JP2004156134A - 非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体 - Google Patents

非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備え水アトマイズ法により製造可能な球状に近い非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体を提供の提供。
【解決手段】水アトマイズ法により形成された略球状粉末であり、該粉末は、Feを主成分とし、P、C、Bを少なくとも含み、過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末を採用する。この非晶質軟磁性合金粉末と絶縁材と潤滑剤とが混合され、造粒してなる造粒粉末を固化成形した圧粉コア。上記非晶質軟磁性合金粉末を扁平化した粉末と絶縁材とを混合してなる電波吸収体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体に関するものであり、特に、水アトマイズ法により製造可能な球状に近い非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、TM−Al−Ga−P−C−B−Si系等(TMはFe、Co、Ni等の遷移金属元素)の組成からなる合金は、合金溶湯を急冷することにより非晶質相を形成し、これらは非晶質軟磁性合金を形成するものとして知られている(例えば、特許文献1、3参照。)。特に、この非晶質軟磁性合金のうち特定の組成のものは、結晶化の前の温度領域において広い過冷却液体の状態を有し、いわゆる金属ガラス合金(glassy alloy)を構成するものとして知られている。
この金属ガラス合金は優れた軟磁気特性を示すとともに、液体急冷法で製造した非晶質軟磁性合金の薄帯に比べてはるかに厚いバルク状の板厚材を形成することが可能である。
【0003】
ところで、従来から金属ガラスは、単ロール法に例示される液体急冷法等の手段によって製造するために、合金自体の非晶質形成能がある程度高いことが必要とされている。
従って、金属ガラスの開発は、合金の非晶質形成能の向上を主目的とし、この目的を達成し得る合金組成の探索という視点で進められている。
しかし、合金の非晶質形成能を高くさせ得る組成は、必ずしも軟磁気特性を高くさせ得る合金組成に一致するものではないので、高飽和磁化及び軟磁気特性の向上のために更なる改良の余地が残されている。
また、従来の金属ガラスは、高価なGaを用いているために量産向きでないので、コストダウンを達成し得る組成のものが要望されている。
【0004】
また、単ロール法等によって製造された金属ガラスは、厚さが2百μm程度の薄帯の形態のものが得られている。この薄帯状の金属ガラスをトランスやチョークコイル等の磁気コアに適用する場合には、一例として、薄帯を粉砕して粉体とし、この粉体に樹脂等の結着材を混合し、所定の形状に固化成形することにより圧粉コアを製造している。
ここで得られる粉体は薄帯を粉砕して得られたものであるため、薄片状のいびつな形状の粉末が多量に含まれており、そのため磁気コアの成形密度が低く、粉末同士の絶縁を確保しにくいため、磁気コア自体の磁気特性が劣化する場合があった。
なお、この出願の発明に関連する他の先行技術文献としては、特許文献5〜8のものもある。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−333660号公報
【特許文献2】
特開平08−037107号公報
【特許文献3】
特開平09−256122号公報
【特許文献4】
特許2574174号公報
【特許文献5】
特開昭63−117406号公報
【特許文献6】
特開昭57−185957号公報
【特許文献7】
特開平06−158239号公報
【特許文献8】
特開平01−156452号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題に対してFe−Al−Si系合金やMoパーマロイなどの合金粉末が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このような軟磁性合金粉末の製造方法は、合金溶湯を不活性ガスにより噴霧して急冷するガスアトマイズ法や水アトマイズ法が採用されていた。
上記Fe−Al−Si系合金粉末や、Moパーマロイ粉末によれば、Fe−Al−Si系合金粉末の場合は、比較的低いコアロスが得られているものの、飽和磁化が低く、直流重畳特性が悪化する。また、Moパーマロイはコアロスが高く、実用上改善の余地がある。そこで、このような課題を解決するために、Fe基非晶質合金を粉末にすることで、高飽和磁化と低コアロスを兼ね備える圧粉コアが得られることが期待されたが、上述のように、粉体の形状最適化がなされておらず、非晶質合金粉末を使用した圧粉コアにおいて、良好な磁気特性を有するものは未だ得られていない。
【0007】
上記ガスアトマイズ法によれば、球状で、不純物の少ない(酸素の含有量の少ない)非晶質軟磁性合金粉末が得られるが、合金溶湯を粉砕、冷却のために高価な不活性ガスを大量に使用するため製造コストが高くなってしまう。また、合金溶湯を不活性ガスで粉砕するため、製造装置を大がかりにすることが難しく、また、上記不活性ガスはガスボンベからの供給のため粉砕圧力は20MPa程度までしか上げられず、製造効率を上げるのが困難であった。従って、ガスアトマイズ法により製造される球状の非晶質軟磁性合金粉末は、製造コストがかかるうえ、量産性に不向きであるという問題があった。
【0008】
上記のようなアトマイズ法に代えて大気雰囲気中で行う水アトマイズ法を採用することが検討されている。水アトマイズ法を採用すれば、製造装置の大型化が可能で、合金溶湯を高圧で粉砕可能であるので量産性を向上でき、また、一般的に水アトマイズ法においては、不活性ガスを用いる場合と比べて冷却速度が高いので、アモルファス化し易いが、水アトマイズ法を用いて得られた非晶質合金粉末は不定形であり、球状のものが得れない。
また、ガスアトマイズ法ではFe−Si−B系の球状非晶質合金粉末やCo系の球状非晶質合金粉末を製造できるが、冷却速度が速い一般的な水アトマイズ法では上記のような組成の球状非晶質合金粉末を作製するのが困難であった。
このような不定形の非晶質合金粉末は、表面の凹凸が多いために、成形密度が低く、上記結着材と混合して固化成形した場合、粉末間の絶縁を取ることが非常に困難で、特性の良い圧粉コアが得られない。また、非晶質合金粉末が不定形であると、この非晶質合金粉末をアトライタにより加工したものを上記結着材とともにシート状に固化成形して電波吸収体を作製する場合、アトライタにより加工する際に、非晶質合金粉末が細かく割れてしまうため、粒径の制御が難しく、特性の良い電波吸収体が得られない。
なお、水アトマイズ法により球状に近い軟磁性合金粉末を製造することは、例えば、特許文献4に提案されているが、この水アトマイズ法により得られた合金粉末は、Fe−Ni−Cr−Si−B系のもので、また、結晶相の混在率が高いものであるので、さらにアモルファス化するための工程が必要であり、この特許文献4ではこの合金粉末を媒体攪拌ミルで粉砕して扁平化するときにアモルファス化がなされるようにしており、上記ミルからの異物が混入し易く、特性が劣化し、また、工程数が多くなってしまう。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備え、水アトマイズ法により製造可能な球状に近い非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体を提供することを目的とする。
また、本発明は、高価なGa等を添加することなく、高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備え、水アトマイズ法により製造可能で、低コストの球状に近い非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体を提供することを他の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により形成された略球状粉末であり、該粉末は、Feを主成分とし、P、C、Bを少なくとも含み、ΔT=T−T(ただしTは結晶化開始温度、Tはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶質相からなることを特徴とする。
【0011】
上記構成の非晶質軟磁性合金粉末は、磁性を示すFeと、非晶質形成能を有するP、C、Bといった半金属元素とを具備しているので、非晶質相を主相とするとともに優れた軟磁気特性を示す非晶質軟磁性合金粉末を構成することが可能となり、また、大気雰囲気で行う水アトマイズ法により製造できるので、不活性ガスを用いるガスアトマイズ法に比べて合金溶湯の冷却速度を高くでき、アモルファス化し易く、組織全体が完全に非晶質相である非晶質軟磁性合金粉末を構成することが可能になる。また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、高価なGa等の元素が添加されていなくても非晶質化できるため、低コストとすることができ、さらには高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備えることも可能である。
水アトマイズ法により略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造できるのは、本発明の非晶質軟磁性合金粉末の製造に用いる非晶質軟磁性合金溶湯(溶融状態の合金)は、本発明の非晶質軟磁性合金粉末と同組成あるいは略同じ組成のものを用いるので上記のように非晶質形成能を有する元素が含まれており、しかも過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上と大きいために、大気雰囲気中で上記合金溶湯(溶融状態の合金)に水噴射ノズルから高圧水を噴射して粉砕、冷却する際に、冷却速度を多少遅くしても広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の低下に伴って、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を容易に形成でき、また、合金溶湯を冷却する際の冷却速度は合金溶湯に十分に表面張力が作用する程度にすることにより、略球状の非晶質軟磁性合金粉末を得ることができる。上記合金溶湯の冷却速度は、水の噴射圧力、噴射流量(溶湯ノズルの内径)、合金溶湯流量等をコントロールすることにより変更できる。また、本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造する際には、合金溶湯の冷却速度以外に水噴射ノズルスリット幅、水噴射ノズル傾斜角度、水噴射角、合金溶湯の温度や粘度、アトマイジングポイント(粉化点距離)等が制御される。
【0012】
また、上記構成の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により製造できるので、製造装置の大型化が可能であり、しかも合金溶湯を高圧水で粉砕可能であるので量産性を向上でき、また、高価な不活性ガスを使用しなくても済むので製造コストを低減できる。
さらに、上記構成の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により球形状に近い形状に形成されたものであるので、嵩密度が高く、表面の凹凸が少ないことから、成形密度を高くでき、圧粉コア等を作製するために樹脂等の絶縁材と混合して固化成形した場合、粉末間の絶縁を保つことができるため、圧粉コア作製用の軟磁性合金粉末として有用である。
また、上記構成の非晶質軟磁性合金粉末は、球形状に近い形状のものであるので、電波吸収体を作製するために、この非晶質軟磁性合金粉末をアトライタなどにより加工する際、形状の揃った扁平化粒子が得られ、また、粒径を制御し易くいため、電波吸収体作製用の軟磁性合金粉末として有用である。
【0013】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auのうちの1種又は2種以上の元素を含むことが好ましい。
Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hfのうちの1種又は2種以上の元素を添加することにより、非晶質軟磁性合金粉末表面に不動態化酸化皮膜を形成し、耐食性を向上させる作用がある。
Pt、Pd、Auは貴金属元素であるため、Pt又はPd又はAuを添加することにより、これらの貴金属元素が非晶質軟磁性合金粉末表面に分散することにより、耐食性を向上させる作用がある。
【0014】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末はアスペクト比の平均が1以上3以下であることが好ましい。
上記略球状粉末のアスペクト比の平均が3を越えると、不定形の非晶質軟磁性合金粉末が多くなり、成形密度が上がりにくくなり、また、非晶質軟磁性合金粉末を用いて圧粉コア等の成形体を作製したときに粉末の絶縁が取れ難くなる。
【0015】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は平均粒径(D50)が45μm以下であることが好ましい。ここでの平均粒径(D50)とは、累積50%粒径(メジアン径)である。
上記略球状粉末のD50が45μmを越えると、粉末粒内の渦電流が発生し、コア損失が増加し、また、45μmより粒径が大きくなると粉末形状が徐々に異形状化し、球状に近い粉末が得られにくくなる。
上記略球状粉末のD50は、水アトマイズ法で本発明の非晶質軟磁性合金粉末を製造する際の水噴射圧力等の製造条件をコントロールすることにより制御できる。
【0016】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末はタップ密度が3.7Mg/m以上であるとこの非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コア(磁心)の透磁率、直流重畳特性が向上し、成形体の強度も高まる点で好ましい。ここでのタップ密度は、日本粉末冶金工業会 団体規格JPMAP08−1992金属粉のタップ密度試験方法(平成4年3月発行)により測定したものであり、タップ密度が大きいほど、球状に近いことがわかるものである。
前記略球状粉末のタップ密度が3.7Mg/m未満であると、非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した成形体の密度が低くなる。
上記略球状粉末のタップ密度は、水アトマイズ法で本発明の非晶質軟磁性合金粉末を製造する際の水噴射角等の製造条件をコントロールすることにより制御できる。特に非晶質軟磁性合金粉末のタップ密度は、水噴射角θの影響を受けやすく、水噴射角が小さい程、タップ密度が大きくなる。ただし、水噴射角が小さくなり過ぎると、溶湯の粉砕能力が低下し、得られる非晶質合金粉末の粒径が大きくなり、さらに冷却能力が低回し収率が低下する。
【0017】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は酸素濃度が3000ppm以下であることが好ましい。水アトマイズ法により非晶質軟磁性合金粉末を製造する際は作製する非晶質軟磁性合金粉末と同組成あるいは略同じ組成の非晶質軟磁性合金溶湯に高圧水を噴射して粉砕、冷却して略球状粉末を形成後、これを乾燥させるが、これらの工程は大気雰囲気中で行うので、ガスアトマイズ法で製造する場合と比べて非晶質軟磁性合金粉末に酸素が混入し易く、特に、乾燥工程で酸素が混入し易い。
前記略球状粉末の酸素濃度が3000ppmを越えると、酸素濃度が高くなり過ぎて粉末表面に錆が発生し易くなり、非晶質軟磁性合金粉末の磁気特性が低下し、また、この非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した磁心の損失が増大し、透磁率が低下する。
