JP2011164392A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】退避レンズを撮影光軸上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができるレンズ鏡胴を提供する。
【解決手段】沈胴状態から撮影状態とすべく複数のレンズ保持枠と可動レンズ鏡胴とレンズ保持枠駆動手段とを備え、各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸OA上に位置させかつ沈胴状態では退避レンズ(13)を撮影光軸OA外に退避させるべく、当該レンズ群を移動可能に保持しつつ可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材(33)に当接することにより退避レンズを光軸OA上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠(31)を含むレンズ鏡胴10である。可動レンズ鏡胴の内部には、退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部92は設けられ、退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、位置決め部材に当接する前に、先行受部92に当接する先行当接部91が設けられる。
【選択図】図22

Description

本発明は、1つの形態ではレンズ群を沈胴し、他の1つの形態ではレンズ群を所定位置まで繰り出して使用するレンズ鏡胴に関し、特に複数のレンズ群を相対的に移動させて焦点距離を変更することができるズームレンズに好適なレンズ鏡胴、カメラ、携帯型情報端末装置および画像入力装置に関する。
従来から、デジタルカメラ等の撮影装置では、ズームレンズ等の撮影レンズの高性能化、ユーザー要求による小型化等の進展にしたがって、撮影時以外には可動鏡胴がカメラ本体内部に沈胴するタイプの撮影レンズを有するものが要求されている。
また、更なるカメラ本体(撮影装置)の薄型化の要求により、沈胴収納状態での可動鏡筒部分の撮影光軸方向の寸法を極限にまで小さくすることが重要視されている。
このようなカメラ本体の薄型化の要請により、従来、可動鏡筒のカメラ本体内部への沈胴収納時に、その少なくとも一部のレンズ群を撮影光軸から退避させる技術が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
これらの技術では、可動鏡筒の収納時に、レンズ群の一部が撮影光軸から退避するので、可動鏡筒の撮影光軸方向の寸法を小さくすることができ、カメラ本体(撮影装置)の薄型化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された技術では、退避レンズであるレンズ群を撮影光軸上の位置へと挿入する際、その退避レンズを保持する保持枠を位置決め部材に当接係合させることにより、当該保持枠の移動を止めつつそのレンズ群を撮影光軸上の位置に位置決めするので、その当接に起因する衝突音が発生する懸念がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、退避レンズを撮影光軸上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができるレンズ鏡胴を提供することを目的とする。
請求項1に記載のレンズ鏡胴は、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを前記可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持しつつ前記可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材に当接することにより前記退避レンズを光軸上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、前記可動レンズ鏡胴の内部には、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部が設けられ、前記退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、前記位置決め部材に当接する前に、前記先行受部に当接する先行当接部が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載のレンズ鏡胴は、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを光軸外に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持しつつ前記可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材に当接することにより前記退避レンズを光軸上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、前記退避レンズ保持枠は、前記位置決め部材に対して光軸方向に相対的に移動可能であり、前記可動レンズ鏡胴の内部には、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部が設けられ、前記退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、前記位置決め部材に当接する前に、前記先行受部に当接する先行当接部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載のレンズ鏡胴は、請求項1に記載のレンズ鏡胴であって、前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動を停止させることなく互いに当接することを特徴とする。
請求項4に記載のレンズ鏡胴は、請求項3に記載のレンズ鏡胴であって、前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の移動方向に対して傾斜する傾斜面で当接することを特徴とする。
請求項5に記載のレンズ鏡胴は、請求項2に記載のレンズ鏡胴であって、前記先行受部と前記先行当接部とは、光軸方向に対して傾斜する傾斜面で当接することを特徴とする。
請求項6に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記位置決め部材は、金属材料で形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記先行受部は、衝撃吸収材料で形成されていることを特徴とする。
請求項8に記載のレンズ鏡胴は、請求項7に記載のレンズ鏡胴であって、前記衝撃吸収材料は、樹脂材料であることを特徴とする。
請求項9に記載のレンズ鏡胴は、請求項7に記載のレンズ鏡胴であって、前記衝撃吸収材料は、ゴム材料であることを特徴とする。
請求項10に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記先行受部と前記先行当接部との少なくとも一方には、互いが当接する箇所に衝撃吸収部材が設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載のレンズ鏡胴は、請求項10に記載のレンズ鏡胴であって、前記衝撃吸収部材は、ゴム材料で形成されたシート部材であることを特徴とする。
請求項12に記載のレンズ鏡胴は、請求項10に記載のレンズ鏡胴であって、前記衝撃吸収部材は、起毛材料で形成されていることを特徴とする。
請求項13に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項14に記載のデジタルカメラは、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項15に記載の携帯型情報端末装置は、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項16に記載の画像入力装置は、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項1および請求項2に記載の撮像装置では、退避レンズを光軸上の撮影状態とする際、先ず退避レンズ保持枠の先行当接部と先行受部とが当接し、その後に退避レンズ保持枠が位置決め部材と当接することにより、退避レンズ保持枠の移動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができるので、退避レンズを撮影状態とすることに起因する衝突音を抑制することができる。
上記した構成に加えて、前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動を停止させることなく互いに当接することとすると、退避レンズ保持枠の移動に伴う運動エネルギーをより確実に2回に分けて吸収することができるので、先行当接部と先行受部との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の移動方向に対して傾斜する傾斜面で当接することとすると、退避レンズ保持枠の移動に伴う運動エネルギーの一部を逃がしつつ他部を吸収するように当接することができるので、先行当接部と先行受部との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記先行受部と前記先行当接部とは、光軸方向に対して傾斜する傾斜面で当接することとすると、互いに当接することにより退避レンズ保持枠を位置決め部材に対して移動可能な光軸方向へと案内することができ、退避レンズ保持枠の移動に伴う運動エネルギーの一部を逃がしつつ他部を吸収することができるので、先行当接部と先行受部との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記位置決め部材は、金属材料で形成されていることとすると、金属材料からなる位置決め部材に退避レンズ保持枠が当接するので、退避レンズを高い位置決め精度を確保しつつ、位置決め部材と退避レンズ保持枠との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記先行受部は、衝撃吸収材料で形成されていることとすると、先行当接部と先行受部との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記衝撃吸収材料は、樹脂材料であることとすると、先行受部を容易に形成することができる。
上記した構成に加えて、前記衝撃吸収材料は、ゴム材料であることとすると、先行受部を容易に形成することができる。
上記した構成に加えて、前記先行受部と前記先行当接部との少なくとも一方には、互いが当接する箇所に衝撃吸収部材が設けられていることとすると、先行当接部と先行受部との当接に起因する衝突音を低減することができる。
上記した構成に加えて、前記衝撃吸収部材は、ゴム材料で形成されたシート部材であることとすると、先行受部および先行当接部の少なくとも一方を容易に形成することができる。
上記した構成に加えて、前記衝撃吸収部材は、起毛材料で形成されていることとすると、先行受部および先行当接部の少なくとも一方を容易に形成することができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる撮像装置では、従来よりも作動時の騒音を小さくすることができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いるデジタルカメラでは、従来よりも作動時の騒音を小さくすることができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる携帯型情報端末装置では、従来よりも作動時の騒音を小さくすることができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる画像入力装置では、従来よりも作動時の騒音を小さくすることができる。
レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10部分の構成を物体側から見た斜視図である。 図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズバリアを閉じた沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を物体側から見た斜視図である。 図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態Pにおいて開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴10部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態Pにおけるレンズ鏡胴10部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態Dにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出した撮影状態Pにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 レンズ群を突出した(a)望遠位置状態(撮影状態P)と沈胴させて収納した沈胴収納状態D(単に沈胴状態ともいう)およびレンズ群を突出した(b)広角位置状態(撮影状態P)のレンズ鏡胴10における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡胴10の要部をそれぞれ示す縦断面図である。 第2の回転筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図である。 カム筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図である。 第1のライナーに形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開しかつヘリコイドを省略して模式的に示す展開図である。 固定枠の固定筒部に形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開しかつヘリコイドを省略して模式的に示す展開図である。 ヘリコイドを含む詳細図である。 ヘリコイドに嵌合する第1の回転鏡胴の斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す側面図である。 図14(a)の斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を模式的に示す斜視図である。 第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を結像面側から見た正面図である。 シャッタ部分を主として示す斜視図である。 本発明に係るレンズ鏡胴10が用いられたカメラの外観構成を模式的に示す物体側から見た斜視図であり、(a)は撮影レンズをカメラのボディー内に沈胴収納している状態、(b)は撮影レンズがカメラのボディーから突出している状態を示している。 図17のカメラの外観構成を模式的に示す撮影者側から見た斜視図である。 図17のカメラの機能構成を模式的に示すブロック図である。 第4レンズ保持枠の構成を説明するための説明図であり、(a)は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系の要部の構成を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その一部を省略し、角度を変えて見た状態を示す斜視図である。 駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図である。 実施例1における鏡胴ベース82上での第3レンズ保持枠31の回動の構成を説明するための説明図であり、模式的な斜視図で示している。 第3レンズ保持枠31の構成を説明するための模式的な斜視図である。 鏡胴ベース82上での第3群副ガイド軸33および先行受部92の構成を示す模式的な斜視図である。 