JP2007134591A - 複合磁性材料とそれを用いた圧粉磁芯および磁性素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高周波帯域での鉄損抑制が優れ、必要とされる実効透磁率を有する複合磁性材料とそれを用いた圧粉磁芯および磁性素子を提供すること。
【解決手段】 軟磁性合金材料と、その軟磁性合金材料に対して1〜10重量%の結着性樹脂とを混合してなる複合磁性材料であり、その軟磁性合金材料は、ナノ結晶組織を有する材料の他に、非晶質組織を有する材料を、全体の軟磁性合金材料に対して、0〜90重量%(0重量%を含む)混合したもので、それらの粉末の平均粒径が50μm以下である。その複合磁性材料を用いて、圧粉磁芯、磁性素子を作製する。
【選択図】 図3
【解決手段】 軟磁性合金材料と、その軟磁性合金材料に対して1〜10重量%の結着性樹脂とを混合してなる複合磁性材料であり、その軟磁性合金材料は、ナノ結晶組織を有する材料の他に、非晶質組織を有する材料を、全体の軟磁性合金材料に対して、0〜90重量%(0重量%を含む)混合したもので、それらの粉末の平均粒径が50μm以下である。その複合磁性材料を用いて、圧粉磁芯、磁性素子を作製する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、チョークコイル、インダクタなどのインダクタンス部品に用いられる複合磁性材料と、その複合磁性材料を用いた圧粉磁芯および磁性素子に関するものである。
近年、電源電圧の低電圧化に伴い、パワーインダクタ等の電子部品には、大電流対応が求められている。特に電子機器の小型化と電源の高周波化が進み、それらに対応可能な磁性材料と、高性能な磁性素子が要求されている。従来より、高周波帯域で使用されるインダクタなどの磁芯には、ソフトフェライトが多く使用されている。ソフトフェライトは、それまで主流だった金属磁性材料粉末よりも安価なため、金属磁性材料粉末に代わる磁性素子材料として、多くのチョークコイルやノイズフィルタなどに用いられてきた。
しかし、ソフトフェライトは飽和磁束密度が小さいという欠点があり、近年の小型で大電流対応の要求には、飽和磁束密度の大きい金属磁性材料粉末が、再び磁性素子用磁芯として利用されてきている。特に、金属磁性材料粉末の圧粉磁芯は、高周波帯域でも特性が安定しているため、近年の電子部品の高周波化に対応する磁性素子として注目されている。
電子機器に付随する磁性素子に関して、高周波特性の向上の重要な要因の一つとして、磁芯の鉄損の低減が不可欠である。鉄損にはヒステリシス損失、渦電流損失などに大別されており、ヒステリシス鉄損は、外部応力による歪の影響を受けにくい軟磁性材料を用いることや、その材料に残存する歪を緩和することにより低減化が図られている。一方、渦電流損失は固有抵抗の高い軟磁性材料を用いたり、軟磁性粉末の粒径を縮小すること、または、粉末間の絶縁化を図ること等により低減化を図ることができる。
ここで、磁性素子用の金属磁性材料粉末としては、Fe粉、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末など、Fe基の軟磁性合金材料の粉末が用いられている。それら軟磁性合金材料を用いた圧粉磁芯は、高周波帯域で鉄損が増大化してしまう問題がある。しかし、いずれの軟磁性合金材料も高温で熱処理を施すことにより、材料に残存する歪が緩和され、鉄損内のヒステリシス損失を低減させることは可能である。
一方、軟磁性合金材料に、絶縁性結着剤として樹脂を混合した複合磁性材料、さらには、それを用いて、表面を被覆した導線による空芯コイルを一体成形した磁性素子の場合は、樹脂や導線の被覆の耐熱性の問題により、磁性素子成形後に高温熱処理を施すことは困難である。このような高温での熱処理が困難な磁性素子の磁芯材料には、元々鉄損が小さく、飽和磁束密度が高いFe基の非晶質軟磁性合金粉末やナノサイズの微細結晶を有するナノ結晶軟磁性合金の粉末が近年、注目されてきている。
