JP2016015357A - 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 - Google Patents

非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2016015357A
JP2016015357A JP2014135309A JP2014135309A JP2016015357A JP 2016015357 A JP2016015357 A JP 2016015357A JP 2014135309 A JP2014135309 A JP 2014135309A JP 2014135309 A JP2014135309 A JP 2014135309A JP 2016015357 A JP2016015357 A JP 2016015357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amorphous alloy
alloy powder
powder
mass
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014135309A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6446863B2 (ja
Inventor
前田 優
Masaru Maeda
優 前田
渡邉 篤
Atsushi Watanabe
篤 渡邉
冬乙 佐藤
Toshikuni Sato
冬乙 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014135309A priority Critical patent/JP6446863B2/ja
Publication of JP2016015357A publication Critical patent/JP2016015357A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6446863B2 publication Critical patent/JP6446863B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F3/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the manner of compacting or sintering; Apparatus specially adapted therefor ; Presses and furnaces
    • B22F3/006Amorphous articles
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F9/00Making metallic powder or suspensions thereof
    • B22F9/02Making metallic powder or suspensions thereof using physical processes
    • B22F9/06Making metallic powder or suspensions thereof using physical processes starting from liquid material
    • B22F9/08Making metallic powder or suspensions thereof using physical processes starting from liquid material by casting, e.g. through sieves or in water, by atomising or spraying
    • B22F9/082Making metallic powder or suspensions thereof using physical processes starting from liquid material by casting, e.g. through sieves or in water, by atomising or spraying atomising using a fluid
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C2200/00Crystalline structure
    • C22C2200/02Amorphous
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C2202/00Physical properties
    • C22C2202/02Magnetic

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】高周波数下においても高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末、この非晶質合金粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供すること。【解決手段】チョークコイル(磁性素子)10は、リング状の圧粉磁心11と導線12とを有する。圧粉磁心11は、本発明の非晶質合金粉末を含むものである。本発明の非晶質合金粉末は、D90/D10が3.3以上6.5以下であり、かつ、D50が5μm以上20μm以下であり、単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、酸素含有率が質量比で100ppm以上3000ppm以下であることを特徴とするものである。【選択図】図2

Description

本発明は、非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器に関するものである。
近年、ノート型パソコンのようなモバイル機器の小型化・軽量化が顕著である。また、ノート型パソコンの性能は、デスクトップ型パソコンの性能と遜色ない程度まで向上が図られつつある。
このように、モバイル機器の小型化および高性能化を図るためには、スイッチング電源の高周波数化が必要となる。現在、スイッチング電源の駆動周波数は数100kHz程度まで高周波数化が進んでいるが、それに伴って、モバイル機器に内蔵されたチョークコイルやインダクター等の磁性素子の駆動周波数も高周波数化への対応が必要となる。
例えば、特許文献1には、Fe、M(ただし、Mは、Ti、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選ばれた少なくとも1種の元素)、Si、B、およびCを含む非晶質合金からなる薄帯が開示されている。また、この薄帯を積層し、打ち抜き加工等を施すことにより製造された磁心が開示されている。このような磁心により、交流磁気特性の向上が図られることが期待されている。
しかしながら、薄帯から製造された磁心では、磁性素子の駆動周波数がさらに高周波数化した場合、渦電流によるジュール損失(渦電流損失)の著しい増大が避けられないおそれがある。
かかる問題を解決するため、軟磁性粉末と結合材(バインダー)との混合物を加圧・成形した圧粉磁心が使用されている。圧粉磁心では、粒子間を絶縁することにより、電流経路が短く分断され、渦電流損失を低減することができる。
また、非晶質合金で構成された軟磁性粉末は、粒子自体の電気抵抗値が高くなるため、渦電流損失の抑制が図られることとなる。その結果、高周波における鉄損を低下させることができる。特にFe基非晶質合金は、飽和磁束密度が高いため、磁性デバイス用の軟磁性材料として有用である。
例えば、特許文献2には、粒径が3〜300μmのFe−Cr−Si−B−C系の非晶質軟磁性粉末が開示されている。そして、この非晶質軟磁性粉末に絶縁用のバインダーを混練して成形材料としたうえで、この成形材料を用いて圧縮成形することにより、高飽和磁束密度と高透磁率を同時に得る圧縮成形体を提供することが開示されている。
ところが、最近になって、スイッチング電源の駆動周波数をさらに高める動きが加速しており、駆動周波数は1MHzを大きく超えることが予想されている。このような高周波数の駆動周波数においては、非晶質軟磁性粉末を含む圧粉磁心を用いることによる渦電流損失の低減だけでは不十分であり、渦電流損失とヒステリシス損失の双方について低減させる必要がある。
特開2007−182594号公報 特開2001−064704号公報
本発明の目的は、高周波数下においても高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末、この非晶質合金粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の非晶質合金粉末は、非晶質合金で構成され、
体積基準の粒度分布において小径側から累積10%となるときの粒径をD10とし、累積50%となるときの粒径をD50とし、累積90%となるときの粒径をD90としたとき、D90/D10が3.3以上6.5以下であり、かつ、D50が5μm以上20μm以下であり、
単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、
保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、
酸素含有率が質量比で100ppm以上3000ppm以下であることを特徴とする。
これにより、高周波数下においても高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、粒子のアスペクト比の平均値が1以上3以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末の粒子形状が比較的球形に近くなるので、圧粉成形された際の充填率が高められる。その結果、飽和磁束密度の高い圧粉磁心が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、タップ密度が4.1g/cm以上4.7g/cm以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末の充填性を特に高めることができ、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、目開き45μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き38μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を第1粒子とし、
目開き38μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を第2粒子とし、
目開き25μmのJIS標準ふるいを通過する粒子を第3粒子とし、
前記第1粒子の保磁力をHc1とし、前記第2粒子の保磁力をHc2とし、前記第3粒子の保磁力をHc3としたとき、
Hc2/Hc1が0.6以上1.4以下であり、かつ、Hc3/Hc1が0.5以上1.5以下であることが好ましい。
これにより、非晶質合金粉末を用いて圧粉磁心を作製したとき、粒度ごとの空間分布に偏りが生じたとしても、鉄損等の損失が抑えられた圧粉磁心を得ることができる。
本発明の非晶質合金粉末では、前記非晶質合金は、Feを主成分とし、
Siを2質量%以上9質量%以下の割合で含み、
Bを1質量%以上5質量%以下の割合で含み、
Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含むものであることが好ましい。
これにより、高飽和磁束密度と低鉄損とを高度に両立させ得る圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
本発明の非晶質合金粉末では、前記非晶質合金は、さらに、Cを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含むことが好ましい。
これにより、非晶質化が容易になるため、電気抵抗値が高く、かつ、保磁力の低い非晶質合金粉末が得られる。また、微細化および球形化が容易に図られるので、粒径が小さく、かつタップ密度の大きい非晶質合金粉末が得られる。
本発明の圧粉磁心は、非晶質合金で構成され、体積基準の粒度分布において小径側から累積10%となるときの粒径をD10とし、累積90%となるときの粒径をD90としたとき、粒度分布D90/D10が3.3以上6.5以下であり、単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、酸素含有率が質量比で100ppm以上2000ppm以下である非晶質合金粉末と、
