JP2925349B2 - Fe基軟磁性合金磁心 - Google Patents

Fe基軟磁性合金磁心

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JP2925349B2
JP2925349B2 JP3078641A JP7864191A JP2925349B2 JP 2925349 B2 JP2925349 B2 JP 2925349B2 JP 3078641 A JP3078641 A JP 3078641A JP 7864191 A JP7864191 A JP 7864191A JP 2925349 B2 JP2925349 B2 JP 2925349B2
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    • H01F1/15308Amorphous metallic alloys, e.g. glassy metals based on Fe/Ni

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に20kHz以上の
高い周波数において好適に使用される高周波コイルなど
に用いられるFe基軟磁性合金磁心に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、チョークコイルなどの磁心材料と
して、50%Ni−Feパーマロイ磁心や80%Ni−Fe
パーマロイ磁心が用いられてきた。
【0003】しかし、これらの磁心は高周波におけるコ
ア損失が大きく、数10kHz以上の周波数では磁心の温
度上昇が激しく使用が困難であった。
【0004】近年、高周波におけるコア損失が低く、高
角形性が良好な特徴を生かし、Co基のアモルファス磁
心がスイッチング電源制御用磁心として用いられるよう
になってきている。
【0005】しかしながら、Co基アモルファス磁心
は、原料費が高く、価格が高いばかりでなく、飽和磁束
密度が通常10kG以下であり、数10kHzから100k
Hz帯の周波数においては飽和磁束密度が低いために動
作磁束密度の制約を受け、十分に磁心を小型化できない
等の問題があった。
【0006】一方、Fe基アモルファス磁心は飽和磁束
密度が高く、例えば特公昭58−1183号公報に記載
されているように直流B−Hカーブの角形比が高く、最
大透磁率が高いものが得られることが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記F
e基アモルファス合金を用いた磁心は、鉄損が大きく、
添加元素の調整により鉄損の改善が試みられているが、
Co系アモルファス合金に比べて未だに鉄損が大きいと
いう問題があった。
【0008】このような背景の基に本発明者らは、先
に、高飽和磁束密度のFe系軟磁性合金を特願平2−1
08308号(国内優先出願、特願平3−22791
号)あるいは特願平2−230135号(特公平7−6
5145号)などとして提案し、これらを更に改良した
ものを特願平3−78613号、特願平3−78614
号などとして平成3年3月18日付けで特許出願してい
る。これらの特許出願におけるFe系軟磁性合金は、高
い飽和磁束密度と透磁率を併せ持ち、優れた軟磁気特性
を示すものである。
【0009】平成3年18日付け特許出願(特願平
3−78613号、特願平3−78614号)に係る
金は、次式で示される組成からなることを特徴とする8
種類の高飽和磁束密度合金であった。
【0010】(Fe1-a Co a)b Bx Ly T'z a≦0.05、b≦92原子%、x=6.5〜18原子%、y
=4〜10原子%、 z=4.5原子%以下である。
【0011】Fe b Bx Ly T'z b≦92原子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原
子%、z=4.5原子%以下である。
【0012】(Fe1-aa)b Bx Ly a≦0.05、b≦93原子%、x=6.5〜10原子%、y
=4〜9原子%である。
【0013】Fe b Bx Ly b≦93原子%、x=6.5〜10原子%、y=4〜9原子
%である。
【0014】(Fe1-a Co a)b Bx Ly T'z D s X a≦0.05、b≦92原子%、x=6.5〜18原子%、y
=4〜10原子%、 z=4.5原子%以下、s=4〜1
0原子% である。
【0015】Fe b Bx Ly T'z D s X b≦92原子%、x=6.5〜18原子%、y=4〜10原
子%、 z=4.5原子%以下、s=4〜10原子% で
ある。
【0016】(Fe1-aa)b Bx Ly Ds X a≦0.05、b≦93原子%、x=6.5〜10原子%、y
