JP5063861B2 - 複合圧粉磁心及びその製造法 - Google Patents

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本発明は、モータ、トランス、チョークコイルなどの磁心に使用される複合圧粉磁心に関するものであり、高い飽和磁束密度を有するとともに、高透磁率であって、しかも、高周波特性に優れる複合圧粉磁心に関するものである。
近年の電子機器の小型化、高周波化に伴い、これらに用いられるモータ、トランス、チョークコイルなどの磁心材料も小型化、低背化が要求されている。また、電子機器の高周波化により、渦電流損失の低減が大きな課題になっている。これらの要求に応えるため、磁心材料には、高飽和磁束密度化、高透磁率化及び高抵抗化等の特性改善が求められている。
従来、上記磁心材料として、ソフトフェライトなどの軟磁性酸化物材料や、Fe−Ni系やFe−Si−Al系等の鉄合金系の軟磁性金属材料が用いられてきた。ソフトフェライトなどの軟磁性酸化物材料は、電気抵抗が高いため高周波帯域でも渦電流損失が少なく、高周波特性に優れるが、飽和磁束密度が低いという問題があった。一方、軟磁性金属材料は、軟磁性酸化物材料に比べ飽和磁束密度が高いが、電気抵抗が低いため高周波領域で渦電流損失が大きく、透磁率が低下する問題があった。そこで、この渦電流損失を低減するため、軟磁性金属材料を粉末化し、金属粒子間を電気的に絶縁した複合圧粉磁心が提案されている。
上記絶縁方法として、種々の方法が提案されている。例えば、絶縁材もしくは絶縁性結合材として、水ガラスや、粉末ガラスを用い、加圧成形、熱処理する方法(特許文献1)がある。また、絶縁材として軟磁性酸化物材料を用いた方法も提案されており、例えば、軟磁性酸化物材料のフェライトを軟磁性金属粉末の表面に湿式フェライト法により被覆して、加圧成形、熱処理する方法(特許文献2または3)がある。
一方、電気抵抗が比較的高く、高周波帯域における透磁率の周波数特性が安定な軟磁性非晶質合金材料を用いた方法として、この軟磁性非晶質合金粉末と純鉄粉を混合して、加圧成形、熱処理する方法(特許文献4)がある。
また、上記軟磁性非晶質合金材料の中でも、特定の組成のものは、結晶化温度の前の温度領域において広い過冷却液体の状態を有し、いわゆる金属ガラス合金として知られている。この金属ガラス合金は優れた軟磁気特性を示し、他の軟磁性金属材料に比べて比較的高い電気抵抗を有する。
上記金属ガラス合金を用いた方法として、この軟磁性金属ガラス合金粉末を、放電プラズマ焼結法により、加圧・焼結した方法(非特許文献1)がある。
特開平6−188117号公報 特開昭56−38402号公報 特開平11−1702号公報 特開平7−34183号公報 沈 宝龍他、「放電プラズマ法によるFe−Co−Ga−P−C−Bガラス合金粉末のバルク化とその磁気特性」、粉体及び粉末冶金、2001年9月、第48巻、第9号、p.858−862
これまで、高飽和磁束密度を保持しつつ、高透磁率で、高周波特性に優れる圧粉磁心は実現されていない。
即ち、特許文献1記載の技術では絶縁材として非磁性の結合材を用いるため、この非磁性層が強磁性材料の磁気的な抵抗となり、反磁界の影響で透磁率が著しく低下してしまう問題があった。
また、特許文献2又は3記載の技術では、熱処理により軟磁性金属とフェライトとの間で化学的な反応が進行し軟磁性金属の磁気的な劣化が起きるため、加圧成形時の加工歪を除去するための熱処理を低温で行わなければならず、加工歪を完全に除去することが困難であり、透磁率を向上できない問題があった。
特許文献4記載の技術では、純鉄粉の塑性変形性を利用して低圧力で成形しているものの、非晶質軟磁性合金粉末が非常に硬く、純鉄粉の塑性変形性だけでは高密度化は困難であった。そのため空隙が多く残留し、この空隙が磁気的な抵抗となり、反磁界の影響で透磁率が著しく低下する問題があった。また、電気抵抗の低い純鉄粉を絶縁処理することなく複合化しているため、高密度化に寄与する純鉄粉の割合を増加させると、電気抵抗が低下し、渦電流損失により透磁率の高周波特性が劣化するという問題もあった。
そこで、本発明は、上記従来の技術における課題を解決し、高飽和磁束密度を保持しつつ、高透磁率で、高周波特性に優れる複合圧粉磁心を実現するものである。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、表面絶縁層を有する軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末とからなることを特徴とする複合圧粉磁心である。
