JP2002151317A - 圧粉磁心及び圧粉磁心の製造方法 - Google Patents
圧粉磁心及び圧粉磁心の製造方法Info
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Abstract
その製造方法の提供。 【解決手段】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表され
る過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって、
Feと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の
元素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相とする金属
ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合され、成形されて
なることを特徴とする圧粉磁心。上記金属ガラス合金の
粉末を製造する粉末製造工程と、上記金属ガラス合金の
粉末に絶縁材を加えて混合し、この混合物を圧縮成形し
て磁心前駆体を形成する成形工程と、上記磁心前駆体
を、(Tg−170)K以上(Tg)K以下の温度で熱処
理して上記磁心前駆体の内部応力を除去する熱処理工程
とを具備する圧粉磁心の製造方法を採用する。
Description
磁心の製造方法に関するものであり、特に、保磁力が低
く低損失の圧粉磁心及びその製造方法に関するものであ
る。
チョークコア等の高周波まで一定の透磁率が必要とされ
る磁心部品に用いられる磁心は、フェライトの開磁路型
あるいはギャップ付の磁心、またはアモルファス合金薄
帯を巻回した磁心にギャップを形成した磁心が提案され
ている。また、カーボニル鉄、パーマロイ、センダスト
等の粉末と絶縁材を混合して成形した圧粉磁心も提案さ
れている。
ロスが小さいものの飽和磁束密度が小さく、開磁路型や
ギャップ付の磁心ではギャップ部からの漏洩磁束が周囲
の電気回路に悪影響を与えるという欠点があった。ま
た、カーボニル鉄、パーマロイ、センダスト等の粉末を
用いた圧粉磁心は、飽和磁束密度がフェライトより優れ
るもののコアロスが大きいという欠点があった。
ロスが大きくなる原因としては、磁性粉に用いる磁性材
料のコアロスが大きいことと、圧粉磁心を成形する際に
かかる応力を十分に緩和できないことが原因であった。
であって、保磁力が低く、コアロスが低い圧粉磁心及び
その製造方法を提供することを目的とする。
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の圧粉磁
心は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、
Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却
液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって、Feと、
Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の元素Qと
を少なくとも含み、非晶質相を主相とする組織からなる
金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合され、成形さ
れてなることを特徴とする。また、本発明の圧粉磁心に
おいては、上記金属ガラス合金の比抵抗が1.5μΩ・
m以上であることが好ましい。
れるものであることが好ましい。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-wAlx(P1-bSib)vCzB
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。本発明の圧粉
磁心は、上記のFe基金属ガラス合金(Coおよび/ま
たはNiの含有量よりFeの含有量が多い)の粉末から
構成されており、このFe基金属ガラス合金はCo基金
属ガラス合金よりも飽和磁束密度が高いので、圧粉磁心
の磁気特性をより向上することが可能になる。
1-bSib)vCzBwなる組成の金属ガラス合金におい
て、上記組成比を示すa、b、x、v、z、wが、0≦
a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0原子%<x≦
15原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.5原子%
≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子%である
ことがより好ましい。更に、上記組成比を示すa、b、
x、v、z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦
0.28、0原子%<x≦10原子%、11.3原子%
≦v≦14原子%、1.8原子%≦z≦4.6原子%、
5.3原子%≦w≦8.6原子%であることがさらに好
ましい。
表されるものであってもよい。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-w-d-e-fAlx(P1-bSib)
vCzBwLdMeEf ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa、b、d、e、f、
x、v、z、wは、0≦a≦0.15、0<b≦0.
8、0原子%≦d≦4原子%、0原子%≦e≦8原子
%、0原子%≦f≦8原子%、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
lx(P1-bSib)vCzBwLdMeEfなる組成の金属ガ
ラス合金において、上記組成比を示すa、b、d、e、
f、x、v、z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b
≦0.35、0原子%≦d≦3原子%、0原子%≦e≦
6原子%、0原子%≦f≦6原子%、0原子%<x≦1
5原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.5原子%≦
z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子%であるこ
とがより好ましい。更に、上記組成比を示すa、b、
d、e、f、x、v、z、wが、0≦a≦0.15、
0.1≦b≦0.28、0原子%≦d≦2原子%、0原
子%≦e≦4原子%、0原子%≦f≦4原子%、0原子
%<x≦10原子%、11.3原子%≦v≦14原子
%、1.8原子%≦z≦4.6原子%、5.3原子%≦
w≦8.6原子%であることがさらに好ましい。
リコーン樹脂、シリコーンゴム、PVA(ポリビニルア
ルコール)等の液状又は粉末状の樹脂あるいはゴムや、
水ガラス、酸化物ガラス粉末、ゾルゲル法により生成す
るガラス状物質等のいずれか、あるいはこれらの混合物
を用いることができる。特にこれらのなかでもシリコー
ン樹脂またはシリコーンゴムが好ましい。
状オルガノポリシロキサンの架橋体からなるゴム状の弾
性を示すものをいう。架橋方法により、高温型と室温型
に大別されるが、本発明では室温型が好ましい。室温型
のシリコーンゴムは、直鎖状のポリオルガノシロキサン
に、アセトキシル基、アルコキシル基、オキシム基、イ
ソプロペノキシ基等を有するシラン化合物等の架橋剤を
反応させて得られるもので、特にアルコキシル基または
オキシム基を有する架橋剤を用いたものが好ましい。ま
た、シリコーン樹脂は一般に、高度な三次元的網目構造
を有するオルガノポリシロキサンの重合体をいう。オル
ガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランの加
水分解重縮合や環状シロキサンの開環重合により製造さ
れる。
潤滑材の役割を果たすステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
カルシウム等のステアリン酸塩を用いることもできる。
混合する絶縁材の混合率は、0.3重量%〜5重量%の
範囲が好ましく、1重量%〜5重量%の範囲がより好ま
しい。また、上記金属ガラス合金の粉末の粒径は2μm
以上300μm以下の範囲が好ましい。
れかの構成の金属ガラス合金の粉末と上記絶縁材とが混
合されて成形されているので、絶縁材によって圧粉磁心
全体の比抵抗を高くすることができ、渦電流損失を低減
して圧粉磁心のコアロスを低くすることが可能になると
ともに、高周波数帯での透磁率の低下を抑制することが
可能になる。また本発明の圧粉磁心において、特に、比
抵抗が1.5μΩ・m以上の金属ガラス合金を用いたも
のにあっては、高周波における金属ガラス合金粒子内の
渦電流損失が低減され、よりコアロスが低い圧粉磁心を
構成することが可能になる。更に本発明の圧粉磁心によ
れば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス
合金を含んでなり、この金属ガラス合金は結晶化温度よ
りも十分低い温度の熱処理により磁心前駆体の内部応力
を緩和あるいは除去できるので、保磁力が低い圧粉磁心
を構成することが可能になる。
2.4kA/mにおける保磁力が80A/m以下である
ことが好ましく、40A/m以下であることがより好ま
しい。
A/mにおける保磁力が80A/m以下であり、従来か
ら知られている種々の圧粉磁心よりも保磁力が大幅に低
い。このような低い保磁力を得るには、上述のように過
冷却液体領域の温度間隔を有し、Feと、Alと、P、
C、Si、Bのうちの1種以上の元素Qとを少なくとも
含み、非晶質相を主相とする組織からなる金属ガラス合
金を用いることや、圧粉磁心が高密度であることに加え
て、圧粉磁心の内部応力を除去することが必要である。
従って、本発明の圧粉磁心は、内部応力を除去するため
の熱処理がなされたものであることが好ましい。
Hz、磁束密度0.1Tの条件で測定したコアロスが4
00kW/m3以下であることが好ましい。本発明の圧
粉磁心はコアロスが400kW/m3以下であり、従来
から知られている種々の圧粉磁心よりもコアロスが大幅
に低い。このような低いコアロスを得るには、本発明に
係る金属ガラス合金を用いること、圧粉磁心が高密度で
あること、圧粉磁心の内部応力を除去すること、が必要
である。特に、内部応力を緩和する手段として絶縁材に
シリコーンゴムを使用することが好ましい。
g(ただしTxは結晶化開始温度、T gはガラス遷移温度
を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTx
が20K以上であって非晶質相を主相とする組織からな
る金属ガラス合金の粉末と、シリコーンゴムまたはシリ
コーン樹脂とが混合され、成形されてなることを特徴と
する。係る圧粉磁心によれば、上記構成の金属ガラス合
金の粉末に、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂とが
混合されており、これらシリコーンゴムまたはシリコー
ン樹脂は硬化応力が小さいため、金属ガラス合金粉末に
残留する内部応力が小さくなって、金属ガラス合金の軟
磁気特性が向上する。これにより、圧粉磁心の保磁力及
びコアロスを低減することが可能になる。
x=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラ
ス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K以上であって、Feと、Alと、
P、C、Si、Bのうちの1種以上の元素Qとを少なく
とも含み、非晶質相を主相とする組織からなる金属ガラ
ス合金の粉末を製造する粉末製造工程と、上記の金属ガ
ラス合金の粉末に絶縁材を加えて混合し、この混合物を
圧縮成形して磁心前駆体を形成する成形工程と、上記磁
心前駆体を、(Tg−170)K以上(Tg)K以下の温
度で熱処理して上記磁心前駆体の内部応力を除去あるい
は緩和する熱処理工程とを具備してなることを特徴とす
る。上記金属ガラス合金は、比抵抗が1.5μΩ・m以
上のものであることが好ましい。また、圧縮成形する前
に混合物に含まれる溶剤、水分等を蒸発させ、金属ガラ
ス合金粉末の表面に絶縁材層を形成させることが望まし
い。
る上記金属ガラス合金としては、下記の組成で表される
ものを用いることが好ましい。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-wAlx(P1-bSib)vCzB
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
1-bSib)vCzBwなる組成の金属ガラス合金におい
て、上記組成比を示すa、b、x、v、z、wが、0≦
a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0原子%<x≦
15原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.5原子%
≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子%である
ことがより好ましい。更に、上記組成比を示すa、b、
x、v、z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b≦
0.28、0原子%<x≦10原子%、11.3原子%
≦v≦14原子%、1.8原子%<z≦4.6原子%、
5.3原子%≦w≦8.6原子%であることがさらに好
ましい。
表されるものであってもよい。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-w-d-e-fAlx(P1-bSib)
vCzBwLdMeEf ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa、b、d、e、f、
x、v、z、wは、0≦a≦0.15、0<b≦0.