【0018】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は比表面積が0.30m/g以下であることが好ましい。ここでの比表面積は、BET法により測定されたものである。BET法は、粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ,その量から試料の比表面積を求める方法であり、最も良く利用されるのが不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法が採用される。
前記略球状粉末の比表面積が高くなるにしたがって粉末形状に凹凸が多くなり、しかも酸素濃度が高くなるため、比表面積の上限を0.30m/gとすることで、錆が発生しにくい略球状の非晶質軟磁性合金粉末が得られる。また、前記略球状粉末の比表面積が高いと、粉末間の絶縁がとりにくくなり、また、この非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した磁心の成形密度が低下してしまう。また、前記非晶質軟磁性合金粉末の比表面積が0.30m/g以下であることが、軟磁性合金粉末を用いて作製した磁心の透磁率、直流重畳特性を向上できる。
【0019】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ45μm以下であり、タップ密度が3.7Mg/m以上、比表面積が0.3m/g以下、酸素濃度が3000ppm以下であるものであってもよい。
かかる構成の非晶質軟磁性合金粉末によれば、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を450kW/m以下とすることができ、また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜80とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)を30〜34.5とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に使い易い。
【0020】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末において、前記略球状粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ16μm以下であり、タップ密度が4.0Mg/m以上、比表面積が0.23m/g以下、酸素濃度が2000ppm以下であることが好ましい。
かかる構成の非晶質軟磁性合金粉末によれば、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を250kW/m以下とすることができ、また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜75とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)を30〜36とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に好ましい特性を備えることができる。
【0021】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、下記の組成式で表されるものであることが好ましい。
Fe100−x−y−z−w−tSi
ただし、MはCr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選ばれる1種または2種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、tは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。
【0022】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末においては、前記組成式中の組成比を示すy、z、w、tは、17原子%≦(y+z+w+t)≦29.5原子%なる関係を満たすことが好ましい。
【0023】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末においては、上記組成式中の組成比を示すx、y、z、w、tは、1原子%≦x≦4原子%、4原子%≦y≦14原子%、0原子%<z≦6原子%、2原子%≦w≦10原子%、2原子%≦t≦8原子%、72原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%なる関係を満たすことが好ましい。
【0024】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末においては、上記組成式中の組成比を示すx、y、z、w、tは、1原子%≦x≦3原子%、6原子%≦y≦11原子%、1原子%≦z≦4原子%、4原子%≦w≦9原子%、2原子%≦t≦7原子%、73原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦78原子%なる関係を満たすことが好ましい。
【0025】
上記のいずれかの組成式で表される非晶質軟磁性合金粉末は、磁性を示すFe及び/または元素Tと、非晶質形成能を有するP、C、B、さらにはSiといった半金属元素とを具備しているので、非晶質相を主相とするとともに優れた軟磁気特性を示す非晶質軟磁性合金を構成することが可能となり、また、水アトマイズ法により製造できるので、不活性ガスを用いるガスアトマイズ法に比べて合金溶湯の冷却速度を高くでき、アモルファス化し易く、組織全体が完全に非晶質相である非晶質軟磁性合金粉末を構成することが可能になる。また、高価なGa等を添加されていなくても、非晶質相を主相とするとともに優れた軟磁気特性を示すことができるので、コストダウンが可能である。
【0026】
また、本発明の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、上記のいずれかの構成の本発明の非晶質軟磁性合金粉末が扁平化されてなることを特徴とする。
かかる扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、表面の凹凸が少ない略球状の本発明の非晶質軟磁性合金粉末を用いているので、アトライタなどにより加工する際に非晶質合金粉末が細かく砕けることがなくなり、均一形状に扁平加工でき、形状の揃った扁平化粒子が得られる。このような扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、電波吸収体等を作製するために、樹脂等の絶縁材に混合すると、これら粉末は層状に並ぶので、密に充填でき、扁平化粒子同士の間の隙間を小さくできる。
【0027】
また、本発明の圧粉コアは、上記のいずれかの構成の本発明の非晶質軟磁性合金粉末の複数又は単数と絶縁材と潤滑剤とが混合され、造粒してなる造粒粉末からなり、前記絶縁材が結着剤となって固化成形されてなることを特徴とする。
かかる圧粉コアによれば、優れた軟磁気特性を示し、しかも嵩密度が高く、表面の凹凸が少なく、略球状に形成された本発明の非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した造粒粉末を固化成形することにより、圧粉コアの成形密度を高くでき、しかも粉末間の絶縁を保つことができ、磁気特性を向上することが可能である。
また、水アトマイズ法により製造された本発明の非晶質軟磁性合金粉末を用いているので、量産性を向上できる。
また、造粒粉末作製後に潤滑剤を添加するのでなく、造粒粉末作製段階で潤滑剤を添加したことにより、造粒粉末を作製する際の非晶質軟磁性合金粉末間の滑りがよく、造粒粉末の製造効率を向上でき、また、造粒粉末内に非晶質軟磁性合金粉末を密に添加できるので、造粒粉末の密度が向上する。
従って、本発明の圧粉コアによれば、量産性が優れ、しかも高強度で、高周波領域において低損失の圧粉コアの提供が可能である。
本発明の圧粉コアは、スイッチング電源のチョークコイルや、アクティブフィルタのリアクトル、トランスの磁心として好適に用いることができる。
【0028】
また、本発明の圧粉コアにおいて、粒径45μm以上500μm以下の造粒粉末の含有量は全造粒粉末の83重量%より大きいことが好ましい。
上記造粒粉末の粒径が45μm未満になると、造粒粉末を圧粉コア作製用金型に流し込む際の流動性が悪く、量産性が低下し、500μmを越えるとコアロスが大きくなってしまう。
また、本発明の圧粉コアにおいて、粒径45μm未満の造粒粉末及び粒径500μmよりも大きい造粒粉末の含有量は、全造粒粉末の17重量%以下であることが好ましい。
粒径45μm未満の造粒粉末及び粒径500μmよりも大きい造粒粉末の含有量が全造粒粉末の17重量%より大きくなると、造粒粉末を圧粉コア作製用金型に流し込む際の流動性が悪くなってしまう。
従って、粒径が45μm以上500μm以下の造粒粉末の含有量が全造粒粉末の83重量%より大きければ、圧粉コア作製用金型に造粒粉末を流し込む際の流動性が良好で、製造効率を向上でき、コアロスが十分に小さく、成形密度が高い圧粉コアが得られる。
【0029】
また、本発明の電波吸収体は、上記のいずれかの構成の本発明の非晶質軟磁性合金粉末又は扁平型非晶質軟磁性合金粉末と、絶縁材とを混合してなることを特徴とする。
かかる電波吸収体によれば、優れた軟磁気特性を示し、しかも嵩密度が高く、表面の凹凸が少なく、略球状に形成された本発明の非晶質軟磁性合金粉末が用いられたことにより、絶縁材に密に充填できるので、数百MHz〜数GHzの周波数帯域での電磁波抑制効果を向上させることが可能になる。また、水アトマイズ法により製造された本発明の非晶質軟磁性合金粉末を用いているので、量産性を向上できる。
特に、本発明の扁平型非晶質軟磁性合金粉末(扁平化粒子)が用いられたものにあっては、これらの粒子は絶縁材中で層状に並んでおり、さらに密に充填でき、扁平化粒子同士の間の隙間を小さくでき、また、上記扁平化粒子は略球状のままの非晶質軟磁性合金粉末に比較してアスペクト比が大きくなり、電波吸収体自体のインピーダンスが高くなり、渦電流の発生が抑制される。
従って、本発明の電波吸収体によれば、量産性が優れ、しかも数百MHz〜数GHzの周波数帯域における複素透磁率の虚数部μ”が高くなり、電磁波抑制効果を向上させた電波吸収体の提供が可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(非晶質軟磁性合金粉末の実施形態)
本発明の実施形態の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により形成された略球状粉末である。また、この略球状粉末は、Feを主成分とし、P、C、Bを少なくとも含む非晶質相からなるものである。さらにこの略球状粉末は、ΔT=T−T(ただしTは結晶化開始温度、Tはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上を示すものである。
【0031】
本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、非晶質の粉末を作る上で必要な非晶質形成能を十分に維持しつつ、しかも従来のFe−Al−Ga−C−P−Si−B系合金よりも磁気特性を向上させることができ、なおかつ、水アトマイズ法により球状に近い形状に形成できるものである。さらに、水アトマイズ法に耐え得る耐食性を得ることができるものである。また、Gaが添加されていなくても非晶質化できるため、低コストとすることができ、さらには高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備えることができる。
本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、磁性を示すFeと、非晶質形成能を有するP、C、Bといった半金属元素とを具備しているので、非晶質相を主相とするとともに優れた軟磁気特性を示す。また、P、C、Bに加えてSiを添加しても良い。
また、M(Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auのうちの1種又は2種以上の元素素)を添加して耐食性を向上させても良い。
【0032】
この非晶質軟磁性合金粉末は、20K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す略球状の金属ガラス合金粉末であり、組成によってはΔTxが30K以上、さらには50K以上という顕著な温度間隔を有し、また、軟磁性についても室温で優れた特性を有している。
本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、従来のFe−Al−Ga−C−P−Si−B系合金よりも強磁性元素であるFeを多く含むために高い飽和磁化を示す。
また、本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末は、組織全体が完全な非晶質相であることから、適度な条件で熱処理した場合に結晶質相が析出することなく内部応力を緩和でき、軟磁気特性をより向上させることができる。
また、水アトマイズ法により作製した本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末は、ガスアトマイズ法により作製した従来の球状の非晶質軟磁性合金粉末と同等あるいはそれ以上の飽和磁化を示すことができる。
【0033】
水アトマイズ法により略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造できるのは、本発明の非晶質軟磁性合金粉末の製造に用いる合金溶湯(溶融状態の合金)は、本発明の非晶質軟磁性合金粉末と同組成あるいは略同じ組成のものを用いるので上記のように非晶質形成能を有する元素が含まれており、しかも過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上と大きいために、水アトマイズ法により合金溶湯(溶融状態の合金)を粉砕、冷却する際に、一般的な水アトマイズ法の冷却速度をガスアトマイズ法と同程度に遅くしても広い過冷却液体領域を有し、結晶化することなく温度の低下に伴って、ガラス遷移温度Tgに至って非晶質相を容易に形成できる。また、合金溶湯を冷却する際の冷却速度は合金溶湯に十分に表面張力が作用する程度に冷却速度を制御することにより、略球状、すなわち、比表面積の小さな非晶質軟磁性合金粉末を得ることができる。このためには、酸化されにくく、遅い冷却速度でも非晶質化できる前述した合金組成が必要となる。
【0034】
本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、アスペクト比の平均が1以上3以下であることが先に述べた理由から好ましく、アスペクト比の平均が1以上2以下であることがより好ましく、1以上1.5以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、平均粒径(D50)が45μm以下であることが先に述べた理由から好ましく、D50 が4μmより大きく、30μm以下であることがより好ましく、4μm以上16μm以下であることがさらに好ましい。非晶質軟磁性合金粉末のD50が4μm以下なると、粉末収量が減り、また、見かけの酸素濃度が高くなる。
【0035】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、タップ密度が3.7Mg/m以上であることが先に述べた理由から好ましく、3.9Mg/m以上であることがより好ましく、4.0Mg/m以上であることがさらに好ましい。
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、酸素濃度が3000ppm以下であることが先に述べた理由から好ましく、2500ppm以下であることがより好ましく、2000ppmであることがさらに好ましい。
