JP2008028162A - 軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心 - Google Patents
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Abstract
【課題】保磁力を低減して、成形する際にヒステリス損を低減することのできる軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心を提供する。
【解決手段】準備工程と、焼鈍工程と、被膜形成工程とを備えている。準備工程では、温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子10を準備する。焼鈍工程では、真空または不活性ガスの雰囲気下で、金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。被膜形成工程では、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】準備工程と、焼鈍工程と、被膜形成工程とを備えている。準備工程では、温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子10を準備する。焼鈍工程では、真空または不活性ガスの雰囲気下で、金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。被膜形成工程では、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心に関し、たとえば、低い保磁力を有する軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心に関する。
従来、電磁弁、モータ、または電気回路などを有する電気機器には、軟磁性材料が使用されている。この軟磁性材料は複数の複合磁性粒子により構成されており、複数の複合磁性粒子の各々は、たとえば純鉄からなる金属磁性粒子と、その表面を被覆する絶縁被膜とを有している。軟磁性材料には、小さな磁場の印加で大きな磁束密度を得ることができる磁気特性と、外部からの磁界に対して敏感に反応できる磁気特性とが求められる。
この軟磁性材料を用いて作製した圧粉磁心を交流磁場で使用した場合、ヒステリシス損失が生じ、ヒステリシス損失は、軟磁性材料の磁束密度を変化させるために必要なエネルギによって生じるエネルギ損失である。ヒステリシス損失は、動作周波数に比例するため、ヒステリシス損失は主に低周波領域において支配的になる。圧粉磁心にはこのヒステリシス損失の発生を小さくする磁気的特性、すなわち高い交流磁気特性が求められる。ヒステリシス損失は、圧粉磁心の保磁力に比例し、さらには軟磁性材料の保磁力に比例する。そのため、圧粉磁心においてヒステリシス損失を低減するためには、成形前の軟磁性材料の保磁力を下げることが望ましい。
ヒステリシス損失を低減して低中周波数での使用に適した圧粉磁心を提供することを目的として、特開2004−288983号公報(特許文献1)に、圧粉磁心およびその製造方法が開示されている。特許文献1に開示の圧粉磁心は、保磁力を低減する効果を有するシリコン(Si)を、加圧成形前に不活性ガス雰囲気下で800℃以上の加熱処理が施されている。軟磁性材料に加熱処理を施すことによって、アトマイズ時に生じる内部残留応力や歪みなどを除去することができる。
特開2004−288983号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の圧粉磁心では、保磁力を低減するためには高い温度で加熱処理を行なうことが好ましいため、800℃近傍の温度で加熱処理する場合には、軟磁性材料の保磁力についてはまだ改善の余地がある。一方、加熱温度が高すぎる場合には、軟磁性材料の粉末同士が焼結してしまう。焼結してしまうと粉末を粉砕する必要があり、粉砕する際に粉末内部に再び歪みが生じてしまい、保磁力が大きくなるという問題がある。
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、保磁力を低減して、成形する際にヒステリス損を低減することのできる軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心を提供することである。
本発明の一の局面にしたがった軟磁性材料の製造方法は、準備工程と、焼鈍工程と、被膜形成工程とを備えている。準備工程では、温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子を準備する。焼鈍工程では、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。被膜形成工程では、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する。
本発明の他の局面にしたがった軟磁性材料は、鉄を主成分とし、残部が不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子を粉末組成における変態温度(912)℃以上1050℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備えている。
本発明のさらに他の局面にしたがった磁性材料の製造方法は、1.95重量%以下のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上1100℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備えている。
本発明のさらに他の局面にしたがった軟磁性材料の製造方法は、0.95重量%以下のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上1200℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備えている。
