JP2007019134A - 複合磁性材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイル、チョークコイル、トランス等のインダクタンス部品の小型化及び高周波域で優れた磁気特性を実現する複合磁性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】金属磁性粉末1の表面に物質Aを被覆層2として形成した複合粉末を作製する工程と、成形体を作製する工程と、熱処理する工程を含む複合磁性材料の製造方法において、物質Aは酸素との親和力がFeより強い元素からなる酸化物とし、且つ熱処理する工程における酸素分圧をPとすると、熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧>P≧熱処理温度における物質Aの平衡酸素分圧の関係が成り立つ雰囲気にて行う。
【選択図】図1

Description

本発明はコイル、チョークコイル、トランス等のインダクタンス部品に用いられる複合磁性材料に関するものである。
従来、この種の複合磁性材料は、例えば高周波回路で用いられるチョークコイルではフェライト粉末を用いたフェライト磁芯および金属磁性粉末の成形体である圧粉磁芯がある。
近年の電気・電子機器の小型化に伴い、磁性体についても小型かつ高効率のものが要求されている。従来の磁性体としては、例えば高周波回路で用いられるチョークコイルではフェライト粉末を用いたフェライト磁芯および金属粉末の成形体である圧粉磁芯がある。
このうち、フェライト磁芯は飽和磁束密度が小さく、直流重畳特性に劣るという欠点を有している。このため、従来のフェライト磁芯においては直流重畳特性を確保することを目的として、磁路に対して垂直な方向に数100μmのギャップを設けて直流重畳時のインダクタンス(L値)の低下を防止している。しかしながら、このような広いギャップはうなり音の発生源となるほか、特に高周波帯域において、ギャップから発生する漏洩磁束が巻線に銅損失の著しい増加をもたらす。
一方、軟磁性金属粉末を成形して作製される圧粉磁芯はフェライト磁芯に比べて著しく大きい飽和磁束密度を有しており、小型化には有利といえる。また、この圧粉磁芯はフェライト磁芯と異なりギャップ無しで使用することが可能であり、うなり音や漏洩磁束による銅損失が小さいという特徴を持っている。
しかしながら、圧粉磁芯は透磁率およびコア損失についてはフェライト磁芯より優れているとはいえない。特にチョークコイルやインダクタに使用する圧粉磁芯ではコア損失が大きいことから、コアの温度上昇が大きくなり、小型化が図りにくい。また、圧粉磁芯はその磁気特性を向上するために成形密度を上げる必要があり、通常5ton/cm以上の成形圧力を必要とし、複雑な形状の製品を製造することは極めて困難である。そのため、圧粉磁芯はフェライト磁芯に比べてコア形状としての制約が大きく、製品の小型化が困難である。
ここで、圧粉磁芯のコア損失は通常、ヒステリシス損失と渦電流損失とからなり、このうち渦電流損失は周波数の二乗および渦電流が流れるサイズの二乗に比例して増大する。従って、金属磁性粉の表面を絶縁材で被覆することによって、渦電流が流れるサイズを金属磁性粉の粒子間にわたるコア全体から金属磁性粉の粒子内のみに抑えることが可能となり、渦電流損失を低減させることができる。
また、圧粉磁芯は高い圧力で成形されることからコア全体に多数の加工歪を有することにより透磁率が低下し、その結果としてヒステリシス損失が増大する。これを回避するため、成形後、必要に応じて歪みを開放するための熱処理が施される。この熱処理において、金属磁性粉の粒子間を絶縁しつつ金属磁性粉どうしの結着を保つために絶縁性樹脂材料あるいは水ガラス、ポリシロキサン樹脂等の絶縁性の結着剤を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平6−29114号公報
しかしながら、前記従来の構成では、一般的に金属磁性材料において加工歪みの除去は融点の1/2以上の温度で行う必要があり、例えばFe過剰組成の磁性合金における加工歪みを十分に開放するためには少なくとも600℃以上、より好ましくは700℃以上で熱処理する必要がある。これに対して、従来の圧粉磁芯に用いられる絶縁性の結着剤として使用されるほとんどの有機系樹脂および無機系絶縁材料は歪みを開放するために700℃以上で熱処理を施すと、有機系樹脂では熱分解を起こすために使用が不可能であり、無機系絶縁材料などは不連続な絶縁性の低下が起こるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、高温での熱処理を可能とすることによって磁気特性の優れた複合磁性材料の製造方法を提供するものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、金属磁性粉末の表面に物質Aを被覆層として形成した複合粉末を作製する工程と、この複合粉末を用いて加圧成形することにより所定形状の成形体を作製する工程と、この成形体を熱処理する工程を含む複合磁性材料の製造方法において、前記物質Aは酸素との親和力がFeより強い元素からなる酸化物とし、且つ前記熱処理する第三の工程における酸素分圧をPとすると、熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧>P≧熱処理温度における物質Aの平衡酸素分圧の関係が成り立つ雰囲気にて行うという構成とするものである。
