JP2007114323A - レンズ鏡胴、カメラおよび携帯型情報端末装置 - Google Patents

レンズ鏡胴、カメラおよび携帯型情報端末装置 Download PDF

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Abstract

【課題】充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いて、しかもこれらによる回転角を大きくとることができ、光学的な制御における高い自由度を得て安定して駆動する。
【解決手段】固定鏡筒21aには、カム溝21mと21nが形成され、これらには、第1の回転筒のカムフォロワ22aと22bがそれぞれ係合する。第1の回転筒のカムフォロワ22aは、第1の回転筒の像側基端面にほぼ接して円周上に等角度位置に複数それぞれ配置されている。カムフォロワ22bは、カムフォロワ22aよりも対物側に所定距離離間し且つ円周方向には上記と異なる角度位置に複数それぞれ等角度に配置されている。このため、複数のカムフォロワ22aと複数のカムフォロワ22bとにそれぞれ係合する複数のカム溝22mと複数のカム溝22nとは、光軸方向に所定距離ずれた位置で且つ円周方向については等角度(例えば、概ね90°)ずれた位置に配設される。
【選択図】図10

Description

本発明は、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態とし、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動させて撮影状態とするレンズ鏡胴に係り、特に、いわゆるディジタルカメラ等のカメラに用いる撮影レンズに好適なレンズ鏡胴、そのレンズ鏡胴を用いるカメラおよび携帯型情報端末装置に関するものである。
被写体像を、例えばCCD(電荷結合素子)撮像素子等の固体撮像素子により撮像し、被写体の静止画像(スティル画像)または動画像(ムービー画像)の画像データを得て、不揮発性メモリ媒体等の記録媒体にディジタル的に記録する、いわゆるディジタルカメラが一般化している。
従来、一般的なディジタルカメラにおけるレンズ鏡胴は、凹溝または貫通溝からなるカム溝と、通常はピン状の突出部からなるカムフォロワとを用いるズーミング機構を備えたものが多い。すなわち、カム溝は回転枠としてのカム枠に形成され、カムフォロワは、複数のレンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の外周部に突設されている。カム溝を有するカム枠を回転させることによって、カム溝に係合追随するカムフォロワを介してレンズ保持枠を光軸方向に移動させる構成となっていた。
このような方式の問題点としては、カムフォロワが、カム溝から脱離したり、カム溝との遊びガタにより光学性能が悪化したり、光漏れを生じたりすることなどがあった。これらの問題を改善するために、カム機構として傾き一定でネジ送り式の、いわゆるヘリコイドを用いるヘリコイド駆動により、直線的なネジ送り駆動を行う方式が考えられる。
しかしながら、ディジタルカメラにおいては、複数のレンズ群のうちで、最も対物側の第1レンズ群が、多くの場合非直線的な移動が必要とされるため、直線駆動の後に別途のカム機構により補正移動させることが必要になることが多い。このように、ヘリコイド駆動を採用すると、機構が複雑になるため、ディジタルカメラには採用されないことが多かった。
このような状況を考慮したものとして例えば特許文献1(特開2004−109299号)に示された技術がある。特許文献1の構成では、直線運動を行う部分と、回転運動を行う部分との2つの部分からなるカム溝としてのヘリコイドを形成して、ヘリコイド方式を採りながら、第1レンズ群を非直線的に駆動することを可能としている。
上述した特許文献1においては、光軸方向に移動せずに回転のみを行う部分では、光軸方向についての変位が一定のヘリコイドを用いて係合している。このように、光軸方向についての同一位置、すなわち光軸が垂直に交わる面上に沿ってカム溝としてのヘリコイドが形成される場合には、ヘリコイドの数を多くしたり回転角を広くしたりしようとすると、光軸方向に移動せずに回転のみを行う部分のカム溝としてのヘリコイドが光軸が垂直に交わる同一平面に沿う同一円周上に位置するので、重なってしまうことになる。したがって、回転角を広くとろうとするとヘリコイドの数が制限されることになり、レンズ保持枠の支持が不確実になって、ガタや鏡胴の傾斜等の問題を発生するおそれがある。一方、カム溝としてのヘリコイドの数を多くすると回転角を広くとることができず、光学的な制御の自由度が制限されていた。
特開2004−109299号公報
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いてしかもこれらによる回転角を大きくとることができ、光学的な制御における高い自由度を得て安定して駆動することを可能とするレンズ鏡胴、カメラおよび携帯型情報端末装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項1の目的は、特に、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能なレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能なレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、効果的に回転角を大きくとって、安定して駆動することが可能なレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、撮影状態でレンズ保持枠に支持されるレンズ群の背後の空間を効果的に利用可能なレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項5の目的は、特に、安定して駆動することができ、倒れや光軸方向の位置ずれを効果的に防止し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、最大繰り出し位置における倒れや光軸方向の位置ずれを効果的に抑制し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項7の目的は、特に、直進移動と最大繰り出し位置における回動との境界部近傍での倒れや引っ掛かりを効果的に抑制し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項8の目的は、特に、複数のレンズ群の一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の、鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのを効果的に防止し安定した駆動を実現し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項9の目的は、特に、複数のレンズ群の一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのをさらに効果的に防止し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項10の目的は、特に、複数のレンズ群の一部のレンズ群を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのを効果的に防止し得るレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項11の目的は、特に、外側の鏡筒に、内部の鏡筒を回転駆動力を伝達するための開口部があっても回転角を大きくとることを可能とするレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項12の目的は、特に、内部の鏡筒のカムフォロワに対する、内部の鏡筒に回転駆動力を伝達するための駆動ギアによる干渉を効果的に防止するレンズ鏡胴を提供することにある。
本発明の請求項13の目的は、特に、レンズ鏡胴に実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能なカメラを提供することにある。
本発明の請求項14の目的は、特に、カメラ機能部の撮影光学系に、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能な携帯型情報端末装置を提供することにある。
請求項1に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、上述した目的を達成するために、
複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、
前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
を具備し、
前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝にそれぞれ係合する前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワを、光軸方向について互いに異なる位置に配置していることを特徴としている。
請求項2に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、上述した目的を達成するために、
複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、
前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
を具備し、
前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワが係合する前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝を、光軸方向について互いに異なる位置に平行に偏倚させて配置していることを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係るレンズ鏡胴が、請求項1または請求項2のレンズ鏡胴であって、
前記第1および第2のカムフォロワにそれぞれ係合する前記第1および第2のカム溝は互いに交差することを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項1〜請求項3のいずれか1項のレンズ鏡胴であって、
前記第1の鏡筒を駆動するための前記第1および第2のカム溝が、
収納位置から最大繰り出し位置までほぼリニアに移動させるべく斜行するとともに、最大繰り出し状態から撮影状態にかけて最大繰り出し位置にて回動のみを許容し光軸方向への進退を規制すべく光軸がほぼ垂直に交わる平面に沿って円周方向に延びる形状を含むカム形状をなし、
前記第1の鏡筒により支持されるレンズ保持枠が、沈胴状態から撮影状態に達する前に、前記第1の鏡筒を、最大繰り出し位置まで移動させることを特徴としている。
