以下、本発明に係るレンズ鏡胴、カメラおよび携帯型情報端末装置の最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜21は、本発明の第1の実施形態に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1は、レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴部分の構成を物体側から見た斜視図、図2は、図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図3は、レンズバリアを閉じた沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を物体側から見た斜視図、図4は、図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図5は、レンズ群を突出させた撮影状態において開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図6は、レンズ群を突出させた撮影状態におけるレンズ鏡胴部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図7は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠;回転されるレンズ保持枠)および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分並びに第3レンズ保持枠および鏡胴ベース(固定部)に形成された電気的位置検出手段としての接点片(導通部材)と導通経路板(導通経路部材)の配置構成を物体側から見た斜視図、図8は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出させた撮影状態における図7相当の斜視図である。
また、図9は、レンズ群を突出した(a)望遠位置状態と沈胴させて収納した沈胴状態およびレンズ群を突出した(b)広角位置状態のレンズ鏡胴における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡筒の要部をそれぞれ示す縦断面図、図10は、第2の回転筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、図11は、カム筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、図12は、第1のライナーに形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す展開図、図13(a)は、固定枠に形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す(a)展開図、図13(b)は、ヘリコイドを含む詳細図、図13(c)は、ヘリコイドに嵌合する第1の回転鏡筒の斜視図、図14(a)は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す側面図、図14(b)は、その斜視図、図15は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す斜視図、図16(a)は、第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を物体側から見た正面図、図16(b)は、シャッタ部分の斜視図である。
図17は、第3レンズ保持枠の配置位置(状態)に応じた、接点片と導通経路板との当接状態(導通状態)を説明するための図であり、(d),(e),(f)は被写体側から見た正面図、(a),(b),(c)はそれぞれ(d),(e),(f)に対応したA−A線に沿った断面を示す断面図、図18,19,20は、接点片および導通経路板の部分を拡大して示した図である。
詳細には、図18は図17(a),(d)に対応して第3レンズ保持枠が収納状態(第1の基準位置)に位置している状態を表し、(a)は第3レンズ保持枠を被写体側から見た正面図、(b)は(a)における矢視Bを示す図、(c)は(b)におけるC−C線に沿った断面を表す要部断面図、(d)は(b)におけるD−D線に沿った断面を表す要部断面図である。
また、図19は図17(b),(e)に対応して、第3レンズ保持枠の第3レンズ群の光軸が第4レンズ群等の光軸に一致した配置の状態(第1の基準位置と後述の第2の基準位置との間の経路範囲)を表し、(a)は第3レンズ保持枠を被写体側から見た正面図、(b)は(a)における矢視Bを示す図、(c)は(b)におけるC−C線に沿った断面を表す要部断面図、(d)は(b)におけるD−D線に沿った断面を表す要部断面図である。
また、図20は図17(c),(f)に対応して、第3レンズ保持枠の第3レンズ群の光軸が第4レンズ群等の光軸に一致した配置の撮影状態にあり、かつ光軸方向に沿って所定量変位した位置(第2の基準位置)にある状態を表し、(a)は第3レンズ保持枠を被写体側から見た正面図、(b)は(a)における矢視Bを示す図、(c)は(b)におけるC−C線に沿った断面を表す要部断面図、(d)は(b)におけるD−D線に沿った断面を表す要部断面図である。
さらに、図21(a)は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系の要部の構成を具体的に示す斜視図、図21(b)は、その一部を省略し、角度を変えて見た斜視図である。
図1〜図21において、レンズ鏡胴を含む光学系装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33(図8参照)、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝撃防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38(図14(b)、図16(a)参照)、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43(図7、図8参照)、第4群主ガイド軸44、第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、ズームモータ51(図1参照)、第3群モータ52、第4群モータ53、バリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、ギア71,72,73,74、押さえ板81および鏡胴ベース82を具備している。
図9を参照して、撮影状態について説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、物体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13の間に、シャッタ/絞りユニット15が、挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。
これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、該第1レンズ群11を一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなり、該第2レンズ群12を一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含み、該シャッタ/絞りユニット15に一体的に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21の固定筒の内面には、図13(a)および図13(b)に示すように、軸方向に沿う直進溝およびカム溝が形成されており、ヘリコイド状のカム溝には、図13(c)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロワが係合しており、固定枠21の固定筒の直進溝には、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。
第1の回転筒22の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワを挿通するための逃げ溝が形成されている。
第2の回転筒24の基端部の外周面にはヘリコイドが形成され、第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合するとともに、該第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワが、第1のライナー23のカムフォロワの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。
第1のライナー23の内周に設けられた直線溝には第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。第2の回転筒24の内面には光軸に直行する面に沿う案内溝が形成されており、第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
このような構成により第2のライナー25は、光軸方向の移動については第2の回転筒24と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対して第2の回転筒24は回転移動できるようになっている。
第2のライナー25の内周に嵌合するカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内面には光軸に直行する面に沿う案内溝が形成されており、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
このような構成により、カム筒26は、光軸方向の移動については第2のライナー25と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対してカム筒26は回転移動できるようになっている。
直進筒27は、基端部側が第2の回転筒24と第2のライナー25の間に挿入されており、直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロワが突設され、前記カムフォロワが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝に係合するとともに、直進筒27の内周面には軸方向に沿って直進溝が形成され、該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。
第1の回転筒22の基端部外周にはギア部が形成されており、ズームモータ51の駆動力が適宜ギアを介してギア伝達されて回動され、それによって第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、直進筒27のカムフォロワに係合する第2の回転筒24のカム溝が図10に示されている。第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝が図11に示されている。
第1のライナー23の第2の回転筒24のカムフォロワの逃げ溝および第2のライナー25のキー部に係合する第1のライナー23の直線溝が図12に示されている。そして固定筒部の第1のライナー23のキー部に係合する固定枠21の直進溝、第1の回転筒22のカムフォロワに係合する固定枠21のカム溝が図13にそれぞれ示されている。
すなわち、一般に最外周の固定筒に最も近い回転筒は、ヘリコイドによって固定筒に螺合しており、ヘリコイドは、その形状から一定の速度で移動する。このため、沈胴収納状態から広角位置を経て望遠位置へと漸次駆動される間の広角位置においては、回転筒は、半分ほど繰り出された状態となるのが、一般的である。
これに対して、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21の固定筒部分と単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝で係合しており、収納状態から広角位置への駆動により、第1の回転筒22は、最大繰り出し位置まで完全に繰り出し、その後は、図13に示すようにカム溝の物体側端部が固定筒部の端面に平行になっており、広角位置から望遠位置への駆動では第1の回転筒22は、回転筒を光軸方向へ移動させることなく定位置で回転させる。
