JP2008170650A - レンズ鏡筒 - Google Patents

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Abstract

【課題】レンズ鏡筒を収納状態に切り換える際に退避レンズの光路からの効果的な退避制御を行い、撮影状態で要求される光学要素の配置が実現でき、同時に光学要素の収納状態における短縮化も可能なレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】撮影可能な突出状態と収納状態とに切換可能な沈胴式レンズ鏡筒は、撮影可能な状態で光路中の進出位置と収納状態で撮影光路から退避した退避位置とに回動移動する三群枠10と、三群枠10と隣接して配され、上記突出状態と収納状態との変化に伴い光軸方向に変位するシャッタ枠9と、上記レンズ鏡筒が突出状態から収納状態へと移行するに際し、シャッタ枠9と三群枠10との干渉がないように三群枠10の退避位置への回動動作に連動してシャッタ枠9と三群枠10の光軸方向の間隔を変化させる端面カム部10dを三群枠10の軸支ボス部に10aに設けている。
【選択図】図2

Description

本発明は、光軸方向に突出した突出状態と、収納された収納状態との切り換えが可能なレンズ鏡筒に関する。
従来、収納状態である沈胴時にレンズ枠が光路から退避する機構を有するカメラのレンズ鏡筒において、上記退避するレンズ枠に保持される退避レンズは、口径の小さいレンズの場合が多い。これは退避レンズの退避スペースを小さくすることが出来るためである。一般に光学系の光路中では絞りの位置近傍の光束が絞られているので、該退避レンズの前後の位置にシャッタや絞り等の光学要素部材が配置される場合が多い。
また、退避スペースを小さくするために口径の小さいレンズを退避レンズとした場合に、退避レンズの近傍に他のレンズなどの光学要素が配置される場合も考えられる。
しかしながら、上記退避レンズが退避する際に上記光学要素部材と干渉しないように、十分に上記退避レンズと上記光学要素の間隔を確保しておかなければならないという制約があり、退避するレンズとその前後の部材との間隔を短くできない。
特許文献1に開示されたレンズ鏡筒は、退避光学要素(第三レンズ群)が光軸と平行な方向に移動可能に支持されており、上記退避光学要素が光路から退避した退避位置に移動した後、レンズ収納のための凹部を設けた露出制御部材(シャッタブロック)に対して、上記退避光学要素の光軸方向の位置を変化させて収納効率を向上させるものである。
特開2006−72042号公報
しかし、上述した特許文献1に開示されたレンズ鏡筒においては、上記退避光学要素を光路から退避させる退避動作中、該退避光学要素と露出制御部材との光軸方向の相対位置を変化させることができない。従って、退避光学要素の退避軌跡を確保するためには、その前後に位置する他の光学要素との間隔を十分に短くすることができない。この場合、光学設計上の制約が増えることになり、光学性能を確保することが困難になる虞がある。また、退避光学要素の退避軌跡を確保するために、その前後に位置する他の光学要素との間隔が十分にある要素を退避光学要素とした場合、径の大きな要素を退避光学要素とする必要が生じるなどして収納効率の向上を図ることが困難となる。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、レンズ鏡筒を収納状態に切り換える際に退避枠の光路からの効果的な退避制御を行い、撮影状態で要求される光学要素の配置を可能とし、同時に光学要素の収納状態におけるレンズ鏡筒の小型化が実現できるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載のレンズ鏡筒は、光軸方向に突出した突出状態と、収納された収納状態との切り換えが可能なレンズ鏡筒において、上記突出状態にあるときに光路中に位置する進出位置に位置し、上記収納状態にあるとき光路から退避した退避位置に位置する退避枠と、光軸方向で上記退避枠と隣接して配置され、上記突出状態と収納状態との変化に伴い光軸方向に変位する変位枠と、上記突出状態から収納状態へと移行するに際し、上記変位枠と退避枠との光軸方向の間隔を変化させる駆動手段とを具備する。
本発明の請求項2に記載のレンズ鏡筒は、請求項1に記載のレンズ鏡筒において、上記駆動手段は、上記突出状態から収納状態へと移行するに際し、上記変位枠と退避枠とを離間させた後、両者を近接させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
本発明の請求項3に記載のレンズ鏡筒は、請求項2に記載のレンズ鏡筒において、上記変位枠には光路を開閉するためのシャッタが配され、上記突出状態において変倍動作がなされる際には、上記変位枠と上記退避枠とは光軸方向に一体的に変位する。
本発明の請求項4に記載のレンズ鏡筒は、光軸方向に突出した突出状態と、収納された収納状態とが可能なレンズ鏡筒において、上記突出状態にあるときに光路中に位置する進出位置に位置し、上記収納状態にあるとき、光路から退避した退避位置に位置する退避枠と、光軸方向で上記退避粋と隣接して配置され、上記突出状態と収納状態との変化に伴い光軸方向に変位する変位枠と、上記退避枠が上記進出位置から退避位置へと変位することに伴い作用するカム手段とを具備し、上記カム手段により上記退避枠と変位枠との光軸方向の間隔を変位可能であって、上記突出位置から収納状態へと移行するに際し、上記退避枠と変位との光軸方向の間隔を離間した後、両者を近接させる。
本発明の請求項5に記載のレンズ鏡筒は、請求項4に記載のレンズ鏡筒において、さらに、軸部材と、上記退避枠に設けられ、上記軸部材と嵌合する軸受け部とを具備し、上記退避枠は、上記進出位置と退避位置との間を上記軸部材周りに回動し、上記カム手段のカム面もしくはカムフォロアの一方が上記軸受け部に設けられる。
本発明の請求項6に記載のレンズ鏡筒は、請求項4に記載のレンズ鏡筒において、上記カム手段は、カム面とこのカム面に当接するカムフオロアとを具備し、上記カム面は、上記退避枠が上記進出位置にあるときに上記退避枠と変位枠との間隔を規定する第一のカム部と、上記退避枠と上記変位枠とが離間するように駆動するための第二のカム部と、上記退避枠と上記変位枠とが近接するように駆動するための第三のカム部と、上記退避枠が上記退避位置にあるときに上記退避枠と変位枠との間隔を規定する第四のカム部とを有し、上記第二のカム部のリード角は、上記第三のカム部のリード角よりも大きい。
本発明の請求項7に記載のレンズ鏡筒は、請求項6に記載のレンズ鏡筒において、上記第一のカム部と第四のカム部とは、平坦部からなる。
本発明によれば、レンズ鏡筒を収納状態に切り換える際に退避枠の光路からの効果的な退避制御を行い、撮影状態で要求される光学要素の配置を可能となり、同時に光学要素の収納状態におけるレンズ鏡筒の小型化が実現できるレンズ鏡筒を提供できる。
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態のレンズ鏡筒の分解斜視図である。図2は、上記レンズ鏡筒を構成するシャッタ・3群ユニットと退避カムの分解斜視図である。なお、図2は、細部を図示するために図1の左下から見た状態を示している。図3は、上記シャッタ・3群ユニットに内蔵される三群枠の斜視図である。図4は、上記レンズ鏡筒のテレ状態における光軸に沿った断面図である。図5は、上記レンズ鏡筒のワイド状態における光軸に沿った断面図である。図6は、上記レンズ鏡筒の沈胴状態における光軸に沿った断面図である。
なお、以下の説明において、上記撮影レンズの光軸をOとし、該光軸O方向で被写体側を前方(各鏡枠の繰り出し方向)、結像側を後方(各鏡枠の繰り込み方向)とする。また、各部材の回転方向は、前方側から見た回転方向で示す。
本実施形態のレンズ鏡筒1は、光軸O方向に鏡枠部材が突出した撮影可能な突出状態(ワイド状態からテレ状態の間の状態)と上記鏡枠部材が収納された沈胴状態とに切り換え可能な沈胴式レンズ鏡筒である。
