JP2001338808A - フィルタ及び増幅装置 - Google Patents

フィルタ及び増幅装置

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JP2001338808A
JP2001338808A JP2001079544A JP2001079544A JP2001338808A JP 2001338808 A JP2001338808 A JP 2001338808A JP 2001079544 A JP2001079544 A JP 2001079544A JP 2001079544 A JP2001079544 A JP 2001079544A JP 2001338808 A JP2001338808 A JP 2001338808A
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atomic
metallic glass
glass alloy
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filter
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JP2001079544A
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Yutaka Naito
豊 内藤
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Shoji Yoshida
昌二 吉田
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 損失が小さく、波形の歪みが小さなフィルタ
およびこのフィルタを備えた増幅装置を提供する。 【解決手段】 コンデンサ7と、磁心に巻回されたコイ
ルからなるインダクタ1を具備してなり、磁心は、ΔT
x=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラ
ス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K以上であって非晶質相を主相とする
組織からなる金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合
され、成形されてなる圧粉磁心であることを特徴とする
フィルタ6を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルタ及びこの
フィルタを備えた増幅装置に関するものであり、特に、
損失が小さく、出力波形の歪みが小さなフィルタに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、パルス変調増幅器からのパル
ス波形出力を平滑化する手段としてローパスフィルタが
用いられている。このローパスフィルタに要求される特
性としては、低損失であることと、平滑化後の波形の歪
みが小さいことである。このローパスフィルタは通常、
コンデンサと、磁心付きコイルからなるインダクタを具
備してなるものであるが、上記のフィルタの要求特性は
インダクタを構成する磁心の特性によるところが大き
い。そこで従来から上記のローパスフィルタには、ギャ
ップ付アモルファス磁心、ギャップ付フェライト磁心、
あるいはギャップ無しカーボニル鉄圧粉磁心等が用いら
れてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ギャップ付ア
モルファス磁心やギャップ付フェライト磁心をフィルタ
に用いた場合は、ギャップからの漏れ磁界が周辺の他の
素子あるいは回路に悪影響を及ぼすおそれがあり、この
フィルタを含む回路全体の安定性が低下するとともに雑
音が発生するという課題があった。また、ギャップ付ア
モルファス磁心やフェライト磁心は、振幅透磁率が磁界
変化に対して一定でなく、振幅透磁率の変化率が大きい
ため、磁界変化が大きなパルス電流を平滑化すると波形
の歪みが大きくなってしまうという課題もあった。
【0004】また、ギャップ無しカーボニル鉄圧粉磁心
は、振幅透磁率の磁界特性が一定であり、波形の歪みの
問題は生じないが、一方でコアロスが大きいため、フィ
ルタの発熱量が大きくなるという課題があった。
【0005】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、損失が小さくなって発熱量が低減
され、かつ波形の歪みが小さなフィルタおよびこのフィ
ルタを備えた増幅装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のフィル
タは、コンデンサと、磁心に巻回されたコイルからなる
インダクタを具備してなり、前記磁心は、ΔTx=Tx−
Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温
度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔT
xが20K以上であって非晶質相を主相とする組織から
なる金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合され、成
形されてなる圧粉磁心であることを特徴とする。なお、
上記金属ガラス合金は、比抵抗が1.5μΩ・m以上で
あることが好ましい。
【0007】係るフィルタによれば、前記磁心が、過冷
却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合金の粉末
と絶縁材とが混合されて成形されてなるものであり、こ
の金属ガラス合金は結晶化温度よりも十分低い温度の熱
処理により磁心の内部応力を緩和あるいは除去できるの
で、コアロスが低く、振幅透磁率が磁界変化に対してほ
ぼ一定である磁心を構成することが可能となり、フィル
タの損失を小さくして発熱量を小さくし、かつ波形の歪
みを小さくすることが可能になる。
【0008】また、比抵抗が1.5μΩ・m以上の上記
組成の金属ガラス合金を用いているので、高周波におけ
る金属ガラス合金粒子内の渦電流損失が低減され、より
コアロスが低い磁心を構成することが可能になり、フィ
ルタの損失を小さくすることができ、発熱量を小さくす
ることが可能になる。また、絶縁材によって磁心全体の
比抵抗を高くすることができ、渦電流損失をより低減し
て磁心のコアロスをさらに低くすることが可能になると
ともに、高周波数帯域での透磁率の低下を抑制すること
が可能になり、フィルタの高周波特性を向上させること
が可能になる。
【0009】また、200A/mの磁界における振幅透
磁率を基準としたときの2000A/mの磁界における
前記磁心の振幅透磁率の変化率が±10%以内であり、
かつ前記磁心の100kHzにおける透磁率が50以上
200以下であることを特徴とする。振幅透磁率の磁界
に対する変化率が上記の範囲であれば、フィルタの出力
波形が歪むことがなく、このフィルタをパルス幅変調増
幅器の平滑回路として好適に用いることができる。ま
た、磁心の透磁率が上記の範囲であれば、コイルの巻回
数を少なくしてインダクタを小型化でき、フィルタの小
型化が可能になる。
【0010】また、前記フィルタは、ローパスフィルタ
であることが好ましい。即ち前記コンデンサと前記イン
ダクタとがL形に接続されてなるものが好ましい。
【0011】また本発明のフィルタは、先に記載のフィ
ルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
成で表されることを特徴とする。即ち、Alが1〜10
原子%であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが1
5原子%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2
〜10原子%であり、Siが15原子%以下であり、残
部がFeであって、不可避的不純物を含む金属ガラス合
金である。また、別の例として、Al:1〜10原子
%、Ga:0.5〜4原子%、P:15原子%以下、
C:7原子%以下、B:2〜10原子%、Fe:残部か
らなり、不可避的不純物を含む金属ガラス合金を用いて
も良い。
【0012】また本発明のフィルタは、先に記載のフィ
ルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
成で表されることを特徴とする。即ち、Alが1〜10
原子%であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが1
5原子%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2
〜10原子%であり、Siが15原子%以下であり、T
i、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素が
0〜4原子%であり、V、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素0〜8原子%であり、Pd、Pt、Auのう
ちの一種以上の元素が0〜8原子%であり、残部がFe
であって、不可避的不純物を含んでも良い金属ガラス合
金である。また、別の例として、Alが1〜10原子%
であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが15原子
%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2〜10
原子%であり、Ti、Zr、Hf、Nb、Taのうちの
一種以上の元素が0〜4原子%であり、V、Cr、M
o、Wのうちの一種以上の元素0〜8原子%であり、P
d、Pt、Auのうちの一種以上の元素が0〜8原子%
であり、残部がFeであり、不可避的不純物を含んでも
良い金属ガラス合金を用いても良い。
【0013】上記のPの添加量は、5〜12原子%の範
囲がより好ましく、7〜12原子%の範囲が特に好まし
い。またCの添加量は、2〜7原子%の範囲がより好ま
しく、5〜7原子%の範囲が特に好ましい。そしてSi
の添加量は、0.5〜15原子%の範囲がより好まし
く、0.5〜4原子%の範囲が特に好ましい。
【0014】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Si
b1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、b1、x1、v1、z1、w1は、0
≦a1≦0.15、0<b1≦0.8、x1≦20原子
%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1
原子%≦w1≦20原子%である。
【0015】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
v1z1w1d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、b1、d1、e1、
f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0<
b1≦0.8、0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e
1≦8原子%、0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原
子%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、
1原子%≦w1≦20原子%である。
【0016】また、金属ガラス合金の組成は、上記の組
成式においてSi量を0とした下記の組成式で表される
ものであっても良い。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、x1、v1、z1、w1は、0
≦a1≦0.15、x1≦20原子%、v1≦22原子
%、0原子%≦z1≦10原子%、1原子%≦w1≦2
0原子%である。
【0017】また、金属ガラス合金の組成は、上記の組
成式においてSi量を0とした下記の組成式で表される
ものであっても良い。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1
d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、d1、e1、f
1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、
0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e1≦8原子%、
0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原子%、v1≦
22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1原子%≦
w1≦20原子%である。
【0018】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
z2w2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa2、b2、x2、v2、z2、w2は、0
≦a2≦0.15、0<b2≦0.8、0原子%<x2≦
20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%<
z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%である。
【0019】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
z2w2d2e2f2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
f2、x2、v2、z2、w2は、0≦a2≦0.15、0<
b2≦0.8、0原子%≦d2≦4原子%、0原子%≦e
2≦8原子%、0原子%≦f2≦8原子%、0原子%<x
2≦20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%
<z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%であ
る。
【0020】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3x3y3 但し、組成比を示すa3、b3、x3、y3は、0≦a3≦
0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20原子
%、10原子%≦y3≦22原子%であり、MはZr、N
b、Ta、Hf、Mo、Ti、V、Cr、Wのうちの1
種又は2種以上からなる元素である。
【0021】上記の各組成の金属ガラス合金からなる磁
心は、いずれもコアロスが小さく、振幅透磁率が磁界変
化に対してほぼ一定であるので、フィルタの損失を小さ
くして発熱量を少なくし、波形の歪みを小さくすること
が可能になる。
【0022】また、本発明の増幅装置は、パルス電流を
出力する増幅器と、該増幅器の出力側に接続されて前記
パルス電流を平滑化するフィルタとからなり、前記フィ
ルタは、コンデンサと、磁心に巻回されたコイルからな
るインダクタとを具備してなり、前記磁心は、ΔTx=
Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷
移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔
ΔTxが20K以上であって非晶質相を主相とする組織
からなる金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが成形され
てなる圧粉磁心であることを特徴とする。上記金属ガラ
ス合金は比抵抗が1.5μΩ・m以上のものが好まし
い。
【0023】係る増幅装置によれば、前記磁心が、過冷
却液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合金の粉末
と絶縁材とが混合されて成形されてなるもので、この金
属ガラス合金は結晶化温度よりも十分低い温度の熱処理
により圧粉磁心の内部応力を緩和あるいは除去できるの
で、コアロスが低く、振幅透磁率が磁界変化に対してほ
ぼ一定である磁心を構成することが可能となり、フィル
タの損失を小さくして発熱量を少なくし、かつ波形の歪
みを小さくすることが可能になり、これにより発熱が少
なく波形歪みの小さな増幅装置を構成することが可能に
なる。
【0024】また、比抵抗が1.5μΩ・m以上の上記
組成の金属ガラス合金を用いているので、高周波におけ
る金属ガラス合金粒子内の渦電流損失が低減され、より
コアロスが低い磁心を構成することが可能になり、発熱
量が少ない増幅装置を構成することが可能になる。ま
た、絶縁材によって磁心全体の比抵抗を高くすることが
でき、渦電流損失を低減して磁心のコアロスをさらに低
くすることが可能になるとともに、高周波数帯域での透
磁率の低下を抑制することが可能になり、フィルタの損
失をより小さくし、かつ波形の歪みをより小さくするこ
とが可能になる。
【0025】また、200A/mの磁界における振幅透
磁率を基準としたときの2000A/mの磁界における
前記磁心の振幅透磁率の変化率が±10%以内であり、
かつ前記磁心の100kHzにおける透磁率が50以上
200以下であることを特徴とする。振幅透磁率の変化
率が上記の範囲であれば、フィルタの出力波形が歪むこ
とがなく、出力波形の歪みが小さな増幅装置を構成する
ことができる。また、磁心の透磁率が上記の範囲であれ
ば、コイルの巻回数を少なくしてインダクタの大きさを
小さくすることができ、増幅装置を小型化することが可
能になる。
【0026】また、前記フィルタは、ローパスフィルタ
であることが好ましい。即ち前記コンデンサと前記イン
ダクタとがL形に接続されてなるものが好ましい。ま
た、前記増幅器は、パルス幅変調増幅器であることが好
ましい。
【0027】また本発明の増幅装置は、先に記載の増幅
装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
成で表されることを特徴とする。即ち、Alが1〜10
原子%であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが1
5原子%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2
〜10原子%であり、Siが15原子%以下であり、残
部がFeであって、不可避的不純物を含む金属ガラス合
金である。また、別の例として、Al:1〜10原子
%、Ga:0.5〜4原子%、P:15原子%以下、
C:7原子%以下、B:2〜10原子%、Fe:残部か
らなり、不可避的不純物を含む金属ガラス合金を用いて
も良い。
