JP2003084623A - 画像形成装置および定着装置 - Google Patents
画像形成装置および定着装置Info
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Abstract
画像形成手段と、前記被記録材上の未定着トナー像を加
熱定着処理する加熱定着手段100を有する画像形成装
置、もしくは画像形成手段から導入される被記録材上の
未定着トナー像を加熱定着処理する定着装置100にお
いて、加圧部材(加圧ローラ)30の過昇温を抑制し
て、メディアスリップを防止する。 【解決手段】プリント開始時の加熱定着手段(定着装
置)の温調立上げ工程において、温調立上げ時間を予測
して、プリント信号受信後から定着処理に間に合う範囲
内で、温調立上げ開始タイミングを遅らせるように可変
制御する。
Description
よびこれに具備される定着装置に関する。詳しくは、複
写機・プリンタ・ファックス等のように、電子写真・静
電記録・磁気記録などの適宜の画像形成プロセス手段に
より、加熱溶融性の樹脂等からなるトナーを用いて被記
録材の面に直接もしくは間接方式で未定着トナー像を形
成し、これを加熱定着手段により被記録材表面に永久固
着画像として加熱定着処理する装置に関するものであ
る。
プロセス手段で被記録材上に形成された未定着トナー画
像を定着させる加熱手段として、熱ローラ方式の定着装
置が広く用いられている。熱ローラ方式の定着装置は、
ハロゲンヒータのような発熱手段を内包した加熱部材と
しての定着ローラと、加圧部材としての加圧ローラとを
当接させ、被記録材を搬送しながら熱と圧力をかけて未
定着トナー像を定着する。
ーの観点から、フィルム加熱方式の定着装置が実用化さ
れている。フィルム加熱方式の定着装置は、発熱手段と
してのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ロー
ラとの間に、耐熱性を有する薄いフィルムを挟ませて定
着ニップを形成させたものである。フィルムと加圧ロー
ラを共に回転させることで、被記録材を搬送しながら熱
と圧力をかけて未定着トナー像を定着する。フィルム
は、定着ニップにおいてセラミックヒータにより加熱さ
れる。このセラミックヒータは、背面に設けられた温度
検知素子により温度検知がなされ、その検知結果に基づ
きセラミックヒータへの通電が制御され、温度制御が行
われる。
ローラ方式に比べ、加熱部材であるフィルムの熱容量が
非常に小さいため、発熱手段からの熱エネルギーを定着
プロセスに効率良く使用することができる。このため、
定着装置の昇温速度が速く、画像形成装置の電源投入か
らプリント可能状態までの待ち時間を短くすることがで
きる(クイックスタート)。また、プリント待機中に加
熱部材を予熱する必要がないため、画像形成装置の消費
電力を低く抑えることができる(省エネルギー)。
置として、導電性のフィルム自身を発熱させる電磁誘導
加熱方式の定着装置が提案されている。実開昭51−1
09739号公報には、電磁誘導加熱方式の定着装置と
して、交番磁場により金属フィルムに渦電流を誘導さ
せ、その金属フィルムをジュール熱で発熱させる定着装
置が開示されている。電磁誘導加熱方式では、フィルム
自身を発熱させることができるため、発熱手段からの熱
エネルギーを定着プロセスにさらに効率良く使用するこ
とができる。
時の定着装置の温調制御について説明する。
ータを用いたフィルム加熱方式の定着装置、あるいは電
磁誘導加熱方式・フィルム加熱方式の定着装置)におけ
るプリント開始時の定着フィルム温度と、目標温度設定
と、定着装置への被記録材到達タイミングを示した概略
図である。
行っていないが、予熱を行っても構わない。
画像形成動作を開始する。画像形成装置は、同時に定着
装置への電力供給を開始し、定着装置を定着温度Tfに
昇温させる。そして、定着装置は、定着温度Tfを維持
し、被記録材上の未定着トナー像の定着に備える。以上
の工程をまとめて、定着装置の立上げ工程と呼ぶことに
する。
紙されないため、発熱手段からの熱の大部分はフィルム
を介して加圧ローラの昇温に使用される。特に、定着装
置が既に暖まっている場合、目標温度までの昇温時間t
wuは短く、定着温度Tfで維持されている時間tp-twu
が長くなるので、加圧ローラは、さらに昇温する。この
ため、間欠プリントのように、立上げ工程が繰り返され
る場合、加圧ローラが過昇温しやすい。
うな定着に多くの熱量を必要とする被記録材を定着する
場合、プロセス速度を低下させる。このような場合も、
立上げ工程において、画像形成動作開始から被記録材が
定着装置に到達するまでの時間tpが長くなるため、被
記録材が通紙されずに定着温度Tfで維持されている時
間tp-twuが長くなる。このため、間欠プリント時と同
様に、加圧ローラが過昇温しやすい。
た状態でプリントを行うと、被記録材のスリップが発生
しやすいといった問題がある。これは、加熱定着時に被
記録材中の水分が蒸発し、加圧ローラと被記録材との間
の摩擦力が低下するためである。特に、加圧ローラの温
度が高いほど、水分の蒸発量が増加するため、被記録材
のスリップが発生しやすい。さらに、加圧ローラに駆動
力を印加し、加圧ローラに従動させてフィルムを回転さ
せるフィルム加熱方式の定着装置においては、被記録材
のスリップは、より顕著に発生する。
材が搬送ガイド部材に沿わなかったり、被記録材がフィ
ルムに巻き付いたりするため、ジャムが発生する問題が
あった。さらに、未定着トナー像に、安定して熱と圧を
印加することができないため、定着画像の品質を低下さ
せてしまう問題があった。