第1の回転筒22は、沈胴状態から広角位置へ移動する際、最初は回転しながら被写体側へ繰り出し、最大繰り出し位置に到達すると、前記固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなる、ズーム位置検出器によりズーム位置基準信号が発生する。
したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達したと考えて良いので、退避レンズ保持枠、すなわち、この例では、第3レンズ保持枠31、が光軸方向へ進入動作を開始できる。
したがって、繰り出し動作の早い段階で固定筒部に近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23を、完全に繰り出すことにより、後述する第3レンズ保持枠31を光軸上に挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。
後述するように、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達するとすぐに前記ズーム位置基準信号が発生し、挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が進入動作を開始するので、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
なお、第1の回転筒22、第2の回転筒24、直進筒27およびこれらに設置されたレンズ群は、可動レンズ鏡筒を構成している。
第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端に第3レンズ群13を保持しており、他端が第3レンズ群13の光軸と実質的に平行な第3群主ガイド軸32によって回動可能に且つ第3群主ガイド軸32に沿ってスライド移動可能に支持されている。
第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態における光軸上に第3レンズ群13を挿入した光軸上位置と、図2に示すように沈胴収納状態における第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部分から外部に退避した収納位置との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。
第3レンズ保持枠31の回動端側の第3レンズ群13の近傍には、この場合回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部が形成され、該屈曲部からほぼ回動端方向にストッパ31a(図15)および遮光片31bが突設されている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、より被写体側へ繰り出した位置となる。但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴の光軸方向長さの制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。
しかしながら、ストッパ31aの光軸方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴が大きくなってしまう。このことにより、ストッパ31aは、可能な限り合焦位置側に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31は、クランク状屈曲部を有する形状に形成される。
なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
図14(a)、(b)に示すように、第3レンズ保持枠31(退避レンズ保持枠)が退避位置の状態では第3群リードスクリュー34に螺合している雌ねじ部材35(螺合部材)は最も像面側に位置している。
また、この状態では、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て時計方向(光軸への進入方向)のモーメントを常に第3レンズ保持枠に与えている。
第3レンズ保持枠31の主ガイド軸32に支持されている部分の円筒状の部分31f(スリーブ)の外周面には、図14(a)に示すような段差部31cの基端側内面にカム斜面形状のカム部31eが形成されている。
この状態から第3群モータ52を鏡胴正面から見て時計方向に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介してリードスクリュー34が時計方向に回転し、雌ねじ部材35が光軸方向に沿って被写体側へ移動する。
この際には、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、第3レンズ保持枠31が時計方向に回転し、そのカム部31eが雌ねじ部材35の当接部35aに当接係合している。その後、雌ねじ部材35がもっとも被写体側へ移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ38から外れるまで移動するのでフォトインタラプタ38からL(低レベル)からH(高レベル)への基準信号が発生する。第3群レンズ群13は、フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
雌ねじ部材35をこの状態より、図14(a)のB位置まで移動すると第3レンズ保持枠31が、さらに時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図16(a)に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の光軸上位置が規定される。これにて光軸方向への進入動作が完了する。
尚、遮光片31bは、図16(a)に示すフォトインタラプタ38を遮光することにより、収納位置にあることが検知確認できるようになっている。
また雌ねじ部材35が図14(a)のB位置まで移動すると、雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接係合する。すなわち、第3レンズ保持枠31の段差部31cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部31eを有し、前端側に第3群主ガイド軸32とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部31dを有して円筒周面に対して凹状をなしている。
第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、前記収納位置から前記光軸上位置へ向かう回動方向に常時付勢されると共に第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向に常時付勢されている。
なお、図14(b)に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、図示のように圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、雌ねじ部材35が広角位置(図14(a)のW位置)まで移動する際は、雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合部31dを押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで光軸方向に沿って被写体側へ移動することが可能となる。
また、雌ねじ部材35が図14(a)のB位置から望遠位置(図14(a)のT位置)までの間に位置している間は、圧縮トーションスプリング37によって、光軸方向に沿って像面側に向かって常に押圧されているため、第3群リードスクリュー34や雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間は、総て像面側へ寄せられるので、第3群レンズ保持枠31は光軸方向についての位置精度を確保できるようになっている。
雌ねじ部材35は、光軸に実質的に平行に延設された第3群リードスクリュー34に螺合し、前述した第3レンズ保持枠31の段差部31c内において、前側係合部31dまたはカム部31eに当接する当接部35aに加えて、第3群リードスクリュー34の回転に伴って雌ねじ部材35が回ってしまわないようにするための回転止めとして、固定枠21の固定筒部分に形成された光軸方向に平行なガイド溝に嵌合摺動する回転止め突起部35bが形成されている(図15)。
すなわち、雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、光軸に沿って進退移動するのである。
図14(a)に詳細に示すように、雌ねじ部材35は、図14(a)のB位置よりも、さらに像面側(図示左側)へ移動すると、第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに当接係合し、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37の光軸方向の付勢により押さえ板81に接触しており、圧縮トーションスプリング37による時計回動方向の付勢力に抗して第3レンズ保持枠31を反時計方向に回転させるので、退避動作を行う事が可能となる。
一方、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転)により、雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、雌ねじ部材35の当接部35aが係合当接面にて第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接しているので、圧縮トーションスプリング37の光軸上位置への付勢力と像面側への付勢力によって第3レンズ保持枠31は、第3群副ガイド軸33に規制された光軸上位置を維持しつつ物体側から像面側へと漸次移動する。
なお雌ねじ部材35が退避開始位置Bに達すると、第3レンズ保持枠31のスリーブ31fの基端面が押さえ板81に当接し、雌ねじ部材35が前側係合部31dから離間して、段差部31cのカム部31eに当接する。
雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sまで移動する間は、雌ねじ部材35のもう一方の当接部35cが第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに摺接して、第3レンズ保持枠31を圧縮トーションスプリング37による回動付勢力に抗して回動させることにより、第3レンズ保持枠31は、光軸上位置から収納位置へ回動する。
第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなるフォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の沈胴収納位置への移動が許可される。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(第4群フォトインタラプタ47)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第4群レンズ保持枠41の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、フォトインタラプタ38(図16(a)参照)によるHからLとなる収納基準信号の発生から雌ねじ部材35は所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23よりも内方、すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品が、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込まれたりするのは、前述した第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となる。
これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いて構成したズームモータ51では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギヤとこの近傍に設置された例えばフォトインタラプタ51aからなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定することが可能である。なお、ここでは、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、特に図2、図7に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸位置側へ突出させる回動方向にスプリング等により常時付勢されている。第3レンズ保持枠31が、収納位置に位置しているときは、衝突防止片36は、自身付勢力以上の回動力を有する第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている(特に、図2および図7参照)。
第3レンズ保持枠31が、回動して光軸上位置に移動すると、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31との係合が解除され、付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定筒内面から突出させる。このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも物体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(特に図5、図6および図8参照)。
このようにすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、光軸方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。なお、第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡胴が前方(物体(被写体)側)に突出している撮影状態において、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止する。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
また、第3レンズ保持枠31の、スリーブ31fとレンズの保持枠本体部分とを繋ぐ屈曲したアーム部分(第3レンズ保持枠31の回転中心から略半径方向に沿って延びた部分)には、図7、図15、図17〜図20に示すように、この第3レンズ保持枠31が支持された固定部である鏡胴ベース82に向けて延びた二組の接点片91(91a,91b)、92(92a,92b)が、このアーム部分の延在方向に沿って並んで配設されている。
接点片91aと接点片91bとは電気的に互いに接続されており、また、接点片92aと接点片92bとは電気的に互いに接続されている。すなわち接、点片91aと接点片91bとの間では導通があり、接点片92aと接点片92bとの間では導通がある。
また、各接点片91a,91b,92a,92bは、導電性を有する金属の帯状平板によって形成されており、下端部すなわち鏡胴ベース82に近接した側の端部は、第3レンズ保持枠31の回転方向面内での断面が円弧状となるように湾曲して形成されており、全体としては鏡胴ベース82に向けて凸となる略J字状の断面形状を有している。そして、これら各接点片91a,91b,92a,92bは、それぞれ弾性変形しうるものとなっている。
一方、鏡胴ベース82には、接点片91a,91b,92a,92bの下端部に当接する導通経路板93が固定されている。この導通経路板93には、第3レンズ保持枠31の回転に伴って回転する各接点片91a,91b,92a,92bと、所定の回転角度範囲だけ当接するように回転周方向に沿って延びた平板帯状の二組の導通帯94(94a,94b)、95(95a,95b)が形成されている(図7、図16(a)等)。
ここで、導通帯94aには接点片91aが、導通帯94bには接点片91bが、導通帯95aには接点片92aが、導通帯95bには接点片92bが、それぞれ当接しうるように設定されており、導通帯94aに接点片91aが当接し、かつ導通帯94bに接点片91bが当接したとき、導通帯94aと導通帯94bとが導通し、それ以外のときは両導通帯95a,95b間で導通はしない。
同様に、導通帯95aに接点片92aが当接し、かつ導通帯95bに接点片92bが当接したとき、導通帯95aと導通帯95bとが導通し、それ以外のときは両導通帯95a,95b間で導通はしない。
また、各接点片91a,91b,92a,92bは、対応する導通帯94a,94b,95a,95bに当接している状態では、図18〜図20に示すように、接点片91a,91b,92a,92bの前述した断面略J字状の円弧状部分が、対応する導通帯94a,94b,95a,95bに乗り上げた状態となるため、全体として弾性変形した状態となる。
ここで、鏡胴ベース82に形成された導通帯94a,94b,95a,95bのうち、第2の導通帯95(95a,95b)は、第3レンズ保持枠31が、その移動経路のうち、収納状態(図17(a)、図18)となる第1の基準位置から、光軸方向に沿った所定の進退量以上の範囲である第2の基準位置直前までの範囲(所定状態の位置)にあるときは、対応する接点片92a,92bが当接し続けて、導通帯95a,95b間の導通が確保された状態となるように、その導通帯95の形状やパターンが形成されている。
一方、鏡胴ベース82に形成された導通帯94a,94b,95a,95bのうち、第1の導通帯94(94a,94b)は、第3レンズ保持枠31が、その移動経路のうち、収納状態(図17(a)、図18)となる第1の基準位置では、対応する接点片91(91a,91b)に当接せず、第3レンズ保持枠31が収納状態から離脱してから上述の第2の基準位置直前までの範囲の位置にある状態(図17(b)、図19)では、対応する接点片91a,91bに当接し続けて、導通帯94a,94b間の導通が確保された状態となるように、その導通帯94の形状やパターンが形成されている。
また、第3レンズ保持枠31が第2の基準位置に到達するまでの経路範囲では、各接点片91a,91b,92a,92bは、その弾性変形に伴う復元力を付勢力として、対応する各導通帯94a,94b,95a,95bに当接しているが、第3レンズ保持枠31が光軸方向に沿って所定の進退量だけ被写体側に向けて変位した位置すなわち第2の基準位置では、この被写体方向への変位によって、各接点片91a,91b,92a,92bの弾性変形が解放されて、対応する各導電帯94a,94b,95a,95bから切離され(図20(c)参照)、導電帯94a,94b間の導通、導電帯95a,95b間の導通は、いずれも無くなる。
すなわち、第3レンズ保持枠31が収納状態(第1の基準位置)にあるときは、導電帯94a,94b間は導通無し(第1の導通信号レベルL)、導電帯95a,95b間は導通有り(第2の導通信号レベルH)という組合せ(L,H)となり、第3レンズ保持枠31が第2の基準位置(およびこの第2の基準位置よりも光軸方向の被写体側の位置)にあるときは、導電帯94a,94b間は導通無し(第1の導通信号レベルL)、導電帯95a,95b間も導通無し(第2の導通信号レベルL)という組合せ(L,L)となり、第3レンズ保持枠31が第1の基準位置と第2の基準位置との間の経路範囲の位置にあるときは、導電帯94a,94b間は導通有り(第1の導通信号レベルH)、導電帯95a,95b間も導通有り(第2の導通信号レベルH)という組合せ(H,H)となる。
したがって、導電帯94a,94b間の導通有無と、導電帯95a,95b間の導通有無との組合せを電気的に検出することができ、この検出結果たる導通有無の組合せに応じて、第3レンズ保持枠31が、第1の基準位置に位置するのか(図17(a),(d)、図18)、第2の基準位置(およびこの第2の基準位置よりも光軸方向に沿った被写体側)に位置するのか(図17(c),(f)、図20)、または第1の基準位置と第2の基準位置との間の範囲位置に位置するのか(図17(b),(e)、図19)、を容易に特定することができる。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図21(a)、(b)を参照して説明する。
この場合、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる第4レンズ群14は、図21(a)、(b)等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。第4レンズ保持枠41は、鏡胴ベース82に固定され且つ光軸に平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合するスリーブ部41aと、光軸に平行で且つ鏡胴ベース82に固定された副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する回転止め部41bとを有している。
このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち光軸方向に沿って自由に移動することが可能となっている。第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源としては、この場合ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられており、この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。
第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間を有している。この空間は、像側に光軸に垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有して形成され、この第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。
第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを持ち、この突出部46aが、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を呈している。
このようにして、ステッピングモータである第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が、第4群リードスクリュー45の方向、つまり光軸方向に沿って、進退移動する。第4レンズ保持枠41は、この第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して第4レンズ保持枠41が光軸に沿って移動する。このとき、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギヤ等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしても良い。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4群レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置(HP位置)として認識し、その位置から任意の所望のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
この第4レンズ群14のHP位置は、光軸線上において、第3レンズ保持枠31の第2の基準位置よりも後方すなわち像面側の位置であり、前述した導電帯94a,94b間の導通が無く(第1の導通信号レベルL)、導電帯95a,95b間の導通も無い(第2の導通信号レベルL)という組合せ(L,L)を検出したときには、第4レンズ群14がHP位置に到達しても、第3レンズ群13と第4レンズ群14とが干渉することはなく、したがって、後述のレンズ群駆動制御によって、第3レンズ群13と第4レンズ群14との干渉を確実に防止することができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを光軸方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。
また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、光軸方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、光軸方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、前記固定枠21に設置された、フォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギヤとこの近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。
