JP6944313B2 - 磁性粉末、圧粉コア、インダクタ、および電子・電気機器 - Google Patents

磁性粉末、圧粉コア、インダクタ、および電子・電気機器 Download PDF

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本発明は、磁性粉末、この磁性粉末を含有する圧粉コア、この粉末混合体を用いる圧粉コアの製造方法、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器に関する。本明細書において、「インダクタ」とは、圧粉コアを含む芯材およびコイルを備える受動素子であって、リアクトルの概念を含むものとする。
非特許文献1には、高圧の直流バスと蓄電装置間を絶縁してエネルギーをやりとりする高効率・高性能なDC−DCコンバータであるフェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータ(図1参照。)において、ZVS(Zero Voltage Switching)を実現するための1次共振インダクタLpのコアに、透磁率μの変化率が大きくなるように調整された磁性粉末を含有するダストコアを用いることで、高効率を維持しながら出力電圧特性を改善する方法が記載されている。
東海林 和、岩谷 一生、高舘 金四郎、宮崎 敏昌「ダストコアの透磁率変化に着目した絶縁型DC−DCコンバータの出力電圧特性改善」、平成26年電気学会全国大会、平成26年3月、4−019([全国大会]平成26年電気学会全国大会論文集 P29〜30)
上記のコアに求められたような透磁率μの変化率が大きいことを表すパラメータの具体的な一例として、μ5500/μ0が挙げられる。このパラメータは、コアについて100kHzの条件で測定された初透磁率μ0に対する直流印加磁場が5500A/mのときの比透磁率μ5500の比として定義される。本明細書において、このパラメータを透磁率比Rμともいう。透磁率比Rμが小さいほど、透磁率μの変化率が大きいことになる。
ダストコアにおける透磁率比Rμを小さくするための一手段として、ダストコアに含有される磁性粉末の粒径を大きくすることが挙げられる。しかしながら、一般的な傾向として、粒径を大きくすると鉄損における渦電流損に由来する成分が大きくなりやすい。このため、粒径が大きい磁性粉末を含有するダストコアを上記のフェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータの1次共振インダクタLpのコアとして用いると、直流から変換された交流の周波数が高い場合に、鉄損が大きくなる傾向があった。
本発明は、上記の事情を鑑み、透磁率比Rμが小さく鉄損が生じにくい圧粉コアを形成可能な磁性粉末を提供することを目的とする。本発明は、かかる磁性粉末を含有する圧粉コア、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器を提供することも目的とする。
上記課題を解決するために提供される本発明は、一態様として、100kHzの条件で測定された初透磁率μ0に対する直流印加磁場が5500A/mのときの比透磁率μ5500の比である透磁率比Rμが0.6以下となる圧粉コアを形成可能な磁性粉末であって、体積基準の粒度分布において、50%累積径D50が5.0μm以上17.5μm以下かつ標準偏差SDが2.5μm以上11μm以下であって、酸素濃度が0.15質量%以下であるFe基合金軟磁性粉末を備えることを特徴とする磁性粉末を提供する。磁性粉末が上記の特徴を備えることにより、この磁性粉末を含有する圧粉コアについて、透磁率比Rμを0.6以下としつつ鉄損Pcvを高まりにくくすることが容易となる。
Fe基合金軟磁性粉末のFe基合金の種類は限定されない。Fe−P−C系合金であることやFe−Si−B系合金であることが好ましい場合がある。
前記Fe基合金軟磁性粉末の主相は、非晶質であってもよいし、ナノ結晶質であってもよい。
本発明は、他の一態様として、上記の磁性粉末を含有する圧粉コアであって、前記透磁率比Rμが0.6以下であって、実効最大磁束密度Bmが100mTの条件で測定される鉄損Pcv(単位:kW/m)の周波数f(単位:kHz)依存性を、2つの常数κおよびκを用いて下記式(I)により表したときに、前記常数κが1.1×10−6kW/m/(kHz)/(mT)以下であることを特徴とする圧粉コアを提供する。
Pcv=κ×f×Bm1.6+κ×f×Bm (I)
このような構成を備える圧粉コアは、透磁率比Rμが0.6以下であって鉄損Pcvが高まりにくいため、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータの1次共振インダクタの構成要素として好適に使用されうる。
上記の圧粉コアは、絶縁性結着材をさらに含有していてもよい。
本発明は、別の一態様として、上記の圧粉コア、コイルおよび前記コイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備えるインダクタであって、前記圧粉コアの少なくとも一部は、前記接続端子を介して前記コイルに電流を流したときに前記電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されているインダクタを提供する。かかるインダクタは、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータの1次共振インダクタとして用いられることが好ましい。
