JP4235057B2 - レンズ鏡胴、沈胴式レンズ鏡胴、及びズームレンズ鏡胴 - Google Patents

レンズ鏡胴、沈胴式レンズ鏡胴、及びズームレンズ鏡胴 Download PDF

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Description

本発明は、銀塩カメラ、デジタルカメラ等のカメラにおけるレンズ鏡胴の小型化技術に関し、特にレンズ鏡胴を構成するシャッタユニット、シャッタフレキシブルプリント基板、モータ等の各種部品の配置を工夫することによって小型化を達成したレンズ鏡胴、沈胴式レンズ鏡胴、及びズームレンズ鏡胴に関する。
近年、各種のカメラ、特にデジタルカメラの小型化に伴い、レンズ鏡胴の小型化が急速に進んでいる。カメラ本体に取り付けられた小型レンズ鏡胴を突出入させるための機構としては、撮影時には被写体方向へズームする一方で、非撮影時に沈胴する回転カムを用いた沈胴式鏡胴機構が一般的である。この沈胴式鏡胴機構は、光軸方向に配列された複数のレンズ群を光軸方向に移動させるための周方向へ延びるカム(溝等)をもつカム筒と、カム筒のカムと係合するために各レンズ枠に設けられたカムフォロア(ピン等)と、カムフォロアと係合することによりレンズ群を光軸方向へ直進移動させる直進溝をもつ直進筒と、を有し、これらの部品の協働により各レンズ群を精度良く移動させるカム機構を備えている。更に、他のレンズ群を移動させる手段としては、カム機構とは独立した駆動源により駆動されるリードスクリューを備えている。
前記レンズ群は、主として変倍を行う1又は複数のズームレンズ群(前方レンズ群)と、合焦を行うフォーカスレンズ群(後方レンズ群)から構成される。ズームレンズ群はカム機構により駆動され、フォーカスレンズ群はカム機構とは独立した駆動源により回転駆動されるリードスクリューにより駆動される。
そして、非使用時には、各レンズ群の間隔を沈胴させて最小限まで近づけることで小型化している。
ところで、リードスクリューにより駆動されるフォーカスレンズ群は、そのレンズ枠部にリードスクリューと螺合するナットを備えていてリードスクリューの回転により直進し、更にフォーカスレンズ群を光軸方向にガイドするガイド軸と係合することで光軸方向に安定して進退移動することができる。
また、フォーカスレンズ群は、近距離の被写体を撮影するためになるべく大きな移動量を必要とする。フォーカスレンズ群の移動量を大きくするためには、長いリードスクリューとガイド軸が必要となり、リードスクリューとガイド軸の長さを十分に確保した上で、各レンズ群の間隔を最小限まで近づけるためにフォーカスレンズ群よりも前方のズームレンズ群の側方にリードスクリューとガイド軸が入り込めるスペースを確保するようにした構成が知られている。通常、前方のレンズ群の適所には、撮影のためのシャッタ機構と絞り機構を備える略円盤状のシャッタユニットが固定されており、シャッタユニットの外周部には、カム機構を構成する外筒との間にリードスクリューとガイド軸が入り込めるスペースを確保するための、光軸に平行な切欠き面が形成されている。
従来は、特開2002−286988に開示されているように、シャッタユニットの切欠き面は、矩形状の撮像素子の一つの側端縁に対し略平行に位置しており、鏡胴が沈胴したときに、カム機構の筒状体内壁とシャッタ切欠き面とで形成される弓形の空間内に、リードスクリュー、フォーカスレンズ群のガイド軸、及びそれらを保持するために鏡胴基板から被写体側に突出しているガイド保持部が入り込む構成となっている。しかし、この従来例にあるようにシャッタユニットの外周に形成した切欠き面が矩形の撮像面の一端縁に略平行であると、被写体側から見て弓形の前記空間の頂部から左右へ離れる方向に向かって該空間が狭くなるため、該空間内に突出しているガイド保持部の柱部の肉厚を十分に大きく取れず強度が弱くなっている。たとえ、シャッタユニットの切欠き幅を大きくして弓形空間を大きく確保しようとしても、鏡胴基板に固定されている撮像素子の外形に制約されて空間の大型化に限界があるため、ガイド保持部の強度を十分に確保することは困難であった。
特開2002−286988公報