=4〜9原子%、sは4〜10原子%である。
【0017】Fe b Bx Ly D s X b≦93原子%、x=6.5〜10原子%、y=4〜9原子
%、sは4〜10原子%である。
【0018】但しLはTi,Nb,Taからなる群から選ば
れた1種又は2種以上の元素であり、T'はCu,Ag,A
u,Ni,Pd,Ptからなる群から選ばれた1種又は2種以
上の元素であり、MはCo,Niのいずれか、または、両
方であり、DはZrとHfの少なくとも一方であり、X
はCr、Mo、W、Ru、Rh、Irの中から選択され
る元素である。
【0019】以上のように本発明者らは、前記各組成の
種々のFe系軟磁性合金を開発したわけであるが、前記
組成の合金について研究を重ねた結果、これを高周波用
磁心用として用いても良好な特性がえられることが判明
したので本願発明に到達した。
【0020】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、高飽和磁束密度を示し、高周波領域で鉄損が
少なく、耐熱性にもすぐれたFe基軟磁性合金磁心を提
供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1から2に記載し
た発明は前記課題を解決するために、次式で示される組
成からなり、溶湯を急冷することによって得られた非晶
質合金あるいは非晶質相を含む結晶質合金を加熱して、
微細な結晶粒を析出させたFe基軟磁性合金薄 帯もしく
は粉末を用いて磁心を構成したものである。
【0022】
【0023】
【0024】1) (Fe1-aa)b Bx Ly a≦0.05、84原子%≦b≦93原子%、x=6.5〜
9原子%、y=4〜9原子%である。
【0025】2) Fe b Bx Ly84原子%≦b≦93原子%、x=6.5〜9原子%、 y=
4〜9原子%である。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】但しLはTi,Nb,Taからなる群から選ば
れた1種又は2種以上の元素であり、MはCo,Niのい
ずれか、または、両方である。
【0031】
【作用】特定の組成からなり、溶湯を急冷することによ
って得られた非晶質合金あるいは非晶質相を含む結晶質
合金を加熱して、微細な結晶粒を析出させたFe基軟磁
性合金薄帯もしくは粉末を用いて磁心を形成するので、
高飽和磁束密度と高透磁率を兼ね備え、高周波における
低鉄損失の鉄基軟磁性合金磁心を得ることができる。
【0032】
【実施例】図1は本発明の磁心の一実施例を示すもの
で、この例の磁心1は環状をなすものであり、以下に示
す軟磁性合金から形成されている。
【0033】
【0034】
【0035】 (Fe1-aa)b Bx Ly a≦0.05、84原子%≦b≦93原子%、x=6.5〜
9原子%、y=4〜9原子%である。
【0036】 Fe b Bx Ly84原子%≦b≦93原子%、x=6.5〜9原子%、 y=
4〜9原子%である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】但しLはTi,Nb,Taからなる群から選ば
れた1種又は2種以上の元素であり、MはCo,Niのい
ずれか、または、両方である。
【0042】本発明において非晶質相を得やすくするた
めには、非晶質形成能を有するTi,Nb,Taの少なくと
も1つ及びBを含む必要がある。
【0043】Bには本発明合金の非晶質形成能を高める
効果、および前記熱処理工程において磁気特性に悪影響
を及ぼす化合物相の生成を抑制する効果があると考えら
れ、このためB添加は必須である
【0044】TiとNbとTaにも同等の効果があるが、
これらの元素の中でもNbとTaは、融点の高い金属材料
であって熱的に安定であり、製造時に酸化しずらいもの
である。よってこれらの元素を添加している場合は、先
に本願発明者らが特願平2−108308号において特
許出願している材料(HfやZrを含有するもの)より
も製造条件が容易で安価に製造することができ、また、
コストの面でも有利である。即ち、先に本願発明者らが
特願平2−108308号で特許出願している系の合金
においては、真空雰囲気中において不活性ガスを供給し
て酸化に留意しつつ製造する必要があったが、本願発明
の合金においては製造条件をゆるくすることができる。
具体的には、ノズル先端部に不活性ガスを部分的に供給
しつつ大気中で製造もしくは大気中の雰囲気で製造する
ことができる。
【0045】なお、Cu,Niおよびこれらと同族元素の
うちから選ばれた少なくとも1種又は2種以上の元素を
4.5原子%以下、より好ましくは、0.2原子%〜4.