本発明は、また別の一態様として、上記のインダクタが実装された電子・電気機器であって、前記インダクタは前記接続端子にて基板に接続されている電子・電気機器を提供する。前記インダクタはDC−DCコンバータを構成する部品の1つであることが好ましい。前記DC−DCコンバータは、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータであって、前記インダクタは1次共振インダクタであることが好ましい。
本発明により、透磁率比Rμが小さく鉄損が生じにくい圧粉コアを形成可能な磁性粉末が提供される。また、本発明により、かかる磁性粉末を含有する圧粉コア、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器も提供される。
フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータの一例を示す回路図である。 本発明の一実施形態に係る圧粉コアの形状を概念的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る圧粉コアを備えるインダクタの一種であるトロイダルコイルの形状を概念的に示す斜視図である。 本発明の別の一実施形態に係る圧粉コアを備えるインダクタであるインダクタンス素子の全体構成を一部透視して示す斜視図である。 図4に示すインダクタンス素子を実装基板上に実装した状態を示す部分正面図である。 実施例1−3に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。 実施例1−6に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。 実施例2−1に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。 実施例2−4に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。 表2から表5に示される結果に基づいて作成したグラフである。 表6から表9に示される結果に基づいて作成したグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。 透磁率比Rμと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。 常数κと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
1.磁性粉末
本発明の一実施形態に係る磁性粉末は、次に説明するFe基合金軟磁性粉末を含み、一例において、本発明の一実施形態に係る磁性粉末はFe基合金軟磁性粉からなる。Fe基合金軟磁性粉末とは、母合金がFe基合金である軟磁性材料の粉末体である。本発明の一実施形態に係る磁性粉末が含むFe基合金軟磁性粉末は、体積基準の粒度分布において、50%累積径D50が5.0μm以上18μm以下かつ標準偏差SDが2.5μm以上11μm以下である。50%累積径D50は、レーザ回折・散乱法により測定した体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算体積基準の粒度分布が50%となる粒径である。
Fe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50が5.0μm以上18μm以下であることにより、透磁率比Rμを小さくすることと渦電流損を生じにくくすることとを両立させることができる。透磁率比Rμを小さくすることと渦電流損を生じにくくすることとをより安定的に両立させる観点から、Fe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50は、5.0μm以上17.5μm以下であることまたは8μm以上18μm以下であることが好ましい場合があり、8μm以上17.5μm以下であることがより好ましい場合があり、8μm以上12μm以下であることが特に好ましい場合がある。
Fe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDが2.5μm以上11μm以下であることにより、透磁率比Rμを小さくすることと渦電流損を生じにくくすることとを両立させることができる。透磁率比Rμを小さくすることと渦電流損を生じにくくすることとをより安定的に両立させる観点から、Fe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDは、4μm以上11μm以下であることまたは2.5μm以上9μm以下であるが好ましい場合があり、4μm以上9μm以下であることがより好ましい場合がある。
Fe基合金軟磁性粉末に係るFe基合金の組成は、後述するように、Fe基合金軟磁性粉末を含む磁性粉末を含有する圧粉コアの透磁率比Rμが0.6以下である限り任意であり、Fe基合金軟磁性粉末の主相の組織も上記の透磁率比Rμの条件を満たす限り限定されない。
