まず、本発明の実施例であるレンズ鏡胴の構成を説明する前に、本発明の先行技術(特願2005−044909号)に係わるレンズ鏡胴及びこれを用いたカメラを図1〜図28を参照しつつ説明する。
図1〜図16(b)および図20は、レンズ鏡胴を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1は、レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴部分の構成を光軸方向被写体側から見た斜視図、
図2は、図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、
図3は、レンズバリアを閉じた沈胴収納状態におけるレンズ鏡胴およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を光軸方向被写体側から見た斜視図、
図4は、図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、
図5は、レンズ群を突出させた撮影状態において、開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、
図6は、レンズ群を突出させた撮影状態におけるレンズ鏡胴部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、
図7は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するために、レンズ群の沈胴収納状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を光軸方向被写体側から見た斜視図、
図8は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するために、レンズ群を突出した撮影状態における第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を光軸方向被写体側から見た斜視図である。
図9は、レンズ群を突出した(a)望遠位置状態と沈胴させて収納した沈胴状態およびレンズ群を突出した(b)広角位置状態のレンズ鏡胴における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡筒の要部をそれぞれ示す縦断面図、
図10は、第2の回転筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、
図11は、カム筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、
図12は、第1のライナーに形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す展開図、
図13(a)は、固定枠に形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す展開図、
図13(b)は、ヘリコイドを含む詳細図、
図13(c)は、ヘリコイドに嵌合する第1の回転鏡筒の斜視図、
図14(a)は、第3レンズ保持枠および、その駆動操作系の構成を示す側面図、
図14(b)は、その斜視図、
図15は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す斜視図、
図16(a)は、第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を光軸方向被写体側から見た正面図、
図16(b)は、シャッタ部分の斜視図である。
さらに、図20(a)は、第4レンズ保持枠および、その駆動操作系の要部の構成を具体的に示す斜視図、
図20(b)は、その一部を省略し、角度を変えて見た斜視図である。
図1〜図16(b)および図20において、レンズ鏡胴を含む光学系装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝撃防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38[図14(b)、図16(a)]、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43(図7、図8)、第4群主ガイド軸44、第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、ズームモータ51(図1参照)、第3群モータ52、第4群モータ53、バリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、ギア71,72,73,74、押さえ板81および鏡胴ベース82を具備している。
図9を参照して、撮影状態について説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、光軸方向被写体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13の間に、シャッタ/絞りユニット15が、挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、CCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。
第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、該第1レンズ群11を一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなり、該第2レンズ群12を一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含み、該シャッタ/絞りユニット15に一体的に形成されたカムフォロワが、図11に示すカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21の固定筒の内面には、図13(a)および図13(b)に示すように、軸方向に沿う直進溝およびカム溝が形成されており、ヘリコイド状のカム溝には、図13(c)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロワが係合しており、固定枠21の固定筒の直進溝には、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。
第1の回転筒22の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワを挿通するための逃げ溝が形成されている。
第2の回転筒24の基端部の外周面にはヘリコイドが形成され、第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合するとともに、該第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワが、第1のライナー23のカムフォロワの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。
第1のライナー23の内周に設けられた直線溝には第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。
第2の回転筒24の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
このような構成により第2のライナー25は、光軸方向の移動については第2の回転筒24と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対して第2の回転筒24は回転移動できるようになっている。
第2のライナー25の内周に嵌合するカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。
第2のライナー25の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー)が係合している。
このような構成により、カム筒26は、光軸方向の移動については第2のライナー25と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対してカム筒26は回転移動できるようになっている。
直進筒27は、基端部側が第2の回転筒24と第2のライナー25の間に挿入されており、直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロワが突設され、前記カムフォロワが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝に係合するとともに、直進筒27の内周面には軸方向に沿って直進溝が形成され、該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。
第1の回転筒22の基端部外周にはギア部が形成されており、ズームモータ51の駆動力が適宜ギアを介してギア伝達されて回動され、それによって第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、直進筒27のカムフォロワに係合する第2の回転筒24のカム溝が図10に示されている。
第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝が図11に示されている。
第1のライナー23の第2の回転筒24のカムフォロワの逃げ溝および第2のライナー25のキー部に係合する第1のライナー23の直線溝が図12に示されている。
そして固定筒部の第1のライナー23のキー部に係合する固定枠21の直進溝、第1の回転筒22のカムフォロワに係合する固定枠21のカム溝が図13にそれぞれ示されている。
すなわち、一般に最外周の固定筒に最も近い回転筒は、ヘリコイドによって固定筒に螺合しており、ヘリコイドは、その形状から一定の速度で移動する。
このため、沈胴収納状態から広角位置を経て望遠位置へと漸次駆動される間の広角位置においては、回転筒は、半分ほど繰り出された状態となるのが、一般的である。
これに対して、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21の固定筒部分と単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝で係合しており、収納状態から広角位置への駆動により、第1の回転筒22は、最大繰り出し位置まで完全に繰り出し、その後は、図13に示すようにカム溝の光軸方向被写体側端部が固定筒部の端面に平行になっており、広角位置から望遠位置への駆動では第1の回転筒22は、回転筒を光軸方向へ移動させることなく定位置で回転させる。
第1の回転筒22は、沈胴状態から広角位置へ移動する際、最初は回転しながら光軸方向被写体側へ繰り出し、最大繰り出し位置に到達すると、前記固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなる、ズーム位置検出器によりズーム位置基準信号が発生する。
したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達したと考えて良いので、退避レンズ保持枠、すなわち、この例では、第3レンズ保持枠31、が光軸方向へ進入動作を開始できる。
したがって、繰り出し動作の早い段階で固定筒部に近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23を、完全に繰り出すことにより、後述する第3レンズ保持枠31を光軸上に挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。
後述するように、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達するとすぐに前記ズーム位置基準信号が発生し、挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が進入動作を開始するので、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端に第3レンズ群13を保持しており、他端が第3レンズ群13の光軸と実質的に平行な第3群主ガイド軸32によって回動可能に且つ第3群主ガイド軸32に沿ってスライド移動可能に支持されている。
第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態における光軸上に第3レンズ群13を挿入した光軸上位置と、図2に示すように沈胴収納状態における第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部分から外部に退避した収納位置との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。
第3レンズ保持枠31の回動端側の第3レンズ群13の近傍には、この場合回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部が形成され、該屈曲部からほぼ回動端方向にストッパ31a(図15)および遮光片31bが突設されている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、一層光軸方向被写体側へ繰り出した位置となる。
但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴の光軸方向長さの制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。
第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も光軸方向被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。
しかしながら、ストッパ31aの光軸方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴が大きくなってしまう。
