JP2015164174A - 電子部品および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性を有する粉粒体およびバインダーに基づく成分を含む成形体からなる部分を備え、端子間距離が4mm以下の電子部品であって、成形体からなる部分における、下記式(1)により定義される空隙パラメータP1は、0.3以上0.8以下であることを特徴とする電子部品。
P1=Rv/(Rv+Rb) (1)
ここで、Rv(単位:体積%)は、成形体からなる部分の成形加工後の空隙率であり、Rb(単位:体積%)は、成形体からなる部分の成形加工後のバインダーに基づく成分が占める体積率である。
【選択図】図8
Description
P1=Rv/(Rv+Rb) (i)
ここで、Rv(単位:体積%)は、前記成形体からなる部分の成形加工後の空隙率であり、Rb(単位:体積%)は、前記成形体からなる部分の成形加工後の前記バインダー系成分が占める体積率である。
(D90−D10)/D50≦2.0 (ii)
ここで、D10、D50およびD90は、それぞれ、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された粉粒体の粒度分布における、積算値10体積%に対応する粒径(単位:μm)、積算値50体積%に対応する粒径(単位:μm)および積算値90体積%に対応する粒径(単位:μm)である。
上記の関係を満たす場合には、磁性を有する粉粒体同士の接触が生じにくくなり、絶縁性が向上しやすくなる。
図1は、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子1の全体構成を一部透視して示す斜視図である。図1では、インダクタンス素子1の下面(実装面)が上向きの姿勢で示されている。図2は、図1に示すインダクタンス素子1を実装基板10上に実装した状態を示す部分正面図である。
実装基板10の表面には外部回路と導通する導体パターンが形成され、この導体パターンの一部によって、インダクタンス素子1を実装するための一対のランド部11が形成されている。
本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子1は、磁性を有する粉粒体を含む成形体からなる部分(成形体部分)を備える。図1に示されるインダクタンス素子1では、圧粉コア3が成形体部分に相当する。
本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)の成形体部分(圧粉コア3)は、次に定義される空隙率が5体積%以上30体積%以下であることが好ましい場合がある。
本明細書において、「空隙パラメータP1」とは、下記式(1)により定義される。空隙パラメータP1は、成形加工後の成形体部分、すなわち、成形製造物における磁性を有する粉粒体が占める領域以外の領域にどの程度空隙部が存在しているかを示すパラメータである。
P1=Rv/(Rv+Rb) (1)
本発明の一実施形態に係る電子部品はインダクタンス素子であってもよい。本発明の一実施形態に係る電子部品がインダクタンス素子である場合(具体例がインダクタンス素子1である。)には、インダクタンス素子が備えるコア(具体例が圧粉コア3である。)は、周波数100kHzのときの比透磁率が20以上であることが好ましい。また、周波数100kHz、最大磁束密度100mTの条件で測定されたコアロスが1500kW/m3以下であることが好ましい。あるいは、100kHz、最大磁束密度50mTの条件で測定されたコアロスが120kW/m3以下であることが好ましい。コアがこのような磁気特性を有していることにより、本発明の一実施形態に係る電子部品はインダクタンス素子として有効に機能することが可能となる。本発明の一実施形態に係る電子部品がインダクタンス素子としてより有効に機能することを可能とする観点から、インダクタンス素子が備えるコアは、周波数100MHzのときの比透磁率が、22以上であることが好ましく、25以上であることが特に好ましい。同様の観点から、インダクタンス素子が備えるコアは、周波数100kHz、最大磁束密度100mTの条件で測定されたコアロスが、1500kW/m3以下であることが好ましく、800kW/m3以下であることが特に好ましい。あるいは、インダクタンス素子が備えるコアは、周波数100kHz、最大磁束密度50mTの条件で測定されたコアロスが、100kW/m3以下であることが好ましく、90kW/m3以下であることが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る電子部品は、端子間距離が4mm以下である。このように端子間距離が小さくなると、端子間に位置する成形体部分の直流抵抗(絶縁抵抗)が低下しやすくなる。この抵抗値が低くなると、電子部品に求められる特性に影響を与える可能性が高まる。たとえば、電子部品がインダクタンス素子である場合には、成形体部分(コア)の直流抵抗(絶縁抵抗)が低下することにより、ノイズ抑制や整流、平滑といった、インダクタンス素子に求められる機能を果たしにくくなる可能性が高まる。しかしながら、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)は、成形体部分(コア3)の空隙パラメータP1が上記の範囲であることからその比抵抗が低下しにくく、成形体部分(コア3)の絶縁性に優れる。したがって、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)は、サイズが小さい場合であっても、求められる機能を適切に果たすことができる。