げ工程での加圧ローラの過昇温を抑制することにより、
定着装置における被記録材のスリップを防止し、被記録
材の搬送の安定化と定着画像の品質向上を図ることであ
る。
構成を特徴とする加熱装置及び画像形成装置である。
する画像形成手段と、前記被記録材上の未定着トナー像
を加熱定着処理する加熱定着手段を有する画像形成装置
において、前記加熱定着手段の目標温度への昇温に要す
る時間を予測する昇温時間予測手段と、プリント信号受
信後における前記加熱定着手段の昇温開始タイミングを
制御する昇温開始タイミング制御手段を有し、前記昇温
開始タイミング制御手段は、前記昇温時間予測手段の予
測結果に基づき、前記加熱定着手段の昇温開始タイミン
グを決定することを特徴とする画像形成装置。
は、画像形成装置のプリント信号受信後から加熱定着処
理前までの間で設定可能であって、加熱定着手段が加熱
定着処理までに目標温度まで昇温できるように決定され
ることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
理を行う加熱定着手段は、画像形成装置のプリント信号
受信後から加熱定着処理前までの間において、定着可能
温度よりも低い温度で温調する低温調工程もしくは加熱
定着手段を加熱しない非加熱工程を行うことを特徴とす
る(1)または(2)に記載の画像形成装置。
から加熱定着処理前までの間において、画像形成装置は
前記低温調工程もしくは前記非加熱工程を挟んで加熱定
着手段の昇温を複数回行い、このうち少なくとも最後に
行われる昇温は目標温度を定着可能温度とし加熱定着処
理に備えるものであって、少なくとも最後に行われる昇
温の昇温開始タイミングは昇温開始タイミング制御手段
により決定されることを特徴とする(3)に記載の画像
形成装置。
受信後に加熱定着手段を一旦昇温させ、この昇温挙動よ
り、最後の昇温に要する時間を予測することを特徴とす
る(4)に記載の画像形成装置。
後に加熱定着手段を一旦定着可能温度まで昇温させるこ
とを特徴とする(5)に記載の画像形成装置。
に前記加熱定着手段を一旦定着可能温度よりも低いまで
昇温させることを特徴とする(5)に記載の画像形成装
置。
材を加熱せしめる回転加熱部材と、これと共にニップを
形成して被記録材を加熱加圧せしめる回転加圧部材と、
前記回転加熱部材を昇温させるための発熱手段より構成
されることを特徴とする(1)から(7)のいずれか1
項に記載の画像形成装置。
ムであることを特徴とする(8)に記載の画像形成装
置。
材に従動して駆動されることを特徴とする(8)または
(9)に記載の画像形成装置。
し、前記回転加熱部材を発熱させる発熱手段は励磁コイ
ルを含む磁場発生手段であり、前記導電部材に前記磁場
発生手段からの交番磁場を作用させて渦電流を発生させ
ることにより前記回転加熱部材を発熱させることを特徴
とする(8)から(10)のいずれか1項に記載の画像
形成装置。
録材上の未定着トナー像を加熱定着処理する定着装置に
おいて、定着装置の目標温度への昇温に要する時間を予
測する昇温時間予測手段と、画像形成手段のプリント信
号受信後における定着装置の昇温開始タイミングを制御
する昇温開始タイミング制御手段を有し、前記昇温開始
タイミング制御手段は、前記昇温時間予測手段の予測結
果に基づき、定着装置の昇温開始タイミングを決定する
ことを特徴とする定着装置。
は、画像形成手段のプリント信号受信後から加熱定着処
理前までの間で設定可能であって、定着装置が加熱定着
処理までに目標温度まで昇温できるように決定されるこ
とを特徴とする(12)に記載の定着装置。
後から加熱定着処理前までの間において、定着装置を定
着可能温度よりも低い温度で温調する低温調工程もしく
は加熱しない非加熱工程を行うことを特徴とする(1
2)または(13)に記載の定着装置。
後から加熱定着処理前までの間において、前記低温調工
程もしくは前記非加熱工程を挟んで定着装置の昇温を複
数回行い、このうち少なくとも最後に行われる昇温は目
標温度を定着可能温度とし加熱定着処理に備えるもので
あって、少なくとも最後に行われる昇温の昇温開始タイ
ミングは昇温開始タイミング制御手段により決定される
ことを特徴とする(14)に記載の定着装置。
号受信後に加熱定着手段を一旦昇温させ、この昇温挙動
より、最後の昇温に要する時間を予測することを特徴と
する(15)に記載の定着装置。
一旦定着可能温度まで昇温させることを特徴とする(1
6)に記載の定着装置。
一旦定着可能温度よりも低いまで昇温させることを特徴
とする(16)に記載の定着装置。
を加熱せしめる回転加熱部材と、これと共にニップを形
成して被記録材を加熱加圧せしめる回転加圧部材と、前
記回転加熱部材を昇温させるための発熱手段より構成さ
れることを特徴とする(12)から(18)のいずれか
1項に記載の定着装置。
ルムであることを特徴とする(19)に記載の定着装
置。
材に従動して駆動されることを特徴とする(19)また
は(20)に記載の定着装置。
し、前記回転加熱部材を発熱させる発熱手段は励磁コイ
ルを含む磁場発生手段であり、前記導電部材に前記磁場
発生手段からの交番磁場を作用させて渦電流を発生させ
ることにより前記回転加熱部材を発熱させることを特徴
とする(19)から(21)のいずれか1項に記載の定
着装置。
着手段(定着装置)の温度立上げ工程において、温調立
上げ時間を予測して、プリント信号受信後から定着処理
に間に合う範囲内で、温調立上げ開始タイミングを遅ら
せるように可変制御することで加圧部材の過昇温を抑制
して、被記録材のスリップを防止するものである。
説明する。
ついて述べる。 (1)画像形成装置 図1は画像形成装置の一例の構成概略図である。本実施