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、カム機構で駆動される前方レンズ群と、前方レンズ群とは独立してリードスクリューにより駆動される後方レンズ群と、後方レンズ群の直前方の前方レンズ群に固定され光軸と平行な切欠き面を有したシャッタユニットと、を備え、後方レンズ群が後方に移動したときリードスクリューと後方レンズ群をガイドするために鏡胴基板から前方へ突出するガイド保持部がシャッタユニットの切欠き面とカム機構の内壁に囲まれた弓形空間に入り込むレンズ鏡胴において、シャッタユニットの切欠き面が矩形状の撮像素子の対角線と略並行となるように固定し、シャッタユニットの切欠き面とカム機構の内壁に囲まれた空間の被写体側から見た投影形状が撮像素子の隣り合った2つの端縁(角隅部)で切り欠いた形状となり、リードスクリューを撮像素子の一方の端縁側、ガイド保持部を弓形空間の頂点近くに配置でき、ガイド保持部を配置する空間を大きく取ることによりガイド部の強度を強くすることを目的とする。
さらに、ガイド保持部とシャッタユニットの切欠き面とカム機構の内面で囲まれた空間にシャッタのフレキシブルプリント基板を入り込ませることで、ガイド保持部で安定した固定とシャッタが前方に繰り出したときに必要となる長さを確保することを他の目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、少なくとも一群の前方レンズ群と、前記前方レンズ群を光軸方向へ直進移動させるカム機構と、前記前方レンズ群の後方に光軸方向へ直進移動可能に配置されてリードスクリューにより前記前方レンズ群とは独立して駆動される後方レンズ群と、前記後方レンズ群の直前方に配置された前方レンズ群を保持する前方レンズ枠に固定されたシャッタと、前記後方レンズ群をガイドするために前方に突出したガイド保持部を持つ鏡胴基板と、該鏡胴基板の後方に配置された矩形の撮像素子と、を備えたレンズ鏡胴において、前記シャッタは、中心部に入射孔を有した略円盤形状体の外周に光軸と平行な切欠き面を形成した構成を備えるとともに、前記切欠き面が矩形状の前記撮像素子の対角線と略並行となるように前記前方レンズ枠に固定され、前記前方レンズ枠が後方に移動したときに前記カム機構の内壁と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間内に、前記リードスクリューと前記ガイド保持部が入り込むように構成され、前記リードスクリュー及び前記リードスクリューを駆動するモータ本体の中心は、前記矩形状の撮像素子の一端縁の側であって、前記一端縁の2等分線上に配置されている。
また、請求項2の発明は、少なくとも一群の前方レンズ群と、前記前方レンズ群を光軸方向へ直進移動させるカム機構と、前記前方レンズ群の後方に光軸方向へ直進移動可能に配置されてリードスクリューにより前記前方レンズ群とは独立して駆動される後方レンズ群と、前記後方レンズ群の直前方に配置された前方レンズ群を保持する前方レンズ枠に固定されたシャッタと、前記後方レンズ群をガイドするために前方に突出したガイド保持部を持つ鏡胴基板と、該鏡胴基板の後方に配置された矩形の撮像素子と、を備えたレンズ鏡胴において、前記シャッタは、中心部に入射孔を有した略円盤形状体の外周に光軸と平行な切欠き面を形成した構成を備えるとともに、前記切欠き面が矩形状の前記撮像素子の対角線と略並行となるように前記前方レンズ枠に固定され、前記前方レンズ枠が後方に移動したときに前記カム機構の内壁と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間内に、前記リードスクリューと前記ガイド保持部が入り込むように構成され、前記リードスクリュー及び前記リードスクリューを駆動するモータ本体の中心は、前記カム機構の前記内壁と前記矩形状の撮像素子の一端縁との間であって、前記一端縁の2等分線上に配置されている。
この発明によれば、シャッタユニットの切欠き面とカム機構(固定筒)の内壁に囲まれた弓形空間を被写体側から見た投影形状が、撮像素子の隣り合った2つの端縁(角隅部)により2つに切り欠いた形状となり、リードスクリューを撮像素子の一方の端縁側、ガイド保持部を弓形の頂点近くに配置でき、ガイド保持部を配置する空間を大きく取ることによりガイド保持部の強度を高めることができる。また、前方レンズ枠が後方に移動したときにカム機構の内壁とシャッタユニットの切欠き面にて囲まれた空間に前記リードスクリューと前記ガイド保持部を入り込めることで、リードスクリュー、及びガイド保持部の長さを長くとることができ、鏡胴を大型化せずにレンズ群の繰り出し量を長く確保することができる
