JPH08337839A - 軟磁性合金圧密体およびその製造方法 - Google Patents

軟磁性合金圧密体およびその製造方法

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JPH08337839A
JPH08337839A JP8080304A JP8030496A JPH08337839A JP H08337839 A JPH08337839 A JP H08337839A JP 8080304 A JP8080304 A JP 8080304A JP 8030496 A JP8030496 A JP 8030496A JP H08337839 A JPH08337839 A JP H08337839A
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soft magnetic
temperature
sintering
magnetic alloy
compact
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JP8080304A
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Inventor
Akinobu Kojima
章伸 小島
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
Takeshi Masumoto
健 増本
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、先に本発明者らが特許出願してい
る軟磁性材料において、短時間で速い昇温速度で粉末の
燒結プロセスを終了させることができ、高い成形密度と
良好な軟磁気特性を併せ持つ軟磁性合金圧密体を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 本発明は、FeおよびBを含み、さら
に、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択さ
れる1種以上の元素を含んでなる非晶質合金を主体とす
る粉粒体が、放電プラズマ燒結法により、速度40℃/
分以上で昇温されて燒結されてなるものである。また、
本発明方法は、前記組成の非晶質合金を主体とする粉粒
体を、放電プラズマ焼結法により、速度40℃/分以上
で昇温して焼結するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ヘッドやトラン
スまたはモータのコアなどに用いる軟磁性合金圧密体に
関する。
【0002】
【従来の技術】軟磁性合金材料で従来この種の用途に使
用されているものとして、Fe-Si、Fe-Si-Al
合金(センダスト)、Ni-Fe合金(パーマロイ)、
Fe基お よびCo基のアモルファス材料等が挙げられ
るが、1.5T(テスラ)以上の高 い飽和磁束密度(B
s)と高い透磁率(μ)を兼ね備え、しかも実用的な剛
性や強度を有する磁性材料は従来存在しなかった。この
ような背景の中で本発明者らは、Fe-B系のアモルフ
ァス相を熱処理することにより得られる粒径30nm以
下の微細なbcc相の結晶粒を主相とした結晶質合金
が、1.5T以上の高い飽和磁束密度と1kHzの周波
数における実効透磁率が10000以上を示すことを見
い出し、特開平5ー93249号(特願平3ー2279
1号)、特開平4ー333546号(特願平2ー230
135号)などの特許出願を行っている。
【0003】また、DCモータのコアなどに前記特許出
願の軟磁性合金材料を適用する際には、高密度のバルク
形状が有利であり、押出法やホットプレス法でこの材料
組成の粉末を固化成形する必要があるので、本発明者ら
は、この種の軟磁性合金材料を固化成形する方法につい
ても研究を重ね、その結果として得られた技術につい
て、特願平6ー11980号などの特許出願を行ってい
る。更に本発明者らの研究によれば、前記特許出願の材
料は、飽和磁化が高いために、他の酸化物などと複合し
ても飽和磁化は充分に高いことが判明し、高周波の領域
で使用する材料として、酸化物をコーティングして固化
成形した複合材料を実現できることを知見し、この知見
を基にした技術について特願平6ー108818号にお
いて特許出願を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】更に本発明者らが、こ
れら微細結晶を有する磁性材料の研究を行った結果、ア
モルファス相が結晶化する際に発現する軟化現象を利用
して固化成形処理を行うことが高密度化に有利であり、
また、良好な軟磁気特性を維持するためには、微細構造
の不均一性を制御することが必要であることが判明して
きている。即ち、これらのことを満足するためには、燒
結などの固化成形プロセスを結晶化反応と同時に行い、
また、不均一な粒成長が起きないように短時間で燒結プ
ロセスを終了させる必要があることが判明した。また、
これらのアモルファス相を熱処理することにより得られ
るnm単位の微細結晶粒を有する材料は、速い昇温速度
で熱処理することにより微細組織の不均一性を抑えるこ
とができることが判明し、この知見に基にした技術につ
いて本発明者らは、特開平6ー322472号(特願平
5ー190674号)において特許出願を行っている。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、先に本発明者らが特許出願している軟磁性材料に
おいて、短時間で速い昇温速度で粉末の燒結プロセスを
終了させることができ、高い成形密度と良好な軟磁気特
性を併せ持つ軟磁性合金圧密体を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、FeおよびBを含み、さらに、Ti,Zr,
Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上の
元素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体が、放
電プラズマ燒結法により、速度40℃/分以上で昇温さ
れて燒結されてなるものである。また、本発明はFeお
よびBを含み、さらに、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wより選択される1種以上の元素を含んでなる非晶
質合金を主体とする粉粒体と、この粉粒体の周囲を囲む
無機絶縁物層とからなる複合粒子が、放電プラズマ燒結
