JPH1171645A - 硬磁性合金焼結体とその製造方法 - Google Patents

硬磁性合金焼結体とその製造方法

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JPH1171645A
JPH1171645A JP23529097A JP23529097A JPH1171645A JP H1171645 A JPH1171645 A JP H1171645A JP 23529097 A JP23529097 A JP 23529097A JP 23529097 A JP23529097 A JP 23529097A JP H1171645 A JPH1171645 A JP H1171645A
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JP
Japan
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hard magnetic
temperature
metallic glass
sintered body
alloy
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Withdrawn
Application number
JP23529097A
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English (en)
Inventor
Koichi Fujita
浩一 藤田
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モーター、アクチュエータ、スピーカーなど
に使用できる形状自由度が高く磁気性能に優れた硬磁性
合金焼結体とその製造方法を得る。 【解決手段】 Feを基金属とし、希土類元素Rと、T
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、C
uの少なくとも1種の金属Mと、Bとを含み、結晶化開
始温度とガラス遷移温度との間の過冷却液体領域ΔTx
が20K以上である金属ガラス合金の粉末を、好ましく
は放電プラズマ焼結法により熱圧を加えて焼結すると同
時に磁気異方性を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモーター、アクチュ
エータ、スピーカーなどに使用できる形状自由度が高く
磁気性能に優れた硬磁性合金焼結体とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、フェライト磁石よりも優れた性
能を有する磁石材料としては、Sm-Co焼結磁石、F
e-Nd-B焼結磁石、Fe-Nd-B急冷磁石などが知ら
れており、またさらに高い性能を目指してFe-Sm-N
磁石などの新しい合金磁石の研究も数多くなされてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの磁石
材料においては、10原子%以上のNd、または8原子
%以上のSmが必要であり、高価な希土類元素の使用量
が多いことからフェライト磁石よりも製造コストが高く
なるという欠点があった。またフェライト磁石は、これ
らの希土類磁石に比べてコストは低いが、磁気的特性が
不十分であった。このため、低コストでフェライト磁石
以上の硬磁性を示す磁石材料の出現が望まれていた。
【0004】本発明者らは上記事情に鑑みて、低コスト
で優れた硬磁性の特性を備えた磁性材料について研究
し、特願平9−72472号明細書に記載されているよ
うに、Feを主成分とし、希土類元素のうちから選択さ
れる1種以上の元素Rと、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W、Cuのうちから選択される
1種以上の元素Mと、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg
(ただしTxは、結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温
度を示す)の式で表される過冷却液体領域の温度間隔Δ
Txが20K以上である硬磁性金属ガラス合金を提供し
た。この硬磁性金属ガラス合金は、例えば500〜85
0℃で加熱処理することによって非晶質マトリックス中
に硬磁性微結晶が生成し、磁気異方性を有する永久磁石
となる。
【0005】しかし、上記の硬磁性金属ガラス合金の成
形に際しては、真空中又は不活性ガス雰囲気中で例えば
溶湯を回転する冷却ドラムに吹き付けて急冷し薄帯状に
形成するか、または溶湯を普通の鋳造法により鋳型に注
入してバルク状に形成する方法が採用されていたので、
冷却ドラム法の場合にはモーター、アクチュエータ、ス
ピーカーなどに使用し得る厚みのある成形物を得ること
が不可能であり、また鋳造法によれば、溶湯を固化させ
る際の冷却速度が遅くかつ不均一となるので組成や特性
