JP5201475B2 - レンズ鏡胴装置および撮像装置 - Google Patents
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Description
このような撮像装置の薄型化の要求に対処する技術として、撮影時以外にレンズ鏡胴の少なくとも一部が撮像装置ボディ内に収納される沈胴式の構成を有し且つレンズ鏡胴の沈胴収納時に一部のレンズが撮影光軸上から退避移動する構成が用いられている。このような技術は、例えば特許文献1(特開2006−330657号)および特許文献2(特開2008−90201号)に開示されている。
特許文献1に開示された構成では、レンズ鏡胴の収納時に、レンズの一部が撮影光軸上から退避するため、レンズ全体の光軸方向寸法を小さくすることができ、撮像装置全体の厚み寸法を薄くすることが可能である。この場合、撮影光軸上から退避する退避レンズ群は、最大で鏡胴の厚さだけ延在するガイド軸上で退避移動動作と光軸方向移動動作を行うため、退避レンズ群の最大繰り出し量は鏡胴の厚さにより制約されることになる。一方、ズームレンズを高変倍化するためには、レンズの繰り出し量を大きくする必要がある。
それに対して、特許文献2には、退避レンズ枠を、レンズ群を光軸方向に移動可能に保持する伸縮筒部分とこの伸縮筒部分を伸縮させレンズ群を光軸方向に移動させるレバー部分との2つの部分に分けて退避レンズ枠を伸縮させる構成が開示されている。特に特許文献2に実施例3および実施例4として記載されている構成は、簡単な構成で退避レンズとなる第3レンズ群の最大繰り出し量を増やすことが可能である。
これら特許文献2に示された構成では、最大繰り出し時に、レンズ群を押し出すレバーの一端部が固定筒に当接することでレバーを回転させ最大繰り出し量を確保している。このような方式では、撮影領域内で退避レンズ群の伸縮を行っており、退避レンズの光軸方向位置がレバーの回転角度および当接位置のばらつきに大きく依存してしまう。光軸方向の位置ずれは結像位置をずらすことになりピントズレを発生させることになる。また、退避レンズ群は、光軸方向に最大移動した位置近傍でレバーを回転させるが、この位置は、退避レンズ群を付勢している光軸方向の圧縮トーションスプリングの付勢力が最大に近い位置である。この位置で、さらにレバーを回転させるための回転力が加わることになると、退避レンズ群の光軸方向移動のために必要とされる駆動力が一層大きくなることになる。
本発明の請求項1の目的は、比較的簡単な構成により、光軸方向の鏡胴寸法を厚くすることなく、移動するレンズ群の繰り出し量を確保するとともに、移動レンズ群の位置精度を高めて光学性能の向上を可能し、特に、各部の位置ばらつきや寸法ばらつきにかかわらず、安定した位置を確保することができ、移動するレンズ群を少ない駆動力で移動させることを可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、移動するレンズ群の位置精度を効果的に高めて光学性能の向上を可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、各部の位置ばらつきや寸法ばらつきにかかわらず、移動するレンズ群の安定した位置を確保することを可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、フォーカシング性能の向上を可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、移動するレンズ群を適確に且つ効率良く移動させることを可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項7の目的は、特に、移動するレンズ群を安定に且つ高精度に移動させることを可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
本発明の請求項8の目的は、特に、移動するレンズ群の撮影状態における位置を安定させることを可能とするレンズ鏡胴装置を提供することにある。
複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴を構成するレンズ鏡胴装置であって、
前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡筒と、前記可動レンズ鏡筒を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、前記レンズ保持枠を保持する固定枠とを備え、