法により固化成形されてなるものである。前記の発明に
おいて、前記非晶質合金の少なくとも一部が熱処理によ
り微細結晶化されてなることが好ましい。
【0007】次に本発明の方法はFeおよびBを含み、
さらに、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選
択される1種以上の元素を含んでなる非晶質合金を主体
とする粉粒体を、放電プラズマ燒結法により、速度40
℃/分以上で昇温して燒結するものである。また本発明
方法は、FeおよびBを含み、さらに、Ti,Zr,H
f,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上の元
素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体と、この
粉粒体の周囲を囲む無機絶縁物層とからなる複合粒子を
放電プラズマ燒結法により固化成形するものである。
【0008】前記軟磁性合金圧密体の製造方法におい
て、放電プラズマ燒結法を行う際に、その燒結温度をT
とし、非晶質合金の結晶化開始温度をTxとした場合
に、Tx−100℃≦T≦Tx+100℃の関係を満足す
る温度範囲で燒結できる。また、前記の軟磁性合金圧密
体の製造方法において、300MPa以上の圧力で燒結
することが好ましい。更に前記の方法で得られた軟磁性
合金圧密体を熱処理し、非晶質合金相中から結晶粒径5
0nm以下のbcc構造の微細結晶相を少なくとも一部
に析出させることが好ましい。
【0009】「作用」FeおよびBを含み、さらに、T
i,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1
種以上の元素を含んでなる非晶質合金の粉粒体を放電プ
ラズマ燒結法で燒結するならば、40℃/分以上で昇
温させて燒結できるので、得られた圧密体は成形密度が
高く、高い飽和磁束密度を有し、優れた透磁率を有す
る。また、得られた圧密体を熱処理するならば、非晶質
相の少なくとも一部に微細な結晶粒が生成された状態の
軟磁気特性の優れた圧密体が得られる。
【0010】また、粉粒体の周囲に無機絶縁物層が形成
された圧密体を用いるならば、粒界に存在する無機絶縁
物により全体の抵抗が高くなり高周波領域での渦電流損
失が少なくなる。よって高周波領域での透磁率が高くな
る。次に、燒結温度をTとし、結晶化開始温度をTxと
した場合に、Tx−100℃≦T≦Tx+100℃の関係
を満足する温度範囲で燒結することで、優れた飽和磁
束密度と高い透磁率を兼ね備えた優れた軟磁気特性の圧
密体が得られる。また、燒結する際の圧力が300MP
a以上の圧力であるならば、成形密度も充分に高くな
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について説明する。図1は本発明に係る軟磁性合金
圧密体を製造するために用いて好適なプラズマ燒結装置
の一例の要部を示すもので、この例のプラズマ燒結装置
は、筒型のダイ1と、このダイ1の内部に挿入される上
パンチ2および下パンチ3と、下パンチ3を支え、後述
するパルス電流を流す際の一方の電極ともなる基台4
と、上パンチ2を下側に押圧し、パルス電流を流す他方
の電極となる基台5と、上下のパンチ2、3に挟まれた
粉末原料6の温度を測定する熱電対7を主体として構成
されている。
【0012】図3に、前記プラズマ燒結装置の全体構造
を示す。図3に示すプラズマ燒結装置Aは、住友石炭鉱
業株式会社製のモデルSPSー2050と称される放電
プラズマ燒結機の一種であり、図1に示す構造を要部と
するものである。図3に示す装置においては、上部基盤
11と下部基盤12を有し、上部の基盤11に接してチ
ャンバ13が設けられ、このチャンバ13の内部に図1
に示す構造の大部分が収納されて構成され、このチャン
バ13は図示略の真空排気装置および雰囲気ガスの供給
装置に接続されていて、上下のパンチ2、3の間に充填
される原料粉末(粉粒体)6を不活性ガス雰囲気などの
所望の雰囲気下に保持できるように構成されている。な
お、図1と図3では通電装置が省略されているが、上下
のパンチ2、3および基台4、5には別途設けた通電装
置が接続されていてこの通電装置から図2に示すような
パルス電流をパンチ2、3および基台4、5を介して通
電できるように構成されている。
【0013】前記構成のプラズマ燒結装置を用いて軟磁
性合金圧密体を製造するには、成型用の原料粉末(粉粒
体)を用意する。この原料粉末は、後述する所定組成の
Fe-B系の非晶質合金あるいは多少の結晶相を含む非
晶質合金を溶湯から急冷して薄帯状あるいは粉末状の状
態で得る工程と、前記薄帯状のものは粉砕して粉末化す
る工程により得られる。前記溶湯から非晶質合金あるい
は多少の結晶質相を含む非晶質合金を得る方法として
は、回転ドラムに溶湯を吹き付けて急冷する方法でも良
いし、溶湯を冷却用気体中に噴出して急冷し、これによ
り粉末化するアトマイズ法などを用いても良い。
【0014】本発明において用いる非晶質合金あるいは
非晶質相を含む結晶質合金は、本発明者らが先に、特開
平5ー93249号、特開平4ー333546号、特開
平6ー158241号、特開平6ー128704号、特
開平6ー322472号などの特許出願において明らか
にしたものなどである。以下にそれらの非晶質合金ある
いは非晶質相を含む結晶質合金の組成例とそのような組
成とすることが好ましい理由について説明する。
【0015】組成例1 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x y 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、b
=75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜
9原子%である。 組成例2 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x
y u ただし、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、かつ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1種
または2種以上の元素であり、b=75〜93原子%、x
=0.5〜18原子%、y=4〜9原子%、u≦5原子%
である。
【0016】組成例3 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、a≦0.
