JP2007012744A - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的強度を向上することのできる圧粉磁心およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 圧粉磁心は、複数の複合磁性粒子30と、複数の複合磁性粒子30の各々の間に介在し、かつ少なくとも炭素を含む絶縁膜40とを備える圧粉磁心であって、複数の複合磁性粒子30の平均粒径は75μm以上300μm以下であり、複数の複合磁性粒子30の各々は、Fe(鉄)を主成分とする金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10を被覆する絶縁被膜20とを有している。圧粉磁心に含まれる炭素量は0.03質量%以下であり、かつ金属磁性粒子10に元々含まれる炭素量以上である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧粉磁心およびその製造方法に関する。
近年、電磁弁、モーターまたは電源回路などを備える電気機器には、小型化、高効率化および高出力化が強く求められている。このような要求に応える手段として、これら電気機器の作動周波数の高周波化が有効であり、電磁弁やモーターなどでは数百Hzから数kHz、電源回路では数十kHzから数百kHzという水準で高周波化が進んでいる。
圧粉磁心は、比較的高い磁束密度を有し、かつ鉄損が低いことが知られている。このため、電磁弁やモーターなどの電気機器の鉄心材料として広く用いられている。圧粉磁心は、軟磁性材料を加圧成形することにより製造される。軟磁性材料は、金属磁性粒子に絶縁被膜を形成した形態の複数の複合磁性粒子により構成されている。
圧粉磁心は、軟磁性材料の加圧成形の際に複合磁性粒子が塑性変形し、複合磁性粒子同士が絡み合うことにより、機械的強度を発生する。しかし、焼結体の機械的強度と比較して圧粉磁心の機械的強度は低い。これは、焼結体では焼結時の金属結合および拡散により結合強度が向上されるが、圧粉磁心では複合磁性粒子同士が焼結されていないので、金属結合および拡散による結合強度の向上が起こらないためである。圧粉磁心の機械的強度が低いと、圧粉磁心を切削加工やドリル穴開けする際や、圧粉磁心にコイルを巻きつける際などに、破損や欠落が起こりやすい。
そこで、圧粉磁心の機械的強度を向上し得る技術が、たとえば特開2002−246219号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の圧粉磁心は、リン酸化化合物被膜を表面に施した鉄粉を、所定の含有量の結合用樹脂で結合して構成されている。特許文献1の圧粉磁心では、結合用樹脂によって磁性粉末同士の結合を強化することで機械的強度が向上されている。
特開2002−246219号公報
しかし、特許文献1の圧粉磁心においても十分な機械的強度を得ることはできなかった。ここで、圧粉磁心の機械的強度を向上する方法として、成形体の密度を向上させる方法も考えられる。しかし、成形体の密度を向上したとしても複合磁性粒子同士の結合力は十分ではなく、機械的強度を向上するには限界があった。
したがって、本発明の目的は、機械的強度を向上することのできる圧粉磁心およびその製造方法を提供することである。
本発明の圧粉磁心は、複数の複合磁性粒子と、複数の複合磁性粒子の各々の間に介在し、かつ少なくとも炭素を含む絶縁膜とを備える圧粉磁心であって、複数の複合磁性粒子の平均粒径は75μm以上300μm以下であり、複数の複合磁性粒子の各々は、Fe(鉄)を主成分とする金属磁性粒子と、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有している。圧粉磁心に含まれる炭素量は0.03質量%以下であり、かつ金属磁性粒子に元々含まれる炭素量以上である。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、以下の工程を備えている。平均粒径が75μm以上300μm以下であり、かつFeを主成分とする複数の金属磁性粒子を準備する。複数の金属磁性粒子の各々の表面に絶縁被膜を形成することにより複数の複合磁性粒子の各々を得る。複数の複合磁性粒子の各々に、少なくとも炭素を含む樹脂を混合することにより軟磁性材料を得る。軟磁性材料を加圧成形することにより成形体を作製する。成形体に含まれる炭素量が0.03質量%以下であり、かつ金属磁性粒子に元々含まれる炭素量以上となるように、成形体を熱処理する。
本願発明者らは、製造時に複合磁性粒子に添加される樹脂に含まれる炭素が、圧粉磁心の機械的強度の低下を招いていることを見出した。すなわち、圧粉磁心の製造時に樹脂を添加すると、樹脂の粘着力により複合磁性粒子の各々の結合力が強化され、圧粉磁心の機械的強度をある程度向上できる。その一方で、樹脂に含まれる炭素が複合磁性粒子の各々の結合力を弱め、圧粉磁心の機械的強度の向上の妨げになっていた。そこで、複数の複合磁性粒子の各々の間に介在する樹脂に含まれる炭素を除去し、圧粉磁心に含まれる炭素量を0.03質量%以下とすることにより、成形体の密度をそれほど高めなくても、圧粉磁心の機械的強度を大きく向上することができる。
