ
れた技術を用いて放射性同位体で標識され、放射活性はシンチレーションカウン
ティングにより測定できる。 (b)蛍光標識、例えば希土類キレート(ユーロピウムキレート)又はフルオ
レセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン(Lis
samine)、フィコエリトリン及びテキサスレッド等が使用できる。蛍光標識は、
例えば上掲のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いてペプ
チド化合物に抱合させることができる。蛍光は、蛍光光度計を用いて定量化でき
る。 (c)種々の酵素−基質標識が利用でき、米国特許第4,275,249号は、それら
の幾つかの概説を提供している。酵素は好ましくは種々の技術を用いて測定可能
な色素原基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は基質における色変化を触媒
し、それは分光学的に測定可能である。あるいは、酵素は基質の蛍光又は化学発
光を変化させることもある。蛍光変化を定量化する技術は上述した。化学発光基
質は化学反応によって電子的に励起され、次いで(例えば化学発光計を用いて)
測定可能な光を放出する、または蛍光受容体にエネルギーを供与する。酵素標識
の例は、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラー
ゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオ
ン、リンゴ酸塩デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、セイヨウワサビペルオキシダー
ゼ(HRP)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシ
ダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコー
スオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-ホスフェート
デヒドロゲナーゼ)、ヘテロ環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシ
ダーゼ等)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等を含む。酵素
を抗体に抱合させる技術は、O'Sullivan等, Methods for Preparation of Enzym
e-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym
. (編J. Langone & H. Van Vunakis)Academic press, New York, 73: 147-
166 (1981)に記載されている。
【0029】 酵素−基質の組み合わせは、例えば以下を含む: (i)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての過酸化水素
、過酸化水素が染料前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又
は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンヒドロクロリド(TMB))を酸
化する; (ii)アルカリホスファターゼ(AP)と色素原基質としてのパラ-ニトロフェ
ニルホスフェート;及び (iii)β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)と色素原基質(例えば、p-ニ
トロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光原基質4-メチルウンベリフェ
リル-β-D-ガラクトシダーゼ。 特定のアッセイによれば、トレーサーは固定化されたFVII/FVIIaと
ともに、種々の濃度の非標識候補化合物中インキュベートされる。有効な候補化
合物の濃度を増加させると、トレーサーの固定化FVII/FVIIaへの結合
と有効に競合する。最大トレーサーの50%における非標識候補化合物の濃度がI
50と呼ばれ、候補化合物のFVII/FVIIa結合親和性を反映する。従
って、1mMのIC50を持つ候補化合物は、1μMのIC50を持つ候補ペプチド
よりもFVII/FVIIaと実質的に弱い相互作用を示す。
【0030】 従って、本発明は、記載したインビトロアッセイにおいてFVII/FVII
a結合について「競合する能力を有する」化合物を提供する。好ましくは、化合
物はFVIIaに対して1μM未満のIC50を持つ。これらの化合物の中で好ま
しいのは、約100nM未満、好ましくは約10nM未満、又は約1nM未満のIC50を持
つ化合物である。本発明のこの態様で更に好ましい実施態様では、化合物はFV
IIaに対して約100pM未満、より好ましくは約10pM未満のIC50を示す。 図8のペプチド化合物と競合する候補化合物の能力を決定するための好ましい
インビトロアッセイは以下の通りであり、実施例1及び2において更に詳細に記
載する。FVIIaへの結合についてトレーサーと競合するペプチドの能力は、
ELISAを用いて監視される。候補ペプチドの希釈物が(実施例で記載するよ
うに)TF−FVIIaでコートされたミクロタイタープレートにトレーサーと
ともに1時間添加されるミクロタイタープレートは洗浄バッファーで洗浄され、
FVIIaに結合したトレーサーの量が測定される。 特別な実施態様では、トレーサーは配列番号:1であり、FVII/FVII
aコートプレートに10μMの濃度で添加される。他の好ましい実施態様では、ト
レーサーは配列番号:8であり、FVII/FVIIaコートプレートに20nMの
濃度で添加される。
【0031】 この方法で選択された化合物は、次いでFXのFVII/FVIIa活性化を
阻害又は阻止する能力について試験される。用語「阻害」又は「阻止」は、本発
明の候補化合物の特徴を記載するのに使用されるときは、FX活性化についての
標準的な色アッセイ(Roy, S. (1991) J. Biol. Chem., 266: 4665-4668、O'Bri
en, D.等 (1988) J. Clin. Invest., 82: 206-212, Lee等(1997) Biochemistry
36: 5607-5611; Kelley等, (1997) J. Biol. Chem. 272: 17467-17472)におい
て約10μMの濃度で添加された場合、VII因子及び他の必要な試薬の存在下で
X因子のXa因子への変換を少なくとも50%阻害する化合物を意味する。好まし
くは、化合物は約1μMの濃度で少なくとも50%の阻害、より好ましくは約100nMの
濃度で少なくとも50%の阻害を生ずる。より好ましい実施態様では、本発明の化
合物は、約10nM未満の濃度で存在した場合に、X因子からXa因子への変換の少
なくとも50%の阻害を生ずる。
【0032】 ペプチド及びその類似物 本発明の好ましい態様によると、化合物は環状ペプチド又はその類似物である
。好ましくは、化合物は以下の式を有する: X-Cys-X-Cys-X ここで、Xは存在しないか又は1から100アミノ酸、好ましくは約1から5
0アミノ酸、より好ましくは約1から10又は約1から4アミノ酸のペプチドで
あり;Xは9アミノ酸のペプチドであり、Xは存在しないか又は1から10
0アミノ酸、好ましくは約1から50アミノ酸、より好ましくは約1から10又
は約1から4アミノ酸のペプチドであり、この環状ペプチド又はその類似物は、
上記の生物学的活性を保持していなければならない。 このグループの化合物の中で好ましいのは以下の配列を含む化合物である: -a-b-Cys-d-e-f-g-h-i-j-k-l-Cys-n-o- ここで、aはアミノ酸であり;bはLeu、Ile、Val、Ala、Arg、
Gln、Asn及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸で
あり;dはアミノ酸であり;eはアミノ酸であり;fはAla、Asp、Glu
、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro
、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr、及びそれらの機
能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;gはアミノ酸であり;h
はAla、Cys、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu
、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、Trp、Tyr
、及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;iはA
la、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Met、Asn、P
ro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr、及びそれらの機能的
等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;jはAla、Asp、Glu
、Phe、Gly、His、Ile、Lys、Leu、Met、Asn、Pro
、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr及びそれらの機能
的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;kはTrp、Tyr、Na
、Phe及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;
lはTyr、Phe、Na、Trp及びそれらの機能的等価物からなる群から選
択されるアミノ酸であり;nはアミノ酸であり、そしてoはPhe、Tyr、T
rp、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸である
【0033】 この類の化合物の中で好ましいのは、上記のものでXが2〜10又は2から
4アミノ酸のペプチドであり、Xが2〜10又は2〜4アミノ酸のペプチドで
あるものである。例えば、好ましい化合物は、bがLeu、Ile、Val、A
la及びそれらの機能的等価物、好ましくはLeu、Ile、Val及びそれら
の機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;fがCys以外のア
ミノ酸、好ましくはPro、Gly、Ala及びそれらの機能的等価物からなる
群から選択されるアミノ酸であり;hがIle、Val、Leu及びAlaから
なる群から選択されるアミノ酸であり;iがAsp、Glu、Ser、Thr及
びAlaからなる群から選択されるアミノ酸であり;jがCys以外のアミノ酸
、好ましくはCys及びTrp以外のアミノ酸であり;kがTyr、Phe、T
rp、Na及びそれらの機能的等価物、好ましくはTrp及びNa及びそれらの
機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;Trp、Phe、Ty
r、Phe及びそれらの機能的等価物、好ましくはTyr、Na及びそれらの機
能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;oがTrp、Phe、T
yr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であるもので
ある。
【0034】 この類の環状ペプチド化合物及びその類似物の中で好ましいのは、hがIle
、Val及びLeuからなる群から選択されるアミノ酸であり;iがAsp、G
lu及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり;jがArg、Lys
、Gln及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、nがG
ln、Met、Gly、Arg、Ser、Lys、Leu、Ala、Asn、T
hr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であるもので
ある。 このグループの化合物の中で好ましいのは、hがIle及びVal及びそれら
の機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;iがAsp及びその
機能的等価物であり;jがArg及びその機能的等価物であり;lがTyr及び
その機能的等価物であり;nがGln及びMet及びそれらの機能的等価物から
なる群から選択されるアミノ酸であり;そして、oがPhe及びそれらの機能的
等価物である化合物である。
【0035】 このグループの中で好ましいのは、aがAsn、Arg、Phe、Gln、G
ly、Pro、Thr、Ser及びAla及びそれらの機能的等価物からなる群
から選択されるアミノ酸であり;fがPro、Gly、Ala及びそれらの機能
的等価物からなる群から選択されるアミノ酸である環状ペプチド化合物である。 この類の化合物の中で好ましいのは、Xが2から6アミノ酸のペプチドであ
り;aがAla、Thr及びSer及びそれらの機能的等価物からなる群から選
択されるアミノ酸であり;bがLeu及びその機能的等価物であり;dがAsp
、Glu、Ser、Ala、Arg、Thr、His、Met、Val及びAs
n及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;eがA
sn、Asp、Arg、Ala及びGlu及びそれらの機能的等価物からなる群
から選択されるアミノ酸であり;fがPro及びその機能的等価物であり;gが
Arg、Ala及びGlu及びそれらの機能的等価物からなる群から選択される
アミノ酸であり;hがIle、Val及びLeu及びそれらの機能的等価物から
なる群から選択されるアミノ酸であり;iがAsp、Glu及びSerからなる
群から選択されるアミノ酸であり;jがArg、Lys、Gln及びAla及び
それらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;nがGln、
Met、Gly、Arg、Ser、Lys、Leu、Ala、Asn及びThr
及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;Xが2
から6アミノ酸のペプチドである化合物である。
【0036】 このグループの化合物の中で好ましいのは、以下の式を有する環状ペプチド又
はその類似物である: X-Ala-Leu-Cys-d-e-Pro-Arg-h-Asp-Arg-k-T
yr-Cys-n-Phe-X(配列番号:105) ここで、Xは存在しないか又は1から4アミノ酸のペプチドであり;dがAs
p、Glu、Ser、Ala及びArg及びそれらの機能的等価物からなる群か
ら選択されるアミノ酸であり;eがAsn、Asp、Arg及びAla及びそれ
らの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;hがIle及びV
al及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;kが
Trp及びNa及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸で
あり;nがGln及びMet及びそれらの機能的等価物からなる群から選択され
るアミノ酸であり;そして、Xが3アミノ酸のペプチドである。 好ましい線状又は環状化合物の例は、以下の式を有するペプチド化合物又はそ
の類似物である: X-a-b-c-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-Trp-Tyr-
m-n-o-X(配列番号:106) ここで、Xは存在しないか又は1から4アミノ酸のペプチドであり;aがAl
a、Asn、Arg、Phe、Gln、Gly及びPro及びそれらの機能的等
価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;bがLeu、Ala、Val、
Ile、Arg、Gln及びAsn及びそれらの機能的等価物からなる群から選
択されるアミノ酸であり;cがAla及びCys及びそれらの機能的等価物から
なる群から選択されるアミノ酸であり;dがアミノ酸であり;hがIle、Va
l、Leu及びAla及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
ノ酸であり;mがAla及びCys及びそれらの機能的等価物からなる群から選
択されるアミノ酸であり;nがアミノ酸であり;そして、oがPhe、Tyr、
Trp及びNa及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸で
あり;そして、Xが1から4アミノ酸のペプチドである。
【0037】 この類の環状ペプチド化合物又はその類似物の中で好ましいのは、以下の式を有
する化合物である: X-a-Leu-Cys-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-Trp-
Tyr-Cys-n-o-(Xaa)(配列番号:107) ここで、aはAla、Thr及びSer及びそれらの機能的等価物からなる群か
ら選択されるアミノ酸であり;dがAsp、Glu、Ser、Ala、Arg、
Thr、His、Met、Val及びAsn及びそれらの機能的等価物からなる
群から選択されるアミノ酸であり;hがIle、Val及びLeu及びそれらの
機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;nがGln、Met、