実施例1における段差部31c内での第3群雌ねじ部材35の作用説明図であり、(a)はカムピン(当接部)が退避開始位置での状態を示し、(b)はカムピン(当接部)が退避開始位置と収納位置との間での移行状態を示し、(c)カムピン(当接部)が収納位置での状態を示している。 第3群雌ねじ部材35(当接部35a)の高さ位置に対する作用を説明するための説明図である。 第3レンズ保持枠31が収納位置と撮影位置との間で回動する際の作用を説明する図面であり、先行当接部91(傾斜面91a)と先行受部92(傾斜受面92a)とが当接した際の第3群副ガイド軸33とストッパ31aとの位置関係を示している。 図27と同じ場面における先行当接部91(傾斜面91a)と先行受部92(傾斜受面92a)との位置関係を示す説明図である。 第3レンズ保持枠31が図27から少し撮影位置側へと回動した様子を示す図27と同様の説明図である。 図29と同じ場面における先行当接部91(傾斜面91a)と先行受部92(傾斜受面92a)との位置関係を示す説明図である。 第3レンズ保持枠31が収納位置と撮影位置との間で回動する際の作用を説明する図面であり、第3群副ガイド軸33とストッパ31aとが当接した際の位置関係を示している。 図31と同じ場面における先行当接部91(傾斜面91a)と先行受部92(傾斜受面92a)との位置関係を示す説明図である。 音の強度Iの時間的な変化を示す模式的なグラフであり、(a)は本願発明における2回の当接により回動を止める構成で発生する衝突音に対応する例であり、(b)は1回の当接により回動を止める構成で発生する衝突音に対応する例である。 実施例2に係るレンズ鏡胴10Aにおける第3レンズ保持枠31Aの先行当接部91Aの構成を説明するための図28と同様の模式的な断面図である。 実施例3に係るレンズ鏡胴10Bにおける鏡胴ベース82の先行受部92Bの構成を説明するための図28と同様の模式的な断面図である。 実施例4に係るレンズ鏡胴10Cにおける鏡胴ベース82上での第4レンズ保持枠41Cの回動の構成を説明するための説明図であり、模式的な斜視図で示している。 第4レンズ保持枠41Cの構成を説明するための模式的な斜視図である。 鏡胴ベース82上での第4群主ガイド軸44および先行受部902の構成を示す模式的な斜視図である。 第4レンズ保持枠41Cが収納位置と撮影位置との間で回動する際の作用を説明する図面であり、先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが当接した様子を示している。 第4レンズ保持枠41Cが図39から少し撮影位置側へと回動した様子を示す図39と同様の説明図である。 第4レンズ保持枠41Cが収納位置と撮影位置との間で回動する際の作用を説明する図39と同様の図面であり、第4群主ガイド軸44とストッパ908とが当接した様子を示している。 実施例5に係るレンズ鏡胴10Dにおける第4レンズ保持枠41Dの先行当接部901Dの構成を説明するための図39と同様の模式的な断面図である。 実施例6に係るレンズ鏡胴10Eにおける鏡胴ベース82の先行受部902Eの構成を説明するための図39と同様の模式的な断面図である。
以下に、本願発明に係る撮像装置の発明の実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係るレンズ鏡胴の一例としての実施例1のレンズ鏡胴10を、図1ないし図21を用いて説明する。なお、図1〜図16および図20は、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1〜図16および図20において、レンズ鏡胴10を含む光学系装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝突防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38(図14(b)、図16(a)参照)、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43(図7、図8参照)、第4群主ガイド軸44、第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、ズームモータ51(図1参照)、第3群モータ52、第4群モータ53、バリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、ギア71,72,73,74、押さえ板81、および鏡胴ベース82を具備している。なお、ズームモータ51はスプラインギア等と共に可動レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段として機能する。また、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、および直進筒27は、可動レンズ保持枠として機能する。
図9を参照して、撮影状態Pについて説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、被写体である物体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13の間に、シャッタ/絞りユニット15が挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、撮像素子であるCCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、該第1レンズ群11を一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。この第1レンズ群11は、複数のレンズのうちの対物側に位置されるレンズ(対物レンズ)を有することとなる。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなる。この第2レンズ群12は、それらを一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロアが、図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含むものである。このシャッタ/絞りユニット15は、そこに一体的に形成されたカムフォロアが図11に示すカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21は、内方に円筒形状の固定筒部21aを有する。この固定筒部21aの内面には、図13(a)および図13(b)に示すように、軸方向に沿う直進溝およびカム溝が形成されている。そのヘリコイド状のカム溝には、図13(c)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロアが係合しており、固定枠21の固定筒部21aの直進溝には、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。第1の回転筒22の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)が係合している。第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロアを挿通するための逃げ溝が形成されている(図12参照)。
第2の回転筒24の基端部の外周面には、ヘリコイドが形成され、当該ヘリコイドが第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合している。また、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面には、カムフォロアが突設され、当該カムフォロアが第1のライナー23のカムフォロアの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。第1のライナー23の内周に設けられた直線溝(図12参照)には、第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。第2の回転筒24の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝(図10参照)が形成され、当該案内溝が第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)に係合している。このような構成により、第2のライナー25と第2の回転筒24とは、光軸方向に一体的に移動するとともに、光軸回りに相対的な回転移動が可能とされている。
第2のライナー25の内周には、カム筒26が嵌合されている。このカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されている。この案内溝には、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)が係合している。このような構成により、カム筒26と第2のライナー25とは、光軸方向に一体的に移動するとともに、光軸回りに相対的な回転移動が可能とされている。
その第2のライナー25と第2の回転筒24との間には、直進筒27の基端部側が挿入されている。この直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロアが突設され、当該カムフォロアが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝(図10参照)に係合している。また、直進筒27の内周面には、軸方向に沿って直進溝が形成され、当該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。第1の回転筒22の基端部外周には、ギア部が形成されている。この第1の回転筒22は、そのギア部に螺合された適宜ギアを介して、ズームモータ51の駆動力がギア伝達されて回動される。これにより、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、直進筒27のカムフォロアに係合する第2の回転筒24のカム溝が図10に示されている。第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロアに係合するカム筒26のカム溝およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロアに係合するカム筒26のカム溝が図11に示されている。第2の回転筒24のカムフォロアのための第1のライナー23の逃げ道および第2のライナー25のキー部に係合する第1のライナー23の直線溝が図12に示されている。そして固定筒部21aの第1のライナー23のキー部に係合する固定枠21の直進溝、第1の回転筒22のカムフォロアに係合する固定枠21のカム溝が図13((a)および(b))にそれぞれ示されている。
第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端(後述する第3レンズ保持部93)に第3レンズ群13を保持しており、他端(後述する第3レンズ保持枠回動基部95)が回動可能にかつスライド移動可能に第3群主ガイド軸32に挿通されている。この第3群主ガイド軸32は、第3レンズ群13の光軸と実質的に平行に設けられている。第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態Pにおける撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、図7に示すように沈胴収納状態Dにおける第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D)との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。第3レンズ保持枠31が、収納位置すなわち撮影光軸OA上から退避された退避位置とされる際に、固定枠21内で固定筒部21aの外方の収容個所が収容空間21b(図16(a)参照)であり、この収容空間21bと固定筒部21aの内方とが固定筒部21aに形成された切欠開口21c(図16(a)参照)により連通されている。第3レンズ保持枠31の回動端側の第3レンズ群13の近傍には、この場合回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部(後述する第3レンズ保持枠アーム部94)が形成され、その屈曲部からほぼ回動端方向にストッパ31a(図15参照)および遮光片31bが突設されている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、より被写体側へ繰り出した位置となる。但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴10の撮影光軸OA方向長さの制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。しかしながら、ストッパ31aの撮影光軸OA方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまいすなわち撮影光軸OA方向で見た第3レンズ保持枠31の厚さ寸法が大きくなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴10が大きくなってしまう。その第3群副ガイド軸33は、金属材料からなる棒状を呈し、撮影光軸OA方向に延在するように鏡胴ベース82に設けられている。このことにより、ストッパ31aを可能な限り合焦位置側(固体撮像素子16側)に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31を、クランク状屈曲部(後述する第3レンズ保持枠アーム部94)を有する形状に形成している。なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
図14(a)、(b)に示すように、第3レンズ保持枠31が退避位置の状態(沈胴収納状態D)では第3群リードスクリュー34に螺合している第3群雌ねじ部材35は最も像面側(固体撮像素子16側)に位置している。また、この状態では、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て反時計方向(撮影光軸OAへの進入方向)のモーメントを常に第3レンズ保持枠(その後述する第3レンズ保持枠回動基部95)に与えている。第3レンズ保持枠31の第3群主ガイド軸32に支持されている部分(後述する第3レンズ保持枠回動基部95)の円筒状の外周面には、図14(a)に示すような段差部31cの基端側内面にカム斜面形状のカム部31eが形成されている。この状態から第3群モータ52を図14(b)における時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介して第3群リードスクリュー34が時計方向に回転し、第3群雌ねじ部材35が撮影光軸OA方向に沿って被写体側へ移動する。この際には、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、第3レンズ保持枠31が反時計方向に回転し、そのカム部31eが第3群雌ねじ部材35の当接部35a(その後述する当接辺部35e)に当接係合している。その後、第3群雌ねじ部材35がもっとも被写体側へ移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としての第3群フォトインタラプタ38から外れるまで移動するので、第3群フォトインタラプタ38からは、L(低レベル)からH(高レベル)への基準信号が発生する。第3レンズ群13は、第3群フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
