JP2005347641A - 圧粉磁心およびその製造方法ならびに巻線部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた直流重畳特性を有しかつ低損失である軟磁性圧密体と、このような軟磁性圧密体の製造方法を提供する。
【解決手段】 (d90−d10)/d50値(d10、d50、d90はそれぞれ粒径分布測定の体積積算曲線における10%、50%、90%の粒径)が2.5以下の粒度分布を有する軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散し、これらの複合粒子が焼結されてなることを特徴とし、好ましくは、前記焼結には放電プラズマ焼結を用いる。また、好ましくは軟磁性粒子の平均粒径は1〜100μm、絶縁体粒子の平均粒径は0.01〜10μm以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種電源等の電子機器に使用される圧粉磁心およびその製造方法ならびに巻線部品に関するものである。
各種電子機器の高機能・多機能化に伴い電源の大電流化が進み、それに使用されるチョークコイル等の巻線部品の磁心に用いられる軟磁性材料においても、大電流でも特性変化の小さいこと、すなわち優れた直流重畳特性(広い磁界範囲で高比透磁率)と低損失が求められる。これらの要請に対し、従来、軟磁性粒子表面に絶縁被膜処理を施した複合粒子、あるいは軟磁性粒子表面に絶縁体粒子分散させた複合粒子を圧密化した高密度のバルク形状体等が供されてきた。例えば、軟磁性粒子として高い飽和磁化を有する磁性金属粒子を用いた圧粉磁心は、高い磁束密度まで飽和しないため、優れた直流重畳特性を示す。一般に金属粒子を用いた圧密体の製造においては、使用する磁性金属粒子が塑性変形しにくいため、圧密化に際して高圧を必要とする。そこで、このようなバルク形状体を効率よく得る方法として、例えば上記複合粒子を放電プラズマ焼結法により塑性変形させながら固化成形する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。一方、磁気特性をさらに向上することを目的として、例えば特許文献2には、粒度分布の最頻値が5倍以上異なる粉末を所定の割合で混合した粉末成形磁芯が開示されている。
特開平8―337839号公報 特開2001−68324号公報
上記特許文献2によれば、粒度分布の最頻値が5倍以上異なる粉末を所定の割合で混合することにより、占積率の向上、透磁率・飽和磁束密度の向上が図られるが、通常の加圧成形法では軟磁性粒子の圧密化には高い圧力を要することから、さらに占積率を向上して磁気特性の向上を図ることは困難であった。また、高圧で成形することによってヒステリシス損失や渦電流損失が増加しやすく、磁心特性として重要な損失を同時に低減することは困難であった。一方、放電プラズマ焼結法によれば圧密体を高密度化しやすいため、効率よく圧密体を製造できるが、かかる方法をもってしても高密度化による直流重畳特性の向上には限界があり、さらに優れた直流重畳特性を具備した圧密体が望まれていた。
以上の問題に鑑み、本発明の目的は、優れた直流重畳特性を有しかつ低損失の圧粉磁心およびその製造方法ならびに巻線部品を提供することにある。
本発明者は、圧粉磁心の直流重畳特性は軟磁性粒子の粒径分布の影響を強く受け、軟磁性粒子の粒径分布を狭くすることにより、優れた直流重畳特性を示す圧粉磁心となることを見出し本発明に想到した。
すなわち、本発明は、(d90−d10)/d50値(d10、d50、d90はそれぞれ粒径分布測定の体積積算曲線における10%、50%、90%の粒径)が2.5以下の粒径分布を有する軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散し、これらの複合粒子が焼結されてなる圧粉磁心である。かかる構成とすることで直流重畳特性に優れ、損失の小さい圧粉磁心を提供することできる。
前記圧粉磁心において、軟磁性粒子の平均粒径d50は1〜100μm、絶縁体粒子の平均粒径d50は0.01〜10μmであることが好ましい。
また、前記圧粉磁心において、軟磁性粒子は組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織である磁性体であることが好ましい。軟磁性粒子を該構成とすることで、高い磁気特性を有する圧粉磁心を提供することができる。
また、前記絶縁体粒子は、SiO粒子であることが好ましい。SiOは融点が高く、また熱膨張率も低いことから、これを絶縁体粒子として用いることにより、高密度かつ低損失の圧粉磁心を得ることができる。