前記非晶質合金粉末の粒子表面に設けられ、絶縁性を有する絶縁膜と、
を有することを特徴とする。
これにより、高周波数下においても高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心が得られる。
本発明の磁性素子は、本発明の圧粉磁心を備えることを特徴とする。
これにより、高性能の磁性素子が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の磁性素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
高速回転水流アトマイズ法により非晶質合金粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。 本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。 本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 サンプルNo.5とサンプルNo.15の非晶質合金粉末について求められた近似直線を示すグラフである。
以下、本発明の非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[非晶質合金粉末]
本発明の非晶質合金粉末は、必要に応じて粒子表面に絶縁膜が形成され、絶縁性の結着剤を介して粒子同士を結着させるとともに所定の形状に成形されることで、圧粉磁心を製造するのに用いられる。このような圧粉磁心は、高周波数下での磁気特性に優れることから、各種の磁性素子に用いられる。
本発明の非晶質合金粉末は、非晶質合金で構成された粉末である。非晶質合金は、磁気モーメントおよび電気抵抗値が高く、保磁力が小さいため、高周波数下においても高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造可能な粉末の構成材料として有用である。
また、本発明の非晶質合金粉末は、上述した非晶質合金で構成された粉末であって、体積基準の粒度分布において小径側から累積10%となるときの粒径をD10とし、累積50%となるときの粒径をD50とし、累積90%となるときの粒径をD90としたとき、D90/D10が3.3以上6.5以下であり、かつ、D50が5μm以上20μm以下であり、単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、酸素含有率が質量比で100ppm以上3000ppm以下であるという要素を満足する粉末である。このような非晶質合金粉末は、高周波数下においても低鉄損を実現する圧粉磁心を製造可能なものとなる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の非晶質合金粉末の粒度分布D90/D10は、前述したように3.3以上6.5以下とされるが、好ましくは3.6以上5.8以下とされ、より好ましくは4.2以上5.4以下とされる。このような粒度分布D90/D10の非晶質合金粉末は、圧粉成形時の充填性をより高めることができる。このため、本発明の非晶質合金粉末を用いて製造された圧粉磁心は、成形密度が高いものとなり、機械的強度に優れたものとなる。また、飽和磁束密度や透磁率が高い圧粉磁心が得られる。また、粒度分布D90/D10が前記範囲内であることにより、粒度分布が比較的シャープになり、粒径ごとの保磁力や磁気モーメントのバラつきを比較的小さく抑え易くなる。その結果、圧粉磁心中において粒度ごとの空間分布に偏りが生じたとしても、圧粉磁心全体で良好な磁気特性を示し、例えば鉄損の意図しない増大等を抑制することができる。
なお、本発明の非晶質合金粉末の粒度分布D90/D10が前記下限値を下回る場合、粒度分布が非常にシャープであるものの、安定的かつ効率的に製造することが難しくなる。このため、そのような粒度分布D90/D10の非晶質合金粉末の収率が非常に小さくなり、製造コストの増大を招く。また、製造できたとしても、製造ロットごとの特性のバラつきが大きくなり易く、粒径ごとの保磁力や磁気モーメントが大きくバラつくおそれがある。その結果、圧粉磁心中において粒度ごとに空間分布の偏りが生じた場合、鉄損等の損失が増大するおそれがある。一方、本発明の非晶質合金粉末の粒度分布D90/D10が前記上限値を上回る場合、粒度分布がブロードになり(広くなり)、粒径が著しく異なる粒子が混在することとなる。このため、保磁力や磁気モーメントが大きく異なる粒子が混在することとなり、圧粉磁心中において粒度ごとに空間分布の偏りが生じた場合、鉄損等の損失が増大するおそれがある。
なお、前述したD10は、レーザー回折法により取得された体積基準の粒度分布において、小径側から累積10%となるときの粒径として求められる。同様にD90は、前記体積基準の粒度分布において、小径側から累積90%となるときの粒径として求められる。
本発明の非晶質合金粉末の平均粒径D50は、前述したように5μm以上20μm以下とされるが、好ましくは7μm以上17μm以下とされ、さらに好ましくは8μm以上15μm以下とされる。このような平均粒径の非晶質合金粉末を用いることにより、渦電流が流れる経路を短くすることができるので、非晶質合金粉末の粒子内において発生する渦電流損失を十分に抑制可能な圧粉磁心を製造することができる。
なお、非晶質合金粉末の平均粒径が前記下限値を下回ると、非晶質合金粉末が細かくなり過ぎるため、非晶質合金粉末の充填性が低下し、圧粉磁心の成形密度が低下するため、圧粉磁心の飽和磁束密度や透磁率が低下する。一方、非晶質合金粉末の平均粒径が前記上限値を上回ると、粒子内において発生する渦電流損失を十分に抑制することができず、圧粉磁心の鉄損が増加する。なお、非晶質合金粉末の平均粒径は、レーザー回折法により取得された体積基準の粒度分布において、小径側から累積50%となるときの粒径として求められる。
また、本発明の非晶質合金粉末は、それを単独で用いて圧粉磁心を製造するようにしてもよく、別の軟磁性粉末と混合されて圧粉磁心を製造するようにしてもよい。この場合、本発明の非晶質合金粉末と混合して用いられる別の軟磁性粉末は、非晶質合金粉末であっても、結晶質合金粉末であってもよい。また、別の軟磁性粉末の平均粒径は、本発明の非晶質合金粉末の平均粒径より小さくても大きくてもよい。
なお、平均粒径D50は、レーザー回折法により取得された体積基準の粒度分布において、小径側から累積50%となるときの粒径として求められる。
また、本発明の非晶質合金粉末の単位質量当たりの最大磁気モーメントは、前述したように120[emu/g]以上210[emu/g]以下(120[A・m/kg]以上210[A・m/kg]以下)とされるが、好ましくは130[emu/g]以上180[emu/g]以下(130[A・m/kg]以上180[A・m/kg]以下)とされる。このような単位質量当たりの最大磁気モーメントを有する非晶質合金粉末は、飽和磁束密度が高い圧粉磁心の製造を可能にする。圧粉磁心の飽和磁束密度を高くすることにより、同じ磁束を得る場合に圧粉磁心をより小型化することができる。また、圧粉磁心が磁気飽和し難くなるので、圧粉磁心を用いたコイルでは、より大きい電流を流すことができるようになり、性能の向上が図られる。
なお、非晶質合金粉末の単位質量当たりの最大磁気モーメントが前記下限値を下回ると、圧粉磁心の飽和磁束密度が低くなり、圧粉磁心の小型化が難しくなり、また、磁気飽和を生じ易くなる。一方、非晶質合金粉末の単位質量当たりの最大磁気モーメントが前記上限値を上回ると、非晶質合金粉末の製造安定性が低下する(個体差が大きくなる)おそれがある。
なお、非晶質合金粉末の単位質量当たりの最大磁気モーメントは、磁化測定装置(例えば、株式会社玉川製作所製、TM−VSM1230−MHHL等)により測定することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末の保磁力は、前述したように0.1[Oe]以上2[Oe]以下(7.98[A/m]以上160[A/m]以下)とされるが、好ましくは0.1[Oe]以上1.5[Oe]以下(39.9[A/m]以上120[A/m]以下)とされる。このように保磁力が小さい非晶質合金粉末を用いることにより、高周波数下であってもヒステリシス損失を十分に抑制可能な圧粉磁心を製造することができる。
また、非晶質合金粉末の保磁力が前記下限値を下回ると、非晶質合金粉末の製造難易度が非常に高くなり、安定的に製造することができなくなるので、粒子間で保磁力のバラつきが大きくなる。一方、非晶質合金粉末の保磁力が前記上限値を上回ると、高周波数下でヒステリシス損失が大きくなり、圧粉磁心の低鉄損化が図られなくなる。
なお、非晶質合金粉末の保磁力は、振動試料型磁力計(例えば、株式会社玉川製作所製、TM−VSM1230−MHHL等)により測定することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末は、原材料に含まれていたり製造時に混入したりする等して、微量の酸素が不可避的に混入する。その場合、本発明の非晶質合金粉末の酸素含有率は、前述したように質量比で100ppm以上3000ppm以下とされるが、好ましくは200ppm以上2700ppm以下とされ、より好ましくは300ppm以上2500ppm以下とされる。酸素含有率を前記範囲内に抑えることにより、非晶質合金粉末は、酸化物の含有率が低いものとなり、その分、磁気モーメント等の磁気特性に優れたものとなる。したがって、かかる非晶質合金粉末は、高飽和磁束密度で高透磁率の圧粉磁心を製造可能なものとなる。
なお、非晶質合金粉末の酸素含有率が前記下限値を下回る場合には、酸化物(例えば酸化クロム、酸化ケイ素等)に由来する非晶質合金粉末の耐候性が低下する。このため、非晶質合金粉末の酸化が進行し易くなり、非晶質合金粉末の磁気特性が経時的に低下するおそれがある。一方、非晶質合金粉末の酸素含有率が前記上限値を上回る場合には、酸化物の含有量が相対的に大きくなるため、磁気モーメント等の磁気特性の低下を招く。その結果、非晶質合金粉末を用いて製造される圧粉磁心の飽和磁束密度等が低下する。
また、本発明の非晶質合金粉末は、前述したように非晶質合金で構成されている。非晶質合金は、原子配列が不規則であり、内部に結晶構造や結晶粒界をほとんど含まない。このため、結晶金属のように転位による変形や結晶粒界を起点とする破壊等が生じ難く、硬度が高いという特徴を有する。また、原子配列が不規則であることから、比較的電気抵抗値が高く、保磁力も小さい。
従来も、非晶質合金で構成された粉末は知られていたが、非晶質合金特有の低い保磁力を維持しながら、磁気モーメントを高めることは容易ではなかった。
これに対し、本発明の非晶質合金粉末は、粒度分布D90/D10が3.3以上6.5以下であり、かつ、平均粒径D50が5μm以上20μm以下であるという、圧粉磁心の製造に適した粒度分布や平均粒径を有する。それに加え、本発明の非晶質合金粉末は、保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下である。したがって、本発明の非晶質合金粉末を用いて圧粉磁心を製造すると、誘導電流の流れる経路を十分に短くするとともに、誘導電流自体を流れ難くすることによって、誘導電流のジュール損失を抑えることができる。これにより、高周波数下における渦電流損失の増大を抑制することができる。また、保磁力が非常に小さいので、高周波数下におけるヒステリシス損失の増大も抑制することができる。
加えて、本発明の非晶質合金粉末は、単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、かつ、酸素含有率が質量比で100ppm以上3000ppm以下である。このような本発明の非晶質合金粉末を用いて圧粉磁心を製造することで、飽和磁束密度の高い圧粉磁心が得られる。
以上のことから、本発明の非晶質合金粉末を用いることにより、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造することができる。このような圧粉磁心は、電子機器等に搭載されることで、電子機器の性能向上を図るとともに、消費電力を削減することができる。
なお、本発明の非晶質合金粉末を用いた圧粉磁心は、例えば、以下のような手順を経て製造される。