【0028】また本発明の増幅装置は、先に記載の増幅
装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
成で表されることを特徴とする。即ち、Alが1〜10
原子%であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが1
5原子%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2
〜10原子%であり、Siが15原子%以下であり、T
i、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素が
0〜4原子%であり、V、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素0〜8原子%であり、Pd、Pt、Auのう
ちの一種以上の元素が0〜8原子%であり、残部がFe
であって、不可避的不純物を含んでも良い金属ガラス合
金である。また、別の例として、Alが1〜10原子%
であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが15原子
%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2〜10
原子%であり、Ti、Zr、Hf、Nb、Taのうちの
一種以上の元素が0〜4原子%であり、V、Cr、M
o、Wのうちの一種以上の元素0〜8原子%であり、P
d、Pt、Auのうちの一種以上の元素が0〜8原子%
であり、残部がFeであり、不可避的不純物を含んでも
良い金属ガラス合金を用いても良い。
【0029】上記Pの添加量は、5〜12原子%の範囲
がより好ましく、7〜12原子%の範囲が特に好まし
い。またCの添加量は、2〜7原子%の範囲がより好ま
しく、5〜7原子%の範囲が特に好ましい。そしてSi
の添加量は、0.5〜15原子%の範囲がより好まし
く、0.5〜4原子%の範囲が特に好ましい。
【0030】また、本発明の増幅装置は、先に記載の増
幅装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Si
b1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、b1、x1、v1、z1、w1は、0
≦a1≦0.15、0<b1≦0.8、x1≦20原子
%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1
原子%≦w1≦20原子%である。
【0031】また、本発明のフィルタは、先に記載のフ
ィルタであって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
v1z1w1d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、b1、d1、e1、
f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0<
b1≦0.8、0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e
1≦8原子%、0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原
子%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、
1原子%≦w1≦20原子%である。
【0032】また、金属ガラス合金の組成は、上記の組
成式においてSi量を0とした下記の組成式で表される
ものであっても良い。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、x1、v1、z1、w1は、0
≦a1≦0.15、x1≦20原子%、v1≦22原子
%、0原子%≦z1≦10原子%、1原子%≦w1≦2
0原子%である。
【0033】また、金属ガラス合金の組成は、上記の組
成式においてSi量を0とした下記の組成式で表される
ものであっても良い。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1
d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、d1、e1、f
1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、
0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e1≦8原子%、
0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原子%、v1≦
22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1原子%≦
w1≦20原子%である。
【0034】また、本発明の増幅装置は、先に記載の増
幅装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a2a2100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Si
b2v2z2w2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa2、b2、x2、v2、z2、w2は、0
≦a2≦0.15、0<b2≦0.8、0原子%<x2≦
20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%<
z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%である。
【0035】また、本発明の増幅装置は、先に記載の増
幅装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
z2w2d2e2f2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
f2、x2、v2、z2、w2は、0≦a2≦0.15、0<
b2≦0.8、0原子%≦d2≦4原子%、0原子%≦e
2≦8原子%、0原子%≦f2≦8原子%、0原子%<x
2≦20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%
<z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%であ
る。
【0036】また、本発明の増幅装置は、先に記載の増
幅装置であって、前記金属ガラス合金の組成が、下記の
組成式で表されることを特徴とする。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3x3y3 但し、組成比を示すa3、b3、x3、y3は、0≦a3≦
0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20原子
%、10原子%≦y3≦22原子%であり、MはZr、N
b、Ta、Hf、Mo、Ti、V、Cr、Wのうちの1
種又は2種以上からなる元素である。
【0037】上記の組成の金属ガラス合金からなる磁心
は、いずれもコアロスが小さく、振幅透磁率が磁界変化
に対してほぼ一定であるので、増幅装置の損失を小さく
して波形の歪みを小さくすることが可能になる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明に係るフィルタは、コンデ
ンサと、磁心に巻回されたコイルからなるインダクタを
具備してなるものであり、前記磁心は、ΔTx=Tx−T
g(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度
を示す。)の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTx
が20K以上であって非晶質相を主相とする組織からな
る金属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合され、成形
されてなる圧粉磁心である。
【0039】このフィルタは例えば、増幅器の出力側に
取り付けられて、該増幅器からの出力電流を平滑化する
ために好適に用いられるものである。たとえば、上記の
フィルタを備えた増幅装置の一例として、パルス電流を
出力する増幅器と、該増幅器の出力側に接続されて前記
パルス電流を平滑化する前記のフィルタとからなる増幅
装置を挙げることができる。
【0040】図1に、本発明に係るフィルタに用いられ
るインダクタを示し、図2には、本発明に係るフィルタ
を備えた増幅装置の回路図を示す。図1に示すように、
本発明に係るインダクタ1は、磁心2と、この磁心2に
巻回されたコイル3からなる。また図2に示すように、
本発明に係る増幅装置4は、パルス電流を出力する増幅
器5と、該増幅器5の出力部5bに接続されて増幅器5
からのパルス電流を平滑化する本発明に係るフィルタ6
とからなる。このフィルタ6は、コンデンサ7と、図1
に示すインダクタ1とからなる。
【0041】フィルタ6は、いわゆるローパスフィルタ
と呼ばれるもので、コンデンサ7とインダクタ1とがL
形に接続されて構成されている。また増幅器5は、いわ
ゆるパルス幅変調増幅器であることが好ましい。
【0042】この増幅装置4の動作は次の通りである。
まず、増幅器5の入力部5aに図3に示す電圧V1の交
流電流を入力する。増幅器5は、入力された交流電流の
電圧の高い部分を幅広のパルス波に、交流電流の電圧の
低い部分を幅狭のパルス波にそれぞれ変換するととも
に、増幅作用により電圧を増圧して、図4に示すパルス
電流を出力部5bから出力する。フィルタ6は、このパ
ルス電流を平滑化し、平滑化後の電流をフィルタ6の出
力部6aから出力する。出力された電流は、図5に示す
ように電圧がV2(V2>V1)に増幅された交流電流で
ある。
【0043】このように本発明に係るフィルタ6にはパ
ルス電流が入力される。このパルス電流はパルス幅及び
電圧が周期的に変動するものであるため、インダクタ1
には高周波電流が印加されることになる。従って、低損
失で波形歪みの小さな増幅装置を得るには、インダクタ
1の損失を小さくして波形歪みを小さくすることが必要
であり、そのためには、インダクタ1を構成する磁心2
のコアロスが小さいことと、磁心2の振幅透磁率が磁界
変化に対してほぼ一定であることが求められる。
【0044】本発明のフィルタを構成する磁心2は、低
コアロスで高周波帯域における透磁率の低下が小さく、
振幅透磁率が磁界変化に対してほぼ一定のもので、ΔT
x=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラ
ス遷移温度を示す。)の式で表される過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K以上であって非晶質相を主相とする
組織からなり、比抵抗が1.5μΩ・cm以上である金
属ガラス合金の粉末と、絶縁材とが混合され、成形され
てなる圧粉磁心である。
【0045】この磁心2は図1に示したように円環状の
磁心2を例示できるが、形状はこれに限られず、長円環
状や楕円環状であっても良い。また平面視略E字状、平
面視略コ字状、平面視略I字状等であっても良い。
【0046】本発明に係る磁心2は、金属ガラス合金の
粉末が絶縁材によって結着されてなるもので、組織中に
金属ガラス合金の粉末が存在したいわゆる圧粉磁心であ
り、金属ガラス合金の粉末が溶解して均一な組織を構成
したものではない。また、金属ガラス合金の粉末は、粉
末を構成する個々の粒子が絶縁材によって絶縁されてい
ることが好ましい。このように、磁心2には金属ガラス
合金の粉末と絶縁材とが混合されて存在するので、絶縁
材によって磁心2自体の比抵抗が大きくなり、渦電流損
失が低減されてコアロスが低くなり、また高周波領域に
おける透磁率の低下が小さくなり、更には振幅透磁率が
磁界変化に対してほぼ一定になる。
【0047】また、金属ガラス合金の過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K未満であると、金属ガラス合金の粉
末と絶縁材とを混合して圧縮成形した後に行う熱処理時
に、結晶化させずに十分に内部応力を緩和させることが
困難になる。ΔTxが20K以上であると、熱処理温度
を下げても十分に内部応力を緩和でき、また絶縁材の分
解を防止し、絶縁材の分解による損失の増大を抑えるこ
とができる。
【0048】また、磁心2を構成する金属ガラス合金
は、合金組成によっては60K以上の大きなΔTxが得
られるので、熱処理によって内部応力の緩和を十分に行
うことができ、磁心2の軟磁気特性をより向上できると
ともに、熱処理温度をより低下させ、絶縁材の分解によ
る損失の増大を効果的に抑えることができる。また、本
発明に係る磁心2は、熱処理による内部応力の緩和によ
ってコアロスをより小さくすることができ、発熱量を低
減できる。また、本発明の磁心2は、動作周波数変化に
対する透磁率の変動が小さく、高い周波数帯域でも高い
透磁率が得られるので、フィルタ6の周波数特性を向上
させることができる。
【0049】また、この磁心2は、200A/mの磁界
における振幅透磁率を基準としたときの2000A/m
の磁界における振幅透磁率の変化率が±10%以内であ
り、100kHzにおける透磁率が50以上200以下
であることが好ましい。磁心2の振幅透磁率の変化率が
上記の範囲であれば、フィルタ6の出力波形が歪むこと
がなく、出力波形の歪みが小さなフィルタ6を構成する
ことができる。また、磁心2の透磁率が上記の範囲であ
れば、コイル3の巻回数を少なくしてインダクタ1の大
きさを小さくすることができ、フィルタ6及び増幅装置
4を小型化することが可能になる。例えば本発明のフィ
ルタ6では、コイル3の巻数を30ターン程度にしても
充分な特性が得られる。
【0050】また、磁心2を構成する絶縁材は、磁心2
の比抵抗を高めるとともに、金属ガラス合金の粉末を結
着して磁心2の形状を保持するもので、磁気特性に大き
な損失とならない材料からなることが好ましく、例え
ば、エポキシ樹脂、シリーコン樹脂、シリコーンエラス
トマー、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、P
VA(ポリビニルアルコール)等の液状または粉末状の
有機物や、水ガラス(Na2O-SiO2)、酸化物ガラ
ス粉末(Na2O-B23-SiO2、PbO-B23-Si
2、PbO-BaO-SiO2、Na2O-B23-Zn
O、CaO-BaO-SiO2、Al23-B23-SiO
2、23-SiO2)、ゾルゲル法により生成するガラ
ス状物質(SiO2、Al23、ZrO2、TiO2等を
主成分とするもの)等を挙げることができる。また、絶
縁とともに潤滑材の役割を果たすステアリン酸塩(ステ
アリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ア
ルミニウム等)を同時に用いることもできる。
【0051】金属ガラス合金の粉末は、比抵抗が1.5
μΩ・m以上であって、過冷却液体の温度間隔ΔTxが
20K以上である非晶質相を主相とするもので、金属ガ
ラス合金の薄帯が粉砕されて得られたもの、金属ガラス
合金の溶湯を回転する冷却ロールに霧状に吹き付けて冷
却して得られたもの、金属ガラス合金の溶湯を高圧ガス
とともに霧状に吹き出して冷却して得られたもの、ある
いは金属ガラス合金の溶湯を水中に霧状に吹き出して冷
却して得られたものなどであり、コアロスが低く、軟磁
気特性に優れたものである。
【0052】またこの金属ガラス合金は、組成によって
はΔTxが40K以上、さらには50K以上、場合によ
っては60K以上という顕著な過冷却液体の温度間隔を
有し、比抵抗が1.5μΩ・m以上であり、室温で優れ
た軟磁気特性を有しており、これまでの知見に見られな
い全く新規なものである。
【0053】過冷却液体の温度間隔ΔTxは、溶湯が液
体構造を維持したまま原子振動のみが生じている状態で
あり、この過冷却液体の温度間隔ΔTxの存在が、金属
ガラス合金において原子の移動の起こり難い、即ち結晶
化しにくい性質を表している。過冷却液体の温度間隔Δ
Txの大きな金属ガラス合金は溶湯を冷却する際に、原
子の移動が起こり難いので、溶融状態の溶湯が固化され
る際に経る過冷却液体状態が非常に広くなる。従って、
冷却速度が比較的遅くても充分に非晶質相を形成するこ
とが可能であり、例えば、比較的冷却速度が高い単ロー
ル法などの液体急冷法等により得られる金属ガラス合金
の薄帯のほか、鋳造法等によって得られる金属ガラス合
金のバルク体等を粉砕することによっても、非晶質相を
主相とする金属ガラス合金の粉末が得られる。
【0054】「金属ガラス合金の組成の一例」磁心2に
好適に用いられる金属ガラス合金の一例として、Feを
主成分とし、他の金属と半金属とを含有したものを挙げ
ることができる。このうち半金属元素としては、P、S
i、C、B、Geのうちの少なくとも1種以上の元素が
用いられる。
【0055】より具体的に例示すると、Al:1〜10
原子%、Ga:0.5〜4原子%、P:15原子%以
下、C:7原子%以下、B:2〜10原子%、Si:1
5原子%以下、Fe:残部であって、不可避不純物が含
有されていても良い金属ガラス合金が挙げられる。ま
た、別の具体例として、Al:1〜10原子%、Ga:
0.5〜4原子%、P:15原子%以下、C:7原子%
以下、B:2〜10原子%、Fe:残部であって、不可
避不純物が含有されていても良い金属ガラス合金を挙げ
ることができる。
【0056】更に別の例として、Alが1〜10原子%
であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが15原子
%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが2〜10
原子%であり、Siが15原子%以下であり、Ti、Z
r、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素が0〜4
原子%であり、V、Cr、Mo、Wのうちの一種以上の
元素0〜8原子%であり、Pd、Pt、Auのうちの一
種以上の元素が0〜8原子%であり、残部がFeであっ
て、不可避的不純物を含んでも良い金属ガラス合金を挙
げることもできる。また、別の例として、Alが1〜1
0原子%であり、Gaが0.5〜4原子%であり、Pが
15原子%以下であり、Cが7原子%以下であり、Bが
2〜10原子%であり、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta
のうちの一種以上の元素が0〜4原子%であり、V、C
r、Mo、Wのうちの一種以上の元素0〜8原子%であ
り、Pd、Pt、Auのうちの一種以上の元素が0〜8
原子%であり、残部がFeであり、不可避的不純物を含
んでも良い金属ガラス合金を挙げることもできる。
【0057】SiとPの比率は原子比で、0<Si/
(Si+P)≦0.4を満たしており、好ましくは0.
