JP2012018387A - レンズ鏡胴 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室の厚さ寸法を簡易な構成で低減することのできるレンズ鏡胴を提供する。
【解決手段】撮像素子16が設けられたベース部材82に対して沈胴状態から撮影状態とすべく複数のレンズ保持枠と可動レンズ鏡胴とレンズ保持枠駆動手段とを備え、各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の撮影光軸OA上に位置させかつ沈胴状態では退避レンズ(13)を撮影光軸OA外に退避させるべく、退避レンズを移動可能に保持する退避レンズ保持枠(31)を含むレンズ鏡胴10である。退避レンズ保持枠(31)は、少なくとも、撮影光軸OAに対して傾斜する方向への移動(矢印A1)と、撮影光軸OAに直交する方向への移動(矢印A2)と、により、撮影光軸OA上と退避レンズ収納室内との間での移動が可能とされている。
【選択図】図22

Description

本発明は、1つの形態ではレンズ群を沈胴し、他の1つの形態ではレンズ群を所定位置まで繰り出して使用するレンズ鏡胴に関し、特に複数のレンズ群を撮影光軸上で相対的に移動させて焦点距離を変更することができるズームレンズに好適なレンズ鏡胴に関する。
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(以下、「デジタルカメラ」という)等の撮像装置では、撮影性能の向上とともに携帯性の向上が強く求められている。このため、撮像装置では、撮影時に、撮像素子を基準とする各レンズ群間の距離が撮影に必要な距離となるようにカメラ筐体内から繰り出し、非撮影時に、撮影光学系の少なくとも一部のレンズ群を撮影光軸から退避させるとともに、撮像素子を含む各レンズ群間の距離が撮影に最低限必要な距離未満で可能な限り小さくなるようにカメラ筐体内に沈胴させる構成とされているものがある。この撮像装置では、レンズ鏡胴を沈胴状態とすることにより、可動鏡筒収納時の撮影光軸方向の長さ寸法(以下、厚さ寸法ともいう)を小さくすることができ、携帯に好適なものとすることができる(特許文献1参照)。
しかしながら、この技術では、撮影光軸から退避されるレンズ群の退避位置が実質的にカメラ本体部の固定筒の最大外径の内側となっている。そのため、可動鏡筒収納時の厚さ寸法は小さくすることはできるが、固定筒の外径が大きくなってしまい、カメラ本体(撮像装置)を正面(物体側)から見た場合にその大きさが大きくなるという不都合がある。
そこで、退避されるレンズ群の少なくとも一つを可動鏡筒の内径よりも外側に退避させる退避レンズ保持枠で保持する構成のレンズ鏡胴が既に知られている(特許文献2参照)。このレンズ鏡胴では、従来の固定筒の内側にレンズ群が退避される構成に比べて、沈胴時の各レンズ群間の距離の増大を招くことなく可動鏡筒の外径の増大を抑制することができる。
ところで、上記した従来のレンズ鏡胴では、固定筒よりも外側の厚さ寸法(撮影光軸方向の寸法)も全体としての厚さ寸法に影響を及ぼすことから、この外側の厚さ寸法もより小さくすることが望ましい。上記したレンズ鏡胴では、撮影光学系により形成される被写体像の取得のための撮像素子に対して、各レンズ群の撮影光軸上の位置が適宜設定されることから、厚さ寸法の基準となる一方の端部は当該撮像素子が設けられたベース部材により規定される。また、上記したレンズ鏡胴では、退避レンズ保持枠が撮影光軸に直交する面に沿って移動される固定筒の外方位置が退避レンズ収容室とされる構成であることから、厚さ寸法の基準となる他方の端部は撮影光軸方向で見た当該退避レンズ収容室の被写体側の端部により規定される。ここで、退避レンズ保持枠は、撮影光軸上にある場合、ベース部材との間に撮像素子や場合によっては撮影光学系における退避レンズ保持枠よりも像面側に位置する部材が介在されていることから、撮影光軸に直交する面に沿って移動されると、退避レンズ収容室内においてベース部材との間に介在部材の厚さ寸法分の間隔が生じてしまう。このため、上記した従来のレンズ鏡胴では、退避レンズ収容室において退避レンズ保持枠の後端位置からベース部材までの間隔を有効利用することができておらず、退避レンズ収容室の厚さ寸法を低減する余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室の厚さ寸法を簡易な構成で低減することのできるレンズ鏡胴を提供することを目的とする。
請求項1に記載のレンズ鏡胴は、撮影光学系で形成する被写体像の取得のための撮像素子が設けられたベース部材に対して、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の撮影光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを前記可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側の退避レンズ収納室に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持する退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、前記退避レンズ保持枠は、少なくとも、撮影光軸に対して傾斜する方向への移動と、撮影光軸に直交する方向への移動と、により、撮影光軸上と前記退避レンズ収納室内との間での移動が可能とされていることを特徴とする。
請求項2に記載のレンズ鏡胴は、請求項1に記載のレンズ鏡胴であって、前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸上から前記退避レンズ収納室へと向かう際、撮影光軸に対して傾斜する方向であって前記ベース部材に近づく方向への移動の後に、撮影光軸に直交する方向へと移動されて前記退避レンズ収納室内に収容されることを特徴とする。
請求項3に記載のレンズ鏡胴は、請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡胴であって、さらに、撮影光軸方向に移動自在とされた螺合部材と、該螺合部材の撮影光軸方向の移動を、前記退避レンズ保持枠における撮影光軸方向回りの回転運動および撮影光軸に沿う直進運動に変換すべく前記退避レンズ保持枠と前記螺合部材とを接続するカム構造と、を備えることを特徴とする。
請求項4に記載のレンズ鏡胴は、請求項3に記載のレンズ鏡胴であって、前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸と平行に前記ベース部材から延在する主ガイド軸に、長手方向に沿って移動可能にかつその軸線回りに回転可能に支持され、前記カム構造は、前記螺合部材を摺動可能に受け入れるべく前記退避レンズ保持枠において前記主ガイド軸に支持される回動基部に設けられたカム溝と、前記回動基部に設けられた保持枠側カム面と、該保持枠側カム面との当接により前記退避レンズ保持枠を撮影光軸方向に移動させつつその軸線回りに回転させるべく、前記ベース部材に設けられたベース側カム面と、を有することを特徴とする。
請求項5に記載のレンズ鏡胴は、請求項4に記載のレンズ鏡胴であって、前記保持枠側カム面と前記ベース側カム面とは、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、当接が解除されていることを特徴とする。
請求項6に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズの物体側に位置されるレンズ群であることを特徴とする。
請求項7に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズとして用いられるレンズ群であることを特徴とする。
請求項8に記載のレンズ鏡胴は、請求項7に記載のレンズ鏡胴であって、撮影状態において前記退避レンズの物体側に位置されるレンズ群は、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、撮影光軸上で可能な限り像面側に移動された後に、撮影光軸に直交する方向へ移動されて前記退避レンズ収納室に退避される退避レンズであることを特徴とする。
請求項9に記載のレンズ鏡胴は、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴であって、前記退避レンズは、前記退避レンズ収納室に退避された状態において、前記撮像素子または撮影状態において像面側に位置する前記撮影光学系の他の部材と、撮影光軸に直交する方向で見て重なる位置とされていることを特徴とする。
請求項10に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項11に記載のデジタルカメラは、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項12に記載の携帯型情報端末装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
請求項13に記載の画像入力装置は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする。
本発明に係る撮像装置では、退避レンズ保持枠が、撮影光軸上の位置と退避レンズ収容室内との間で、傾斜方向への移動と直交方向への移動とが可能とされていることから、退避レンズ収容室を、退避レンズをベース部材に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法としても、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、退避レンズを退避レンズ収容室内へと収容することができる。
また、退避レンズ保持枠は、傾斜方向への移動と直交方向への移動とにより撮影光学系の他の部材に干渉することなく退避レンズを退避レンズ収容室内へと収容することを可能とするものであることから、簡易な構成とすることができる。
上記した構成に加えて、前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸上から前記退避レンズ収納室へと向かう際、撮影光軸に対して傾斜する方向であって前記ベース部材に近づく方向への移動の後に、撮影光軸に直交する方向へと移動されて前記退避レンズ収納室内に収容されることとすると、退避レンズ収納室の厚さ寸法をより低減することができる。
上記した構成に加えて、さらに、撮影光軸方向に移動自在とされた螺合部材と、該螺合部材の撮影光軸方向の移動を、前記退避レンズ保持枠における撮影光軸方向回りの回転運動および撮影光軸に沿う直進運動に変換すべく前記退避レンズ保持枠と前記螺合部材とを接続するカム構造と、を備えることとすると、より簡易な構成で退避レンズ保持枠の傾斜方向への移動と直交方向への移動とを実現することができる。
上記した構成に加えて、前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸と平行に前記ベース部材から延在する主ガイド軸に、長手方向に沿って移動可能にかつその軸線回りに回転可能に支持され、前記カム構造は、前記螺合部材を摺動可能に受け入れるべく前記退避レンズ保持枠において前記主ガイド軸に支持される回動基部に設けられたカム溝と、前記回動基部に設けられた保持枠側カム面と、該保持枠側カム面との当接により前記退避レンズ保持枠を撮影光軸方向に移動させつつその軸線回りに回転させるべく、前記ベース部材に設けられたベース側カム面と、を有することとすると、より簡易な構成で退避レンズ保持枠の傾斜方向への移動と直交方向への移動とを実現することができる。
上記した構成に加えて、前記保持枠側カム面と前記ベース側カム面とは、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、当接が解除されていることとすると、退避レンズ収容室内における退避レンズの撮影光軸方向で見た高さ位置を設定した位置とすることができる。
上記した構成に加えて、前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズの物体側に位置されるレンズ群であることとすると、像面側に位置する撮像素子およびフォーカスレンズとの干渉を適切に回避しつつベース部材に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とした退避レンズ収容室内へと収容することができる。このことは、特に、撮像素子がベース部材上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸に直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室の厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
上記した構成に加えて、前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズとして用いられるレンズ群であることとすると、前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズの物体側に位置されるレンズ群であることとすると、像面側に位置する撮像素子との干渉を適切に回避しつつベース部材に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とした退避レンズ収容室内へと収容することができる。このことは、特に、撮像素子がベース部材上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸に直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室の厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
上記した構成に加えて、撮影状態において前記退避レンズの物体側に位置されるレンズ群は、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、撮影光軸上で可能な限り像面側に移動された後に、撮影光軸に直交する方向へ移動されて前記退避レンズ収納室に退避される退避レンズであることとすると、先に退避レンズ収納室に退避された退避レンズの撮影光軸上での空間を利用して、後に退避される退避レンズを撮影光軸上で可能な限りベース部材に近づけることができるので、後に退避される退避レンズを保持する退避レンズ保持枠の移動のための構成を簡易なものとすることができる。
上記した構成に加えて、前記退避レンズは、前記退避レンズ収納室に退避された状態において、前記撮像素子または撮影状態において像面側に位置する前記撮影光学系の他の部材と、撮影光軸に直交する方向で見て重なる位置とされていることとすると、退避レンズ収容室をより小型化することができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる撮像装置では、従来よりも厚さ寸法を低減することができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いるデジタルカメラでは、従来よりも厚さ寸法を低減することができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる携帯型情報端末装置では、従来よりも厚さ寸法を低減することができる。
上記した構成のレンズ鏡胴を用いる画像入力装置では、従来よりも厚さ寸法を低減することができる。
レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10部分の構成を物体側から見た斜視図である。 図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズバリアを閉じた沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を物体側から見た斜視図である。 図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態Pにおいて開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴10部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 レンズ群を突出させた撮影状態Pにおけるレンズ鏡胴10部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態Dにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出した撮影状態Pにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。 レンズ群を突出した(a)望遠位置状態(撮影状態P)と沈胴させて収納した沈胴収納状態D(単に沈胴状態ともいう)およびレンズ群を突出した(b)広角位置状態(撮影状態P)のレンズ鏡胴10における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡胴10の要部をそれぞれ示す縦断面図である。 第2の回転筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図である。 カム筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図である。 第1のライナーに形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開しかつヘリコイドを省略して模式的に示す展開図である。 固定枠の固定筒部に形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開しかつヘリコイドを省略して模式的に示す展開図である。 ヘリコイドを含む詳細図である。 ヘリコイドに嵌合する第1の回転鏡胴の斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す側面図である。 図14(a)の斜視図である。 第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を模式的に示す斜視図である。 第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を結像面側から見た正面図である。 シャッタ部分を主として示す斜視図である。 本発明に係るレンズ鏡胴10が用いられたカメラ100の外観構成を模式的に示す物体側から見た斜視図であり、(a)は撮影レンズをカメラ100のボディ内に沈胴収納している状態、(b)は撮影レンズがカメラ100のボディから突出している状態を示している。 図17のカメラ100の外観構成を模式的に示す撮影者側から見た斜視図である。 図17のカメラ100の機能構成を模式的に示すブロック図である。 第4レンズ保持枠の構成を説明するための説明図であり、(a)は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系の要部の構成を模式的に示す斜視図であり、(b)は、その一部を省略し、角度を変えて見た状態を示す斜視図である。 駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図である。 実施例1に係るレンズ鏡胴10における第3レンズ保持枠31の移動の態様を示す模式的な説明図である。 第3レンズ保持枠31の構成を説明するための模式的な斜視図である。 第3レンズ保持枠31のカム機構の作用を説明するための第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持枠回動基部95の段差部91の周辺を拡大して示す模式的な斜視図である。 図24と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図24の後の状態を示している。 図24および図25と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図25の後の状態を示している。 図24ないし図26と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図26の後の状態を示している。 図24ないし図27と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図27の後の状態を示している。 図24ないし図28と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図28の後の状態を示している。 図24ないし図29と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31が退避される際の図29の後の状態を示している。 鏡胴ベース82(押さえ板81)上における第3レンズ保持枠31の移動の様子を示す模式的な斜視図である。 固定枠21(固定筒部21a)内における第3レンズ保持枠31の移動の様子を示す模式的な斜視図である。 実施例2に係るレンズ鏡胴10Aにおける第3レンズ保持枠31Aの移動の態様を示す図22と同様の模式的な説明図である。 第3レンズ保持枠31Aの構成を説明するための模式的な斜視図である。 第3レンズ保持枠31Aのカム機構の作用を説明するための第3レンズ保持枠31Aの第3レンズ保持枠回動基部95Aの段差部91Aの周辺を拡大して示す模式的な斜視図である。 図35と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図35の後の状態を示している。 図35および図36と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図36の後の状態を示している。 図35ないし図37と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図37の後の状態を示している。 図35ないし図38と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図38の後の状態を示している。 図35ないし図39と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図39の後の状態を示している。 図35ないし図40と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Aが退避される際の図40の後の状態を示している。 鏡胴ベース82(押さえ板81)上における第3レンズ保持枠31Aの移動の様子を示す模式的な斜視図である。 固定枠21(固定筒部21a)内における第3レンズ保持枠31Aの移動の様子を示す模式的な斜視図である。 実施例3に係るレンズ鏡胴10Bの鏡胴ベース82B上での第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bの構成を説明するための説明図であり、模式的な斜視図で示している。 第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bの周辺のみを示す説明図である。 第3レンズ保持枠31Bのためのカム機構を説明するための説明図である。 実施例3に係るレンズ鏡胴10Bにおける第4レンズ保持枠41Bの移動の態様を示す図22と同様の模式的な説明図である。 レンズ鏡胴10Bにおける図47の後であって第3レンズ保持枠31Bの移動の態様を示す図22と同様の模式的な説明図である。 第4レンズ保持枠41Bのためのカム機構を説明するための説明図である。 鏡胴ベース82B上での第4レンズ保持枠41Bの構成を説明するための説明図である。 第4レンズ保持枠41Bの保持枠側段付き係合面55の構成を説明するために模式的な斜視図で示す説明図である。 鏡胴ベース82Bのベース側段付き係合面56の構成を説明するために模式的な斜視図で示す説明図である。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図である。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図53の後の状態を示している。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図54の後の状態を示している。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図55の後の状態を示している。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図56の後の状態を示している。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図57の後の状態を示している。 第4レンズ保持枠41Bのカム機構の作用を説明するための第4レンズ保持枠41Bの第4レンズ保持枠回動基部87の段差部89の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であって、第4レンズ保持枠41Bが退避される際の図58の後の状態を示している。 実施例4に係るレンズ鏡胴10Cにおける第3レンズ保持枠31Cの移動の態様を示す図22と同様の模式的な説明図である。 実施例5に係るレンズ鏡胴10Dにおける第3レンズ保持枠31Dの移動の態様を示す図22と同様の模式的な説明図である。 第3レンズ保持枠31Dの構成を説明するための模式的な斜視図である。 第3レンズ保持枠31Dのカム機構の作用を説明するための第3レンズ保持枠31Dの第3レンズ保持枠回動基部95Dの段差部91Dの周辺を拡大して示す模式的な斜視図である。 図63と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図63の後の状態を示している。 図63および図64と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図64の後の状態を示している。 図63ないし図65と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図65の後の状態を示している。 図63ないし図66と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図66の後の状態を示している。 図63ないし図67と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図67の後の状態を示している。 図63ないし図68と同様の斜視図であって、第3レンズ保持枠31Dが退避される際の図68の後の状態を示している。 鏡胴ベース82(押さえ板81)上における第3レンズ保持枠31Dの移動の様子を示す模式的な斜視図である。 固定枠21(固定筒部21a)内における第3レンズ保持枠31Dの移動の様子を示す模式的な斜視図である。