まず、本発明の非晶質合金粉末に対してエポキシ樹脂を2質量%の割合で添加し、造粒する。次いで、得られた造粒粉末を、成形圧力4t/cm(392MPa)で成形して圧粉成形体を得る。次いで、得られた圧粉成形体を150℃の加熱温度で45分間、大気雰囲気中で加熱し、エポキシ樹脂を硬化させる。これにより、外径28mm、内径14mm、厚さ5mmのリング形状をなす圧粉磁心が得られる。
このようにして得られた圧粉磁心は、駆動周波数500kHz、最大磁束密度30mTにおける鉄損が、好ましくは500[kW/m]以上2500[kW/m]以下とされ、より好ましくは800[kW/m]以上2200[kW/m]以下とされる。このような圧粉磁心は、鉄損の個体差が大きくなるのを防止しつつ、高周波数下においても十分に鉄損が小さいものとなる。このため、例えばこのような圧粉磁心を電源回路に搭載することで、電圧変換効率が高く、かつ発熱量の小さい電源回路を構築することができる。
なお、圧粉磁心の鉄損が前記下限値を下回ると、鉄損の個体差が大きくなるため、一定の品質の圧粉磁心を製造することが難しくなるおそれがある。一方、圧粉磁心の鉄損が前記上限値を上回ると、圧粉磁心における電磁変換の際の損失が大きくなり、例えば電源回路に搭載されたときに電圧変換効率が低下するおそれがある。
また、このようにして得られた圧粉磁心は、駆動周波数1MHz、最大磁束密度30mTにおける鉄損が、好ましくは1800[kW/m]以上7000[kW/m]以下とされ、より好ましくは2000[kW/m]以上5600[kW/m]以下とされる。
なお、圧粉磁心の鉄損を測定する際には、圧粉磁心に対して線径0.5mmの導線を30回巻いた励磁コイルと、線径0.5mmの導線を30回巻いた検出コイルと、を用いる。
また、本発明の非晶質合金粉末は、(D90−D10)/D50が0.5以上3以下であるのが好ましく、0.7以上2.5以下であるのがより好ましく、0.8以上2以下であるのがさらに好ましい。(D90−D10)/D50が前記範囲内にあることで、非晶質合金粉末の成形密度をより高めることができる。また、粒径のバラつきが比較的小さくなるので、粗大粒の混入確率を特に下げることが可能になり、非晶質合金粉末を用いて製造された圧粉磁心における渦電流損失を特に小さく抑えることができる。
また、D10は、特に限定されないが、1.5μm以上9μm以下程度であるのが好ましく、3μm以上7μm以下程度であるのがより好ましい。
また、D90も、特に限定されないが、15μm以上30μm以下程度であるのが好ましく、18μm以上27μm以下程度であるのがより好ましい。
D10およびD90が前記範囲内であることにより、非晶質合金粉末の成形密度をさらに高めつつ、非晶質合金粉末を用いて製造された圧粉磁心における渦電流損失をさらに小さく抑えることができる。
ここで、本発明の非晶質合金粉末を、目開き45μmのJIS標準ふるい、目開き38μmのJIS標準ふるい、および、目開き25μmのJIS標準ふるいに順次供給し、通過させる。このふるい分けは、JIS Z 2510に規定された金属粉の乾式ふるい分けによる粒度試験方法に準じて行うことができる。そして、目開き45μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き38μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を「第1粒子」とし、目開き38μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を「第2粒子」とし、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過した粒子を「第3粒子」とする。その上で、第1粒子、第2粒子および第3粒子について、それぞれの保磁力を測定し、第1粒子の保磁力をHc1とし、第2粒子の保磁力をHc2とし、第3粒子の保磁力をHc3とする。
本発明の非晶質合金粉末は、Hc2/Hc1が0.6以上1.4以下であり、かつ、Hc3/Hc1が0.5以上1.5以下であるという関係を満足するのが好ましく、Hc2/Hc1が0.7以上1.3以下であり、かつ、Hc3/Hc1が0.6以上1.4以下であるという関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足する非晶質合金粉末は、それを用いて圧粉磁心を作製したとき、粒度ごとの空間分布に偏りが生じたとしても、鉄損等の損失が抑えられた圧粉磁心を得ることができる。すなわち、Hc2/Hc1およびHc3/Hc1が前記下限値を下回ったり前記上限値を上回ったりすると、非晶質合金粉末の粒度分布によっては、Hc1、Hc2およびHc3の間で互いに差が大きくなるため、非晶質合金粉末を圧粉成形する際に第1粒子、第2粒子および第3粒子の各空間分布に偏りが生じた場合に、圧粉磁心の鉄損が大きくなるおそれがある。
また、第1粒子は、前述したように目開き45μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き38μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子であるから、その第1粒子の代表的な粒径は45μmと38μmの中間の41.5μmとすることができる。
同様に、第2粒子は、前述したように目開き38μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子であるから、その第2粒子の代表的な粒径は38μmと25μmの中間の31.5μmとすることができる。
さらに、第3粒子は、前述したように目開き25μmのJIS標準ふるいを通過した粒子であるから、その第3粒子の代表的な粒径は25μmの半分の12.5μmとすることができる。
このような第1粒子、第2粒子および第3粒子について、その代表的な粒径[μm]を横軸にとり、保磁力[Oe]を縦軸にとって、プロットする。そして、プロットされた3点を線形近似することにより、代表的な粒径と保磁力との関係を示す直線を求め、その直線の傾きを算出する。この直線は、すなわち、非晶質合金粉末の保磁力の粒径依存性を示すものであり、直線の傾きは、粒径が変化したときに保磁力がどの程度変化するかを示す指標となる。
本発明の非晶質合金粉末は、このようにして求めた直線の傾きが0以上0.05以下であるのが好ましく、0以上0.04以下であるのがより好ましく、0以上0.03以下であるのがさらに好ましい。このような非晶質合金粉末は、粒度ごとの保磁力のバラつきが十分に小さいものとなる。このため、非晶質合金粉末を圧粉成形する際に第1粒子、第2粒子および第3粒子の各空間分布に偏りが生じた場合でも、局所的に鉄損が増大する等して、圧粉磁心全体の鉄損が大きくなることが抑制される。
このとき、線形近似の決定係数は、0.7以上1以下であるのが好ましい。このような決定係数を有する線形近似であれば、十分に信頼できる近似であるといえる。なお、線形近似の決定係数とは、相関関数Rの2乗値として求められる。そして、前述した横軸の代表的な粒径をXとし、前述した縦軸の保磁力をYとしたとき、相関関数Rは、(XとYの共分散)/{(Xの標準偏差)×(Yの標準偏差)}で求められる。また、XとYの共分散とは、Xの偏差とYの偏差との積の和の平均である。
また、本発明の非晶質合金粉末のタップ密度は、4.1g/cm以上4.7g/cm以下とされるが、好ましくは4.2g/cm以上4.6g/cm以下とされる。このようなタップ密度の非晶質合金粉末を用いることにより、非晶質合金粉末の充填性を特に高めることができ、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心が得られる。なお、非晶質合金粉末のタップ密度が前記下限値を下回ると、非晶質合金粉末の粒度分布によっては、充填性が低下し、ひいては圧粉磁心の成形密度が低下して、圧粉磁心の飽和磁束密度が低下するおそれがある。一方、非晶質合金粉末のタップ密度が前記上限値を上回ると、製造難易度が非常に高くなり、安定的に製造することができなくなるため、例えば製造するたびにタップ密度のバラツキが大きくなる。その結果、圧粉磁心の飽和磁束密度が製造ロットによって安定しないという問題が生じるおそれがある。
なお、非晶質合金粉末のタップ密度は、JIS Z 2512に規定された方法により測定することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末の粒子の短径をS[μm]とし、長径をL[μm]としたとき、L/Sで定義されるアスペクト比の平均値は、1以上3以下程度であるのが好ましく、1以上2.5以下程度であるのがより好ましい。このようなアスペクト比の粒子を含む非晶質合金粉末は、その形状が比較的球形に近くなるので、圧粉成形された際の充填率が高められる。その結果、飽和磁束密度の高い圧粉磁心を得ることができる。
なお、前記長径とは、粒子の投影像においてとりうる最大長さであり、前記短径とは、その最大長さに直交する方向の最大長さである。そして、本発明の非晶質合金粉末についての粒子のアスペクト比の平均値とは、粒子のアスペクト比を100個以上の粒子で平均した平均値のことである。
本発明に用いられる非晶質合金としては、特に限定されないが、例えば、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Fe−Si−B−Cr系、Fe−Si−B−Cr−C系、Fe−Co−Si−B系、Fe−Si−B−Nb系等の各種Fe基非晶質合金が挙げられる。また、用いる非晶質合金は、過冷却液体状態が比較的安定な、いわゆる金属ガラスであってもよい。なお、本明細書中では、金属ガラスも含めて非晶質合金という。
これらの非晶質合金の中でも、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−Cr系、Fe−Si−B−C系およびFe−Si−B−Cr−C系のうちのいずれかが好ましく用いられ、Fe−Si−B−Cr系またはFe−Si−B−Cr−C系がより好ましく用いられる。これらの非晶質合金は、十分な低保磁力化が可能であり、かつ、溶融して粉末を製造する際の粒子形状の制御が容易である。したがって、これらの組成の非晶質合金は、本発明の非晶質合金粉末を安定的に製造可能である点で有用である。
以下、Fe−Si−B−Cr系およびFe−Si−B−Cr−C系の非晶質合金についてさらに詳述する。なお、以下の説明では、これらの非晶質合金を合わせて「Fe−Si−B−Cr(−C)系」ともいう。
Fe−Si−B−Cr系の非晶質合金は、Siを2質量%以上9質量%以下の割合で含み、Bを2質量%以上5質量%以下の割合で含み、Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含み、残部がFeおよび不可避元素で占められた非晶質合金である。
また、Fe−Si−B−Cr−C系の非晶質合金は、前述した割合でSi、BおよびCrを含み、さらにCを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含むとともに、残部がFeおよび不可避元素で占められた材料である。
Fe−Si−B−Cr(−C)系非晶質合金を構成する各元素のうち、Fe(鉄)は、最も含有率が大きい主成分である。このため、Feは、非晶質合金粉末の基本的な磁気特性や機械的特性に大きな影響を与える。また、非晶質合金の単位質量当たりの最大磁気モーメントを高めることに寄与する。
一方、不可避元素は、非晶質合金粉末の原料または非晶質合金粉末の製造時に意図せず混入する元素(不純物)である。不可避元素は特に限定されるものではないが、一例として、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、As(ヒ素)、Se(セレン)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)等が挙げられる。なお、不可避元素が混入する場合、その混入量は非晶質合金の0.2質量%未満であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましい。
Si(ケイ素)は、非晶質合金の透磁率を高めることに寄与する。また、一定量のSiを添加することにより、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができるので、非晶質合金粉末を用いて製造された渦電流損失を抑制することができる。さらには、一定量のSiを添加することにより、保磁力も低下させることができる。
