図1ないし図4に側断面を示すデジタルカメラのズームレンズ鏡筒11は、撮影時には図1ないし図3のように被写体側へ繰り出されて撮影光軸ZPと平行な方向(以下、光軸方向と呼ぶ)に長くなり、撮影を行わないときは図4のように光軸方向長さが短縮される。図1はズームレンズ鏡筒11のワイド端撮影状態を示し、図2はテレ端撮影状態を示している。図3は、撮影光軸ZPを挟んで上半にワイド端撮影状態、下半にテレ端撮影状態を同時に示した図である。図4の収納状態では、ズームレンズ鏡筒11は図示を省略したカメラボディ内に沈胴される。
ズームレンズ鏡筒11は、カメラボディ内に固定されたハウジング12の内部に、ギヤ進退環13、第1繰出筒14、直進案内環15、第2繰出筒16、カム環17、直進ガイドリング18、3群支持環(第2の支持環)19、2群支持環(支持環)20、1群支持筒21、1群保持枠33、1群調整環35といった複数の環状部材が略同心状に配置された構成となっている。
ズームレンズ鏡筒11の撮像光学系は、物体側から順に第1レンズ群LG1、第2レンズ群(支持環内光学要素)LG2、第3レンズ群(第2の光学要素、退避光学要素)LG3、第4レンズ群LG4、ローパスフィルタLGF及びCCD22を備えている。第3レンズ群LG3と第4レンズ群LG4の間には、シャッタと絞りを有するシャッタユニット34が設けられている。この撮像光学系の構成レンズ群では第1レンズ群LG1の外径が最も大きく、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3の外径の和が第1レンズ群LG1の外径サイズと概ね等しくなっている。また、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3は光軸方向の厚みが略等しい。第1レンズ群LG1からCCD22までの各光学要素は、図1ないし図3に示す撮影状態においてそれぞれの中心が共通の撮影光軸(共通光軸)ZP上に位置するように、光軸方向へ直列状に配置される。ズーミングは、第1レンズ群LG1から第3レンズ群LG3をそれぞれ撮影光軸ZPに沿って所定の軌跡で進退させることによって行い、フォーカシングは同方向への第4レンズ群LG4の移動で行う。なお、以下の説明中で「光軸方向」とは撮影光軸ZPと平行な方向を意味し、被写体側を前方、像面側を後方とする。
ハウジング12の後部に、図14に単体形状を示す固定ホルダ23が固定されている。固定ホルダ23にはCCD22とローパスフィルタLGFが支持されている。ローパスフィルタLGFの前方に位置する第4レンズ群LG4を保持する4群レンズ枠30は、ハウジング12に固定されたガイド軸24を介して撮影光軸ZPと平行な方向に直進案内されており、不図示のフォーカスモータによって光軸方向に進退移動させることができる。
ハウジング12の内側にはギヤ進退環13が支持されており、ハウジング12の内周面に形成した内面ヘリコイド27に対して、ギヤ進退環13の外周面に形成したヘリコイド突起28が嵌っている。図5に示すように、ヘリコイド突起28の一部の表面に環状ギヤ13aが形成されている。ズームレンズ鏡筒11は不図示のズームモータを備え、このズームモータの駆動力は減速ギヤ機構を介して環状ギヤ13aに伝達され、ギヤ進退環13が回転される。
図5に示すように、ギヤ進退環13の内周面には回転伝達凹部13bが形成されており、この回転伝達凹部13bに係合する回転伝達突起14aが第1繰出筒14の後端部に設けられている。回転伝達凹部13bと回転伝達突起14aはそれぞれ周方向に略等間隔で3つ設けられているが、図5には1つまたは2つのみが図示されている。この3箇所の回転伝達凹部13bと各回転伝達突起14aの係合によって第1繰出筒14はギヤ進退環13と一体に回転される。
図5に示すように、第1繰出筒14の後端部には周方向に位置を異ならせて複数の後方突出部14bが形成され、それぞれの後方突出部14bの外周面上に突っ張り突起29が設けられている。ギヤ進退環13の前端部には、ヘリコイド突起28の形成領域の一部を切り欠くようにして複数の前端凹部13cが形成されており、それぞれの前端凹部13cに対して後方突出部14bが嵌っている。突っ張り突起29はヘリコイド突起28よりも小型の突起であり、後方突出部14bと前端凹部13cの嵌合状態では、突っ張り突起29がヘリコイド突起28の一部を補完して一体的なヘリコイド突起状の形態になる(図1ないし図4参照)。ギヤ進退環13の前端面には周方向に略等間隔で3つのばね収納孔13dが形成されている。それぞれのばね収納孔13d内に離間付勢ばね25が収納されている。離間付勢ばね25は圧縮コイルばねからなり、その先端部がばね収納孔13dから突出して第1繰出筒14の後端面に当接する(図1ないし図4)。離間付勢ばね25は、圧縮された状態でギヤ進退環13と第1繰出筒14の間に保持される。圧縮された離間付勢ばね25は、復元しようとする力によってギヤ進退環13を光軸方向後方に付勢し、第1繰出筒14を光軸方向前方に付勢する。この付勢力によって、ギヤ進退環13に設けたヘリコイド突起28と、第1繰出筒14に設けた突っ張り突起29がそれぞれ、内面ヘリコイド27を構成するリード凸部に対して押し付けられる。