圧粉磁芯の絶縁性結着剤には耐熱温度が高いものが好ましく、耐熱温度が高い樹脂の採用も近年図られている。従来より、ガラス粉末を結着剤として混合する方法が主流である。その一例として、特許文献1には、圧粉磁芯およびナノ結晶磁性粉末の製造方法が開示されている。具体的には、ナノ結晶磁性粉末または非晶質磁性粉末と結着性樹脂と絶縁性のガラス粉末の混合粉末の成形体を、ガラス粉末の軟化点以上600℃以下で熱処理する方法である。その結果、ガラス粉末により磁性粉末を結着させ、合せて、熱処理により、磁性粉末にナノ結晶組織が発現させることもできるため、ヒステリシス損失の低減化に加え、実効透磁率の向上化をも図ることができる。
特許文献2には、飽和磁束密度が高く、低鉄損の圧粉磁芯の例が開示されている。これは非晶質軟磁性合金粉末、あるいは超微細結晶軟磁性合金粉末に、粒度分布の最頻値差が5倍以上となる軟磁性微細磁性粉末を3体積%〜50体積%混合した粉末からなる圧粉磁芯である。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、ガラス粉末を混入する量により、圧粉磁芯の占積率が低下し、圧粉磁芯の実効透磁率が低減してしまう問題があり、小型の磁性素子には不利である。また、この方法で、被覆導線の空芯コイルを含む軟磁性粉末を一体成形して作成した磁性素子の場合、高温の熱融解により導線の被覆が熱分解してしまう問題があり、適正な方法ではない。
また、特許文献2に記載されている圧粉磁芯では、粒径の大きい粉末間の空隙を粒径の小さい粉末が埋めることにより粉末占積率が向上し、圧粉磁芯の密度は向上するが、高周波帯域における圧粉磁芯の渦電流損失は、粉末粒径に比例して増大するため、粒度差が5倍以上もある粒径の大きい粉末を圧粉磁芯に50体積%〜97体積%も混合することは高周波帯域での鉄損が増大してしまうため、高周波帯域の小型用磁性素子としては適正ではない。また、粒径の異なる粉末を混合することは、粒径の大きい粉末がフィルター化し、粒径の小さい粉末を分級させてしまう現象が発生しやすいため、粒度ばらつきが大きくなり、混合粉の粒度管理が難しくなる問題がある。
従来より、圧粉磁芯にはFe−Si系合金やFe−Si−Al系合金などのFe基の軟磁性合金粉末が用いられている。これら軟磁性合金材料を用いた、磁芯のヒステリシス損失は熱処理を施すことにより低減化を図ることができるが、絶縁性結着剤に樹脂を混合する複合磁性材料による圧粉磁芯の場合、樹脂の耐熱温度の問題により圧粉磁芯が焼結化してしまうため、高温の熱処理を施すことは困難である。
特に、表面を被覆した導線の空芯コイルを一体成形した磁性素子の場合は、空芯コイルの絶縁被覆の耐熱温度の問題で熱処理はさらに困難であり、高周波帯域にて低鉄損および優れた実効透磁率を形成する磁性素子を得ることが難しい。また、これら軟磁性材料は固有抵抗が低いため、高周波帯域での渦電流損失の抑制化も厳しくなってきている。
また、Fe基の非晶質軟磁性合金は固有抵抗が高く、飽和磁束密度も高い特徴を持つことから、Fe基の非晶質軟磁性合金の粉末を用いることで高周波帯域の鉄損を抑制した磁性素子が得られることが期待されている。しかし、非晶質軟磁性合金は硬度が高く、塑性変形が困難なため、圧粉磁芯の密度が上がりにくく、圧粉磁芯の実効透磁率の向上化も難しい。成形圧力を上げることで圧粉磁芯の密度の向上化は図れるが、非晶質軟磁性合金の粉末に加わる歪が増大し、ヒステリシス損失が増大してしまう問題もある。
粉末粒度が大きく異なる2つの粉末を混合して粉末占積率を高める方法により、圧粉磁芯の実効透磁率の向上化には有効的である。しかしながら、過半数を粒径の大きい粉末が占めるため、高周波帯域での渦電流損失が増大し、高周波帯域での圧粉磁芯の鉄損を増大化させてしまう問題がある。よって、高周波帯域での圧粉磁芯中の粉末粒径は、粒径が小さいほど渦電流損失の抑制効果が期待されるため50μm以下が好ましいが、粉末占積率を上げるため粒径の異なる数μm以下の微粉を混合することが効果がある。
