JPH04213804A - Fe基軟磁性合金磁心 - Google Patents

Fe基軟磁性合金磁心

Info

Publication number
JPH04213804A
JPH04213804A JP3065614A JP6561491A JPH04213804A JP H04213804 A JPH04213804 A JP H04213804A JP 3065614 A JP3065614 A JP 3065614A JP 6561491 A JP6561491 A JP 6561491A JP H04213804 A JPH04213804 A JP H04213804A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
alloy
soft magnetic
core
flux density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3065614A
Other languages
English (en)
Inventor
Seisaku Suzuki
清策 鈴木
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Takeshi Masumoto
健 増本
Akihisa Inoue
明久 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP3065614A priority Critical patent/JPH04213804A/ja
Publication of JPH04213804A publication Critical patent/JPH04213804A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、特に20kHz以
上の高い周波数において好適に使用される高周波コイル
などに用いられるFe基軟磁性合金磁心に関するもので
ある。 【0002】 【従来の技術】従来、チョークコイルなどの磁心材料と
して、50%Ni−Feパーマロイ磁心や80%Ni−
Feパーマロイ磁心が用いられてきた。 【0003】しかし、これらの磁心は高周波におけるコ
ア損失が大きく、数10kHz以上の周波数では磁心の
温度上昇が激しく使用が困難であった。 【0004】近年、高周波におけるコア損失が低く、高
角形性が良好な特徴を生かし、Co 基のアモルファス
磁心がスイッチング電源制御用磁心として用いられるよ
うになってきている。 【0005】しかしながら、Co基アモルファス磁心は
、原料費が高く、価格が高いばかり でなく、飽和磁束
密度が通常10kG以下であり、数10kHzから10
0kHz帯 の周波数においては飽和磁束密度が低いた
めに動作磁束密度の制約を受け、十分に磁心を小型化で
きない等の問題があった。 【0006】一方、Fe基アモルファス磁心は飽和磁束
密度が高く、例えば特公昭58−1 183号公報に記
載されているように直流B−Hカーブの角形比が高く、
最大透磁率が高いものが得られることが知られている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記F
e基アモルファス合金を用いた磁心は、鉄損が大きく、
 添加元素の調整により鉄損の改善が試みられているが
、Co系アモルファス合金 に比べて未だに鉄損が大き
いという問題があった。 【0008】このような背景の基に本発明者らは、先に
、高飽和磁束密度のFe系軟磁性合 金を特願平2ー1
08308号明細書において平成2年4月24日付けで
特許出願している。 【0009】この特許出願に係る合金の他の1つは、次
式で示される組成からなることを特徴とする高飽和磁束
密度合金であった。 (Fe 1−a Co a)b Bx Ty T’z【
0010】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta
,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以上
の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方
を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、
a≦0.05、  b≦92原子%、  x=0.5〜
16原子%、  y=4〜10原子%、  z=0.2
〜4.5原子%である。 【0011】また、前記特許出願に係る合金の他の1つ
は、次式で示される組成からなることを特徴とする高飽
和磁束密度合金であった。Fe b BxTy T’z
【0012】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以
上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両