収納時、第4レンズ保持枠41は、先に述べたように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接しそれを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。
このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の光軸方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の光軸方向長さが、第4群雌ねじ部材46の厚みよりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
ここで、このレンズ鏡胴を構成する各レンズ群の駆動制御について図22〜図29を参照して詳細に説明する。
図22は、駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図、図23は、起動シーケンスにおけるバリア開時のシーケンスを示すタイミングチャート、図24は、起動シーケンスにおけるバリア開からバリア閉時のシーケンスを示すタイミングチャート、図25は、リセットシーケンスを説明する(a)図表および(b)タイミングチャート、図26は、バリア閉時の収納シーケンスを示すタイミングチャート、図27は、ズームシーケンスを示すフローチャート、図28は、広角位置から望遠位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャート、そして図29は、望遠位置から広角位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャートである。
図22の駆動制御系は、中央演算処理装置501、モータドライバ502、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507、第4群パルスモータ508、第1〜第2群フォトインタラプタ(エンコーダ)509(51a)、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511(38)、導通帯94(94a,94b),95(95a,95b)、第4群フォトインタラプタ512(47)、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515、導通検出回路517,518および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を有している。
中央演算処理装置501は、モータドライバ502に対して、モータドライバ502の初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令に従って、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508等のモータ系を制御する。
第1〜第2群DCモータ503は、第1群レンズ系11および第2群レンズ系12を駆動する。第1群レンズ系11および第2群レンズ系12は、通常の場合、第1〜第2群DCモータ503の駆動力に応動するカム機構を介してそれぞれ独立に駆動する。第1の絞りモータ504および第2の絞りモータ505は、シャッタ/絞りユニット15の絞りを駆動する。シャッタモータ506は、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを駆動する。第3群パルスモータ507は、第3群レンズ系13を駆動する。第4群パルスモータ508は、第4群レンズ系14を駆動する。
また、中央演算処理装置501は、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515、導通検出回路517,518および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置検出装置としての第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、導通帯94,95および第4群フォトインタラプタ512に対する駆動電源供給を行い且つこれら第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512で検出された位置情報信号を取得する。
第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515、導通検出回路517,518および第4群フォトインタラプタ駆動回路516は、さらに第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、導通帯94,95および第4群フォトインタラプタ512の各投光電流および各出力信号レベルを適正に制御する機能を有している。
モータドライバ502は、中央処理演算処理装置501からの命令を受けて、該命令を実行し、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508のうちの選択されたモータに対して、指定電圧の設定をし、駆動命令タイミングに応じて駆動制御を行う。
〔起動シーケンス〕
このような、駆動制御系による起動シーケンスにおけるバリア開時の駆動シーケンスを図22を参照して説明する。
レンズバリア62を開くことにより、バリアスイッチ信号(バリアSW)がHからLに変化し、鏡胴系の初期設定を開始する。なお、レンズバリア62は、レンズバリア62を操作レバー等によって機械的に開操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってバリアが開く場合もある。
初期設定は、モータ系を駆動するモータドライバ502の初期化、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515、導通検出回路517,518および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置を検出する位置検出装置である第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、導電帯94,95および第4群フォトインタラプタ512等の初期化を行う。
第1〜第2群の位置検出のための第1〜第2群フォトインタラプタ509による検出結果が収納位置であり、第3群の位置検出のための第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置であり、そして第4群の位置検出のための第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置である場合に、第1〜第2群DCモータ503を広角位置方向へ駆動させる。
第1〜第2群DCモータ503による駆動量は、第1〜第2群の移動量を検出するための第1〜第2群フォトインタラプタ509によって検出する。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)のエッジ部をカウントすることによって移動量が検出される。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧にアップさせる。
今回の例では中間絞り状態に設定しているが、開放絞り(最大径の絞り)状態に設定しても良い。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後にバリアスイッチ(バリアSW)監視期間を設定し、中央演算処理装置501により、バリアスイッチ信号の状態を監視する。この期間中、バリアスイッチ信号が開状態であれば、シャッタ駆動用のシャッタモータ506によって全開制御を行い、シャッタを全開状態に設定する。次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505によって、中間絞り制御を行い、中間絞り状態に設定する。
次に、第4群パルスモータ508によって第4レンズ群14の先行駆動を行う。この第4レンズ群14の先行駆動を行うことによって、第1〜第2レンズ群の駆動開始から、最終の第4レンズ群14の駆動完了までの総時間の短縮化を図っている。
また、先行駆動時の第4群パルスモータ508駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも遅めに設定することによって、駆動時のトルクが大きくなり、機構部の引っ掛かり等からの脱出が可能となる。なお、先行駆動時の第4群パルスモータ508による駆動量は、第4レンズ群14と第3レンズ群13との干渉が発生しない量に設定している。
第4レンズ群14の先行駆動が完了すると、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号)がHからLに変化した個所が第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)となる。第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出すると、第1〜第2レンズ群11〜12の位置情報をリセットする。
この位置を基準として広角位置(Wide)までの移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによってり第1〜第2レンズ群の移動量制御を行う。広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
広角位置到達前規定パルス期間は、停止制御期間となっており、広角位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げて、広角位置到達時のオーバーランを低減するようにしている。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、広角位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12の位置を決定する。
また、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出すると、第3群パルスモータ507の広角方向への駆動を開始して、第3レンズ群13と第1〜第2レンズ群11〜12との並列制御となる。
ここで、第3レンズ保持枠31は収納位置(第1の基準位置)にあるため、導電帯94,95の導通信号レベルはL,Hの組合せであり、これにより中央演算処理装置501は、第3レンズ保持枠31が収納位置に存在していることを検知している。なお、第3レンズ保持枠31が収納位置から回転駆動されると、直後から、導電帯94,95の導通信号レベルはいずれもH,Hとなり、これにより中央演算処理装置501は、第3レンズ保持枠31が第1の基準位置と第2の基準位置との間に存在していることを検知している。
また、第3群パルスモータ駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも高め(速め)に設定することによって、第3レンズ群13の駆動時間を短縮化している。
第3レンズ群13側としては、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所が第3レンズ群13の基準位置(HP位置)となる。第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出すると、第3レンズ群13の位置情報をリセットする。
この位置を基準として、広角位置までの移動量を第3群パルスモータ507によりパルス駆動する。広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、最終的な第3レンズ群13の停止位置は、第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した位置となる。すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置は、広角位置+オーバーラン量であるため、第3レンズ群13の停止位置も第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した広角位置+αとなる。