本発明の軟磁性材料の製造方法によれば、焼鈍処理工程で金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上の温度で焼鈍処理を行なっているため、金属磁性粒子は相変態し、結晶構造が変化する。結晶構造が変化する際に、原子の再配列が起こるので、結晶内部の歪みの要因である転位や欠陥が消滅する。そのため、相変態する温度で焼鈍処理を行なうことにより、保磁力を低減できる。一方、焼鈍工程で焼結が始まる温度未満で焼鈍処置を行なっているため、軟磁性材料の粉末同士が焼結して粉末を粉砕する必要が生じない。よって、保磁力を低減して、成形する際にヒステリシス損を低減することのできる軟磁性材料を製造することができる。
上記一の局面における軟磁性材料の製造方法において好ましくは、金属磁性粒子は、鉄−アルミニウム−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−クロム系合金、鉄−アルミニウム−マンガン系合金、鉄−アルミニウム−ニッケル系合金、鉄−シリコン−クロム系合金、鉄−シリコン−マンガン系合金、および鉄−シリコン−ニッケル系合金からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる。これにより、成形すると飽和磁束密度などの磁気的特性の優れた軟磁性材料を製造することができる。
上記軟磁性材料の製造方法において好ましくは、絶縁被膜は、酸化物、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、およびホウ素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる。
これらの物質は絶縁性に優れているため、金属磁性粒子間を流れる渦電流をより効果的に抑制することができる。
上記軟磁性材料の製造方法において好ましくは、絶縁被膜は、一の絶縁被膜であり、金属磁性粒子は一の絶縁被膜の表面を取り囲む他の絶縁被膜を有し、他の絶縁被膜は、シリコーン樹脂、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および高級脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の物質よりなる。
これにより、絶縁被膜が他の絶縁被膜によって保護され、軟磁性材料の熱処理の際に絶縁被膜の温度上昇を他の絶縁被膜によって抑制することができる。このため、絶縁被膜の耐熱性を向上ができる軟磁性材料を製造できる。また、上記物質は高い耐熱性を有するとともに、金属磁性粒子と絶縁被膜とを備える複合磁性粒子同士の接合強度を高める役割を果たす。
本発明の軟磁性材料は、軟磁性材料の製造方法により製造される。これにより、保磁力を低減して、成形する際にヒステリス損を低減することのできる軟磁性材料とできる。
本発明の圧粉磁心は、上記の軟磁性材料を用いて製造される。これにより、圧粉磁心のヒステリシス損を低減することができる。
以上説明したように、本発明の軟磁性材料の製造方法によれば、焼鈍工程で相変態させ、かつ焼結させない温度で焼鈍処理を行なうことにより、保磁力を低減して、成形する際にヒステリス損を低減することのできる軟磁性材料を製造することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における軟磁性材料を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施の形態における軟磁性材料は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20とを有する複数の複合磁性粒子30とを備える。
図2は、本発明の実施の形態における圧粉磁心の拡大断面図である。なお、図2の圧粉磁心は、図1の軟磁性材料に加圧成形および熱処理を施すことによって製造されたものである。図1および図2に示すように、本実施の形態における圧粉磁心において、複数の複合磁性粒子30の各々は、有機物(図示せず)によって接合されていたり、複合磁性粒子30が有する凹凸の噛み合わせなどによって接合されていたりする。
次に、図3を参照して、本発明の軟磁性材料の製造方法について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態における軟磁性材料の製造方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子10を準備する準備工程(S10)を実施する。準備工程(S10)では、たとえば、鉄(Fe)、鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金、鉄(Fe)−窒素(N)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−炭素(C)系合金、鉄(Fe)−ホウ素(B)系合金、鉄(Fe)−コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)−リン(P)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−クロム(Cr)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−マンガン(Mn)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−シリコン(Si)−クロム(Cr)系合金、鉄(Fe)−シリコン(Si)−マンガン(Mn)系合金、および鉄(Fe)−シリコン(Si)−ニッケル(Ni)系合金などから形成されている金属磁性粒子10を準備する。金属磁性粒子10は、金属単体でも合金でもよい。
準備工程(S10)では、磁気的特性が優れている観点から、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−クロム(Cr)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−マンガン(Mn)系合金、鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−シリコン(Si)−クロム(Cr)系合金、鉄(Fe)−シリコン(Si)−マンガン(Mn)系合金、および鉄(Fe)−シリコン(Si)−ニッケル(Ni)系合金からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる金属磁性粒子を準備することが好ましい。