以下に、本願発明に係る撮像装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
本発明に係るレンズ鏡胴の一例としての実施例1のレンズ鏡胴10を、図1ないし図21を用いて説明する。なお、図1〜図16および図20は、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1〜図16および図20において、レンズ鏡胴10を含む光学系装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝突防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38(図16(a)参照)、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43(図7、図8参照)、第4群主ガイド軸44、第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、ズームモータ51(図1参照)、第3群モータ52、第4群モータ53、バリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、ギア71、ギア72、ギア73、ギア74、押さえ板81、および鏡胴ベース82を具備している。なお、ズームモータ51はスプラインギア等と共に可動レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段として機能する。また、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、および直進筒27は、可動レンズ保持枠として機能する。
図9を参照して、撮影状態Pについて説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、被写体である物体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13との間に、シャッタ/絞りユニット15が挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、撮像素子であるCCD(電荷結合素子)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。この第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14およびシャッタ/絞りユニット15は、固体撮像素子16の受光面(入力面)上に被写体像を形成する撮影光学系として機能する。これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなる。この第1レンズ群11は、それらを一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。この第1レンズ群11は、複数のレンズのうち最も対物側に位置されるレンズ(対物レンズ)を有する。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなる。この第2レンズ群12は、それらを一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない)に形成されたカムフォロアが、図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含むものである。このシャッタ/絞りユニット15は、そこに一体的に形成されたカムフォロアが図11に示すカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21は、内方に円筒形状の固定筒部21aを有する。この固定筒部21aの内面には、図13(a)および図13(b)に示すように、軸方向に沿う直進溝およびカム溝が形成されている。そのヘリコイド状のカム溝には、図13(c)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロアが係合している。固定枠21の固定筒部21aの直進溝には、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。第1の回転筒22の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)が係合している。第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成されている。さらに、第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロアを挿通するための逃げ溝が形成されている(図12参照)。
第2の回転筒24の基端部の外周面には、ヘリコイドが形成され、当該ヘリコイドが第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合している。また、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面には、カムフォロアが突設され、当該カムフォロアが第1のライナー23のカムフォロアの逃げ溝(ライナー)を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。第1のライナー23の内周に設けられた直線溝(図12参照)には、第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。第2の回転筒24の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝(図10参照)が形成され、当該案内溝が第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)に係合している。このような構成により、第2のライナー25と第2の回転筒24とは、光軸方向に一体的に移動するとともに、光軸回りに相対的な回転移動が可能とされている。
第2のライナー25の内周には、カム筒26が嵌合されている。このカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内面には、光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されている。この案内溝には、カム筒26の外周面(前側)に突設された直進案内部材であるフォロア(またはキー)が係合している。このような構成により、カム筒26と第2のライナー25とは、光軸方向に一体的に移動するとともに、光軸回りに相対的な回転移動が可能とされている。
その第2のライナー25と第2の回転筒24との間には、直進筒27の基端部側が挿入されている。この直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロアが突設され、当該カムフォロアが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝(図10参照)に係合している。また、直進筒27の内周面には、軸方向に沿って直進溝が形成され、当該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。第1の回転筒22の基端部外周には、ギア部が形成されている(図18(c)参照)。この第1の回転筒22は、そのギア部に螺合されたギアを介して、ズームモータ51の駆動力が適宜ギア伝達されて回動される。これにより、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、直進筒27のカムフォロアに係合する第2の回転筒24のカム溝が図10に示されている。第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロアに係合するカム筒26のカム溝およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロアに係合するカム筒26のカム溝が図11に示されている。第2の回転筒24のカムフォロアのための第1のライナー23の逃げ溝および第2のライナー25のキー部に係合する第1のライナー23の直線溝が図12に示されている。そして固定筒部21aの第1のライナー23のキー部に係合する固定枠21の直進溝、第1の回転筒22のカムフォロアに係合する固定枠21のカム溝が図13((a)および(b))にそれぞれ示されている。
すなわち、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21と単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝(図13(a)、(b))で係合しており、収納状態から広角位置への駆動により、最大繰り出し位置まで完全に繰り出す。その後は、図13(a)および(b)に示すように、カム溝の物体側端部が固定枠端面に平行になっていることから、第1の回転筒22は、広角位置から望遠位置への駆動では撮影光軸(撮影光路)方向へ移動することなく定位置で回転する。このため、第1の回転筒22は、沈胴状態から広角位置へ移動する際、最初は回転しながら被写体側へ繰り出し、最大繰り出し位置に到達する。この第1の回転筒22が最大繰り出し位置に到達すると、固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなるズーム位置検出器(図示せず)によりズーム位置基準信号が発生する。
したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰り出し位置に達したと考えてよいので、退避レンズ保持枠、すなわち、第3レンズ保持枠31が撮影光軸(撮影光路)方向へ進入動作を開始できる。つまり、繰り出し動作の早い段階で、固定枠21に近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23を完全に繰り出すことにより、第3レンズ保持枠31を撮影光軸(撮影光路)上に挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。第1の回転筒22が最大繰り出し位置に達するとすぐに前記ズーム位置基準信号が発生し、挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が進入動作を開始するので、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端(後述する第3レンズ保持部93)に第3レンズ群13を保持しており、他端(後述する第3レンズ保持枠回動基部95)が回動可能にかつスライド移動可能に第3群主ガイド軸32に挿通されている。この第3群主ガイド軸32は、鏡胴ベース82に設けられた押さえ板81と固定枠21とを架け渡すように、第3レンズ群13の光軸と実質的に平行に設けられている(図14(a)等参照)。この押さえ板81は、鏡胴ベース82と略同一面を形成するように、当該鏡胴ベース82に設けられていることから、その鏡胴ベース82と協働して固体撮像素子16が設けられるベース部材を構成している。
第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態Pにおける撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、図7に示すように沈胴収納状態Dにおける第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D)との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。第3レンズ保持枠31が、収納位置すなわち撮影光軸OA上から退避された退避位置とされる際に、固定枠21内で固定筒部21aの外方の収容個所が収容空間を構成する退避レンズ収容室21b(図16(a)参照)であり、この退避レンズ収容室21b(その収容空間)と固定筒部21aの内方とが固定筒部21aに形成された切欠開口21c(図16(a)、図32等参照)により連通されている。
第3レンズ保持枠31の回動軸側と第3レンズ群13との間(後述する第3レンズ保持枠アーム部94)には、回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部が形成され、その屈曲部からほぼ主ガイド軸と直交する方向にストッパ31a(図15参照)が突設されている。このストッパ31aは、第3群副ガイド軸33と当接すると、第3レンズ保持枠31を、第3レンズ群13を撮影光軸OA上に位置させる撮影位置(撮影状態P)とする位置関係とされている。その第3群副ガイド軸33は、金属材料からなる棒状を呈し、撮影光軸OA方向に延在するように鏡胴ベース82に設けられている。また、第3レンズ保持枠31では、第3レンズ群13の近傍位置において、回動される方向であって撮影光軸OA上から退避レンズ収容室21bへと向かう側へ向けて、遮光片31b(図15参照)が突設されている。この遮光片31bは、第3レンズ保持枠31が収納位置とされると、図16(a)に示す第3群フォトインタラプタ38を遮光する位置関係とされており、第3レンズ保持枠31が収納位置にあることの検知確認ができるようになっている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、より被写体側へ繰り出した位置となる。但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴10の撮影光軸OA方向長さ(厚さ寸法)の制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。しかしながら、ストッパ31aの撮影光軸OA方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴10が大きくなってしまう。このことにより、ストッパ31aを可能な限り固体撮像素子16が設けられる鏡胴ベース82側(合焦位置(像面)側)に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31を、クランク状屈曲部(後述する第3レンズ保持枠アーム部94)を有する形状に形成している。なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
図14(a)、(b)に示すように、第3レンズ保持枠31が退避位置の状態(沈胴収納状態D)では、第3群リードスクリュー34に螺合している第3群雌ねじ部材35は最も像面側(固体撮像素子16側)に位置している。また、この状態では、後述するカム構造の作用により、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て反時計方向(撮影光軸OAへの進入方向)のモーメントを常に第3レンズ保持枠に与えている。第3レンズ保持枠31の第3群主ガイド軸32に支持されている部分(後述する第3レンズ保持枠回動基部95)と押さえ板81とには、後述するように第3群雌ねじ部材35の撮影光軸OA方向移動を第3レンズ保持枠31の進退移動と第3群主ガイド軸32に沿う直進運動とに変換するカム構造が形成されている。
この状態から第3群モータ52を図14(b)における時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介して第3群リードスクリュー34が時計方向に回転し、第3群雌ねじ部材35が撮影光軸OA方向に沿って被写体側へ移動する。このとき、第3レンズ保持枠31は、後述するように、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、反時計方向への回転付勢を常に受けているので、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが、第3レンズ保持枠31の段差部91に当接係合している。この第3群雌ねじ部材35が被写体側の所定位置まで移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としての第3群フォトインタラプタ38(図16(a)参照)から外れるまで移動するので、第3群フォトインタラプタ38からは、L(低レベル)からH(高レベル)への基準信号が発生する。第3レンズ群13は、第3群フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
この状態より、第3群雌ねじ部材35を図14(a)のB位置(退避開始位置)まで移動すると、第3レンズ保持枠31がさらに反時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図16(a)に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の撮影光軸OA上位置が規定される。これにて第3レンズ群13の撮影光軸OA方向への進入動作が完了する。この第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、収納位置から撮影光軸OA上位置(撮影位置)へ向かう回動方向に常時付勢(以下、回動付勢ともいう)されるとともに、第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向)に常時付勢(以下、直進付勢ともいう)されている。
なお、図14(b)に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、図示のように圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、第3群雌ねじ部材35が広角位置(図14(a)のW位置)を経て望遠位置(図14(a)のT位置)まで移動する際は、後述するように、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合面91dを被写体側(物体側)へ押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで撮影光軸OA方向に沿って被写体側(物体側)へ移動することが可能となる。
また、第3群雌ねじ部材35では、上述したように、圧縮トーションスプリング37によって、撮影光軸OA方向に沿って像面側へと常に押圧されている。このため、第3群リードスクリュー34や第3群雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間(ガタ)は、総て像面側へ寄せられている。よって、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA方向についての位置精度を確保できるようになっている。
第3群雌ねじ部材35は、撮影光軸OAに実質的に平行に配設された第3群リードスクリュー34に螺合し、第3群リードスクリュー34上を撮影光軸OAに沿って移動可能とされた螺合部材であり、上述した当接部35aと回転止め突起部35b(図15参照)とを有する。当接部35aは、第3レンズ保持枠31の後述する段差部91内において、後側係合面91a、カム面91b、側方係合面91cまたは前側係合面91dと当接可能とされている。回転止め突起部35bは、固定枠21の固定筒部21aに形成された撮影光軸OA方向に平行なガイド溝(図示せず)に嵌合摺動するものであり、第3群リードスクリュー34の回転に伴って第3群雌ねじ部材35が回ってしまうことを防止する回転止めとして機能する。すなわち、第3群雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、第3群リードスクリュー34上を撮影光軸OAに沿って進退移動する。
図14(a)に示すように、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転)により、第3群雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、圧縮トーションスプリング37による撮影光軸OA方向の像面側への直進付勢により、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが当接係合面となる上面にて第3レンズ保持枠31の段差部91の前側係合面91dに当接しているので、第3レンズ保持枠31が物体側から像面側へと漸次移動する。このとき、第3レンズ保持枠31は、圧縮トーションスプリング37から撮影光軸OA上位置への回動付勢力を受けているので、第3群副ガイド軸33に規制された撮影光軸OA上位置を維持する。
また、第3群雌ねじ部材35が、図14(a)のB位置よりもさらに像面側(図示左側)へ移動すると、後述するように、カム構造の作用により、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37による反時計回動方向の付勢力に抗して時計方向に回転して、退避動作が行われる。このため、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA上位置から収納位置21b(図16(a)参照)へ回動する。第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなる第3群フォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置への移動が許可される。この収納位置が、第3レンズ保持枠31の回動により第3レンズ群13を撮影光軸OA上から退避された状態の退避位置となる。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(図示せず)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第4レンズ保持枠41の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、第3群フォトインタラプタ38(図16(a)参照)によるHからLとなる収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ第3群雌ねじ部材35が像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23の内方、すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品を、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込むようにしたりする。これは、第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となることによる。これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流)モータを用いてズームモータ51を構成した実施例1では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギアとこの近傍に設置された例えばフォトインタラプタ51a(図1参照)からなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定している。なお、実施例1では、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、図2、図7および図8等に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、第3レンズ保持枠31との係合が可能な係合突起36bを有する。この衝突防止片36は、スプリング等の付勢手段により、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸OA側へ突出させる回動方向に常時付勢されている。この付勢手段による衝突防止片36への回動付勢力は、第3レンズ保持枠31への退避位置へ向けた回動付勢力よりも小さなものとされている。このため、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31が収納位置に位置しているときは、係合突起36bに係合する当該第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている(図2および図7等参照)。また、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31が回動して撮影光軸OA上位置に移動すると、第3レンズ保持枠31と係合突起36bとの係合が解除され、上記した付勢手段からの付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸OA側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定筒部21a(図9参照)内面から突出させる(図8参照)。このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも物体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(図5、図6および図8等参照)。