Gly、Arg、Ser、Lys、Ala、Asn及びThr及びそれらの機能
的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、oがPhe及びT
yr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸である。 より好ましいのは、以下の式を有する環状ペプチド化合物及びその類似物であ
る: X-Ala-Leu-Cys-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-
Trp-Tyr-Cys-n-Phe-X(配列番号:108) ここで、dはAsp、Glu、Ser、Ala、Arg及びそれらの機能的等価
物からなる群から選択されるアミノ酸であり;nがGln及びMetからなる群
から選択されるアミノ酸であり;そして、Xが3アミノ酸のペプチドである。 本発明の例示的なペプチドは、限定されるものではないが図8に示したものを
含む。
【0038】 一実施態様では、本発明はペプチド又はペプチド類似物のような化合物の用途
も考慮し、当該化合物は以下の式を含む: -g-h-i-j-k-l-m-n-o- ここで、gはアミノ酸であり;hはIle、Val、Leu、Ala及びそれら
の機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;iはAsp、Glu
、Ser、Ala、Thr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択される
アミノ酸であり;jはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ly
s、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Va
l、Tyr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり
;kはTrp、Na、Tyr、Phe及びそれらの機能的等価物からなる群から
選択されるアミノ酸であり;lはTyr、Phe、Na、Trp及びそれらの機
能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;mはCys、Ala及び
それらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;nはアミノ酸
であり、そしてoはPhe、Tyr、Trp、Naからなる群から選択されるア
ミノ酸である。これらの化合物は、特にペプチド化合物並びにそれらの機能的等
価物、それらの断片、それらのエステル、アミド、塩及び誘導体、それらの機能
的類似物、及び配列の末端に付加的なアミノ酸及びペプチドを持つ延長ペプチド
鎖を含む。
【0039】 この類の化合物の中で好ましいのは、以下の式を含む化合物である: -a-b-c-d-e-f-g-h-i-j-k-l-m-n-o- ここで、aはアミノ酸であり;bはLeu、Ile、Val、Ala及びそれら
の機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;cはCys、Ala
及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;dはアミ
ノ酸であり;eはAla、Cys、Asp、Glu、Phe、His、Ile、
Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、
Val、Trp、Tyr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるア
ミノ酸であり;fはPro、Gly、Ala及びそれらの機能的等価物からなる
群から選択されるアミノ酸であり;gはアミノ酸であり;hはIle、Val、
Leu、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸で
あり;iはAsp、Glu、Ser、Thr、Ala及びそれらの機能的等価物
からなる群から選択されるアミノ酸であり;jはAla、Asp、Glu、Ph
e、Gly、His、Lys、Leu、Met、Asn、Pro、Gln、Ar
g、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr及びそれらの機能的等価物からな
る群から選択されるアミノ酸であり;kはTrp、Tyr、Phe、Na及びそ
れらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり;lはTyr、P
he、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり
;mはCys、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
ノ酸であり;nはアミノ酸であり、oはTyr、Phe、Na及びそれらの機能
的等価物からなる群から選択されるアミノ酸である。
【0040】 上記の化合物は、FVIIa活性を阻害する方法において使用でき、特に好ま
しく、当該方法は: (1)FVIIaを対象化合物、特に上記のペプチド及びペプチド類似物と、
組織因子の存在下及び不存在下において、化合物のFVIIaへの結合が起こる
条件下で接触させ、場合によっては、 (2)対象化合物の存在下おいて生じたFX活性化の量を測定又は試験する工
程を含んでなる。本発明の或る態様では、ここに記載した標準的なFX活性化ア
ッセイを、対象化合物により阻止又は阻害されるFX活性化の量の測定方法とと
もに採用する。本発明のこの態様は、インビトロ又はインビボで実施してよい。
【0041】 ペプチド結晶及び類似物 ペプチド化合物の三次元構造は、X線結晶分析を用いて決定することができる
。ペプチド結晶構造から誘導される構造的情報は、FVII/FVIIaに結合
して好ましくはFVIIa媒介又は関連プロセス又は事象を阻止又は防止するペ
プチド模倣物及び合成有機分子などの小生物有機分子の特定に使用できる。その
ような構造ベースの化合物設計の方法の例は、(「Structure Based Drug Desig
n」 Pandi Veerapandian, ed. Marcell Dekker, New York 1997)に記載されて
いる。 本発明のペプチド化合物を用いて同定されたペプチド類似物は、こに記載する
治療方法において及び制約組成物として有用である。
【0042】 化学合成 本発明の化合物を製造する一方法は化学合成を含む。これは、当業者に知られ
た方法論を用いて実施される(Kelley, R.F.及びWinkler, M.E. in Genetic Eng
ineering Principles and Methods, Setlow, J.K., ed. Plenum Press, N.Y., v
ol.12, pp1-19 (1990), Stewart及びYoung,, Solid Phase Peptide Synthesis P
ierce Chemical Co. Rockford, IL (1984)参照;また米国特許第4,105,603号、
第3,972,89号、第3,842,067号、及び第3,862,925号も参照)。 本発明のペプチドは固相ペプチド合成を用いて便利に調製される(Merrifield
, J. Am. Chem. Soc., 85: 2149 (1964); Houghten, Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 82: 5132 (1985))。固相合成は、保護されたアミノ酸を不活性な固体支持体
に結合させることにより推定ペプチドのカルボキシ末端において開始される。固
体支持体は、最初のアミノ酸のC末端のためのアンカーを提供できる任意の高分
子であってよい。典型的には、高分子支持体は、上掲のStewart及びYoungの第2
及び4頁の図1-1及び1-2に記載されているように、架橋した高分子樹脂(例えば
ポリアミド又はポリスチレン樹脂)である。一実施態様では、C末端アミノ酸が
ポリスチレン樹脂にカップリングされてベンジルエステルを形成する。高分子支
持体は、ペプチドアンカー結合が、ペプチド合成においてブロックされたアミノ
酸のα-アミノ基の脱保護に使用される条件下で安定であるように選択される。
塩基不安定性α-保護基が使用される場合、ペプチドと固体支持体の間の酸不安
定性結合を使用するのが好ましい。例えば、上掲のStewart及びYoungの第16頁に
記載されているように、酸不安定性エーテル樹脂は、塩基不安定性Fmoc-アミノ
酸ペプチド合成に有効である。あるいは、酸分解に対して安定性が異なるペプチ
ドアンカー及びα-保護基を使用してもよい。例えば、上掲のStewart及びYoung
の第11-12頁に記載されているように、フェニルアセタミドメチル(Pam)樹
脂などのアミノメチル樹脂は、Boc-アミノ酸合成と組み合わせて良く作用する。
【0043】 最初のアミノ酸が不活性固体支持体にカップリングされた後、最初のアミノ酸
のα-アミノ酸保護基を、例えば塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸(TFA)
で除去して、例えばトリエチルアミン(TEA)中で中性化する。最初のアミノ
酸のα-アミノ基の脱保護に続いて、合成における次のα-アミノ-及び側鎖保護
したアミノ酸を添加する。残りのα-アミノ酸、必要ならば側鎖保護されたアミ
ノ酸を縮合により所定の順序で続けて結合させ、固体支持体に結合した中間体化
合物を得る。あるいは、ペプチドを成長している固相ペプチド鎖に付加する前に
、幾つかのアミン及び酸を互いに結合させてペプチドを形成してもよい。 2つのアミノ酸間の縮合は、通常の縮合方法に従って実施され、その方法は、
アジド法、混合酸無水物法、DCC(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド)又はDIPC(N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド)法、活性エステ
ル法(P-ニトロフェニルエステル法)、BOP[ベンゾトリアゾール-1-イル-オ
キシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート]法、
N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル法など、及びウッドワード試薬K法等で
ある。
【0044】 ペプチドの化学合成に共通なのは、アミノ酸の任意の反応性側鎖基を適切な保
護基で保護することである。最終的には、これらの保護基は、所望のポリペプチ
ド鎖が連続的に組み立てられた後に除去される。さらに共通なのは、アミノ酸又
は断片上のα-アミノ酸を保護するが、それがカルボキシル基で反応するに続い
てα-アミノ酸保護基を選択的に除去し、その位置で次の反応が起こるのを可能
にすることである。従って、ペプチド合成においては、中間体化合物が生成され
、それはペプチド鎖の所望の配列に局在化した各アミノ酸残基を含み、これら種
々の残基は結合した保護基を有するのが通常である。これらの保護基は、次いで
、実質的に同時に共通して除去され、樹脂から取り外した後に所望の結果的生成
物が生成される。 α-及びε-アミノ酸側鎖基を保護するための好適な保護基として、ベンジルオ
キシカルボニル(CBZ)、イソニコチニルオキシカルボニル(iNOC)、O
-クロロベンジルオキシカルボニル(2-Cl-CBZ)、p-ニトロベンジルオキ
シカルボニル[Z(NO)]p-メトキシベンジルオキシカルボニル[Z(OM
e)]、t-ブトキシカルボニル(BOC)、t-アミルオキシカルボニル(AOC
)、イソボロニルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、2-(4-
ビフェニル)-2-プロピル-オキシカルボニル(BPOC)、9-フルオレニルメ
トキシカルボニル(FMOC)、メチルスルホニエトキシカルボニル(methylsul
fo-nyiethoxycarbonyl)(Msc)、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミ
ル、2-ニトロフェニルスルフェニル(NPS)、ジフェニルホスフィノチオイ
ル(Ppt)、ジメチロホスフィノチオイル(Mpt)などが例示される。
【0045】 カルボキシ官能基の保護基としては、ベンジルエステル(OBzl)、シクロ
ヘキシルエステル(Chx)、4-ニトロベンジルエステル(ONb)、t-ブチ
ルエステル(OtBu)、4-ピリジルメチルエステル(OPic)等が例示さ
れる。アミノ及びカルボキシル基以外の官能基を有するアルギニン、システイン
、及びセリンなどの特定のアミノ酸は、適当な保護基で保護するのが望ましいこ
とが多い。例えば、アルギニンのグアニジノ基は、ニトロ、p-トルエンスルホ
ニル、ベンジルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、p-メトキ
シベンゼンスルホニル、4-メトキシ-2,6-ジメチルベンゼンスルホニル(Nd
s)、1,3,5-トリメチルフェニルスルホニル(Mts)等で保護される。
システインのチオール基は、p-メトキシベンジル、トリチルなどで保護される
。 上述したブロックされたアミノ酸の多くは、Novabiochem(San Diego, CA), Ba
chem CA(Torrence, CA), 又はPeninsula Labs (Belmont, CA)等の商業的供給源
から得ることができる。
【0046】 上掲のStewart及びYoungは、ペプチド調製のための詳細な情報を提供する。α
-アミノ酸の保護は第14-18頁に記載され、側鎖ブロックは第18-24頁に記載され
ている。アミン、ヒドロキシル及びスルフヒドリル官能基の保護基の表が第149-
151頁に与えられている。 所望のアミノ酸配列が完成した後、ペプチドを固体支持体から切断し、回収及
び精製することができる。ペプチドは、ペプチド−固相結合を破壊することので
きる試薬によって固体支持体から取り外され、場合によってはペプチドのブロッ
クされた官能基を脱保護する。一実施態様では、ペプチドは、液体フッ化水素酸
(HF)で処理することにより固相から取り外すが、その薬剤は残っている側鎖
保護基も切断する。好ましくは、ポリペプチド中の残基のアルキル化(例えば、
メチオニン、システイン、及びチロシン残基のアルキル化)を回避するために、
酸分解官能混合物はチオ-クレゾール及びクレゾール捕捉剤を含有する。HF切
断の後、樹脂をエーテルで洗浄し、遊離のペプチドを酢酸溶液で繰り返し洗浄す
ることにより抽出する。化合物洗浄物は凍結乾燥され、ペプチドが精製される。
【0047】 ジスルフィド結合ペプチド 上記したように、本発明の幾つかの実施態様は、システイン残基間でジスルフ
ィド結合を形成することにより環化される。のようなペプチドは、上記の化学合
成により製造され、次いでジスルフィド結合の形成に使用される任意の方法によ
り環化される。例えば、ペプチドは、スルフヒドリルで固相合成から還元体で回
収され、ジスルフィド溶液に溶解されるが、分子内システイン濃度は分子間シス
テイン濃度より高く、分子内ジスルフィド結合の形成が最適にされ、例えば25mM
〜1μM、好ましくは500μM〜1μM、より好ましくは25μM〜1μMのペプチド濃度
とされ、次いで遊離のスルフヒドリル基を分子内ジスルフィド結合の形成に十分
な穏やかな酸化剤、例えば金属カチオン、フェリシアン化カリウム、テトラチオ
ン酸ナトリウムなどの触媒有無の酸素分子に暴露して酸化する。一実施態様では
、ペプチドは下記の実施例2に記載するように環化される。あるいは、ペプチド
は、Pelton等 J. Med. Chem., 29: 2370-2375 (1986))に記載されてように環化
される。 環化は、例えばCys残基間のジスルフィド結合又はラクタム結合の形成によ
り達成される。ジスルフィド結合を形成することのできる残基は、例えばCys
、Pen、Mpr、及びMpp、及びそれらの2-アミノ基含有等価物を含む。
ラクタム結合を形成できる残基は、例えば、Asp、Glu、Lys、Orn、
αβ-時アミノブチル酸、ジアミノ酢酸、アミノ安息香酸及びメルカプト安息香
酸を含む。ここの化合物はラクタム結合を介して環化することができ、それは例
えば非隣接残基の側鎖を利用してCys又は他のアミノ酸のN末端アミノ基と共
有結合を形成してもよい。これに代わる架橋構造も本発明の化合物の環化に使用
することができ、例えば、S-S、CH2-O-CH2、ラクタム絵sてる又は他
の結合を介して環化できるペプチド又はペプチド模倣物を含む。
【0048】 さらなる実施態様では、本発明は、ここに記載のペプチドをコードする単離さ
れた核酸、好ましくはDNAを含む物質の組成物を包含する。本発明のペプチド
をコードするDNAは、当該技術分野で知られた種々の方法により製造すること
ができる。これらの方法には、Engels等, Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,28: 7
16-734(1989)に記載の、トリエステル、ホスファイト、ホスホラミジト、および
H−ホスホネート法のようなあらゆる方法(これらの内容は本明細書の一部を構
成する)によって化学的に合成されるがこれらに限定されるものではない。一実
施態様では、好ましくは発現宿主細胞によるコドンはコード化DNAの設計に使
用される。あるいは、部位特異的突然変異誘発(Kunkel等 (1991), Meth.Enzymol
.,,204:,125-139;Carter,.等 (1986)、Nucleic Acids Res., 13: 4331; Zoller,
M.J.等(1982) Nucleic Acids Res., 10: 6487)、カセット突然変異誘発(Well
s, J.A.等 (1985), Gene, 34: 315)または制限選択突然変異誘発(Wells, J.A.