炭素の除去はたとえば加圧成形後の熱処理によって行なわれるが、加圧成形後の成形体において金属磁性粒子は絶縁被膜および樹脂に覆われた状態になっているので、金属磁性粒子に含まれる炭素を上記熱処理によって除去することは困難である。したがって、圧粉磁心に含まれる炭素量は少なくとも金属磁性粒子に元々含まれる炭素量以上となる。
また、複数の複合磁性粒子の各々の平均粒径を75μm以上とすることにより、数100Hz〜10kHzの低周波用途で使用した場合に鉄損を低減することができる。また平均粒径を300μmとすることにより、加圧成形時において混合粉末の圧縮性が低下することを抑止できる。これにより、加圧成形によって得られた成形体の密度が低下せず、取り扱いが困難になることを防ぐことができる。
本発明の圧粉磁心において好ましくは、3点曲げ強度が30MPa以上である。これにより、圧粉磁心の機械的強度を向上することができる。
本発明の圧粉磁心において好ましくは、金属磁性粒子は、純鉄、Fe−Si系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr系合金、およびFe−Al−Si系合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種よりなっている。これにより、圧粉磁心における飽和磁束密度などの磁気的特性を向上することができる。
上記製造方法において好ましくは、成形体は1時間以上7時間以下の間、より好ましくは1時間以上4時間以下の間熱処理される。これにより、圧粉磁心に含まれる炭素量を0.03質量%以下とすることができる。
上記製造方法において好ましくは、樹脂は、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、およびフッ素樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種よりなっている。
これらの樹脂は、複合磁性粒子同士を強固に接合するとともに、軟磁性材料の加圧成形時に潤滑剤として機能し、複合磁性粒子同士が擦れ合って絶縁被膜が破壊されることを防止する。このため、圧粉磁心の強度を向上させ、さらに、渦電流損を低減させることができる。また、金属磁性粒子は絶縁被膜によって覆われているため、これらの樹脂に含まれる酸素または炭素が金属磁性粒子内に拡散することも防止できる。
なお、本明細書において「Feを主成分とする」とは、Fe(鉄)の割合が50質量%以上であることを意味している。また、「純鉄」とは、Feの割合が99.9質量%以上であることを意味している。
本発明の圧粉磁心およびその製造方法によれば、機械的強度を向上することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧粉磁心の拡大断面図である。図1に示すように、本実施の形態における圧粉磁心は、Feを主成分とする金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を被覆する絶縁被膜20とを有する複数の複合磁性粒子30を含んでいる。複合磁性粒子30の各々の間には絶縁膜40が介在している。絶縁膜40は、圧粉磁心の製造時に添加された樹脂が変化したものである。複数の複合磁性粒子30の各々は、絶縁膜40や、複合磁性粒子30が有する凹凸の噛み合わせなどによって接合されている。なお、複合磁性粒子30の各々は、絶縁被膜20を覆うように形成された保護被膜(図示なし)をさらに有していてもよい。
本実施の形態における圧粉磁心に含まれる炭素量は0.03質量%以下であり、かつ金属磁性粒子10に元々含まれる炭素量以上である。炭素量の測定は、誘導結合プラズマ原子分光分析(ICP-AES)によって行なうことができる。
複合磁性粒子30の平均粒径は、75μm以上300μm以下である。平均粒径を75μm以上とすることにより、数100Hz〜10kHzの低周波用途で使用した場合に鉄損を低減することができる。また平均粒径を300μmとすることにより、加圧成形時において混合粉末の圧縮性が低下することを抑止できる。これにより、加圧成形によって得られた成形体の密度が低下せず、取り扱いが困難になることを防ぐことができる。
なお、複合磁性粒子30の平均粒径とは、粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
金属磁性粒子10は、たとえばFe、Fe−Si系合金、Fe−N(窒素)系合金、Fe−Ni(ニッケル)系合金、Fe−C(炭素)系合金、Fe−B(ホウ素)系合金、Fe−Co(コバルト)系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr(クロム)系合金あるいはFe−Al−Si系合金などから形成されている。金属磁性粒子10はFeを主成分としていればよく、金属単体でも合金でもよい。