にムラが生じて均質高性能の成形物を製造することがで
きなかった。
【0006】一方、一般に「ボンド磁石」として知られ
ているように、粉末状の磁性体をゴムやプラスチックの
結合材と混合して圧縮成形または射出成形すると、形状
の自由度が高いために電子部品などとして広く用い得る
とはいえ、結合材が介在するために残留磁化(Ir)が
劣り磁気性能が低下し、また材料強度が弱いという問題
がある。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、従ってその目的は、材料強度及び
磁気性能に優れた硬磁性合金成形体およびその製造方法
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、Feを基金属とし、少なくとも1種の希
土類元素Rと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Cuのうちから選択された少なくとも1
種の金属Mと、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg(式
中、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示
す)の式で表される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが
20K以上である金属ガラス合金の粉末が、熱圧下に焼
結成形されると同時に磁気異方性が付与されてなる硬磁
性合金焼結体を提供する。前記の金属ガラス合金は、下
記の式(1)で表される組成を有するものであることが
好ましい。 Fe100-x-y-z-w-txyzwt …式(1) 但し、Rは前記希土類元素R、Mは前記金属M、TはC
o、Niのうちから選択された少なくとも1種の金属、
LはRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、S
i、Ge、Ga、Sn、C、Pのうちから選択された少
なくとも1種の元素であり、x、y、z、w、tはそれ
ぞれ原子%で、2≦x≦15、2≦y≦20、0≦z≦
20、10≦w≦30、0≦t≦5である。本発明はま
た、前記の硬磁性合金焼結体を製造するに際して、前記
の金属ガラス合金の粉末を、放電プラズマ焼結法により
熱圧を加えて焼結成形すると同時に磁気異方性を付与す
る硬磁性合金焼結体の製造方法を提供する。このときの
焼結温度Tsは、結晶化開始温度Tx±250(K)の
範囲内とし、かつ焼結圧力を200MPa〜1500M
Paの範囲内とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により図面を用いて説明する。図1は本発明に係る硬
磁性合金焼結体(以下「本焼結体」と記す)を製造する
に好適な放電プラズマ焼結装置の要部を示すもので、こ
の例の放電プラズマ焼結装置は、筒型のダイ1と、この
ダイ1の内部に挿入される上パンチ2および下パンチ3
と、下パンチ3を支え、後述するパルス電流を流す際の
一方の電極ともなるパンチ電極4と、上パンチ2を下側
に押圧し、パルス電流を流す他方の電極となるパンチ電
極5と、上下のパンチ2、3に挟まれた原料粉末6の温
度を測定する熱電対7を主体として構成されている。
【0010】図3に、前記放電プラズマ焼結装置の全体
構造を示す。図3に示す放電プラズマ焼結装置Aは、住
友石炭鉱業株式会社製のモデルSPS−2050と称さ
れる放電プラズマ焼結機の一種であり、図1に示す構造
を要部とするものである。図3に示す装置においては、
上部基盤11と下部基盤12を有し、上部の基盤11に
接してチャンバ13が設けられ、このチャンバ13の内
部に図1に示す構造の大部分が収納されて構成され、こ
のチャンバ13は図示略の真空排気装置および雰囲気ガ
スの供給装置に接続されていて、上下のパンチ2、3の
間に充填される原料粉末6を不活性ガス雰囲気などの所
望の雰囲気下に保持できるように構成されている。な
お、図1と図3では通電装置が省略されているが、上下
のパンチ2、3およびパンチ電極4、5には別途設けた
通電装置が接続されていてこの通電装置から図2に示す
ようなパルス電流をパンチ2、3およびパンチ電極4、
5を介して通電できるように構成されている。
【0011】前記構成の放電プラズマ焼結装置を用いて
本焼結体を製造するには、先ず成型用の原料粉末を調製
する。この原料粉末は、後述する所定組成の金属ガラス
合金組成物を溶融し、次いで鋳造法、単ロールもしくは
双ロールによる急冷法、液中紡糸法、溶液抽出法、又は
高圧ガス噴霧法等によって、バルク状、リボン状、線状
体、粉末等の種々の形状の金属ガラス合金材を製造し、
粉末状以外のものは粉砕して粉末化することにより得ら
れる。得られた粉末を、例えば前記図1の原料粉末6と
してダイ1の上パンチ2と下パンチ3の間に挿填し、好
ましくは200MPa〜1500MPaの範囲内の加圧
下に、パルス電流を印加し、好ましくは40℃/分以上
の昇温速度で、好ましくはTx−250≦Ts≦Tx+