準備工程(S10)において鉄を主成分とし、残部が不可避的不純物からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、金属磁性粒子10は鉄の割合が99.6重量%以上の純鉄であり、残部が不可避的不純物からなる。磁気的特性を向上する観点から、鉄の割合は好ましくは99.7重量%以上である。
また、準備工程(S10)において鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、金属磁性粒子10は1.95重量(wt)%以下のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。
また、準備工程(S10)において鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、金属磁性粒子10は0.95重量(wt)%以下のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる。
準備工程(S10)で準備する金属磁性粒子10の平均粒径は、30μm以上500μm以下であることが好ましい。金属磁性粒子10の平均粒径を30μm以上とすることにより、保磁力をより低減することができる。平均粒径を500μm以下とすることにより、渦電流損を低減することができる。また、加圧成形時において混合粉末の圧縮性が低下することを抑止できる。これにより、加圧成形によって得られた成形体の密度が低下せず、取り扱いが困難になることを防ぐことができる。
なお、金属磁性粒子10の平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
次に、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を実施する。焼鈍工程(S20)前の金属磁性粒子10の内部には、アトマイズ処理時の熱応力などに起因する歪みや結晶粒界などの多数の欠陥が存在している。そこで、金属磁性粒子10に焼鈍工程(S20)を実施することによって、これらの欠陥を低減させることができる。
なお、「変態温度」とは、結晶構造がたとえばα相(体心立方構造)からγ相(面心立方構造)へ、またはγ相からα相へ結晶構造が変化(相変態)する温度を意味する。「焼結が始まる温度」とは、軟磁性材料を融点以下の温度で加熱したとき、粉体粒子の間に結合が生じて固体になる温度を意味する。
また、「粉末組成における変態温度」は、DTA(示差熱分析)やDSC(示差走査熱量測定)により測定することができる。DTAは、測定試料および基準物質の温度を一定のプログラムに従って変化させながら、その試料と基準物質との温度差を温度の関数として測定する方法である。DSCは、測定試料および基準試料の温度を等しくなるように変化させ、両者に加えた熱量の差を温度の関数として測定する方法である。α相からγ相への相変態は吸熱反応(γ相からα相への相変態は発熱反応)であるので、DTAやDSCの測定では、相変態温度においてピークが現れる。従って、金属磁性粒子10の粉末に対してDTAやDSCを用いることにより、粉末組成における相変態温度を検出できる。
焼鈍工程(S20)では、粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍を行なう。変態温度よりも低い温度で焼鈍を行なうと、金属磁性粒子10の変態が生じず、結晶内部の歪みの要因となる転移や欠陥を消滅させることはできない。変態温度以上で焼鈍を行なうことによって、金属磁性粒子10の相変態が生じるので、結晶構造が変化して原子の再配列が起こって、結晶内部の歪みの要因となる転移や欠陥を消滅でき、保磁力を減少できる。一方、焼結が始まる温度以上の温度で焼鈍を行なうと、粉末同士が焼結するので粉末を粉砕する必要が生じ、この際に粉末内部に再び歪みが生じて保磁力が逆に大きくなる。焼結の始まる温度未満で焼鈍を行なうことによって、焼結が生じないので、保磁力を低減できる。
金属磁性粒子10として、鉄を主成分とし、残部が不可避的不純物からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、真空または不活性ガスの雰囲気下で、金属磁性粒子10を912℃以上1050℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。鉄を主成分とする金属磁性粒子10では、912℃で体心立方格子のα相から面心立方格子のγ相へ相変態する。焼鈍温度を912℃未満とすると、相変態が起きないため歪みをあまり低減できない。焼鈍温度を912℃以上とすることによって、相変態が生じるので、γ相へ変態する際に原子再配列が起きて結晶内部の歪みを除去できる。焼鈍温度を1050℃未満とすることによって、焼結が生じることを防止できるので、保磁力を低減できる。
金属磁性粒子10として、1.95重量%以下のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、真空または不活性ガスの雰囲気下で、金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上1100℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。1.95重量%以下のシリコンを含有する鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金は、粉末組成における変態温度で体心立方格子のα相から面心立方格子のγ相へ変態し、その変態温度はSiの含有量により変化する。一方、1.95重量%より多いシリコンを含有する鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金では、γ相領域自体が存在しないため、変態温度を有しない。なお、図4に示すFe−Si系の2元系状態図から、γ相を有する組成の範囲は3.8at%(1.95wt%)以下であることが明記されている。そのため、金属磁性粒子10が鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金である場合には、シリコンの含有量が1.95重量%以下の粉末であれば相変態を生じさせることが可能である。
また、焼鈍温度を粉末組成における変態温度未満とすると、相変態が生じず歪みをあまり低減できない。焼鈍温度を粉末組成における変態温度以上とすることによって、結晶内部の歪みを除去できる。一方、焼鈍温度を1100℃未満とすることによって、焼結が生じることを防止できるので、保磁力を低減できる。