P2=(D90−D10)/D50≦2.0 (2)
本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)の成形体部分(圧粉コア3)の空隙率や空隙パラメータP1の制御方法は限定されない。成形体部分(圧粉コア3)の製造過程を変化させることにより上記の空隙率や空隙パラメータP1を制御することができる。
本発明の一実施形態に係る電子機器は、本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)を実装したものである。本発明の一実施形態に係る電子部品(インダクタンス素子1)は、サイズが小さくても、成形品部分(圧粉コア3)の機械特性や絶縁性が低下しにくいため、成形体部分を製造する際、電子部品として製造する際、電子機器に実装する際、さらに電子機器として使用する際などにおいて、破損などの問題が生じにくく、また絶縁破壊の問題も生じにくい。したがって、本発明に係る電子部品を実装した電子機器は、サイズが小さい電子部品を実装しているので、電子機器を小型化・軽量化することが可能である。しかも、そのように小型化・軽量化された場合であっても、電子部品に由来する不良が生じにくく、動作安定性に優れる。
実施例1
(実施例1−1)
水アトマイズ法を用いて、Fe74.43at%Cr1.96at%P9.04at%C2.16at%B7.54at%Si4.87at%なる組成になるように秤量して得られた非晶質軟磁性粉末を軟磁性粉末として作製した。得られた軟磁性粉末の粒度分布は、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて体積分布で測定した。その結果、平均粒径(D50)は10.6μmであった。
実施例1−1と同様の製造方法であるが、実施例1−1のスラリー調製においてバインダーの配合量を、下記の・BR>謔、に変更した製造方法を実施することにより、表1に示されるように、実施例1−1において製造したコアとは空隙率および空隙パラメータP1が異なるコアを製造した。
実施例1−2:3質量部
実施例1−3:4質量部
実施例1−4:5質量部
実施例1−5:6質量部
Rv={1−(m1/ρ1+m2/ρ2)/V}×100
上記の算出にあたり、潤滑剤は熱処理中に全量揮発したと仮定した。
実施例1において製造したコアについて、上記の空隙率Rvと同様に、バインダー系成分の体積含有率Rb(単位:%)を、下記式に基づき算出した。
Rb=(m2/ρ2)/V×100
バインダー系成分が占める体積率Rbおよび空隙率Rvを用いて、下記式に基づき、空隙パラメータP1を算出した。
P1=Rv/(Rv+Rb)
空隙パラメータP1は、成形加工後の成形体部分であるコアにおける、軟磁性粉末が占める領域以外の領域の中で空隙部が占める割合を示している。
(実施例2−1)
実施例1と同様にして調製した軟磁性粉末100質量部、熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂および熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂を含む樹脂系材料を含有するバインダー2質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0.3質量部を溶媒としての水に混合して、コアの原材料としてのスラリーを得た。
実施例2−1と同様の製造方法であるが、原材料としてのスラリーにおけるバインダー含有量を変化させること、バインダーの組成を変化させること、および成形面圧を変化させることの少なくとも一つを行った製造方法を実施することにより、表2に示されるように、実施例2−1において製造したコアとは空隙率が異なるコアを製造した。
以下に各実施例における製造条件の変更点をまとめた。
実施例2−5から2−7:実施例2−2から2−4のそれぞれについてバインダー組成を変更した。
実施例2−8:実施例2−1の成形面圧を変更した。
実施例2−9および2−10:実施例2−8のバインダー含有量を変更した。
実施例2−11から2−15:実施例2−8のそれぞれについてバインダー組成を変更した(実施例2−14は実施例2−8と同一条件であった。)。
実施例2−16から2−19:実施例2−12から2−15のそれぞれについてバインダーに含有される熱可塑性樹脂種を変更した。
