JP2007048902A - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い機械的強度を保ちつつ鉄損を低下することのできる圧粉磁心およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 圧粉磁心の製造方法は、ガスアトマイズ法によって複数の第1金属磁性粒子を準備する工程(ステップS1a)と、水アトマイズ法によって複数の第2金属磁性粒子を準備する工程(ステップS1b)と、複数の第1金属磁性粒子の各々と複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合する混合工程(ステップS2)と、複数の第1金属磁性粒子の各々と複数の第2金属磁性粒子の各々とに絶縁被膜を形成する工程(ステップS4)とを備えている。
【選択図】 図5

Description

本発明は、圧粉磁心およびその製造方法に関し、より特定的には、金属磁性粒子と、金属磁性粒子を被覆する絶縁被膜とを有する複数の複合磁性粒子を備えた圧粉磁心およびその製造方法に関する。
電磁弁、モータ、または電源回路などを有する電気機器には、軟磁性材料を加圧成形した圧粉磁心が使用されている。圧粉磁心には、小さな磁場の印加で大きな磁束密度を得ることができ、外部からの磁界変化に対して敏感に反応できる磁気的特性が求められる。
この圧粉磁心を交流磁場で使用した場合、鉄損と呼ばれるエネルギー損失が生じる。この鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損との和で表わされる。ヒステリシス損とは、圧粉磁心の磁束密度を変化させるために必要なエネルギーによって生じるエネルギー損失をいう。ヒステリシス損は作動周波数に比例するので、主に低周波領域において支配的になる。また、ここで言う渦電流損とは、主として圧粉磁心を構成する金属磁性粒子間を流れる渦電流によって生じるエネルギー損失をいう。渦電流損は作動周波数の2乗に比例するので、主に高周波領域において支配的になる。近年、電気機器の小型化、効率化、および大出力化が要求されており、これらの要求を満たすためには、電気機器を高周波領域で使用することが必要である。このため、圧粉磁心には鉄損の低下が求められている。
ここで、圧粉磁心は、複数の複合磁性粒子よりなっており、複合磁性粒子の各々は金属磁性粒子と、その表面を被覆するガラス状の絶縁被膜とを有している。金属磁性粒子はアトマイズ法によって通常製造されるが、アトマイズの際の冷却方法の違いによって大きく分けて2種類の金属磁性粒子が存在する。すなわち、水アトマイズ法により生成された金属磁性粒子(以下、水アトマイズ粉と記す)と、ガスアトマイズ法により生成された金属磁性粒子(以下、ガスアトマイズ粉と記す)との2種類が存在する。水アトマイズ粉を構成する金属磁性粒子は、粉末製造時の冷却速度が速いため、表面に凹凸の多い形状となっている。一方、ガスアトマイズ粉を構成する金属磁性粒子は、粉末製造時の冷却速度が遅いため、表面に凹凸の少ない球形状となっている。
なお、従来の圧粉磁心に関して、特開2004−273564号公報(特許文献1)には、大粒径、中粒径、および小粒径の少なくとも3水準の粒径を有する軟磁性粉末の混合粉末を用いてなり、相対密度が83%以上である圧粉磁心が開示されている。この圧粉磁心の軟磁性粉末は、Si:7〜11質量%、Al:4〜8質量%、残部がFeと不可避的不純物からなっており、かつ圧粉磁心のアスペクト比が1.1〜2.0である。
特開2004−273564号公報
上述のように、ガスアトマイズ粉を構成する金属磁性粒子の形状と水アトマイズ粉を構成する金属磁性粒子の形状とは互いに異なっているため、水アトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心と、ガスアトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心とは互いに異なる性質を有している。このことについて以下に詳細に説明する。
水アトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心は、ガスアトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心に比べて高い機械的強度を有している。これは、圧粉磁心において金属磁性粒子の各々はその表面の凹凸の噛み合わせによって互いに接合されるため、表面に凹凸が多い水アトマイズ粉の方が金属磁性粒子の接合強度が向上するためである。また表面に凹凸が多い水アトマイズ粉の方が金属磁性粒子の表面積が大きいので、金属磁性粒子同士の接触面積が増加し、摩擦が大きくなるためである。一方、ガスアトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心は、水アトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心に比べて鉄損が小さく、磁気特性が良好である。これは、水アトマイズ粉のように金属磁性粒子の表面に凹凸が多いと、軟磁性材料を加圧成形して圧粉磁心を製造する際に金属磁性粒子の表面の突起部によって絶縁被膜が破壊されやすく、その結果渦電流損が増加するためである。
つまり、水アトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心は機械的強度が高い反面、鉄損が大きいという問題を有しており、ガスアトマイズ粉を用いて製造された圧粉磁心は鉄損が小さい反面、機械的強度が低いという問題を有している。このため、従来の圧粉磁心では、高い機械的強度を保ちつつ鉄損を低下することはできなかった。
したがって、本発明の目的は、高い機械的強度を保ちつつ鉄損を低下することのできる圧粉磁心およびその製造方法を提供することである。
本発明の圧粉磁心の製造方法は、ガスアトマイズ法によって複数の第1金属磁性粒子を準備する工程と、水アトマイズ法によって複数の第2金属磁性粒子を準備する工程と、複数の第1金属磁性粒子の各々と複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合する混合工程と、複数の第1金属磁性粒子の各々と複数の第2金属磁性粒子の各々とに絶縁被膜を形成する工程とを備えている。
本願発明者は、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合して圧粉磁心を製造することにより、高い機械的強度を保ちつつ、鉄損を低下することのできる圧粉磁心が得られることを見出した。すなわち、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合した場合、圧粉磁心の機械的強度については、水アトマイズ粉の混合割合の増加に従って比例的に増加することが予測される。しかし実際には、水アトマイズ粉の混合割合の増加に従って予測されるレベルよりも高い機械的強度が得られることを見出した。また、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合した場合、圧粉磁心の鉄損は、ガスアトマイズ粉の混合割合の増加に従って比例的に減少することが予測される。しかし実際には、ガスアトマイズ粉の混合割合の増加に従って予測されるレベルよりも鉄損が大きく減少することを見出した。したがって、高い機械的強度を保ちつつ、鉄損を低下することができる。
また、上記製造方法によって得られる圧粉磁心は、金属磁性粒子の表面が絶縁被膜によって被覆された形態を有する複数の第1および第2複合磁性粒子を備えており、複数の第1複合磁性粒子の各々は円相当径に対する最大径の比が1.0以上1.3以下であり、かつ複数の第2複合磁性粒子の各々は円相当径に対する最大径の比が1.3を超えている。したがって、この圧粉磁心により、機械的強度を向上することができ、かつ鉄損を低減することができる。
本発明の圧粉磁心において好ましくは、第1複合磁性粒子と第2複合磁性粒子とを合わせた全複合磁性粒子に対する第2複合磁性粒子の割合が50質量%以上100質量%未満、より好ましくは50質量%以上75質量%以下である。
本発明の圧粉磁心の製造方法において好ましくは、混合工程の際に、第1金属磁性粒子と第2金属磁性粒子とを合わせた全金属磁性粒子に対する第2金属磁性粒子の割合が50質量%以上100質量%未満、より好ましくは50質量%以上75質量%以下となるように、複数の第1金属磁性粒子の各々と複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合する。
これにより、機械的強度を一層向上することができ、かつ鉄損を一層低減することができる。