金属磁性粒子10として0.95重量%以下のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金からなる金属磁性粒子10を準備する場合には、金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上1200℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう。0.95重量%以下のアルミニウムを含有する鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金は、粉末組成における変態温度以上の温度で体心立方格子のα相から面心立方格子のγ相へ変態し、その変態温度はAlの含有量により変化する。一方、0.95重量%より多いアルミニウムを含有する鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金では、γ相領域自体が存在しないため、変態温度を有しない。なお、図5に示すFe−Al系の2元系状態図から、γ相を有する組成の範囲は1.95at%(0.95wt%)以下であることが明記されている。そのため、金属磁性粒子10が鉄(Fe)−アルミニウム(Al)系合金である場合には、アルミニウムの含有量が0.95重量%以下の粉末であれば相変態を生じさせることが可能である。
また、焼鈍温度を粉末組成における変態温度未満とすると、相変態が生じないので、歪みをあまり低減できない。焼鈍温度を粉末組成における変態温度以上とすることによって、結晶内部の歪みをより除去できる。一方、焼鈍温度を1200度未満とすることによって、焼結が生じることを防止できるので、保磁力を低減できる。
なお、焼鈍工程(S20)では、真空または不活性ガスの雰囲気下で行なう。不活性ガスは特に限定されないが、たとえば水素ガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガスなどを用いることができる。
次に、焼鈍工程で焼鈍処理された金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20を形成する被膜形成工程(S30)を実施する。絶縁被膜20は、金属磁性粒子10間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10を絶縁被膜20で覆うことによって、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉磁心の渦電流損を低減させることができる。
被膜形成工程(S30)では、たとえば金属磁性粒子10をリン酸塩化成処理することによって絶縁被膜20を形成することができる。また、リン酸塩絶縁被膜の形成方法としては、リン酸塩化成処理の他に溶剤吹きつけや前駆体を用いたゾルゲル処理を利用することもできる。また、シリコン系有機化合物よりなる絶縁被膜20を形成してもよい。この絶縁被膜の形成には、有機溶剤を用いた湿式被覆処理や、ミキサーによる直接被覆処理などを利用することができる。これにより、複数の複合磁性粒子30が得られる。
被膜形成工程(S30)では、酸化物、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、およびホウ素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる絶縁被膜20を形成することが好ましい。具体的には、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、酸化シリコン、酸化チタン、または酸化ジルコニウムなどよりなる絶縁被膜20を形成することが好ましい。
また、絶縁被膜20は、金属としてFe,Al,Ca,Mn,Zn,Mg,V,Cr,Y,Ba,Sr,または希土類元素を用いた金属酸化物、金属窒化物、金属酸化物、リン酸金属塩化合物、ホウ酸金属塩化合物、またはケイ酸金属塩化合物などよりなっていてもよい。
また、絶縁被膜20はAl,Si,Mg,Y,Ca,Zr,およびFeからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質のリン酸塩の非晶質化合物、前記物質のホウ酸塩の非晶質化合物よりなっていてもよい。
さらに、絶縁被膜20はSi,Mg,Y,Ca,およびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の物質の酸化物の非晶質化合物よりなっていてもよい。
絶縁被膜20の平均膜厚は、10nm以上1μm以下であることが好ましい。絶縁被膜20の平均膜厚を10nm以上とすることによって、渦電流損を効果的に抑制することができる。絶縁被膜20の平均膜厚を1μm以下とすることによって、加圧成形時に絶縁被膜20がせん断破壊することを防止できる。また、軟磁性材料に占める絶縁被膜20の割合が大きくなりすぎないので、軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
なお、上記においては軟磁性材料を構成する複合磁性粒子30が1層の絶縁被膜20により構成されている場合について示したが、軟磁性材料を構成する複合磁性粒子30が以下に述べるように複数層の絶縁被膜20により構成されていてもよい。
複数層の絶縁被膜20を備える軟磁性材料を製造する場合には、図6に示すように、被膜形成工程(S30)では、一の絶縁被膜20aと、一の絶縁被膜20aの表面を取り囲む他の絶縁被膜20bとを形成し、他の絶縁被膜20bは、シリコーン樹脂、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および高級脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の物質よりなることが好ましい。なお、図6は、本発明の実施の形態における他の軟磁性材料を模式的に示す図である。
図6に示すような2層の絶縁被膜を形成する場合には、一の絶縁被膜20aの形成された金属磁性粒子10の各々と、樹脂とを混合し、他の絶縁被膜20bを形成する。混合方法については特に制限はなく、たとえばメカニカルアロイング法、振動ボールミル、遊星ボールミル、メカノフュージョン、共沈法、化学気相蒸着法(CVD法)、物理気相蒸着法(PVD法)、めっき法、スパッタリング法、蒸着法またはゾル−ゲル法などのいずれを使用することも可能である。また必要に応じて潤滑剤がさらに混合されてもよい。