本発明の複合磁性材料の製造方法は、加工歪みを除去するための熱処理温度を高温下で行うことを可能とすることによって、優れた磁気特性を有する複合磁性材料の製造方法を提供することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における複合磁性材料の製造方法について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1における複合磁性材料の構造の概念図である。
図1において、本発明の実施の形態1における複合磁性材料の製造方法は、第一の工程として、金属磁性粉末1の表面に物質Aからなる被覆層2を形成して複合粉末を作製する工程と、第二の工程として、金属磁性粉末1の表面に被覆層2を形成した複合粉末を金型の中に所定の量を投入した後プレス機によって加圧成形して所定形状の成形体とする工程と、第三の工程として、前記成形体を熱処理する工程からなり、このとき、前記物質AはFeより酸素との親和力の強い元素からなる酸化物とし、これに適した物質AはSi、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Mg、Ca、Ba、Sr、B、Ga、Li、Sc、Nb、Ta、Y及び希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物を用いることが好ましく、これらの酸化物は第三の工程の熱処理する酸素分圧雰囲気(P)においても還元されることがなく、金属磁性粉末1の間に被覆層2が酸化物状態で介在することによって金属磁性粉末1どうしの絶縁性を確保することが可能となることによって、渦電流損失を抑制した複合磁性材料の製造方法を実現することができる。
さらに、前記第三の工程の熱処理工程における酸素分圧をPとすると、熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧>P≧熱処理温度における物質Aの平衡酸素分圧の関係が成り立つ雰囲気にて行うことによって、高温の熱処理を可能とし、成形による加工歪みを大幅に低減することが可能となることから、優れた磁気特性を有する複合磁性材料の製造方法を実現することができる。特に、第三の工程における熱処理温度の高温化を目的に鋭意検討を行った結果、熱処理時の雰囲気を前記酸素分圧雰囲気(P)とすることにより、高温雰囲気下においても被覆層2が介在することによって金属磁性粉末1どうしの拡散反応を抑制し、作製した複合磁性材料の絶縁性を確保することが可能となることを見出したものである。この理由は明確ではないが、本実施の形態1における酸素分圧雰囲気下(P)では、金属磁性粉末1の主要構成元素であるFe、Ni(Feより酸素との親和力が弱い)の酸化は抑制されることが確認できた。また、金属磁性粉末1の製法によっては金属磁性粉末1の表面にこれらの酸化物が形成されている可能性があるが、このような酸化物も熱処理中において還元されることが分かった。
これに対して、被覆層2に用いられる酸化物は第三の工程における酸素分圧雰囲気下(P)では還元されることなく酸化物の状態で存在することが分かった。そして、Fe、Niが酸化してできた金属酸化物は種々の酸化物と固溶しやすくなっているが、本実施の形態1における酸素分圧雰囲気下(P)では金属状態を維持することが可能となり、固溶反応は抑制することができる。従って、金属磁性粉末1の主要構成元素であるFe、Niの酸化を抑制して粉末表面を金属の状態に保つことによって高温雰囲気下での熱処理が可能となるのではないかと推察される。
また、被覆層2の形成方法は特に限定されるものではなく、例えばクロス・ロータリー・ミキサーで金属磁性粉末1と酸化物の微粉末を混合分散することにより金属磁性粉末1の表面に物質Aの微粉末を吸着させてもよいし、回転ボールミル、遊星ボールミル等各種ボールミル、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステム、奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム等の各種表面改質装置、あるいはめっき、ゾルゲル、スパッタ、蒸着等の方法を用いることも可能である。