1<Si/(Si+P)≦0.35であり、より好まし
くは0.11<Si/(Si+P)≦0.28である。
また、他の金属とは、IIIB族及びIVB族の金属元
素のうちの少なくとも1種のものが好適に用いられる。
例えば、Al、Ga、In及びSnのうちの少なくとも
1種以上の元素が用いられる。
【0058】FeAlGaPCB系の金属ガラスにSi
を15原子%以下添加することにより、過冷却液体の温
度間隔ΔTxを向上させ、非晶質相を主相とする金属ガ
ラス合金が得られる。SiのPに対する添加比率が原子
比で0<Si/(Si+P)≦0.4を満たすようにす
ることにより、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上さ
せ、非晶質相を容易に形成させることができる。その結
果、室温で優れた軟磁気特性を有する金属ガラス合金を
得ることができる。
【0059】Siの添加量が多すぎると過冷却液体領域
ΔTxが消滅するので、15原子%以下が好ましい。ま
た、より大きな過冷却液体の温度間隔ΔTxを得るに
は、Siの添加量が原子%で0.5%〜15%の範囲で
あることが好ましく、0.5〜4%の範囲であることが
より好ましい。なおSiの添加量を0原子%としてもよ
い。上記Pの添加量は、15原子%以下であることが好
ましいが、5〜12原子%の範囲であることがより好ま
しく、7〜12原子%の範囲であることが最も好まし
い。特にSiのPに対する添加比率が0<Si/(Si
+P)≦0.4を満たす場合は、Siの添加量が原子%
で1.5〜3.5%の範囲、Pの添加量が原子%で7〜
9%の範囲であることが好ましい。
【0060】またCの添加量は7原子%以下であること
が好ましく、2〜7原子%の範囲であることがより好ま
しく、5〜7原子%の範囲であることが最も好ましい。
【0061】Ti、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一
種以上の元素は、C、Pと化合物を形成して金属ガラス
合金の融点を向上させる。これらの元素の添加量は0原
子%以上4原子%以下の範囲が好ましく、0原子%以上
3原子%以下の範囲がより好ましく、0原子%以上2原
子%以下の範囲が更に好ましい。添加量が4原子%を越
えると、Fe量が相対的に低下して軟磁気特性が低下す
るとともに、金属ガラス合金が脆くなるので好ましくな
い。
【0062】V、Cr、Mo、Wのうちの一種以上の元
素は、特に金属ガラス合金の耐腐食性を向上させる。こ
れらの元素の中でも特にCrが好ましい。Crを組成比
で8原子%程度添加すると、ハステロイ並の耐腐食性が
得られる。これらの元素の添加量は0原子%以上8原子
%以下の範囲が好ましく、0原子%以上6原子%以下の
範囲がより好ましく、0原子%以上4原子%以下の範囲
が更に好ましい。添加量が8原子%を越えると、Fe量
が相対的に低下して軟磁気特性が低下するので好ましく
ない。またPd、Pt、Auのうちの一種以上の元素
は、極めて耐腐食性が高いと同時に他の合金構成元素に
対して不活性であり、金属ガラス合金中で単相状態で存
在することにより金属ガラス合金の耐腐食性を向上させ
る。こっらの元素の添加量は0原子%以上8原子%以下
の範囲が好ましく、0原子%以上6原子%以下の範囲が
より好ましく、0原子%以上4原子%以下の範囲が更に
好ましい。添加量が8原子%を越えると、Fe量が相対
的に低下して飽和磁束密度が低下するので好ましくな
い。
【0063】また上記の組成に、Geが4原子%以下含
有されていてもよく、0〜10原子%のNiと0〜30
原子%のCoのうち少なくとも一方が含有されていても
よい。これらのいずれの場合の組成においても、本発明
においては、過冷却液体の温度間隔ΔTxは、20K以
上、組成によっては50K以上が得られる。
【0064】「金属ガラス合金の組成の他の例」次に、
磁心2に用いられる金属ガラス合金の他の例として、上
記のFeAlGaPCB(Si)系の金属ガラス合金か
らAlを除いたものであって、Feを主成分とし、Ga
と、P、B、C、Siのうちの1種以上の元素Qとを含
有したものを挙げることができる。なお元素QにはSi
を加えなくても良い。
【0065】この金属ガラス合金は、例えば次の組成式
で表すことができる。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Si
b1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、b1、x1、v1、z1、w1は、0
≦a1≦0.15、0<b1≦0.8、x1≦20原子
%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1
原子%≦w1≦20原子%である。
【0066】また、上記組成比を示すa1、b1、x1、
v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0.1≦b1≦
0.35、0.5原子%≦x1≦15原子%、7原子%
≦v1≦20原子%、0原子%≦z1≦9.5原子%、2
原子%≦w1≦14原子%であることがより好ましく、
0≦a1≦0.1、0.1≦b1≦0.28、0.5原子
%≦x1≦15原子%、10原子%≦v1≦15.5原子
%、0.5原子%≦z1≦6原子%、4原子%≦w1≦1
1原子%であることが更に好ましい。
【0067】また、この金属ガラス合金は例えば次の組
成式で表すことができる。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
v1z1w1d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、b1、d1、e1、
f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0<
b1≦0.8、0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e
1≦8原子%、0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原
子%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、
1原子%≦w1≦20原子%である。
【0068】また、上記組成比を示すa1、b1、d1、
e1、f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.1
5、0.1≦b1≦0.35、0原子%≦d1≦3原子
%、0原子%≦e1≦6原子%、0原子%≦f1≦6原子
%、0.5原子%≦x1≦15原子%、7原子%≦v1≦
20原子%、0原子%≦z1≦9.5原子%、2原子%
≦w1≦14原子%であることがより好ましく、0≦a1
≦0.1、0.1≦b1≦0.28、0原子%≦d1≦2
原子%、0原子%≦e1≦4原子%、0原子%≦f1≦4
原子%、0.5原子%≦x1≦15原子%、10原子%
≦v1≦15.5原子%、0.5原子%≦z1≦6原子
%、4原子%≦w1≦11原子%であることが更に好ま
しい。
【0069】また、本発明の金属ガラス合金は、以下の
組成式で表すこともできる。 (Fe1-a1a1100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1
≦0.15、x1≦20原子%、v1≦22原子%、0原
子%≦z1≦10原子%、1原子%≦w1≦20原子%で
ある。
【0070】組成比を示すa1、x1、v1、z1、w1
は、0≦a1≦0.15、0.5原子%≦x1≦15原子
%、7原子%≦v1≦20原子%、0原子%≦z1≦9.
5原子%、2原子%≦w1≦14原子%であることがよ
り好ましく、0≦a1≦0.1、0.5原子%≦x1≦1
5原子%、10原子%≦v1≦15.5原子%、0.5
原子%≦z1≦6原子%、4原子%≦w1≦11原子%で
あることが更に好ましい。
【0071】更にまた、この金属ガラス合金は、以下の
組成式で表すこともできる。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1v1z1w1
d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa1、d1、e1、f
1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、
0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e1≦8原子%、
0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原子%、v1≦
22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1原子%≦
w1≦20原子%である。
【0072】組成比を示すa1、d1、e1、f1、x1、
v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0原子%≦d1
≦3原子%、0原子%≦e1≦6原子%、0原子%≦f1
≦6原子%、0.5原子%≦x1≦15原子%、7原子
%≦v1≦20原子%、0原子%≦z1≦9.5原子%、
2原子%≦w1≦14原子%であることがより好まし
く、0≦a1≦0.1、0原子%≦d1≦2原子%、0原
子%≦e1≦4原子%、0原子%≦f1≦4原子%、0.
5原子%≦x1≦15原子%、10原子%≦v1≦15.
5原子%、0.5原子%≦z1≦6原子%、4原子%≦
w1≦11原子%であることが更に好ましい。
【0073】この金属ガラス合金は、FeとGaとP、
C、B、Siとを含有したもので、上記のFeAlGa
PCB(Si)系の金属ガラス合金からAlを除去し、
Fe量を増量させることなくこのAlの代わりにGaを
増量させたものであり、非晶質相が形成されやすく、大
きな過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0074】Gaは、この金属ガラス合金に必須の元素
であり、特にGaの組成比x1を20原子%以下とする
ことにより、金属ガラス合金の過冷却液体の温度間隔Δ
Txを20K以上にすることができる。またGaは、F
eとの間での混合エンタルピーが負であり、Feよりも
原子半径が大きく、更にFeよりも原子半径が小さい
P、B、Siとともに用いることにより、結晶化し難
く、非晶質構造の熱的に安定化した状態となる。更にG
aは金属ガラス合金のキュリー温度を高め、各種磁気特
性の熱安定性を向上させることができる。Gaの組成比
x1は、20原子%以下であることが好ましく、0.5
原子%以上15原子%以下であることがより好ましい。
組成比x1が20原子%を越えると、Fe量が相対的に
低下して飽和磁化が低下し、また過冷却液体の温度間隔
ΔTxが消失するので好ましくない。
【0075】Feは磁性を担う元素であって、Gaと同
様にこの金属ガラス合金に必須の元素である。また、F
eの一部をCo、Niのいずれか一方または両方の元素
Tで置換しても良い。
【0076】P、C、B、Siは非晶質形成能を有する
元素であり、FeとGaにこれらの元素を添加して多元
系とすることにより、FeとGaのみの2元系の場合と
異なり安定して非晶質相が形成される。合金中における
P、C、B、Siの合計の組成比は50原子%以下であ
ることが好ましく、7原子%以上35原子%以下である
ことがより好ましい。これらの元素の合計の組成比が5
0原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して飽和磁
化が低下するので好ましくない。
【0077】このなかでもPは特に非晶質形成能が高い
ので、このPを必ず含み、それ以外のB、C、Siのう
ちのいずれか1種以上を含むようにすると、組織の全体
が非晶質相になるとともに過冷却液体の温度間隔ΔTx
が発現しやすくなる。またPとSiを同時に添加する
と、過冷却液体の温度間隔ΔTxをより向上させて非晶
質単相となるバルクの大きさを増大できる。
【0078】PとSiを同時に添加する場合は、PとS
iの合計量を示す組成比v1を22原子%以下とするこ
とが好ましく、7原子%以上20原子%以下とすること
がより好ましく、10原子%以上15.5原子%以下と
することが最も好ましい。PとSiの合計量を示す組成
比v1が上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間隔Δ
Txを向上させることができる。
【0079】PとSiを同時に添加した場合のSiとP
との比を表す組成比b1は、組成比v1が22原子%以下
のときに0<b1≦0.8とすることが好ましく、組成
比v1が7原子%以上20原子%以下のときに0.1≦
b1≦0.35とすることが好ましく、組成比v1が10
原子%以上15.5原子%以下のときに0.1≦b1≦
0.28とすることが好ましい。組成比b1が0.8を
越えるとSiが過剰になり、過冷却液体領域ΔTxが消
滅するおそれがあるので好ましくない。なお、このとき
の金属ガラス合金におけるSiの濃度を示すと、好まし
い場合に16原子%以下、より好ましい場合に0.8原
子%以上6.65原子%以下、最も好ましい場合に0.