他の縁被膜20bの形成方法としては、上記方法の他、有機溶媒に溶かしたシリコーン樹脂を混合あるいは噴霧し、その後シリコーン樹脂を乾燥させて有機溶媒を除去するといった方法を用いてもよい。
以上の工程(S10〜S30)により、本実施の形態の軟磁性材料が得られる。なお、本実施の形態における圧粉磁心を製造する場合には、さらに以下の工程が行なわれる。
次に、得られた軟磁性材料の粉末を金型に入れ、加圧成形する加圧成形工程(S40)を実施する。加圧成形工程(S40)では、たとえば390(MPa)から1500(MPa)までの範囲の圧力で加圧成形する。これにより、軟磁性材料が圧粉成形された成形体が得られる。なお、加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって混合粉末が酸化されるのを抑制することができる。
次に、加圧成形によって得られた成形体を熱処理する熱処理工程(S50)を実施する。熱処理工程(S50)では、たとえば575℃以上絶縁被膜20の熱分解温度以下の温度で熱処理する。加圧成形を経た成形体の内部には欠陥が多数発生しているので、熱処理によりこれらの欠陥を取り除くことができる。
以上説明した工程(S10〜S50)により、図2に示す本実施の形態の圧粉磁心を製造できる。また、絶縁被膜20を2層有する軟磁性材料を用いる場合には、図7に示すような圧粉磁心を製造できる。なお、図7は、本発明の実施の形態における他の圧粉磁心を模式的に示す図である。
以上説明したように、本発明の実施の形態における軟磁性材料の製造方法によれば、温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子10を準備する準備工程(S10)と、真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ金属磁性粒子10を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)と、焼鈍工程(S20)で焼鈍処理された金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20を形成する被膜形成工程(S30)とを備えている。焼鈍工程(S20)で金属磁性粒子10の粉末組成における変態温度以上で焼鈍処理を行なうことにより、金属磁性粒子10が相変態する際に、原子の再配列が起こるので、結晶内部の歪みの要因となる転移や欠陥を消滅できる。そのため、歪みが減少した軟磁性材料は保磁力を低減できる。また、焼結が始まる温度未満で焼鈍処理を行なうことにより、焼結を防止できる。よって、保磁力を低減して、成形する際にヒステリス損を低減することのできる軟磁性材料の製造することができる。
[実施例1]
実施例1では、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を備えることの効果を調べた。始めに、下記の表1を参照して、種々の金属磁性粒子を用いた場合の軟磁性材料の製造方法を説明する。
実施例1では、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を備えることの効果を調べた。始めに、下記の表1を参照して、種々の金属磁性粒子を用いた場合の軟磁性材料の製造方法を説明する。
(軟磁性材料1)
軟磁性材料1では、純鉄系の軟磁性材料1を製造した。具体的には、まず準備工程(S10)で、鉄粉を水アトマイズ法により鉄が99.6重量%以上含有され、残部が0.3重量%以下のOおよび0.1重量%以下のC、N、P、またはMnなどの不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した。金属磁性粒子の粒径は75μm以下とした。次に、焼鈍工程(S20)では、表1に示す各温度で、水素雰囲気下で1時間焼鈍を行なった。次に、被膜形成工程(S30)では、ボンデ処理を実施して、平均膜厚が100nmのリン酸鉄からなる絶縁被膜を形成した。これにより、鉄を主成分とする純鉄系軟磁性材料を製造した。
軟磁性材料1では、純鉄系の軟磁性材料1を製造した。具体的には、まず準備工程(S10)で、鉄粉を水アトマイズ法により鉄が99.6重量%以上含有され、残部が0.3重量%以下のOおよび0.1重量%以下のC、N、P、またはMnなどの不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した。金属磁性粒子の粒径は75μm以下とした。次に、焼鈍工程(S20)では、表1に示す各温度で、水素雰囲気下で1時間焼鈍を行なった。次に、被膜形成工程(S30)では、ボンデ処理を実施して、平均膜厚が100nmのリン酸鉄からなる絶縁被膜を形成した。これにより、鉄を主成分とする純鉄系軟磁性材料を製造した。
(軟磁性材料2)
軟磁性材料2では、鉄−シリコン系の軟磁性材料(Fe−1Si)を製造した。具体的には、鉄−シリコン系の軟磁性材料2は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、1重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
軟磁性材料2では、鉄−シリコン系の軟磁性材料(Fe−1Si)を製造した。具体的には、鉄−シリコン系の軟磁性材料2は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、1重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
(軟磁性材料3)
軟磁性材料3では、鉄−シリコン系の軟磁性材料(Fe−2.5Si)を製造した。具体的には、鉄−シリコン系の軟磁性材料3は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、本発明の範囲外の2.5重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