レンズ鏡筒1は、図1に示すように固定枠2と、固定枠2に支持される鏡枠部材であって、ズーミング時や沈胴駆動時に回転、進退駆動される回転枠3と、回転規制状態で回転枠3とともに進退する移動枠4と、回転枠3と共に回転し、進退移動するカム枠5と、回転規制状態でカム枠5とともに進退する直進ガイド枠6と、回転規制状態で回転枠3により進退駆動されるシャッタ・三群ユニット31と、回転規制状態でカム枠5によりそれぞれ進退駆動される二群枠11および一群枠12と、フォーカシング時や沈胴駆動時に進退駆動される四群枠13と、撮影レンズ群として光軸O前方側から順次配され、一群枠12、二群枠11、三群枠10、四群枠13にそれぞれ保持される一群レンズ21と、二群レンズ22と、退避レンズである三群レンズ23と、フォーカシングレンズである四群レンズ24とを有し、さらに、固定枠2の後端部に取り付けられる保持プレート15と、該保持プレート15に装着される撮像ユニットとを有している。なお、上記各枠部材の上記進退駆動方向は、光軸O方向に沿った方向とする。
固定枠2は、円筒状の部材であり、内周部に光軸Oに対して傾斜した傾斜カム溝部と円周に沿った円周カム溝部とが連接されてなるカム溝2aと、光軸Oに沿った直進溝2bとが設けられている。また、この固定枠2には外周部に撮影レンズのズーミング駆動を行うためのユニットであってズームモータ、ギヤ列およびロングギヤ45を含むズーミングユニット17と、撮影レンズのフォーカシング駆動を行うためのユニットであってフォーカスモータ、ギヤ列、送りねじおよびガイド軸57を含むフォーカシングユニット18とが配されている。
なお、ロングギヤ45は、光軸Oと平行な方向に沿って固定枠2の内周部に露呈した状態で支持されている。
回転枠3は、固定枠2の内周部に回動進退可能に嵌入する円筒状の部材であり、外周後方部に固定枠のカム溝2aに摺動可能に嵌入するカムフォロア3aと、ロングギヤ45と噛合するギヤ部3bとが設けられている。内周部には光軸Oに方向に対し傾斜した三群用カム溝3dと、光軸O方向に沿ったカム枠用直進溝3cと、内周後端部に突部3eとが設けられている。
この回転枠3は、カムフォロア3aが固定枠2のカム溝2aに摺動可能に嵌入しておりロングギヤ45によりギヤ部3bを介して回転駆動され、その回転により回転しながら沈胴位置から撮影可能なワイド位置まで繰り出され、その後、テレ位置まで光軸O方向に進退することなく回転駆動される。
移動枠4は、回転枠3の内周部に相対回転可能に嵌入する円筒部材であり、固定枠2によって回転規制された状態で進退移動が可能である。この移動枠4の後端外周部に固定枠2の直進溝2bに嵌入するガイド突起部4aが設けられ、さらに、内外周を貫通する溝部として、光軸O方向に対して傾斜するカム枠用カム溝4cおよび直進状の三群用直進溝4bと、外周後方部に円周溝4eが設けられている。
この移動枠4は、回転枠3の内周部に突部3eを円周溝4eに嵌入させた状態で嵌入させることにより回転枠3に対して相対回転が可能で光軸O方向に一体移動する状態で結合(バヨネット結合)される。
カム枠5は、移動枠4の内周部に嵌入する円筒状の部材であり、カム枠5の外周後方部にはカムフォロア41が設けられ、さらに、内周部には光軸Oに方向に対して傾斜した二群用カム溝5aおよび一群用カム溝5bと、前端部に円周溝5cと設けられている。
このカム枠5は、カムフォロア41が移動枠4のカム溝4cを摺動可能に係合した状態で貫通し、その先端部が回転枠3の直進溝3cに嵌入している。このカム枠5は、回転枠3と共に回動し、かつ、相対的に進退可能な状態で支持される。
直進ガイド枠6は、円筒部材であって、後端外周部に移動枠4の直進溝4dに嵌入するガイド突起部6aが設けられ、さらに、内外周を貫通する光軸O方向に沿った二群用直進溝6bと、外周部に光軸O方向に沿った有底の一群用直進溝6cと、前端外周部には突起部6dが設けられている。
直進ガイド枠6は、移動枠4の直進溝4dにより回転規制された状態でカム枠5の内周部に嵌入している一群枠12の内周部に嵌入している。そして、カム枠5の円周溝5cに突起部6dを嵌入させることによりカム枠5に対して相対回転が可能で、かつ、光軸O方向には一体移動する状態で結合(バヨネット結合)される。
二群枠11は、円筒状部材であって、直進ガイド枠6の内周部に嵌入されて支持される。二群枠11の前面開口部に二群レンズ22が保持されており、外周部にはガイド突部11aと、該突部から突出したカムフォロア43が設けられている。
ガイド突部11aは、直進ガイド枠6の直進溝6bに嵌入し、カムフォロア43は、直進溝6bを挿通してカム枠5のカム溝5aに摺動可能に嵌入する。したがって、二群枠11は、直進ガイド枠6により回転規制された状態でカム枠5によりカムフォロア43を介して進退駆動される。
一群枠12は、円筒状部材であり、直進ガイド枠6の外周部とカム枠5の内周部に嵌入して支持される。そして、前面開口部にレンズ保持枠20を介した状態で一群レンズ21が保持され、さらに、一群レンズ21の前面を開閉可能なレンズバリア27がバリア押さえ板28の内側に配されている(図4,6)。この一群枠12の外周部には突出したカムフォロア44が配されている。さらに、内周部に光軸Oに沿ったガイド突部12a(図4,6)が設けられている。
カムフォロア44は、カム枠5のカム溝5bに嵌入する。また、ガイド突部12aは、直進ガイド枠6の直進溝6cに嵌入する。したがって、一群枠12は、直進ガイド枠6により回転規制された状態でカム枠5によりカムフォロア44を介して進退駆動される。
レンズバリア27は、一群枠12の前端部にて回動可能に支持されており、バネ付勢された状態で回動可能に支持されるバリア駆動レバー(図示せず)により開閉駆動される。該バリア駆動レバーは、レンズ鏡筒1の沈胴駆動時に直進ガイド枠6の前方部に設けられた切り欠き状カム部6eによって回動駆動され、レンズバリア27を閉方向に駆動する。
シャッタ・三群ユニット31は、図2に示すように支持部材である三群用直進枠7と、押さえ板部材8と、変位枠であるシャッタ枠9と、該シャッタ枠9の後方側に隣接して配され、三群レンズ23を保持する退避枠である三群枠10と、退避駆動手段としての三群枠用回転駆動部材35と、軸部材である支持軸52と、トーションバネからなる回転付勢バネ53と、圧縮バネからなる軸方向付勢バネ36とを有している。なお、三群レンズ23は、シャッタ枠9に対向する面が凸形状となっている。
三群用直進枠7は、移動枠4の内方部に挿入される進退可能な枠部材である。この三群用直進枠7には外方3方に延びた腕部に移動枠の三群用直進溝4bに嵌入するガイド突部7aと、該突部から突出する状態で回転枠3の三群用カム溝3dに係合するカムフォロア42とが設けられ、さらに、軸支持穴7cと、該軸支持穴の前方側側方に突出して配される、駆動手段(カム手段,カムフォロア)としての突起部7dと、前方側に突設されるシャッタ支持用の軸部7bとが設けられる。また、三群用直進枠7は、三群枠10のレンズ保持部を撮影光路外に進退避可能なスペ−スを有している。
この三群用直進枠7は、移動枠4によって回転規制され、かつ、回転枠3により三群用カム溝3d,カムフォロア42を介して進退駆動される。このとき、後述するシャッタ枠9、押さえ板部材8、三群枠10が三群用直進枠7と共に進退駆動される。
シャッタ枠9は、中央開口部9aを有しており、その内部に該開口部9aを開閉するためのシャッタ羽根54(図4,5)と、該シャッタ羽根54を開閉駆動するためのシャッタアクチュエータを含むシャッタ機構とを内蔵している。そして、シャッタ枠10は全体として光軸O周辺を底部として三群枠10に向いた凹形状となっている。
このシャッタ枠9は、軸部7bにより位置決めされ、三群用直進枠7の前方側に固定支持されており、三群用直進枠7と一体で進退移動する変位枠である。
押さえ板部材8は、軸支穴8aを有する半円環状の部材であり、三群用直進枠7との間に三群枠10とシャッタ枠9、さらに、支持軸52とを組み込んだ状態で該直進枠7の前方側に当て付け、所定距離離間した状態でネジにより固着される。
三群枠10は、三群レンズ23を保持し、三群用直進枠7により支持軸52中心に回転、進退可能に支持されている。そして、回転駆動部材35を介して上記三群レンズ23が光軸O上の撮影光路内に進出した進出位置(図4,5,7(A))と該撮影光路外に退避した退避位置(図6,7(D))とに回動駆動され、かつ、上記回動駆動時にシャッタ枠9に対して光軸O方向に進退駆動される退避枠部材である。