本発明の圧粉磁心において好ましくは、複数の第1複合磁性粒子のみによって構成された仮想の圧粉磁心の3点曲げ強度に対する3点曲げ強度の比が1.1以上である。
これにより、水アトマイズ法によって得られた金属磁性粒子のみを用いて製造された圧粉磁心に比べて、機械的強度を大きく向上することができる。
本発明の圧粉磁心の製造方法において好ましくは、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む有機物を0.001質量%以上0.2質量%以下の割合で混合する工程をさらに備えている。
これにより、有機物が複数の金属磁性粒子の各々の間に介在している状態になる。有機物の割合を0.001質量%以上とすることにより、加圧成形時の応力を受けて金属磁性粒子同子の間で有機物がたわむことにより、金属磁性粒子同士の間で潤滑剤として機能するようになる。また、金属磁性粒子同士の間の絶縁性を高めることができる。一方、有機物の割合を0.2質量%以下とすることにより、圧粉磁心の磁性体部分の密度を高くすることができるので、交流磁気特性を高く保つことができる。
本発明の圧粉磁心およびその製造方法によれば、高い機械的強度を保ちつつ鉄損を低下することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における圧粉磁心の拡大断面図である。図1に示すように、本実施の形態における圧粉磁心は、複合磁性粒子30aおよび複合磁性粒子30bを備えている。複合磁性粒子30aと複合磁性粒子30bとは互いに混ざり合って存在している。複数の複合磁性粒子30aおよび30bの各々は、たとえば複合磁性粒子30aおよび30bの各々の間に介在している有機物40や、複合磁性粒子30aおよび30bが有する凹凸の噛み合わせなどによって接合されている。
複合磁性粒子30aは金属磁性粒子10aと、金属磁性粒子10aの表面を被覆する絶縁被膜20aとを有している。また、複合磁性粒子30bは金属磁性粒子10bと、金属磁性粒子10bの表面を被覆する絶縁被膜20bとを有している。複合磁性粒子30aおよび30bの各々は、形状が互いに異なっている。すなわち、複合磁性粒子30aは、円相当径に対する最大径の比が1.0以上1.3以下であるのに対し、複合磁性粒子30bは、円相当径に対する最大径の比が1.3を超えている。
複合磁性粒子30aと複合磁性粒子30bとを合わせた全複合磁性粒子に対する複合磁性粒子30bの割合は50質量%以上100質量%未満であることが好ましく、50質量%以上75質量%以下であることが一層好ましい。
複合磁性粒子30aおよび30bの最大径および円相当径の各々は、以下の方法によって規定される。図2は、本発明の一実施の形態における圧粉磁心を構成する1個の複合磁性粒子を模式的に示す平面図である。図2を参照して、複合磁性粒子30の最大径は、光学的手法(たとえば光学顕微鏡による観察)によって複合磁性粒子30の形状を特定し、最大の粒子径となる部分の長さで規定される。また、複合磁性粒子30の円相当径は、光学的手法(たとえば光学顕微鏡による観察)によって複合磁性粒子30の形状を特定し、平面的に見た場合の複合磁性粒子30の表面積Sを測定し、以下の式(1)を用いて算出される。
円相当径=2×{表面積S/π}1/2 ・・・(1)
すなわち、円相当径に対する最大径の比は、図3に示すように複合磁性粒子が真球である場合には1となる。また、図4に示すように複合磁性粒子に大きな突起部や、多数の凹凸が存在する程大きくなる。
図1を参照して、複合磁性粒子30aおよび30bの平均粒径は、5μm以上300μm以下であることが好ましい。複合磁性粒子30aおよび30bの平均粒径が5μm以上である場合、金属が酸化されにくくなるため、圧粉磁心の磁気的特性の低下を抑止できる。また、複合磁性粒子30aおよび30bの平均粒径が300μm以下である場合、加圧成形時において混合粉末の圧縮性が低下することを抑止できる。これにより、加圧成形によって得られた成形体の密度が低下せず、取り扱いが困難になることを防ぐことができる。
なお、平均粒径とは、ふるい法によって測定した粒径のヒストグラム中、粒径の小さいほうからの質量の和が総質量の50%に達する粒子の粒径、つまり50%粒径Dをいう。