非晶質合金におけるSiの含有率は、2質量%以上9質量%以下であるのが好ましく、4質量%以上8.5質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以上8質量%以下であるのがさらに好ましい。Siの含有率を前記範囲内に設定することにより、非晶質合金の透磁率と電気抵抗値とを十分に高めつつ、保磁力の小さい軟磁性粉末が得られる。なお、Siの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、透磁率が低下するおそれがある。また、組成比によっては、電気抵抗値が低下したり、保磁力が上昇したりして、鉄損が増大するおそれがある。一方、Siの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下し、圧粉磁心の直流重畳特性が低下するおそれがある。圧粉磁心の直流重畳特性が低下すると、例えば電源回路に流すことのできる電流に制限が課せられるため、電源の効率が低下するおそれがある。また、保磁力が上昇するおそれがある。
B(ホウ素)は、非晶質合金の融点を低下させ、非晶質化を容易にする。このため、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができ、非晶質合金粉末を用いて製造された渦電流損失を抑制することができる。また、保磁力を低下させることに寄与する。さらに、溶融時の粘度が低下するため、微細化および球形化が容易に図られる。その結果、粒径が小さくタップ密度の大きい非晶質合金粉末が得られる。
非晶質合金におけるBの含有率は、1質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、1.2質量%以上4.5質量%以下であるのがより好ましく、1.4質量%以上4.2質量%以下であるのがさらに好ましい。Bの含有率を前記範囲内に設定することにより、製造される圧粉磁心において渦電流損失とヒステリシス損失の双方を減少させつつ、非晶質合金粉末の平均粒径およびタップ密度を前記範囲内に確実に収めることができる。その結果、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立させた圧粉磁心が得られる。なお、Bの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、非晶質合金の電気抵抗値を十分に高めることができず、圧粉磁心の渦電流損失が増大するとともに、保磁力を十分に低下させることができず、ヒステリシス損失が増大し、その結果、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。一方、Bの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
Cr(クロム)は、非晶質合金の耐食性を向上させるよう作用する。すなわち、Crの酸化物(Cr等)を主とする不働態皮膜が粒子表面に形成されることにより、粒子の耐食性が向上する。耐食性の向上によってFeの経時的な酸化が抑えられるため、Feの酸化に伴う磁気特性の低下、例えば飽和磁束密度の低下を防止することができる。特に、本発明の非晶質合金粉末は、平均粒径が極めて小さいため、粒子表面に酸化鉄が形成された場合、粒子における酸化鉄の体積比が従来よりも相対的に大きくなり、飽和磁束密度への影響が大きくなるおそれがある。したがって、このようなFeの酸化を抑えることにより、小径化しても飽和磁束密度の低下を最小限に抑えることができる。
一方、耐食性の高い不働態皮膜の形成により、粒子表面に強固な絶縁性皮膜が形成されることとなる。このため、粒子間の電気抵抗値を高め易くなり、渦電流の流れる経路をより小さく分断することができる。その結果、渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。
非晶質合金におけるCrの含有率は、1質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましい。Crの含有率を前記範囲内に設定することにより、十分な耐食性を備えた非晶質合金粉末が得られるとともに、鉄損が十分に小さい圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末が得られる。なお、Crの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、非晶質合金粉末に形成される不働態皮膜の厚さや形成領域が不十分となり、耐食性が低下するとともに、酸化鉄が多く生成される分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。一方、Crの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、非晶質化が阻害され、電気抵抗値が低下するとともに保磁力が上昇するため、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。また、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
C(炭素)は、非晶質合金の溶融時の粘性を下げ、非晶質化を容易にする。このため、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができ、非晶質合金粉末を用いて製造された圧粉磁心の渦電流損失を抑制することができる。また、保磁力を低下させることに寄与する。さらに、微細化および球形化が容易に図られるので、粒径が小さくタップ密度の大きい非晶質合金粉末が得られる。
非晶質合金におけるCの含有率は、0.1質量%以上1質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上0.8質量以下であるのがより好ましい。Cの含有率を前記範囲内に設定することにより、製造される圧粉磁心において渦電流損失とヒステリシス損失の双方を減少させつつ、非晶質合金粉末の平均粒径およびタップ密度を前記範囲内に確実に収めることができる。その結果、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立させた圧粉磁心が得られる。なお、Cの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、非晶質合金の電気抵抗値を十分に高めることができず、渦電流損失が増大するとともに、保磁力を十分に低下させることができず、ヒステリシス損失が増大し、その結果、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。一方、Cの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
なお、Crの含有率に対するCの含有率の割合(C/Cr)は、0.05質量%以上1質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であるのがより好ましく、0.2質量%以上0.7質量%以下であるのがさらに好ましい。Crの含有率に対するCの含有率の割合を前記範囲内に設定することで、非晶質化度が低下するのを抑えつつ、高い磁気モーメントと高い球形度とを両立させることができる。その結果、非晶質合金粉末の保磁力を十分に低くするとともに、圧粉磁心の飽和磁束密度を十分に高めることができる。したがって、Crの含有率に対するCの含有率の割合が前記下限値を下回ったり、前記上限値を上回ったりすると、Crの含有率とCの含有率とのバランスが崩れるため、非晶質化度が低下したり、磁気モーメントを十分に高めることができなかったり、球形度が低下したりするおそれがある。
また、Crの含有率とCの含有率との和(Cr+C)は、1.8質量%以上4.3質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上4質量%以下であるのがより好ましく、2.2質量%以上3.5質量%以下であるのがさらに好ましい。Crの含有率とCの含有率との和を前記範囲内に設定することで、非晶質化度および耐食性を高めつつ、磁気モーメントを高めることができる。その結果、低鉄損と高飽和磁束密度とを両立する圧粉磁心が得られる。
以上、Fe−Si−B−Cr(−C)系非晶質合金について説明したが、上記各元素の組成比や各元素が担う役割は、他の組成の非晶質合金、例えばFe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Fe−Si−Cr系、Fe−B系等においても同様である。
また、Fe−Si−B−Cr(−C)系非晶質合金は、必要に応じてMnを含んでいてもよい。この場合、Mnの含有率は、1質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、透磁率をより高めるとともに、保磁力をより下げることができる。なお、Mnを添加する場合、Si、BおよびCrの添加量が、それぞれ前述した範囲を下回ってもよい。その場合であっても、Mnを添加したことにより、上述したような効果が発揮されるとともに、Si、BおよびCrの減少に伴う効果の希薄化を最小限に留めることができる。
なお、非晶質合金の組成比は、例えば、JIS G 1257に規定された原子吸光法、JIS G 1258に規定されたICP発光分析法、JIS G 1253に規定されたスパーク発光分析法、JIS G 1256に規定された蛍光X線分析法、JIS G 1211〜G 1237に規定された重量・滴定・吸光光度法等により特定することができる。具体的には、例えばSPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08A)や、(株)リガク製ICP装置(CIROS120型)が挙げられる。
また、C(炭素)およびS(硫黄)の特定に際しては、特に、JIS G 1211に規定された酸素気流燃焼(高周波誘導加熱炉燃焼)−赤外線吸収法も用いられる。具体的には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200が挙げられる。
さらに、N(窒素)およびO(酸素)の特定に際しては、特に、JIS G 1228に規定された鉄および鋼の窒素定量方法、JIS Z 2613に規定された金属材料の酸素定量方法も用いられる。具体的には、LECO社製酸素・窒素分析装置、TC−300/EF−300が挙げられる。
また、X線回折法を用いることにより、粉末の構成材料が非晶質であるか否かを特定することができる。一般的には明瞭な回折ピークが認められない場合、非晶質であると特定することができる。
また、本発明の非晶質合金粉末は、粒子断面の中心部のビッカース硬度が、850以上2000以下であるのが好ましく、900以上1800以下であるのがより好ましい。このような硬度の粒子で構成された非晶質合金粉末は、高硬度ではあるものの、成形時にはわずかに塑性変形可能であり、非晶質合金粉末の充填性を高めるのに寄与する。したがって、ビッカース硬度が前記下限値を下回ると、非晶質合金の組成にもよるが、粒子が変形し易くなるため、充填性は上がるものの、粒子表面に絶縁膜を形成したとき、粒子の変形に伴って絶縁膜が破れるおそれがある。その結果、圧粉磁心の渦電流損失が増大するおそれがある。一方、ビッカース硬度が前記上限値を上回ると、非晶質合金の組成にもよるが、非晶質合金粉末の成形時に塑性変形し難くなるので、非晶質合金粉末の充填性が低下し、圧粉磁心の飽和磁束密度が低下するおそれがある。
なお、粒子断面の中心部とは、粒子の最大長さである長軸を通過するように粒子を切断したとき、その切断面上の長軸の中点にあたる部位である。また、中心部のビッカース硬度は、マイクロビッカース硬さ試験機により測定することができる。
[非晶質合金粉末の製造方法]
本発明の非晶質合金粉末は、いかなる製造方法で製造されたものであってもよく、例えば、アトマイズ法(例えば、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等)、粉砕法等の各種粉末化法により製造される。
アトマイズ法には、冷却媒の種類や装置構成の違いによって、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等が知られている。このうち、本発明の非晶質合金粉末は、アトマイズ法により製造されたものであるのが好ましく、水アトマイズ法または高速回転水流アトマイズ法により製造されたものであるのがより好ましく、高速回転水流アトマイズ法により製造されたものであるのがさらに好ましい。アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を、高速で噴射された流体(液体または気体)に衝突させることにより、微粉化するとともに冷却して、金属粉末(非晶質合金粉末)を製造する方法である。非晶質合金粉末をこのようなアトマイズ法によって製造することにより、極めて微小な粉末を効率よく製造することができる。また、得られる粉末の粒子形状が表面張力の作用により球形状に近くなる。このため、圧粉磁心を製造したとき充填率の高いものが得られる。すなわち、透磁率および飽和磁束密度の高い圧粉磁心を製造可能な非晶質合金粉末を得ることができる。