このαの値は、例えば、第1〜第2レンズ群11〜12のズームポジション間のパルス数と、オーバーラン量と、第3レンズ群13のズームポジション間のパルス数とから線形演算により求められる。ズームポジション間は、広角〜望遠間(W−T間)を16等分した区間のうちの1区間である。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13の駆動において第3レンズ群13の基準位置(HP位置)検出して、規定パルス数以上駆動した場合に、第4群パルスモータ508の広角無限位置方向への駆動を開始する。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない場合、または第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されていない場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されるまで待ち状態となる。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない状態で第4群パルスモータ508を駆動すると3個のモータの同時駆動となって、消費電流が増大することになる。そこで、この例においては、同時駆動は、第3レンズ群13と第4レンズ群14のみとしている。また、第3レンズ群13の位置が基準位置から規定パルス数以上の位置に達する(このとき、2つの導通帯94,95の信号レベルが、いずれもHからLに切り替わる。)前に第4レンズ群14を駆動すると第3レンズ群13と第4レンズ群14の干渉が発生する。よって、規定パルス数以降において、第4レンズ群14の駆動を開始する。
第4レンズ群14側としては、第4群フォトインタラプタ512による基準位置の検出待ちとなる。また、第4群パルスモータ508の駆動時の駆動電圧を通常駆動時よりも低めに設定することによって、消費電流を低減するようにしている。第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所が第4レンズ群14の基準位置(HP位置)となる。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出すると、第4レンズ群14の位置情報をリセットする。この位置を基準とする広角無限位置までの移動量を第4群パルスモータ508によりパルス駆動する。広角無限位置は予め予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
上述し且つ図23のタイミングチャートに示したように、この例においては、同時駆動モータを2モータまでに制限することによって、消費電流を抑えつつ、最適駆動することによって起動時間の短縮化を図っている。
次に、第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後のバリアスイッチ監視期間中において、バリアスイッチ信号が閉状態に変化した場合について図24を参照して説明する。この期間中に、バリアスイッチ信号が開状態から閉状態に変化した場合には、第1〜第2群DCモータ503の駆動を停止させる。
その後、収納方向への、移動量分、または規定パルス数分、の第1〜第2群DCモータ503の駆動を開始させる。この場合、駆動電圧は低電圧とし、作動部が収納端に衝突しても破壊・破損が発生しないようにする。このような制御により、バリアとの干渉防止が可能となる。
〔リセットシーケンス〕
また、第1〜第2群フォトリフレクタ510による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=L)、または、第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H)、または、第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H)場合には、リセットシーケンス駆動を行う。
このようなリセットシーケンスについて図23、図25を参照して説明する。図25において、(a)は、各状況におけるリセットシーケンスの流れを示す模式的な図表、(b)は、リセットシーケンスのタイミングチャートである。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Lの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出し(H→L)、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出した(L→H)後、後方に戻って再度HP位置を検出して、収納位置に移動させる(4群:収納)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出し(L→H)、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Hの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作として、第1〜第2レンズ群11〜12を望遠(Tele)方向に駆動し、基準信号の立下り(H→L)検出後に規定パルス駆動する(1−2群:退避)。
次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、収納位置に移動させる(4群:収納)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出し(L→H)、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=H,4群HP信号=Lの場合>
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出した(L→H)後、後方に戻って再度HP位置を検出して(H→L)収納位置に移動させるが、3群HP信号がHであるため、第3レンズ群13の停止位置によっては、第4レンズ群14がHP位置を検出する(L→H)際、第4レンズ群14が第3レンズ群13と干渉する虞がある。
そこで、この場合は、導電帯94,95の導通信号レベル(HまたはL)の組合せ(L,H、H,H、L,L)に応じて、処理を切り替える。
すなわち、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(H,H)であるときは、第4レンズ群14が第3レンズ群13に干渉する虞があるため、第4レンズ群14の収納動作に先立って、まず、第3レンズ群13の退避動作として、第3レンズ群13を望遠方向に規定パルス数駆動させる(3群:退避)。
その後、第4レンズ群14の収納動作、すなわち第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出した(L→H)後、後方に戻って再度HP位置を検出して(H→L)、収納位置に移動させ(4群:収納)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納)。
一方、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(L,L)であるときは、第4レンズ群14の収納動作(第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出した(L→H)後、後方に戻って再度HP位置を検出して(H→L)収納位置に移動させる動作)によって、第4レンズ群14が第3レンズ群13に干渉する虞はないため、第4レンズ群14の収納動作、すなわち第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出した(L→H)後、後方に戻って再度HP位置を検出して(H→L)、収納位置に移動させ(4群:収納)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納)。
この制御によって、第3レンズ群13と第4レンズ群14との干渉を未然に回避したリセットシーケンスを行うことができる。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出して(L→H)、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
そして、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、4群の基準位置(HP信号)を検出して(L→H)、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=L,3群HP信号=H,4群HP信号=Hの場合〉
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し(H→L)、収納位置に移動させるが、3群HP信号がHであるため、第3レンズ群13の停止位置によっては、第4レンズ群14がHP位置を検出する(H→L)際、第4レンズ群14が第3レンズ群13と干渉する虞がある。
つまり何らかの原因によって、第3レンズ群13が第4レンズ群14等の光軸線上に進入するための旋回動作の途中で、第3レンズ保持枠31の旋回動作が停止してしまったにも拘わらず、第3群パルスモータ507のパルスカウントだけが続行されて、第3レンズ群13が第4レンズ群14等の光軸線上に進入する前に、第4レンズ群14がHP位置を検出する(L→H)位置まで進んでしまい、かつ、その後に第3レンズ群13が第4レンズ群14等の光軸線上に進入しかかって停止した状態であったり、完全に進入した状態である場合である。
この場合は、上述したように、第4レンズ群14が後方に戻って、HP位置を検出する(H→L)際に、第4レンズ群14と第3レンズ群13とが干渉する虞がある。
一方、4群HP信号がHである場合は、第4レンズ群14が収納位置から光軸方向の前方(被写体側の方向)に移動してHP位置を通過している(L→H)ため、第3レンズ群13は本来は、この第4レンズ群14よりも光軸方向前方にあるため、当然に第4レンズ群14のHP位置よりも前方に存在するはずであり、このことは、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(L,L)であることを意味している。
しかし、上述したように、第3レンズ群13と第4レンズ群14とが光軸線上において逆配列となっているときは、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(H,H)となり、この検出された信号レベルの組合せが(H,H)であることにより、配列の逆転を検知し、この信号レベルの検出結果に基づいて、第4レンズ群14の収納動作に先立って、まず、第3レンズ群13のHP位置を検出して(H→L)、収納動作を行う(3群:収納)。
次いで、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し(H→L)、収納位置に移動させる(4群:収納)。
この制御によって、第3レンズ群13と第4レンズ群14との干渉を未然に回避したリセットシーケンスを行うことができる。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出して(L→H)、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
そして、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、4群の基準位置(HP信号)を検出して(L→H)、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
なお、第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作(1−2群:退避)後に、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(L,L)のときは、第4レンズ群14の収納動作(4群のHP信号H→L)によって、第4レンズ群14と第3レンズ群13とが干渉する虞はなく、したがって、従来通り、第4レンズ群14の収納動作(4群のHP信号H→L)が行われ、次いで第3レンズ群13の収納動作が行われる。
この制御によって、第3レンズ群13と第4レンズ群14との干渉を未然に回避したリセットシーケンスを行うことができる。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出して(L→H)、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
そして、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し(L→H)、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、4群の基準位置(HP信号)を検出して(L→H)、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