この状態より、第3群雌ねじ部材35を図14(a)のB位置まで移動すると、第3レンズ保持枠31がさらに反時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図16(a)に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の撮影光軸OA上位置が規定される。これにて第3レンズ群13の撮影光軸OA方向への進入動作が完了する。なお、遮光片31bは、図14(b)および図16(a)に示す第3群フォトインタラプタ38を遮光することにより、第3レンズ保持枠31が収納位置にあることが検知確認できるようになっている。また、第3群雌ねじ部材35が図14(a)のB位置まで移動すると、第3群雌ねじ部材35の当接部35a(その後述する上面35c)が第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接係合する。すなわち、第3レンズ保持枠31の段差部31cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部31eを有し、前端側に第3群主ガイド軸32とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部31dを有して円筒周面に対して凹状をなしている。第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、収納位置から撮影光軸OA上位置(撮影位置)へ向かう回動方向に常時付勢(以下、回動付勢ともいう)されるとともに、第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向)に常時付勢(以下、直進付勢ともいう)されている。
なお、図14(b)に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、図示のように圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、第3群雌ねじ部材35が広角位置(図14(a)のW位置)まで移動する際は、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合部31dを被写体側(物体側)へ押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで撮影光軸OA方向に沿って被写体側(物体側)へ移動することが可能となる。
また、第3群雌ねじ部材35が図14(a)のB位置から望遠位置(図14(a)のT位置)までの間に位置している間は、圧縮トーションスプリング37によって、撮影光軸OA方向に沿って像面側へと常に押圧されている。このため、第3群リードスクリュー34や第3群雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間は、総て像面側へ寄せられている。よって、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA方向についての位置精度を確保できるようになっている。
第3群雌ねじ部材35は、撮影光軸OAに実質的に平行に配設された第3群リードスクリュー34に螺合し、上述した当接部35aと回転止め突起部35b(図15参照)とを有する。当接部35aは、第3レンズ保持枠31の段差部31c内において、前側係合部31dまたはカム部31eに当接している。回転止め突起部35bは、固定枠21の固定筒部21aに形成された撮影光軸OA方向に平行なガイド溝(図示せず)に嵌合摺動するものであり、第3群リードスクリュー34の回転に伴って第3群雌ねじ部材35が回ってしまうことを防止する回転止めとして機能する。すなわち、第3群雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、撮影光軸OAに沿って進退移動する。
図14(a)に詳細に示すように、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転)により、第3群雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、圧縮トーションスプリング37による撮影光軸OA方向の像面側への直進付勢により、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが当接係合面(後述する上面35c)にて第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接しているので、第3レンズ保持枠31が物体側から像面側へと漸次移動する。このとき、第3レンズ保持枠31は、圧縮トーションスプリング37から撮影光軸OA上位置への回動付勢力を受けているので、第3群副ガイド軸33に規制された撮影光軸OA上位置を維持する。なお、第3群雌ねじ部材35が退避開始位置Bに達すると、第3レンズ保持枠31の基端面31fが押さえ板81に当接する。
第3群雌ねじ部材35が、図14(a)のB位置よりも、さらに像面側(図示左側)へ移動すると、第3群雌ねじ部材35の当接部35a(後述する上面35c)が前側係合部31dから離間して、(後述する当接辺部35eが)段差部31cのカム部31eに当接係合する。このとき、第3レンズ保持枠31(その基端面31f)は、圧縮トーションスプリング37による撮影光軸OA方向の像面側への付勢により押さえ板81に接触しており、かつ圧縮トーションスプリング37による反時計回動方向の付勢力を受けている。第3群雌ねじ部材35が、さらに像面側へ移動すると、当接係合する当接部35a(その後述する当接辺部35eが)とカム部31eとの案内作用により、撮影光軸OA方向で見て押さえ板81に接触した位置で、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37による反時計回動方向の付勢力に抗して時計方向に回転するので、退避動作を行う事が可能となる。
すなわち、第3群雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sまで移動する間は、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに摺接して、第3レンズ保持枠31を圧縮トーションスプリング37による回動付勢力に抗して回動させることにより、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA上位置から収納位置21b(図16(a)参照)へ回動する。第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなる第3群フォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置への移動が許可される。この収納位置が、第3レンズ保持枠31の回動により第3レンズ群13を撮影光軸OA上から退避された状態の退避位置となる。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(図示せず)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第4レンズ保持枠41の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、第3群フォトインタラプタ38(図16(a)参照)によるHからLとなる収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ第3群雌ねじ部材35が像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23の内方、すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品を、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込むようにしたりする。これは、第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となることによる。これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いてズームモータ51を構成した実施例1では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギアとこの近傍に設置された例えばフォトインタラプタ51a(図1参照)からなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定している。なお、実施例1では、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、図2、図7および図8等に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、第3レンズ保持枠31との係合が可能な係合突起36bを有する。この衝突防止片36は、スプリング等の付勢手段により、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸OA側へ突出させる回動方向に常時付勢されている。この付勢手段による衝突防止片36への回動付勢力は、圧縮トーションスプリング37による第3レンズ保持枠31への回動付勢力よりも小さなものとされている。このため、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31が収納位置に位置しているときは、係合突起36bに係合する当該第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている(図2および図7等参照)。また、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31が回動して撮影光軸OA上位置に移動すると、第3レンズ保持枠31と係合突起36bとの係合が解除され、上記した付勢手段からの付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸OA側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定筒部21a(図9参照)内面から突出させる(図8参照)。このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも物体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(図5、図6および図8等参照)。
このような構成とすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片36(係止突起36a)が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、撮影光軸OA方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。なお、第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡胴10の一部分(可動鏡筒の一部分)が突出している撮影状態Pにおいて、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止することができる。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図20(a)、(b)を参照して説明する。
実施例1の場合、第4レンズ群14は、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる。この第4レンズ群14は、図20(a)、(b)等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。第4レンズ保持枠41は、スリーブ部41aと回転止め部41bとを有する。スリーブ部41aは、鏡胴ベース82に固定されかつ撮影光軸OAに平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合する。回転止め部41bは、撮影光軸OAに平行でかつ鏡胴ベース82に固定された第4群副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する。このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち撮影光軸OA方向に沿って自由に移動することが可能となっている。第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源として、実施例1では、ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられている。この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。
第4レンズ保持枠41には、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間が設けられている。この空間は、像側に撮影光軸OAに垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有して形成されている。この空間に挿入された第4レンズ保持枠41は、第4群スプリング43によって被写体側に常時付勢されており、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを有する。この突出部46aは、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を有している。
このような構成により、第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が第4群リードスクリュー45の延在方向すなわち撮影光軸OA方向に沿って、進退移動する。第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して撮影光軸OAに沿って移動する。なお、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギア等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしてもよい。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置として認識し、その位置から任意のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを撮影光軸OA方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、撮影光軸OA方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、撮影光軸OA方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、固定枠21に設置されたフォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギアとこの近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。収納時、第4レンズ保持枠41は、上述したように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接しそれを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の撮影光軸OA方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の撮影光軸OA方向長さが、第4群雌ねじ部材46の厚みよりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
ここで、このレンズ鏡胴10を構成する各レンズ群は、図21に示す駆動制御系により駆動制御される。この図21は、駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図である。
図21の駆動制御系は、中央演算処理装置501、モータドライバ502、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507、第4群パルスモータ508、第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、第4群フォトインタラプタ512、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を有している。