また、ギヤ等の減速系の部品を用いないでリードスクリューを駆動する機構を最小、最少の部品で構成でき、鏡胴基板上の撮像素子の端縁とカム機構の内側で囲まれた弓形空間の最適部にモータが配置されることとなり、カム機構の径を大きくすることなくモータを鏡胴内に配置し、鏡胴を小型化することができる。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記シャッタユニットに信号を供給するフレキシブルプリント基板を備え、該フレキシブルプリント基板は、前記ガイド保持部と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間に湾曲して入り込むことを特徴とする。
この発明によれば、シャッタユニットが被写体側に繰り出した時のフレキシブルプリント基板の長さを十分に確保することができる。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記前方レンズ枠には、前記シャッタの切欠き面と前記カム機構の内壁によって形成される空間の少なくとも一部を覆うための遮光部が前方へ向けて突設されていることを特徴とする。
これによれば、被写体側から入射してくる光線のうちの迷光を前方レンズ枠により遮光することができ、像性能を低下させる原因であるフレアを低減させることができる。
求項の発明は、請求項1又は2のモータがパルスモータであることを特徴とする。
この発明によれば、小型で制御が簡単に行えるレンズ鏡胴にすることができる。
請求項の発明は、請求項3において、前記ガイド保持部との間に空間を形成するように前記前方レンズ枠から撮像面方向に突出したフレキシブルプリント基板保持部と、前記空間内に湾曲して入り込んだフレキシブルプリント基板の一部を前記フレキシブルプリント基板保持部先端で挟み込んで固定する固定部材と、前記フレキシブルプリント基板を前記ガイド保持部との間に挟み込むようにして固定する固定板部材と、を備えたことを特徴とする。
前方レンズ群が繰り出したときにはフレキシブルプリント基板が固定部材と固定板部材とにより保持された状態で光軸方向に延ばされた状態となり、その状態から前方レンズ群が鏡胴基板側へ繰り込む時には、フレキシブルプリント基板が固定部材と固定板部材とで保持されているため、それに倣って湾曲しながらガイド部とフレキシブルプリント基板保持部に挟まれた空間にスムーズに入り込むことができ、他の空間への入り込みを防止することができる。
請求項の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項において、非使用時には、各レンズ群が接近し沈胴状態になることを特徴とする。
この発明によれば、後方レンズ群の繰り出し量が大きく、収納時には小型に沈胴することができる沈胴レンズ鏡胴を提供することができる。
請求項の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレンズ鏡胴、または、請求項7に記載の沈胴式レンズ鏡胴備えたことを特徴とする。
この発明によれば、変倍によるレンズ移動量を大きくとることができ、小型のズームレンズ鏡胴を提供することができる。
請求項の発明は、請求項において、前記後方レンズ群がフォーカスレンズであり、前記前方レンズ群が変倍を行うズームレンズであることを特徴とする。
この発明によれば、フォーカスレンズを独立して制御でき、フォーカスレンズの繰り出し量を大きくとることができるため、撮影距離範囲を大きくすることができる。
本発明によれば、シャッタユニットの外周に形成した光軸と平行な切欠き面を、矩形の撮像素子の対角線と平行状態(端縁と斜めに交差する状態)になるように傾けて配置することで、切欠き面とカム機構との間の限られた弓形空間を有効利用して、後方レンズ群の繰り出し量を長くとりつつ、鏡胴基板のガイド保持部の強度を確保することができる。さらにシャッタフレキシブル基板を弓形空間に湾曲して入り込むように配置することで長さ確保と巻き込み防止を行うことができる。また、前方レンズ枠で弓形空間を覆う形状とすることで迷光の遮光を行うことができる。