非晶質合金粉末の作製方法には、水やガスなどを用いて、水アトマイズ法やガスアトマイズ法による方法や、機械的粉砕など様々な方法があるが、粒度分布の狭い数μmのみの粉末を作製することは極めて難しい。篩などにて分級して数μmの粉末のみ回収する方法もあるが、回収率が低くなり粉末コストが高くなってしまう。
非晶質軟磁性合金は、結晶質軟磁性材料の結晶化温度以下の熱処理温度にて熱処理することにより、材料に残存する歪が緩和することができ、ヒステリシス損失の低減化および実効透磁率の向上化をさらに図ることができる。また、ガラス粉末を結着剤に使用した圧粉磁芯や耐熱温度の高い樹脂を絶縁性結着剤に使用した複合磁性材料による圧粉磁芯の場合は、熱処理によりヒステリシス損失の低減化をも図ることができる。しかし、表面を被覆した導線の空芯コイルを含む軟磁性粉末を、一体成形により作製した磁性素子の場合は、空芯コイルの被覆の耐熱温度の問題により、熱処理によるヒステリシス損失の低減化は難しい。
本発明は、これらの状況にあって、高周波帯域での鉄損抑制が優れ、必要とされる実効透磁率を有する複合磁性材料と、それを用いた圧粉磁芯および磁性素子を提供することにある。
本発明は、前記課題の解決のため、軟磁性合金材料と、軟磁性合金材料に対して1〜10重量%の結着性樹脂とを混合してなる複合磁性材料において、軟磁性合金材料は、ナノ結晶組織を有する材料と、全体の軟磁性合金材料に対して、0〜90重量%(0重量%を含む)の非晶質組織を有する材料とを混合して成ることを特徴とする複合磁性材料である。
また、ナノ結晶組織を有する材料が、粉砕した粉末であることを特徴とする複合磁性材料である。
さらに、ナノ結晶組織を有する材料、および非晶質組織を有する材料の粉末の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする複合磁性材料である。
また、前記複合磁性材料を、用いてなることを特徴とする圧粉磁芯である。
さらに、表面が被覆された導線からなる空芯コイルを含むように、複合磁性材料を圧粉成形してなることを特徴とする磁性素子である。
以上述べた通り、本発明によれば、ナノ結晶軟磁性合金の優れた軟磁性特性と機械的に脆く粉砕性が良い特徴を用いて、ナノ結晶組織を有する材料を粉砕することにより、粒径の小さい粉末が混入されることや、非晶質軟磁性合金粉末を混合することで、高周波帯域での鉄損抑制が優れ、必要とされる実効透磁率を有する占積率が良い複合磁性材料とそれを用いた圧粉磁芯および磁性素子を提供することが可能である。
さらに、本発明によれば、複合磁性材料を圧粉成形後に、熱処理を施すことによりさらに鉄損が低く、実効透磁率が良い圧粉磁芯および磁性素子を提供することが可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係わる、圧粉磁芯の例を示した斜視図である。それぞれ、図1(a)はE型コアの斜視図、図1(b)は円筒型あるいはトロイダルコアの斜視図、図1(c)は鍔つきコアの斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係わる、磁性素子の例を示した説明図である。それぞれ、図2(a)はEI型コアによるインダクタンス部品を示す斜視図、図2(b)は一体成形型インダクタンス部品を示す構成図、図2(c)は他の一体成形型インダクタンス部品を示す構成図である。それぞれ、1は磁芯、2は巻線部、3は一体成形型磁芯、4は巻線である。
本発明の実施の形態に係わる複合磁性材料は、まず軟磁性合金材料に熱処理を施すことにより発現した、数十nmのナノサイズの微細結晶組織を有するナノ結晶軟磁性合金材料に、0〜90重量%(0重量%を含む)の非晶質軟磁性合金材料とを混合した軟磁性合金材料を用い、この軟磁性合金材料と、結着性樹脂とを混合して複合磁性材料とするものである。
ナノ結晶軟磁性合金の脆化する特徴に注目し、ナノ結晶組織を発現後の材料を粉砕することで、比較的容易に軟磁性の微粉を作製することができ、粉砕により適度に微粉が混入するため、粒径の小さい粉末を改めて混合することなく、圧粉磁芯の粉末占積率の向上化を図ることができる。