この三群枠10は、三群レンズ23を保持するレンズ保持部と、該レンズ保持部に連結される軸受け部である軸支ボス部10aとを有している。
また、上記レンズ保持部の三群レンズ23の前面部に接近して撮影光学系のレンズ開口絞り10kが形成されている。
また、軸支ボス部10aには支持軸52が嵌入する軸穴10bと、外周部に回転駆動部材35と係合する突起部10cと、後端面側にカム手段(駆動手段)としての端面カム部10dとが設けられている(図2,3)。
端面カム部10dは、後述するように軸方向付勢バネ36の付勢力を受けて三群用直進枠7の突起部7dと当接しており、退避回動駆動時に三群枠10を光軸O方向へ進退駆動する。
該端面カム部10dは、撮影状態(進出位置)におけるシャッタ枠9と三群枠10の間隔を規定するための平坦面(光軸Oと直交する平面)からなる第一のカム部である第一カム面10eと、退避駆動に際してシャッタ枠9と三群枠と離間させるための第二のカム部である第二カム面10fと、三群枠10の退避回動時のシャッタ枠9と三群枠10の間隔を維持するための光軸Oと直交する平面からなる平坦面10gと、上記三群枠10の退避方向の回動後、三群枠10をシャッタ枠9に接近させるための第三のカム部である第三カム面10hと、沈胴状態(退避位置)におけるシャッタ枠9と三群枠10の間隔を規定するための平坦面(光軸Oと直交する平面)からなる第四のカム部である第四カム面10iとからなる。
なお、本実施の形態では、第二カム面10fのリード角は、第三カム面10hのリード角よりも大きい。これは、三群枠10の退避動作時に三群枠10を速やかにシャッタ枠9から離間させるためである。
回転駆動部材35は、キャップ状の部材であって、軸支ボス部10aの突起部10cが係合する凹部35bと、側方に突出した状態で後述する保持プレート15側の退避カム14と当接可能なカムフォロア35cが設けられている。
この回転駆動部材35の凹部35bを三群枠10の軸支ボス部10aの突起部10cに係合させ、その前方側外周部に軸方向に摺動可能な状態で嵌入させる。さらに、支持軸52の先端部52aを回転駆動部材35の軸穴35aに、その後方に三群枠10の軸支ボス部10aの軸穴10bを挿通させる。支持軸52の両端は、三群用直進枠7の軸穴7c、および、押さえ板8の軸支穴8aによって支持される。
従って、三群枠10の軸支ボス部10aと回転駆動部材35とは、押さえ板8と三群用直進枠7の間にあって、支持軸52により支持され、回転駆動部材35は回転可能に、軸支ボス部10aは回転駆動部材35とともに回転し、また、単体で摺動可能に支持される。
軸支ボス部10aと回転駆動部材35の間には、軸方向付勢バネ36が挿入されている。三群枠10は、軸方向付勢バネ36により軸支ボス部10aを介して後方側(突起7d側)に付勢され、軸支ボス部10aの端面カム部10dが三群用直進枠7の突起部7dと当接する。さらに、回転付勢バネ53が軸支ボス部10aの後方側外周に挿入されており、三群枠10が支持軸52まわりに前方側からみて反時計回り(進出回動方向)に付勢された状態となる。なお、上記三群枠10の突起部10cと回転駆動部材35の凹部35bと係合しているため、上記回転付勢バネ53による回転付勢力は回転駆動部材35にも伝達される。
退避駆動時には端面カム14により回転駆動部材35を介して三群枠10が支持軸52まわりに回動駆動され、その回動に伴って端面カム部10dによって三群枠10が三群用直進枠7およびシャッタ枠9に対して相対的に光軸O方向にも駆動される。
そして、上述した三群枠10の回動動作に伴う光軸O方向の移動により、三群枠10のレンズ保持部がシャッタ枠9と接触するのを避けながら三群枠10の撮影光路進出位置から退避位置への退避駆動が行われる。この三群枠10の退避動作の詳細については、図7,8等を用いて後で説明する。
四群枠13は、四群レンズ24を保持し、一端部に軸穴13aと他端部にガイド突起部13bを有しており、固定枠2の内部後方に挿入される。軸穴13aにはフォーカシングユニット18に配されるガイド軸57が摺動可能に嵌入している。ガイド突起部13bは、固定枠2の直進溝(図示せず)に摺動可能に嵌入している。
この四群枠13は、フォーカシングユニット18のフォーカシングアクチュエータによりギヤ列,送りネジを介してガイド軸57に沿って撮影可能なフォーカシング位置および沈胴位置に光軸O方向に沿って進退駆動される。そして、四群枠13が固定枠2の後端部の沈胴位置に繰り込まれた状態では、退避位置にある三群枠10に保持された三群レンズ23の側方の撮影光路側の空きスペ−スに収納される(図6)。
保持プレート15は、開口部を有する金属板製の板状部材であり、固定枠2の後端面にビスおよび係止部によって固着される。さらに、保持プレート15の後面側には保護ガラス、光学フィルタ25、撮像素子26よりなる撮像ユニットが取り付けられたセンサ基台16が装着される。
そして、保持プレート15の上記開口部の周辺には三群枠退避駆動カムである退避カム14が光軸O方向前方に向けて直立した状態でインサート成形により一体的に配されている。この退避カム14は、光軸O方向に対して傾斜面を有する退避カム面としてのカム面14aと、光軸O方向に沿った面で形成される退避位置保持壁面としての退避壁面14bとを有している。
次に、上述した構成を有するレンズ鏡筒1の各鏡枠部材の進退動作および三群枠の退避動作について、図4〜6のレンズ鏡筒の断面図、および、図7(A)〜(D),図8を用いて説明する。
図7(A)〜(D)は、上記レンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同状態における光軸O方向に沿った断面図とをそれぞれ並べて示した図であって、図7(A)は、撮影状態(回転枠3がテレ回転位置からワイド回転位置にある状態)における三群枠を示し、図7(B)は、退避動作が開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図7(C)は、三群枠の退避回動状態を示し、図7(D)は、三群枠の退避動作完了状態を示す。図8は、上記レンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の回転角に対するシャッタ枠と三群レンズ(退避レンズ)との光軸O方向の相対位置の変化を示した図である。
以下の動作説明では、レンズ鏡筒1が撮影可能なテレ状態(図4)にあるとし、その後、撮影可能なワイド状態(図5)を経て、沈胴途中の状態から撮影行わない状態である沈胴状態(図6)までの繰り込み動作(セットダウン動作)を説明する。なお、上記沈胴状態から撮影可能状態への繰り出し時(セットアップ動作時)には、上記繰り込み動作と逆の動作が行われるものとする。
いま、図4に示すようにレンズ鏡筒1がテレ状態(撮影可能)にあって、回転枠3がテレ回動位置にあるとき、カムフォロア3aが固定枠2のカム溝2aの前方側の円周溝部に嵌入しており、回転枠3は、移動枠4と共に繰り出されている。カム枠5は、移動枠4のカム溝4cにより位置決めされ、回転枠3よりさらに前方に繰り出されている。一群枠12と二群枠11もそれぞれカム枠5のカム溝5bと5aによりテレ位置に繰り出されている。
また、上記テレ状態では三群用直進枠7は、回転枠3のカム溝3dにより繰り出されており、シャッタ枠9と共にテレ位置に位置決めされている(図4)。また、三群枠10は、回転駆動部材35のカムフォロア35cが退避カム14と離間しているので、回転付勢バネ53の付勢力により反時計回りに回動された回動角θ0 の進入位置にあり(図8)、三群レンズ23が撮影光路内に進入している(図7(A))。この状態では、光軸Oと三群レンズ23の光軸Oaとが一致している。
また、三群枠10の端面カム部10dの第一カム面10eが三群用直進枠7の突起部7dに当接しており、三群枠10は、光軸O方向前方に移動している。従って、三群レンズ23の前面部およびレンズ開口絞り10kがシャッタ枠9のシャッタ羽根54に極めて接近して位置する(図7(A))。
ここで、図7(A)を用いて、三群枠10が進入位置にあるときの三群枠10とシャッタ枠9との光軸方向の位置関係について詳述する。シャッタ枠9は、その開口9aを開閉するシャッタ羽根54が光軸Oを含み、その周囲に配されている。ここで、このシャッタ羽根54が配される面を基準面9bとする。この基準面9bを底面とし、光軸Oを中心としてその周囲に三群枠10が近接して位置することが可能なように三群枠収容空間(退避枠収容空間)9cが形成されている。このようにシャッタ枠9の三群枠10に対向する側の形状は、三群枠収容空間9c、突出部9からなり、全体として凹形状となっている。そして、三群枠10が進入位置にあるとき、三群枠収容空間9c内に位置する。
