JP2006311730A - ロータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロータコアに局部的に過大な応力が生じることが抑制されたロータを提供する。
【解決手段】 ロータ300は、ロータコア310と、ロータコア310に挿入される磁石320と、ロータコア310と磁石320との隙間330に設けられた充填部とを備え、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)の中央部(A部)におけるロータコア310と磁石320の外周側側面3200との隙間330の幅は均一であり、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)の端部(B部)における隙間330の幅は、A部における隙間330の幅よりも広い。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ロータに関し、特に、ロータコアに磁石が挿入されるロータに関する。
ロータコアに磁石が挿入されるロータが従来から知られている。
たとえば、特開2004−104962号公報においては、回転子鉄心の外周に向かうにつれて対向距離が順次大きくなる一対の磁石挿入孔部と、磁石挿入孔部に挿入固定された永久磁石とを含むロータを備えた回転電機が開示されている。
また、特開2001−352702号公報においては、ロータに挿入される永久磁石が、その挿入方向に垂直な平面内で磁石挿入孔の内壁面に3点で支持された回転電機が開示されている。
特開2004−104962号公報 特開2001−352702号公報
しかしながら、特開2004−104962号公報に示されるような回転電機においては、磁石とロータコアとの隙間における接着剤の充填が十分でない場合がある。この結果、ロータコアに局部的に生じる応力が増大する。
また、特開2001−352702号公報に示される回転電機においては、ロータコアの外周側において、磁石の幅方向の中央部がロータコアに支持されている。したがって、この部分のロータコアに生じる応力が増大する。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ロータコアに局部的に過大な応力が生じることが抑制されたロータを提供することにある。
本発明に係るロータは、回転シャフトに固設され、軸方向に延びる穴部を有するロータコアと、穴部に挿入される磁石と、ロータコアと磁石との隙間に設けられた充填部とを備え、ロータコアの軸方向断面において、磁石の幅方向中央部においてロータコアと磁石の外周側側面との間に隙間が形成され、磁石の幅方向端部における上記隙間は、磁石の幅方向中央部における上記隙間よりも幅が広い部分を有する。
上記構成によれば、磁石の幅方向端部の隙間の幅を広くすることで、その部分に充填材が入り込みやすくなるので、ロータコアの軸方向全体で安定して磁石を固定することができる。また、磁石の幅方向中央部において該磁石とロータコアとの間に隙間を設けることで、磁石の幅方向中央部近傍においてロータコアと磁石とが接触することを抑制することができる。以上の結果として、ロータコアに局部的に過大な応力が生じることを抑制することができる。
上記ロータにおいて、好ましくは、磁石の幅方向中央部における上記隙間の幅は均一である。
このようにすることで、磁石の幅方向中央部近傍においてロータコアと磁石とが狭い範囲で局部的に接触することを抑制することができる。結果として、ロータコアに局部的に過大な応力が生じることを抑制する効果を高めることができる。
なお、上記磁石の「外周側側面」とは、ロータコアの径方向外方に位置する磁石の「着磁面」を意味する。また、上記「充填部」は、ロータコアと磁石との隙間に設けられ、それらを接合する「接合部」である。ここで「充填部」は、必ずしも磁石の側面の全周に亘って分布する必要はない。また、上記「隙間の幅」は、磁石が所定の角度で挿入された場合のロータコアと磁石との隙間の幅を意味する。したがって、磁石が所定の角度からずれた角度でロータコアに挿入された結果、磁石の幅方向中央部におけるロータコアと磁石との隙間の幅が均一で無くなったとしても、予め意図された所定の角度で挿入したときに該隙間の幅が均一であれば、「隙間の幅が均一である」場合に含まれる。なお、このような場合も、上記構成によれば、磁石の幅方向中央部近傍においてロータコアと磁石とが狭い範囲で局部的に接触することを抑制することができるので、上記と同様に、ロータコアに局部的に過大な応力が生じることを抑制することができる。
上記ロータにおいて、好ましくは、ロータコアの径方向外方に向かうにつれて磁石の外周側側面の対向距離が大きくなるように一対の磁石が設けられる。
このような略V字配置を適用することにより、磁石1個あたりの幅を低減し、ロータコアに生じる応力をさらに低減することができる。また、ロータからステータに向かう磁束密度を高くすることができる。
上記ロータにおいて、好ましくは、ロータコアの径方向外方に位置する磁石の幅方向端部における上記隙間の幅は、ロータコアの径方向内方に位置する磁石の幅方向端部における上記隙間の幅よりも広い。