請求項5に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項4のレンズ鏡胴であって、
前記第1および第2のカムフォロワの各々が、
光軸方向に対して傾斜し且つ互いに平行に対峙する一対の斜面部と、
光軸が垂直に交わる平面を形成し且つ互いに平行に対峙する一対の垂直面部と
を有してなり、
前記第1および第2のカム溝の前記第1の鏡筒を光軸方向に移動させる範囲のカム面には前記斜面部が摺接し、光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲のカム面には前記垂直面部が摺接することを特徴としている。
請求項6に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項4または請求項5のレンズ鏡胴であって、
前記カム溝およびカムフォロワを、3組以上設けてなり、且つ少なくとも、前記第1の鏡筒が光軸に沿って進退移動することなく光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲では、少なくとも3組の前記カム溝とカムフォロワを係合させる構成とすることを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項4〜請求項6のいずれか1項のレンズ鏡胴であって、
前記第1の鏡筒を光軸方向に駆動する範囲と光軸方向が垂直に交わる平面内で回動する範囲との境界部分の近傍においては、前記第1の鏡筒の全てのカムフォロワが、前記第2の鏡筒の全てのカム溝に係合していることを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項1〜請求項7のいずれか1項のレンズ鏡胴であって、
第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒が、前記複数のカムフォロワとは別途に設けた他の1つ以上のカムフォロワを有し且つ前記第2の鏡筒が、前記他の1つ以上のカムフォロワに対応して前記複数のカム溝とは別途に設けた他の1つ以上のカム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては、前記他の1つ以上のカムフォロワの少なくとも一部が前記他の1つ以上のカム溝の少なくとも一部に係合する構成としたことを特徴としている。
請求項9に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項1〜請求項8のいずれか1項のレンズ鏡胴であって、
第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒の光軸に沿う進退移動時に、前記第2の鏡筒の前記切欠部を閉塞して前記第2の鏡筒内面とほぼ連続する筒状面を形成する蓋板を有し、該蓋板には、前記複数のカムフォロワに対応して当該部分を通る前記複数のカム溝と連続する蓋板カム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては前記複数のカムフォロワが前記蓋板カム溝の少なくとも一部に係合する構成としたことを特徴としている。
請求項10に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項8または請求項9のレンズ鏡胴であって、
少なくとも一部が、前記切欠部を通過して、前記第2の鏡筒の外部に位置するレンズ保持枠は、前記複数のレンズ群のうちの他の少なくとも1つのレンズ群を保持することを特徴としている。
請求項11に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、上述した目的を達成するために、
複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワおよびギア部を備える第1の鏡筒と、
前記複数のカムフォロワに係合し、前記第1の鏡筒の回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備え、且つ前記ギア部に対応する開口部を有して固定されており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
前記第2の鏡筒の前記開口部を介して前記第1の鏡筒の前記ギア部に係合し前記第1の鏡筒に駆動力を伝達する駆動ギアと、
前記駆動ギアを回転駆動する駆動源と、
を具備し、
前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝の少なくとも一部が前記開口部を通過することを特徴としている。
請求項12に記載した本発明に係るレンズ鏡胴は、請求項11のレンズ鏡胴であって、
前記駆動ギアは、前記開口部を通過するカム溝を通るカムフォロワとの干渉を防止すべく、該カムフォロワの経路に対応してギアを欠落したギア欠落部を形成してなることを特徴としている。
請求項13に記載した本発明に係るカメラは、撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことを特徴としている。
請求項14に記載した本発明に係る携帯型情報端末装置は、カメラ機能部を有し、且つ前記カメラ機能部の撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことを特徴としている。
本発明によれば、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いてしかもこれらによる回転角を大きくとることができ、光学的な制御における高い自由度を得て安定して駆動することを可能とするレンズ鏡胴、カメラおよび携帯型情報端末装置を提供することができる。
すなわち本発明の請求項1のレンズ鏡胴によれば、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、を具備し、前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝にそれぞれ係合する前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワを、光軸方向について互いに異なる位置に配置することによって、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能となる。
あるいは、本発明の請求項2のレンズ鏡胴によれば、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、を具備し、前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワが係合する前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝を、光軸方向について互いに異なる位置に平行に偏倚させて配置することによっても、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能となる。
本発明の請求項3のレンズ鏡胴によれば、請求項1または請求項2のレンズ鏡胴において、前記第1および第2のカムフォロワにそれぞれ係合する前記第1および第2のカム溝は互いに交差することによって、特に、効果的に回転角を大きくとって、安定して駆動することが可能となる。
本発明の請求項4のレンズ鏡胴によれば、請求項1〜請求項3のいずれか1項のレンズ鏡胴において、前記第1の鏡筒を駆動するための前記第1および第2のカム溝が、収納位置から最大繰り出し位置までほぼリニアに移動させるべく斜行するとともに、最大繰り出し状態から撮影状態にかけて最大繰り出し位置にて回動のみを許容し光軸方向への進退を規制すべく光軸がほぼ垂直に交わる平面に沿って円周方向に延びる形状を含むカム形状をなし、前記第1の鏡筒により支持されるレンズ保持枠が、沈胴状態から撮影状態に達する前に、前記第1の鏡筒を、最大繰り出し位置まで移動させることによって、特に、撮影状態でレンズ保持枠に支持されるレンズ群の背後の空間を効果的に利用することが可能となる。
本発明の請求項5のレンズ鏡胴によれば、請求項4のレンズ鏡胴において、前記第1および第2のカムフォロワの各々が、光軸方向に対して傾斜し且つ互いに平行に対峙する一対の斜面部と、光軸が垂直に交わる平面を形成し且つ互いに平行に対峙する一対の垂直面部とを有してなり、前記第1および第2のカム溝の前記第1の鏡筒を光軸方向に移動させる範囲のカム面には前記斜面部が摺接し、光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲のカム面には前記垂直面部が摺接することによって、特に、安定して駆動することができ、倒れや光軸方向の位置ずれを効果的に防止することができる。
本発明の請求項6のレンズ鏡胴によれば、請求項4または請求項5のレンズ鏡胴において、前記カム溝およびカムフォロワを、3組以上設けてなり、且つ少なくとも、前記第1の鏡筒が光軸に沿って進退移動することなく光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲では、少なくとも3組の前記カム溝とカムフォロワを係合させることによって、特に、最大繰り出し位置における倒れや光軸方向の位置ずれを効果的に抑制することができる。
本発明の請求項7のレンズ鏡胴によれば、請求項4〜請求項6のいずれか1項のレンズ鏡胴において、前記第1の鏡筒を光軸方向に駆動する範囲と光軸方向が垂直に交わる平面内で回動する範囲との境界部分の近傍においては、前記第1の鏡筒の全てのカムフォロワが、前記第2の鏡筒の全てのカム溝に係合することによって、特に、直進移動と最大繰り出し位置における回動との境界部近傍での倒れや引っ掛かりを効果的に抑制することができる。
本発明の請求項8のレンズ鏡胴によれば、請求項1〜請求項7のいずれか1項のレンズ鏡胴において、第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒が、前記複数のカムフォロワとは別途に設けた他の1つ以上のカムフォロワを有し且つ前記第2の鏡筒が、前記他の1つ以上のカムフォロワに対応して前記複数のカム溝とは別途に設けた他の1つ以上のカム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては、前記他の1つ以上のカムフォロワの少なくとも一部が前記他の1つ以上のカム溝の少なくとも一部に係合することによって、特に、複数のレンズ群の一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の、鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのを効果的に防止し安定した駆動を実現することができる。