1、b=75〜93原子%、x=0.5〜18原子%、y=
4〜9原子%である。 組成例4 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、か
つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、XはC
r,Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1種または
2種以上の元素であり、a≦0.1、b=75〜93原子
%、x=0.5〜18原子%、y=4〜9原子%、u≦5原
子%である。
【0017】組成例5 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x M’
y 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Nbを含み、b=75〜93原子%、x=6.5〜18原
子%、y=4〜9原子%である。 組成例6 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x M’
y 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Nbを含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、b=75〜
93原子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜9原子
%、u≦5原子%である。
【0018】組成例7 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x M’y ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、Nb
を含み、a≦0.1、b=75〜93原子%、x=6.5〜
18原子%、y=4〜9原子%である。 組成例8 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x M’y u ただし、ZはCo,Niのいずれか、または両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、Nb
を含み、XはCr,Ru,Rh,Irからなる群から選ば
れた1種または2種以上の元素であり、a≦0.1、b=
75〜93原子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜9
原子%、u≦5原子%である。
【0019】組成例9 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x
y z 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、b≦75〜
93原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子
%、z≦4.5原子%である。 組成例10 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x
y z u 但し、Mは、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、且つ、Zr,Hfのいずれか、または両方を含み、
Tは、Cu,Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、XはCr,
Ru,Rh,Irからなる群から選ばれた1種または2種
以上の元素であり、b≦75〜93原子%、x=0.5〜
18原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦
5原子%である。
【0020】組成例11 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x y z 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素でありかつ、Z
rとHfのいずれか、または、両方を含み、TはCu,
Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種
または2種以上の元素であり、a≦0.1、b≦75〜9
3原子%、x=0.5〜18原子%、y=4〜10原子
%、z≦4.5原子%である。 組成例12 次式で示される組成を有するもの。(Fe 1-a a
b x y z u 但し、ZはCo,Niのいずれか、または両方であり、
MはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素でありかつ、Z
rとHfのいずれか、または、両方を含み、TはCu,
Ag,Au,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種
または2種以上の元素であり、XはCr,Ru,Rh,I
rからなる群から選ばれた1種または2種以上の元素で
あり、a≦0.1、b≦75〜93原子%、x=0.5〜1
8原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5
原子%である。
【0021】組成例13 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x M’
y z 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,Ag,A
u,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種または
2種以上の元素であり、b≦75〜93原子%、x=6.
5〜18原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%
である。 組成例14 次式で示される組成を有するもの。 Fe b x M’
y z u 但し、M’は、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、
Ti,Nb,Taのいずれかを含み、Tは、Cu,Ag,A
u,Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種または
2種以上の元素であり、XはCr,Ru,Rh,Irから
なる群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、
b≦75〜93原子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜
10原子%、z≦4.5原子%、u≦5原子%である。
【0022】組成例15 次式で示される組成を有するもの。 (Fe
1-a ab x M’y z 但し、ZはCo,Niのいずれかまたは両方であり、
M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から選ば
れた1種または2種以上の元素であり、かつTi,Nb,
Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,Au,Pd,P
t,Biからなる群から選ばれた1種または2種以上の
元素であり、a≦0.1、b≦75〜93原子%、x=6.