250の範囲内の温度に加熱して焼結することによって
本焼結体を製造することができる。
【0012】本発明において用いる金属ガラス合金は、
ガラス遷移温度Tgと結晶化開始温度Txとの間に温度
間隔ΔTxを有し、このΔTxが20K以上、組成によ
っては40K以上、更には60K以上と広いので、ΔT
xの温度範囲内で固化させれば基本的に非晶質体が形成
される。この非晶質体粉末を例えば放電プラズマ焼結法
等により適度の熱圧を加えると、非晶質粉体微粒子どう
しが軟化し表面で互いに融着して焼結成形体となる。一
方、このときの加熱と引き続く冷却によって、非晶質粉
体微粒子内では、例えば希土類元素RがNdであればN
2Fe14B相などの硬磁性結晶相が析出し、軟化した
非晶質マトリックス中で磁気異方性が付与され、この状
態で固化することによって硬磁性焼結体となる。また、
焼結温度によっては非晶質のまま焼結体を形成し、これ
を結晶化開始温度Tx以上の温度で熱処理することによ
り、微細な結晶相、例えば希土類元素RがNdであれば
Nd2Fe14B相及びFe相、Fe3B相が析出し、ナノ
コンポジット化することによって硬磁性焼結体となる。
【0013】本発明で用いられる金属ガラス合金の組成
は、基本的に下記4群の元素を必須成分として含んでい
る。 基金属…Fe、 希土類元素R…Y、La、Ce、Pr、Nd、Gd、
Tb、Dy、Ho、Erのうちの少なくとも1種、 金属M…Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、W、Cuのうちの少なくとも1種、及び ホウ素…B。 更に、任意的に下記群の元素を含むことができる。 金属T…Co、Niのうちの少なくとも1種、 元素L…Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、A
l、Si、Ge、Ga、Sn、C、Pのうちの少なくと
も1種。
【0014】これらの元素の配合割合は、好ましくは、
前記の式(1) Fe100-x-y-z-w-txyzwt …式(1) において、それぞれ原子%で、2≦x≦15、2≦y≦
20、0≦z≦20、10≦w≦30、0≦t≦5とさ
れる。
【0015】本焼結体として用いることができる好まし
い金属ガラス合金組成物の具体例としては、例えば Fe63Co7Nd8Cr220、 Fe63Co7Nd6Cr420、 Fe63Co7Nd4Cr620、 Fe58Co7Nd4Zr620、 Fe58Co7Nd6Zr420 等を挙げることができる。
【0016】前記の金属ガラス合金組成物は、何れの組
成のものであっても、 ΔTx=Tx−Tg …式2 (但しTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を
示す)で表される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが2
0K以上であることが必要であり、好ましくは40K以
上、更に好ましくは60K以上である。
【0017】前記の金属ガラス合金組成物において、
の基金属であるFe、及びの金属TであるCo又はN
iは磁性を担う元素であり、高い飽和磁束密度と優れた
硬磁気特性を得るために重要である。このうちFeは必
須であるが、Co、Niは含んでも含まなくてもよい。
含む場合は特にCoが好ましい。Feを多く含む組成系
においてはΔTxが大きくなる傾向があり、Feを多く
含む組成系においてCoの含有量を適正な値とすること
で、磁気特性を劣化させずにΔTxの値を更に大きくす
ることができ、また、キュリー点を上げ、温度係数を下
げる効果がある。前記の効果を得るためには、金属Tの
組成比を示すzの値を0≦z≦20の範囲内とすること
が好ましく、特に20K以上のΔTxを確実に得るため
には、zの値を2≦z≦10の範囲内とすることがより
好ましい。
【0018】の希土類元素Rは、Y、La、Ce、P
r、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Erのうちから選
択される少なくとも1種である。これらの化合物である
2Fe14B相は一軸磁気異方性を生じさせ、保磁力(i
Hc)を増大させるために有効な元素であり、2原子%
〜15原子%の範囲内で含まれていることが好ましい。
特に、Feの含有量を減らさずに高い磁化が保てるよう
にして保磁力(iHc)との磁気的なバランスをとるため
には、2原子%〜12原子%の範囲内とすることが好ま
しく、2原子%〜8原子%の範囲内とすると更に好まし
い。
【0019】金属Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Cr、Mo、W、Cuのうちから選択される少な
くとも1種である。これらは非晶質を生成させるために
有効な元素であり、2原子%〜20原子%の範囲内とす
ることが好ましい。更に高い磁気特性を得るためには、
2原子%〜15原子%、特に2原子%〜6原子%の範囲
内とすることがより好ましい。これら金属Mのうち、特