ギヤ進退環13は、ズームギヤ31によって回転力が付与されると、内面ヘリコイド27とヘリコイド突起28の摺接関係によって回転しながら光軸方向に移動する。このとき、離間付勢ばね25の付勢力によってヘリコイド突起28が内面ヘリコイド27に押しつけられているので、ギヤ進退環13はハウジング12に対してガタなく移動することができる。また第1繰出筒14は、突っ張り突起29が離間付勢ばね25の付勢力によって押しつけられた内面ヘリコイド27のリード面の案内を受けることにより、ギヤ進退環13と共に回転しながら光軸方向へ移動される。
ギヤ進退環13と第1繰出筒14の内側には直進案内環15が支持されている。直進案内環15は、ハウジング12の内周面に形成した直線溝12a(図5)を介して光軸方向に直進案内されており、その外周面には光軸方向に位置を異ならせて複数の外面突起15a、15bと周方向溝15eが形成されている。外面突起15aは、ギヤ進退環13の内周面に形成した周方向溝13eに嵌り、外面突起15bは、第1繰出筒14の内周面に形成した周方向溝14cに嵌り、周方向溝15eに対しては、第1繰出筒14の内周面に形成した内面突起14eが嵌っている。この外面突起15a、15bと周方向溝13e、14c、周方向溝15eと内面突起14eの係合関係によって、直進案内環15はギヤ進退環13及び第1繰出筒14と共に光軸方向に移動する。
直進案内環15には内周面と外周面を貫通する貫通ガイド溝15cが形成され、貫通ガイド溝15cに対してカム環17の外周面に設けた外径突起17aが摺動可能に嵌っている。貫通ガイド溝15cは、撮影光軸ZPに対して斜行するリード溝部分15c-Lと、撮影光軸ZPを中心とする環状をなす周方向溝部分15c-Sとを有している。外径突起17aはさらに、第1繰出筒14の内周面に形成した撮影光軸ZPと平行な回転伝達溝14d(図5)に係合しており、カム環17は第1繰出筒14と共に回転される。カム環17は、外径突起17aが貫通ガイド溝15cのリード溝部分15c-L内に位置するとき、該リード溝部分15c-Lの案内を受けることによって、直進案内環15に対して回転しながら光軸方向に進退される。
直進案内環15は、その内周面に形成した撮影光軸ZPと平行な直線溝15dによって、第2繰出筒16と直進ガイドリング18を光軸方向に直進案内している。第2繰出筒16と直進ガイドリング18はそれぞれ、直線溝15dに摺動自在に係合する直進ガイド突起16aと直進ガイド突起18a(図1ないし図4)を外径方向に突出させている。第2繰出筒16の後端部付近の内周面に設けた回転ガイド突起16bが、カム環17の外周面に形成した周方向溝17bに摺動自在に係合し、直進ガイドリング18に設けた回転ガイド突起18bが、カム環17の内周面に形成した周方向溝17cに摺動自在に係合し、これら周方向溝17b、17cと回転ガイド突起16b、18bの係合関係によって、第2繰出筒16と直進ガイドリング18はそれぞれ、カム環17に対して相対回転可能かつ光軸方向に一体に移動するように支持されている。
回転ガイド突起18bを介してカム環17の後端部に支持された直進ガイドリング18は、カム環17の内周面側において前方に向けて延設された直進案内キー18cを有している。直進案内キー18cは、その両側に撮影光軸ZPと平行なガイド面を有し、このガイド面によって3群支持環19を光軸方向に直進案内する。図10、図11、図13、図15ないし図18などに示すように、3群支持環19は周方向へ間欠的に位置を異ならせて設けた3つの部分円筒部19aを有しており、それぞれの部分円筒部19aに、直進案内キー18cが摺動可能に嵌る直進案内溝19bが形成されている。3群支持環19は3つの部分円筒部19aの間が径方向への貫通部となっており、2群支持環20は、この3群支持環19の径方向貫通部に対して光軸方向に摺動可能に嵌る3つの部分円筒部20aを有している(図7、図8、図15ないし図23参照)。2群支持環20のそれぞれの部分円筒部20aには、光軸方向に向けて直進案内溝20eが形成されており、この直進案内溝20eに対して1群支持筒21に設けた直進案内キー(不図示)が摺動可能に嵌まっている。後述するように、1群支持筒21はハウジング12に対する相対回転が規制されており、この1群支持筒21を介して、2群支持環20は光軸方向に直進案内されている。
カム環17の内周面に形成した2群案内カム溝17m-2と3群案内カム溝17m-3に対し、2群支持環20の外周面に設けた2群用カムフォロア20nと3群支持環19の外周面に設けた3群用カムフォロア19nがそれぞれ係合している。3群支持環19と2群支持環20はそれぞれ光軸方向に直進案内されているため、カム環17が回転すると、2群案内カム溝17m-2と3群案内カム溝17m-3の形状に従って、3群支持環19と2群支持環20がそれぞれ光軸方向へ所定の軌跡で移動する。
直進案内環15によって光軸方向へ直進案内された第2繰出筒16は、その内周面に形成された直線溝16cを介して1群支持筒21を光軸方向へ直進案内している。1群支持筒21は内径方向に突出する1群用カムフォロア21nを有し、この1群用カムフォロア21nが、カム環17の外周面に形成した1群案内カム溝17m-1に摺動可能に嵌合している。1群支持筒21内には1群調整環35が支持されており、1群調整環35の内側に1群保持枠33が支持されている。1群保持枠33は第1レンズ群LG1を保持している。