前記レンズ保持枠は、少なくとも1つのレンズ群を保持し且つ少なくとも光軸方向について進退移動させる移動レンズ保持枠であって、弾性的付勢手段により物体側から像面側へ付勢されている移動レンズ保持枠を含み、
前記移動レンズ保持枠は、移動するレンズ群を保持して移動するレンズ伸縮枠と、前記レンズ伸縮枠を伸縮移動可能に保持し且つ光軸方向に進退移動させられるスリーブ枠とを有してなり、
前記レンズ伸縮枠は、前記スリーブ枠に設けられたガイド部に、光軸方向について移動可能として係合しており、前記スリーブ枠に設けられて光軸を含む平面に平行な面上で回転するレバー部材と前記移動レンズ伸縮枠が係合し、前記レバー部材の回転により前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に光軸方向へ移動させる伸縮機構を構成し、
前記レバー部材の前記レンズ伸縮枠とは係合していない端部側には該レバー部材の回転する平面に対して垂直な方向に突出したカムフォロワが設けられ、前記固定枠の側面には前記スリーブ枠の移動方向と角度を持ったカム面が設けられ、前記スリーブ枠の光軸方向の移動に伴い前記カムフォロワが前記カム面に係合し摺動することで前記レバー部材を回転させ、
前記レバー部材は、前記スリーブ枠に設けられた第1の弾性部材によって、当該レバー部材の前記レンズ伸縮枠との係合部が、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って像面側に移動させるように付勢され、
前記レンズ伸縮枠は、前記レバー部材に設けられた第2の弾性部材によって、該レバー側に付勢押圧されており、前記レバー部材が回転することによって、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って物体側へ移動させ、且つ前記レンズ伸縮枠は、光軸方向物体側に移動したときに前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除されることを特徴としている。
前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の沈胴収納状態から撮影状態への前記スリーブ枠の繰り出し移動の初期位置近傍において前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に移動させることを特徴としている。
請求項3に記載した本発明に係るレンズ鏡胴装置は、請求項1または請求項2のレンズ鏡胴装置であって、
前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の少なくとも沈胴収納状態において互いに離間していることを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係るレンズ鏡胴装置は、請求項1〜3のいずれか1項のレンズ鏡胴装置であって、
前記移動レンズ保持枠により保持されるレンズ群は、光軸方向に進退移動することにより、前記複数のレンズ群全体のフォーカス調整を行うレンズ群であることを特徴としている。
前記レバー部材には、前記レンズ伸縮枠が、光軸方向物体側に移動し、前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除された際に、前記第2の弾性部材の付勢力に抗して過大に移動し前記レバー部材の係合可能部位から離脱することを防止すべく前記レンズ伸縮枠を係止する係止部を設けたことを特徴としている。
前記カムフォロワは、沈胴収納状態にて前記レバー部材の回転中心より光軸方向物体側に位置し、前記固定枠に設けられたカム面は、前記カムフォロワが光軸方向物体側へ移動するに従って光軸からの距離が広がる形状を有することを特徴としている。
請求項7に記載した本発明に係るレンズ鏡胴装置は、請求項6のレンズ鏡胴装置であって、
前記カム面は、前記ストッパ部に前記レンズ伸縮枠が当接した状態で前記スリーブ枠を光軸方向に移動させるべく、前記レバー部材の回転軸および光軸とほぼ平行な平面部を有することを特徴としている。
請求項8に記載した本発明に係るレンズ鏡胴装置は、請求項7のレンズ鏡胴装置であって、
撮影状態では前記カムフォロワが前記平面部上のみを摺動することを特徴としている。
すなわち、本発明の請求項1のレンズ鏡胴装置によれば、
複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴を構成するレンズ鏡胴装置であって、