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は先に述べた理由により比表面積が0.30m/g以下であることが好ましく、0.26m/g以下であることがより好ましく、0.23m/g以下であることがさらに好ましい。
【0036】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ45μm以下であり、タップ密度が3.7Mg/m以上、比表面積が0.3m/g以下、酸素濃度が3000ppm以下の場合に、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を450kW/m以下にでき、また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜80とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)30〜34.5とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に使い易い。
【0037】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ16μm以下であり、タップ密度が4.0Mg/m以上、比表面積が0.23m/g以下、酸素濃度が2000ppm以下の場合に、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を250kW/m以下にでき、また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜75とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)を30〜36とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に好ましい特性を備えることができる。
【0038】
本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末の一例として、下記組成式で表すものを挙げることができる。Fe100−x−y−z−w−tSi
ただし、MはCr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選ばれる1種または2種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、tは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。
【0039】
また、上記の組成式で表される非晶質軟磁性合金粉末の前記組成式中の組成比を示すy、z、w、tは、17原子%≦(y+z+w+t)≦29.5原子%なる関係を満たすことが好ましい。
【0040】
以下に、本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末の組成限定理由について説明する。
Feは磁性を担う元素であって、本発明の非晶質軟磁性合金粉末に必須の元素である。
Feの組成比を高くすると、非晶質軟磁性合金粉末の飽和磁化σsを向上できる。
【0041】
Feの添加量は、70原子%以上79原子%以下であることが好ましく、72原子%以上79原子%以下であることがより好ましく、73原子%以上78原子%以下であることが更に好ましい。
Feの添加量が70原子%未満では、飽和磁化σsが150×10−6Wb・m/kg未満に低下してしまうので好ましくない。また、Feの添加量が79原子%を越えると、合金の非晶質形成能の程度を示すTg/Tmが0.57未満になり、非晶質形成能が低下するので好ましくない。上記Tmは、合金の融点である。
【0042】
尚、Feの添加量が76原子%以上であれば合金粉末の飽和磁化σsを170×10−6Wb・m/kg以上にでき、77原子%以上であれば合金の飽和磁化σsを180×10−6Wb・m/kg以上にできる。
【0043】
また、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hfは、合金粉末表面に不動態化酸化皮膜を形成でき、合金粉末の耐食性を向上できる。
これらの元素のうち耐食性の向上に最も効果があるものはCrである。水アトマイズ法において、合金溶湯が直接水に触れたとき、更には合金粉末の乾燥工程において生じる錆の発生を防ぐことができる(目視レベル)。また、これらの元素は単独添加するか、あるいは2種以上の組み合わせで複合添加しても良く、例えば、Mo、VとMo、CrとV、Cr及びCr、Mo、V等の組合せで複合添加しても良い。これらの元素のうち、Mo,Vは耐食性がCrより若干劣るものの非晶質形成能が向上するため、必要に応じてこれらの元素を選択する。また、Cr、Mo、W、V、Nb、Taのうちから選択される元素の添加量が8原子%を超えると、磁気特性(飽和磁化)が低下してしまう。
【0044】
また、上記組成式中の元素Mとして採用される元素のうちガラス形成能はZr、Hfが最も高い。Ti、Zr、Hfは酸化性が強いため、これらの元素が8原子%を超えて添加されていると、大気中で合金粉末原料を溶解すると原料溶解中に溶湯が酸化し、また、磁気特性(飽和磁化)が低下してしまう。
【0045】
また、合金粉末の耐食性向上効果は、Pt、Pd、Auのうちから選択される1種又は2種以上の貴金属元素の添加によっても得られ、これら貴金属元素を粉末表面に分散することにより、耐食性が向上する。また、これらの貴金属元素は単独添加あるいは上記のCr等の耐食性向上効果のある元素との組み合わせてで複合添加しても良い。上記の貴金属元素はFeと混じり合わないため、8原子%超えて添加されているとガラス形成能が低下し、また、磁気特性(飽和磁化)も低下する。
非晶質軟磁性合金粉末に耐食性を持たせるためには、上記Mの添加量は0.5原子%以上とする必要がある。
【0046】
従って、組成式中のMは、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選ばれる1種または2種以上の元素であり、特に、Cr、Mo、W、V、Nb、Taのうちの1種または2種以上を用いるのが好ましい。上記Mの組成比xは、0.5原子%以上8原子%以下であることが好ましく、1原子%以上4原子%以下であることが好ましく、1原子%以上3原子%以下でであることがさらに好ましい。
【0047】
C、P、B及びSiは、非晶質形成能を高める元素であり、Feと上記Mにこれらの元素を添加して多元系とすることにより、Feと上記Mのみの2元系の場合よりも安定して非晶質相が形成される。
特にPはFeと低温(約1050℃)で共晶組成を持つため、組織の全体が非晶質相になるとともに過冷却液体の温度間隔ΔTxが発現しやすくなる。
またPとSiを同時に添加すると、過冷却液体の温度間隔ΔTxがより大きくなって非晶質形成能が向上し、非晶質単相の組織を得る際の製造条件を比較的簡易な方向に緩和できる。
【0048】
Siを無添加とした場合におけるPの組成比yは、2原子%以上15原子%以下であることが好ましく、4原子%以上14原子%以下であることがより好ましく、6原子%以上11原子%以下であることが最も好ましい。Pの添加量が2原子%未満では、非晶質軟磁性合金粉末が得られず、15原子%を超えると、飽和磁化が低下してしまう。
Pの組成比yが上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxが発現して合金粉末の非晶質形成能が向上する。
【0049】
また、Siを添加すると熱的安定性が向上するため、2原子%以上添加されていることが好ましい。また、Siの添加量が8原子%を超えると、融点が上昇してしまう。従ってSiの組成比tは、0原子%以上8原子%以上であることが好ましく、2原子%以上8原子%以下であることがより好ましく、2原子%以上7原子%以下であることがさらに好ましい。
【0050】
また、Bの添加量が2原子%未満では非晶質軟磁性合金粉末が得られ難く、12原子%を超えると融点が上昇してしまい。従って、Bの組成比wは、1原子%以上12原子%以下であることが好ましく、2原子%以上10原子%であることが好ましく、4原子%以上9原子%以下であることがさらに好ましい。
【0051】
また、Cを添加すると熱的安定性が向上するため、1原子%以上添加されていることが好ましい。また、Cの添加量が8原子%を超えると、融点が上昇してしまう。従って、Cの組成比zは、0原子%を超えて8原子%以下であることが好ましく、0原子%を超えて6原子%以下であることがより好ましく、1原子%以上4原子%以下であることがさらに好ましい。
【0052】
そして、これらの半金属元素C、P、B及びSiの合計の組成比(y+z+w+t)は、17原子%以上29.5原子%以下であることが好ましく、18原子%以上26原子%以下とすることがより好ましく、18原子%以上25原子%以下とすることが更に好ましい。
半金属元素の合計の組成比が29.5原子%を越えると、特にFeの組成比が相対的に低下し、飽和磁化σsが低下するので好ましくない。半金属元素の合計の組成比が17原子%未満では、非晶質形成能が低下し非晶質相単相組織が得られにくい。
【0053】
また、Feの組成比が76原子%以上のときに、半金属元素C、P、B及びSiの合計の組成比(y+z+w+t)を18原子%以上24原子%以下とすることにより、合金粉末の飽和磁化σsを170×10−6Wb・m/kg以上にできる。
更に、Feの組成比が77原子%以上のときに、半金属元素C、P、B及びSiの合計の組成比(y+z+w+t)を18原子%以上23原子%以下とすることにより、合金粉末の飽和磁化σsを180×10−6Wb・m/kg以上にできる。
【0054】
また、本発明の非晶質軟磁性合金粉末においては、上記の組成に、Geが4原子%以下含有されていてもよい。
上記のいずれの場合の組成においても、本発明においては、過冷却液体の温度間隔ΔTxは20K以上、組成によっては35K以上が得られる。
また上記の組成で示される元素の他に不可避的不純物が含まれていても良い。
【0055】
水アトマイズ法により得られた前記組成の本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、室温において磁性を有し、また熱処理によってより良好な磁性を示す。このため優れた軟磁気特性を有する材料として各種の応用に有用なものとなる。
【0056】
本発明の略球状の非晶質軟磁性合金粉末を水アトマイズ法により製造する一例について説明する。
本発明に用いられる水アトマイズ法は、大気雰囲気中で上述の非晶質軟磁性合金粉末と同じ組成あるいは略同様の組成からなる非晶質軟磁性合金溶湯を高圧水とともにチャンバ内部に霧状に噴霧し、上記合金溶湯を粉砕、急冷して略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造するというものである。
【0057】
図1は、水アトマイズ法による合金粉末の製造に好適に用いられる高圧水噴霧装置の一例を示す断面模式図である。
この高圧水噴霧装置1は、溶湯るつぼ2と、水噴霧器3と、チャンバ4とを主体として構成されている。この高圧水噴霧装置1は、大気雰囲気中に配置されている。
溶湯るつぼ2の内部には合金溶湯5が充填されている。また溶湯るつぼ2には加熱手段たるコイル2aが備えられており、合金溶湯5を加熱して溶融状態に保つように構成されている。そして、溶湯るつぼ2の底部には溶湯ノズル6が設けられており、合金溶湯5は溶湯ノズル6からチャンバ4の内部に向けて滴下される。
【0058】
水噴霧器3は溶湯るつぼ2の下側に配設されている。この水噴霧器3には水導入流路7と、この導入流路7の先端部である水噴射ノズル8とが設けられている。
図示しない液体加圧ポンプ(加圧手段)によって加圧された高圧水10は導入流路7を通って水噴射ノズル8まで導かれ、このノズル8からチャンバ4内部へ高圧水流gとなって噴霧される。
チャンバ4の内部には、高圧水噴霧装置1の周囲の雰囲気と同じ大気雰囲気とされている。チャンバ4内部の圧力は100kPa程度に保たれており、また温度は室温程度に保たれている。
【0059】
略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造するには、まず、溶湯るつぼ2に充填された合金溶湯5を溶湯ノズル6からチャンバ4内に滴下する。同時に、水噴霧器3の水噴射ノズル8から高圧水10を噴射する。噴射された高圧水10は、高圧水流gとなって上記の滴下された溶湯まで達し、噴霧点pにおいて溶湯に衝突して溶湯を霧化するとともに急冷凝固し、先に述べた組成の非晶質相からなる略球状粒末が形成される。これら略球状粉末は水とともにチャンバ4の底部に貯まる。
【0060】
ここで合金溶湯の冷却速度は合金溶湯に十分に表面張力が作用する程度にする。合金溶湯の冷却速度は、合金の組成、目的とする合金粉末の粒径等によって、好適な冷却速度が決まるが、10〜10K/s程度の範囲を目安とすることができる。そして実際には、略球形状に近いものが得られているかどうかと、ガラス相(glassy phase)に結晶相としてのFeB、FeB、FeP等の相が析出するかどうかを確認することで決めることができる。
ついで、これらの略球状粉末を大気雰囲気中で乾燥した後、これらの粉末を分級して、所定の平均粒径を有する球状あるいは球状に近い非晶質軟磁性合金粉末を得る。
【0061】
水アトマイズ法により略球状の非晶質軟磁性合金粉末を製造する際には、水の噴射圧力、噴射流量、合金溶湯流量等をコントロールすることにより合金溶湯の冷却速度を制御し、また、水噴射ノズルスリット幅、水噴射ノズル傾斜角度、水噴射角、合金溶湯の温度や粘度、アトマイジングポイント(粉化点距離)等をコントロールすることにより製造条件を制御することにより、目的とする特性、具体的には、アスペクト比、タップ密度、D50、酸素濃度等が先に述べた範囲になる非晶質軟磁性合金粉末が得られるようにする。
【0062】
得られた非晶質軟磁性合金粉末は必要に応じて熱処理しても良い。熱処理をすることで合金粉末の内部応力が緩和され、非晶質軟磁性合金粉末の軟磁気特性をより向上できる。熱処理温度Taは、合金のキュリー温度Tc以上ガラス遷移温度Tg以下の範囲が好ましい。熱処理温度Taがキュリー温度Tc未満であると、熱処理による軟磁気特性向上の効果が得られないので好ましくない。また熱処理温度Taがガラス遷移温度Tgを越えると、合金粉末組織中に結晶質相が析出しやすくなり、軟磁気特性が低下するおそれがあるので好ましくない。
また熱処理時間は、合金粉末の内部応力を充分に緩和させるとともに結晶質相の析出のおそれのない範囲が好ましく、例えば30〜300分の範囲が好ましい。
【0063】
本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により製造できるので、製造装置の大型化が可能であり、しかも合金溶湯を高圧で粉砕可能であるので量産性を向上でき、また、高価な不活性ガスを使用しなくても済むので製造コストを低減できる。
さらに本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により球形状に近い形状に形成されているので、嵩密度が高く、表面の凹凸が少ないことから、成形密度を高くでき、圧粉コア等を作製するために樹脂等の絶縁材と混合して固化成形した場合、粉末間の絶縁を保つことができるため、圧粉コア作製用の軟磁性合金粉末として有用である。
また、本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末は、球形状に近い形状のものであるので、電波吸収体を作製するために、この非晶質軟磁性合金粉末をアトライタなどにより加工する際、形状の揃った扁平化粒子が得られ、また、粒径を制御し易くいため、電波吸収体作製用の軟磁性合金粉末として有用である。
【0064】
(扁平型非晶質軟磁性合金粉末の実施形態)
本発明の実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、上記のいずれかの構成の実施形態の略球状の非晶質軟磁性合金粉末が扁平化されてなるものである。