第2レンズ群LG2は2群保持枠39に保持され、この2群保持枠39が2群退避枠40に支持されている。2群支持環20は、3つの部分円筒部20aを接続するリング状及びフランジ状の接続部20bを有し、この接続部20bに軸支持部20c(図9、図19)が形成されている、図9に示すように、2群支持環20には、軸支持部20cの前方に位置させて軸支持板42が固定され、軸支持部20cと軸支持板42に形成した軸支持穴に対して2群回動軸41が挿通固定されている。固定状態の2群回動軸41の軸線方向は、撮影光軸ZPと略平行である。2群退避枠40は、2群保持枠39を保持する保持環部40aと、該保持環部40aから外径方向に延設された筒状の軸受アーム部40bを有し、この軸受アーム部40bの先端部に形成した軸受穴が、2群回動軸41に対して回動自在に嵌っている。この構造により、2群退避枠40は、2群支持環20に対して2群回動軸41を中心として回動可能に支持される。詳細には、2群退避枠40は、2群回動軸41を中心として、第2レンズ群LG2の光軸を撮影光軸ZPと一致させる撮影位置(図1ないし図3、図7、図8、図15及び図27)と、第2レンズ群LG2を撮影光軸ZPから上方に退避させる上方退避位置(図4、図17及び図29)の間を揺動することができる。2群退避枠40は、図示を省略する2群枠付勢ばねによって撮影位置へ向けて回動付勢されている。
3群支持環19の内側には、第3レンズ群LG3を保持する3群退避枠(退避部材、退避光学要素保持枠)50が支持される。3群支持環19は、3つの部分円筒部19aを接続するリング状及びフランジ状の接続部19cを有し、この接続部19cに軸支持部19d(図12)が形成されている、図12に示すように、3群支持環19には、軸支持部19dの前方に位置させて軸支持板43が固定され、軸支持部19dと軸支持板43に形成した軸支持穴に対して3群回動軸51が挿通固定されている。固定状態の3群回動軸51の軸線方向は、撮影光軸ZPと略平行である。3群退避枠50は、第3レンズ群LG3を保持する保持環部50aと、該保持環部50aから外径方向に延設された筒状の軸受アーム部50bを有し、この軸受アーム部50bに形成した軸受穴が、3群回動軸51に対して回動自在に嵌っている。この構造により、3群退避枠50は、3群支持環19に対して3群回動軸51を中心として回動可能に支持される。詳細には、3群退避枠50は、3群回動軸51を中心として、第3レンズ群LG3の光軸を撮影光軸ZPと一致させる撮影位置(図1ないし図3、図10、図11、図15及び図16)と、第3レンズ群LG3を撮影光軸ZPから下方に退避させる下方退避位置(図4、図17及び図29)の間を揺動することができる。3群退避枠50は、図示を省略する3群枠付勢ばねによって撮影位置へ向けて回動付勢されている。
図13に示すように、3群支持環19は前方に向けて突設された2群退避カム突起54を有し、図14に示すように、固定ホルダ23は前方に向けて突設された3群退避カム突起55を有している。2群支持環20と3群支持環19が所定距離以上に接近したときに、3群支持環19に設けた2群退避カム突起54が2群退避枠40の軸受アーム部40bに当接し、2群退避カム突起54の先端部に形成したカム面の作用によって2群退避枠40が撮影位置から上方退避位置へ回動される(図17参照)。同様に、固定ホルダ23と3群支持環19が所定距離以上に接近したときに、固定ホルダ23に設けた3群退避カム突起55が3群退避枠50に当接し、3群退避カム突起55の先端部に形成したカム面の作用によって3群退避枠50が撮影位置から下方退避位置へ回動される。
2群支持環20は、フランジ状をなす接続部20bの中央部に、光軸方向に貫通する開口部20hを有している。図19ないし図23に示すように、開口部20hは、撮影光軸ZPが通る位置から上方に向けて形成された2群移動開口部20h-1と、この2群移動開口部20h-1の下部に連続する幅狭の3群進入開口部20h-2とを有する。2群移動開口部20h-1内には2群退避枠40の保持環部40aが進入しており、上述の撮影位置と上方退避位置の間で2群退避枠40が揺動するとき、保持環部40が2群移動開口部20h-1内を移動する。3群進入開口部20h-2は、3群退避枠50の保持環部50aが進入可能な開口幅(開口径)を有する。
3群支持環19は、フランジ状をなす接続部19cの中央部に、撮影光軸ZPを囲む円形状の開口部19hを有している。開口部19hは、3群退避枠50が上述の撮影位置に位置するとき、保持環部50a(第3レンズ群LG3)の後方に位置して撮影光束を通過させる貫通穴である。
以上の構造からなるズームレンズ鏡筒11は次のように動作する。図17及び図29は、図4の鏡筒収納状態における2群支持環20と3群支持環19、及び2群退避枠40(第2レンズ群LG2)と3群退避枠50(第3レンズ群LG3)の位置関係を示している。同図から分かるように、鏡筒収納状態では2群支持環20と3群支持環19が接近しており、互いの部分円筒部19a、20aの光軸方向におけるオーバーラップ量が最大になっている。そのため、2群支持環20内の2群退避枠40は、3群支持環19に設けた2群退避カム突起54に押圧されて、撮影光軸ZPに対して上方に変位した上方退避位置に退避されている。また、3群支持環19が固定ホルダ23に接近しており、3群支持環19内の3群退避枠50は、固定ホルダ23に設けた3群退避カム突起55に押圧されて撮影光軸ZPから下方に外れた下方退避位置に退避されている。このとき、2群支持環20と3群支持環19の接近に応じて、3群退避枠50の保持環部50aが2群支持環20の3群進入開口部20h-2(収納スペース)に進入されており、図4及び図17に示すように、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3は互いに上下方向に隣接して収納され、光軸方向の収納長がコンパクトになっている。