金属磁性粒子10aおよび10bの各々は、たとえば純鉄、Fe−Si系合金、Fe−N(窒素)系合金、Fe−Ni(ニッケル)系合金、Fe−C(炭素)系合金、Fe−B(ホウ素)系合金、Fe−Co(コバルト)系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、Fe−Cr(クロム)系合金あるいはFe−Al−Si系合金などから形成されている。金属磁性粒子10はFeを主成分としていればよく、金属単体でも合金でもよい。
なお、「Feを主成分とする」とは、Fe(鉄)の割合が50質量%以上であることを意味している。また、「純鉄」とは、Feの割合が99.9質量%以上であることを意味している。
絶縁被膜20aおよび20bの各々は、金属磁性粒子10aおよび10bの各々の間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10aおよび10bの各々を絶縁被膜20aおよび20bの各々で覆うことによって、圧粉磁心の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10aおよび10bの各々の間に渦電流が流れるのを抑制して、圧粉磁心の渦電流損を低減させることができる。絶縁被膜20aおよび20bの各々は、たとえば金属としてFe、Al、Ca、Mn、Zn、Mg、V、Cr、Y、Ba、Sr、希土類元素を用いた金属酸化物、金属窒化物、または金属炭化物や、リン酸金属塩化合物、ホウ酸金属塩化合物、または珪酸金属塩化合物などの絶縁性物質よりなっている。
絶縁被膜20aおよび20bの各々の厚みは、0.005μm以上20μm以下であることが好ましい。絶縁被膜20aおよび20bの各々の厚みを0.005μm以上とすることによって、トンネル電流の発生を防止でき、渦電流によるエネルギー損失を効果的に抑制することができる。また、絶縁被膜20aおよび20bの各々の厚みを20μm以下とすることによって、軟磁性材料に占める絶縁被膜20aおよび20bの割合が大きくなりすぎない。このため、圧粉磁心の磁束密度が著しく低下することを防止できる。
続いて、図1に示す圧粉磁心を製造する方法について説明する。図5は、本発明の一実施の形態における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。
図5を参照して、始めに、ガスアトマイズ法を用いて複数の金属磁性粒子10aからなるガスアトマイズ粉を作製する(ステップS1a)。図6は、金属磁性粒子を作製するためのアトマイズ装置を示す断面図である。図5および図6を参照して、まず、鉄粒子の原料となる鉄塊を真空誘導炉51内に投入し、その真空誘導炉51に高周波電源を導入する。これにより、真空誘導炉51内の鉄塊を溶解して溶湯56とする。噴射ノズル54に向けて高圧ガス57を吹き付けるとともに、溶湯56を溶湯導入管53に供給する。高圧ガス57が吹き付けられることによって、溶湯56は噴霧され、その後、噴霧塔52内で急冷されることによってガスアトマイズ粉が作製される。ガスアトマイズ法では水アトマイズ法に比べて溶湯を冷却する速度が緩やかであるので、ガスアトマイズ法によって得られる金属磁性粒子10aは真球に近い形状を有している。このため、金属磁性粒子10aから得られる複合磁性粒子30aは、円相当径に対する最大径の比が1.0以上1.3以下となる。
次に、水アトマイズ法によって複数の金属磁性粒子10bからなる水アトマイズ粉を作製する(ステップS1b)。水アトマイズ粉は、図6に示すアトマイズ装置において高圧ガスの代わりに高圧水57を吹き付けることによって作製される。水アトマイズ法では溶湯を急激に冷却するので、水アトマイズ法によって得られる金属磁性粒子10bはその表面に多数の凹凸を有している。このため、金属磁性粒子10bから得られる複合磁性粒子30bは、円相当径に対する最大径の比が1.3を超える。
図5を参照して、次にガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合する(ステップS2)。ここで、金属磁性粒子10aと金属磁性粒子10bとを合わせた全金属磁性粒子に対する金属磁性粒子10bの割合が50質量%以上100質量%未満となるように混合することによって、圧粉磁心における複合磁性粒子30aと複合磁性粒子30bとを合わせた全複合磁性粒子に対する複合磁性粒子30bの割合が50質量%以上100質量%未満となる。また、金属磁性粒子10aと金属磁性粒子10bとを合わせた全金属磁性粒子に対する金属磁性粒子10bの割合が50質量%以上75%以下となるように混合することによって、圧粉磁心における複合磁性粒子30aと複合磁性粒子30bとを合わせた全複合磁性粒子に対する複合磁性粒子30bの割合が50質量%以上75質量%以下となる。