ここで非晶質軟磁性合金粉末を扁平化する方法としては、例えば、実施形態の略球状の非晶質軟磁性合金粉末をアトライタに投入し、10分〜16時間の範囲で粉砕混合することにより、扁平化された非晶質軟磁性合金粉末を主として含む非晶質軟磁性合金粉末が得られる。ここで扁平化する前の非晶質軟磁性合金粉末には、熱処理が施されていないことが好ましい。
【0065】
アトライタによる粉砕混合は10分〜16時間の範囲で行うことが好ましく、4〜8時間の範囲がより好ましい。
粉砕混合の時間が10分未満だと、扁平化が不十分なために扁平型非晶質軟磁性合金粉末子のアスペクト比を1以上、例えば10以上にできない傾向があり、粉剤混合の時間が16時間を超えると、扁平型非晶質軟磁性合金粉末のアスペクト比が80以上を越えるようになる。扁平型非晶質軟磁性合金粉末の厚さが0.1〜5μmの範囲(好ましくは1〜2μm)であるとともに長径が1〜80μm(好ましくは2〜80μm)の範囲のものが好ましい。
得られた扁平型非晶質軟磁性合金粉末には必要に応じて先に述べた実施形態と同様にして熱処理しても良い。
【0066】
本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、表面の凹凸が少ない略球状の本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末を用いているので、アトライタなどにより加工する際に非晶質合金粉末が細かく砕けることがなくなり、均一形状に扁平加工でき、形状の揃った扁平化粒子が得られる。このような扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、電波吸収体等を作製するために、樹脂等の絶縁材に混合すると、これら粉末は層状に並ぶので、密に充填でき、扁平化粒子同士の間の隙間を小さくできる。
【0067】
(圧粉コアの実施形態)
本発明の実施形態の圧粉コア(圧粉磁心)は、上記の本実施形態の略球状の非晶質軟磁性合金粉末の複数又は単数と、絶縁材と、潤滑剤が混合され、造粒してなる造粒粉末からなり、前記絶縁材が結着剤となって固化成形されてなるものである。上記略球状の非晶質軟磁性合金粉末としては、比抵抗が1.5μΩ・m以上のものが好ましい。
この圧粉コアの形状は、例えば図2に示すように、円環状のコア21を例示できるが、形状はこれに限られず、長円環状や楕円環状であっても良い。また平面視略E字状、平面視略コ字状、平面視略I字状等であっても良い。
【0068】
この圧粉コアは、上記造粒粉末が上記絶縁材によって結着されてなるもので、組織中に複数又は単数の非晶質軟磁性合金粉末が存在した状態となっており、非晶質軟磁性合金粉末が溶解して均一な組織を構成しているものではない。また、造粒粉末中の個々の非晶質軟磁性合金粉末は、絶縁材によって絶縁されていることが好ましい。
このように、圧粉コア21には、非晶質軟磁性合金粉末と絶縁材とが混合されて存在するので、絶縁材によって圧粉コア自体の比抵抗が大きくなり、渦電流損失が低減されて高周波領域における透磁率の低下が小さくなる。
【0069】
また、非晶質軟磁性合金粉末の過冷却液体の温度間隔ΔTが20K未満であると、非晶質軟磁性合金粉末と絶縁材と潤滑剤とを混合して作製した造粒粉末を圧縮成形した後に行う熱処理時に、結晶化させずに十分に内部応力を緩和させることが困難になる。
【0070】
特に本実施形態の圧粉コア21は、印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が80A/m以下であることが好ましく、40A/m以下であることがより好ましい。
【0071】
本実施形態の圧粉コアを構成する絶縁材は、圧粉コアの比抵抗を高めるとともに、非晶質軟磁性合金粉末が含まれる造粒粉末を形成できるとともに形成した造粒粉末を結着して圧粉コアの形状を保持するもので、磁気特性に大きな損失とならない材料からなることが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、PVA(ポリビニルアルコール)等の液状又は粉末状の樹脂あるいはゴムや、水ガラス(NaO−SiO)、酸化物ガラス粉末(NaO−B−SiO、PbO−B−SiO、PbO−BaO−SiO、NaO−B−ZnO、CaO−BaO−SiO、Al−B−SiO、B−SiO)、ゾルゲル法により生成するガラス状物質(SiO、Al、ZrO、TiO等を主成分とするもの)等を挙げることができる。
また、絶縁材として各種のエラストマー(ゴム)を用いてもよい。
また、絶縁材とともにステアリン酸塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等)のうちから選択される潤滑剤が同時に用いられる。
【0072】
特に上記の絶縁材のなかでもシリコーン樹脂またはシリコーンゴムが好ましい。
シリコーンゴムは一般に、高重合度の直鎖状オルガノポリシロキサンの架橋体からなるゴム状の弾性を示すものをいう。架橋方法により、高温型と室温型に大別されるが、本発明では室温型が好ましい。室温型のシリコーンゴムは、直鎖状のポリオルガノシロキサンに、アセトキシル基、アルコキシル基、オキシム基、イソプロペノキシル基等を有するシラン化合物等の架橋剤を反応させて得られるもので、特にアルコキシル基またはオキシム基を有する架橋剤を用いたものが好ましい。
また、シリコーン樹脂は一般に、高度な三次元的網目構造を有するオルガノポリシロキサンの重合体をいう。オルガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランの加水分解重縮合や環状シロキサンの開環重合により製造される。
【0073】
上記のシリコーンゴムのうち、アルコキシル基を有する架橋剤により架橋して得られたシリコーンゴムは、腐食性が少なく、耐腐食性に優れた圧粉磁心を構成できる。また、分子内にノルマルブチル基を有するシラン化合物を含む架橋剤を用いて得られたシリコーンゴムは、特に弾性に優れる性質を有する。
従って本実施形態の圧粉コアに対し、ノルマルブチル基を有するシラン化合物を含む架橋剤により得られたシリコーンゴムを用いると、硬化応力が小さいため、非晶質軟磁性合金粉末に残留する内部応力が小さくなり、非晶質軟磁性合金粉末の軟磁気特性が向上する。これにより、圧粉コアの保磁力及びコアロスを大幅に低減させることができる。
【0074】
本実施形態の圧粉コア1に用いられる造粒粉末の粒径は、先に述べた理由により粒径45μm以上500μm以下が好ましく、45μm以上300μm以下がより好ましく、45μm以上150μm以下がさらに好ましい。
また、粒径45μm以上500μm以下の造粒粉末の含有量は圧粉コア1を構成する全造粒粉末の83重量%より大きいこと、あるいは、粒径45μm未満の造粒粉末及び粒径500μmよりも大きい造粒粉末の含有量(混入量)は、全造粒粉末の17重量%以下であることが造粒粉末を圧粉コア作製用金型に流し込む際の流動性を良好にでき、量産性を向上できる点で好ましく、15重量%以下であることがより好ましい。
【0075】
次に、本実施形態の圧粉コアの製造方法の例を図面を参照して説明する。
本発明の圧粉コアの製造方法は、水アトマイズ法により得られた実施形態の略球状の非晶質軟磁性合金粉末と上記絶縁材と上記潤滑剤を加えて混合、造粒して造粒粉末を形成する工程と、形成した造粒粉末を圧縮成形してコア前駆体を形成する成形工程と、上記コア前駆体を、(T−170)K以上(T)K以下の温度で熱処理して上記コア前駆体の内部応力を除去する熱処理工程とからなる。
【0076】
造粒粉末を形成する工程において、上記非晶質軟磁性合金粉末と絶縁材と潤滑剤を混合した混合物中の絶縁材の混合率は、0.3重量%以上5重量%以下であることが好ましく、1重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。
絶縁材の混合率が0.3重量%未満では、非晶質軟磁性合金粉末と潤滑剤をこの絶縁材とともに所定の形状に成形できなくなるので好ましくない。また、混合率が5重量%を越えると、造粒粉末における非晶質軟磁性合金粉末の添加密度が低下し、造粒粉末を用いて作製した圧粉コア中の非晶質軟磁性合金粉末の含有率が低下し、圧粉コアの軟磁気特性が低下するので好ましくない。
【0077】
また、上記混合物中の潤滑剤の混合率は、0.1重量%以上2重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上1重量%以下であることがより好ましい。
潤滑剤の混合率が0.1重量%未満では、非晶質軟磁性合金粉末の流動性をあまり向上できないため、造粒粉末の製造効率の向上をあまり期待できず、また、造粒粉末における非晶質軟磁性合金粉末の添加密度が低下し、その結果、圧粉コアの軟磁気特性が低下するので好ましくない。また、潤滑剤が2重量%を越えると、造粒粉末における非晶質軟磁性合金粉末の添加密度が低下し、また、圧粉コアの機械的強度が低下するので好ましくない。
上記造粒粉末形成したならば、形成した造粒粉末を分級して、粒径45μm以上500μm以下の範囲のもの、より好ましくは45μm以上300μm以下の範囲のもの、さらに好ましくは45μm以上150μm以下の範囲のものを選択し、後工程で用いる。分級には、ふるい、振動ふるい、音波ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
【0078】
次に上記造粒粉末を圧縮成形して磁心前駆体を形成する成形工程を行う。
また、圧縮成形する前に造粒粉末中に含まれる溶剤、水分等を蒸発させ、非晶質軟磁性合金粉末の表面に絶縁材層を形成させることが望ましい。
【0079】
次に造粒粉末を圧縮成形して磁心前駆体を製造する。コア前駆体の製造には、図3に示すような金型110を用いる。この金型110は、中空円筒型のダイ111と、このダイ111の中空部111aに挿入される上パンチ112および下パンチ113からなる。
上パンチ112の下面には円柱状の突起112aが設けられており、これら上パンチ112、下パンチ113及びダイ111が一体化して、金型110の内部に円環状の型が形成される。そしてこの金型110に上述の造粒粉末を充填する。
【0080】
次に、金型110に充填された造粒粉末を、一軸圧力を印加しつつ室温または所定の温度まで加熱して圧縮成形する。
図4には、圧縮成形する際に用いて好適な放電プラマ焼結装置の一例の要部を示す。この例の放電プラズマ焼結装置は、混合物を充填した金型110と、金型110の下パンチ113を支え、後述するパルス電流を流す際の一方の電極ともなるパンチ電極114と、金型110の上パンチ112を下側に押圧し、パルス電流を流す他方の電極となるパンチ電極115と、金型110内の造粒粉末の温度を測定する熱電対17を主体として構成されている。
そして、この放電プラズマ焼結装置は、チャンバ118内に収納されており、このチャンバ118は図示略の真空排気装置および雰囲気ガスの供給装置に接続されていて、金型110に充填される造粒粉末を不活性ガス雰囲気などの所望の雰囲気下に保持できるように構成されている。
なお、図4では通電装置が省略されているが、上下のパンチ112、113およびパンチ電極114、115には別途設けた通電装置が接続されていてこの通電装置からパルス電流をパンチ112、113およびパンチ電極114、115を介して通電できるように構成されている。
【0081】
そして、上記の造粒粉末が充填された金型110を放電プラズマ焼結装置に設置し、チャンバ118の内部を真空引きするとともに、パンチ112、113で上下から一軸圧力Pを混合物に印加すると同時に、パルス電流を印加して造粒粉末を加熱しつつ圧縮成形する。
この放電プラズマ焼結処理においては、通電電流により造粒粉末を所定の速度で素早く昇温することができ、圧縮成形の時間を短くすることができるので、非晶質軟磁性合金粉末の非晶質相を維持したまま圧縮成形するのに適している。
【0082】
本発明において、上記の造粒粉末を圧縮成形する際の温度は、絶縁材の種類と非晶質軟磁性合金粉末の組成によって異なるが、絶縁材として水ガラス、非晶質軟磁性合金粉末としてFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成のものを用いた場合には、絶縁材によって造粒粉末同士を結着させるために373K(100℃)以上とすることが必要であり、また絶縁材が溶融して金型110からしみ出さないようにするには673K(400℃)以下とすることが必要である。絶縁材がしみ出ると、圧粉コア中の絶縁材の含有量が低下して圧粉コアの比抵抗が低下し、高周波帯域における透磁率が低下してしまう。
373K(100℃)以上673K(400℃)以下の温度範囲で造粒粉末を圧縮成形すれば、絶縁材が適度に硬化するので、造粒粉末を結着させて所定の形状に成形することができる。
【0083】
また圧縮成形の際に造粒粉末に印加する一軸圧力Pについては、圧力が低すぎると圧粉コアの密度を高くすることができず、緻密な圧粉コアを形成できなくなる。また圧力が高すぎると絶縁材がしみ出し、圧粉コア中の絶縁材の含有量が低下して圧粉コアの比抵抗が低下し、高周波帯域における透磁率が低下してしまう。従って一軸圧力Pは、絶縁材の種類と非晶質軟磁性合金粉末の組成によって異なるが、絶縁材として水ガラス、非晶質軟磁性合金粉末としてFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成のものを用いた場合には、600MPa以上1500MPa以下とするのが好ましく、600MPa以上900MPa以下とするのがより好ましい。
このようにして円環状の磁心前駆体が得られる。
なお、金型110に充填された造粒粉末を、一軸圧力を印加しつつ室温で圧縮成形する場合は、通電装置が接続されていない以外は図4に示すような装置と同様の構成のプレス装置を用いて円環状の磁心前駆体を作製することもできる。
【0084】
また、絶縁材としてシリコーンゴムを用いる場合には、上記の成型工程において、造粒粒子を常温で圧縮成形することにより、所定の形状の磁心前駆体を得ることができる。
【0085】
また、シリコーンゴムは弾性を有するため、硬化応力が小さく、非晶質軟磁性合金粉末に残留する内部応力が小さい。このため、磁歪の影響が取り除かれて非晶質軟磁性合金粉末の軟磁気特性が向上する。これにより、圧粉コアの保磁力及びコアロスを大幅に低減させることができる。
特に、前述したように、分子内にノルマルブチル基を有するシラン化合物を含む架橋剤を用いて得られたシリコーンゴムは特に弾性に優れるため、特に硬化応力が小さく、非晶質軟磁性合金粉末に残留する内部応力が極めて小さくなって非晶質軟磁性合金粉末の軟磁気特性が更に向上し、圧粉コアの保磁力及びコアロスを更に大幅に低減させることができる。
【0086】
シリコーンゴムを用いた場合において、圧縮成形の際に造粒粉末に印加する圧力については、圧力が低すぎると圧粉コアの密度を高くすることができず、緻密な圧粉コアを形成できなくなる。また、圧力が高すぎると、ダイ、パンチの消耗が激しく、成形時に生じる応力を除去するために、長時間の熱処理が必要となる。従って圧力は、非晶質軟磁性合金粉末の組成によって異なるが、非晶質軟磁性合金粉末としてFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成のものを用いた場合には、500MPa以上2500MPa以下とするのが好ましく、1000MPa以上2000MPa以下とするのがより好ましい。
【0087】
また、特に圧粉コアを構成する造粒粉末に含まれる非晶質軟磁性合金粉末として、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ45μm以下であり、タップ密度が3.7Mg/m以上、比表面積が0.3m/g以下、酸素濃度が3000ppm以下のものを用いた場合には、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を450kW/m以下にでき、従来の圧粉コアのコアロスよりも大幅に低減できる。また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜80とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)を30〜34.5とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に使い易い。