図4及び図18に示すように、鏡筒収納状態ではさらに、1群保持枠33がその一部を3群支持環19の前端部内に進入させるまで後退しており、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3の直前位置に隣接して第1レンズ群LG1が収納される。第1レンズ群LG1は、上下方向に重なった状態の第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3の外径サイズの和に略等しい径を有し、3群支持環19と2群支持環20における第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3の前方スペースを塞いでスペース効率良く収納される。また、第4レンズ群LG4を保持する4群レンズ枠30は、鏡筒収納状態ではCCD22側の後方移動端まで後退されている(図4)。
この鏡筒収納状態において不図示のメインスイッチをオンすると、ズームモータが鏡筒繰出方向に駆動されて、ギヤ進退環13が内面ヘリコイド27とヘリコイド突起28の摺接関係によって回転しながら前方へ移動される。回転伝達凹部13bと回転伝達突起14aの係合によってギヤ進退環13と結合された第1繰出筒14は、突っ張り突起29が内面ヘリコイド27に案内されて、ギヤ進退環13と共に回転しながら前方へ移動される。直進案内環15は、ギヤ進退環13及び第1繰出筒14と共に前方に直進移動する。また、第1繰出筒14から回転力が付与されるカム環17も前方に移動される。このカム環17の前方移動量は、直進案内環15の直進移動分と、貫通ガイド溝15cのリード溝部分15c-Lによる繰出分との合算値である。
カム環17が前方に移動されると、該カム環17に支持された3群支持環19も前方に移動する。すると、鏡筒収納状態で第3レンズ群LG3を下方退避位置へ退避させていた3群退避枠50は、3群支持環19がズーム領域まで繰り出される途中で固定ホルダ23の3群退避カム突起55から離れて、3群枠付勢ばね(不図示)の付勢力によって第3レンズ群LG3の光軸を撮影光軸ZPと一致させる撮影位置(図15、図16)に回動する。また、鏡筒繰出動作によってカム環17が回転すると、その内側では、光軸方向に直進案内された2群支持環20と3群支持環19が、2群案内カム溝17m-2と2群用カムフォロア20n、3群案内カム溝17m-3と3群用カムフォロア19nの関係によって、それぞれ光軸方向に所定の軌跡で移動される。図15及び図16に示すように、2群支持環20と3群支持環19は、収納状態からの鏡筒繰出時には、カム環17のカム溝形状によって互いに離間する方向に相対移動する。その結果、鏡筒収納状態で第2レンズ群LG2を上方退避位置へ退避させていた2群退避枠40は、2群支持環20がズーム領域まで繰り出される途中で3群支持環19の2群退避カム突起54から離れて、2群枠付勢ばね(不図示)の付勢力によって第2レンズ群LG2の光軸を撮影光軸ZPと一致させる撮影位置に回動する。以後、ズームレンズ鏡筒11を再び収納位置に移動させるまでは、3群退避枠50と2群退避枠40はそれぞれ撮影位置に保持される。
また、カム環17が回転すると、該カム環17の外側では、第2繰出筒16を介して直進案内された1群支持筒21が、1群案内カム溝17m-1と1群用カムフォロア21nの関係によって光軸方向に所定の軌跡で移動され、鏡筒収納時よりも第1レンズ群LG1と第2レンズ群LG2の間隔が広くなる(図16)。
すなわち、撮像面(CCD22の受光面)に対する第1レンズ群LG1の繰出位置は、ハウジング12に対するカム環17の前方移動量と、該カム環17に対する1群支持筒21のカム繰出量との合算値として決まる。また、第2レンズ群LG2の繰出位置は、ハウジング12に対するカム環17の前方移動量と、該カム環17に対する2群支持環20のカム繰出量との合算値として決まる。同様に、第3レンズ群LG3の繰出位置は、ハウジング12に対するカム環17の前方移動量と、該カム環17に対する3群支持環19のカム繰出量との合算値として決まる。ズーミングは、この第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2及び第3レンズ群LG3が互いの空気間隔を変化させながら撮影光軸ZPに沿って移動することにより行われる。
図4の収納位置から鏡筒繰出を行うと、まず図3の上半断面や図1に示すワイド端の繰出状態になり、さらにズームモータを鏡筒繰出方向に駆動させると、撮影光学系の焦点距離が徐々に長焦点側に変化し、最終的に図3の下半断面や図2に示すテレ端の繰出状態となる。ワイド端からテレ端までの撮影領域では、ギヤ進退環13と第1繰出筒14は、収納状態から撮影可能状態(ワイド端)までの繰出時と同様に、ズームモータの駆動に応じて、ハウジング12の内面ヘリコイド27に案内されて回転しながら光軸方向へ移動する。このときカム環17の外径突起17aが貫通ガイド溝15cのリード溝部分15c-Lから周方向溝部分15c-Sに移動し、カム環17は直進案内環15に対しては光軸方向に相対移動しなくなるが、直進案内環15がギヤ進退環13及び第1繰出筒14と共に光軸方向に移動されるので、カム環17もハウジング12に対して光軸方向に相対移動しながら回転する。