このことにより、ストッパ31aは、可能な限り合焦位置側に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31は、クランク状屈曲部を有する形状に形成される。
なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
図14(a)、図14(b)に示すように、第3レンズ保持枠31が退避位置の状態では第3群リードスクリュー34に螺合している雌ねじ部材35は最も像面側に位置している。
また、この状態では、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て時計方向(光軸への進入方向)のモーメント力を常に第3レンズ保持枠に与えている。
第3レンズ保持枠31の主ガイド軸32に支持されている支持部分31gの円筒状の外周面には、図14(a)に示すような段差部31cの基端側内面にカム斜面形状のカム部31eが形成されている。
この状態から第3群モータ52を図14(b)における時計方向に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介してリードスクリュー34が時計方向に回転し、雌ねじ部材35が光軸方向に沿って光軸方向被写体側へ移動する。
この際には、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、第3レンズ保持枠31が時計方向に回転し、そのカム部31eが雌ねじ部材35の当接部35aに当接係合している。
その後、雌ねじ部材35がもっとも光軸方向被写体側へ移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ38から外れるまで移動するのでフォトインタラプタ38からL(低レベル)からH(高レベル)への基準信号が発生する。
第3群レンズ群13は、フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
雌ねじ部材35をこの状態より、図14(a)のB位置まで移動すると第3レンズ保持枠31が、さらに時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図16(a)に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の光軸上位置が規定される。
これにて光軸方向への進入動作が完了する。
尚、遮光片31bは、図16(a)に示すフォトインタラプタ38を遮光することにより、収納位置にあることが検知確認できるようになっている。
また雌ねじ部材35が図14(a)のB位置まで移動すると、雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接係合する。
すなわち、第3レンズ保持枠31の段差部31cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部31eを有し、前端側に第3群主ガイド軸32とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部31dを有して円筒周面に対して凹状をなしている。
第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、前記収納位置から前記光軸上位置へ向かう回動方向に常時付勢されると共に第3群主ガイド軸32上において光軸方向被写体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向に常時付勢されている。
なお、図14(b)に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、図示のように圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。
すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、雌ねじ部材35が広角位置(図14(a)のW位置)まで移動する際は、雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合部31dを押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで光軸方向に沿って光軸方向被写体側へ移動することが可能となる。
また、雌ねじ部材35が図14(a)のB位置から望遠位置(図14(a)のT位置)までの間に位置している間は、圧縮トーションスプリング37によって、光軸方向に沿って像面側に向かって常に押圧されているため、第3群リードスクリュー34や雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間は、総て像面側へ寄せられるので、第3群レンズ保持枠31は光軸方向についての位置精度を確保できるようになっている。
雌ねじ部材35は、光軸に実質的に平行に配設された第3群リードスクリュー34に螺合し、前述した第3レンズ保持枠31の段差部31c内において、前側係合部31dまたはカム部31eに当接する当接部35aに加えて、第3群リードスクリュー34の回転に伴って雌ねじ部材35が回ってしまわないようにするための回転止めとして、固定枠21の固定筒部分に形成された光軸方向に平行なガイド溝に嵌合摺動する回転止め突起部35bが形成されている(図15)。
すなわち、雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、光軸に沿って進退移動するのである。
図14(a)に詳細に示すように、雌ねじ部材35は、図14(a)のB位置よりも、さらに像面側(図示左側)へ移動すると、第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに当接係合し、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37の光軸方向の付勢により押さえ板81に接触しており、圧縮トーションスプリング37による時計回動方向の付勢力に抗して第3レンズ保持枠31を反時計方向に回転させるので、退避動作を行う事が可能となる。
一方、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転)により、雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、雌ねじ部材35の当接部35aが係合当接面にて第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接しているので、圧縮トーションスプリング37の光軸上位置への付勢力と像面側への付勢力によって第3レンズ保持枠31は、第3群副ガイド軸33に規制された光軸上位置を維持しつつ光軸方向被写体側から像面側へと漸次移動する。
なお雌ねじ部材35が退避開始位置Bに達すると、第3レンズ保持枠31の基端面31fが押さえ板81に当接し、雌ねじ部材35が前側係合部31dから離間して、段差部31cのカム部31eに当接する。
雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sまで移動する間は、雌ねじ部材35のもう一方の当接部35cが第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに摺接して、第3レンズ保持枠31を圧縮トーションスプリング37による回動付勢力に抗して回動させることにより、第3レンズ保持枠31は、光軸上位置から収納位置へ回動する。
第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなるフォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。
第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の沈胴収納位置への移動が許可される。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。
第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(第4群フォトインタラプタ47)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から雌ねじ部材35は所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。
第4群レンズ保持枠41の第1の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、フォトインタラプタ38[図16(a)]によるHからLとなる収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。
この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23よりも内方、すなわち、それらの基端面よりも前方に位置する構成部品が、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込まれたりするのは、前述した第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となる。
これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いて構成したズームモータ51では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギヤとこの近傍に設置された例えばフォトインタラプタ51aからなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定することが可能である。
なお、ここでは、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、特に図2、図7に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸位置側へ突出させる回動方向にスプリング等により常時付勢されている。
第3レンズ保持枠31が、収納位置に位置しているときは、衝突防止片36は、自身付勢力以上の回動力を有する第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている(特に、図2および図7参照)。
第3レンズ保持枠31が、回動して光軸上位置に移動すると、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31との係合が解除され、付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定筒内面から突出させる。
このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも光軸方向被写体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(特に図5、図6および図8参照)。
このようにすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、光軸方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。
したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。
なお、第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡筒が突出している撮影状態において、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止する。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。
第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。
図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図20(a)、(b)を参照して説明する。
この場合、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる第4レンズ群14は、図20(a)、(b)等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。
第4レンズ保持枠41は、鏡胴ベース82に固定され且つ光軸に平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合するスリーブ部41aと、光軸に平行で且つ鏡胴ベース82に固定された副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する回転止め部41bとを有している。
このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち光軸方向に沿って自由に移動することが可能となっている。
第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源としては、この場合ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられており、この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。
この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。
第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間を有している。