本発明の請求項9のレンズ鏡胴によれば、請求項1〜請求項8のいずれか1項のレンズ鏡胴において、第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒の光軸に沿う進退移動時に、前記第2の鏡筒の前記切欠部を閉塞して前記第2の鏡筒内面とほぼ連続する筒状面を形成する蓋板を有し、該蓋板には、前記複数のカムフォロワに対応して当該部分を通る前記複数のカム溝と連続する蓋板カム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては前記複数のカムフォロワが前記蓋板カム溝の少なくとも一部に係合することによって、特に、複数のレンズ群の一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのをさらに効果的に防止することができる。
本発明の請求項10のレンズ鏡胴によれば、請求項8または請求項9のレンズ鏡胴において、少なくとも一部が、前記切欠部を通過して、前記第2の鏡筒の外部に位置するレンズ保持枠は、前記複数のレンズ群のうちの他の少なくとも1つのレンズ群を保持することによって、特に、複数のレンズ群の一部のレンズ群を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、鏡筒の切欠部を通過して鏡筒外部に位置させて、前記沈胴状態とする場合の鏡筒の切欠部により保持が不安定になるのを効果的に防止することができる。
本発明の請求項11のレンズ鏡胴によれば、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワおよびギア部を備える第1の鏡筒と、前記複数のカムフォロワに係合し、前記第1の鏡筒の回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備え、且つ前記ギア部に対応する開口部を有して固定されており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、前記第2の鏡筒の前記開口部を介して前記第1の鏡筒の前記ギア部に係合し前記第1の鏡筒に駆動力を伝達する駆動ギアと、前記駆動ギアを回転駆動する駆動源と、を具備し、前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝の少なくとも一部が前記開口部を通過することによって、特に、外側の鏡筒に、内部の鏡筒を回転駆動力を伝達するための開口部があっても回転角を大きくとることが可能となる。
本発明の請求項12のレンズ鏡胴によれば、請求項11のレンズ鏡胴において、前記駆動ギアは、前記開口部を通過するカム溝を通るカムフォロワとの干渉を防止すべく、該カムフォロワの経路に対応してギアを欠落したギア欠落部を形成することによって、特に、内部の鏡筒のカムフォロワに対する、内部の鏡筒に回転駆動力を伝達するための駆動ギアによる干渉を効果的に防止することができる。
本発明の請求項13のカメラによれば、撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことによって、特に、レンズ鏡胴に実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能となる。
本発明の請求項14の携帯型情報端末装置によれば、カメラ機能部を有し、且つ前記カメラ機能部の撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことによって、特に、カメラ機能部の撮影光学系に、実質的に充分な数のカムフォロワおよびカム溝を用いることができて、しかもこれらによる回転角を大きくとることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明に係るレンズ鏡胴を詳細に説明する。
図1〜図22は、本発明の第1の実施の形態に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1は、レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴部分の構成を物体側から見た斜視図、図2は、図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図3は、レンズバリアを閉じた沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を物体側から見た斜視図、図4は、図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図5は、レンズ群を突出させた撮影状態において開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図6は、レンズ群を突出させた撮影状態におけるレンズ鏡胴部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図7は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図、図8は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出した撮影状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。
図9(a)および図9(b)は、レンズ鏡胴の各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡筒の要部を示す縦断面図であり、このうち、図9(a)は、レンズ群を突出した望遠位置状態と沈胴させて収納した沈胴状態を示し、図9(b)は、レンズ群を突出した広角位置状態を示している。図10は、固定鏡筒に形成された本発明に係るカム溝としての主ヘリコイド部、副ヘリコイド部および駆動ギア用の開口部等の形状を展開して模式的に示す光軸側つまり内側から見た展開図、図11は、回転筒の像側端部外周面に形成されたカムフォロワとしての主ヘリコイド部、副ヘリコイド部およびギア部を展開して模式的に示すやはり内側から透視して見た展開図である。図12(a)〜図12(d)は、内周面にカム溝としてのヘリコイド部が形成された固定鏡筒を示しており、このうち図12(a)は、対物側から見た正面図、図12(b)は、図12(a)におけるA−A断面図、図12(c)は、図12(a)におけるB−B断面図、そして図12(d)は、図12(a)における下方側から見た底面図である。図13(a)〜図13(c)は、図12(a)等に示した固定鏡筒の概略的な斜視図であり、このうち、図13(a)は、像側左上側から見た斜視図、図13(b)は、像側右上方から見た斜視図、そして図13(c)は、対物側右下方から見た斜視図である。図14(a)〜図14(c)は、像側端部外周面にカムフォロワとしてのヘリコイド部が形成された第1の回転鏡筒の概略的な図であり、このうち、図14(a)は、対物側から見た正面図、図14(b)は、図14(a)の右側面図、そして図14(c)は、図14(a)の左側面図である。図15(a)は、第1の回転筒の概略的な図であって、対物側の左上方から見た斜視図、図15(b)は、対物側の右上方から見た斜視図である。
図16は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す側面図、図17は、図16に示した第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す斜視図である。図18は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す斜視図である。図19は、第3レンズ保持枠の動作を説明するために、第3レンズ保持枠部分近傍を物体側から見た正面図、図20は、第3レンズ保持枠の動作を説明するためのシャッタ部分近傍の斜視図である。そして、図21および図22は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系を説明するためのものであり、図21は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系に係る部分の構成を具体的に示す斜視図、図22は、図21の一部を省略し、その要部を角度を変えて見た斜視図である。
図1〜図22において、レンズ鏡胴を含む光学系装置は、図9に示す第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21(固定鏡筒21a)、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、図7、図8に示す第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝撃防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38(図17、図19)、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43、第4群主ガイド軸44、図21、図22に示す第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、図1に示すズームモータ51、第3群モータ52、第4群モータ53、図4、図5等に示すバリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、図16に示すギア71,72,73,74、駆動ギア75〔図13(c)〕、押さえ板81および鏡胴ベース82(図20、図21)を具備している。
図9を参照して、撮影状態について説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、物体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13の間に、シャッタ/絞りユニット15が、挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、該第1レンズ群11を一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなり、該第2レンズ群12を一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含み、該シャッタ/絞りユニット15に一体的に形成されたカムフォロワがカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21の固定鏡筒21aの内面には、図10、図12(a)〜図12(d)および図13(a)〜図13(c)に示すように、軸方向に沿う直進溝21kおよびヘリコイド状のカム溝21m、21n、21sが形成されており、ヘリコイド状のカム溝21m、21n、21sには、図11、図14(a)〜図14(c)および図15(a)、図15(b)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロワ22a、22b、22sが係合しており、固定枠21の固定鏡筒21aの直進溝21kには、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。第1の回転筒22の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(すなわちキー)が係合している。第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワを挿通するための逃げ溝が形成されている。