Fe基合金軟磁性粉末の主相は結晶質(Fe基合金軟磁性粉末について、一般的なX線回折測定により、材料種類を特定できる程度に明確なピークを有する回折スペクトルが得られることを意味する。)であってもよい。Fe基合金軟磁性粉末の主相が結晶質である場合のFe基合金の具体例として、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−V系合金、Fe−Al系合金、Fe−Si系合金、Fe−Si−Al系合金、カルボニル鉄および純鉄が挙げられる。
Fe基合金軟磁性粉末の主相は非晶質(Fe基合金軟磁性粉末について、一般的なX線回折測定により、材料種類を特定できる程度に明確なピークを有する回折スペクトルが得られないこと)であってもよい。Fe基合金軟磁性粉末の主相が非晶質である場合のFe基合金の具体例として、Fe−Si−B系合金、Fe−P−C系合金およびCo−Fe−Si−B系合金が挙げられる。
Fe−P−C系合金の具体例として、組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、2.2原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、0原子%≦t≦7原子%であるFe基非晶質合金が挙げられる。上記の組成式において、Ni,Sn,Cr,BおよびSiは任意添加元素である。
Niの添加量aは、0原子%以上6原子%以下とすることが好ましく、0原子%以上4原子%以下とすることがより好ましい。Snの添加量bは、0原子%以上2原子%以下とすることが好ましく、1原子%以上2原子%以下とすることがより好ましい。Crの添加量cは、0原子%以上2原子%以下とすることが好ましく、1原子%以上2原子%以下とすることがより好ましい。Pの添加量xは、8.8原子%以上とすることが好ましい場合もある。Cの添加量yは、5.8原子%以上8.8原子%以下とすることが好ましい場合もある。Bの添加量zは、0原子%以上3原子%以下とすることが好ましく、0原子%以上2原子%以下とすることがより好ましい。Siの添加量tは、0原子%以上6原子%以下とすることが好ましく、0原子%以上2原子%以下とすることがより好ましい。
Fe基合金軟磁性粉末の主相はナノ結晶質であってもよい。本明細書において「ナノ結晶」とは、結晶粒径が50nm程度またはそれ以下の結晶を意味する。ナノ結晶質の材料は、例えば非晶質の材料を熱処理することにより得ることができる。上記の非晶質Fe基合金の組成にCu,Ti,Nbなどの結晶化元素がさらに含まれている組成を有するFe基合金から、ナノ結晶質が得られやすい場合がある。
本発明の一実施形態に係る磁性粉末は、異なる組成・組織のFe基合金軟磁性粉末の混合体であってもよい。
本発明の一実施形態に係るFe基合金軟磁性粉末は、酸素濃度が0.15質量%以下である。酸素濃度は、Fe基合金軟磁性粉末をチャンバー内で溶解し、溶解に伴いチャンバー内に揮発した酸素を測定することによって計測することができる。Fe基合金軟磁性粉末の酸素濃度が0.15質量%以下であることにより、Fe基合金軟磁性粉末を含む磁性粉末を含有する圧粉コアの透磁率比を0.6以下にすることができる。透磁率比Rμをより安定的に低下させる観点からは、Fe基合金軟磁性粉末の酸素濃度は、0.12質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以下であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係るFe基合金軟磁性粉末の形状は任意である。Fe基合金軟磁性粉末の形状は球状であってもよいし非球状であってもよい。非球状である場合には、鱗片状、楕円球状、液滴状、針状といった形状異方性を有する形状であってもよいし、特段の形状異方性を有しない不定形であってもよい。不定形の粉体の例として、球状の粉体の複数が、互いに接して結合していたり、他の粉体に部分的に埋没するように結合していたりする場合が挙げられる。
Fe基合金軟磁性粉末の形状は、粉末を製造する段階で得られた形状であってもよいし、製造された粉末を二次加工することにより得られた形状であってもよい。前者の形状としては、球状、楕円球状、液滴状、針状などが例示され、後者の形状としては、鱗片状が例示される。
2.圧粉コア
本発明の一実施形態に係る圧粉コアは、上記の本発明の一実施形態に係る磁性粉末を含有する。図2は、本発明の一実施形態に係る圧粉コアの形状を概念的に示す斜視図である。圧粉コアの形状は特に限定されない。図2に示される圧粉コア1のように、ほぼリング状の形状を有していていもよい(トロイダルコア)。
透磁率比Rμ(100kHzの条件で測定された初透磁率μ0に対する直流印加磁場が5500A/mのときの比透磁率μ5500の比)が0.6以下である。透磁率比Rμが0.6以下であることにより、圧粉コア1は、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータの1次共振インダクタLpのコアとして好適に使用されうる。
本発明の一実施形態に係る圧粉コア1は、鉄損Pcv(単位:kW/m)の周波数f(単位:kHz)依存性に関し、次の関係を満たす。すなわち、実効最大磁束密度Bmが100mTの条件で測定される鉄損Pcvの周波数f依存性を、2つの常数κおよびκを用いて下記式(I)により表したときに、常数κが1.1×10−6kW/m/(kHz)/(mT)以下である。
Pcv=κ×f×Bm1.6+κ×f×Bm (I)