また、粉末が全体的に粉砕されることで粉末粒度の低下が図られ、高周波帯域での渦電流損失の抑制を図ることができる。特に、磁歪定数λ=0近傍の成分組成のナノ結晶軟磁性合金においては、機械的な歪による磁気的な特性の劣化の影響は低く、熱処理が困難である構造の圧粉磁芯による磁性素子においては、粉末の状態で熱処理を施しておくことで、圧粉磁芯に成形後でも鉄損が著しく増大しないメリットがある。
ナノ結晶組織を発現させた材料にFe基の非晶質軟磁性合金粉末を混合することにより、軟磁気特性の良い非晶質軟磁性合金粉末間の空隙をナノ結晶軟磁性材料から粉砕された微粉で埋めることができるため、粉末占積率が向上化しにくかった非晶質軟磁性材料の圧粉磁芯のさらなる特性向上を図ることができる。
なお、ナノ結晶組織を発現可能な組成の軟磁性合金材料は、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法や、冷却ロールなどにより溶湯を急冷した後の材料が非晶質状態となる粉末を熱処理にてナノ結晶組織を発現させた粉末の他に、溶湯を急冷した後の材料が既にナノ結晶組織が発現しているものであっても微粉に粉砕化できることで同様の効果が得られる。また、Fe−半金属系合金のナノ結晶軟磁性材料の他に、Fe−M−B(M=Zr,Hf,Nb)系合金などのナノ結晶軟磁性材料においても同様の効果は得られる。
圧粉磁芯中のナノ結晶軟磁性合金の粉末および非晶質軟磁性合金の粉末の粒径は50μm以下が好ましい。粒径が小さいほど渦電流損失の抑制効果が期待され、50μmを超えると渦電流損失が増大しやすく、また粉末形状が異形状化しやすいため、粉末占積率の低下も懸念される。圧粉磁芯において、さらに粉末占積率を上げるには、数μmの粉末が適度に混合していることが好ましいが、ナノ結晶組織を発現した材料によれば、粉砕されることにより数μmの粉末が適度に混入されるため、数μmの微粉を混合することなく圧粉磁芯の密度を高めることができる。
結着性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化型樹脂が、要求特性や用途によって適宜選択される。しかしながら、これらに限定されるものではないことは勿論である。
結着性樹脂の混合量はナノ結晶軟磁性合金粉末もしくは非晶質軟磁性合金粉末との混合粉末に対して、1重量%〜10重量%が好ましい。1重量%未満では粉末間の結着力が弱く、また粉末間の絶縁性も低い。10重量%超では磁芯の粉末充填率が低下し、磁性素子の磁気特性が低下してしまう。
また、これら熱硬化型樹脂からなる複合磁性材料粉末は、圧粉磁芯の圧粉成形中または圧粉成形後に不活性ガス中で結着性樹脂を加熱硬化させることで磁性素子を製造することができる。さらには圧粉磁芯成形後に熱処理が可能なものに関しては、可能な範囲で熱処理を施し、圧粉磁芯に残存する歪の緩和をし、ヒステリシス損失の低減化を図ることができる。
次に、具体的な実施例を挙げ、本発明の複合磁性材料とそれを用いた圧粉磁芯および磁性素子について、比較例と対照しながらさらに詳しく説明する。
(実施例1)
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金粉末を、アトマイズ法により得た。その粉末の平均粒径は26μmであった。その粉末を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理を施し、ナノ結晶組織を発現させた後、乳鉢で10分間粉砕した。図3には、ナノ結晶組織が発現前の粉末およびナノ結晶組織が発現させた後に粉砕した粉末の累積粒度分布を示す図を示した。ナノ結晶組織を発現させた後の粉末は機械的に脆く粉砕され、粉末粒径が小さくなっている。