第2の回転筒24の基端部の外周面にはヘリコイドが形成され、第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合するとともに、該第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワが、第1のライナー23のカムフォロワの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。第1のライナー23の内周に設けられた直線溝には第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。第2の回転筒24の内面には、光軸(撮影光路)に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワが係合している。このような構成により第2のライナー25は、光軸方向の移動については第2の回転筒24と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対して第2の回転筒24は回転移動できるようになっている。
尚、固定鏡筒21aの形状は、必ずしも円筒形のものに限定されるものではなく、例えば、少なくとも3本以上の柱状の梁が固定枠21に連設(植設)されることにより、第1の回転筒22を、その梁によって囲まれる内側に保持することができる構成であってもよく、このような形態も筒の概念を含まれるものである。
第2のライナー25の内周に嵌合するカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロワが係合している。このような構成により、カム筒26は、光軸方向の移動については第2のライナー25と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対してカム筒26は回転移動できるようになっている。
直進筒27は、基端部側が第2の回転筒24と第2のライナー25の間に挿入されており、直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロワが突設され、前記カムフォロワが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝に係合するとともに、直進筒27の内周面には軸方向に沿って直進溝が形成され、該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。第1の回転筒22の基端部外周にはギア部22gが形成されており、ズームモータ51(図1)の駆動力が適宜ギアを介して駆動ギア75〔図13(c)〕にギア伝達され、駆動ギア75を回転する。駆動ギア75は、固定鏡筒21aの一側部に配置され、固定鏡筒21aに形成された開口部に一部を覗かせて回転可能として固定枠21に支持されており、前記開口部を介して第1の回転筒22のギア部22gに噛合している。
この駆動ギア75の回転によって駆動されて第1の回転筒22が回動し、それによって第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、固定枠21の固定鏡筒21aの内周面に形成されている直進溝21kおよびカム溝21m、21n、21s、すなわち、第1のライナー23のキー部に係合する直進溝21kおよび第1の回転筒22のヘリコイド状のカムフォロワ22a、22b、22sに係合するヘリコイド状のカム溝21m、21n、21sが、図10に示されている。また、第1の回転筒22の外周面に形成されているギア部22gおよびヘリコイド状のカムフォロワ22a、22b、22s、すなわち駆動ギア75に噛合するギア部22gおよび固定鏡筒21aのヘリコイド状のカム溝21m、21n、21sに係合するヘリコイド状のカムフォロワ22a、22b、22sが、図11に示されている。
すなわち、一般に最外周の固定鏡筒21aに最も近い回転筒は、ヘリコイドによって固定鏡筒に係合しており、ヘリコイドは、その形状から一定の速度で移動する。このため、沈胴収納状態から広角位置を経て望遠位置へと漸次駆動される間の広角位置においては、回転筒は、半分ほど繰り出された状態となるのが、一般的である。
これに対して、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21の固定鏡筒21aと単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝21m、21nで係合しており、収納状態から広角位置への駆動の間に、第1の回転筒22は、最大繰り出し位置まで完全に繰り出す。その後は、図10に示すようにカム溝21m、21nの対物側端部が光軸が垂直に交わる平面に平行になっており、広角位置から望遠位置への駆動では、第1の回転筒22は、光軸方向について移動することなく定位置で回動する構成となっている。
さらに詳細に説明すると、図10に示されるように、固定枠21の固定鏡筒21aには、主ヘリコイドとしてのカム溝21mおよび21nが形成され、これらのカム溝21mおよび21nには、第1の回転筒22の主ヘリコイドとしてのカムフォロワ22aおよび22bがそれぞれ係合する。図11、図14(a)〜図14(c)および図15(a)、図15(b)からわかるように、第1の回転筒22の主ヘリコイドとしてのカムフォロワ22aおよび22bは、この場合、カムフォロワ22aとカムフォロワ22bとが円周上に交互に各2個ずつおおむね等間隔に近い間隔で配置され、且つ2個のカムフォロワ22aと2個のカムフォロワ22bとは光軸方向に所定距離離間して配置されている。
つまり、2個のカムフォロワ22aは、第1の回転筒22の像側基端面にほぼ接して円周上については互いにおおむね180°異なる位置に配置され、2個のカムフォロワ22bは、カムフォロワ22aよりも対物側に所定距離離間し且つ円周方向についてはそれぞれ2個のカムフォロワ22aの間に互いにおおむね180°異なる位置に配置されている。このため、2個のカムフォロワ22aと2個のカムフォロワ22bとにそれぞれ係合する2つのカム溝22mと2つのカム溝22nとは、光軸方向に所定距離ずれた位置で且つ円周方向については、おおむね90°ずれた位置に配設される。
カム溝21mおよび21nは、像面側端部から光軸が垂直に交わる平面および光軸方向に対して傾斜して像面側端部から走る斜行部と物体側端部近傍において光軸が垂直に交わる平面に平行に走る横行部とを有しており、第1の回転筒22が回動すると、斜行部によって主ヘリコイドのカムフォロワ22aおよび22bを介して第1の回転筒22が沈胴位置と撮影位置との間で光軸方向に沿って移動し、第1の回転筒22が、最大繰り出し位置に達すると、それ以後は光軸方向に移動せずに回動する。このように、カム溝21mと21nとを光軸方向にずらして配置しているため、カム溝21mおよび21nの回転角度を広くとっても、図示のようにカム溝21mの横行部がカム溝21nの斜行部に交差するだけで、カム溝21mと21nとが動作上互いに干渉することはほとんどない。
2つのカム溝21mは、おおむね180°異なって配置されており、2つのカム溝21nも、おおむね180°異なって配置されているから、合計4つのカムフォロワ22aおよび22bによる確実な支持を維持して、第1の回転筒22の倒れも防止しているにもかかわらず、個々のカム溝21m、21nは、円周上のほぼ180°の範囲を使用して配置することができ、カムの有効範囲を広くとることが可能である。
なお、図10、図12(a)〜図12(d)および図13(a)〜図13(c)からわかるように、固定枠21の固定鏡筒21aは、完全な円筒状に形成することは困難であり、特に、対物側端部以外の部分には、第3レンズ保持枠31を光路内外に進退移動させたり、第1の回転筒22を回転駆動するためにギア部22gに駆動ギア75を噛合させたりするための切欠部および開口部が形成されるため、その部分については、カム溝21mおよび21nとカムフォロワ22aおよび22bとの係合が外れることになり、支持が不安定になるおそれがある。そこで、斜行部については、主ヘリコイドとしてのカム溝21mおよび21nの間に、複数の副ヘリコイドとしてのカム溝21sを形成して、第1の回転筒22のギア部22g内や主ヘリコイドとしてのカムフォロワ22aおよび22bの間やその近傍に適宜配置した副ヘリコイドとしてのカムフォロワ22sと係合させることによって多数の支持点で支持させることによって、安定な支持を可能としている。もちろん第1の回転筒22は、カムフォロワ22a、22bおよび22cを備えて一体として動作するので、主ヘリコイドとしてのカム溝21mおよび21nならびに副ヘリコイドとしてのカム溝21sは全て互いに平行に形成される。
さらに、図12(d)および図13(c)に示されるように、固定鏡筒21aの一側部に光軸方向に沿って駆動ギア75が配置され、この駆動ギア75が固定鏡筒21aに設けた開口部21w(図10参照)を介して第1の回転筒22のギア部22gに噛合している。この場合、図10に示されるように、主ヘリコイドとしてのカム溝21nの横行部が開口部21wをまたいで通過する。このとき、主ヘリコイドとしてのカムフォロワ22aが駆動ギア75と干渉するおそれがあるので、駆動ギア75のカム溝21nに対応する部分は、ギアを除去して空隙としたギア欠落部75a〔図12(d)〕を形成している。このようにして、主ヘリコイドとしてのカム溝21mおよび21nの横行部によって、第1の回転筒22が、最大繰り出し位置で光軸方向に移動せずに回動しているとき、カム溝21nを通るカムフォロワ22aが駆動ギア75と干渉するのを防止している。
なお、ここでは、カム溝21mの横行部が駆動ギア75部分を横切る場合について説明したが、カム溝21mの斜行部が駆動ギア75部分を通る場合にも同様に構成することができる。但しその場合、駆動ギア75のギアを除去して空隙としたギア欠落部75aの光軸方向寸法が第1の回転筒22のギア部22gの光軸方向寸法よりも小さくなければならない。したがって、駆動ギア75部分を通過するカム溝21mの傾斜角度によっては、第1の回転筒22のギア部22gの光軸方向寸法を大きく取るなどの対策が必要になるかもしれない。
また、固定枠21の固定鏡筒21aの直進溝21kは、光軸に平行に設けられており、第1のライナー23のキー部が係合して、第1のライナー23を回転せずに直進させるようにしている。
したがって、第1の回転筒22は、沈胴状態から撮影状態の広角位置へ移動する際、最初は回転しながら被写体側へ繰り出し、最大繰り出し位置に到達すると、前記固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなる、ズーム位置検出器によりズーム位置基準信号が発生する。したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達したと考えて良いので、退避レンズ保持枠、すなわち、この例では、第3レンズ保持枠31、が光軸方向へ進入動作を開始できる。