方を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Pt
からなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり
、b≦92原子%、  x=0.5〜16原子%、  
y=4〜10原子%、z=0.2〜4.5原子%である
。 【0013】更に本発明者らは、前記合金の発展型の合
金として、先に、以下に示す組成の合金について特許出
願を行っている。 【0014】この特許出願に係る合金の1つは、次式で
示される組成からなることを特徴とする高飽和磁束密度
合金であった。(Fe 1−a R a)b Bx T
y 【0015】但しQはCo,Niのいずれか、また
は、両方であり、TはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2種以上
の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方
を含み、a≦0.05、  b≦93原子%、 x=0
.5〜8原子%、   y=4〜9原子%である。 【0016】また、前記特許出願に係る合金の他の1つ
は、次式で示される組成からなることを特徴とする高飽
和磁束密度合金であった。Fe b BxTy 【00
17】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,M
o,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以上の元
素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含
み、 b≦93原子%、 x=0.5〜8原子%、  
y=4〜9原子%である。 【0018】以上のように本発明者らは、前記各組成の
種々のFe系軟磁性合金を開発した わけであるが、前
記組成の合金について研究を重ねた結果、これを高周波
用磁心用として用いても良好な特性がえられることが判
明したので本願発明に到達した。 【0019】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、高飽和磁束密度を示し、高周波領域で鉄損が
少なく、耐熱性にもすぐれたFe基軟磁性合金磁心を提
供す ることを目的とする。 【0020】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明
は前記課題を解決するために、次式で示される組成から
なる高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金から磁心を構成し
てなるものである。 (Fe 1−a Co a)b Bx Ty T’z【
0021】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta
,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以上
の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方
を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、
a≦0.05、 b≦92原子%、  x=0.5〜1
6原子%、  y=4〜10原子%、  z=4.5原
子%以下である。 【0022】請求項2に記載した発明は前記課題を解決
するために、次式で示される組成からなる高飽和磁束密
度Fe系軟磁性合金から磁心を構成してなるものである
。 Fe b Bx Ty T’z 【0023】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以
上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両
方を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Pt
からなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり
、b≦92原子%、 x=0.5〜16原子%、  y
=4〜10原子%、z=4.5原子%以下である。 【0024】請求項3に記載した発明は前記課題を解決
するために、次式で示される組成からなる高飽和磁束密
度Fe系軟磁性合金から磁心を構成してなるものである
。 (Fe 1−a Q a)b Bx Ty 【0025
】但しQはCo,Niのいずれか、または、両方であり
、TはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、
且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含み、a≦0
.05、  b≦93原子%、 x=0.5〜8原子%
、 y=4〜9原子%である。 【0026】請求項4に記載した発明は前記課題を解決
するために、次式で示される組成からなる高飽和磁束密