8、0原子%≦d≦4原子%、0原子%≦e≦8原子
%、0原子%≦f≦8原子%、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
lx(P1-bSib)vCzBwLdMeEfなる組成の金属ガ
ラス合金において、上記組成比を示すa、b、d、e、
f、x、v、z、wが、0≦a≦0.15、0.1≦b
≦0.35、0原子%≦d≦3原子%、0原子%≦e≦
6原子%、0原子%≦f≦6原子%、0原子%<x≦1
5原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.5原子%≦
z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子%であるこ
とがより好ましい。更に、上記組成比を示すa、b、
d、e、f、x、v、z、wが、0≦a≦0.15、
0.1≦b≦0.28、0原子%≦d≦2原子%、0原
子%≦e≦4原子%、0原子%≦f≦4原子%、0原子
%<x≦10原子%、11.3原子%≦v≦14原子
%、1.8原子%≦z≦4.6原子%、5.3原子%≦
w≦8.6原子%であることがさらに好ましい。
リコーン樹脂、シリコーンゴム、PVA(ポリビニルア
ルコール)等の液状又は粉末状の樹脂あるいはゴムや、
水ガラス、酸化物ガラス粉末、ゾルゲル法により生成す
るガラス状物質等のいずれか、あるいはこれらの混合物
を用いることができる。特にこれらのなかでもシリコー
ン樹脂またはシリコーンゴムが好ましい。
状オルガノポリシロキサンの架橋体からなるゴム状の弾
性を示すものをいう。架橋方法により、高温型と室温型
に大別されるが、本発明では室温型が好ましい。室温型
のシリコーンゴムは、直鎖状のポリオルガノシロキサン
に、アセトキシル基、アルコキシル基、オキシム基、イ
ソプロペノキシ基等を有するシラン化合物等の架橋剤を
反応させて得られるもので、特にアルコキシル基または
オキシム基を有する架橋剤を用いたものが好ましい。ま
た、シリコーン樹脂は一般に、高度な三次元的網目構造
を有するオルガノポリシロキサンの重合体をいう。オル
ガノクロロシランまたはオルガノアルコキシシランの加
水分解重縮合や環状シロキサンの開環重合により製造さ
れる。
潤滑材の役割を果たすステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
カルシウム等のステアリン酸塩を用いることもできる。
混合する絶縁材の混合率は、0.3重量%〜5重量%の
範囲が好ましく、1重量%〜5重量%の範囲がより好ま
しい。また、上記金属ガラス合金の粉末の粒径は2μm
以上300μm以下の範囲が好ましい。
前駆体を(Tg−170)K以上(Tg)K以下の温度範
囲で熱処理するため、金属ガラス合金の結晶化を防ぐと
ともに粉末製造工程や成形工程にて生じた金属ガラス合
金または磁心前駆体の内部応力を除去あるいは緩和する
ことができるので、保磁力が低い圧粉磁心を製造するこ
とが可能になる。また、本発明の圧粉磁心の製造方法に
おいては、上記磁心前駆体を、(Tg−160)K以上
(Tg−50)K以下の温度で熱処理することがより好
ましい。この温度範囲で熱処理すると、例えば印加磁界
±2.4kA/mにおける保磁力が100A/m以下の
圧粉磁心を得ることができる。
ては、上記磁心前駆体を、(Tg−140)K以上(Tg
−60)K以下の温度で熱処理することがより好まし
い。この温度範囲で熱処理すると、例えば印加磁界±
2.4kA/mにおける保磁力が80A/m以下の圧粉
磁心を得ることができる。
0)K以上(Tg−60)K以下の温度で熱処理するこ
とが更に好ましい。この温度範囲で熱処理すると、例え
ば印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が40A/
m以下の圧粉磁心を得ることができる。
磁心の製造方法の実施の形態例を図面を参照して説明す
る。本発明の実施形態の圧粉磁心は、ΔTx=Tx−Tg
(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を
示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが
20K以上であって、Feと、Alと、P、C、Si、
Bのうちの1種以上の元素Qとを少なくとも含み、非晶
質相を主相とする組織からなる金属ガラス合金の粉末
と、絶縁材とが混合され、これらが成形されてなるもの
である。また、上記金属ガラス合金としては、比抵抗が
1.5μΩ・m以上のものが好ましい。
ように、円環状の磁心1を例示できるが、形状はこれに
限られず、長円環状や楕円環状であっても良い。また平
面視略E字状、平面視略コ字状、平面視略I字状等であ
っても良い。
絶縁材によって結着されてなるもので、組織中に金属ガ
ラス合金の粉末が存在した状態となっており、金属ガラ
ス合金の粉末が溶解して均一な組織を構成しているもの
ではない。また、金属ガラス合金の粉末は、粉末を構成
する個々の粒子が絶縁材によって絶縁されていることが
好ましい。このように、圧粉磁心には金属ガラス合金の
粉末と絶縁材とが混合されて存在するので、絶縁材によ
って圧粉磁心自体の比抵抗が大きくなり、渦電流損失が
低減されて高周波領域における透磁率の低下が小さくな
る。
間隔ΔTxが20K未満であると、金属ガラス合金の粉
末と絶縁材とを混合して圧縮成形した後に行う熱処理時
に、結晶化させずに十分に内部応力を緩和させることが
困難になる。ΔTxが20K以上であると、熱処理温度
を下げることができ、絶縁材の過度な分解を防止し、絶
縁材の分解による損失の増大を抑えることができる。
4kA/mにおける保磁力が80A/m以下であること
が好ましく、40A/m以下であることがより好まし
い。
粉磁心の比抵抗を高めるとともに、金属ガラス合金の粉
末を結着して圧粉磁心の形状を保持するもので、磁気特
性に大きな損失とならない材料からなることが好まし
く、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコー
ンゴム、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、P
VA(ポリビニルアルコール)等の液状又は粉末状の樹
脂あるいはゴムや、水ガラス(Na2O-SiO2)、酸
化物ガラス粉末(Na2O-B2O3-SiO2、PbO-B2
O3-SiO2、PbO-BaO-SiO2、Na2O-B2O3
-ZnO、CaO-BaO-SiO2、Al2O3-B2O3-S
iO2、B2O3-SiO2)、ゾルゲル法により生成する
ガラス状物質(SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2
等を主成分とするもの)等を挙げることができる。ま
た、絶縁材として各種のエラストマー(ゴム)を用いて
もよい。また、絶縁とともに潤滑材の役割を果たすステ
アリン酸塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸アルミニウム等)を同時に用いること
もできる。
はシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは一般
に、高重合度の直鎖状オルガノポリシロキサンの架橋体
からなるゴム状の弾性を示すものをいう。架橋方法によ
り、高温型と室温型に大別されるが、本発明では室温型
が好ましい。室温型のシリコーンゴムは、直鎖状のポリ
オルガノシロキサンに、アセトキシル基、アルコキシル
基、オキシム基、イソプロペノキシル基等を有するシラ
ン化合物等の架橋剤を反応させて得られるもので、特に
アルコキシル基またはオキシム基を有する架橋剤を用い
たものが好ましい。また、シリコーン樹脂は一般に、高
度な三次元的網目構造を有するオルガノポリシロキサン
の重合体をいう。オルガノクロロシランまたはオルガノ
アルコキシシランの加水分解重縮合や環状シロキサンの
開環重合により製造される。
ルコキシル基を有する架橋剤としては、例えば下記式
(1)〜(3)に示すシラン化合物の混合物や、下記式
(4)〜(6)に示すシラン化合物の混合物を例示でき
る。また、オキシム基を有する架橋剤としては、例えば
下記式(7)〜(8)に示すシラン化合物の混合物を例
示できる。
状オルガノポリシロキサンとの架橋反応によって、直鎖
状オルガノポリシロキサンの架橋体からなるシリコーン
ゴムが得られる。なお、上記式(1)〜(3)の組合せ
の架橋剤を用いた場合には副生物としてメタノール(C
H3OH)及びノルマルブタノール(n-C4H9OH)が
生成し、上記式(4)〜(6)の組合せの架橋剤を用い
た場合には副生物としてメタノール(CH3OH)及び
イソプロピルアルコール(iso-C3H7OH)が生成し、
上記(7)〜(9)の組合せの架橋剤を用いた場合には
副生物としてエタノール(C2H5OH)及びエチルメチ
ルケトオキシム(CH3(C2H5)C=NOH)が生成
する。
キシル基を有する架橋剤により架橋して得られたシリコ
ーンゴムは、腐食性が少なく、耐腐食性に優れた圧粉磁
心を構成できる。また、上記式(3)に示すシラン化合
物は分子内にノルマルブチル基を有し、一方、上記式
(6)に示すシラン化合物は分子内にイソプロピル基を
有している。ノルマルブチル基はイソプロピル基より空
間を占める体積が大きいため、上記式(3)のシラン化
合物を含む上記式(1)〜(3)の架橋剤を用いて得ら
れたシリコーンゴムは、特に弾性に優れる性質を有す
る。従って本発明の圧粉磁心に対し、上記式(1)〜
(3)の架橋剤により得られたシリコーンゴムを用いる
と、硬化応力が小さいため、金属ガラス合金粉末に残留
する内部応力が小さくなり、金属ガラス合金の軟磁気特
性が向上する。これにより、圧粉磁心の保磁力及びコア
ロスを大幅に低減させることができる。
金の粉末は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始
温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される
過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって、F
eと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の元
素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相とする組織か
らなるもので、金属ガラス合金の薄帯が粉砕されて得ら
れたもの、金属ガラス合金の溶湯を回転する冷却ロール
に霧状に吹き付けて冷却して得られたもの、金属ガラス
合金の溶湯を高圧ガスとともに霧状に吹き出して冷却し
て得られたもの、あるいは金属ガラス合金の溶湯を水中
に霧状に吹き出して冷却して得られたものなどである。
この金属ガラス合金の粉末は、上記の非晶質相を主相と
する組織からなるので、保磁力が低くなって優れた軟磁
気特性を示す。特に、金属ガラス合金の溶湯を高圧ガス
とともに霧状に吹き出して冷却する方法で得られた粉末
は、他の方法で得られた粉末よりも形状が球状に近くな
って成形性が向上するので、本発明の圧粉磁心の構成材
料として好適に用いることができる。
てはΔTxが40K以上、さらには50K以上という顕
著な温度間隔を有し、また、比抵抗が1.5μΩ・m以
上を有しており、これまでの知見から知られる他の合金
からは全く予期されないものであり、室温で優れた軟磁
気特性を有しており、これまでの知見に見られない全く
新規なものである。
て、過冷却液体の温度間隔ΔTxは溶湯が液体構造を維
持したまま原子振動のみが生じている状態であり、この
過冷却液体の温度間隔ΔTxの存在が、金属ガラス合金
において原子の移動の起こり難い、即ち結晶化しにくい
性質を表している。過冷却液体の温度間隔ΔTxの大き
な金属ガラス合金は溶湯を冷却する際に、原子の移動が
起こり難いので、溶融状態の溶湯が固化される際に経る
過冷却液体状態が非常に広くなる。本発明で用いられる
金属ガラス合金は、過冷却液体の温度間隔ΔTxが大き
いために、溶融状態から冷却するとき、結晶化開始温度
Txの低温側に広い過冷却液体領域を有し、結晶化する
ことなく温度の低下に伴ってこの過冷却液体領域の温度
間隔ΔTxを経過したときに、ガラス遷移温度Tgに至っ
て非晶質相を容易に形成する。従って、冷却速度が比較
的遅くても充分に非晶質相を形成することが可能であ
り、例えば、比較的冷却速度が高い単ロール法などの液
体急冷法等により得られる金属ガラス合金の薄帯のほ
か、鋳造法等によって得られる金属ガラス合金のバルク
体等を粉砕することによっても、非晶質相を主相とする
金属ガラス合金の粉末が得られる。
ガラス合金の一例として、Feを主成分とし、Alと元
素Qとを少なくとも含有したものを挙げることができ
る。元素Qとしては、P、B、C、Siのうちの1種以
上の元素が用いられるが、この元素QはPとBとCとS
iとを含んでいることがより好ましい。
の組成式で表すことができる。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-wAlx(P1-bSib)vCzB
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
が、0≦a≦0.15、0.1≦b≦0.35、0原子
%<x≦15原子%、8原子%≦v≦18原子%、0.