なお、混合方法には特に制限はなく、たとえばメカニカルアロイング法、振動ボールミル、遊星ボールミル、メカノフュージョン、共沈法、化学気相蒸着法(CVD法)、物理気相蒸着法(PVD法)、めっき法、スパッタリング法、蒸着法またはゾル−ゲル法などのいずれを使用することも可能である。
次に、ガスアトマイズ粉および水アトマイズ粉を400℃以上900℃未満の温度で熱処理する(ステップS3)。熱処理の温度は、700℃以上900℃未満であることがさらに好ましい。熱処理前の金属磁性粒子10aおよび10bの内部には、多数の歪み(転位、欠陥)が存在している。そこで、金属磁性粒子10aおよび10bに熱処理を実施することによって、この歪みを低減させることができる。なお、この熱処理は省略されてもよい。
次に、複数の金属磁性粒子10aおよび10bの各々の表面に絶縁被膜20aおよび20bの各々を形成する(ステップS4)。その結果、複数の複合磁性粒子30aおよび30bの各々が得られる。絶縁被膜は、金属磁性粒子をリン酸塩化成処理することによって形成することができる。リン酸塩化成処理によって、たとえばリンと鉄とを含むリン酸鉄の他、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、またはリン酸アルミニウムなどよりなる絶縁被膜が形成される。
また、絶縁被膜20aまたは20bとして、酸化物を含有する絶縁被膜を形成してもよい。この酸化物を含有する絶縁被膜としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの酸化物絶縁体を使用することができる。
次に、複数の複合磁性粒子30aおよび30bに、有機物40を混合する(ステップS5)。この有機物は、熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む有機物であり、かつ全質量に対して0.001質量%以上0.2質量%以下の割合で混合されることが好ましい。この樹脂としては、たとえばポリエチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、およびフッ素樹脂などが用いられる。混合方法に特に制限はなく、たとえばメカニカルアロイング法、振動ボールミル、遊星ボールミル、メカノフュージョン、共沈法、化学気相蒸着法(CVD法)、物理気相蒸着法(PVD法)、めっき法、スパッタリング法、蒸着法またはゾル−ゲル法などのいずれを使用することも可能である。これにより、複数の複合磁性粒子30aおよび30bと有機物40とよりなる軟磁性材料が得られる。なお、この有機物の混合は省略されてもよい。
次に、得られた軟磁性材料の粉末を金型に入れ、たとえば390(MPa)から1500(MPa)までの圧力で加圧成形する(ステップS6)。これにより、軟磁性材料が圧粉成形された成形体が得られる。なお、加圧成形する雰囲気は、不活性ガス雰囲気または減圧雰囲気とすることが好ましい。この場合、大気中の酸素によって混合粉末が酸化されるのを抑制することができる。
次に、窒素ガス雰囲気で、加圧成形によって得られた成形体を300℃以上900℃以下の温度で熱処理する(ステップS7)。加圧成形を経た圧粉成形体の内部には歪や転位が多数発生しているので、熱処理によりこのような歪や転位を取り除くことができる。なお、この熱処理は省略されてもよい。以上に説明した工程により、図1に示す圧粉磁心が完成する。
なお、本実施の形態では、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合し(ステップS2)た後で絶縁被膜20aおよび20bを形成する(ステップS4)場合について示した。しかし、本発明はこのような場合の他、絶縁被膜20aおよび20bを形成した後でガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合してもよい。
本実施の形態の圧粉磁心およびその製造方法によれば、水アトマイズ粉の混合割合の増加に従って比例的に増加するレベルよりもはるかに高い機械的強度が得られ、かつガスアトマイズ粉の混合割合の増加に従って比例的に減少するレベルよりも鉄損が大きく減少する。したがって、高い機械的強度を保ちつつ、鉄損を低下することができる。