5原子%配合すると、前記熱処理工程により優れた軟磁
気特性を得ることができる。又これらの元素の中でもC
uは特に好適である。
【0046】Cu,Ni等が0. 2原子%以下の場合は、
熱処理後の軟磁気特性が若干劣るが飽和磁束密度が若干
高くなるので、Cu,Ni等は0. 2原子%以下でもよ
い。
【0047】また、Cu,Ni等の添加により、軟磁気特
性が著しく改善される機構については明らかではない
が、結晶化温度を示差熱分析法により測定したところ、
Cu,Ni等を添加した合金の結晶化温度は、添加しない
合金に比べてやや低い温度であると認められた。これは
前記元素の添加により非晶質相が不均一となり、その結
果、非晶質相の安定性が低下したことに起因すると考え
られる。また不均一な非晶質相が結晶化する場合、部分
的に結晶化しやすい領域が多数でき不均一核生成するた
め、得られる組織が微細結晶粒組織となると考えられ
る。また特にFeに対する固溶度が著しく低い元素であ
るCuの場合、相分離傾向があるため、加熱によりミク
ロな組成ゆらぎが生じ、非晶質相が不均一となる傾向が
より顕著になると考えられ、組織の微細化に寄与するも
のと考えられる。
【0048】以上の観点からCu及びその同族元素、Ni
およびPd,Pt以外の元素でも結晶化温度を低下させる
元素には同様の効果が期待できる。またCuのようにFe
に対する固溶限が小さい元素にも同様の効果が期待でき
る。
【0049】
【0050】本発明で使用するFe系軟磁性合金におけ
るFe,Co量のbは、Cu,Ni等を含まない場合において
93原子%以下である。これは、bが93原子%を越
えると高い透磁率が得られないためであるが、飽和磁束
密度10kG以上を得るためには、bが75原子%以上で
あることがより好ましい
【0051】前記合金は、前記組成の非晶質合金あるい
は非晶質相を含む結晶質合金を溶湯から急冷することに
より得る工程と、この工程で得られたものを加熱し微細
な結晶粒を析出させる工程によって通常得ることができ
る。
【0052】溶湯から急冷する場合、溶湯をノズルから
回転冷却ロールの表面に吹き出して急冷する場合は、薄
帯(リボン)が得られるので、この薄帯を適当な形状にプ
レス打ち抜きして積層すれば磁心が得られる。また、前
記溶湯から公知のアトマイズ法などによって軟磁性合金
粉末を得、この粉末を成形し、焼結して磁心を形成する
こともできる。
【0053】そして、得られた磁心を必要に応じて熱処
理するならば、磁気特性に優れた磁心が得られる。
【0054】以下に本発明の磁心Dを製造する場合にお
いて、合金粉末から磁心を製造する方法について詳細に
説明する。
【0055】本発明において、磁心1を製造するには、
前記組成の合金を粉末化してから所望の磁心形状に合わ
せて軟磁性合金粉末を圧密し、焼結して得ることができ
る。
【0056】本発明に用いる高飽和磁束密度Fe系軟磁
性合金粉末を得るには、先に本発明者らが特許出願して
いる組成の軟磁性合金の溶湯からアトマイズ法などによ
って急冷して粉末化する工程と、前記工程で得られたも
のを加熱し微細な結晶粒を析出させる熱処理工程とによ
って通常得ることが出来る。なお、前記軟磁性合金粉末
を製造する場合、先に本発明者らが特許出願している合
金を作製し、この合金を結晶化温度以上に加熱し、脆化
させた後に粉砕して得ることもできる。
【0057】ここで例えば、アトマイズ法によって磁性
合金粉末を得るには、前記組成の合金材料を高周波溶解
炉などを用いてルツボ内にて金属溶湯とし、ルツボ底部
に設けられた溶湯噴出用ノズルを通して流下、落下させ
る。そして、噴出用ノズルから落下する溶湯流に対し
て、例えば円形状に配置された多孔の噴霧化ノズルによ
り、窒素ガスを所定の圧力で吹き付けて溶湯流を粉末化
することにより得ることができる。
【0058】また、前記組成のFe系軟磁性合金は、結
晶化温度以上に加熱することで脆くなることが本発明者
らの研究で判明しているので、この特性を利用して粉末
化することもできる。前記組成の合金を550〜650
℃の温度範囲に加熱して脆化させ、この状態で粉砕し、
粒径を揃えることにより粉末化することもできる。
【0059】次に前記組成の合金を実際に製造し、得ら