さらに、高速回転水流アトマイズ法によれば、溶湯を極めて高速で冷却することができるので、溶融金属における無秩序な原子配置が高度に維持された状態で固化に至らせることができ、非晶質化度の特に高い非晶質合金粉末を効率よく製造することができる。
以下、高速回転水流アトマイズ法による非晶質合金粉末の製造方法について説明する。
高速回転水流アトマイズ法では、冷却用筒体の内周面に沿って冷却液を噴出供給し、冷却用筒体の内周面に沿って旋回させることにより、内周面に冷却液層を形成する。一方、非晶質合金の原材料を溶融し、得られた溶融金属を自然落下させつつ、これに液体または気体のジェットを吹き付ける。これにより溶融金属が飛散させ、飛散した溶融金属は冷却液層に取り込まれる。その結果、飛散して微粉化した溶融金属が急速冷却されて固化し、非晶質合金粉末が得られる。
図1は、高速回転水流アトマイズ法により非晶質合金粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。
図1に示す粉末製造装置30は、内周面に冷却液層9を形成するための冷却用筒体1と、冷却液層9の内側の空間部23に溶融金属25を流下供給するための供給容器である坩堝15と、冷却用筒体1に冷却液を供給するための手段であるポンプ7と、流下した細流状の溶融金属25を液滴に分断するとともに冷却液層9に供給するためのガスジェット26を噴出するジェットノズル24と、を備えている。
冷却用筒体1は円筒状をなし、筒体軸線が鉛直方向に沿うように、または鉛直方向に対して30°以下の角度で傾くように設置される。なお、図1は鉛直方向に対して傾いた状態を示している。冷却用筒体1の上端開口は蓋体2により閉塞されており、蓋体2には流下する溶融金属25を冷却用筒体1の空間部23に供給するための開口部3が形成されている。
また、冷却用筒体1の上部には、冷却用筒体1の内周面の接線方向に冷却液を噴出供給し得るよう構成された冷却液噴出管4が設けられている。そして、冷却液噴出管4の吐出口5は、冷却用筒体1の周方向に沿って等間隔に複数個設けられている。また、冷却液噴出管4の管軸方向は、冷却用筒体1の軸線に直交する平面に対して0°以上20°以下程度下方に傾くように設定される。
冷却液噴出管4は、ポンプ7を介してタンク8に配管接続されており、ポンプ7で吸い上げられたタンク8内の冷却液が冷却液噴出管4を介して冷却用筒体1内に噴出供給される。これにより、冷却液が冷却用筒体1の内周面に沿って回転しながら徐々に流下し、それに伴って内周面に沿う冷却液の層(冷却液層9)が形成される。なお、タンク8内や循環流路の途中には、必要に応じて冷却器を介在させるようにしてもよい。冷却液としては水の他、油(シリコーンオイル等)が用いられ、さらに各種添加物が添加されていてもよい。また、冷却液中の溶存酸素をあらかじめ除去しておくことにより、製造される粉末の冷却に伴う酸化を抑えることができる。
また、冷却用筒体1の内周面下部には、冷却液層9の層厚を調整する層厚調整用リング16が着脱自在に設けられている。この層厚調整用リング16を設けることにより、冷却液の流下速度が抑えられ、冷却液層9の層厚を確保するとともに、層厚の均一化を図ることができる。
また、冷却用筒体1の下部には、円筒状の液切り用網体17が連設されており、この液切り用網体17の下側には漏斗状の粉末回収容器18が設けられている。液切り用網体17の周囲には液切り用網体17を覆うように冷却液回収カバー13が設けられ、この冷却液回収カバー13の底部に形成された排液口14は、配管を介してタンク8に接続されている。
また、空間部23には、空気や不活性ガス等の気体を噴出させるためのジェットノズル24が設けられている。このジェットノズル24は、蓋体2の開口部3を介して挿入されたガス供給管27の先端に取り付けられたものであり、その噴出口が、細流状の溶融金属25を指向し、さらにその先の冷却液層9を指向するよう配置されている。
このような粉末製造装置30において非晶質合金粉末を製造するには、まず、ポンプ7を作動させ、冷却用筒体1の内周面に冷却液層9を形成し、次いで、坩堝15内の溶融金属25を空間部23に流下させる。この溶融金属25にガスジェット26を吹き付けると、溶融金属25が飛散し、微粉化された溶融金属25が冷却液層9に巻き込まれる。その結果、微粉化された溶融金属25が冷却固化され、非晶質合金粉末が得られる。
高速回転水流アトマイズ法では、冷却液を連続供給することにより、極めて大きい冷却速度を安定的に維持することができるため、製造される軟磁性粉末の非晶質化度が安定する。その結果、製造される軟磁性粉末の低保磁力化が可能になる。
また、ガスジェット26によって一定の大きさに微細化された溶融金属25は、冷却液層9に巻き込まれるまで惰性落下するので、その際に液滴の球形化が図られる。その結果、非晶質合金粉末を製造することができる。
また、この他の条件としては、例えば、冷却用筒体1に供給する冷却液の噴出時の圧力を50MPa以上200MPa以下程度、液温を−10℃以上40℃以下程度に設定するのが好ましい。これにより、冷却液層9の流速の最適化が図られ、微粉化された溶融金属25を適度にかつムラなく冷却することができる。
なお、ガスジェット26は、必要に応じて液体ジェットで代替することもできる。
また、アトマイズ法において溶湯を冷却する際の冷却速度は、1×10℃/s以上であるのが好ましく、1×10℃/s以上であるのがより好ましい。このような急速な冷却により、とりわけ非晶質化度の高い非晶質合金粉末が得られるとともに、非晶質合金粉末の粒子間における組成比のバラツキが抑えられることとなる。
なお、このようにして得られた非晶質合金粉末に対し、必要に応じて分級を行ってもよい。分級の方法としては、例えば、ふるい分け分級、慣性分級、遠心分級、風力分級のような乾式分級、沈降分級のような湿式分級等が挙げられる。
また、上述したような方法で製造された後、非晶質合金粉末に対しては必要に応じて焼鈍処理を施すようにしてもよい。この焼鈍処理における加熱条件は、非晶質合金材料における結晶化温度をTx[℃]としたとき、加熱温度をTx−250℃以上Tx−100℃未満としたとき、加熱時間を5分以上120分以下にするのが好ましく、加熱温度をTx−100℃以上Tx未満としたとき、加熱時間を10分以上60分以下にするのがより好ましい。このような加熱条件で焼鈍処理を施すことにより、非晶質合金で構成された非晶質合金粉末が焼鈍され、粉末製造時に生じた急冷凝固による残留応力を緩和することができる。これにより、残留応力に伴う非晶質合金粉末の歪みが緩和され、保磁力を十分に小さくすることができる。
また、必要に応じて、得られた非晶質合金粉末を造粒するようにしてもよい。
さらには、必要に応じて、得られた非晶質合金粉末の各粒子表面に絶縁膜を成膜するようにしてもよい。この絶縁膜の構成材料としては、例えば、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の無機材料等が挙げられる。また、後述する結合材の構成材料として列挙した有機材料から適宜選択されたものであってもよい。
[圧粉磁心および磁性素子]
本発明の磁性素子は、チョークコイル、インダクター、ノイズフィルター、リアクトル、トランス、モーター、アクチュエーター、電磁弁、発電機のように、磁心を備えた各種磁性素子に適用可能である。また、本発明の圧粉磁心は、これらの磁性素子が備える磁心に適用可能である。
以下、磁性素子の一例として、2種類のチョークコイルを代表に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図2は、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。
図2に示すチョークコイル10は、リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き回された導線12と、を有する。このようなチョークコイル10は、一般に、トロイダルコイルと称される。
圧粉磁心(本発明の圧粉磁心)11は、本発明の非晶質合金粉末と結合材(バインダー)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形型に供給するとともに、加圧・成形して得られたものである。
圧粉磁心11の作製に用いられる結合材の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の無機材料等が挙げられるが、特に、熱硬化性ポリイミドまたはエポキシ系樹脂が好ましい。これらの樹脂材料は、加熱されることによって容易に硬化するとともに、耐熱性に優れたものである。したがって、圧粉磁心11の製造容易性および耐熱性を高めることができる。
また、非晶質合金粉末に対する結合材の割合は、作製する圧粉磁心11の目的とする飽和磁束密度や機械的特性、許容される渦電流損失等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、非晶質合金粉末の各粒子同士を確実に絶縁しつつ、圧粉磁心11の密度をある程度確保して、圧粉磁心11の飽和磁束密度や透磁率が著しく低下するのを防止することができる。その結果、より飽和磁束密度および透磁率が高く、かつ、より低鉄損の圧粉磁心11が得られる。
また、有機溶媒としては、結合材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。
なお、前記混合物中には、必要に応じて、任意の目的で各種添加剤を添加するようにしてもよい。
以上のような結合材により、非晶質合金粉末の粒子同士が結着されるとともに絶縁される。これにより、圧粉磁心11に高周波数で変化する磁場を付与しても、この磁場変化に対する電磁誘導で発生する起電力に伴う誘導電流は、各粒子中の比較的短い経路にしか流れない。このため、この誘導電流によるジュール損失(渦電流損失)を小さく抑えることができる。また、各粒子の保磁力は小さいので、ヒステリシス損失を小さく抑えることもできる。
一方、導線12の構成材料としては、導電性の高い材料が挙げられ、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Ni等を含む金属材料が挙げられる。
なお、導線12の表面に、絶縁性を有する表面層を備えているのが好ましい。これにより、圧粉磁心11と導線12との短絡を確実に防止することができる。かかる表面層の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料等が挙げられる。
次に、チョークコイル10の製造方法について説明する。
まず、本発明の非晶質合金粉末と、結合材と、各種添加剤と、有機溶媒とを混合し、混合物を得る。
次いで、混合物を乾燥させて塊状の乾燥体を得た後、この乾燥体を粉砕することにより、造粒粉末を形成する。
次に、この造粒粉末を、作製すべき圧粉磁心の形状に成形し、成形体を得る。
この場合の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、プレス成形、押出成形、射出成形等の方法が挙げられる。なお、この成形体の形状寸法は、以後の成形体を加熱した際の収縮分を見込んで決定される。また、プレス成形の場合の成形圧力は、1t/cm(98MPa)以上10t/cm(981MPa)以下程度とされる。
次に、得られた成形体を加熱することにより、結合材を硬化させ、圧粉磁心11を得る。このとき、加熱温度は、結合材の組成等に応じて若干異なるものの、結合材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされる。
以上により、本発明の非晶質合金粉末を加圧・成形してなる圧粉磁心11、および、かかる圧粉磁心11の外周面に沿って導線12を巻き回してなるチョークコイル(本発明の磁性素子)10が得られる。かかるチョークコイル10は、高周波数下での鉄損が小さいものとなる。
また、本発明の非晶質合金粉末によれば、磁気特性に優れた圧粉磁心11を容易に得ることができる。これにより、圧粉磁心11の磁束密度の向上や、それに伴うチョークコイル10の小型化や定格電流の増大、発熱量の低減を容易に実現することができる。すなわち、高性能のチョークコイル10が得られる。