この空間は、光軸方向像側に光軸に垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有して形成され、この第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって光軸方向被写体側に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。
第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを持ち、この突出部46aが、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を呈している。
このようにして、ステッピングモータである第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が、第4群リードスクリュー45の方向、つまり光軸方向に沿って、進退移動する。
第4レンズ保持枠41は、この第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して第4レンズ保持枠41が光軸に沿って移動する。
このとき、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギヤ等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしても良い。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4群レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。
この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置として認識し、その位置から任意のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを光軸方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。
また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、光軸方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって光軸方向被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、光軸方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、前記固定枠21に設置された、フォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。
すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギヤと、この近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。
収納時、第4レンズ保持枠41は、先に述べたように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接し、それを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。
このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の光軸方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。
このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の光軸方向長さが、第4群雌ねじ部材46の厚みよりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
ここで、このレンズ鏡胴を構成する各レンズ群の駆動制御について図21〜図28を参照して詳細に説明する。
図21は、駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図、
図22は、起動シーケンスにおけるバリア開時のシーケンスを示すタイミングチャート、
図23は、起動シーケンスにおけるバリア開からバリア閉時のシーケンスを示すタイミングチャート、
図24は、リセットシーケンスを説明する(a)図表および(b)タイミングチャート、
図25は、バリア閉時の収納シーケンスを示すタイミングチャート、
図26は、ズームシーケンスを示すフローチャート、
図27は、広角位置から望遠位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャート、
そして図28は、望遠位置から広角位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャートである。
図21の駆動制御系は、中央演算処理装置501、モータドライバ502、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507、第4群パルスモータ508、第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、第4群フォトインタラプタ512、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を有している。
中央演算処理装置501は、モータドライバ502に対して、モータドライバ502の初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。
モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令に従って、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508等のモータ系を制御する。
第1〜第2群DCモータ503は、第1群レンズ系11および第2群レンズ系12を駆動する。
第1群レンズ系11および第2群レンズ系12は、通常の場合、第1〜第2群DCモータ503の駆動力に応動するカム機構を介してそれぞれ独立に駆動する。
第1の絞りモータ504および第2の絞りモータ505は、シャッタ/絞りユニット15の絞りを駆動する。
シャッタモータ506は、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを駆動する。
第3群パルスモータ507は、第3群レンズ系13を駆動する。
第4群パルスモータ508は、第4群レンズ系14を駆動する。
また、中央演算処理装置501は、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置検出装置としての第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512に対する駆動電源供給を行い且つこれら第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512で検出された位置情報信号を取得する。
第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516は、さらに第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512の各投光電流および各出力信号レベルを適正に制御する機能を有している。
モータドライバ502は、中央処理演算処理装置501からの命令を受けて、該命令を実行し、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508のうちの選択されたモータに対して、指定電圧の設定をし、駆動命令タイミングに応じて駆動制御を行う。
〔起動シーケンス〕
このような、駆動制御系による起動シーケンスにおけるバリア開時の駆動シーケンスを図22を参照して説明する。
レンズバリア62を開くことにより、バリアスイッチ信号(バリアSW)がHからLに変化し、鏡胴系の初期設定を開始する。
なお、レンズバリア62は、レンズバリア62を操作レバー等によって機械的に開操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってバリアが開く場合もある。
初期設定は、モータ系を駆動するモータドライバ502の初期化、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置を検出する位置検出装置である第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512等の初期化を行う。
第1〜第2群の位置検出のための第1〜第2群フォトインタラプタ509による検出結果が収納位置であり、第3群の位置検出のための第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置であり、そして第4群の位置検出のための第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置である場合に、第1〜第2群DCモータ503を広角位置方向へ駆動させる。
第1〜第2群DCモータ503による駆動量は、第1〜第2群の移動量を検出するための第1〜第2群フォトインタラプタ509によって検出する。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)のエッジ部をカウントすることによって移動量が検出される。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。
起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧にアップさせる。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後にバリアスイッチ(バリアSW)監視期間を設定し、中央演算処理装置501により、バリアスイッチ信号の状態を監視する。
この期間中、バリアスイッチ信号が開状態であれば、シャッタ駆動用のシャッタモータ506によって全開制御を行い、シャッタを全開状態に設定する。
次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505によって、中間絞り制御を行い、中間絞り状態に設定する。
この例では、中間絞り状態に設定しているが、開放絞り(最大径の絞り)状態に設定しても良い。
次に、第4群パルスモータ508によって第4レンズ群14の先行駆動を行う。
この第4レンズ群14の先行駆動を行うことによって、第1〜第2レンズ群の駆動開始から、最終の第4レンズ群14の駆動完了までの総時間の短縮化を図っている。
また、先行駆動時の第4群パルスモータ508駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも遅めに設定することによって、駆動時のトルクが大きくなり、機構部の引っ掛かり等からの脱出が可能となる。
なお、先行駆動時の第4群パルスモータ508による駆動量は、第4レンズ群14と第3レンズ群13との干渉が発生しない量に設定している。
第4レンズ群14の先行駆動が完了すると、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。
第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号)がHからLに変化した個所が第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)となる。
第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出すると、第1〜第2レンズ群11〜12の位置情報をリセットする。
この位置を基準として広角位置(Wide)までの移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによって第1〜第2レンズ群の移動量制御を行う。
広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
広角位置到達前規定パルス期間は、停止制御期間となっており、広角位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げて、広角位置到達時のオーバーランを低減するようにしている。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、広角位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。 このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12の位置を決定する。
また、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出すると、第3群パルスモータ507の広角方向への駆動を開始して、第3レンズ群13と第1〜第2レンズ群11〜12との並列制御となる。
第3群パルスモータ駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも高め(速め)に設定することによって、第3レンズ群13の駆動時間を短縮化している。
第3レンズ群13側としては、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。
第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所が第3レンズ群13の基準位置(HP位置)となる。
第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出すると、第3レンズ群13の位置情報をリセットする。
この位置を基準として、広角位置までの移動量を第3群パルスモータ507によりパルス駆動する。