中央演算処理装置501は、モータドライバ502に対して、モータドライバ502の初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令に従って、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508等のモータ系を制御する。第1〜第2群DCモータ503は、第1群レンズ系11および第2群レンズ系12を駆動する。第1群レンズ系11および第2群レンズ系12は、通常の場合、第1〜第2群DCモータ503の駆動力に応動するカム機構を介してそれぞれ独立に駆動する。第1の絞りモータ504および第2の絞りモータ505は、シャッタ/絞りユニット15の絞りを駆動する。シャッタモータ506は、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを駆動する。第3群パルスモータ507は、第3群レンズ系13を駆動する。第4群パルスモータ508は、第4群レンズ系14を駆動する。
また、中央演算処理装置501は、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置検出装置としての第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512に対する駆動電源供給を行い、かつこれら第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512で検出された位置情報信号を取得する。第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516は、さらに第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512の各投光電流および各出力信号レベルを適正に制御する機能を有している。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令を受けて、該命令を実行し、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508のうちの選択されたモータに対して、指定電圧の設定をし、駆動命令タイミングに応じて駆動制御を行う。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体から遠い側には、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されており、この固体撮像素子16の入力面上に被写体像を結像すべく構成されている。固体撮像素子16の入力面側には、カバーガラス18およびローパスフィルタ19が設けられている。また、固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じて各種光学フィルタやその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3ないし図5に示すレンズバリア62は、沈胴収納状態Dにおいて、第1レンズ群11の物体側を覆い、レンズ群を汚損や損傷から保護する。レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸OAに直交する方向に進退駆動される。図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。バリア駆動系63は、バリア操作部301(図17(a)参照)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4参照)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸OAから遠ざかった位置)との間で、駆動する。このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなくむしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、レンズバリア62を開放方向の固定枠21の側部に撮影光軸OAに沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により物体側へ付勢されている。沈胴収納状態Dにおいては、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面にバリア制御片61の屈曲形成された係合部が係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。撮影状態Pにおいては、レンズバリア62は、各レンズ群およびそれらの保持枠等から完全に離れている。この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって物体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で沈胴収納状態Dへ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴10にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴10部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。各レンズ群が収納され、沈胴収納状態Dとなれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴10の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述したレンズ鏡胴においては、第3レンズ群13を、撮影光軸OA外に退避させる構成とした一例について説明した。この実施例1の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を撮影光軸OA外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち撮影光軸OA方向でみた厚さ寸法を小さくすることができる。さらに、絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の撮影光軸OAに垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
この場合、レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3群レンズ群および正のパワーを持つ第4レンズ群の4群で構成され、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を変化させることで変倍を行い、第4レンズ群を移動させることで像面の位置を撮像面に補正することで合焦を行っている。絞り機能を併せ持つシャッタは、第3レンズ群の前に位置する。レンズ構成を4群構成とし第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、像面からなるべく離れず外径が最も小さいレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡胴投影サイズが小さく厚みの薄い鏡胴とすることができる。また、変倍比4倍以上で4群レンズ構成の第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、高変倍比を実現しつつ鏡胴サイズ(投影サイズ、厚さ)を小さくしたレンズ鏡胴10を提供することができる。レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群を退避レンズ群としてもよい。各レンズ群は、それぞれ1枚以上のレンズによって構成すれば良く、ここでいう、レンズ群とは、一体的に動く1枚以上のレンズを指している。したがって、全てのレンズ群をそれぞれ1枚のレンズにより構成してもよい。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラ(撮像装置)を構成した例について図17〜図19を参照して説明する。図17は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、図18は、撮影者側である背面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、図19は、カメラの機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラについて説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。また、同様に、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を画像入力装置に採用してもよい。
図17および図18に示すように、カメラは、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。さらに、図19に示すように、カメラは、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラは、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、実施例1において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラに組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、ディジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってディジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。なお、先に述べた各レンズの駆動制御のための図21に示す中央演算処理装置501は、中央演算装置204に含まれていても良く、これと連係する他のマイクロプロセッサを用いて構成しても良い。
撮影レンズ101は、カメラの携帯時には図17の(a)に示すように沈胴状態にあってカメラのボディー内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。ユーザーがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図17の(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラのボディーから突出して撮影状態Pとなる構成とする。このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。実施例1のズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸OA上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラのさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴10がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギア連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。例えばファインダ機構がレンズ鏡胴10の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴10の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。次に、第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠)31を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴10の下方に設置することになる(レンズ鏡胴10の下方右側かあるいは下方左側)。この実施例では、レンズ鏡胴10の下方右側に第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠)31のスペースを設置し、レンズ鏡胴10の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状のレンズ鏡胴10の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴10の小型化を達成することができた。
次に、実施例1の特徴部分について、図22ないし図32を用いて説明する。なお、図27、図29、図31では、第3レンズ保持枠31に関しては図23のI−I線に沿って得られた断面に相当し、かつ鏡胴ベース82上の構成に関しては、図24のIII−III線に沿って得られた断面に相当する。また、図28、図30、図32では、第3レンズ保持枠31に関しては図23のII−II線に沿って得られた断面に相当し、かつ鏡胴ベース82上の構成に関しては、図24のIV−IV線に沿って得られた断面に相当する。さらに、図23では、理解容易のために、遮光片31bを省略して示している。
実施例1のレンズ鏡胴10では、図22に示すように、第3レンズ保持枠31に先行当接部91が設けられるとともに、鏡胴ベース82に先行受部92が設けられている。
この先行当接部91が設けられた第3レンズ保持枠31は、樹脂材料からなり、図23に示すように、第3レンズ保持部93と、第3レンズ保持枠アーム部94と、第3レンズ保持枠回動基部95と、を有する。
第3レンズ保持枠回動基部95は、全体に円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に回転可能にかつ撮影光軸OA方向に移動可能に支承されている(図22参照)。第3レンズ保持枠回動基部95は、前述したように、圧縮トーションスプリング37により、収納位置(沈胴収納状態D)から撮影光軸OA上位置の撮影位置(撮影状態P)へ向かう回動方向に常時回動付勢される(図16(a)参照)とともに、第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向(図14(a)では正面視左側))に常時直進付勢されている。このため、第3レンズ保持枠回動基部95は、第3群雌ねじ部材35から前方へ押圧力をうけていない場合、すなわち第3群雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sの間に位置されている(図14(a)参照)場合、第3群主ガイド軸32上における移動範囲内における最も後方側(図14(a)では左側)に位置されることとなる。この第3レンズ保持枠回動基部95に連続されているのが第3レンズ保持枠アーム部94である。このことから、圧縮トーションスプリング37は、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31の回動基部を構成する回動筒体としての第3レンズ保持枠回動基部95への付勢力を付与する筒体付勢手段として機能する。
第3レンズ保持枠アーム部94は、第3レンズ保持枠回動基部95と第3レンズ保持部93とを繋いでおり、第3レンズ保持枠31におけるアーム部を構成している。第3レンズ保持枠アーム部94は、中間位置が第3群主ガイド軸32と平行方向に延在する全体にクランク状の屈曲部を構成している。この一端側に第3レンズ保持部93が連続されている。
第3レンズ保持部93は、第3レンズ保持枠31における一端側に位置されており、第3レンズ群13を保持している。第3レンズ保持部93は、全体に円筒形状を呈する枠部材である。
先行当接部91は、第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持枠アーム部94において、クランク状の屈曲部から突出した設けられたストッパ31aに隣接して設けられている。この先行当接部91は、屈曲部の基端箇所が切り欠かれて形成されており、傾斜面91aを有する。ここで、第3レンズ保持枠31の回動方向(図25の矢印A1参照)において、収納位置(沈胴収納状態D)から撮影光軸OA上位置の撮影位置(撮影状態P)へ向かう側を正側とする。先行当接部91の傾斜面91aは、被写体である物体側へ向かうにしたがって回動方向正側へと張り出すように、第3レンズ保持枠31の回動軸となる第3群主ガイド軸32の延在方向(実施例1では撮影光軸OA方向)に対して傾斜されている。