また、複合磁性粒子30aと複合磁性粒子30bとを合わせた全複合磁性粒子に対する複合磁性粒子30bの割合が50質量%以上100質量%未満、より好ましくは50質量%以上75質量%以下とすることにより、機械的強度を一層向上することができ、かつ鉄損を一層低減することができる。
さらに、上記有機物40を0.001質量%以上の割合で混合することにより、加圧成形時の応力を受けて金属磁性粒子10aおよび10bの間で有機物40がたわむことにより、金属磁性粒子10aおよび10b同士の間で潤滑剤として機能するようになる。また、金属磁性粒子同士の間の絶縁性を高めることができる。一方、上記有機物40を0.2質量%以下の割合で混合することにより、圧粉磁心の磁性体部分の密度を高くすることができるので、交流磁気特性を高く保つことができる。
本実施例では、試料A1〜試料A5の圧粉磁心の各々を製造し、3点曲げ強度および鉄損を調べた。試料A1〜試料A5の圧粉磁心の各々は以下の方法により作製された。
始めに、純度が99.98%以上の純鉄を用いて、ガスアトマイズ粉および水アトマイズ粉の2種類の金属磁性粒子を準備した。次に、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを合わせた全質量に対する水アトマイズ粉の割合をそれぞれ0質量%(ガスアトマイズ粉のみ)、25質量%、50質量%、75質量%、および100質量%(水アトマイズ粉のみ)と変化させて、ガスアトマイズ粉と水アトマイズ粉とを混合し、原料粉末を得た。次に、得られた原料粉末を水素気流中において600℃の温度で熱処理した。続いて、得られた原料粉末をリン酸塩水溶液中に浸漬し、絶縁被膜を形成した。これにより複合磁性粒子を得た。
次に、得られた軟磁性材料を加圧成形し、図7に示す成形体50を作製した。成形体50は、高さd1=10mm、奥行きd2=10mm、幅d3=55mmの直方体とした。加圧成形は11ton/cm2(1100MPa)のプレス面圧で行なわれた。続いて、成形体50を熱処理した。以上により、試料A1〜A5の圧粉磁心の各々を製造した。試料2〜試料4が本発明品であり、試料1および試料5が比較品である。
続いて、図8に示す方法により3点曲げ試験を行ない、試料A1〜試料A5の圧粉磁心の3点曲げ強度を測定した。具体的には、始めに2つの支持部45で下方から圧粉磁心50を支持した。支持部45のスパンd4を40mmとした。そして、2つの支持部45の中間部に上部より荷重を加え、圧粉磁心50が折れたときの圧力を測定した。
続いて、BHカーブトレーサを用いて試料A1〜A5の圧粉磁心の鉄損を測定した。この鉄損の測定は、10kG(=1T(テスラ))の励起磁束密度で行なわれ、800Hz(高周波数)の測定周波数で行なわれた。
試料A1〜試料A5の圧粉磁心の各々の3点曲げ強度および鉄損を表1に示す。また、水アトマイズ粉の混合割合と3点曲げ強度比および鉄損比との関係を図9に示す。なお、図9における3点曲げ強度比および鉄損比の各々は、試料A1の3点曲げ強度および鉄損の各々で規格化した値である。
Figure 2007048902
表1および図9を参照して、試料A2〜試料A4の各々の3点曲げ強度比は、試料A1の3点曲げ強度比に比べて大きく向上している。具体的には、試料A2では1.03、試料A3では1.07、試料A4では1.11となっている。特に試料A3およびA4で大きく向上している。ここで、3点曲げ強度比は、水アトマイズ粉の混合割合の増加に従って、試料A1(ガスアトマイズ粉のみ)の3点曲げ強度比の値と試料A5(水アトマイズ粉のみ)の3点曲げ強度比の値とを結んだ直線Aのように比例的に増加することが予想される。しかし、本発明の試料A2〜試料A4では、予想される直線Aのレベルよりも高い3点曲げ強度比が得られている。
また、試料A2〜試料A4の各々の鉄損比は、試料A1の鉄損比に比べて大きく向上している。具体的には、試料A2では1.09、試料A3では1.21、試料A4では1.40となっている。特に試料A3およびA4で大きく低減されている。ここで、鉄損比は、ガスアトマイズ粉の混合割合の増加に従って、試料A1(ガスアトマイズ粉のみ)の鉄損比の値と試料A5(水アトマイズ粉のみ)の鉄損比の値とを結んだ直線Bのように比例的に減少することが予想される。しかし、本発明の試料A2〜試料A4では、予想される直線Bのレベルよりも低い鉄損比が得られている。以上の結果から、本発明によれば、高い機械的強度を保ちつつ、鉄損を低下できることが分かる。