例の画像形成装置はカラーレーザプリンタである。
ン感光体でできた感光ドラム(像担持体)であり、矢示
の反時計方向に所定の搬送速度(周速度)で回転駆動さ
れる。感光ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等
の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理
を受ける。
(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光1
03により、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。
レーザ光学箱110は不図示の画像読み取り装置等の画
像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタ
ル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光
103を出力し、感光ドラム101面に走査露光した目
的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109は
レーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光ドラム1
01の露光位置に偏向させるミラーである。
カラー画像における第1の色分解成分画像、例えばイエ
ロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、
その潜像が4色カラー現像装置104のうちイエロー現
像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像さ
れる。そのイエロートナー画像は感光ドラム101と中
間転写ドラム105との接触部(或いは近接部)である
1次転写部T1において中間転写ドラム105面に転写
される。中間転写ドラム105面に対するトナー画像転
写後の感光ドラム101面はクリーナ107により転写
残トナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、
マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画
像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作
動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現
像器104Bkが作動)の各色分解成分画像について順
次実行され、中間転写ドラム105面にイエロートナー
画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナ
ー画像の4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目
的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成
形成される。
中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を設けたもので、感光ド
ラム101に接触して或いは近接して感光ドラム101
と同じ周速度で矢示の時計方向に回転駆動され、中間転
写ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感
光ドラム101との電位差で感光ドラム101側のトナ
ー画像を前記中間転写ドラム105面側に転写させる。
たカラートナー画像は、前記中間転写ドラム105と転
写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2
において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所
定のタイミングで送り込まれた被記録材Pの面に転写さ
れていく。転写ローラ106は被記録材Pの背面からト
ナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写ドラム1
05面側から被記録材P側へ合成カラートナー画像を順
次に一括転写する。
中間転写ドラム105面から分離されて像加熱装置(定
着装置)100へ導入され、未定着トナー画像が加熱定
着処理されて定着トナー画像となり、機外の不図示の排
紙トレーに排出される。定着装置100については次の
(2)項で詳述する。
後の中間転写ドラム105はクリーナ108により転写
残トナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃され
る。このクリーナ108は常時は中間転写ドラム105
に非接触状態に保持されており、中間転写ドラム105
から被記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実
行過程において中間転写ドラム105に接触状態に保持
される。
ム105に非接触状態に保持されており、中間転写ドラ
ム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の二
次転写実行過程において中間転写ドラム105に被記録
材Pを介して接触状態に保持される。
について説明する。
誘導加熱方式を用いたフィルム加熱方式を採用してい
る。図2〜図5は、本実施例の定着装置100の要部の
構成を示す図であり、それぞれ、図2は側面の断面模型
図、図3は図2のA方向からみた正面模型図、図4は図