このような構成とすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片36(係止突起36a)が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、撮影光軸OA方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。この第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡胴10の一部分(可動鏡筒の一部分)が突出している撮影状態Pにおいて、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止することができる。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図20(a)、(b)を参照して説明する。
実施例1の場合、第4レンズ群14は、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる。この第4レンズ群14は、図20(a)、(b)等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。第4レンズ保持枠41は、スリーブ部41aと回転止め部41bとを有する。スリーブ部41aは、鏡胴ベース82に固定されかつ撮影光軸OAに平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合する。回転止め部41bは、撮影光軸OAに平行でかつ鏡胴ベース82に固定された第4群副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する。このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち撮影光軸OA方向に沿って自由に移動することが可能となっている。第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源として、実施例1では、ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられている。この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。この第4群雌ねじ部材46は、第4群リードスクリュー45上を撮影光軸OAに沿って移動可能とされた螺合部材である。
第4レンズ保持枠41には、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間が設けられている。この空間は、像側に撮影光軸OAに垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有する。この空間に挿入された第4レンズ保持枠41は、第4群スプリング43によって被写体側に常時付勢されており、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを有する。この突出部46aは、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を有している。
このような構成により、第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が第4群リードスクリュー45の延在方向すなわち撮影光軸OA方向に沿って、進退移動する。第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して撮影光軸OAに沿って移動する。なお、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギア等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしてもよい。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置として認識し、その位置から任意のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを撮影光軸OA方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、撮影光軸OA方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、撮影光軸OA方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、固定枠21に設置されたフォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギアとこの近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。収納時、第4レンズ保持枠41は、上述したように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接しそれを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の撮影光軸OA方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の撮影光軸OA方向の長さ寸法が、第4群雌ねじ部材46の厚み寸法よりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
ここで、このレンズ鏡胴10を構成する各レンズ群は、図21に示す駆動制御系により駆動制御される。この図21は、駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図である。
図21の駆動制御系は、中央演算処理装置501、モータドライバ502、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507、第4群パルスモータ508、第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、第4群フォトインタラプタ512、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を有している。
中央演算処理装置501は、モータドライバ502に対して、モータドライバ502の初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令に従って、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508等のモータ系を制御する。第1〜第2群DCモータ503は、第1群レンズ系11および第2群レンズ系12を駆動する。第1群レンズ系11および第2群レンズ系12は、通常の場合、第1〜第2群DCモータ503の駆動力に応動するカム機構を介してそれぞれ独立に駆動する。第1の絞りモータ504および第2の絞りモータ505は、シャッタ/絞りユニット15の絞りを駆動する。シャッタモータ506は、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを駆動する。第3群パルスモータ507は、第3群レンズ系13を駆動する。第4群パルスモータ508は、第4群レンズ系14を駆動する。
また、中央演算処理装置501は、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置検出装置としての第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512に対する駆動電源供給を行い、かつこれら第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512で検出された位置情報信号を取得する。第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516は、さらに第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512の各投光電流および各出力信号レベルを適正に制御する機能を有している。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令を受けて、該命令を実行し、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508のうちの選択されたモータに対して、指定電圧の設定をし、駆動命令タイミングに応じて駆動制御を行う。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体(被写体)から遠い側には、CCD(電荷結合素子)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されている。上述したように、この固体撮像素子16の入力面(受光面)上に、撮影光学系により被写体像が結像される。固体撮像素子16の入力面側には、カバーガラス18およびローパスフィルタ19が設けられている。また、固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じて各種光学フィルタやその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3ないし図5に示すレンズバリア62は、沈胴収納状態Dにおいて、第1レンズ群11の物体側を覆い、レンズ群を汚損や損傷から保護する。レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸OAに直交する方向に進退駆動される。図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。バリア駆動系63は、バリア操作部301(図17(a)参照)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4参照)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸OAから遠ざかった位置)との間で、駆動する。このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなくむしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、レンズバリア62を開放方向の固定枠21の側部に撮影光軸OAに沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により物体側へ付勢されている。このバリア制御片61は、沈胴収納状態Dにおいては、バリア制御片61の屈曲形成された係合部が、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。撮影状態Pにおいては、レンズバリア62は、各レンズ群およびそれらの保持枠等から完全に離れている。この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって物体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で沈胴収納状態Dへ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴10にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴10部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。各レンズ群が収納され、沈胴収納状態Dとなれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴10の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述したレンズ鏡胴においては、第3レンズ群13を、撮影光軸OA外に退避させる構成とした一例について説明した。この実施例1の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を撮影光軸OA外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち撮影光軸OA方向でみた厚さ寸法を小さくすることができる。さらに、絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の撮影光軸OAに垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
この場合、レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3群レンズ群および正のパワーを持つ第4レンズ群の4群で構成され、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を変化させることで変倍を行い、第4レンズ群を移動させることで像面の位置を撮像面に補正することで合焦を行っている。絞り機能を併せ持つシャッタは、第3レンズ群の前に位置する。レンズ構成を4群構成とし第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、像面からなるべく離れず外径が最も小さいレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡胴投影サイズが小さく厚みの薄い鏡胴とすることができる。また、変倍比4倍以上で4群レンズ構成の第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、高変倍比を実現しつつ鏡胴サイズ(投影サイズ、厚さ)を小さくしたレンズ鏡胴10を提供することができる。レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群を退避レンズ群としてもよい。各レンズ群は、それぞれ1枚以上のレンズによって構成すれば良く、ここでいう、レンズ群とは、一体的に動く1枚以上のレンズを指している。したがって、全てのレンズ群をそれぞれ1枚のレンズにより構成してもよい。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラ(撮像装置)100を構成した例について図17ないし図19を用いて説明する。図17は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図18は、撮影者側である背面側から見たカメラ100の外観を示す斜視図であり、図19は、カメラ100の機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラ100について説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラ100と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。また、同様に、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を画像入力装置に採用してもよい。
図17および図18に示すように、カメラ100は、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。さらに、図19に示すように、カメラ100は、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラ100は、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、実施例1において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する(例えば、固体撮像素子16(図9参照)を用いて受光素子201を構成する)。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラ100に組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、デジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってデジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ100のボディ(カメラ本体)に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。なお、先に述べた各レンズの駆動制御のための図21に示す中央演算処理装置501は、中央演算装置204に含まれていても良く、これと連係する他のマイクロプロセッサを用いて構成してもよい。
撮影レンズ101は、カメラ100の携帯時には、図17(a)に示すように、沈胴状態にあってカメラ100のボディ内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。ユーザーがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図17(b)に示すように、鏡胴が繰り出され、カメラ100のボディから突出して撮影状態Pとなる構成とする。このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。実施例1のズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸OA上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラ100のさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ100の操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴10がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギア連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。例えばファインダ機構がレンズ鏡胴10の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴10の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。次に、退避レンズ保持枠(実施例1では、第3レンズ保持枠31)を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴10の下方に設置することになる(レンズ鏡胴10の下方右側かあるいは下方左側)。この実施例では、レンズ鏡胴10の下方右側に退避レンズ保持枠のスペースを設置し、レンズ鏡胴10の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状のレンズ鏡胴10の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴10の小型化を達成することができた。
次に、実施例1の特徴部分について、図22ないし図32を用いて説明する。なお、図22は、本願発明の概念を説明するための説明図であって、後述する具体な一例としての構成(図23ないし図32)における位置関係と完全に合致するものではない。また、図24ないし図30は、段差部91と第3群雌ねじ部材35(当接部35a)との作用を説明するための第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持枠回動基部95の段差部91の周辺を拡大して示す模式的な斜視図であり、その作用の理解容易のために第3群雌ねじ部材35においては前後方向に直線運動により前後方向に移動される当接部35aのみを記載している。さらに、図31は、鏡胴ベース82(押さえ板81)上における第3レンズ保持枠31の移動の様子を示す模式的な斜視図であり、図32は、固定枠21(固定筒部21a)内における第3レンズ保持枠31の移動の様子を示す模式的な斜視図である。この図31および図32では、図25ないし図30の各状態における第3レンズ保持枠31を重複させて示しており、各図に対応する第3レンズ保持枠31を図25から順に符号に31−1〜31−6を付している。ついで、図25ないし図30では、理解容易のために圧縮トーションスプリング88を省略し、第3レンズ保持枠31およびカム機構以外の箇所にマスクを付して示している。
実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31の移動の態様が従来のものとは異なるものであり、そのためのカム構造も従来のものとは異なっている。先ず、第3レンズ保持枠31の移動の態様の概念について説明する。
本発明に係るレンズ鏡胴10では、図22に示すように、固定枠21内でかつ固定筒部21aの外方において退避レンズ収容室として機能する退避レンズ収容室21bの厚さ寸法(撮影光軸OA方向の長さ寸法)を低減すべく、退避レンズ収容室21b内における退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31の収容位置を、可能な限り固体撮像素子16が設けられる鏡胴ベース82側(合焦位置(像面)側)に設定するものである。換言すると、レンズ鏡胴10では、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を収容する空間として利用するものである。このため、本発明に係るレンズ鏡胴10では、最大で、撮影光軸OA方向で見て、撮影光学系における退避レンズ保持枠(第3レンズ保持枠31)よりも像面側に位置する部材(第4レンズ保持枠41)の厚さ寸法に相当する長さ寸法と固体撮像素子16の厚さ寸法に相当する長さ寸法とを加えた長さ寸法だけ、収納状態の退避レンズ保持枠をベース部材側に位置させることができる。
レンズ鏡胴10では、その設定された収容位置への第3レンズ保持枠31の収容を可能とするために、撮影光軸OA上の位置(以下、軸上位置Paともいう)と退避レンズ収容室21b内に収容された位置(以下、退避位置Psともいう)との間における第3レンズ保持枠31の移動において、少なくとも撮影光軸OA方向に傾斜する方向への移動と、撮影光軸OAに直交する方向への移動と、が行われる構成としている。
実施例1では、軸上位置Paから退避位置Psへと向かう際、先ず、鏡胴ベース82に近づくように撮影光軸OA方向に傾斜する方向へと移動され(矢印A1参照)、その移動後に退避レンズ収容室21b内へと進入するように撮影光軸OAに直交する方向へと移動される(矢印A2参照)。なお、この図22では、理解容易のために、退避レンズ保持枠(実施例1では第3レンズ保持枠31)における退避レンズ群を保持する箇所(実施例1では第3レンズ群13を保持する後述する第3レンズ保持部93)が移動される様子を模式的に示している。
退避レンズ保持枠をこのように移動させるのは、以下のことによる。レンズ鏡胴10(その撮影光学系)では、第3レンズ保持枠31が軸上位置Paにある場合、その第3レンズ保持枠31の鏡胴ベース82側(像面側)に、撮影光軸OA上に位置する第4レンズ保持枠41や固体撮像素子16が存在している。また、レンズ鏡胴10(その撮影光学系)では、退避レンズ収容室21bが可動鏡筒の外方(固定枠21内で固定筒部21aの外方)に形成されることから、第3レンズ保持枠31が退避レンズ収容室21bに収容されて退避位置Psにある場合、その第3レンズ保持枠31の被写体側に、可動鏡筒のうち最も外方に位置し繰り出された状態の第1の回転筒22の下端22f(像面側の端部)位置、または退避レンズ収容室21bの前方側の壁面を形成する固定枠21の前壁部21fが存在している。このため、第3レンズ保持枠31の軸上位置Paと退避位置Psとの間の移動では、第3レンズ保持枠31の下端部が第4レンズ保持枠41や固体撮像素子16に干渉する虞があるとともに、第3レンズ保持枠31の上端部が第1の回転筒22の下端22fや固定枠21の前壁部21fに干渉する虞がある。