絶縁被膜20は、金属磁性粒子10間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10を絶縁被膜20で覆うことによって、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉磁心の渦電流損を低減させることができる。絶縁被膜20は、たとえばリン酸アルミニウム化合物、リン酸マンガン化合物、またはリン酸亜鉛化合物などよりなっている。
絶縁被膜20の厚みは、0.005μm以上20μm以下であることが好ましい。絶縁被膜20の厚みを0.005μm以上とすることによって、渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。また、絶縁被膜20の厚みを20μm以下とすることによって、軟磁性材料に占める絶縁被膜20の割合が大きくなりすぎない。このため、この軟磁性材料を加圧成形して得られる圧粉磁心の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
絶縁膜40は、複合磁性粒子30同士の結合を強化し、圧粉磁心の機械的強度を向上する役割を果たしている。絶縁膜40は少なくとも炭素を含んでいる。
続いて、図1に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。
図2を参照して、まず、金属磁性粒子10の原料粉末を準備する(ステップS1)。金属磁性粒子10は、Fe(鉄)を主成分としており、たとえば純鉄、Fe−Si系合金、Fe−N(窒素)系合金、Fe−Ni(ニッケル)系合金、Fe−C(炭素)系合金、Fe−B系合金、Fe−Co(コバルト)系合金、Fe−P(リン)系合金、Fe−Ni−Co系合金、およびFe−Al−Si系合金などから形成することができる。金属磁性粒子10は、金属単体でも合金でもよい。
ここで、平均粒径が75μm以上300μm以下の金属磁性粒子10を準備することにより、圧粉磁心における複合磁性材料30の各々の平均粒径を75μm以上300μm以下とすることができる。これは、絶縁被膜20の膜厚が金属磁性粒子10の粒径に比べて無視できる程度に薄く、圧粉磁心磁心における複合磁性粒子30の粒径と金属磁性粒子10の粒径はほぼ同一になるためであり、かつ加圧成形の際に複合磁性粒子の粒径はほとんど変化しないためである。
なお、金属磁性粒子10の平均粒径とは、ふるい法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径をいう。
次に、金属磁性粒子10を400℃以上900℃未満の温度で熱処理する(ステップS2)。熱処理の温度は、700℃以上900℃未満であることがさらに好ましい。熱処理前の金属磁性粒子10の内部には、多数の歪み(転位、欠陥)が存在している。そこで、金属磁性粒子10に熱処理を実施することによって、この歪みを低減させることができる。なお、この熱処理は省略されてもよい。
次に、金属磁性粒子10の各々の表面に絶縁被膜20を形成する(ステップS3)。これにより複数の複合磁性粒子30が得られる。絶縁被膜20は、金属磁性粒子10をリン酸塩化成処理することによって形成することができる。リン酸塩化成処理によって、たとえばリンと鉄とを含むリン酸鉄の他、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、またはリン酸アルミニウムなどよりなる絶縁被膜20が形成される。
また、酸化物を含有する絶縁被膜20を形成しても良い。この酸化物を含有する絶縁被膜20としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの酸化物絶縁体を使用することができる。
次に、複数の複合磁性粒子30に、絶縁膜40となる樹脂を混合する(ステップS4)。この樹脂としては、たとえばポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、およびフッ素樹脂などが用いられる。これらの樹脂は炭素を含んでいる樹脂である。混合方法に特に制限はなく、たとえばメカニカルアロイング法、振動ボールミル、遊星ボールミル、メカノフュージョン、共沈法、化学気相蒸着法(CVD法)、物理気相蒸着法(PVD法)、めっき法、スパッタリング法、蒸着法またはゾル−ゲル法などのいずれを使用することも可能である。
以上の工程により、複数の複合磁性粒子30と、複数の複合磁性粒子30の各々の間に介在し、かつ少なくとも炭素を含む樹脂とを備える軟磁性材料が得られる。
次に、得られた軟磁性材料の粉末を金型に入れ、たとえば390(MPa)から1500(MPa)までの圧力で加圧成形する(ステップS5)。これにより、軟磁性材料が圧粉成形された成形体が得られる。なお、加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって混合粉末が酸化されるのを抑制することができる。