2のII−II線に沿った断面模型図、図5は図2のI−I線
に沿った断面を示す斜視模型図(定着フィルム不図示)
である。以下、各図を用いて本実施例の定着装置100
を説明する。
6bは断面略半円弧状樋型の形状をしており、開口側を
互いに向かい合わせて略円柱体を構成する。このフィル
ムガイド16a・16bの外周面側には、円筒状の定着
フィルム10がルーズに外嵌される。
17c、励磁コイル18および励磁回路27(図7参
照)より構成される。磁性コア17a・17b・17c
は、フィルムガイド16aの内側にT字状に配置されて
いる。励磁コイル18は、磁性コア17a・17cおよ
びフィルムガイド16aによって囲まれた空間と、磁性
コア17a・17bおよびフィルムガイド16aによっ
て囲まれた空間に、保持されている。
磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といった
トランスのコアに用いられる材料が好ましく、100k
Hz以上でも磁性の損失の少ないフェライトがより好ま
しく用いられる。
電部18aおよび18bを有しており、これら給電部1
8a・18bによって励磁回路27に接続されている。
この励磁回路27は、20kHzから500kHzの高
周波をスイッチング電源により発生可能である。励磁コ
イル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周
波電流)によって交番磁束を発生する。
含む温調系により、励磁コイル18に対する電流供給が
制御されることで所定の温度が維持されるように制御さ
れる。温度センサ26はサーミスタなどの温度検知素子
である。即ち温度センサ26による定着フィルム検知温
度情報が制御回路部200に入力し、制御回路部200
は温度センサ26からの入力温度情報が所定の定着温度
に維持されるように励磁回路27から励磁コイル18に
供給する電力を制御する。
ップ部Nへの加圧、磁場発生手段としての励磁コイル1
8と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、定
着フィルム10の回転時の搬送安定性を図る。このフィ
ルムガイド16a・16bには、磁束の通過を妨げない
絶縁性を有し、かつ高い荷重に耐えられる材料が用いら
れる。このような材料としては、例えば、ポリイミド樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエー
テルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマーなどが挙げら
れる。
うに紙面垂直方向長手の摺動部材40が定着ニップ部N
の加圧ローラ30との対向面側で、定着フィルム10の
内側に配設されている。すなわち、この摺動部材40
は、ニップ部Nにおいて、定着フィルム10を介して前
記加圧ローラ30と対向する位置に配置されている。こ
の摺動部材40は、定着ニップ部Nにおいて、加圧ロー
ラ30の加圧力に対して、定着フィルム10をその内周
面から支持する部材である。
減させるために、滑り性の良い部材が好ましい。このよ
うな部材として、フッ素樹脂、ガラス、窒化ホウ素、グ
ラファイト等が挙げられる。摺動部材40は、滑り性の
他に、熱伝導性の高い部材であると、さらに良い。この
ような摺動部材40は長手方向の温度分布を均一にする
効果がある。例えば、小サイズ紙を通紙した場合、定着
フィルム10での非通紙部の熱量が摺動部材40へ伝熱
し、摺動部材40の長手方向の熱伝導により、非通紙部
の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱される。これにより、
小サイズ紙通紙時の消費電力を低減させる効果も得られ
る。このような摺動部材40には、鏡面研磨したアルミ
ニウムといった金属や、フッ素樹脂粒子もしくは窒化ホ
ウ素粒子もしくはグラファイト粒子等を分散させた金属
などの複合材料などが挙げられる。また、高熱伝導部材
上に滑り性の良い部材をコートしたような2層構成の部
材、例えば、窒化アルミ上にガラスをコートしたもので
も良い。本実施例では、アルミナ基板上に、ガラスをコ
ートした部材を使用した。
発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17
b・17cから発生する磁場の影響を受けないように、
この磁場の外に配設するのが好ましい。具体的には、摺
動部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17bか
ら隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外
側に配置させる。
着フィルム10との摺動摩擦力をさらに低減させるため
に、摺動部材40と定着フィルム10との間に耐熱性グ
リース等の潤滑剤を介在させることもできる。潤滑剤塗
布により、さらなる摺動抵抗の低減と装置の長寿命化を
図ることができる。
断面形状がコの字型で横長の加圧用剛性ステイ22が当
接されている。また、この加圧用剛性ステイ22と各磁
性コア17との間には、これら両者を絶縁するための絶
縁部材19が設けられている。また、フランジ部材23
a・23b(図3参照)は、フィルムガイド16a・1
6bのアセンブリの左右両端部に外嵌させ、前記左右位
置を固定しつつ回転自在に取り付けられている。このフ
ランジ部材23は、回転時に定着フィルム10の端部を
受けてフィルムガイド16の長手方向に沿った寄り移動
を規制する。
芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成