広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納し、それを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、最終的な第3レンズ群13の停止位置は、第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した位置となる。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置は、広角位置+オーバーラン量であるため、第3レンズ群13の停止位置も第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した広角位置+αとなる。
このαの値は、例えば、第1〜第2レンズ群11〜12のズームポジション間のパルス数と、オーバーラン量と、第3レンズ群13のズームポジション間のパルス数とから線形演算により求められる。
ズームポジション間は、広角〜望遠間(W−T間)を16等分した区間のうちの1区間である。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13の駆動において第3レンズ群13の基準位置(HP位置)検出して、規定パルス数以上駆動した場合に、第4群パルスモータ508の広角無限位置方向への駆動を開始する。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない場合、または第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されていない場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されるまで待ち状態となる。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない状態で第4群パルスモータ508を駆動すると3個のモータの同時駆動となって、消費電流が増大することになる。
そこで、この例においては、同時駆動は、第3レンズ群13と第4レンズ群14のみとしている。
また、第3レンズ群13の位置が基準位置から規定パルス数以上の位置に達する前に第4レンズ群14を駆動すると第3レンズ群13と第4レンズ群14の干渉が発生する。
よって、規定パルス数以降において、第4レンズ群14の駆動を開始する。
第4レンズ群14側としては、第4群フォトインタラプタ512による基準位置の検出待ちとなる。
また、第4群パルスモータ508の駆動時の駆動電圧を通常駆動時よりも低めに設定することによって、消費電流を低減するようにしている。
第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所が第4レンズ群14の基準位置(HP位置)となる。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出すると、第4レンズ群14の位置情報をリセットする。
この位置を基準とする広角無限位置までの移動量を第4群パルスモータ508によりパルス駆動する。
広角無限位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
上述し且つ図22のタイミングチャートに示したように、この例においては、同時駆動モータを2モータまでに制限することによって、消費電流を抑えつつ、最適駆動することによって起動時間の短縮化を図っている。
次に、第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後のバリアスイッチ監視期間中において、バリアスイッチ信号が閉状態に変化した場合について図23を参照して説明する。
この期間中に、バリアスイッチ信号が開状態から閉状態に変化した場合には、第1〜第2群DCモータ503の駆動を停止させる。
その後、収納方向への移動量分、または規定パルス数分、の第1〜第2群DCモータ503の駆動を開始させる。
この場合、駆動電圧は低電圧とし、作動部が収納端に衝突しても破壊・破損が発生しないようにする。
このような制御により、バリアとの干渉防止が可能となる。
〔リセットシーケンス〕
また、第1〜第2群フォトリフレクタ510による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=L)、または、第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H)、または、第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H)場合には、リセットシーケンス駆動を行う。
このようなリセットシーケンスについて図24を参照して説明する。
図24において、(a)は、各状況におけるリセットシーケンスの流れを示す模式的な図表、(b)は、リセットシーケンスのタイミングチャートである。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Lの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出し、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Hの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作として、第1〜第2レンズ群11〜12を望遠(Tele)方向に駆動し、基準信号の立下り検出後に規定パルス駆動する(1−2群:退避)。
次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出し、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=H,4群HP信号=Lの場合
1−2群HP信号=H,3群HP信号=H,4群HP信号=Hの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作として、第1〜第2レンズ群11〜12を望遠方向に駆動し、基準信号の立下り検出後に規定パルス駆動する(1−2群:退避)。
次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納)。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)が検出できた場合は、第3レンズ群13の収納動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し、収納位置に移動させる(3群:収納)。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)が検出できない場合は、第3レンズ群13との干渉と想定されるため、先に第3レンズ群13の収納動作を実施する(3群:収納)。
第3レンズ群13の収納動作が完了した場合は、引き続き第4レンズ群14の収納動作を行う(4群:収納)。
第3レンズ群13の収納動作時にHP位置が検出できない場合は、第4レンズ群14との干渉と想定されるため、第3レンズ群13の退避動作として、第3レンズ群13を望遠方向に規定パルス数駆動させる(3群:退避)。
その後、第4レンズ群14の収納動作(4群:収納)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出して、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、4群の基準位置(HP信号)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=L,3群HP信号=L,4群HP信号=Lの場合
1−2群HP信号=L,3群HP信号=L,4群HP信号=Hの場合〉
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出して、収納位置に移動させる(4群:収納)。
次に、第3レンズ群13の収納動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出して、収納位置に移動させる(3群:収納)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出して、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=L,3群HP信号=H,4群HP信号=Lの場合
1−2群HP信号=L,3群HP信号=H,4群HP信号=Hの場合〉
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置)を検出して、収納位置に移動させる(4群:収納)。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)が検出できた場合には、第3レンズ群13の収納動作として、3群の基準位置(HP位置)を検出して、収納位置に移動させる(3群:収納)。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置)が検出できない場合には、第3レンズ群13との干渉と想定されるため、先に3群の収納動作を実施する(3群:収納)。
第3レンズ群13の収納動作が完了した場合は、引き続き第4レンズ群14の収納動作を行う(4群:収納)。
第3レンズ群13の収納動作時にHP位置が検出できない場合は、第4レンズ群14との干渉と想定されるため、第3レンズ群13の退避動作として、第3レンズ群13を望遠方向に規定パルス数駆動させる(3群:退避)。
その後、第4レンズ群14の収納動作(4群:収納)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置)を検出して、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。
次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置)を検出して、広角位置に移動させる(3群:Reset)。
最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〔収納シーケンス〕
レンズバリア62を閉じることにより、バリアスイッチ信号がLからHとなり、収納動
作を開始する。
なお、先に述べた通りレンズバリア62は、レンズバリアを操作レバー等によって機械的に閉操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってレンズバリア62を閉じる場合もある。
シャッタモータ506によりシャッタの全閉制御を行い、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを全閉状態に設定する。
次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505により、中間絞り制御を行い、シャッタ/絞りユニット15の絞りを中間絞り状態に設定する。
次に、第4群パルスモータ508により第4レンズ群14の収納駆動を行う。
第4群パルスモータ508を収納位置方向へ駆動開始して、第4群フォトインタラプタ512による基準位置検出待ちとなる。
第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号)がH→Lに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。
収納位置移動量は、予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納し、それを書き換えることによって変更することができるようになっている。
次に、第3群パルスモータ507によって、第3レンズ群13の収納駆動を行う。
第3群パルスモータ507を収納位置方向へ駆動開始して、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。
第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号)がHからLに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。
収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、基準位置から収納位置までの第3群パルスモータ507の駆動パルスレートを基準位置までの駆動パルスレートよりも低速にしている。
このようにトルクが必要な領域に応じてパルスレートを変更することによって、スムーズなパルス駆動を実現する。
次に、第1〜第2群DCモータ503により第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動を行う。
第1〜第2群DCモータ503を収納位置方向へ駆動開始し、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。
第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号)がLからHに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによって第1〜第2レンズ群11〜12の移動量制御を行う。
収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動時においては、停止前に電圧を落とさずに、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントして、収納位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。
これは、電圧を落とすことによる途中止まりを軽減させるためである。
〔変倍シーケンス〕
次に、変倍動作のシーケンスについて、図26に示すフローチャートを参照して説明する。
ズームレバーまたはズームボタンが操作されるなどして変倍処理が開始されると、まず、第4レンズ群14を退避させる必要があるか否かを判定する(ステップS11)。
このステップS11における判定は、望遠から広角への変倍で且つ第4レンズ群14が所定位置よりも至近側に位置する場合に退避処理が必要であるとする。