一方、三群枠収容空間9cの周囲には、上記基準面9bよりも光軸方向で三群枠10側に突出した突出部9dが形成されている。なお、一般的にシャッタ羽根54を摺動可能に保持するために、上述のように光軸Oを中心として光路の周囲に上記基準面9bよりも三群枠10側に突出する突出部9dが形成される。
従って、図7(A)に示すように三群枠10が三群枠収容空間9c内に位置する状態から三群枠10とシャッタ枠9との光軸方向の相対位置を離間させない状態で三群枠10を退避位置へと移動させようとすると、三群枠10と上記突出部9dとが干渉することになる。
なお、上述のようにシャッタ羽根54をレンズ開口絞り10kに接近させて位置決めすることより、シャッタ羽根54の開閉時における光軸O上と光軸O外との光量ムラ発生を防ぐことができ、シャッタの特性を高めることができる。
四群枠13は、フォーカシングユニット18により上記テレ状態に対応したフォーカシング位置に進退駆動される。
続いて、レンズ鏡筒1をワイド状態に切り換えるには、ズーミングユニット17によりロングギヤ45を介して回転枠3をワイド回転位置まで回転駆動する。カム枠5も回転しながら繰り込まれる。上記カム枠5の回転に伴って、図5に示すように一群枠12と、二群枠11とは繰り込まれ、それぞれのワイド位置に移動する。三群用直進枠7は、回転枠3の回転に伴ってシャッタ枠9と共にワイド位置に繰り込まれる。
三群用直進枠7が上述のようにワイド位置に繰り込まれても三群枠10は、回転駆動部材35のカムフォロア35cが退避カム14と離間しており、上記テレ位置の状態と変わらず進出位置に位置している。一方、シャッタ枠9は、三群用直進枠7に固定支持されているので、三群レンズ23の前面部もテレ状態の場合と同様にシャッタ枠9のシャッタ羽根54に極めて接近した状態を維持している(図7(A))。このように撮影位置でるテレ位置からワイド位置の間では三群枠10は進入位置にあり、三群枠収容空間9c内に位置している。
四群枠13は、フォーカシングユニット18により上記ワイド状態に対応したフォーカシング位置に進退駆動される。
レンズ鏡筒1を沈胴状態にセットダウンする場合、図5のワイド状態から図6の沈胴状態に向けて繰り込み動作が行われる。詳しくは、図5のワイド状態にあるとき、さらにズーミングユニット17により回転枠3を反時計回りに回転駆動する。この回転駆動により回転枠3は、回転しながら繰り込み方向に移動する。
回転枠3のワイド回転位置からの回転に伴ってカム枠5を介して一群枠12および二群枠11が繰り込み方向に移動する。同時に三群用直進枠7もシャッタ枠9および三群枠10とともに繰り込み方向に変位する。
上述の三群用直進枠7の繰り込み移動にともなって、まず、回転駆動部材35のカムフォロア35cが退避カム14のカム面14aと当接する(係合)。そして、三群枠10は、カム面14aによって進出位置である回動角(回動位置)θ0 の位置から時計回りの撮影光路から退避する方向への回動を開始する。
三群枠10が回動角θ1 の位置まで回動すると、三群用直進枠7の突起部7dは、端面カム部10dの第二カム面10fに当接する。その後、三群枠10は、回動しながら第二カム面10fにより三群用直進枠7に対して相対的に後退駆動される。言い換えると、シャッタ枠9に対して相対的に後退方向に移動して、シャッタ枠9から離間し始める。
三群枠10が回動角θ2 の位置まで回動して突起部7dが平坦面10gに到達した状態では、三群枠10は、シャッタ枠9に対して相対的に光軸O後方側に位置しており、三群レンズ23の前面がシャッタ羽根54に対して後方側に所定距離離間した状態となる(図7(B),図8)。この離間状態では、三群枠10は、シャッタ枠9と干渉することなく時計回りの退避方向の回動が可能である。即ち、三群枠10はシャッタ枠9の突出部9dから光軸方向で離間した位置となっている。なお、三群枠10の回動角θ0 〜θ2 までの間では三群枠10は光軸に直交する平面内で三群枠収容空間9cの範囲内に位置している。従って、この回転角θ0 〜θ2 までの間では三群枠10とシャッタ枠9の突出部9dと干渉することがない。
その後、回転枠3のさらなる沈胴方向(反時計回り)の回転によって、三群用直進枠7がさらに繰り込まれ、退避カム14のカム面14aによって三群枠10が退避方向に回動駆動される。この回動駆動期間中、突起部7dは、平坦面10g上にあって三群枠10のシャッタ枠9に対する光軸O方向の相対移動はない(図7(C))。
三群枠10が回動角θ3 の位置まで回動すると(図8)、突起部7dが端面カム部10dの平坦面10gを経て第三カム面10hに当接する状態となる。
その後の三群枠10のカム面14aによるさらなる退避方向の回動に伴って、三群枠10は、第三カム面10hによりシャッタ枠9に対して相対的に光軸O前方に駆動される。
回転枠3が沈胴位置まで回転すると(図6)、三群用直進枠7も沈胴位置まで繰り込まれ、カムフォロア35cが退避カム14の退避壁面14bに到達する。三群枠10は、回動角θ4 の位置まで回動し、完全に撮影光路外の位置に到達し、退避方向への回動動作が終了する(図8)。同時に突起部7dが第三カム面10hを経て第四カム面10iに達するので、三群枠10は、三群レンズ23の前面部が光軸O方向でシャッタ羽根54より前方に位置する収納位置(退避位置)に到達する(図7(D))。
図7(D)を用いて、三群枠10が収納位置にあるときのシャッタ枠9と三群枠10との位置関係について詳述する。
シャッタ枠9の突出部9dの周囲には、基準面9bよりも三群枠10から離間した方向に空間を有する三群枠退避空間9eが形成されている。即ち、シャッタ羽根54の駆動のために必要となる突出部9dを避けた位置に、基準面9bよりも三群枠10から離間する側に形成された三群枠退避空間9eが形成されている。そしてこの三群枠退避空間9e内に三群枠10を位置させている。このように三群枠10が退避位置にあるときに、三群枠10とシャッタ枠9との光軸方向の間隔を撮影位置にあるときに比して近接して配置することができる。これにより、退避位置にあるときのレンズ鏡筒の光軸方向寸法の短縮を図ることができる。
なお、回転枠3の沈胴位置まで回転すると、他の枠部材である移動枠4,カム枠5,直進ガイド枠6,一群枠12,二群枠11,四群枠13もそれぞれの沈胴位置に移動し、沈胴動作を終了する(図6)。
上述したように本実施形態のレンズ鏡筒1によれば、三群枠10のレンズ保持部のレンズ開口絞り10kに近接させて退避レンズである三群レンズ23を配置することにより三群レンズ23の小径化が可能であり、三群枠10を撮影光路から退避させる時の回動角を減らすことができる。また、これに伴って退避スペースを減じることができる。
詳しくは、一般に光学系の開口絞り位置では全ての光線束の径が最も小さくなっているので、開口絞り位置近傍に配される退避レンズの径も小さくすることができる。従って、開口絞り位置近傍に光路外へと退避する退避光学要素の三群レンズ23を配置することにより、三群枠10の退避回動角が小さくなり、また、退避スペースも小さくなる。
さらに、撮影状態(テレ,ワイド状態)にて三群レンズ23が進入位置にあるときには、上述のようにレンズ開口絞り10kに近くに配される該三群レンズ23をシャッタ枠9のシャッタ羽根54の後面部に極めて接近するように三群枠10を移動させることができる。このような配置により光量ムラ発生を防ぎ、シャッタの特性を高め、撮影光学系上、良好な状態が得られる。
また、レンズ鏡筒1を沈胴状態に切り換えるとき、三群枠10を上記進出位置から退避位置に移行させるが、その退避回動動作時において、三群枠10の軸支ボス部10aに設けられた端面カム部10dの作用により、一旦、三群枠10をシャッタ枠9の突出部9dと干渉しないような位置まで離間させることができる。
その後、撮影光路からの退避位置への回動を行い、同時に、退避レンズである三群レンズ23の前面をシャッタ羽根54の側方であって、光軸O方向では前方に位置させるようにしてシャッタ枠9の側方の収納位置である三群枠退避空間9e内に三群枠10を収納することが可能であり、該三群枠10を三群用直進枠7内に空きスペースに収納効率よく納めることができる。