なお、圧粉磁心11の形状は、上述したリング状に限定されず、例えばリングの一部が欠損した形状であってもよく、棒状であってもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図3は、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。
以下、第2実施形態に係るチョークコイルについて説明するが、以下の説明では、前記第1実施形態に係るチョークコイルとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態に係るチョークコイル20は、図3に示すように、コイル状に成形された導線22を、圧粉磁心21の内部に埋設してなるものである。すなわち、チョークコイル20は、導線22を圧粉磁心21でモールドしてなる。
このような形態のチョークコイル20は、比較的小型のものが容易に得られる。そして、このような小型のチョークコイル20を製造するにあたって、飽和磁束密度および透磁率が大きく、かつ、損失の小さい圧粉磁心21を用いることにより、小型であるにもかかわらず、大電流に対応可能な低損失・低発熱のチョークコイル20が得られる。
また、導線22が圧粉磁心21の内部に埋設されているため、導線22と圧粉磁心21との間に隙間が生じ難い。このため、圧粉磁心21の磁歪による振動を抑制し、この振動に伴う騒音の発生を抑制することもできる。
以上のような本実施形態にかかるチョークコイル20を製造する場合、まず、成形型のキャビティ内に導線22を配置するとともに、キャビティ内を本発明の非晶質合金粉末で充填する。すなわち、導線22を包含するように、非晶質合金粉末を充填する。
次に、導線22とともに、非晶質合金粉末を加圧して成形体を得る。
次いで、前記第1実施形態と同様に、この成形体に熱処理を施す。これにより、チョークコイル20が得られる。
[電子機器]
次いで、本発明の磁性素子を備える電子機器(本発明の電子機器)について、図4〜図6に基づき、詳細に説明する。
図4は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、例えばスイッチング電源用のチョークコイルやインダクター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図5は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、例えばインダクター、ノイズフィルター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図6は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて撮像した画像を表示する構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300にも、例えばインダクター、ノイズフィルター等の磁性素子1000が内蔵されている。
なお、本発明の磁性素子を備える電子機器は、図4のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図5の携帯電話機、図6のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、移動体制御機器類(例えば、自動車駆動用制御機器等)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
以上、本発明の非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、本発明の非晶質合金粉末の用途例として圧粉磁心を挙げて説明したが、用途例はこれに限定されず、例えば磁性流体、磁気遮蔽シート、磁気ヘッド等の磁性デバイスであってもよい。
また、圧粉磁心や磁性素子の形状も、図示したものに限定されず、いかなる形状であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.圧粉磁心およびチョークコイルの製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法により粉末化して非晶質合金粉末を得た。次いで、風力分級機により分級を行った。得られた非晶質合金粉末の合金組成を表1に示す。なお、合金組成の特定には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aを用いた。また、C(炭素)の定量分析には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200を用いた。また、O(酸素)の定量分析には、LECO社製酸素・窒素分析装置、TC−300/EF−300を用いた。
[2]次に、得られた非晶質合金粉末について、粒度分布測定を行った。なお、この測定は、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、HRA9320−X100 日機装株式会社製)により行った。そして、粒度分布から非晶質合金粉末のD10、D50(平均粒径)およびD90を求めた。また、併せて、非晶質合金粉末のタップ密度を測定した。測定結果を表2に示す。
[3]次に、得られた非晶質合金粉末と、エポキシ樹脂(結合材)、トルエン(有機溶媒)とを混合して、混合物を得た。なお、エポキシ樹脂の添加量は、非晶質合金粉末100質量部に対して2質量部とした。
[4]次に、得られた混合物を撹拌したのち、短時間乾燥させ、塊状の乾燥体を得た。次いで、この乾燥体を、目開き400μmのふるいにかけ、乾燥体を粉砕して、造粒粉末を得た。得られた造粒粉末を50℃で1時間乾燥させた。
[5]次に、得られた造粒粉末を、成形型に充填し、下記の成形条件に基づいて成形体を得た。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形
・成形体の形状:リング状
・成形体の寸法:外径28mm、内径14mm、厚さ5mm
・成形圧力 :4t/cm(392MPa)
[6]次に、成形体を、大気雰囲気中において、温度150℃で0.75時間加熱して、結合材を硬化させた。これにより、圧粉磁心を得た。
[7]次に、得られた圧粉磁心を用い、以下の作製条件に基づいて、図2に示すチョークコイル(磁性素子)を作製した。
<コイル作製条件>
・導線の構成材料:Cu
・導線の線径 :0.5mm
・巻き数 :励磁コイル側30ターン、検出コイル側30ターン
(サンプルNo.2〜25)
非晶質合金粉末として表1に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
Figure 2016015357
なお、表1においては、高速回転水流アトマイズ法のことを「回転水」と表記し、水アトマイズ法のことを「噴射水」と表記している。
また、表1においては、各サンプルNo.の非晶質合金粉末のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示した。
2.非晶質合金粉末、圧粉磁心およびチョークコイルの評価
2.1 非晶質合金粉末の粒子のアスペクト比の測定
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末について、走査型電子顕微鏡により観察し、観察像を得た。次いで、得られた観察像から、100個の粒子の像の長径と短径とを測定するとともに、長径/短径で定義されるアスペクト比を求めた。そして、100個のデータの平均値を求めた。
その結果、サンプルNo.1〜22で得られた非晶質合金粉末およびサンプルNo.25で得られた粒子は、いずれもアスペクト比の平均値が1以上2.5以下であった。
一方、サンプルNo.23、24で得られた粉末の粒子は、いずれもアスペクト比の平均値が3を超えていた。
2.2 非晶質合金粉末の磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末について、それぞれの保磁力および単位質量当たりの最大磁気モーメントを以下の測定条件に基づいて測定した。
<保磁力および単位質量当たりの最大磁気モーメントの測定条件>
・測定装置 :磁化測定装置(株式会社玉川製作所製VSMシステム、TM−VSM1230−MHHL)
2.3 非晶質合金粉末の保磁力の粒径依存性の評価
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末について、それぞれ、目開き45μmのJIS標準ふるい、目開き38μmのJIS標準ふるい、および目開き25μmのJIS標準ふるいを順次通過させるふるい分け作業を行った。そして、目開き38μmのJIS標準ふるい上に残った粒子(第1粒子)の保磁力Hc1と、目開き25μmのJIS標準ふるい上に残った粒子(第2粒子)の保磁力Hc2と、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過した粒子(第3粒子)の保磁力Hc3と、を測定した。
そして、各非晶質合金粉末について、Hc2/Hc1およびHc3/Hc1を求めた。
また、各非晶質合金粉末について、第1粒子、第2粒子および第3粒子の粒径を横軸にとり、保磁力を縦軸にとってグラフ上にプロットした。次いで、プロットした3点を線形近似するとともに、得られた直線の傾きおよび線形近似の決定係数(相関関数Rの2乗値)を求めた。なお、第1粒子の粒径は、代表的に41.5μmとし、第2粒子の粒径は、代表的に31.5μmとし、第3粒子の粒径は、代表的に12.5μmとした。ここでは、一例として、サンプルNo.5とサンプルNo.15の非晶質合金粉末について求められた近似直線を示すグラフを図7に示す。図7では、xの係数が直線の傾きに相当し、Rの値が線形近似の決定係数に相当する。また、四角のマーカーがサンプルNo.5に対応し、菱形のマーカーがサンプルNo.15に対応する。図7に示すように、プロットした3点は、いずれも1つの直線に沿って分布することが認められ、得られた各直線に係る線形近似の決定係数は、いずれも0.7以上であった。
2.4 圧粉磁心の成形密度の測定
各実施例および各比較例で得られた圧粉磁心について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により成形密度を測定した。そして、測定された成形密度から、非晶質合金の真密度に対する相対密度を算出し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<成形密度の評価基準>
A:成形密度が96%以上である
B:成形密度が94%以上96%未満である
C:成形密度が92%以上94%未満である
D:成形密度が90%以上92%未満である
E:成形密度が88%以上90%未満である
F:成形密度が88%未満である
2.5 チョークコイルの磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られたチョークコイルについて、それぞれの透磁率μ’、鉄損(コアロスPcv)および最大磁束密度を以下の測定条件に基づいて測定した。
<鉄損の測定条件>
・測定周波数 :500kHz、1MHz
・最大磁束密度:30mT
・透磁率μ’ :21
・測定装置 :交流磁気測定装置(B−Hアナライザー IWATSU ELECTRIC SY−8232)
<透磁率μ’の測定条件>
・測定装置 :インピーダンスアナライザー(HEWLETT PACKARD 4194A)
<最大磁束密度の測定条件>
・測定装置 :交流磁気測定装置(B−Hアナライザー IWATSU ELECTRIC SY−8232)
そして、測定した最大磁束密度について、以下の評価基準にしたがって評価した。なお、評価にあたっては、サンプルNo.23で得られた圧粉磁心の最大磁束密度を1としたときの相対値を算出し、その相対値を以下の評価基準に当てはめることにより行った。
<最大磁束密度の評価基準>
A:相対値が1.10以上である
B:相対値が1.06以上1.10未満である
C:相対値が1.02以上1.06未満である
D:相対値が0.98以上1.02未満である
E:相対値が0.94以上0.98未満である
F:相対値が0.94未満である
2.6 圧粉磁心の耐食性の評価
各実施例および各比較例で得られた圧粉磁心を、それぞれの高温高湿環境下に放置した。そして、放置後の圧粉磁心の外観を観察することにより、圧粉磁心の耐食性を評価した。