実施例2−20:バインダーを、実施例2−16から2−19で使用した種類の熱可塑性樹脂からなるバインダーに変更した。
実施例1と同様であるが、平均粒径が5〜6μmとなるように調製された非晶質軟磁性粉末からなる軟磁性粉末100質量部、熱可塑性樹脂であるアクリル系樹脂を70質量%および熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂を30質量%含む樹脂系材料を含有するバインダー2質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0.3質量部を溶媒としての水に混合して、コアの原材料としてのスラリーを得た。
実施例3−1と同様の製造方法であるが、原材料としてのスラリーにおけるバインダー含有量を変化させる製造方法を実施することにより、表3に示されるように、実施例3−1において製造したコアとは空隙率および空隙パラメータP1が異なるコアを製造した。
実施例により製造したコアの厚さ方向(2〜4mm)に15Vの直流電圧を印加して測定された抵抗値に基づき、比抵抗(単位:kΩ・mまたはMΩ・m)を算出した。算出結果を表1から表3に示す。また、表1から得られた比抵抗と空隙率との関係を図3に示す。実施例1および3について、各実施例で得られた比抵抗の最大値により当該実施例の他の比抵抗の値を規格化した相対値(比抵抗の相対値)と空隙パラメータP1との関係を図7に示す。
実施例により製造したコアについて、インピーダンスアナライザー(HP社製「4192A」)を用いて周波数100kHzのときの比透磁率(単位:無次元)を測定し、BHアナライザー(岩崎通信機社製「SY−8217」)を用いて周波数100kHz,最大磁束密度100mT(実施例1および2)または50mT(実施例3)の条件でコアロス(単位:kW/m3)を測定した。これらの測定結果を表1から3に示す。また、表1の測定結果から得られた比透磁率と空隙率との関係を図4に、同じく表1の測定結果から得られたコアロスと空隙率との関係を図5に示す。表1および表3の測定結果から得られた比透磁率と空隙パラメータP1との関係を図8に示す。実施例1および3について、各実施例で得られたコアロスの最大値により当該実施例の他のコアロスの値を規格化した相対値(コアロスの相対値)と空隙パラメータP1との関係を図9に示す。
実施例1および3において作製したコアについて、JIS Z2507:2000に準拠した試験方法により測定して、圧環強度(単位:N/mm2)を求めた。求めた圧環強度を表1に示す。また、表1に示される圧環強度と空隙率との関係を図6に示す。表1および3に示される圧環強度と空隙パラメータP1との関係を図10に示す。
実施例1において使用した非晶質軟磁性粉末と同様の製造方法により製造した非晶質軟磁性粉末からなる軟磁性粉末および実施例3において使用した軟磁性粉末のそれぞれについて、日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EX」を用いて体積分布で粒度分布を測定した。各実施例に係る軟磁性粉末の粒径の累積頻度(積算値)と粒径との関係を図11に示す。これらの測定から得られたD10、D50およびD90、ならびに上記式(2)に基づき算出したP2を表4に示す。
実施例1および3により製造したコアについて、成形加工後の状態(実施例3については熱処理前の状態)の表面を、二次電子顕微鏡を用いて、加速電圧を1.5kVとして倍率3000倍で観察した。粉体の輪郭検出を行って画像内の粉体の面積率を判定率(単位:%)として求める画像処理ソフト(キーエンス社製「XG Vision Editor(4.2.0041)」)を、得られた観察画像に対して自動解析モードにて適用した。得られた結果(判定率)と空隙パラメータP1との関係をプロットしたところ、比例関係で近似することが可能であって、その比例係数は54であった(図12)。
・空隙率を変化させることによりコアの電気特性、磁気特性および機械特性を制御することが可能である(表1および図3から図6)。
・空隙率を30%以下に設定することにより、コアの比抵抗を10kΩ・m以上にすることができる(表1および図3)。
・空隙率を5%以上に設定することにより、コアの比透磁率を20以上にすることができる(表1および図4)。
・空隙パラメータP1が小さくなると、すなわち、コアの軟磁性粉末以外の領域における空隙部が占める割合が小さくなると、圧環強度は強くなり比抵抗は向上するものの、コアロスや比透磁率が悪化するため、これらをバランスよく調整するには、この空隙パラメータP1を調整することが有効である。
・製造過程における各種因子を変化させて空隙率を調整することにより、コアの電気特性および磁気特性を制御することが可能である(表2)。
・空隙パラメータP1を変化させることによりコアの電気特性、磁気特性および機械特性を制御することが可能である(表3および図7から図10)。
・空隙パラメータP1を0.3以上に設定することにより、コアの比透磁率を20以上にすることができる(表3および図8)。