度Fe系軟磁性合金から磁心を構成してなるものである
。Fe b Bx Ty  【0027】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以
上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両
方を含み、b≦93原子%、 x=0.5〜8原子%、
  y=4〜9原子%である。 【0028】 【作用】 特定の組成の軟磁性合金を用いて磁心を形成
するので、高飽和磁束密度と高透磁率を兼ね備え、高周
波における低鉄損失の鉄基軟磁性合金磁心を得ることが
できる。 【0029】 【実施例】図1は本発明の磁心の一実施例を示すもので
、この例の磁心1は環状をなすものであり、以下に示す
軟磁性合金から形成されている。 【0030】この磁心1を形成する軟磁性合金の1つと
して、次式で示される組成からなる高飽和磁束密度Fe
系軟磁性合金を使用することができる。 (Fe 1−a Co a)b Bx Ty T’z【
0031】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta
,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以上
の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方
を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、
a≦0.05、  b≦92原子%、  x=0.5〜
16原子%、  y=4〜10原子%、  z=4.5
原子%以下である。 【0032】また、磁心1を構成する軟磁性合金の1つ
として、次式で示される組成からなる高飽和磁束密度F
e系軟磁性合金を使用することができる。Fe b B
x Ty T’z 【0033】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以
上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両
方を含み、T’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Pt
からなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり
、b≦92原子%、  x=0.5〜16原子%、  
y=4〜10原子%、z=4.5原子%以下である。 【0034】更に前記磁心を構成する軟磁性合金の1つ
として、次式で示される組成からなる高飽和磁束密度F
e系軟磁性合金を使用することができる。 (Fe 1−a Q a)b Bx Ty 【0035
】但しQはCo,Niのいずれか、または、両方であり
、TはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
らなる群から選ばれた1種又は2種以上の元素であり、
且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含み、a≦0
.05、  b≦93原子%、  x=0.5〜8原子
%、 y=4〜9原子%である。 【0036】更にまた、前記磁心1を構成する軟磁性合
金の1つとして、次式で示される組成からなる高飽和磁
束密度Fe系軟磁性合金を使用することができる。Fe
 b Bx Ty  【0037】但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,T
a,Mo,Wからなる群から選ばれた1種又は2 種以
上の元素であり、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両
方を含み、 b≦93原子%、 x=0.5〜8原子%
、  y=4〜9原子%である。 【0038】本発明の磁心1に用いる軟磁性合金におい
て、非晶質相を得やすくするためには、非晶質形成能の
高いZr、Hfのいずれかを含む必要がある。またZr
、Hfは その一部を他の4A〜6A族元素のうち、T
i,V,Nb,Ta,Mo,Wと置換するこ とが出来
る。ここでCrを含めなかったのは、Crが他の元素に
比べ非晶質形成能が劣っているからであるが、Zr,H
fを適量添加したならば、更にCrを添加しても良いの
は勿論である。 【0039】Bには本発明の磁心1に用いる合金の非晶
質形成能を高める効果、および前記熱処理工程において
磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の生成を抑制する効
果があると考えられ、このためB添加は必須である。B
と同様にA1,Si,C,P等も非晶質形成元素として
一般に用いられており、これらの元素を添加した場合も
本発明に用いる合金と同一とみなすことができる。 【0040】本発明においては、Cu,Niおよびこれ
らと同族元素のうちから選ばれた少なくとも1種又は2