前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡筒と、前記可動レンズ鏡筒を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、前記レンズ保持枠を保持する固定枠とを備え、
前記レンズ保持枠は、少なくとも1つのレンズ群を保持し且つ少なくとも光軸方向について進退移動させる移動レンズ保持枠であって、弾性的付勢手段により物体側から像面側へ付勢されている移動レンズ保持枠を含み、
前記移動レンズ保持枠は、移動するレンズ群を保持して移動するレンズ伸縮枠と、前記レンズ伸縮枠を伸縮移動可能に保持し且つ光軸方向に進退移動させられるスリーブ枠とを有してなり、
前記レンズ伸縮枠は、前記スリーブ枠に設けられたガイド部に、光軸方向について移動可能として係合しており、前記スリーブ枠に設けられて光軸を含む平面に平行な面上で回転するレバー部材と前記移動レンズ伸縮枠が係合し、前記レバー部材の回転により前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に光軸方向へ移動させる伸縮機構を構成し、
前記レバー部材の前記レンズ伸縮枠とは係合していない端部側には該レバー部材の回転する平面に対して垂直な方向に突出したカムフォロワが設けられ、前記固定枠の側面には前記スリーブ枠の移動方向と角度を持ったカム面が設けられ、前記スリーブ枠の光軸方向の移動に伴い前記カムフォロワが前記カム面に係合し摺動することで前記レバー部材を回転させ、
前記レバー部材は、前記スリーブ枠に設けられた第1の弾性部材によって、当該レバー部材の前記レンズ伸縮枠との係合部が、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って像面側に移動させるように付勢され、
前記レンズ伸縮枠は、前記レバー部材に設けられた第2の弾性部材によって、該レバー側に付勢押圧されており、前記レバー部材が回転することによって、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って物体側へ移動させ、且つ前記レンズ伸縮枠は、光軸方向物体側に移動したときに前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除されることによって、
前記レバー部材の回転量を前記カム面の位置により設定することができ、前記レンズ伸縮枠の伸縮量をコントロールすることができるので、
比較的簡単な構成により、光軸方向の鏡胴寸法を厚くすることなく、移動するレンズ群の繰り出し量を確保するとともに、移動レンズ群の位置精度を高めて光学性能を向上させることが可能となると共に、特に、退避時には常に前記レンズ伸縮枠が短縮され、前記レバー部材が回転し前記レンズ伸縮枠がスリーブ枠に対して最大繰り出しした状態では前記レバー部材との係合が外れ前記ストッパ部に機械的に当接した状態であるので、
各部の位置ばらつきや寸法ばらつきにかかわらず、安定した位置を確保することができ、且つ移動するレンズ群を少ない駆動力で移動させることが可能となる。
前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の沈胴収納状態から撮影状態への前記スリーブ枠の繰り出し移動の初期位置近傍において前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に移動させる構成とすることによって、
特に、移動するレンズ群の位置精度を効果的に高めて光学性能を向上させることが可能となる。
本発明の請求項3のレンズ鏡胴装置によれば、請求項1または請求項2のレンズ鏡胴装置において、
前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の少なくとも沈胴収納状態において互いに離間させる構成とすることによって、
特に、各部の位置ばらつきや寸法ばらつきにかかわらず、移動するレンズ群の安定した位置を確保することが可能となる。
前記移動レンズ保持枠により保持されるレンズ群は、光軸方向に進退移動することにより、前記複数のレンズ群全体のフォーカス調整を行うレンズ群とする構成とすることによって、
特に、フォーカシング性能を向上させることが可能となる。
前記レバー部材には、前記レンズ伸縮枠が、光軸方向物体側に移動し、前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除された際に、前記第2の弾性部材の付勢力に抗して過大に移動し前記レバー部材の係合可能部位から離脱することを防止すべく前記レンズ伸縮枠を係止する係止部を設けたことによって、