まず、請求項1及び2の発明は、後方レンズ群の直前位置に配置された前方レンズ群のレンズ枠にシャッタユニットを固定し、且つ後方レンズ群をガイドするために前方に突出したガイド保持部を有した鏡胴基板を備えたレンズ鏡胴において、シャッタユニットの外径は略円盤形状体の外周部に光軸と平行な切欠き面を形成した略半月形状であり、切欠き面が矩形の撮像素子(CCD)の対角線と略並行(平行)となって撮像素子の端縁に対して傾くように固定することで、シャッタユニットの切欠き面とカム機構の内面により囲まれた弓形空間の被写体側から見た投影形状が撮像素子の隣り合った2つの端縁で切欠いた形状(切欠き面の中間位置から撮像素子の角隅部が突出した形状)となる。このため、後方レンズ群を駆動するために前方に突出したリードスクリューを撮像素子の一方の狭い端縁側に配置し、第2レンズ群をガイドするガイド軸を保持したガイド保持部を弓形空間の頂点近く(広いスペース)に配置することができ、ガイド保持部を配置する空間を大きく取ることによりガイド保持部の強度を強くすることができる。また、前方レンズ枠が後方に移動したときにカム機構の内面とシャッタユニットの切欠き面に囲まれた空間にリードスクリューとガイド保持部が入り込めることで、リードスクリューおよび、ガイド保持部の長さを長くとることができ、レンズ群の繰り出し量を長く確保することができる。
また、請求項の発明では、リードスクリューがモータから直接駆動され、被写体側から見て撮像素子の一端縁の側であって、該一端縁の2等分線上にモータ本体中心が鏡胴基板に配置される
また、請求項2の発明では、リードスクリューがモータから直接駆動され、被写体側から見てリードスクリュー及びリードスクリューを駆動するモータ本体の中心が、カム機構の内壁と矩形状の撮像素子の一端縁との間であって、一端縁の2等分線上に配置される。このように配置することで、ギヤ等の減速系部品を用いずに、リードスクリューを駆動する最小、最少の部品で構成でき、鏡胴基板上の撮像素子の端縁とカム機構の内面とで囲まれた弓形空間の頂点部にモータが配置されることとなり、カム機構の径を大きくすることなくモータを鏡胴内に配置し、鏡胴を小型化することができる。
請求項3の発明では、シャッタユニットに信号を供給するフレキシブルプリント基板が、ガイド保持部とシャッタユニットの切欠き面とカム機構の内径に囲まれた空間に湾曲して入り込むことで、シャッタユニットが被写体側に繰り出した時のフレキシブルプリント基板の長さを十分に確保することができる。
請求項4の発明では、前方レンズ群のレンズ枠に遮光部を設けて、シャッタユニットの切欠き面とカム機構の内径とにより形成される空間を前方から覆うように形成することで、被写体側から入射してくる光線のうち迷光を前方レンズ枠により遮光することができ、像性能を低下させる原因であるフレアを低減させることができる
求項の発明によれば、モータがパルスモータであることで、小型で制御が簡単に行えるレンズ鏡胴にすることができる。
請求項の発明によれば、ガイド保持部と対向するように設けられた前側レンズ枠の撮像面方向に突出したフレキシブルプリント基板を保持するフレキシブルプリント基板保持部と、ガイド保持部との空間にフレキシブルプリント基板が湾曲して入り込み、フレキシブルプリント基板保持部先端でシャッタフレキシブルプリント基板を挟み込んで固定する固定部材と、フレキシブルプリント基板をガイド保持部との間に挟み込むようにして固定する固定板部材とを持つことで、前方レンズ群を繰り出したときにはフレキシブルプリント基板が固定部材と固定板部材により保持された状態で光軸方向に延ばされた状態でとなり、その状態から前方レンズ群が鏡胴基板側へ繰り込む時には、フレキシブルプリント基板が固定部材と固定板部材で保持されているため、それに倣って湾曲しながらガイド保持部とフレキシブルプリント基板保持部に挟まれた空間にスムーズに入り込むことができ、他の空間への入り込みを防ぐことができる。
請求項の発明によれば、請求項1乃至6のいずれか一項のレンズ鏡胴が非使用時には各レンズ群が接近し沈胴状態になることで、後方レンズ群の繰り出し量が大きく、収納時には小型に沈胴することができる沈胴レンズ鏡胴を提供することができる。