95原子%以上4.34原子%以下となる。
【0080】PとSiの組成比を示すb1、v1を上記の
範囲とすれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させ
ることができる。
【0081】なおSiの組成比b1を0としてもよい。
即ち、Fe及びGaと、P、B、Cからなる金属ガラス
合金であってもよい。この場合のPの組成比v1は、2
2原子%以下とすることが好ましく、7原子%以上20
原子%以下とすることがより好ましく、10原子%以上
15.5原子%以下とすることが最も好ましい。Pの組
成比v1が上記の範囲であれば、過冷却液体の温度間隔
ΔTxを向上させ、非晶質単相となるバルクの大きさを
増大させることができる。
【0082】またCの組成比z1は、0原子%以上10
原子%以下であることが好ましく、0原子%以上9.5
原子%以下であることがより好ましく、0.5原子%以
上6原子%以下であることが最も好ましい。更にBの組
成比w1は、1原子%以上20原子%以下であることが
好ましく、2原子%以上14原子%以下であることがよ
り好ましく、4原子%以上11原子%以下であることが
最も好ましい。
【0083】また、上記の金属ガラス合金の組成に元素
L、元素M及び元素Eを添加することにより、金属ガラ
ス合金の表面に不動態被膜を形成させて、金属ガラス合
金の耐腐食性を向上させても良い。元素LはTi、Z
r、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素であり、
C、Pと化合物を形成して金属ガラス合金の融点を向上
させる。元素Lの組成比を示すd1は0原子%以上4原
子%以下の範囲が好ましく、0原子%以上3原子%以下
の範囲がより好ましく、0原子%以上2原子%以下の範
囲が更に好ましい。組成比d1が4原子%を越えると、
Fe量が相対的に低下して軟磁気特性が低下するととも
に、金属ガラス合金が脆くなるので好ましくない。
【0084】元素MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、これらの元素が特に金属ガラス合金
の耐腐食性を向上させる。元素Mの中でも特にCrが好
ましい。Crを組成比で8原子%程度添加すると、ハス
テロイ並の耐腐食性が得られる。元素Mの組成比を示す
e1は0原子%以上8原子%以下の範囲が好ましく、0
原子%以上6原子%以下の範囲がより好ましく、0原子
%以上4原子%以下の範囲が更に好ましい。組成比e1
が8原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して軟磁
気特性が低下するので好ましくない。また元素EはP
d、Pt、Auのうちの一種以上の元素であり、この元
素Eは極めて耐腐食性が高いと同時に他の合金構成元素
に対して不活性であり、金属ガラス合金中で単相状態で
存在することにより金属ガラス合金の耐腐食性を向上さ
せる。元素Eの組成比を示すf1は0原子%以上8原子
%以下の範囲が好ましく、0原子%以上6原子%以下の
範囲がより好ましく、0原子%以上4原子%以下の範囲
が更に好ましい。組成比f1が8原子%を越えると、F
e量が相対的に低下して飽和磁束密度が低下するので好
ましくない。
【0085】また、上記の組成に、Geが4原子%以下
含有されていてもよい。これらのいずれの場合の組成に
おいても、この金属ガラス合金においては、35K以
上、組成によっては50K以上の過冷却液体の温度間隔
ΔTxが得られる。また上記の組成で示される元素の他
に不可避的不純物が含まれていても良い。
【0086】「金属ガラス合金の組成の別の例」次に、
磁心2に用いられる金属ガラス合金の別の例として、上
記のFeAlGaPCB(Si)系の金属ガラス合金か
らGaを除いたものであって、Feを主成分とし、Al
と、前記元素Qとを含有したものを挙げることができ
る。なお元素QからSiを除いても良い。
【0087】この金属ガラス合金は、例えば次の組成式
で表すことができる。 (Fe1-a2a2100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Si
b2v2z2w2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、組成比を示すa2、b2、x2、v2、z2、w2は、0
≦a2≦0.15、0<b2≦0.8、0原子%<x2≦
20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%<
z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%である。
金属ガラス合金が上記の組成である場合には、20K以
上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0088】また組成比を示すa2、b2、x2、v2、z
2、w2が、0≦a2≦0.15、0.1≦b2≦0.3
5、0原子%<x2≦15原子%、8原子%≦v2≦18
原子%、0.5原子%≦z2≦7.4原子%、3原子%
≦w2≦14原子%であることがより好ましい。金属ガ
ラス合金が上記の組成である場合には、40K以上の過
冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0089】また、組成比を示すa2、b2、x2、v2、
z2、w2が、0≦a2≦0.15、0.1≦b2≦0.2
8、0原子%<x2≦10原子%、11.3原子%≦v2
≦14原子%、1.8原子%≦z2≦4.6原子%、
5.3原子%≦w2≦8.6原子%であることが最も好
ましい。金属ガラス合金が上記の組成である場合には、
60K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0090】またこの金属ガラス合金は、例えば次の組
成式で表すこともできる。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
z2w2d2e2f2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
以上の元素であり、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
f2、x2、v2、z2、w2は、0≦a2≦0.15、0<
b2≦0.8、0原子%≦d2≦4原子%、0原子%≦e
2≦8原子%、0原子%≦f2≦8原子%、0原子%<x
2≦20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%
<z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%であ
る。金属ガラス合金が上記の組成である場合には、20
K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0091】また組成比を示すa2、b2、d2、e2、f
2、x2、v2、z2、w2が、0≦a2≦0.15、0.1
≦b2≦0.35、0原子%≦d2≦3原子%、0原子%
≦e2≦6原子%、0原子%≦f2≦6原子%、0原子%
<x2≦15原子%、8原子%≦v2≦18原子%、0.
5原子%≦z2≦7.4原子%、3原子%≦w2≦14原
子%であることがより好ましい。金属ガラス合金が上記
の組成である場合には、40K以上の過冷却液体の温度
間隔ΔTxを示す。
【0092】また、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
f2、x2、v2、z2、w2が、0≦a2≦0.15、0.
1≦b2≦0.28、0原子%≦d2≦2原子%、0原子
%≦e2≦4原子%、0原子%≦f2≦4原子%、0原子
%<x2≦10原子%、11.3原子%≦v2≦14原子
%、1.8原子%≦z2≦4.6原子%、5.3原子%
≦w2≦8.6原子%であることが最も好ましい。金属
ガラス合金が上記の組成である場合には、60K以上の
過冷却液体の温度間隔ΔTxを示す。
【0093】この金属ガラス合金は、FeとAlとP、
C、B、Siとを含有したもので、上記のFeAlGa
PCB(Si)系の金属ガラス合金からGaを除去し、
Fe量を増量させることなくこのGaの代わりにAlを
増量させたものであり、大きな過冷却液体の温度間隔Δ
Txを示し、更に極めて高い非晶質形成能を示す。上記
の金属ガラス合金は非晶質形成能が高いことから、組織
全体を完全な非晶質相とすることができ、透磁率及び飽
和磁化が格段に向上し、優れた軟磁気特性を示す。また
組織全体が完全な非晶質相であることから、適度な条件
で熱処理した場合に結晶質相が析出させることなく内部
応力を緩和でき、軟磁気特性をより向上させることがで
きる。
【0094】Alは、この金属ガラス合金に必須の元素
であり、特にAlの組成比x2を20原子%以下とする
ことにより、合金の非晶質形成能を格段に向上させて組
織全体を完全な非晶質相とすることができ、また過冷却
液体の温度間隔ΔTxを20K以上にすることができ
る。またAlは、Feとの間での混合エンタルピーが負
であり、Feよりも原子半径が大きく、更にFeよりも
原子半径が小さいP、B、Siとともに用いることによ
り、結晶化し難く、非晶質構造が熱的に安定化した状態
となる。更にAlは金属ガラス合金のキュリー温度を高
め、各種磁気特性の熱安定性を向上させることができ
る。Alの組成比x2は、20原子%以下であることが
好ましく、0原子%を越えて15原子%以下であること
がさらに好ましく、0原子%を越えて10原子%以下で
あることが最も好ましい。組成比x2が20原子%を越
えると、Fe量が相対的に低下して飽和磁化が低下し、
また過冷却液体の温度間隔ΔTxが消失するので好まし
くない。
【0095】Feは磁性を担う元素であって、Alと同
様にこの金属ガラス合金に必須の元素である。また、F
eの一部をCo、Niのいずれか一方または両方の元素
Tで置換しても良い。磁性を担う元素であるFeの組成
比が向上すると、金属ガラス合金の飽和磁化を向上させ
ることができる。
【0096】C、P、Si及びBは、先に説明したFe
GaPCB(Si)からなる金属ガラス合金のC、P、
Si及びBと同じ作用を示す。PとSiを同時に添加す
る場合は、PとSiの合計量を示す組成比v2を0原子
%を越えて22原子%以下とすることが好ましく、8原
子%以上18原子%以下とすることがより好ましく、1
1.3原子%以上14原子%以下とすることが最も好ま
しい。PとSiの合計量を示す組成比v2が上記の範囲
であれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させるこ
とができる。
【0097】PとSiを同時に添加した場合のSiとP
との比を表す組成比b2は、組成比v2が0原子%を越え
て22原子%以下のときに0<b2≦0.8とすること
が好ましく、組成比v2が8原子%以上18原子%以下
のときに0.1≦b2≦0.35とすることが好まし
く、組成比v2が11.3原子%以上14原子%以下の
ときに0.1≦b2≦0.28とすることが好ましい。
組成比b2が0.8を越えるとSiの量が過剰になり、
過冷却液体領域ΔTxが消滅するおそれがあるので好ま
しくない。なお、このときの金属ガラス合金におけるS
iの濃度を示すと、好ましい場合に17.6原子%以
下、より好ましい場合に0.8原子%以上6.3原子%
以下、最も好ましい場合に1.13原子%以上3.92
原子%以下となる。
【0098】PとSiの組成比を示すb2、v2を上記の
範囲とすれば、過冷却液体の温度間隔ΔTxを向上させ
ることができる。
【0099】またCの組成比z2は、0原子%を越えて
12原子%以下であることが好ましく、0.5原子%以
上7.4原子%以下であることがより好ましく、1.8
原子%以上4.6原子%以下であることが最も好まし
い。更にBの組成比w2は、0原子%を越えて16原子
%以下であることが好ましく、3原子%以上14原子%
以下であることがより好ましく、5.3原子%以上8.