形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹
脂などの耐熱性弾性材層30bとで構成されている。こ
の加圧ローラ30は、芯金30aの両端部が定着装置の
シャーシ側板金(不図示)間に回転自由に軸受け保持さ
れることにより配設される。
端部と装置シャーシ(不図示)側のバネ受け部材29a
・29bとの間に、それぞれ加圧バネ25a・25bを
縮設することにより、加圧用剛性ステイ22に押し下げ
力が作用される。これによりフィルムガイド16bに設
けられた摺動部材40の下面と加圧ローラ30の上面と
が定着フィルム10を挟んで圧接して所定幅の定着ニッ
プ部Nが形成される。
矢印aで示される反時計方向に回転駆動される。この加
圧ローラ30の回転駆動により、加圧ローラ30と定着
フィルム10の外面との摩擦力が発生し、定着フィルム
10に回転力が作用する。そして、定着フィルム10
は、その内周面を定着ニップ部Nにおいて摺動部材40
の下面に密着して摺動しながら、加圧ローラ30の周速
度にほぼ対応した周速度をもって、図中矢印bで示され
る時計方向にフィルムガイド16a・16bの外周を回
転する。すなわち、定着フィルム10は加圧ローラとの
表面摩擦力により、この加圧ローラ30に連動して回転
される。
の周面には、複数の凸リブ部16eが、その長手方向に
所定の間隔を置いて形成されている。これにより、フィ
ルムガイド16aの周面と定着フィルム10の内面との
接触摺動抵抗を低減させて、定着フィルム10の回転負
荷を少なくしている。このような凸リブ部はフィルムガ
イド16bにも同様に形成具備することができる。
交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。
磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束C
は、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁
性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィ
ルム10の導発熱層10aに渦電流を発生させる。この
渦電流は、発熱層10aの固有抵抗によって、発熱層1
0aにジュール熱(渦電流損)を発生させる。
度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図
6に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0と
した角度θで表した定着フィルム10における円周方向
の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層10a
での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量を
Qとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自
然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が
得られる領域である。
27によって給電されることにより、定着フィルム10
が電磁誘導発熱して所定の温度まで上昇する。そして所
定温度に温調制御された状態で、画像形成手段部から搬
送された未定着トナーtn画像が形成された被記録材P
が、定着フィルム10と加圧ローラ30との間に、画像
面が定着フィルム面に対向するように導入される。そし
て被記録材Pが定着ニップ部Nにおいて定着フィルム1
0と共に挟持搬送されていく過程において、被記録材P
上の未定着トナーtnが加熱定着処理される。未定着ト
ナーtnは、定着ニップ部Nを通過後、冷却されて定着
トナーtn'となる。
有させたトナーを使用したため、定着装置100にオフ
セット防止のためのオイル塗布機構を設けていない。低
軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合に
は、オイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質
を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷
却分離を行ってもよい。
給電を遮断するための温度検知素子であるサーモスイッ
チ50は、定着フィルム10外面の発熱域H(図6)の
対向位置に非接触に配設している。サーモスイッチ50
と定着フィルム10との間の距離は約2mmとした。こ
れにより、定着フィルム10にサーモスイッチ50の接
触による傷が付くことがなく、耐久的な使用による定着
画像の劣化を防止することができる。
の回路図である。サーモスイッチ50は、この熱暴走防
止回路に組み込まれている。サーモスイッチ50は24
VのDC電源とリレースイッチ70と直列に接続されて
いる。サーモスイッチ50が切れると、リレースイッチ
70への給電が遮断され、リレースイッチ70が動作し
て励磁回路27への給電が遮断されることにより、励磁
コイル18への給電を遮断する構成をとっている。
定着装置100の熱暴走時に、定着ニップ部Nに被記録
材Pが挟まった状態で定着装置100が停止し、励磁コ
イル18に給電が続けられ定着フィルム10が発熱し続
けた場合でも、定着ニップ部Nで発熱する構成とは違
い、被記録材Pが挟まっている定着ニップ部Nでは発熱
しないので、被記録材Pが直接加熱されることがない。
また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイッチ50