ここで、鏡胴レンズ10の撮影光軸OA方向の大きさ寸法(厚さ寸法)を抑制する観点からは、退避レンズ収容室21b(その収容空間)の厚さ寸法を、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31の収容を可能とする最も小さな高さ寸法とすればよいこととなる。しかしながら、上述したように、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31では、軸上位置Paと退避位置Psとの間の移動の際、上端部および下端部が干渉する虞があることから、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を小さくすると、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31を軸上位置Paと退避位置Psとの間で移動させることができなくなってしまう。ここで、例えば、第3レンズ保持枠31を、その鏡胴ベース82側(像面側)に存在する第4レンズ保持枠41や固体撮像素子16の外形形状に沿うように(ジグザグに)移動させることが考えられるが、このような複雑な移動は、第3群雌ねじ部材35の撮影光軸OA方向移動を第3レンズ保持枠31の進退移動と第3群主ガイド軸32に沿う直進運動とに変換するカム構造の複雑化を招くとともに、軸上位置Paと退避位置Psとの間の移動に要する時間の増大を招いてしまう。
このため、実施例1のレンズ鏡胴10では、軸上位置Paにある第3レンズ保持枠31を、鏡胴ベース82に近づくように撮影光軸OA方向に傾斜する方向へと移動(矢印A1参照)させることにより、下側(像面側)の第4レンズ保持枠41および固体撮像素子16と、上側(被写体側)の第1の回転筒22および固定枠21と、の間をそれぞれ干渉することなく通過させ下側(像面側)へと後退させて、鏡胴ベース82に近づかせる。この傾斜方向への移動(矢印A1参照)により撮影光軸OA方向に後退された位置を、以下では、後退位置Prともいう。その後、後退位置Prにある第3レンズ保持枠31を、撮影光軸OAと直交する方向に沿って移動(矢印A2参照)させることにより、撮影光軸OA方向で見て鏡胴ベース82に近接した状態を維持させつつ退避レンズ収容室21b内へと進入させて、退避位置Psへと移動させる。このように、実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31を、先ず、軸上位置Paからの傾斜方向への移動(矢印A1参照)により後退位置Prとし、その後に後退位置Prからの直交方向への移動(矢印A2参照)により退避位置Psとすることにより、撮影光学系の他の部材との干渉を回避しつつ鏡胴ベース82に近接した状態での退避レンズ収容室21b内への収容を可能としている。
ここで、退避位置Psにある第3レンズ保持枠31を、直進移動のみで撮影光軸OA上へと移動させようとすると、例えば、下端部の第4レンズ保持枠41や固体撮像素子16との干渉を防止するように移動させる場合、二点鎖線L1で示すように上端部が第1の回転筒22(下端22f)や固定枠21(前壁部21f)と干渉してしまう。このような干渉を防止するためには、第3レンズ保持枠31の移動の際に上端部の描く軌跡(二点鎖線L1参照)よりも上方または側方外側へと第1の回転筒22や固定枠21を変位させる必要があるので、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法の増大や、固定筒部21a(可動鏡筒(第1の回転筒22))の径寸法の増大を招いてしまう。
これに対し、実施例1のレンズ鏡胴10では、軸上位置Paからの傾斜方向への移動(矢印A1参照)により後退位置Prとし、その後に後退位置Prからの直交方向への移動(矢印A2参照)により退避位置Psとすることにより、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法の増大や、固定筒部21a(可動鏡筒(第1の回転筒22))の径寸法の増大を招くことなく、撮影光学系の他の部材との干渉を回避しつつ鏡胴ベース82に近接した状態で退避レンズ収容室21b内に収容することができる。
このレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31と第3群雌ねじ部材35とが、第3レンズ保持枠31における軸上位置Paから後退位置Prへの傾斜方向の移動と、その後退位置Prから退避位置Psへの直交方向への移動と、の実行を可能とするカム構造により接続されている。実施例1のレンズ鏡胴10では、このカム構造として、第3群雌ねじ部材35にカムピンとしての当接部35aが設けられ(図15等参照)、かつ第3レンズ保持枠31(その後述する第3レンズ保持枠回動基部95)にカム溝としての段差部91および保持枠側カム面のための切欠部92が設けられ(図23等参照)、しかも第3群主ガイド軸32を支持する押さえ板81(鏡胴ベース82)にベース側カム面のための湾曲突起部83(図24等参照)が設けられている。
この段差部91および切欠部92が設けられた第3レンズ保持枠31は、図23に示すように、第3レンズ保持部93と、第3レンズ保持枠アーム部94と、第3レンズ保持枠回動基部95と、を有する。
第3レンズ保持部93は、第3レンズ保持枠31における一端側に位置されており、第3レンズ群13を保持可能とされている。第3レンズ保持部93は、全体に円筒形状を呈する枠部材である。この第3レンズ保持部93に第3レンズ保持枠アーム部94の一端側が連続されている。
第3レンズ保持枠アーム部94は、第3レンズ保持部93と第3レンズ保持枠回動基部95とを繋いでおり、第3レンズ保持枠31におけるアーム部を構成している。この第3レンズ保持枠アーム部94は、中間位置が第3群主ガイド軸32と平行方向に延在する全体にクランク状の屈曲部を構成している。この他端側に第3レンズ保持枠回動基部95が連続されている。
第3レンズ保持枠回動基部95は、全体に円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に回転可能にかつ撮影光軸OA方向に移動可能に支承される(図7および図8参照)。この第3レンズ保持枠回動基部95は、前述したように、圧縮トーションスプリング37により、収納位置(沈胴収納状態D)から撮影光軸OA上位置の撮影位置(撮影状態P)へ向かう回動方向に常時回動付勢される(図16(a)参照)とともに、第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向(図14(a)では正面視左側))に常時直進付勢されている。この第3レンズ保持枠回動基部95における回動付勢される方向を、図24において矢印A3で示す。このことから、圧縮トーションスプリング37は、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31の回動基部を構成する回動筒体としての第3レンズ保持枠回動基部95への付勢力を付与する筒体付勢手段として機能する。
この第3レンズ保持枠回動基部95には、板状部材が第3群主ガイド軸32(図16等参照)の軸線を中心として湾曲された円筒形状の湾曲壁部96が設けられている。この湾曲壁部96には、その円筒外周面に対して凹状とされた段差部91が設けられている。この段差部91は、基端側(像面側)に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる後側係合面91aと、その右端に連続するカム斜面形状を為すカム面91bと、その下端に連続しつつ撮影光軸OA方向に延在する側方係合面91cと、被写体側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面91dと、を形成している。実施例1では、段差部91は、組み付け作業を容易とすべく、図23を正面視した右側が開口されている。
また、湾曲壁部96には、一対の切欠部92(一方は図示せず)が設けられている。この両切欠部92は、湾曲壁部96の下端の角部が切り欠かれて形成されており、保持枠側カム面としての平面状の保持枠側傾斜面92aを規定している。両切欠部92は、第3レンズ保持枠31が第3群主ガイド軸32に沿って移動することにより、それぞれの保持枠側傾斜面92aが、湾曲突起部83により規定される後述するベース側傾斜面83aと面当接可能とされている(図24参照)。すなわち、両切欠部92は、第3レンズ保持枠31が広角位置Wから退避開始位置B(図14(a)参照)の間にある状態において、それぞれの保持枠側傾斜面92aが湾曲突起部83のベース側傾斜面83aと、撮影光軸OA方向で見て対向している。
その湾曲突起部83は、図24に示すように、第3群主ガイド軸32の基端を支持するベース部材としての押さえ板81から突出して設けられている。この湾曲突起部83は、板状部材が第3群主ガイド軸32の軸線を中心として湾曲された円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95を取り巻くことができるように、第3群主ガイド軸32と間隔を置きつつその軸線を中心として対を為して設けられている。両湾曲突起部83は、全体として撮影光軸OAに対して傾斜する方向に切り欠かれており、その切り欠かれた平面によりベース側カム面としてのベース側傾斜面83aを規定している。このベース側傾斜面83aは、第3レンズ保持枠31の回動軸のラジアル方向を含みつつ、像面側となる押さえ板81へ向かうにしたがって回動付勢方向(矢印A3参照)負側へと後退するように当該回動軸方向(第3群主ガイド軸32の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。
次に、レンズ鏡胴10における第3レンズ保持枠31が、撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、第3レンズ群13を退避レンズ収容室21b内に収容した収納位置(沈胴収納状態D)と、の間で回動する際の作用について、図14(a)と、図22と、図24ないし図32と、を用いて説明する。
前述したように、第3レンズ保持枠回動基部95は、その外周面に設けられた段差部91と、そこに受け入れられた第3群雌ねじ部材35の当接部35aとの摺動により、撮影光軸OA方向(前後方向)に直線運動される第3群雌ねじ部材35の押圧力を受けて回動されることから、段差部91がカム溝として機能し第3群雌ねじ部材35の当接部35aがカムピンとして機能することとなる。
第3レンズ保持枠回動基部95は、カム溝である段差部91内で前後方向に移動されるカムピンである第3群雌ねじ部材35の当接部35aにより、第3群主ガイド軸32に沿って上下に移動されたり、第3群主ガイド軸32回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部91内での当接部35aの位置に対する第3レンズ保持枠回動基部95の動作を説明する。
実施例1のレンズ鏡胴10では、上述したように、第3群モータ52を図14(b)における反時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転することにより、ギア71〜74からなるギア機構を介して第3群リードスクリュー34が時計方向に回転し、第3群雌ねじ部材35が、第3群リードスクリュー34上を撮影光軸OA方向に沿って収納位置Sから被写体側へと移動し、および広角位置Wを経て望遠位置T(図14(a)参照)に至る。逆に、第3群モータ52を時計方向に回転することにより、第3群雌ねじ部材35が、第3群リードスクリュー34上を撮影光軸OA方向に沿って望遠位置Tから像面側へと移動し、広角位置Wおよびを経て、収納位置Sに至る。レンズ鏡胴10では、このように第3群雌ねじ部材35を第3群リードスクリュー34上で移動させることにより、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、退避レンズ収容室21b内の収納位置(退避位置Ps(沈胴収納状態D))と、撮影光軸OA上の撮影位置(軸上位置Pa(撮影状態P))と、の間を移動させるとともに、撮影光軸OA上の任意の位置に移動させる。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されると(図14(a)参照)、図24に示すように、当接部35aが前側係合面91dに当接する。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95が圧縮トーションスプリング37から矢印A3方向に回動付勢されていることから、当接部35a(その上面)は、図示左側の端部で前側係合面91dに当接している。この状態では、回転付勢(矢印A3参照)により、第3レンズ保持枠31のストッパ31aが第3群副ガイド軸33に当接して、第3レンズ群13が撮影光軸OA上に位置される(図8等参照)。この状態において、さらに第3群雌ねじ部材35が前方(被写体側)に移動される(広角位置Wまたは望遠位置T等(図14(a)参照))と、当接部35a(その上面)が前側係合面91dを前方へと押圧して、第3レンズ保持枠回動基部95を前方へ押し上げるので、前述したように、第3レンズ群13が撮影光軸OA上で適宜被写体(物体)側へと移動される。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると(図14(a)参照)、圧縮トーションスプリング37からの直進付勢により、前側係合面91dに当接する当接部35a(第3群雌ねじ部材35)の高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95(第3レンズ保持枠31)が押さえ板81に接近していき、所定の高さ位置まで後退すると、図25に示すように、切欠部92の保持枠側傾斜面92aが、押さえ板81に設けられた湾曲突起部83のベース側傾斜面83aの上端部に当接する。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、当接部35aの上面が前側係合面91dから離間して、当接部35aの下面が後側係合面91aに当接し、後側係合面91aを押圧する(押し下げる)こととなる(図26参照)。この当接部35aの後方への移動により後側係合面91aが押し下げられると、その押下力と、湾曲突起部83のベース側傾斜面83aと切欠部92の保持枠側傾斜面92aとの案内作用と、により、図26、図27、図28の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95が回転付勢力に抗して回動されつつ押し下げられる。このように、第3レンズ保持枠回動基部95が回動されつつ押し下げられると、第3レンズ保持枠31は、図31および図32において、符号31−1、31−2、31−3の順に示すように、第3レンズ群13を撮影光軸OA上から退避位置へ向けて第3群主ガイド軸32回りに回動させつつ撮影光軸OAに沿って後退させる。このため、この当接部35aの後側係合面91aの押し下げによりベース側傾斜面83aと保持枠側傾斜面92aとが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31を撮影光軸OA方向斜め後側(像面側)へと移動させて、第3レンズ保持枠31を軸上位置Paから後退位置Prへと傾斜方向へと移動させる移行状態となる(図22の矢印A1参照)。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95が回動されていることから、段差部91内での当接部35aの位置は、後側係合面91a上において図示左側の端部(図25および図26参照)から図示右側の端部(図28参照)まで移動(摺動)する。
この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されると、段差部91内において、当接部35aの当接位置が後側係合面91aからカム面91bに移行する(図28および図29参照)。この当接部35aがカム面91bの上端部に当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退すると、第3レンズ保持枠31(第3レンズ保持枠回動基部95)の基端面31fが押さえ板81に当接する(図28参照)。この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されると、当接部35aがカム面91bを後方へ押圧することとなる。このとき、第3レンズ保持枠31(第3レンズ保持枠回動基部95)の基端面31fが押さえ板81に当接していることから、第3レンズ保持枠回動基部95が押し下げられることはない。このため、当接部35aがカム面91bを後方へ押圧すると、その押圧力と、当接部35aとカム面91bとの案内作用と、により、図28、図29、図30の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて、第3レンズ保持枠回動基部95が押さえ板81に接触した位置で回転付勢力に抗して回動され、切欠部92の保持枠側傾斜面92aが湾曲突起部83のベース側傾斜面83aから離間される(図29参照)。
この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されて収納位置S(図14(a)参照)とされると、段差部91内において、当接部35aの当接位置がカム面91bから側方係合面91cに移行する(図29および図30参照)。この当接部35aが側方係合面91cに当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退すると、第3レンズ保持枠回動基部95が回転付勢(図24の矢印A3参照)されていることから、当接部35a(その側面)が側方係合面91cに当接して互いに押圧する(係合する)こととなり、第3レンズ保持枠回動基部95の回動姿勢が固定される。図28から図30の順に示すように、第3レンズ保持枠回動基部95が回動されると、第3レンズ保持枠31は、図31および図32において、符号31−4、31−5、31−6の順に示すように、保持する第3レンズ群13を退避位置へ向けて第3群主ガイド軸32回りに回動させる。このため、この当接部35aがカム面91bを押圧しつつ摺動している状態では、第3レンズ保持枠31を撮影光軸OAに直交する方向へと移動させて、第3レンズ保持枠31を後退位置Prから退避位置Psへと直交方向へと移動させる移行状態となり(図22の矢印A2参照)、当接部35aが側方係合面91cに係合している状態では、第3レンズ保持枠31を退避位置Ps(収納位置)に位置させる沈胴収納状態Dとなる。
このように、実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズ収容室21bが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされており、この退避レンズ収容室21bが固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられていることから、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。これは、レンズ鏡胴10では、固体撮像素子16に対して撮影光学系(各レンズ群等)の撮影光軸OA上の位置が適宜設定されることから、厚さ寸法の基準となる一方の端部が、固体撮像素子16が設けられるベース部材(押さえ板81および鏡胴ベース82)に規定されることによる。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を収容する空間として利用することができるので、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。ここで、レンズ鏡胴10では、例えば、カメラに用いた場合、撮影光学系が設けられたレンズ鏡筒の箇所に関しては、多少厚さ寸法が大きくてもデザイン的に厚みを感じさせないこともできるが、固定筒よりも外側の厚さ寸法はカメラのボディの厚さ寸法の増大を招いてしまったり、レンズ鏡筒周辺のデザインの制約を招いてしまったりすることから、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を小さくすることにより、小型化に大きく貢献することができるとともに、デザインの自由度を向上させることができる。
また、実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31が、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、軸上位置Paからの傾斜方向への移動(矢印A1)により後退位置Prとし、その後に後退位置Prからの直交方向への移動(矢印A2)により退避位置Psとする構成とされていることから、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、当該第3レンズ群13を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされた退避レンズ収容室21b内へと収容することができる。換言すると、傾斜方向へと移動させた後に、直交方向へと移動させる構成とすることにより、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を小さくすることができる。このように移動させることは、特に、固体撮像素子16がベース部材(鏡胴ベース82)上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸OAに直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材(鏡胴ベース82)を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
さらに、実施例1のレンズ鏡胴10では、第3群雌ねじ部材35の当接部35aの撮影光軸OA方向の高さ位置を制御可能な構成とするとともに、第3レンズ保持枠31に段差部91および切欠部92を設け、かつ押さえ板81に湾曲突起部83を設けることで、第3レンズ保持枠31と第3群雌ねじ部材35と接続するカム構造を構成していることから、簡易な構成で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、軸上位置Paから後退位置Prへと傾斜方向に移動させるとともに、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズ収容室21bが、固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられている、換言すると可動鏡筒の外方に設けられていることから、固定筒部21aの外径を小さなものとすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を傾斜方向へと移動させるための湾曲突起部83(ベース側傾斜面83a)が、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95を取り巻くことが可能とされていることから、傾斜方向への移動による撮影光軸OA方向の移動量の設定の自由度を高めることができる。このことは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)の撮影光軸OA上からの退避開始位置の設定の自由度を高めることを可能とするので、撮影光学系の設計自由度を高めることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)において、退避開始位置となる軸上位置Paを、第3レンズ保持枠31(第3レンズ群13)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも像面側に設定していることから、簡易な構成のカム構造で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、軸上位置Paから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21bに収容することができるとともに、撮影光軸OA上での位置の制御を行うことができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、軸上位置Paから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21bに収容する構成であることから、撮影状態Pから沈胴収納状態Dへの移行の際、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を撮影光軸OA方向で見て退避位置Psよりも被写体(物体)側となる位置で撮影光軸OA上からの退避を開始することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3群雌ねじ部材35(当接部35a)が収納位置Sとされると、保持枠側カム面としての保持枠側傾斜面92aとベース側カム面としてのベース側傾斜面83aとが離間する、すなわち当接状態が解除されることから、退避レンズ収容室21b内における退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)の撮影光軸OA方向で見た高さ位置を設定した位置とすることができる。これは、以下のことによる。例えば、第3群雌ねじ部材35が収納位置Sとされた状態で、保持枠側カム面(保持枠側傾斜面92a)とベース側カム面(ベース側傾斜面83a)とが当接している構成とした場合、第3群雌ねじ部材35が収納位置Sであっても各部品における公差に起因して保持枠側カム面とベース側カム面との当接位置がずれる虞がある。この保持枠側カム面とベース側カム面とは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、撮影光軸OA方向で見て軸上位置Paよりも像面側へと後退する退避位置Psへと移動させるための傾斜面であることから、当接位置のずれは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)の撮影光軸OA方向で見た高さ位置に影響を及ぼしてしまう。このため、第3群雌ねじ部材35が収納位置Sとされた際、保持枠側カム面としての保持枠側傾斜面92aとベース側カム面としてのベース側傾斜面83aとの当接状態が解除される構成とすることにより、退避レンズ収容室21b内における退避レンズである第3レンズ群13の撮影光軸OA方向で見た高さ位置を、設定した位置とすることができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)を、撮影光軸OA上にあるフォーカスレンズとしての第4レンズ群14(第4レンズ保持枠41)との干渉を回避しつつ退避レンズ収容室21b内へと退避させることができるので、撮影光軸OA上での移動のみが可能とされた従来の第4レンズ群14(第4レンズ保持枠41)の構成を変更することなく、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を低減することができる。このように、第4レンズ群14(第4レンズ保持枠41)の構成の変更を要しないことから、従来のピント調節機能を損なうことなく、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を低減することができ、小型化に寄与することができる。