また、上述したように本実施の形態では、第二カム面10fのリード角は、第三カム面10hのリード角よりも大きい。これにより、三群枠10の退避動作の初期段階で三群枠10とシャッタ枠9とを離間させることができる。従って、三群枠収容空間9cを小さくすることができる。なお、本実施の形態では第二カム面10fと第三カム面10hとのリード角を上記のように設定したが、三群枠収容空間9cと三群枠退避空間9eとの大きさによっては第二カム面10fと第三カム面10hとのリード角を同じか、または、本実施の形態とは逆にしても良い。
このように本実施形態によれば、レンズ鏡筒の収納状態(沈胴状態)への移行をスムーズに行うと共に、各鏡枠部材の沈胴状態での効果的な収納を可能することができる。また、退避動作時に退避枠である三群枠とこれに隣接するシャッタ枠とを離間させることができるので撮影状態での両者の光軸方向間隔を適切にすることができる。また、レンズ鏡筒の光軸O方向の長さの短縮と、コンパクト化を可能とする。
次に、本発明の第二の実施形態のレンズ鏡筒について、図9〜11を用いて説明する。
図9は、上記レンズ鏡筒を構成する二群枠とシャッタ・3群ユニットと分解斜視図である。図10は、上記シャッタ・3群ユニットを構成する三群用直進枠のカム部の斜視図である。図11(A)〜(D)は、上記レンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同一状態における光軸O方向に沿った断面図とを並べて示した図であって、図11(A)は、撮影状態における三群枠を示し、図11(B)は、退避動作が開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図11(C)は、三群枠の退避回動状態を示し、図11(D)は、三群枠の退避動作完了状態を示す。
本実施形態のレンズ鏡筒は、第一の実施形態のレンズ鏡筒に対して三群枠退避駆動機構の構成が異なるものであり、他の構成は、第一の実施形態の場合と同様である。以下、異なる部分について説明する。なお、第一の実施形態の場合と同一の構成部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態のレンズ鏡筒には、図9に示す二群枠11Aとシャッタ・三群ユニット31Aとが適用される。
本実施形態の二群枠11Aも第一の実施形態と同様に円筒状部材であって、直進ガイド枠6の内周部に嵌入され、回転規制された状態でカム枠5によりカムフォロア43を介して進退駆動される。
二群枠11Aには第一の実施形態の二群枠11と異なり、図9に示すようにその外周部に後方に向けて突出する形状の退避カム11Abが設けられている。
退避カム11Abには先端部に傾斜面からなる退避カム面としてのカム面11Acと、側面部に光軸O方向に沿った退避位置保持壁面としての退避壁面11Adとが設けられる。なお、本実施形態においては、保持プレート15には退避カム14は設けられていない。
本実施形態のシャッタ・三群ユニット31Aも図9に示すように支持部材である三群用直進枠7Aと、該直進枠7Aに固定支持される押さえ板部材8および変位枠であるシャッタ枠9と、三群レンズ23を保持する退避枠である三群枠10Aと、支持軸52と、トーションバネである回転付勢バネ53と、軸方向付勢バネ36とからなる。なお、本実施形態では回転駆動部材35は不要である。なお、三群レンズ23のシャッタ枠9に対向する側の面は凸形状となっている。また、シャッタ枠9は、全体として三群枠10Aに対向する側の形状が三群枠収容部9c、突出部9dにより凹形状となっている。
三群用直進枠7Aも移動枠4の内方部に挿入され、該移動枠4により回転規制され、かつ、回転枠3によりカムフォロア42を介して進退駆動される枠部材である。
この三群用直進枠7Aには第一の実施形態の三群用直進枠7と異なり、突起部7dに代えて、軸支持穴7cの前面側(三群枠10A側)外方に駆動手段(カム手段)としての円筒端面凸状の端面カム部7Adが設けられている。
端面カム部7Adは、撮影状態(進入位置)におけるシャッタ枠9と三群枠10Aの間隔を規定するための平坦面(光軸Oと直交する面)からなる第一のカム部である第一カム面7Aeと、退避駆動に際してシャッタ枠9と三群枠10Aとを離間させるための第二のカム部である第二カム面7Afと、三群枠10Aの退避回動時のシャッタ枠9と三群枠10Aの間隔を維持するための光軸Oと直交する平面からなる平坦面7Agと、上記三群枠10Aの退避回動後、三群枠10Aをシャッタ枠9に接近させるための第三のカム部である第三カム面7Ahと、沈胴状態(退避位置)におけるシャッタ枠9と三群枠10Aの間隔を規定するための平坦面(光軸Oと直交する面)からなる第四のカム部である第四カム面7Aiとからなる。
なお、第二カム面7Afのリード角は、第三カム面7Ahのリード角よりも大きい。これは、三群枠10Aの退避動作時に三群枠10Aを速やかにシャッタ枠9から離間させるためである。
三群枠10Aは、三群レンズ23を保持するレンズ保持部と該レンズ保持部に連結される軸受け部である軸支ボス部10Aaを有し、三群用直進枠7Aにより支持軸52を介して回転、進退可能に支持されている。そして、三群レンズ23が光軸O上の撮影光路に進入した進出位置(図11(A))と該撮影光路から退避した退避位置(図11(D))とに回動駆動され、かつ、上記回動駆動時にシャッタ枠9に対して相対的に光軸O方向にも進退駆動される。
この三群枠10Aには第一の実施形態の三群枠10と異なり、軸受け部である軸支ボス部10Aaの側方にカムフォロア10Acが設けられ、さらに、端面カム部10dに代えて軸支ボス部10Aaの後方側(端面カム部7A側)の側方に駆動手段(カム手段)としての突起状のカムフォロア10Adが設けられる(図9)。
三群枠10Aの軸支ボス部10Aaの前端面側(端面カム部7Aとは相反する側)には三群枠10Aを光軸O方向後方に向けて付勢する軸方向付勢バネ36が挿入されている。さらに、該軸支ボス部10Aaの後方外周部には三群枠10Aを反時計回り(進出位置方向)に付勢する回転付勢バネ53が挿入されている。
カムフォロア10Acは、レンズ鏡筒の沈胴駆動時に二群枠11Aが繰り込まれるとき、二群枠11Aの退避カム11Abのカム面11Acが当接し、回転付勢バネ53の付勢力に抗して三群枠10Aを退避方向(時計回り)に回動駆動する。
カムフォロア10Adは、軸方向付勢バネ36の付勢力により三群用直進枠7Aの端面カム部7Adに当接しており、カムフォロア10Adを介して三群枠10Aが退避回動駆動時に三群用直進枠7Aおよびシャッタ枠9に対して相対的に光軸O方向に進退駆動される。
上述した三群枠10Aの回動動作に伴う光軸O方向の移動により、三群枠10Aは、そのレンズ保持部がシャッタ枠9と接触するのを避けながら三群枠10Aの撮影光路進入位置から退避位置へ退避駆動される。この三群枠10Aの退避動作の詳細について、次に説明する。
上述した構成を有する第二の実施形態のレンズ鏡筒の三群枠の退避動作について、図10,図11(A)〜(D)を用いて説明する。
なお、図4〜6の各状態でのレンズ鏡筒の断面図と図8の退避時のシャッタ枠と三群レンズとの相対位置の変化を示す図は、本来、第一の実施形態の場合を示すが、本実施形態のレンズ鏡筒の場合も同様に状態が変化するので該図4〜6,8も併用して以下の説明を行う。
本実施形態のレンズ鏡筒の繰り込み動作(セットダウン動作)については、三群枠以外の各枠部材が第一の実施形態のレンズ鏡筒1の場合と同様に撮影可能なテレ状態(図4)からワイド状態(図5)を経て、撮影行わない状態である沈胴状態(図6)まで繰り込まれる。そして、ワイド状態から沈胴状態に向けての繰り込み動作時、以下に示す三群枠10Aの退避動作が実行される。
なお、本実施形態のレンズ鏡筒においても上記退避動作を含み沈胴状態から撮影可能状態への繰り出し時(セットアップ動作時)には、上記繰り込み動作の逆の動作が実行される。