ズームレンズ鏡筒11がワイド端からテレ端までの撮影可能状態にあるとき、測距手段によって得られた被写体距離情報に応じてAFモータを駆動することにより、4群レンズ枠30が撮影光軸ZPに沿って移動してフォーカシングが実行される。
メインスイッチをオフすると、ズームモータが鏡筒収納方向に駆動され、ズームレンズ鏡筒11は上記の繰出動作とは逆の収納動作を行い、図4の収納状態になる。この収納位置への移動の途中で、3群退避枠50が、固定ホルダ23に設けた3群退避カム突起55の作用によって撮影位置から下方退避位置に回動されつつ3群支持環19と共に後退し、2群退避枠40も、3群支持環19に設けた2群退避カム突起54の作用によって撮影位置から上方退避位置に回動されつつ2群支持環20と共に後退する。
上述のように、ズームレンズ鏡筒11では収納状態において第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3が上下方向に重なり合うことで収納長がコンパクトになっており、2群支持環20には、2群退避枠40と3群退避枠50の収納動作を妨げない形状で開口部20hが形成されている。開口部20hのうち2群移動開口部20h-1は、撮影位置と上方退避位置との間での2群退避枠40(保持環部40a)の揺動を許容する形状をなし、その下方の3群進入開口部20h-2は、3群退避枠50の保持環部50aを進入させて収納する形状をなしている。収納状態では上下方向に重なっている第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3は、撮影状態では撮影光軸ZP上に並んで位置されるので、2群移動開口部20h-1の上部と3群進入開口部20h-2は空きスペースとなる。ズームレンズ鏡筒11は、2群支持環20における当該空きスペースを通る光線を遮断する遮光構造を備えている。この遮光構造は、2群移動開口部20h-1の上部側に配置される上部遮光部材45と、3群進入開口部20h-2側に配置される下部遮光部材(可動遮光部材)46とからなっている。
図6ないし図8に示すように、上部遮光部材45は、2群退避枠40の内周面に沿う円弧状(三日月状)をなす遮光壁部45aの一端部と他端部に位置決め穴45bと位置決め溝45cを有している。2群支持環20の接続部20bには、位置決め穴45bが係合する位置決めボス20dと、位置決め溝45cが係合する位置決めボス(図示省略)が設けられ、これらを係合させた状態で2群支持環20に対して上部遮光部材45が取り付けられる。図8から分かるように、2群退避枠40が撮影光軸ZP上の撮影位置に位置するとき、上部遮光部材45の遮光壁部45aが、2群支持環20の内周面と、2群退避枠40の保持環部40aの外縁部とに挟まれる2群移動開口部20h-1の上部空間を塞ぎ、当該上部空間を通って像面(CCD22)側へ向かう光線を遮断する。図4、図27及び図29に示すように、上部遮光部材45の遮光壁部45aは2群退避枠40の保持環部40aより若干光軸方向後方に位置しており、2群退避枠40が上方退避位置に移動するとき、遮光壁部45aが保持環部40aと干渉しないようになっている。
図19ないし図30に下部遮光部材46の詳細構造を示す。下部遮光部材46は、前後方向へスライド可能に2群支持環20に支持されている。2群支持環20には、3群進入開口部20h-2を挟む左右位置に直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gが形成され、直進ガイド溝20fの近傍にばね受け部20kが形成されている。直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gはそれぞれ撮影光軸ZPと平行な方向への長溝で、その前端部(被写体側)が開放され後端部(像面側)が塞がれている。図23ないし図26に示すように、直進ガイドレール20gは、3群進入開口部20h-2に臨む一側部も開放されており、この3群進入開口部20h-2に臨む内径部20g-1の幅が狭く、奥側の外径部20g-2が幅広となったL字状の一様断面形状をなしている。より詳細には、内径部20g-1と外径部20g-2の境界には、3群進入開口部20h-2(内径部20g-1)側から離れるにつれて徐々に開口幅を広くする傾斜面が形成されている。
ばね受け部20kは、前後方向に離間して対向する前方支持壁部20k-1と後方支持壁部20k-2を有している。後方支持壁部20k-2には後方に向けて開口する貫通穴20k-3(図19、図22)が形成されており、3群支持環19には、この貫通穴20k-3を通過可能な押圧突起19e(図10、図11、図13)が突設されている。