したがって、実施例1のレンズ鏡胴10では、可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を簡易な構成で低減することができる。
次に、本発明の実施例2のレンズ鏡胴10Aについて、図33ないし図43を用いて説明する。この実施例2は、退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31Aの移動の態様が、実施例1のレンズ鏡胴10とは異なる例である。この実施例2のレンズ鏡胴10Aは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。先ず、第3レンズ保持枠31Aの移動の態様の概念について図33を用いて説明する。
実施例2のレンズ鏡胴10Aにおいても、実施例1のレンズ鏡胴10と同様に、固定枠21内で固定筒部21aの外方において、退避レンズ収容室として機能する退避レンズ収容室21bの厚さ寸法(撮影光軸OA方向の長さ寸法)を低減すべく、退避レンズ収容室21b内における退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31Aの収容位置を、可能な限り固体撮像素子16が設けられる鏡胴ベース82側(合焦位置(像面)側)に設定する。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を収容する空間として利用するものである。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、その設定された収容位置への第3レンズ保持枠31の収容を可能とするために、図33に示すように、軸上位置Paから退避位置Psへと向かう際、先ず、撮影光軸OAに直交する方向へと移動させ(矢印A4参照)、その移動後に鏡胴ベース82に近づくように撮影光軸OA方向に傾斜する方向へと移動させ(矢印A5参照)、その移動後に退避レンズ収容室21b内へと進入するように撮影光軸OAに直交する方向へと移動させる(矢印A6参照)。すなわち、レンズ鏡胴10Aでは、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、軸上位置Paから直交方向へと移動させて(矢印A4参照)軸外平行位置Ppとし、その軸外平行位置Ppから傾斜方向へと移動させて(矢印A5参照)後退位置Prとし、その後退位置Prからの直交方向へと移動させて(矢印A6参照)により退避位置Psとする。
このレンズ鏡胴10Aでは、上述した移動を可能とするために、第3レンズ保持枠31Aと第3群雌ねじ部材35(当接部35a)とを接続するカム構造として、第3レンズ保持枠31A(その後述する第3レンズ保持枠回動基部95A)にカム溝としての段差部91Aおよび保持枠側カム面のための切欠部92Aが設けられ(図34等参照)、かつ第3群主ガイド軸32を支持する押さえ板81(鏡胴ベース82)にベース側カム面のための湾曲突起部83A(図35等参照)が設けられている。
第3レンズ保持枠31Aは、段差部91Aおよび切欠部92Aの構造を除くと、実施例1の第3レンズ保持枠31と同様の構成である。その段差部91Aは、図34に示すように、第3レンズ保持枠31Aの湾曲壁部96Aの円筒外周面に対して凹状とされて設けられている。この段差部91Aは、カム斜面形状を為す第1カム面91eと、その右端に連続して撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる後側係合面91fと、その右端に連続するカム斜面形状を為す第2カム面91gと、その下端に連続しつつ撮影光軸OA方向に延在する側方係合面91cと、被写体側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面91dと、を形成している。実施例2では、段差部91Aは、組み付け作業を容易とすべく、図34を正面視した右側が開口されている。
また、湾曲壁部96Aには、一対の切欠部92A(一方は図示せず)が設けられている。この両切欠部92Aは、湾曲壁部96Aの下端の角部が切り欠かれて形成されており、保持枠側カム面としての平面状の保持枠側傾斜面92Aaを規定している。両切欠部92Aは、第3レンズ保持枠31Aが、第3群主ガイド軸32回りに所定の角度だけ回動された状態で、当該第3群主ガイド軸32に沿って移動することにより、それぞれの保持枠側傾斜面92Aaが、湾曲突起部83Aにより規定される後述するベース側傾斜面83Aaと面当接可能とされている(図35および図38参照)。すなわち、両切欠部92Aは、第3レンズ保持枠31Aが退避開始位置Bから収納位置S(図14(a)参照)の間にある状態から第3群主ガイド軸32回りに所定の角度だけ回動された状態において、それぞれの保持枠側傾斜面92Aaが湾曲突起部83Aのベース側傾斜面83Aaと、撮影光軸OA方向で見て対向している。
その湾曲突起部83Aは、図35に示すように、第3群主ガイド軸32の基端を支持するベース部材としての押さえ板81から突出して設けられている。この湾曲突起部83Aは、板状部材が第3群主ガイド軸32の軸線を中心として湾曲された円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95Aを取り巻くことができるように、第3群主ガイド軸32と間隔を置きつつその軸線を中心として対を為して設けられている。両湾曲突起部83Aは、実施例1の湾曲突起部83と同様に、切り欠かれた平面によりベース側カム面としてのベース側傾斜面83Aaを規定している。このベース側傾斜面83Aaは、第3レンズ保持枠31Aの回動軸のラジアル方向を含みつつ、像面側となる押さえ板81へ向かうにしたがって回動付勢方向(矢印A3参照)負側へと後退するように当該回動軸方向(第3群主ガイド軸32の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。加えて、両湾曲突起部83Aは、上端が撮影光軸OAに直交する上方平面83Abを規定している。
次に、レンズ鏡胴10Aにおける第3レンズ保持枠31Aが、撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、第3レンズ群13を退避レンズ収容室21b内に収容した収納位置(沈胴収納状態D)と、の間で回動する際の作用について、図33と、図35ないし図43と、を用いて説明する。
実施例1と同様に、第3レンズ保持枠回動基部95Aは、その外周面に設けられた段差部91Aと、そこに受け入れられた第3群雌ねじ部材35の当接部35aとの摺動により、撮影光軸OA方向(前後方向)に直線運動される第3群雌ねじ部材35の押圧力を受けて回動されることから、段差部91Aがカム溝として機能し第3群雌ねじ部材35の当接部35aがカムピンとして機能することとなる。
第3レンズ保持枠回動基部95Aは、カム溝である段差部91A内で前後方向に移動されるカムピンである第3群雌ねじ部材35の当接部35aにより、第3群主ガイド軸32に沿って上下に移動されたり、第3群主ガイド軸32回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部91A内での当接部35aの位置に対する第3レンズ保持枠回動基部95Aの動作を説明する。
実施例1のレンズ鏡胴10Aでは、上述したように、第3群モータ52の回転駆動により、第3群雌ねじ部材35を第3群リードスクリュー34上で移動させ、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、退避レンズ収容室21Db内の収納位置(退避位置Ps(沈胴収納状態D))と、撮影光軸OA上の撮影位置(軸上位置Pa(撮影状態P))と、の間を移動させる。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されると(図14(a)参照)、図35に示すように、当接部35aが前側係合面91dに当接する。この当接部35aが前側係合面91dに当接しているときの動作、すなわち第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも前方(被写体側)へ移動されたときは、実施例1と同様である。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると(図14(a)参照)、圧縮トーションスプリング37からの直進付勢により、前側係合面91dに当接する当接部35a(第3群雌ねじ部材35)の高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95A(第3レンズ保持枠31A)が押さえ板81に接近していき、所定の高さ位置まで後退すると、図36に示すように、湾曲壁部96Aの下端面96Aaが、押さえ板81に設けられた湾曲突起部83Aの上方平面83Abに当接する。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、当接部35aの上面が前側係合面91dから離間して、当接部35aが第1カム面91eに当接する(図36ないし図38参照)。この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されると、当接部35aが第1カム面91eを後方へ押圧することとなる。このとき、第3レンズ保持枠31A(第3レンズ保持枠回動基部95A)の湾曲壁部96Aの下端面96Aaが、湾曲突起部83Aの上方平面83Abに当接していることから、第3レンズ保持枠回動基部95Aが押し下げられることはない。このため、当接部35aが第1カム面91eを後方へ押圧すると、その押圧力と、当接部35aと第1カム面91eとの案内作用と、により、図36、図37、図38の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて、湾曲壁部96Aの下端面96Aaが湾曲突起部83Aの上方平面83Abに接触した位置で回転付勢力(図35の矢印A3参照)に抗して回動されつつ、下端面96Aaが上方平面83Ab上を摺動する。この図36から図38の順に示すように、第3レンズ保持枠回動基部95Aが回動されると、第3レンズ保持枠31Aは、図42および図43において、符号31A−1、31A−2、31A−3の順に示すように、保持する第3レンズ群13を撮影光軸OA上から第3群主ガイド軸32回りに回動させる。このため、この当接部35aが第1カム面91eを押圧しつつ摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Aを撮影光軸OAに直交する方向へと移動させて、第3レンズ保持枠31Aを軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向へと移動させる移行状態となる(図33の矢印A4参照)。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、湾曲突起部83Aに対する第3レンズ保持枠回動基部95Aの回動により、湾曲壁部96Aでは、下端面96Aaと上方平面83Abとの当接状態から、切欠部92Aの保持枠側傾斜面92Aaと湾曲突起部83Aのベース側傾斜面83Aaとの当接状態に移行する(図38および図39参照)。この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、段差部91A内において、当接部35aの当接位置が第1カム面91eから後側係合面91fに移行し、当接部35aが後側係合面91fを押圧する(押し下げる)こととなる(図39参照)。この当接部35aの後方への移動により後側係合面91fが押し下げられると、その押下力と、切欠部92Aの保持枠側傾斜面92Aaと湾曲突起部83Aのベース側傾斜面83Aaとの案内作用と、により、図38、図39の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95Aが回転付勢力に抗して回動されつつ押し下げられる。このように、第3レンズ保持枠回動基部95Aが回動されつつ押し下げられると、第3レンズ保持枠31Aは、図42および図43において、符号31A−3、31A−4の順に示すように、第3レンズ群13を退避位置へ向けて第3群主ガイド軸32回りに回動させつつ撮影光軸OAに沿って後退させる。このため、この当接部35aの後側係合面91fの押し下げによりベース側傾斜面83Aaと保持枠側傾斜面92Aaとが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Aを撮影光軸OA方向斜め後側(像面側)へと移動させて、第3レンズ保持枠31Aを軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向へと移動させる移行状態となる(図33の矢印A5参照)。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95Aが回動されていることから、段差部91A内での当接部35aの位置は、後側係合面91f上において図示左側の端部から図示右側の端部(図39参照)まで移動(摺動)する。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、段差部91A内において、当接部35aの当接位置が後側係合面91fから第2カム面91gに移行する(図39および図40参照)。この当接部35aが第2カム面91gの上端部に当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退すると、第3レンズ保持枠31A(第3レンズ保持枠回動基部95A)の基端面31fが押さえ板81に当接する(図39および図40参照)。この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されると、当接部35aが第2カム面91gを後方へ押圧することとなる。このとき、第3レンズ保持枠31A(第3レンズ保持枠回動基部95A)の基端面31fが押さえ板81に当接していることから、第3レンズ保持枠回動基部95Aが押し下げられることはない。このため、当接部35aが第2カム面91gを後方へ押圧すると、その押圧力と、当接部35aと第2カム面91gとの案内作用と、により、図39、図40の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて、第3レンズ保持枠回動基部95Aが押さえ板81に接触した位置で回転付勢力に抗して回動され、切欠部92Aの保持枠側傾斜面92Aaが湾曲突起部83Aのベース側傾斜面83Aaから離間される(図40参照)。
この位置から第3群雌ねじ部材35が後方(像面側)へ移動されて収納位置S(図14(a)参照)とされると、段差部91A内において、当接部35aの当接位置が第2カム面91gから側方係合面91cに移行する(図40および図41参照)。この当接部35aが側方係合面91cに当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退すると、第3レンズ保持枠回動基部95Aが回転付勢(図35の矢印A3参照)されていることから、当接部35a(その側面)が側方係合面91cに当接して互いに押圧する(係合する)こととなり、第3レンズ保持枠回動基部95Aの回動姿勢が固定される。図39から図41の順に示すように、第3レンズ保持枠回動基部95Aが回動されると、第3レンズ保持枠31Aは、図42および図43において、符号31A−4、31A−5、31A−6の順に示すように、保持する第3レンズ群13を退避位置へ向けて第3群主ガイド軸32回りに回動させる。このため、この当接部35aが第2カム面91gを押圧しつつ摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Aを撮影光軸OAに直交する方向へと移動させて、第3レンズ保持枠31Aを後退位置Prから退避位置Psへと直交方向へと移動させる移行状態となり(図33の矢印A5参照)、当接部35aが側方係合面91cに係合している状態では、第3レンズ保持枠31Aを退避位置Ps(収納位置)に位置させる沈胴収納状態Dとなる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、基本的に実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズ収容室21bが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされており、この退避レンズ収容室21bが固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられていることから、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を収容する空間として利用することができるので、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。
また、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31Aが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、軸上位置Paからの直交方向への移動(矢印A4)により軸外平行位置Ppとし、その後に軸外平行位置Ppからの傾斜方向への移動(矢印A5)により後退位置Prとし、その後に後退位置Prからの直交方向への移動(矢印A6)により退避位置Psとする構成とされていることから、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、当該第3レンズ群13を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされた退避レンズ収容室21b内へと収容することができる。換言すると、直交方向へと移動させ、傾斜方向へと移動させた後に、直交方向へと移動させる構成とすることにより、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を小さくすることができる。このように移動させることは、特に、固体撮像素子16がベース部材(鏡胴ベース82)上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸OAに直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材(鏡胴ベース82)を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室21bの厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
さらに、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、第3群雌ねじ部材35の当接部35aの撮影光軸OA方向の高さ位置を制御可能な構成とするとともに、第3レンズ保持枠31Aに段差部91Aおよび切欠部92Aを設け、かつ押さえ板81に湾曲突起部83A(図24等参照)を設けることで、第3レンズ保持枠31Aと第3群雌ねじ部材35と接続するカム構造を構成していることから、簡易な構成で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させることができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズ収容室21bが、固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられている、換言すると可動鏡筒の外方に設けられていることから、固定筒部21aの外径を小さなものとすることができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を傾斜方向へと移動させるための湾曲突起部83A(ベース側傾斜面83Aa)が、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95を取り巻くことが可能とされていることから、傾斜方向への移動による撮影光軸OA方向の移動量の設定の自由度を高めることができる。このことは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)の撮影光軸OA上からの退避開始位置の設定の自由度を高めることを可能とするので、撮影光学系の設計自由度を高めることができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、実施例1のレンズ鏡胴10に比べて、撮影光軸OA上において、より第4レンズ群14に近い位置を第3レンズ群13の軸上位置Paとすることができるので、撮影光学系の設計自由度をより高めることができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)において、退避開始位置となる軸上位置Paを、第3レンズ保持枠31A(第3レンズ群13)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも像面側に設定していることから、簡易な構成のカム構造で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21bに収容することができるとともに、撮影光軸OA上での位置の制御を行うことができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21bに収容する構成であることから、撮影状態Pから沈胴収納状態Dへの移行の際、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)を撮影光軸OA方向で見て退避位置Psよりも被写体(物体)側となる位置で撮影光軸OA上からの退避を開始することができる。
実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、第3群雌ねじ部材35(当接部35a)が収納位置Sとされると、保持枠側カム面としての保持枠側傾斜面92Aaとベース側カム面としてのベース側傾斜面83Aaとが離間する、すなわち当接状態が解除されることから、退避レンズ収容室21b内における退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93A)の撮影光軸OA方向で見た高さ位置を設定した位置とすることができる。