以上のように、リセットシーケンスにおいて、第4レンズ群14がHP位置を通過するときに、第3レンズ群13との干渉が生じない状態で、導電帯94,95の導通信号レベルの組合せが(L,L)となるため、この信号レベルを監視して、検出結果に応じた適切な駆動制御を設定することで、第3レンズ群13と第4レンズ群14とが実際に干渉して初めてその干渉状態を検知する従来のものに比べて、その干渉状態を、干渉前に事前に検知することが可能となり、従来のレンズ鏡胴よりも、処理の簡素化、簡単化、正確化を図ることができる。
ここで、電気的位置検出手段としては、第3レンズ保持枠31に設けられた二組の接点片91,92と、これら接点片91,92にそれぞれ対向して鏡胴ベース82に形成された、二組の接点片91,92のうち一方の組の接点片92が第1の基準位置から所定状態までの移動経路の全域に亘って当接する導電帯95と、他方の組の接点片91が所定状態の移動経路の全域に亘って当接する導電帯94とを備え、二組の接点片91,92と各導電帯94,95との導通状態の組合わせに応じて、第1の基準位置、第2の基準位置および所定状態を識別するものであるため、移動経路上における第3レンズ保持枠31の変位位置の別を、確実に識別することができる。
また、各接点片91,92は、第3レンズ保持枠31の回転範囲では弾性変形の復元力によってどうでんたい94,95に向けて付勢され、これら接点片91,92は第2の基準位置において弾性変形が解放されて、対応する各導電帯94,95から切離するように形成されているため、第3レンズ保持枠31を光軸方向に沿って変位させても、所定の進退量の範囲までは、接点片91,92が、弾性変形の変形分が復元する(弾性変形が解放される)までは、接点片91,92と導電帯94,95との当接すなわち導通を維持させることができ、弾性変形量の調整に応じて、光軸方向に沿った変位により検出される第2の基準位置の設定自由度を向上させることができる。
なお、この接点片91,92は、導電帯94,95に向けて円弧状に凸となる湾曲部を有するものであるため、第3レンズ保持枠13が光軸方向に変位する間も、第2の基準位置に到達するまでは、接点片91,92と導電帯94,95との当接は維持されるが、接点片91,92が導電帯94,95に当接する部分の位置は、第3レンズ保持枠31の光軸方向への変位に応じて、随時変化する。
しかし、湾曲部が、導電帯94,95に向けて円弧状に凸となる接点片91,92であることにより、弾性変形量が変化しても、導電帯94,95と接触する円弧状の部分が、当該円弧の周面に沿って移動していくだけであり、当接する部分の形状は常に円弧状であるから、導電帯94,95との間での摺動摩擦力を低減しつつ、急激な形状変化が回避されて、接点片が跳ねるような動作となるチャタリングなども回避することができ、安定した検出結果を得ることができる。
〔収納シーケンス〕
次に、収納シーケンスについて図26を参照して説明する。
レンズバリア62を閉じることにより、バリアスイッチ信号がLからHとなり、収納動作を開始する。なお、先に述べた通りレンズバリア62は、レンズバリアを操作レバー等によって機械的に閉操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってレンズバリア62を閉じる場合もある。
シャッタモータ506によりシャッタの全閉制御を行い、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを全閉状態に設定する。次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505により、中間絞り制御を行い、シャッタ/絞りユニット15の絞りを中間絞り状態に設定する。
次に、第4群パルスモータ508により第4レンズ群14の収納駆動を行う。第4群パルスモータ508を収納位置方向へ駆動開始して、第4群フォトインタラプタ512による基準位置検出待ちとなる。
第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号)がH→Lに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。収納位置移動量は、予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
次に、第3群パルスモータ507によって、第3レンズ群13の収納駆動を行う。第3群パルスモータ507を収納位置方向へ駆動開始して、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。
第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号)がHからLに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、基準位置から収納位置までの第3群パルスモータ507の駆動パルスレートを基準位置までの駆動パルスレートよりも低速にしている。このようにトルクが必要な領域に応じてパルスレートを変更することによって、スムーズなパルス駆動を実現する。
次に、第1〜第2群DCモータ503により第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動を行う。第1〜第2群DCモータ503を収納位置方向へ駆動開始し、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。
第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによって第1〜第2レンズ群11〜12の移動量制御を行う。収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動時においては、停止前に電圧を落とさずに、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントして、収納位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。これは、電圧を落とすことによる途中止まりを軽減させるためである。
〔変倍シーケンス〕
次に、変倍動作のシーケンスについて、図27に示すフローチャートを参照して説明する。
ズームレバーまたはズームボタンが操作されるなどして変倍処理が開始されると、まず、第4レンズ群14を退避させる必要があるか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11における判定は、望遠から広角への変倍で且つ第4レンズ群14が所定位置よりも至近側に位置する場合に退避処理が必要であるとする。
次に、変倍駆動方向を判定する(ステップS12)。広角から望遠への変倍である場合には、第1〜第2群DCモータ503を作動させて第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるか否かを判定する(ステップS14)。このステップS14における判定は、ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動するズーム駆動スイッチがオフとなったか、広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達したか、望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達したか、のいずれかの条件に該当する場合に第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるものとする。
第1〜第2レンズ群11〜12を停止させる場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS15)、停止中である場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を行い(ステップS16)、第1〜第2レンズ群11〜12のブレーキ動作を行う(ステップS17)。
次に、変倍駆動方向を判定して(ステップS18)、広角から望遠への変倍である場合には、第3レンズ群13の位置補正駆動を行って(ステップS19)、絞り駆動を行い(ステップS20)、処理を終了する(操作待機状態に戻る)。
ステップS11において、第4レンズ群14の退避処理が必要であると判定された場合には、第4レンズ群14の退避処理を行って(ステップS21)、ステップS12に進む。ステップS12において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、第3レンズ群13の退避処理を行って(ステップS22)、ステップS14に進む。
ステップS14において、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させずに駆動を継続すると判定された場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS23)、第3レンズ群13が停止中である場合には、第3レンズ群13の駆動を開始するか否かの判定を行う(ステップS24)。
このステップS24における判定は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されているか、広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動が許可されるものとする。ステップS24において第3レンズ群13の駆動が許可されると、第3レンズ群13の駆動が開始されて(ステップS25)、ステップS14に戻る。
ステップS24において、第3レンズ群13の駆動が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS23において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の駆動を停止するか否かの判定を行う(ステップS26)。このステップS26における判定は、広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動停止が許可されるものとする。
ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されると、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS27)、ステップS14に戻る。ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS15において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS28)、ステップS16に進む。ステップS18において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、バックラッシュ動作を行って(ステップS29)、ステップS19に進む。
次に、このフローチャートに従った変倍動作について、変倍動作方向毎に具体的に説明する。
〔広角から望遠方向〕
まず、広角から望遠への変倍動作について図28に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの望遠ボタンを押下することにより、望遠スイッチ信号がHからLとなり、望遠方向への変倍シーケンスが開始される。最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される(ステップS11)。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値)よりも至近側(繰り出し側)に位置している。
しかし、広角から望遠への駆動時においては、上述の条件を満たさないので、第4レンズ群14の退避駆動は行わない。
次に、駆動方向によって、第3レンズ群13を退避駆動するか否かを判定する(ステップS12)。
広角から望遠への変倍駆動の場合2は、第3レンズ群13の退避駆動は不要である。そして、第1〜第2群DCモータ503による第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13)。