5原子%≦z≦7.4原子%、3原子%≦w≦14原子
%であることがより好ましい。更に、上記組成式を示す
a、b、x、v、z、wが、0≦a≦0.15、0.1
≦b≦0.28、0原子%<x≦10原子%、11.3
原子%≦v≦14原子%、1.8原子%≦z≦4.6原
子%、5.3原子%≦w≦8.6原子%であることがさ
らに好ましい。
として、Fe-Al-Ga-C-P-Si-B系の金属ガラス
合金が知られている。この従来の組成系の金属ガラス合
金は、Feに非晶質形成能を有するAl、Ga、C、
P、Si及びBを添加したものである。この従来の金属
ガラス合金に対して本発明で用いられる金属ガラス合金
は、FeとAlと元素Q(P、B、C、Siのうちの1
種以上の元素)とを少なくとも含有したもので、従来の
組成系からGaを除去し、Fe量を増量させることなく
このGaの代わりにAlを増量させたものであり、従来
においては必須元素であると考えられてきたGaを除去
しても非晶質相を形成することが確認され、更には過冷
却液体の温度間隔ΔTxをも発現することを本願発明者
によって初めて見出された。
の元素であり、特にAlの組成比xを20原子%以下と
することにより、合金の非晶質形成能を格段に向上させ
て組織全体を完全な非晶質相とすることができ、また非
晶質軟磁性合金の過冷却液体の温度間隔ΔTxを20K
以上にすることができる。またAlは、Feとの間での
混合エンタルピーが負であり、Feよりも原子半径が大
きく、更にFeよりも原子半径が小さいP、B、Siと
ともに用いることにより、結晶化し難く、非晶質構造が
熱的に安定化した状態となる。Alの組成比xは、20
原子%以下であることが好ましく、0原子%を越えて1
5原子%以下であることがさらに好ましく、0原子%を
越えて10原子%以下であることが最も好ましい。組成
比xが20原子%を越えると、Fe量が相対的に低下し
て飽和磁化が低下し、また過冷却液体の温度間隔ΔTx
が消失するので好ましくない。
様に本発明で用いられる金属ガラス合金に必須の元素で
ある。また、Feの一部をCo、Niのいずれか一方ま
たは両方の元素Tで置換しても良い。磁性を担う元素で
あるFeの組成比が向上すると、金属ガラス合金の飽和
磁化を向上させることができる。
する元素であり、FeとAlにこれらの元素を添加して
多元系とすることにより、FeとAlのみの2元系の場
合と異なり安定して非晶質相が形成される。特にPは非
晶質形成能が高いので、金属ガラス合金の組織の全体が
非晶質相になるとともに過冷却液体の温度間隔ΔTxが
発現しやすくなる。またPとSiを同時に添加すると、
過冷却液体の温度間隔ΔTxをより向上させることがで
きる。
iの合計量を示す組成比vを0原子%を越えて22原子
%以下とすることが好ましく、8原子%以上18原子%
以下とすることがより好ましく、11.3原子%以上1
4原子%以下とすることが最も好ましい。PとSiの合
計量を示す組成比vが上記の範囲であれば、過冷却液体
の温度間隔ΔTxを向上させることができる。
との比を表す組成比bは、組成比vが0原子%を越えて
22原子%以下のときに0<b≦0.8とすることが好
ましく、組成比vが8原子%以上18原子%以下のとき
に0.1≦b≦0.35とすることが好ましく、組成比
vが11.3原子%以上14原子%以下のときに0.1
≦b≦0.28とすることが好ましい。組成比bが0.
8を越えるとSiの量が過剰になり、過冷却液体領域Δ
Txが消滅するおそれがあるので好ましくない。なお、
このときの金属ガラス合金におけるSiの濃度を示す
と、好ましい場合に17.6原子%以下、より好ましい
場合に0.8原子%以上6.3原子%以下、最も好まし
い場合に1.13原子%以上3.92原子%以下とな
る。
囲とすれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させる
ことができる。
2原子%以下であることが好ましく、0.5原子%以上
7.4原子%以下であることがより好ましく、1.8原
子%以上4.6原子%以下であることが最も好ましい。
更にBの組成比wは、0原子%を越えて16原子%以下
であることが好ましく、3原子%以上14原子%以下で
あることがより好ましく、5.3原子%以上8.6原子
%以下であることが最も好ましい。
表されるものであってもよい。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-w-d-e-fAlx(P1-bSib)
vCzBwLdMeEf ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa、b、d、e、f、
x、v、z、wは、0≦a≦0.15、0<b≦0.
8、0原子%≦d≦4原子%、0原子%≦e≦8原子
%、0原子%≦f≦8原子%、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
ガラス合金の組成に元素L、元素M及び元素Eを添加し
たものであり、これらの元素の添加によって金属ガラス
合金の表面に不動態被膜が形成され、金属ガラス合金の
耐腐食性が向上する。元素LはTi、Zr、Hf、N
b、Taのうちの一種以上の元素であり、C、Pと化合
物を形成して金属ガラス合金の融点を向上させる。元素
Lの組成比を示すdは0原子%以上4原子%以下の範囲
が好ましく、0原子%以上3原子%以下の範囲がより好
ましく、0原子%以上2原子%以下の範囲が更に好まし
い。組成比dが4原子%を越えると、Fe量が相対的に
低下して軟磁気特性が低下するとともに、金属ガラス合
金が脆くなるので好ましくない。
以上の元素であり、これらの元素が特に金属ガラス合金
の耐腐食性を向上させる。元素Mの中でも特にCrが好
ましい。Crを組成比で8原子%程度添加すると、ハス
テロイ並の耐腐食性が得られる。 元素Mの組成比を示
すeは0原子%以上8原子%以下の範囲が好ましく、0
原子%以上6原子%以下の範囲がより好ましく、0原子
%以上4原子%以下の範囲が更に好ましい。組成比eが
8原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して軟磁気
特性が低下するので好ましくない。また元素EはPd、
Pt、Auのうちの一種以上の元素であり、この元素E
は極めて耐腐食性が高いと同時に他の合金構成元素に対
して不活性であり、金属ガラス合金中で単相状態で存在
することにより金属ガラス合金の耐腐食性を向上させ
る。元素Eの組成比を示すfは0原子%以上8原子%以
下の範囲が好ましく、0原子%以上6原子%以下の範囲
がより好ましく、0原子%以上4原子%以下の範囲が更
に好ましい。組成比fが8原子%を越えると、Fe量が
相対的に低下して飽和磁束密度が低下するので好ましく
ない。
e、Al、P、C、B、Siの組成比及び組成限定理由
は、先に説明したFeAlPCBSi系の金属ガラス合
金と同様である。
合金には、Geが4原子%以下含有されていてもよい。
これらのいずれの場合の組成においても、本発明で用い
られる上記構成の金属ガラス合金においては、過冷却液
体の温度間隔ΔTxは20K以上、組成によってはΔTx
は35K以上、さらにはΔTx50K以上が得られる。
また、本発明で用いられる金属ガラス合金には、上記の
組成で示される元素の他に不可避的不純物が含まれてい
ても良い。
形態例を図面を参照して説明する。本発明の圧粉磁心の
製造方法は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始
温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される
過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって、F
eと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以上の元
素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相とする金属ガ
ラス合金の粉末を製造する粉末製造工程と、上記の金属
ガラス合金の粉末に絶縁材を加えて混合し、この混合物
を圧縮成形して磁心前駆体を形成する成形工程と、上記
磁心前駆体を、(Tg−170)K以上(Tg)K以下の
温度で熱処理して上記磁心前駆体の内部応力を除去する
熱処理工程とからなる。
金の薄帯(金属ガラス合金薄帯)を粉砕、分級すること
により金属ガラス合金の粉末を製造する。金属ガラス合
金薄帯は、上述の組成の金属ガラス合金の溶湯を、回転
する冷却ロールの冷却面に噴出させて急冷するいわゆる
ロール急冷法により製造される。次に、得られた金属ガ
ラス合金薄帯を粉砕して粉末とする。粉砕にはロータミ
ル、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、摩砕機
等を用いることができる。
平均粒径を有する粉末とする。粉末の平均粒径は、30
μm以上、より好ましくは45μm以上300μm以下
の範囲がよい。平均粒径が30μm未満であると、粉砕
の際にロータミル等からのコンタミネーションが起こる
可能性があるので好ましくない。また、平均粒径が30
0μmを越えると、粉末を構成する粒子が粗くなり、絶
縁材を混合して圧縮成形した際に圧粉磁心の組織中に空
隙が残存するおそれがあり、圧粉磁心の保磁力が大きく
なるので好ましくない。分級には、ふるい、振動ふる
い、音波ふるい、気流式分級機等を用いることができ
る。
記組成の金属ガラス合金の溶湯を、回転する冷却ロール
に霧状に吹き付けることによっても、金属ガラス合金の
粉末を得ることができる。この場合は、溶湯を冷却ロー
ルに霧状に吹き付けるだけで、粉末を容易に得ることが
できる。この際の粉末の平均粒径の制御は、冷却ロール
の回転速度、溶湯の温度、噴霧条件等を適宜調整するこ
とにより制御できる。また、上記組成の金属ガラス合金
の溶湯を高圧ガスとともに霧状に吹き出して冷却するガ
スアトマイズ法や、上記組成の金属ガラス合金の溶湯を
水中に霧状に吹き出して冷却する水アトマイズ法によっ
ても得ることができる。
ラス合金の溶湯を噴霧ノズル付きのるつぼに充填し、溶
湯の温度を金属ガラス合金の融点より140℃以上高い
温度に維持した状態で、溶湯を5.9MPa以上の圧力
の窒素、アルゴン等の不活性ガスと共に噴霧ノズルから
霧状に噴霧する。噴霧は、アルゴンガス、窒素ガス等の
不活性ガス雰囲気中に噴霧することが合金の酸化を防止
できる点で好ましい。噴霧された霧状の溶湯は直ちに冷
却され、ほぼ球状の粒子からなる粉末が得られる。得ら
れた粉末は、噴霧により瞬時に冷却されたものであるた
め、その組織の大部分が非晶質相を主相とした組織とな
る。特に、本発明に係る金属ガラス合金は、FeとAl
と元素Q(P、B、C、Siのうちの1種以上の元素)
とを少なくとも含有したものであって非晶質相の形成能
に優れているので、従来のFeSiB系合金では不可能
であったガスアトマイズ法による非晶質合金の製造が可
能になった。