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
本発明の圧粉磁心は、たとえば、モーターコア、電磁弁、リアクトルもしくは電磁部品一般に利用される。
本発明の一実施の形態における圧粉磁心の拡大断面図である。 本発明の一実施の形態における圧粉磁心を構成する1個の複合磁性粒子を模式的に示す平面図である。 球形状を有する複合磁性粒子を示す投影図である。 歪な形状を有する複合磁性粒子を示す投影図である。 本発明の一実施の形態における圧粉磁心の製造方法を工程順に示す図である。 金属磁性粒子を作製するためのアトマイズ装置を示す断面図である。 成形体の構成を示す斜視図である。 3点曲げ試験を説明するための図である。 水アトマイズ粉の混合割合と3点曲げ強度および鉄損との関係を示す図である。
符号の説明
10a,10b 金属磁性粒子、20a,20b 絶縁被膜、30,30a,30b 複合磁性粒子、40 有機物、45 支持部、50 成形体(圧粉磁心)、51 真空誘導炉、52 噴霧塔、53 溶湯導入管、54 噴射ノズル、56 溶湯、57 高圧ガスまたは高圧水。

Claims (8)

  1. 金属磁性粒子の表面が絶縁被膜によって被覆された形態を有する複数の第1および第2複合磁性粒子を備え、
    前記複数の第1複合磁性粒子の各々は円相当径に対する最大径の比が1.0以上1.3以下であり、かつ前記複数の第2複合磁性粒子の各々は円相当径に対する最大径の比が1.3を超えていることを特徴とする、圧粉磁心。
  2. 前記第1複合磁性粒子と前記第2複合磁性粒子とを合わせた全複合磁性粒子に対する前記第2複合磁性粒子の割合が50質量%以上100質量%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記複数の第1複合磁性粒子のみによって構成された仮想の圧粉磁心の3点曲げ強度に対する3点曲げ強度の比が1.1以上であることを特徴とする、請求項2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記第1複合磁性粒子と前記第2複合磁性粒子とを合わせた全複合磁性粒子に対する前記第2複合磁性粒子の割合が50質量%以上75質量%以下であることを特徴とする、請求項2または3に記載の圧粉磁心。
  5. ガスアトマイズ法によって複数の第1金属磁性粒子を準備する工程と、
    水アトマイズ法によって複数の第2金属磁性粒子を準備する工程と、
    前記複数の第1金属磁性粒子の各々と前記複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合する混合工程と、
    前記複数の第1金属磁性粒子の各々と前記複数の第2金属磁性粒子の各々とに絶縁被膜を形成する工程とを備える、圧粉磁心の製造方法。
  6. 前記混合工程の際に、前記第1金属磁性粒子と前記第2金属磁性粒子とを合わせた全金属磁性粒子に対する前記第2金属磁性粒子の割合が50質量%以上100質量%未満となるように、前記複数の第1金属磁性粒子の各々と前記複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合することを特徴とする、請求項5に記載の圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記混合工程の際に、前記第1金属磁性粒子と前記第2金属磁性粒子とを合わせた全金属磁性粒子に対する前記第2金属磁性粒子の割合が50質量%以上75質量%以下となるように、前記複数の第1金属磁性粒子の各々と前記複数の第2金属磁性粒子の各々とを混合することを特徴とする、請求項6に記載の圧粉磁心の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂、非熱可塑性樹脂、および熱硬化性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む有機物を0.001質量%以上0.2質量%以下の割合で混合する工程をさらに備えることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の圧粉磁心の製造方法。
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