れた軟磁性合金の磁気特性を測定した結果を示す。
【0060】以下の例に示す各合金は片ロール液体急冷
法により作成した。すなわち、1つの回転している鋼製
ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴンガス
の圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄帯を
得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmであ
り、厚さは約20〜40μmであった。
【0061】透磁率は、薄帯を加工し、外径10mm、内
径5mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻線
し、インダクタンス法により測定した。この透磁率(μ)
の測定条件は10mOe,1KHzとした。
【0062】まず、合金の磁気特性および構造におよぼ
す熱処理の効果について、Fe 80 12 Nb 7 Cu 1 合金を
例にとって以下に説明する。なお、昇温速度毎分10℃
の示差熱分析により求めたFe8012Nb7Cu1合金の
結晶化温度は470℃であった。
【0063】図2は、Fe8012Nb7Cu1合金の実効
透磁率に及ぼす焼純(各温度で1時間保持後水焼入れ)の
効果を示す。
【0064】図2より急冷状態(RQ)における本合金の
実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低い値を示す
が、500〜620℃の焼鈍により、急冷状態の10倍
程度の高い値に増加している。ここで600℃熱処理後
の厚さ約20μmの試料について透磁率の周波数依存を
調べたところ1KHzで28800、10KHzで254
00、更に100KHzで7600と、高い測定周波数
においても優れた軟磁気特性を示した。
【0065】よって合金の磁気特性は最適な熱処理条件
を適当に選ぶことにより調整することができ、また磁場
中焼鈍などにより磁気特性を改善することができること
が明らかになった。
【0066】また、Fe8012Nb7Cu1合金の熱処理
前後の構造の変化をX線回折法により調べ、熱処理後の
組織を透過電子顕微鏡を用いて観察し、結果をそれぞれ
図3と図4に示す。
【0067】図3より、急冷状態では非晶質に特有のハ
ローな回折図形が、熱処理後には体心立方晶に独特の回
折図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱処理によ
り、非晶質から体心立方晶へと変化したことがわかる。
そして図4より、熱処理後の組織が、粒径約100
オンク゛ストローム程度の微結晶から成ることがわかる。また、
Fe8012Nb7Cu1合金について熱処理前後の硬さの
変化を調べたところ、ビッカース硬さで急冷状態の65
0DPNから650℃熱処理後には950DPNと従来
材料にない高い値まで増加した。
【0068】以上のごとく前記組成の合金は、前述の組
成を有する非晶質合金を熱処理により結晶化させ、超微
細結晶粒を主とする組織を得ることにより、高飽和磁束
密度でかつ軟磁気特性に優れ、更に高い硬度と高い熱安
定性を有する優れた特性を得ることができることが明ら
かである。
【0069】次に前記の如く得られた合金を粉末化する
場合について説明する。前記の合金は強度が高く堅いの
で、そのままの状態では粉砕して粉末化することは難し
い。よって、前記の如く得られた合金を500℃に加熱
して脆化させた状態でボールミルやアトライタなどの粉
砕装置により粉砕する。この操作によって粒径1〜10
0μm程度の軟磁性合金粉末を得ることができる。
【0070】次にこの軟磁性合金粉末を用いて磁心を製
造する場合について説明する。まず、図5に示すよう
に、プレス装置Pの上型PUと下型PLとによって、軟
磁性合金粉末Aを所定形状のコアBに一次成形する。こ
の一次成形コアBは、次に図6に示す加圧カプセル10
内に圧力媒体粉末Cとともに封入される。図面では、維
持成形コアBを1つのみ描いているが、実際には多数の
一次成形コアBが同時に加圧カプセル10内に封入され
る。
【0071】加圧カプセル10は、有底筒状の本体11