次に、窒素ガス雰囲気で、加圧成形によって得られた成形体を300℃以上900℃以下の温度で熱処理する(ステップS6)。この熱処理によって樹脂が分解して樹脂に含まれている炭素が除去される。熱処理時間をたとえば1時間以上7時間以下、好ましくは1時間以上4時間以下とすることにより、成形体に含まれる炭素量が0.03質量%以下となる。
また、加圧成形を経た圧粉成形体の内部には歪や転位が多数発生しているので、熱処理によりこのような歪や転位を取り除くことができる。以上に説明した工程により、図1に示す圧粉磁心が完成する。
本実施の形態の圧粉磁心およびその製造方法によれば、圧粉磁心に含まれる炭素量が0.03質量%以下となるので、成形体の密度をそれほど高めなくても、圧粉磁心の機械的強度を大きく向上することができる。
また、純鉄、Fe−Si系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr系合金、およびFe−Al−Si系合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種よりなる金属磁性粒子10を用いることで、圧粉磁心における飽和磁束密度などの磁気的特性を向上することができる。
また、絶縁膜40として、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、またはフッ素樹脂を用いることで、複合磁性粒子30同士を強固に接合することができる。また、軟磁性材料の加圧成形時にこれらの樹脂が潤滑剤として機能し、複合磁性粒子30同士が擦れ合って絶縁被膜20が破壊されることを防止する。このため、圧粉磁心の強度を向上させ、さらに、渦電流損を低減させることができる。また、金属磁性粒子10は絶縁被膜20によって覆われているため、これらの樹脂に含まれる酸素または炭素が金属磁性粒子10内に拡散することも防止できる。
本実施例では、本発明の圧粉磁心における機械的強度の向上の効果を調べた。始めに、試料A1〜A5、試料B1〜B5、および試料C1〜C5の各々の圧粉磁心を以下の方法により作製した。
始めに、純度が99.98%以上の純鉄よりなる金属磁性粒子を分級して、平均粒径を75μm以上300μm以下の金属磁性粒子を準備した。この金属磁性粒子に元々含まれている炭素量は0.011質量%であった。次に、金属磁性粒子を水素気流中において600℃の温度で熱処理した。続いて、金属磁性粒子をリン酸塩水溶液中に浸漬し、絶縁被膜を形成した。これにより複合磁性粒子を得た。絶縁被膜を形成した時点で複合磁性粒子に含まれている炭素量は0.014質量%であった。そして、絶縁被膜で被覆された金属磁性粒子と、シリコーン樹脂とを混合し、大気中にて150℃の温度で1時間熱処理してシリコーン樹脂を熱硬化した。この時点で複合磁性粒子に含まれている炭素量は0.080質量%〜0.082質量%であった。次に、軟磁性材料を加圧成形し、図3に示す成形体50を作製した。成形体50は、高さd1=10mm、奥行きd2=10mm、幅d3=55mmの直方体とした。加圧成形の際のプレス面圧は、試料A1〜A5については5ton/cm2、試料B1〜B5については8ton/cm2、試料C1〜C5については11ton/cm2とした。続いて、温度575℃、窒素ガス流量40l(リットル)/minという条件で、試料A1〜A5について熱処理時間それぞれ0.5時間〜7時間の間で変化させて成形体を熱処理した。試料B1〜B5および試料C1〜C5の各々についても、同様に熱処理時間をそれぞれ0.5時間〜7時間の間で変化させて成形体を熱処理した。以上により、試料A1〜A5、試料B1〜B5、および試料C1〜C5の各々の圧粉磁心を製造した。そして、それぞれの圧粉磁心に含まれる炭素量を測定した。その結果、試料A3〜A5、試料B3〜B5、および試料C3〜C5の炭素量が0.03質量%以下となり、本発明例であった。
続いて、図4に示す方法により、圧粉磁心について3点曲げ試験を行ない、3点曲げ強度を測定した。具体的には、始めに2つの支持部45で下方から圧粉磁心50を支持した。支持部45のスパンd4を40mmとした。そして、2つの支持部45の中間部に上部より荷重を加え、圧粉磁心50が折れたときの圧力を測定した。試料A1〜A5、試料B1〜B5、および試料C1〜C5の各々の3点曲げ強度を表1に示す。また、圧粉磁心に含まれる炭素量と、3点曲げ強度との関係を図5に示す。さらに、熱処理時間と、3点曲げ強度との関係を図6に示す。なお、3点曲げ強度は、純鉄粉の成形体の3点曲げ強度(136MPa)で規格化して示している。
Figure 2007012744