等 (1986), Philos. Trans. R. Soc. London Ser.A., 317: 415)などの組換え
DNA技術を用いて1又はそれ以上の変異体をコードするように変性させること
もできる。 本発明はさらに、本発明のペプチドをコードするDNA分子に作動可能に結合
する発現制御配列、そのDNA分子を含みその制御配列がそのべクターで形質転
換された宿主細胞に認識される発現ベクター、好ましくはプラスミド、およびそ
のベクターで形質転換された宿主細胞を含む。一般に、ベクターは宿主細胞と相
容性の種から誘導された複製及び制御配列を含む。ベクターは通常、複製部位、
並びに形質転換された細胞でフェノタイプ選択を提供できるタンパク質をコード
する配列を有する。
【0049】 DNAを発現するのに適した宿主細胞は、原核生物、酵母、真核生物細胞を含
む。好ましい原核細胞は、限定されないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグ
ラム陽性生物体、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公
衆に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776
(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635)である
。 原核生物に加えて、酵母のような真核生物、又は多細胞生物から誘導した細胞
を宿主細胞として使用してもよい。酵母宿主細胞での発現のために、通常のべー
カーの酵母菌又はサッカロミセス・セレビシアエ等であり、好適なベクターは2
-ミクロンプラスミドに基づくエピソーム複製ベクター、組込型ベクター、及び
酵母人工染色体(YAC)ベクターを含む。また発現に適した宿主細胞は多細胞生物
からも誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、ショウジョウバエS2及びス
ポドスペラSf9等の昆虫細胞並びに植物細胞が含まれる。Sf9細胞などの昆
虫細胞での発現に適したベクターはバキュロウィルスベクターを含む。植物宿主
細胞での発現のためには、特にタバコなどの双子葉植物であり、好ましい発現ベ
クターはアグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミドから誘導され
るベクターを含む。
【0050】 有用な哺乳動物宿主細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓C
V1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のた
めにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977))
;乳児ハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター
卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 7
7:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod., 23: 2
43-251 [1980]);サル腎臓細胞(CV1、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル
腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL-1587);ヒト頸部癌細胞(HELA、ATC
C CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓
細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442 );ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75)
;ヒト肝細胞(HepG2、HB8065);マウス乳腫瘍(MMT06056
2、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383: 440
68 [1982]);MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌系(HepG2)を含
む。 原核生物宿主での発現のために適したベクターは、pBR322(ATCC 37,017)、
phGH107(ATCC 40,011), pBO475, pSo132, pRIT5, pRIT又はpRITシリーズの任意
のベクター(Nilsson及びAbrahmsen, (1990) Meth. Enzymol., 185: 144-161),
pRIT2T, PKK233-2, pDR540及びpPL-ラムダを含む。本発明の発現ベクターを含
む原核生物宿主細胞は、大腸菌(E.coli)K12菌株294(ATCC 31446)、大腸菌JM10
1株(Messing等, (1981) Nucl. Acid Res., 9: 309)、大腸菌B、大腸菌χ1776(
ATCC 31,537)、大腸菌c600(Appleyard, Genetics, 39: 440 (1954))、大腸菌W31
10株(F-, ガンマ-, 原栄養菌株, ATCC 27,325)、大腸菌27C7株(W3110, tonA,
phoA E15,,(algF-lac)169, ptr3, degP41, ompT, kanr)(米国特許第5,288,931
号, ATCC 55,244)、枯草菌のようなバチルス属菌、サルモネラ・ティフムリウ
ム、セラチア・マルセッセンス及びシュードモナス種を含む。
【0051】 哺乳動物宿主細胞えの発現のために、有用なベクターは、SV40から誘導さ
れるベクター、サイトメガウイルスから誘導されるベクター、例えばpRK5及
びpRK7を含むpRKベクター(Suva等, (1987) Science, 237:893-896; EP
307,247 (3/15/89), EP 278,776 (8/17/88))、ワクシニアウィルス又は他のポ
ックスウィルスから誘導されるベクター、及びモロニーのマウス白血病ウィルス
(MoMLV)から誘導されるベクターなどのレトロウイルスベクターを含む。 場合によっては、対象ペプチドをコードするDNAは、分泌リーダー配列に作
用可能に結合し、宿主細胞による発現産物を細胞培地に分泌させる。分泌リーダ
ーの例は、stII、エコチン、lamB、ヘルペスGD、lpp、アルカリホ
スファターゼ、インベルターゼ、MIP.5及びアルファ因子を含む。またここ
での使用に適しているのは、プロテインAの36アミノ酸リーダー配列である(
Abrahmsen等, (1985) EMBO J., 4: 3901)。 宿主細胞は、上記の本発明の発現又はクローニングベクターでトランスフェク
トされ好ましくは形質転換され、プロモーターの誘発、形質転換体の選択、又は
所望配列をコードする遺伝子の増幅に適するように変性された従来の滋養培地で
培養される。
【0052】 トランスフェクションとは、任意のコード化配列が実際に発現するかどうか分
からないを宿主細胞による発現ベクターの入手を意味する。トランスフェクショ
ンの多くの方法は、通常の技能を有する技術者に知られており、例えば、CaP
及び電気穿孔法がある。一般に成功したトランスフェクションは、宿主細胞
に生じる該ベクターの働きの兆候が現れた時に認識される。 形質転換は、生物にDNAを導入し、染色体外成分として又は染色体組み込み
によって、DNAが複製されることを意味する。使用される宿主細胞によって、
形質転換は、該細胞に適した基本的な技術を用いて成される。Cohen, Proc. Nat
l. Acad. Sci. (USA), 69: 2110(1972)及びMandel等, J. Mol. Biol., 53: 154
(1970)に記載されているような塩化カルシウムを使用したカルシウム処理は、一
般に頑丈な細胞壁バリヤーを含む原核生物又は他の細胞で使用される。そのよう
な細胞壁を持たない哺乳動物細胞にとって、Graham及びvan der Eb, Virology,
52: 456-457 (1978)のリン酸カルシウムの析出方法が好ましい。哺乳動物細胞ホ
ストシステム形質転換の一般的な形態は、Axelにより、1983年8月16日公
開の米国特許第4399216号に記載されている。酵母の形質転換は、典型的にはVan
Solingen等, J. Bact., 130:946(1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci.
(USA), 76:3829(1979)の方法により実施される。しかしながら、核酸移入又はプ
ロトプラスト融合による
【0053】 他の好ましいベクターは、前記したベクターの適切な特徴を組み合わせること
による標準的技術を使用しての構築が可能である。適切な特徴とは、プロモータ
ー、リボゾーム結合部位、デコルシン(decorsin)又はオルナチン(ornatin)遺伝
子、或いは遺伝子融合(プロテインAのZドメイン及びデコルシン又はオルナチ
ンとそのリンカー)、抗生物質耐性マーカー、及び適切な複製開始点を含む。 前記方法の変形は、所望するペプチドをコードする遺伝子が、ベクター中で、
他のタンパク質又は他のタンパク質の断片をコードする遺伝子又と関連している
場合に、遺伝子融合の使用を考慮する。これは、所望するペプチドが他のタンパ
ク質又はペプチドと融合し、宿主細胞によって生産される結果をもたらす。「他
の」タンパク質又はペプチドとは、多くの場合、細胞からの分泌が可能なタンパ
ク質又はペプチドであり、所望するペプチドの培養液からの単離及び精製を可能
にし、所望するペプチドが菌体内に止まる場合に生じる宿主細胞を破壊する必要
性を除く。あるいは、融合タンパク質は細胞内に発現することも可能である。高
度に発現される融合タンパク質を使用するのが有用である。
【0054】 遺伝子融合の使用は、必須ではないが、大腸菌における異種ペプチドの発現並
びに後のこれら遺伝子産物の精製を容易にする(Harris, Genetic Engineering,
Willianson, R., Ed.(Academic Press, London, Vol.4, 1983), p.127; Ljungu
ist等., Eur.J.Biochem., 186: 557-561(1989)及びLjungquist等., Eur.J.Bioch
em., 186: 563-569(1989))。プロテインA融合は、プロテインAの結合、より
詳しくはプロテインAのZドメインのIgGへの結合が融合タンパク質の精製の
為の「親和性ハンドル」を提供することから頻繁に使用される。多くの異種タン
パク質が大腸菌内で直接に発現されると分解されることが知られているが、融合
タンパク質として発現された場合は安定である(Marston, Biochem J., 240: 1(
1986))。 融合タンパク質は、メチオニン、又はヒドロキシアミン、アスパラギン及びグ
リシン残基間を切断する臭化シアンのような化学薬品を使用することによって切
断が可能である。標準的な組換えDNA技術を使用することにより、これらアミ
ノ酸をコードするヌクレオチド塩基対は、所望するペプチドをコードする遺伝子
の5' 末端の直前に挿入することができる。
【0055】 あるいは、融合タンパク質のタンパク質分解による切断を使用することが可能
である(Cater, Protein Purification: From Molecular Mechanism to Large-S
cale Process, Ladish等., eds.(American Chemical Society Symposium Series
No.427,1990), Ch13, page 181-193)。 第Xa因子、トロンビン、及びサブチリシン又はその変異体、他の多数のプロ
テアーゼが、融合タンパク質の切断に首尾よく使用されている。約30アミノ酸
未満のペプチドリガンドの製造のために本発明で好ましいのは、Arg及びLy
sに高度に特異的なプロテアーゼトリプシンである。トリプシン切断は、一般的
にNilsson等 (1996) J. Biotech. 48: 241及びSmith等 Methods Mol. Biol. 32:
289で議論されている。典型的には、プロテアーゼによる切断を受けやすいペプ
チドリンカーは、「他の」のタンパク質(例えばプロテインAのZドメイン)と
所望するペプチドとの間に挿入される。組換えDNA技術を使用すると、リンカ
ーをコードするヌクレオチド塩基対は、他のタンパク質をコードする遺伝子又は
遺伝子断片の間に挿入される。タンパク質分解による正確なリンカーを含む部分
精製融合タンパク質の切断は、その結果、天然融合タンパク質、又は還元型或い
は変性融合タンパク質について実施することができる。
【0056】 ペプチドは、融合タンパク質として発現した場合は、適切に折り畳まれる又は
折り畳まれないことがある。さらに、切断部位を含有する特定のペプチドリンカ
ーは、プロテアーゼへ接触可能又は接触不可能であることがある。これれらの要
因が、融合タンパク質を変性及び再折り畳みするべきか否か、もしそうならば、
これらの手段を切断の前又は後のいずれに用いるかを決定する。 変性及び再折り畳みが必要な場合、通常は、ペプチドは塩酸グアニジンのよう
なカオトロピック剤によって処理され、その後、例えばペプチドが天然構造へと
再折り畳みされるような適切な割合、pH、及び温度において、還元及び酸化型
ジチオスレイトール又はグルタチオンを含有する酸化還元バッファーによって処
理される。 この開示で宿主細胞と呼ばれるのは、インビトロ培地の細胞並びに宿主動物内
の細胞を含む。 本発明の環化の実施態様では、組換え生産されたペプチドは、上記のように分
子内ジスルフィド結合を形成することにより環化できる。
【0057】 本発明のペプチド化合物は、各々アミノ保護基又はカルボキシ保護基を用いて
N末端又はC末端において修飾することができる。そのような修飾の数は当業者
に理解されるであろう。例えば、ペプチド又はペプチド類似物のN末端は、N末
端アミノ基が、例えばアセチル、シクロペンチルカルボキシ、イソキノリルカル
ボキシ、フロイル、トシル、ピラジンカルボキシ、又はそのような他の基で置換
されるように化学修飾でき、それはここに記載したような置換基で置換されてい
てもよい。またN末端アミノ基は、例えば逆アミド結合で置換することもできる
。アミノ基は、ここで広く用いられ、ペプチドに存在する第1級、第2級、又は
第3級アミノ基を含む遊離のアミノ基を意味すると解される。これに対して用語
N末端は従来の方法で記載したペプチドに存在する最初のアミノ酸のα-アミノ
基を指す。 本発明のペプチドのN末端は、それにアミノ保護基を結合することにより保護
することができる。用語「アミノ保護基」は広く用いられ、遊離のアミノ基と反
応できる化学基を見し、例えば、本発明のペプチドのN末端に存在するα-アミ
ノ基を含む。それと反応することにより、アミノ保護基は、他の反応性アミノ基
を、例えば合成手法の間に又は最終化合物に対してエキソペプチダーゼにより起
こりうる望ましくない反応から保護する。
【0058】 またアミノ基の修飾は、例えば化合物の溶解性又は活性の向上を含む付加的な
利点も提供する。これらの修飾を有する化合物は、それらの構造が本開示を与え
る当業者の能力の範囲内であるので本発明の化合物の範囲内にあることを意味す
る。種々のアミノ保護基がこの分野で知られており、例えば、アセチル、ピコリ
ル、tert-ブチルアセチル、terrt-ブチロキシカルボニル、ベンジロキシカルボ
ニル、例えば2-アリール-2-o-ベンジルオキシム等のベンゾイル基並びにそれ
自身がアミノ保護基で修飾されていてもよいアミノアシル残基を含む。他のアミ
ノ保護基は、例えばThe Peptides, eds. Gross 及びMeienhofer, Vol.3(acedemi
c Press, Inc. N.Y. 1981)及びGreene及びWuts, Protective Groups in Organic
Synthesis, 2d ed., pages 309-405 (John Wiley and Sons, New York (1991))
に記載され、これら各々はここに参考として取り入れる。本発明のペプチド又は
ペプチド類似物のこのようなN末端アミノ基修飾は、ここで「N末端誘導体」と呼
ぶ。 同様に、ペプチドのC末端に存在するカルボキシ基などのカルボキシ基もカル
ボキシ保護基を用いて化学修飾できる。「カルボキシ基」及び「C末端」という
用語は、上記のアミノ基及びN末端と同様の方法で使用される。ペプチドのC末
端に存在するカルボキシ基などのカルボキシ基は、C末端カルボキシ基のアルコ
ール又はアルデヒドでの還元又はオーラルエステルの形成又はチアゾリル、シク
ロヘキシル又は他の基などの置換基によるカルボキシ基の置換によって修飾でき
る。オーラルエステルはこの分野で良く知られ、例えば、メトキシメチル、エト
キシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチルといったアルコキシメチ
ル基などを含む。
【0059】 ペプチド組み合わせ A.多量体化ドメイン 本発明の好ましい実施態様では、ペプチド化合物は多量体化ドメインと組み合
わせられる。発明のこの態様では、少なくとも2つの異なるドメインを含むハイ
ブリッド分子が提供される。各分子は、ペプチドドメイン及び多量体化ドメイン
を含む、本発明によると、ペプチドドメインは、免疫グロブリンFc領域等の多
量体化ドメインに、場合によっては柔軟なのリンカードメインを介して結合する
。 本発明のハイブリッド分子は、ペプチドを適切な多量体化ドメインと組み合わ
せることにより構成される。通常は、本発明のハイブリッド分子を調製する際、
ペプチドをコードする核酸は、多量体化ドメイン配列をコードする核酸に作用可
能に結合する。典型的には、構築物は、ペプチドのC末端が多量体化ドメインの
N末端に結合した融合タンパク質をコードする。しかしながら、例えば、ペプチ
ドのN末端が多量体化ドメインのC末端に結合した融合物も可能である。 好ましい多量体化ドメインは、免疫グロブリン定常領域配列である。典型的に
は、そのような融合物においてコードされryハイブリッド分子は、少なくとも
免疫グロブリン重鎖の定常領域の活性なヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保
持する。また融合は、例えば、定常ドメインのFc部分のC末端に、又は重鎖の
CH1のN末端近傍又は対応する軽鎖の領域にもなされる。
【0060】 ペプチドの免疫グロブリン定常ドメインへの融合がなされる正確なアミノ酸部