種以上の元素を4.5原子%以下、より好ましくは、O
.2〜4.5原子%配合すると、前記熱処理工程により
優れた軟磁気特性を得ることができる。又これらの元素
の中でもCuは特に好適である。 【0041】なお、前記T’成分の配合量zが0.2原
子%以下の場合は、熱処理後の冷却速度を速めることが
望ましい。図10は、Fe88Cu1B3Zr8なる組
成の軟磁性合金の試料を650℃に1時間加熱した後、
種々の冷却速度で冷却した後の透磁率を測定した結果を
示す、冷却速度と透磁率の関係のグラフである。このグ
ラフから、冷却速度を速めると透磁率が向上することが
分かる。前記T’成分が0.2原子%以下になると、透
磁率が低下する傾向があるが、前記のように冷却速度を
速めることによって、透磁率が低下する傾向を打ち消す
ことができる。 【0042】またT’成分である、Cu,Ni等の添加
により、軟磁気特性が著しく改善される機構については
明らかではないが、結晶化温度を示差熱分析法により測
定したところ、Cu,Ni等を 添加した合金の結晶化
温度は、添加しない合金に比べてやや低い温度であると
認められた。これは前記元素の添加により非晶質相が不
均一となり、その結果、非晶質相の安定性が低下したこ
とに起因すると考えられる。また不均一な非晶質相が結
晶化する場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき
不均一核生成するため、得られる組織が微細結晶粒組織
となると考えられる。また特にFeに対する固溶度が著
しく低い元素であるCuの場合、相分離傾向があるため
、加熱によりミクロな組成ゆらぎが生じ、非晶質相が不
均一となる傾向がより顕著になると考えられ、組織の微
細化に寄与するものと考えられる。 【0043】以上の観点からCu及びその同族元素、N
iおよびPd,Pt以外の元素でも結晶 化温度を低下
させる元素には同様の効果が期待できる。またCuのよ
うにFeに対する固溶限が小さい元素にも同様の効果が
期待できる。 【0044】以上、本発明に用いる高飽和磁束密度Fe
系軟磁性合金に含まれる合金元素の 限定理由を説明し
たが、これらの元素以外でも耐食性を改善するために、
Cr,Ruその他の白金族元素を添加することも可能で
あり、また、必要に応じて、Y,希土類元素,Zn,C
d,Ga,In,Ge,Sn,Pb,As,Sb,Bi
,Se,Te,Li,Be,Mg,Ca,Sr,Ba等
の元素を添加することで磁歪を調整することもできる。 その他、H, N,O,S等の不可避的不純物について
は所望の特性が劣化しない程度に含有していても本発明
に用いる高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金の組成と同一
とみなすこ とができるのは勿論である。 【0045】本発明に用いる合金の1つにおけるFe,
Co量のbは、92原子%以下である。これは、bが9
2原子%を越えると高い透磁率が得られないためである
が、飽和 磁束密度10kG以上を得るためには、bが
75原子%以上であることがより好ましい。なお、元素
T’zを含有しない合金系においては、Fe,Co,N
i量のbは、高い飽和磁束密度を得るために93原子%
以下とする。 【0046】前記合金は、前記組成の非晶質合金あるい
は非晶質相を含む結晶質合金を溶湯から急冷することに
より得る工程と、この工程で得られたものを加熱し微細
な結晶粒を析出させる工程によって通常得ることができ
る。 【0047】溶湯から急冷する場合、溶湯をノズルから
回転冷却ロールの表面に吹き出して急冷する場合は、薄
帯(リボン)が得られるので、この薄帯を適当な形状に
プレス打ち抜きして積層すれば磁心が得られる。また、
前記溶湯から公知のアトマイズ法などによって軟磁性合
金粉末を得、この粉末を成形し、焼結して磁心を形成す
ることもできる。 【0048】そして、得られた磁心を必要に応じて熱処
理するならば、磁気特性に優れた磁心が得られる。 【0049】以下に本発明の磁心Dを製造する場合にお
いて、合金粉末から磁心を製造する方法について詳細に
説明する。 【0050】本発明において、磁心1を製造するには、
前記組成の合金を粉末化してから所望の磁心形状に合わ
せて軟磁性合金粉末を圧密し、焼結して得ることができ
る。 【0051】本発明に用いる高飽和磁束密度Fe系軟磁
性合金粉末を得るには、先に本発明 者らが特許出願し
ている組成の軟磁性合金の溶湯からアトマイズ法などに
よって急冷して粉末化する工程と、前記工程で得られた
ものを加熱し微細な結晶粒を析出させる熱処理工程とに
よって通常得ることが出来る。なお、前記軟磁性合金粉
末を製造する場合、先に本発明者らが特許出願している
合金を作製し、この合金を結晶化温度以上に加熱し、脆
化させた後に粉砕して得ることもできる。 【0052】ここで例えば、アトマイズ法によって磁性
合金粉末を得るには、前記組成の合金材料を高周波溶解
炉などを用いてルツボ内にて金属溶湯とし、ルツボ底部
に設けられた溶湯噴出用ノズルを通して流下、落下させ