また、上記非晶質軟磁性合金粉末として、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ16μm以下であり、タップ密度が4.0Mg/m以上、比表面積が0.23m/g以下、酸素濃度が2000ppm以下のものを用いた場合には、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのコアロス(W)を250kW/m以下にできる。また、周波数1MHzまでの複素透磁率の実数部μ’を57〜75とほぼ一定にでき、直流バイアス磁界5500Am−1のときの直流重畳特性(μ’DC5500)を30〜36とほぼ一定にできるため、磁心に用いる場合に好ましい特性を備えることができる。
【0088】
次に上記のコア前駆体を熱処理してコア前駆体の内部応力を除去する熱処理工程を行う。コア前駆体を所定の温度範囲で熱処理すると、粉末製造工程や成形工程にて生じたコア前駆体自体の内部応力や、コア前駆体に含まれる非晶質軟磁性合金粉末の内部応力を除去することができ、保磁力が低い圧粉コアを製造することができる。
熱処理の温度は、(T−170)K以上(T)K以下の範囲が好ましく、(T−160)K以上(T−5)K以下の範囲がより好ましく、(T−140)K以上(T−10)K以下の範囲がさらに好ましく、(T−110)K以上(T−10)K以下の範囲が最も好ましい。
【0089】
コア前駆体を(T−160)K以上(T−5)K以下の温度範囲で熱処理すると、例えば印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が100A/m以下の圧粉コアを製造することができ、(T−140)K以上(T−10)K以下の温度で熱処理すると、例えば印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が80A/m以下の圧粉コアを得ることができ、更に上記コア前駆体を(T−110)K以上(T−10)K以下の温度で熱処理すると、例えば印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が40A/m以下の圧粉コアを得ることができる。
【0090】
熱処理温度が(T−170)K未満では、コア前駆体の内部応力を十分に除去することができないので好ましくなく、(T)Kを越えると、非晶質軟磁性合金粉末が結晶化し、保磁力が大きくなってしまうので好ましくない。
【0091】
例えば、Fe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成の非晶質軟磁性合金粉末の場合には、Tは780Kであり、熱処理温度を610K(337℃)〜780K(507℃)の範囲とすることが好ましく、620K(347℃)〜775K(502℃)の範囲とすることがより好ましく、640K(367℃)〜770K(497℃)の範囲とすることがさらに好ましく、670K(397℃)〜770K(497℃)の範囲とすることが最も好ましい。
【0092】
特に絶縁材としてシリコーンゴムを用いた場合には、熱処理温度を670K(397℃)〜770K(497℃)の範囲とすることが好ましい。シリコーンゴムを用いた場合に熱処理温度が670K未満であると、コア前駆体の内部応力を十分に除去することができないので好ましくなく、熱処理温度が773Kを越えると、シリコーンゴムが過度に分解し、圧粉コアの強度が低下するので好ましくない。
また、絶縁材としてシリコーンゴムを用いた場合には、熱処理の雰囲気を、真空雰囲気あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましく、特に窒素ガス雰囲気とすることがより好ましい。
このように熱処理することにより、本実施形態の円環状の圧粉コア21が得られる。
【0093】
このようにして得られた圧粉コア21は、本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末を含むものであるから、室温で優れた軟磁性特性を有し、また熱処理によってより良好な軟磁気特性を示す。
このため、優れた軟磁気特性を有する材料として、この圧粉コアを種々の磁気素子の磁心として適用することができ、従来材に比べて優れた軟磁気特性を有する磁心を得ることができる。
【0094】
尚、上記説明では、造粒粉末を放電プラズマ焼結装置により圧縮成形する方法を用いたが、これに限らず、通常の粉末成形法、ホットプレス法、押し出し法などの方法により圧縮成形することによっても本発明の圧粉コアを得ることができる。
【0095】
また、上記説明では、金型を用いて円環状の圧粉コアを製造する方法を説明したが、これに限られず、バルク状の成形体を製造し、これを切削加工して、円環状、棒状、平面視略E字状、平面視略コ字状等の形状に切り出すことにより種々の形状の圧粉コアを製造しても良い。
【0096】
実施形態の圧粉コアによれば、優れた軟磁気特性を示し、しかも嵩密度が高く、表面の凹凸が少なく、略球状に形成された本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末を用いて作製した造粒粉末を固化成形したものであるので、圧粉コアの成形密度を高くでき、しかも粉末間の絶縁を保つことができ、磁気特性を向上することが可能である。 また、水アトマイズ法により製造された本実施形態の非晶質軟磁性合金粉末を用いているので、量産性を向上できる。
また、造粒粉末作製後に潤滑剤を添加するのでなく、造粒粉末作製段階で潤滑剤を添加したことにより、造粒粉末を作製する際の非晶質軟磁性合金粉末間の滑りがよく、造粒粉末の製造効率を向上でき、また、造粒粉末内に非晶質軟磁性合金粉末を密に含有できるので、造粒粉末の密度が向上し、その結果、軟磁気特性が優れた圧粉コアが得られる。
【0097】
また、水アトマイズ法により得られた非晶質軟磁性合金粉末は、平均粒径が小さく、かつ略球状粒子からなるので、この非晶質軟磁性合金粉末を圧粉コアに用いると、飽和磁化が高く、コアロスが低く、印加磁界の変化に対する透磁率の変化率(振幅透磁率)及び印加磁界の変化に対するインダクタンスの変化率(直流重畳特性)に優れた圧粉コアを得ることができる。
なお、本実施形態の造粒粉末を用いた圧粉コアとしては、先に述べた形状に限らず、図6に示すようなJ字型の圧粉コア41や、図7に示すような円環の一部に切り欠け部を形成した形状の溝を有する圧粉コア51も本発明の圧粉コアである。これらの圧粉コア41や51の製造方法は、金型形状が異なる以外は先に述べた実施形態の圧粉コア21の製造方法と同様にして圧縮成形により製造でき、あるいは、バルク状の成形体を形成し、これを切削加工して製造することもできる。これら圧粉コア41や51においても先に述べた実施形態の圧粉コア21と同様の作用効果が得られる。
特に、J字型の圧粉コア41は、電磁誘導型加熱器(IH型加熱器)に備えるコイル用磁心として好適に用いることができる。このようなIH型加熱器の概略構成としては、例えば、お釜(被加熱物)の下にコイルが配置され、このコイルの下部にJ字型の圧粉コア41が配置されたものである。IH型加熱器では、コイルによりお釜を加熱するが、コイル用磁心としてコアロスが少ない本実施形態のJ字型の圧粉コア41が備えられることで、発熱の効率が向上したIH型加熱器を実現できる。
【0098】
(電波吸収体の実施形態)
本発明の実施形態の電波吸収体は、上記本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末と、絶縁材とを混合してなるものである。電波吸収体に添加された複数の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、上記絶縁材中で層状に並んでいる。
ここで用いる絶縁材としては、絶縁性と結着剤を兼ねる材料が用いられ、塩化ビニル、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂、塩素化ポリエチレン、シリコン樹脂、シリコンゴム等の熱可塑性樹脂を選択することができ、これら熱可塑性樹脂の中でも、塩素化ポリエチレンが加工性の点で特に好ましい。
この種の塩素化ポリエチレンにおいては、ポリエチレンとポリ塩化ビニルの中間と考えらえる特性を発揮し、塩素含有量としては、例えば、30〜45%、伸び率として例えば420〜800%、ムーニー粘度35〜75(Ms1+4:100℃)などの特性のものを使用することができる。
また、本発明の電波吸収体の他の1つの形態は、上記本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末と、シリコーンエラストマーからなる結着剤とが少なくとも混合され、シート状に固化成形されてなるものである。
また先の電波吸収体には、上記本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末と、結着剤としての樹脂の他に、ステアリン酸アルミニウムからなる潤滑剤が添加されていてもよく、更にシランカップリング剤が添加されていても良い。
【0099】
先の電波吸収体は、上記本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末が結着剤としての樹脂とともに固化成形されているので、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末が樹脂の内部で分散され、しかも樹脂中で層状に並んだ構造とされている。
また、先の他の電波吸収体は、上記本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末がシリコーンエラストマーからなる結着剤とともに固化成形されてなるもので、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末が分散し、しかも結着剤中で層状に並んだ状態となっており、特に個々の扁平型非晶質軟磁性合金粉末がシリコーンエラストマーによって絶縁されていることが好ましい。
これらのように本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末が樹脂の結着剤により絶縁されているので、電波吸収体自体のインピーダンスが高められ、これにより渦電流の発生が抑制されて数百MHz〜数GHzの周波数帯域における複素透磁率の虚数部μ”(以下、虚数透磁率μ”と表記)を幅広い範囲で高くすることができ、高周波帯域での電磁波抑制効果を向上させることができる。
【0100】
先の電波吸収体において、熱可塑性樹脂を結着剤として用いてなるものは、1GHzにおける虚数透磁率μ”が6以上のものである。虚数透磁率μ”が6以上であると、GHz帯域での電磁波抑制効果が向上して、高周波の電波を効果的に遮蔽することができるので好ましい。また、結着剤が軟質のものを選択することにより、電波吸収体として軟質のものを得ることができ、例えば板ガムのように自由に指先の力で変形できる形態のものを得ることができる。例えば前述のシリコーンエラストマーを結着剤としたものよりも遥かに柔軟で変形自在な特徴を有する。
また、先の電波吸収体において、シリコーンエラストマーを結着剤として用いてなるものは、1GHzにおける虚数透磁率μ”が10以上のものを得ることが可能である。虚数透磁率μ”が10以上であると、GHz帯域での電磁波抑制効果が向上して、高周波の電波を効果的に遮蔽することができるので好ましい。
【0101】
またシリコーンエラストマーと塩素化ポリエチレンは、電波吸収体のインピーダンスを高める他に、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末を結着して電波吸収体の形状を保持する。またシリコーンエラストマーは圧縮成形性に優れるので、常温で固化成形しても高強度の電波吸収体を構成できる。更にシリコーンエラストマーと塩素化ポリエチレンは電波吸収体内部でも十分な弾性を示し、例えば1×10−6〜50×10−6の磁歪定数を示す非晶質軟磁性合金粉末用いた場合でも、歪みを緩和させることができ、電波吸収体の内部応力を緩和して虚数透磁率μ”を高めることができる。
【0102】
尚、前述の樹脂にステアリン酸アルミニウムからなる潤滑剤を添加すると、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末が密に充填されて電波吸収体の密度が向上する。これにより虚数透磁率μ”が高くなる。
また、前述の樹脂にシランカップリング剤を添加すると、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末とシリコーンエラストマーとがシランカップリング剤によって強く結合され、扁平型非晶質軟磁性合金粉末の表面にシリコーンエラストマーが均一に被覆される。これにより扁平型非晶質軟磁性合金粉末同士の絶縁性が高められて虚数透磁率μ”が向上する。
【0103】
本実施形態の電波吸収体では、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は絶縁材中で層状に並んでいるので、電波吸収体中に密に充填でき、扁平化粉末同士の間の隙間を小さくでき、また、上記扁平化粉末は略球状のままの非晶質軟磁性合金粉末に比較してアスペクト比が大きくなり、電波吸収体自体のインピーダンスが高くなり、渦電流の発生が抑制される。具体的には、扁平型非晶質軟磁性合金粉末のアスペクト比が1以上であれば、粒子同士の接触が少なくなって電波吸収体自体のインピーダンスが増大し、渦電流の発生が抑制されてGHz帯域における虚数透磁率μ”が6以上になり易く、これにより電波吸収体の電磁波抑制効果が向上する。
扁平型非晶質軟磁性合金粉末のアスペクト比が10以上であれば、粒子同士の接触が更に少なくなって電波吸収体自体のインピーダンスが増大する割合が増加し、渦電流の発生が抑制されてGHz帯域における虚数透磁率μ”が10以上になり易く、これにより電波吸収体の電磁波抑制効果が向上する。
アスペクト比の上限は800以下とするのが好ましい。アスペクト比が800以下であれば、扁平型非晶質軟磁性合金粉末自体の反磁界が過小にならず、低周波数帯域における複素透磁率の実数部μ’(以下、実効透磁率μ’と表記)が低く抑制され、これと対照的に虚数透磁率μ”が6以上になり易く、電磁波抑制効果が向上する。
アスペクト比の上限は300以下とするのがより好ましい。アスペクト比が300以下であれば、扁平化粒子自体の反磁界が過小にならず、低周波数帯域における複素透磁率の実数部μ’(以下、実効透磁率μ’と表記)がより低く抑制され、これと対照的に虚数透磁率μ”が10以上になり易く、電磁波抑制効果がより向上する。
【0104】
本実施形態の電波吸収体の密度は3.0g/cm以上であることが好ましい。密度が3.0g/cm以上であると、扁平型非晶質軟磁性合金粉末が密に充填されて扁平粒子同士の隙間が少なくなり、これによってGHz帯域における虚数透磁率μ”が10以上になり易く、電磁波抑制効果が向上する。
電波吸収体の密度は高いほど好ましいが、あまりに高くなると扁平型粒子が密に充填され過ぎて電波吸収体のインピーダンスが低減し、渦電流が発生して虚数透磁率μ”が低くなる。従って電波吸収体の密度の上限を6.5g/cm以下に設定することが好ましい。
【0105】
本実施形態の電波吸収体における扁平型非晶質軟磁性合金粉末の含有率は、30体積%以上80体積%以下であることが好ましい。扁平型非晶質軟磁性合金粉末の含有率が30体積%以上であれば、磁性体の量が十分となり、電磁波抑制効果を有効に発揮させることができる。また含有率が80体積%以下であれば、合金粉末同士が接触してインピーダンスが低下することがなく、虚数透磁率μ”を確実に高く維持して電磁波抑制効果を有効に発揮させることができる。
シリコーンエラストマーあるいは塩素化ポリエチレンの含有率は、扁平型非晶質軟磁性合金粉末を除いた残部である。
【0106】
潤滑剤を添加する場合には、電波吸収体に対して0.1重量%以上、5重量%以下の範囲で添加することが好ましい。またシランカップリング剤を添加する場合には、電波吸収体に対して0.1重量%以上、2重量%以下の範囲で添加するのが好ましい。
【0107】