位は需要ではなく;特定の部位が良く知られ、生物学的活性、分泌、又は結合特
性を最適化するために選択される。この点において、当業者は文献に記載された
種々のイムノアドヘシンの構築を参照してもよい(米国特許第5,116,964号、第5
,714,147号及び第5,336,603号;Caponら, Nature, 337:525-531(1989);Traune
ckerら, Nature, 339:68-70(1989);Byrnら, Nature, 344:667(1990); Watson
等, (1990) J. Cell. Biol. 110: 2221-2229; watson等, (1991) Nature 349: 1
64-167; Aruffo等, (1990) Cell 61: 1303-1313; Linsley等, (1991) J. Exp. M
ed. 173: 721-730; Linsley等, J. Exp. Med. 174: 561-569; Stamenkovic等, (
1991) Cell 66: 1133-1144; Ashkenaziら, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:10535
-10539(1991),;Lesslauerら, J. Cell. Biochem. Supplement 15F, 1991, p.11
5(P432);及びPeppel等(1991) J. Exp.Med.174: 1483-1489; Mohler等, (1993) J. Immunol.151: 1548-1561; Bennett等, (1991) J. Biol. C
hem. 266: 23060-23067; Kurschner等, (1992) J. Biol. Chem. 267: 9354-9360
; Chalupny等, (1992) PNAS USA 89: 10360-10364; Ridgway及びGorman (1991)
J. Cell. Biol. 115, Abstract No.1448)。 特別な態様では、免疫グロブリン型の多量体化ドメインは、免疫グロブリンF
c領域を持つダイマーなどの多量体を提供するように選択される。従って、ペプ
チドは、特別な態様では、免疫グロブリン重鎖定常ドメインに結合し、機能的F
cドメインを含む多量体が提供される。この場合、免疫グロブリン鎖−ペプチド
配列をコードするDNAは、典型的には第2のペプチド−免疫グロブリン重鎖融
合タンパク質をコードするDNAとともに発現される。分泌の際、ハイブリッド
重鎖は共有結合し、2つのジスルフィド結合した免疫グロブリン重鎖を含む免疫
グロブリン様構造を提供する。
【0061】 好ましくは、親ポリペプチドFc領域はヒトFc領域、例えば、ヒトIgG1
(Aおよび非Aアロタイプ)、IgG2、IgG3、もしくはIgG4のFc領
域である。 好適な実施態様では、ペプチド配列が免疫グロブリンG(IgG)のFc領
域のN末端に融合される。ペプチド配列に重鎖定常領域全体を融合させることが
できる。しかし、より好ましくは、IgGのFcを化学的に定めるパパイン切断
部位の直ぐ上流のヒンジ領域に始まる配列(すなわち、重鎖定常領域の最初の残
基を114として残基216)、又は他の免疫グロブリンの類似部位が融合にお
いて使用される。特に好適な実施態様では、ペプチドアミノ酸配列はIgG重鎖
の(a)ヒンジ領域及びCH2及びCH3又は(b)CH1、ヒンジ、CH2及びC
H3ドメインに融合される。好ましい実施態様では、ペプチドリガンドアミノ酸
配列は、IgG1の(a)ヒンジ領域及び(b)CH3ドメインに融合する。
【0062】 この実施態様の特別な態様によれば、ペプチド及び多量体化ドメインを含むハ
イブリッド分子はマルチマー、例えばホモダイマー、ヘテロダイマー又はヘテロ
テトラマーとして組み立てられる。ホモダイマーは、ペプチド及び多量体化ドメ
インを含む2つのモノマーの結合又は架橋に結果である。しかしながら、2との
同一のモノマーが対になる必要はない。発明の特別な態様では、ペプチドと免疫
グロブリン定常領域等の多量体化ドメインを含むここに定義されるハイブリッド
分子は、免疫グロブリンの1つの腕を持つコンパニオン免疫グロブリン鎖と結合
してもよい。ここに記載した範囲内の様々な組み立てられたハイブリッド分子の
例は以下に概略的に模式化される: (a)ACH (b)ACH−ACH (c)ACH−VHCH−VLCL (d)ACH−VHCH ここで、各Aは、同一または異なるアドヘシンアミノ酸配列を表し; VLは、免疫グロブリン軽鎖可変領域であり; VHは、免疫グロブリン重鎖可変領域であり; CLは、免疫グロブリン軽鎖定常領域であり; CHは、免疫グロブリン重鎖定常領域である。
【0063】 ここに記載したハイブリッド分子は、フレーム内のアドヘシン部分をコードす
るcDNA配列をIgcDNA配列に融合することにより最も便利に構築される
。しかしながら、ゲノムIg断片への融合を用いることもできる(例えば、Aruf
fo等, (1990) Cell 61: 1303-1313; 及び Stamenkovic等, (1991) Cel 66: 1133
-1144参照)。後者の型の融合は、発現のためにIg調節配列の存在を必要とす
る。Ig重鎖定常領域をコードするcDNAは、公表された配列を基に脾臓又は
抹消血液リンパ球から誘導されたcDNAライブラリーから、ハイブリッド化又
はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって単離できる。ハイブリッド分子
のペプチド及び免疫グロブリン部分をコードするcDNAは、選択された宿主細
胞における効率的な発現を導くプラスミドベクターに直列に挿入される。
【0064】 あるいは、またペプチドが、例えば標準的な固相合成技術で合成される実施態
様では特に、ペプチドは当業者に馴染み深い種々の手段の任意のもので多量体化
ドメインに結合してよい。共有結合は、典型的には最も便利であるが、用途に応
じて他の結合形態も用いられる。共有結合の適切な形態の例は、活性化された化
学基を持つ分子と多量体化ドメインのアミノ酸側鎖との反応から形成される結合
を含み、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミ
ジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラ
ン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL
等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタ
ルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジ
アミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エ
チレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等
)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン
等)を用いて作成できる。 ペプチド融合 本発明によれば、ペプチドは任意に、例えば直接又は柔軟なペプチドリンカー
を介して他のペプチドに結合する。本発明によると、リンカードメインは、以下
に詳細に記載するように2又はそれ以上のペプチドドメインの間に離間した架橋
を提供する。発明のこの態様によると、ペプチドは、例えば融合タンパク質中で
互いに結合する。
【0065】 リンカードメイン 本発明によれば、ペプチドドメインは任意に、例えば、柔軟なリンカードメイ
ンを介して、他のペプチドドメイン又は多量体化ドメインに結合する。本発明の
ハイブリッド分子のリンカー成分は必ずしも参与する必要はないが、ハイブリッ
ド分子の機能に寄与しうる。従って、本発明によれば、リンカードメインは、 2又はそれ以上のペプチドドメイン又はペプチドドメインと多量体化ドメインと
の間に離間した架橋を提供する。 このリンカードメインは様々な長さと仕様のものであってもよい。一般に、本
発明によれば重要なのはリンカードメインの長さであってその構造ではない。こ
のリンカードメインはハイブリッド分子のペプチドドメインを調和するFVII
/FVIIa分子に、空間的/コンホメーション的な束縛が実質的に無いように
結合させるのが好ましい。それ故に、リンカードメインの長さは、2つの機能、
例えばハイブリッド分子のペプチド及び多量体化ドメインの特性に依存する。 当業者は、種々の原子の組み合わせが、種々の原子間の知られた距離に基づい
て種々の長さを提供することを理解するであろう(Morrison及びBoyd, Organic
Chemistry, 3rd Ed, Allyn and Bacon, Inc., Boston, MA (1977))。例えば、
リンカードメインは種々の長さのポリペプチドであってよい。ポリペプチドのア
ミノ酸組成がリンカーの特性及び長さを決定する。例示的なリンカードメインは
、1又は複数のGly及び/又はSer/Arg残基を含む。
【0066】 研究及び診断用組成物 本発明のペプチドは、固体支持体などの高分子に非共有吸着するか又は共有結
合する。一般に、固体支持体はポリマーゲルなどの不活性マトリクスであり、三
次元構造と材料の格子又はネットワークを有する。合成又は天然の殆ど全ての高
分子が、二官能性試薬で架橋されたとき、適切な液体中でゲルを形成する。好ま
しくは、選択される高分子は、アフィニティクロマトグラフィでの使用に便利な
ものである。アフィニティクロマトグラフィに使用される殆どのクロマトグラフ
マトリクスはキセロゲルである。このようなゲルは乾燥時に収縮してゲルマトリ
クスのみを含むコンパクトな固体となる。乾燥キセロゲルが液体に再懸濁される
と、ゲルマトリクスは液体を吸収し、膨潤し、ゲル状態に戻る。ここで使用する
のに適したキセロゲルは、セルロース、架橋デキストラン(例えばセファロース
)、アガロース、架橋アガロース、ポリアクリルアミドゲル、及びポリアクリル
アミド−アガロースゲルなどのポリマーゲルを含む。
【0067】 あるいは、エーロゲルもアフィニティクロマトグラフィに使用できる。これら
のゲルは乾燥時に収縮しないが、周囲の空気の透過のみを可能にする。乾燥ゲル
が液体に曝露されると、後者はゲル中の空気を置換させる。個々での使用に適し
たエーロゲルは、多孔性ガラス及びセラミックゲルである。 またここに包含されるのは、誘導体部分がペプチドリガンドのゲルマトリクス
への結合を促進し、アフィニティクロマトグラフィにおけるペプチド−FVII
/FVIIa相互作用の立体的隠蔽を回避する誘導化ゲルに結合した本発明のペ
プチドである。あるいは、類似の利点のために、ゲルマトリクスとペプチドリガ
ンドとの間にスぺーサーアームを挿入することもできる。 他の実施態様では、本発明は、選択された又は意図されたポリペプチドがその
N末端又はそのC末端、又は両末端において本発明のペプチドの1又は複数へ融
合したタンパク質を提供する。
【0068】 製薬組成物 本発明のハイブリッド分子を含む化合物を含有する製薬組成物は、治療される
特定のFVII/FVIIa媒介疾患又は障害に最も適した方法で製剤及び輸送
又は投与され、化合物の腸管外、局所、経口、局部、エアロゾル又は経皮投与又
は輸送に適した製剤を含む。TF−FVIIa依存性凝固の抑制の徴候は、ステ
ント又は人工弁を通る血液循環に関連し、又は対外循環に関連し、それは透析手
法、血液濾過、又は手術中の血液バイパスなどの過程にある患者からインライン
で取り出された血液であり、好適な製剤はステント、弁及び濾過器などの装置を
コートするのに適したものである。 幾分特有だが、本発明の好ましい組成物は、ここに記載した化合物とともに製
薬的に許容される担体を含み、担体の性質は投与輸送又は用途の形式で相違し、
例えば、経口投与では通常固体担体が使用され、i.v.投与では液体塩溶液担
体である。局部投与は、TF−FVIIa依存性凝固に適していると思われるが
、ステント又は弁等の人工装置を通る血液循環に関連しており、ペプチドは、例
えば共有結合により、人工装置に結合し、局部的な血栓形成を防止している。あ
るいは、ペプチドは、ペプチドが装置から徐々に溶離され、TF−FVIIa依
存性凝固に関連する事象に対する局部的又は全身的保護を与える製剤中で提供し
てもよい。一つの例として、ペプチドを吸着させたステントは、外科手術又は他
の手術の後に用いることができる。
【0069】 本発明の組成物は、患者及び本発明の化合物に相容性である製薬的に許容され
る成分を含有する。これらは一般に、懸濁物、溶液及びエリキシル剤、特にリン
酸緩衝塩水、生理食塩水、ダルベッコの媒体などの生物学的バッファーを含む。
またエアロゾルも使用でき、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化
剤、滑剤、バインダー、崩壊剤などの担体も使用できる(経口固体製剤の場合m
粉末、カプセル及び錠剤)。 ここで使用される用語「製薬的に許容される」は、一般に、連邦又は州政府の
監督官庁に認められ、動物、特にヒトでの使用のために米国特許第号薬局方又は
他の一般に認められた薬局方に記載されたことを意味する。
【0070】 選択は、前記種々の緩衝液または、例えば製薬級マンニトール、ラクトース、
澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウムセルロース、炭酸マグ
ネシウム、その他を包含する賦形剤をも使用して達成できる。組成物の「PEG
化(PEGylation)」は、当技術分野で知られている技術(例えば、国際特許公報WO
92/16555、Enzonの米国特許第5,122,614号、及び国際特許公報WO 92/00748参照
)を使用して達成してもよい。 本発明の好ましい投与経路は、エアロゾル又は吸入形態である。本発明の組成
物は、分散試薬又は分散剤と組み合わせて、乾燥粉末として又は希釈剤中の溶液
又は懸濁物で投与できる。
【0071】 ここで使用される用語「分散剤」は、化合物のエアロゾル化又はタンパク質の
肺組織での吸収、あるいは両方を促進する薬剤を意味する。ここで使用される用
語「製薬的に許容される」は、一般に、連邦又は州政府の監督官庁に認められ、
動物、特にヒトでの使用のために米国特許第号薬局方又は他の一般に認められた
薬局方に記載されたことを意味する。好ましい分散剤はこの分野で良く知られ、
限定されないが、界面活性剤などを含む。例えば、液体エアロゾルを形成する溶
液の噴霧によって生ずる、化合物、特にペプチド化合物の表面誘発性の凝固を抑
制するためにこの分野で一般に使用される界面活性剤を使用できる。このような
界面活性剤の非限定的な例は、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びアルコー
ル、及びポリオキシエチレンそる尾端脂肪酸エステルを含む。使用される海面下
製剤の量は変化するが、一般には製剤の0.001〜4重量%の範囲である。特
定の態様では、界面活性剤は、ポリオキシエチレンそる尾端モノオレエート又は
ソルビタントリオレエートである。好ましい界面活性剤はこの分野で知られてお
り、特定の製剤、化合物の濃度、希釈剤(液体製剤における)又は粉末の形態(
乾燥粉末製剤における)等に応じて、意図する特性に基づいて選択される。
【0072】 さらに、化合物の選択、意図する治療効果、肺組織の質(例えば疾患又は健常
な肺)、及び多くの他の要因に応じて、液体又は乾燥製剤は以下に更に述べるよ
うな付加的成分を含有してもよい。 液体エアロゾル製剤は、一般に、生理学的に許容される希釈剤中に、化合物及
び分散剤を含有する。本発明の乾燥粉末エアロゾル製剤は、微細に分割した固体
形態の化合物及び分散剤からなる。液体又は乾燥粉末エアロゾルのいずれかで、
製剤はエアロゾル化される。即ち、エアロゾル化された投薬が実際に肺胞に到達
することを確実にするために、液体又は固体粒子まで分解する必要がある。一般
に、マス媒体の動力学的半径は、薬物粒子の肺胞への到達を確実にするために5
マイクロメートル未満とされる(Wearley, L.L., 1991, Crit. Rev. in Ther. Drug Carr ier Systems 8: 333)。ここで用語「エアロゾル粒子」は、肺性投与、即ち肺胞
に到達するのに適した。液体又は固体粒子を記載するのに使用される。輸送装置
の構成といった他の考慮では、製剤中の付加的な成分及び粒子の特性が重要であ
る。この態様の薬剤の肺性投与は当業者に良く知られており、製剤の操作、エア
ロゾル化手段及び輸送装置の構成は、当業者に日常的な実験を要求するだけであ
る。
【0073】 輸送装置の構成に関して、エアロゾル化のあらゆる形態がこの分野で知られて
おり、限定されないが、液体製剤の噴霧、微粒化又はポンプエアロゾル化、及び
乾燥粉末製剤のエアロゾル化を含み、本発明の実施に使用できる。固体製剤の投
与に特に設計された輸送装置が考慮される。しばしば、液体又は乾燥粉末のエア
ロゾル化は推進剤を必要とする。推進剤はこの分野で一般に使用される任意の推
進剤でよい。これらの有用な推進剤の特定の非限定的な例は、クロロフルオロカ
ーボン、ハイドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、又はトリ
フルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノー
ル及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン又はこれらの混合物を含む炭化水素で
ある。 本発明の特定な態様では、エアロゾル化のための装置は、計量用量吸入器であ
る。計量用量吸入器は、投与したときに投与に応じて変化する用量ではなく特定
の用量を与える。このような計量用量吸入器は、液体又は乾燥粉末エアロゾル製
剤の何れにも使用できる。計量用量吸入器はこの分野で良く知られている。
【0074】 化合物がひとたび肺に到達すると、多くの用量依存的因子が薬剤吸収に影響す
る。化合物の循環レベルを要求する疾患又は障害の治療において、エアロゾル粒
子サイズ、エアロゾル粒子形状、感染、肺疾患又は塞栓の有無などの因子が化合
物の吸収に影響しうることは理解されるであろう。ここに記載した各製剤につい
て、ある種の滑剤、吸収促進剤、タンパク質安定化剤又は懸濁剤が適当であるこ
ともある。これらの付加的な薬剤の選択は、目的に応じて変化する。化合物の局
部的輸送が望まれ意図されている場合、吸収促進などの変化はあまり重要ではな
くなることは理解されるであろう。
【0075】 液体エアロゾル製剤 本発明の液体エアロゾル製剤は、典型的には噴霧器で使用される。噴霧器は、
圧縮空気又は超音波のいずれでもよい。この分野で知られた噴霧器が、本発明と
組み合わせて使用でき、限定されないが:Ultravent, Mallinckrodt, Inc. (St.