請求項の発明によれば、請求項1乃至6のレンズ鏡胴、または、請求項の沈胴式レンズ鏡胴のいずれかをズームレンズ鏡胴に用いることで、変倍によるレンズ移動量を大きくとることができ、小型のズームレンズ鏡胴を提供できる。
請求項の発明によれば、請求項のズームレンズ鏡胴において、後方レンズ群がフォーカスレンズであり、前方レンズ群と他のレンズ群が変倍を行うズームレンズとすることで、フォーカスレンズを独立して制御でき、フォーカスレンズの繰り出し量を大きくとることができるため、撮影距離範囲を大きくすることができる。
以下、本発明の実施形態を添付図を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態例に係るレンズ鏡胴の断面図、図2は分解斜視図である。
本実施形態に係るレンズ鏡胴は、変倍を行う第1レンズ群3、第2レンズ群2(何れもズームレンズ群=前方レンズ群)と、合焦を行う第3レンズ群(フォーカスレンズ群=後方レンズ群)4と、第1及び第2レンズ群3、2から成る前方レンズ群を光軸方向へ直線的に駆動するためのカム機構Cと、第3レンズ群としての後方レンズ群4を光軸方向へ進退させるモータ7(リードスクリュー7a)、CCD(撮像素子)6、鏡胴基板1等を概略備えている。
カム機構Cは、カム筒8、固定筒9、駆動ピン10、11等によって構成されている。
鏡胴基板1の前面に固定筒9が固定され、固定筒9の外径側には同軸状にカム筒8が回転自在に支持されており、図示していない駆動源により回転駆動される。カム筒8には、駆動ピン10、11と係合して第1レンズ群3の位置を決める第1群カム溝8a、第2群カム溝8bが斜め周方向へ延びて設けられており、第1レンズ群3、第2レンズ群2は、それぞれ第1レンズ群駆動ピン10、第2レンズ群駆動ピン11により支持されている。さらに固定筒9には、第1レンズ群駆動ピン10、第2レンズ群駆動ピン11と各々係合し、各前方レンズ群3、2を回転せずに光軸方向に直線移動させる直線状の案内溝9a、9bが設けられている。これによりカム筒8が回転することによって、各前方レンズ群3、2は各カム溝に従って要求される位置関係を作りつつ、回転せずに光軸方向に進退移動し変倍することができる。
一方、合焦を行う第3レンズ群4は、そのレンズ枠に設けた被ガイド孔等が、鏡胴基板1から前方に突出したガイド軸12、13に嵌合して光軸方向へ移動自在にガイドされており、鏡胴基板1に固定されたステッピングモータ7から前方へ突出しているリードスクリュー(出力軸)7aと、レンズ枠に固定したナット14とを螺合させることにより、ステッピングモータ7に与えられたパルスにより精度良く光軸方向へ進退移動することができる。各レンズ群3、2、4によって結像された像がCCD固定部材18で鏡胴基板1に後方から固定されているCCD6によって光電変換され、カメラ本体側に画像情報として記録される。
この実施例のレンズ鏡胴は、非使用時には各レンズ群の間隔を狭くし、沈胴することで小型化することができる。第2レンズ群2の前方には、入射孔5Aを有すると共に絞りとシャッタを行うシャッタユニット5が固定されており、第2レンズ群2とともに光軸方向へ移動する。
図3は本実施形態例のシャッタユニット5、CCD(撮像素子)6、CCD押え部材18とステッピングモータ7の位置関係を示した正面図、図4はシャッタユニット5、第2レンズ群2、ステッピングモータ7、鏡胴基板1の位置関係を示した斜視図である。シャッタユニットは、内部に絞り機構とシャッタ機構を備えた略円盤状の外観形状を備え、中心部に入射孔5Aを備えると共に、外周には光軸に平行な平坦面としての切欠き面5aを備える。この切欠き面5aは、正面形状が矩形状のCCD6の対角線と略並行になるように第2レンズ群2に固定されている。
なお、切欠き面5aがCCD6の対角線と並行(或いは、平行)であるとは、例えば図3等に示すように、切欠き面5aが、正面形状が四角形であるCCD6の右上の角隅部を介して隣接する(直交する)2つの端縁(上端縁と右縦端縁)に跨って交差するように配置され、且つCCD6の左上角隅部と右下角隅とを結ぶ対角線とほぼ平行(厳密な意味での平行でなくてもよい)となるように配置されている状態を含むものである。