上記構成によれば、渦電流損の大きい径方向外方側の隙間の幅が広いため、トルク低下を抑制しつつ、渦電流損を抑制することができる。
上記ロータにおいて、好ましくは、磁石のフラックスバリアが、ロータコアの径方向に磁石の外周側側面と重なる部分を有する。
上記構成によれば、フラックスバリアの外周を規定する穴部の曲率半径を大きくすることができるので、フラックスバリアの外周側に位置するブリッジ部における応力集中を緩和することができる。
なお、ここでいう「フラックスバリア」とは、主に磁石の幅方向端面に面する該磁石とロータコアとの隙間であって、外周側側面から裏面への磁束の回り込みを抑制する部分を意味する。
本発明によれば、ロータコアに局部的に過大な応力が生じることを抑制することができる。
以下に、本発明に基づくロータの実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
図1は、本発明の1つの実施の形態に係るロータを含む回転電機を示した断面図である。図1を参照して、モータおよび/またはジェネレータである回転電機1は、ステータ収容部を有するハウジング100内に設けられたステータ200と、ロータ300と、回転シャフト400と、軸受500とを含んで構成される。
ステータ200はリング状のステータコア210と、ステータコイル220とを有する。ステータコア210は、鉄または鉄合金などの板状の磁性材料により構成される。ステータコア210の内周面上には複数のティース部(図示せず)および該ティース部間に形成される凹部としてのスロット部(図示せず)が形成されている。スロット部は、ステータコア210の内周側に開口するように設けられる。
ステータコイル220は、3つの巻線相であるU相、V相およびW相を含む。ステータコイル220は、スロット部に嵌り合うようにティース部に巻き付けられる。U相、V相およびW相は、互いに円周上でずれるように巻き付けられる。
ロータ300は、回転シャフト400に取り付けられたロータコア310と、ロータコア310に埋め込まれた磁石320とを有する。ロータコア310は、鉄または鉄合金などの磁性材料により構成される。磁石320は、たとえば、ロータコア310の外周近傍にほぼ等間隔を隔てて配置される。
回転シャフト400は、軸受500を介してハウジング100に回転可能に取り付けられる。
図2は、図1に示される回転電機におけるロータ300を示した斜視図である。図2を参照して、ロータコア310は、該ロータコア310の軸方向(矢印DR1方向)に延びる穴部を有し、磁石320は該穴部に挿入される。磁石320は、ロータコア310の周方向(矢印DR2方向)に並ぶように複数設けられる。そして、磁石320は、ロータコア310の径方向外方(矢印DR3方向)に向かうにつれて磁石320の外周側側面の対向距離が大きくなるように形成された磁石対321〜324を構成する。このような略V字配置を適用することにより、各々の磁石の幅を低減し、ロータコアに生じる応力を低減することができる。また、ロータ300からステータ200に向かう磁束密度を高くすることができる。
図3は、図2に示されるロータを矢印DR0方向からみた拡大上面図である。図3を参照して、ロータコア310と磁石320との間には、隙間330が形成されている。なお、図3に示される隙間330の形状は、ロータコア310の軸方向(矢印DR1方向)の全体に亘ってほぼ一定である。隙間330には、接着剤やインジェクション樹脂などからなる接合層が設けられる。これにより、磁石320がロータコア310に固定される。そして、該接合層は、ロータコア310と磁石320との隙間に設けられた「充填部」を構成する。なお、ロータコア310の穴部に挿入される磁石320は、ロータコア310への挿入時に若干回転するが、その挿入方向は、方向規定部Cによってほぼ一義的に決定される。
図3に示すように、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)の中央部(A部)において、ロータコア310と磁石320の外周側側面3200との間に隙間330が形成される。ここで、A部において、隙間330の幅は均一である。そして、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)の端部(B部)における隙間330の幅は、A部における隙間330の幅よりも広い。すなわち、ロータコア310に形成された磁石挿入用の穴部の側面には、磁石320の幅方向端部において該磁石の外周側側面3200から離れる「逃がし部」が形成される。そして、磁石320の幅方向端面に面するようにフラックスバリア331,332が形成される。フラックスバリア331,332は、隙間330の一部分である。そして、フラックスバリア331,332は、磁石320の外周側側面3200から裏面(内周側側面)への磁束の回り込みを抑制する。