末の平均粒径は、2μm以上100μm以下の範囲が好
ましく、2μm以上60μm以下の範囲がより好まし
い。平均粒径が2μm未満では、成形密度が小さくな
り、圧粉磁心の飽和磁束密度及び透磁率が低くなるとと
もに保磁力及びコアロスが大きくなるので好ましくな
い。また、平均粒径が100μmを越えると、粒子が粗
くなり、絶縁材を混合して圧縮成形した際に圧粉磁心の
組織中に空隙が残存するおそれがあり、圧粉磁心の保磁
力が大きくなるので好ましくない。また、粒子自体の冷
却速度が低下し、粒子に占める非晶質相の体積分率が低
下してしまうので好ましくない。尚、噴霧時の溶湯温
度、ガス圧力等を制御することによって粉末の平均粒径
をある程度調整できるが、より精密に平均粒径を調整す
るには、ふるい、振動ふるい、音波ふるい、気流式分級
機等の分級手段を用いることが好ましい。
絶縁材を加えて混合し、この混合物を圧縮成形して磁心
前駆体を形成する成形工程を行う。混合物中の絶縁材の
混合率は、0.3重量%以上5重量%以下であることが
好ましく、1重量%以上5重量%以下であることがより
好ましい。絶縁材の混合率が0.3重量%未満では、金
属ガラス合金の粉末をこの絶縁材とともに所定の形状に
成形できなくなるので好ましくない。また、混合率が5
重量%を越えると、圧粉磁心における金属ガラス合金の
含有率が低下し、圧粉磁心の軟磁気特性が低下するので
好ましくない。また、圧縮成形する前に混合物に含まれ
る溶剤、水分等を蒸発させ、金属ガラス合金粉末の表面
に絶縁材層を形成させることが望ましい。
を製造する。磁心前駆体の製造には、図2に示すような
金型10を用いる。この金型10は、中空円筒型のダイ
11と、このダイ11の中空部11aに挿入される上パ
ンチ12および下パンチ13からなる。上パンチ12の
下面には円柱状の突起12aが設けられており、これら
上パンチ12、下パンチ13及びダイ11が一体化し
て、金型10の内部に円環状の型が形成される。そして
この金型10に上述の混合物を充填する。
金の粉末と絶縁材からなる混合物を、一軸圧力を印加し
つつ所定の温度まで加熱して圧縮成形する。図3には、
圧縮成形する際に用いて好適な放電プラマ焼結装置の一
例の要部を示す。この例の放電プラズマ焼結装置は、混
合物を充填した金型10と、金型10の下パンチ13を
支え、後述するパルス電流を流す際の一方の電極ともな
るパンチ電極14と、金型10の上パンチ12を下側に
押圧し、パルス電流を流す他方の電極となるパンチ電極
15と、金型10内の混合物の温度を測定する熱電対1
7を主体として構成されている。そして、この放電プラ
ズマ焼結装置は、チャンバ18内に収納されており、こ
のチャンバ18は図示略の真空排気装置および雰囲気ガ
スの供給装置に接続されていて、金型10に充填される
混合物を不活性ガス雰囲気などの所望の雰囲気下に保持
できるように構成されている。なお、図3では通電装置
が省略されているが、上下のパンチ12、13およびパ
ンチ電極14、15には別途設けた通電装置が接続され
ていてこの通電装置からパルス電流をパンチ12、13
およびパンチ電極14、15を介して通電できるように
構成されている。
を含む混合物が充填された金型10を放電プラズマ焼結
装置に設置し、チャンバ18の内部を真空引きするとと
もに、パンチ12、13で上下から一軸圧力Pを混合物
に印加すると同時に、パルス電流を印加して混合物を加
熱しつつ圧縮成形する。この放電プラズマ焼結処理にお
いては、通電電流により混合物を所定の速度で素早く昇
温することができ、圧縮成形の時間を短くすることがで
きるので、金属ガラス合金の非晶質相を維持したまま圧
縮成形するのに適している。
する際の温度は、絶縁材の種類と金属ガラス合金の組成
によって異なるが、絶縁材として水ガラス、金属ガラス
合金としてFe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3 なる組
成のものを用いた場合には、絶縁材によって金属ガラス
合金を結着させるために373K(100℃)以上とす
ることが必要であり、また絶縁材が溶融して金型10か
らしみ出さないようにするには673K(400℃)以
下とすることが必要である。絶縁材がしみ出ると、圧粉
磁心中の絶縁材の含有量が低下して圧粉磁心の比抵抗が
低下し、高周波帯域における透磁率が低下してしまう。
373K(100℃)以上673K(400℃)以下の
温度範囲で混合物を圧縮成形すれば、絶縁材が適度に軟
化するので、金属ガラス合金の粉末を結着させて混合物
を所定の形状に成形することができる。
圧力Pについては、圧力が低すぎると圧粉磁心の密度を
高くすることができず、緻密な圧粉磁心を形成できなく
なる。また圧力が高すぎると絶縁材がしみ出し、圧粉磁
心中の絶縁材の含有量が低下して圧粉磁心の比抵抗が低
下し、高周波帯域における透磁率が低下してしまう。従
って一軸圧力Pは、絶縁材の種類と金属ガラス合金の組
成によって異なるが、絶縁材として水ガラス、金属ガラ
ス合金としてFe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3なる
組成のものを用いた場合には、600MPa以上150
0MPa以下とするのが好ましく、600MPa以上9
00MPa以下とするのがより好ましい。このようにし
て円環状の磁心前駆体が得られる。
る場合には、上記の成型工程において、金属ガラス合金
粉末とシリコーンゴムとの混合物を常温で圧縮成形する
ことにより、所定の形状の磁心前駆体を得ることができ
る。
め、硬化応力が小さく、金属ガラス合金粉末に残留する
内部応力が小さい。このため、磁歪の影響が取り除かれ
て金属ガラス合金の軟磁気特性が向上する。これによ
り、圧粉磁心の保磁力及びコアロスを大幅に低減させる
ことができる。特に、前述したように、上記式(1)〜
(3)の架橋剤により得られるシリコーンゴムは特に弾
性に優れるため、特に硬化応力が小さく、金属ガラス合
金粉末に残留する内部応力が極めて小さくなって金属ガ
ラス合金の軟磁気特性が更に向上し、圧粉磁心の保磁力
及びコアロスを更に大幅に低減させることができる。特
にコアロスについては、周波数100kHz、磁束密度
0.1Tの条件で測定したときに400kW/m3以下
とすることができ、従来の圧粉磁心のコアロスよりも大
幅に低減できる。
縮成形の際に混合物に印加する圧力については、圧力が
低すぎると圧粉磁心の密度を高くすることができず、緻
密な圧粉磁心を形成できなくなる。また、圧力が高すぎ
るとシリコーンゴムがしみ出し、圧粉磁心中のシリコー
ンゴムの含有量が低下して圧粉磁心の比抵抗が低下し、
高周波帯域における透磁率が低下してしまう。従って圧
力は、金属ガラス合金の組成によって異なるが、金属ガ
ラス合金としてFe77Al1P9.23C2.2B7.7Si2.87
なる組成のものを用いた場合には、500MPa以上2
500MPa以下とするのが好ましく、1000MPa
以上2000MPa以下とするのがより好ましい。
駆体の内部応力を除去する熱処理工程を行う。磁心前駆
体を所定の温度範囲で熱処理すると、粉末製造工程や成
形工程にて生じた磁心前駆体自体の内部応力や、磁心前
駆体に含まれる金属ガラス合金粉末の内部応力を除去す
ることができ、保磁力が低い圧粉磁心を製造することが
できる。熱処理の温度は、(Tg−170)K以上
(Tg)K以下の範囲が好ましく、(Tg−160)K以
上(Tg−50)K以下の範囲がより好ましく、(Tg−
140)K以上(Tg−60)K以下の範囲がさらに好
ましく、(Tg−110)K以上(Tg−60)K以下の
範囲が最も好ましい。
−50)K以下の温度範囲で熱処理すると、例えば印加
磁界±2.4kA/mにおける保磁力が100A/m以
下の圧粉磁心を製造することができ、(Tg−140)
K以上(Tg−60)K以下の温度で熱処理すると、例
えば印加磁界±2.4kA/mにおける保磁力が80A
/m以下の圧粉磁心を得ることができ、更に上記磁心前
駆体を(Tg−110)K以上(Tg−60)K以下の温
度で熱処理すると、例えば印加磁界±2.4kA/mに
おける保磁力が40A/m以下の圧粉磁心を得ることが
できる。
は、磁心前駆体の内部応力を十分に除去することができ
ないので好ましくなく、(Tg)Kを越えると、金属ガ
ラス合金が結晶化し、保磁力が大きくなってしまうので
好ましくない。
i3なる組成の金属ガラス合金の場合には、熱処理温度
を573K(300℃)〜723K(450℃)の範囲
とすることが好ましく、603K(330℃)〜713
K(440℃)の範囲とすることがより好ましく、62
3K(350℃)〜703K(430℃)の範囲とする
ことがさらに好ましく、653K(380℃)〜703
K(430℃)の範囲とすることが最も好ましい。
場合には、熱処理温度を653K(380℃)〜703
K(430℃)の範囲とすることが好ましい。シリコー
ンゴムを用いた場合に熱処理温度が653K未満である
と、磁心前駆体の内部応力を十分に除去することができ
ないので好ましくなく、熱処理温度が703Kを越える
と、シリコーンゴムが過度に分解し、圧粉磁心の強度が
低下するので好ましくない。また、絶縁材としてシリコ
ーンゴムを用いた場合には、熱処理の雰囲気を、真空雰
囲気あるいは窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰
囲気とすることが好ましく、特に窒素ガス雰囲気とする
ことがより好ましい。このように熱処理することによ
り、本発明の円環状の圧粉磁心が得られる。
ガラス合金の粉末を含むものであるから、室温で優れた
軟磁性特性を有し、また熱処理によってより良好な軟磁
気特性を示す。このため、優れたSoft magnetic特性
(軟磁気特性)を有する材料として、この圧粉磁心を種
々の磁気素子の磁心として適用することができ、従来材
に比べて優れた軟磁気特性を有する磁心を得ることがで
きる。
と絶縁材を含む混合物を放電プラズマ焼結装置により圧
縮成形する方法を用いたが、これに限らず、通常の粉末
成形法、ホットプレス法、押し出し法などの方法により
圧縮成形することによっても本発明の圧粉磁心を得るこ
とができる。
の圧粉磁心を製造する方法を説明したが、これに限られ
ず、バルク状の成形体を製造し、これを切削加工して、
円環状、棒状、平面視略E字状、平面視略コ字状等の形
状に切り出すことにより種々の形状の圧粉磁心を製造し
ても良い。
金属ガラス合金の粉末と上記絶縁材とが混合されて成形
されているので、絶縁材によって圧粉磁心全体の比抵抗
を高くすることができ、渦電流損失を低減して圧粉磁心
のコアロスを低くすることが可能になるとともに、高周
波数帯での透磁率の低下を抑制することができる。ま
た、実施形態の圧粉磁心において、比抵抗が1.5μΩ
・m以上の金属ガラス合金を用いたものにあっては、高
周波における金属ガラス合金粒子内の渦電流損失が低減
され、よりコアロスが低い圧粉磁心を構成することが可
能になる。
れば、磁心前駆体を(Tg−170)K以上(Tg)K以
下の温度範囲で熱処理するため、金属ガラス合金の結晶