前述の如く、従来のレンズ鏡胴では、正面(被写体側)から見た切欠き面5aが、矩形のCCD6の上側又は下側の端縁と並行となるように配置されているため、切欠き面5aと固定筒9との間に形成される弓形の空間の頂部(円弧の中心部)から左右へ離れる方向に向かって該空間が狭くなる。この空間の広さはCCD6のサイズによる制約から所定以上に拡大することができない一方で、該空間内に突出しているガイド保持部の柱部の肉厚を十分に大きく取れず強度が弱くなるという問題があった。
シャッタユニット5は、略円盤形状体の外ケースに切欠き面5aを形成して略半月状(切欠き面5aは入射孔を回避した位置にある)としたものである。切欠き面5aがCCD6の右上角隅部と上端縁と右縦端縁の一部を露出させた状態となり、固定筒9の内周面との間に略弓形の空間を形成する。
本発明では、切欠き面5aは、CCD6の一端縁と平行になっておらず、斜めに交差しているため、切欠き面5aの中心部から弓形空間内にCCD6の右上角隅部がL字状に突出した状態となっている。従って、CCD6の右上角隅部の左右には、対称形状の空間が形成される。この空間内の左寄り位置(CCDの上端縁の中心部)にモータ7を配置する一方で、CCDの右上角隅部と弓形空間の頂部との間の十分に広い空間内に十分なサイズのガイド保持部1aを収容することが可能となった。従って、中空のガイド保持部1aの肉厚を十分に厚くしてその強度を高めることが可能となった。
図5(a)及び(b)は、従来例と本願発明との比較図であり、CCDの上側端縁(リード端子形成辺)とシャッタユニットの切欠き面との位置関係と、弓形空間に収納可能な部品のレイアウトを示している。
図5(a)のように切欠き面5aがCCD6の上型端縁と平行となるようにシャッタユニットを配置した場合には、モータ7を図示の位置に配置するとすれば、弓形空間内においてガイド保持部1aを配置するスペースが極限され、ガイド保持部を大きく構成することができない。
一方、図5(b)に示した本発明の構成例のように、切欠き面5aがCCD6の上型端縁と右側縦辺と交差するように斜めに配置した場合には、モータ7を弓形空間の狭いスペースである隅部の方に配置することができる一方で、ガイド保持部1aを初めとした他の部品を配置するスペースが拡大する。従って、ガイド保持部1aを大きく構成してその強度を高めることができるばかりでなく、第2レンズ群2の遮光壁2a’、シャッタFPC19を収容することも可能となる。
次に、図6はシャッタユニット5、鏡胴基板1、ステッピングモータ7、第3レンズ群4、ガイド軸12の位置関係を示した正面図、図7、図8はその斜視図である。各図は収納時の状態を表しており、シャッタユニット5の切欠き面5aとカム機構Cの一部である固定筒9の内面に囲まれた弓形の空間内に、第3レンズ群4をガイドするガイド軸12、鏡胴基板1から突出してガイド軸12を保持するガイド保持部1a、ステッピングモータ7の出力により回転するリードスクリュー7a、シャッタユニット用のフレキシブルプリント基板(FPC)19が入り込んでいる。
リードスクリュー7aを設けてあるステッピングモータ7は、CCD6の端子形成側の端縁6a(図3)の2等分線上にモータ本体の中心が位置するように配置されており、CCD押え板18の鏡胴基板固定部15aの配置スペースを確保しつつ、固定筒9の内面とCCD6の一側端縁に囲まれた弓形形状空間の最少幅となる位置にモータ本体7を配置することで、固定筒9の径を小さくすることができる。
ガイド軸12とガイド保持部1aを、シャッタユニット5の切欠き面5aと固定筒9の内側に囲まれた弓形形状空間の最大幅となる位置に配置することで、ガイド保持部1aの外壁を固定筒9の内側に沿った面1bと、CCD6の端縁と平行な面1cとで略V字に形成することでき、ガイド軸12を保持するのに十分な強度を確保することができる。
なお、ガイド保持部1aの内側には、第3レンズ群4をナット14に付勢するためのスプリング15が挿入されている。