したがって、繰り出し動作の早い段階で固定鏡筒21aに近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23を、完全に繰り出すことにより、後述する第3レンズ保持枠31を光軸上に挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。
後述するように、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達するとすぐに前記ズーム位置基準信号が発生し、挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が進入動作を開始するので、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
第3レンズ群13は、図16、図17に示すように、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端に第3レンズ群13を保持しており、他端が第3レンズ群13の光軸と実質的に平行な第3群主ガイド軸32によって回動可能に且つ第3群主ガイド軸32に沿ってスライド移動可能に支持されている。第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態における光軸上に第3レンズ群13を挿入した光軸上位置と、図2に示すように沈胴収納状態における第3レンズ群13を固定枠21の固定鏡筒21aから外部に退避した収納位置との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。第3レンズ保持枠31の回動端側の第3レンズ群13の近傍には、この場合回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部が形成され、該屈曲部からほぼ回動端方向にストッパ31a(図16〜図18)および遮光片31bが突設されている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、より被写体側へ繰り出した位置となる。但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴の光軸方向長さの制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。しかしながら、ストッパ31aの光軸方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴が大きくなってしまう。このことにより、ストッパ31aは、可能な限り合焦位置側に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31は、クランク状屈曲部を有する形状に形成される。なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
第3レンズ群13は、固定鏡筒21aから外部に退避するにあたり、固定鏡筒21aの壁部に設けられた切欠部を通過する。この場合における、切欠部は、固定鏡筒21aに設けられているが、固定鏡筒21aが上述したように、梁によって構成されているときには、その梁の間に形成される空間も、広義での切欠部に相当する。また、固定鏡筒21aの切欠部は、像面側端部が開放しておらず筒壁が閉じている窓状の切欠部であっても良い。さらに、第3レンズ保持枠31は、第3レンズ群13を退避した収納位置において、必ずしも固定枠21から完全に外部に外れている必要はなく、他のレンズ保持枠の収納を妨げない状態とすればよい。
図16および図17に示すように、第3レンズ保持枠31が退避位置の状態では第3群リードスクリュー34に螺合している雌ねじ部材35は最も像面側に位置している。また、この状態では、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て時計方向(光軸への進入方向)のモーメントを常に第3レンズ保持枠31に与えている。第3レンズ保持枠31の主ガイド軸32に支持されている部分の円筒状の外周面には、図16に示すような段差部31cの基端側内面にカム斜面形状のカム部31eが形成されている。この状態から第3群モータ52を鏡面正面から見て時計方向に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介してリードスクリュー34が時計方向に回転し、雌ねじ部材35が光軸方向に沿って被写体側へ移動する。この際には、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、第3レンズ保持枠31が時計方向に回転し、そのカム部31eが雌ねじ部材35の当接部35aに当接係合している。その後、雌ねじ部材35がもっとも被写体側へ移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ38から外れるまで移動するのでフォトインタラプタ38からL(低レベル)からH(高レベル)への基準信号が発生する。第3群レンズ群13は、フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
雌ねじ部材35をこの状態より、図16のB位置まで移動すると第3レンズ保持枠31が、さらに時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図19に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の光軸上位置が規定される。これにて光軸方向への進入動作が完了する。尚、遮光片31bは、図19に示すフォトインタラプタ38を遮光することにより、収納位置にあることが検知確認できるようになっている。また雌ねじ部材35が図16のB位置まで移動すると、雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接係合する。すなわち、第3レンズ保持枠31の段差部31cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部31eを有し、前端側に第3群主ガイド軸32とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部31dを有して円筒周面に対して凹状をなしている。第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、前記収納位置から前記光軸上位置へ向かう回動方向に常時付勢されると共に第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向に常時付勢されている。
なお、図17に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、雌ねじ部材35が広角位置(図16のW位置)まで移動する際は、雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合部31dを押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで光軸方向に沿って被写体側へ移動することが可能となる。
また、雌ねじ部材35が図16のB位置から望遠位置(図16のT位置)までの間に位置している間は、圧縮トーションスプリング37によって、光軸方向に沿って像面側に向かって常に押圧されているため、第3群リードスクリュー34や雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間は、総て像面側へ寄せられるので、第3群レンズ保持枠31は光軸方向についての位置精度を確保できるようになっている。
雌ねじ部材35は、光軸に実質的に平行に配設された第3群リードスクリュー34に螺合し、前述した第3レンズ保持枠31の段差部31c内において、前側係合部31dまたはカム部31eに当接する当接部35a(図18)に加えて、第3群リードスクリュー34の回転に伴って雌ねじ部材35が回ってしまわないようにするための回転止めとして、固定枠21の固定鏡筒21aに形成された光軸方向に平行なガイド溝に嵌合摺動する回転止め突起部35bが形成されている(図18参照)。すなわち、雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、光軸に沿って進退移動するのである。
図16に詳細に示すように、雌ねじ部材35は、図16のB位置よりも、さらに像面側(図示左側)へ移動すると、第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに当接係合し、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37の光軸方向の付勢により押さえ板81に接触しており、圧縮トーションスプリング37による時計回動方向の付勢力に抗して第3レンズ保持枠31を反時計方向に回転させるので、退避動作を行うことが可能となる。
一方、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転)により、雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、雌ねじ部材35の当接部35aが係合当接面にて第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接しているので、圧縮トーションスプリング37の光軸上位置への付勢力と像面側への付勢力によって第3レンズ保持枠31は、第3群副ガイド軸33に規制された光軸上位置を維持しつつ物体側から像面側へと漸次移動する。なお雌ねじ部材35が退避開始位置Bに達すると、第3レンズ保持枠31の基端面31fが押さえ板81に当接し、雌ねじ部材35が前側係合部31dから離間して、段差部31cのカム部31eに当接する。
雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sまで移動する間は、雌ねじ部材35のもう一方の当接部35cが第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに摺接して、第3レンズ保持枠31を圧縮トーションスプリング37による回動付勢力に抗して回動させることにより、第3レンズ保持枠31は、光軸上位置から収納位置へ回動する。第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなるフォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の沈胴収納位置への移動が許可される。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(第4群フォトインタラプタ47)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第4群レンズ保持枠41の第1の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、フォトインタラプタ38(図19)によるHからLとなる収納基準信号の発生から雌ねじ部材35は所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23よりも内方、すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品が、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込まれたりするのは、前述した第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となる。これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いて構成したズームモータ51では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギアとこの近傍に設置された、例えばフォトインタラプタ51a(図1)からなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定することが可能である。なお、ここでは、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、特に図2および図7に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸位置側へ突出させる回動方向にスプリング等により常時付勢されている。第3レンズ保持枠31が、収納位置に位置しているときは、衝突防止片36は、自身付勢力以上の回動力を有する第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている。第3レンズ保持枠31が、回動して光軸上位置に移動すると、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31との係合が解除され、付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定鏡筒21aから突出させる(図6)。このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも物体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(特に図5、図6および図8参照)。
このようにすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、光軸方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。なお、第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡胴が突出している撮影状態において、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止する。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図21および図22を参照して説明する。
この場合、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる第4レンズ群14は、図22等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。第4レンズ保持枠41は、鏡胴ベース82に固定され且つ光軸に平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合するスリーブ部41aと、光軸に平行で且つ鏡胴ベース82に固定された副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する回転止め部41bとを有している。このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち光軸方向に沿って自由に移動することが可能となっている。第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源としては、この場合ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられており、この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。
第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間を有している。この空間は、像側に光軸に垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有して形成され、この第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを持ち、この突出部46aが、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を呈している。
このようにして、ステッピングモータである第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が、第4群リードスクリュー45の方向、つまり光軸方向に沿って、進退移動する。第4レンズ保持枠41は、この第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して第4レンズ保持枠41が光軸に沿って移動する。このとき、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギア等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしても良い。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4群レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置として認識し、その位置から任意のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを光軸方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、光軸方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、光軸方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、前記固定枠21に設置された、フォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギアと、この近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。収納時、第4レンズ保持枠41は、先に述べたように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接しそれを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の光軸方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の光軸方向長さが、第4群雌ねじ部材46の厚みよりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51(図1、図26)は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体から遠い側には、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されており、この固体撮像素子16の入力面上に被写体像を結像すべく構成されている。固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じてローパスフィルタ等の各種光学フィルタ、カバーガラスおよびその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3〜図5に示すレンズバリア62は、収納状態において、第1レンズ群11の物体側を覆い、レンズ群を汚損乃至は損傷から保護する。レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸に直交する方向に進退駆動される。図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。バリア駆動系63は、バリア操作部(図23(a)におけるバリア操作部301参照)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸から遠ざかった位置)との間で、駆動する。このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなく、むしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、固定枠21の側部(レンズバリア62の開放位置側)に撮影光軸に沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により物体側へ付勢されている。収納状態においては、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面にバリア制御片61の屈曲形成された係合部が係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。撮影状態においては、レンズバリア62は、各レンズ群およびそれらの保持枠等から完全に離れている。この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって物体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で収納状態へ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。各レンズ群が収納され、収納状態となれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述においては、第3レンズ群13を、光軸外に退避させる構成とした場合について説明した。本発明の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を光軸外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち光軸方向寸法を小さくすることができる。絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の光軸に垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