なお、本明細書において、常数κおよび常数κは、鉄損Pcvの40kHzから800kHzの範囲での周波数f依存性に基づいて、算出されるものとする。
常数κが上記の範囲内にあることにより、鉄損の構成要素の一つである渦電流損が生じにくくなり、DC−DCコンバータにおいて直流から交流に変換した際の周波数が高い場合であっても、鉄損Pcvが高まりにくい圧粉コア1となる。高周波においても鉄損Pcvが高まりにくいことをより安定的に実現する観点から、常数κは、1.0×10−6kW/m/(kHz)/(mT)以下であることが好ましい場合があり、9.0×10−7kW/m/(kHz)/(mT)以下であることがより好ましい場合がある。7.0×10−7kW/m/(kHz)/(mT)以下であることが特に好ましい場合がある。
本発明の一実施形態に係る圧粉コア1は、圧粉コア1に含有される磁性粉末を互いに絶縁した状態で固定することに寄与する材料である絶縁性結着材を含有してもよい。絶縁性結着材を構成する材料として、樹脂材料および樹脂材料の熱分解残渣(本明細書において、これらを「樹脂材料に基づく成分」と総称する。)などの有機系の材料、無機系の材料などが例示される。樹脂材料として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などが例示される。無機系の材料からなる絶縁性結着材として水ガラスなどガラス系材料が例示される。絶縁性結着材は一種類の材料から構成されていてもよいし、複数の材料から構成されていてもよい。絶縁性結着材は有機系の材料と無機系の材料との混合体であってもよい。
上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コア1の製造方法は特に限定されないが、次に説明する製造方法を採用すれば、圧粉コア1をより効率的に製造することが実現される。
本発明の一実施形態に係る圧粉コア1の製造方法は、次に説明する成形工程を備え、さらに熱処理工程を備えていてもよい。
(1)成形工程
まず、磁性粉末、および圧粉コア1において絶縁性結着材を与える成分を含む混合物を用意する。絶縁性結着材を与える成分(本明細書において、「バインダー成分」ともいう。)とは、絶縁性結着材そのものである場合もあれば、絶縁性結着材と異なる材料である場合もある。後者の具体例として、バインダー成分が樹脂材料であって、絶縁性結着材がその熱分解残渣である場合が挙げられる。
この混合物の加圧成形を含む成形処理により成形製造物を得ることができる。加圧条件は限定されず、バインダー成分の組成などに基づき適宜決定される。例えば、バインダー成分が熱硬化性の樹脂からなる場合には、加圧とともに加熱して、金型内で樹脂の硬化反応を進行させることが好ましい。一方、圧縮成形の場合には、加圧力が高いものの、加熱は必要条件とならず、短時間の加圧となる。
以下、混合物が造粒粉であって、圧縮成形を行う場合について、やや詳しく説明する。造粒粉は取り扱い性に優れるため、成形時間が短く生産性に優れる圧縮成形工程の作業性を向上させることができる。
(1−1)造粒粉
造粒粉は、磁性粉末およびバインダー成分を含有する。造粒粉におけるバインダー成分の含有量は特に限定されない。かかる含有量が過度に低い場合には、バインダー成分が磁性粉末を保持しにくくなる。また、バインダー成分の含有量が過度に低い場合には、熱処理工程を経て得られた圧粉コア1中で、バインダー成分の熱分解残渣からなる絶縁性結着材が、複数の磁性粉末を互いに他から絶縁しにくくなる。一方、上記のバインダー成分の含有量が過度に高い場合には、熱処理工程を経て得られた圧粉コア1に含有される絶縁性結着材の含有量が高くなりやすい。圧粉コア1中の絶縁性結着材の含有量が高くなると、圧粉コア1の磁気特性が低下しやすくなる。それゆえ、造粒粉中のバインダー成分の含有量は、造粒粉全体に対して、0.5質量%以上5.0質量%以下となる量にすることが好ましい。圧粉コア1の磁気特性が低下する可能性をより安定的に低減させる観点から、造粒粉中のバインダー成分の含有量は、造粒粉全体に対して、1.0質量%以上3.5質量%以下となる量にすることが好ましく、1.2質量%以上3.0質量%以下となる量にすることがより好ましい。
造粒粉は、上記の磁性粉末およびバインダー成分以外の材料を含有してもよい。そのような材料として、潤滑剤、シランカップリング剤、絶縁性のフィラーなどが例示される。潤滑剤を含有させる場合において、その種類は特に限定されない。有機系の潤滑剤であってもよいし、無機系の潤滑剤であってもよい。有機系の潤滑剤の具体例として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸が挙げられる。こうした有機系の潤滑剤は、熱処理工程において気化し、圧粉コア1にはほとんど残留していないと考えられる。
造粒粉の製造方法は特に限定されない。上記の造粒粉を与える成分をそのまま混錬し、得られた混練物を公知の方法で粉砕するなどして造粒粉を得てもよいし、上記の成分に分散媒(水が一例として挙げられる。)を添加してなるスラリーを調製し、このスラリーを乾燥させて粉砕することにより造粒粉を得てもよい。粉砕後にふるい分けや分級を行って、造粒粉の粒度分布を制御してもよい。
(1−2)加圧条件