特に、動作の安定性を向上させることが可能となる。
本発明の請求項6のレンズ鏡胴装置によれば、請求項1のレンズ鏡胴装置において、
前記カムフォロワは、沈胴収納状態にて前記レバー部材の回転中心より光軸方向物体側に位置し、前記固定枠に設けられたカム面は、前記カムフォロワが光軸方向物体側へ移動するに従って光軸からの距離が広がる形状を有することによって、
特に、前記固定枠のカム面の光軸からの距離と前記移動するレンズ群の光軸方向の変位により前記レバー部材の回転量を設定することができ、前記レンズ伸縮枠の伸縮量をコントロールでき、また、カム面により光軸方向に移動したときに前記レバー部材の回転方向に近い方向へ力が伝達され回転のための力のロスを抑制することができるので、
移動するレンズ群を適確に且つ効率良く移動させることが可能となる。
前記カム面は、前記ストッパ部に前記レンズ伸縮枠が当接した状態で前記スリーブ枠を光軸方向に移動させるべく、前記レバー部材の回転軸および光軸とほぼ平行な平面部を有することによって、
特に、前記レンズ伸縮枠が前記スリーブ枠に係合し安定した状態で光軸方向に移動させることができるので、
移動するレンズ群を安定に且つ高精度に移動させることが可能となる。
本発明の請求項8のレンズ鏡胴装置によれば、請求項7のレンズ鏡胴装置において、
撮影状態では前記カムフォロワが前記平面部上のみを摺動する構成とすることによって、
特に、移動するレンズ群の撮影状態における位置を安定させることが可能となる。
特に、光軸方向の寸法を厚くすることなく、移動するレンズ群の繰り出し量を確保するとともに、移動レンズ群の位置精度を高めて、高変倍でピント安定性を確保するなど、光学性能を向上させることが可能となる。
図1〜図7は、本発明の一つの実施の形態に係る撮像装置の撮像光学系に用いるレンズ鏡胴装置の要部の構成を示している。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係るレンズ鏡胴装置の沈胴収納状態における縦断面図、図2は、図1のレンズ鏡胴装置の撮像装置起動後における縦断面図、図3は、図1のレンズ鏡胴装置のワイド(広角、すなわち短焦点距離)状態であって固定筒カム部の傾斜面部にレバーの摺接部が当接した状態における縦断面図、図4は、図3のA部の詳細図、図5は、図1のレンズ鏡胴装置のワイド状態であって固定筒カム部の平行面部にレバーの摺接部が当接した状態における縦断面図、図6は、図5のB部の詳細図、そして図7は、図1のレンズ鏡胴装置のテレ(望遠、すなわち長焦点距離)状態における縦断面図である。
第3群スリーブ枠11は、第3群スリーブ部12および第3群退避カム部13を有しており、第3群退避カム部13は、第3群進退係合部18および第3群進退カム面38を備えている。また、固定筒6は、カム面34を有しており、カム面34には、光軸に平行な面39および光軸からの距離が次第に離間するカム部斜面40が形成されている。
第1群レンズ系1、第2群レンズ系2およびシャッタユニット5は、固定筒6に保持された複数の回転筒7並びに直進ガイド筒8により、回転筒7に回転力が与えられることによって、光軸に沿って前進や後退を行い、回転筒7内に設けられるカム溝またはカム筒9によって、所要の位置に移動することを可能としている。第3群レンズ系3および第4群レンズ系4は、収納時にそれぞれの主軸を中心として回転され、回転筒7の外側に退避させられる。このように退避させることによって、収納時の鏡胴全体の厚さを、図1に示すように、第1群レンズ系1、第2群レンズ系2、シャッタユニット5および撮像素子36のそれぞれの厚さの合計でほぼ決定することができ、レンズ鏡胴装置全体の寸法を薄くすることが可能となっている。
図1〜図18において、第3群レンズ系3は、繰り出し時には、図2〜図7に示すように、光軸上に進入し、他のレンズ系と同一の光軸上に位置する。収納時には、図8に示すように、第3群主軸10を中心として回転して、レンズ鏡胴装置の物体側正面から見て固定筒6の右上のスペースに退避する。第3群レンズ系3は、図2〜図7に示すように、第3群主軸10に嵌合する第3群スリーブ枠11に保持されており、第3群スリーブ枠11には、第3群主軸10を摺動可能に嵌挿する第3群スリーブ部12と、この第3群スリーブ部12の外側に位置し外周に第3群退避カム面38を有する部分筒状の第3群退避カム部13とを形成している。第3群スリーブ部12と第3群退避カム部13とは、半径方向の空隙を存し且つ像面側(物体から最も遠い側)端部において結合されたほぼ同軸2重筒状をなし、第3群スリーブ部12と第3群退避カム部13との間の空隙には、第3群主軸10に沿う方向に延在する圧縮トーションスプリング14が配置される。
