JP2014064471A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】永久磁石10は、磁化方向がロータコア9の径方向に対して傾斜するようにスロット12内に配置され、遠心力による応力集中の発生しやすい角部20a、c近傍に、熱応力による応力集中が生じないように、角部20a、cとスロット内周面25との間に磁化垂直方向における隙間を形成し、永久磁石10が熱により膨張する際に、角部20a、cがロータコア9を押さない構造とした。これにより、遠心力による応力集中と熱応力による応力集中とが同じ場所に重なって発生することがなく、スロット12近傍に発生する応力集中を低減することができる。
【選択図】図2
Description
このような永久磁石型回転電機のロータは、ロータコアに形成されたスロットに、永久磁石を挿入してなっている。
このため、永久磁石101に熱が加わるような工程を経て永久磁石101がロータコア107に埋め込まれ、埋め込まれたときの温度よりも低い温度で回転電機が使用される場合には、永久磁石101が磁化垂直方向に膨張し、永久磁石101がスロット105の内周面を押す。
すなわち、遠心力による応力集中と熱応力による応力集中が重なることを課題とする検討は今までされてこなかった。
請求項1に記載の回転電機は、ステータと、ステータと相対回転移動可能に配置され、永久磁石がロータコアに形成されたスロット内に埋め込まれてなるロータとを備える。
また、永久磁石は、磁化垂直方向に離間する第1側面と第2側面とを有し、第1側面の一端に第1角部を有し、第2側面の他端に第2角部を有している。
第1側面の他端の角部を第3角部とし、第2側面の一端の角部を第4角部とすると、支持部は、第3角部を含む第1側面に当接する第1支持部と、第4角部を含む第2側面に当接する第2支持部とからなる。
そして、磁化方向において、第1側面の第1支持部に当接する範囲、及び、第2側面の第2支持部に当接する範囲は、ともに永久磁石の磁化方向の厚みの1/2以下である。
しかし、第1角部及び第2角部とスロット内周面との間に磁化垂直方向の隙間があるため、熱の影響で永久磁石が磁化垂直方向に膨張しても、第1角部近傍及び第2角部近傍のロータコアは押しつけられることなく、熱応力による応力集中が生じにくい。
また、支持部が当接する角部は永久磁石の膨張により永久磁石からの押付力を受ける。すなわち、磁化垂直方向に永久磁石が膨張する際、第1支持部は第3角部から押付力を受け、第2支持部は第4角部から押付力を得る。このため、第1支持部近傍と第2支持部近傍には熱応力による応力集中が生じやすい。
しかし、第1角部と第3角部とは離れており、第2角部と第4角部とは離れているため、遠心力による応力集中と熱応力による応力集中とが同じ場所に重なって発生しない。
また、永久磁石の膨張により第1支持部が受ける押付力の支点が第1角部側にある際、第1角部と第3角部との間の中間位置や、第1角部に近い位置で、第1支持部が第1側面に当接する場合と比較して、本手段では永久磁石の膨張により第1支持部が受ける押付力は小さくなる。
請求項2の回転電機によれば、ロータは、2つの永久磁石により1つの磁極を形成している。これに対応して、ロータコアは、1つの磁極当たり、各永久磁石が挿入される2つのスロットを有し、2つのスロットの間にブリッジを有している。
しかし、請求項1でも述べたように第1、2角部の近傍には熱応力による応力集中が生じにくい。つまり、ブリッジには熱応力による応力集中は生じにくい。したがって、永久磁石が埋め込まれたスロット近傍に発生する応力集中を低減することができる。
請求項3に記載の回転電機によれば、永久磁石は矩形状を呈しており、ロータコアは、2つの永久磁石がロータの外周面に向けて開くV字状に配置されるように、2つのスロットを有している。
そして、第1角部は、外周側で且つブリッジから遠い側の角部であり、第2角部は、内周側で且つブリッジに近い側の角部である。
本手段は、一実施態様である。
請求項4に記載の回転電機によれば、隙間には、ロータコアを形成する材料よりもヤング率の小さい物質が充填されている。