る。そして、噴出用ノズルから落下する溶湯流に対して
、例えば円形状に配置された多孔の噴霧化ノズルにより
、窒素ガスを所定の圧力で吹き付けて溶湯流を粉末化す
ることにより得ることができる。 【0053】また、前記組成のFe系軟磁性合金は、結
晶化温度以上に加熱することで脆く なることが本発明
者らの研究で判明しているので、この特性を利用して粉
末化することもできる。前記組成の合金を550〜65
0℃の温度範囲に加熱して脆化させ、この状態で粉砕し
、粒径を揃えることにより粉末化することもできる。 【0054】次に前記組成の合金を実際に製造し、得ら
れた軟磁性合金の磁気特性を測定した結果を示す。 【0055】以下の例に示す各合金は片ロール液体急冷
法により作成した。すなわち、1つの回転している鋼製
ロール上におかれたノズルより溶融金属をアルゴンガス
の圧力により前記ロール上に噴出させ、急冷して薄帯を
得る。以上のように作成した薄帯の幅は約15mmであ
り、厚さは約20〜40μmであった。 【0056】透磁率は、薄帯を加工し、外径10mm、
内径5mmのリング状とし、これを積み重ねたものに巻
線し、インダクタンス法により測定した。この透磁率(
μ)の測定条件は10mOe,1KHzとした。 【0057】まず、本発明合金の磁気特性および構造に
およぼす熱処理の効果について本発明合金の一つである
Fe86 Zr7 B6Cu1合金を例にとって以下に
説明する。 なお、昇温速度毎分10℃の示差熱分析により求めたF
e86 Zr7 B6 Cu1 合金の結晶化開始温度
は503℃であった。 【0058】図2は、Fe86 Zr7 B6 Cu1
 合金の実効透磁率に及ぼす焼純(各温度で1時間保持
後水焼入れ)の効果を示す。 【0059】図2より急冷状態(RQ)における本合金
の実効透磁率は、Fe基非晶質合金程度の低い値を示す
が、500〜620℃の焼鈍により、急冷状態の10倍
程度の高い値に増加している。ここで600℃熱処理後
の厚さ約20μmの試料について透磁率の周波数依存を
調べたところ1KHzで32000、10KHzで25
600、更に100KHzで8330と、高い測定周波
数においても優れた軟磁気特性を示した。また、透磁率
に及ぼす冷却速度の影響を調べたところ、600℃で1
時間保持後、水焼入れにより急冷した本合金の実効透磁
率32000に対し、空冷した場合、その値は1800
0となり、熱処理後の冷却速度も重要であり、100℃
/分以上の冷却速度で急冷することが好ましい。 【0060】よって本発明に用いる合金の磁気特性は最
適な熱処理条件を適当に選ぶことにより調整することが
でき、また磁場中焼鈍などにより磁気特性を改善するこ
とができることが明らかになった。 【0061】また、Fe86 Zr7 B6 Cu1 
合金の熱処理前後の構造の変化をX線回折法により調べ
、熱処理後の組織を透過電子顕微鏡を用いて観察し、結
果をそれぞれ図3と図4に示す。 【0062】図3より、急冷状態では非晶質に特有のハ
ローな回折図形が、熱処理後には体心立方晶に独特の回
折図形がそれぞれ認められ、本合金の構造が熱処理によ
り、非晶質から体心立方晶へと変化したことがわかる。 そして図4より、熱処理後の組織が、粒径約100オン
ク゛ストローム程度の微結晶から成ることがわかる。ま
た、Fe86 Zr7 B6 Cu1 合金について熱
処理前後の硬さの変化を調べたところ、ビッカース硬さ
で急冷状態の740DPNから650℃熱処理後には1
390DPNと従来材料にない高い値まで増加した。 【0063】以上のごとく前記組成の合金は、前述の組
成を有する非晶質合金を熱処理により結晶化させ、超微
細結晶粒を主とする組織を得ることにより、高飽和磁束
密度でかつ軟磁気特性に優れ、更に高い硬さと高い熱安
定性を有する優れた特性を得ることができることが明ら
かである。 【0064】次に前記の如く得られた合金を粉末化する
場合について説明する。前記の合金は強度が高く堅いの
で、そのままの状態では粉砕して粉末化することは難し
い。よって、前記の如く得られた合金を500℃に加熱
して脆化させた状態でボールミルやアトライタなどの粉
砕装置により粉砕する。この操作によって粒径1〜10
0μm程度の軟磁性合金粉末を得ることができる。 【0065】次にこの軟磁性合金粉末を用いて磁心を製
造する場合について説明する。まず、図5に示すように
、プレス装置Pの上型PUと下型PLとによって、軟磁
性合金粉末Aを所定形状のコアBに一次成形する。この
一次成形コアBは、次に図6に示す加圧カプセル10内
に圧力媒体粉末Cとともに封入される。図面では、維持
成形コアBを1つのみ描いているが、実際には多数の一
次成形コアBが同時に加圧カプセル10内に封入される
。 【0066】加圧カプセル10は、有底筒状の本体11
と、この本体11の上部に被せる蓋体12とからなり、
蓋体12には脱気パイプ13が開口している。この加圧
カプセル10内には、蓋体12を外した状態にいて、本
体11内に一次成形コアBと圧力媒体粉末Cが充填され