また、本発明は、前記複合圧粉磁心において、60〜95wt%の軟磁性金属粉末と5〜40wt%の軟磁性金属ガラス合金粉末とからなることを特徴とする複合圧粉磁心である。
また、本発明は、表面絶縁層を有する軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合粉末を、加圧と焼結を同時に行う焼結法を用いてなることを特徴とする前記複合圧粉磁心の製造法である。
本発明に係る複合圧粉磁心は、高い飽和磁束密度を有するとともに、高透磁率であって、しかも、高周波特性に優れるので、電子機器の小型化、高周波化に適合した複合圧粉磁心である。
本発明に係る複合圧粉磁心の製造法は、高い飽和磁束密度を有するとともに、高透磁率であって、しかも、高周波特性に優れる複合圧粉磁心が得られるので、圧粉磁心の製造法として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
まず、本発明における軟磁性金属粉末について説明する。
本発明における軟磁性金属粉末の種類としては、公知の軟磁性金属粉末を用いることができる。好ましくは、磁束密度の高いFe合金系の軟磁性金属粉末を用いることができる。例えば、Fe、Fe−Ni系、Fe−Si系、Fe−Si−Al系、Fe−Co系、Fe−Cr系軟磁性金属粉末及びFe系非晶質軟磁性金属粉末のうち少なくとも一種から選ばれた軟磁性金属粉末である。必要に応じて上記軟磁性金属粉末の2種類以上を併用してもよい。
より好ましくは、硬度の高いFe−Si−Al系軟磁性金属粉末やFe系非晶質軟磁性金属粉末などの低圧力では塑性変形を起こし難い軟磁性金属粉末である。硬度が低い軟磁性金属粉末を用いた場合には、軟磁性金属粉末が塑性変形を起こして加工歪を生じやすく、透磁率が低下しやすい。
本発明における軟磁性金属粉末の最大粒径は106μm以下が好ましい。最大粒径が前記範囲より大きくなると、粒内での渦電流損失が増加し易く、透磁率の減少を招くことがある。より好ましくは75μm以下であり、更により好ましくは45μm以下である。
本発明における軟磁性金属粉末の形状は、粒状又は球状が好ましく、混合粉末において高充填し易く、粉砕による機械的歪を低減することが可能となる。
本発明における軟磁性金属粉末の製造法は、特に限定されるものではないが、ガスアトマイズ法や水アトマイズ法などの噴霧法により製造することで、前記特性を有する軟磁性金属粉末を容易に得ることができる。
本発明における軟磁性金属粉末の表面絶縁処理は、無機物を用いた処理方法、有機物を用いた処理方法及びその両方を用いた処理方法等、様々な種類の絶縁処理方法を用いることができる。
上記絶縁方法としては、特に限定されるものではなく、高抵抗を有する無機物の絶縁被膜が形成されればよい。例えば、無機物を用いた方法として、表面酸化処理、各種金属酸化物による被覆処理、リン酸塩による被覆処理、ガラス組成物による被覆処理等が挙げられ、また、有機物を用いた方法としては、金属元素を含有したシリコン樹脂などを添加・混合し、熱処理によって樹脂分を蒸散させた無機物被覆処理等が挙げられる。
本発明における軟磁性金属粉末の絶縁被膜の膜厚としては、可能な限り薄くすることが好ましい。具体的には、絶縁被膜の膜厚を0.1μm以下にすることがよい。より好ましくは0.05μm以下である。
絶縁被膜の膜厚が0.1μmを越えて厚い場合、殊に、絶縁被膜が非磁性の場合には、軟磁性体の実質的な体積減少により、飽和磁束密度が低下するとともに、反磁化の影響により、透磁率が減少することとなる。
次に、本発明における軟磁性金属ガラス合金粉末について説明する。
本発明における軟磁性金属ガラス合金粉末としては、公知の軟磁性金属ガラスを用いることができ、ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化開始温度であり、Tgはガラス遷移温度である。)の式で表される過冷却液体の温度領域ΔTxが40℃以上の非晶質相を主相とする軟磁性金属ガラス合金である。好ましくは、飽和磁束密度の高いFe基軟磁性金属ガラス合金を用いる。