が配設してあるため、サーモスイッチ50が異常な昇温
を感知してオープンになった時点で、リレースイッチ7
0により励磁コイル18への給電が遮断される。本実施
例によれば、紙の発火温度は約400℃近辺であるため
紙が発火することなく、定着フィルム10の発熱を停止
することができる。サーモスイッチの他に、温度ヒュー
ズを用いても良い。
用いられる各部材について説明する。
輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれ
ぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束
線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成して
いる。
10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆
を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリ
イミドなどの被覆を用いるとよい。励磁コイル18は外
部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
定着フィルム10の曲面に沿うよう形成されている。ま
た、定着フィルム10の発熱層と励磁コイル18との間
の距離は、約2mmになるように設定した。
れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール
樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリ
エーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP
樹脂などを選択するとよい。
コイル18と、定着フィルム10の発熱層との間の距離
はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高くなる。
この距離は5mm以下であれば、定着フィルムが高効率
に磁束を吸収することができるため、好ましい。この距
離が上記範囲よりも大きい場合には、磁束の吸収効率が
著しく低下してしまうため、好ましくない。また、定着
フィルム10の発熱層と励磁コイル18の距離が5mm
以内であれば、この距離は一定である必要はない。
の引き出されている18a・18bについては、束線の
外側に絶縁被覆を施している。
材) 図8は、本実施例における加熱部材としての定着フィル
ム10の層構成模型図である。本実施例の定着フィルム
10は、基層となる電磁誘導発熱性の金属フィルム等で
できた発熱層10aと、その外面に積層した弾性層10
bと、その外面に積層した離型層10cの複合構造のも
のである。発熱層10aと弾性層10bとの間の接着、
弾性層10bと離型層10cとの間の接着のために、各
層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。なお、
図8において、略円筒形状である定着フィルム10にお
いて、発熱層10aが摺動部材40と接触する内側であ
り、離型層10cが加圧ローラもしくは被記録材(被加
熱材)と接触する外側である。
が作用することにより、発熱層10aに渦電流が発生し
て発熱層10aが発熱する。その熱が弾性層10b・離
型層10cに伝達されて、定着フィルム全体が加熱さ
れ、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱して
トナー画像の加熱定着がなされる。
ることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。こ
のような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステ
ンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった
強磁性体の金属が好ましく用いられる。また、定着フィ
ルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属
疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部
材を用いるのも良い。
表皮深さσ[m]より厚く、かつ200μm以下にする
ことが好ましい。発熱層10aの厚さをこの範囲とすれ
ば、発熱層10aが電磁波を効率よく吸収することがで
きるため、効率良く発熱させることができる。
0aの透磁率、ρは発熱層10aの固有抵抗[Ωm]で
ある。
磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところで
は電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと
殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図
10に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
〜100μmがよい。発熱層10aの厚みが上記範囲よ
りも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収し
きれないため効率が悪くなる。また、発熱層10aが上
記範囲よりも厚い場合には、発熱層10aの剛性が高く
なりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用する