次に、上述した第1の実施の形態に示されたような本発明に係るレンズ鏡胴を撮影光学系として採用してカメラを構成した本発明の第2の実施の形態について図23(a)〜図25を参照して説明する。図23(a)および図23(b)は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラの外観をそれぞれ示す斜視図、図24は、撮影者側である背面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、図25は、カメラの機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラについて説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡筒を含む光学系装置を採用してもよい。
図23(a)および図23(b)および図24に示すように、カメラは、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。さらに、図25に示すように、カメラは、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラは、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体、の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、第1の実施の形態において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する。レンズ鏡胴は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラに組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、ディジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってディジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。
撮影レンズ101は、カメラの携帯時には、図23(a)に示すように沈胴状態にあってカメラのボディー内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。ユーザがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図23(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラのボディーから突出して撮影状態となる構成とする。このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。本発明に係るズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラのさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギア連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。例えばファインダ機構がレンズ鏡胴の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。次に、退避レンズ保持枠を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴の下方に設置することになる(レンズ鏡胴の下方右側かあるいは下方左側)。この実施の形態では、レンズ鏡胴の下方右側に退避レンズ保持枠のスペースを設置し、レンズ鏡胴の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状レンズ鏡胴の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴の小型化を達成することができた。
次に、図26、図27および図28を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態においては、固定枠21の固定鏡筒21aは、第3レンズ保持枠31を光路内外に進退移動させるための切欠部については、カム溝21mおよび21nとカムフォロワ22aおよび22bとの係合が外れることになるため、斜行部については、主ヘリコイドとしてのカム溝21mおよび21nの間に、複数の副ヘリコイドとしてのカム溝21sを形成して、第1の回転筒22のギア部22g内や主ヘリコイドとしてのカムフォロワ22aおよび22bの間やその近傍に適宜配置した副ヘリコイドとしてのカムフォロワ22sと係合させることによって多数の支持点で支持させて、安定な支持を維持しつつ進退駆動するようにしている。ところが、第3レンズ保持枠31を光路内外に進退移動させるための切欠部が大きい場合には、副ヘリコイドとしてのカム溝21sで充分に補うことができないことが考えられる。ここで、固定鏡筒21aの内周面のカム溝21mおよび21nの斜行部およびカム溝21sは、第3レンズ保持枠31が光路外に位置している沈胴状態と第1の回転筒22の最大繰り出し位置との間でのみ使用される。
この点に着目し、固定鏡筒21aの切欠部21hが大きい場合には、第3レンズ保持枠31を切欠部21hを通ってその少なくとも1部を固定鏡筒21aの外部に移動させる動作に連動して、切欠部21hを閉塞する蓋板31xを設け、この蓋板31xの内面側が固定鏡筒21aの内周面と連続するように形成するとともにこの蓋板31xの内面側に、固定鏡筒21aの内周面のカム溝21m、21nおよびカム溝21sと連続するカム溝31yを形成する。これが本発明の第3の実施の形態である。図26は、第3レンズ保持枠31が退避位置に位置した状態での固定鏡筒21aの内部の様子を示す斜視図、図27は、この実施の形態に係る第3レンズ保持枠31部分を示す斜視図、そして図28は、第3レンズ保持枠31が第3レンズ群13を光軸位置に挿入した状態を対物側から見た平面図である。
すなわち、図26〜図28に示すように、第3レンズ群13を保持する第3レンズ保持枠31の一側部に光路外に退避したときに固定鏡筒21aの切欠部21hに対応する蓋板31xを設ける。この蓋板31xの内面側は、退避位置において固定鏡筒21aの内周面と連続するように湾曲形成する。
さらに、この蓋板31xの内面側には、切欠部21hを通るヘリコイド状のカム溝21m、21s等と連続するカム溝31yを形成する。したがって、この蓋板31xが閉じた状態では、第1の回転筒22は、安定に且つ確実に繰り出される。第1の回転筒22が繰り出された後に、第3レンズ保持枠31を回動させ、第3レンズ群13を光路内に挿入する。図28に示すように、第3レンズ保持枠31の蓋板31x部分を副ガイド軸33に当接することにより、光軸上に配置して、さらに必要に応じて光軸方向に駆動する。
沈胴時には、第3レンズ保持枠31が回動し、第3レンズ群13が固定鏡筒21aの切欠部21hを通って退避すると、蓋板31xが切欠部21hを閉塞し、蓋板31xの内面側が固定鏡筒21aの内周面と連続する。この状態で、蓋板31xのカム溝31yが固定鏡筒21aのヘリコイド状のカム溝21m、21s等と連続するので、第1の回転筒22は、固定鏡筒21a内に収容される。
また、上述においては、沈胴状態において、第4レンズ群14は、第2レンズ群12の像面側に位置するものとして説明したが、第3レンズ群13と同様に、光路外に退避する構成としても良い。この場合、第4レンズ群14を第3レンズ群13と同様の個所に光軸方向に並べて退避させるようにしても良く、その場合には、第4レンズ群14をわずかに先行して退避させてから第3レンズ群13を退避させることが望ましいが、両者を連動させて駆動するようにしても良い。また、退避個所も第3レンズ群13と同様の個所が望ましいが、異なる位置に退避させるようにしても良い。
本発明の第1の実施の形態に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置のレンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴部分の要部の構成を物体側から見た斜視図である。 図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズバリアを閉じた沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴およびレンズバリアを含む光学系装置の要部の構成を物体側から見た模式的な斜視図である。 図3の状態における要部の構成を結像面側から見た模式的な斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態において開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た模式的な斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態におけるレンズ鏡胴部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出した撮影状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 レンズ鏡胴における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡筒の要部をそれぞれ光軸を境とする異なる状態を半断面で示す縦断面図であり、上半部にレンズ群を突出した撮影状態であって、望遠位置まで突出しさせた状態を示し、下半部にレンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態を示している。 図9(a)と同様に、上半部にレンズ群を突出した撮影状態であって、広角位置まで突出させた状態を示す縦断面図である。 固定鏡筒に形成されたヘリコイド状のカム溝および直進溝の形状を模式的に示す光軸側から見た展開図である。 第1の回転筒に形成されたヘリコイド状のカムフォロワおよびギア部の形状を模式的に示す光軸側から見た展開図である。 固定枠の形状を示す図であり、対物側から見た正面図である。 図12(a)のA−A矢視断面図である。 図12(a)のB−B矢視断面図である。 図12(a)の底面図である。 固定枠の形状を像面側左上方から見た斜視図である。 固定枠を像面側右上方から見た斜視図である。 固定枠を対物側右下方から見た斜視図である。 第1の回転筒の形状を対物側から見た正面図である。 図14(a)の右側面図である。 図14(a)の左側面図である。 第1の回転筒の形状を示す図であり、対物側左上方から見た斜視図である。 第1の回転筒を対物側右上方から見た斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を模式的に示す側面図である。 図16の斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を模式的に示す斜視図である。 第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を像面側から見た背面図である。 第3レンズ保持枠の動作を説明するため図であり、シャッタ部分を主として示す斜視図である。 第4レンズ保持枠およびその駆動操作系に係る部分の構成を模式的に示す斜視図である。 第4レンズ保持枠およびその駆動操作系の要部の構成を図21とは異なる角度から見た状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るカメラの外観構成を模式的に示す物体側から見た斜視図であり、撮影レンズをカメラのボディー内に沈胴収納している状態を示す。 図23(a)におけるカメラの撮影レンズがカメラのボディーから突出している状態を示す部分斜視図である。 図23(a)のカメラの外観構成を模式的に示す撮影者側から見た斜視図である。 図23(a)のカメラの機能構成を模式的に示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係るレンズ鏡胴における固定枠および蓋板を含む第3レンズ保持枠部分の構成を模式的に示す斜視図である。 図26の蓋板を含む第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を模式的に示す斜視図である。 図26の蓋板を含む第3レンズ保持枠の動作を説明するため、固定枠および第3レンズ保持枠部分の構成を対物側から見た正面図である。