化を防ぐとともに粉末製造工程や成形工程にて生じた金
属ガラス合金または磁心前駆体の内部応力を除去するこ
とができ、保磁力が低い圧粉磁心を製造することができ
る。
ラス合金粉末は、平均粒径が小さく、かつ球状の粒子か
らなるので、この金属ガラス合金粉末を圧粉磁心に用い
ると、コアロスが低く、印加磁界の変化に対する透磁率
の変化率(振幅透磁率)及び印加磁界の変化に対するイ
ンダクタンスの変化率(直流重畳特性)に優れた圧粉磁
心を得ることができる。
ることにより、成型工程における圧縮成型時の加熱を省
略できるとともに、圧粉磁心の内部応力を大幅に低減し
て圧粉磁心の保磁力及びコアロスを大幅に低下させるこ
とができる。
ス合金からなる圧粉磁心の特性」Fe、Al、Fe-C
合金、Fe-P合金、B、Siを原料としてそれぞれ所
定量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を
高周波誘導加熱装置で溶解し、Fe70Al7P9.65C2.3
B8.05Si3なる組成のインゴットを作製した。このイ
ンゴットをるつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下
でるつぼのノズルから回転しているロールに溶湯を吹き
出して急冷する単ロール法により、幅15mm、厚さ2
0μmの非晶質相組織の金属ガラス合金の薄帯を得た。
これをローターミルを用いて大気中で粉砕し、45〜1
50μmの範囲の粒径のものをふるいで分級し、これを
金属ガラス合金の粉末とした。
し、絶縁材としてステアリン酸カルシウム1重量部と水
ガラス2重量部とを混合して混合物とした。この混合物
を大気中473K(200℃)で1時間乾燥して解砕し
た。この混合物を図2に示すWC製の金型に充填した
後、図3に示す放電プラズマ焼結装置を用い、チャンバ
の内部を6.6×10-3Paの減圧雰囲気とし、上下の
パンチ12、13で混合物を成形圧力PS600MP
a、900MPaまで加圧するとともに、通電装置から
パルス電流を通電して混合物を室温((298K(25
℃))から573K(300℃)、623K(350
℃)の成形温度TSまで加熱した。そして、混合物に上
記の成形圧力Psを印加したままで上記の成形温度TSを
約8分間保持することにより圧縮成形を行った。そし
て、熱処理温度Taが573K(300℃)〜723K
(450℃)で3600秒間熱処理して、各種の圧粉磁
心を製造した。この圧粉磁心の形状は、外径12mm、
内径6mm、厚さ2mmの円環状であった。
は、Fe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3なる組成の金
属ガラス合金の薄帯及び粉末のX線回折測定の結果を示
す。図4から明らかなように、金属ガラス合金の薄帯及
び粉末のX線回折パターンは、いずれもブロードなパタ
ーンを示しており、いずれも非晶質相を主体とする組織
を有していることがわかる。このように薄帯を粉砕して
金属ガラス合金の粉末を形成しても、結晶質相が析出す
ることなく非晶質状態が維持されていることが判る。
薄帯及び粉末のDSC曲線(Differential scanning ca
loriemeter:示差走査熱量測定による曲線(測定時の昇
温速度:40K/分(=0.67K/秒)))を示す。
図5から、上記の組成の金属ガラス合金薄帯のDSC曲
線には、760Kにガラス遷移によるガラス遷移温度T
gが認められ、821Kに結晶化による結晶化開始温度
Txが観察される。またΔTx=Tx−Tgで示される過冷
却液体の温度間隔ΔTxは61Kであった。また、上記
の組成の金属ガラス合金粉末のDSC曲線には、760
Kにガラス遷移によるガラス遷移温度Tgが認められ、
822Kに結晶化による結晶化開始温度Txが観察され
る。またΔTx=Tx−Tgで示される過冷却液体の温度
間隔ΔTxは62Kであった。このように、Fe70Al7
P9.65C2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金薄帯
及び粉末には結晶化温度Tx以下の広い温度領域で過冷
却液体域が存在し、ΔTx=Tx−Tgで示される値が大
きく、この系の組成の合金が高いアモルファス形成能と
高い熱的安定性を有することがわかる。
に、図6〜図7には、熱処理前(圧縮成形直後)と熱処
理後の圧粉磁心(Fe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3
なる組成の金属ガラス合金の粉末と絶縁材を用いて作製
した圧粉磁心)の、磁束密度(B2.4k)、保磁力(H
c)の熱処理温度依存性をそれぞれ示す。なお、図6〜
図7において、黒四角形のプロットは成形温度Tsが5
73K(300℃)、成形圧力PSが900MPaの場
合であり、黒丸のプロットは成形温度Tsが623K
(350℃)、成形圧力PSが600MPaの場合であ
り、黒三角形のプロットは成形温度Tsが623K(3
50℃)、成形圧力PSが900MPaの場合である。
また、熱処理時に、熱処理温度Taで保持する時間は、
3600秒間とした。また、図6に示す磁束密度(B
2.4k)は印加磁界2.4kA/mにおける磁束密度であ
る。
2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金の粉末に代え
てFeの粉末(カーボニル鉄の粉末)を用いた以外は上
記圧粉磁心の作製方法と同様にして圧粉磁心(比較例の
圧粉磁心)を作製した。図8〜図9には、熱処理後の圧
粉磁心(Feの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁
心)の、磁束密度(B2.4k)、保磁力(Hc)の熱処理
温度依存性をそれぞれ示す。なお、図8〜図9におい
て、黒四角形のプロットは成形温度Tsが673K(4
00℃)、成形圧力PSが600MPaの場合であり、
黒丸のプロットは成形温度Tsが623K(350
℃)、成形圧力PSが600MPaの場合であり、黒三
角形のプロットは成形温度Tsが573K(300
℃)、成形圧力PSが900MPaの場合であり、黒ひ
し形のプロットは成形温度Tsが573K(300
℃)、成形圧力PSが600MPaの場合である。ま
た、熱処理時に、熱処理温度Taで保持する時間は、3
600秒間とした。また、図8に示す磁束密度
(B2.4k)は印加磁界2.4kA/mにおける磁束密度
である。
2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金の粉末と絶縁
材からなる圧粉磁心は、成形温度TSや成形圧力PSなど
の成形条件に係わらず、熱処理によって磁束密度(B
2.4k)が高くなっていることが分かる。また、熱処理後
の圧粉磁心については、熱処理温度Taが623K(3
50℃)を越えると、磁束密度(B2.4k)が大幅に高く
なることが分かる。なお、成形条件がTs=673K
(400℃)、Ps=600MPaのものは、熱処理温
度Ta が623K(350℃)まで磁束密度(B2.4k)
が殆ど一定である。また図7に示すように、Fe70Al
7P9.65C2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金の
粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁心は、成形条件に
係わらず、熱処理によって保磁力(Hc)が低下してい
ることが分かる。また、熱処理後の圧粉磁心について
は、熱処理温度Ta が約603K〜713Kの範囲で
保磁力(Hc)が100A/m以下を示しており、熱処
理温度Ta が約623K〜703Kの範囲で保磁力
(Hc)が80A/m以下を示しており、熱処理温度T
aが約653K〜703Kの範囲で保磁力(Hc)が4
0A/m以下を示しており、また、693K(420
℃)付近で保磁力(Hc)が約15A/mで極小を示し
ている。
縁材を用いて作製した比較例の圧粉磁心は、成形温度T
Sや成形圧力PSなどの成形条件に係わらず、熱処理によ
って磁束密度(B2.4k)が殆ど変化しないことが分か
る。また図9に示すように、比較例の圧粉磁心は、成形
条件に係わらず、熱処理によって保磁力(Hc)が殆ど
変化せず、110A/m以上の保磁力を示すことが分か
る。
図10に、Fe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3なる組
成の金属ガラスの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁
心の透磁率(μ’)の周波数(f)特性を示す。また、
図11に、Fe70Al7P9.65C2.3B8.05Si3なる組
成の金属ガラスの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁
心のコアロス(W)の周波数(f)特性を示す。ここで
のコアロスは、周波数10kHz〜100kHz、磁束
密度(Bm)0.1Tの条件で測定したものである。な
お、図10および図11において、黒丸のプロットは成
形温度Tsが623K(350℃)、成形圧力PSが60
0MPa、熱処理温度Taが693K(420℃)の場
合であり、黒三角形のプロットは成形温度Tsが623
K(350℃)、成形圧力PSが900MPa、熱処理
温度Taが683K(410℃)の場合である。また熱
処理時に、熱処理温度Taで保持する時間は、3600
秒間とした。
(カーボニル鉄の粉末)と絶縁材を用いて作製した比較
例の圧粉磁心の透磁率(μ’)の周波数(f)特性を示
す。また、図13にFeの粉末(カーボニル鉄の粉末)
と絶縁材を用いて作製した比較例の圧粉磁心のコアロス
(W)の周波数(f)特性を示す。ここでのコアロス
は、周波数10kHz〜100kHz、磁束密度(B
m)0.1Tの条件で測定したものである。なお、図1
2および図13において、黒四角形のプロットは成形温
度Tsが673K(400℃)、成形圧力PSが600M
Pa、熱処理温度Taが673K(400℃)の場合で
あり、黒丸のプロットは成形温度Tsが623K(35
0℃)、成形圧力PSが600MPa、熱処理温度Taが
673K(400℃)の場合であり、黒三角形のプロッ
トは成形温度Tsが573K(300℃)、成形圧力PS
が900MPa、熱処理温度Taが673K(400
℃)の場合であり、黒ひし形のプロットは成形温度Ts
が573K(300℃)、成形圧力PSが600MP
a、熱処理温度Taが673K(400℃)場合であ
る。また、熱処理時に、熱処理温度Taで保持する時間
は、3600秒間とした。
粉磁心(Fe70Al7P9.65C2.3B 8.05Si3なる組成
の金属ガラスの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁
心)は、透磁率と周波数との関係を示すグラフがフラッ
トを示す範囲(周波数帯域)が広く)が大きく、また、
1000kHz以上の高周波数帯域においても透磁率