・空隙パラメータP1を0.8以下、より好ましくは0.75以下に設定することにより、コアの圧環強度を7MPa以上にすることができる。さらに好ましくは空隙パラメータP1を0.7以下とすることでコアの圧環強度を15MPa以上とすることができる。(表3および図10)。
・空隙パラメータP1を0.3以上に設定することにより、比抵抗やコアロスを低下させることが可能であり、空隙パラメータP1を0.45以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.6以上に設定すれば、比抵抗やコアロスをより安定的に低下させることが可能である(表3ならびに図7および9)。空隙パラメータP1における比抵抗やコアロスが低減するか否かのしきい値は、コアに含有されるバインダー系成分の組成の影響を受けている可能性がある。
・軟磁性粉末の粒度分布を変更することにより、比抵抗の値を変動させることができる(表1、表3、表4および図11)。具体的には、粒度分布幅が相対的に狭い軟磁性粉末を使用することにより、比抵抗の値を著しく増大させることができる。
・コアの成形加工後の状態の表面を観察して、粉体の輪郭検出を行って得られる粉体の判定率は空隙パラメータP1と比例関係にある(図12)。したがって、空隙パラメータP1の良好な範囲である0.3から0.8の範囲に基づき、上記の粉体の判定率が15%から50%の範囲にあれば、電気特性、磁気特性および機械特性に優れたコアを得ることが可能である。
2 空芯コイル(コイル)
3 圧粉コア
4 端子部
10 実装基板
12 半田層
40 接続端部(溶接部)
42a 第1曲折部(半田接合部)
42b 第2曲折部(半田接合部)
Claims (10)
- 磁性を有する粉粒体およびバインダー系成分を含む成形体からなる部分を備え、端子間距離が4mm以下の電子部品であって、
前記成形体からなる部分における、下記式(1)により定義される空隙パラメータP1が0.3以上0.8以下であることを特徴とする電子部品。
P1=Rv/(Rv+Rb) (1)
ここで、Rv(単位:体積%)は、前記成形体からなる部分の成形加工後の空隙率であり、Rb(単位:体積%)は、前記成形体からなる部分の成形加工後の前記バインダー系成分が占める体積率である。 - 前記磁性を有する粉粒体を含む成形体からなる部分と同材質からなる部材に対して、測定電極間距離を2〜4mmとして、15Vの直流電圧を印加して測定された抵抗値に基づき算出された比抵抗が、10kΩ・m以上である、請求項1に記載の電子部品。
- 前記電子部品は、前記磁性を有する粉粒体を含む成形体からなる部分をコアとするインダクタンス素子である、請求項1または2に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分は、周波数100kHzのときの比透磁率が20以上である、請求項3に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分は、周波数100kHz、最大磁束密度100mTの条件で測定されたコアロスが1500kW/m3以下である、請求項3または4に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分は、周波数100kHz、最大磁束密度50mTの条件で測定されたコアロスが120kW/m3以下である、請求項3または4に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分は、前記磁性を有する粉粒体およびバインダーを含む原材料を成形するにあたり、前記原材料に対する前記バインダーの含有量を変化させることにより、前記空隙パラメータP1が調整されたものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分の成形加工後の表面を、二次電子顕微鏡を用いて加速電圧を1.5kVとして観察倍率3000倍で観察したときに、観察画像の粉体の判定率が15%以上50%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子部品。
- 前記成形体からなる部分に含まれる前記磁性を有する粉粒体は、下記式(2)で示される粒度分布を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子部品。
(D90−D10)/D50≦2.0 (2)
ここで、D10、D50およびD90は、それぞれ、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された粉粒体の粒度分布における、積算値10体積%に対応する粒径(単位:μm)、積算値50体積%に対応する粒径(単位:μm)および積算値90体積%に対応する粒径(単位:μm)である。 - 請求項1から9のいずれか一項に記載される電子部品を実装した電子機器。
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