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金粉末を、アトマイズ法により得た。その粉末の平均粒径は26μmであった。その粉末を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理を施し、ナノ結晶組織を発現させた後、乳鉢で10分間粉砕した。図3には、ナノ結晶組織が発現前の粉末およびナノ結晶組織が発現させた後に粉砕した粉末の累積粒度分布を示す図を示した。ナノ結晶組織を発現させた後の粉末は機械的に脆く粉砕され、粉末粒径が小さくなっている。
未熱処理の非晶質粉末と、熱処理にてナノ結晶組織を発現させた未粉砕の粉末に、熱硬化型のシリコーン樹脂を5重量%各々添加し混練・造粒した。その後、篩で分級し−500μmの複合磁性材料粉末を得た。図4には、ナノ結晶組織が発現前の粉末およびナノ結晶組織が発現させた粉末による造粒粉末の累積粒度分布を示す図を示した。ナノ結晶組織を発現させた粉末による造粒粉は粒径が小さい。複数の粉末の接着と解離の繰り返しによる造粒エネルギーが、ナノ結晶組織を発現させた脆い粉末においては、粉末間の摩擦力の他、ナノ結晶組織間でも破砕されるため、粒径が小さくなった粉末による造粒粉が得られている。つまり、樹脂を混合する前にナノ結晶軟磁性合金は粉砕しなくても造粒中に破砕され、個々の粉末粒径が小さくなっている。
各造粒粉末を3g計量し、内径10mm、外径14mmの金型でリングコアを500〜1500MPaで圧粉成形した。図5には、ナノ結晶組織が発現前の粉末およびナノ結晶組織が発現させた粉末による造粒粉末の圧粉成形後の粉末占積率を示す図を示した。成形圧力の増加により、リングコアの粉末占積率は増加し、ナノ結晶組織を発現させた粉末による複合磁性材料粉末の方が粒径の小さい粉末の割合が増えた分、高い粉末占積率が得られた。
次に、熱処理によるナノ結晶組織の発現有無および造粒前の粉末粉砕の有無毎に複合磁性材料およびリングコアを成形した。複合磁性材料およびリングコアは同条件であり、熱硬化は窒素雰囲気中200℃×30分で行った。さらに、成形後の熱処理の有無も含め、各粉末による圧粉コアの特性を比較評価した。表1に、500MPaで成形した圧粉リングコアの結果を示した。
比較例として、表1にはFeを主成分にSi、Bの元素からなる組成において、平均粒径13μmの非晶質軟磁性合金の水アトマイズ粉末による圧粉リングコアの特性を記載した。圧粉リングコアは、ナノ結晶軟磁性合金と同様の方法にて作製したが、粉末または圧粉リングコアの熱処理温度は結晶化温度以下の450℃で施した。ナノ結晶組織を発現させた粉末を用いた複合磁性材料による圧粉リングコア(試料No.3,4,7,8)は粉末占積率が高く、実効透磁率が高い。また、成形後さらに熱処理を施すことで鉄損が低減化し、実効透磁率が高く、低鉄損の圧粉磁心が得られた(試料No.4,8)。
(実施例2)
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金粉末を、アトマイズ法により得た。その粉末の平均粒径は26μmであった。このナノ結晶軟磁性合金の粉末を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理にてナノ結晶組織を発現させた後、Feを主成分にSi,Bの元素からなる組成において、平均粒径約8μmの非晶質軟磁性合金の水アトマイズ粉末と各割合で混合し、この混合粉末に熱硬化型のシリコーン樹脂を添加、混練して複合磁性材料を作製した。この時のシリコーン樹脂は、この混合粉末に対し5重量%添加した。
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金粉末を、アトマイズ法により得た。その粉末の平均粒径は26μmであった。このナノ結晶軟磁性合金の粉末を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理にてナノ結晶組織を発現させた後、Feを主成分にSi,Bの元素からなる組成において、平均粒径約8μmの非晶質軟磁性合金の水アトマイズ粉末と各割合で混合し、この混合粉末に熱硬化型のシリコーン樹脂を添加、混練して複合磁性材料を作製した。この時のシリコーン樹脂は、この混合粉末に対し5重量%添加した。