符号の説明
11 第1レンズ群
12 第2レンズ群
13 第3レンズ群
14 第4レンズ群
15 シャッタ/絞りユニット
16 固体撮像素子
17 レンズ保持枠
18 カバーガラス
19 ローパスフィルタ
21 固定枠
21a 固定鏡筒
21k 直進溝
21m,21n カム溝(主ヘリコイド)
21s カム溝(副ヘリコイド)
22 第1の回転筒
22a,22b カムフォロワ(主ヘリコイド)
22s カムフォロワ(副ヘリコイド)
22g ギア部
23 第1のライナー
24 第2の回転筒
25 第2のライナー
26 カム筒
27 直進筒
31 第3レンズ保持枠
32 第3群主ガイド軸
33 第3群副ガイド軸
34 第3群リードスクリュー
35 第3群雌ねじ部材
36 衝突防止片
37 圧縮トーションスプリング
38 第3群フォトインタラプタ(位置検出装置)
41 第4レンズ保持枠
42 第4群副ガイド軸
43 第4群スプリング
44 第4群主ガイド軸
45 第4群リードスクリュー
46 第4群雌ねじ部材
47 第4群フォトインタラプタ
51 ズームモータ
52 第3群モータ
53 第4群モータ
61 バリア制御片
62 レンズバリア
63 バリア駆動系
71,72,73,74 ギア
75 駆動ギア
81 押さえ板
82 鏡胴ベース
101 撮影レンズ
102 シャッタボタン
103 ズームレバー
104 ファインダ
105 ストロボ
106 液晶モニタ
107 操作ボタン
108 電源スイッチ
109 メモリカードスロット
110 通信カードスロット
201 受光素子(エリアセンサ)
202 信号処理装置
203 画像処理装置
204 中央演算装置(CPU)
205 半導体メモリ
206 通信カード等
301 バリア操作部

Claims (14)

  1. 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
    前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
    前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、
    前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
    を具備し、
    前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝にそれぞれ係合する前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワを、光軸方向について互いに異なる位置に配置していることを特徴とするレンズ鏡胴。
  2. 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
    前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
    前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワを備える第1の鏡筒と、
    前記複数のカムフォロワに係合し、相対的な回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備えており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
    を具備し、
    前記第1の鏡筒の前記複数のカムフォロワを構成する第1のカムフォロワと第2のカムフォロワが係合する前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝を構成する第1のカム溝と第2のカム溝を、光軸方向について互いに異なる位置に平行に偏倚させて配置していることを特徴とするレンズ鏡胴。
  3. 前記第1および第2のカムフォロワにそれぞれ係合する前記第1および第2のカム溝は互いに交差することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡胴。
  4. 前記第1の鏡筒を駆動するための前記第1および第2のカム溝は、
    収納位置から最大繰り出し位置までほぼリニアに移動させるべく斜行するとともに、最大繰り出し状態から撮影状態にかけて最大繰り出し位置にて回動のみを許容し光軸方向への進退を規制すべく光軸がほぼ垂直に交わる平面に沿って円周方向に延びる形状を含むカム形状をなし、
    前記第1の鏡筒により支持されるレンズ保持枠が、沈胴状態から撮影状態に達する前に、前記第1の鏡筒を、最大繰り出し位置まで移動させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  5. 前記第1および第2のカムフォロワの各々は、
    光軸方向に対して傾斜し且つ互いに平行に対峙する一対の斜面部と、
    光軸が垂直に交わる平面を形成し且つ互いに平行に対峙する一対の垂直面部と
    を有してなり、
    前記第1および第2のカム溝の前記第1の鏡筒を光軸方向に移動させる範囲のカム面には前記斜面部が摺接し、光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲のカム面には前記垂直面部が摺接することを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡胴。
  6. 前記カム溝およびカムフォロワを、3組以上設けてなり、且つ少なくとも、前記第1の鏡筒が光軸に沿って進退移動することなく光軸が垂直に交わる平面内で回動する範囲では、少なくとも3組の前記カム溝とカムフォロワを係合させる構成としたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のレンズ鏡胴。
  7. 前記第1の鏡筒を光軸方向に駆動する範囲と光軸方向が垂直に交わる平面内で回動する範囲との境界部分の近傍においては、前記第1の鏡筒の全てのカムフォロワが、前記第2の鏡筒の全てのカム溝に係合していることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  8. 第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒は、前記複数のカムフォロワとは別途に設けた他の1つ以上のカムフォロワを有し且つ前記第2の鏡筒は、前記他の1つ以上のカムフォロワに対応して前記複数のカム溝とは別途に設けた他の1つ以上のカム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては、前記他の1つ以上のカムフォロワの少なくとも一部が前記他の1つ以上のカム溝の少なくとも一部に係合する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  9. 第2の鏡筒に切欠部を有し、前記複数のレンズ群の他の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠の少なくとも一部を、前記切欠部を通過させて、前記第2の鏡筒の外部に位置させて、前記沈胴状態とするとともに、前記第1の鏡筒の光軸に沿う進退移動時に、前記第2の鏡筒の前記切欠部を閉塞して前記第2の鏡筒内面とほぼ連続する筒状面を形成する蓋板を有し、該蓋板には、前記複数のカムフォロワに対応して当該部分を通る前記複数のカム溝と連続する蓋板カム溝を有してなり、前記切欠部に該当する部位においては前記複数のカムフォロワが前記蓋板カム溝の少なくとも一部に係合する構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  10. 少なくとも一部が、前記切欠部を通過して、前記第2の鏡筒の外部に位置するレンズ保持枠は、前記複数のレンズ群のうちの他の少なくとも1つのレンズ群を保持することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のレンズ鏡胴。
  11. 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から、前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴であって、
    前記レンズ群の少なくとも一部を保持するレンズ保持枠と、
    前記レンズ保持枠を内部に支持し、外周部に複数のカムフォロワおよびギア部を備える第1の鏡筒と、
    前記複数のカムフォロワに係合し、前記第1の鏡筒の回動によって前記第1の鏡筒を光軸方向に進退移動させるべく形成される互いに平行な複数のカム溝を内周部に備え、且つ前記ギア部に対応する開口部を有して固定されており、沈胴時に前記第1の鏡筒を収納する第2の鏡筒と、
    前記第2の鏡筒の前記開口部を介して前記第1の鏡筒の前記ギア部に係合し前記第1の鏡筒に駆動力を伝達する駆動ギアと、
    前記駆動ギアを回転駆動する駆動源と、
    を具備し、
    前記第2の鏡筒の前記複数のカム溝の少なくとも一部が前記開口部を通過することを特徴とするレンズ鏡胴。
  12. 前記駆動ギアは、前記開口部を通過するカム溝を通るカムフォロワとの干渉を防止すべく、該カムフォロワの経路に対応してギアを欠落したギア欠落部を形成してなることを特徴とする請求項11に記載のレンズ鏡胴。
  13. 撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことを特徴とするカメラ。
  14. カメラ機能部を有し、且つ前記カメラ機能部の撮影用光学系として、請求項1〜請求項12のいずれか1項のレンズ鏡胴を用いた光学系を含むことを特徴とする携帯型情報端末装置。
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