にCrが有効である。このCrは、その一部をTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Cuのうちから
選択される少なくとも1種の金属と置換することができ
るが、置換する場合の組成比(原子%)をaとすると
き、0≦a≦1の範囲であると高いΔTxを得ることが
できる。特に高いΔTxを確実に得るためには0≦a≦
0.5の範囲が好ましい。また、金属MのうちでCu
は、結晶化させて硬磁性とする際に結晶の粗大化を防止
する効果があり、硬磁気特性を向上させる作用がある。
【0020】ホウ素Bは、高い非晶質生成能があり、本
発明では10原子%〜30原子%の範囲内で添加するこ
とが好ましい。Bの添加量が10原子%未満ではΔTx
が消滅するため好ましくなく、30原子%を越えると磁
気特性が劣化するために好ましくない。より高い非晶質
形成能と良好な磁気特性を得るためには、Bの添加量
は、14原子%〜20原子%とすることが好ましい。
【0021】上記の組成系に更に、元素Lで示され
る、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、S
i、Ge、Ga、Sn、C、Pのうちから選択される少
なくとも1種の元素を添加することもできる。これらの
元素を添加する場合には、0原子%〜5原子%の範囲内
で添加することが好ましい。これらの元素は主に耐食性
を向上させる目的で添加するものであるが、前記の範囲
を越えると硬磁気特性が低下する。また、この範囲を越
えるとガラス形成能も劣化するために好ましくない。
【0022】上記組成の金属ガラス合金材を製造するに
は、例えば、各成分の元素単体粉末もしくは元素単体塊
状物(予め一部合金化していても良い)を、それぞれ上
記組成の範囲内で混合し、次いでこの混合粉末を真空中
又はArガス等の不活性ガス雰囲気中において、ルツボ
等の溶解装置で溶解して溶湯とし、次にこの溶湯を鋳型
に流し込んで徐冷したり、あるいは単ロール法を用いて
急冷することによってバルク状又は薄帯状の金属ガラス
合金材を得ることができる。前記の単ロール法とは、回
転している金属ロールに溶湯を吹き付けて急冷し、薄帯
状の非晶質合金を得る方法である。あるいは金属ガラス
合金材は、スパッタリングやCVD法等によって製造す
ることもできる。
【0023】次に、得られた金属ガラス合金の焼結法に
ついて詳しく説明する。先ず、前記の何れかの方法で得
られた金属ガラス合金材を粉砕し、均一組成となるよう
に十分に混合して焼結のための原料粉末を製造する。原
料粉末の粒径としては、50μm〜150μm程度が好
適である。次に図1あるいは図3に示す放電プラズマ焼
結装置の上下のパンチ2、3の間に前記の原料粉末を挿
填し、チャンバ13の内部を真空引き又は不活性ガス置
換すると共に、パンチ2、3で上下から圧力を加え、例
えば図2に示すようなパルス電流を原料粉末に印加して
加熱し成形する。
【0024】加える圧力は200MPa〜1500MP
aの範囲内とすることが好ましく、500MPa〜10
00MPaの範囲内とすることがより好ましい。これに
より、得られた硬磁性合金焼結体は、きわめて緻密な組
織構造を有する強固な焼結体となり、物性的に堅固でし
かも小型で強力な永久磁石となる。このときの焼結体の
相対密度は90%以上とされることが好ましい。印加圧
力が200MPa未満では、硬磁性相に異方性を付与す
ることが困難になり、また得られる焼結体の空隙率が大
きく成形密度が小さくなるので好ましくない。印加圧力
が1500MPaを越えると、高温下でWC製ダイスの
強度が不足するようになり好ましくない。
【0025】加熱に際して昇温速度は10℃/分以上、
特に20℃/分以上とすることが好ましい。昇温速度が
10℃/分未満では、結晶粒が粗大化するため硬磁気特
性が劣化する。
【0026】放電プラズマ焼結法を行う際に、焼結温度
Ts(k)は、非晶質金属ガラス合金の結晶化開始温度
をTxとするとき、Tx−250≦Ts≦Tx+250
の範囲内とすることが好ましい。焼結温度TsがTx−
250未満では、温度が低すぎて高密度焼結体の形成が
困難になる。焼結温度TsがTx+250を越えると、
微結晶相が粒成長することにより硬磁気特性が劣化し好
ましくない。
【0027】焼結温度Tsが前記範囲内であれば、系は
軟化状態となり、加圧下に粉末粒子が緻密に圧縮されて
互いに融着一体化し、金型形状に従う高密度バルク体を
形成すると共に、組織内で構造的短範囲秩序化が起こっ
て例えばNd2Fe14B相などの硬磁性を有する結晶核
が発生成長し、生成した硬磁性微結晶が、同時に生成す
る軟磁性結晶相と交換スプリング磁石を形成してバルク
体に磁気異方性を生ぜしめる。硬磁性相の結晶軸に磁気
異方性が付与されると、磁気等方性の場合と比較して高
い残留磁化(Ir)が得られる。従って、冷却して得ら
れた本焼結体は、任意の金型形状に従う高密度の強固な
バルク体を構成すると共に、保磁力及び最大エネルギー
積が向上した永久磁石となる。