したがって、実施例2のレンズ鏡胴10Aでは、可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室21bの厚さ寸法を簡易な構成で低減することができる。
次に、本発明の実施例3に係るレンズ鏡胴10Bについて、図44ないし図59を用いて説明する。この実施例3は、第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bを退避レンズ保持枠としたものである。この実施例3のレンズ鏡胴10Bは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
先ず、レンズ鏡胴10Bにおける第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bの構成の概略について説明する。このレンズ鏡胴10Bでは、図44および図45に示すように、第3レンズ群13および第4レンズ群14を撮影光軸OA上から可動鏡筒の外方位置(退避レンズ収容室21Bb)に収容する退避レンズ群とすべく、第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bが退避レンズ保持枠とされている。第3レンズ保持枠31Bは、後述するように、第3群雌ねじ部材35の撮影光軸OA方向移動を第3レンズ保持枠31Bの進退移動と第3群主ガイド軸32に沿う直進運動とに変換するカム構造が異なることを除くと、実施例1のレンズ鏡胴10と同様の構成である。
この第3レンズ保持枠31Bにおけるカム構造では、第3群雌ねじ部材35の当接部35aおよびそれが係合されるカム溝としての段差部91Bにより構成されている。すなわち、当該カム構造では、実施例1のレンズ鏡胴10のカム構造と比較すると、第3レンズ保持枠31の切欠部92(図23参照)に相当するものと、押さえ板81(鏡胴ベース82B)に設けられる湾曲突起部83(図24参照)に相当するものと、を有していない。この段差部91Bは、図45および図46に示すように、円筒形状の湾曲壁部96Bの円筒外周面に対して凹状とされて設けられており、基端側(像面側)にカム斜面形状を為すカム面91Bbと、その下端に連続しつつ撮影光軸OA方向に延在する側方係合面91Bcと、被写体側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面91Bdと、を形成している。換言すると、段差部91Bは、実施例1の段差部91と比較すると、撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる後側係合面91a(図23参照)を有していない。この第3レンズ保持枠31Bは、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが段差部91Bの前側係合面91Bdを直進付勢に抗して被写体側(物体側)へ押圧することにより、保持する第3レンズ群13を、撮影光軸OA上の任意の位置とすることができる。また、この第3レンズ保持枠31Bは、第3群雌ねじ部材35の当接部35aが段差部91Bのカム面91Bbを回転付勢に抗して後方(像面側)へ押圧すると、第3レンズ保持枠31Bの基端面が押さえ板81に当接するので、当接部35aとカム面91Bbとの案内作用により、保持する第3レンズ群13を、第3群主ガイド軸32回りに回動させて撮影光軸OA上の撮影位置と退避レンズ収容室21Bb内の収納位置との間を移動させることができる。
第4レンズ保持枠41Bは、図44および図45に示すように、一端(後述する第4レンズ保持部85)に第4レンズ群14を保持しており、他端(後述する第4レンズ保持枠回動基部87)が回動可能にかつスライド移動可能に第4群主ガイド軸44に挿通されている。この第4群主ガイド軸44は、鏡胴ベース82Bと固定枠21とを架け渡すように、第4レンズ群14の光軸と実質的に平行に設けられている。この鏡胴ベース82Bは、実施例1の鏡胴ベース82Bと同様に、固体撮像素子16が設けられるベース部材を構成している。
第4レンズ保持枠41Bは、撮影状態Pにおける撮影光軸OA上に第4レンズ群14を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、沈胴収納状態Dにおける第4レンズ群14を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した退避レンズ収容室21Bb内の収納位置(沈胴収納状態D)との間で第4群主ガイド軸44を中心として回動する。この第4レンズ保持枠41Bは、第4群副ガイド軸42Bと当接すると、第4レンズ群14を撮影光軸OA上に位置させる撮影位置(撮影状態P)とする位置関係とされている。その第4群副ガイド軸42Bは、金属材料からなる棒状を呈し、撮影光軸OA方向に延在するように鏡胴ベース82Bに設けられている。
次に、実施例3の特徴部分について、図47ないし図59を用いて説明する。なお、図47は、第4レンズ保持枠41Bの移動の態様を示しており、図48は、図47の後であって、第3レンズ保持枠31Bの移動の態様を示している。この図47および図48は、本願発明の概念を説明するための図22と同様の説明図であって、後述する具体な一例としての構成(図49ないし図59)における位置関係と完全に合致するものではない。また、図53ないし図57では、理解容易のために圧縮トーションスプリング88を省略して示している。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズ保持枠としての第4レンズ保持枠41Bおよび第3レンズ保持枠31Bの移動の態様が従来のものとは異なるものであり、そのためのカム構造も従来のものとは異なっている。先ず、第4レンズ保持枠41Bおよび第3レンズ保持枠31Bの移動の態様の概念について説明する。
本発明に係るレンズ鏡胴10Bでは、図47に示すように、固定枠21内で固定筒部21aの外方において、退避レンズ収容室として機能する退避レンズ収容室21Bbの厚さ寸法(撮影光軸OA方向の長さ寸法)を低減すべく、退避レンズ収容室21Bb内における退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bの収容位置を、可能な限り固体撮像素子16が設けられる鏡胴ベース82B側(合焦位置(像面)側)に設定する。換言すると、固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を収容する空間として利用するものである。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、その設定された収容位置への第3レンズ保持枠31および第4レンズ保持枠41Bの収容を可能とするために、先ず、第4レンズ保持枠41Bを退避位置Ps−4へと移動させ(図47参照)、その後に第3レンズ保持枠31Bを退避位置Ps−3へと移動させる(図48参照)。この移動において、第4レンズ保持枠41Bは、図47に示すように、軸上位置Pa−4から退避位置Ps−4へと向かう際、先ず、軸上位置Pa−4から直交方向へと移動して(矢印A8参照)軸外平行位置Pp−4となり、その軸外平行位置Pp−4から傾斜方向へと移動して(矢印A9参照)退避位置Ps−4となる。その後、第3レンズ保持枠31Bは、図48に示すように、先ず、撮影光軸OA上に沿って像面側へと移動して(矢印A10参照)固体撮像素子16へと近接する軸上位置Pa−3となり、その軸上位置Pa−3から直交方向へと移動して(矢印A11参照)退避位置Ps−3となる。
実施例3において、各退避レンズ保持枠をこのように移動させるのは、以下のことによる。レンズ鏡胴10B(その撮影光学系)では、図47に示すように、第4レンズ保持枠41Bが軸上位置Pa−4にある場合、その第4レンズ保持枠41Bの鏡胴ベース82B(像面)側に、撮影光軸OA上に位置する固体撮像素子16が存在している。ところが、退避レンズ収容室21Bbは、第3レンズ保持枠31Bも収容する構成であることから、第4レンズ保持枠41Bの軸上位置Pa−4と退避位置Ps−4との間の移動において、第4レンズ保持枠41Bの上端部が第1の回転筒22の下端22fや固定枠21の前壁部21fに干渉する虞はない。このため、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4レンズ保持枠41Bの下端と固体撮像素子16との干渉を避けることだけを考慮して移動させることができる。換言すると、退避位置Ps−4へと傾斜方向に移動させても、退避レンズ収容室21Bbの厚さ寸法の増大や、固定筒部21a(可動鏡筒(第1の回転筒22))の径寸法の増大を招くことはない。このため、レンズ鏡胴10Bでは、軸上位置Pa−4にある第4レンズ保持枠41Bを、軸上位置Pa−4から撮影光軸OAに直交する方向へと移動(矢印A8参照)させることにより、退避位置Ps−4への傾斜方向の移動の際に下側(像面側)の固体撮像素子16への干渉を回避することのできる軸外平行位置Pp−4まで移動させる。その後、軸外平行位置Pp−4から鏡胴ベース82Bに近づくように撮影光軸OA方向に傾斜する方向へと移動(矢印A9参照)させることにより、退避レンズ収容室21Bb内において撮影光軸OA方向で見て鏡胴ベース82Bに近接した状態となる退避位置Ps−4へと移動させる。これにより、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4レンズ保持枠41Bを、撮影光学系の他の部材との干渉を回避しつつ鏡胴ベース82Bに近接した状態での退避レンズ収容室21Bb内への収容を可能としている。
この第4レンズ保持枠41Bの移動の後に、第3レンズ保持枠31Bの移動を行う。なお、ここでいう第4レンズ保持枠41Bの移動の後とは、第4レンズ保持枠41Bと第3レンズ保持枠31Bとが互いの移動の妨げとなることを確実に防止することができるものであればよく、第4レンズ保持枠41Bの移動が完全に完了した後に第3レンズ保持枠31Bの移動を開始することに限定されるものではない。
レンズ鏡胴10B(その撮影光学系)では、図48に示すように、第4レンズ保持枠41Bが退避位置Ps−4とされると、撮影光軸OA上に位置する第3レンズ保持枠31Bの鏡胴ベース82B(像面)側には、撮影光軸OA上に位置する固体撮像素子16のみが存在している。換言すると、第4レンズ保持枠41Bを退避位置Ps−4に退避させた後にあっては、撮影光軸OA上において、軸上位置Pa−4にある第4レンズ保持枠41Bのための場所(二点鎖線で示す第4レンズ保持枠41B(Pa−4)参照)に空間が形成されている。このため、レンズ鏡胴10Bでは、第3レンズ保持枠31Bを、撮影光軸OA上に沿って像面側へと移動させる(矢印A10参照)ことにより、固体撮像素子16および撮影光軸OA方向で見て軸上位置Pa−4にある第4レンズ保持枠41Bへの干渉を回避することのできる軸上位置Pa−3まで移動させる。その後、軸上位置Pa−3から撮影光軸OAに直交する方向へと移動(矢印A11参照)させることにより、退避レンズ収容室21Bb内において撮影光軸OA方向で見て第4レンズ保持枠41Bに近接した状態となる退避位置Ps−3へと移動させる。これにより、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第3レンズ保持枠31Bを、撮影光学系の他の部材との干渉を回避しつつ鏡胴ベース82Bに近接した状態の第4レンズ保持枠41Bに近接した状態での退避レンズ収容室21Bb内への収容を可能としている。この退避レンズ収容室21Bb内において、第4レンズ保持枠41B(第4レンズ群14)と第3レンズ保持枠31B(第3レンズ群13)とは、撮影光軸OAと平行な同軸線上に位置されている。
ここで、退避位置Ps−4にある第4レンズ保持枠41Bを、直進移動のみで撮影光軸OA上の軸上位置Pa−4へと移動させようとすると、図47に二点鎖線L2で示すように下端部が固体撮像素子16と干渉してしまう。このような干渉を防止するためには、第4レンズ保持枠41Bの撮影光軸OA上における退避位置Ps−4への退避開始位置となる軸上位置Pa−4を、被写体側へと変位させる必要があるので、撮影光学系における光学的な設定の自由度の低減を招き、それに伴って性能の低下を招く場合がある。ここで、退避開始位置となる軸上位置Pa−4を、第4レンズ保持枠41B(第4レンズ群14)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも被写体側に設定すれば、撮影光学系における光学的な設定の自由度の低減を防止することができるが、第4レンズ保持枠41Bの移動のためのカム構造が複雑なものとなってしまう。
これに対し、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4レンズ保持枠41Bを、軸上位置Pa−4からの直交方向への移動(図47の矢印A8参照)により軸外平行位置Pp−4とし、その後に軸外平行位置Pp−4からの傾斜方向への移動(矢印A9参照)により退避位置Ps−4とし、その退避位置Ps−4にある第4レンズ保持枠41Bに近接させて第3レンズ保持枠31Bを退避位置Ps−3とすることにより、退避レンズ収容室21Bbの厚さ寸法の増大や、固定筒部21a(可動鏡筒(第1の回転筒22))の径寸法の増大を招くことなく、かつカム構造の複雑化を招くことなく、撮影光学系の他の部材との干渉を回避しつつ鏡胴ベース82Bに近接した状態で退避レンズ収容室21Bb内に収容することができる。
このレンズ鏡胴10Bでは、上述した移動を可能とするために、第4レンズ保持枠41Bと第4群雌ねじ部材46(当接部46Ba)とを接続するカム構造として、第4レンズ保持枠41B(その後述する第4レンズ保持枠回動基部87)にカム溝としての段差部89および保持枠側段付き係合面55(図51等参照)が設けられ、かつ第4群主ガイド軸44を支持する鏡胴ベース82Bにベース側段付き係合面56(図52等参照)が設けられている。なお、第3レンズ保持枠31Bに関しては、上述したように、撮影光軸OA上の移動および第3群主ガイド軸32回りの回動で実現することができる。
この段差部89および保持枠側段付き係合面55が設けられた第4レンズ保持枠41Bは、図45、図50および図51等に示すように、第4レンズ保持部85と、第4レンズ保持枠アーム部86と、第4レンズ保持枠回動基部87と、を有する。
第4レンズ保持部85は、第4レンズ保持枠41Bにおける一端側に位置されており、第4レンズ群14を保持可能とされている。第4レンズ保持部85は、全体に円筒形状を呈する枠部材である。この第4レンズ保持部85に第4レンズ保持枠アーム部86の一端側が連続されている。
第4レンズ保持枠アーム部86は、第4レンズ保持部85と第4レンズ保持枠回動基部87とを繋いでおり、第4レンズ保持枠41Bにおけるアーム部を構成している。この第4レンズ保持枠アーム部86は、中間位置が第4群主ガイド軸44と平行方向に延在する全体にクランク状の屈曲部を構成している。この他端側に第4レンズ保持枠回動基部87が連続されている。
第4レンズ保持枠回動基部87は、全体に円筒形状を呈し、第4群主ガイド軸44に回転可能にかつ撮影光軸OA方向に移動可能に支承される(図44および図45等参照)。第4レンズ保持枠回動基部87は、圧縮トーションスプリング88により、収納位置(沈胴収納状態D)から撮影光軸OA上位置の撮影位置(撮影状態P)へ向かう回動方向に常時回動付勢されるとともに、第4群主ガイド軸44上において物体側から像面側の鏡胴ベース82Bへ向かう方向(後方向)に常時直進付勢されている。この第4レンズ保持枠回動基部87における回動付勢される方向を、図49および図51等において矢印A7で示す。このことから、圧縮トーションスプリング88は、退避レンズ保持枠である第4レンズ保持枠41Bの回動基部を構成する回動筒体としての第4レンズ保持枠回動基部87への付勢力を付与する筒体付勢手段として機能する。
この第4レンズ保持枠回動基部87には、板状部材が第4群主ガイド軸44の軸線を中心として湾曲された円筒形状の湾曲壁部87aが設けられている。この湾曲壁部87aには、その円筒外周面に対して凹状とされた段差部89が設けられている。この段差部89は、基端側(像面側)にカム斜面形状を為すカム面89aと、その下端に連続しつつ撮影光軸OA方向に延在する側方係合面89bと、被写体側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面89cと、を形成している。実施例3では、段差部89は、組み付け作業を容易とすべく、図49を正面視した左側が開口されている。
また、第4レンズ保持枠回動基部87の下端には、保持枠側段付き係合面55(図51等参照)が設けられている。この保持枠側段付き係合面55は、図51に示すように、第4群主ガイド軸44を取り巻くように、保持枠側第1平面55aと、保持枠側傾斜面55bと、保持枠側第2平面55cと、保持枠側直交面55dと、を有する。
保持枠側第1平面55aは、撮影光軸OAに直交する平面とされており、最も像面側に位置されている。保持枠側傾斜面55bは、保持枠側第1平面55aと連続して設けられており、第4群主ガイド軸44の回動軸のラジアル方向を含みつつ、回動付勢方向(矢印A7参照)正側へと向かうにしたがって被写体側となる第4レンズ保持枠アーム部86の付け根へ向かうように当該回動軸方向(第4群主ガイド軸44の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。保持枠側第2平面55cは、保持枠側傾斜面55bと連続して設けられており、撮影光軸OAに直交する平面とされている。このため、保持枠側第2平面55cは、保持枠側第1平面55aよりも被写体側に位置する。保持枠側直交面55dは、撮影光軸OAに平行な平面とされており、保持枠側第2平面55cと保持枠側第1平面55aとを架け渡している。この保持枠側段付き係合面55(その各面)は、鏡胴ベース82Bに設けられたベース側段付き係合面56(図52等参照)との当接が可能とされている。
そのベース側段付き係合面56は、図52に示すように、鏡胴ベース82Bに設けられた第4群主ガイド軸44の下端44a(図51参照)を軸支する挿通孔82Baを取り巻くように、ベース側第1平面56aと、ベース側傾斜面56bと、ベース側第2平面56cと、ベース側直交面56dと、を有する。
ベース側第1平面56aは、撮影光軸OAに直交する平面とされており、最も被斜体側に位置されている。ベース側傾斜面56bは、ベース側第1平面56aと連続して設けられており、第4群主ガイド軸44の回動軸のラジアル方向を含みつつ、第4レンズ保持枠回動基部87(第4レンズ保持枠41B)への回動付勢方向(図51の矢印A7参照)正側へと向かうにしたがって被写体側へ向かうように当該回動軸方向(第4群主ガイド軸44の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。ベース側第2平面56cは、ベース側傾斜面56bと連続して設けられており、撮影光軸OAに直交する平面とされている。このため、ベース側第2平面56cは、ベース側第1平面56aよりも被写体側に位置する。ベース側直交面56dは、撮影光軸OAに平行な平面とされており、ベース側第2平面56cとベース側第1平面56aとを架け渡している。
この保持枠側段付き係合面55(その各面)とベース側段付き係合面56(その各面)とは、第4レンズ保持枠41Bが第4群副ガイド軸42Bと当接して第4レンズ群14を撮影光軸OA上に位置させる撮影位置(撮影状態P)である場合、保持枠側第1平面55aとベース側第1平面56aとが撮影光軸OA方向で見て対向する位置関係とされている。
次に、レンズ鏡胴10における第4レンズ保持枠41Bが、撮影光軸OA上に第4レンズ群14を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、第4レンズ群14を退避レンズ収容室21Bb内に収容した収納位置(沈胴収納状態D)と、の間で回動する際の作用について、図47ないし図59を用いて説明する。
第4レンズ保持枠回動基部87は、その外周面に設けられた段差部89と、そこに受け入れられた第4群雌ねじ部材46Bの当接部46Baとの摺動により、撮影光軸OA方向(前後方向)に直線運動される第4群雌ねじ部材46Bの押圧力を受けて回動されることから、段差部89がカム溝として機能し第4群雌ねじ部材46Bの当接部46Baがカムピンとして機能する。
第4レンズ保持枠回動基部87は、カム溝である段差部89内で前後方向に移動されるカムピンである第4群雌ねじ部材46Bの当接部46Baにより、第4群主ガイド軸44に沿って上下に移動されたり、第4群主ガイド軸44回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部89内での当接部46Baの位置に対する第4レンズ保持枠回動基部87の動作を説明する。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4群モータ53を図44における反時計方向(鏡胴正面から見て時計方向)に回転することにより、ギア75、ギア76、ギア77およびギア78を順次介して第4群リードスクリュー45に伝達され、第4群リードスクリュー45が時計方向に回転し、第4群雌ねじ部材46Bが、第4群リードスクリュー45上を撮影光軸OA方向に沿って収納位置Sから被写体側へと移動し、および広角位置Wを経て望遠位置T(図14(a)に示す第3群雌ねじ部材35と同様である)に至る。逆に、第4群モータ53を時計方向に回転することにより、第4群雌ねじ部材46Bが、第4群リードスクリュー45上を撮影光軸OA方向に沿って望遠位置Tから像面側へと移動し、広角位置Wおよびを経て、収納位置Sに至る。レンズ鏡胴10Bでは、このように第4群雌ねじ部材46Bを第4群リードスクリュー45上で移動させることにより、第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、退避レンズ収容室21Bb内の収納位置(退避位置Ps(沈胴収納状態D))と、撮影光軸OA上の撮影位置(軸上位置Pa(撮影状態P))と、の間を移動させる。
第4群雌ねじ部材46Bが、退避開始位置B(図14(a)参照)よりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されると、図53に示すように、当接部46Baが前側係合面89cに当接する。このとき、第4レンズ保持枠回動基部87が圧縮トーションスプリング88から矢印A7方向に回動付勢されていることから、当接部46Ba(その上面)は、図示右側の端部で前側係合面89cに当接している。この状態では、回転付勢(矢印A7参照)により、第4レンズ保持枠41Bが第4群副ガイド軸42Bに当接して、第3レンズ群13が撮影光軸OA上に位置される。この状態において、さらに第4群雌ねじ部材46Bが前方(被写体側)に移動される(広角位置Wまたは望遠位置T等(図14(a)参照))と、当接部46Ba(その上面)が前側係合面89cを前方へと押圧して、第4レンズ保持枠回動基部87を前方へ押し上げるので、第4レンズ群14が撮影光軸OA上で適宜物体側へと移動される。
第4群雌ねじ部材46Bが、退避開始位置Bよりも後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると(図14(a)参照)、圧縮トーションスプリング88からの直進付勢により、前側係合面89cに当接する当接部46Ba(第4群雌ねじ部材46B)の高さ位置に応じて第4レンズ保持枠回動基部87(第4レンズ保持枠41B)が鏡胴ベース82Bに接近していき、所定の高さ位置まで後退すると、図54に示すように、第4レンズ保持枠回動基部87の保持枠側段付き係合面55の保持枠側第1平面55aが、鏡胴ベース82Bのベース側段付き係合面56のベース側第1平面56aに当接する。
この位置から第4群雌ねじ部材46Bがさらに後方(像面側)へ移動されると、当接部46Baの上面が前側係合面89cから離間して、当接部46Baの下面がカム面89aに当接する(図55参照)。この位置から第4群雌ねじ部材46Bが後方(像面側)へ移動されると、当接部46Baがカム面89aを後方へ押圧することとなる。このとき、第4レンズ保持枠41B(第4レンズ保持枠回動基部87)の保持枠側段付き係合面55の保持枠側第1平面55aが、鏡胴ベース82Bのベース側段付き係合面56のベース側第1平面56aに当接に当接していることから、第4レンズ保持枠回動基部87が押し下げられることはない。このため、当接部46Baがカム面89aを後方へ押圧すると、その押圧力と、当接部46Baとカム面89aとの案内作用と、により、図55、図56の順に示すように、当接部46Baの高さ位置に応じて、第4レンズ保持枠回動基部87が鏡胴ベース82Bに接触した位置で回転付勢力に抗して回動される。このように、第4レンズ保持枠回動基部87が回動されると、第4レンズ保持枠41Bは、保持する第4レンズ群14を撮影光軸OA上から第4群主ガイド軸44回りに回動させる。このため、この当接部46Baがカム面89aを押圧しつつ摺動し、かつ保持枠側第1平面55aとベース側第1平面56aとが摺動している状態では、第4レンズ保持枠41Bを撮影光軸OA上からそこに直交する方向へと移動させて、第4レンズ保持枠41Bを軸上位置Pa−4から軸外平行位置Pp−4へと直交方向へと移動させる移行状態となる(図47の矢印A8参照)。