6原子%以下であることが最も好ましい。
【0100】また、上記の金属ガラス合金の組成に元素
L、元素M及び元素Eを添加することにより、金属ガラ
ス合金の表面に不動態被膜を形成させて、金属ガラス合
金の耐腐食性を向上させても良い。元素LはTi、Z
r、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素であり、
C、Pと化合物を形成して金属ガラス合金の融点を向上
させる。元素Lの組成比を示すd2は0原子%以上4原
子%以下の範囲が好ましく、0原子%以上3原子%以下
の範囲がより好ましく、0原子%以上2原子%以下の範
囲が更に好ましい。組成比d2が4原子%を越えると、
Fe量が相対的に低下して軟磁気特性が低下するととも
に、金属ガラス合金が脆くなるので好ましくない。
【0101】元素MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
以上の元素であり、これらの元素が特に金属ガラス合金
の耐腐食性を向上させる。元素Mの中でも特にCrが好
ましい。Crを組成比で8原子%程度添加すると、ハス
テロイ並の耐腐食性が得られる。元素Mの組成比を示す
e2は0原子%以上8原子%以下の範囲が好ましく、0
原子%以上6原子%以下の範囲がより好ましく、0原子
%以上4原子%以下の範囲が更に好ましい。組成比e2
が8原子%を越えると、Fe量が相対的に低下して軟磁
気特性が低下するので好ましくない。また元素EはP
d、Pt、Auのうちの一種以上の元素であり、この元
素Eは極めて耐腐食性が高いと同時に他の合金構成元素
に対して不活性であり、金属ガラス合金中で単相状態で
存在することにより金属ガラス合金の耐腐食性を向上さ
せる。元素Eの組成比を示すf2は0原子%以上8原子
%以下の範囲が好ましく、0原子%以上6原子%以下の
範囲がより好ましく、0原子%以上4原子%以下の範囲
が更に好ましい。組成比f2が8原子%を越えると、F
e量が相対的に低下して飽和磁束密度が低下するので好
ましくない。
【0102】また、上記の組成に、Geが4原子%以下
含有されていてもよい。これらのいずれの場合の組成に
おいても、本発明においては、35K以上、組成によっ
ては50K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxが得られ
る。また上記の組成で示される元素の他に不可避的不純
物が含まれていても良い。
【0103】「金属ガラス合金の組成のその他の例」次
に、磁心2に好適に用いられる金属ガラス合金のその他
の例として、Fe、Co、Niのうちの1種又は2種以
上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、M
o、Ti、V、Cr、Wのうちの1種又は2種以上の元
素MとBを含んでなるものを例示できる。
【0104】この金属ガラス合金の組成式は次の通りで
ある。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3x3y3 なお、組成比を示すa3、b3、x3、y3は、0≦a3≦
0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20原子
%、10原子%≦y3≦22原子%である。また、前記の
組成式において、Zrを必ず含み、ΔTxが25K以上
であることが好ましい。また、この金属ガラス合金のΔ
Txが60K以上であることがより好ましい。更に、組
成比を示すa3、b3が、0.042≦a3≦0.29、0.
042≦b3≦0.43の関係にされてなることがより好
ましい。
【0105】また、この金属ガラス合金は、下記の組成
式で表されるものであっても良い。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3-z3x3y3
z3 なお、組成比を示すa3、b3、x3、y3、z3は、0≦
a3≦0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20
原子%、10原子%≦y3≦22原子%、0原子%≦z3≦
5原子%であり、TはRu、Rh、Pd、Os、Ir、
Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種
以上の元素である。また、この金属ガラス合金のΔTx
が60K以上であることがより好ましい。更に、組成比
を示すa3、b3が、0.042≦a3≦0.29、0.04
2≦b3≦0.43の関係にされてなることがより好まし
い。
【0106】また、上記の各組成式における元素Mが
(M'1-cM''c)で表され、M'がZrまたはHfのうち
の1種または2種、M''がNb、Ta、Mo、Ti、
V、Cr、Wのうちの1種または2種以上からなる元素
であり、組成比cが0≦c≦0.6であってもよい。更
に、前記組成において組成比cが0.2≦c≦0.4の範
囲であってもよく、0≦c≦0.2の範囲であってもよ
い。更に前記の各組成式において、組成比a3、b3が、
0.042≦a3≦0.25、0.042≦b3≦0.1であ
ってもよい。
【0107】この金属ガラス合金の主成分であるFeと
CoとNiは磁性を担う元素であり、高い飽和磁束密度
と優れた軟磁気特性を得るために重要である。また、F
eを多く含む成分系においてΔTxが大きくなり易く、
Feを多く含む成分系においてCoの組成比とNiの組
成比を適正な値とすることで、ΔTxの値を60K以上
にすることができる。具体的には、50K〜60KのΔ
Txを確実に得るためには、Coの組成比a3を0≦a3
≦0.29とし、Niの組成比b3を0≦b3≦0.43の
範囲とすることが好ましく、また60K以上のΔTxを
確実に得るためには、Coの組成比a3を0.042≦a
3≦0.29とし、Niの組成比b3を0.042≦b3≦
0.43の範囲とすることが好ましい。また、前記の範
囲内において、良好な軟磁気特性を得るためには、Co
の組成比a3を0.042≦a3≦0.25の範囲とするこ
とが好ましく、高い飽和磁束密度を得るためには、Ni
の組成比b3を0.042≦b3≦0.1の範囲とすること
がより好ましい。
【0108】元素Mは、非晶質相を生成させるために有
効な元素であり、元素Mの組成比x3は5原子%以上2
0原子%以下の範囲が好ましい。更に、高い磁気特性を
得るために組成比x3を5原子%以上15原子%以下と
しても良い。これら元素Mのうち、特にZrまたはHf
が有効である。ZrまたはHfは、その一部をNb等の
元素に置換できるが、置換する場合の組成比cを、0≦
c≦0.6の範囲とすると高いΔTxを得ることができ、
特に0.2≦c≦0.4の範囲とするとΔTxを80以上
とすることができる。
【0109】Bは、高い非晶質形成能があり、本発明で
はBの組成比y3を10原子%以上22原子%以下の範
囲としている。組成比y3が10原子%未満であると、
ΔTxが消滅するために好ましくなく、22原子%を越
えると非晶質相が形成できなくなるために好ましくな
い。より高い非晶質形成能と良好な磁気特性を得るため
には、組成比y3を16原子%以上20原子%以下とす
ることがより好ましい。
【0110】この金属ガラス合金に更に、元素Tで示さ
れるRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、S
i、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上の元素を添
加することもできる。本発明ではこれらの元素Tの組成
比z3を0原子%以上5原子%以下の範囲とすることが
できる。これらの元素Tは主に耐食性を向上させる目的
で添加するもので、この範囲を外れると軟磁気特性が低
下する。また、この範囲を外れると非晶質形成能が劣化
するために好ましくない。
【0111】また、上記の組成において原子Bの50%
以下をCで置換しても良い。上記のいずれの場合の組成
においても本発明に係る金属ガラス合金では、20K以
上、組成によっては60K以上の過冷却液体の温度間隔
ΔTxが得られる。
【0112】「磁心の製造方法」本発明に係る磁心2
は、例えば次のようにして製造できる。この磁心2は、
金属ガラス合金の粉末を製造する粉末製造工程と、この
金属ガラス合金の粉末に絶縁材を加えて混合し、更に圧
縮成形して磁心前駆体を形成する成形工程と、磁心前駆
体を熱処理して内部応力を除去する熱処理工程を経て製
造される。
【0113】粉体製造工程ではまず、上述のいずれかの
組成の金属ガラス合金の溶湯を回転する冷却ロールの冷
却面に噴出させて急冷するいわゆるロール急冷法によ
り、金属ガラス合金薄帯を製造する。次に、得られた金
属ガラス合金薄帯を粉砕して粉末とする。粉砕には、ロ
ータミル、ボールミル、ジェットミル、アトマイザー、
摩砕機等を用いる。
【0114】次に、粉砕体を分級して所定の平均粒径を
有する粉末とする。粉砕により粉末を作成する場合は、
粉末の平均粒径を30μm以上、より好ましくは45μ
m以上300μm以下とするのがよい。平均粒径が30
μm未満であると、粉砕の際にロータミル等からのコン
タミネーションが起こる可能性もあるので好ましくな
い。平均粒径が300μmを越えると、絶縁材を混合し
て圧縮成形した際に圧粉磁心の組織中に空隙が残存し
て、磁心のコアロスが大きくなるので好ましくない。分
級には、ふるい、振動ふるい、音波ふるい、気流式分級
機等を用いることができる。
【0115】また、上記組成の金属ガラス合金の溶湯
を、冷却ロールに霧状に吹き付けることによっても金属
ガラス合金の粉末を得ることができる。また、上記組成
の金属ガラス合金の溶湯を高圧ガスとともに霧状に吹き
出して冷却したり、あるいは上記組成の金属ガラス合金
の溶湯を水中に霧状に吹き出して冷却することによって
も粉末を得ることができる。特に、上記組成からなる金
属ガラス合金の溶湯を、高圧の不活性ガスとともに不活
性ガスで満たされたチャンバ内部に霧状に噴霧し、該不
活性ガス雰囲気中で急冷して合金粉末を製造するガスア
トマイズ法を用いることが好ましい。
【0116】上記のように、合金溶湯を霧状に噴霧させ
て急冷した場合は、粒状あるいは略球状の粒子からなる
金属ガラス合金金粉末を得ることができる。この球状の
粒子からなる粉末を用いて圧粉磁心を形成した場合は、
圧粉磁心の充填密度を高くすることができ、粉末間の絶
縁を確保しやすくなるので、磁気特性が劣化せず、優れ
たコアロスを発現させるとともに高周波帯域での透磁率
の低下を抑制できる。
【0117】次に成形工程では、金属ガラス合金の粉末
に絶縁材を加えて混合し、この混合物を圧縮成形して磁
心前駆体を形成する。混合物中の絶縁材の混合率は、
0.2重量%以上5重量%以下であることが好ましい。
絶縁材が0.2重量%未満では、金属ガラス合金の粉末
をこの絶縁材ととともに所定の形状に成形できなくなる
ので好ましくない。また、絶縁材が5重量%を越える
と、磁心における金属ガラス合金の含有率が低下し、磁
心の軟磁気特性が低下するので好ましくない。また、圧
縮成形する前に混合物に含まれる溶剤、水分等を蒸発さ
せ、金属ガラス合金粉末の表面に絶縁材層を形成させる
ことが望ましい。
【0118】次にこの混合物を圧縮成形して磁心前駆体
を製造する。まず、所定の金型に混合物を充填し、次
に、金型に成形圧力を印加しつつ所定の成形温度まで加
熱して混合物を圧縮成形する。この圧縮成形には、例え
ば金型を所定の成形圧力で加圧しつつ、パルス電流を印
加して加熱しつつ圧縮成形する放電プラズマ焼結処理を
行うことが好ましい。この放電プラズマ焼結処理は、通
電電流により混合物を所定の速度で素早く昇温すること
ができ、圧縮成形の時間を短くすることができるので、
金属ガラス合金の非晶質相を維持したまま圧縮成形する
のに適している。
【0119】本発明において、混合物を圧縮成形する際
の成形温度は、絶縁材の種類と金属ガラス合金の組成に
よって異なるが、絶縁材として水ガラス、金属ガラス合
金としてFe70Al5Ga29.655.754.6Si3なる
組成のものを用いた場合には、絶縁材によって金属ガラ
ス合金を結着させるために373K以上とすることが必
要であり、また絶縁材が溶融して金型からしみ出さない
ようにするには573K以下とすることが必要である。
絶縁材がしみ出ると、磁心2中の絶縁材の含有量が低下
して磁心2の比抵抗が低下し、高周波帯域における透磁
率が低下してしまう。従って373K以上573K以下
の温度範囲で混合物を圧縮成形すれば、絶縁材が適度に
軟化するので、金属ガラス合金の粉末を結着させて混合
物を所定の形状に成形することができる。
【0120】また混合物に印加する成形圧力(一軸圧
力)については、圧力が低すぎると磁心2の密度を高く
することができず、緻密な磁心2を形成できなくなる。
また、圧力が高すぎると絶縁材がしみ出し、磁心2中の
絶縁材の含有量が低下して磁心2の比抵抗が低下し、高
周波帯域における透磁率が低下してしまう。従って成形
圧力は、絶縁材の種類と金属ガラス合金の組成によって
異なるが、絶縁材として水ガラス、金属ガラス合金とし
てFe70Al5Ga29.655.754.6Si3なる組成の
ものを用いた場合には、600MPa以上1500MP
a以下とするのが好ましく、600MPa以上900M
Pa以下とするのがより好ましい。このようにして円環
状の磁心前駆体が得られる。
【0121】次に磁心前駆体を熱処理して内部応力を除
去する熱処理工程を行う。磁心前駆体を所定の温度範囲
で熱処理すると、粉末製造工程や成形工程にて生じた磁
心前駆体自体の内部応力や、磁心前駆体に含まれる金属
ガラス合金粉末の内部応力を除去することができ、コア
ロスが低く振幅透磁率の磁界変化がほぼ一定である磁心
を製造することができる。熱処理温度は、金属ガラス合
金としてFe70Al5Ga29.655.754.6Si3なる
組成のものを用いた場合にはガラス遷移温度をTgとし
たときに、(Tg−170)K以上Tg以下の範囲が好ま
しく、(Tg−150)K以上(Tg−50)K以下の範
囲がより好ましく、(Tg−120)K以上(Tg−6
0)K以下の範囲がさらに好ましい。
【0122】熱処理温度が(Tg−170)K未満で