その後、各粉末を篩で分級し、−500μmの複合磁性材料粉末を得た。その各造粒粉末を約3g計量し、内径10mm、外径14mmの金型でリング形状に500MPaで圧粉成形した後、窒素雰囲気中200℃で30分熱硬化した圧粉リングコアを作製した。ナノ結晶軟磁性合金粉末と非晶質軟磁性合金粉末の混合割合毎の圧粉リングコアの磁気特性を表2に示す。ナノ結晶軟磁性合金が0〜90重量%(0重量%を含む)で粉末占積率および実効透磁率が向上かつ鉄損低減が見られた(試料No.3,21〜29)。
(実施例3)
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金の厚さ20μmの薄帯を得た。この非晶質合金薄帯を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理にてナノ結晶組織を発現させた後、破砕、さらに乳鉢にて粉砕した。篩による分級と乳鉢による粉砕を繰り返し、平均粒径25μmのナノ結晶軟磁性合金の粉末を得た。得られた粉砕粉を再び窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理を施した後、熱硬化型のシリコーン樹脂を5重量%添加、混練して複合磁性材料を作製した。その後、−500μmの篩にて分級した複合磁性材料粉末を得た。
Feを主成分とし、Si,B,Nb,Cuの元素からなる組成系において、磁歪係数λ=0となる近傍の組成範囲を有する非晶質合金の厚さ20μmの薄帯を得た。この非晶質合金薄帯を窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理にてナノ結晶組織を発現させた後、破砕、さらに乳鉢にて粉砕した。篩による分級と乳鉢による粉砕を繰り返し、平均粒径25μmのナノ結晶軟磁性合金の粉末を得た。得られた粉砕粉を再び窒素雰囲気中550℃で1時間の熱処理を施した後、熱硬化型のシリコーン樹脂を5重量%添加、混練して複合磁性材料を作製した。その後、−500μmの篩にて分級した複合磁性材料粉末を得た。
次に、この造粒粉末を約3g計量し、内径10mm、外径14mmの金型でリングコアを1500MPaで圧粉成形し、窒素雰囲気中200℃×30分で熱硬化して圧粉リングコアを作製した。この圧粉リングコアの特性とさらに窒素雰囲気中550℃で1時間熱処理を施した圧粉リングコアの特性も表3に示した。実施例1の水アトマイズ粉末ほど粉末占積率および実効透磁率は高くないが、ナノ結晶組織が発現した箔を粉砕した粉末でも高周波帯域で実用するには問題がない実効透磁率と鉄損が得られている。
1 磁芯
2 巻線部
3 一体成形型磁芯
4 巻線
2 巻線部
3 一体成形型磁芯
4 巻線
Claims (5)
- 軟磁性合金材料と、前記軟磁性合金材料に対して1〜10重量%の結着性樹脂とを混合してなる複合磁性材料において、前記軟磁性合金材料は、ナノ結晶組織を有する材料と、全体の前記軟磁性合金材料に対して、0〜90重量%(0重量%を含む)の非晶質組織を有する材料とを混合して成ることを特徴とする複合磁性材料。
- 前記ナノ結晶組織を有する材料が、粉砕した粉末であることを特徴とする請求項1に記載の複合磁性材料。
- 前記ナノ結晶組織を有する材料、および前記非晶質組織を有する材料の粉末の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合磁性材料。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の前記複合磁性材料を、用いてなることを特徴とする圧粉磁芯。
- 表面が被覆された導線からなる空芯コイルを含むように請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の前記複合磁性材料を圧粉成形してなることを特徴とする磁性素子。
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