と、この本体11の上部に被せる蓋体12とからなり、
蓋体12には脱気パイプ13が開口している。この加圧
カプセル10内には、蓋体12を外した状態にいて、本
体11内に一次成形コアBと圧力媒体粉末Cが充填され
る。次いで、本体11の上部内面に一次成形コアBおよ
び圧力媒体粉末Cが通過しないメッシュ板14を被せ
て、本体11と蓋体12を溶接し、本体11と蓋体12
間の隙間をなくす。そして脱気パイプ13を潰して、内
部に一次成形コアBおよび圧力媒体粉末Cを封入した密
閉されたワーク30(加圧カプセル10)を完成する。
【0072】なお脱気する際には、加圧カプセル10を
加熱炉Fに入れ、約500℃〜600℃前後の温度を加
える。これはガス抜きをより完全にするための加熱で、
この種の脱気では常套的に行なわれる。圧力媒体粉末C
は、軟磁性合金粉末A(一次成形コアB)と化学反応しな
い材料から選定して用いる。ここで一次成形コアBが前
記組成のFe系軟磁性合金粉末であるので、ZrO2粉末
を用いると良い。この他、MgO粉末を用いても良い。
【0073】図7は、このワーク30を高温高圧下で処
理する熱間静水圧プレス20の概念図で、高圧円筒21
の上下が上蓋22と下蓋23で開閉および閉塞可能とな
っている。上蓋22には高圧ガス導入管24が開口して
いる。高圧円筒21内には、ワーク30の支持台25
と、ヒータ26とが位置しており、高圧円筒21とヒー
タ26の間には、断熱層27が設けられている。
【0074】ワーク30は、この熱間静水圧プレスの支
持台25上に載置され、ヒータ26によって高温に熱せ
られると同時に、導入管24から導入される圧力媒体と
しての高圧ガスにより、等方性の圧力を受ける。その結
果、ワーク30(カプセル10)は全体が圧縮変形され
る。この圧縮変形の過程において、加圧カプセル10内
の一次成形コアBは、圧力媒体粉末Cを介して等方圧力
を受ける。また、ヒータ26による熱も、圧力媒体粉末
Cを介して受けるために、一次成形コアBが急激に加熱
されることがなく、急激加熱に起因する一次成形コアB
の割れや変形を生じることがない。即ち、一次成形コア
Bは均等に圧縮され、内部の気泡が除かれて最終的に焼
結され、磁心Dが完成する。この磁心Dは、一次成形コ
アBに比して縮むため、縮み代を考慮して一次成形コア
Bの形状を決定しておく。
【0075】以上のようにして圧縮変形されたワーク3
0は、熱間静水圧プレスから取り出して後、図8に示す
ようにその本体11および蓋体12を壊して、内部の完
成された磁心Dを取り出す。磁心Dはプレス装置Pによ
って予め所定の形状に加工されているために、磁気ヘッ
ドコアとしてそのまま使用することができる。
【0076】また、以上の熱間静水圧プレスにおいて、
一次成形コアBは、これと化学反応しない圧力媒体粉末
Cで覆われるため、完成された磁気ヘッドコアDに、性
質の変化を生じるおそれはない。
【0077】なお、以上の説明においては、環状の磁心
Dを製造する場合について説明したが、プレス装置Pの
型の形状を適宜変更することで、環状の磁心Dに限ら
ず、図9に示す構造のドラム形磁心D2を形成すること
も容易であり、棒状あるいは板状などのアンテナ用磁
心、多孔型磁心、ねじ型磁心、カップ型磁心、つぼ型磁
心、あるいはその他の形状の磁心を製造できることも勿
論である。
【0078】次に、図5ないし図8を基に先に説明した
方法によって環状の磁心を製造し、この磁心の磁気性能
を測定した。
【0079】Fe系軟磁性合金粉末として、Fe8012
Nb7Cu1なる組成の合金を結晶化温度以上に加熱して
粉砕することにより得たものを用いた。この軟磁性合金
粉末をプレス装置によって環状になるように一次成形し
た。次にこの一次成形品に、真空を含む不活性ガス雰囲
気中において500〜600℃で予備焼結を行った。次
いでこの一次成形品を温度600℃、圧力5000気
圧、焼結時間24時間に設定して熱間静水圧プレスを行
った。
【0080】得られた磁心の透磁率(μe)(1kHz)は8
000、保磁力は0.2Oe、飽和磁束密度は14.1
KGを示し、優れた磁気特性を発揮するこ確認できた。
【0081】また、前記と同等の方法により得られた複