第3群退避カム部13には、ナット15が係合しており、ナット15には、光軸と平行に配設されたリードスクリュー16が螺合している。リードスクリュー16は、回転自在に支持され、このリードスクリュー16には、第3群駆動ギヤ17が固定されており、第3群駆動ギヤ17は、回転駆動源、例えば図示されていないパルスモータ等に結合されている。パルスモータが回転すると、リードスクリュー16が回転し、ナット15が光軸方向に沿って移動する。図9、図11および図14に示す収納退避状態では、ナット15は最も像面側(物体から最も遠い側)に位置しており、ナット15が光軸方向に沿って物体側に移動すると、スリーブ枠11は圧縮トーションスプリング14と第3群退避カム部13により、第3群レンズ系3を光軸に近付ける方向へ回転する。
ここまでに説明した構成は、特許文献1(特開2006−330657号)に示された従来の構成にほぼ相当する。図19に従来の構成と本発明に係る構成とを比較して示す。図19の上半部は、上述したような構成を有する従来の第3群レンズユニットの最大繰り出し状態における断面図を示している。従来は、光軸方向について、第3群レンズ系3が退避した位置から第3群主軸10上で第3群スリーブ部12が繰り出せる最大量に対応する位置までが第3群レンズ系3の最大繰り出し量となっていた。一般に、ズームレンズ等の変倍光学系を高変倍化するためには、繰り出し量を増やさなければならない。特許文献1等の従来の技術では、第3群レンズ系3の繰り出し量が、高変倍化の限界を決定していた。
図1〜図18に示された本発明の一つの実施の形態に係るレンズ鏡胴装置において、第3群レンズ系3は、図2、図3、図5、図7、図9および図11〜図18に示すように、筒状の第3群セル枠19に保持されており、第3群セル枠19は、第3群スリーブ枠11に設けられて光軸に平行な方向に延在する第3群伸縮主軸20と第3群伸縮副軸21に係合する第3群伸縮枠22に保持されている。第3群伸縮枠22は、中空筒状の第3群伸縮スリーブ部24を有し、この第3群伸縮スリーブ部24が第3群伸縮主軸20に嵌合しており、光軸方向に沿って移動可能となっている。第3群伸縮主軸20および第3群伸縮副軸21は、光軸方向についての前端、つまり物体側端部において共通の押さえ板25に固定されており、第3群伸縮枠22が物体側に移動したときには、第3群伸縮スリーブ部24が押さえ板25に当接し係止されることによって、第3群レンズ系3は、第3群スリーブ枠11に対して光軸方向の物体側への最大繰り出し状態となる。逆に光軸方向に沿って物体から遠い像面側に移動したときには、第3群伸縮スリーブ部24が、第3群スリーブ枠11に当接し係止されることによって、第3群レンズ系3は、第3群スリーブ枠11に対して、光軸方向の像面側へ短縮し最大繰り込み状態(最小繰り出し状態)となる。
このようなレバー26部分の構成により、レバー26に何も負荷がかからなければ、第3群伸縮枠22は最も像面側の短縮位置に位置し、レバー26に図4における反時計方向への回転力が与えられると、第3群伸縮枠22が第3群スリーブ枠11に対して繰り出されることになる。
次に、レバー26に回転力を与える機構について説明する。レバー26のレバー係合部30とは反対側の端部にレバー26の回転する平面に垂直な方向へ突出するカムフォロワ33(図3〜図7および図20参照)が設けられており、収納時には、図2に示すように、回転中心軸27に対し光軸方向について前方の物体側に位置している。固定筒6には、図2〜図7および図10に示すように、カムフォロワ33に係合するカム面34が形成されており、図3〜図7に示すように、第3群スリーブ枠11が光軸方向について前方の物体側に移動するとカムフォロワ33がカム面34に係合するようになっている。カム面34は、像面側先端部に、先端から中間部に向かって、光軸からの距離が次第に増大する斜面を形成するカム部斜面40を形成しており、このカム部斜面40によって、カムフォロワ33はスリーブ枠11が光軸方向について物体側へ移動するに従って回転中心軸27を中心として図4の反時計方向に回転する。このようにスリーブ枠11の光軸方向物体側への移動によってレバー26が回転することになる。