【0028】この放電プラズマ焼結処理によれば、原料
粉末の全ての部分を所定の速度で均一に昇温することが
でき、また通電電流の値に応じて原料粉末の温度を厳密
に管理できるので、ヒータによる加熱などよりも遥かに
正確に温度管理ができ、外側と内部とで焼結の程度にム
ラがない、高密度の焼結体を得ることができる。
【0029】得られた焼結体は、必要なら再度、400
℃〜1000℃の範囲内で熱処理してもよい。これによ
って焼結体中に平均結晶粒径100nm以下の硬磁性微
結晶相が更に高密度に析出し、硬磁性の磁気特性が向上
する場合がある。
【0030】
【実施例】以下、実施例により更に具体的に説明する。 (金属ガラス合金の調製)Feと、Coと、Ndと、C
r又Zrの単体純金属と純ボロン結晶をArガス雰囲気
中において混合しアーク溶解して母合金を製造した。次
に、この母合金をルツボで溶解し、60cmHgのアル
ゴンガス雰囲気中において4000r.p.mで回転して
いる銅ロールにルツボ下端の0.35mm〜0.45mm
径のノズルから射出圧力0.50kgf/cm2で吹き出
して急冷する単ロール法により、幅0.4〜1mm、厚
さ20〜30μmの金属ガラス合金薄帯の試料を調製し
た。ここで用いた単ロール液体急冷装置の単ロールは、
その表面が#1500で仕上げされたものであった。ま
た、単ロールとノズル先端とのギャップは、0.30m
mとした。
【0031】得られた試料は、X線回析と示差走査熱量
測定(DSC)により分析し、透過電子顕微鏡(TE
M)により観察し、振動試料型磁力計(VSM)にて1
5kOe、室温において磁気特性を測定した。
【0032】図4はそれぞれ、Fe63Co7Nd8Cr2
20、Fe63Co7Nd6Cr420、Fe63Co7Nd4Cr6
20の組成を有する金属ガラス合金薄帯試料のX線回析
チャートである。また、比較例として前記と同様にして
調製したFe63Co7Nd10 20(金属M含まず)の金属
ガラス合金薄帯試料についてもX線回折分析を行った。
ここでのX線回析分析は、Cu-Kα線を用いたX線ディ
フラクトメーター(XRD)によった。図4に示した結
果から、得られたパターンはいずれも典型的なブロード
パターンであり、いずれも非晶質であることが認められ
る。
【0033】図5は、組成Fe63Co7Nd10-xZrx
20(x=0,2,4,6)の試料をそれぞれ昇温速度
0.67K/秒で400K〜1100K(127℃〜8
27℃)の範囲に加熱したときのDSC曲線である。図
5から、x=0すなわち金属M(Zr)を含まない組成
Fe63Co7Nd10 20の金属ガラス合金の場合は三つ以
上の発熱ピークが観察され、結晶化が3段階以上で起こ
っていることが推測される。また結晶化開始温度Txよ
り下方にガラス遷移温度Tgは観察されない。一方、Z
rを添加しその添加量を増加させると、Zrの添加量が
4原子%以上においてTxの下方に、Tgに相当する吸
熱反応が観察された。
【0034】(焼結体の製造)下記の表1に示す各種組
成の非晶質金属ガラス合金を調製した。先ず、アーク溶
解法によりそれぞれの組成を有する合金のインゴットを
作製し、Ar雰囲気において回転Cuロール上へこの合
金の溶湯を吹きつけることにより約20μmの厚さの急
冷薄帯を得た。得られた急冷薄帯をロータースピードミ
ルを用いて粉砕し、粒径50μm〜150μmの非晶質
金属ガラス合金粉末とした。
【0035】得られた各種の非晶質金属ガラス合金粉末
について、それぞれ約2gをWC製のダイスの内部にハ
ンドプレスを用いて充填した後、図1に示すダイ1の内
部に挿填し、チャンバの内部を、3×10-5torrの雰囲
気中で上下のパンチ2、3で加圧するとともに、通電装
置から原料粉末にパルス波を通電して加熱した。パルス
波形は図2に示すように12パルス流した後で2パルス
休止するものとし、最高4700〜4800Aの電流で
原料粉末を加熱した。焼結は、試料に表1に示す圧力P
s(MPa)をかけた状態で室温から表1に示す焼結温
度Ts(℃)まで試料を加熱し、この温度に約5分間保
持して行った。昇温速度は100℃/分とした。
【0036】得られたそれぞれの焼結体について、飽和
磁化Is(T)、残留磁化Ir(T)、角形比Ir/I
s、保磁力iHc(kOe)、及び最大エネルギー積(B
H)max(kJ/m3)の各磁気特性及び相対密度(%)
を測定した。磁気特性は、焼結時の焼結圧力Ps付加方
向をZ軸とし、これと直交する2軸をX軸、Y軸とする
とき、X、Y、Z3軸方向の特性を測定した。ここで残
留磁化Ir(T)は、下式、 Ir(T)=4π×7.0×相対密度×Ir(emu/
g)/10000 で表される値である。また相対密度(%)は、真密度
(約7.0g/cm3 )に対する比較値である。結果を
表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1の結果から、表示した各種非晶質金属
ガラス合金を用い、放電プラズマ焼結法により得られた
焼結体は、いずれも緻密で優れた硬磁性特性を有してい