は、磁心前駆体の内部応力を十分に除去することができ
ないので好ましくなく、Tgを越えると、金属ガラス合
金が結晶化してしまうので好ましくない。
【0123】このようにして得られた磁心2は、金属ガ
ラス合金を含むものであるから、室温で優れた軟磁性特
性を有し、また熱処理によってより良好な軟磁気特性を
示すものである。このため、優れたSoft magnetic特性
(軟磁気特性)を有する材料として、この磁心2を本発
明に係るフィルタ6に好適に用いることができ、従来材
に比べてコアロスが小さく、振幅透磁率が磁界変化に対
してほぼ一定である磁心を提供できる。
【0124】尚、上記説明では、金属ガラス合金の粉末
と絶縁材を含む混合物を放電プラズマ焼結処理により圧
縮成形する方法を説明したが、これに限らず、通常の粉
末成形法、ホットプレス法、押し出し法などの方法によ
り圧縮成形することによっても磁心2を得ることができ
る。更に、絶縁材の種類と添加量、成形圧力を選択する
ことにより室温で成形することも可能になる。
【0125】上記のフィルタ6は、上記組成の金属ガラ
ス合金の粉末と絶縁材とからなる磁心2を備えており、
絶縁材によって磁心2全体の比抵抗を高くすることがで
き、渦電流損失を低減して磁心2のコアロスを低くする
ことが可能になるので、低損失で発熱量が小さなフィル
タ6を構成することができる。また上記の磁心2は、上
記組成の金属ガラス合金粉末からなり、高周波数帯域に
おける透磁率の低下が小さいので、フィルタ6の周波数
特性を向上させることができる。また上記の磁心2は、
比抵抗が1.5μΩ・m以上の上記組成の金属ガラス合
金粉末からなるので、高周波における金属ガラス合金粒
子内の渦電流損失が低減され、よりコアロスが低い磁心
を構成することが可能になり、低損失で発熱量が小さな
フィルタ6を構成することができる。
【0126】また、上記の磁心2は、200A/mの磁
界における振幅透磁率を基準としたときの2000A/
mの磁界における振幅透磁率の変化率が±10%以内で
あるので、パルス状の交流電流を波形歪みを伴うことな
く平滑化することができ、出力波形の歪みが小さなフィ
ルタ6を構成することができる。また、上記の磁心2
は、100kHzにおける透磁率が50以上200以下
であるので、コイル3の巻回数を少なくしてインダクタ
1を小型化でき、これによりフィルタ6若しくは増幅装
置4を小型化することができる。
【0127】そして、上記の増幅装置4は、低損失で波
形歪みの小さな上記のフィルタ6を備えているので、増
幅装置4自体の発熱を小さくできるとともに、波形歪み
が小さくできるため増幅率を更に増加しても歪みの小さ
な良質な出力電流を供給することができる。
【0128】
【実施例】(実験例1:FeAlGaPCBSi系合金
の物性)Fe、Al及びGaと、Fe-C合金、Fe-P
合金、B及びSiを原料としてそれぞれ所定量秤量し、
減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加
熱装置で溶解し、Fe70Al5Ga29.655.754.6
Si3なる組成のインゴットを作製した。このインゴッ
トをるつぼ内に入れて溶解し、減圧Ar雰囲気下でるつ
ぼのノズルから回転しているロールに溶湯を吹き出して
急冷する単ロール法により、幅15mm、厚さ20μm
の非晶質相組織の金属ガラス合金の薄帯を得た。これを
ローターミルを用いて大気中で粉砕し、45〜300μ
mの範囲の粒径のものをふるいで分級し、これを金属ガ
ラス合金の粉末とした。
【0129】図6には、Fe70Al5Ga29.655.75
4.6Si3なる組成の実施例1の金属ガラス合金の粉末
のX線回折測定の結果を示す。図6から明らかなよう
に、実施例1のX線回折パターンは、ブロードなパター
ンを示しており、非晶質相を主体とする組織を有してい
ることがわかる。
【0130】図7には、実施例1の金属ガラス合金の粉
末のDSC曲線(Differential scanning caloriemete
r:示差走査熱量測定による曲線(測定時の昇温速度:
40K/分))を示す。図7から、実施例1の金属ガラ
ス合金の粉末については、Tx=805K(532
℃)、Tg=745K(472℃)、ΔTx=60Kが求
められる。このように、Fe70Al5Ga29.655.75
4.6Si3なる組成の金属ガラス合金粉末には結晶化温
度Tx以下の広い温度領域で過冷却液体域が存在し、Δ
Tx=Tx−Tgで示される値が大きく、この系の組成の
合金が高いアモルファス形成能と高い熱的安定性を有す
ることがわかる。
【0131】(実験例2:FeAlPCBSi系合金の
物性)Fe及びAlと、Fe-C合金、Fe-P合金、B
及びSiを原料としたこと以外は実験例1と同様にし
て、種々の組成の実施例2〜実施例15の金属ガラス合
金の薄帯を得た。
【0132】実施例2〜15の金属ガラス合金の薄帯の
組成を表1に示す。実施例2〜15の組成は、Fe70
7(P0.76Si0.24v1z1w1(但し、v1は10.
35〜14.95原子%、z1は1.15〜8.05原
子%、w1は2.3〜9.2原子%である)のものであ
った。また、実施例2〜15の金属ガラス合金につい
て、X線回折により結晶構造の解析を行った。結果を図
8に示す。更に、実施例5及び実施例15の金属ガラス
合金について、DSC測定を行った。DSC測定の際の
昇温速度は40K/分であった。結果を図9及び表2に
示す。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】図8から明らかなように、実施例2〜15
のX線回折パターンはブロードなパターンを示してお
り、非晶質相を主体とする組織を有していることがわか
る。
【0136】また、図9及び表2から明らかなように、
実施例5のDSC曲線には、758Kにガラス遷移温度
Tgが認められ、821Kに結晶化開始温度Txが観察さ
れ、ΔTx=Tx−Tgで示される過冷却液体の温度間隔
ΔTxは63Kであった。また、実施例15の金属ガラ
ス合金のDSC曲線には、760Kにガラス遷移温度T
gが認められ、821Kに結晶化開始温度Txが観察さ
れ、過冷却液体の温度間隔ΔTxは61Kであった。
【0137】以上のことから、実施例2〜15の金属ガ
ラス合金には、結晶化温度Tx以下の広い温度領域で過
冷却液体域が存在し、ΔTx=Tx−Tgで示される値が
大きいことが分かる。従ってFe、Ga、P、C、Bお
よびSiからなる合金であっても、20K以上の広い過
冷却液体の温度間隔ΔTxを示すことがわかる。
【0138】次に、実施例2〜15の全ての金属ガラス
合金薄帯についてDSC測定を行い、ガラス遷移温度T
g、結晶化開始温度Txをそれそれ測定するとともに、過
冷却液体の温度間隔ΔTxを求めた。なお、DSC測定
の際の昇温速度は40K/分であった。図10にガラス
遷移温度Tgの組成依存性、図11に結晶化開始温度Tx
の組成依存性、図12に過冷却液体の温度間隔ΔTxの
組成依存性をそれぞれ示す。
【0139】なお、図10〜図12の三角組成図中のプ
ロットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTxの値をそれぞれ示
す。また、図10〜図12の三角組成図には等温線を記
入しており、この等温線の近傍に付した数字はこれらの
等温線の値を示す。
【0140】図10よりガラス遷移温度Tgは、B量の
増加及びC量の減少伴って上昇しており、Tgの760
Kの等温線がBの組成比w1の4.1〜8.05原子%
の範囲、かつCの組成比z1の2.3〜5.1原子%の
範囲にある。また図11より結晶化開始温度Txは、Tg
と同様にB量の増加及びC量の減少に伴って上昇し、T
xの815Kの等温線がBの組成比w1の4〜8.4原子
%の範囲、かつCの組成比z1の0.3〜5原子%の範
囲にある。そして図12に示すように、図10に示すT
gの760Kの等温線と、図11に示すTxの815Kの
等温線とに囲まれた範囲が、ΔTxの60Kの等温線の
範囲に相当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔT
xが60Kを越えており、特にFe70Al7(P0.76Si
0.2412.653.456.9なる組成の実施例5の金属ガラ
ス合金のΔTxが63Kと最大であることがわかる。
【0141】(実験例3:FeGaPCBSi系合金の
物性)Fe及びGaと、Fe-C合金、Fe-P合金、B
及びSiを原料としたこと以外は実験例1と同様にし
て、種々の組成の実施例16〜実施例32の金属ガラス
合金の薄帯を得た。
【0142】実施例16〜実施例32の金属ガラス合金
薄帯の組成を表3に示す。また、実施例16〜32につ
いて、X線回折法により結晶構造の解析を行った。結果
を図13及び図14に示す。更に、実施例29の金属ガ
ラス合金について、DSC測定を行った。DSC測定の
昇温速度は40K/分とした。結果を図15及び表3に
示す。
【0143】
【表3】
【0144】図13及び図14から明らかなように、実
施例16〜32のX線回折パターンはいずれもブロード
なパターンを示しており、非晶質相を主体とする組織を
有していることがわかる。
【0145】また、図15及び表2から明らかなよう
に、実施例29のDSC曲線には、740Kにガラス遷
移温度Tgが認められ、800Kに結晶化開始温度Txが
観察される。また、ΔTx=Tx−Tgで示される過冷却
液体の温度間隔ΔTxは60Kであった。更にガラス遷
移温度Tgと融点Tmの比であるTg/Tmは0.58であ
った。また、Fe70Al5Ga29.655.754.6Si3
なる組成の実施例1の金属ガラス合金についてもTg/
Tmを求めたところ、0.59の値を示した。
【0146】以上のことから、実施例29の金属ガラス
合金は、Alが添加されていないにもかかわらず、結晶
化温度Tx以下の広い温度領域で過冷却液体域が存在
し、ΔTx=Tx−Tgで示される値が大きく、金属ガラ
スであることが分かる。また実施例29の金属ガラス合
金のTg/Tmは実施例1の金属ガラス合金のTg/Tmと
ほぼ同等な値を示しており、このTg/Tmの値は合金の
非晶質形成能を示す指標であることから、実施例29の
金属ガラス合金はAlが添加されていないにもかかわら
ず、実施例1の金属ガラス合金とほぼ同等の高い非晶質
形成能を有していることが分かる。従ってFe、Ga、
P、C、BおよびSiからなる合金であっても、非晶質
形成能が高く、20K以上の広い過冷却液体の温度間隔
ΔTxを示すことがわかる。
【0147】次に、得られた全ての金属ガラス合金につ
いて、DSC測定を行い、ガラス遷移温度Tg、結晶化
開始温度Txを測定するとともに、過冷却液体の温度間
隔ΔTxを求めた。DSC測定の昇温速度は40K/分
とした。図16にガラス遷移温度Tgの組成依存性、図
17に結晶化開始温度Txの組成依存性、図18に過冷
却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性をそれぞれ示す。
また、表3に、各実施例の金属ガラス合金のガラス遷移
温度Tg、結晶化開始温度Tx、過冷却液体の温度間隔Δ
Txを示す。
【0148】なお、図16〜図18の三角組成図中のプ
ロットの添え数字は、ガラス遷移温度Tg、結晶化開始
温度Tx、過冷却液体の温度間隔ΔTxの値をそれぞれ示
す。また、図16〜図18の三角組成図には、等温線若
しくは等値線を記入しており、これらの線の近傍に付し
た数字は等温線若しくは等高線の値を示す。
【0149】図16よりガラス遷移温度Tgは、Bの増
加に伴って上昇しており、Tgの750Kの等温線がB
の組成比w2の1.5〜10.5原子%の範囲にある。
また図17より結晶化開始温度Txは、Tgの場合と同様
にBの増加に伴って上昇しており、Txの800Kの等
温線がBの組成比w2の4.5〜10.5原子%の範囲
にある。そして図18に示すように、図16に示すTg
の750Kの等温線と、図17に示すTxの800Kの
等温線とに囲まれた範囲が、ΔTxの50Kの等温線の
範囲に相当し、この範囲内で過冷却液体の温度間隔ΔT
xが50Kを越えていることがわかる。
【0150】(実験例4:FeNiCoMB系合金の物
性)Fe、Co、Ni、Hf及びNbと、Bを原料とし
たこと以外は実験例1とほぼ同様にして、実施例33〜
実施例36の(Fe1-a3-b3Coa3Nib370Zr1 0
20なる組成の金属ガラス合金の薄帯を得た。また、上記
と同様にしてFe56Co7Ni7Hf8Nb220なる組成
の金属ガラス合金薄帯を得た。この薄帯をローターミル
により大気中で粉砕し、45〜150μmの粒径のもの
を分級し、これを実施例37の金属ガラス合金粉末とし
た。
【0151】図19には、実施例37の金属ガラス合金
粉末のX線回折の結果を示す。図19から明らかなよう
に、この金属ガラス合金粉末のX線回折パターンはブロ
ードなパターンを示し、非晶質相を主体とする組織であ
ることがわかる。また図20には、実施例37の金属ガ
ラス合金粉末のDSC曲線(測定時の昇温速度:40K
/分)を示す。図20から明らかなように、この組成の
金属ガラス合金においては、Tx=868K、Tg=80
3K、ΔTx=65Kとなっている。
【0152】また図21には、実施例33〜36の(F
1-a3-b3Coa3Nib370Zr1020なる組成の金属
ガラス合金のTgに対するFeとCoとNiの組成依存
性を示し、図22には同組成系におけるΔTx(=Tx−
Tg)の値に対するFeとCoとNiの組成依存性を示
す。また表4に、実施例33〜36のΔTxを示す。
【0153】
【表4】
【0154】図22から明らかなように、(Fe
1-a3-b3Coa3Nib370Zr1020なる組成の全ての
範囲においてΔTxの値は25Kを超えている。また、
図21からわかるようにTgの値に関し、Coを7原子
%程度から50原子%程度の範囲で増加させることでT
gが単調に増加することも明らかになった。一方、ΔTx
に関し、図22に示すようにFeを多く含む組成系にお
いて大きな値になっていることがわかり、ΔTxを60
K以上にするには、Co含有量を3原子%以上、20原
子%以下、Ni含有量を3原子%以上、30原子%以下