本実施形態の電波吸収体によれば、優れた軟磁気特性を示す略球状の非晶質軟磁性合金粉末を扁平化して得られた扁平化非晶質軟磁性合金粉末が用いられたことにより、絶縁材に密に充填できるので、数百MHz〜数GHzの周波数帯域での電磁波抑制効果を向上させることが可能になる。
また、本実施形態の電波吸収体は、水アトマイズ法により製造された本実施形態の略球状の非晶質軟磁性合金粉末を扁平化して作製した扁平化非晶質軟磁性合金粉末と、絶縁材とを混合して得られるので、量産性が優れる。
なお、前述の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は水ガラスで被覆されていても良い。扁平化粒子を水ガラスで被覆すると、粒子同士の絶縁性が更に高められて電波吸収体のインピーダンスが更に向上し、高周波数帯域における虚数透磁率μ”をより高くすることができ、電磁波抑制効果を向上できる。
【0108】
なお、本実施形態の電波吸収体に用いる非晶質軟磁性合金粉末としては、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末を主として含むものであってもよく、また、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末に代えて本実施形態の球状の非晶質軟磁性合金粉末を用いてもよく、また、本実施形態の扁平型非晶質軟磁性合金粉末と球状の非晶質軟磁性合金粉末の混合物であってもよい。
【0109】
【実施例】
[実験例1:FeCrPCB系合金]
Fe、Fe−C合金、Fe−P合金、B及びCrを原料としてそれぞれ所定量秤量し、大気雰囲気下においてこれらの原料を図1に示す高圧水噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに、図1に示す水噴霧器の水噴射ノズルから高圧水を噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金溶湯を急冷させて軟磁性合金粉末を作製する際、製造条件を変更して各種の軟磁性合金粉末(No.1〜3の軟磁性合金粉末)を作製した。
【0110】
得られた各種の軟磁性合金粉末の組成は、いずれもFe75Cr13なる組成であった。
また、上記のFe75Cr13なる組成の各種の軟磁性合金粉末についてX線回折法により組織構造の解析を行ったところ、いずれの合金粉末もX線回折パターンはブロードなパターンを示しており、非晶質相からなる組織から構成されていることが分かった。従って、Fe、Cr、P、C、Bからなる合金であっても、非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末を形成できることがわかる。
また、上記のFe75Cr13なる組成の各種の軟磁性合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、形状を調べた。その結果を表1に示す。
得られた軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値を調べた結果を表1に示す。
【0111】
更に、得られた各種の軟磁性合金粉末のDSC測定(Differential scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めたを測定した。これらの結果を表2に示す。尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であった。なお、表2中のTm*は合金の融解温度を示す。
また、得られた各種の軟磁性合金粉末について、振動試料型磁力計(VSM)により飽和磁化σsを測定した。これらの結果を表2に合わせて示す。
【0112】
次に、得られた軟磁性合金粉末98.3重量%に対し、絶縁材としてシリコーン樹脂を1.4重量%と潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3重量%とを混合、造粒して造粒粉末とした。これら造粒粉末を大気中室温で12時間乾燥した。ついで、乾燥させた造粒粉末を分級して、粒径45μm以上500μm以下の範囲のものを選択し、後工程で用いた。
粒径45μm以上500μm以下の造粒粉末を図3に示すWC製の金型に充填した後、図4に示すようなプレス装置を用い、大気圧、室温のもと上下のパンチ112、113で造粒粉末を成形圧力(Ps)2000MPaまで加圧した。
そして、熱処理温度Tが573K(300℃)〜723K(450℃)で3600秒間熱処理して、各種の圧粉コアを製造した。この圧粉コアの形状は、外径20mm、内径12mm、厚さ7mmの円環状であった。
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)を測定した。ここでのコアロスは、周波数100kHz、磁束密度0.1Tの条件で測定したときのものである。その結果を表2に合わせて示す。
また、得られた各種の圧粉コアの複素透磁率の実数部(実効透磁率ということもある。)μ’と直流重畳特性(μ’DC5500 )を測定した。ここでのμ’は周波数1kHzの条件で測定したときのものであり、μ’DC5500は直流バイアス磁界5500Am−1のときの実効透磁率を測定したものである。その結果を表2に合わせて示す。
【0113】
【表1】
Figure 2004156134
【0114】
【表2】
Figure 2004156134
【0115】
表1、表2に示す結果からNo.1〜2の軟磁性合金粉末は不定形のものが得られており、アスペクト比の平均、D50、比表面積、酸素濃度が大きく、また、タップ密度が小さいことがわかる。このようなNo.1〜2の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアはコアロスが大きく、直流重畳特性が低いことがわかる。No.1〜2の軟磁性合金粉末は酸素濃度が大きいので、熱的安定性が変化すると考えられる。
これに対してNo.3の軟磁性合金粉末は、略球形のものが得られており、比表面積、酸素濃度が小さく、また、タップ密度が大きく、また、No.1〜2のものに比べて飽和磁化σsも高いことがわかる。このNo.3の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアは、No.1〜2の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアに比べて大幅にコアロスを低くでき、また、直流重畳特性については向上していることがわかる。
なお、実験例1においてFe75Cr13なる組成の軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)が9.0μm以上になるようにした場合には、組織が結晶化することが分かった。
【0116】
(実験例2)
Fe、Fe−C合金、Fe−P合金、Cr、B又はBとSiを原料としてそれぞれ所定量秤量し、大気雰囲気下においてこれらの原料を図1に示す高圧水噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに、図1に示す水噴霧器の水噴射ノズルから高圧水を噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金溶湯を急冷させて軟磁性合金粉末を作製する際、製造条件を変更して各種の軟磁性合金粉末(No.4〜14の軟磁性合金粉末)を作製した。
【0117】
得られた軟磁性合金粉末の組成は、Fe100−t−y−z−w−xSiCrなる組成(但し、zは1.2〜7原子%、wは5.6〜8.7原子%、xは1.96原子%〜2原子%、yは8.44〜12.74原子%、tは0〜4.87原子%)であった。なお、前記組成式中のvは、Pの組成比、又はPとSiの合計の組成比を示すものである。
また、上記のFe100−t−y−z−w−xSiCrなる組成の各種の軟磁性合金粉末についてX線回折法により組織構造の解析を行ったところ、いずれの合金粉末もX線回折パターンはブロードなパターンを示しており、非晶質相からなる組織から構成されていることが分かった。従って、Fe、Cr、P、C、B又はB及びSiからなる合金であっても、非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末を形成できることがわかる。
また、上記のFe100−y(−t)−z−w−x(P又はPSi)CCrなる組成の各種の軟磁性合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、形状を調べた。その結果を表3に示す。
得られた軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値を調べた結果を表3に示す。
【0118】
更に、得られた各種の軟磁性合金粉末のDSC測定(Differential scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めたを測定した。これらの結果を表4に示す。尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であった。なお、表4中のTm*は合金の融解温度を示す。
また、得られた各種の軟磁性合金粉末について、実験例1と同様にして飽和磁化σsを測定した。これらの結果を表4に合わせて示す。
【0119】
次に、この実験例2で得られた軟磁性合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして各種の圧粉コアを製造した。
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)を実験例1と同様にして測定した。その結果を表4に合わせて示す。
また、得られた各種の圧粉コアの実効透磁率(μ’)と直流重畳特性(μ’DC5500 )を実験例1と同様にして測定した。その結果を表4に合わせて示す。
【0120】
【表3】
Figure 2004156134
【0121】
【表4】
Figure 2004156134
【0122】
表3、表4に示す結果からNo.4〜12の軟磁性合金粉末は、略球状のものが得られていることがわかる。
No.4と9の軟磁性合金粉末はPとSiの合計の組成比vが15原子%を越えており、ΔTxが46K以下であることがわかる。
これに対してPの組成比又はPとSiの合計の組成比vが15原子%以下のNo.5〜8の軟磁性合金粉末においては、PとSiの両方が添加されている場合の方がPの単独添加に比べてΔTxを大きくでき、PとSiの両方を添加する場合は、組成比vが大きいほどΔTxを大きくでき、非晶質相形成能を向上できることがわかる。なお、実験例2においてFe70.85Cr12.294.65Si3.32なる組成の軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)が9.0μm以上になるようにした場合には、組織が結晶化することが分かった。
【0123】
また、No.10〜12の軟磁性合金粉末においては、Siの添加量の増加に従ってΔTxを大きくでき、非晶質相形成能を向上できることがわかる。
次に、No.13の軟磁性合金粉末は不定形のものが得られており、アスペクト比の平均、D50、比表面積、酸素濃度が大きく、また、タップ密度が小さいことがわかる。このようなNo.13の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアはコアロスが大きく、直流重畳特性が悪いことがわかる。No.13の軟磁性合金粉末は酸素濃度が大きいので、熱的安定性が変化すると考えられる。
これに対してNo.14の軟磁性合金粉末は、略球形のものが得られており、比表面積、酸素濃度が小さく、また、タップ密度が大きく、また、No.13のものに比べて飽和磁化σsも高いことがわかる。このNo.14の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアは、No.13の軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアに比べて大幅にコアロスを低くでき、直流重畳特性が優れることがわかる。
【0124】
(実験例3)
Fe、Fe−C合金、Fe−P合金、B、Si、Crを原料としてそれぞれ所定量秤量し、大気雰囲気下においてこれらの原料を図1に示す高圧水噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに、図1に示す水噴霧器の水噴射ノズルから高圧水を噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金溶湯を急冷させて軟磁性合金粉末を作製する際、製造条件を変更して各種の軟磁性合金粉末(No.15〜21の軟磁性合金粉末)を作製した。なお、No.17の軟磁性合金粉末については、粉末形成後室温で長時間放置した。
【0125】
得られた軟磁性合金粉末の組成は、Fe789.232.27.7Si2.87又はFe100−t−y−z−w−xSiCrなる組成(但し、zは2.16〜2.2原子%、wは7.54〜7.7原子%、xは1原子%〜8原子%、yは9.04〜9.23原子%、tは2.87〜4.87原子%、vは12.1〜13.91原子%)であった。なお、前記組成式中のvはPとSiの合計の組成比を示すものである。
また、上記のFe789.232.27.7Si2.87又はFe100−t−y−z−w−xSiCrなる組成の各種の軟磁性合金粉末についてX線回折法により組織構造の解析を行ったところ、いずれの合金粉末もX線回折パターンはブロードなパターンを示しており、非晶質相からなる組織から構成されていることが分かった。従って、Fe、Cr又はAl、P、C、B、Siからなる合金であっても、非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末を形成できることがわかる。
また、Fe789.232.27.7Si2.87又はFe100−t−y−z−w−xSiCrなる組成の各種の軟磁性合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、形状を調べた。その結果を表5に示す。
得られた軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値を調べた結果を表5に示す。
【0126】
更に、得られた各種の軟磁性合金粉末のDSC測定(Differential scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めたを測定した。これらの結果を表6に示す。尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であった。なお、表6中のTm*は合金の融解温度を示す。
また、得られた各種の軟磁性合金粉末について、実験例1と同様にして飽和磁化σsを測定した。これらの結果を表6に合わせて示す。
【0127】
次に、この実験例3で得られた軟磁性合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして各種の圧粉コアを製造した。
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)を実験例1と同様にして測定した。その結果を表6に合わせて示す。
また、得られた各種の圧粉コアの実効透磁率(μ’)と直流重畳特性(μ’DC5500 )を実験例1と同様にして測定した。その結果を表6に合わせて示す。
【0128】
【表5】
Figure 2004156134
【0129】
【表6】
Figure 2004156134
【0130】
表5と表6に示した結果からNo.15〜21の軟磁性合金粉末は、略球状のものが得られていることがわかる。
しかしながらNo.15の軟磁性合金粉末は酸素濃度が大きく、錆が発生しており、耐腐食性が悪いことがわかる。No.17の軟磁性合金粉末は酸素濃度が大きく、平均粒径(D50)が小さく、この合金粉末を用いて作製した圧粉コアはコアロスが大きいことがわかる。