軟磁性材料3では、鉄−シリコン系の軟磁性材料(Fe−2.5Si)を製造した。具体的には、鉄−シリコン系の軟磁性材料3は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、本発明の範囲外の2.5重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
(軟磁性材料4)
軟磁性材料4では、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料(Fe−0.5Al)を製造した。具体的には、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料4は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、0.5重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
軟磁性材料4では、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料(Fe−0.5Al)を製造した。具体的には、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料4は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、0.5重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
(軟磁性材料5)
軟磁性材料5では、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料(Fe−2Al)を製造した。具体的には、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料5は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、本発明の範囲外の2重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
軟磁性材料5では、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料(Fe−2Al)を製造した。具体的には、鉄−アルミニウム系の軟磁性材料5は、基本的には鉄を主成分とする軟磁性材料1の製造方法と同様の構成を備えるが、準備工程(S10)で、本発明の範囲外の2重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備した点においてのみ異なる。
(評価方法)
各軟磁性材料について焼鈍工程(S20)で表1に示す種々の温度で焼鈍した時の保磁力を測定した。保磁力の測定に際しては、まず、樹脂バインダーを用いて軟磁性材料を固め、ペレット(直径20mm、厚み5mm)を作製した。そのペレットに対して、1(T:テスラ)→−1T→1T→−1Tの磁場を順に印加するとともに、試料振動型磁力計(VSM)を用いてそのときのB(磁束密度)H(磁界)ループの形状を特定した。そして、このBHループの形状からペレットの保磁力を算出し、その値を軟磁性材料の保磁力とした。その結果を表1および図8に示す。なお、図8は、軟磁性材料を種々の焼鈍温度で焼鈍したときの保磁力を示す図である。図8において、横軸は焼鈍温度(単位:℃)を、縦軸は保磁力(単位:A/m)を示す。
各軟磁性材料について焼鈍工程(S20)で表1に示す種々の温度で焼鈍した時の保磁力を測定した。保磁力の測定に際しては、まず、樹脂バインダーを用いて軟磁性材料を固め、ペレット(直径20mm、厚み5mm)を作製した。そのペレットに対して、1(T:テスラ)→−1T→1T→−1Tの磁場を順に印加するとともに、試料振動型磁力計(VSM)を用いてそのときのB(磁束密度)H(磁界)ループの形状を特定した。そして、このBHループの形状からペレットの保磁力を算出し、その値を軟磁性材料の保磁力とした。その結果を表1および図8に示す。なお、図8は、軟磁性材料を種々の焼鈍温度で焼鈍したときの保磁力を示す図である。図8において、横軸は焼鈍温度(単位:℃)を、縦軸は保磁力(単位:A/m)を示す。
(評価結果)
軟磁性材料1,2,4は、鉄、シリコン、およびアルミニウムの含有量がそれぞれ99.6重量%以上、1.95重量%以内、および0.95重量%以内であるので、各粉末組成における変態温度以上で、保磁力を大きく低減できた。また、焼結が始まる温度(軟磁性材料1では1050℃、軟磁性材料2では1100℃、軟磁性材料3では1200℃)以上で、保磁力が上昇することが確認できた。
軟磁性材料1,2,4は、鉄、シリコン、およびアルミニウムの含有量がそれぞれ99.6重量%以上、1.95重量%以内、および0.95重量%以内であるので、各粉末組成における変態温度以上で、保磁力を大きく低減できた。また、焼結が始まる温度(軟磁性材料1では1050℃、軟磁性材料2では1100℃、軟磁性材料3では1200℃)以上で、保磁力が上昇することが確認できた。
一方、軟磁性材料3,5は、シリコンおよびアルミニウムの含有量からいずれの温度域でもγ相を有しないので、相変態することはなく、保磁力を大きく低減できる温度範囲がなかった。
以上説明したように、実施例1によれば、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を実施することにより、軟磁性材料の保磁力を大きく低減できることがわかった。また、γ相を有する純鉄系軟磁性材料、鉄−シリコン系軟磁性材料、および鉄−アルミニウム系軟磁性材料では、α相からγ相へ変態する温度で保磁力を大きく低減できることがわかった。
[実施例2]
実施例2では、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を備えることの効果をさらに調べた。始めに、下記の表2を参照して、本発明例1〜3および比較例1,2の各々の金属磁性粒子を用いた場合の軟磁性材料を用いてなる圧粉磁心の製造方法を説明する。
実施例2では、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を備えることの効果をさらに調べた。始めに、下記の表2を参照して、本発明例1〜3および比較例1,2の各々の金属磁性粒子を用いた場合の軟磁性材料を用いてなる圧粉磁心の製造方法を説明する。
(本発明例1の圧粉磁心)