本実施形態のレンズ鏡筒が撮影可能なテレ状態およびワイド状態にあるときは、三群枠10Aは、カムフォロア10Acが二群枠11Aの退避カム11Abと離間しているので、三群枠10Aは回転付勢バネ53の付勢力により反時計回りに回動され、三群レンズ23が撮影光路内に進入した進出位置(回動角θ0 の位置)にある(図8)。この状態では、光軸Oと三群レンズ23の光軸Oaとが一致している(図11(A))。
三群枠10Aが上記進出位置に位置しているときは、三群枠10Aのカムフォロア10Adが三群用直進枠7Aの端面カム部7Adの第一のカム面7Aeと当接している。従って、三群枠10Aは、光軸O方向前方に移動しており、三群レンズ23の前面部およびレンズ開口絞り10kがシャッタ枠9のシャッタ羽根54に極めて接近している(図11(A))。このように三群枠10Aはシャッタ枠9の三群枠収容空間9c内に位置している。
本実施形態のレンズ鏡筒を沈胴状態にセットダウンする場合、回転枠3がワイド回転位置から反時計回りに回転駆動されと、図5のワイド状態から図6の沈胴状態に向けての繰り込み動作が行われる。
回転枠3の沈胴位置への反時計回りの回転に伴ってカム枠5を介して一群枠12および二群枠11Aが繰り込み方向に移動する。同時に三群用直進枠7Aもシャッタ枠9および三群枠10Aとともに繰り込み方向に変位する。
上述の二群枠11Aと三群用直進枠7Aの繰り込み移動に伴って、二群枠11Aと三群用直進枠7Aとの相対位置が接近する。その接近によって二群枠11Aの退避カム11Abのカム面11Acが三群枠10Aのカムフォロア10Acに当接する(係合)。そして、カム面11Acにより三群枠10Aの撮影光路から退避する退避方向(時計回り)へ回転付勢バネ53の付勢力に抗して回動駆動が開始される。
三群枠10Aが回動角θ1 の位置に達すると、三群枠10Aのカムフォロア10Adが三群用直進枠7Aの端面カム7Adの第二カム面7Afに当接する。その後、三群枠10Aは、回動しながら第二カム面7Afによりシャッタ枠9に対して相対的に後退方向に駆動される。
三群枠10Aが回動角θ2 の位置まで回動してカムフォロア10Adが端面カム7Adの平坦面7Agに到達したときは、三群枠10Aは、シャッタ枠9に対して相対的に光軸O後方側に移動し、三群レンズ23の前面がシャッタ羽根54に対して後方側に所定距離離間した状態となる(図7(B),図8)。この離間状態では、三群枠10Aは、シャッタ枠9と干渉することなく時計回りの退避方向の回動が可能である。即ち、三群枠10Aはシャッタ枠9の突出部9dから光軸方向で離間した位置となっている。なお、三群枠10Aの回動角θ0 〜θ2 までの間では三群枠10Aは光軸に直交する平面内で三群枠収容空間9cの範囲内に位置している。従って、この回転角θ0 〜θ2 までの間では三群枠10Aとシャッタ枠9の突出部9dと干渉することがない。
その後、回転枠3のさらなる沈胴方向(反時計回り)の回転により二群枠11Aおよび三群用直進枠7Aがさらに繰り込まれ、相対位置が接近する。その接近により退避カム11Abのカム面11Acによって三群枠10Aは、さらに退避方向に回動駆動される。この回動駆動期間中、カムフォロア10Adは、平坦面7Ag上にあって三群枠10Aの三群用直進枠7Aに対する光軸O方向の相対移動はない(図11(C))。
三群枠10Aが回転角θ3 の位置まで回転すると(図8)、カムフォロア10Adが端面カム7Adの平坦面7Agを経て第三カム面7Ahに当接する状態となる。
その後の三群枠10Aのカム面11Acによるさらなる退避方向に回動によって、三群枠10Aは、第三カム面7Ahによりシャッタ枠9に対して相対的に光軸O前方に駆動され、三群枠10Aがシャッタ枠9に対して光軸方向で相対的に近接する。
回転枠3が沈胴位置まで回転すると(図6)、二群枠11と三群用直進枠7Aも沈胴位置まで繰り込まれ、カムフォロア10Acが退避カム11Abの退避壁面11Adに到達するので、三群枠10Aは、回転角θ4 の位置まで回動する。
そして、三群枠10Aの三群レンズ23が完全に撮影光路外の位置に到達し、退避方向への回動動作が終了する(図8)。同時にカムフォロア10Adが第三カム面7Ahから第四カム面7Aiに達するので、三群枠10Aは、三群レンズ23が光軸O方向でシャッタ羽根54位置よりも前方に位置する収納位置(退避位置)に到達する(図11(D))。このように本実施の形態においても、突出部9dと干渉することなく、基準面9bよりも三群枠10Aから離間した方向に形成される三群枠退避空間9e内に三群枠10Aを退避させることができる。
なお、回転枠3の回転角θ4 への回転に伴って、他の枠部材である移動枠4,カム枠5,直進ガイド枠6,一群枠12,二群枠11A,四群枠13もそれぞれの沈胴位置に移動し、沈胴動作を終了する(図6)。
上述した本実施形態のレンズ鏡筒においても、第一の実施形態のレンズ鏡筒1と同様の効果を奏する。特に本実施形態のレンズ鏡筒の場合は、第一の実施形態で適用した回転駆動部材35を用いる必要がなく、構成が簡単である。また、退避カム11Abが二群枠11Aに設けられているので撮像素子側の保持プレート15を装着しない状態のレンズ鏡筒のみで三群枠10Aの退避駆動状態を確認することが可能である。
次に、本発明の第三の実施形態のレンズ鏡筒について図12〜15を用いて説明する。
図12は、上記レンズ鏡筒を構成する二群枠とシャッタ・3群ユニットと分解斜視図である。図13は、上記シャッタ・3群ユニットを構成する三群用直進枠に設けられる端面カム部の斜視図である。図14(A)〜(D)は、上記レンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同一状態における光軸O方向に沿った断面図とを並べて示した図であって、図14(A)は、撮影状態における三群枠を示し、図14(B)は、退避動作開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図14(C)が三群枠の退避回動状態を示し、図14(D)が三群枠の退避動作完了状態を示す。図15は、上記レンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の回動角に対するシャッタ枠と三群レンズとの光軸O方向の相対位置の変化を示す図である。
本実施形態のレンズ鏡筒は、第一の実施形態のレンズ鏡筒に対して三群枠退避駆動機構の構成が異なるものであり、他の構成は、第一の実施形態の場合と同様である。以下、異なる部分について説明する。なお、第一の実施形態の場合と同一の構成部材には同一の符号を付して説明する。
本実施形態のレンズ鏡筒には、図12に示す二群枠11Bとシャッタ・三群ユニット31Bとが適用される。
本実施形態の二群枠11Bも第一の実施形態と同様に円筒状部材であって、直進ガイド枠6の内周部に嵌入され、回転規制された状態でカム枠5によりカムフォロア43を介して進退駆動される。
二群枠11Bには第一の実施形態の二群枠11と異なり、図12に示すようにその外周部に後方に向けて突出する形状の退避カム11Bbが設けられている。
退避カム11Bbには先端部に傾斜面からなる退避カム面としてのカム面11Bcと、側面部に光軸O方向に沿った退避位置保持壁面としての退避壁面11Bbとが設けられる。
なお、本実施形態においては、保持プレート15には退避カム14は設けられていない。
本実施形態のシャッタ・三群ユニット31Bは、図12に示すように支持部材である三群用直進枠7Bと、該直進枠7Bに固定支持される押さえ板部材8Bおよび変位枠であるシャッタ枠9と、三群レンズ23を保持する退避枠である三群枠10Bと、支持軸52と、トーションバネである回転付勢バネ53と、軸方向付勢バネ36とからなる。なお、本実施形態では回転駆動部材35は不要である。また、三群レンズ23のシャッタ枠9に対向する側の面は凸形状となっている。また、シャッタ枠9は、全体として三群枠10Bに対向する側の形状が三群枠収容部9c、突出部9dにより凹形状となっている。
三群用直進枠7Bは、移動枠4の内方部に挿入され、該移動枠4により回転規制され、かつ、回転枠3によりカムフォロア42を介して進退駆動される枠部材である。
この三群用直進枠7Bには第一の実施形態の三群用直進枠7と異なり、突起部7dが配されていない。
押さえ板部材8Bには第一の実施形態の押さえ板部材8と異なり、軸支穴8aの近傍に後方側(三群枠10B側)に突出する突起部8Bbが設けられる。