本発明におけるFe基軟磁性金属ガラス合金は、Fe、Fe以外の金属元素及び半金属元素を含有する。Fe以外の金属元素としては、Co,Ni等の遷移金属やAl,Ga,In,Sn等の典型金属から選ばれた1種または2種以上の金属元素であり、半金属元素としては、P,C,B,Siなどから選ばれた1種または2種以上の半金属元素のうち少なくとも3成分以上の元素である。例えば、Fe−(Al,Ga)−(P,C,B,Si)系、Fe−Co−(Al,Ga)−(P,C,B,Si)系、(Fe,Co,Ni)−(Zr,Hf,Nb,Ta,W,Cr,Mo,V,Ti,Pt,Pd,Au)−B系、(Fe,Co)−(Pr,Sm,Gd,Tb,Dy,Er)−B系、(Fe,Co)−(Zr,Hf,Nb,Ta,W,Cr,Mo,V,Ti,Pt,Pd,Au)−(Pr,Sm,Gd,Tb,Dy,Er)−B系などがある。
より好ましくはFe−Co−Ga−P−C−B系、Fe−Co−Ga−P−C−B−Si系、Fe−Al−Ga−P−C−B−Si系、Fe−Co−Ni−Zr−B系である。
本発明に係る複合圧粉磁心の相対密度は、90%以上が好ましく、より好ましくは95%以上である。
本発明に係る複合圧粉磁心の飽和磁束密度は、0.8T以上が好ましく、より好ましくは1.0〜2.0Tである。
本発明に係る複合圧粉磁心の1MHzにおける透磁率μ’は、150以上が好ましく、より好ましくは180〜500である。
次に、本発明における複合圧粉磁心の作製方法について述べる。
本発明に係る複合圧粉磁心は、表面絶縁処理した軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末とを所定の割合で混合し、得られた混合物に対して加圧と焼結とを同時に行うことによって得ることができる。
まず、軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末の混合割合について述べる。
軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合割合は、表面絶縁処理した軟磁性金属粉末が60〜95wt%であって、残部が軟磁性金属ガラス合金粉末であることが好ましい。
軟磁性金属ガラス合金粉末の混合割合は、軟磁性金属粉末の充填率によって決定されるものであり、軟磁性金属粉末充填時に生じる空隙を埋めるために必要な軟磁性金属ガラス合金粉末の混合割合を考慮すると、5〜40wt%程度が好ましい。
軟磁性金属ガラス合金粉末の混合割合が5wt%未満の場合には、軟磁性金属粉末の空隙を完全に埋めることが困難となり、相対密度が低下し、磁気特性が低下する。さらに、結合材としての量が少なくなるため、強度が低下するなどの問題が生じる。軟磁性金属ガラス合金粉末は結合材として用いるため、40wt%を超えて添加する必要はない。
より好ましくは、軟磁性金属粉末が70〜93wt%であって軟磁性金属ガラス合金粉末が7〜30wt%の混合割合であり、更により好ましくは、軟磁性金属粉末が70〜90wt%であって軟磁性金属ガラス合金粉末が10〜30wt%の混合割合である。
本発明に用いる軟磁性金属ガラス合金粉末の最大粒径は、軟磁性金属粉末の粒子隙間に軟磁性金属ガラス合金粉末を存在させ高密度の複合圧粉磁心を得るためには、45μm以下が好ましい。最大粒径が前記範囲を超えて大きな場合には、粒内での渦電流損失が増加し、透磁率の減少を招くこことなる。更に好ましくは、最大粒径20μm以下にすることが望ましい。
本発明における軟磁性金属ガラス合金粉末の粒子形状は、粒状又は球状が好ましく、混合粉末において高充填しやすく、また、粉砕による機械的歪を低減することが可能となる。
本発明における軟磁性金属ガラス合金粉末の飽和磁束密度は0.5〜1.8Tが好ましい。
本発明における軟磁性金属ガラス合金粉末の製造法は、特に限定されるものではないが、ガスアトマイズ法や水アトマイズ法などの噴霧法により製造することで、前記特性を有する軟磁性金属ガラス合金粉末を容易に得ることができる。
本発明において、表面絶縁処理した軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合は、特に限定されるものではなく通常の方法を用いればよい。例えば、ボールミル、ライカイ機、ロッキングミル、へンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレードミキサー、ナウタミキサー、Vコーンミキサーなどを用いることができる。
次に、本発明における焼結方法について説明する。
本発明における焼結方法は、加圧と焼結とを同時に行うものであれば公知の焼結法を用いることができる。例えば、ホットプレス法、熱間静水圧焼結法、放電プラズマ焼結法等が挙げられる。
好ましくは短時間で焼結可能な放電プラズマ焼結法である。