ることがわかる。また、Is、Ir、Ir/IsはZ方
向で比較的高く、(BH)maxは全ての試料において高
い値が得られている。このことは、応力下の焼結によっ
て結晶化または粒成長した硬磁性相が異方化し、磁気異
方性が付与されたことを示している。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の硬磁性合金
焼結体は、Feを基金属とし、希土類元素Rと、Ti、
Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cuの
うちから選択された金属Mと、Bとを含み、ΔTxが2
0K以上である金属ガラス合金の粉末が熱圧下に焼結成
形され、同時に磁気異方性が付与されてなるものである
ので、緻密かつ強固であり、厚みがあって形状の自由度
が高く、磁気特性に優れた永久磁石の成形物が得られ
る。前記の焼結を放電プラズマ焼結法により行えば、焼
結成形と同時に磁気異方性を付与することができるの
で、他の成形方法に比べて組織が均一で、きわめて強力
な硬磁性特性を有する永久磁石成形物を製造することが
できる。本発明で得られた硬磁性合金焼結体は前記の特
性を有するので、モーター、アクチュエータ、スピーカ
ーなど各種の装置に使用される永久磁石部材として有用
であり、安価に製造できることから各種電気機器、電子
機器の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の硬磁性合金焼結体の製造方法を実施
するために用いる放電プラズマ焼結装置の一例の要部構
造を示す断面図である。
【図2】 図1に示す放電プラズマ焼結装置で合金粉末
に印加するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図3】 本発明の硬磁性合金焼結体の製造方法を実施
するために用いる放電プラズマ焼結装置の一例の全体構
成を示す正面図である。
【図4】 焼結原料となる金属ガラス合金の一例におけ
るX線回折像を示すチャートである。
【図5】 組成Fe63Co7Nd10-xZrx20(x=
0,2,4,6)の金属ガラス合金試料のDSC曲線を
示すグラフである。
【符号の説明】
A・・・放電プラズマ焼結装置、 1・・・ダイ、 2・・・上パンチ、 3・・・下パンチ、 4,5・・・パンチ電極、 6・・・原料粉末、 7・・・熱電対、 11・・・上部基盤、 12・・・下部基盤、 13・・・チャンバ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを基金属とし、少なくとも1種の希
    土類元素Rと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、W、Cuのうちから選択された少なくとも1
    種の金属Mと、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg(式
    中、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示
    す)の式で表される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが
    20K以上である金属ガラス合金の粉末が、熱圧下に焼
    結成形されると同時に磁気異方性を付与されてなること
    を特徴とする硬磁性合金焼結体。
  2. 【請求項2】 前記の金属ガラス合金が、下記の組成式 Fe100-x-y-z-w-txyzwt (式中、Rは前記希土類元素R、Mは前記金属M、Tは
    Co、Niのうちから選択された少なくとも1種の金
    属、LはRu、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
    Si、Ge、Ga、Sn、C、Pのうちから選択された
    少なくとも1種の元素であり、x、y、z、w、tはそ
    れぞれ原子%で、2≦x≦15、2≦y≦20、0≦z
    ≦20、10≦w≦30、0≦t≦5である)で表され
    る組成を有するものであることを特徴とする請求項1に
    記載の硬磁性合金焼結体。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2に記載の金属
    ガラス合金の粉末を、放電プラズマ焼結法により熱圧を
    加えて焼結成形すると同時に磁気異方性を付与すること
    を特徴とする硬磁性合金焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の焼結に際して、焼結温度Ts
    (K)を結晶化開始温度Tx±250(K)の範囲内と
    し、かつ焼結圧力を200MPa〜1500MPaの範
    囲内とすることを特徴とする請求項3に記載の硬磁性合
    金焼結体の製造方法。
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