これによれば、隙間を物質で充填しても、その物質が永久磁石の膨張を吸収するため、隙間近傍(すなわち、第1角部及び第2角部の近傍)のロータコアに熱応力による応力集中は生じない。
実施例1の回転電機1を、図1〜図4、図6を用いて説明する。
実施例1の回転電機1は、モータジェネレータであって、回転磁界を発生可能なステータ2、ステータ2の内周側に配されて回転するロータ3とを備える。
なお、本実施例では、円筒上のステータ2の内周にロータ3が配置されるインナーロータ型である。
そして、ロータコア9には、永久磁石10を収容するためのスロット12が軸方向に延びる孔として形成されている。
これに対応して、ロータコア9は、1磁極当たり、各永久磁石10が挿入される2つのスロット12を有している。2つのスロット12の間には、薄肉のブリッジ15があり、ブリッジ15により、2つのスロット12は区画されている。
具体的には、磁化方向に短く、磁化垂直方向に長い長方形断面を有しており、磁化方向に離間して互いに平行な2つの側面17a、17bと、磁化垂直方向に離間して互いに平行な2つの側面17c、17dとを有し、平面視において4つの角部20a〜20dを有している。
すなわち、側面17cの磁化方向の一端に角部20aが存在し、他端に角部20bが存在する。そして、側面17dの磁化方向の一端に角部20dが存在し、他端に角部20cが存在する。
例えば、本実施例では、2つの永久磁石10がロータ3の外周側に向けて開くV字状に配置されている(図1参照)。
そして、側面17cが、第1角部を一端に有する側面(第1側面)となり、側面17dが、第2角部を他端に有する側面(第2側面)となる。このため、角部20bが、第1側面の他端の角部(第3角部)となり、角部20dが第2側面の一端の角部(第4角部)となる。
スロット12は、磁化垂直方向において、側面17cの外側に膨らんで永久磁石10との間に空間を形成する隙間部23Aと、側面17dの外側に膨らんで永久磁石10との間に空間を形成する隙間部23Bとを有している。
これにより、隙間部23Aによって、角部20a(第1角部)とスロット12の内周面(以下、スロット内周面25とする)との間には、磁化方向にも、磁化垂直方向にも隙間が形成される。すなわち、角部20aの頂点は、磁化垂直方向において、スロット内周面25との間に隙間jを介して配置されており、スロット内周面25に当接しない。
これにより、隙間部23Bによって、角部20c(第2角部)とスロット内周面25との間には、磁化方向にも、磁化垂直方向にも隙間が形成される。すなわち、角部20cは、磁化垂直方向において、スロット内周面25との間に隙間kを介して配置されており、スロット内周面25に当接しない。
また、磁化垂直方向において、スロット内周面25が、角部20dを含む側面17dの磁化方向一端部に当接しており、この当接する内周面を含むロータコア9の部分が第2支持部32となって、永久磁石10を支持している。
実施例1の回転電機1によれば、永久磁石10は、磁化方向がロータコア9の径方向に対して傾斜するようにスロット12内に配置され、ロータコア9の径方向においてロータコア9の外周面に最も近い角部を第1角部とし、ロータコア9の外周面から最も離れた角部を第2角部とすると、第1角部および第2角部のそれぞれと、スロット内周面25との間には、磁化垂直方向において隙間j、kが形成されている。
そして、永久磁石10の角部20bが磁化垂直方向において第1支持部31に支持されており、角部20dが第2支持部32に支持されている。
遠心力による応力集中は、ロータコア9の外周面に最も近い角部20a(第1角部)と、ブリッジ15に近く且つロータコア9の外周面から最も離れた角部20c(第2角部)の近傍のロータコア9の部分(B領域)に生じやすい(図1参照)。
また、B領域では、隙間j、kの存在により、磁化垂直方向へ膨張しても、角部20a、20cがロータコア9を押すことはないので、熱応力による応力集中は生じない。
この点を、図2を用いて、第2支持部32への押付力Fを例にとって説明する。