る。次いで、本体11の上部内面に一次成形コアBおよ
び圧力媒体粉末Cが通過しないメッシュ板14を被せて
、本体11と蓋体12を溶接し、本体11と蓋体12間
の隙間をなくす。そして脱気パイプ13を潰して、内部
に一次成形コアBおよび圧力媒体粉末Cを封入した密閉
されたワーク30(加圧カプセル10)を完成する。 【0067】なお脱気する際には、加圧カプセル10を
加熱炉Fに入れ、約500℃〜600℃前後の温度を加
える。これはガス抜きをより完全にするための加熱で、
この種の脱気では常套的に行なわれる。圧力媒体粉末C
は、軟磁性合金粉末A(一次成形コアB)と化学反応し
ない材料から選定して用いる。ここで一次成形コアBが
前記組成のFe系軟磁性合金粉末であるので、ZrO2
粉末を用いると良い。この他、MgO粉末を用いても良
い。 【0068】図7は、このワーク30を高温高圧下で処
理する熱間静水圧プレス20の概念図で、高圧円筒21
の上下が上蓋22と下蓋23で開閉および閉塞可能とな
っている。上蓋22には高圧ガス導入管24が開口して
いる。高圧円筒21内には、ワーク30の支持台25と
、ヒータ26とが位置しており、高圧円筒21とヒータ
26の間には、断熱層27が設けられている。 【0069】ワーク30は、この熱間静水圧プレスの支
持台25上に載置され、ヒータ26によって高温に熱せ
られると同時に、導入管24から導入される圧力媒体と
しての高圧ガスにより、等方性の圧力を受ける。その結
果、ワーク30(カプセル1 0)は全体が圧縮変形さ
れる。この圧縮変形の過程において、加圧カプセル10
 内の一次成形コアBは、圧力媒体粉末Cを介して等方
圧力を受ける。また、ヒータ26による熱も、圧力媒体
粉末Cを介して受けるために、一次成形コアBが急激に
加熱されることがなく、急激加熱に起因する一次成形コ
アBの割れや変形を生じることがない。即ち、一次成形
コアBは均等に圧縮され、内部の気泡が除かれて最終的
に焼結され、磁心Dが完成する。この磁心Dは、一次成
形コアBに比して縮むため、縮み代を考慮して一次成形
コアBの形状を決定しておく。 【0070】以上のようにして圧縮変形されたワーク3
0は、熱間静水圧プレスから取り出して後、図8に示す
ようにその本体11および蓋体12を壊して、内部の完
成された磁心Dを取り出す。磁心Dはプレス装置Pによ
って予め所定の形状に加工されているために、磁気ヘッ
ドコアとしてそのまま使用することができる。 【0071】また、以上の熱間静水圧プレスにおいて、
一次成形コアBは、これと化学反応しない圧力媒体粉末
Cで覆われるため、完成された磁気ヘッドコアDに、性
質の変化を生じるおそれはない。 【0072】なお、以上の説明においては、環状の磁心
Dを製造する場合について説明したが、プレス装置Pの
型の形状を適宜変更することで、環状の磁心Dに限らず
、図9に示す構造のドラム形磁心D2を形成することも
容易であり、棒状あるいは板状などのアンテナ用磁心、
多孔型磁心、ねじ型磁心、カップ型磁心、つぼ型磁心、
あるいはその他の形状の磁心を製造できることも勿論で
ある。 【0073】次に、図5ないし図8を基に先に説明した
方法によって環状の磁心を製造し、この磁心の磁気性能
を測定した。 【0074】Fe系軟磁性合金粉末として、Fe89 
Zr8 B2 Cu1 なる組成の合金を結晶化 温度
以上に加熱して粉砕することにより得たものを用いた。 この軟磁性合金粉末をプレス装置によって環状になるよ
うに一次成形した。次にこの一次成形品に、真空を含む
不活性ガス雰囲気中において500〜600℃で予備焼
結を行った。次いでこの一次成形品を温度600℃、圧
力5000気圧、焼結時間24時間に設定して熱間静水
圧プレスを行った。 【0075】得られた磁心の透磁率(μe)(1kHz
)は8000、保磁力は0.2Oe、飽和磁束密度は1
6KGを示し、優れた磁気特性を発揮することを確認で
きた。 【0076】また、前記と同等の方法により得られた複
数の磁心について、U関数計により磁束密度の波高値B
mが2kG、周波数fが100kHzまで鉄損W2/1
00kを測定し、その結果を表1に示す。各磁心を構成
する軟磁性合金の組成は、表1に示すとうりである。 【0077】 【表1】 【0078】表1から明らかなように、本発明に用いる
特定組成の合金からなる磁心の鉄損が小さいことが判明
した。 【0079】以上のことから本発明の磁心は、高周波コ
イル用、可飽和リアクトル用などとして好適であること
が明らかになった。 【0080】 【発明の効果】 以上説明したように本発明は、特定の
組成の軟磁性合金から形成するので、高飽和磁束密度と
高透磁率を併せ持ち、高い機械特性と熱安定性を備えた
優れた磁心を得ることができる効果がある。従って、本
発明の磁心は、高周波コイル用、可飽和リアクトル用な
どとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図
【図2】Fe系
軟磁性合金の一例の透磁率と熱処理温度の関係を示すグ
ラフ