(μ’)の低下割合が小さく、透磁率(μ’)の周波数
(f)特性に優れていることが判る。このような特性
は、成形温度TSや成形圧力PSなどの成形条件に係わら
ず示してことができることがわかる。なお、実施例の圧
粉磁心で、黒丸プロット(Ts=623K、PS=600
MPa、Ta=693K)の場合は、0.3〜1000
0kHzの広い周波数帯域において透磁率が一定になっ
ており、また、黒三角形プロット(Ts=623K、成
形圧力PSが900MPa、熱処理温度T aが683K)
の場合は、0.3〜1000kHzの広い周波数帯域に
おいて透磁率が一定になっている。従って、本発明の実
施例の圧粉磁心は、スイッチング電源用トランスコアや
平滑チョークコア等の高周波帯域まで一定の透磁率が必
要とされる磁心部品に用いた場合に、有効である。
絶縁材を用いて作製した比較例の圧粉磁心は、実施例の
ものに比べて、透磁率と周波数との関係を示すグラフが
フラットな範囲(周波数帯域)が小さく、また、比較例
の圧粉磁心で黒四角形プロット(Ts=673K、PS=
600MPa、Ta=673Kの場合は、周波数が高く
なるに従って透磁率が大きく低下しており、黒丸プロッ
ト(Ts=623K、PS=600MPa、Ta=673
Kの場合は、10kHzを越えると透磁率が急激に低下
しており、黒三角形プロット(Ts=573K、PS=9
00MPa、T a=673Kの場合や、黒ひし形プロッ
ト(Ts=573K、PS=600MPa、Ta=673
Kの場合は、200kHzを越えると透磁率が急激に低
下している。また、比較例の圧粉磁心は、いずれも、1
000kHz以上の高周波数帯域において、本発明の実
施例の圧粉磁心よりも透磁率が低いことがわかる。
ように本発明の実施例の圧粉磁心(Fe70Al7P9.65
C2.3B8.05Si3の金属ガラスの粉末と絶縁材を用いて
作製した圧粉磁心)は、10kHz〜100kHzの周
波数帯域において比較例の圧粉磁心よりも低いコアロス
を示している。また、本発明の実施例の圧粉磁心は、1
0kHz〜20kHz付近のコアロスが比較例の圧粉磁
心のコアロスより1桁以上小さくなっている。従って、
本発明の実施例の圧粉磁心は、低周波から高周波までコ
アロスに優れている(低コアロスである)ことが判る。
Bの組成依存性調査)Fe、Al、Fe-C合金、Fe-
P合金、B、Siを原料としてそれぞれ所定量秤量し、
減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加
熱装置で溶解し、Fe70Al7(P0.76Si0.24)vCz
Bw系の組成の種々のインゴットを作製した。このイン
ゴットをるつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下で
るつぼのノズルから回転しているロールに溶湯を吹き出
して急冷する単ロール法により、幅1mm、厚さ20μ
mの非晶質相組織の金属ガラス合金の薄帯を得た。ここ
で得られた各種の金属ガラス合金の組成は、以下に示す
ものであった。Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
5.75B4.6 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)10.35C
8.05B4.6 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)10.35C
5.75B6.9 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
3.45B6.9 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)14.95C
3.45B4.6 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)14.95C
5.75B2.3 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
8.05B2.3 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)10.35C
3.45B9.2 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
1.15B9.2 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)14.95C
1.15B6.9 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
4.6B5.75 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)11.5C
4.6B6.9 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)11.5C
3.45B8.05 、Fe70Al7(P0.76Si0.24)12.65C
2.3B8.05
DSC測定(Differential scanning caloriemetry:示
差走査熱量測定)を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化
開始温度Txを測定するとともに、過冷却液体の温度間
隔ΔTxを求めた。DSC測定の昇温速度は0.67K
/秒とした。図14にガラス遷移温度Tgの組成依存
性、図15に結晶化開始温度Txの組成依存性、図16
に過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性をそれぞれ
示す。
ロットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTxの値をそれぞれ示
すものである。また、図14〜図16の三角組成図に
は、等値線を記入しており、等値線上の添え数字はこれ
らの等値線の値を示すものである。
増加及びC量の減少伴って上昇しており、Tgの760
Kの等値線がBの組成比wの4.1〜8.05原子%の
範囲、かつCの組成比zの2.3〜5.1原子%の範囲
にある。また図15より結晶化開始温度Txは、Tgの場
合と同様にB量の増加及びC量の減少に伴って上昇し、
Txの815Kの等値線がBの組成比wの4〜8.4原
子%の範囲、かつCの組成比zの0.3〜5原子%の範
囲にある。そして図16に示すように、図14に示すT
gの760Kの等値線と、図15に示すTxの815Kの
等値線とに囲まれた範囲が、ΔTxの60Kの等値線の
範囲に相当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔT
xが60Kを越えており、特にFe70Al7(P0.76Si
0.24)12.65C3.45B6.9なる組成の金属ガラス合金のΔ
Txが63Kを示していることがわかる。
の応力緩和」Fe、Al、Fe-C合金、Fe-P合金、
B、Siを原料としてそれぞれ所定量秤量し、減圧Ar
雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加熱装置で
溶解して合金インゴットを作製した。この合金インゴッ
トをるつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下でるつ
ぼのノズルから回転しているロールに溶湯を吹き出して
急冷する単ロール法により、幅15mm、厚さ20μm
の非晶質相組織の金属ガラス合金の薄帯を得た。得られ
た金属ガラス合金はFe77Al1P9.23C2.2B7.7Si
2.87なる組成の合金であった。
いてリング試料とし、このリング試料に対して一軸プレ
ス装置により2000MPaの応力を印加した。この
後、昇温速度40℃/分、熱処理温度310〜450
℃、熱処理時間60分の条件で熱処理を行い、熱処理後
のリング試料の磁気特性を測定した。結果を図17及び
図18に示す。図17に保磁力Hcと熱処理温度Taと
の関係を示し、図18に1kHzにおける実効透磁率
μ’と熱処理温度Taとの関係を示す。また図17及び
図18には、応力を印加しない状態で熱処理を行ったリ
ング試料の磁気特性を同時に示す。更に図19には、上
記組成の金属ガラス合金の薄帯のDSC曲線(昇温速
度:40K/分(=0.67K/秒))を示す。
合金薄帯を用いたこと以外は上記の金属ガラス合金の場
合と同様にして、応力印加有りと応力印加なしのリング
試料を製造し、このリング試料の保磁力Hc及び実効透
磁率μ’と熱処理温度Taと関係を調べた。結果を図1
7及び図18に併せて示す。更に、上記Fe78Si9B
13なる組成の非晶質合金薄帯のDSC曲線(昇温速度:
40K/分(=0.67K/秒))を図19に併せて示
す。
図17に示すように、応力を印加しない場合(図中白四
角形のプロット)に、熱処理温度Taの上昇とともに保
磁力Hcが緩やかに低下した後、熱処理温度Taが37
0℃で3A/mの極小値を示し、380℃以上では緩や
かに上昇している。一方、応力を印加した場合(図中白
四角形のプロット)では、応力印加後に保磁力Hcが8
0A/mまで上昇するが、その後熱処理温度Taの上昇
により急速に低下し、熱処理温度Taが350℃に達し
た時点で保磁力Hcが10A/m以下となり、更に41
0℃に達した時点で応力を印加しないリング試料(図中
白四角形プロット)とほぼ同等の保磁力Hcを示すこと
がわかる。
試料では、応力を印加しない場合(図中白丸のプロッ
ト)、熱処理温度Taの上昇とともに保磁力Hcが緩や
かに低下した後、熱処理温度Taが370℃で3A/m
の極小値を示すが、その後熱処理温度の上昇とともにH
cが急増し、450℃で100A/m以上に達してい
る。また応力を印加した場合(図中黒丸のプロット)で
は、応力印加後に保磁力Hcが70A/mまで上昇し、
その後熱処理温度Taの上昇により急速に低下し、熱処
理温度Taが390℃に達した時点で保磁力Hcが9A
/mになるが、その後熱処理温度の上昇とともにHcが
急激に増加し、450℃で100A/m以上に達してい
る。このように、応力印加した場合の両者の保磁力を比
較すると、金属ガラス合金からなるリング試料の方が低
い値を示している。
料では、応力印加の有無に関わらず、熱処理温度が約4
00℃を越えると急激にHcが高くなっていることがわ
かる。従って、Fe78Si9B13なる組成のリング試料
のHcは熱安定性が低く、製造条件の僅かな変動により
得られる圧粉磁心の磁気特性が大幅に変動し、安定した
品質の圧粉磁心が得られないおそれがある。一方、本発
明の金属ガラス合金では、熱処理温度350℃以上でH
cがほぼ安定しており、製造条件が多少変動しても安定
した品質の圧粉磁心が得られることがわかる。
いては、図18に示すように、応力を印加しない場合
(図中白四角形のプロット)、熱処理温度Taの上昇と
ともに実効透磁率μ’が向上し、熱処理温度Taが37
0℃のときに6000程度を示し、その後はほぼ一定に