圧縮成形における加圧条件は特に限定されない。造粒粉の組成、成形品の形状などを考慮して適宜設定すればよい。造粒粉を圧縮成形する際の加圧力が過度に低い場合には、成形品の機械的強度が低下する。このため、成形品の取り扱い性が低下する、成形品から得られた圧粉コア1の機械的強度が低下する、といった問題が生じやすくなる。また、圧粉コア1の磁気特性が低下したり絶縁性が低下したりする場合もある。一方、造粒粉を圧縮成形する際の加圧力が過度に高い場合には、その圧力に耐えうる成形金型を作成するのが困難になってくる。圧縮加圧工程が圧粉コア1の機械特性や磁気特性に悪影響を与える可能性をより安定的に低減させ、工業的に大量生産を容易に行う観点から、造粒粉を圧縮成形する際の加圧力は、0.3GPa以上2GPa以下とすることが好ましく、0.5GPa以上2GPa以下とすることがより好ましく、0.8GPa以上2GPa以下とすることが特に好ましい。
圧縮成形では、加熱しながら加圧を行ってもよいし、常温で加圧を行ってもよい。
(2)熱処理工程
成形工程により得られた成形製造物が本実施形態に係る圧粉コア1であってもよいし、次に説明するように成形製造物に対して熱処理工程を実施して圧粉コア1を得てもよい。
熱処理工程では、上記の成形工程により得られた成形製造物を加熱することにより、磁性粉末間の距離を修正することによる磁気特性の調整および成形工程において磁性粉末に付与された歪を緩和させて磁気特性の調整を行って、圧粉コア1を得る。
熱処理工程は上記のように圧粉コア1の磁気特性の調整が目的であるから、熱処理温度などの熱処理条件は、圧粉コア1の磁気特性が最も良好となるように設定される。熱処理条件を設定する方法の一例として、成形製造物の加熱温度を変化させ、昇温速度および加熱温度での保持時間など他の条件は一定とすることが挙げられる。
熱処理条件を設定する際の圧粉コア1の磁気特性の評価基準は特に限定されない。評価項目の具体例として圧粉コア1の鉄損Pcvを挙げることができる。この場合には、圧粉コア1の鉄損Pcvが最低となるように成形製造物の加熱温度を設定すればよい。鉄損Pcvの測定条件は適宜設定され、一例として、周波数100kHz、最大磁束密度100mTとする条件が挙げられる。
熱処理の際の雰囲気は特に限定されない。酸化性雰囲気の場合には、バインダー成分の熱分解が過度に進行する可能性や、磁性粉末の酸化が進行する可能性が高まるため、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気や、水素などの還元性雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。
3.インダクタ
本発明の一実施形態に係るインダクタは、上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コア1、コイルおよびこのコイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備える。ここで、圧粉コア1の少なくとも一部は、接続端子を介してコイルに電流を流したときにこの電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されている。
このようなインダクタの一例として、図3に示されるトロイダルコイル10が挙げられる。トロイダルコイル10は、リング状の圧粉コア(トロイダルコア)1に、被覆導電線2を巻回することによって形成されたコイル2aを備える。巻回された被覆導電線2からなるコイル2aと被覆導電線2の端部2b,2cとの間に位置する導電線の部分において、コイル2aの端部2d,2eを定義することができる。このように、本実施形態に係るインダクタは、コイルを構成する部材と接続端子を構成する部材とが同一の部材から構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインダクタは、上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コア1とは異なる形状を有する圧粉コアを備える。そのようなインダクタの具体例として、図4に示されるインダクタンス素子20が挙げられる。図4は、本発明の一実施形態に係るインダクタンス素子20の全体構成を一部透視して示す斜視図である。図4では、インダクタンス素子20の下面(実装面)が上向きの姿勢で示されている。図5は、図4に示すインダクタンス素子20を実装基板100上に実装した状態を示す部分正面図である。
図4に示すインダクタンス素子20は、圧粉コア3と、圧粉コア3の内部に埋め込まれたコイルとしての空芯コイル5と、溶接によって空芯コイル5に電気的に接続される接続端子としての一対の端子部4とを備えて構成される。
空芯コイル5は、絶縁被膜された導線を螺旋状に巻回して形成されたものである。空芯コイル5は、巻回部5aと巻回部5aから引き出された引出端部5b,5bとを有して構成される。空芯コイル5の巻き数は必要なインダクタンスに応じて適宜設定される。
図4に示すように、圧粉コア3において、実装基板に対する実装面3aに、端子部4の一部を収納するための収納凹部30が形成されている。収納凹部30は、実装面3aの両側に形成されており、圧粉コア3の側面3b,3cに向けて解放されて形成されている。圧粉コア3の側面3b,3cから突出する端子部4の一部が実装面3aに向けて折り曲げられて、収納凹部30の内部に収納される。