第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流を防止するために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。この起動期間の完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。
また、広角〜望遠間での駆動電圧は、収納〜広角位置間での駆動電圧よりも低めに設定している。これは、収納〜広角位置間は、高速性を必要とするため、高電圧設定としているためで、広角−望遠間は、ズームボタンの操作により、所望の個所で停止させたいために適度な電圧設定としている。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることにより行う。また、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイント設定している。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止するか否かを判定する(ステップS14)。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足する場合(オア条件)に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する望遠ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か)に応じて駆動開始/駆動停止の判定を行う(ステップS23)。第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始の判定を行って(ステップS24)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。
ステップS24の第3レンズ群13の駆動開始判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
また、3群状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定を行って(ステップS26)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定にあたっては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12駆動量が規定パルス以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12に近付き、所定量よりも近付いた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。
その後、第1〜第2レンズ群11〜12が第3レンズ群13に対して遠ざかり、所定量よりも離された場合に第3レンズ群13の駆動を再開させる。第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係に応じて、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。これによって、群間の距離を保った状態での変倍駆動が可能となる。
また、起動時に規定量以上の駆動を経過してから第3レンズ群13の駆動を開始させることによって、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減に寄与する。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に望遠スイッチ信号がLからHに変化した場合は、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御となる。
第1〜第2レンズ群11〜12の停止の判定によって、停止となった場合には、第3レンズ群13が駆動中であるならば、第3レンズ群13の停止動作を開始させる。そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。
停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。これによって目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止させるためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12位置を決定する。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止した後は、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応する第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。
第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。
その後に、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する(ステップS20)。
〔望遠から広角方向〕
次に、望遠から広角への変倍動作について図29に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの広角ボタンを押下することにより、広角スイッチ信号がHからLとなり、広角方向への変倍シーケンスが開始される。最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値)よりも至近側(繰り出し側)に位置している。
望遠から広角への駆動時においては、第4レンズ群14の位置が所定位置よりも至近側にある場合には、第4レンズ群14の退避駆動を行う。退避量は、第3レンズ群13の変倍駆動時に第4レンズ群14との干渉が発生しない領域まで退避させる。
次に、第3レンズ群13の退避駆動を行う。第1〜第2レンズ群11〜12駆動開始による第1〜第2レンズ群11〜12との干渉を防ぐために、第3レンズ群13を先行して規定量分駆動させる。そして、第1〜第2群DCモータ503にて、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する。
第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。
起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量の制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによって行う。先に述べたように、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイント設定している。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動停止の判定に際しては、先に述べた通り次の条件のいずれかを満足した場合に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する広角ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か)に応じて駆動開始または駆動停止の判定を行う。第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始判定を行い、駆動開始が許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。第3レンズ群13の駆動開始の判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
・第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
また、第3レンズ群13の状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動停止の判定を行って、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。第3レンズ群13の駆動停止の判定に際しては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動量が規定量以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12から離れ、規定量以上離れた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。
その後、第1〜第2レンズ群11〜12が3群に対して近付き、規定パルス以上近づくと第3レンズ群13の駆動を再開させる。第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係により、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。
これにより、群間を保った状態で変倍駆動が可能となる。また、起動時に規定パルス以上経過してから第3レンズ群13を駆動させることで、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減となる。
また、第1〜第2レンズ群11〜12駆動時での第3レンズ群13の駆動において、本来広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御が必要だが、変倍中は、ガタ取り制御を禁止して、第3レンズ群13の間欠制御をスムーズにしている。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に広角SW信号がLからHに変化した場合には、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御を行うこととなる。第1〜第2レンズ群11〜12の停止判定によって、停止となった場合は、第3レンズ群13が駆動中であるならば、停止動作を開始させる。そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。
停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。これにより目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12位置を決定する。
また、望遠から広角方向への動作時は、ガタ取りのためのガタ取り動作(バックラッシュ動作)を行なう。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止したあとは、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応した第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。
第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御を実施する。その後、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する。
この例においては、広角〜望遠間の変倍動作において、望遠方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧よりも、広角方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧を高めに設定している。また、第3群パルスモータ507においても、望遠方向動作時よりも、広角方向動作時のほうがパルスレートを速めに設定している。
また、第1〜第2レンズ群11〜12と3群の群間を保つために、第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係から第3レンズ群13の間欠制御にて実現している。
よって、望遠方向駆動時において、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、もしくは速めになるような設定としている。
同様に、広角方向駆動においても、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、あるいは速めになるような設定としている。こうすることで、望遠方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して離されることなく、また、広角方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して追いつかれることなく駆動されるようになる。