先行受部92は、図24に示すように、鏡胴ベース82において第3群副ガイド軸33に隣接して設けられている。この先行受部92は、退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置されている。先行受部92は、樹脂材料からなる鏡胴ベース82と一体的にその上面から物体側へ突出して形成されており、第3レンズ保持枠31の先行当接部91と対向すべく等しい高さ位置(撮影光軸OA方向で見て等しい位置)とされた傾斜受面92aを有する。この傾斜受面92aは、第3レンズ保持枠31の回動軸のラジアル方向を含みつつ、被写体である物体側へ向かうにしたがって回動方向正側へと後退するように当該回動軸方向(第3群主ガイド軸32の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。
この先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92とは、第3レンズ保持枠31が正側(図25の矢印A1参照)へ回動された際、ストッパ31aが第3群副ガイド軸33に当接することに先立って、傾斜面91aと傾斜受面92aとが面当接する位置関係とされている。また、上述したように、ストッパ31aは、第3群副ガイド軸33と当接すると、第3レンズ保持枠31を、第3レンズ群13を撮影光軸OA上に位置させる撮影位置(撮影状態P)とする位置関係とされている。
次に、レンズ鏡胴10における第3レンズ保持枠31が、第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D)と、撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)との間で回動する際の作用について、図14(a)と、図25ないし図32と、を用いて説明する。
前述したように、第3レンズ保持枠回動基部95は、その外周面に設けられた段差部31cのカム部31eと、そこに受け入れられた第3群雌ねじ部材35の当接部35aとの摺動により、前後方向に直線運動される第3群雌ねじ部材35の押圧力を受けて回動されることから、段差部31cがカム溝として機能し第3群雌ねじ部材35の当接部35aがカムピンとして機能することとなる。図25は、カム溝である段差部31cを第3レンズ保持枠回動基部95の回動方向で見た模式的な平面図であり、(a)が退避開始位置B(図14(a)参照)での状態を示し、(b)が退避開始位置Bと収納位置Sとの間での移行状態を示し、(c)が収納位置S(図14(a)参照)での状態を示している。この図25では、第3レンズ保持枠回動基部95が回動された様子を段差部31cが左右に移動することで示しており、矢印A1は、第3レンズ保持枠回動基部95が圧縮トーションスプリング37により回動付勢されている方向を示しており、カムピンである当接部35aの第3群リードスクリュー34上での前後方向の直線運動は正面視で上下方向の移動により示している。
第3レンズ保持枠回動基部95は、前述したように、カム溝である段差部31c内で前後方向に移動されるカムピンである第3群雌ねじ部材35の当接部35aにより、第3群主ガイド軸32に沿って上下に移動されたり、第3群主ガイド軸32回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部31c内での当接部35aの位置に対する第3レンズ保持枠回動基部95の動作を説明する。
当接部35aが、図25(a)に示すように、カム部31eが存在しない位置まで前方(物体側であり正面視上方)に移動されて、さらに前方へ移動される(退避開始位置B)と、上面35cが前側係合部31dに当接することとなる。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95が矢印A1方向に回動付勢されていることから、当接部35a(上面35c)は、図示右側の端部で前側係合部31dに当接している。この状態では、第3レンズ群13が撮影光軸OA上に位置されている(図8等参照)。この状態において、さらに当接部35aが前方に移動される(広角位置Wまたは望遠位置T等(図14(a)参照))と、当接部35a(上面35c)が前側係合部31dを前方へと押圧して、第3レンズ保持枠回動基部95を前方へ押し上げることとなるので、前述したように、第3レンズ群13が適宜物体側へと移動されることとなる。
この当接部35aが、退避開始位置Bから後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると、側面35dの下端に位置する当接辺部35eがカム部31eを後方へ押圧することとなるので、図25(b)に示すように、当接部35aの位置(図25(b)では正面視の高さ位置)に応じて第3レンズ保持枠回動基部95が付勢力に抗して回動される(図25(b)では正面視右側に移動)こととなる。この状態において、第3レンズ保持枠回動基部95は、退避位置へ向けて回動されている移行状態であり、第3レンズ群13が撮影光軸OA上から退避位置へと退避される移行状態である。この状態では、当接部35aが前側係合部31dを介して第3レンズ保持枠回動基部95を前方へ押し上げていないことから、圧縮トーションスプリング37からの直進付勢により、第3レンズ保持枠31の基端面31fが押さえ板81に当接している(図14(a)参照)。
当接部35aが、図25(c)に示すように、収納位置Sすなわちカム部31eが存在しない位置まで後方に移動されると、第3レンズ保持枠回動基部95が矢印A1方向に付勢されていることから、側面35dが側方係合面31gに当接して互いに押圧することとなる。
このように、レンズ鏡胴10では、図26に示すように、当接部35aの当接辺部35eが、カム部31eの下側端部に当接係合する高さ位置Rlから、カム部31eの上側端部に当接係合する高さ位置Rhまでの間では、第3群リードスクリュー34に沿って移動する第3群雌ねじ部材35が、カム部31eおよび圧縮トーションスプリング37との協働により第3レンズ保持枠31の回動姿勢を制御する回動姿勢制御区間となる。このとき、第3レンズ保持枠31は、基本的に回転姿勢に拘らず、基端面31fが押さえ板81に当接している(図14(a)参照)。
また、レンズ鏡胴10では、当接部35aの上面35cが、前側係合部31dに当接する高さ位置Ll(退避開始位置B)から前方側では、第3群リードスクリュー34に沿って移動する第3群雌ねじ部材35が、圧縮トーションスプリング37との協働により第3レンズ保持枠31すなわち第3レンズ群13の撮影光軸OA方向で見た位置(広角位置Wまたは望遠位置T等(図14(a)参照))を制御する光軸上位置制御区間となる。このとき、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA方向の位置に拘らず、第3レンズ群13を撮影光軸OA上に位置させている。
このため、レンズ鏡胴10では、第3群雌ねじ部材35は、回動姿勢制御区間と光軸上位置制御区間との間、すなわち高さ位置Rhと高さ位置Llとの間に位置するとき、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31の回転姿勢および光軸上位置の制御を行うことなく双方の制御の切り替えることとなる。以下では、この高さ位置Rhから高さ位置Llを、制御切替区間とする。
実施例1のレンズ鏡胴10では、上述したように、第3群モータ52を図14(b)における時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転することにより、ギア71〜74からなるギア機構を介して第3群リードスクリュー34が時計方向に回転し、第3群雌ねじ部材35が、撮影光軸OA方向に沿って収納位置Sから被写体側へと移動する。レンズ鏡胴10では、第3レンズ群13を収納位置(沈胴収納状態D)から撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)に移動させる際、第3群雌ねじ部材35を収納位置Sから回動姿勢制御区間を経て制御切替区間の上端位置まで、すなわち収納位置Sから高さ位置Rlおよび高さ位置Rhを経て高さ位置Ll(退避開始位置B)まで移動させる。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31は、圧縮トーションスプリング37の回動付勢力により、第3群雌ねじ部材35の回動姿勢制御区間における位置に応じて回動する。
ここで、以下の作用の説明および図27ないし図32では、理解容易のため、第3群雌ねじ部材35(当接部35a)が制御切替区間の中間位置で停止しているものとする。なお、以下の作用は、当接部35aの当接辺部35eがカム部31eに当接することに起因して第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31が物体側(上方)へと移動することを妨げるものでなければ、回動姿勢制御区間から制御切替区間の高さ位置Ll(退避開始位置B)までの任意の位置において、第3群雌ねじ部材35(当接部35a)が移動しているが停止しているかに拘らず、同様に生じるものである。
第3群雌ねじ部材35が高さ位置Rhを越えて制御切替区間の中間位置に至ると、その過程において、第3レンズ保持枠31のストッパ31aおよび先行当接部91が、鏡胴ベース82に設けられた第3群副ガイド軸33および先行受部92(傾斜受面92a)に接近し、それらの位置関係により、図28に示すように、先行当接部91が先行受部92の傾斜受面92aに面当接する。このとき、ストッパ31aは、図27に示すように、第3群副ガイド軸33に当接係合していない。このため、第3群雌ねじ部材35が制御切替区間に位置されていても、第3レンズ群13が撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とはなっていない。
その後、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31は、図29および図30に示すように、圧縮トーションスプリング37からの回動付勢力(第3レンズ保持枠31の回動運動)と、互いに面当接した先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとの案内作用と、により、正側(図25の矢印A1参照)へと回動しつつ撮影光軸OA方向で物体側(正面視上側)へと移動する。すなわち、先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとは、先行当接部91が上方へと移動しつつ面当接を維持しているとともに(図30参照)、ストッパ31aは、第3群副ガイド軸33にさらに接近してはいるが当接係合はしていない(図29参照)。このとき、第3群雌ねじ部材35が制御切替区間の中間位置とされていることから、当接部35aの当接辺部35eがカム部31eに当接することはなく、第3レンズ保持枠回動基部95の上方への移動が当接部35aにより妨げられることはない。
その後、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31は、図31および図32に示すように、圧縮トーションスプリング37からの回動付勢力(第3レンズ保持枠31の回動運動)と、互いに面当接した先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとの案内作用と、により、正側(図25の矢印A1参照)へと回動しつつ撮影光軸OA方向で物体側(正面視上側)へと移動する。これにより、先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとは、先行当接部91が上方へと移動しつつ面当接を維持しているとともに(図32参照)、ストッパ31aが第3群副ガイド軸33に当接係合する(図31参照)。これにより、第3レンズ群13が撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)となる。
この後、第3群雌ねじ部材35が高さ位置Ll(退避開始位置B)とされ、上述したように高さ位置が適宜制御されることにより、第3レンズ保持枠31すなわち第3レンズ群13の撮影光軸OA方向で見た位置(広角位置Wまたは望遠位置T等)が制御される。
このように、実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とする際、先ず第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが当接(面当接)し、その後に第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合することにより、第3レンズ保持枠31の回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができるので、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とすることに起因する衝突音を抑制することができる。これは、以下のことが考えられる。図33は、音の強度Iの時間的な変化を示す模式的なグラフであり、(a)は本願発明における2回の当接により回動を止める構成で発生する衝突音に対応する例であり、(b)は1回の当接により回動を止める構成で発生する衝突音に対応する例である。第3レンズ保持枠31の回動は、ストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合することで止められることから、直接ストッパ31aと第3群副ガイド軸33とを当接させた場合であっても、本願発明のように先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとを面当接させた後に直接ストッパ31aと第3群副ガイド軸33とを当接させた場合であっても、吸収する運動エネルギーの総量は等しい。ここで、当接に伴って発生する音の強度Iは、基本的に吸収した運動エネルギーに比例する。このため、本願発明のように先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとを当接させた後に直接ストッパ31aと第3群副ガイド軸33とを当接させた場合、第3レンズ保持枠31の回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができるので、図33(a)に示すように、2つの極大値(ピーク値)を有する衝突音とすることができる。これに対し、直接ストッパ31aと第3群副ガイド軸33とを当接させた場合、図33(b)に示すように、第3レンズ保持枠31の回動に伴う総ての運動エネルギーに比例した衝突音が発生することとなるので、本願発明の構成に比較して、音の強度Iの最大値(ピーク値)が大きくなってしまう。このことから、運動エネルギーの吸収を複数回に分けることにより、衝突音の低減を図ることができる。このため、第3レンズ保持枠31の回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することにより、音の強度Iの最大値(ピーク値)を低減することができるので、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とすることに起因する衝突音を抑制することができる。
また、レンズ鏡胴10では、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とする際、回動される第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合することに先立って、互いに樹脂材料からなる第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが当接(面当接)することから、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とすることに起因する衝突音を抑制することができる。これは、第3群副ガイド軸33は、第3レンズ保持枠31すなわち第3レンズ群13を撮影光軸OA上に位置決めするために当接される部材であることから、高い精度と耐久性とが要求されるので、変形のし難い硬い材料(実施例1では金属材料)で形成される。このため、第3レンズ保持枠31の回動を止めるべくストッパ31aと第3群副ガイド軸33とが当接すると、互いに樹脂材料からなる第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが当接することに比較して、大きな衝突音が発生してしまうことによる。