端子部4は、薄板状のCu基材で形成されている。端子部4は圧粉コア3の内部に埋設されて空芯コイル5の引出端部5b,5bに電気的に接続される接続端部40と、圧粉コア3の外面に露出し、前記圧粉コア3の側面3b,3cから実装面3aにかけて順に折り曲げ形成される第1曲折部42aおよび第2曲折部42bとを有して構成される。接続端部40は、空芯コイル5に溶接される溶接部である。第1曲折部42aと第2曲折部42bは、実装基板100に対して半田接合される半田接合部である。半田接合部は、端子部4のうちの圧粉コア3から露出している部分であって、少なくとも圧粉コア3の外側に向けられる表面を意味している。
端子部4の接続端部40と空芯コイル5の引出端部5bとは、抵抗溶接によって接合されている。
図5に示すように、インダクタンス素子20は、実装基板100上に実装される。
実装基板100の表面には外部回路と導通する導体パターンが形成され、この導体パターンの一部によって、インダクタンス素子20を実装するための一対のランド部110が形成されている。
図5に示すように、インダクタンス素子20においては、実装面3aが実装基板100側に向けられて、圧粉コア3から外部に露出している第1曲折部42aと第2曲折部42bが実装基板100のランド部110との間で半田層120にて接合される。
ハンダ付け工程は、ランド部110にペースト状の半田が印刷工程で塗布された後に、ランド部110に第2曲折部42bが対面するようにしてインダクタンス素子20が実装され、加熱工程で半田が溶融する。図4と図5に示すように、第2曲折部42bは実装基板100のランド部110に対向し、第1曲折部42aはインダクタンス素子20の側面3b,3cに露出しているため、フィレット状の半田層120は、ランド部110に固着するとともに、半田接合部である第2曲折部42bと第1曲折部42aの双方の表面に十分に広がって固着される。
4.電子・電気機器
本発明の一実施形態に係る電子・電気機器は、上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コアを備えるインダクタが実装されたものである。そのような電子・電気機器として、電源スイッチング回路、電圧昇降回路(コンバータ)、平滑回路等を備えた電源装置や小型携帯通信機器等が例示される。
こうした電子・電気機器の中でも、本発明の一実施形態に係る圧粉コアの特性を有効活用できる電子・電気機器として、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータが挙げられる。本発明の一実施形態に係る圧粉コアは、透磁率比Rμが小さいため、かかるDC−DCコンバータにおける1次共振インダクタの構成要素として用いられることが好適である。本発明の一実施形態に係る圧粉コアは渦電流損が生じにくいため、DC−DCコンバータにおいて直流から交流に変換されたときの周波数が高い場合であっても、鉄損Pcvが高くなりにくい。したがって、電子・電気機器が小型化・高速化(高周波化)した場合でも、従来と同様に高効率回路の実現が容易となり、電子・電気機器の消費電力を増加させないことが可能となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1から実施例5)
(1)Fe基合金軟磁性粉末の作製
組成的、組織的および形状的な観点で表1に示される特徴を有するFe基合金軟磁性粉末を用意した。
Figure 0006944313
なお、実施例1−1から実施例1−9に係るFe基合金および実施例2−1から実施例2−4に係るFe基合金は、いずれもFe−P−C系であるが、異なる組成の合金であった。
Fe基合金軟磁性粉末の作製は、水アトマイズ法などによって行われた。得られたFe基合金軟磁性粉末の酸素濃度(単位:質量%)は、粉末をチャンバー内で溶解して、チャンバー内に揮発した酸素の濃度を測定することにより行った。Fe基合金軟磁性粉末の粒度分布を日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3000EX」を用いて体積分布で測定して、体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算体積基準の粒度分布が50%となる粒径(50%体積累積径)D50(単位:μm)および体積分布における標準偏差SD(単位:μm)を求めた。Fe基合金軟磁性粉末をX線回折測定することにより、各実施例に係るFe基合金軟磁性粉末の組織(非晶質、結晶質など)を確認した。これらの結果を表1に示した。
いくつかの実施例に係るFe基合金軟磁性粉末については、体積基準の粒度分布を図示した。図6は、実施例1−3に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。図7は、実施例1−6に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。図8は、実施例2−1に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。図9は、実施例2−4に係るFe基合金軟磁性粉末の体積基準の粒度分布を示すグラフである。
(2)造粒粉の作製
上記の磁性粉末を97.2質量部、アクリル樹脂およびフェノール樹脂からなる絶縁性結着材を2〜3質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0〜0.5質量部を、溶媒としての水に混合してスラリーを得た。