次に、変倍駆動方向を判定する(ステップS12)。
広角から望遠への変倍である場合には、第1〜第2群DCモータ503を作動させて第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるか否かを判定する(ステップS14)。
このステップS14における判定は、ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動するズーム駆動スイッチがオフとなったか、広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達したか、望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達したか、のいずれかの条件に該当する場合に第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるものとする。
第1〜第2レンズ群11〜12を停止させる場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS15)、停止中である場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を行い(ステップS16)、第1〜第2レンズ群11〜12のブレーキ動作を行う(ステップS17)。
次に、変倍駆動方向を判定して(ステップS18)、広角から望遠への変倍である場合には、第3レンズ群13の位置補正駆動を行って(ステップS19)、絞り駆動を行い(ステップS20)、処理を終了する(操作待機状態に戻る)。
ステップS11において、第4レンズ群14の退避処理が必要であると判定された場合には、第4レンズ群14の退避処理を行って(ステップS21)、ステップS12に進む。
ステップS12において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、第3レンズ群13の退避処理を行って(ステップS22)、ステップS14に進む。
ステップS14において、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させずに駆動を継続すると判定された場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS23)、第3レンズ群13が停止中である場合には、第3レンズ群13の駆動を開始するか否かの判定を行う(ステップS24)。
このステップS24における判定は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されているか、広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動が許可されるものとする。
ステップS24において第3レンズ群13の駆動が許可されると、第3レンズ群13の駆動が開始されて(ステップS25)、ステップS14に戻る。
ステップS24において、第3レンズ群13の駆動が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS23において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の駆動を停止するか否かの判定を行う(ステップS26)。
このステップS26における判定は、広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動停止が許可されるものとする。
ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されると、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS27)、ステップS14に戻る。
ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS15において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS28)、ステップS16に進む。
ステップS18において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、バックラッシュ動作を行って(ステップS29)、ステップS19に進む。
次に、このフローチャートに従った変倍動作について、変倍動作方向毎に具体的に説明する。
〔広角から望遠方向〕
まず、広角から望遠への変倍動作について図27に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの望遠ボタンを押下することにより、望遠スイッチ信号がHからLとなり、望遠方向への変倍シーケンスが開始される。
最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される(ステップS11)。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値)よりも至近側(繰り出し側)に位置している。
しかし、広角から望遠への駆動時においては、上述の条件を満たさないので、第4レンズ群14の退避駆動は行わない。
次に、駆動方向によって、第3レンズ群13を退避駆動するか否かを判定する(ステップS12)。
広角から望遠への変倍駆動の場合には第3レンズ群13の退避駆動は不要である。
そして、第1〜第2群DCモータ503による第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13)。
第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流を防止するために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。
この起動期間の完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。
また、広角〜望遠間での駆動電圧は、収納〜広角位置間での駆動電圧よりも低めに設定している。
これは、収納〜広角位置間は、高速性を必要とするため、高電圧設定としているためで、広角−望遠間は、ズームボタンの操作により、所望の個所で停止させたいために適度な電圧設定としている。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることにより行う。
また、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイント設定している。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止するか否かを判定する(ステップS14)。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足する場合(オア条件)に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する望遠ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か)に応じて駆動開始/駆動停止の判定を行う(ステップS23)。
第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始の判定を行って(ステップS24)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。
ステップS24の第3レンズ群13の駆動開始判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
・第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
また、3群状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定を行って(ステップS26)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。
第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定にあたっては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12駆動量が規定パルス以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。
同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12に近付き、所定量よりも近付いた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。
その後、第1〜第2レンズ群11〜12が第3レンズ群13に対して遠ざかり、所定量よりも離された場合に第3レンズ群13の駆動を再開させる。
第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係に応じて、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。
これによって、群間の距離を保った状態での変倍駆動が可能となる。
また、起動時に規定量以上の駆動を経過してから第3レンズ群13の駆動を開始させることによって、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減に寄与する。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に望遠スイッチ信号がLからHに変化した場合は、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御となる。
第1〜第2レンズ群11〜12の停止の判定によって、停止となった場合には、第3レンズ群13が駆動中であるならば、第3レンズ群13の停止動作を開始させる。
そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。
停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。
これによって目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止させるためにブレーキ制御を行う。
このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12位置を決定する。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止した後は、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。
これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応する第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。
第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。
その後に、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する(ステップS20)。
〔望遠から広角方向〕
次に、望遠から広角への変倍動作について図28に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの広角ボタンを押下することにより、広角スイッチ信号がHからLとなり、広角方向への変倍シーケンスが開始される。
最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値)よりも至近側(繰り出し側)に位置している。
望遠から広角への駆動時においては、第4レンズ群14の位置が所定位置よりも至近側にある場合には、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
退避量は、第3レンズ群13の変倍駆動時に第4レンズ群14との干渉が発生しない領域まで退避させる。
次に、第3レンズ群13の退避駆動を行う。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動開始による第1〜第2レンズ群11〜12との干渉を防ぐために、第3レンズ群13を先行して規定量分駆動させる。
そして、第1〜第2群DCモータ503にて、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する。
第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。
起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量の制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号)をカウントすることによって行う。
先に述べたように、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイント設定している。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動停止の判定に際しては、先に述べた通り次の条件のいずれかを満足した場合に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する広角ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か)に応じて駆動開始または駆動停止の判定を行う。
第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始判定を行い、駆動開始が許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。