さらに、本発明は前記圧粉磁心を用いた巻線部品であり、本発明によれば電流の増加に対して安定な特性を示す巻線部品を提供することができ、それを用いた電子機器の高性能化等に寄与する。
また、本発明の圧粉磁心の製造方法は、前記粒径分布を有する軟磁性粒子と絶縁体粒子とを、結着性樹脂の水溶液中で混合し、次いでこれらを攪拌しながら乾燥させた複合粒子を放電プラズマ焼結することを特徴とする。かかる構成の製造方法により、粒径分布の狭い軟磁性粒子を効率よく圧密化し、直流重畳特性に優れ、低損失な圧粉磁心を提供することができる。
本発明はさらに、前記軟磁性粒子が非晶質であって、焼結温度を400℃以上かつその結晶化開始温度T℃未満とし、焼結後、T℃以上かつTx+100℃以下の温度で熱処理を施すことにより組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下であるナノ結晶組織を発現させることを特徴とする。かかる構成の製造方法により、いっそう磁気特性に優れる圧粉磁心を提供することが可能となる。
本発明は、粒径分布の狭い軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散し、これらの複合粒子が焼結されてなる圧粉磁心であり、かかる構成により、優れた直流重畳特性を示すとともに、低損失な圧粉磁心を提供することができる。また、本発明の圧粉磁心を用いてチョークコイル等の巻線部品を構成することにより、大電流電源等の高性能な電子機器を提供することができる。
一般に、圧粉磁心は、軟磁性粒子を絶縁材料とともに加圧して圧密体とすることによって得られ、本発明の圧粉磁心も本発明で特に限定する以外は上記従来からの製造方法を適用することができる。圧粉磁心の製造に供する軟磁性粒子は、例えば水アトマイズ、ガスアトマイズ等のアトマイズ法、機械的粉砕法等によって調整することができるが、高磁気特性を発現させる目的等で非晶質の軟磁性粒子を得る場合は、冷却速度の大きい水アトマイズ法によることが好ましい。
本発明は、上記軟磁性粒子として(d90−d10)/d50値が2.5以下の粒度分布を有する軟磁性粒子を用いることを特徴としている。ここでd10、d50、d90とは、それぞれ粒径分布測定の体積積算曲線における10%、50%、90%の粒径をいい、焼結に供する軟磁性粒子の粒径分布測定は、例えばレーザー回折型粒径分布測定器を用いて行うことができる。従来は、圧粉磁心の密度を上げて高性能化する観点から、例えば特許文献2にあるように粒径分布の最頻値の異なる軟磁性粒子を混合して用いることが検討されてきた。このことは同時に粒径分布の広い軟磁性粒子を使用していることを意味するが、本発明者は、軟磁性粒子の粒径分布と直流重畳特性との関係について検討した結果、逆に粒径分布の狭い軟磁性粒子を用いることで直流重畳特性が向上することを知見したのである。粒径分布の広さの指標である(d90−d10)/d50値は2.5以下が好ましい。該値が2.5を超えると磁界8000A/mを印加したときの比透磁率は比初透磁率の25%未満となり、高い直流重畳特性が得られない。粒径分布は狭く、すなわち(d90−d10)/d50値は小さい方が直流重畳特性を改善する上で有利であるが、その一方で、分級等によって粒径分布を狭くすることはより困難となるため生産性に劣る。したがって、より好ましくは1.0〜2.0である。
圧粉磁心を構成する軟磁性粒子は、軟磁性粒子間を一定とした場合、その粒径が大きいと高い透磁率を示し、粒径が小さいと低い透磁率を示す。そして、外部磁界を圧粉磁心に印加した場合、粒径の大きい軟磁性粒子は低磁界で飽和し、粒径の小さい粒子は高磁界で飽和すると考えられる。そのため、粒径分布の幅を狭く、(d90−d10)/d50値を2.5以下とすると、低磁界で飽和する領域と高磁界で飽和する領域の軟磁性圧密体の透磁率への寄与の差が小さくなり、その結果優れた直流重畳特性を示すものと推測される。
軟磁性粒子の平均粒径d50は1〜100μmとすることが好ましい。軟磁性粒子の平均粒径をかかる範囲とすることで、焼結性の向上を通じて高密度化が実現され、良好な直流重畳特性を示す圧粉磁心が得られる。軟磁性粒子の平均粒径が100μmを超えると圧粉磁心の密度が低下し良好な直流重畳特性が得られず、1μm未満であると粉体の取り扱いが困難となる。平均粒径d50はより好ましくは5〜50μmである。また、絶縁体粒子の平均粒径は0.01〜10μmとする。絶縁体粒子の平均粒径d50が10μmを超えると圧粉磁心の密度が低下し良好な直流重畳特性が得られず、0.01μm未満となると絶縁が不十分となり損失が増加する。さらに、絶縁体粒子の平均粒径を軟磁性粒子の平均粒径の10分の1以下とすると、絶縁体粒子が軟磁性粒子間に均一に分散され、絶縁性を良好に保つことができる。また、本発明において絶縁体粒子が軟磁性粒子間に良好に分散されることにより、高い絶縁性が確保される他、軟磁性粒子間距離のばらつきが小さくなることから優れた直流重畳特性を得ることができる。すなわち本発明の圧粉磁心では、圧密化した後の圧粉磁心においても軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散している状態を維持していることを特徴とし、かかる構成により、良好な直流重畳特性と低損失を実現する。