Louis, MO); Acorn II 噴霧器(Marquest Medical Products, Englewood CO)
である。本発明と組み合わせて有用な他の噴霧器は、1986年11月25日に発行され
た米国特許第4,624,251号、1972年11月21日に発行された米国特許第3,703,173号
、1971年2月9日に発行された米国特許第3,561,444号及び1971年1月13日に発行さ
れた米国特許第4,635,627号に記載されている。 製剤は担体を含んでもよい。担体は、循環系に可溶で生理学的に許容される高
分子であり、生理学的な許容とは、当業者が前記担体を治療計画の一部として患
者に注入することを許容することを意味する。担体は、好ましくは循環系におい
て比較的安定であり、クリアランスのための許容される血漿半減期を持つ。この
ような高分子は、限定されないが、ダイズレシチン、オレイン酸及びソルビタン
トリオレエートを含み、ソルビタントリオレエートが好ましい。 この実施態様の製剤は、タンパク質安定化又は浸透圧の調製のための他の薬剤
を含んでもよい。この薬剤の例は、限定されないが、塩化ナトリウム、又は塩化
カリウムなどの塩、及びグルコース、ガラクトース又はマンノースなどの炭水化
物等を含む。
【0076】 エアロゾル乾燥粉末製剤 また、この製薬製剤は、微細に分割した形態の化合物及び分散剤を含む乾燥粉
末吸入製剤として使用することも考慮する。化合物の形態は一般に、凍結乾燥さ
れた粉末である。ペプチド化合物の凍結乾燥された形態は、標準的な技術を通し
て得られる。 他の実施態様では、乾燥粉末製剤は、本発明の化合物の1又は複数を含む微細
に分割された乾燥粉末、分散剤及びバルク剤も含有する。本発明の製剤と組み合
わせて有用なバルク剤は、装置からの粉末の分散を促進する量のラクトース、ソ
ルビトール、スクロース、又はマンニトールなどの薬剤を含む。
【0077】 治療方法 本発明の化合物は、TF−FVIIa複合体の生物学的作用を予防する目的で
治療に使用できる。TF−FVIIaの阻害はTF−FVIIa依存性血液凝固
の低下を意図する時に望ましい。これに限定するものではないがこれらの症例に
は血栓溶解療法に伴う動脈再血栓症の予防を含む。TF−FVIIaは深部脈管
血栓症、動脈血栓症、発作、DIC、敗血症ショック、心肺バイパス手術、成人
呼吸困難症候群、先天性血管浮腫を含む、種々の臨床的容体に重要な役割を果た
していることが示唆されている。それ故、TF−FVIIaの阻害剤は炎症およ
び/または血栓症の調節に重要な役割を果たすことがある。 そこで本発明は治療的有効量の本発明のハイブリッド分子を必要とする患者に
投与することを含むヒトでTF−FVIIaが媒介するイベントを予防する方法
を含む。本発明のハイブリッド分子の治療的有効量は所望の効果を達成するよう
に予め決定しておく。治療に採用する量は治療対象、投与経路および処置すべき
病状に依存して変化することになる。従って、投与する用量は存在するFVII
/FVIIaに結合して不活性な複合体を形成して、処置する対象で血液凝固を
低下させるに十分な用量である。
【0078】 治療的有効性はTF−FVIIa依存性凝固に関連する症状の1種またはそれ
以上の改善によって測定される。このような治療的有効用量は熟練した専門家に
よって決定され、処置すべき対象の年齢条件、病状、性および病状に依存して変
化するものである。全身的投与についての適当な用量範囲は典型的には投与経路
に依存して約1μg/kgから約100mg/kgまたはそれ以上までの間であ
る。本発明によれば、好適な治療的用量は約1μg/kg体重と約5mg/kg
体重の間である。例えば適当な臨床管理条件は意図する治療に特定される範囲の
血中濃度を維持するに十分な静脈注射または点滴を包含する。
【0079】 異常な血栓によって特徴づけられる状態は、動脈及び静脈脈管構造を含む。心
臓動脈脈管構造について、異常な血栓形成は、例えば、確立されたアテローム斑
の破裂を特徴とし、それは急性心筋梗塞及び不安定な狭心症の主要な原因であり
、また血栓症治療又は経皮的冠動脈形成術(PTCA)から生ずる閉塞性心臓血
栓形成も特徴とする。静脈脈管構造については、異常な血栓形成は、下肢又は腹
部領域での手術を受けた患者に見られる状態を特徴とし、この患者はしばしば静
脈脈管構造に血栓形成を生じ、血流の減少が起こって四肢及び肺性塞栓症の傾向
に影響を与える。異常な血栓形成は、さらに播種性血管内凝固症によって特徴づ
けられ、通常は敗血性ショック中の両血管系、ある種のウイルス感染及び癌、凝
固因子の即座の消費がある状態、及び全身性凝固に関連し、広範な生物の破壊を
導く微小血管系を通して起こる生命を脅かす血栓の形成をもたらす。 限定のためではなく、例示のために以下の実施例を提示する。本明細書に開示
する引用文献は全て参考のために開示を明示的に引用するものである。
【0080】 (実施例) 実施例1 FVIIaに結合しFX活性化及び凝固を阻害するペプチドの同定及び特徴付け ファージライブラリ − ランダム配列ペプチド多価ペプチドファージライブ
ラリは既に記載されている(Lowman, H.B.等, (1998) Biochemistry 37: 8870)
。ペプチドライブラリは、形態XCXCX(ここでXは20の天然発生L
−アミノ酸の任意のものであり、jは4−10の範囲でi+j=18である)、
非束縛ライブラリX20、及びXCXGPXCXから構成される。10
ライブラリの各々は過剰の10クローンを有する。 選択条件 − TF1−243(Paborsky, L.R. 等, (1991) J. Biol. Chem.
266: 21911)又は組換えヒトFVIIa(各2μg/ml)を、50mM重炭酸アンモニ
ウム、pH9.3中で4℃において終夜インキュベートすることによりMixsorpプレー
ト(Nunc)に直接固定化した。ウェルを選別バッファー(50mMHEPES、pH7.
2、5mMCaCl、5mMMgCl、150mMNaCl、%BSA)を用いて25℃
で1時間ブロックした。選別バッファー中の組換えヒトFVIIa(2μg/ml)
を、既にTFでコートしてブロックしたウェルに30分かけて添加し、TF−FVI
Ia複合体を形成した。上記のライブラリからのファージを3グループにプール
した。プールAはXCXCX、但しj=5−8を含み;プールBはX
GPXCX、X20、及びXCXCX、但しj=4を含み;プー
ルEはXCXCX、但しj=8−10を含む。各プールからのファージを
選別バッファー中の固定化標的とともに25℃で3時間インキュベートし;一般
に約5x1010ファージを各ラウンドの開始時に添加した。非結合ファージは
、洗浄バッファー(50mMHEPES、pH7.2、150mMNaCl、0.005%Tween20)で
の反復洗浄により除去し;残りのファージを500mMKCL、10mMHCl、pH2
で溶離した。溶離したファージは、次いでXL1-ブルーセル中で、VCSM1
3ヘルパーファージ(Stratagene)で37℃において終夜成長させた。富化は、
標的コートウェルに結合したファージの数をBSAコートウェルと比較して滴定
することにより監視した。
【0081】 FX活性化アッセイ − TF−FVIIaによるFXの活性化は、室温にお
いてペプチド濃度の関数として監視した。各アッセイサンプルは、100μlのHB
S/Caバッファー(20mMHEPES、pH7.4、5mMCaCl、150mMNaCl
、0.1%PEG8000)中の460pM再脂質化TF1−243(TFPC)(Kelle
y, R.F. 等, (1997) Blood 89: 3219-3227)及び30pMのFVIIaを含み;20
分後、HBS/Caバッファー中で希釈したペプチド25μlを添加した。30分
のインキュベーションに続いて、HBS/Ca中の1μMのFXを25μl添加することによ
り反応を開始させた(注記:これは、306pMTFPC、20pMFVIIa、及び166
nMFXの最終的な濃度となる)。速度論的分析のために、FXの最終濃度は20
から500nMの間で変化させた。1、3、5、7及び9分後に25μlのアリコ
ートを取り出し、50mMEDTA25μlで失活させた。各アリコートで生成された
FXaは、250nMのSpectrozyme fXa(American Diagnostica)、50mMTris、pH
8、50mMNaCl、0.0025%TritonX-100の100μlの添加により測定できた。各ペ
プチド濃度で生成されたFXaの割合は、405nmにおける吸収の時間に対する初
期の傾きに比例していた。S字型曲線が4パラメータ等式に非線形回帰分析によ
りフィットされ(Marquardt, J. Soc. Indust. Appl. Math. 11: 431-441 (1963
));アッセイにおいて半最大値を与える各ペプチドの濃度が曲線から計算され
、IC50値と呼ばれる。
【0082】 凝固アッセイ − プロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラ
スチン時間(APTT)凝固時間アッセイを、クエン酸化プールした正常血漿(
ヒト又は様々な動物種)で実施した。凝固時間は、ACL 300自動凝固分析機(Cou
lter Corp., Miami, FL)及び下記の市販の試薬を用いて測定した。 PTアッセイについては、種々の濃度の阻害剤水溶液を、クエン酸化プール血
漿に、血漿9部に対して阻害剤1部の比率で添加した。30分のインキュベーシ
ョンの後、これらの混合物をACL 300分析機のサンプルカップに添加した。ヒト
再脂肪化組織因子及びCa2+の混合物であるイノビン(Innovin)(登録商標)(D
ade International Inc., Miami, FL)を試薬カップに添加した。正確な容量の
サンプル及びイノビン(50μlサンプル、100μlイノビン)が、予め37℃に平
衡化されたアクリルロータのセルに自動的に移送された。2分のインキュベーシ
ョン時間の後、2つの成分を遠心分離することにより混合して凝固を開始させた
。凝固は光学的に監視し、凝固時間は秒で報告した。このシステムでは、対照血
漿(血漿プラス阻害剤希釈剤)の凝固時間は、典型的には8から10秒である。
延長倍数は、対照の凝固時間に対する阻害剤の凝固時間である。 APTTアッセイについては、阻害剤と血漿とを混合し、上記のようにACL 30
0分析機のサンプルカップに移送した。アクチンFS(登録商標)及びCaCl (Dade Diagnostics, PR)を試薬カップ1及び2に各々添加した。正確な容量の
サンプル(53μl)及びアクチンFS(53μl)が、予め37℃に平衡化されたロー
タのセルに自動的に移送され混合された。2分のインキュベーション時間の後、
CaClの添加により凝固を開始させた。凝固は光学的に監視し、凝固時間は
秒で報告した。対照血漿のAPTTは、アッセイに使用した血漿の種に依存して
、典型的には12から32秒であった。延長倍数は、対照の凝固時間に対する阻
害剤の凝固時間である。
【0083】 ファージELISA − TF−FVIIaに対してペプチド−ファージと競
合するペプチドの能力をファージELISAを用いて監視した。選別バッファー
中のペプチドの希釈物を(上記のように)TF−FVIIa複合体でコートした
ミクロタイタープレートに30分間添加した。TF74ペプチド配列を表示する
約1011の一価ファージを、次いで更に15分間添加した。ミクロタイタープ
レートを洗浄バッファーで洗浄し、FVIIaに結合したファージを抗-gVI
II/HRPモノクローナル抗体抱合体(HRP/抗-M23抱合体、Pharmacia Amersh
am Biotech)で検出した。結合したHRPの量をABTS/H基質を用い
て測定して405nmの吸収で監視した。405nmの吸収をウェルに最初に添加したペプ
チド濃度に対してプロットした。S字型曲線が4パラメータ等式に非線形回帰分
析によりフィットされ(Marquardt, J. Soc. Indust. Appl. Math. 11: 431-441
(1963));アッセイにおいて半最大値を与える各ペプチドの濃度が曲線から計
算され、IC50値と呼ばれる。
【0084】 一価ファージでの部分的及び完全ランダム化 − gIIIによってコードさ
れる末端タンパク質にリンカー配列を介して融合したファージの表面にペプチド
の単一(コピー)を表示する一価ライブラリを、ファージミドt4.g3の一本
鎖テンプレート指向性突然変異誘発(Kunkel T. A.等, (1991) Methods Enzymol
. 204: 125-139)を用いて構築した。ファージミドt3.g4はpA4g32(
Dennis M.S.及びLazarus, R.A. (1994) J. Biol. Chem. 269: 22129-22136)の
誘導体であり、gIIIに融合したAPPIのコード化配列がリンカー配列及び
gIIIに枠内で融合した60bpのスペーサーで置換され、更にCMP遺伝
子がAMP遺伝子の独特なhincII部位に挿入されている。結合性効果を
通して集団を支配しうる関連するが親和性の弱い多価クローンを排除するために
薬物耐性の変化が意図された(Cwirla, S.A.等 (1990) Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 87: 6378-6381)。部分的にランダム化されたライブラリは、初期多価ライ
ブラリから同定されるが各アミノ酸位置で50%の突然変異を許容するペプチド配
列に向けられたバイアスを維持する用に意図された。この突然変異比率は70−
10−10−10混合の塩基を持つオリゴ類を合成することにより達成された(
オリゴのドープされた領域の各塩基は、野生型配列に寄与する塩基70%と多の3
塩基の各々10%を含む混合物を用いてカップリングされている)。対照的に、ラ
イブラリにおける完全ランダム化は、表示されたペプチドの部分を完全ランダム
化し、他の部分は一定に維持するために特定のコドンのNNSを用いて合成する
ことにより得られた。
【0085】 ペプチド合成 − ペプチドは、PEG−ポリスチレン樹脂を用いた0.25mmol
スケールのFmoc-ベースの固相合成で手動又は自動(Perceptive Pioneer)で合
成した(Bodansky, M. (1984) Principles of Peptide Synthesis, Springer, B
erlin)。各アミノ酸のカップリングは、2-(H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-
1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)及び
ジメチルアセタミド(DMA)中のN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びジ
イソプロピルエチルアミン(DIPEA)で実施した。カルボキシ末端アミドで終端す
るペプチドはリンクアミド樹脂で調製した。アミノ末端のアセチル化は、ジクロ
ロメタン中で、10%トリエチルアミン中の無水酢酸で実施した。95%トリフルオロ
酢酸(TFA)及び5%トリイソプロピルシランで側鎖保護基を除去し、ペプチドを樹
脂から切り離した。飽和ヨウ素酢酸溶液を添加してジスルフィド結合を酸化した
。ペプチドを0.1%TFAを含む水/アセトニトリル勾配を用いた逆相HPLCで
精製して凍結乾燥した。ペプチドは、分析用HPLCで>95%の純度であり、
その同定はマススペクトルで確認した。
【0086】 ビオチニル化ペプチド − ペプチドは上記の方法を用いて合成した。カルボ
キシ末端ビオチンを含むペプチド(例えばTF147b)は、Fmoc-L-リジ
ン(ε-Aloc)-PEGポリスチレンリンクアミド樹脂で調製した。各アミノ
酸のカップリングは上記の湯に実施した。鎖組立の完了時に、リジンのε-側鎖
保護基をPdで脱保護した。Fmoc-アミノカプロン酸をカップリングし、
脱保護し、次いで上記の用にビオチンにカップリングした(Kates, S.A., de la
Torre, B.G., Eritja, R.及びAlbericio,F. (1994) tetrahedron Lett. 35: 10
03)。
【0087】 FVIIa結合アッセイ − FVIIaへの結合についてTF76のビオチ
ニル化体(例えばTF147b、又は記載したようにビオチニル化されうるここ
に記載した多のペプチド類)と競合するペプチドの能力は、FVIIa結合EL
ISA又はTF−FVIIa結合ELISAで監視した。ミクロタイタープレー