第3レンズ群13の駆動開始の判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
・第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
また、第3レンズ群13の状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動停止の判定を行って、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。第3レンズ群13の駆動停止の判定に際しては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動量が規定量以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。
同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12から離れ、規定量以上離れた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。
その後、第1〜第2レンズ群11〜12が3群に対して近付き、規定パルス以上近づくと第3レンズ群13の駆動を再開させる。
第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係により、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。
これにより、群間を保った状態で変倍駆動が可能となる。
また、起動時に規定パルス以上経過してから第3レンズ群13を駆動させることで、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減となる。
また、第1〜第2レンズ群11〜12駆動時での第3レンズ群13の駆動において、本来広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御が必要だが、変倍中は、ガタ取り制御を禁止して、第3レンズ群13の間欠制御をスムーズにしている。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に広角SW信号がLからHに変化した場合には、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御を行うこととなる。
第1〜第2レンズ群11〜12の停止判定によって、停止となった場合は、第3レンズ群13が駆動中であるならば、停止動作を開始させる。
そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。
停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。
これにより目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。
第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。 このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12位置を決定する。
また、望遠から広角方向への動作時は、ガタ取りのためのガタ取り動作(バックラッシュ動作)を行なう。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止したあとは、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。
これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応した第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。
第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。
広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御を実施する。
その後、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する。
この例においては、広角〜望遠間の変倍動作において、望遠方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧よりも、広角方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧を高めに設定している。
また、第3群パルスモータ507においても、望遠方向動作時よりも、広角方向動作時のほうがパルスレートを速めに設定している。
また、第1〜第2レンズ群11〜12と3群の群間を保つために、第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係から第3レンズ群13の間欠制御にて実現している。
よって、望遠方向駆動時において、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、もしくは速めになるような設定としている。
同様に、広角方向駆動においても、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、あるいは速めになるような設定としている。
こうすることで、望遠方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して離されることなく、また、広角方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して追いつかれることなく駆動されるようになる。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体から遠い側には、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されており、この固体撮像素子16の入力面上に被写体像を結像すべく構成されている。
固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じてローパスフィルタ等の各種光学フィルタ、カバーガラスおよびその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3〜図5に示すレンズバリア62は、収納状態において、第1レンズ群11の光軸方向被写体側を覆い、レンズ群を汚損乃至は損傷から保護する。
レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸に直交する方向に進退駆動される。
図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。
バリア駆動系63は、バリア操作部(図17(a)におけるバリア操作部301参照)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸から遠ざかった位置)との間で、駆動する。
このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。
また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなくむしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、レンズバリア62を開放方向の固定枠21の側部に光軸に沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により光軸方向被写体側へ付勢されている。
収納状態においては、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面にバリア制御片61の屈曲形成された係合部が係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。
撮影状態においては、レンズバリア62は、各レンズ群および、それらの保持枠等から完全に離れている。
この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって光軸方向被写体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で収納状態へ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。
各レンズ群が収納され、収納状態となれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。
このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述においては、第3レンズ群13を、光軸外に退避させる構成とした場合について説明した。
本発明の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を光軸外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。
また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち光軸方向寸法を小さくすることができる。
絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の光軸に垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
この場合、レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3群レンズ群および正のパワーを持つ第4レンズ群の4群で構成され、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を変化させることで変倍を行い、第4レンズ群を移動させることで像面の位置を撮像面に補正することで合焦を行っている。
絞り機能を併せ持つシャッタは、第3レンズ群の前に位置する。
レンズ構成を4群構成とし第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、像面からなるべく離れず外径が最も小さいレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡胴投影サイズが小さく厚みの薄い鏡胴とすることができる。
また、変倍比4倍以上で4群レンズ構成の第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、高変倍比を実現しつつ鏡胴サイズ(投影サイズ、厚さ)を小さくしたレンズ鏡胴を提供することができる。
レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群を退避レンズ群としてもよい。
各レンズ群は、それぞれ1枚以上のレンズによって構成すれば良く、ここでいう、レンズ群とは、一体的に動く1枚以上のレンズを指している。
したがって、全てのレンズ群をそれぞれ1枚のレンズにより構成してもよい。
次に、上述のレンズ鏡胴を含む光学系装置を撮影光学系として採用したカメラについて図17〜図19を参照して説明する。
図17は、物体、すなわち光軸方向被写体側である前面側から見たカメラの外観を示す斜視図、
図18は、撮影者側である背面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、
図19は、カメラの機能構成を示すブロック図である。
なお、ここでは、カメラについて説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものがある。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係る可動鏡筒を含む光学系装置を採用してもよい。
図17および図18に示すように、カメラは、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。
さらに、図19に示すように、カメラは、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。
また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラは、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体、の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。
この撮影レンズ101としては、本発明に係るレンズ鏡胴を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する。
レンズ鏡胴は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。
カメラに組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、ディジタル画像情報に変換される。
信号処理装置202によってディジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。
この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。
液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。
また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。
なお、先に述べた各レンズの駆動制御のための図21に示す中央演算処理装置501は、中央演算装置204に含まれていても良く、これと連係する他のマイクロプロセッサを用いて構成しても良い。
撮影レンズ101は、カメラの携帯時には図17の(a)に示すように沈胴状態にあってカメラのボディー内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。
ユーザーがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図17の(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラのボディーから突出して撮影状態となる構成とする。
このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。
本発明に係るズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。
シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。
半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラのさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギヤ連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。
例えばファインダ機構がレンズ鏡胴の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。
次に、退避レンズ保持枠を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴の下方に設置することになる(レンズ鏡胴の下方右側かあるいは下方左側)。
この本発明の先行技術では、レンズ鏡胴の下方右側に退避レンズ保持枠のスペースを設置し、レンズ鏡胴の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状レンズ鏡胴の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴の小型化を達成することができる。
以上が、本発明の先行技術に係わるレンズ鏡胴の詳細構成を示す説明である。
次に、本発明の特徴部分について、図29(1)〜図36に基づいて説明する。
〈第3レンズ保持枠31の構成〉
まず、本実施例の第3レンズ保持枠31の構成を図29(1)〜(3)及び図30(1)〜(5)に基づいて説明する。
図29(1)は第3レンズ保持枠31の分解側面図であり、図29(2)は第3レンズ保持枠31の側面図である。
図29及び図30において、311は外枠体、312はプッシャー、313はローテートスライダ、314はスプリング、315はストッパリング部である。特に、図29(2)では、外枠体311を2点鎖線で示し、第3レンズ保持枠31の内部構造を表している。
本実施例の第3レンズ保持枠31は、外枠体311と、プッシャー312と、ローテートスライダ313と、スプリング314と、ストッパリング部315とによって構成されている。
図29(3)は、第3レンズ保持枠31を構成する外枠体311と、プッシャー312と、ローテートスライダ313との係合部分の部分斜視図である。
図30(1)〜(4)は、それぞれ、外枠体311と、プッシャー312と、ローテートスライダ313と、ストッパリング部315との2面図であり、図30(1)及び図30(2)については、(a)が側面図を表し、(b)が光軸方向像側から見た際の正面図であり、図30(3)及び図30(4)については、(b)が側面図を表し、(a)が光軸方向被写体側から見た際の正面図を表している。
図30(5)は、第3レンズ保持枠31の外枠体311に形成されたガイド部311aの部分斜視図であり、図30(1)の(a)におけるA部分を外枠体311の内周壁表面で切断した際の部分断面斜視図である。
図30(1)〜(4)に示すように、外枠体311と、プッシャー312と、ローテートスライダ313とは略円筒形状を呈しており、ストッパリング部315は略リング形状を呈している。
外枠体311の外周面には、第3レンズ保持枠31を収納位置と光軸上位置との間で移動させるためにアーム部311xが取り付けられている。
図29(2)に示すように、外枠体311の内周側にはプッシャー312が摺動可能に内嵌しており、さらにプッシャー312の内周側にはローテートスライダ313が摺動可能に内嵌している。
図30(1)に示すように、外枠体311の内周面側にはガイド部311aが半径方向内向きに向かって一体形成されており、ガイド部311aには光軸方向に長い櫛状嵌合溝311bが等間隔に形成されている。
図30(5)に示すように、櫛状嵌合溝311bを構成する構成面のうち、外枠体311を光軸方向像側から見て、櫛状嵌合溝311bの反時計回り方向側の面を嵌合溝ストッパ面311hとする。
ガイド部311aの光軸方向像側端縁には、鋸歯状波形状を呈した摺接部311cが一周に渡って形成されている。
摺接部311cの光軸方向像側端面には、外枠体311の周方向に対して斜めに傾斜した摺接面311d,311eが設けられ、摺接面311dと摺接面311eとの間には、光軸方向に沿ってストッパ面311fが設けられている。
摺接面311dとストッパ面311fとの間には、光軸方向像側に出角部311gが形成され、ストッパ面311fと摺接面311eとの間には、光軸方向被写体側に入角部311iが形成され、摺接面311eと嵌合溝ストッパ面311hとの間には、光軸方向像側に出角部311jが形成されている。
また、外枠体311の光軸方向被写体側の端部を前端部311kとする。
図30(2)に示すように、プッシャー312の外周面には、櫛状嵌合溝311bに嵌合する嵌合突起312aが設けられており、嵌合突起312aが櫛状嵌合溝311bに嵌合し、櫛状嵌合溝311bに沿って摺動することによって、外枠体311に対してプッシャー312が光軸方向に摺動できるようになっている。
プッシャー312の光軸方向像側端縁には、三角波形状を呈した摺接部312bが一周に渡って形成されている。
摺接部312bの光軸方向像側端面には、プッシャー312の周方向に対して斜めに傾斜した摺接面312c,312dが設けられ、摺接面312c,312dとの間には、光軸方向像側に出角部312eと、光軸方向被写体側に入角部312fとが形成されている。
摺接面312cの斜面の傾きは外枠体311のガイド部311aが有する摺接面311dの傾きと一致しており、摺接面312dの斜面の傾きは摺接面312cの斜面の傾きとは逆の傾きになっている。
摺接部312bの三角波形状のピッチは、嵌合突起312a同士の間隔の半分の長さになっており、光軸方向像側から見て、ストッパ面311fが形成されている位置の光軸方向像側端縁位置より、僅かに反時計回り方向にずれた位置に摺接部312bの出角部312eが位置している。
また、プッシャー312の光軸方向被写体側の端部を前端部312gとし、プッシャー312の光軸方向被写体側の端縁を前端縁312hとする。
図30(3)に示すように、ローテートスライダ313の外周面には、外枠体311のガイド部311aと、プッシャー312の摺接部312bに係合する被ガイド部313aが設けられており、被ガイド部313aは、半径方向外向きに形成されたストッパフランジ部313bと、ストッパフランジ部313bから光軸方向被写体側に伸び、等間隔に形成された櫛状嵌合部313cとによって構成されている。
櫛状嵌合部313cは略直方体形状を呈しており、櫛状嵌合部313c同士の間隔は、外枠体311のガイド部311aが有する櫛状嵌合溝311b同士の間隔に一致している。
櫛状嵌合部313cの光軸方向被写体側端縁には、ローテートスライダ313の周方向に対して斜めに摺接面313dが形成され、摺接面313dの周方向に対する傾きは、ガイド部311aの摺接面311dやプッシャー312の摺接部312bが有する摺接面312cの傾きに一致している。
ローテートスライダ313を光軸方向被写体側から見て、櫛状嵌合部313cの時計回り方向側の端面を被ストッパ面313eとする。また、被ストッパ面313eと摺接面313dとの間には、出角部313fが形成されている。
後述するように、被ストッパ面313eが、外枠体311のガイド部311aが有するストッパ面311fや嵌合溝ストッパ面311hによって係止されると、外枠体311に対するローテートスライダ313の光軸回りの回転が停止するようになっている。
図29(3)に示すように、櫛状嵌合部313cの半径方向の長さは、櫛状嵌合部313cが、外枠体311のガイド部311aと、プッシャー312の摺接部312bとの両方に同時に係合可能なように、ガイド部311aの半径方向の長さや摺接部312bの半径方向の長さより長くなっている。
また、ローテートスライダ313の光軸方向被写体側の端部を前端部313gとする。この前端部313gの内周側には、第3レンズ群13が固定されている。
図30(4)に示すように、ストッパリング部315には、リング状の嵌合部315aが一体に形成されており、嵌合部315aの外周面が、外枠体311の光軸方向像側端部の内周面に嵌合するようになっており、ストッパリング部315は外枠体311に固定されている。
図29(2)に示すように、ローテートスライダ313の被ガイド部313aが有するストッパフランジ部313b光軸方向像側端面と、ストッパリング部315の嵌合部315a光軸方向被写体側端面との間には、圧縮状態でスプリング314が挿入されている。このスプリング314によって、ローテートスライダ313は、外枠体311に対して光軸方向被写体側に向かって常に付勢されている。
〈第3レンズ保持枠31の機能〉
本実施例の第3レンズ保持枠31には、プッシャー312を外枠体311に対して光軸方向像側に向かって押す毎に、第3レンズ群13が固定されているローテートスライダ313が、外枠体311に対して光軸方向被写体側に前進した位置に繰り出す突出状態と、光軸方向像側に後退した位置に引っ込む収納状態とを交互に繰り返す機構を有している。以下、この機構をトグル動作機構と呼ぶことにする。
このようなトグル動作機構を図31(1)〜(6)及び図32(1)〜(6)に基づいて説明する。
図31(1)〜(6)は、本実施例における第3レンズ保持枠31が撮影光軸上にあって、最も光軸方向被写体側に移動した状態を示す側面図である。
また、図32は、図29(3)の分解斜視図であり、図32(1)〜(6)を参照する上での便宜のために掲載したものである。
図32(1)〜(6)は、第3レンズ保持枠31のローテートスライダ313周壁周りの構造を表した図であり、ローテートスライダ313の周壁表面で切断した断面を半径方向内側から半径方向外向きに向かって見た際の側面部分展開図である。
なお、図32(1)〜(6)には、図の煩雑さを避けるために、図の詳部に符号を付していないが、図32に詳部の符号が記載されているので参照されたい。
図31(1)及び図32(1)は、第3レンズ群13が固定されたローテートスライダ313が外枠体311に対して、光軸方向像側に後退した位置に引っ込んだ収納状態を表している。
図31(1)及び図32(1)に示すように、ローテートスライダ313は、外枠体311に対してスプリング314によって光軸方向被写体側に向けて常に付勢されており、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが有する出角部313fが、外枠体311のガイド部311aが有する入角部311iに嵌合し、ローテートスライダ313は外枠体311に対してロックされた状態になっている。このとき、第3レンズ群13は光軸方向像側に後退した位置に引っ込んだ状態になっている。この状態が収納状態に対応している。
次に、外力によってプッシャー312の前端縁312hを光軸方向像側に向けて押圧すると、プッシャー312は外枠体311に対して光軸方向像側に向けて摺動する。
このとき、プッシャー312の摺接部312bが有する出角部312e近傍の摺接面312cが、ローテートスライダ313の被ガイド部313aが有する摺接面313dに当接し、摺接面312cが摺接面313dを光軸方向像側に向けて押圧し、摺接面312cが摺接面313dを押圧する力によって、ローテートスライダ313が外枠体311に対して光軸方向像側に向かって摺動する。
図31(2)及び図32(2)は、図31(1)及び図32(1)に示す状態から、外力によってプッシャー312を光軸方向像側に向けて押し込んだ状態を表している。
図31(2)及び図32(2)に示すように、外枠体311のガイド部311aが有するストッパ面311fと、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが有する被ストッパ面313eとの係合によるロック状態が解除されるまで、ローテートスライダ313が外枠体311に対して光軸方向像側に向かって摺動する。
プッシャー312の摺接部312bが有する摺接面312cと、ローテートスライダ313の被ガイド部313aが有する摺接面313dとは、プッシャー312やローテートスライダ313の周方向に対して同一の傾きをもって斜めに傾いているので、摺接面312cが摺接面313dを押圧する力の周方向の分力によって、被ガイド部313aを介してローテートスライダ313を回転させる回転力が図32(2)における右向きに生じている。
図31(3)及び図32(3)は、図31(2)及び図32(2)に示す状態の直後の状態を表しており、スプリング314の付勢力によってローテートスライダ313が外枠体311に対して回転している状態を表している。
図31(2)及び図32(2)に示すように、ストッパ面311fと被ストッパ面313eとの係合によるロック状態が解除されると、図31(3)及び図32(3)に示すように、ローテートスライダ313を回転させる図32(3)における右向きの回転力によって、ローテートスライダ313の回転が開始され、スプリング314による付勢力によってローテートスライダ313の摺接面313dがプッシャー312の摺接面312cに当接しながら、図32(3)における右向きに摺動し、ローテートスライダ313が光軸回りに光軸方向被写体側から見て時計回りに回転する。
そして、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが外枠体311の櫛状嵌合溝311bに達すると、櫛状嵌合部313cの被ストッパ面313eが櫛状嵌合溝311bの嵌合溝ストッパ面311hに突き当たり、回転を停止すると同時に、櫛状嵌合部313cが櫛状嵌合溝311bに嵌合し、ローテートスライダ313は、スプリング314により光軸方向被写体側に向けて常に付勢されているので、光軸方向被写体側に向けて摺動する。