5〜18原子%、y=4〜10原子%、z≦4.5原子%
である。 組成例16 次式で示される組成を有するもの。 (Fe 1-a ab x M’y zu 但し、ZはCo,Niのいずれか、または、両方であ
り、M’はTi,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
選ばれた1種または2種以上の元素であり、かつ、T
i,Nb,Taのいずれかを含み、TはCu,Ag,Au,
Pd,Pt,Biからなる群から選ばれた1種または2種
以上の元素であり、XはCr,Ru,Rh,Irからなる
群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、a≦
0.1、b≦75〜93原子%、x=6.5〜18原子%、
y=4〜10原子%、z≦4.5原子%、u≦5原子%であ
る。 組成例17 前記組成例1〜16に記載のFe基軟磁性合金におい
て、z=0.2〜4.5原子%とする。
【0023】前記組成例1〜17に示す組成の軟磁性合
金にはBが必ず添加されている。Bには軟磁性合金の非
晶質形成能を高める効果、Fe-M(=Zr,Hf,Nb
等)系微細結晶合金の熱的安定性を高め、結晶粒成長の
障壁となり得る効果があり、熱的に安定な非晶質相を粒
界に残存させる効果がある。この結果、前記後述する熱
処理工程において400〜750℃の広い熱処理条件で
磁気特性に悪影響を及ぼさない粒径30nm以下の微細
な体心立方構造(bcc構造)の結晶粒を主体とする組
織を得ることができる。Bと同様にA1,Si,C,P等も
非晶質形成元素として一般に用いられており、これらの
元素を添加した場合も本発明と同一とみなすことができ
る。なお、前記熱処理温度として、特に優れた軟磁気特
性の合金を得るためには500〜650℃の範囲がより
好ましい。
【0024】組成例1〜4、9〜12の発明の軟磁性合
金において、非晶質相を得やすくするためには、非晶質
形成能の高いZr,Hfのいずれかを含む必要がある。
また、Zr,Hfはその一部を他の周期率表4A〜6A
族元素のうち、Ti,V,Nb,Ta,Mo,Wと置換する
ことができる。この場合、Bの量は0.5〜10原子%
もしくは元素Tを含む場合は、Bの量を0.5〜18原
子%とすることにより十分な非晶質形成能を得ることが
可能である。また、本来はFeに固溶しない元素である
Zr,Hfを固溶させることによって磁歪を小さくする
ことができる。即ち、Zr,Hfの固溶量を熱処理条件
で調整することができ、これにより磁歪を調節してその
値を小さくできる。従って、低い磁歪を得るためには、
広い熱処理条件で微細な結晶組織が得られることが必要
であり、前記の如くBの添加により広い熱処理条件で微
細な結晶組織を得ることができることは、小さな磁歪と
小さな結晶磁気異方性を併せ持つことになり、結果とし
て良好な磁気特性を有することになる。更に、前記組成
にCr、Ru、Rh、Irを必要に応じて添加すること
により、耐食性が改善されるが、飽和磁束密度を10k
G以上に保つためには、これらの元素の添加量を5原子
%以下とする必要がある。
【0025】Fe-M(=Zr,Hf)系のアモルファス
合金を特殊な方法で一部結晶化することで微細結晶組織
を得ることができることは、本発明者らが1980年
に、「CONFERENCE ON METALLIC SCIENCE AND TECHNOLGY
BUDAPEST 」の第217頁〜第221頁において発表し
ている。今回開示した組成においても同等の効果を得る
ことがその後の研究で明らかになり、その結果本願発明
に到っているが、この微細結晶組織を得ることができる
理由は、この系の合金を製造するための非晶質相形成段
階の急冷状態で既に組成のゆらぎを生じていて、このゆ
らぎが不均一核生成のサイトとなって均一かつ微細な核
が多数発生するためと考えられる。
【0026】組成例1〜16に記載の発明の軟磁性合金
におけるFeの含有量、あるいは、Fe,Co,Niの各
含有量は、93原子%以下である。これは、これらの含
有量が93原子%を超えると高い透磁率が得られないた
めであるが、飽和磁束密度10kG以上を得るために
は、75原子%以上であることがより好ましい。組成例
9〜16の発明の軟磁性合金においては、Cuおよびこ
れらと同族元素のAg,AuさらにPd,PtおよびBi
のうちから選ばれた少なくとも1種または2種以上の元
素を4.5原子%以下含むことが好ましい。これらの元
素の添加量が0.2原子%より少ないと前記の熱処理工
程により優れた軟磁気特性を得ることが難しくなるが、
昇温速度を上げることにより透磁率が向上し、飽和磁束
密度が若干向上するため、組成例9〜16に示すように
これらの元素の含有量を0.2原子%以下でもよしとす
ることができる。ただし、これらの元素の含有量を0.
2〜4.5原子%とすることで、昇温速度をあまり大き
くしなくとも優れた軟磁気特性を得ることができるの
で、組成例17に示す0.2〜4.5原子%の含有量にす
ることがより好ましい。
【0027】また、これらの元素の中においてもCuは
特に有効である。Cu,Pd等の添加により、軟磁気特
性が著しく改善される機構については明らかではない
が、結晶化温度を示差熱分析法により測定したところ、
Cu,Pd等を添加した合金の結晶化温度は、添加しな
い合金に比べてやや低い温度であることが認められた。
これは、前記元素の添加により非晶質相中の組成ゆらぎ