トを、50mM重炭酸アンモニウムpH9中の2μg/ml組換えヒトFVIIa又は2μg/m
lTF1−243で4℃において終夜コートし(Paborsky, L.R.等 (1991) J. Bi
ol. Chem. 266: 21911);他の工程は全て室温で実施した。次いでプレートをア
ッセイバッファー(50mMHEPES、pH7.2、5mMCaCl、15-mMNaCl)
中の1%BSAでブロックした。TF−FVIIaELISAについては、アッセ
イ用バッファー中1%BSA中のFVIIa(2μg/ml)を、予めTFでコートし
てブロックしたウェルに30分添加してTF−FVIIa複合体を形成した。ア
ッセイバッファープラス0.05%Tween20中のペプチド希釈物を、20nMTF147b
とともにミクロタイタープレートに1時間添加した。ミクロタイタープレートを
アッセイバッファープラス0.05%Tween20で3回洗浄し、結合したビオチニル化ペ
プチドをストレプトアビジン/HRP抱合体(ストレプトアビジン−POD、Po
che Molecular Biochemicals)で検出した。HRP結合の量は、ABTS/H基質(Kirkegaad and Perry Labpratories)を用いて測定し、405nmの吸収
を監視した。405nmの吸収をウェルに最初に添加したペプチド濃度に対してプロ
ットした。S字型曲線が4パラメータ等式に非線形回帰分析によりフィットされ
(Marquardt, J. Soc. Indust. Appl. Math. 11: 431-441 (1963));アッセイ
において半最大値を与える各ペプチドの濃度が曲線から計算され、IC50値と
呼ばれる。
【0088】 FVIIa結合ELISAを用いたスクリーニングアッセイ − 上記のFV
IIa結合アッセイは、本発明のペプチドがFVIIaに結合することを阻止す
る任意の化合物のスクリーニングにも使用することができる。これは、上記のよ
うに、又は以下のように修正して実施できる。即ち、競合的結合アッセイは、ペ
プチド結合の阻害剤を同定する目的の化学ライブラリの高スループットスクリー
ニングにおける使用のために確立された。アッセイは、1μg/mlFVIIaでコ
ートされBSAでブロックされた白濁、高結合、384-ウェルプレートで実施
される。サンプル、対照、又はアッセイバッファー(20μl)及びビオチニル化
ペプチド(例えばTF147b、又は記載したようにビオチニル化されうるここ
に記載した多のペプチド類)(20μl)を各ウェルに添加し、プレートを室温で
1時間インキュベートする。サンプル又は対照は、プレート上の因子VIIaへ
の結合に関してビオチニル化ペプチドと競合させてもよい。結合したビオチニル
化ペプチドは、プレートを6回洗浄することにより除去し、40μlのストレプト
アビジン−ユーロヒ゜ウムを添加する。続く30分のインキュベーションの間に、スト レプトアビジン−ユーロピウムはプレート上に残るビオチニル化ペプチドに結合
する。6回洗浄して非結合のストレプトアビジン−ユーロピウムを除去した後、
40μlの促進溶液を各ウェルに添加して存在する非蛍光キレートからユーロピウ
ムを解離させ、これを高蛍光キレートと置換する。蛍光は、Wallac Victorミク
ロプレートリーダーで、340nmでの励起及び100μ秒遅延に続く615nmでの発光を
読む。結合のパーセント阻害は、試料としてのアッセイバッファーでの対照に対
して計算する。
【0089】 結果 多価ペプチド−TF−FVIIaに結合するファージ − 多価ペプチドライ
ブラリは、固定化TF−FVIIaに対して3つのプールに選別された(A、B
及びEと呼ぶ)。多価ファージディスプレイ(Scott J.K. 及び Smith G.P. Sci
ence (1990) 249: 386-390; Lowman, H.B. (1997) Annu. Rev. Biophys. Biomol
. Struct 26: 401-424; Wells, J.A.及びLowman, H.B. (1992) Curr. Opin. Bio
technol. 3: 355-362)を、結合効果を通した結合性の促進に使用した。4ラウ
ンドの選択及び増幅の後、プールEについての富化、BSAでコートしたウェル
から溶離されたファージ数で除したTF−FVIIaコートウェルから溶離され
たファージ数は、1700倍であった。各プールの12ランダムクローンからの
DNAを配列決定した。プールEのクローンは、全て単一のクローンからの同胞
であり、推定ペプチド配列:EAALCDDPRLDRWYCIFAGE(配列番号:1)を有し;こ
の配列を含むペプチドはTF56と命名された。この配列を持つファージは、固
定化FVIIa又はTF−FVIIaに特異的に結合したが、TF又はBSAの
いずれでコートしたウェルにも結合しなかった。さらに、このクローンは活性部
位ブロックしたTF−FVIIaに共有又は非共有結合したが、FVIIaの活
性部位はビオチニル化EGRクロロメチルケトンでアセチルかされているか又は
TF7I-C、クニッツドメイン阻害剤(Dennis M.S.及びLazarus, R.A. (1994)
J. Biol. Chem. 269: 22129-22136)でブロックされており、ペプチドはFVI
Iaに結合するが活性部位から区別される部位−エキソサイトであることを示し
ている。
【0090】 部分的ランダム化 − 設計された最初のペプチドライブラリは、2020
1026)を越える異なるクローンの潜在的多様性をコードしたが、作成された
実際のライブラリは約10クローンを含むのみであり、潜在的な多様性の極め
て小さな割合であった。最初に選択したペプチドの領域内で検索を狭くしペプチ
ド多様性を更に探索するために、部分的ランダム化技術を採用した。この技術は
野生型配列へのバイアスを維持する一方、(アミノ酸レベルで)各アミノ酸位置
における50%の突然変異を導入し;即ち平均では、20アミノ酸ペプチドを表示
するファージは10のランダム突然変異を獲得する。さらに、更なる親和性向上
の予測は、我々に、結合性効果を排除するためにgIIIへの融合を介する一価
ファージでのライブラリの構築を導いた(Lowman, H.B. (1997) Annu. Rev. Bio
phys. Biomol. Struct 26: 401-424; Lowman H.B. 等, (1991) Biochemistry 30
: 10832-10838; Wells, J.A.及びLowman, H.B. (1992) Curr. Opin. Biotechno;
. 3: 355-362)。
【0091】 TF56配列(ライブラリε3)に基づく一価部分的ランダム化ライブラリを
構築し、tf−FVIIaで4ラウンド選別した。100,000倍の富化が観
察された。再度、ランダムクローンを選択して配列決定し;推定ペプチド配列を
表Iに示した。TF56配列の幾つかのアミノ酸位置は100%保持されている
が、これらの位置の多くで複数のコドンが観察され;野生型アミノ酸はライブラ
リ設計を反映する各位置に表した。一つの突起すべき例外は、位置10における
Lの不存在であり、V、I又はFがこの位置での優勢置換基であることを示して
いる。部分的ランダム化の後に強く保持されている残基は、直接結合又は構造的
理由のいずれかに必須であると思われる。
【0092】 ペプチド配列は、4ラウンドの選択後に得られたクローンのDNA配列から推定
した。 頻度は、プールから配列決定された全クローン数の中の各クローンの出現数を表
す。 下線を付した残基は、明細書に記載したように部分的ランダム化された野生型配
列を示す。
【0093】 完全突然変異 − 親和性変異を完了するために第3の組のライブラリを構築
し、それは100%保存される位置が固定され、残りの位置では完全にランダム化さ
れている。さらに、ジスルフィドロープに隣接する残基の役割が、アミノ酸及び
カルボキシ末端の一部又は両方を失ったライブラリを構築することにより取り扱
われている。即ち、4つの一価ライブラリが構築され、表IIに記載されている
。4ラウンドで各ライブラリに100,000倍の富化が観察され;ランダムク
ローンからの配列が表IIに示されている。(9)アミノ酸位置で完全にランダ
ム化された)これらのライブラリは完全ではないが、4ライブラリの比較は、各
位置での最適アミノ酸についてのコンセンサスを明らかに示している。
【0094】 ペプチド配列は、4ラウンドの選択後に得られたクローンのDNA配列から推定
した。影を付した残基は、固定された野生型配列を示し、下線を付した残基は、
明細書に記載したように完全ランダム化されたものを示す。
【0095】 TF−FVIIaに結合するペプチドの特徴付け − ファージディスプレイ
されたライブラリから選択した配列の活性を評価するために、これらのライブラ
リから選択した配列に対応するペプチドを化学的に合成した。即ち、ライブラリ
E3からのランダムファージ誘導クローンに対応するペプチドTF56(EAALCD
DPRLDRWYCIFAGE-NH2)(配列番号:1)、部分的ランダム化ライブラリから誘導
されたクローンに対応するペプチドTF58(EGTLCDDPRIDRWYCMFSGV)(配列番
号:2)、及び完全突然変異配列からのコンセンサスに対応するTF76(Ac-ALCDD
PRVRWYCQFVEG-NH2)(配列番号:8)を化学的に合成した。これら並びにTF74
及びTF151からのデータを図に示した。 ペプチドは、TF−FVIIa複合体への結合性についてのみ選択したが、我
々は機能的に類似する関連ペプチド、即ち、FXのFXaへのTF−FVIIa
触媒活性化を、FXの結合及び/又はターンオーバーを妨害することにより用量
依存的に阻害するペプチドに興味がある。よって、それらのFX活性化を阻害す
る能力について試験し;選択したペプチドによるFX活性化の阻害を図1に示し
た。選択したペプチドの配列及びFX活性化についてのIC50を図8に示した
。さらに、成熟プロセスにおいて後に誘導されるペプチドは能力が高く、この手
法の有効性を示している。 精製した成分を用いてそれらがFX活性化を阻害する能力に一致して、ここに
記載のペプチドは有効な抗凝固剤であった。用量依存的なプロトロンビン時間(
PT)の延長によって測定した場合のヒト血漿におけるTF依存的外因性凝固経
路の阻害を図2Aに示した。我々が、活性化部分トロンボプラスチン時間(AP
TT)によって測定した場合の表面依存性内因性経路におけるヒト血漿の凝固時
間を延長させる証拠を見出さなかったのは重要である(図2B)。これは、Eペ
プチドが、トロンビン,FXa、FIXa、FXIa、血清カリクレイン、及び
FVIIaを含む内因性経路に含まれるセリンプロテアーゼを全く阻害しないこ
とを意味する。
【0096】 FVIIa結合ELISA − FVIIaへの結合についてペプチドがTF
76のビオチニル化体(例えばTF147b)又はここに記載の他のペプチドと
競合する能力は、FVIIa結合ELISAを用いて監視し;選択したペプチド
によるTF147bのFVIIa又はTF−FVIIaへの結合の阻害を図3に
示した。選択したペプチドの配列及びTF147bのFVIIa又はTF−FV
IIaへの結合の阻害に関するIC50を図8に示した。またFVIIa結合E
LISAは、本発明のペプチドがFVIIaに結合するのを阻止する任意の化合
物のスクリーニングにも使用できる。これは、ビオチニル化ペプチドを検出する
種々の試薬を用いて実行することができた。さらに、ここに記載の種々のペプチ
ドは、同タイプのアッセイ法の開発に使用できた。よって、ペプチド結合の阻害
剤を同定する目的の化学ライブラリの高スループットスクリーニングで使用され
る競合的結合アッセイ法が確立された。
【0097】 実施例2.FVIIaに結合してFX活性化及び凝固を阻害するペプチド融合物
の発現及び特徴付け 方法 TF151−Fc発現ベクターの構築 − ベクターpVL1393(Pharmi
gen)に基づいて組換え移送ベクターの構築に標準的なDNA技術を使用した(S
ambrook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T.(1989), Molecular Cloning: A L
aboratory Manual, second Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Y
ork; O'Reilly, D.R. Miller, L.K., 及びLuckow, V.A. (1994) Baculovirus Ex
pression Vectors: A Laboratory Manual, Oxford University Press, New York
)。pVL1393誘導プラスミドpbPH.Hisは、NcoI及びSmaI
で線形化され、エビアルカリホスファターゼで処理した(Dwyer,M.a.等, (1999)
J. Biol. Chem. 274: 9738-9743)。ヒトIgG1のFcタンパク質はNdeIを用
いた消化及びそれに続く他のpVL1393誘導プラスミドpVL1393.I
gGのクレノウ及びNcoIでの処理により700塩基対の断片として得た。M
IP.5のシグナル配列は、PCR断片をEcoRIで消化する際にFc配列の
前に導入し、断片内にはAscI部位が挿入された。AscI部位は推定アミノ
酸配列切断部位に続いて現れる。ライゲーションの後、コンピテントな大腸菌XL
-1ブルーを形質転換し、DNA配列分析により細菌を正しい組換えプラスミド(PVL
1393.MIP.5sig.Fc)について選択した。次いで、PVL1393.MIP.5sig.FcをAsc
I及びStuIで線形化し、エビアルカリホスファターゼで処理した。線形化ベ
クターは、次いで相容性末端を持つDNAの合成片で結合させた。合成DNA挿
入物は、2オリゴをGGGSGGリンカー(配列番号:104)を含むペプチド配列T
F151(図8)をコードする配列:5'-GCC GGA GCT CCC GCC TCC CAG GCA GGC
CTG CAG GCA GGC GCA GCC GGG GCC GAT GCA TCC CCA GGA CTC GTA CAC CTG GG(
配列番号:102)及び5'-CGC GCC CAG GTG TAC GAG TCC TGG GGA TGC ATC GGC
CCC GGC TGC GCC TGC CTG CAG GCC TGC CTG GGA GGC GGG AGC TCC GGC-3'(配列
番号:103)とともにアニールすることにより形成した。ライゲーションの後
、コンピテントな大腸菌XL-1ブルーを形質転換し、dRhodamine線量-停止剤法及
びApplied Biosustems ABI モデル373自動DNA配列器を用いたDNA配列分析
により正しい組換えプラスミド(pVL.1393.MIP5.TF151-Fcと命名)について選択
した。組換え移送ベクターはQiagenのMini-Prepを用いて精製し、組換えバキュ
ロウィルスの構築に使用した。
【0098】 組換えバキュロウィルス、AcNpV.TF151-Fcは、SF9細胞の移送ベクター及び
線形化野生型バキュロウィルスDNAでの同時形質転換に続いて産生された(Au
tographa californica nuclear polyhedrosis virus (AcNpV), Pharmingen)。
組換えバキュロウィルスAcNpV.TF151-Fcは、検出可能なタンパク質発現を達成し
た。続くプラーク精製及びウィルスストックの滴定は、プラークアッセイにより
実施した。既に記載したような標準的方法が用いられた(O'Reilly, D.R. Mille
r, L.K., 及びLuckow, V.A. (1994) Baculovirus Expression Vectors: A Labor
atory Manual, Oxford University Press, New York)。
【0099】 細胞培養 − スポドプテラ・フルギペルダ(Sf9)昆虫細胞(ATCC CRL 1
711)は、GRACE's(JPH Biosciences, 51942-78P)を添加したHinkのTMN-FH昆虫
培地で、グルタミン、ストレプトマイシン/ペニシリン、及び10%ウシ胎児血
清(56℃で30分間加熱不活性化)とともに28℃に維持した。培養を3日ご
とに継代した。High Five(商品名)細胞のスピナー培地(Trichoplusia ni, BT1.