得られたスラリーを乾燥後に粉砕し、目開き300μmのふるいおよび850μmのふるいを用いて、300μm以下の微細な粉末および850μm以上の粗大な粉末を除去して、造粒粉を得た。
(3)圧縮成形
得られた造粒粉を金型に充填し、面圧0.5〜1.5GPaで加圧成形して、外径20mm×内径12mm×厚さ6.8mmのリング形状を有する成形体を得た。
(4)熱処理
得られた成形体を、窒素気流雰囲気の炉内に載置し、炉内温度を、室温(23℃)から昇温速度40℃/分で最適コア熱処理温度である200〜400℃まで加熱し、この温度にて1時間保持し、その後、炉内で室温まで冷却する熱処理を行い、圧粉コアからなるトロイダルコアを得た。
(試験例1)透磁率の測定
実施例1−1、実施例1−3および実施例3により作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側40回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、インピーダンスアナライザー(HP社製「4192A」)を用いて、100kHzの条件で初透磁率μ0を測定した。具体的には、0.7A/m程度の直流印加磁場Hが生じている状態での比透磁率を初透磁率μ0として測定した。また、直流電流を重畳して700A/mから8000A/m程度の直流印加磁場Hが生じている状態での比透磁率μ’を測定した。結果を表2から4に示す。表2は実施例1−1に係る圧粉コアの測定結果である。表3は実施例1−3に係る圧粉コアの測定結果である。表4は実施例3に係る圧粉コアの測定結果である。これらの表における直流印加磁場Hが0.7A/m程度の場合における比透磁率μ’が初透磁率μ0である。
Figure 0006944313
Figure 0006944313
Figure 0006944313
図10は、表2から表4に示される結果に基づいて作成したグラフである。図10に示されるように、実施例1−1に係る圧粉コアや実施例1−3に係る圧粉コアでは、直流重畳した時の透磁率の低下が顕著であり、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータにおける1次共振インダクタの構成要素としてこれらの圧粉コアを用いることが好適であることが確認された。一方実施例3に係わる圧粉コアでは、直流重畳した時の透磁率の低下が少ないことがわかる。
(試験例2)鉄損Pcvの測定
実施例1−1、実施例1−3および実施例3により作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側15回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、BHアナライザー(岩崎通信機社製「SY−8218」)を用いて、実効最大磁束密度Bmを25mTから100mTの範囲に設定して、周波数が100kHzであるときの鉄損Pcv(単位:kW/m)を測定した。結果を表5から7に示す。表5は実施例1−1に係る圧粉コアの測定結果である。表6は実施例1−3に係る圧粉コアの測定結果である。表7は実施例3に係る圧粉コアの測定結果である。
Figure 0006944313
Figure 0006944313
Figure 0006944313
図11は、表5から表7に示される結果に基づいて作成したグラフである。図11に示されるように、実施例1−1に係る圧粉コアや実施例1−3に係る圧粉コアでは、実効最大磁束密度Bmが高くなっても鉄損Pcvが高まりにくく、これらの圧粉コアは良好な磁気特性を有していることが確認された。一方、実施例3に係わる圧粉コアでは、実効最大磁束密度Bmが高くなると、実施例1−1および実施例1−3に係わる圧粉コアに比較して鉄損Pcvが高くなっていることが確認できる。
(試験例3)透磁率比Rμの評価
実施例1−1から実施例1−9および実施例2−1から実施例2−4により作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側40回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、インピーダンスアナライザー(HP社製「4192A」)を用いて、100kHzの条件で初透磁率μ0を測定した。また、直流電流を重畳して直流印加磁場が5500A/mである状態での比透磁率μ5500を測定した。これらの測定結果から、透磁率比Rμ(=μ5500/μ0)を求めた。結果を表8および表9に示す。なお、実施例1−7については、初透磁率μ0など透磁率の測定を行わなかったため、透磁率比Rμの評価を行わなかった。
Figure 0006944313
Figure 0006944313
(試験例4)常数κの評価
実施例1−1から実施例1−9および実施例2−1から実施例2−4により作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側40回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、BHアナライザー(岩崎通信機社製「SY−8218」)を用いて、実効最大磁束密度Bmを100mTとする条件で、鉄損Pcv(単位:kW/m)の周波数依存性(測定周波数範囲:40kHz〜800kHz)を測定した。上記の条件で測定された各鉄損Pcvにおける40kHz〜800kHzの範囲の周波数依存性の結果から、常数κを求めた。結果を表8および9に示した。