図9はシャッタユニット用のフレキシブル基板(FPC)19の収納状態を示す縦断面図である(一部の部品は非表示)。ガイド保持部1aとFCP保持部2aとの間に形成される空間内にはFPC19が収容されている。FPC19は、第2レンズ群2のレンズ枠2AからCCD側に突出したFPC保持部2aの下面に沿って一旦CCD側に向かって延びてから、FPC保持部2a先端でクリップ状のFPC固定部材16によりFPC保持部2aと挟み込むことで固定されている。FPC19はFPC保持部2a先端でFPC保持部2aに沿って曲げられ反転し、被写体方向に延ばされている。ここで、FPC19はシャッタユニット5の切欠き面5aとガイド保持部1aと固定筒9内側で囲まれた空間に入り込み、ガイド保持部1aの先端付近で上向きに湾曲反転してガイド保持部の下面である平面1cに沿ってCCDの方向へ向かって鏡胴基板1外側に延ばされており、L字状のFPC固定板部材17とガイド保持部材1aの平面1cとの間に挟まれて固定されている。つまり、FPC19は、下端部を第2レンズ群のレンズ枠2Aによって固定された状態でFPC保持部2aの下面に沿って後方へ延びてから、FPC保持部2aの先端において固定されると共に上向きに反転してFPC保持部2aの上面に沿って前方へ延び、更に上向きに後方へ反転してガイド保持部材の平面1cに沿って後方へ延び、ガイド保持部材1aの後端部にて他端部を固定されている。従って、レンズ枠2Aを含む第2レンズ群2がガイド保持部材1aに対して光軸方向へ進退する過程で、FPC19はスムーズに伸縮して追随することができる。
図10は第2レンズ群2が鏡胴基板1から前方へ繰り出した状態を示す縦断面図である(一部部品非表示)。第2レンズ群2が繰り出したとき、FPC19は下端部及び上端部をレンズ枠2Aとガイド保持部材1aとによって夫々固定された状態で、中間の湾曲部の曲率をほぼ一定に維持しつつ被写体側に導かれるため、繰り出し、繰り込みによる破断や巻き込み等の問題を防止でき、しかも図9に示す沈胴状態でS字状に湾曲していることにより、繰り出し時に必要な長さを確保することができる。
さらに、図4に示すように第2レンズ群2のレンズ枠2Aが、シャッタユニット5の切欠き面5aと固定筒9の内面に囲まれた弓形空間を被写体側から覆う遮光部2a’を持つことで、第1レンズ群3、2を通った有効光線外から外れた迷光が、弓形空間を通過してCCD6の撮像面に到達しないように遮光している。これによりフレア等で像性能が低下することを防ぐことができる。
以上のように、シャッタの切欠き面5aが、前面形状が矩形状であるCCD6の対角線と平行となるように傾けた状態で、シャッタユニット5を第2レンズ群2に組み付けることで、後方レンズ群4の繰り出し量を十分に長くとりつつ、鏡胴基板1のガイド保持部1aの強度を十分に大きく確保することができ、さらにシャッタフレキシブル基板を弓形空間内に湾曲して入り込ませるよう配置することで、長さ確保と巻き込み防止を行うことできる。また、第2レンズ群2のレンズ枠2Aの一部に設けた遮光部2a’により弓形空間の前面を覆うことにより、迷光の遮光を行うことができる。
本発明の一実施形態例に係るレンズ鏡胴の断面図。 図1のレンズ鏡胴の分解斜視図。 本実施形態例のシャッタユニット、CCD(撮像素子)、CCD押え部材とステッピングモータの位置関係を示した正面図。 図4はシャッタユニット、第2レンズ群、ステッピングモータ、鏡胴基板の位置関係を示した斜視図である。 従来例と本願発明との比較図。 シャッタユニット、鏡胴基板、ステッピングモータ、第3レンズ群、ガイド軸の位置関係を示した正面図。 図6の斜視図。 図6の斜視図。 FPCの構成及び動作を示す縦断面図。 FPCの構成及び動作を示す縦断面図。
符号の説明
1 鏡胴基板、1a ガイド保持部、1b 面、1c 平面、2 第2レンズ群(ズームレンズ群=前方レンズ群)、2A 前方レンズ枠、2a FPC保持部、2a’ 遮光部、3 第1レンズ群(ズームレンズ群=前方レンズ群)、4 第3レンズ群(フォーカスレンズ群=後方レンズ群)、C カム機構、5 シャッタユニット、5A 入射孔、5a 切欠き面、6 CCD、7 モータ、7a リードスクリュー、8 カム筒、9 固定筒、10、11 駆動ピン、12、13 ガイド軸、14 ナット、19 フレキシブル基板(FPC)。

Claims (9)

  1. 少なくとも一群の前方レンズ群と、前記前方レンズ群を光軸方向へ直進移動させるカム機構と、前記前方レンズ群の後方に光軸方向へ直進移動可能に配置されてリードスクリューにより前記前方レンズ群とは独立して駆動される後方レンズ群と、前記後方レンズ群の直前方に配置された前方レンズ群を保持する前方レンズ枠に固定されたシャッタと、前記後方レンズ群をガイドするために前方に突出したガイド保持部を持つ鏡胴基板と、該鏡胴基板の後方に配置された矩形の撮像素子と、を備えたレンズ鏡胴において、