TN.SB1-4 (Invitrogen))(2.0x106細胞/mlで500ml)を0.5の多重感染で感染さ
せ、トランスフェクション後60時間で回収した。懸濁培地は、ESF-921タンパ
ク質無し昆虫細胞培養培地(Expression Systems LLC, 96-001)を用いてスピナ
ーフラスコ中で28℃に維持した。培地を3日ごとに継代し、10細胞/mlの
初期細胞密度とした。 TF151−Fc精製 − 最適化感染プロトコールに続いて、High Five(商
品名)細胞を4℃における800xでの10分間の遠心分離により取り除いた。透明
化上清(0.5L)を0.45μNalgeneフィルターを用いて濾過し、PBS(リン酸緩
衝塩水)で平衡化した0.5mlのハイトラッププロテインAカラム(Amersham Phar
macia Biotech)に適用した。20mlのPBSで洗浄した後、カラムを0.2NのHOAc
3mlで溶離し、TF151−Fcを含む画分を凍結乾燥して4℃で保存した。
【0100】 SDS-PAGE − サンプルは、還元及び非還元で、予備染色したタンパ
ク質分子量マーカー(SeaBlue, Novex)とともに、4-20%Tris-グリセリンSDS
-PAGE(Novex)上でLaemmliの方法を用いて分析した(Laemmli, U.K. (1979)
Nature 227: 680-685)。 タンパク質配列決定 − 感染Sf9細胞上清から精製したTF151−Fc
にSDS-PAGEを施し、次いでPVDF膜に移した。Millipore Immobilon-P
SQ膜でのエレクトロブロットを、BioRad Trans-Blot移送セル中で250mAの定電流
で1時間実施した(Matsudaira, P. (1987) J. Biol. Chem. 262: 10035-10038
)。PVDF膜を50%メタノール中の0.1%のクマシーブルーR-250で0.5分染色し
、50%メタノール中10%之酢酸で2-3分間脱色した。膜を水で徹底的に洗浄し、乾
燥させた後に−20℃で保存した。約50kDのTF−151−Fcバンドを切り出
し、最初の11残基を、オンラインPTH分析機を備えたモデル494A Applied Bios
ystems 配列決定機を用いて配列決定した。ピークは、Nelson Analytical 760イ
ンターフェースを用いてJustice Innovation ソフトウェアで積分した。配列の
解釈はDEC alphaで実行した(Henzel, W.J., Rodriguez, H., 及び Watanabe, C
. (1987) J. Chromatog. 404: 41-52)。
【0101】 FVIIa結合ELISA − TF151−Fcが、FVIIaへの結合に
ついて、TF76のビオチニル化体であるTF147b(図8)と競合する能力
は、FVIIa結合ELISAを使用して監視した。ミクロタイタープレートを
50mMの重炭酸アンモニウム中の2μg/mlの組換えヒトFVIIa、pH9で4℃にお
いて終夜コートし;全ての工程は室温で実施した。次いでプレートをアッセイバ
ッファー(50mMHEPES、pH7.2、5mMCaCl、15-mMNaCl)中の1%B
SAでブロックした。アッセイバッファープラス0.05%Tween20中のTF151−
Fc希釈物を、20nMTF147bとともにミクロタイタープレートに1時間添加
した。ミクロタイタープレートをアッセイバッファープラス0.05%Tween20で3回
洗浄し、結合したビオチニル化ペプチドをストレプトアビジン/HRP抱合体(
ストレプトアビジン−POD、Poche Molecular Biochemicals)で検出した。H
RP結合の量は、ABTS/H基質(Kirkegaad and Perry Labpratories
)を用いて測定し、405nmの吸収を監視した。405nmの吸収をウェルに最初に添加
したペプチド濃度に対してプロットした。S字型曲線が4パラメータ等式に非線
形回帰分析によりフィットされ(Marquardt, J. Soc. Indust. Appl. Math. 11:
431-441 (1963));アッセイにおいて半最大値を与えるTF151−Fcの濃
度が曲線から計算され、IC50値と呼ばれる。 FX活性化アッセイ − FX活性化アッセイは、実施例1に記載したように
実施した。 凝固アッセイ − PT凝固アッセイは、実施例1に記載したように実施した
【0102】 結果 TF151−Fcのタンパク質特徴付け − 精製に続いて、約8mgの対照−
Fc(融合ペプチドリガンドを欠くFc)又はTF151−Fcを500ml培地か
ら得た。還元及び非還元融合物のSDS-PAGE分析は、約30及び60kD
aのバンドを示し、2つのペプチド−Fcモノマーが結合してダイマーを形成し
ていることを示唆した(図4)。TF151−FcnoN末端配列分析は、「SQ
AQRRVGAL...」(配列番号:43)を示し、シグナルペプチドの除去及びペプチ
ドのFcへの融合物としての発現を示している。 TF151−Fc活性 − TF151−Fcが、FVIIaへの結合につい
て、TF76のビオチニル化体であるTF147bと競合する能力はFVIIa
結合ELISAを用いて監視した。FVIIaへのTF147bの結合の阻害は
、図5に示したペプチドTF151に匹敵し;TF151及びTF151−Fc
融合物が各々2及び3nMのIC50を有していた。TF151−Fc融合物はま
た、FX活性化アッセイにおけるTF−FVIIaによるFX活性化を阻害する
能力においてもペプチドTF151に匹敵する(図6)。TF151−FcでF
X活性化が阻止される可能性は、ヒト血漿におけるプロトロンビン時間の延長に
も反映された(図7)。TF151−Fcの有効性は、このアッセイにおいてペ
プチドTF151に匹敵した。
【0103】 実施例3.TF76(配列番号:8)の精製、結晶化及び構造決定 ペプチドTF76は既に記載されているように合成した(Lowman, H.B.,等 IG
F-1阻害のためのインシュリン様成長因子(IGF-1)の分子模倣物:IGF-結合タンパ
ク質相互作用. Biochemistry 37: 8870-8878 (1998))。アミノ末端のアセチル
化は、ジクロロメタン中で、10%トリエチルアミン中の無水酢酸で達成された。 ヒトVII因子を発現する293細胞から回収された細胞培地は、5mMEDT
A及び2mMベンズアミジンで処理し、DEAE高速カラムに負荷し;結合したF
VIIは150mMのNaClで溶離した。DEAEプールをQ-セファロース高速カ
ラムに負荷し、5mMのCaCl、135mMのNaClで溶離した。Q-セファロー
スプールは活性化FVIIaとして溶離し、硫酸アンモニウム沈降により濃縮し
た。可溶化FVIIaをSephacryl-200ゲル濾過カラムに通し;N末端配列分析に
よりGlaドメインの喪失を確認した(Trp41とIle42の間のタンパク
質分解)。TF76及びGla-ドメイン無しのFVIIaは、D-Phe-L-P
he-Arg-クロロメチルケトン(D-FFRCMK)で共有結合活性部位が阻害されて
おり、1:1の比率で混合してSuperdex75カラムで精製した。20%(w/v)PEG4
000、10%t-ブチルアルコール、0.1Mカコジル酸ナトリウムpH5.5に対して平衡
化された懸垂滴から成長した結晶を、10%メチルペンタンジオールを含む凍結防
止溶液含有容器中に回収し、液体窒素で瞬時凍結させた。3Åに伸長したデータ
は、SSRLビームライン9.1でa=70.49Å、b=55.26Å、c=111.73Å、b=99.48°の空
間群においてMAR345スキャナー上で収集され、Mosflmで換算されてCCP4 suiteで
処理された(外殻においてTmerge=10.4%、26.2%;内殻において全I/s=6.2
、2.7;外殻において完全性97.7%、98.6%)。解は、TFoFVIIa構造
の一部を用いた分子置換(Amore)によった(Banner, D.W.等 可溶性組織因子での
血液凝固因子VIIaの複合体の結晶構造, Nature 380: 41-46 (1996))。改良
及びモデル調節は、X-PLOR v3.851及びXsight(Molecular Simulations Inc.)