が増し、その結果、非晶質相の安定性が低下し、結晶質
相が析出し易くなったことに起因すると考えられる。
【0028】更に、不均一な非晶質相が結晶化する場
合、部分的に結晶化しやすい領域が多数生じて不均一核
生成するために、得られる組織が微細結晶粒組織となる
ので、優れた磁気特性が得られる。更にまた、昇温速度
を上げるならば、微細結晶質の微細化が促進されるの
で、昇温速度が大きい場合は、Cu,Pd等の元素は
0.2原子%より少なく含有させても良い。また、特に
Feに対する固溶度が著しく低い元素であるCuの場
合、相分離傾向があるために、加熱によりミクロな組成
ゆらぎが生じ、非晶質相が不均一となる傾向がより顕著
になると考えられ、組織の微細化に寄与するものと考え
られる。以上の観点から、Cu及びその同族元素、P
d,Pt以外の元素でも結晶化温度を低下させる元素に
は同様の効果が期待できる。また、Cuの他に、Feに
対する固溶限が小さいBi等の元素にも同様の効果を期
待することができる。
【0029】組成例5〜8、13〜16の軟磁性合金に
おいて非晶質相を得やすくするためには、非晶質形成能
を有するNbおよびBを含む必要がある。Ti、V、T
a、Mo、WはNbと同等の効果があるが、これらの元
素の中でもV,Nb,およびMoは、酸化物の生成傾向が
比較的小さく、製造時に良好な歩留まりが得られる。よ
ってこれらの元素を添加している場合は、製造条件が緩
和され、安価に製造することができ、コストの面でも有
利である。具体的には、ノズル先端部に不活性ガスを部
分的に供給しつつ大気中で製造もしくは大気中の雰囲気
で製造することができる。ただし、これらの元素は前記
Zr,Hfに比較して非晶質形成能の面では劣るので、
組成例6〜8、13〜16の軟磁性合金ではBの量を増
加し、その下限値を6.5原子%とした。
【0030】以上、本発明の軟磁性合金に含まれる合金
元素の限定理由を説明したが、必要に応じて、Y,希土
類元素,Zn,Cd,Ga,In,Ge,Sn,Pb,As,S
b,Bi,Se,Te,Li,Be,Mg,Ca,Sr,Ba等
の元素を添加することで磁歪を調整することもできる。
その他、H,N,O,S等の不可避的不純物については所
望の特性が劣化しない程度に含有していても本発明のF
e基軟磁性合金の組成と同一とみなすことができるのは
勿論である。
【0031】前記各組成の原料粉末を用意したならばこ
れを図1あるいは図3に示すプラズマ燒結装置の上下の
パンチ2、3の間に投入し、チャンバ13の内部を真空
引きするとともに、パンチ2、3で上下から圧力を加え
て成形すると同時に、例えば図2に示すようなパルス電
流を原料粉末に印加して加熱し、成形する。このプラズ
マ燒結処理においては、通電電流により原料粉末を所定
の速度で素早く昇温することができ、また、通電電流の
値に応じて原料粉末の温度を厳格に管理できるので、ヒ
ータによる加熱などよりも遥かに正確に温度管理がで
き、これにより予め設計した通りの理想に近い条件で燒
結ができる。
【0032】よって、非晶質の原料粉末の少なくとも一
部に微細結晶粒を生成させると同時に結晶粒径を粗大化
させることなく微細結晶粒のままの成形体を得ることが
できる。また、先に説明した如く前記組成の原料粉末を
用いることで、微細結晶粒の析出を可能にできるので、
少なくとも一部に50nm以下、より好ましくは30n
m以下の微細結晶粒を析出させた軟磁性合金の成形体を
得ることができる。そして、このように得られた成形体
は、前記組成を有するものであるから、高い飽和磁束密
度を有し、優れた透磁率を有する優れたものである。よ
ってこの圧密体を磁気ヘッドのコアとして、あるいは、
トランスのコアとして、更には、パルスモータの磁針等
のような磁気部品として広く適用することができ、従来
材に比べて優れた特性の磁気部品を得ることができる。
【0033】次に、無機絶縁物層を皮膜した原料粉末
(粉粒体)を使用して軟磁性合金圧密体を製造する場合
について説明する。前記原料粉末を用意したならば、こ
れに無機絶縁物層のコーティングを施す。絶縁物層を形
成するには、ゾルゲル法を利用して絶縁物層を形成する
方法や絶縁物を含む溶液をスプレー塗布して乾燥させ、
低温焼成する方法など、種々の方法が考えられるが、こ
の例ではゾルゲル法を利用する方法について説明する。
【0034】絶縁物層を形成するには、SiO2、Zr
2、TiO2などの無機絶縁物を構成する元素とアルコ
キシ基の塩であるアルコキシドをアルコールなどの有機
溶媒に溶解した溶液を形成し、この溶液に前記原料粉末
を浸漬し、その後に溶液から引き上げた複合粉末を乾燥
させることにより行う。この処理により、サブミクロン
オーダーの厚さのコーティングを原料粉末の表面に均一
に被覆してなる複合粉末を製造することができる。な
お、このコーティングの厚さは溶液中に溶解させるアル
コキシドの濃度に応じて調節ができる。よって、この複
合粉末を前述のように放電プラズマ燒結法により圧密し
て作製する圧密体に含まれる無機絶縁物の量を前記溶液
の濃度調節により制御することができる。
【0035】この放電プラズマ燒結法により、無機絶縁
物層を有する原料粉末が圧密されると同時に非晶質相の
中にbcc構造のFeを主体とした微細結晶相が析出す
る。この微細結晶相は 平均結晶粒径30nm以下の微
細なものである。また、各原料粉末の外面にコーティン
グされた絶縁物層は、非晶質相あるいはbcc構造のF
eを主体とした微細結晶相が集合して形成する合金粒の