更に、本発明において軟磁性粒子と絶縁体粒子の体積比の範囲を90:10から99:1とすると、粒子間の絶縁を確保しつつ軟磁性粒子の密度を高くすることができ、低損失で、かつ良好な直流重畳特性を有する軟磁性圧密体となる。
本発明において適用する絶縁体粒子は圧粉磁心において粒子形状が保たれるものであれば、種類は問わないが、絶縁性が高く高融点の酸化物系セラミックス粒子が好ましい。具体的にはシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)等が適用できる。塑性変形をしにくい絶縁体粒子を用いることで、絶縁体粒子の平均粒径を調整することにより軟磁性粒子間の距離を制御することが可能となり、それにより比透磁率の値も制御できる。中でもシリカ(SiO2)は熱膨張率が低く、圧粉磁心の高密度化に有利である。
本発明の圧粉磁心を構成する軟磁性粒子としては、Fe-Si系合金、Fe-Si-Al合金(センダスト)、Ni-Fe系合金(パーマロイ)、Fe基及びCo基の非晶質合金材料、Fe基及びCo基の、組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織を有する材料などが適用できるが、高い磁気特性を実現する観点から、組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織である材料が好ましい。この場合ナノ結晶組織が前記範囲から外れると高い磁気特性が得られない。前記結晶粒径は、より好ましくは5〜30nmである。なお、ナノ結晶組織の割合は粒子断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察等における面積比率から算出する。また、特に一般式:
(Fe1−a100−x−y−z−α−β−γCuSiM’αM”βγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M’はNb、W、Ta、Zr、Hf、Ti及びMoから成る群から選ばれた少なくとも1種の元素、M”はV、Cr、Mn、Al、白金属元素、Sc、Y、希土類元素、Au、Zn、Sn、Reから成る群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはBe、C、Ge、P、Ga、Sb、As、Inから成る群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a、x、y、z、α、β及びγはそれぞれ0≦a<0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、0.1≦α≦30、0≦β≦10、0≦γ≦10及び0≦y+z≦35を満たす。)により表される組成を有し、組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織である材料は、高比透磁率、低保磁力の点で優れた特性を有し、本発明に好適に用いることができる。
本発明の圧粉磁心は、比初透磁率は90以上で、磁界8000A/m印加したときの比透磁率は比初透磁率の25%以上の値で、磁心損失が周波数100kHz、振幅磁束密度0.1Tの条件で300kW/m以下、さらには200kW/m以下の特性を実現することが可能であるので、実用上十分な圧粉磁心となる。また、本発明に係る直流重畳特性に優れた圧粉磁心を用いてチョークコイル等の巻線部品を構成することで、それを使用した電子機器の許容電流値を高めることが可能となり、高機能・高性能な電子機器の提供に寄与することとなる。