なお、高温高圧環境の作製は恒温恒湿機(大研理化学器械製)で行い、温度85℃、相対湿度90%とした。この高温高湿環境下に圧粉磁心を入れ、5日間経過後の外観を試験前のものと比較し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<耐食性の評価基準>
A:さびが発生した面積が表面積の1%未満である
B:表面積の1%以上10%未満にさびの発生が認められる
C:表面積の10%以上25%未満にさびの発生が認められる
D:表面積の25%以上50%未満にさびの発生が認められる
E:表面積の50%以上にさびの発生が認められる
2.7 圧粉磁心の抗折性の評価
各実施例および各比較例で得られた非晶質合金粉末を用い、前述した圧粉磁心の製造方法と同様の方法で、抗折試験用テストピースを作製した。抗折試験用テストピースの寸法は、幅12.7mm、長さ31、75mm、厚さ5mmの直方体形状とした。
次いで、室温下にて、テストピースの3点曲げ試験を行い、以下の評価基準にしたがって評価した。
<抗折性の評価基準>
A:3点曲げ強さが80MPa以上
B:3点曲げ強さが65MPa以上80MPa未満
C:3点曲げ強さが50MPa以上65MPa未満
D:3点曲げ強さが35MPa以上50MPa未満
E:3点曲げ強さが35MPa未満
以上の評価結果をそれぞれ表2、3に示す。なお、表2、3では、各サンプルNo.のうち、本発明に相当するものを「実施例」とし、本発明に相当しないものを「比較例」としている。
Figure 2016015357
Figure 2016015357
表2、3から明らかなように、各実施例で得られたチョークコイルは、鉄損が特に低く、また、最大磁束密度が十分に高いものであった。したがって、本発明の非晶質合金粉末は、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立し得る圧粉磁心を製造可能なものであると認められる。
1……冷却用筒体
2……蓋体
3……開口部
4……冷却液噴出管
5……吐出口
7……ポンプ
8……タンク
9……冷却液層
13……冷却液回収カバー
14……排液口
15……坩堝
16……層厚調整用リング
17……液切り用網体
18……粉末回収容器
23……空間部
24……ジェットノズル
25……溶融金属
26……ガスジェット
27……ガス供給管
30……粉末製造装置
10、20……チョークコイル
11、21……圧粉磁心
12、22……導線
100……表示部
1000……磁性素子
1100……パーソナルコンピューター
1102……キーボード
1104……本体部
1106……表示ユニット
1200……携帯電話機
1202……操作ボタン
1204……受話口
1206……送話口
1300……ディジタルスチルカメラ
1302……ケース
1304……受光ユニット
1306……シャッターボタン
1308……メモリー
1312……ビデオ信号出力端子
1314……入出力端子
1430……テレビモニター
1440……パーソナルコンピューター

Claims (9)

  1. 非晶質合金で構成され、
    体積基準の粒度分布において小径側から累積10%となるときの粒径をD10とし、累積50%となるときの粒径をD50とし、累積90%となるときの粒径をD90としたとき、D90/D10が3.3以上6.5以下であり、かつ、D50が5μm以上20μm以下であり、
    単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、
    保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、
    酸素含有率が質量比で100ppm以上3000ppm以下であることを特徴とする非晶質合金粉末。
  2. 粒子のアスペクト比の平均値が1以上3以下である請求項1に記載の非晶質合金粉末。
  3. タップ密度が4.1g/cm以上4.7g/cm以下である請求項1または2に記載の非晶質合金粉末。
  4. 目開き45μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き38μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を第1粒子とし、
    目開き38μmのJIS標準ふるいを通過し、目開き25μmのJIS標準ふるいを通過しない粒子を第2粒子とし、
    目開き25μmのJIS標準ふるいを通過する粒子を第3粒子とし、
    前記第1粒子の保磁力をHc1とし、前記第2粒子の保磁力をHc2とし、前記第3粒子の保磁力をHc3としたとき、
    Hc2/Hc1が0.6以上1.4以下であり、かつ、Hc3/Hc1が0.5以上1.5以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  5. 前記非晶質合金は、Feを主成分とし、
    Siを2質量%以上9質量%以下の割合で含み、
    Bを1質量%以上5質量%以下の割合で含み、
    Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含むものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非晶質合金粉末。
  6. 前記非晶質合金は、さらに、Cを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含む請求項5に記載の非晶質合金粉末。
  7. 非晶質合金で構成され、体積基準の粒度分布において小径側から累積10%となるときの粒径をD10とし、累積90%となるときの粒径をD90としたとき、粒度分布D90/D10が3.3以上6.5以下であり、単位質量当たりの磁気モーメントが120[emu/g]以上210[emu/g]以下であり、保磁力が0.1[Oe]以上2[Oe]以下であり、酸素含有率が質量比で100ppm以上2000ppm以下である非晶質合金粉末と、
    前記非晶質合金粉末の粒子表面に設けられ、絶縁性を有する絶縁膜と、
    を有することを特徴とする圧粉磁心。
  8. 請求項7に記載の圧粉磁心を備えることを特徴とする磁性素子。
  9. 請求項8に記載の磁性素子を備えることを特徴とする電子機器。
JP2014135309A 2014-06-30 2014-06-30 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 Active JP6446863B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014135309A JP6446863B2 (ja) 2014-06-30 2014-06-30 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014135309A JP6446863B2 (ja) 2014-06-30 2014-06-30 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016015357A true JP2016015357A (ja) 2016-01-28
JP6446863B2 JP6446863B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=55231369

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014135309A Active JP6446863B2 (ja) 2014-06-30 2014-06-30 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6446863B2 (ja)

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017176023A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 セイコーエプソン株式会社 核酸結合性固相担体および核酸の抽出方法
JPWO2019031463A1 (ja) * 2017-08-07 2019-11-07 日立金属株式会社 Fe基合金、結晶質Fe基合金アトマイズ粉末、及び磁心
EP3572171A1 (en) * 2018-05-21 2019-11-27 TDK Corporation Soft magnetic powder, pressed powder body, and magnetic component
EP3489973A4 (en) * 2016-07-19 2020-01-08 Moda-Innochips Co., Ltd. POWER INDUCER
JP2020023749A (ja) * 2019-09-09 2020-02-13 Tdk株式会社 軟磁性粉末、圧粉体および磁性部品
CN110997184A (zh) * 2017-09-04 2020-04-10 同和电子科技有限公司 软磁性粉末、Fe粉末或含有Fe的合金粉末的制造方法、软磁性材料、以及压粉磁芯的制造方法
JP2020088379A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. コイル部品
CN111246952A (zh) * 2017-08-07 2020-06-05 日立金属株式会社 结晶质Fe基合金粉末及其制造方法
WO2020218332A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 Tdk株式会社 軟磁性合金粉末、圧粉磁心、磁性部品および電子機器
WO2020261939A1 (ja) * 2019-06-28 2020-12-30 株式会社村田製作所 インダクタ
CN113451013A (zh) * 2020-03-25 2021-09-28 Tdk株式会社 磁芯、磁性部件和电子设备
KR20210135294A (ko) * 2019-04-25 2021-11-12 티디케이가부시기가이샤 연자성 합금 분말, 압분 자심, 자성 부품 및 전자 기기
CN113744948A (zh) * 2021-09-01 2021-12-03 横店集团东磁股份有限公司 非晶磁粉芯前驱体颗粒、非晶磁粉芯、其制备方法及电感器件
WO2021256097A1 (ja) 2020-06-19 2021-12-23 Jfeスチール株式会社 圧粉磁芯用鉄基粉末、圧粉磁芯および圧粉磁芯の製造方法
EP4254441A1 (en) * 2022-03-29 2023-10-04 Seiko Epson Corporation Magnetic bead and magnetic bead dispersion liquid
WO2023197885A1 (zh) * 2022-04-11 2023-10-19 横店集团东磁股份有限公司 一种全集成式电压调节模块电感的磁性浆料及其制备方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11214210A (ja) * 1998-01-23 1999-08-06 Daido Steel Co Ltd 磁性材料粉末およびその製造方法
JP2004156134A (ja) * 2002-09-11 2004-06-03 Alps Electric Co Ltd 非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体
JP2005307291A (ja) * 2004-04-22 2005-11-04 Alps Electric Co Ltd 非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コアと電波吸収体
JP2005347641A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Hitachi Metals Ltd 圧粉磁心およびその製造方法ならびに巻線部品
JP2007291454A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Seiko Epson Corp 金属粉末製造装置、金属粉末および成形体
JP2010007100A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Hitachi Metals Ltd 合金粉末およびその製造方法