粒界に析出し、圧密後の全体の組織としては、合金粒と
その粒界に析出する絶縁物層からなる組織を呈する。前
記組成のコーティング1は500〜600℃でガラスに
なるので、前記温度で加熱処理することで容易に絶縁物
層として析出させることができる。また、SiO2の絶
縁物層であるならば、金属とのなじみも良好で、合金粒
どうしの接合性にも優れている。従って圧密体の強度も
向上する。
【0036】以上のような組織となった圧密体はbcc
構造のFeを主体とした微細結晶相が析出しているの
で、飽和磁束密度が高く、透磁率も優れ、低い保磁力を
示す。その上、合金粒の粒界に絶縁物であるSiO2
析出されているので、組織全体としての比抵抗 が高
い。よって、高周波領域での渦電流損失が少なく、高周
波領域における透磁率の高い圧密体が得られる。よって
この圧密体を磁気ヘッドのコアとして、あるいは、トラ
ンスのコアとして、更には、パルスモータの磁針等のよ
うな磁気部品として広く適用することができ、従来材に
比べて優れた特性の磁気部品を得ることができる。
【0037】
【実施例】FeとZrとBを所望の組成に混合した原料
をるつぼで溶解し、これを回転している銅ロールにるつ
ぼのノズルから噴射して急冷する液体急冷法によりFe
-Zr-B製の非晶質合金薄帯を得た。これをローターミ
ルを用いて大気中で粉砕することで、Fe-Zr-B系の
非晶質合金粉末を得た。この非晶質合金粉末の中で粒径
53〜150μmのものを選別して後の工程に原料粉末
として使用した。約3gの前記原料粉末をWC製のダイ
スの内部にハンドプレスを用いて充填した後、図1に示
すダイ1の内部に装填し、チャンバの内部を1×10-3
Paの雰囲気で上下のパンチ2、3で加圧するととも
に、通電装置から原料粉末にパルス波を通電して加熱し
た。パルス波形は図2に示すように12パルス流した後
で2パルス休止するものとし、最高4700〜4800
Aの電流で原料粉末を加熱した。
【0038】図5にこのような放電プラズマ燒結加工を
施した場合の昇温プロセスを示す。また、実際に圧力6
00MPaをかけた状態で室温から燒結温度まで試料を
加熱させ、約8分間保持することにより燒結を行った。
図5は400〜600℃の燒結温度に約50℃/分で昇
温した際の制御温度のプログラムを示し、図6は実際に
燒結を行った際の試料の温度を示す。試料温度は40〜
50℃/分で上昇し、400〜600℃の燒結温度に追
従できていることが明らかであり、直接試料に電流を流
すことにより温度コントロールする方法(放電プラズマ
燒結法)は、加熱ヒータによる加熱方法よりも精密で正
確な温度制御が可能であることが判明した。なお、金型
が急激な温度変化に耐えることができれば、最大300
℃/分の昇温速度での焼結も可能である。図7は、2〜
100℃/分で昇温させて、温度550℃で燒結させた
時の原料粉末試料の温度変化を示す。この結果から、放
電プラズマ法による加熱では、100℃/分の高速な昇
温でも燒結可能であることが判明した。
【0039】図8にFe90Zr73なる組成の急冷非晶
質合金薄帯のDSC曲線(Differential scanning calo
riemeter:示差走査熱量測定による曲線)を、図9に同
試料のTMA曲線(Thermo Mechanical Analysis 曲
線)をそれぞれ示す。DSC曲線では、約500℃付近
に結晶化に伴う発熱ピークが見られ、同時にTMA曲線
ではこの結晶化温度で試料が急激に伸びていることがわ
かる。このように非晶質が結晶化する時に発生する軟化
現象を利用して固化成形することは高密度化するために
有利である。
【0040】図10は、放電プラズマ燒結法を用いて固
化成形した際の燒結温度と得られた成形体の密度の関係
を示す。燒結温度の上昇に伴い、高密度の成形体が得ら
れることがわかる。また、600MPaの圧力下におい
て約90%以上の高い相対密度を得るためには、約45
0℃以上の温度(結晶化温度Tx−50℃)で燒結する
必要があることが判明した。なお、焼結時の圧力を高く
すれば、より低い温度(約400℃:Tx−100℃)
でも高密度の成形体を得ることが可能である。図11
は、400〜600℃で燒結した時の、燒結したままの
状態におけるバルク材のX線回折試験結果を示す。結晶
化温度より低い温度(400および450℃)で燒結し
た試料では、非晶質相であることを示すブロードな回折
線が得られており、それより高い温度で燒結した試料で
はbcc単相を示す鋭いピーク状の回折線が得られてい
る。図12は、400℃、450℃、500℃、600
℃の各温度でプラズマ焼結して製造した軟磁性合金圧密
体試料の金属組織写真を示すが、焼結温度が高くなるに
つれて図12上で黒く塗りつぶされた気孔を示す不定形
の部分が少なくなって密度が向上してゆくことが明らか
になった。
【0041】図13は、放電プラズマ燒結法を用いて固
化成形した時の、燒結温度と得られたバルク材の100
Hzにおける実効透磁率(μe)および保磁力(Hc)
の関係を示す図である。プラズマ燒結時の圧力は600
MPa、昇温速度は約50℃/分で行った。先に図12
に示すようにbcc単相が得られた500℃以上の温度
で燒結した試料においては、図13に示すように3 O
e以下の低い保磁力が得らることが判明した。
【0042】図14は、図13に示すバルク材試料を6
50℃で熱処理した後の透磁率および保磁力を示す。燒
結温度の低い試料で高い透磁率と低い保磁力が得られて