また、本実施例では、第3レンズ群13の駆動再開タイミングを所定のズームポイントの通過時としているが、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動時に発生する第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)検出時毎、または、PI信号の所定カウント数毎としてもよい。これにより、更に細やかな間欠制御が可能になり、群間精度が向上する。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体から遠い側には、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されており、この固体撮像素子16の入力面上に被写体像を結像すべく構成されている。固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じてローパスフィルタ等の各種光学フィルタ、カバーガラスおよびその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3〜図5に示すレンズバリア62は、収納状態において、第1レンズ群11の物体側を覆い、レンズ群を汚損乃至は損傷から保護する。レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸に直交する方向に進退駆動される。
図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。バリア駆動系63は、バリア操作部(図30(a)におけるバリア操作部301参照)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸から遠ざかった位置)との間で、駆動する。このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなくむしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、固定枠21の側部(レンズバリア62の開放位置側)に撮影光軸に沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により物体側へ付勢されている。
収納状態においては、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面にバリア制御片61の屈曲形成された係合部が係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。
撮影状態においては、レンズバリア62は、各レンズ群およびそれらの保持枠等から完全に離れている。この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって物体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で収納状態へ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。
各レンズ群が収納され、収納状態となれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。
このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述においては、第3レンズ群13を、光軸外に退避させる構成とした場合について説明した。本発明の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を光軸外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち光軸方向寸法を小さくすることができる。
絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の光軸に垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
この場合、レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3群レンズ群および正のパワーを持つ第4レンズ群の4群で構成され、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を変化させることで変倍を行い、第4レンズ群を移動させることで像面の位置を撮像面に補正することで合焦を行っている。
絞り機能を併せ持つシャッタは、第3レンズ群の前に位置する。レンズ構成を4群構成とし第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、像面からなるべく離れず外径が最も小さいレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡胴投影サイズが小さく厚みの薄い鏡胴とすることができる。また、変倍比4倍以上で4群レンズ構成の第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、高変倍比を実現しつつ鏡胴サイズ(投影サイズ、厚さ)を小さくしたレンズ鏡胴を提供することができる。
レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群を退避レンズ群としてもよい。
また、負のパワーを持つ第1レンズ群、正のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群或いは第2レンズ群を退避レンズ群としても良い。
各レンズ群は、それぞれ1枚以上のレンズによって構成すれば良く、ここでいう、レンズ群とは、一体的に動く1枚以上のレンズを指している。したがって、全てのレンズ群をそれぞれ1枚のレンズにより構成してもよい。
次に、上述した第1の実施の形態に示されたような本発明に係るレンズ鏡筒を含む光学系装置を撮影光学系として採用してカメラを構成した本発明の第2の実施の形態について図30〜図32を参照して説明する。
図30は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラの外観を示す斜視図、図31は、撮影者側である背面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、図32は、カメラの機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラについて説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡筒を含む光学系装置を採用してもよい。
図30および図31に示すように、カメラは、筐体120の内部に撮影レンズ101、筐体120の表面に、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。
なお、液晶モニタ106は、各種ボタンの配置、レンズ鏡胴の配置などの要因により、通常、レンズ鏡胴の後方であって、筐体120の後面に配置されている。そして、液晶モニタ106は、薄い略直方体形状であるため、レンズ鏡胴の最厚部の厚さに液晶モニタの厚さを加えたものが、実質的にカメラの厚さとなる。
さらに、図32に示すように、カメラは、筐体120の内部に、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラは、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体、の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、第1の実施の形態において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置を用いる。
具体的には、レンズ鏡胴を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する。レンズ鏡胴は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラに組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、ディジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってディジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。
この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。
また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。なお、先に述べた各レンズの駆動制御のための図22に示す中央演算処理装置501は、中央演算装置204に含まれていても良く、これと連係する他のマイクロプロセッサを用いて構成しても良い。
撮影レンズ101は、カメラの携帯時には図30(a)に示すように沈胴状態にあってカメラのボディー内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。ユーザーがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図30(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラのボディーから突出して撮影状態となる構成とする。
このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。本発明に係るズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラのさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギヤ連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。
例えばファインダ機構がレンズ鏡胴の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。
次に、退避レンズ保持枠を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴の下方に設置することになる(レンズ鏡胴の下方右側かあるいは下方左側)。この実施の形態では、レンズ鏡胴の下方右側に退避レンズ保持枠のスペースを設置し、レンズ鏡胴の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状レンズ鏡胴の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴の小型化を達成することができた。
また、このように構成された本実施形態に係るカメラによれば、レンズ鏡胴の電気的位置検出手段としての接点片91,92、導電帯94,95および中央演算処理装置501が、撮影状態から収納状態に至る第3レンズ保持枠31の移動経路における位置(第1の基準位置、第2の基準位置、第1の基準位置から第2の基準位置までの範囲(所定状態))を検出するため、撮影状態の光軸線上においてこの第3レンズ保持枠31のレンズに相前後するレンズ群の光軸方向に沿った進退動作を制御する処理を、第3レンズ保持枠31に保持された第3レンズ群13の上記検出された位置(範囲)に応じて適切に設定することができ、レンズ群間の干渉状態を、動作の停止に基づいて推定していた従来のレンズ鏡胴よりも、処理の簡素化、簡単化、正確化を図ることができ、カメラ全体として構造の簡単化、退避レンズ等の動作の精度向上等を図ることができる。
なお、本発明に係る携帯型情報端末装置の実施形態としては、上述した実施形態のレンズ鏡胴、または、上述した本実施形態のカメラを一部に備えた携帯電話、PDA等の携帯型情報端末装置であればよく、そのような実施形態の携帯型情報端末装置によれば、撮影状態の光軸線上においてこの第3レンズ保持枠31のレンズに相前後するレンズ群の光軸方向に沿った進退動作を制御する処理を、第3レンズ保持枠31に保持された第3レンズ群13の上記検出された位置(範囲)に応じて適切に設定することができ、レンズ群間の干渉状態を、動作の停止に基づいて推定していた従来のレンズ鏡胴よりも、処理の簡素化、簡単化、正確化を図ることができ、カメラ全体として構造の簡単化、退避レンズ等の動作の精度向上等を図ることができる。