次に、金属磁性粉末1として、Fe、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Mo系、Fe−Si−Al系から選ばれる少なくとも一種を用いることによって、優れた磁気特性を実現する複合磁性材料の製造方法を実現することができる。これらの前記金属磁性粉末1は飽和磁束密度、透磁率ともに高く優れた軟磁気特性を示すものである。
なお、主成分に対して微量の不純物あるいは添加物が含まれたとしても同様の効果を示すことはいうまでもない。
また、Fe、Niの少なくとも一種の含有量が50wt%以上であればFe、Ni、Si、Mo、Al等の比率は目的とする磁気特性に応じて適宜決めれば良い。
また、熱処理工程としては、熱処理工程の酸素分圧をPとすると、熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧>P≧熱処理温度における被覆層酸化物の平衡酸素分圧の関係が成り立つ雰囲気にて行うことが好ましく、そのときの熱処理温度としては700〜1400℃の範囲が好ましい。これにより、高透磁率を実現し、且つヒステリシス損失を低減することが可能となる複合磁性材料の製造方法を実現することができる。
そして、熱処理時の酸素分圧(P)が前記範囲外では金属磁性粉末1と被覆層2との反応を抑制すること、あるいは物質Aの還元を抑制して絶縁性を確保することが困難となる。
また、熱処理温度が700℃より低いと加圧成形時に導入される加工歪の開放を十分に行うことが困難であり、1400℃より高いと被覆層2と金属磁性粉末1どうしの反応が起こることから十分に絶縁性を確保することが困難となる。
また、酸素分圧の制御方法としては特に制限されるものではないが、CO−COガス、H−HOガス、CO−H等の混合ガスにて行うことが好ましい。特に、熱処理の温度条件と共に平衡酸素分圧は変化するものであるが、これらの混合ガスを用いた場合、その混合ガスの比率を調整することによって第三の工程における熱処理の温度プロファイル全域にわたり所定の酸素分圧に連続して制御することが可能となる。
また、第二の工程において、加圧成形の方法は特に限定されるものではなく、通常の加圧成形法を用いることができる。特に成形圧力としては5〜20ton/cmの範囲が好ましく、より好ましくは6〜15ton/cmの範囲である。この成形圧力が5ton/cmより低いと金属磁性粉末1の充填率が低いことから高い磁気特性を実現することが困難であり、20ton/cmより高いと加圧成形時の金型にコストがかかるとともに、大型のプレス機が必要となり生産性の観点から問題がある。
次に、本実施の形態1における複合磁性材料の製造方法について実施例を用いて、さらに詳細に説明する。
まず、はじめに平均粒径が21μmの(表1)に示した組成を有する金属磁性粉末1を準備し、その金属磁性粉末1の表面に被覆層2を形成するために、平均粒径が0.01〜0.1μmの被覆層形成用粉末を用いて、メカノフュージョン法によって金属磁性粉末1の表面にλ/dが1.1×10−2となるように形成することによって所望の複合粉末を作製した。
次に、得られた複合粉末を所定の金型に投入し、プレス機を用いて12ton/cmの成形条件にて加圧成形を行って成形体を作製した後、CO−H混合ガスを用いて(表1)に記載した酸素分圧雰囲気(P)となるように制御し、さらに(表1)に記載の熱処理温度で1〜2hr熱処理を行った。なお、作製した成形体の形状は外形:15mm、内径:10mm、高さ:3mmのトロイダルコアである。
得られたサンプルについて、直流重畳特性、コア損失について評価を行った。この直流重畳特性については、印加磁場:50Oe、周波数:120kHzにおける透磁率をLCRメータを用いて測定・評価した。そして、コア損失は交流B−Hカーブ測定機を用いて測定周波数:120kHz、測定磁束密度:0.1Tで測定を行った。これらの評価結果を(表1)に示す。
Figure 2007019134
(表1)の結果より、試料No1〜No30の範囲に示した実施例において、優れた直流重畳特性、低いコア損失を示す複合磁性材料を実現していることが分かる。これに対して試料No31、試料No32の比較例ではコア損失の大きな磁性材料となっている。
以上説明してきたように、本実施の形態1に示した複合磁性材料の製造方法を用いることによって、高透磁率、且つ低損失を有する複合磁性材料を製造することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における複合磁性材料の製造方法について図を用いて説明する。特に、基本的な製造方法は実施の形態1で説明した製造方法とほぼ同様であり、特に実施の形態1の製造方法と異なっているところは、金属磁性粉末1と被覆層2の形状について限定している点である。