表1および図5を参照して、同一のプレス面圧の試料同士を比較すると、圧粉磁心に含まれる炭素量が0.03質量%以下である場合には3点曲げ強度が向上していることが分かる。たとえばプレス面圧が5ton/cm2である試料A1〜A5の各々で比較すると、比較例である試料A1およびA2の3点曲げ強度は0.21以下であるのに対し、本発明例である試料A3〜A5の3点曲げ強度は0.35以上となっている。また、プレス面圧が8ton/cm2である試料B1〜B5の各々で比較すると、比較例である試料B1およびB2の3点曲げ強度は0.22以下であるのに対し、本発明例である試料B3〜B5の3点曲げ強度は0.26以上となっている。さらに、プレス面圧が11ton/cm2である試料C1〜C5の各々で比較すると、比較例であるC4およびC5の3点曲げ強度は0.18以下であるのに対し、本発明例である試料C1〜C3の3点曲げ強度は0.22以上となっている。本発明例の3点曲げ強度はいずれも30MPa以上となっている。したがって、炭素量が0.03質量%以下である本発明の圧粉磁心によれば、機械的強度を向上できることが分かる。
また、表1および図6を参照して、プレス面圧がいずれの場合でも、熱処理時間が1時間以上4時間以下である場合には圧粉磁心の3点曲げ強度が特に高くなっている。したがって、熱処理時間を1時間以上4時間以下とすることで圧粉磁心の機械的強度をより向上できることが分かる。
なお、プレス面圧が高くなるほど圧粉磁心に含まれる炭素量が多くなっているが、これはプレス面圧が高くなるほど成形体密度が高くなり、熱処理の際に炭素が除去されにくくなっているためであると考えられる。
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明の圧粉磁心は、たとえば、モーターコア、電磁弁、リアクトルもしくは電磁部品一般に利用される。
本発明の実施の形態1における圧粉磁心の拡大断面図である。 本発明の実施の形態1における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 成形体の構成を示す斜視図である。 3点曲げ試験を説明するための図である。 圧粉磁心に含まれる炭素量と3点曲げ強度との関係を示す図である。 熱処理時間と3点曲げ強度との関係を示す図である。
符号の説明
10 金属磁性粒子、20 絶縁被膜、30 複合磁性粒子、40 絶縁膜、45 支持部、50 成形体(圧粉磁心)。

Claims (7)

  1. 複数の複合磁性粒子と、前記複数の複合磁性粒子の各々の間に介在し、かつ少なくとも炭素を含む絶縁膜とを備える圧粉磁心であって、
    前記複数の複合磁性粒子の平均粒径は75μm以上300μm以下であり、
    前記複数の複合磁性粒子の各々は、Feを主成分とする金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有し、
    前記圧粉磁心に含まれる炭素量は0.03質量%以下であり、かつ前記金属磁性粒子に元々含まれる炭素量以上である、圧粉磁心。
  2. 3点曲げ強度が30MPa以上である、請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記金属磁性粒子は、純鉄、Fe−Si系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr系合金、およびFe−Al−Si系合金よりなる群から選ばれる少なくとも一種よりなる、請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 平均粒径が75μm以上300μm以下であり、かつFeを主成分とする複数の金属磁性粒子を準備する工程と、
    前記複数の金属磁性粒子の各々の表面に絶縁被膜を形成することにより複数の複合磁性粒子の各々を得る工程と、
    前記複数の複合磁性粒子の各々に、少なくとも炭素を含む樹脂を混合することにより軟磁性材料を得る工程と、
    前記軟磁性材料を加圧成形することにより成形体を作製する工程と、
    前記成形体に含まれる炭素量が0.03質量%以下であり、かつ前記金属磁性粒子に元々含まれる炭素量以上となるように、前記成形体を熱処理する工程とを備える、圧粉磁心の製造方法。
  5. 前記成形体は1時間以上7時間以下の間熱処理される、請求項4に記載の圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記成形体は1時間以上4時間以下の間熱処理される、請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記樹脂は、ポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、およびフッ素樹脂からなる群より選ばれた少なくとも一種よりなる、請求項4〜6のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。
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