また、Crの添加量が1〜4原子%のNo.16、18〜20の軟磁性合金粉末は、Crの添加量が8原子%のNo.21の軟磁性合金粉末に比べて飽和磁化が大きいことがわかる。No.21の軟磁性合金粉末の飽和磁化が低下したのは、Crの添加量の増加に伴ってFe濃度が相対的に低下したからである。
また、Crの添加量が1〜4原子%のNo.16、18〜20の軟磁性合金粉末においては、Crの添加量の増加に伴ってΔTxが大きくなり、非晶質形成能が向上していることがわかる。
【0131】
(実験例4)
Fe、Fe−C合金、Fe−P合金、B、Si及びCrを原料としてそれぞれ所定量秤量し、大気雰囲気下においてこれらの原料を図1に示す高圧水噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに、図1に示す水噴霧器の水噴射ノズルから高圧水を噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金溶湯を急冷させて軟磁性合金粉末を作製する際、製造条件を変更して各種の軟磁性合金粉末(No.22〜48の軟磁性合金粉末)を作製した。
【0132】
得られた軟磁性合金粉末の組成は、Fe74.43Cr1.969.04,C2.167.54Si4.87なる組成であった。
また、上記のFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成の各種の軟磁性合金粉末についてX線回折法により組織構造の解析を行ったところ、いずれの合金粉末もX線回折パターンはブロードなパターンを示しており、非晶質相からなる組織から構成されていることが分かった。従って、Fe、Cr、P、C、B、Siからなる合金であっても、非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末を形成できることがわかる。図8に、No.23の軟磁性合金粉末の状態を制限視野電子線回折により分析した結果を示す。
また、Fe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87なる組成の各種の軟磁性合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、形状を調べた。その結果を表7、表8に示す。また、図10に、No.23の軟磁性合金粉末をSEMにより観察した結果を示す。また、図12に、No.23の軟磁性合金粉末の組織の状態を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した結果を示す。
得られた軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値を調べた結果を表7、表8に示す。
【0133】
更に、得られた各種の軟磁性合金粉末のDSC測定(Differential scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めたを測定した。これらの結果を表9、表10に示す。尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であった。なお、表9、表10中のTm*は合金の融解温度を示す。
また、得られた各種の軟磁性合金粉末について、実験例1と同様にして飽和磁化σsを測定した。これらの結果を表9、表10に合わせて示す。
【0134】
次に、この実験例4で得られた軟磁性合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして各種の圧粉コアを製造した。
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)を実験例1と同様にして測定した。その結果を表9、表10に合わせて示す。また、得られた各種の圧粉コアの実効透磁率(μ’)と直流重畳特性(μ’DC5500 )を実験例1と同様にして測定した。その結果を表9、表10に合わせて示す。
【0135】
【表7】
Figure 2004156134
【0136】
【表8】
Figure 2004156134
【0137】
【表9】
Figure 2004156134
【0138】
【表10】
Figure 2004156134
【0139】
表7〜表10に示す結果からNo.22〜48の軟磁性合金粉末は、略球状のものが得られていることがわかる。
しかしながらNo.22の軟磁性合金粉末は比表面積が0.32m/gと大きく、また、この軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアはコアロスが大きいことがわかる。また、No.24の軟磁性合金粉末はタップ密度が3.68Mg/mと小さく、また、この軟磁性合金粉末を用いて作製した圧粉コアはコアロスが大きいことがわかる。
【0140】
これに対してD50が4μmより大きく、かつ45μm以下であり、タップ密度が3.7Mg/m以上、比表面積が0.3m/g以下、酸素濃度が3000ppm以下とした軟磁性合金粉末(No.25、26、27、32、35、39、40、42、44、45、46)を用いて作製した圧粉コアはコアロス(W)を450kW/m以下にでき、また、実効透磁率μ’が58〜71であり、直流バ直流重畳特性μ’DC5500が31.5〜34.5とすることができる。
また、D50が4μmより大きく、かつ16μm以下であり、タップ密度が4.0Mg/m以上、比表面積が0.23m/g以下、酸素濃度が2000ppm以下とした軟磁性合金粉末(No.23、28、29、30、31、33、34、36、37、38、41)を用いて作製した圧粉コアはコアロス(W)を250kW/m以下にでき、また、実効透磁率μ’が61〜70であり、直流重畳特性μ’DC5500が32〜34とすることができる。
また、図10のSEM写真からNo.23の軟磁性合金粉末は略球状であることがわかる。また、このNo.23の軟磁性合金粉末は、図8の回折スポットの分布形態から明らかなようにアモルファス特有のハローなパターンが見られ、非晶質相から構成されていることがわかる。また、図12のTEMの写真からNo.23の軟磁性合金粉末は、組織状態が均一であり、結晶相が混在していないことがわかる。
【0141】
(実験例5)
Fe、Fe−C合金、Fe−P合金、B、Si、Cr及びAl又はMo又はVを原料としてそれぞれ所定量秤量し、大気雰囲気下においてこれらの原料を図1に示す高圧水噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶湯るつぼの溶湯ノズルから合金溶湯を滴下するとともに、図1に示す水噴霧器の水噴射ノズルから高圧水を噴射して合金溶湯を霧状にし、チャンバ内で霧状の合金溶湯を急冷させて軟磁性合金粉末を作製する際、製造条件を変更して各種の軟磁性合金粉末(No.50〜57の軟磁性合金粉末)を作製した。
【0142】
得られた軟磁性合金粉末の組成は、Fe100−t−y−z−w−xSiなる組成(但し、zは2.16〜2.18原子%、wは7.54〜7.62原子%、xは1原子%〜1.96原子%、yは7〜9.14原子%、tは3.87〜10原子%)であった。なお、前記組成式中のMはCr又はMo又はVを示す。
なお、No.56の軟磁性合金粉末はNo.23のものと組成が同じであるが、平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の平均値が本発明の範囲外であり、No.57の軟磁性合金粉末は、No.23のものと組成が同じであるが、水アトマイズ法で製造する際の製造条件が異なるものであり、より具体的にはアトマイズ時の水圧を低下させることにより、溶湯の冷却速度も低下し、アモルファスと結晶の混相状態の粉末となるものである。
また、上記のFe100−t−y−z−w−xSiなる組成の各種の軟磁性合金粉末についてX線回折法により組織構造の解析を行ったところ、No.51、No.53〜No.56の合金粉末もX線回折パターンはブロードなパターンを示しており、非晶質相からなる組織から構成されており、No.57の合金粉末のX線回折パターンは非ブロードなパターンを示していることが分かった。図9に、No.57の軟磁性合金粉末の状態を制限視野電子線回折により分析した結果を示す。
従って、Fe、Cr、P、C、B、Si、Mo又はVからなる合金において、平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の平均値が本発明の範囲内とし、しかも水アトマイズ法で製造する際の製造条件をコントロールすることにより非晶質相からなる非晶質軟磁性合金粉末(No.51、No.53〜No.56)を形成できることがわかる。
また、Fe100−t−y−z−w−xSiなる組成の各種の軟磁性合金粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、形状を調べた。その結果を表11に示す。図11に、No.56の軟磁性合金粉末をSEMにより観察した結果を示す。図13に、No.57の軟磁性合金粉末をTEMにより観察した結果を示す。 得られた軟磁性合金粉末の平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値を調べた結果を表12に示す。
【0143】
更に、得られた各種の軟磁性合金粉末のDSC測定(Differential scanning caloriemetry:示差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始温度Tx、キュリー温度Tc及び融点Tmを測定するとともに、過冷却液体の温度間隔ΔTx及びTg/Tmを求めたを測定した。これらの結果を表12に示す。尚、DSC測定の際の昇温速度は0.67K/秒であった。なお、表12中のTm*は合金の融解温度を示す。
また、得られた各種の軟磁性合金粉末について、実験例1と同様にして飽和磁化σsを測定した。これらの結果を表12に合わせて示す。
【0144】
次に、この実験例5で得られた軟磁性合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして各種の圧粉コアを製造した。
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)を実験例1と同様にして測定した。その結果を表12に合わせて示す。
また、得られた各種の圧粉コアの実効透磁率(μ’)と直流重畳特性(μ’DC5500 )を実験例1と同様にして測定した。その結果を表12に合わせて示す。
【0145】
比較のために一般的に知られている従来の合金粉末としてFe−Cr−Si−Bなる組成(Fe73Cr15Si10なる組成)の合金粉末(No.52)の組織構造、形状、平均粒径(D50)、タップ密度、比表面積、酸素濃度、アスペクト比の最小値と最大値と平均値についても実験例1と同様にして測定した。これらの結果を表11に合わせて示す。このNo.52の合金粉末は、水アトマイズ法により作製したものである。このNo.52の合金粉末の組織構造は、アモルファス相と結晶相を有していることがわかった。
また、No.52の合金粉末についても実験例1と同様にして飽和磁化σsを測定した。その結果を表12に合わせて示す。また、No.52の合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして圧粉コアを製造し、この圧粉コアのコアロス(W)と実効透磁率(μ’)と直流重畳特性(μ’DC5500 )を実験例1と同様にして測定した。その結果を表12に合わせて示す。
【0146】
【表11】
Figure 2004156134
【0147】
【表12】
Figure 2004156134
【0148】
表11、表12に示す結果からNo.52の合金粉末は略球状であるが、その組織構造は非晶質相(アモルファス相)と結晶相からなり、また、このNo.52の合金粉末を用いて作製した圧粉コアのコアロスは1000kW/cm以上と大きいものであった。
また、図11のSEM写真からNo.56の軟磁性合金粉末は不定形であり、また、表11〜表12の結果からこのNo.56の軟磁性合金粉末を用いた圧粉コアはコアロスが大きく、直流重畳特性が悪いことわかる。
また、このNo.57の軟磁性合金粉末は、図9の回折スポットの分布形態から明らかなように結晶の組織に対応するような形で複数のスポットが見られ、非晶質相と結晶相から構成されていることがわかる。また、図13のTEMの写真からNo.57の軟磁性合金粉末は、組織状態が不均一であり、結晶相と非晶質相が混在していることがわかる。また、表11〜表12の結果からこのNo.57の軟磁性合金粉末を用いた圧粉コアはコアロスが大きいことわかる。
これに対してNo.51、53、54、55の軟磁性合金粉末は、略球状であり、その組織構造は非晶質相(アモルファス相)からなるなることがわかる。
【0149】
(実験例6)
造粒粉末の粒径と流動性について調べた。
ここでの流動性は、直径2.5mmの孔内に造粒粉末50gを流し込む際、造粒粉末の粒径を変更し、孔内を通過する時間(秒)を測定した。ここで用いた造粒粉末は、実施形態の非晶質軟磁性合金粉末98.3重量%に対し、絶縁材としてシリコーン樹脂を1.4重量%と、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3重量%とを混合、造粒したものである。このようにして作製した造粒粉末を粒径45μm未満のものと、45μm以上150μm以下、150μm以上〜300μm以下、300μm以上〜500μm以下、500μmを超えるもの、45μm以上〜300μm以下のもの、45μm以上〜500μm以下のものとに分級し、流動性試験(JIS 2502−1958)に用いた。
【0150】
その結果、造粒粉末の粒径が45μm未満の場合は流れない、45μm以上150μm以下の場合は44.5秒、150μm以上〜300μm以下の場合は50.4秒、300μm以上〜500μm以下の場合は61.8秒、500μmを超える場合は流れない、45μm以上〜300以下の場合は45.9秒、45μm以上〜500μm以下の場合は50.0秒であった。
従って造粒粉末の粒径は、45μm以上500μm以下が好ましく、45μm以上300μm以下がより好ましく、45μm以上150μm以下がさらに好ましいことがわかる。
【0151】
(実験例7)
全造粒粉末に占める粒径45μm未満の造粒粉末の混入量(重量%)と、流動性について調べた。結果を図5に示す。ここでの流動性は、直径2.5mmの孔内に造粒粉末を流し込む際、全造粒粉末50gに占める粒径45μm未満の造粒粉末の混入量を変更し、孔内を通過する時間(秒)を測定した。ここで用いた造粒粉末は、実施形態の非晶質軟磁性合金粉末98.3重量%に対し、絶縁材としてシリコーン樹脂を1.4重量%と潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.3重量%とを混合、造粒したものである。このようにして作製した造粒粉末を粒径45μm未満のものと、粒径45μmを越より大きく、500μm以下のものとに分級し、流動性試験(JIS 2502−1958)に用いた。
図5に示す結果から粒径45μm未満の造粒粉末の混入量が、全造粒粉末の17重量%以下であれば流動性が60秒以下であり、15重量%以下であれば流動性が50秒以下にでき流動性が優れていることがわかる。
【0152】
(実験例8)
上記の実験例4で作製したNo.23の軟磁性合金粉末(組成はFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87)を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして実施例の圧粉コアを作製した。
また、比較のためにFeの粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして圧粉コア(比較例1)を作製した。
さらに、比較のために従来一般的に低損失のコアに使われているNi−Fe−Mo(Mo系パーマロイ)の粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして圧粉コア(比較例2)を作製した。また、Fe−Al−Si(センダスト)の粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして圧粉コア(比較例3)を作製した。