図1に示すように、特に、金属磁性粉末1の粒径をdとし、被覆層2により形成された金属磁性粉末1間の距離をλとしたとき、1×10−4≦λ/d≦1×10−1の関係となるように被覆層2の厚みを制御して構成するという特徴を有しており、このような構成とすることによって、さらに高透磁率を実現し、且つ渦電流損失を低減することが可能となる複合磁性材料の製造方法を実現することができる。
ここで、λ/dが1×10−4以下である場合には金属磁性粉末1どうしの絶縁性を確保することが困難となり、λ/dが1×10−1以上である場合には磁気特性化が低下することが分かった。
次に、本実施の形態2における複合磁性材料の製造方法についてさらに詳細に説明する。
まず、金属磁性粉末1として、組成が重量%で85.0Fe−9.2Si−5.8Al、平均粒径:18μmの金属磁性粉末1を準備し、この金属磁性粉末1の粒径(d)と被覆層2を形成した金属磁性粉末間の距離(λ)が(表2)に記載した関係となるように金属磁性粉末1の表面に被覆層2としてゾルゲル法を用いてAlの被膜を形成して複合粉末とした。
このようにして作製した混合粉末を成形圧15ton/cmにて所定の形状に加圧成形し、1000℃で1〜2hr熱処理を行った。
このとき、熱処理における酸素分圧を制御するためにCO−CO混合ガスを用いて、1000℃におけるFeの平衡酸素分圧×10−3の酸素分圧雰囲気になるように混合ガスの投入量を制御しながら熱処理を行った。
なお、この酸素分圧の値は1000℃におけるAlの平衡酸素分圧より高い酸素分圧としている。
また、作製した試料の寸法形状は実施の形態1と同様である。
得られた試料サンプルについて実施の形態1と同様の方法によって、直流重畳特性、コア損失について評価を行った。直流重畳特性については、印加磁場:45Oe、周波数:120kHzにおける透磁率をLCRメータを用いて測定・評価した。また、コア損失は交流B−Hカーブ測定機を用いて測定周波数:120kHz、測定磁束密度:0.1Tで測定を行った。これらの評価結果を(表2)に示す。
Figure 2007019134
(表2)の結果より、試料No34〜No37の範囲に示した実施例において、優れた直流重畳特性、低いコア損失を示す複合磁性材料を実現していることが分かる。これに対して、試料No33、No38の比較例ではコア損失の大きな磁性材料となっている。
以上説明してきたように、本実施の形態2に示した複合磁性材料の製造方法を用いることによって、高透磁率、且つ低損失を有する複合磁性材料を製造することができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における複合磁性材料の製造方法について説明する。特に、基本的な製造方法は実施の形態1で説明した製造方法とほぼ同様であり、特に実施の形態1の製造方法と異なっているところは熱処理温度を限定している点である。
本発明の実施の形態3における熱処理温度としては700〜1400℃の範囲が好ましい。この熱処理温度が700℃より低いと加圧成形時に導入される加工歪の開放が十分に行うことができないことから、高磁気特性を実現することができない。また1400℃より高いと、本実施の形態3における酸素分圧雰囲気下でも被覆層2である酸化物と金属磁性粉末1との間で一部反応が開始することから、十分な絶縁性を確保することが困難となる。
次に、本実施の形態3における複合磁性材料の製造方法についてさらに詳細に説明する。
組成が重量%で93.9Fe−6.1Si、平均粒径が23μmの金属磁性粉末1を準備し、この金属磁性粉末の表面に被覆層2を形成するために、λ/dが2.0×10−3となるようにYの被覆層2をゾルゲル法により形成した。得られた混合粉末を15ton/cmにて加圧成形し、(表3)に記載した熱処理温度にて1〜2hr熱処理を行った。この熱処理はH−CO混合ガスを用いて各熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧×10−1の酸素分圧雰囲気下にて行った。
なお、この値は各熱処理温度におけるYの平衡酸素分圧より高い酸素分圧としている。また、作製した試料の寸法形状は実施の形態1と同様である。
得られたサンプルについて直流重畳特性、コア損失について評価を行った。直流重畳特性については、印加磁場:50Oe、周波数:120kHzにおける透磁率をLCRメータにて測定し評価した。コア損失は交流B−Hカーブ測定機を用いて測定周波数:120kHz,測定磁束密度:0.1Tで測定を行った。得られた結果を(表3)に示す。
Figure 2007019134