三群枠10Bは、三群レンズ23を保持するレンズ保持部と、該レンズ保持部に連結される軸受け部である軸支ボス部10Baとを有しており、三群用直進枠7Bにより支持軸52を介して回転、進退可能に支持されている。そして、三群レンズ23が光軸O上の撮影光路内に進入した進出位置(図14(A))と該撮影光路外に退避した退避位置(図14(D))とに回動駆動され、かつ、シャッタ枠9に対して光軸O方向に進退移動する。
この三群枠10Bには第一の実施形態の三群枠10と異なり、後端面の端面カム部10dに代えて軸支ボス部10Baの前端面側(突起部8b側)に三群枠の光軸O方向位置設定部として段差部10Bdが設けられる。該段差部10Bdは、押さえ板部材8Bの突起部8bと当接可能であって、三群枠10Bの進出位置におけるシャッタ枠9との光軸O方向相対位置を決める進出位置規制用平坦面10Beと、段差を介して該平坦面10Beよりも後方側に形成され、三群枠10Bの退避位置におけるシャッタ枠9との光軸O方向相対位置を決める退避位置規制用平坦面10Bfとからなる。
さらに、三群枠10Bには軸支ボス部10Baの外周面に突出するカムフォロア10Bcが設けられる(図12)。カムフォロア10Bcは、二群枠11Bの退避カム11Bbと当接可能である。
三群枠10Bの軸支ボス部10Baには、第一の実施形態の場合と異なり、後方側の三群用直進枠7Bとの間に軸方向付勢バネ36が挿入されている。この軸方向付勢バネ36により、三群枠10Bはシャッタ枠9に向けて付勢されている。さらに、前方外周部に回転付勢バネ53が挿入されている。
三群枠10Bが二群枠11Bの退避カム11Bbと当接した状態のもとで、回転付勢バネ53の反時計回りの付勢力によって退避カム11Bbのカム面11Bcを介して三群枠10Bが受ける光軸O方向の付勢力は、軸方向付勢バネ36による光軸O方向の付勢力よりも大きく設定されている。
従って、レンズ鏡筒の沈胴駆動時に二群枠11Bが繰り込まれるとき、カムフォロア10Bcが二群枠11Bの退避カム11Bbのカム面11Bcが当接し、三群枠10Bが押圧された場合、まず、軸方向付勢バネ36の方が撓み、軸支ボス部10Baの端面が三群用直進枠7Bの底面に当接するまで三群枠10Bは回動することなく軸方向に移動する。該底面当接後、三群枠10Bは、退避カム11Bbのカム面11Bcにより回転付勢バネ53の付勢力に抗して退避方向(時計回り)に回動駆動される。
上述した三群枠10Bの光軸O方向の移動と回動動作により、三群枠10Bは、そのレンズ保持部がシャッタ枠9と接触するのを避けながら撮影光路進入位置から退避位置へ退避駆動される。この三群枠10Bの退避動作の詳細について、次に説明する。
上述した構成を有する第三の実施形態のレンズ鏡筒の三群枠の退避動作について、図13,14(A)〜(D),15を用いて説明する。
なお、図4〜6の各状態でのレンズ鏡筒の断面図は、本来、第一の実施形態の場合を示すが、本実施形態のレンズ鏡筒の場合も同様に状態変化するので該図4〜6も併用して以下の説明を行う。
本実施形態のレンズ鏡筒の繰り込み動作(セットダウン動作)については、三群枠以外の各枠部材が第一の実施形態のレンズ鏡筒1の場合と同様に撮影可能なテレ状態(図4)からワイド状態(図5)を経て、撮影を行わない状態である沈胴状態(図6)まで繰り込まれる。そして、ワイド状態から沈胴状態に向けての繰り込み動作時、以下の示す三群枠10Bの退避動作が実行される。
なお、本実施形態のレンズ鏡筒においても上記退避動作を含み沈胴状態から撮影可能状態への繰り出し時(セットアップ動作時)には、上記繰り込み動作の逆の動作が実行される。
本実施形態のレンズ鏡筒が撮影可能なテレ状態およびワイド状態にあるときは、三群枠10Bは、カムフォロア10Bcが二群枠11Bの退避カム11Bbと離間しているので、回転付勢バネ53の付勢力により三群枠10Bは反時計回りに回動しており、三群レンズ23が撮影光路内に進入した進出位置(回動角θ10の位置)にある(図15)。この状態では、光軸Oと三群レンズ23の光軸Oaとが一致している(図14(A))。
三群枠10Bが上記進出位置に位置しているとき、押さえ板部材8Bの突起部8Bbが三群枠10Bの進出位置規制用平坦面10Be上に当接した状態に保持される。従って、三群枠10Bは、シャッタ枠9に対して相対的に光軸O方向前方に移動しており、三群レンズ23の前面部およびレンズ開口絞り10kがシャッタ枠9のシャッタ羽根54に極めて接近した位置に保持される(図14(A))。このように三群枠10Bはシャッタ枠9の三群枠収容空間9c内に位置している。
本実施形態のレンズ鏡筒を沈胴状態にセットダウンする場合、回転枠3が反時計回りに回転駆動され、図5のワイド状態から図6の沈胴状態に向けて繰り込み動作が行われる。
回転枠3の上記反時計回りの回転に伴ってカム枠5を介して一群枠12および二群枠11Bが繰り込み方向に移動する。同時に三群用直進枠7Bもシャッタ枠9および三群枠10Bとともに繰り込み方向に移動する。
上述の二群枠11Bと三群用直進枠7Bの繰り込み移動に伴って、二群枠11Bと三群用直進枠7Bとの相対位置が接近する。その接近動作によって二群枠11Bの退避カム11Bbのカム面11Bcが三群枠10Bのカムフォロア10Bcに当接(係合)する。
しかし、三群枠10Bの軸支ボス部10Baを光軸O方向前方に付勢する軸方向付勢バネ36の付勢力が回転付勢バネ53がカム面11Bcを介して軸支ボス部10Baを光軸O方向後方に付勢する力より弱い。従って、三群枠10Bは、上記進入位置の回転角度θ10を保ったまま、すなわち、回転しない状態でシャッタ枠9に対して光軸O方向(後方)に離間するように移動する(図15)。
その後、三群枠10Bの軸支ボス部10Baの後端面が三群用直進枠7Bの底面に当接し、三群枠10Bの後方への後退が停止する。この状態では、三群レンズ23の前面がシャッタ羽根54に対して後方側に所定距離だけ離間している(図14(B)、図8)。従って、この離間状態で三群枠10Bが退避方向に回動してもシャッタ枠9の突出部9dと干渉することがなく、三群枠10Bの退避方向への回動が可能な状態になる。なお、この状態では、押さえ板部材8Bの突起部8Bbは、三群枠10Bの進出位置規制用平坦面10Beと離間した状態になる。三群レンズ23の光軸Oaは、撮影光軸Oに対してのずれはまだ生じない(図14(B))。
その後、二群枠11Bおよび三群用直進枠7Bがさらに繰り込まれると、相対位置がさらに接近し、退避カム11Bbのカム面11Bcによって三群枠10Bは、上記シャッタ枠9との上記離間距離を保ったまま、退避方向に回動駆動される(図14(C))。
回転枠3が沈胴位置まで回転すると(図6)、 三群枠10Bのカムフォロア10Bcが退避カム11Bbのカム面11Bcの端部の退避壁面11Bbに到達し、三群枠10Bは、退避位置角度の回転角θ11の位置まで回動する(図15)。そして、軸方向付勢バネ36の付勢力によってシャッタ枠9側前方に相対移動し、軸支ボス部10Baの退避位置規制用平坦面10Bfが押さえ板部材8Bの突起部8Bbに当接した状態となる。この移動状態では、三群レンズ23の前面部がシャッタ羽根54の光軸O方向位置より前方に位置した収納位置(退避位置)に到達し、三群レンズ23は、撮影光路から完全に退避している(図14(D),図15)。このように本実施の形態においても、突出部9dと干渉することなく、基準面9bよりも三群枠10Bから離間した方向に形成される三群枠退避空間9e内に三群枠10Bを退避させることができる。
また、回転枠3の沈胴位置への回転に伴って、他の枠部材である移動枠4,カム枠5,直進ガイド枠6,一群枠12,二群枠11B,四群枠13もそれぞれの沈胴位置に移動し、沈胴動作を終了する(図6)。
上述した本実施形態のレンズ鏡筒においても、第一の実施形態のレンズ鏡筒1と同様の効果を奏する。特に本実施形態のレンズ鏡筒では、第一の実施形態で適用した回転駆動部材35を用いる必要がない。さらに、退避枠である三群枠10Bを光軸O方向に移動させるための端面カム部および該カム部に従動するカムフォロアを設ける必要がなく、構成、動作ともに簡単になる。また、退避カム11Bbが二群枠11Bに設けられており、撮像素子側の保持プレート15を装着しない状態のレンズ鏡筒のみで三群枠10Bの退避駆動状態を確認することが可能である。