そして、押付力Fの作用点は、第2支持部32つまり角部20d側にある。このため、押付力Fの作用点と支点との距離Lを長くとることができている。
つまり、熱応力による応力集中を低減することができる。
実施例2の回転電機1を、実施例1とは異なる点を中心に図3を用いて説明する。
実施例2では、段落0047に記載のように圧入によって永久磁石10をロータコア9に埋め込むのではなく、スロット12との間に微小な隙間がある状態で永久磁石10を挿入し、隙間部23A〜Cに熱硬化性樹脂を充填する方法で、永久磁石10がロータコア9に埋め込まれている。
そして、この熱硬化性樹脂は、ロータコアを形成する材料(例えば、ケイ素鋼板)よりもヤング率が小さい。
本発明の実施態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例の回転電機1はステータ2の内周側にロータ3を有するインナーロータ型であったが、アウターロータ型のものに本発明を適用してもよい。
また、実施例1及び2の永久磁石10の角部20a〜dに面取り(図4(b)参照)が施されていてもよい。
2 ステータ
3 ロータ
9 ロータコア
10 永久磁石
12 スロット
15 ブリッジ
17c 側面(第1側面)
17d 側面(第2側面)
20a 角部(第1角部)
20b 角部(第3角部)
20c 角部(第2角部)
20d 角部(第4角部)
23A 隙間部
23B 隙間部
25 スロット内周面
31 第1支持部
32 第2支持部
j 隙間
k 隙間
Claims (4)
- ステータと、
前記ステータと相対回転移動可能に配置され、永久磁石がロータコアに形成されたスロット内に埋め込まれてなるロータとを備える回転電機であって、
前記永久磁石は、複数の角部を有するとともに、磁化方向が前記ロータコアの径方向に対して傾斜するように前記スロット内に配置され、
前記ロータコアは、前記スロット内で、磁化方向に垂直な方向(以下、磁化垂直方向と呼ぶ)において前記永久磁石に当接し、前記永久磁石を支持する支持部を有し、
前記ロータコアの径方向において前記ロータコアの外周面に最も近い前記角部を第1角部とし、前記ロータコアの外周面から最も離れた前記角部を第2角部とすると、
前記第1角部および前記第2角部のそれぞれと、前記スロットの内周面との間には、磁化垂直方向において隙間が形成されており、
前記永久磁石は、磁化垂直方向に離間する第1側面と第2側面とを有し、前記第1側面の一端に前記第1角部を有し、前記第2側面の他端に前記第2角部を有し、前記第1側面の他端の角部を第3角部とし、前記第2側面の一端の角部を第4角部とすると、
前記支持部は、前記第3角部を含む前記第1側面に当接する第1支持部と、前記第4角部を含む前記第2側面に当接する第2支持部とからなり、
磁化方向において、前記第1側面の前記第1支持部に当接する範囲、及び、前記第2側面の前記第2支持部に当接する範囲は、ともに前記永久磁石の磁化方向の厚みの1/2以下であることを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載の回転電機において、
前記ロータは、2つの前記永久磁石により1つの磁極を形成しており、
前記ロータコアは、1つの磁極当たり、前記各永久磁石が挿入される2つの前記スロットを有し、2つの前記スロットの間にブリッジを有していることを特徴とする回転電機。 - 請求項1または2に記載の回転電機において、
前記永久磁石は矩形状を呈しており、
前記ロータコアは、前記2つの永久磁石が前記ロータの外周面に向けて開くV字状に配置されるように、前記2つのスロットを有しており、
前記第1角部は、外周側で且つ前記ブリッジから遠い側の角部であり、前記第2角部は、内周側で且つ前記ブリッジに近い側の角部であることを特徴とする回転電機。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の回転電機において、
前記隙間には、前記ロータコアを形成する材料よりもヤング率の小さい物質が充填されていることを特徴とする回転電機。
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