以下、本発明の製造方法について詳しく説明する。本発明の製造方法では、軟磁性粒子と絶縁体粒子とを、結着性樹脂の水溶液中で混合し、次いでこれらを攪拌しながら乾燥させた複合粒子を用いる。結着性樹脂を用いるのは、絶縁体粒子を軟磁性粒子表面に付着させるためである。本発明に適用できる結着性樹脂は、例えばPVA(ポリビニルアルコール)などである。また、本発明において、結着性樹脂の水溶液を用いるのは、水溶液であれば有機溶媒よりも安価で、取り扱い上安全であるからである。この結着性樹脂の水溶液に軟磁性粒子と絶縁体粒子を混合させて攪拌することにより、絶縁体粒子を軟磁性粒子表面に分散・付着させることができる。このとき攪拌しながら乾燥させるのは、軟磁性粒子同士が結着性樹脂の水溶液によって接着して塊となるのを防ぐためである。
上述の複合粒子を焼結して圧密化し圧粉磁心を得る。かかる圧密化の方法としては、放電プラズマ焼結法を適用することが好ましい。放電プラズマ焼結法は、直接試料に電流を流すため加熱効率が高く、また高圧を適用することも可能であり、難焼結性の粒子同士の接合に適しているからである。本発明の製造方法では、300〜800MPaの圧力で焼結することが好ましい。300MPa以上の圧力範囲とすることで、軟磁性粒子に塑性変形を起こさせ、より高密度の圧粉磁心を得ることができる。一方、800MPaを超える圧力では、装置が複雑化するため好ましくない。
従来、圧粉磁心の密度を上げるために平均粒径の異なる軟磁性粉を混合していたのに対し、放電プラズマ焼結法を適用することによってかかる手法によらずとも圧粉磁心の高密度化を図ることができる。その結果、粒径分布の狭い軟磁性粒子を用いた場合でも高密度化を実現し、粒径分布の狭い軟磁性粒子が直流重畳特性向上に有効であるという本発明者の知見を有効に適用することが可能となったものである。
軟磁性粒子として組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織である磁性体を用いる場合、該組織を発現可能な組成の非晶質軟磁性粒子を、400℃以上かつその結晶化開始温度T℃未満の焼結温度で焼結後、T℃以上かつT+100℃以下の温度で熱処理を施すことが好ましい。この熱処理により組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織となるとともに成形歪が十分に除去され、より低損失となるからである。焼結温度が400℃未満では高密度化が不十分となり、T超えると成形歪が増大するため高磁気特性が得られない。また、熱処理温度がT℃未満では成形歪の除去が不十分となり、T+100℃を超えると組織が粗大化し、ともに磁気特性が低下する。このような焼結および熱処理を通じて、組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下であるナノ結晶組織を発現させる。焼結前からナノ結晶組織を有する軟磁性粒子を用いることも可能であるが、前記方法を適用することで、ナノ結晶化工程を省略するとともに、最終的に得られる圧粉磁心における組織の粗大化を防ぐことができる。
本発明の製造方法に用いる軟磁性粒子の粒度分布において、(d90−d10)/d50値が2.5以下としたのは、上述の優れた磁気特性を有する本発明の軟磁性圧密体の組織に調整するためである。なお、一般的なセラミックスの焼結の場合と異なり、本発明でいうところの焼結ではその加熱温度が低く、また軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散して存在しているため、軟磁性粒子は焼結後においても実質的に粒成長をしない。また、本発明の製造方法において軟磁性粒子の平均粒径を1〜100μmとし、絶縁体粒子の平均粒径を0.01〜10μmとすることが好ましいといえる理由、及び軟磁性粒子と絶縁体粒子の体積比の範囲を90:10から99:1とすることが好ましい理由も、上述の優れた磁気特性を有する本発明の軟磁性圧密体の組織に調整するためである。
原子%でFe69.5Si13.512NbCuCrの合金組成を有し、平均粒径d50が19.8μm、(d90−d10)/d50が2.6の非晶質合金粒子を水アトマイズ法により作製した。この非晶質合金粒子を目開き44μmの篩下で分級することにより、平均粒径d50が18.5μm、(d90−d10)/d50が1.9の非晶質合金粒子を調整した。また、絶縁体粒子として平均粒径が0.5μmのSiO粒子を用意した。
次にPVA粉末を水に溶かし、PVAの濃度が3%の溶液を用意した。前記軟磁性粒子と前記SiO粒子の体積比が95:5になるように混合し、これらとPVA3%溶液6.6質量部を容器に入れ、これらを100℃に加熱しながら1時間攪拌し、完全に乾燥させた。