にすることが好ましいことがわかる。また表4から明ら
かなように、実施例33〜36の金属ガラス合金は、い
ずれもΔTxが68Kであり、60Kを越えていること
が判る。
【0155】なお、(Fe1-a3-b3Coa3Nib370
1020なる組成式においてCo含有量を3原子%以上
にするには、(Fe1-a3-b3Coa3Nib3)を70原子
%とするので、Coの組成比a3が0.042以上、Co
含有量を20原子%以下にするには、Coの組成比a3
が0.29以下となる。また、同様にNi含有量を3原
子%以上にするにはNiの組成比b3が0.042以上、
30原子%以下にするには、Niの組成比b3が0.43
以下となる。
【0156】このように、上記組成の金属ガラス合金
は、非晶質相を主相とするとともに結晶化温度Tx以下
の広い温度領域で過冷却液体域が存在し、ΔTx=Tx−
Tgで示される値が大きく、この系の組成の合金が高い
アモルファス形成能と高い熱的安定性を有することがわ
かる。
【0157】以上、実験例1〜実験例4の結果より、本
発明に係る金属ガラス合金は、いずれも非晶質相を主相
とする組織からなり、20K以上、組成によっては60
K以上の過冷却液体の温度間隔ΔTxを有することが分
かる。
【0158】(実験例5:金属ガラス合金の磁気特性)
実験例1とほぼ同様にして、種々の組成の金属ガラス合
金薄帯を得た。次にこれらの薄帯を、ローターミルを用
いて大気中で粉砕し、45〜150μmの範囲の粒径の
ものをふるいで分級し、これらを実施例38〜41の金
属ガラス合金の粉末とした。
【0159】また、Fe及びAlと、Fe-C合金、F
e-P合金、B及びSiを原料としてそれぞれ所定量秤
量し、減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波
誘導加熱装置で溶解し、種々の組成のインゴットを作製
した。次に溶湯るつぼ及びチャンバを主体として構成さ
れる高圧ガス噴霧装置を用意し、前記のインゴットをこ
の高圧ガス噴霧装置の溶湯るつぼ内に入れて溶解し、溶
湯るつぼ先端の溶湯ノズルからチャンバに向けて、るつ
ぼ内の合金溶湯を高圧アルゴンガスと共に噴射して霧状
にし、チャンバ内でこの霧状の合金溶湯を急冷させるこ
とにより、粒径が1〜150μmの範囲の金属ガラス合
金粉末を得た。これを実施例42の金属ガラス合金の粉
末とした。
【0160】実施例38〜41の金属ガラス合金粉末9
7重量部に対し、絶縁材としてステアリン酸カルシウム
1重量部と水ガラス2重量部とを混合して混合物とし
た。この混合物を大気中200℃で1時間乾燥して解砕
した。この混合物をWC製の金型に充填した後、放電プ
ラズマ焼結装置を用い、6.6×10-3Paの減圧雰囲
気中で、混合物を成形圧力Ps600MPaまたは15
00MPaまで加圧するとともに、通電装置からパルス
電流を通電して混合物を室温(298K(25℃))か
ら373K(100℃)、473K(200℃)または
573K(300℃)の成形温度Tsまで加熱した。そ
して、混合物に前記の成形圧力Psを印加したままで前
記の成形温度Tsを約8分間保持することにより圧縮成
形を行った。そして、昇温速度5K/分で673Kまた
は703Kの熱処理温度まで加熱して60分間熱処理す
ることにより、実施例38〜41の磁心を製造した。こ
れらの磁心の形状は外径12mm、内径6mm、厚さ2
mmの円環状であった。
【0161】また、実施例42の金属ガラス合金粉末9
8重量部に2重量部のシリコーンエラストマーを混合し
て混合物とし、この混合物に対して、成形圧力Psを1
500MPa、成形温度Tsを室温(298K(25
℃))、昇温速度40K/分で(683K(410
℃))まで加熱して60分間熱処理する条件としたこと
以外は上記実施例38〜41と同様にして、実施例42
の磁心を製造した。この磁心の形状は外径12mm、内
径6mm、厚さ2mmの円環状であった。
【0162】表5に、実施例38〜42の圧粉磁心の合
金組成及び製造条件を示す。また表6に、実施例42の
圧粉磁心に使用した金属ガラス合金のガラス遷移温度T
g、結晶化開始温度Tx及び過冷却液体の温度間隔ΔTx
を示す。測定はDSCで行い、昇温速度は0.67K/
秒であった。また、これらの圧粉磁心について、振幅透
磁率の変化率(Δμ’)とコアロス(W)を測定した。
図23及び図24には、200A/mの磁界における振
幅透磁率を基準としたときの振幅透磁率の変化率(Δ
μ’)と磁界との関係を示す。また図25及び図26に
は、コアロス(W)の周波数特性を示す。コアロス
(W)は磁束密度Bm0.1Tの条件で測定した。
【0163】また、比較例1として、カーボニル鉄圧粉
磁心の振幅透磁率の変化率(Δμ’)とコアロスを測定
した。結果を図23〜図26に併せて示す。
【0164】
【表5】
【0165】
【表6】
【0166】まず、表6に示すように、FeAlPCB
Siからなる実施例42の合金は、Tgが497K、Tx
が535K、ΔTxが38Kを示しており、金属ガラス
合金であることがわかる。次に図23に示すように、実
施例38〜41の磁心はいずれも、2000A/mの磁
界における変化率(Δμ’)が−5%程度であり、これ
は±10%の範囲内であり、振幅透磁率が磁界変化に対
してほぼ一定であることがわかる。また図24に示すよ
うに、実施例42の磁心は、2000A/mの磁界にお
ける変化率(Δμ’)が−1%程度であり、磁界変化に
対する振幅透磁率の変化が極めて安定であることがわか
る。一方、比較例1の磁心は、2000A/mの磁界に
おける変化率(Δμ’)が+10%を越えており、振幅
透磁率が磁界変化に対して大きく変化していることがわ
かる。
【0167】次に図25に示すように、実施例38〜4
1の磁心は、周波数10kHzにおいて3〜25kWm
-3程度の比較的小さなコアロスを示しており、特に実施
例38の磁心は、10kHzにおいて3kWm-3という
極めて低いコアロスを示している。また、周波数100
kHzでは、実施例38〜41のいずれの磁心も500
〜800kWm-3程度のコアロス(W)を示している。
また図26に示すように、実施例42の磁心は、周波数
20kHzにおいて9kWm-3程度のコアロスを示して
おり、周波数100kHzにおいて約300kWm-3
度、200kHzにおいて約580kWm-3程度のコア
ロス(W)を示している。一方、比較例1の磁心のコア
ロス(W)は、周波数10kHzで250kWm -3、周
波数100kHzで2000kWm-3であり、実施例3
8〜41もしくは実施例42と比較してコアロス(W)
がかなり高くなっている。
【0168】従って、本発明に係る金属ガラス合金から
なる磁心は、従来のカーボニル鉄圧粉磁心よりもコアロ
スが小さく、振幅透磁率が磁界変化に対して一定である
ことが分かる。従って本発明に係る磁心を、フィルタの
磁心として用いた場合は、損失が小さく、発熱量が小さ
く、かつ平滑化後の波形の歪みが少ないフィルタを構成
することができる。
【0169】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
フィルタは、コンデンサと、磁心に巻回されたコイルか
らなるインダクタを具備してなり、前記磁心が、過冷却
液体の温度間隔ΔTxを有する金属ガラス合金の粉末と
絶縁材とが混合されて成形されてなるものであり、この
金属ガラス合金は結晶化温度よりも十分低い温度の熱処
理により磁心の内部応力を緩和あるいは除去できるの
で、コアロスが低く、振幅透磁率が磁界変化に対してほ
ぼ一定である磁心を構成することができ、フィルタの損
失を小さくして発熱を小さくし、かつ波形の歪みを小さ
くできる。
【0170】また、比抵抗が1.5μΩ・m以上の金属
ガラス合金を用いているので、高周波における金属ガラ
ス合金粒子内の渦電流損失が低減され、よりコアロスが
低い磁心を構成することができ、フィルタの損失をより
小さくできる。また、絶縁材によって磁心全体の比抵抗
を高くすることができ、渦電流損失をより低減して磁心
のコアロスをさらに低くすることが可能になるととも
に、高周波数帯域での透磁率の低下を抑制することが可
能になり、フィルタの高周波特性を向上できる。
【0171】また、200A/mの磁界における振幅透
磁率を基準としたときの2000A/mの磁界における
前記磁心の振幅透磁率の変化率が±10%以内であるの
で、フィルタの出力波形が歪むことがなく、このフィル
タをパルス幅変調増幅器の平滑回路として好適に用いる
ことができる。また、前記磁心の100kHzにおける
透磁率が50以上200以下であるので、コイルの巻回
数を少なくしてインダクタを小型化でき、フィルタを小
型化できる。
【0172】また、本発明に係るフィルタの磁心は、所
定の組成の金属ガラス合金からなり、従来のカーボニル
鉄圧粉磁心よりもコアロスが小さく、振幅透磁率が磁界
変化に対して一定であるので、フィルタの損失をより小
さくして発熱量を低減し、かつ平滑化後の波形の歪みを
より小さくできる。
【0173】また、本発明の増幅装置は、パルス電流を
出力する増幅器と、該増幅器の出力側に接続されて前記
パルス電流を平滑化するフィルタとからなり、前記フィ
ルタは、コンデンサと、前記の磁心に巻回されたコイル
からなるインダクタとを具備してなるので、低損失で発
熱が小さく、波形歪みの小さな増幅装置を構成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態であるフィルタに用いら
れるインダクタの一例を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施形態である増幅装置の回路図で
ある。
【図3】 図2に示す増幅装置の入力電流の波形を示す
図である。
【図4】 図2に示す本発明の増幅装置に備えられたフ
ィルタの入力電流の波形を示す図である。
【図5】 図2に示す増幅装置の出力電流の波形を示す
図である。
【図6】 Fe70Al5Ga29.655.754.6Si3
る組成の実施例1の金属ガラス合金の粉末のX線回折結
果を示す図である。
【図7】 実施例1の金属ガラス合金の粉末のDSC曲
線を示す図である。
【図8】 Fe70Al7(P0.76Si0.24v1z1w1
なる組成の実施例2〜15の金属ガラス合金薄帯のX線
回折測定の結果を示す図である。
【図9】 実施例5及び実施例15の金属ガラス合金薄
帯のDSC曲線を示す図である。
【図10】 実施例2〜15の金属ガラス合金薄帯のガ
ラス遷移温度Tgの組成依存性を示す図である。
【図11】 実施例2〜15の金属ガラス合金薄帯の結
晶化開始温度Txの組成依存性を示す図である。
【図12】 実施例2〜15の金属ガラス合金薄帯の過
冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性を示す図であ
る。
【図13】 実施例16〜23の金属ガラス合金薄帯の
X線回折測定の結果を示す図である。
【図14】 実施例24〜32金属ガラス合金薄帯のX
線回折測定の結果を示す図である。
【図15】 実施例29の金属ガラス合金薄帯のDSC
曲線を示す図である。
【図16】 実施例16〜32の金属ガラス合金薄帯の
ガラス遷移温度Tgの組成依存性を示す図である。
【図17】 実施例16〜32の金属ガラス合金薄帯の
結晶化開始温度Txの組成依存性を示す図である。
【図18】 実施例16〜32の金属ガラス合金薄帯の
過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性を示す図であ
る。
【図19】 Fe56Co7Ni7Hf8Nb220なる組成
の実施例37の金属ガラス合金粉末のX線回折測定の結
果を示す図である。
【図20】 実施例37の金属ガラス合金粉末のDSC
曲線を示す図である。
【図21】 実施例33〜36の金属ガラス合金薄帯の
ガラス遷移温度Tgの組成依存性を示す図である。
【図22】 実施例33〜36の金属ガラス合金薄帯の
過冷却液体の温度間隔ΔTxの組成依存性を示す図であ
る。
【図23】 実施例38〜41及び比較例1の圧粉磁心
の振幅透磁率の変化率(Δμ’)の磁界依存性を示す図
である。
【図24】 実施例42の圧粉磁心の振幅透磁率の変化
率(Δμ’)の磁界依存性を示す図である。
【図25】 実施例38〜41及び比較例1の圧粉磁心
のコアロス(W)の周波数依存性を示す図である。
【図26】 実施例42及び比較例1の圧粉磁心のコア
ロス(W)の周波数依存性を示す図である。
【符号の説明】
1 インダクタ 2 磁心(圧粉磁心) 3 コイル 4 増幅装置 5 増幅器 6 フィルタ 7 コンデンサ

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンデンサと、磁心に巻回されたコイル
    からなるインダクタとを具備してなるフィルタであり、
    前記磁心は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始
    温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される
    過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって非晶
    質相を主相とする組織からなる金属ガラス合金の粉末
    と、絶縁材とが混合され、成形されてなる圧粉磁心であ
    ることを特徴とするフィルタ。
  2. 【請求項2】 200A/mの磁界における振幅透磁率
    を基準としたときの2000A/mの磁界における前記
    磁心の振幅透磁率の変化率が±10%以内であり、かつ
    前記磁心の100kHzにおける透磁率が50以上20
    0以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィル
    タ。
  3. 【請求項3】 前記フィルタがローパスフィルタである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィ
    ルタ。
  4. 【請求項4】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項3