下部遮光部材46は、2群支持環20の内周面に沿う円弧状(三日月状)の遮光壁部(弧状遮光部)46aを有し、遮光壁部46aの一方の周方向端部にばね受け部46dを有し、他方の周方向端部に直進ガイドキー46cを有し、ばね受け部46dの近傍に直進ガイド突起46bを有している。直進ガイド突起46bは直進ガイド溝20fに摺動自在に係合し、直進ガイドキー46cは直進ガイドレール20gに摺動自在に係合し、この直進ガイド突起46bと直進ガイドキー46cがそれぞれ直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20g内を摺動することにより下部遮光部材46は前後方向に移動される。
図23ないし図26に示すように、直進ガイドキー46cは直進ガイドレール20gの断面形状に対応するL字状の断面形状を有している。詳細には、直進ガイドキー46cの基部は直進ガイドレール20gの内径部20g-1に対応する幅狭形状であり、直進ガイドキー46cの先端部は直進ガイドレール20gの外径部20g-2に対応する幅広形状になっている。さらに、直進ガイドキー46cは、直進ガイドレール20gの内径部20g-1と外形部20g-2の境界部の傾斜面に摺接する傾斜面を有している。そのため、直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gが係合した状態では、直進ガイドキー46cは、直進ガイドレール20gの長手方向(撮影光軸ZPと平行な方向)へのみ摺動が可能で、それ以外の方向、すなわち3群進入開口部20h-2側に引き抜いたり、直進ガイドレール20gに対して傾けたりするような直進ガイドキー46cの移動は規制される。この直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gの係合関係により、下部遮光部材46は、2群支持環20に対して倒れや脱落を生ずることなく、確実に前後方向に直進案内される。
直進ガイド突起46bが直進ガイド溝20fに係合し、直進ガイドキー46cが直進ガイドレール20gに係合するとき、下部遮光部材46のばね受け部46dが2群支持環20のばね受け部20k内に位置する。ばね受け部46dと前方支持壁部20k-1の間には遮光部材付勢ばね(付勢手段)47が挿入されている。遮光部材付勢ばね47は圧縮コイルばねからなり、下部遮光部材46を後方に向けて押圧付勢する。下部遮光部材46の後方移動端は、直進ガイド突起46bと直進ガイドキー46cがそれぞれ直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gの後端壁に当接することによって決まる。
下部遮光部材46を2群支持環20に組み付ける際には、ばね受け部46dをばね受け部20k内に位置させた状態で、直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gのそれぞれの前端開口部から直進ガイド突起46bと直進ガイドキー46cを挿入する。そしてばね受け部46dと前方支持壁部20k-1の間に遮光部材付勢ばね47を挿入すると、直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gがそれぞれ直進ガイド溝20fと直進ガイドレール20gの後端部側に向けて摺動移動されて、下部遮光部材46が2群支持環20に保持される。
撮影状態にあるとき、2群支持環20の3群進入開口部20h-2には3群退避枠50が進入しておらず、図1ないし図3、図15、図20、図25、図27及び図28に示すように、下部遮光部材46は遮光部材付勢ばね47の付勢力によって後方移動端に保持されている。このとき、特に図27から分かるように、下部遮光部材46の遮光壁部46aは、光軸方向において2群退避枠40の保持環部40aとほぼ同じ位置にあり、保持環部40aの下方を通って3群進入開口部20h-2を通過しようとする光線を遮断する遮光壁として機能する。すなわち、下部遮光部材46の後方移動端は、第2レンズ群LG2を通らずに迂回する有害光線を遮断する光線遮断位置である。図8に示すように、下部遮光部材46の遮光壁部46aは、2群支持環20の内周面に沿う円弧状の外縁形状と、撮影位置にある第2レンズ群LG2(2群退避枠40の保持環部40a)の外周形状に沿う円弧状の内縁形状とを組み合わせた三日月状の形状をなしており、第2レンズ群LG2を通らずに3群進入開口部20h-2を迂回して像面(CCD22)側へ向かう有害な光線を確実に遮断することができる。
撮影状態から収納状態に切り換わるとき、図4、図17、図21、図22、図26ないし図28に示すように、2群支持環20と3群支持環19の接近動作に伴って、下部遮光部材46が上述の光線遮断位置から前方に押圧移動される。具体的には、図30に示すように、貫通穴20k-3を通してばね受け部20k内に進入してきた3群支持環19の押圧突起19eが、ばね受け部46dを前方に押圧する。この押圧動作により、遮光部材付勢ばね47の付勢力に抗して下部遮光部材46が前方に移動される。そして、前方に退避した下部遮光部材46の遮光壁部46aが元あった位置(収納スペース)に、3群退避カム突起55の作用によって下方退避位置へ退避回動された3群退避枠50の保持環部50aが進入し、図29に示すように、第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3が上下に重なる位置まで3群退避枠50を収納させることができる。このとき第3レンズ群LG3が下部遮光部材46の遮光壁部46aに接触しないように、3群退避枠50の保持環部50aの前端部は、第3レンズ群LG3の前端部よりも前方に突出させて形成されている。