本発明における圧力範囲は、200〜1000MPaが好ましい。200MPa未満の圧力では、十分に高密度な複合圧粉磁心を得ること困難である。一方、圧力が1000MPaを超える場合には、軟磁性金属粉末の塑性変形によって生じる加工歪により、磁気特性の劣化を招いたり、変形により生じる表面絶縁膜の破壊を招いたりすることがある。より好ましくは300〜800MPaである。
本発明における焼結温度について説明する。
焼結温度は結合材である軟磁性金属ガラス合金によって決められる。本発明における軟磁性金属ガラス合金は、ΔTx=Tx−Tgの式で表される過冷却液体の温度領域ΔTxが40K以上の非晶質相を主相とするFe基軟磁性金属ガラス合金である。
本発明においては、焼結温度をTとした場合、焼結温度はTg<T<Txの関係を満たす温度範囲とすることが好ましい。焼結温度が結晶化開始温度Tx以上の場合には、結晶核の生成開始や結晶析出開始による磁気異方性を生じるので、磁気特性が劣化することがある。一方、ガラス遷移温度Tg以下の場合には、焼結する際に、軟磁性金属ガラス合金が軟化しないため、塑性変形を起こすことができなくなり、高密度な複合圧粉磁心が得られないためである。
<作用>
本発明において、重要な点は、表面絶縁処理した軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末とからなる本発明に係る複合圧粉磁心は、密度が高く、高い飽和磁束密度を有するとともに、透磁率も高く、透磁率の周波数特性に優れるという点である。
本発明においては、軟磁性金属粉末の表面絶縁被膜を可及的に薄くし、結合材としても軟磁性体を用いたことにより、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心を得ることができる。
また、焼結条件を低圧、低温と緩やかな条件で行えることによって、軟磁性金属粉末の絶縁破壊も抑制される。
また、軟磁性金属粉末が表面絶縁処理されているとともに、結合材として軟磁性金属ガラス合金粉末を用いたことによって、反磁界の影響を可及的に少なくすることができるともに、電気抵抗が高くできるので透磁率が大きく、且つ、高周波領域でも用いることができる。
以下に、本発明の実施例を比較例と対比して示す。
焼結体の密度は、寸法と重量を測定し、計算で相対密度を求めた。
焼結体の透磁率は、リング状の焼結体に巻線を施し、インピーダンスアナライザー「4192A」(アジレント・テクノロジー(株))製)により測定した。
焼結体の磁束密度は、直流B−Hトレーサー(型式3257、横河北辰電機(株)製)により、印加磁場800A/mにおける測定した。
まず、本発明において、軟磁性金属ガラス合金粉末を作製した。組成としては、原子%で、Fe:65%、Co:10%、Ga:5%、P:12%、C:4%、B:4%となるように、ガスアトマイズ法によって軟磁性金属ガラス合金粉末を作製し、分級して最大粒径20μmとした。この軟磁性金属ガラス合金粉末の特性としては、ガラス遷移温度Tg:450℃、結晶化開始温度Tx:500℃、過冷却液体の温度領域ΔTx:50℃であり、飽和磁束密度は1.4Tであった。
ここに得た軟磁性金属ガラス合金粉末を下記実施例1〜12及び比較例1〜10で用いた。
実施例1
ガスアトマイズ法で作製された市販の球状Fe−Si−Al(Si:9.6wt%、Al:5.4wt%、Fe:残部)軟磁性金属粉末を分級し、最大粒径が106μm以下の粉末を用意した。このFe−Si−Al系粉末を、大気中において600℃で熱処理し、表面に膜厚0.01μmの酸化被膜を施した表面酸化Fe−Si−Al系粉末を作製した。表面酸化被膜の膜厚は、熱処理前後の重量変化や磁気特性の変化から推定した。
ここに得た表面酸化Fe−Si−Al系粉末と上記金属ガラス合金粉末とをそれぞれ、70wt%と30wt%となるようにボールミルを用いて混合した。
次いで、得られた混合粉末をプラズマ放電焼結法によって焼結体を作製した。まず、この混合粉末を内径15mmの金型に充填し、槽内に設置し、槽内を真空引きした。600MPaで加圧しながら、室温から450℃まで昇温し、その温度で5分間程度保持し、焼結体を得た。得られた焼結体から、放電加工により、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状になるように切り出した。
このときの製造条件を表1に、得られた焼結体の諸特性を表2に示す。
実施例2〜6