【0153】
得られた各種の圧粉コアのコアロス(W)、相対実効透磁率(μ’)、直流重畳特性(μ’)を測定した。
ここでのコアロスは、周波数(f)100kHzと一定とし、飽和磁束密度(Bm)10〜100mTの条件で測定したときのものである。
また、相対実効透磁率は、周波数(f)1〜1000kHzの範囲で変更したときの実効透磁率(μ’)の測定結果を相対値で表したしたものである。
また、直流重畳特性は、電流1mA、周波数(f)100kHzと一定とし、直流バイアス磁界(Hm)を0〜8000Am−1の範囲で変更したときの実効透磁率(μ’)を測定したものである。結果を図14〜図16に示す。
また、得られた各種の圧粉コアの比抵抗(ρ)を測定したところ、実施例の圧粉コアは307kΩ・cm、比較例2の圧粉コアは0.5Ω・cm、比較例3の圧粉コアは1.7kΩ・cmであった。
【0154】
図14の結果からNo.23の軟磁性合金粉末を用いた実施例の圧粉コアは、Feの粉末を用いた比較例1の圧粉コアや、Ni−Fe−Moの粉末やFe−Al−Siの粉末を用いた比較例2〜3に比べてコアロスが低いことがわかる。
また、コアは使用周波数の範囲で透磁率が一定であることが好ましいが、図15の結果から1kHz〜1000kHz(1MHz)の範囲ではFeの粉末やNi−Fe−Moの粉末を用いた比較例1〜2の圧粉コアは周波数が高くなると実効透磁率の低下割合がおおきい。これに対してNo.23の軟磁性合金粉末を用いた実施例の圧粉コアは、周波数が1kHz〜1000kHzでは実効透磁率がほぼ一定であり、また、上記周波数の範囲ではFe−Al−Siの粉末を用いた比較例3の圧粉コアよりも実効透磁率が高い。
また、コアを使用するときは、直流バイアス磁界がおおきくなっても透磁率はできるだけ一定を維持できるのが好ましいとされているが、図16の結果からNi−Fe−Moの粉末を用いた比較例2の圧粉コアは磁界が大きくなると急激に実効透磁率が低下してしまうため使い難いことがわかる。これに対して実施例の圧粉コアは、Feの粉末やFe−Al−Siの粉末を用いた比較例1や比較例3の圧粉コアと同様に磁界がおおきくなっても実効透磁率の低下割合が小さい。
これらのことより本発明の軟磁性合金粉末を用いた実施例の圧粉コアは、コアロスが低く、周波数が高いところまで一定の透磁率を示すことができ、コアとして用いる場合に特性が安定しており、使い易い。
【0155】
(実験例9)
上記実験例4で作製したNo.23の略球形軟磁性合金粉末を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして実施例の圧粉コアを作製した。
また、比較として上記実験例5で作製したNo.56の不定形軟磁性合金粉末(組成はFe74.43Cr1.969.042.167.54Si4.87)を用いる以外は上記実験例1と同様にして造粒粉末を作製し、さらにこれら造粒粉末を用いて上記実験例1と同様にして圧粉コア(比較例4)を作製した。
作製した実施例と比較例4の圧粉コアについてコアロス(W)、初期実効透磁率(μ’)、直流重畳特性(μ’)を測定した。
ここでのコアロスは、飽和磁束密度(Bm)0.1Tと一定とし、周波数(f)10〜200kHzの範囲で変更したときのものである。
また、初期実効透磁率は、周波数(f)1〜1000kHzの範囲で変更したときの実効透磁率(μ’)を測定したものである。
また、直流重畳特性は、電流1mA、周波数(f)100kHzと一定とし、直流バイアス磁界(Hm)を0〜8000Am−1の範囲で変更したときの実効透磁率(μ’)を測定したものである。結果を図17〜図19に示す。
また、実施例と比較例4の圧粉コアの密度(D)の測定結果を図20に示す。
【0156】
図17の結果から形状が略球形のNo.23の軟磁性合金粉末を用いた実施例の圧粉コアは、周波数10〜200kHzの範囲では、形状が不定形のNo.56の軟磁性合金粉末を用いた実施例の圧粉コアに比べてコアロスが低いことがわかる。
また、先に述べたようにコアは使用周波数の範囲で透磁率が一定であることが好ましいが、図18の結果から1kHz〜1000kHzの範囲では比較例4の圧粉コアは、周波数が高くなるにつれて初期実効透磁率の低下割合がおおきくなっている。これに対して実施例の圧粉コアは、上記の周波数の範囲では略一定の初期実効透磁率を示しており、コアとして用いる場合に使い易い。
また、図19の結果から比較例4のものは印加する磁界が大きくなると急激に実効透磁率が低下している。これに対して実施例の圧粉コアは、印加する磁界が大きくなっても初期実効透磁率の低下割合が小さく、しかも2500Am−1 以上では比較例4に比べて初期実効透磁率が大きいことがわかる。
また、図20の結果から比較例4の圧粉コアは密度が約5.5g/cmであるが、実施例の圧粉コアの密度は約6g/cmであり、比較例4のものに比べて密度が大きいことがわかる。
これらのことより実施例と比較例4の圧粉コアとは、組成が同じ軟磁性合金粉末を用いているが、合金粉末の形状が異なることにより、上記のような特性に違い出ており、従って、略球状の軟磁性合金粉末を用いた方がコアロスが低く、周波数が1000kHzまで一定の透磁率を示すことができ、コアとして用いる場合に特性が安定しており、使い易いことがわかる。
【0157】
(実験例10)
上記実験例4で作製したNo.23の略球形軟磁性合金粉末をアトライタに投入し、アトライタダイアル4で12時間粉砕混合することにより、実施例の扁平型軟磁性合金粉末を作製した。ここで作製した実施例の扁平型非晶質軟磁性合金粉末は、厚さが約0.3〜1μmの範囲であり、長径が約10〜76μmの範囲であった。図21に、作製した実施例の扁平型軟磁性合金粉末をSEMにより観察した結果を示す。図21から形状が略球形のNo.23の軟磁性合金粉末を扁平化したものは、円盤に近い形状であり、しかも大きさが揃っていることがわかる。
ついで、実施例の扁平型軟磁性合金粉末45重量%に対し、絶縁性と結着剤をかねる材料としてをシリコーンエラストマーを55重量%混合し、シート状に固化成形して実施例の電波吸収体を作製した。
【0158】
また、比較のために上記実験例5で作製したNo.56の不定形軟磁性合金粉末をアトライタに投入し、アトライタダイアル10で16時間粉砕混合することにより、比較例の扁平型軟磁性合金粉末を作製した。作製した比較例の扁平型軟磁性合金粉のうち径63〜106μmのものを分級した。図22に、分級した比較例の扁平型軟磁性合金粉末をSEMにより観察した結果を示す。図22から形状が不定形のNo.56の軟磁性合金粉末を扁平化したものは、細かくちぎれてしまい、しかも大きさも不均一であることがわかる。
ついで、分級した比較例の扁平型軟磁性合金粉末45重量%に対し、絶縁性と結着剤をかねる材料としてシリコーンエラストマーを55重量%混合し、シート状に固化成形して比較例の電波吸収体を作製した。
【0159】
作製した実施例と比較例の電波吸収体について周波数を1MHz〜1000MHzの範囲で変更したときの実効透磁率(μ’)と虚数透磁率(μ”)を測定した。結果を図23に示す。
図23の結果からNo.23の略球形軟磁性合金粉末を扁平化した粉末を用いた実施例の電波吸収体は、2MHz〜1000MHzの範囲においてNo.56の不定形軟磁性合金粉末を扁平化した粉末を用いた比較例の電波吸収体に比べて実効透磁率が高くなっていることがわかる。また、実施例の電波吸収体は、7MHz〜1000MHzの範囲において比較例の電波吸収体に比べて虚数透磁率が高くなっており、電磁波抑制効果が優れていることがわかり、特に20MHz以上でμ”が15以上(最高18)の値を得ることが可能であることがわかる。
【0160】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明の非晶質軟磁性合金粉末は、高い飽和磁化と低いコアロスを兼ね備えており、しかも本発明の非晶質軟磁性合金粉末は水アトマイズ法により製造できるので、製造装置の大型化が可能であり、しかも合金溶湯を高圧水で粉砕可能であるので量産性を向上でき、また、高価な不活性ガスを使用しなくても済むので製造コストを低減できる。
この非晶質軟磁性合金粉末は、水アトマイズ法により球形状に近い形状に形成されたものであるので、嵩密度が高く、表面の凹凸が少ないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非晶質軟磁性合金粉末の製造に用いる高圧水噴霧装置の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の圧粉コアの第1の実施形態例を示す斜視図である。
【図3】本発明の圧粉コアの製造に用いる金型の一例を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の圧粉コアの製造する際に用いる放電プラズマ焼結装置の要部の模式図である。
【図5】粒径45μm未満の造粒粉末の混入量と流動性の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の圧粉コアのその他の実施形態例を示す斜視図である。
【図7】本発明の圧粉コアのその他の実施形態例を示す斜視図である。
【図8】No.23の軟磁性合金粉末の電子線回折の結果を示す図である。
【図9】No.57の軟磁性合金粉末の電子線回折の結果を示す図である。
【図10】No.23の軟磁性合金粉末のSEM写真である。
【図11】No.56の軟磁性合金粉末のSEM写真である。
【図12】No.23の軟磁性合金粉末のTEM写真である。
【図13】No.57の軟磁性合金粉末のTEM写真である。
【図14】実施例と比較例1〜3の圧粉コアのコアロスの測定結果を示す図である。
【図15】実施例と比較例1〜3の圧粉コアの相対実効透磁率の測定結果を示す図である。
【図16】実施例と比較例1〜3の圧粉コアの直流重畳特性の測定結果を示す図である。
【図17】実施例と比較例4の圧粉コアのコアロスの測定結果を示す図である。
【図18】実施例と比較例4の圧粉コアの初期実効透磁率の測定結果を示す図である。
【図19】実施例と比較例4の圧粉コアの直流重畳特性の測定結果を示す図である。
【図20】実施例と比較例4の圧粉コアの密度の測定結果を示す図である。
【図21】実施例の扁平型軟磁性合金粉末のSEM写真である
【図22】比較例の扁平型軟磁性合金粉末のSEM写真である。
【図23】実施例と比較例の電波吸収体の実効透磁率と虚数透磁率の周波数依存性を示す図である。
【符号の説明】
1…高圧水噴霧装置、2…溶湯るつぼ、3…水噴霧器、4…チャンバ、5…合金溶湯、6…溶湯ノズル、7…導入流路、8…水噴射ノズル、10…高圧水、21,31,41…圧粉コア、g…高圧水流、p…噴霧点、θ…水噴射角。

Claims (18)

  1. 水アトマイズ法により形成された略球状粉末であり、該粉末は、Feを主成分とし、P、C、Bを少なくとも含み、ΔT=T−T(ただしTは結晶化開始温度、Tはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上の非晶質相からなることを特徴とする非晶質軟磁性合金粉末。
  2. 前記略球状粉末は、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auのうちの1種又は2種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  3. 前記略球状粉末はアスペクト比の平均が1以上3以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  4. 前記略球状粉末は平均粒径(D50)が45μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  5. 前記略球状粉末はタップ密度が3.7Mg/m以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  6. 前記略球状粉末は酸素濃度が3000ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  7. 前記略球状粉末は比表面積が0.30m/g以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  8. 前記略球状粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ45μm以下であり、タップ密度が3.7Mg/m以上、比表面積が0.3m/g以下、酸素濃度が3000ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  9. 前記略球状粉末は、平均粒径(D50)が4μmより大きく、かつ16μm以下であり、タップ密度が4.0Mg/m以上、比表面積が0.23m/g以下、酸素濃度が2000ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  10. 下記の組成式で表されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
    Fe100−x−y−z−w−tSi
    ただし、MはCr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、Pt、Pd、Auより選ばれる1種または2種以上の元素であり、組成比を示すx、y、z、w、tは、0.5原子%≦x≦8原子%、2原子%≦y≦15原子%、0原子%<z≦8原子%、1原子%≦w≦12原子%、0原子%≦t≦8原子%、70原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%である。
  11. 前記組成式中の組成比を示すy、z、w、tは、17原子%≦(y+z+w+t)≦29.5原子%なる関係を満たすことを特徴とする請求項10に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  12. 前記組成式中の組成比を示すx、y、z、w、tは、1原子%≦x≦4原子%、4原子%≦y≦14原子%、0原子%<z≦6原子%、2原子%≦w≦10原子%、2原子%≦t≦8原子%、72原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦79原子%なる関係を満たすことを特徴とする請求項10又は11に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  13. 前記組成式中の組成比を示すx、y、z、w、tは、1原子%≦x≦3原子%、6原子%≦y≦11原子%、1原子%≦z≦4原子%、4原子%≦w≦9原子%、2原子%≦t≦7原子%、73原子%≦(100−x−y−z−w−t)≦78原子%なる関係を満たすことを特徴とする請求項10又は11に記載の非晶質軟磁性合金粉末。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末が扁平化されてなることを特徴とする扁平型非晶質軟磁性合金粉末。
  15. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末の複数又は単数と絶縁材と潤滑剤とが混合され、造粒してなる造粒粉末からなり、前記絶縁材が結着剤となって固化成形されてなることを特徴とする圧粉コア。
  16. 粒径45μm以上500μm以下の造粒粉末の含有量は全造粒粉末の83重量%より大きいことを特徴とする請求項15記載の圧粉コア。
  17. 粒径45μm未満の造粒粉末及び粒径500μmよりも大きい造粒粉末の含有量は、全造粒粉末の17重量%以下であることを特徴とする請求項15記載の圧粉コア。
  18. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の非晶質軟磁性合金粉末又は請求項14に記載の扁平型非晶質軟磁性合金粉末と、絶縁材とを混合してなる電波吸収体。
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