おり、燒結温度が高くなるにつれて軟磁気特性は劣化し
ていることが明らかである。燒結したままの状態または
熱処理後の状態において、高い成形密度と良好な軟磁気
特性を同時に示すバルク材を得るためには、400〜6
00℃の温度範囲(換言すれば、結晶化開始温度をT
x、燒結温度をTとした場合に、Tx−100℃≦T≦T
x+100 ℃の範囲)で燒結することが望ましいことが
明らかになった。また、より高い密度の焼結体を得るた
めには、焼結温度を450〜600℃、即ち、Tx−5
0℃≦T≦Tx+100 ℃とするのがより好ましい。
【0043】図15は、放電プラズマ燒結法を用いて固
化成形した時の、燒結時における昇温速度と得られたバ
ルク材の650℃熱処理後の透磁率の関係を示す。燒結
時の圧力は600MPa、燒結温度は450℃で行っ
た。図15から、42℃/分で焼結した試料よりも10
0℃/分の速い速度で燒結した試料の方が、それよりも
低い速度で燒結した試料よりも高い透磁率を示してい
る。これは、このように速い速度で燒結した試料では、
遅い速度で燒結した試料よりも微細組織の不均一性を制
御できているためであると思われる。また、このように
速い昇温速度で燒結した時においても、得られたバルク
材の成形密度は変化せず、相対密度90%以上、特に高
いものは97%が得られている。
【0044】図16は、Fe90Zr73なる組成の原料
粉末を用いて、焼結時の圧力600〜900MPa、焼
結温度450℃、480℃、550℃、焼結後の熱処理
温度650℃で1時間保持した各試料の、焼結時の圧力
と透磁率、飽和磁束密度、密度、相対密度との関連性を
示したものである。透磁率に関しては、450℃で焼結
した試料が最も高く飽和磁束密度も1.55T以上の値
を示し、相対密度96.5%以上である。また、480
℃で焼結したものでも良好な値を示している。さらに、
550℃にて焼結したものは、透磁率は100Hzで約
1000と低いが、1.55T以上の優れた飽和磁束密
度を有し、相対密度も97%の値を示している。また、
焼結時の圧力を上げると、透磁率に関しては顕著な依存
性はないが、飽和磁束密度、相対密度は向上することが
わかる。次に、以上の結果を総合的に見ると、焼結時の
圧力が600MPa以上であれば、前記した種々の条件
で密度の高い圧密体を得ることができることが明らかで
あるが、焼結時間を充分に長く設定した場合は圧力を6
00MPaよりも低い圧力、例えば、300MPa〜6
00MPaの範囲に設定することもできる。例えば、焼
結時の保持時間を数時間程度とすると、300MPa程
度の低い圧力であっても優れた磁気特性を有する圧密体
を得ることが充分に可能である。しかし、短い焼結時間
で高い密度と優れた磁気特性を有する圧密体を得るため
には、500MPa以上の圧力で焼結することが好まし
い。また、より優れた磁気特性を得るためには、600
MPa以上の圧力で焼結することが好ましい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、F
eおよびBを含み、さらに、Ti,Zr,Hf,V,Nb,
Ta,Mo,Wより選択される1種以上の元素を含んでな
る非晶質合金の粉粒体を放電プラズマ燒結法で燒結する
ので、50℃ /分以上で昇温させて燒結することがで
き、成形密度が高く、高い飽和磁束密度を有し、優れた
透磁率を有する軟磁性合金圧密体が得られる。また、得
られた圧密体を熱処理するならば、非晶質相の少なくと
も一部に微細な結晶粒が生成された状態の更に軟磁気特
性の優れた圧密体が得られる。
【0046】また、粉粒体の周囲に無機絶縁物層が形成
された粉粒体を用いるならば、得られた圧密体の粒界に
存在する無機絶縁物により全体の抵抗が高くなり高周波
領域での渦電流損失が少なくなる。よって高周波領域で
の透磁率が高い圧密体を得ることができる。次に、燒結
温度をTとし、結晶化開始温度をTxとした場合に、Tx
−100℃≦T≦Tx+100℃の関係を満足する温度
範囲で燒結することで、優れた飽和磁 束密度と高い透
磁率を兼ね備えた優れた軟磁気特性の圧密体が得られ
る。また、燒結する際の圧力が300MPa以上の圧力
であるならば、成形密度も充分に高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するために用いるプラズマ燒
結装置の一例の要部構造を示す断面図である。
【図2】図1に示すプラズマ燒結装置で原料粉末に印加
するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図3】プラズマ燒結装置一例の全体構成を示す正面図
である。
【図4】原料粉末をダイに挿入する状態を示す図であ
る。
【図5】図5は400〜600℃の燒結温度に約50℃
/分で昇温した際の制御温度のプログラムを示す図であ
る。
【図6】図6は図5に示すプログラムを基に製造例で実
際に燒結を行った際の試料の温度を示す図である。
【図7】図7は約2〜100℃/分で昇温させて温度5
50℃で焼結させた時の試料の温度変化を示す図であ
る。
【図8】図8はFe90Zr73なる組成の急冷非晶質合
金薄帯のDSC曲線を示す図である。
【図9】図9はFe90Zr73なる組成の急冷非晶質合
金薄帯のTMA曲線を示す図である。
【図10】図10は、放電プラズマ燒結法を用いて固化
成形した際の燒結温度と得られた成形体の密度の関係を
示す図である。