カムフォロワ33がカム部斜面40上に位置している間は、第3群主軸10上での第3群スリーブ部12の繰り出し量に、レバー26の回転量に応じた第3群伸縮枠22の繰り出し量が加算された量が第3群レンズ系3の繰り出し位置となる。このような状況では、レバー26の回転量のばらつきおよびカム面34のカム部斜面40の精度が影響して、第3群レンズ系3の光軸方向位置にばらつきが発生する。
第3群レンズ系3の移動がフォーカシングに寄与している場合には、第3群レンズ系3の光軸方向の位置ずれは、ピント位置のずれを発生させるため、カムフォロワ33が光軸に平行な面39上に位置する範囲を撮影領域とするほうが良い。一方、撮影領域にカムフォロワ33がカム部斜面40上に位置する範囲を含める場合には、第3群レンズ系3の位置ずれによるピント位置を、フォーカシング光学系として第4群レンズ系4で補正する量が少なくて済むズームポジションとすることが望ましい。例えば、この実施の形態においては、ワイド位置としている。このようにすることによって、ワイド端からテレ端までの第3群レンズ系3の繰り出し量も多く取れることになるので、第3群レンズ系3のパワー(屈折力)が少なくて済み、第3群レンズ系3の光軸方向の位置ずれ、倒れ、そして光軸が垂直に交わる面上でのシフトによる像劣化を少なくすることが可能となる。
図19は、光軸を境として、上半部に特許文献1に示されたような従来の第3群レンズユニットの最大繰り出し状態における断面図を示しており、下半部に本発明の上述した実施の形態に係る第3群レンズ系3の最大繰り出し状態における断面図を示している。図19から明らかなように、本発明の実施の形態によれば、従来に比して、第3群レンズ系3の最大繰り出し量を増大するとともに、第3群レンズ系3の位置安定性を向上し、動作力量の増加を抑えたレンズ駆動装置を達成することができる。
さらには、このようなレンズ鏡胴装置を用いたカメラ等の撮像装置において、カムフォロワ33がカム部斜面40上に位置するズームポジションについて、第3群レンズ系3の位置を、1台1台の撮像装置について所要の位置に調整して、その位置情報を記憶装置に記憶させ、撮影時に記憶装置の記憶情報に基づいてその位置に移動させるようにする。このようにすれば、固定筒6およびレバー26等の部品寸法や取り付け位置のばらつきの影響を無くすことができ、撮像装置の動作を安定させることができる。
本発明は、上述した第3群レンズ系3のようなズーミングに寄与するレンズ系のみならず、さらにフォーカシングレンズ系に適用することができる。例えば、本発明をフォーカシングレンズ系としての第4群レンズ系に適用した場合、第4群レンズ系の繰り出し量を多くとることができ、それによってピントの調整可能な範囲を広くすることができることになり、最短撮影距離を短くすることが可能となる。このようにすることによって近接距離の被写体に対するマクロ撮影に強い撮像装置を提供することができる。
また、上述した実施の形態においては、収納時に、レンズ群が回転筒の外側に退避するなど、光軸外に退避移動する退避レンズ群に適用するものとして説明したが、本発明は、収納時に光軸外に退避せず光軸方向に沿って像面側に移動するだけの移動レンズ群の移動レンズ保持枠に対しても上述とほぼ同様にして適用することができる。
2 第2群レンズ系
3 第3群レンズ系
4 第4群レンズ系
5 絞り機能を持つシャッタユニット
6 固定筒
7 複数の回転筒
8 直進ガイド筒
9 カム筒
10 第3群主軸
11 第3群スリーブ枠
12 第3群スリーブ部
13 第3群退避カム部
14 圧縮トーションスプリング
15 ナット
16 リードスクリュー
17 第3群駆動ギヤ
18 第3群進退係合部
19 第3群セル枠
20 第3群伸縮主軸
21 第3群伸縮副軸
22 第3群伸縮枠
24 第3群伸縮スリーブ部
25 押さえ板
26 レバー
27 回転中心軸
28 第1トーションスプリング
29 係合突起
30 レバー係合部
31 スプリング保持軸
32 第2トーションスプリング
33 カムフォロワ
34 カム面
35 係止部
36 撮像素子
37 第3群副軸
38 第3群進退カム面
39 光軸に平行な面
40 カム部斜面
Claims (9)
- 複数のレンズ群の少なくとも一部を沈胴させてレンズ群を収納する沈胴状態から前記レンズ群の少なくとも一部を対物側に移動することにより撮影状態とするレンズ鏡胴を構成するレンズ鏡胴装置であって、
前記複数のレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を内部に保持する可動レンズ鏡筒と、前記可動レンズ鏡筒を介して前記レンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段と、前記レンズ保持枠を保持する固定枠とを備え、