なっている。また、応力を印加した場合(図中黒四角形
のプロット)では、応力印加後に実効透磁率μ’が30
0程度に低下するが、その後熱処理温度Taの上昇によ
り急速に向上し、熱処理温度Taが350℃に達した時
点で応力を印加しないリング試料(図中白四角形プロッ
ト)とほぼ同等の5000程度の実効透磁率μ’を示
し、更に450℃で約8000のμ’を示している。
試料では、応力を印加しない場合(図中白丸のプロッ
ト)、熱処理温度Taの上昇とともに実効透磁率μ’が
向上し、熱処理温度Taが350℃のときに10000
を示すが、その後は急激に低下し、450℃のときに3
50程度まで低下している。また、応力を印加した場合
(図中黒丸のプロット)では、応力印加後に実効透磁率
μ’が約500まで低下し、その後熱処理温度Taの上
昇により急速に回復し、熱処理温度Taが410℃に達
したときに約5000のμ’を示すが、その後急激に低
下し、450℃で約300まで低下している。このよう
に、応力印加した場合の両者のμ’を比較すると、金属
ガラス合金からなるリング試料の方が高い値を示してい
る。
試料の実効透磁率μ’は、上記のHc場合と同様に熱安
定性が低く、製造条件の僅かな変動により得られる圧粉
磁心の磁気特性が大幅に変動し、安定した品質の圧粉磁
心が得られないおそれがある。一方、本発明の金属ガラ
ス合金では、熱処理温度350℃以上で実効透磁率μ’
がほぼ安定しており、製造条件が多少変動しても安定し
た品質の圧粉磁心が得られることがわかる。
帯と、Fe78Si9B13なる組成の非晶質合金薄帯のD
SC曲線を示している。図19から明らかなように、金
属ガラス合金のTxは530℃程度であるのに対して、
Fe78Si9B13なる組成の合金のTxは525℃程度で
あり、ほぼ同程度のTxを有している。しかし、金属ガラ
ス合金はTxの低温側にTg(492℃)を有しており、3
8Kの過冷却液体領域ΔTx(Tx−Tg)を有している
ことがわかる。従って金属ガラス合金は熱的安定性が高
くなり、450℃の高温までアモルファス構造を維持す
ることが可能であり、応力印加により劣化した軟磁気特
性を充分に緩和することができる。また軟磁気特性も4
50℃まで安定している。
は過冷却液体領域が見られず、従って応力緩和の熱処理
を行うと、応力緩和が充分にされる前に結晶化の影響が
現れ、軟磁気特性を充分に回復させることができない。
その結果、350℃以上になると軟磁気特性は劣化す
る。
の合金には見られない金属ガラス合金の応力緩和挙動
が、圧粉磁心の優れた軟磁気特性に起因しているものと
考えられる。
熱処理温度範囲(350〜450℃)は、センダストま
たは純鉄の場合(約700℃)と比較してかなりの低温
であり、また前述の図19における結晶化開始温度Tx
(約530℃)よりはるかに低い温度である。従って本
発明に係る金属ガラス合金は、センダストまたは純鉄よ
りもかなり低い温度範囲で、結晶質相をさせることなく
熱処理して応力緩和を行うことができ、磁気特性を向上
させることができる。更に、本発明に係る金属ガラス合
金は、従来のFe78Si9B13なる非晶質合金に対して
Tgを有していることから熱安定性が高く、従って応力
緩和による軟磁気特性の向上が特に顕著に現れる。即
ち、応力印加によって一旦劣化した軟磁気特性を、応力
印加前の状態まで回復させることができる。このような
特性を持った本発明の金属ガラス合金は、応力を印加し
て成形して製造される圧粉磁心の材料として特に適して
いると考えられる。また、本発明の圧粉磁心では、応力
緩和に有効な熱処理温度範囲が350〜450℃と低温
なので、従来の圧粉磁心では適用できないようなシリコ
ーンゴム等の高分子エラストマーが使用可能であり、こ
れらのゴムの弾性により金属ガラス合金に加わる硬化応
力が小さく、圧粉磁心の軟磁気特性の更なる向上が可能
になる。
金属ガラス合金からなる圧粉磁心の特性」Fe、Al、
Fe-C合金、Fe-P合金、B、Siを原料としてそれ
ぞれ所定量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの
原料を高周波誘導加熱装置で溶解し、Fe77Al1P
9.23C2.2B7.7Si2.87なる組成のインゴットを作製し
た。このインゴットを噴霧ノズル付きのるつぼに充填
し、溶湯の温度を1350℃(金属ガラス合金の融点よ
り140℃以上高い温度)に維持した。そして、この溶
湯を圧力8.6MPaのアルゴンガスと共に噴霧ノズル
から霧状に噴霧し、合金粉末を得た。得られた合金粉末
をふるいで分級して様々な粒径範囲の粉末とし、これら
を金属ガラス合金の粉末とした。
し、絶縁材としてステアリン酸カルシウム1重量部と水
ガラス2重量部とを混合して混合物とした。この混合物
を大気中473K(200℃)で1時間乾燥して解砕し
た。この混合物を図2に示すWC製の金型に充填した
後、図3に示す放電プラズマ焼結装置を用い、チャンバ
の内部を6.6×10-3Paの減圧雰囲気とし、上下の
パンチ12、13で混合物を成形圧力PS1000MP
aまで加圧するとともに、通電装置からパルス電流を通
電して混合物を室温(298K(25℃))から623
K(350℃)の成形温度TSまで加熱した。そして、
混合物に上記の成形圧力Psを印加したままで上記の成
形温度TSを約8分間保持することにより圧縮成形を行
った。そして、熱処理温度Ta683K(410℃)で
3600秒間熱処理して、各種の圧粉磁心を製造した。
この圧粉磁心の形状は、外径12mm、内径6mm、厚
さ2mmの円環状であった。
粉磁心の透磁率及び直流重畳特性を調査した。なお、圧
粉磁心の製造に用いた金属ガラス合金粉末は、組織中に
おけるアモルファス体積分率Vamoが93%及び98%
のもので、いずれも粒径が38μm以下のものであっ
た。なお、アモルファス体積分率Vamoは示差走査熱量
測定(DSC)により求めた。図20に各実施例の圧粉
磁心についての実効透磁率(μ’)及びその変化率(Δ
μ’)の磁界依存性を示す。なお、図中、黒丸プロット
はアモルファス体積分率が93%,黒三角形プロットは
アモルファス体積分率が98%の金属ガラス合金からな
る圧粉磁心である。また図20には、カーボニル鉄の粉
末を用いて作製した比較例の圧粉磁心の透磁率の変化率
(Δμ’)を併せて示す。
磁心の透磁率及びその変化率は、いずれも磁界に対する
変動が小さく、安定した軟磁気特性を示すことがわか
る。また、アモルファス体積分率のちがいによる差もみ
られないことがわかる。従って実施例の圧粉磁心は、ス
イッチング電源用トランスコアや平滑チョークコア等の
一定の透磁率が必要とされる磁心部品に用いた場合に、
有効である。一方、比較例の圧粉磁心では、磁界が大き
くなるにつれて変化率(Δμ’)が高くなっており、軟
磁気特性の変動が大きいことがわかる。従って、比較例
の圧粉磁心をトランスコア等の磁気部品に用いた場合に
は、トランス等の特性が低下するものと考えられる。
いてのインダクタンス(L)及びその変化率(ΔL)
(いわゆる直流重畳特性)の直流バイアス磁界依存性を
示す。なお、図中、黒丸プロットはアモルファス体積分
率Vamoが93%,黒三角形プロットはアモルファス体
積分率Vamoが98%の金属ガラス合金からなる圧粉磁
心である。また図21には、FeAlSi系非晶質合金
の粉末を用いて作製した比較例の圧粉磁心のインダクタ
ンスの変化率(ΔL)を併せて示す。
磁心のインダクタンス(L)は、直流バイアス磁界に対
する変動が小さく、安定した磁気特性を示すことがわか
る。また、アモルファス体積分率のちがいによる差もみ
られないことがわかる。また、変化率(ΔL)もバイア
ス磁界が6800A/mのときに−25%程度の低下に
とどまり、安定した磁気特性を示すことがわかる。従っ
て実施例の圧粉磁心は、スイッチング電源用トランスコ
アや平滑チョークコア等の一定の透磁率が必要とされる
磁心部品に用いた場合に有効である。一方、比較例の圧
粉磁心では、直流バイアス磁界が6800A/mのとき
に変化率(ΔL)が−70%程度まで低下し、磁気特性
の変動が大きいことがわかる。従って、比較例の圧粉磁
心をトランスコア等の磁気部品に用いた場合には、トラ
ンス等の特性が低下するものと考えられる。
心の透磁率及びコアロスを調査した。なお、圧粉磁心の
製造に用いた金属ガラス合金粉末は3種類あり、粒径が
38μm以下の範囲のもの、38μmを越えて60μm
以下の範囲のもの、60μmを越えて100μm以下の
範囲のものであった。これらの金属ガラス合金の組織中
におけるアモルファス体積分率を示差走査熱量測定(D
SC)によりあらかじめ求めた。図22に各実施例の圧
粉磁心についての実効透磁率(μ’)及びコアロス
(W)のアモルファス体積分率依存性を示す。なお、図
中、黒四角形プロットは粒径が60μmを越えて100
μm以下,黒丸プロットは粒径が38μmを越えて60
μm以下,黒三角形プロットは粒径が38μm以下の範
囲の金属ガラス合金からなる圧粉磁心である。
効透磁率は、アモルファス体積分率の上昇と共に増加す
る傾向にある。また、金属ガラス合金粉末の粒径範囲が
小さいほど、アモルファス体積分率が高くなる傾向にあ
る。
時に示している。尚、図22の中段のグラフは、周波数
200kHz、飽和磁束密度0.05Tの条件で測定し
たコアロス(W0.5/200k)であり、下段のグラフは、周
波数100kHz、飽和磁束密度0.1Tの条件で測定
したコアロス(W1/100k)である。図22から明らかな
ように、コアロスについても実効透磁率の場合と同様の
傾向がみられる。即ち、圧粉磁心のコアロス(W
0.5/200k、W1/100k)は、アモルファス体積分率の上昇
と共に低下する傾向にある。また、各圧粉磁心のうち、
アモルファス体積分率が85%以上のものでコアロス
(W1/100k)が700kW/m3以下になることがわか
る。
金属ガラス合金粉末を用いる場合において、実効透磁率
及びコアロスが良好な圧粉磁心を得るには、粒径が38
μm以下の金属ガラス合金を用いるか、あるいは粒径が
38μmを越えた場合でも、できるだけ粒径が小さくア
モルファス体積分率が高い金属ガラス合金を用いればよ
いことがわかる。特に、金属ガラス合金粉末のアモルフ
ァス体積分率を85%以上とすることによって、圧粉磁
心のコアロス(W1/100k)を700kW/m3以下にで
き、また金属ガラス合金粉末の粒径を38μm以下とす
ることによって、コアロス(W1/ 100k)を400kW/
m3以下にできることがわかる。
ゴムを用いた圧粉磁心の特性」Fe、Al、Fe-C合
金、Fe-P合金、B、Siを原料としてそれぞれ所定
量秤量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高
周波誘導加熱装置で溶解し、Fe77Al1P9.23C2.2B
7.7Si2.87なる組成のインゴットを作製した。このイ
ンゴットを噴霧ノズル付きのるつぼに充填し、溶湯の温
度を1350℃(金属ガラス合金の融点より140℃以
上高い温度)に維持した。そして、この溶湯を圧力8.