(表3)の結果より、試料No40〜試料No43において優れた直流重畳特性、低いコア損失を示すことがわかる。これに対して、試料No39、試料No44ではコア損失の大きな磁性材料となっている。以上のことから、本実施の形態3で説明した熱処理温度範囲で熱処理することによって、優れた磁気特性を有する複合磁性粉末の製造方法を実現することができる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4における複合磁性材料の製造方法について説明する。特に、基本的な製造方法は実施の形態1で説明した製造方法とほぼ同様であり、特に実施の形態1の製造方法と異なっているところは、金属磁性粉末1の平均粒径を限定しているところである。この金属磁性粉末1の粒径は1〜100μmの範囲が好ましく、3〜60μmの範囲がより好ましい。これにより、渦電流損失を低減することが可能となる複合磁性粉末の製造方法を実現することができる。
特に、この金属磁性粉末1が1μmより小さいと成形密度が低くなり、透磁率が低下することから好ましくない。これに対して、100μmより大きくなると高周波での渦電流損失が大きくなることから好ましくない。
次に、本実施の形態4における複合磁性材料の製造方法についてさらに詳細に説明する。
組成が重量%で50.5Fe−49.5Niであり、(表4)に記載の粒径(d)の金属磁性粉末1を用いて、λ/dが7.0×10−3となるようにSiOの被覆層2をゾルゲル法により形成した。
このようにして得られた混合粉末を10ton/cmにて加圧成形し、1000℃で1〜2h熱処理を行った。このときの熱処理はH−HO混合ガスを用い1000℃におけるFeの平衡酸素分圧×10−3の酸素分圧雰囲気にて行った。なお、この値は1000℃におけるSiOの平衡酸素分圧より高い酸素分圧としている。また、作製した試料の寸法形状は実施の形態1と同様である。
このようにして作製した試料のサンプルについて直流重畳特性、コア損失について評価を行った。直流重畳特性については、印加磁場:45Oe、周波数:120kHzにおける透磁率をLCRメータにて測定し評価した。コア損失は交流B−Hカーブ測定機を用いて測定周波数:120kHz、測定磁束密度:0.1Tで測定を行った。得られた評価結果を(表4)に示す。
Figure 2007019134
(表4)の結果より、本発明の複合磁性材料の製造方法を用いることによって、優れた直流重畳特性、低いコア損失を示す複合磁性材料を実現していることがわかる。
以上のように、本発明にかかる複合磁性材料の製造方法は、優れた直流重畳特性と、低いコア損失を有した小型のインダクタンス部品に有用である。
本発明の実施の形態1における複合磁性粉末の概念図
符号の説明
1 金属磁性粉末
2 被覆層

Claims (7)

  1. 金属磁性粉末の表面に物質Aを被覆層として形成して複合粉末を作製する第一の工程と、この複合粉末を用いて加圧成形することにより所定形状の成形体を作製する第二の工程と、この成形体を熱処理する第三の工程を含む複合磁性材料の製造方法において、前記物質Aは酸素との親和力がFeより強い元素からなる酸化物とし、且つ前記熱処理する第三の工程における酸素分圧をPとすると、熱処理温度におけるFeの平衡酸素分圧>P≧熱処理温度における物質Aの平衡酸素分圧の関係が成り立つ雰囲気にて行う複合磁性材料の製造方法。
  2. FeまたはNiの少なくとも一種を50wt%以上含んだ金属磁性粉末を用いる請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
  3. Fe、Fe−Si系、Fe−Ni系、Fe−Ni−Mo系あるいはFe−Si−Al系から選ばれる少なくとも一種の金属磁性粉末を用いる請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
  4. Si、Al、Ti、Zr、Hf、Cr、Mg、Ca、Ba、Sr、B、Ga、Li、Sc、Nb、Ta、Y及び希土類元素から選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物を物質Aとして用いる請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
  5. 金属磁性粉末の粒径をdとし、被覆層を形成した金属磁性粉末間の距離をλとしたとき、1×10−4≦λ/d≦1×10−1の関係となるように被覆層の厚みを形成する請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
  6. 熱処理する温度を700〜1400℃とした請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
  7. 金属磁性粉末の平均粒径を1〜100μmとした請求項1に記載の複合磁性材料の製造方法。
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