軟磁性金属粉末の表面酸化処理温度を500〜650℃の温度範囲で変化させるとともに、軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合割合、成形圧力及び焼結温度を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にして複合圧粉磁心を得た。
このときの製造条件を表1に、得られた各焼結体の諸特性を表2に示す。
比較例1
実施例1で用いた表面酸化前のFe−Si−Al系粉末を用意し、この表面酸化なしFe−Si−Al系粉末に、結合材としてシリコン樹脂を3wt%添加・混合し、その混合粉を1300MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状加圧成形した後、窒素雰囲気中で700℃、30分間の熱処理を行った。
このときの製造条件を表1に、得られた焼結体の諸特性を表2に示す。
比較例2
実施例1で用いた表面酸化前のFe−Si−Al系粉末を用意し、この表面酸化なしFe−Si−Al系粉末に、絶縁性結合材としてリン酸塩を0.5wt%添加・混合し、大気中、200℃、1時間乾燥した。その後、2000MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状加圧成形した後、真空中で650℃、1時間の熱処理を行った。
このときの製造条件を表1に、得られた焼結体の諸特性を表2に示す。
比較例3
実施例1で用いた表面酸化前のFe−Si−Al系粉末を用意し、この表面酸化なしFe−Si−Al系粉末を70wt%、平均粒径0.1μmのNi−Znフェライト粉末を30wt%の割合で混合した。その後、300MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状加圧成形した後、窒素雰囲気中で900℃、1時間の熱処理を行った。
このときの製造条件を表1に、得られた焼結体の諸特性を表2に示す。
比較例4
実施例1で用いた表面酸化Fe−Si−Al系粉末を用意し、この表面酸化Fe−Si−Al系粉末を95wt%、平均粒径1.5μmのNi−Znフェライト粉末を5wt%の割合で混合し、この混合粉に対し非磁性結合材の水ガラスを1.5wt%添加・混合し、1500MPaの圧力において外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、780℃の温度で熱処理した。
このときの製造条件を表1に、得られた焼結体の諸特性を表2に示す。
比較例5
実施例1で用いた表面酸化Fe−Si−Al系粉末を用意し、この表面酸化Fe−Si−Al系粉末を85wt%、最大粒径100μmの純鉄粉末を15wt%の割合で混合し、この混合粉に対し非磁性結合材の水ガラスを0.5wt%添加・混合し、1500MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、窒素雰囲気中で600℃、1時間の熱処理を行った。
Figure 0005063861
Figure 0005063861
実施例7
Fe系非晶質軟磁性金属粉末として、水アトマイズされた平均粒径20μmの市販の球状Fe−B−Si(Fe7813Si)系金属粉末を用意した。このようにして得られたFe−B−Si系粉末と前記Fe−B−Si系粉末に対して0.3wt%の二酸化珪素(平均粒径0.01μm)とを、ボールミルを用いて混合し、二酸化珪素被覆Fe−B−Si系粉末とした。
ここに得た二酸化珪素被膜Fe−B−Si系金属粉末と上記金属ガラス合金粉末とをそれぞれ、70wt%と30wt%となるようにボールミルを用いて混合した。
次いで、得られた混合粉末をプラズマ放電焼結法によって焼結体を作製した。まず、この混合粉末を内径15mmの金型に充填し、槽内に設置し、槽内を真空引きした。600MPaで加圧した後、室温から450℃まで昇温し、その温度で5分間程度保持し、焼結体を得た。得られた焼結体から、放電加工により、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状になるように切り出した。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
実施例8〜12
軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合割合、成形圧力及び焼結温度を種々変化させた以外は、前記実施例7と同様にして複合圧粉磁心を得た。
このときの製造条件を表3に、得られた各焼結体の諸特性を表4に示す。
比較例6