得られた混合粉末を#60篩にてふるい、団粒を除去した。その後、これらの複合粒子を潤滑剤であるボロンナイトライドを塗布した金型内に装入して、これらの複合粒子に圧力500MPaかけた状態で、最高温度を非晶質合金粒子の結晶化開始温度530℃より低い500℃とした昇温プロセスで18分間加熱することで放電プラズマ焼結を施し、内径7mm、外径12mmのリング状の圧粉磁心を得た。なお、放電プラズマ焼結装置は住友石炭鉱業株式会社製(型式SPS−515S)を用いた。なお、焼結は窒素雰囲気中で行った。得られたリング状の圧粉磁心に窒素雰囲気中580℃において2時間の熱処理を施した。透過型電子顕微鏡により、この圧粉磁心を構成する合金粒子は、組織の少なくとも50%以上が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織を有することを確認した。また、この圧密体の相対密度は、83.2%、μrは94であった。ここで、「相対密度」とは、成形体を完全に緻密体と仮定したときの重量に対する実際の重量の比率として求めたものであり、完全緻密体の重量は、非晶質合金粒子とSiO粒子の体積比に基づいて計算したものである。
次にリング状磁心の直流重畳特性を測定した。その結果を図1に示す。図1から明らかなように、本発明例の場合、規格化した比透磁率μr/μr(μrは直流バイアス磁界が0A/mのときの比透磁率)のバイアス磁界の増加に対する変化が小さく、8000A/mの直流バイアス磁界印加時においても比透磁率はμrの27%であり、25%以上の比透磁率を維持する良好なものとなった。また、後述する比較例と比べてもその変化率が小さく、粒径分布を本発明の範囲とすることで直流重畳特性が向上していることがわかる。また、周波数100kHz、振幅磁束密度0.1Tの条件で評価した磁心損失は149kW/mであり、優れた直流重畳特性とともに、同時に低損失が実現されていることわかる。
比較例
比較例として、実施例の分級前の非晶質合金粒子((d90−d10)/d50=2.6)を用い、使用した非晶質合金粒子が異なる以外は上記実施例と同様の条件でリング状圧粉磁心を得た。透過型電子顕微鏡により、この圧粉磁心を構成する合金粒子は、組織の少なくとも50%以上が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織を有することを確認した。また、この圧粉磁心の相対密度は84.4%であった。リング状磁心の直流重畳特性を測定した結果を図1に示すが、本発明の実施例に比べて規格化した比透磁率μr/μrのバイアス磁界の増加に対する変化が大きく、8000A/mの直流バイアス磁界印加時における比透磁率はμrの23%であり、25%未満の低い水準となった。また、μrは94であり、周波数100kHz、振幅磁束密度0.1Tの条件で評価した磁心損失は231kW/mであった。
実施例および比較例の直流重畳特性を示す図である。

Claims (7)

  1. (d90−d10)/d50値(d10、d50、d90はそれぞれ粒径分布測定の体積積算曲線における10%、50%、90%の粒径)が2.5以下の粒径分布を有する軟磁性粒子表面に絶縁体粒子が分散し、これらの複合粒子が焼結されてなる圧粉磁心。
  2. 前記軟磁性粒子の平均粒径d50が1〜100μmであり、前記絶縁体粒子の平均粒径d50が0.01〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記軟磁性粒子は組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下のナノ結晶組織である磁性体であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 前記絶縁体粒子がSiO粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧粉磁心。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の圧粉磁心を用いた巻線部品。
  6. 絶縁体粒子と(d90−d10)/d50値が2.5以下の粒径分布を有する軟磁性粒子とを、結着性樹脂の水溶液中で混合し、次いでこれらを攪拌しながら乾燥させた複合粒子を放電プラズマ焼結することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
  7. 前記軟磁性粒子が非晶質であって、焼結温度を400℃以上かつその結晶化開始温度Tx℃未満とし、焼結後、T℃以上かつT+100℃以下の温度で熱処理を施すことにより組織の50〜100%が結晶粒径100nm以下であるナノ結晶組織を発現させることを特徴とする請求項6に記載の圧粉磁心の製造方法。
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