【図3】前記合金の熱処理前後の構造変化を示すX線回
折図形を示すグラフ
【図4】前記合金の熱処理後の組織を示す顕微鏡写真の
模式図
【図5】プレス装置により軟磁性合金粉末から一次成形
コアを形成する模様を示す模式図
【図6】(A)ないし(C)は一次成形コアを加圧カプ
セル内に入れる様子を示す断面図
【図7】図6の加圧カプセルを高温下で加圧する熱間静
水圧プレスの概念図
【図8】加圧カプセル内から磁気ヘッドコアを取り出す
状態を示す模式図
【図9】ドラム型の磁心を示す斜視図
【図10】冷却速度と透磁率の関係を示すグラフ
【符号の説明】
A  軟磁性合金粉末 B  一次成形コア C  圧力媒体粉末 D  磁心 D2   磁心 10  圧力カプセル 11  本体 12  蓋体 13  脱気パイプ 20  熱間静水圧プレス 21  高圧円筒 24  高圧ガス導入管 26  ヒータ 30  ワーク(加圧カプセル)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  次式で示される組成からなる高飽和磁
    束密度Fe系軟磁性合金からなることを特徴とするFe
    基軟磁性合金磁心。 (Fe 1−a Co a)b Bx Ty T’z但
    しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wか
    らなる群から選ばれた1種又は2 種以上の元素であり
    、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含み、T’
    はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptからなる群から
    選ばれた1種又は2種以上の元素であり、a≦0.05
    、 b≦92原子%、  x=0.5〜16原子%、 
     y=4〜10原子%、  z=4.5原子%以下であ
    る。
  2. 【請求項2】  次式で示される組成からなる高飽和磁
    束密度Fe系軟磁性合金からなることを特徴とするFe
    基軟磁性合金磁心。 Fe b Bx Ty T’z 但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
    からなる群から選ばれた1種又は2 種以上の元素であ
    り、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含み、T
    ’はCu,Ag,Au,Ni,Pd,Ptからなる群か
    ら選ばれた1種又は2種以上の元素であり、b≦92原
    子%、 x=0.5〜16原子%、  y=4〜10原
    子%、  z=4.5原子%以下である。
  3. 【請求項3】  次式で示される組成からなる高飽和磁
    束密度Fe系軟磁性合金からなることを特徴とするFe
    基軟磁性合金磁心。 (Fe 1−a Q a)b Bx Ty 但しQはC
    o,Niのいずれか、または、両方であり、TはTi,
    Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,Wからなる群から
    選ばれた1種又は2種以上の元素であり、且つ、Zr,
    Hfのいずれか、又は両方を含み、 a≦0.05、 
     b≦93原子%、  x=0.5〜8原子%、 y=
    4〜9原子%である。
  4. 【請求項4】  次式で示される組成からなる高飽和磁
    束密度Fe系軟磁性合金からなることを特徴とするFe
    基軟磁性合金磁心。 Fe b Bx Ty  但しTはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W
    からなる群から選ばれた1種又は2 種以上の元素であ
    り、且つ、Zr,Hfのいずれか、又は両方を含み、b
    ≦93原子%、   x=0.5〜8原子%、  y=
    4〜9原子%である。
JP3065614A 1990-11-27 1991-03-06 Fe基軟磁性合金磁心 Pending JPH04213804A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3065614A JPH04213804A (ja) 1990-11-27 1991-03-06 Fe基軟磁性合金磁心

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32451890 1990-11-27
JP2-324518 1990-11-27
JP3065614A JPH04213804A (ja) 1990-11-27 1991-03-06 Fe基軟磁性合金磁心

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH04213804A true JPH04213804A (ja) 1992-08-04