さらに、実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが当接(面当接)した後に、回動される第3レンズ保持枠31のストッパ31aと第3群副ガイド軸33とが当接係合することから、第3レンズ保持枠31の回動に伴う運動エネルギーの一部が先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとの当接により吸収されているので、第3レンズ保持枠31のストッパ31aが金属材料からなる第3群副ガイド軸33に当接することに起因する衝突音を低減することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが、互いに第3レンズ保持枠31の回動方向に対する傾斜面とされていることから、回動に伴う運動エネルギーの一部を逃がしつつ他部を吸収するように当接(面当接)することができる、すなわち第3レンズ保持枠31の回動を止めることなく互いに当接(面当接)することができるので、先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとの当接に起因する衝突音を低減することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31が第3群主ガイド軸32に沿って(撮影光軸OA方向に)移動可能であるとともに、段差部31cにおいて当接部35aが第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31の回転姿勢および光軸上位置の制御を行うことのない制御切替区間が設けられていることから、第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aと案内作用を利用して、第3レンズ保持枠回動基部95すなわち第3レンズ保持枠31を斜め上方へと移動させることができるので、第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとを面当接させた後に、第3レンズ保持枠31のストッパ31aを第3群副ガイド軸33と当接係合させることができ、第3レンズ保持枠31の回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92の傾斜受面92aとが、互いに第3レンズ保持枠31の回動方向に対する傾斜面とされて互いに面当接可能な構成とされていることから、回動に伴う運動エネルギーの一部を互いの摺動による摩擦により吸収することができるので、第3群副ガイド軸33と第3レンズ保持枠31のストッパ31aとの当接に起因する衝突音を低減することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31において、先行当接部91とストッパ31aとが撮影光軸OAに直交する面に沿って並列するように設けられている、すなわち撮影光軸OA方向から見ると互いに異なる位置とされていることから、ストッパ31aの位置を撮影光軸OA方向で見て最も像面側に配置することができる。このため、第3群副ガイド軸33を短くすることができ、撮影光軸OA方向で見た第3レンズ保持枠31の厚さ寸法を小さくすることができ、沈胴状態のレンズ鏡胴10を小さくすることができる。
したがって、実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズとしての第3レンズ群13を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができる。このことは、第3レンズ群13をより迅速に撮影光軸OA上に位置させる、すなわち第3レンズ保持枠31の回動速度を高くする構成とする際により効果的であり、実施例1のレンズ鏡胴10を搭載したカメラ(図17参照)の迅速な起動に大きく寄与することができる。
なお、実施例1では、鏡胴ベース82に設けられた先行受部92が樹脂材料で形成されていたが、当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する材料、例えば、ゴム材料で形成されていてもよく、実施例1に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例2に係るレンズ鏡胴10Aについて説明する。この実施例2は、第3レンズ保持枠31Aの先行当接部91Aの構成が異なる例である。この実施例2のレンズ鏡胴10Aは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図34は、実施例2に係るレンズ鏡胴10Aにおける第3レンズ保持枠31Aの先行当接部91Aの構成を説明するための図28と同様の模式的な断面図である。
実施例2に係るレンズ鏡胴10Aでは、図34に示すように、第3レンズ保持枠31Aの先行当接部91Aにゴムシート91Abが設けられている。このゴムシート91Abは、衝撃吸収の機能を有する材料の一例としてのゴム材料で形成され、薄い板状を呈している。ゴムシート91Abは、接着剤や粘着シートのような接着材料により、先行当接部91Aの傾斜面91Aaの表面を構成すべく第3レンズ保持枠31Aの第3レンズ保持枠アーム部94Aに固着されている。このゴムシート91Abは、第3レンズ保持枠31Aが回動した際、鏡胴ベース82に設けられた先行受部92の傾斜受面92aと面当接するように、位置設定されている。
このため、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とする際、先ず第3レンズ保持枠31Aの先行当接部91Aのゴムシート91Abと先行受部92の傾斜受面92aとが面当接し、その後に第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合する。
ここで、先行当接部91Aの傾斜面91Aaの表面にゴムシート91Abが設けられたことにより、先行当接部91Aの傾斜面91Aaと先行受部92の傾斜受面92aとの摺動性が低下してしまうことも考えられる。しかしながら、第3群雌ねじ部材35を上方へと移動させると、先行当接部91Aの傾斜面91Aa(ゴムシート91Ab)と先行受部92の傾斜受面92aとが撮影光軸OA方向に離間することとなり、第3群雌ねじ部材35を下方へと移動させると、先行当接部91Aの傾斜面91Aa(ゴムシート91Ab)と先行受部92の傾斜受面92aとが第3レンズ保持枠31Aの回動方向に離間することとなるので、摺動性の低下が第3レンズ保持枠31Aの回動すなわち第3レンズ群13の収納および挿入の動作を妨げることはない。また、第3群雌ねじ部材35を上方へと移動させて、先行当接部91Aの傾斜面91Aa(ゴムシート91Ab)と先行受部92の傾斜受面92aとが撮影光軸OA方向に離間することで、圧縮トーションスプリング37からの回動付勢により第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合することとなるので、第3レンズ保持枠31すなわち第3レンズ群13の位置決め精度に影響が及ぶこともない。さらに、先行当接部91Aの傾斜面91Aaのゴムシート91Abと先行受部92の傾斜受面92aとが当接した位置では、ストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合する位置までの回動に伴う移動量が極めて小さなものであるとともに、圧縮トーションスプリング37における回動付勢のチャージ量が小さいことから、第3群副ガイド軸33と第3レンズ保持枠31のストッパ31aとの当接に起因して大きな衝突音が発生することもない。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、先に先行当接部91Aに設けられたゴムシート91Abと、樹脂材料からなる先行受部92の傾斜受面92aとが面当接することとなるので、先行当接部91Aと先行受部92との当接に起因する衝突音をより低減することができる。
したがって、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズとしての第3レンズ群13を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができる。
なお、実施例2では、先行当接部91Aの傾斜受面92aに衝撃吸収部材としてゴムシート91Abを設けていたが、この衝撃吸収部材は当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する材料で形成されたものであれば、例えば、起毛材料で形成されていてもよく、実施例2に限定されるものではない。
また、実施例2では、鏡胴ベース82に設けられた先行受部92が樹脂材料で形成されていたが、当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する材料、例えば、ゴム材料で形成されていてもよく、実施例2に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例3に係るレンズ鏡胴10Bについて説明する。この実施例3は鏡胴ベース82の先行受部92Bの構成が異なる例である。この実施例3のレンズ鏡胴10Bは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図35は、実施例3に係るレンズ鏡胴10Bにおける鏡胴ベース82の先行受部92Bの構成を説明するための図28と同様の模式的な断面図である。
実施例3に係るレンズ鏡胴10Bでは、図35に示すように、鏡胴ベース82に設けられた先行受部92Bの傾斜受面92Baにゴムシート92Bbが設けられている。このゴムシート92Bbは、衝撃吸収の機能を有する材料の一例としてのゴム材料で形成され、薄い板状を呈している。ゴムシート92Bbは、接着剤や粘着シートのような接着材料により、傾斜受面92Baの表面を構成すべく先行受部92Bに固着されている。このゴムシート92Bbは、第3レンズ保持枠31が回動した際、第3レンズ保持枠31に設けられた先行当接部91の傾斜面91aと面当接するように、位置設定されている。
このため、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第3レンズ群13を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とする際、先ず第3レンズ保持枠31の先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92Bの傾斜受面92Baのゴムシート92Bbとが面当接し、その後に第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33と当接係合する。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、先に樹脂材料からなる先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92Bの傾斜受面92Baのゴムシート92Bbとが面当接することとなるので、先行当接部91の傾斜面91aと先行受部92Bとの当接に起因する衝突音をより低減することができる。
したがって、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズとしての第3レンズ群13を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができる。
なお、実施例3では、先行受部92Bの傾斜受面92Baに衝撃吸収部材としてゴムシート92Bbを設けていたが、この衝撃吸収部材は当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する部材で形成されたものであれば、例えば、起毛材料で形成されていてもよく、実施例3に限定されるものではない。
また、上記した実施例2では、互いに先行して当接(面当接)される部材の一方の先行当接部91Aの傾斜面91Aaにゴムシート91Abを設けており、上記した実施例3では、互いに先行して当接(面当接)される部材の他方の先行受部92Bの傾斜受面92Baにゴムシート92Bbを設けていたが、実施例2と実施例3とを組み合わせる、すなわち双方に衝撃吸収部材を設ける構成とすることもできる。
次に、本発明の実施例4に係るレンズ鏡胴10Cについて、図36ないし図41を用いて説明する。この実施例4は、第4レンズ保持枠41Cすなわち第4レンズ群14が収納および挿入可能な構成とされた、すなわち第4レンズ群14が可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側(撮影光軸OA外)に退避される退避レンズとされた例である。この実施例4のレンズ鏡胴10Cは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
なお、図39ないし図41では、第4レンズ保持枠41Cに関しては図37のV−V線に沿って得られた断面に相当し、かつ鏡胴ベース82上の構成に関しては、図38のVI−VI線に沿って得られた断面に相当する。また、後述するように、第4群リードスクリュー45における第4群雌ねじ部材907は、第3群リードスクリュー34における第3群雌ねじ部材35と同様の作用を有するものであることから、以下では、第4群雌ねじ部材907の高さ位置の説明(退避開始位置Bおよび収納位置S等)に図25を用いることとする。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、図36に示すように、第4レンズ保持枠41Cが第4群主ガイド軸44回りに回動自在な構成とされており、その第4レンズ保持枠41Cに先行当接部901(図37参照)が設けられるとともに、鏡胴ベース82に先行受部902が設けられている。
第4レンズ保持枠41Cは、樹脂材料からなり、図37に示すように、第4レンズ保持部903と、第4レンズ保持枠アーム部904と、第4レンズ保持枠回動基部905とを有する。
第4レンズ保持枠回動基部905は、全体に円筒形状を呈し、第4群主ガイド軸44に回転可能に支承されている(図36参照)。レンズ鏡胴10Cでは、第4群スプリング43(図20参照)に代えて、圧縮トーションスプリング37と同様の構成の圧縮トーションスプリング906が設けられており、その圧縮トーションスプリング906が第4群主ガイド軸44に挿通されている(図36参照)。また、第4群リードスクリュー45には、第4群雌ねじ部材46(図20参照)に代えて、第3群雌ねじ部材35と同様の構成の第4群雌ねじ部材907が螺合されている(図36参照)。この第4群雌ねじ部材907は、第3群雌ねじ部材35の当接部35aと同様の構成の当接部907a(図39等参照)と、第3群雌ねじ部材35の回転止め突起部35bと同様の構成の回転止め突起部907bとを有する。この回転止め突起部907bは、固定枠21の固定筒部21aに形成された撮影光軸OA方向に平行なガイド溝(図示せず)に嵌合摺動するものであり、第4群リードスクリュー45の回転に伴って第4群雌ねじ部材907が回ってしまうことを防止する回転止めとして機能する。すなわち、第4群雌ねじ部材907は、回転止め突起部907bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第4群リードスクリュー45の回転によって、第4群リードスクリュー45上を撮影光軸OAに沿って進退移動する。