収納状態から撮影状態になるときは、2群支持環20と3群支持環19の光軸方向距離が離れて押圧突起19eによるばね受け部46dの押圧状態が解除されると、下部遮光部材46は遮光部材付勢ばね47の付勢力によって後方移動端へ移動され、上述した光線遮断位置に戻る。
以上のように、本実施形態のズームレンズ鏡筒11では、下部遮光部材46を光軸方向への可動の遮光部材とし、撮影状態では3群進入開口部20h-2を通る光線を遮断する位置に遮光壁部46aを位置させ、撮影状態から収納状態になるときには下部遮光部材46を光軸方向にスライドさせて3群退避枠50の保持環部50aを干渉することなく収納させるようにしている。つまり、2群支持環20内に第3レンズ群LG3の収納スペースを確保しつつ、撮影状態では当該収納スペースを遮光することができ、収納状態でのコンパクト性と撮影状態での高い画像品質とを両立させることが可能となった。なお、鏡筒収納状態では撮影を行わないので、下部遮光部材46が光線遮断位置から前方に移動されても実用上の問題はない。
また、下部遮光部材46の直進案内構造として、光軸方向の前後摺動のみを許し、その他の方向の移動を規制するL字状断面形状の直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gを用いているため、シンプルな構造でありながら下部遮光部材46の倒れを防いで安定した直進案内を行うことができる。すなわち、下部遮光部材46は、遮光壁部46aの一端部に設けたばね受け部46dにおいて遮光部材付勢ばね47の付勢力を受けているが、このばね受け部46dとは反対側の端部にL字状断面の直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gを配することにより、遮光部材付勢ばね47の付勢力が偏った位置で作用していても、下部遮光部材46の倒れは生じない。一般に、直進部材のガイド構造では、バランス維持のため、付勢手段の付勢力を均等に受ける態様で複数の直進案内部が設けられる。例えば、レンズ鏡筒における直進環のガイド構造では、周方向に等配分で3つ(もしくはそれ以上)の直進案内部が設けられることが多い。これに対し本実施形態で下部遮光部材46を直進案内している直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gによれば、一箇所の直進案内部でも高精度な直進案内を行うことができるのでスペース的に有利であり、レンズ鏡筒の小型化に寄与している。
以上のように、2群支持環20の内側においては、第2レンズ群LG2を通らずにその上下の開口部20hを通って像面側に向かおうとする光線を、上部遮光部材45と下部遮光部材46によって遮断することができる。一方、2群支持環20と3群支持環19の関係においては、部分円筒部19aと部分円筒部20aの側面部を摺動させて2群支持環20の直進案内を行っている。この直進案内構造は、直進ガイドリング18を大型化したり、直進案内部材の数を増やしたりすることなく2群支持環20と3群支持環19の相対移動量を大きくできるという利点がある。その反面、図15及び図16のように部分円筒部19aと部分円筒部20aのオーバーラップ量が小さくなった(オーバーラップしなくなった)状態では、部分円筒部19aと部分円筒部20aの隙間(径方向への貫通部)から3群支持環19の外側に漏れる光線の処理を考慮する必要がある。この3群支持環19の外側に向かう光線を遮断するべく、3群支持環19には後端遮光羽根部19fが設けられている。
図10、図11、図13ないし図18に示すように、後端遮光羽根部19fは、3群支持環19の後端部から外径方向に突出するフランジ状部として3群支持環19と一体に形成されており、周方向位置が異なる3つのパート(19f-1、19f-2、19f-3)に分けられている。図11に示すように、後端遮光羽根部19fのそれぞれのパート(19f-1、19f-2、19f-3)は、3群支持環19のうち3つの部分円筒部19aが設けられていない周方向領域、すなわち径方向への貫通部の後方に設けられている。そのため、第3レンズ群LG3を通らずに部分円筒部19aの間の径方向貫通部を抜けて像面(CCD22)側へ進もうとする光線を、この後端遮光羽根部19fによって遮断することができる。
ズームレンズ鏡筒11において、第4レンズ群LG4はフォーカスモータによって独立して移動され、残る第1レンズ群LG1、第2レンズ群LG2、第3レンズ群LG3がズームモータによって移動される変倍レンズ群を構成する。図1ないし図3から分かるように、この3つの変倍レンズ群(LG1、LG2及びLG3)は共通のカム環17によってその相対移動が行われ、このうちカム環17によって駆動される最も後方の第3レンズ群LG3を支持する3群支持環19の後端部に後端遮光羽根部19fを設けている。各変倍レンズ群LG1、LG2及びLG3の駆動に関係するカム環17周りの構成部材としては、3群支持環19以外にも、直進案内環15や直進ガイドリング18などがある。しかし、省スペース性や遮光性能を考慮した場合、変倍光学系の遮光手段は3群支持環19の後端遮光羽根部19fという形で設けることが最も好ましい。まず、直進案内環15はカム環17よりさらに外側に位置しており、その遮光面積が大きくなるので、より大型の遮光部材を要することになる。