    前記シャッタは、中心部に入射孔を有した略円盤形状体の外周に光軸と平行な切欠き面を形成した構成を備えるとともに、前記切欠き面が矩形状の前記撮像素子の対角線と略並行となるように前記前方レンズ枠に固定され、
    前記前方レンズ枠が後方に移動したときに前記カム機構の内壁と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間内に、前記リードスクリューと前記ガイド保持部が入り込むように構成され
    前記リードスクリュー及び前記リードスクリューを駆動するモータ本体の中心は、前記矩形状の撮像素子の一端縁の側であって、前記一端縁の2等分線上に配置されていることを特徴とするレンズ鏡胴。
  2. 少なくとも一群の前方レンズ群と、前記前方レンズ群を光軸方向へ直進移動させるカム機構と、前記前方レンズ群の後方に光軸方向へ直進移動可能に配置されてリードスクリューにより前記前方レンズ群とは独立して駆動される後方レンズ群と、前記後方レンズ群の直前方に配置された前方レンズ群を保持する前方レンズ枠に固定されたシャッタと、前記後方レンズ群をガイドするために前方に突出したガイド保持部を持つ鏡胴基板と、該鏡胴基板の後方に配置された矩形の撮像素子と、を備えたレンズ鏡胴において、
    前記シャッタは、中心部に入射孔を有した略円盤形状体の外周に光軸と平行な切欠き面を形成した構成を備えるとともに、前記切欠き面が矩形状の前記撮像素子の対角線と略並行となるように前記前方レンズ枠に固定され、
    前記前方レンズ枠が後方に移動したときに前記カム機構の内壁と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間内に、前記リードスクリューと前記ガイド保持部が入り込むように構成され、
    前記リードスクリュー及び前記リードスクリューを駆動するモータ本体の中心は、前記カム機構の前記内壁と前記矩形状の撮像素子の一端縁との間であって、前記一端縁の2等分線上に配置されていることを特徴とするレンズ鏡胴。
  3. 前記シャッタユニットに信号を供給するフレキシブルプリント基板を備え、該フレキシブルプリント基板は、前記ガイド保持部と前記シャッタの切欠き面とによって囲まれた空間に湾曲して入り込むことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡胴。
  4. 前記前方レンズ枠には、前記シャッタの切欠き面と前記カム機構の内壁によって形成される空間の少なくとも一部を覆うための遮光部が前方へ向けて突設されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のレンズ鏡胴。
  5. 請求項1又は2に記載のモータがパルスモータであることを特徴とするレンズ鏡胴。
  6. 前記ガイド保持部との間に空間を形成するように前記前方レンズ枠から撮像面方向に突出したフレキシブルプリント基板保持部と、前記空間内に湾曲して入り込んだフレキシブルプリント基板の一部を前記フレキシブルプリント基板保持部先端で挟み込んで固定する固定部材と、前記フレキシブルプリント基板を前記ガイド保持部との間に挟み込むようにして固定する固定板部材と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡胴。
  7. 非使用時には、各レンズ群が接近し沈胴状態になることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の沈胴式レンズ鏡胴。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレンズ鏡胴、または、請求項7に記載の沈胴式レンズ鏡胴を備えたことを特徴とするズームレンズ鏡胴。
  9. 前記後方レンズ群がフォーカスレンズであり、前記前方レンズ群が変倍を行うズームレンズであることを特徴とする請求項8に記載のズームレンズ鏡胴。
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