には現実的でなくなる。
ロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が
好ましく用いられる。
証するために10〜500μmであることが好ましい。
カラー画像を印刷する場合、特に写真画像などでは、被
記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成され
る。この場合、被記録材Pの凹凸あるいは未定着トナー
tnの凹凸に加熱面(離型層10c)が追従できないと
加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画
像に光沢ムラが発生する。すなわち、伝熱量が多い部分
は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低く
なる。弾性層10bの厚さが上記範囲よりも小さい場合
には、上記離型層10cが被記録材Pあるいは未定着ト
ナーtnの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生し
てしまう。また、弾性層10bが上記範囲よりも大きす
ぎる場合には、弾性層の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイ
ックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層b
の厚さは、より好ましくは50〜500μmが良い。
材Pあるいは未定着トナーtnの凹凸に追従しきれず画
像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層10bの
硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましく
は45゜(JIS−A)以下がよい。
0-1〜8.4×10-1W/m・℃であることが好まし
い。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵
抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層10
c)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範
囲よりも大きい場合には、弾性層bの硬度が高くなりす
ぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好まし
くは3.3×10-1〜6.3×10-1W/m・℃が良
い。
ロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PF
A、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料
を用いることが好ましい。
ましい。離型層10cの厚さが上記範囲よりも薄い場合
には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生し
たり、耐久性が不足するといった問題が発生する。ま
た、離型層が上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪
化する。特に、離型層10cに樹脂系の材質を用いた場
合は、離型層10cの硬度が高くなりすぎて、弾性層1
0bの効果がなくなってしまう。
において、発熱層10aの摺動部材40との接触面側に
断熱層10dを設けてもよい。断熱層10dとしては、
フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリア
ミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹
脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱
樹脂がよい。また、断熱層10dの厚さとしては10〜
1000μmが好ましい。断熱層10dの厚さが10μ
mよりも薄い場合には断熱効果が得られず、また、耐久
性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア
17a・17b・17c及び励磁コイル18から発熱層
10aまでの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1
0aに吸収されなくなる。断熱層10dは、発熱層10
aに発生した熱が定着フィルムの内側に向かわないよう
に断熱できるので、断熱層10dがない場合と比較して
被記録材Pへの熱供給効率が良くなる。よって、消費電
力を抑えることができる。
構成すれば、摺動部材40と定着フィルム10との摺動
抵抗を軽減することができる。
げ工程における温調制御について説明する。制御は制御
回路部200(図2)により実行される。
シーケンス制御を司る。そしてこの制御回路200は、
定着装置100の目標温度への昇温に要する時間を予測
する昇温時間予測手段と、プリント信号受信後における
定着装置100の昇温開始タイミングを制御する昇温開
始タイミング制御手段を有し、昇温開始タイミング制御
手段は、昇温時間予測手段の予測結果に基づき、定着装
置100の昇温開始タイミングを決定する。
程における定着フィルム温度と、温調制御の目標温度設
定と、定着装置への被記録材到達タイミングを示した概
略図である。図12は制御回路200が行う制御シーケ
ンスのフロー図である。
機中は予熱を行わないよう温調Offとしているが、予
熱を行っても構わない。
画像形成動作を開始する。第1の昇温工程では、画像形