第4レンズ保持枠回動基部905は、圧縮トーションスプリング906により、収納位置から撮影光軸OA上位置の撮影位置へ向かう回動方向に常時回動付勢されるとともに(図36の矢印A2参照)、第4群主ガイド軸44上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向に常時直進付勢されている。このため、第4レンズ保持枠回動基部905は、第4群雌ねじ部材907から前方(物体側であり図39の上側)へ押圧力をうけていない場合、すなわち第4群雌ねじ部材907が退避開始位置Bから収納位置Sの間に位置されている場合、第4群主ガイド軸44上における移動範囲内における最も後方側(像面側であり図39の下側)に位置されることとなる。この第4レンズ保持枠回動基部905に連続されているのが第4レンズ保持枠アーム部904である。このことから、圧縮トーションスプリング906は、退避レンズ保持枠である第4レンズ保持枠41Cの回動基部を構成する回動筒体としての第4レンズ保持枠回動基部905への付勢力を付与する筒体付勢手段として機能する。
この第4レンズ保持枠回動基部905の外周面には、第3レンズ保持枠31の段差部31cと同様の段差部905cが設けられている。この段差部905cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部905e(カム部31eに相当する)を有し、前端側に第4群主ガイド軸44とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部905d(前側係合部31dに相当する)を有して円筒周面に対して凹状をなしている。段差部905cは、第4群雌ねじ部材907の当接部907aを受け入れている。第4レンズ保持枠回動基部905は、段差部905cのカム部905eと第4群雌ねじ部材907の当接部907aとの摺動により、第4群リードスクリュー45の回転に伴い前後方向に直線運動される第4群雌ねじ部材907の押圧力を受けて回動されることから、段差部905cがカム溝として機能し第4群雌ねじ部材907の当接部907aがカムピンとして機能することとなる。また、第4レンズ保持枠回動基部905は、第4群雌ねじ部材907の当接部907aが、前側係合部905dに当接しさらに前方に移動される(広角位置Wまたは望遠位置T等)と、当接部907aが前側係合部905dを前方へと押圧して、第4レンズ保持枠回動基部905を前方へ押し上げることとなるので、第4レンズ群14が適宜物体側へと移動される。さらに、第4レンズ保持枠回動基部905は、第4群雌ねじ部材907(当接部907a)により前方へと押し上げられていない状態では、圧縮トーションスプリング906からの直進付勢により、第4レンズ保持枠41Cの基端面905fが押さえ板81(図14(a)参照)に当接している。
第4レンズ保持枠アーム部904は、第4レンズ保持枠回動基部905と第4レンズ保持部903とを繋いでおり、第4レンズ保持枠41Cにおけるアーム部を構成している。第4レンズ保持枠アーム部904は、中間位置が第4群主ガイド軸44と平行方向に延在する全体にクランク状の屈曲部を構成している。この一端側に第4レンズ保持部903が連続されている。
第4レンズ保持部903は、第4レンズ保持枠41Cにおける一端側に位置されており、第4レンズ群14を保持している。第4レンズ保持部903は、全体に円筒形状を呈する枠部材である。
第4レンズ保持枠41Cには、先行当接部901とストッパ908とが設けられている。先行当接部901とストッパ908とは、第4レンズ保持枠アーム部904において、第4群主ガイド軸44と平行方向に延在する中間位置から第4レンズ保持部903へ向けて延在する箇所において、第4群主ガイド軸44すなわち撮影光軸OA方向で並列されて設けられている。ストッパ908は、第3レンズ保持枠31における第3群副ガイド軸33に対するストッパ31aと同様の作用を有するものであり、鏡胴ベース82に設けられた第4群副ガイド軸42と当接係合することにより、第4レンズ保持枠41Cを、第4レンズ群14を撮影光軸OA上に位置させる撮影位置とする位置関係とされている。このストッパ908は、第4レンズ保持枠アーム部904の一部が平坦面とされて形成されている。
先行当接部901は、ストッパ908の下方(像面側)において、第4レンズ保持枠アーム部904から下方へと突出して形成されており、傾斜面901aを有する。先行当接部901は、下方へ向かうにしたがって内側(撮影光軸OA上へ向かう回動方向とは逆側)へと入り込むように、第4レンズ保持枠41Cの回動軸となる第4群主ガイド軸44の延在方向(実施例4では撮影光軸OA方向)に対して傾斜されている。
先行受部902は、図38に示すように、鏡胴ベース82において第4群副ガイド軸42に隣接して設けられている。この先行受部902は、退避レンズ保持枠としての第4レンズ保持枠41Cの沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置されている。先行受部902は、樹脂材料からなる鏡胴ベース82の上面から物体側へ突出して形成されており、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901と対向すべく等しい高さ位置(撮影光軸OA方向で見て等しい位置)とされた傾斜受面902aを有する。この傾斜受面902aは、第4レンズ保持枠41Cの回動軸のラジアル方向を含みつつ、被写体である物体側へ向かうにしたがって第4レンズ保持枠41Cの撮影光軸OA上へ向かう回動方向へと後退するように当該回動軸方向(第4群主ガイド軸44の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。
この先行当接部901と先行受部902とは、第4レンズ保持枠41Cが撮影光軸OA上へ向かう回動方向へ回動された際、ストッパ908が第4群副ガイド軸42に当接することに先立って、傾斜面901aと傾斜受面902aとが面当接する位置関係とされている。
次に、レンズ鏡胴10Cにおける第4レンズ保持枠41Cが、第4レンズ群14を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置と、撮影光軸OA上に第4レンズ群14を挿入した撮影位置との間で回動する際の作用について、図39ないし図41を用いて説明する。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4群モータ53(図14(b)参照)を時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転することにより、第4群リードスクリュー45が回転されて第4群雌ねじ部材907が、撮影光軸OA方向に沿って収納位置Sから被写体側へと移動する。レンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ群14を収納位置から撮影光軸OA上の撮影位置に移動させる際(矢印A2参照)、第4群雌ねじ部材907を収納位置Sから回動姿勢制御区間を経て制御切替区間の上端位置まで、すなわち収納位置Sから高さ位置Rlおよび高さ位置Rhを経て高さ位置Ll(退避開始位置B)まで移動させる。このとき、第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cは、圧縮トーションスプリング906の回動付勢力により、第4群雌ねじ部材907の回動姿勢制御区間における位置に応じて回動する。
ここで、以下の作用の説明および図39ないし図41では、理解容易のため、実施例1と同様に、第4群雌ねじ部材907(当接部907a)が制御切替区間の中間位置で停止しているものとする。なお、以下の作用は、当接部907aの下端(後述するように当接辺部35eに相当する)がカム部905eに当接することに起因して第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cが物体側(上方)へと移動することを妨げるものでなければ、回動姿勢制御区間から制御切替区間の高さ位置Ll(退避開始位置B)までの任意の位置において、第4群雌ねじ部材907(当接部907a)が移動しているが停止しているかに拘らず、同様に生じるものである。
第4群雌ねじ部材907が高さ位置Rhを越えて制御切替区間の中間位置に至ると、その過程において、第4レンズ保持枠41Cのストッパ908および先行当接部901が、鏡胴ベース82に設けられた第4群副ガイド軸42および先行受部902に接近し、それらの位置関係により、図39に示すように、先行当接部901の傾斜面901aが先行受部902の傾斜受面902aに面当接する。このとき、ストッパ908は、第4群副ガイド軸42に当接係合していない。このため、第4群雌ねじ部材907が制御切替区間に位置されていても、第4レンズ群14が撮影光軸OA上の撮影位置とはなっていない。
その後、第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cは、図40に示すように、圧縮トーションスプリング906からの回動付勢力(第4レンズ保持枠41Cの回動運動)と、互いに面当接した先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとの案内作用と、により、撮影光軸OA側へと回動しつつ撮影光軸OA方向で物体側(正面視上側)へと移動する。すなわち、先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとは、先行当接部901が上方へと移動しつつ面当接を維持しているとともに、ストッパ908は、第4群副ガイド軸42にさらに接近してはいるが当接係合はしていない。このとき、第4群雌ねじ部材907が制御切替区間の中間位置とされていることから、当接部907aの下端(当接辺部35eに相当する)がカム部905eに当接することはなく、第4レンズ保持枠回動基部905の上方への移動が当接部907aにより妨げられることはない。
その後、第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cは、図40に示すように、圧縮トーションスプリング906からの回動付勢力(第4レンズ保持枠41Cの回動運動)と、互いに面当接した先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとの案内作用と、により、撮影光軸OA側へと回動しつつ撮影光軸OA方向で物体側(正面視上側)へと移動する。これにより、先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとは、先行当接部901が上方へと移動しつつ面当接を維持しているとともに、ストッパ908が第4群副ガイド軸42に当接係合する。これにより、第4レンズ群14が撮影光軸OA上の撮影位置となる。
この後、第4群雌ねじ部材907が高さ位置Ll(退避開始位置B)とされ、上述したように高さ位置が適宜制御されることにより、第4レンズ保持枠41Cすなわち第4レンズ群14の撮影光軸OA方向で見た位置(広角位置Wまたは望遠位置T等)が制御される。
このように、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置とする際、先ず第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが面当接し、その後に第4レンズ保持枠41Cのストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合することにより、第4レンズ保持枠41Cの回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができるので、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とすることに起因する衝突音を抑制することができる。
また、レンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とする際、回動される第4レンズ保持枠41Cのストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合することに先立って、互いに樹脂材料からなる第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが面当接することから、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置(撮影状態P)とすることに起因する衝突音を抑制することができる。
さらに、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが面当接した後に、回動される第4レンズ保持枠41Cのストッパ908と第4群副ガイド軸42とが当接係合することから、第4レンズ保持枠41Cの回動に伴う運動エネルギーの一部が先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとの面当接により吸収されているので、第4レンズ保持枠41Cのストッパ908が金属材料からなる第4群副ガイド軸42に当接することに起因する衝突音を低減することができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが、互いに第4レンズ保持枠41Cの回動方向に対する傾斜面とされていることから、回動に伴う運動エネルギーの一部を逃がしつつその他部を吸収することができる、すなわち第4レンズ保持枠41Cの回動を止めることなく互いに当接(面当接)することができるので、先行当接部901と先行受部902の傾斜受面902aとの当接に起因する衝突音を低減することができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、段差部905cにおいて、当接部907aが第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cの回転姿勢および光軸上位置の制御を行うことのない制御切替区間が設けられていることから、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aと案内作用を利用して、第4レンズ保持枠回動基部905すなわち第4レンズ保持枠41Cを斜め上方へと移動させることができるので、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとを面当接させた後に、第4レンズ保持枠41Cのストッパ908を第4群副ガイド軸42と当接係合させることができ、第4レンズ保持枠41Cの回動に伴う運動エネルギーを2回に分けて吸収することができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとが、互いに第4レンズ保持枠41Cの回動方向に対する傾斜面とされていることから、回動に伴う運動エネルギーの一部を互いの摺動による摩擦により吸収することができるので、第4群副ガイド軸42と第4レンズ保持枠41Cのストッパ908との当接に起因する衝突音を低減することができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第4レンズ保持枠41Cにおいて、先行当接部91とストッパ908とが撮影光軸OA方向に沿って並列するように設けられている、すなわち撮影光軸OA方向から見ると互いに等しい位置とされているとともに、第4レンズ群14が撮影光軸OA方向に移動可能な構成とされていることから、先に第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902の傾斜受面902aとを面当接させ、その後に第4レンズ保持枠41Cのストッパ908と第4群副ガイド軸42とを当接させる位置設定を容易なものとすることができる。
したがって、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズとしての第4レンズ群14を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができる。このことは、第4レンズ群14をより迅速に撮影光軸OA上に位置させる、すなわち第4レンズ保持枠41Cの回動速度を高くする構成とする際により効果的であり、実施例4のレンズ鏡胴10Cを搭載したカメラ(図17参照)の迅速な起動に大きく寄与することができる。