本発明例1では、準備工程(S10)では、金属磁性粒子として純鉄を準備し、焼鈍工程(S20)では1000℃で焼鈍を行なって製造される軟磁性材料を用いた。そして、軟磁性材料を1275MPaの圧力を印加して、成形体を作製した。そして、500℃で、窒素気流雰囲気において1時間、成形体を熱処理した。これにより、本発明例1の圧粉磁心を製造した。
本発明例1では、準備工程(S10)では、金属磁性粒子として純鉄を準備し、焼鈍工程(S20)では1000℃で焼鈍を行なって製造される軟磁性材料を用いた。そして、軟磁性材料を1275MPaの圧力を印加して、成形体を作製した。そして、500℃で、窒素気流雰囲気において1時間、成形体を熱処理した。これにより、本発明例1の圧粉磁心を製造した。
(本発明例2の圧粉磁心)
本発明例2では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料として1重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−1Si)を用いて製造した点においてのみ異なる。
本発明例2では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料として1重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−1Si)を用いて製造した点においてのみ異なる。
(本発明例3の圧粉磁心)
本発明例3では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料として0.5重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−0.5Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
本発明例3では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料として0.5重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−0.5Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
(比較例1の圧粉磁心)
比較例1では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料としてγ相を有しない2.5重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−2.5Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
比較例1では、基本的には本発明例1の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料としてγ相を有しない2.5重量%のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−2.5Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
(比較例2の圧粉磁心)
比較例2では、基本的には本発明例2の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料としてγ相を有しない2重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−2Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
比較例2では、基本的には本発明例2の圧粉磁心と同様の構成を備えるが、軟磁性材料としてγ相を有しない2重量%のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子からなる軟磁性材料(Fe−2Al)を用いて製造した点においてのみ異なる。
(評価方法)
本発明例1〜3および比較例1,2の各々の圧粉磁心について、保磁力、ヒステリシス損係数、およびヒステリシス損係数低減率を測定した。保磁力の測定は以下のようにして測定した。まず、外径34mm、内径20mm、厚み5mmのリング状成形体(熱処理済)に関し、一次300巻き、二次20巻きの巻き線を施し、磁気特性測定用試料とした。これらの試料について、交流BHカーブトレーサ(理研電子社製)を用いて最大100(Oe:エルステッド)の磁場を印加した。これにより、BHループを測定し、圧粉磁心の保磁力を測定した。
本発明例1〜3および比較例1,2の各々の圧粉磁心について、保磁力、ヒステリシス損係数、およびヒステリシス損係数低減率を測定した。保磁力の測定は以下のようにして測定した。まず、外径34mm、内径20mm、厚み5mmのリング状成形体(熱処理済)に関し、一次300巻き、二次20巻きの巻き線を施し、磁気特性測定用試料とした。これらの試料について、交流BHカーブトレーサ(理研電子社製)を用いて最大100(Oe:エルステッド)の磁場を印加した。これにより、BHループを測定し、圧粉磁心の保磁力を測定した。
ヒステリシス損失係数は、上記リング状成形体(熱処理済)について、交流BHカーブトレーサ(理研電子社製)を用いて100Hz〜1000Hzの範囲で周波数を変化させて、励磁磁束密度10kG(=1T(テスラ))における鉄損を測定した。そして鉄損からヒステリシス損失係数を算出した。ヒステリシス損失係数の算出は、ヒステリシス損の周波数曲線を下記の式で最小2乗法によりフィッティングすることで行なった。そして、ヒステリシス損係数は、異なる周波数におけるヒステリシス損を測定して下記の式から算出した。
(ヒステリス損)=(ヒステリシス損係数)×(周波数)
また、ヒステリシス損係数低減率は、以下のようにして測定した。まず、本発明例1〜3および比較例1,2の圧粉磁心に対して、焼鈍温度を1000℃の代わりに800℃として製造される軟磁性材料を用いて製造されるそれぞれの圧粉磁心の保磁力およびヒステリシス損失を上述したように測定した。そして、1000℃で焼鈍を行なった軟磁性材料を用いてなる実施例1〜3および比較例1,2のヒステリシス損失が、800℃で焼鈍を行なった軟磁性材料を用いてなる圧粉磁心のヒステリシス損失に対して低減できた低減率についても測定した。これらの結果について表2に示す。
(ヒステリス損)=(ヒステリシス損係数)×(周波数)