さらに、図3に示すように、磁石320の略V字配置における中央部(V字の谷部)において「逃がし部」が形成されることで、応力集中を緩和するR部がロータコア310に形成される。したがって、磁石320をより磁極の中心側(V字の谷間側)に近づけることができる。すなわち、磁石320の配置自由度が向上し、回転電機の性能が向上する。
ロータ300を作製する際は、まず、開孔を有する電磁鋼板を積層して磁石挿入用の穴部を有するロータコア310を形成する。そして、上記穴部に接着剤を注入してから、該穴部に磁石320を挿入する。また、上記穴部に磁石320を挿入した後に、隙間330に接着剤を充填するようにしてもよい。いずれの場合にも、フラックスバリア331,332から、磁石320の幅方向の端部(B部)における隙間330の幅広部分に向けて、接着剤が確実に流入する。なお、ロータコア310は、圧粉磁心により構成されてもよい。
図4は、ロータコア310に挿入された磁石320を示した斜視図である。上述したように、磁石320の幅方向端部(B部)の隙間330の幅を広くすることで、フラックスバリア331,332からB部の隙間330に接着剤340が入り込みやすくなる。この結果、図4に示すように、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)端部において、磁石320の軸方向(矢印DR1方向)の全体に亘って接着剤340が回り込む。ここでは、磁石320の幅方向(矢印DR4方向)における両端部において、ロータコア310の軸方向(矢印DR1方向)全体に亘って接着剤340が分布している。
図7は、図2,図3に示されるロータ300と比較されるロータ300Aを示した拡大上面図である。図7を参照して、ロータ300Aは、基本的には、図2,図3に示されるロータ300と同様を有する。すなわち、ロータ300Aは、ロータコア310Aと、磁石320Aとを有し、ロータコア310Aと磁石320Aの外周側側面3200Aとの間には隙間330Aが形成され、磁石320Aの幅方向(矢印DR4A方向)の端部に面するようにフラックスバリア331A,332Aが形成されている。一方、ロータ300Aにおいては、磁石320Aの幅方向(矢印DR4A方向)の全体に亘って、ロータコア310Aと磁石320Aの外周側側面3200Aとの隙間330Aの幅がほぼ一定である。ここで、回転電機の磁気特性向上を図るために隙間330Aの幅を小さくすると、隙間330Aにおける接着剤の回り込みが十分でなくなる場合がある。ここで、常に接着剤を十分に回り込ませようとすると、温度、隙間の幅およびワーク姿勢などの管理が煩雑になり、作業性が低下する。
図8,図9は、ロータコア310と磁石320とを接合する接着剤340の充填状況とロータコア310に生じる応力との関係を説明する図である。図8,図9を参照して、ロータ300の回転時に磁石320に作用する遠心力Fは、接着剤340を介してロータコア310に伝達される。ここで、図8に示されるロータ300においては、磁石320の軸方向(矢印DR1方向)における接着剤340の回り込みが良好でないため、ロータコア310における一部の電磁鋼板に偏って比較的大きな応力σが発生する。一方、図9に示されるロータ300においては、磁石320の軸方向(矢印DR1方向)の全体に亘って接着剤340が回り込んでいるため、ロータコア310に作用する力が均一に分散される。この結果、一部の電磁鋼板に過大な応力σが発生することが抑制される。
図5は、接着剤充填率とロータコアに生じる応力(最大応力)との関係を示した図である。ここで、ライン10は、図7に示されるロータ300Aについての上記関係を示し、ライン20は、図2,図3に示されるロータ300についての上記関係を示す。図5を参照して、ロータ300A(ライン10)においては、接着剤の充填率が下がるにつれて、ロータコア310に発生する応力σが大きくなる。これに対し、ロータ300(ライン20)においては、接着剤の充填率が下がった(すなわち、図4における「L」が小さくなった)場合にも、磁石320の軸方向(矢印DR1方向)の全体に亘って接着剤340が分布しており、ロータコア310に発生する応力σが過大になることが抑制されている。
再び、図3を参照して、本実施の形態に係るロータ300においては、磁石320の幅方向中央部(A部)における隙間330の幅がほぼ均一に形成されている。これにより、仮に、磁石320の外周側側面3200とロータコア310とが接着剤340を介さずに直接接触する場合であっても、A部近傍においてロータコア310と磁石320とが局部的に狭い範囲で接触することを抑制することができる。したがって、A部近傍において、ロータコア310に過大な応力が生じることが抑制される。
図6は、ロータ300の変形例を示す図である。本変形例においては、上記「逃がし部」が、略V字配置における外側にのみ形成されている。換言すると、ロータコア310の径方向外方(矢印DR3方向)側の磁石の幅方向端部における隙間330の幅は、ロータコア310の径方向内方(矢印DR5方向)側の磁石の幅方向端部における隙間330の幅よりも広い。