図31(4)及び図32(4)は、第3レンズ群13が固定されているローテートスライダ313が外枠体311に対して光軸方向被写体側に前進した位置に繰り出した突出状態を表している。
図31(4)及び図32(4)に示すように、ローテートスライダ313は、ローテートスライダ313のストッパフランジ部313b光軸方向被写体側端面が、外枠体311のガイド部311aが有する出角部311gに突き当たるまで一気に摺動し、突き当たって停止する。
この際、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが有する摺接面313dが、プッシャー312の摺接部312bが有する出角部312e近傍の摺接面312cを光軸方向被写体側に向かって押圧して押し上げるので、プッシャー312はローテートスライダ313と共に光軸方向被写体側に向かって摺動し、ローテートスライダ313の前端部313gと、プッシャー312の前端部312gとが、外枠体311の前端部311kから突出した状態になる。
第3レンズ群13は、ローテートスライダ313の前端部313gの内部に固定されているので、このとき、第3レンズ群13は光軸方向被写体側に前進した位置に繰り出した状態になっている。この状態が突出状態に対応している。
次に、外力によってプッシャー312の前端縁312hを光軸方向像側に向けて押圧すると、プッシャー312は外枠体311に対して光軸方向像側に向けて摺動する。
このとき、プッシャー312の摺接部312bが有する出角部312e近傍の摺接面312cが、ローテートスライダ313の被ガイド部313aが有する摺接面313dに当接し、摺接面312cが摺接面313dを光軸方向像側に向けて押圧し、摺接面312cが摺接面313dを押圧する力によって、ローテートスライダ313が外枠体311に対して光軸方向像側に向かって摺動する。
図31(5)及び図32(5)は、図31(4)及び図32(4)に示す状態から、外力によってプッシャー312を光軸方向像側に向けて押し込んだ状態を表している。
図31(5)及び図32(5)に示すように、外枠体311のガイド部311aが有するストッパ面311hと、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが有する被ストッパ面313eとの係合によるロック状態が解除されるまで、ローテートスライダ313が外枠体311に対して光軸方向像側に向かって摺動する。
プッシャー312の摺接部312bが有する摺接面312cと、ローテートスライダ313の被ガイド部313aが有する摺接面313dとは、プッシャー312やローテートスライダ313の周方向に対して同一の傾きをもって斜めに傾いているので、摺接面312cが摺接面313dを押圧する力の周方向の分力によって、被ガイド部313aを介してローテートスライダ313を回転させる回転力が図32(5)における右向きに生じている。
図31(6)及び図32(6)は、図31(5)及び図32(5)に示す状態の直後の状態を表しており、スプリング314の付勢力によってローテートスライダ313が外枠体311に対して回転している状態を表している。
図31(5)及び図32(5)に示すように、ストッパ面311fと被ストッパ面313hとの係合によるロック状態が解除されると、図31(6)及び図32(6)に示すように、ローテートスライダ313を回転させる図32(6)における右向きの回転力によって、ローテートスライダ313の回転が開始され、スプリング314による付勢力によってローテートスライダ313の摺接面313dがプッシャー312の摺接面312cに当接しながら、図32(6)における右向きに摺動し、ローテートスライダ313が光軸回りに光軸方向被写体側から見て時計回りに回転する。
そして、ローテートスライダ313の櫛状嵌合部313cが有する出角部313fが、外枠体311のガイド部311aが有する入角部311iに達すると、櫛状嵌合部313cの被ストッパ面313eが櫛状嵌合溝311bのストッパ面311fに突き当たり、回転を停止すると同時に、外枠体311のガイド部311aが有する入角部311iに嵌合し、ローテートスライダ313は外枠体311に対してロックされた図31(1)及び図32(1)が示す状態に戻る。
図31(1)及び図32(1)に示すように、このとき、第3レンズ群13は光軸方向像側に後退した位置に引っ込んだ状態になっている。この状態が収納状態に対応している。
以上、説明したようなトグル動作機構により、光軸方向像側に向かって加えられる外力によりプッシャー312が押される毎に交互に、図31(1)及び図32(1)に示す収納状態と、図31(4)及び図32(4)に示す突出状態を切り替えることができる。
〈第3レンズ保持枠31の作動方法〉
図33は、本実施例の第3レンズ保持枠31の作動方法を説明するレンズ鏡胴の概念図である。
第3レンズ保持枠31に対して、プッシャー312を光軸方向被写体側から光軸方向像側に押し込み、収納状態にある第3レンズ保持枠31を突出状態にするには、例えば、図33の(a)に示すように、まず、第3レンズ保持枠31を撮影光軸上に位置させて、
次に、図33の(b)に示すように、第3レンズ保持枠31を光軸方向被写体側に前進させ、第3レンズ保持枠31の光軸方向被写体側に突出しているプッシャー312の前端縁312hを、第3レンズ保持枠31を光軸方向被写体側に駆動することによって、シャッタ/絞りユニット15が有するシャッタ面の光軸方向像側端面に押し付け、
次に、図33の(c)に示すように、第2の回転筒24と直進筒27とを光軸方向被写体側に繰り出すと、シャッタ/絞りユニット15は第2の回転筒24と共に光軸方向被写体側に繰り出されるので、シャッタ/絞りユニット15のシャッタ面によるプッシャー312への押圧が解除され、外枠体311に対してローテートスライダ313が光軸方向被写体側に前進した位置に繰り出した突出状態になる。
第3レンズ群13はローテートスライダ313に固定されているので、ローテートスライダ313が突出状態になると、第3レンズ群13より光軸方向像側に位置している第4レンズ群14に対して、収納状態に比べて相対的に距離が遠ざかり、一層高倍率のレンズ系が構成されるようになる。
また、第3レンズ保持枠31に対して、プッシャー312を光軸方向被写体側から光軸方向像側に押し込み、突出状態にある第3レンズ保持枠31を収納状態に戻すには、上述の手順と逆順に作動させればよい。
まず、図33(c)に示すように、第3レンズ保持枠31を光軸方向被写体側に繰り出した状態で待機させて、
図33(b)に示すように、第2の回転筒24と直進筒27とを光軸方向被写体側に繰り出した状態から後退沈胴させて、シャッタ/絞りユニット15を光軸方向像側に駆動することによって、第3レンズ保持枠31の光軸方向被写体側に突出しているプッシャー312の前端縁312hを押圧した状態で停止させて、
次に、図33(a)に示すように、第3レンズ保持枠31を撮影光軸上で光軸方向像側に移動させると、ローテートスライダ313が、外枠体311に対して、光軸方向像側に後退した位置に引っ込んだ収納状態に戻る。
そして、この後、第3レンズ保持枠31の撮影光軸上からの退避と、レンズ鏡筒の沈胴などが行われる。
この他に、図示は省略しているが、第3レンズ保持枠の光軸方向像側にプッシャー312と同様のロック解除機構を設けて、第3レンズ保持枠を光軸方向像側から押圧することによってロック解除が可能になるように構成して、第3レンズ保持枠を光軸方向像側に向かって後退させることによって、第3レンズ保持枠よりも光軸方向像側に設けた突起などに押圧させてロック解除を行い、第3レンズ保持枠を収納状態から突出状態に切り換える方法などがある。
また、第3レンズ保持枠31を撮影光軸上の光軸方向像側で待機させ、鏡胴ベース82に係止するようにした上で、例えば、カメラの使用者が手動で第1レンズ群11を前方から押し込むことで、第1レンズ群11を前方から押し込む使用者の外力が伝達されて、第3レンズ保持枠31から突出しているプッシャー312の前端縁312hを押圧する機構を設けることにより、第3レンズ保持枠プッシャ31cを押し付ける方法などがある。
なお、デジタルカメラ、携帯型情報端末装置、画像入力装置のような装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このようなデジタルカメラ、携帯型情報端末装置、画像入力装置に本発明に係る可動鏡筒を含む光学系装置を採用してもよい。
〈第3レンズ保持枠31の作用効果〉
図34は、従来方式による第3レンズ保持枠の収納状態を示す側面図であり、図35は、本実施例における第3レンズ保持枠の収納状態を示す側面図、図36は、従来方式による第3レンズ保持枠が光軸上で最も光軸方向被写体側に移動した状態を表した側面図である。
ローテートスライダ313は、プッシャー312を介して光軸方向に加えられる外力により押される毎に、交互に、外枠体311に対して光軸方向被写体側に向かって前進した位置と、外枠体311に対して光軸方向像側に向かって後退した位置との間の二位置を採り得る構成とされているので、
沈胴状態ではローテートスライダ313を外枠体311に対して後退した位置に位置させて、レンズ鏡胴が設けられた本体全体の厚さを従来と同程度に保ちつつ、撮影状態ではローテートスライダ313を外枠体311に対して前進した位置に位置させることによって、複数個のレンズ群によって構成されるレンズ系全体の倍率を従来に比べて高倍率にすることができる。
図34と図35とを比較すると、沈胴状態では、従来方式による第3レンズ保持枠と本実施例における第3レンズ保持枠とでは、殆ど収納時の光軸方向の長さが変わらないのに対して、撮影時の突出状態では、図32(4)に示すように、本実施例の第3レンズ保持枠では、図36に示す従来方式の場合に比べて、第3レンズ群13が固定されているローテートスライダ313が前進するストロークの長さ分だけ、一層光軸方向被写体側に繰り出すことができていることがわかる。
このように、本実施例の第3レンズ群13によれば、沈胴状態における第3レンズ保持枠31の光軸方向の長さを増大させることなく、撮影時には第3レンズ群13を光軸方向被写体側に一層繰り出すことができる。
また、これとは逆に、撮影状態ではローテートスライダ313を外枠体311に対して前進した位置に位置させて、この状態における複数個のレンズ群によって構成されるレンズ系全体の倍率を従来と同程度に保ち、沈胴状態ではローテートスライダ313を外枠体311に対して後退した位置に位置させることによって、レンズ鏡胴が設けられた本体の全体の厚さを従来より薄くすることができる。
上述したように、外枠体311に対してプッシャー312を介してローテートスライダ313を押す方向が光軸方向像側に向かう向きであることにより、本体内においてローテートスライダ313よりも光軸方向被写体側にあるものに押し当てることによって、ローテートスライダ313を外枠体311に対して前進した位置と後退した位置との二位置に位置させることができる。
このため、第3レンズ保持枠31より光軸方向被写体側に設けられた可動鏡筒などを利用して、容易にローテートスライダ313の位置を変えることができる。
しかも、第3レンズ保持枠31より光軸方向被写体側に設けられた可動鏡筒により、ローテートスライダ313を光軸方向に押すので、第3レンズ保持枠31駆動部の駆動力が小さくても、外枠体311に対してローテートスライダ313を押し込むことができる。
また、第3レンズ保持枠の光軸方向像側にプッシャー312と同様のロック解除機構を設けた場合には、外枠体311に対してプッシャー312を介してローテートスライダ313を押す方向が光軸方向被写体側に向かう向きであることにより、本体内においてローテートスライダ313よりも光軸方向像側にあるものに押し当てることによって、ローテートスライダ313を外枠体311に対して前進した位置と後退した位置との二位置に位置させることができる。
これにより、ローテートスライダ313が外枠体311に対して前進した位置に移動する際に、第3レンズ保持枠31よりも光軸方向被写体側にあるレンズ保持枠などとの干渉が回避できるため、ローテートスライダ313を一層光軸方向被写体側に前進して位置させることができる。
更に、レンズ鏡胴よりも光軸方向像側に固定された突起によって第3レンズ保持枠31を係止した状態でローテートスライダ313を押せるので、安定してローテートスライダ313を押し込むことができる。
いずれの場合にも、第3レンズ保持枠31を駆動することにより、外枠体311に対してローテートスライダ313を光軸方向に押すので、別途、動力を設ける必要がない。
また、使用者が押す力を利用してプッシャー312を介してローテートスライダ313を押す場合には、第3レンズ保持枠31駆動部の駆動力や第3レンズ保持枠31より光軸方向被写体側にある可動鏡筒を駆動する駆動力が小さくてもローテートスライダ313を押すことができる。
更に、デジタルカメラ、携帯型情報端末装置、画像入力装置などに本発明に係る可動鏡筒を含む光学系装置を採用すれば、従来に比べて薄型のデジタルカメラ、携帯型情報端末装置、画像入力装置などを提供することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づき詳述してきたが、この具体的な構成に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本実施例では、第3レンズ保持枠31が有するトグル動作機構によって、第3レンズ保持枠31に対するローテートスライダ313の突出長さが交互に変わる機構を示したが、退避レンズ保持枠が光軸方向に摺動可能な可動筒を有し、可動筒には少なくとも一つのレンズ群が設けられ、可動筒を光軸方向に押圧する毎に、退避レンズ保持枠に対する可動筒の突出長さが交互に入れ替わるような機構であれば他の機構であってもよい。
また、本実施例では、トグル動作機構によって、収納状態と突出状態との2段階の繰り出し機構が用いられたが、必ずしも2段階の繰り出し機構である必要はない。3段階でもよいし、他段階であってもよい。