さらに、本実施形態のレンズ鏡筒は、上述のように端面カム部を適用しないので、退避レンズである三群レンズ23のシャッタ枠9との離間のスラスト変化量が大きい場合に有利である。また、三群レンズ23を撮影光軸上で位置変化させることが可能なために三群レンズ23と光学部材の径方向の隙間が少ない場合にも有利である。
このように上述した各実施の形態では、退避枠である三群枠はこれに隣接する側に凸形状を有するレンズを保持させ、退避枠に隣接するシャッタ枠を三群枠に向けて凹形状としている。これにより、撮影状態では両者の凸部と凹部とが組み合わさるように配置することで両者を近接して配置することができる。そして、退避動作時には両者を一旦離間させることで退避動作時における両者の干渉を効果的に防ぐことができる。
また、上述した各実施の形態では、退避動作において退避枠である三群枠を隣接するシャッタ枠に対して光軸方向に移動させているが、シャッタ枠を三群枠に対して変位させることも可能である。
また、上述の各実施の形態では、三群枠に隣接する光学要素としてシャッタ枠を例にとっているが、これに限らず、絞り機構を有する絞り枠や、レンズ群を支持するレンズ枠であってもよい。
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
本発明によるレンズ鏡筒は、レンズ鏡筒を収納状態に切り換える際に退避レンズの光路からの効果的な退避制御を行い、撮影状態で要求される光学要素の配置が実現でき、同時に光学要素の収納状態におけるレンズ鏡筒のさらなる短縮化も可能なレンズ鏡筒として利用できる。
本発明の第一の実施形態のレンズ鏡筒の分解斜視図である。 図1のレンズ鏡筒を構成する鏡枠部材のうちのシャッタ・3群ユニットと退避カムの分解斜視図である。 図2のシャッタ・3群ユニットに内蔵される三群枠の斜視図である。 図1のレンズ鏡筒のテレ状態における光軸に沿った断面図である。 図1のレンズ鏡筒のワイド状態における光軸に沿った断面図である。 図1のレンズ鏡筒の沈胴状態における光軸に沿った断面図である。 図1のレンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同状態における光軸O方向に沿った断面図とを並べて示した図であって、図7(A)は、撮影状態における三群枠を示し、図7(B)は、退避動作が開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図7(C)は、三群枠の退避回動状態を示し、図7(D)は、三群枠の退避動作完了状態を示す。 図1のレンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の回転角に対するシャッタ枠と三群レンズ(退避レンズ)との光軸O方向の相対位置の変化を示す図である。 本発明の第二の実施形態のレンズ鏡筒を構成する二群枠とシャッタ・3群ユニットと分解斜視図である。 図9のシャッタ・3群ユニットを構成する三群用直進枠のカム部の斜視図である。 図9のレンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同状態における光軸O方向に沿った断面図とを並べて示した図であって、図11(A)は、撮影状態における三群枠を示し、図11(B)は、退避動作が開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図11(C)は、三群枠の退避回動状態を示し、図11(D)は、三群枠の退避動作完了状態を示す。 本発明の第三の実施形態のレンズ鏡筒を構成する二群枠とシャッタ・3群ユニットと分解斜視図である。 図12のシャッタ・3群ユニットを構成する三群用直進枠のカム部の斜視図である。 図12のレンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の進入位置から退避位置への各移動状態を光軸O方向前方から見た図と同状態における光軸O方向に沿った断面図とを並べて示した図であって、図14(A)は、撮影状態における三群枠を示し、図14(B)は、退避動作が開始され、三群枠がシャッタ枠から離間した状態を示し、図14(C)は、三群枠の退避回動状態を示し、図14(D)は、三群枠の退避動作完了状態を示す。 図12のレンズ鏡筒の撮影状態から沈胴状態への切り換え時における三群枠の回転角に対するシャッタ枠と三群レンズ(退避レンズ)との光軸O方向の相対位置の変化を示す図である。
符号の説明
1 …レンズ鏡筒
7d…突起部
(駆動手段,カム手段,カムフォロア)
9 …シャッタ枠(変位枠)
10,10A,10B
…三群枠(退避枠)
10a,10Aa,10Ba
…軸支ボス部(軸受け部)
10d,7Ad
…端面カム部(駆動手段,カム手段)
10e,7Ae
…第一カム面(第一のカム部,カム手段)
10f,7Af
…第二カム面(第二のカム部,カム手段)
10g,7Ag
…第三カム面(第三のカム部,カム手段)
10h,7Ah
…第四カム面(第四のカム部,カム手段)
10i,7Ai
…第五カム面(第五のカム部,カム手段)
10Ad…カムフォロア(駆動手段,カム手段)
35 …三群枠用回転駆動部材(駆動手段)
52 …支持軸(軸部材)

Claims (7)

  1. 光軸方向に突出した突出状態と、収納された収納状態との切り換えが可能なレンズ鏡筒において、
    上記突出状態にあるときに光路中に位置する進出位置に位置し、上記収納状態にあるとき光路から退避した退避位置に位置する退避枠と、
    光軸方向で上記退避枠と隣接して配置され、上記突出状態と収納状態との変化に伴い光軸方向に変位する変位枠と、
    上記突出状態から収納状態へと移行するに際し、上記変位枠と退避枠との光軸方向の間隔を変化させる駆動手段と、
    を具備することを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 上記駆動手段は、上記突出状態から収納状態へと移行するに際し、上記変位枠と退避枠とを離間させた後、両者を近接させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 上記変位枠には光路を開閉するためのシャッタが配され、上記突出状態において変倍動作がなされる際には、上記変位枠と上記退避枠とは光軸方向に一体的に変位することを特徴とする請求項2に記載のレンズ鏡筒。
  4. 光軸方向に突出した突出状態と、収納された収納状態とが可能なレンズ鏡筒において、
    上記突出状態にあるときに光路中に位置する進出位置に位置し、上記収納状態にあるとき、光路から退避した退避位置に位置する退避枠と、
    光軸方向で上記退避粋と隣接して配置され、上記突出状態と収納状態との変化に伴い光軸方向に変位する変位枠と、
    上記退避枠が上記進出位置から退避位置へと変位することに伴い作用するカム手段と、
    を具備し、上記カム手段により上記退避枠と変位枠との光軸方向の間隔を変位可能であって、上記突出位置から収納状態へと移行するに際し、上記退避枠と変位との光軸方向の間隔を離間させた後、両者を近接させることを特徴とするレンズ鏡筒。
  5. さらに、軸部材と、
    上記退避枠に設けられ、上記軸部材と嵌合する軸受け部と、
    を具備し、上記退避枠は、上記進出位置と退避位置との間を上記軸部材周りに回動し、上記カム手段のカム面もしくはカムフォロアの一方が上記軸受け部に設けられることを特徴とする請項4に記載のレンズ鏡筒。
  6. 上記カム手段は、カム面とこのカム面に当接するカムフオロアとを具備し、上記カム面は、上記退避枠が上記進出位置にあるときに上記退避枠と変位枠との間隔を規定する第一のカム部と、上記退避枠と上記変位枠とが離間するように駆動するための第二のカム部と、上記退避枠と上記変位枠とが近接するように駆動するための第三のカム部と、上記退避枠が上記退避位置にあるときに上記退避枠と変位枠との間隔を規定する第四のカム部とを有し、上記第二のカム部のリード角は、上記第三のカム部のリード角よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
  7. 上記第一のカム部と第四のカム部とは、平坦部からなることを特徴とする請求項6に記載のレンズ鏡筒。
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