    のいずれかに記載のフィルタ。 Al: 1〜10原子% Ga: 0.5〜4原子% P:15原子%以下 C: 7原子%以下 B: 2〜10原子% Si:15原子%以下 Fe: 残部
  5. 【請求項5】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項3
    のいずれかに記載のフィルタ。ただし、元素LはTi、
    Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素であ
    り、元素MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種以上の元
    素であり、元素EはPd、Pt、Auのうちの一種以上
    の元素である。 Al: 1〜10原子% Ga: 0.5〜4原子% P:15原子%以下 C: 7原子%以下 B: 2〜10原子% Si:15原子%以下 元素L: 0〜4原子% 元素M: 0〜8原子% 元素E: 0〜8原子% Fe: 残部
  6. 【請求項6】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成式で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載のフィルタ。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
    v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa1、b1、x1、v1、z1、w1は、0
    ≦a1≦0.15、0<b1≦0.8、x1≦20原子
    %、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1
    原子%≦w1≦20原子%である。
  7. 【請求項7】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成式で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載のフィルタ。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
    v1z1w1d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
    上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
    以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
    以上の元素であり、組成比を示すa1、b1、d1、e1、
    f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0<
    b1≦0.8、0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e
    1≦8原子%、0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原
    子%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、
    1原子%≦w1≦20原子%である。
  8. 【請求項8】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成式で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載のフィルタ。 (Fe1-a2a2100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Si
    b2v2z2w2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa2、b2、x2、v2、z2、w2は、0
    ≦a2≦0.15、0<b2≦0.8、0原子%<x2≦
    20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%<
    z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%である。
  9. 【請求項9】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の組
    成式で表されることを特徴とする請求項1ないし請求項
    3のいずれかに記載のフィルタ。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
    z2w2d2e2f2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
    上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
    以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
    以上の元素であり、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
    f2、x2、v2、z2、w2は、0≦a2≦0.15、0<
    b2≦0.8、0原子%≦d2≦4原子%、0原子%≦e
    2≦8原子%、0原子%≦f2≦8原子%、0原子%<x
    2≦20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%
    <z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%であ
    る。
  10. 【請求項10】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項1ないし請求
    項3のいずれかに記載のフィルタ。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3x3y3 但し、組成比を示すa3、b3、x3、y3は、0≦a3≦
    0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20原子
    %、10原子%≦y3≦22原子%であり、MはZr、N
    b、Ta、Hf、Mo、Ti、V、Cr、Wのうちの1
    種又は2種以上からなる元素である。
  11. 【請求項11】 パルス電流を出力する増幅器と、該増
    幅器の出力側に接続されて前記パルス電流を平滑化する
    フィルタとからなり、 前記フィルタは、コンデンサと、磁心に巻回されたコイ
    ルからなるインダクタとを具備してなり、 前記磁心は、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始
    温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表される
    過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上であって非晶
    質相を主相とする組織からなる金属ガラス合金の粉末
    と、絶縁材とが混合され、成形されてなる圧粉磁心であ
    ることを特徴とする増幅装置。
  12. 【請求項12】 200A/mの磁界における振幅透磁
    率を基準としたときの2000A/mの磁界における前
    記磁心の振幅透磁率の変化率が±10%以内であり、か
    つ前記磁心の100kHzにおける透磁率が50以上2
    00以下であることを特徴とする請求項11に記載の増
    幅装置。
  13. 【請求項13】 前記フィルタがローパスフィルタであ
    ることを特徴とする請求項11または請求項12に記載
    の増幅装置。
  14. 【請求項14】 前記増幅器がパルス幅変調増幅器であ
    ることを特徴とする請求項11ないし請求項13にいず
    れかに記載の増幅装置。
  15. 【請求項15】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成で表されることを特徴とする請求項11ないし請求
    項14のいずれかに記載の増幅装置。 Al: 1〜10原子% Ga: 0.5〜4原子% P:15原子%以下 C: 7原子%以下 B: 2〜10原子% Si:15原子%以下 Fe: 残部
  16. 【請求項16】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成で表されることを特徴とする請求項11ないし請求
    項14のいずれかに記載の増幅装置。ただし、元素Lは
    Ti、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以上の元素
    であり、元素MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種以上
    の元素であり、元素EはPd、Pt、Auのうちの一種
    以上の元素である。 Al: 1〜10原子% Ga: 0.5〜4原子% P:15原子%以下 C: 7原子%以下 B: 2〜10原子% Si:15原子%以下 元素L: 0〜4原子% 元素M: 0〜8原子% 元素E: 0〜8原子% Fe: 残部
  17. 【請求項17】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項11ないし請
    求項14のいずれかに記載の増幅装置。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
    v1z1w1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa1、b1、x1、v1、z1、w1は、0
    ≦a1≦0.15、0<b1≦0.8、x1≦20原子
    %、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、1
    原子%≦w1≦20原子%である。
  18. 【請求項18】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項11ないし請
    求項14のいずれかに記載の増幅装置。 (Fe1-a1a1)100-x1-v1-z1-w1Gax1(P1-b1Sib1)
    v1z1w1d1e1f1 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
    上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
    以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
    以上の元素であり、組成比を示すa1、b1、d1、e1、
    f1、x1、v1、z1、w1は、0≦a1≦0.15、0<
    b1≦0.8、0原子%≦d1≦4原子%、0原子%≦e
    1≦8原子%、0原子%≦f1≦8原子%、x1≦20原
    子%、v1≦22原子%、0原子%≦z1≦10原子%、
    1原子%≦w1≦20原子%である。
  19. 【請求項19】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項11ないし請
    求項14のいずれかに記載の増幅装置。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
    z2w2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、組成比を示すa2、b2、x2、v2、z2、w2は、0
    ≦a2≦0.15、0<b2≦0.8、0原子%<x2≦
    20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%<
    z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%である。
  20. 【請求項20】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項11ないし請
    求項14のいずれかに記載の増幅装置。 (Fe1-a2a2)100-x2-v2-z2-w2Alx2(P1-b2Sib)v2
    z2w2d2e2f2 ただしTはCo、Niのいずれか一方または両方であ
    り、LはTi、Zr、Hf、Nb、Taのうちの一種以
    上の元素であり、MはV、Cr、Mo、Wのうちの一種
    以上の元素であり、EはPd、Pt、Auのうちの一種
    以上の元素であり、組成比を示すa2、b2、d2、e2、
    f2、x2、v2、z2、w2は、0≦a2≦0.15、0<
    b2≦0.8、0原子%≦d2≦4原子%、0原子%≦e
    2≦8原子%、0原子%≦f2≦8原子%、0原子%<x
    2≦20原子%、0原子%<v2≦22原子%、0原子%
    <z2≦12原子%、0原子%<w2≦16原子%であ
    る。
  21. 【請求項21】 前記金属ガラス合金の組成が、下記の
    組成式で表されることを特徴とする請求項11ないし請
    求項14のいずれかに記載の増幅装置。 (Fe1-a3-b3Coa3Nib3100-x3-y3x3y3 但し、組成比を示すa3、b3、x3、y3は、0≦a3≦
    0.29、0≦b3≦0.43、5原子%≦x3≦20原子
    %、10原子%≦y3≦22原子%であり、MはZr、N
    b、Ta、Hf、Mo、Ti、V、Cr、Wのうちの1
    種又は2種以上からなる元素である。
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