また、直進ガイドリング18に関しては、図1ないし図3から分かるように、直進ガイドリング18に対する3群支持環19の相対移動量が大きく、3群支持環19は直進ガイドリング18の後方に突出するため、直進ガイドリング18に遮光部材を設けた場合、3群支持環19と干渉するおそれがある。具体的には、直進ガイドリング18に設ける遮光部材は、3群支持環19の動作を妨げないように布状あるいは膜状の可撓性部材で形成することが考えられるが、すると3群支持環19との間に遮光部材が巻き込まれる不具合が生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態の後端遮光羽根部19fは、図1ないし図4から分かるように、3群支持環19がカム環17によって光軸方向のいずれの位置に移動された場合でも、カム環17や該カム環17の後端部に設けた直進ガイドリング18よりも常に後方に位置しているため、他の可動部材との干渉が生じることがない。また、3群支持環19は直進案内環15よりも内側に位置しており、後端遮光羽根部19fの配置スペースは直進案内環15の内側領域に収まっているので、スペース効率に優れたコンパクトな遮光構造が得られる。また、後端遮光羽根部19fは3群支持環19と一体成形されるので製造が容易である。
図31ないし図34を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。撮影レンズ群LGを支持するレンズ支持環(支持環)120と、シャッタユニット134を保持するシャッタユニット保持環(第2の支持環)119は、それぞれ撮影光軸ZPと平行な方向に直進案内された環状部材である。撮影レンズ群LGはレンズ群保持枠139に保持され、レンズ支持環120はこのレンズ群保持枠139を保持している。シャッタユニット134は開閉動作可能なシャッタ及び絞りを備え、アクチュエータ収納部(退避部材)134aに内蔵したアクチュエータ(第2の光学要素)によって、シャッタ及び絞りを開閉駆動させる。レンズ支持環120とシャッタユニット保持環119の外側にはカム環117が設けられ、このカム環117の内周面に形成したカム溝117m-a、117m-bに対してレンズ支持環120のカムフォロア120nとシャッタユニット保持環119のカムフォロア119nが摺動可能に嵌まっている。カム環117が回転されると、このカム溝とカムフォロアの関係によってレンズ支持環120とシャッタユニット保持環119が光軸方向に相対移動する。
図31と図33は撮影状態を示しており、撮影レンズ群LGの後方にシャッタユニット134が位置している。図32と図34はレンズ鏡筒の収納状態を示しており、図32に示すように、レンズ支持環120とシャッタユニット保持環119が接近方向に相対移動して、シャッタユニット134のアクチュエータ収納部134aがレンズ支持環120内の撮影レンズ群LGの上方空間(収納スペース)に進入する。これにより撮影レンズ群LGとシャッタユニット134の光軸方向距離が詰まり鏡筒収納長を短縮化することができる。つまり、撮影光軸ZPと直交する方向に重なって収納されるという点で、本実施形態の撮影レンズ群LGとシャッタユニット134のアクチュエータ収納部134aは、先に説明した第1の実施形態の第2レンズ群LG2と第3レンズ群LG3に対応する関係にある。
レンズ支持環119内には、鏡筒収納時にアクチュエータ収納部134aが進入する収納スペースに、可動遮光部材146が設けられている。この可動遮光部材146は、第1の実施形態の下部遮光部材46と同様に光軸方向に直進案内されており、遮光部材付勢ばね(付勢手段)147によって光軸方向後方へ移動されている。可動遮光部材146は、図31及び図33の撮影状態では、遮光部材付勢ばね147の付勢力によって、撮影レンズ群LG上部のアクチュエータ収納スペースを通る光線を遮断する位置に保持されている。撮影状態から収納状態に切り換わる際に、図34のようにシャッタユニット保持環119に設けた押圧突起119eがばね受け部146dを押圧し、ばね付勢力に抗して可動遮光部材146が光線遮断位置から前方に退避移動される。そして、可動遮光部材146が退避されたスペースにシャッタユニット134のアクチュエータ収納部134aが進入して、上述した図32の収納状態となる。
この図31ないし図34に示す第2の実施形態から分かるように、撮影光軸上の位置と撮影光軸から偏心した退避位置との間を移動する退避光学要素を備えないレンズ鏡筒であっても、本発明は適用が可能である。
また、第1の実施形態はズームレンズ鏡筒への適用例であるが、本発明は、少なくとも撮影状態と収納状態との切換動作を行うタイプであれば適用が可能である。すなわち、撮影状態での焦点距離変化を行わない単焦点のレンズ鏡筒にも適用できる。
また、第1の実施形態において、下部遮光部材46を直進案内する直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gの断面形状をL字状にして下部遮光部材46の倒れを防いでいるが、このような倒れ防止効果を得るためのガイド部の断面形状はL字形状に限定されない。例えば、直進ガイドキー46cと直進ガイドレール20gに相当する直進案内部を、T字状など別の断面形状にしてもよい。この場合、図示実施形態における直進ガイド突起46bと直進ガイド溝20fを省略することも可能である。