回転電機において、磁石320の渦電流損を低減することは重要である。ここで、磁石を一旦分割して該磁石を高抵抗化することで渦電流損を低減することが考えられるが、これにより、磁石が分割された状態からの復元工程が生じてコスト増大に繋がる。また、一般に、磁石320の渦電流損は、径方向外方に位置する角部において比較的大きくなる。これに対し、本変形例に係るロータ300によれば、渦電流損の大きい径方向外方側の隙間330の幅が広いため、効果的に渦電流損を抑制することができる。ここで、回転電機の過度のトルク低下を抑制するために、隙間330のその他の部分の幅は比較的小さく形成されている。
ところで、本変形例に係るロータ300においては、図3に示されるロータ300と比較して、ロータコア310の径方向外方(矢印DR3方向)側の磁石の幅方向端部における隙間330の幅が比較的広く形成されている。したがって、この部分の隙間330が、フラックスバリアとしても効果的に機能する。換言すると、図6に示されるロータ300においては、磁石320のフラックスバリア331が、ロータコア310の径方向に磁石320の外周側側面3200と重なる部分を有する。
また、本変形例においては、ロータコア310のブリッジ部311の長さ(L1)が比較的長く形成されている。この結果、ブリッジ部311の曲率半径(R)を大きくすることができ、ブリッジ部311における応力集中が緩和される。
以上説明したように、本実施の形態に係るロータ300によれば、ロータコア310に局部的に過大な応力が生じることが抑制される。したがって、ロータ強度の信頼性が向上する。換言すると、ロータコアにおけるブリッジ部の幅を細く形成することができるので、回転電機の小型化、高性能化および低コスト化を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、方向規定部C(図3)の作用により、磁石320が予め意図された挿入方向でロータコア310に挿入されることを前提に説明したが、仮に、磁石320が、予め意図された挿入方向とは異なる方向でロータコア310に挿入された場合であっても、本実施の形態に係るロータ300によれば、少なくとも、磁石320の幅方向の中央部(A部)近傍において、ロータ310と磁石320とが狭い範囲で局部的に接触することは回避できる。したがって、A部近傍において、ロータコア310に局部的に過大な応力が生じることが抑制される。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の1つの実施の形態に係るロータを含む回転電機を示した断面図である。 図1に示される回転電機におけるロータを示した斜視図である。 図2に示されるロータを矢印DR0方向からみた拡大上面図である。 図2,図3に示されるロータに含まれる磁石を示した斜視図である。 接着剤充填率とロータコアに生じる応力との関係を示した図である。 本発明の1つの実施の形態に係るロータの変形例を示した拡大上面図である。 図2,図3に示されるロータと比較されるロータを示した拡大上面図である。 接着剤の充填状況とロータコアに生じる応力との関係を説明する図(その1)である。 接着剤の充填状況とロータコアに生じる応力との関係を説明する図(その2)である。
符号の説明
1 回転電機、100 ハウジング、200 ステータ、210 ステータコア、220 ステータコイル、300,300A ロータ、310,310A ロータコア、311 ブリッジ部、320,320A 磁石、321〜324 磁石対、330,330A 隙間、331,331A,332,332A フラックスバリア、340 接着剤、400 回転シャフト、500 軸受、3200,3200A 外周側側面。

Claims (5)

  1. 回転シャフトに固設され、軸方向に延びる穴部を有するロータコアと、
    前記穴部に挿入される磁石と、
    前記ロータコアと前記磁石との隙間に設けられた充填部とを備え、
    前記ロータコアの軸方向断面において、前記磁石の幅方向中央部において前記ロータコアと前記磁石の外周側側面との間に隙間が形成され、前記磁石の幅方向端部における前記隙間は、前記磁石の幅方向中央部における前記隙間よりも幅が広い部分を有する、ロータ。
  2. 前記磁石の幅方向中央部における前記隙間の幅は均一である、請求項1に記載のロータ。
  3. 前記ロータコアの径方向外方に向かうにつれて前記磁石の外周側側面の対向距離が大きくなるように一対の前記磁石が設けられる、請求項1または請求項2に記載のロータ。
  4. 前記ロータコアの径方向外方に位置する前記磁石の幅方向端部における前記隙間の幅は、前記ロータコアの径方向内方に位置する前記磁石の幅方向端部における前記隙間の幅よりも広い、請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータ。
  5. 前記磁石のフラックスバリアが、前記ロータコアの径方向に前記磁石の外周側側面と重なる部分を有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のロータ。
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