Family

ID=26406752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3065614A Pending JPH04213804A (ja) 1990-11-27 1991-03-06 Fe基軟磁性合金磁心

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH04213804A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009541986A (ja) * 2006-06-19 2009-11-26 ファキュウムシュメルゼ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー 磁石心及びその製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5672153A (en) * 1979-11-14 1981-06-16 Takeshi Masumoto Amorphous iron alloy of high permeability
JPH01242755A (ja) * 1988-03-23 1989-09-27 Hitachi Metals Ltd Fe基磁性合金

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5672153A (en) * 1979-11-14 1981-06-16 Takeshi Masumoto Amorphous iron alloy of high permeability
JPH01242755A (ja) * 1988-03-23 1989-09-27 Hitachi Metals Ltd Fe基磁性合金

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009541986A (ja) * 2006-06-19 2009-11-26 ファキュウムシュメルゼ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー 磁石心及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7622011B2 (en) Spherical particles of Fe base metallic glass alloy, Fe base sintered alloy soft magnetic material in bulk form produced by sintering the same, and method for their production
JP5305126B2 (ja) 軟磁性粉末、圧粉磁心の製造方法、圧粉磁心、及び磁性部品
JP6088192B2 (ja) 圧粉磁芯の製造方法
JP2713363B2 (ja) Fe基軟磁性合金圧粉体及びその製造方法
JPH03219009A (ja) Fe基軟磁性合金の製造方法
KR102423591B1 (ko) 연자성 합금 및 자성 부품
US5509975A (en) Soft magnetic bulky alloy and method of manufacturing the same
CN110600218B (zh) 软磁性合金和磁性部件
JP2016104900A (ja) 金属軟磁性合金と磁心、およびその製造方法
CN110033917B (zh) 软磁性合金及磁性部件
JPH0851010A (ja) 軟磁性合金圧密体とその製造方法および軟磁性合金圧密体形成用コーティング粉末
JP2868121B2 (ja) Fe基磁性合金磁心の製造方法
JP6338004B1 (ja) 軟磁性合金および磁性部品
JPH05335129A (ja) Fe基軟磁性合金粉末およびその製造方法
EP0306599A2 (en) Method and apparatus for producing magnetically anisotropic Nd-Fe-B magnet material
JP2812573B2 (ja) 磁気ヘッド
JP2925349B2 (ja) Fe基軟磁性合金磁心
JPH04213804A (ja) Fe基軟磁性合金磁心
JP3534218B2 (ja) Fe基軟磁性金属ガラス焼結体の製造方法
JPH0768604B2 (ja) Fe基磁性合金
JPH04272104A (ja) 高飽和磁束密度Fe系軟磁性合金圧粉体
JPH04289152A (ja) Fe系軟磁性合金圧粉体およびFe系軟磁性合金粉末の製造方法およびFe系軟磁性合金圧粉体の製造方法
JP2740692B2 (ja) 金 型
JPH08337839A (ja) 軟磁性合金圧密体およびその製造方法
JPH04289503A (ja) 磁気ヘッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 19980707