この状態から第4群雌ねじ部材46Bがさらに後方(像面側)へ移動されると、第4レンズ保持枠回動基部87が鏡胴ベース82Bに対して回動されることにより、保持枠側段付き係合面55とベース側段付き係合面56との位置関係が、保持枠側第1平面55aとベース側第1平面56aとを当接させる状態(図56参照)から、保持枠側傾斜面55bとベース側傾斜面56bとを当接させる状態へと移行する(図57参照)。この状態から第4群雌ねじ部材46Bがさらに後方(像面側)へ移動されると、当接部46Baがカム面89aおよび当該カム面89aを介して第4レンズ保持枠回動基部87を後方へ押圧することとなるので、その押圧力と、当接部46Baとカム面89aとの案内作用と、保持枠側傾斜面55bとベース側傾斜面56bとの案内作用と、により、図56、図57、図58の順に示すように、当接部46Baの高さ位置に応じて第4レンズ保持枠回動基部87が回転付勢力に抗して回動されつつ押し下げられる。このように、第4レンズ保持枠回動基部87が回動されつつ押し下げられると、第4レンズ保持枠41Bは、第4レンズ群14を退避位置へ向けて第4群主ガイド軸44回りに回動させつつ撮影光軸OAに沿って後退する。このため、当接部46Baとカム面89aとが摺動し、かつ保持枠側傾斜面55bとベース側傾斜面56bとが摺動している状態では、第4レンズ保持枠41Bを撮影光軸OA方向斜め後側(像面側)へと移動させて、第4レンズ保持枠41Bを軸外平行位置Pp−4から退避位置Ps−4へと傾斜方向へと移動させる移行状態となる(図47の矢印A9参照)。このことから、保持枠側段付き係合面55の保持枠側傾斜面55bは、保持枠側カム面として機能し、ベース側段付き係合面56のベース側傾斜面56bは、ベース側カム面として機能する。
この状態から第4群雌ねじ部材46Bがさらに後方(像面側)へ移動されて収納位置Sとされると、段差部89内において、当接部46Baの当接位置がカム面89aから側方係合面89bに移行する(図59参照)。すると、第4レンズ保持枠回動基部87が回転付勢(矢印A7参照)されていることから、当接部46Ba(その側面)が側方係合面89bに当接して互いに押圧する(係合する)こととなり、第4レンズ保持枠回動基部87の回動姿勢が固定される。この当接部46Baが側方係合面89bに当接する位置まで、第4群雌ねじ部材46Bが後退すると、第4レンズ保持枠回動基部87が鏡胴ベース82Bに対して回動されることにより、保持枠側段付き係合面55とベース側段付き係合面56との位置関係が、保持枠側傾斜面55bとベース側傾斜面56bとを当接させる状態(図56参照)から、保持枠側第2平面55cとベース側第2平面56cとを当接させる状態(図58参照)へと移行し、保持枠側直交面55dがベース側直交面56dに当接する(図59参照)。このため、当接部46Ba(その側面)が側方係合面89bに当接係合して第4レンズ保持枠回動基部87の回動姿勢が固定されると、第4レンズ保持枠41Bは、第4レンズ保持枠回動基部87の保持枠側段付き係合面55の保持枠側第2平面55cを、鏡胴ベース82Bのベース側段付き係合面56のベース側第2平面56cに当接した高さ位置で、撮影光軸OA方向の位置が固定される。このように、当接部46Ba(その側面)が側方係合面89bに当接係合し、かつ保持枠側第2平面55cとベース側第2平面56cとが当接(図58参照)し、しかも保持枠側直交面55dとベース側直交面56dとが当接(図59参照)している状態では、第4レンズ保持枠41Bは、第4レンズ群14を退避位置Ps−4(収納位置)(図47参照)に位置させる沈胴収納状態Dとなる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズ収容室21Bbが、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を鏡胴ベース82Bに近接した状態で収容するとともに、その第4レンズ群14に撮影光軸OA方向で近接した位置で第3レンズ群13(第3レンズ保持部93)収容するために必要最低限の厚さ寸法とされており、この退避レンズ収容室21Bbが固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられていることから、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。換言すると、固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を収容する空間として利用することができるので、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。
また、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズ保持枠である第4レンズ保持枠41Bが、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、軸上位置Pa−4からの直交方向への移動(矢印A8)により軸外平行位置Pp−4とし、その後に軸外平行位置Pp−4からの傾斜方向への移動(矢印A9)により退避位置Ps−4とする構成とされていることから、第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、鏡胴ベース82Bに近接した状態で退避レンズ収容室21Bb内に収容することができる。このように移動させることは、特に、固体撮像素子16がベース部材(鏡胴ベース82B)上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸OAに直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材(鏡胴ベース82B)を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室21Bbの厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
さらに、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズ収容室21Bbにおいて第3レンズ保持枠31Bが収容される場所(図47において二点鎖線で示す第3レンズ保持枠31B(Pa−3)参照)に形成される空間を利用して、第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、軸上位置Pa−4から退避位置Ps−4へと移動させる構成であることから、当該移動の過程において第4レンズ保持枠41Bの上端部が第1の回転筒22の下端22fや固定枠21の前壁部21fに干渉する虞がないので、鏡胴ベース82Bに近接した状態とした後に直交方向への移動させることなく、退避位置Ps−4とすることができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4レンズ保持枠41Bが退避位置Ps−4とされることにより、撮影光軸OA上にある第3レンズ保持枠31Bの鏡胴ベース82B(像面)側に形成された軸上位置Pa−4にある第4レンズ保持枠41Bのための場所(二点鎖線で示す第4レンズ保持枠41B(Pa−4)参照)としての空間を利用して、第3レンズ保持枠31Bを、固体撮像素子16および撮影光軸OA方向で見て軸上位置Pa−4にある第4レンズ保持枠41Bへの干渉を回避することのできる軸上位置Pa−3まで移動させていることから、第3レンズ保持枠31Bのためのカム構造をより簡易なものとしつつ撮影光学系の他の部材に干渉することなく、当該第3レンズ群13および第4レンズ群14を鏡胴ベース82Bに近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされた退避レンズ収容室21Bb内へと収容することができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第4群雌ねじ部材46Bの当接部46Baの撮影光軸OA方向の高さ位置を制御可能な構成とするとともに、第4レンズ保持枠41Bに段差部89および保持枠側段付き係合面55を設け、かつ鏡胴ベース82Bにベース側段付き係合面56を設けることで、第4レンズ保持枠41Bと第4群雌ねじ部材46Bと接続するカム構造を構成していることから、簡易な構成で、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、軸上位置Pa−4から軸外平行位置Pp−4へと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Pp−4から退避位置Ps−4へと傾斜方向に移動させることができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズ収容室21Bbが、固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられている、換言すると可動鏡筒の外方に設けられていることから、固定筒部21aの外径を小さなものとすることができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を傾斜方向へと移動させるための保持枠側段付き係合面55が第4レンズ保持枠41B(第4レンズ保持枠回動基部87)の下端に設けられているとともに、ベース側段付き係合面56が鏡胴ベース82Bであって第4レンズ保持枠回動基部87の下端が対向される位置に設けられていることから、よりコンパクトで簡易な構成とすることができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、撮影光軸OA上において、より固体撮像素子16に近い位置を第4レンズ群14の軸上位置Pa−4とすることができるので、撮影光学系の設計自由度をより高めることができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)において、退避開始位置となる軸上位置Pa−4を、第4レンズ保持枠41B(第4レンズ群14)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも像面側に設定していることから、簡易な構成のカム構造で、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を、軸上位置Pa−4から軸外平行位置Pp−4へと直交方向に移動させ、その軸外平行位置Pp−4から退避位置Ps−4へと傾斜方向に移動させて退避レンズ収容室21Bbに収容することができるとともに、撮影光軸OA上での位置の制御を行うことができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、軸上位置Pa−4から軸外平行位置Pp−4へと直交方向に移動させ、その軸外平行位置Pp−4から退避位置Ps−4へと傾斜方向に移動させて退避レンズ収容室21Bbに収容する構成であることから、撮影状態Pから沈胴収納状態Dへの移行の際、退避レンズである第4レンズ群14(第4レンズ保持部85)を撮影光軸OA方向で見て退避位置Psよりも被写体(物体)側となる位置で撮影光軸OA上からの退避を開始することができる。
実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第3レンズ群13および第4レンズ群14を退避レンズ収容室21Bb内に退避させることができるので、沈胴状態におけるレンズ鏡筒の厚さ寸法を効果的に低減することができる。
したがって、実施例3のレンズ鏡胴10Bでは、第3レンズ保持枠31Bおよび第4レンズ保持枠41Bの収納位置であって可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室21Bbの厚さ寸法を簡易な構成で低減することができる。
なお、実施例3では、当接部46Baが側方係合面89bに当接する位置まで、第4群雌ねじ部材46Bが後退すると、保持枠側段付き係合面55とベース側段付き係合面56との位置関係が、保持枠側カム面としての保持枠側傾斜面55bとベース側カム面としてのベース側傾斜面56bとを当接させる状態(図56参照)から、保持枠側第2平面55cとベース側第2平面56cとを当接させる状態(図58参照)へと移行し、保持枠側直交面55dがベース側直交面56dに当接する(図59参照)ものとされていたが、当接部46Baが側方係合面89bに当接する前に保持枠側第2平面55cとベース側第2平面56cとが当接するとともに、保持枠側直交面55dがベース側直交面56dに当接する位置関係としてもよい。このような構成とすると、当接部46Baのカム面89aの後方への押圧により、保持枠側第2平面55cとベース側第2平面56cとが摺動することとなるので、第4レンズ保持枠41Bを撮影光軸OAに直交する方向へと移動させることができ、保持枠側直交面55dがベース側直交面56dに当接する位置で、鏡胴ベース82Bに対する第4レンズ保持枠41Bの回動姿勢を規定することができる。このため、例えば、各部品の公差により段差部89の高さ位置に対する当接部46Ba(第4群雌ねじ部材46B)の高さ位置の関係性が設定したものとずれた場合であっても、第4レンズ群14が軸上位置Pa−4とされた際の退避レンズ収容室21Bb内における撮影光軸OA方向で見た高さ位置を設定した位置とすることができる、換言すると、各部品の公差が第4レンズ群14の撮影光軸OA方向の位置に影響することを防止することができる。
次に、本発明の実施例4に係るレンズ鏡胴10Cについて、図60を用いて説明する。この実施例4は、実施例2のレンズ鏡胴10Aと同様に、退避レンズ保持枠として第3レンズ保持枠31Cのみを設定するとともに、当該レンズ鏡胴10Aを等しい移動の態様とされたものである。この実施例2のレンズ鏡胴10Aとの違いは、第3レンズ保持枠31Cのためのカム構造として、実施例3の第4レンズ保持枠41Bのためのカム構造が採用されたものである。この実施例4のレンズ鏡胴10Cは、基本的な構成は上記した実施例2のレンズ鏡胴10Aと同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
レンズ鏡胴10Cの第3レンズ保持枠31Cでは、図60に示すように、第3レンズ群13を保持する第3レンズ保持部93Cを、軸上位置Paから直交方向へと移動させて(矢印A12参照)軸外平行位置Ppとし、その軸外平行位置Ppから傾斜方向へと移動させて(矢印A13参照)後退位置Prとし、その後退位置Prからの直交方向へと移動させて(矢印A14参照)により退避位置Psとする。
この第3レンズ保持枠31Cのためのカム構造として、図示は略すが、第3レンズ保持枠31Cにカム溝としての段差部(実施例3の段差部89に相当する)および保持枠側段付き係合面(実施例3の保持枠側段付き係合面55に相当する)が設けられ、かつ第3群主ガイド軸32を支持する押さえ板81(図14(a)等参照)にベース側段付き係合面(実施例3のベース側段付き係合面56に相当する)が設けられている。
このレンズ鏡胴10Cにおける第3レンズ保持枠31Cが、撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、第3レンズ群13を退避レンズ収容室21Cb内に収容した収納位置(沈胴収納状態D)と、の間で回動する際の作用についても、実施例3の第4レンズ群14と同様である。
すなわち、第3群雌ねじ部材35(図14(a)等参照)が後方(像面側)へ移動されて、その当接部35a(図14(a)等参照)が段差部のカム面を押圧しつつ摺動し、かつ保持枠側段付き係合面の保持枠側第1平面(実施例3の保持枠側第1平面55aに相当する)とベース側段付き係合面のベース側第1平面(実施例3のベース側第1平面56aに相当する)とが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Cを撮影光軸OA上からそこに直交する方向へと移動させて、第3レンズ保持枠31Cを軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向へと移動させる移行状態となる(図60の矢印A12参照)。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されて、その当接部35a(図14(a)等参照)と段差部のカム面とが摺動し、かつ保持枠側段付き係合面の保持枠側傾斜面(実施例3の保持枠側傾斜面55bに相当する)とベース側段付き係合面のベース側傾斜面(実施例3のベース側傾斜面56bに相当する)とが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Cを撮影光軸OA方向斜め後側(像面側)へと移動させて、第3レンズ保持枠31Cを軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向へと移動させる移行状態となる(図60の矢印A13参照)。
この状態から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されて、その当接部35a(図14(a)等参照)と段差部のカム面とが摺動し、かつ保持枠側段付き係合面の保持枠側第2平面(実施例3の保持枠側第2平面55cに相当する)とベース側段付き係合面のベース側第2平面(実施例3のベース側第2平面56cに相当する)とが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31Cを撮影光軸OAに直交する方向へと移動させて、第3レンズ保持枠31Cを後退位置Prから退避位置Psへと直交方向へ移動させる移行状態となる(図60の矢印A14参照)。また、保持枠側段付き係合面の保持枠側直交面(実施例3の保持枠側直交面55dに相当する)とベース側段付き係合面のベース側直交面(実施例3のベース側直交面56dに相当する)とが当接することにより、第3レンズ保持枠31Cは、第3レンズ保持枠31Cは、第3レンズ群13を退避位置Ps(収納位置)に位置させる沈胴収納状態Dとなる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズ収容室21Cbが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を鏡胴ベース82Cに近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされており、この退避レンズ収容室21Cbが固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられていることから、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を収容する空間として利用することができるので、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。
また、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31Cが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を、軸上位置Paからの直交方向への移動(矢印A12)により軸外平行位置Ppとし、その後に傾斜方向への移動(矢印A13)により後退位置Prとし、その後に直交方向への移動(矢印A14)により退避位置Psとする構成とされていることから、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、鏡胴ベース82Cに近接した状態で退避レンズ収容室21Cb内に収容することができる。このように移動させることは、特に、固体撮像素子16がベース部材(鏡胴ベース82C)上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸OAに直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材(鏡胴ベース82C)を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室21Cbの厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
さらに、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第3群雌ねじ部材35の当接部35a(図14(a)等参照)の撮影光軸OA方向の高さ位置を制御可能な構成とするとともに、第3レンズ保持枠31Cに段差部および保持枠側段付き係合面を設け、かつ鏡胴ベース82Cにベース側段付き係合面を設けることで、第3レンズ保持枠31Cと第3群雌ねじ部材35と接続するカム構造を構成していることから、簡易な構成で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させることができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズ収容室21Cbが、固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられている、換言すると可動鏡筒の外方に設けられていることから、固定筒部21aの外径を小さなものとすることができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を傾斜方向へと移動させるための保持枠側段付き係合面が第3レンズ保持枠31C(第3レンズ保持部93C)の下端に設けられているとともに、ベース側段付き係合面が鏡胴ベース82Cであって第3レンズ保持部93Cの下端が対向される位置に設けられていることから、よりコンパクトで簡易な構成とすることができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、撮影光軸OA上において、より第4レンズ群14に近い位置を第3レンズ群13の軸上位置Paとすることができるので、撮影光学系の設計自由度をより高めることができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)において、退避開始位置となる軸上位置Paを、第3レンズ保持枠31(第3レンズ群13)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも像面側に設定していることから、簡易な構成のカム構造で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21Cbに収容することができるとともに、撮影光軸OA上での位置の制御を行うことができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、軸上位置Paから軸外平行位置Ppへと直交方向に移動させ、その後軸外平行位置Ppから後退位置Prへと傾斜方向に移動させ、その後後退位置Prから退避位置Psへと直交方向に移動させて退避レンズ収容室21Cbに収容する構成であることから、撮影状態Pから沈胴収納状態Dへの移行の際、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)を撮影光軸OA方向で見て退避位置Psよりも被写体(物体)側となる位置で撮影光軸OA上からの退避を開始することができる。
実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、第3群雌ねじ部材35(当接部35a)が収納位置Sとされると、保持枠側カム面としての保持枠側第2平面とベース側カム面としてのベース側第2平面とが離間する、すなわち当接状態が解除されることから、退避レンズ収容室21Cb内における退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93C)の撮影光軸OA方向で見た高さ位置を設定した位置とすることができる。
したがって、実施例4のレンズ鏡胴10Cでは、可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室21Cbの厚さ寸法を簡易な構成で低減することができる。
次に、他の例としての実施例5に係るレンズ鏡胴10Dについて、図61ないし図71を用いて説明する。この実施例5の発明は、退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31Dの移動の態様が、実施例1のレンズ鏡胴10とは異なる例である。この実施例5のレンズ鏡胴10Dは、基本的な構成は上記した実施例1のレンズ鏡胴10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。先ず、第3レンズ保持枠31Dの移動の態様の概念について図61を用いて説明する。
実施例5のレンズ鏡胴10Dにおいても、実施例1のレンズ鏡胴10と同様に、固定枠21内で固定筒部21aの外方において、退避レンズ収容室として機能する退避レンズ収容室21Dbの厚さ寸法(撮影光軸OA方向の長さ寸法)を低減すべく、退避レンズ収容室21Db内における退避レンズ保持枠としての第3レンズ保持枠31Dの収容位置を、可能な限り固体撮像素子16が設けられる鏡胴ベース82側(合焦位置(像面)側)に設定する。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を収容する空間として利用するものである。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、その設定された収容位置への第3レンズ保持枠31の収容を可能とするために、図61に示すように、軸上位置Paから退避位置Psへと、鏡胴ベース82に近づくように撮影光軸OA方向に傾斜する方向へと移動させる(矢印A15参照)。すなわち、レンズ鏡胴10Dでは、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、軸上位置Paからから傾斜方向へと移動させて(矢印A15参照)退避位置Psとする。