JP2013213247A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Seiko Epson Corp 軟磁性粉末、圧粉磁心および磁性素子
JP2014033001A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Alps Green Devices Co Ltd 複合磁性粉末及び前記複合磁性粉末を用いた圧粉磁心

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11214210A (ja) * 1998-01-23 1999-08-06 Daido Steel Co Ltd 磁性材料粉末およびその製造方法
JP2004156134A (ja) * 2002-09-11 2004-06-03 Alps Electric Co Ltd 非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コア及び電波吸収体
JP2005307291A (ja) * 2004-04-22 2005-11-04 Alps Electric Co Ltd 非晶質軟磁性合金粉末及びそれを用いた圧粉コアと電波吸収体
JP2005347641A (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Hitachi Metals Ltd 圧粉磁心およびその製造方法ならびに巻線部品
JP2007291454A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Seiko Epson Corp 金属粉末製造装置、金属粉末および成形体
JP2010007100A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Hitachi Metals Ltd 合金粉末およびその製造方法
JP2013213247A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Seiko Epson Corp 軟磁性粉末、圧粉磁心および磁性素子
JP2014033001A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Alps Green Devices Co Ltd 複合磁性粉末及び前記複合磁性粉末を用いた圧粉磁心

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017176023A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 セイコーエプソン株式会社 核酸結合性固相担体および核酸の抽出方法
US11424057B2 (en) 2016-07-19 2022-08-23 Moda-Innochips Co., Ltd. Power inductor
EP3489973A4 (en) * 2016-07-19 2020-01-08 Moda-Innochips Co., Ltd. POWER INDUCER
JPWO2019031463A1 (ja) * 2017-08-07 2019-11-07 日立金属株式会社 Fe基合金、結晶質Fe基合金アトマイズ粉末、及び磁心
CN111246952B (zh) * 2017-08-07 2023-02-17 日立金属株式会社 结晶质Fe基合金粉末及其制造方法
US11545286B2 (en) 2017-08-07 2023-01-03 Hitachi Metals, Ltd. Crystalline Fe-based alloy powder and method for producing same
CN111246952A (zh) * 2017-08-07 2020-06-05 日立金属株式会社 结晶质Fe基合金粉末及其制造方法
CN110997184A (zh) * 2017-09-04 2020-04-10 同和电子科技有限公司 软磁性粉末、Fe粉末或含有Fe的合金粉末的制造方法、软磁性材料、以及压粉磁芯的制造方法
CN110997184B (zh) * 2017-09-04 2022-07-08 同和电子科技有限公司 软磁性粉末、Fe粉末或含有Fe的合金粉末的制法、软磁性材料、以及压粉磁芯的制法
EP3572171A1 (en) * 2018-05-21 2019-11-27 TDK Corporation Soft magnetic powder, pressed powder body, and magnetic component
CN110517839A (zh) * 2018-05-21 2019-11-29 Tdk株式会社 软磁性粉末、压粉体和磁性部件
JP2019203150A (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 Tdk株式会社 軟磁性粉末、圧粉体および磁性部品
US11894169B2 (en) 2018-05-21 2024-02-06 Tdk Corporation Soft magnetic powder, pressed powder body, and magnetic component
JP2020088379A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. コイル部品
WO2020218332A1 (ja) * 2019-04-25 2020-10-29 Tdk株式会社 軟磁性合金粉末、圧粉磁心、磁性部品および電子機器
JP7424183B2 (ja) 2019-04-25 2024-01-30 Tdk株式会社 軟磁性合金粉末、圧粉磁心、磁性部品および電子機器
KR20210135294A (ko) * 2019-04-25 2021-11-12 티디케이가부시기가이샤 연자성 합금 분말, 압분 자심, 자성 부품 및 전자 기기
CN113710391A (zh) * 2019-04-25 2021-11-26 Tdk株式会社 软磁性合金粉末、压粉磁芯、磁性部件及电子设备
CN113710391B (zh) * 2019-04-25 2023-08-18 Tdk株式会社 软磁性合金粉末、压粉磁芯、磁性部件及电子设备
KR102557249B1 (ko) 2019-04-25 2023-07-19 티디케이가부시기가이샤 연자성 합금 분말, 압분 자심, 자성 부품 및 전자 기기
WO2020261939A1 (ja) * 2019-06-28 2020-12-30 株式会社村田製作所 インダクタ
CN113906529A (zh) * 2019-06-28 2022-01-07 株式会社村田制作所 电感器
JP2020023749A (ja) * 2019-09-09 2020-02-13 Tdk株式会社 軟磁性粉末、圧粉体および磁性部品
CN113451013A (zh) * 2020-03-25 2021-09-28 Tdk株式会社 磁芯、磁性部件和电子设备
KR20230006906A (ko) 2020-06-19 2023-01-11 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 압분 자심용 철기 분말, 압분 자심 및 압분 자심의 제조 방법
WO2021256097A1 (ja) 2020-06-19 2021-12-23 Jfeスチール株式会社 圧粉磁芯用鉄基粉末、圧粉磁芯および圧粉磁芯の製造方法
WO2023029877A1 (zh) * 2021-09-01 2023-03-09 横店集团东磁股份有限公司 非晶磁粉芯前驱体颗粒、非晶磁粉芯、其制备方法及电感器件
CN113744948A (zh) * 2021-09-01 2021-12-03 横店集团东磁股份有限公司 非晶磁粉芯前驱体颗粒、非晶磁粉芯、其制备方法及电感器件
CN113744948B (zh) * 2021-09-01 2022-07-12 横店集团东磁股份有限公司 非晶磁粉芯前驱体颗粒、非晶磁粉芯、其制备方法及电感器件
EP4254441A1 (en) * 2022-03-29 2023-10-04 Seiko Epson Corporation Magnetic bead and magnetic bead dispersion liquid
WO2023197885A1 (zh) * 2022-04-11 2023-10-19 横店集团东磁股份有限公司 一种全集成式电压调节模块电感的磁性浆料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6446863B2 (ja) 2019-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6446863B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
CN107039137B (zh) 软磁性粉末、压粉磁芯、磁性元件以及电子设备
JP6593146B2 (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
US11894168B2 (en) Soft magnetic powder, powder magnetic core, magnetic element, and electronic device
JP6750437B2 (ja) 軟磁性アトマイズ粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
TWI610320B (zh) 非晶質合金粉末、壓粉磁心、磁性元件及電子機器
JP2016014162A (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP6123336B2 (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
US11017925B2 (en) Soft magnetic powder, powder magnetic core, magnetic element, and electronic device
JP6075117B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP6146051B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
US20200243237A1 (en) Soft magnetic powder, powder magnetic core, magnetic element, and electronic device
JP7099035B2 (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP6197309B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
CN111508679B (zh) 软磁性粉末、压粉磁芯、磁性元件以及电子设备
JP6146050B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP2022121260A (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
US20200243235A1 (en) Soft magnetic powder, powder magnetic core, magnetic element, and electronic device
JP6146052B2 (ja) 非晶質合金粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP2022175110A (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子、電子機器および移動体
JP2023100104A (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP2023109413A (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器
JP2023109414A (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6446863

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150