なお、実施例4では、鏡胴ベース82に設けられた先行受部902が樹脂材料で形成されていたが、当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する材料、例えば、ゴム材料で形成されていてもよく、実施例4に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例5に係るレンズ鏡胴10Dについて説明する。この実施例5は、第4レンズ保持枠41Dの先行当接部901Dの構成が異なる例である。この実施例5のレンズ鏡胴10Dは、基本的な構成は上記した実施例4のレンズ鏡胴10Cと同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図42は、実施例5に係るレンズ鏡胴10Dにおける第4レンズ保持枠41Dの先行当接部901Dの構成を説明するための図39と同様の模式的な断面図である。
実施例5に係るレンズ鏡胴10Dでは、図42に示すように、第4レンズ保持枠41Dの先行当接部901Dの傾斜面901Daにゴムシート901Dbが設けられている。このゴムシート901Dbは、衝撃吸収の機能を有する材料の一例としてのゴム材料で形成され、薄い板状を呈している。ゴムシート901Dbは、接着剤や粘着シートのような接着材料により、先行当接部901Dの傾斜面901Daの表面を構成すべく第4レンズ保持枠41Dの第4レンズ保持枠アーム部904Dに固着されている。このゴムシート901Dbは、第4レンズ保持枠41Dが回動した際、鏡胴ベース82に設けられた先行受部902の傾斜受面902aと面当接するように、位置設定されている。
このため、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置とする際、先ず第4レンズ保持枠41Dの先行当接部901Dのゴムシート901Dbと先行受部902の傾斜受面902aとが面当接し、その後に第4レンズ保持枠41Dのストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合する。
ここで、先行当接部901Dの傾斜面901Daの表面にゴムシート901Dbが設けられたことにより、先行当接部901Dの傾斜面901Daと先行受部902の傾斜受面902aとの摺動性が低下してしまうことも考えられる。しかしながら、第4群雌ねじ部材907を上方へと移動させると、先行当接部901Dの傾斜面901Da(ゴムシート901Db)と先行受部902の傾斜受面902aとが撮影光軸OA方向に離間することとなり、第4群雌ねじ部材907を下方へと移動させると、先行当接部901Dの傾斜面901Da(ゴムシート901Db)と先行受部902の傾斜受面902aとが第4レンズ保持枠41Dの回動方向に離間することとなるので、摺動性の低下が第4レンズ保持枠41Dの回動すなわち第4レンズ群14の収納および挿入の動作を妨げることはない。また、第4群雌ねじ部材907を上方へと移動させて、先行当接部901Dの傾斜面901Da(ゴムシート901Db)と先行受部902の傾斜受面902aとが撮影光軸OA方向に離間することで、圧縮トーションスプリング906からの回動付勢により第4レンズ保持枠41Dのストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合することとなるので、第4レンズ保持枠41Dすなわち第4レンズ群14の位置決め精度に影響が及ぶこともない。さらに、先行当接部901Dの傾斜面901Daのゴムシート901Dbと先行受部902の傾斜受面902aとが当接した位置では、ストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合する位置までの回動に伴う移動量が極めて小さなものであるとともに、圧縮トーションスプリング906における回動付勢のチャージ量が小さいことから、第4群副ガイド軸42と第4レンズ保持枠41Dのストッパ908との当接に起因して大きな衝突音が発生することもない。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、基本的に実施例4のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例4と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、先に先行当接部901Dの傾斜面901Daに設けられたゴムシート901Dbと、樹脂材料からなる先行受部902の傾斜受面902aとが面当接することとなるので、先行当接部901Dと先行受部902との当接に起因する衝突音をより低減することができる。
したがって、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズとしての第4レンズ群14を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音を抑制することができる。
なお、実施例5では、先行当接部901Dの傾斜面901Daに衝撃吸収部材としてゴムシート901Dbを設けていたが、この衝撃吸収部材は衝撃吸収の機能を有する部材で形成されたものであれば、例えば、起毛材料で形成されていてもよく、実施例5に限定されるものではない。
また、実施例5では、鏡胴ベース82に設けられた先行受部902が樹脂材料で形成されていたが、当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する材料、例えば、ゴム材料で形成されていてもよく、実施例5に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例6に係るレンズ鏡胴10Eについて説明する。この実施例6は鏡胴ベース82の先行受部902Eの構成が異なる例である。この実施例6のレンズ鏡胴10Eは、基本的な構成は上記した実施例4のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図43は、実施例6に係るレンズ鏡胴10Eにおける鏡胴ベース82の先行受部902Eの構成を説明するための図39と同様の模式的な断面図である。
実施例6に係るレンズ鏡胴10Eでは、図43に示すように、鏡胴ベース82に設けられた先行受部902Eの傾斜受面902Eaにゴムシート902Ebが設けられている。このゴムシート902Ebは、衝撃吸収の機能を有する材料の一例としてのゴム材料で形成され、薄い板状を呈している。ゴムシート902Ebは、接着剤や粘着シートのような接着材料により、傾斜受面902Eaの表面を構成すべく先行受部902Eに固着されている。このゴムシート902Ebは、第4レンズ保持枠41Cが回動した際、その第4レンズ保持枠41Cに設けられた先行当接部901(その傾斜面901a)と面当接するように、位置設定されている。
このため、実施例6のレンズ鏡胴10Eでは、第4レンズ群14を撮影光軸OA上の撮影位置とする際、先ず第4レンズ保持枠41Cの先行当接部901の傾斜面901aと先行受部902Eの傾斜受面902Eaのゴムシート902Ebとが面当接し、その後に第4レンズ保持枠41Cのストッパ908が第4群副ガイド軸42と当接係合する。
実施例6のレンズ鏡胴10Eでは、基本的に実施例4のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例4と同様の効果を得ることができる。
それに加えて、実施例6のレンズ鏡胴10Eでは、先に樹脂材料からなる先行当接部901の傾斜面901aと、先行受部902Eの傾斜受面902Eaのゴムシート902Ebとが面当接することとなるので、先行当接部901と先行受部902Eとの当接に起因する衝突音をより低減することができる。
したがって、実施例6のレンズ鏡胴10Eでは、退避レンズとしての第4レンズ群14を撮影光軸OA上の位置にさせることに起因する衝突音の発生を抑制することができる。
なお、実施例6では、先行受部902Eの傾斜受面902Eaに衝撃吸収部材としてゴムシート902Ebを設けていたが、この衝撃吸収部材は当接することによる衝突音を低減すべく衝撃吸収の機能を有する部材で形成されたものであれば、例えば、起毛材料で形成されていてもよく、実施例6に限定されるものではない。
また、上記した実施例5では、互いに先行して当接(面当接)される部材の一方の先行当接部901Dの傾斜面901Daにゴムシート901Dbを設けており、上記した実施例6では、互いに先行して当接(面当接)される部材の他方の先行受部902Eの傾斜受面902Eaにゴムシート902Ebを設けていたが、実施例5と実施例6とを組み合わせる、すなわち双方に衝撃吸収部材を設けるものであってよい。
なお、上記した各実施例では、本発明に係るレンズ鏡胴の一例としてのレンズ鏡胴10、10A、10B、10C、10D、10Eについて説明したが、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態からレンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、可動レンズ鏡胴を介してレンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを撮影光軸外に退避させるべく、少なくとも1つのレンズ群を移動可能に保持しつつ可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材に当接することにより退避レンズを光軸上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、可動レンズ鏡胴の内部には、退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部が設けられ、退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、位置決め部材に当接する前に、先行受部に当接する先行当接部が設けられるレンズ鏡胴、そのレンズ鏡胴を用いた撮像装置、そのレンズ鏡胴を用いたデジタルカメラ、そのレンズ鏡胴を用いた携帯型情報端末装置もしくはそのレンズ鏡胴を用いた画像入力装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した各実施例では、実施例1ないし実施例3において第3レンズ群13を撮影光軸OA上から退避させ、実施例4ないし実施例6において第4レンズ群14を撮影光軸OA上から退避させるものであったが、それらを組み合わせたものであってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
以上、本発明の撮影装置を実施形態および各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
10、10A、10B、10C、10D、10E レンズ鏡胴
13 (退避レンズとしての)第3レンズ群
14 (退避レンズとしての)第4レンズ群
31、31A (退避レンズ保持枠としての)第3レンズ保持枠
33 (位置決め部材としての)第3群副ガイド軸
41、41C、41D、41E (退避レンズ保持枠としての)第4レンズ保持枠
42 (位置決め部材としての)第4群副ガイド軸
91、91A 先行当接部
91Ab (衝撃干渉部材としての)ゴムシート
92、92B 先行受部
92Bb (衝撃干渉部材としての)ゴムシート
901、901D 先行当接部
901Da 傾斜面
901Db (衝撃干渉部材としての)ゴムシート
902、902E 先行受部
902Eb (衝撃干渉部材としての)ゴムシート
OA 撮影光軸
特開2004−361657号公報 特開2005−266345号公報

Claims (16)

  1. 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、
    前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを前記可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持しつつ前記可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材に当接することにより前記退避レンズを光軸上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、
    前記可動レンズ鏡胴の内部には、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部が設けられ、
    前記退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、前記位置決め部材に当接する前に、前記先行受部に当接する先行当接部が設けられていることを特徴とするレンズ鏡胴。
  2. 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、
    前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを光軸外に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持しつつ前記可動レンズ鏡胴の内部に設けられた位置決め部材に当接することにより前記退避レンズを光軸上の位置に位置決めする退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、
    前記退避レンズ保持枠は、前記位置決め部材に対して光軸方向に相対的に移動可能であり、
    前記可動レンズ鏡胴の内部には、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動経路上に位置する先行受部が設けられ、
    前記退避レンズ保持枠には、沈胴状態から撮影状態に移行する際、前記位置決め部材に当接する前に、前記先行受部に当接する先行当接部が設けられていることを特徴とするレンズ鏡胴。
  3. 前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の沈胴状態から撮影状態への移動を停止させることなく互いに当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴。
  4. 前記先行受部と前記先行当接部とは、前記退避レンズ保持枠の移動方向に対して傾斜する傾斜面で当接することを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡胴。
  5. 前記先行受部と前記先行当接部とは、光軸方向に対して傾斜する傾斜面で当接することを特徴とする請求項2に記載のレンズ鏡胴。
  6. 前記位置決め部材は、金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  7. 前記先行受部は、衝撃吸収材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  8. 前記衝撃吸収材料は、樹脂材料であることを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡胴。
  9. 前記衝撃吸収材料は、ゴム材料であることを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡胴。
  10. 前記先行受部と前記先行当接部との少なくとも一方には、互いが当接する箇所に衝撃吸収部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  11. 前記衝撃吸収部材は、ゴム材料で形成されたシート部材であることを特徴とする請求項10に記載のレンズ鏡胴。
  12. 前記衝撃吸収部材は、起毛材料で形成されていることを特徴とする請求項10に記載のレンズ鏡胴。
  13. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする撮像装置。
  14. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とするデジタルカメラ。
  15. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする携帯型情報端末装置。
  16. 請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする画像入力装置。
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