このレンズ鏡胴10Dでは、上述した移動を可能とするために、第3レンズ保持枠31Dと第3群雌ねじ部材35(当接部35a)とを接続するカム構造として、第3レンズ保持枠31D(その後述する第3レンズ保持枠回動基部95D)にカム溝としての段差部91Dおよび保持枠側カム面のための切欠部92Dが設けられ(図62等参照)、かつ第3群主ガイド軸32を支持する押さえ板81(ベース部材)にベース側カム面のための湾曲突起部83D(図63等参照)が設けられている。
第3レンズ保持枠31Dは、段差部91Dおよび切欠部92Dの構造を除くと、実施例1の第3レンズ保持枠31と同様の構成である。その段差部91Dは、第3レンズ保持枠31Dの湾曲壁部96Dの円筒外周面に対して凹状とされて設けられている。この段差部91Dは、像面側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる後側係合面91hと、被写体側に撮影光軸OAとほぼ垂直に交わる平面となる前側係合面91dと、を形成している。実施例5では、段差部91Dは、組み付け作業を容易とすべく、図63を正面視した右側が開口されている。
また、湾曲壁部96Dには、一対の切欠部92D(一方は図示せず)が設けられている。この両切欠部92Dは、湾曲壁部96Dの下端の角部が切り欠かれて形成されており、保持枠側カム面としての平面状の保持枠側傾斜面92Daを規定している。両切欠部92Dは、第3レンズ保持枠31Dが、第3群主ガイド軸32に沿って移動することにより、それぞれの保持枠側傾斜面92Daが、湾曲突起部83Dにより規定される後述するベース側傾斜面83Daと面当接可能とされている(図63参照)。すなわち、両切欠部92Dは、第3レンズ保持枠31Dが退避開始位置Bから収納位置S(図14(a)参照)の間にある状態において、それぞれの保持枠側傾斜面92Daが湾曲突起部83Dのベース側傾斜面83Daと、撮影光軸OA方向で見て対向している。
その湾曲突起部83Dは、図63に示すように、第3群主ガイド軸32の基端を支持するベース部材としての押さえ板81から突出して設けられている。この湾曲突起部83Dは、板状部材が第3群主ガイド軸32の軸線を中心として湾曲された円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95Dを取り巻くことができるように、第3群主ガイド軸32と間隔を置きつつその軸線を中心として対を為して設けられている。両湾曲突起部83Dは、実施例1の湾曲突起部83と同様に、切り欠かれた平面によりベース側カム面としてのベース側傾斜面83Daを規定している。このベース側傾斜面83Daは、第3レンズ保持枠31Dの回動軸のラジアル方向を含みつつ、像面側となる押さえ板81へ向かうにしたがって回動付勢方向(矢印A3参照)負側へと後退するように当該回動軸方向(第3群主ガイド軸32の延在方向(撮影光軸OA方向))に対して傾斜されている。
次に、実施例5に係る発明のレンズ鏡胴10Dにおける第3レンズ保持枠31Dが、撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P)と、第3レンズ群13を退避レンズ収容室21Db内に収容した収納位置(沈胴収納状態D)と、の間で回動する際の作用について、図61と、図63ないし図71と、を用いて説明する。
実施例1と同様に、第3レンズ保持枠回動基部95Dは、その外周面に設けられた段差部91Dと、そこに受け入れられた第3群雌ねじ部材35の当接部35aとの摺動により、撮影光軸OA方向(前後方向)に直線運動される第3群雌ねじ部材35の押圧力を受けて回動されることから、段差部91Dがカム溝として機能し第3群雌ねじ部材35の当接部35aがカムピンとして機能することとなる。
第3レンズ保持枠回動基部95Dは、カム溝である段差部91D内で前後方向に移動されるカムピンである第3群雌ねじ部材35の当接部35aにより、第3群主ガイド軸32に沿って上下に移動されたり、第3群主ガイド軸32回りに回動されたりする。この際のカム溝である段差部91D内での当接部35aの位置に対する第3レンズ保持枠回動基部95Dの動作を説明する。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、上述したように、第3群モータ52の回転駆動により、第3群雌ねじ部材35を第3群リードスクリュー34上で移動させ、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、退避レンズ収容室21Db内の収納位置(退避位置Ps(沈胴収納状態D))と、撮影光軸OA上の撮影位置(軸上位置Pa(撮影状態P))と、の間を移動させる。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも前方(物体側であり正面視上方)に移動されると(図14(a)参照)、図63に示すように、当接部35aが前側係合面91dに当接する。この当接部35aが前側係合面91dに当接しているときの動作、すなわち第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも前方(被写体側)へ移動されたときは、実施例1と同様である。
第3群雌ねじ部材35が、退避開始位置Bよりも後方(像面側であり正面視下方)へ移動されると(図14(a)参照)、圧縮トーションスプリング37からの直進付勢により、前側係合面91dに当接する当接部35a(第3群雌ねじ部材35)の高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95D(第3レンズ保持枠31D)が押さえ板81に接近していき、所定の高さ位置まで後退すると、図64に示すように、湾曲壁部96Dに設けられた切欠部92Dの保持枠側傾斜面92Daが、押さえ板81に設けられた湾曲突起部83Dのベース側傾斜面83Daの上端部に当接する。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、当接部35aの上面が前側係合面91dから離間して、当接部35aの下面が後側係合面91hに当接し、後側係合面91hを押圧する(押し下げる)こととなる(図65参照)。この当接部35aの後方への移動により後側係合面91hが押し下げられると、その押下力と、湾曲突起部83Dのベース側傾斜面83Daと切欠部92Dの保持枠側傾斜面92Daとの案内作用と、により、図64、図65、図66、図67、図68、図69の順に示すように、当接部35aの高さ位置に応じて第3レンズ保持枠回動基部95が回転付勢力に抗して回動されつつ押し下げられる。このように、第3レンズ保持枠回動基部95が回動されつつ押し下げられると、第3レンズ保持枠31は、図70および図71において、符号31D−1、31D−2、31D−3、31D−4、31D−5、31D−6の順に示すように、第3レンズ群13を撮影光軸OA上から退避位置へ向けて第3群主ガイド軸32回りに回動させつつ撮影光軸OAに沿って後退させる。このため、この当接部35aの後側係合面91hの押し下げによりベース側傾斜面83Daと保持枠側傾斜面92Daとが摺動している状態では、第3レンズ保持枠31を撮影光軸OA方向斜め後側(像面側)へと移動させて、第3レンズ保持枠31を軸上位置Paから退避位置Psへと傾斜方向へと移動させる移行状態となる(図61の矢印A15参照)。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95が回動されていることから、段差部91内での当接部35aの位置は、後側係合面91h上において図示左側の端部(図64参照)から図示右側の端部(図69参照)へと移動(摺動)する。
この位置から第3群雌ねじ部材35がさらに後方(像面側)へ移動されると、第3レンズ保持枠31D(第3レンズ保持枠回動基部95D)の基端面31fが押さえ板81に当接する(図69参照)。このように第3レンズ保持枠31D(第3レンズ保持枠回動基部95D)の基端面31fが押さえ板81に当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退すると、第3レンズ保持枠回動基部95Dが下方へと移動できなくなり、第3レンズ保持枠31Dの撮影光軸OA方向の位置が固定される。このとき、第3レンズ保持枠回動基部95Dが回転付勢(図63の矢印A3参照)されていることから、湾曲壁部96Dに設けられた切欠部92Dの保持枠側傾斜面92Daが、押さえ板81に設けられた湾曲突起部83Dのベース側傾斜面83Daの下端部に当接して互いに押圧する(係合する)こととなり、第3レンズ保持枠回動基部95Dの回動姿勢が固定される。このため、第3レンズ保持枠31D(第3レンズ保持枠回動基部95D)の基端面31fが押さえ板81に当接する位置まで、第3群雌ねじ部材35が後退した状態では、第3レンズ保持枠31Dを退避位置Ps(収納位置)に位置させる沈胴収納状態Dとなる。
実施例5に係る発明のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズ収容室21Dbが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされており、この退避レンズ収容室21Dbが固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられていることから、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。換言すると、第4レンズ群14および固体撮像素子16に対して撮影光軸OAに直交する方向に位置する空間を、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を収容する空間として利用することができるので、固定枠21における固定筒部21aよりも外側の厚さ寸法を小さくすることができる。
また、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31Dが、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、軸上位置Paからの傾斜方向への移動(矢印A15)により退避位置Psとする構成とされていることから、第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、撮影光学系の他の部材に干渉することなく、当該第3レンズ群13を鏡胴ベース82に近接した状態で収容するために必要最低限の厚さ寸法とされた退避レンズ収容室21Db内へと収容することができる。換言すると、傾斜方向へと移動させる構成とすることにより、退避レンズ収容室21Dbの厚さ寸法を小さくすることができる。このように移動させることは、特に、固体撮像素子16がベース部材(鏡胴ベース82)上において、撮像素子駆動式の手ぶれ補正機構により撮影光軸OAに直交する方向へと移動自在に設けられている場合、ベース部材(鏡胴ベース82)を基準とする厚さ寸法が増大することから、退避レンズ収容室21Dbの厚さ寸法の低減に大きく貢献することができる。
さらに、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、第3群雌ねじ部材35の当接部35aの撮影光軸OA方向の高さ位置を制御可能な構成とするとともに、第3レンズ保持枠31Dに段差部91Dおよび切欠部92Dを設け、かつ押さえ板81に湾曲突起部83D(図63等参照)を設けることで、第3レンズ保持枠31Dと第3群雌ねじ部材35と接続するカム構造を構成していることから、簡易な構成で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、軸上位置Paから退避位置Psへと傾斜方向に移動させることができる。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズ収容室21Dbが、固定枠21内で固定筒部21aの外方に設けられている、換言すると可動鏡筒の外方に設けられていることから、固定筒部21aの外径を小さなものとすることができる。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を傾斜方向へと移動させるための湾曲突起部83D(ベース側傾斜面83Da)が、第3群主ガイド軸32に挿通された第3レンズ保持枠回動基部95を取り巻くことが可能とされていることから、傾斜方向への移動による撮影光軸OA方向の移動量の設定の自由度を高めることができる。このことは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)の撮影光軸OA上からの退避開始位置の設定の自由度を高めることを可能とするので、撮影光学系の設計自由度を高めることができる。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)において、退避開始位置となる軸上位置Paを、第3レンズ保持枠31(第3レンズ群13)が撮影光軸OA上にある撮影状態Pにおける最下端位置(最も像面側の位置)よりも像面側に設定していることから、簡易な構成のカム構造で、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を、軸上位置Paから退避位置Psへと傾斜方向に移動させて退避レンズ収容室21Dbに収容することができるとともに、撮影光軸OA上での位置の制御を行うことができる。
実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、軸上位置Paから退避位置Psへと傾斜方向に移動させて退避レンズ収容室21Dbに収容する構成であることから、撮影状態Pから沈胴収納状態Dへの移行の際、退避レンズである第3レンズ群13(第3レンズ保持部93D)を撮影光軸OA方向で見て退避位置Psよりも被写体(物体)側となる位置で撮影光軸OA上からの退避を開始することができる。
したがって、実施例5のレンズ鏡胴10Dでは、退避レンズである第3レンズ群13を撮影光軸OA上から後方へと傾斜方向に移動させて退避させることにより、可動鏡筒の内径よりも外側に設けた退避レンズ収容室21Dbの厚さ寸法を簡易な構成で低減することができる。
なお、上記した各実施例では、本発明に係るレンズ鏡胴の一例としてのレンズ鏡胴10、10A、10B、10Cについて説明したが、撮影光学系で形成する被写体像の取得のための撮像素子が設けられたベース部材に対して、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の撮影光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを前記可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側の退避レンズ収納室に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持する退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、前記退避レンズ保持枠は、少なくとも、撮影光軸に対して傾斜する方向への移動と、撮影光軸に直交する方向への移動と、により、撮影光軸上と前記退避レンズ収納室内との間での移動が可能とされているレンズ鏡胴、そのレンズ鏡胴を用いた撮像装置、そのレンズ鏡胴を用いたカメラ、そのレンズ鏡胴を用いた携帯型情報端末装置もしくはそのレンズ鏡胴を用いた画像入力装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
また、上記した実施例1、実施例2、実施例4、実施例5では、退避レンズ群として第3レンズ群13を設定していたが、いずれのレンズ群であってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
さらに、上記した各実施例では、それぞれにおいてカム構造を示していたが、このカム構造は、退避レンズ群を撮影光軸OA上と退避レンズ収容室(21b等)との間を移動させるために、撮影光軸OA方向への雌ねじ部材(35等)の移動を退避レンズ保持枠の進退移動と主ガイド軸(32等)に沿う直進運動とに変換するものであって、各実施例で示す移動の態様を実現することができるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した実施例1、実施例2、実施例4、実施例5では、単一のレンズ群(第3レンズ群13)のみを退避させる構成とされていたが、2つ以上のレンズ群を退避レンズとするものであって、それらを保持する退避レンズ保持枠のうち少なくとも1つが撮影光軸OA方向に傾斜する方向への移動と、撮影光軸OAに直交する方向への移動と、が行われる構成とされているものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
上記した各実施例では、それぞれに示された移動の態様を行うものとされていたが、移動の態様として、少なくとも、撮影光軸OA方向に傾斜する方向への移動と、撮影光軸OAに直交する方向への移動と、を含むものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。ここで、撮影光軸OA方向に傾斜する方向への移動は、保持枠側カム面とベース側カム面との摺動により行われることから、ベース部材に対する退避レンズ保持枠の回動基部の回動方向で見て、保持枠側カム面とベース側カム面とが当接する位置を適宜変更することにより、撮影光軸OA上と退避レンズ収容室(21b等)との間の移動における撮影光軸OA方向に傾斜する方向への移動を実行する位置を適宜設定することができる。特に、実施例3および実施例4のように、退避レンズ保持枠(41B)の回動基部(87)の下端に保持枠側段付き係合面55を設けるとともに、それと対向するようにベース部材(82B)上にベース側段付き係合面56を設ける構成とすると、双方とも凹凸状とするだけでよいことから、保持枠側カム面としての保持枠側傾斜面55bおよびベース側カム面としてのベース側傾斜面56bの位置を容易に調整(位置設定)することができる。
以上、本発明の撮影装置を実施例1ないし実施例4に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
10、10A、10B、10C、10D レンズ鏡胴
13 (退避レンズとしての)第3レンズ群
14 (退避レンズとしての)第4レンズ群
16 (撮像素子としての)固体撮像素子
21b、21Bb、21Cb、21Db 退避レンズ収容室
31、31A、31B、31C、31D (退避レンズ保持枠としての)第3レンズ保持枠
35 (螺合部材としての)第3群雌ねじ部材
41、41B (退避レンズ保持枠としての)第4レンズ保持枠
46、46B (螺合部材としての)第4群雌ねじ部材
55b (保持枠側カム面としての)保持枠側傾斜面
56b (ベース側カム面としての)ベース側傾斜面
81 (ベース部材としての)押さえ板
82、82B、82C (ベース部材としての)鏡胴ベース
83a、83Aa、83Da ベース側傾斜面
87 (回動基部としての)第4レンズ保持枠回動基部
89 (カム溝としての)段差部
91、91A、91B、91D (カム溝としての)段差部
92a、92Aa、92Da 保持枠側傾斜面
95、95A、95D (回動基部としての)第3レンズ保持枠回動基部
100 カメラ
OA 撮影光軸
特開2003−315861号公報 特開2006−243605号公報

Claims (13)

  1. 撮影光学系で形成する被写体像の取得のための撮像素子が設けられたベース部材に対して、複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を物体側に移動することにより撮影状態とすべく、前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、該各レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡胴と、該可動レンズ鏡胴を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、を備え、
    前記各レンズ保持枠は、撮影状態では全てのレンズ群を同一の撮影光軸上に位置させかつ沈胴状態では少なくとも1つのレンズを含む退避レンズを前記可動レンズ鏡筒の内径位置よりも外側の退避レンズ収納室に退避させるべく、少なくとも1つの前記レンズ群を移動可能に保持する退避レンズ保持枠を含むレンズ鏡胴であって、
    前記退避レンズ保持枠は、少なくとも、撮影光軸に対して傾斜する方向への移動と、撮影光軸に直交する方向への移動と、により、撮影光軸上と前記退避レンズ収納室内との間での移動が可能とされていることを特徴とするレンズ鏡胴。
  2. 前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸上から前記退避レンズ収納室へと向かう際、撮影光軸に対して傾斜する方向であって前記ベース部材に近づく方向への移動の後に、撮影光軸に直交する方向へと移動されて前記退避レンズ収納室内に収容されることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴。
  3. 請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡胴であって、
    さらに、撮影光軸方向に移動自在とされた螺合部材と、
    該螺合部材の撮影光軸方向の移動を、前記退避レンズ保持枠における撮影光軸方向回りの回転運動および撮影光軸に沿う直進運動に変換すべく前記退避レンズ保持枠と前記螺合部材とを接続するカム構造と、を備えることを特徴とするレンズ鏡胴。
  4. 前記退避レンズ保持枠は、撮影光軸と平行に前記ベース部材から延在する主ガイド軸に、長手方向に沿って移動可能にかつその軸線回りに回転可能に支持され、
    前記カム構造は、前記螺合部材を摺動可能に受け入れるべく前記退避レンズ保持枠において前記主ガイド軸に支持される回動基部に設けられたカム溝と、
    前記回動基部に設けられた保持枠側カム面と、
    該保持枠側カム面との当接により前記退避レンズ保持枠を撮影光軸方向に移動させつつその軸線回りに回転させるべく、前記ベース部材に設けられたベース側カム面と、を有することを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡胴。
  5. 前記保持枠側カム面と前記ベース側カム面とは、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、当接が解除されていることを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡胴。
  6. 前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズの物体側に位置されるレンズ群であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  7. 前記退避レンズは、撮影状態において最も像面側に位置されるフォーカスレンズとして用いられるレンズ群であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  8. 撮影状態において前記退避レンズの物体側に位置されるレンズ群は、前記退避レンズを前記退避レンズ収納室に退避させた状態において、撮影光軸上で可能な限り像面側に移動された後に、撮影光軸に直交する方向へ移動されて前記退避レンズ収納室に退避される退避レンズであることを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡胴。
  9. 前記退避レンズは、前記退避レンズ収納室に退避された状態において、前記撮像素子または撮影状態において像面側に位置する前記撮影光学系の他の部材と、撮影光軸に直交する方向で見て重なる位置とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする撮像装置。
  11. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とするデジタルカメラ。
  12. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする携帯型情報端末装置。
  13. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴を用いることを特徴とする画像入力装置。
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