【図11】図11は、400〜600℃で燒結した時
の、燒結したままの状態におけるバルク材のX線回折試
験結果を示す図である。
【図12】図12(A)は、400℃でプラズマ焼結し
て製造した軟磁性合金圧密体試料の金属組織写真、図1
2(B)は450℃でプラズマ焼結して製造した軟磁性
合金圧密体試料の金属組織写真、図12(C)は500
℃でプラズマ焼結して製造した軟磁性合金圧密体試料の
金属組織写真、図12(D)は600℃でプラズマ焼結
して製造した軟磁性合金圧密体試料の金属組織写真であ
る。
【図13】図13は、放電プラズマ燒結法を用いて固化
成形した時の、燒結温度と得られたバルク材の100H
zにおける実効透磁率(μe)および保磁力(Hc)の
関係を示す図である。
【図14】図14は、図13に示すバルク材試料を65
0℃で熱処理した後の透磁率および保磁力を示す図であ
る。
【図15】図15は、放電プラズマ燒結法を用いて固化
成形した時の、燒結時における昇温速度と得られたバル
ク材の650℃熱処理後の透磁率の関係を示す図であ
る。
【図16】図16は、放電プラズマ焼結法を用いて固化
成形した時の、焼結時における圧力と得られたバルク材
の透磁率の関係、同圧力と飽和磁束密度の関係および同
圧力と絶対密度、相対密度の関係を示す図である。
【符号の説明】
A 放電プラズマ燒結装置 1 ダイ 2、3 パンチ 6 粉末原料(粉粒体) 4、5 基台 7 熱電対 11 基盤 12 基盤 13 チャンバ
フロントページの続き (72)発明者 小島 章伸 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 水嶋 隆夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地 川内住宅 11−806 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 FeおよびBを含み、さらに、Ti,Z
    r,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上
    の元素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体が、
    放電プラズマ燒結法により、速度40℃/分以上で昇温
    されて燒結されてなることを特徴とする軟磁性合金圧密
    体。
  2. 【請求項2】 FeおよびBを含み、さらに、Ti,Z
    r,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上
    の元素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体と、
    この粉粒体の周囲を囲む無機絶縁物層とからなる複合粒
    子が、放電プラズマ燒結法により固化成形されてなるこ
    とを特徴とする軟磁性合金圧密体。
  3. 【請求項3】 前記非晶質合金の少なくとも一部が熱処
    理により微細結晶化されてなることを特徴とする請求項
    1または2記載の軟磁性合金圧密体。
  4. 【請求項4】 FeおよびBを含み、さらに、Ti,Z
    r,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上
    の元素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体を、
    放電プラズマ燒結法により、速度40℃/分以上で昇温
    して燒結することを特徴とする軟磁性合金圧密体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 FeおよびBを含み、さらに、Ti,Z
    r,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wより選択される1種以上
    の元素を含んでなる非晶質合金を主体とする粉粒体と、
    この粉粒体の周囲を囲む無機絶縁物層とからなる複合粒
    子を、放電プラズマ燒結法により固化成形することを特
    徴とする軟磁性合金圧密体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5記載の軟磁性合金圧密
    体の製造方法において、放電プラズマ燒結法を行う際
    に、その燒結温度をTとし、前記非晶質合金の結晶化開
    始温度をTxとした場合に、Tx−100℃≦T≦Tx+
    100℃ の関係を満足する温度範囲で燒結することを
    特徴とする軟磁性合金圧密体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかに記載の軟磁性
    合金圧密体の製造方法において、300MPa以上の圧
    力で燒結することを特徴とする軟磁性合金圧密体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれかに記載の方法で
    得られた軟磁性合金圧密体を熱処理し、非晶質合金相中
    から結晶粒径50nm以下のbcc構造の微細結晶相を
    少なくとも一部に析出させることを特徴とする軟磁性合
    金圧密体の製造方法。
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