で実施した。非結晶学的束縛を、血漿学的非対称ユニットにおいて2つの複合体
に適用した(rmsd=0.44Å)。
【0104】 データ収集及び改良に関する統計 分解能(Å) 50.0−3.0 反射数 16915 反射数(R-free) 654 R-値 22.5% R-free 29.5% R-値(全体) 22.8% rmsd結合距離(Å) 0.012 rmsd結合角(°) 2.0 rmsd二面角(°) 26.3 rmsd不斉二面角(°) 0.82 原子数 5919 占有率ゼロ原子数 381 残基数 756 水数 4 カルシウムイオン数 4 カコジル酸イオン数 2 rmsd主鎖B-因子(Å2) 3.2 rmsd側鎖B-因子(Å2) 5.0 ラマチャンドランプロット 最も好ましい領域内の残基(%) 75.8 不許可領域内の非グリシン残基(%) 0.0
【0105】 結果 TF76に属する残基の三次元座標を表IIIに列挙する。図9は、対応する
三次元構造を示している。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 選択されたペプチドによるFX活性化の阻害を示す図である。
【図2】 図2(a)は、ヒト血漿における用量依存的なプロトロンビン時間
(PT)の延長により測定した場合のTF依存的外因性凝固経路種々のペプチド
による阻害を示す図であり、図2(b)は、ヒト血漿における活性化部分トロン
ボプラスチン時間(APTT)により測定した場合の表面依存的内因性経路にお
ける結果(凝固時間の延長の証拠は無い)を示す図である。
【図3】 選択されたペプチドによるTF147b(配列番号:40)のFV
IIa又はTF−FVIIa結合の阻害を示す図である。
【図4】 還元又は非還元TF151−Fc融合物のSDS-PAGE分析を
示す図であり、各々約30及び約60kDaにバンドを示し、2つのペプチドが
結合して二量体を形成することを示唆している。
【図5】 TF151−Fc融合物によるTF147bのFVIIa結合の阻
害がTF151に匹敵することを示す図である。
【図6】 TF151−Fc融合物がFX活性化アッセイにおけるTFFVI
IaによるFX活性化を阻害できることを示す図である。
【図7】 ヒト血漿におけるTF151−Fc融合物及びTF151でのプロ
トロンビン時間の延長を示す図である。
【図8】 選択されたペプチドのアミノ酸配列及びそれらのFX活性化阻害に
ついてのIC50並びにTF147bのFVIIa又はTF−FVIIaの何れ
かへの結合阻害についてのIC50を示す図である。「Ac-」は、CHCO-修
飾N-末端を示し;「-NH」又は「amido-」はNH-修飾C-末端を示し;「Or
」はオルニチンを示し、「Na」はβ-ナフチルアラニンを示し;「nL」はノル
ロイシンを示し;「aca」はアミノカプロン酸を示し;「*」は誘導体化されたと
きのリジンのεアミノ基を示し;「biotin」、「bi」又は「b」はビオチンを示
し;「mY」はメタチロシンを示し;「gla」はγ-カルボキシグルタミン酸を示し
;「(x=i), i+8 lock」はi+8ヘリカルロックを示し;「X」は、i)4-メチル
フェニルアラニン、ii)4-アミノフェニルアラニン、iii)3-(3,4-ジヒドロキ
シフェニル)アラニン(DOPA)を示し;「X=E10-, K14lock」は各々位置10
及び14のグルタミン酸及びリジンの側鎖残基間のヘリカルロックを示す。ペプ
チド名 TF56:(配列番号:1);TF58:(配列番号:2);TF61
:(配列番号:3);TF62:(配列番号:4);TF63:(配列番号:5
);TF74:(配列番号:6);TF75:(配列番号:7);TF76:(
配列番号:8);TF77:(配列番号:9);TF86:(配列番号:10)
;TF89:(配列番号:11);TF90:(配列番号:12);TF92:
(配列番号:13);TF95:(配列番号:14);TF96:(配列番号:
15);TF97:(配列番号:16);TF98:(配列番号:17);TF
106:(配列番号:18);TF107:(配列番号:19);TF108:
(配列番号:20);TF109:(配列番号:21);TF110:(配列番
号:22);TF111:(配列番号:23);TF112:(配列番号:24
);TF113:(配列番号:25);TF114:(配列番号:26);TF
115:(配列番号:27);TF119:(配列番号:28);TF120:
(配列番号:29);TF121:(配列番号:30);TF127:(配列番
号:31);TF128:(配列番号:32);TF129:(配列番号:33
);TF130:(配列番号:34);TF131:(配列番号:35);TF
132:(配列番号:36);TF144:(配列番号:37);TF145:
(配列番号:38);TF146:(配列番号:39);TF147b:(配列
番号:40);TF148:(配列番号:41);TF149:(配列番号:4
2);TF151:(配列番号:43);TF152:(配列番号:44);T
F155:(配列番号:45);TF156:(配列番号:46);TF160
:(配列番号:47);TF161:(配列番号:48);TF162:(配列
番号:49);TF163:(配列番号:50);TF178:(配列番号:5
1);TF179:(配列番号:52);TF180:(配列番号:53);T
F189:(配列番号:54);TF190:(配列番号:55);TF191
:(配列番号:56);TF305:(配列番号:57);TF306:(配列
番号:58);TF307:(配列番号:59);TF316:(配列番号:6
0);TF317:(配列番号:61);TF318:(配列番号:62);T
F319:(配列番号:63);TF320:(配列番号:64);
【図9】 TF76(配列番号:8)の構造を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 38/00 A61K 45/00 45/00 A61P 7/02 A61P 7/02 29/00 29/00 43/00 111 43/00 111 C12N 9/76 C12N 9/76 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 アイゲンブロット,チャールズ アメリカ合衆国 カリフォルニア 94010, バーリンゲーム,ベーナル アヴェニュー 1129 (72)発明者 ラザルス,ロバート,エー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94030 ミルブレイ,ヒルクレスト ブールバー ド 237 Fターム(参考) 4B050 CC03 DD11 GG06 LL10 4C076 AA11 AA29 AA31 AA93 CC11 CC29 4C084 AA02 AA07 AA17 BA01 BA07 BA24 CA62 DC50 MA16 MA34 MA43 MA59 NA14 ZA542 ZB112 ZC022 4H045 AA10 AA30 BA10 BA30 DA56 EA20 EA23 FA33

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インビトロアッセイにおけるFVIIa結合について配列番
    号:1と競合する化合物。
  2. 【請求項2】 1μM未満のFVIIaに対するIC50を有する請求項1
    に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 インビトロアッセイにおけるFVIIa結合について配列番
    号:8と競合する請求項2に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 1μM未満のFVIIaに対するIC50を有する請求項3
    に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 1nM未満のFVIIaに対するIC50を有する請求項4
    に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 FVIIaに結合し/FVIIa活性を阻害する請求項1に
    記載の化合物。
  7. 【請求項7】 FVIIの活性化、FIXの活性化及びFXの活性化からな
    る群から選択されるFVIIaに関連する活性を阻止する請求項6に記載の化合
    物。
  8. 【請求項8】 10μM未満のFX活性化についてのIC50を有する請求
    項7に記載の化合物。
  9. 【請求項9】 100nM未満のFX活性化についてのIC50を有する請
    求項8に記載の化合物。
  10. 【請求項10】 5nM未満のFX活性化についてのIC50を有する請求
    項9に記載の化合物。
  11. 【請求項11】 ペプチドである請求項1に記載の化合物。
  12. 【請求項12】 環状ペプチドである請求項11に記載のペプチド。
  13. 【請求項13】 以下の式: X-Cys-X-Cys-X を有し、 Xは1から100アミノ酸のペプチド;Xは9アミノ酸のペプチド、及び
    は存在しないか又は1から100アミノ酸のペプチドである請求項12に記
    載のペプチド。
  14. 【請求項14】 X及びXが1から50アミノ酸のペプチドである請求
    項13に記載のペプチド。
  15. 【請求項15】 X及びXが1から10アミノ酸のペプチドである請求
    項13に記載のペプチド。
  16. 【請求項16】 X及びXが1から4アミノ酸のペプチドである請求項
    15に記載のペプチド。
  17. 【請求項17】 以下のアミノ酸配列: -a-b-c-d-e-f-g-h-i-j-k-l-m-n-o- を有し、 aはアミノ酸であり; bはLeu、Ile、Val、Ala、Arg、Gln、Asn及びそれらの
    機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; cはCysであり; dはアミノ酸であり; eはアミノ酸であり; fはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、L
    eu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、T
    rp、Tyr、及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸で
    あり; gはアミノ酸であり; hはAla、Cys、Asp、Phe、Gly、His、Ile、Lys、L
    eu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Thr、Val、Trp、T
    yr、及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; iはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Met、A
    sn、Pro、Gln、Ser、Thr、Val、Trp、Tyr、及びそれら
    の機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; jはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Ile、Lys、L
    eu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、T
    rp、Tyr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であ
    り; kはTrp、Tyr、Na、Phe及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸であり; lはTyr、Phe、Na、Trp及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸であり; mはCysであり; nはアミノ酸であり、そして oはPhe、Tyr、Trp、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸である、請求項13に記載のペプチド。
  18. 【請求項18】 bがLeu、Ile、Val、Ala及びそれらの機能的
    等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; hがIle、Val、Leu及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸で
    あり; iがAsp、Glu、Ser、Thr及びAlaからなる群から選択されるア
    ミノ酸であり; kがTrp、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ
    酸であり; lがTyr、Phe及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
    ノ酸であり; oがPhe、Tyr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
    ノ酸である請求項17に記載のペプチド。
  19. 【請求項19】 hがIle、Val及びLeuからなる群から選択される
    アミノ酸であり; iがAsp、Glu及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり; jがArg、Lys、Gln及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸で
    あり;そして、 nがGln、Met、Gly、Arg、Ser、Lys、Leu、Ala、A
    sn、Thr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であ
    る請求項18に記載のペプチド。
  20. 【請求項20】 hがIle及びValからなる群から選択されるアミノ酸
    であり; iがAspであり; jがArgであり; lがTyrであり; nがGln及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、 oがPheである請求項19に記載のペプチド。
  21. 【請求項21】 aがAsn、Arg、Phe、Gln、Gly、Pro、
    Thr、Ser及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸であり; fがPro、Gly、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択さ
    れるアミノ酸である請求項20に記載のペプチド。
  22. 【請求項22】 Xが2から6アミノ酸のペプチドであり; aがAla、Thr及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり; bがLeuであり; dがAsp、Glu、Ser、Ala、Arg、Thr、His、Met、V
    al及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり; eがAsn、Asp、Arg、Ala及びGluからなる群から選択されるア
    ミノ酸であり; fがProであり; gがArg、Ala及びGluからなる群から選択されるアミノ酸であり; hがIle、Val及びLeuからなる群から選択されるアミノ酸であり; iがAsp、Glu及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり; jがArg、Lys、Gln及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸で
    あり; nがGln、Met、Gly、Arg、Ser、Lys、Leu、Ala、A
    sn及びThrからなる群から選択されるアミノ酸であり; Xが2から6アミノ酸のペプチドである請求項17に記載のペプチド。
  23. 【請求項23】 以下の式: X-Ala-Leu-Cys-d-e-Pro-Arg-h-Asp-Arg-k-T
    yr-Cys-n-Phe-X(配列番号:105)を有し、 Xが存在しないか又は1から4アミノ酸のペプチドであり; dがAsp、Glu、Ser、Ala及びArgからなる群から選択されるア
    ミノ酸であり; eがAsn、Asp、Arg及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸で
    あり; hがIle及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり; kがTrp及びNaからなる群から選択されるアミノ酸であり; nがGln及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、 Xが3アミノ酸のペプチドである請求項22に記載のペプチド。
  24. 【請求項24】 以下の式: X-a-b-c-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-Trp-Tyr-
    m-n-o-X(配列番号:106)を有し、 Xが存在しないか又は1から4アミノ酸のペプチドであり; aがAla、Asn、Arg、Phe、Gln、Gly及びProからなる群
    から選択されるアミノ酸であり; bがLeu、Ala、Val、Ile、Arg、Gln及びAsnからなる群
    から選択されるアミノ酸であり; cがAla及びCysからなる群から選択されるアミノ酸であり; dがアミノ酸であり; hがIle、Val、Leu及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸で
    あり; mがAla及びCysからなる群から選択されるアミノ酸であり; nがアミノ酸であり;そして、 oがPhe、Tyr、Trp及びNaからなる群から選択されるアミノ酸であ
    り;そして、 Xが1から4アミノ酸のペプチドである請求項11に記載のペプチド。
  25. 【請求項25】 以下の式: X-a-Leu-Cys-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-Trp-
    Tyr-Cys-n-o-(Xaa)(配列番号:107)を有し、 aがAla、Thr及びSerからなる群から選択されるアミノ酸であり; dがAsp、Glu、Ser、Ala、Arg、Thr、His、Met、V
    al及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり; hがIle、Val及びLeuからなる群から選択されるアミノ酸であり; nがGln、Met、Gly、Arg、Ser、Lys、Ala、Asn及び
    Thrからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、 oがPhe及びTyrからなる群から選択されるアミノ酸である請求項24に
    記載のペプチド。
  26. 【請求項26】 以下の式: X-Ala-Leu-Cys-d-Asp-Pro-Arg-h-Asp-Arg-
    Trp-Tyr-Cys-n-Phe-X(配列番号:108)を有し、 dがAsp、Glu、Ser、Ala、Argからなる群から選択されるアミ
    ノ酸であり; nがGln及びMetからなる群から選択されるアミノ酸であり;そして、 Xが3アミノ酸のペプチドである請求項25に記載のペプチド。
  27. 【請求項27】 a)FVIIaを請求項1に記載の化合物に、組織因子の
    存在下かつ当該化合物のFVIIaへの結合が起こる条件下で接触させる工程を
    含んでなる、FVIIa活性を阻害する方法。
  28. 【請求項28】 前記化合物がペプチドである請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ペプチドが以下のアミノ酸配列: -g-h-i-j-k-l-m-n-o- を含み、 gはアミノ酸であり; hはIle、Val、Leu、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群か
    ら選択されるアミノ酸であり; iはAsp、Glu、Ser、Ala、Thr及びそれらの機能的等価物から
    なる群から選択されるアミノ酸であり; jはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、M
    et、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Tyr及び
    それらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; kはTrp、Na、Tyr、Phe及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸であり; lはTyr、Phe、Na、Trp及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸であり; mはCys、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
    ノ酸であり; nはアミノ酸であり、そして oはPhe、Tyr、Trp、Na及びそれらの機能的等価物並びにそれらの
    断片、それらのエステル、アミド、塩及び誘導体、それらの機能的類似物、及び
    配列の末端に付加的なアミノ酸及びペプチドを持つ延長ペプチド鎖からなる群か
    ら選択されるアミノ酸である請求項28に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記ペプチドが以下のアミノ酸配列: -a-b-c-d-e-f-g-h-i-j-k-l-m-n-o- を含み、 aはアミノ酸であり; bはLeu、Ile、Val、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群か
    ら選択されるアミノ酸であり; cはCys、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
    ノ酸であり; dはアミノ酸であり; eはAla、Cys、Asp、Glu、Phe、His、Ile、Lys、L
    eu、Met、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、T
    rp、Tyr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であ
    り; fはPro、Gly、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択さ
    れるアミノ酸であり; gはアミノ酸であり; hはIle、Val、Leu、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群か
    ら選択されるアミノ酸であり; iはAsp、Glu、Ser、Thr、Ala及びそれらの機能的等価物から
    なる群から選択されるアミノ酸であり; jはAla、Asp、Glu、Phe、Gly、His、Lys、Leu、M
    et、Asn、Pro、Gln、Arg、Ser、Thr、Val、Trp、T
    yr及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミノ酸であり; kはTrp、Tyr、Phe、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から
    選択されるアミノ酸であり; lはTyr、Phe、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から選択され
    るアミノ酸であり; mはCys、Ala及びそれらの機能的等価物からなる群から選択されるアミ
    ノ酸であり; nはアミノ酸であり、 oはTyr、Phe、Na及びそれらの機能的等価物からなる群から選択され
    るアミノ酸である、請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 FXのFVII/FVIIa活性化を阻止する化合物を選
    択する方法であって、 (1)FVII/FVIIaを請求項1に記載の化合物と、候補化合物の存在
    下及び不存在下において、請求項1に記載の化合物のFVII/FVIIaへの
    特異的結合が起こる条件下で接触させ; (2)候補化合物の存在下及び不存在下において生じた請求項1に記載の化合
    物のFVII/FVIIaへの特異的結合の量を検出する工程を含んでなり、候
    補化合物不存在下における結合量に対する候補化合物存在下における結合量が当
    該候補化合物がFXのFVII/FVIIa活性化を阻止する能力を示す方法。
  32. 【請求項32】 FVII/FVIIaを、FVII/FVIIaと請求項
    1に記載の化合物との相互作用を妨害する化合物に接触させることを含んでなる
    、FXの活性化を阻害する方法。
  33. 【請求項33】 FVII/FVIIaを、FVII/FVIIaと配列番
    号:1との相互作用を妨害する化合物に接触させることを含んでなる、請求項3
    2に記載のFXの活性化を阻害する方法。
  34. 【請求項34】 接触がインビボで行われる請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 接触がインビトロで行われる請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 TF/FVIIa媒介疾患又は障害を、それを必要として
    いる宿主において治療する方法であって、宿主に請求項1に記載の化合物の治療
    的有効量を投与することを含んでなる方法。
  37. 【請求項37】 TF/FVIIa媒介疾患又は障害を、それを必要として
    いる宿主において治療する方法であって、宿主に請求項17に記載のペプチドの
    治療的有効量を投与することを含んでなる方法。
  38. 【請求項38】 請求項1に記載の化合物と製薬的に許容される担体とを含
    む製薬組成物。
  39. 【請求項39】 請求項17に記載のペプチドと製薬的に許容される担体と
    を含む製薬組成物。
  40. 【請求項40】 吸入に適した請求項38に記載の組成物。
  41. 【請求項41】 乾燥粉末である請求項40に記載の組成物。
  42. 【請求項42】 液体である請求項40に記載の組成物。
  43. 【請求項43】 結晶である請求項40に記載の組成物。
  44. 【請求項44】 結晶である請求項1に記載の化合物。
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