表1および表18に基づき透磁率比Rμと磁性粉末の特性との関係をグラフ化した。図12は、透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。図13は、透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。図14は、透磁率比Rμと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。図15は、常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。図16は、常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。図17は、常数κと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。いずれの図においても、グラフ中に線形近似の結果を示した。
表1および表9に基づき透磁率比Rμと磁性粉末の特性との関係をグラフ化した。図18は、透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。図19は、透磁率比Rμと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。図20は、透磁率比Rμと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。図21は、常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における50%累積径D50との関係を示すグラフである。図22は、常数κと磁性粉末の体積基準の粒度分布における標準偏差SDとの関係を示すグラフである。図23は、常数κと磁性粉末の酸素濃度との関係を示すグラフである。いずれの図においても、グラフ中に線形近似の結果を示した。
本発明の圧粉コアは、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータにおける1次共振インダクタの構成要素として好適に使用されうる。
1…圧粉コア(トロイダルコア)
10…トロイダルコイル
2…被覆導電線
2a…コイル
2b,2c…被覆導電線2の端部
2d,2e…コイル2aの端部
20…インダクタンス素子
3…圧粉コア
3a…圧粉コア3の実装面
3b,3c…圧粉コア3の側面
4…端子部
5…空芯コイル
5a…空芯コイル5の巻回部
5b…空芯コイル5の引出端部
30…収納凹部
40…接続端部
42a…第1曲折部
42b…第2曲折部
100…実装基板
110…ランド部
120…半田層

Claims (7)

  1. 100kHzの条件で測定された初透磁率μ0に対する直流印加磁場が5500A/mのときの比透磁率μ5500の比である透磁率比Rμが0.6以下であって、実効最大磁束密度Bmが100mTの条件で測定される鉄損Pcv(単位:kW/m 3 )の周波数f(単位:kHz)依存性を、2つの常数κ h およびκ e を用いて下記式(I)により表したときに、
    Pcv=κ h ×f×Bm 1.6 +κ e ×f 2 ×Bm 2 (I)
    前記常数κ e が1.1×10 -6 kW/m 3 /(kHz) 2 /(mT) 2 以下となる圧粉コアを形成可能な磁性粉末であって、
    体積基準の粒度分布において、50%累積径D50が8μm以上12μm以下かつ標準偏差SDが4μm以上9μm以下であって、酸素濃度が0.15質量%以下であるFe基合金軟磁性粉末を備え
    前記Fe基合金は、Fe−P−C系合金であり、
    前記Fe基合金軟磁性粉末は主相が非晶質であることを特徴とする磁性粉末。
  2. 請求項1に記載される磁性粉末を含有する圧粉コアであって、
    前記透磁率比Rμが0.6以下であって、
    前記常数κeが1.1×10-6kW/m3/(kHz)2/(mT)2以下であることを特徴とする圧粉コア。
  3. 絶縁性結着材をさらに含有する、請求項2に記載の圧粉コア。
  4. 請求項2または請求項3に記載される圧粉コア、コイルおよび前記コイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備えるインダクタであって、前記圧粉コアの少なくとも一部は、前記接続端子を介して前記コイルに電流を流したときに前記電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されているインダクタ。
  5. 請求項4に記載されるインダクタが実装された電子・電気機器であって、前記インダクタは前記接続端子にて基板に接続されている電子・電気機器。
  6. 前記インダクタはDC−DCコンバータを構成する部品の1つである、請求項5に記載の電子・電気機器。
  7. 前記DC−DCコンバータは、フェイズシフトフルブリッジ絶縁型DC−DCコンバータであって、前記インダクタは1次共振インダクタである、請求項6に記載の電子・電気機器。

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