また、ヒステリシス損係数低減率は、以下のようにして測定した。まず、本発明例1〜3および比較例1,2の圧粉磁心に対して、焼鈍温度を1000℃の代わりに800℃として製造される軟磁性材料を用いて製造されるそれぞれの圧粉磁心の保磁力およびヒステリシス損失を上述したように測定した。そして、1000℃で焼鈍を行なった軟磁性材料を用いてなる実施例1〜3および比較例1,2のヒステリシス損失が、800℃で焼鈍を行なった軟磁性材料を用いてなる圧粉磁心のヒステリシス損失に対して低減できた低減率についても測定した。これらの結果について表2に示す。
(評価結果)
γ相を有する軟磁性材料を用いた本発明例1〜3の圧粉磁心は、保磁力およびヒステリシス損係数について比較例1,2の圧粉磁心よりも低かった。また、本発明例1〜3の圧粉磁心のヒステリシス損係数低減率は、比較例1,2と比較して非常に低減できた。
γ相を有する軟磁性材料を用いた本発明例1〜3の圧粉磁心は、保磁力およびヒステリシス損係数について比較例1,2の圧粉磁心よりも低かった。また、本発明例1〜3の圧粉磁心のヒステリシス損係数低減率は、比較例1,2と比較して非常に低減できた。
以上説明したように、実施例2によれば、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程(S20)を経て製造される軟磁性材料を用いてなる圧粉磁心は、保磁力およびヒステリシス損失が低いことが確認できた。また、金属磁性粒子の粉末組成における変態温度以上で焼鈍を行なって圧粉磁心とする場合に、粉末組成における変態温度以下で焼鈍を行なって圧粉磁心とする場合と比較して、ヒステリシス損失を大きく低減できることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の軟磁性材料および圧粉磁心は、たとえばチョークコイル、磁気ヘッド、各種モータ部品、自動車用ソレノイド、各種磁気センサおよび各種電磁弁などに利用することができる。
10 金属磁性粒子、20 絶縁被膜、20a 一の絶縁被膜、20b 他の絶縁被膜、30 複合磁性粒子、40 有機物。
Claims (9)
- 温度変化により相変態を生じる金属磁性粒子を準備する準備工程と、
真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ前記金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上、焼結が始まる温度未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、
前記焼鈍工程で焼鈍処理された前記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備える、軟磁性材料の製造方法。 - 前記金属磁性粒子は、鉄−アルミニウム−シリコン系合金、鉄−アルミニウム−クロム系合金、鉄−アルミニウム−マンガン系合金、鉄−アルミニウム−ニッケル系合金、鉄−シリコン−クロム系合金、鉄−シリコン−マンガン系合金、および鉄−シリコン−ニッケル系合金からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる、請求項1に記載の軟磁性材料の製造方法。
- 鉄を主成分とし、残部が不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、
真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ前記金属磁性粒子を912℃以上1050℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、
前記焼鈍工程で焼鈍処理された前記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備える、軟磁性材料の製造方法。 - 1.95重量%以下のシリコンを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、
真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ前記金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上1100℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、
前記焼鈍工程で焼鈍処理された前記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備える、軟磁性材料の製造方法。 - 0.95重量%以下のアルミニウムを含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる金属磁性粒子を準備する工程と、
真空または不活性ガスの雰囲気下で、かつ前記金属磁性粒子を粉末組成における変態温度以上1200℃未満の温度範囲で焼鈍処理を行なう焼鈍工程と、
前記焼鈍工程で焼鈍処理された前記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜を形成する被膜形成工程とを備える、軟磁性材料の製造方法。 - 前記絶縁被膜は、酸化物、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、およびホウ素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質よりなる、請求項1〜5のいずれかに記載の軟磁性材料の製造方法。
- 前記絶縁被膜は、一の絶縁被膜であり、
前記金属磁性粒子は前記一の絶縁被膜の表面を取り囲む他の絶縁被膜を有し、
前記他の絶縁被膜は、シリコーン樹脂、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および高級脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の物質よりなる、請求項1〜6のいずれかに記載の軟磁性材料の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の軟磁性材料の製造方法により製造された、軟磁性材料。
- 請求項8に記載の軟磁性材料を用いて製造された、圧粉磁心。
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