前記レンズ保持枠は、少なくとも1つのレンズ群を保持し且つ少なくとも光軸方向について進退移動させる移動レンズ保持枠であって、弾性的付勢手段により物体側から像面側へ付勢されている移動レンズ保持枠を含み、
前記移動レンズ保持枠は、移動するレンズ群を保持して移動するレンズ伸縮枠と、前記レンズ伸縮枠を伸縮移動可能に保持し且つ光軸方向に進退移動させられるスリーブ枠とを有してなり、
前記レンズ伸縮枠は、前記スリーブ枠に設けられたガイド部に、光軸方向について移動可能として係合しており、前記スリーブ枠に設けられて光軸を含む平面に平行な面上で回転するレバー部材と前記移動レンズ伸縮枠が係合し、前記レバー部材の回転により前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に光軸方向へ移動させる伸縮機構を構成し、
前記レバー部材の前記レンズ伸縮枠とは係合していない端部側には該レバー部材の回転する平面に対して垂直な方向に突出したカムフォロアが設けられ、前記固定枠の側面には前記スリーブ枠の移動方向と角度を持ったカム面が設けられ、前記スリーブ枠の光軸方向の移動に伴い前記カムフォロアが前記カム面に係合し摺動することで前記レバー部材を回転させ、
前記レバー部材は、前記スリーブ枠に設けられた第1の弾性部材によって、当該レバー部材の前記レンズ伸縮枠との係合部が、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って像面側に移動させるように付勢され、
前記レンズ伸縮枠は、前記レバー部材に設けられた第2の弾性部材によって、該レバー側に付勢押圧されており、前記レバー部材が回転することによって、前記レンズ伸縮枠を光軸方向に沿って物体側へ移動させ、且つ前記レンズ伸縮枠は、光軸方向物体側に移動したときに前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除されることを特徴とするレンズ鏡胴装置。 - 前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の沈胴収納状態から撮影状態への前記スリーブ枠の繰り出し移動の初期位置近傍において前記レンズ伸縮枠を前記スリーブ枠に対して相対的に移動させることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴装置。
- 前記固定枠のカム面および前記レバー部材は、当該レンズ群の少なくとも沈胴収納状態において互いに離間していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ鏡胴装置。
- 前記移動レンズ保持枠により保持されるレンズ群は、光軸方向に進退移動することにより、前記複数のレンズ群全体のフォーカス調整を行うレンズ群であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズ鏡胴装置。
- 前記レバー部材には、前記レンズ伸縮枠が、光軸方向物体側に移動し、前記スリーブ枠に設けられたストッパ部に当接して前記レバー部材との係合が解除された際に、前記第2の弾性部材の付勢力に抗して過大に移動し前記レバー部材の係合可能部位から離脱することを防止すべく前記レンズ伸縮枠を係止する係止部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴装置。
- 前記カムフォロアは、沈胴収納状態にて前記レバー部材の回転中心より光軸方向物体側に位置し、前記固定枠に設けられたカム面は、前記カムフォロアが光軸方向物体側へ移動するに従って光軸からの距離が広がる形状を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡胴装置。
- 前記カム面は、前記ストッパ部に前記レンズ伸縮枠が当接した状態で前記スリーブ枠を光軸方向に移動させるべく、前記レバー部材の回転軸および光軸とほぼ平行な平面部を有することを特徴とする請求項6に記載のレンズ鏡胴装置。
- 撮影状態では前記カムフォロアが前記平面部上のみを摺動することを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡胴装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項のレンズ鏡胴装置を用いて構成したことを特徴とする撮像装置。
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