実施例7で用いた二酸化珪素被膜前のFe−B−Si系粉末を用意し、この表面絶縁処理なしFe−B−Si系粉末に、絶縁性結合材であるポリイミド樹脂を1wt%添加・混合し、1500MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、窒素雰囲気中で470℃、1時間の熱処理を行った。この成形体の相対密度、磁束密度、透磁率の測定を上記と同じ方法で行った。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
比較例7
実施例7で用いた二酸化珪素被膜前のFe−B−Si系粉末を用意し、この表面絶縁処理なしFe−B−Si系粉末を96wt%に、ガラス粉末(PbO・B2O3・SiO2系、軟化点360℃)を4wt%の割合で混合し、その混合粉をホットプレス法により焼結体を得た。そのときの焼結条件は、真空雰囲気中、1500MPaの圧力、470℃の熱処理温度において、直径15mm、厚さ3mmの焼結体を得た。得られた焼結体から、放電加工により、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状になるように切り出した。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
比較例8
実施例7で用いた二酸化珪素被覆Fe−B−Si系粉末を用意し、このFe−B−Si系粉末を95wt%、平均粒径1.5μmのNi−Znフェライト粉末を5wt%の割合で混合し、この混合粉に非磁性結合材の水ガラスを1.5wt%添加・混合し、1500MPaの圧力において外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、470℃の温度で熱処理した。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
比較例9
実施例7で用いた二酸化珪素被膜前のFe−B−Si系粉末を用意し、この表面絶縁処理なしFe−B−Si系粉末を60wt%、粒径106μm以下の純鉄粉を40wt%の割合で混合し、800MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、470℃、30分間の熱処理を施した。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
比較例10
実施例7で用いた二酸化珪素被膜前のFe−B−Si系粉末を用意し、この表面絶縁処理なしFe−B−Si系粉末を40wt%、粒径10μm以下のFe−Ni(Fe:50wt%、Ni:50wt%)粉末を60wt%の割合で混合し、1000MPaの圧力において、外径12mm、内径6mm、厚さ3mmのリング状に加圧成形した後、470℃、30分間の熱処理を施した。
このときの製造条件を表3に、得られた焼結体の諸特性を表4に示す。
Figure 0005063861
Figure 0005063861
表2、表4の実施例及び比較例の測定結果から、比較例1〜10の焼結体は、軟磁性金属粉末自体では、塑性変形を起こし難く、且つ、比較例5、9、10では結合材として純鉄、Fe−Ni合金を用いているが、これらも金属ガラスと比較して、塑性変形性が悪く、高い圧力でも相対密度が上がらない等の問題がある。その結果、比較例1〜10の焼結体は、高い飽和磁束密度、高い透磁率および良好な高周波特性を同時に満たすものではなく、本発明に係る複合圧粉磁心はいずれの特性も優れているので、磁心として必要な磁気特性を兼ね備えた、優れた圧粉磁心であることが確認された。
本発明に係る複合圧粉磁心は、高い飽和磁束密度を有するとともに、高周波帯域でも高い透磁率を有する優れた圧粉磁心であるので、電子機器の小型化、高周波化に対応したモータ、トランス、チョークコイルなどの磁心を提供することができる。

Claims (2)

  1. 表面絶縁層を有する軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末とからなる複合圧粉磁心において、該複合圧粉磁心は60〜95wt%の軟磁性金属粉末と5〜40wt%の軟磁性金属ガラス合金粉末とからなることを特徴とする複合圧粉磁心。
  2. 表面絶縁層を有する軟磁性金属粉末と軟磁性金属ガラス合金粉末との混合粉末を、加圧と焼結を同時に行う焼結法を用いてなることを特徴とする請求項1記載の複合圧粉磁心の製造法。
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