6MPaのアルゴンガスと共に噴霧ノズルから霧状に噴
霧し、合金粉末を得た。得られた合金粉末をふるいで分
級して粒径62μm以下の粉末とし、これを金属ガラス
合金の粉末とした。
てシリコーンゴムを0.67〜4重量%を添加し、また
別個にシリコーン樹脂を2重量%添加して混合物とし
た。これらの混合物を6.6×10-3Paの減圧雰囲気
中、室温(298K(25℃))で成形圧力PS150
0MPaまで加圧した。そして、混合物に上記の成形圧
力Psを印加したままで683K(410℃)の熱処理
温度を約60分間保持することにより窒素雰囲気下で熱
処理した。このようにして、実施例1〜6の圧粉磁心を
製造した。この圧粉磁心の形状は、外径12mm、内径
6mm、厚さ2mmの円環状であった。
脂、ポリイミドを用いたこと以外は上記と同様にして比
較例1及び2の圧粉磁心を製造した。
について、周波数100kHz、飽和磁束密度0.1T
の条件でコアロス(W1/100k)を測定した。結果を表1
に示す。
リコーンゴムを用いた実施例1〜5の圧粉磁心は、いず
れも310kW/m3以下のコアロス(W1/100k)を示
しており、コアロスが極めて小さいことがわかる。特に
その中でもシリコーンゴムの添加量が3重量%の圧粉磁
心については、コアロス(W1/100k)が200kW/m
3以下であり、従来の圧粉磁心にはない極めて小さなコ
アロスを示している。実施例1〜5の金属ガラス合金の
磁歪定数を測定すると、いずれも2〜3×10-5程度を
示しており、圧粉磁心の内部応力が極めて小さい状態で
あることがわかる。また、絶縁材としてシリコーン樹脂
を用いた実施例6の圧粉磁心は、380kW/m3のコ
アロス(W1/100k)を示しており、実施例1〜5よりわ
ずかに高いものの、比較例1及び2よりも格段に低いこ
とがわかる。比較例1、2の圧粉磁心については、コア
ロス(W1/100k)が実施例よりもかなり高めであり、特
にポリイミドを絶縁材として用いた比較例2の圧粉磁心
は、2000kW/m3以上のコアロス(W1/100k)を
示していることがわかる。
(W1/100k)を示したのは、絶縁材であるシリコーンゴ
ムまたはシリコーン樹脂の硬化応力が小さく、金属ガラ
ス合金粉末に残留する応力が小さいためと考えられる。
一方、比較例1,2の圧粉磁心については、絶縁材の弾
性が小さいために硬化応力が大きく、圧粉磁心の内部応
力が大きくなり、コアロス(W1/100k)が上昇したもの
と考えられる。特に、比較例2においては、ポリイミド
の硬化応力が大きいため、内部応力が蓄積され、コアロ
スが上昇したものと考えられる。
得られた金属ガラス合金粉末と、シリコーンゴムまたは
シリコーン樹脂(絶縁材)とを室温で圧縮成型し、更に
熱処理することにより、従来の圧粉磁心にはない極めて
小さなコアロスを示す圧粉磁心が得られることが明らか
になった。
ンゴムを用いた圧粉磁心の特性」実験例4と同様にし
て、Fe77Al1P9.23C2.2B7.7Si2.87なる組成の
インゴット溶解し、この溶湯を急冷して合金粉末とし、
得られた合金粉末をふるいで分級して粒径62μm以下
の粉末とし、これを金属ガラス合金の粉末とした。
て各種のシリコーンゴムを3重量%を添加して混合物と
した。これらの混合物を6.6×10-3Paの減圧雰囲
気中、室温(298K(25℃))で成形圧力PS15
00MPaまで加圧した。そして、混合物に上記の成形
圧力Psを印加したままで683K(410℃)の熱処
理温度を約60分間保持することにより窒素雰囲気下で
熱処理した。このようにして、実施例7〜9の圧粉磁心
を製造した。この圧粉磁心の形状は、外径12mm、内
径6mm、厚さ2mmの円環状であった。
ンゴムは、上記の式(1)〜(3)に示すシラン化合物
の混合物からなる架橋剤を用いて得られたものであり、
実施例8の圧粉磁心に用いたシリコーンゴムは、上記の
式(4)〜(6)に示すシラン化合物の混合物からなる
架橋剤を用いて得られたものであり、実施例9の圧粉磁
心に用いたシリコーンゴムは、上記の式(7)〜(9)
に示すシラン化合物の混合物からなる架橋剤を用いて得
られたものである。即ち実施例7及び8は、アルコキシ
ル基を有する架橋剤により架橋されたシリコーンゴムか
らなる圧粉磁心であり、実施例9は、オキシム基を有す
る架橋剤により架橋されたシリコーンゴムからなる圧粉
磁心である。更に、実施例7の圧粉磁心は、分子内にノ
ルマルブチル基を有する架橋剤(上記式(3))により
架橋されたシリコーンゴムからなり、実施例8の圧粉磁
心は、分子内にイソプロピル基を有する架橋剤(上記式
(6))により架橋されたシリコーンゴムからなるもの
である。
zにおける実効透磁率μ’と、周波数100kHz、飽
和磁束密度0.1Tにおけるコアロス(W1/100k)を測
定した。結果を表2に示す。
2から明らかなように、40〜41の間であり、殆ど差
が見られない。一方、コアロス(W1/100k)について
は、実施例7が180kW/m3と最も低く、実施例8
が220kW/m3、実施例9が250kW/m3となっ
ている。これらの値は表1に示した比較例1及び2より
も低い値になっている。実施例7の圧粉磁心は、架橋剤
としてノルマルブチル基を有するものを用いているた
め、イソプロピル基を有する架橋剤を含む実施例8の圧
粉磁心よりも硬化応力が少なく、コアロスが低減したも
のと考えられる。また、実施例7及び8と実施例9とを
比較すると、実施例9の方がコアロスが若干高めになっ
ている。この差は、シリコーンゴムの架橋剤がアルコキ
シル基を有するか、オキシム基を有するかの違いによる
ものと考えられる。
粉磁心は、過冷却液体の温度間隔ΔT xが20K以上で
あって、Feと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1
種以上の元素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相と
する金属ガラス合金の粉末と絶縁材とが混合されて成形
されているので、絶縁材によって圧粉磁心全体の比抵抗
を高くすることができ、渦電流損失を低減して圧粉磁心
のコアロスを低くすることが可能になるとともに、高周
波数帯での透磁率の低下を抑制することができる。また
本発明の圧粉磁心において、比抵抗が1.5μΩ・m以
上の金属ガラス合金を用いたものにあっては、高周波に
おける金属ガラス合金粒子内の渦電流損失が低減され、
よりコアロスが低い圧粉磁心を構成することができる。
ば、磁心前駆体を(Tg−170)K以上(Tg)K以下
の温度範囲で熱処理するため、粉末製造工程や成形工程
にて生じた金属ガラス合金または磁心前駆体の内部応力
を除去するとともに金属ガラス合金の結晶化を防ぐこと
ができ、保磁力が低い圧粉磁心を製造できる。
図である。
に用いる金型の一例を示す分解斜視図である。
際に用いる放電プラズマ焼結装置の要部の模式図であ
る。
成の金属ガラス合金薄帯及び粉末のX線回折結果を示す
図である。
成の金属ガラス合金薄帯及び粉末のDSC曲線を示す図
である。
2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金の粉末と絶縁
材を用いて作製した圧粉磁心)の磁束密度の熱処理温度
依存性を示すグラフである。
2.3B8.05Si3なる組成の金属ガラス合金の粉末と絶縁
材を用いて作製した圧粉磁心)の保磁力の熱処理温度依
存性を示すグラフである。
用いて作製した圧粉磁心)の磁束密度の熱処理温度依存
性を示すグラフである。
用いて作製した圧粉磁心)の保磁力の熱処理温度依存性
を示すグラフである。
属ガラスの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁心の透
磁率(μ’)の周波数(f)特性を示すグラフである。
属ガラスの粉末と絶縁材を用いて作製した圧粉磁心のコ
アロス(W)の周波数(f)特性を示すグラフである。
較例の圧粉磁心の透磁率(μ’)の周波数(f)特性を
示すグラフである。
較例の圧粉磁心のコアロス(W)の周波数(f)特性を
示すグラフである。
なる組成の金属ガラス合金の薄帯のガラス遷移温度Tg
の組成依存性を示す三角組成図である。
なる組成の金属ガラス合金の薄帯の結晶化開始温度Tx
の組成依存性を示す三角組成図である。
なる組成の金属ガラス合金の薄帯の過冷却液体の温度間
隔ΔTxの組成依存性を示す三角組成図である。
の関係を示すグラフである。
μ’と熱処理温度Taとの関係を示すグラフである。
る組成の金属ガラス合金と、Fe78Si9B13なる組成
の非晶質合金のDSC曲線を示すグラフである。
μ’の磁界H依存性を示すグラフである。
化率ΔLの直流バイアス磁界Hdc依存性を示すグラフで
ある。
0.5/200k、W1/100k)のアモルファス体積分率Vamo依
存性を示すグラフである。
Claims (16)
- 【請求項1】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化
開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であっ
て、Feと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以
上の元素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相とする
組織からなる金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合
され、成形されてなることを特徴とする圧粉磁心。 - 【請求項2】 前記金属ガラス合金の比抵抗が1.5
μΩ・m以上であることを特徴とする請求項1に記載の
圧粉磁心。 - 【請求項3】 印加磁界±2.4kA/mにおける保
磁力が80A/m以下であることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の圧粉磁心。 - 【請求項4】 印加磁界±2.4kA/mにおける保
磁力が40A/m以下であることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載の圧粉磁心。 - 【請求項5】 周波数100kHz、磁束密度0.1
Tの条件で測定したコアロスが400kW/m3以下で
あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
圧粉磁心。 - 【請求項6】 前記絶縁材がシリコーンゴムであるこ
とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記
載の圧粉磁心。 - 【請求項7】 前記絶縁材がシリコーン樹脂であるこ
とを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記
載の圧粉磁心。 - 【請求項8】 前記金属ガラス合金が、下記の組成で
表されるものであることを特徴とする請求項1ないし請
求項7のいずれかに記載の圧粉磁心。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-wAlx(P1-bSib)vCzB
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。 - 【請求項9】 前記金属ガラス合金が、下記の組成で
表されるものであることを特徴とする請求項1ないし請
求項7のいずれかに記載の圧粉磁心。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-w-d-e-fAlx(P1-bSib)
vCzBwLdMeEf ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa、b、d、e、f、
x、v、z、wは、0≦a≦0.15、0<b≦0.
8、0原子%≦d≦4原子%、0原子%≦e≦8原子
%、0原子%≦f≦8原子%、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。 - 【請求項10】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶
化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表
される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であっ
て非晶質相を主相とする組織からなる金属ガラス合金の
粉末と、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂とが混合
され、成形されてなることを特徴とする圧粉磁心。 - 【請求項11】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶
化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表
される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であっ
て、Feと、Alと、P、C、Si、Bのうちの1種以
上の元素Qとを少なくとも含み、非晶質相を主相とする
組織からなる金属ガラス合金の粉末を製造する粉末製造
工程と、 前記の金属ガラス合金の粉末に絶縁材を加えて混合し、
この混合物を圧縮成形して磁心前駆体を形成する成形工
程と、 前記磁心前駆体を、(Tg−170)K以上(Tg)K以
下の温度で熱処理して前記磁心前駆体の内部応力を除去
する熱処理工程とを具備してなることを特徴とする圧粉
磁心の製造方法。 - 【請求項12】 前記熱処理工程において、前記磁心
前駆体を、(Tg−160)K以上(Tg−50)K以下
の温度で熱処理することを特徴とする請求項11に記載
の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項13】 前記熱処理工程において、前記磁心
前駆体を、(Tg−140)K以上(Tg−60)K以下
の温度で熱処理することを特徴とする請求項11に記載
の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項14】 前記熱処理工程において、前記磁心
前駆体を、(Tg−110)K以上(Tg−60)K以下
の温度で熱処理することを特徴とする請求項11に記載
の圧粉磁心の製造方法。 - 【請求項15】 前記金属ガラス合金として、下記の
組成で表されるものを用いることを特徴とする請求項1
1ないし請求項14のいずれかに記載の圧粉磁心の製造
方法。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-wAlx(P1-bSib)vCzB
w ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa、b、x、v、z、wは、0≦a≦
0.15、0<b≦0.8、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。 - 【請求項16】 前記金属ガラス合金が、下記の組成
で表されるものであることを特徴とする請求項11ない
し請求項14のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。 (Fe1-aTa)100-x-v-z-w-d-e-fAlx(P1-bSib)
vCzBwLdMeEf ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa、b、d、e、f、
x、v、z、wは、0≦a≦0.15、0<b≦0.
8、0原子%≦d≦4原子%、0原子%≦e≦8原子
%、0原子%≦f≦8原子%、0原子%<x≦20原子
%、0原子%<v≦22原子%、0原子%<z≦12原
子%、0原子%<w≦16原子%である。
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