数の磁心について、U関数計により磁束密度の波高値B
mが2kG、周波数fが100kHzまで鉄損W2/100kを測
定し、その結果を表1に示す。各磁心を構成する軟磁性
合金の組成は、表1に示すとうりである。
【0082】
【表1】
【0083】表1から明らかなように、本発明に用いる
特定組成の合金からなる磁心の鉄損は、従来からあるF
78 Si 10 12 なる組成の合金の鉄損より小さく、磁心
として優れたものであることが判明した。
【0084】以上のことから本発明の磁心は、高周波コ
イル用、可飽和リアクトル用などとして好適であること
が明らかになった。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明のFe基軟磁
性合金磁心は、特定の組成からなり、 溶湯を急冷するこ
とによって得られた非晶質合金あるいは非晶質相を含む
結晶質合金を加熱して、微細な結晶粒を析出させたFe
基軟磁性合金薄帯もしくは粉末から形成するので、高飽
和磁束密度と高透磁率を併せ持ち、高い機械特性と熱安
定性を備えた優れた磁心を得ることができる効果があ
る。従って、本発明の磁心は、高周波コイル用、過飽和
リアクトル用などとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図
【図2】Fe系軟磁性合金の一例の透磁率と熱処理温度
の関係を示すグラフ
【図3】前記合金の熱処理前後の構造変化を示すX線回
折図形を示すグラフ
【図4】前記合金の熱処理後の組織を示す顕微鏡写真の
模式図
【図5】プレス装置により軟磁性合金粉末から一次成形
コアを形成する模様を示す模式図
【図6】(A)ないし(C)は一次成形コアを加圧カプセル
内に入れる様子を示す断面図
【図7】図6の加圧カプセルを高温下で加圧する熱間静
水圧プレスの概念図
【図8】加圧カプセル内から磁気ヘッドコアを取り出す
状態を示す模式図
【図9】ドラム型の磁心を示す斜視図
【符号の説明】
A 軟磁性合金粉末 B 一次成形コア C 圧力媒体粉末 D 磁心 D2 磁心 10 圧力カプセル 11 本体 12 蓋体 13 脱気パイプ 20 熱間静水圧プレス 21 高圧円筒 24 高圧ガス導入管 26 ヒータ 30 ワーク(加圧カプセル)
フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地川内住宅 11−806 (56)参考文献 特開 平6−158241(JP,A) 特開 平6−128704(JP,A) 特開 平1−242755(JP,A) 特開 平1−156451(JP,A) 特開 平1−294847(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 303 C22C 45/02 H01F 1/14,1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で示される組成からなり、溶湯を急
    冷することによって得られた非晶質合金あるいは非晶質
    相を含む結晶質合金を加熱して、微細な結晶粒を析出さ
    せたFe基軟磁性合金薄帯もしくは粉末からなることを
    特徴とするFe基軟磁性合金磁心。 (Fe1-aa)b Bx Ly 但し、MはCo,Niのいずれか、または、両方であり、
    LはTi,Nb,Taからなる群から選ばれた1種又は2種
    以上の元素であり、 a≦0.05、84原子%≦b≦93原子%、x=6.5〜
    9原子%、y=4〜9原子%である。
  2. 【請求項2】 次式で示される組成からなり、溶湯を急
    冷することによって得られた非晶質合金あるいは非晶質
    相を含む結晶質合金を加熱して、微細な結晶粒を析出さ
    せたFe基軟磁性合金薄帯もしくは粉末からなることを
    特徴とするFe基軟磁性合金磁心。 Fe b Bx Ly 但しLはTi,Nb,Taからなる群から選ばれた1種又は
    2種以上の元素であり、84原子%≦b≦93原子%、x
    =6.5〜9原子%、y=4〜9原子%である。
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