成動作開始と同時に、定着装置への電力供給を開始す
る。第1の昇温工程の開始タイミングは、プリント信号
受信後以降に行えばよく、画像形成動作開始と同時とす
ることに限るものではない。定着装置は目標温度を目指
して昇温を開始するが、本実施例においては、第1の昇
温工程の目標温度は、被記録材上のトナー定着時に用い
る定着温度Tfとしている。そして、定着装置への電力
供給開始から定着温度Tfまで昇温するのに要した時間
twuを測定する。目標温度到達後、第1の昇温工程を終
了する。
を決定する。本実施例では、第1の昇温工程における昇
温時間より、第2の昇温工程における定着装置の昇温時
間を予測することを特徴とする。
標温度を、第2の昇温工程と同じ定着温度Tfとし、第
1の昇温工程において定着温度Tfまでの昇温に要する
時間t wuを測定している。昇温時間twuには、周囲の環
境温度や入力電圧や定着装置の暖まり具合といった定着
装置の昇温に関係する要素が反映されている。第2の昇
温工程に要する時間は、第1の昇温工程により定着装置
が暖まることを考慮すると、第1の昇温工程における昇
温時間twu以下となる。よって、第2の昇温工程に要す
る時間としてtwu確保することにより、確実に定着温度
Tfまで昇温させることができる。
の実施可否および実施時間toffは、以下に述べる計算
式により決定される。
理を行うまでの時間をtp、第1の昇温に要した時間を
twu、非加熱工程を行う時間をtoff、第2の昇温に割
り当てる時間をtwu、定着温調工程開始から被記録材が
定着ニップに突入するまでの時間的余裕をtαとすれ
ば、 tp=twu+toff+twu+tα …(1) の関係が成立する。非加熱工程を実施するには、(1)
式より、 toff=tp−(2twu+tα)>0 …(2) の関係を満たす必要がある。
wuが、 twu<(tp−tα)/2 …(3) を満たしていれば、非加熱工程を実施することが可能と
なる。
合、非加熱工程を実施すると第2の昇温工程が時間的に
間に合わないため、非加熱工程は実施せずに定着温調工
程に移る。
工程の時間toffは、(2)式より算出される時間とな
る。
度も繰り返される場合、定着装置が暖まって昇温時間t
wuが短くなるので、非加熱工程の時間toffを長くして
いくことができる。また、OHPフィルム定着時のよう
なプロセス速度が遅く、被記録材搬送時間tpが長い場
合にも、非加熱工程の時間toffを長くすることができ
る。
する。この工程では、定着装置への電力供給を停止し、
定着装置を非加熱状態とする。この非加熱工程の時間t
offは、第1の昇温工程の終了タイミングから後述する
第2の昇温工程開始タイミングまでの時間である。非加
熱工程の時間toffが長いほど、加圧ローラの昇温を抑
制できる。また、画像形成装置の機内昇温の抑制や、消
費電力を低減することもできる。
する。第2の昇温工程における目標温度は、定着温度T
fである。第2の昇温工程には、先に計測した昇温時間
tw uが割り当てられる。
施する。定着温調工程では、定着温調工程開始から被記
録材が定着ニップに突入するまでに、時間的余裕tαを
設けている。この間に昇温直後の温度のオーバーシュー
トや制御振動を抑えることができ、定着装置の温度を安
定させてから被記録材を定着することができる。そし
て、定着フィルムを定着温度Tfに維持し、被記録材が
定着装置に搬送された後、被記録材上の未定着トナー像
を定着する。
立上げ工程における加圧ローラの過昇温を抑制できるの
で、被記録材のスリップを防止でき、被記録材の搬送安
定化や定着画像の高品質化を図ることが可能となる。ま
た、消費電力の低減や機内昇温の低減といった省エネ効
果も図ることができる。
おける、プリント開始時の定着装置の立上げ工程におけ
る温調制御について説明する。画像形成装置および定着
装置の構成は、第1の実施例と同一である。
程における定着フィルム温度と、温調制御の目標温度設
定と、定着装置への被記録材到達タイミングを示した概
略図である。図14は制御回路200が行う制御シーケ
ンスのフロー図である。
昇温工程、定着温調工程における温調制御は、第1の実
施例と同一なので、説明を省略する。
装置への電力供給を停止させる非加熱工程を設ける代わ
りに、目標温度を定着温度Tfよりも低い温度Tlowで温
調する低温調工程を設けることを特徴とする。低温調工
程の実施の可否および実施時間tlowの算出方法は、実
施例1の非加熱工程の場合と同一である。これにより、
低温調工程において定着装置が過度に冷却されても、定
着装置の最低下限温度が保証される。よって、画像形成
装置を取り巻く環境温度の変動によらず、第2の昇温工
程を所定時間内に確実に完了させることができる。
調工程における目標温度Tlowは低い方が好ましい。ま
た、本実施例ではプリント待機中の予熱を行わないが、
予熱を行う画像形成装置および定着装置の場合には、低
温調工程での目標温度Tlowは予熱時の目標温度として
も良い。
立上げ工程における加圧ローラの過昇温を抑制できる。
おけるプリント開始時の定着装置の立上げ工程における
温調制御について説明する。画像形成装置および定着装
置の構成は、第1の実施例と同一である。
程における定着フィルム温度と、温調制御の目標温度設
定と、定着装置への被記録材到達タイミングを示した概
略図である。図16は制御回路200が行う制御シーケ
ンスのフロー図である。
温速度を求めることにより、第2の昇温工程での昇温時
間を算出することを特徴とする。昇温速度には、周囲の
環境温度や入力電圧といった定着装置の昇温に関係する
要素が反映されている。
同様に、第1の昇温工程を行う。本実施例では、第1の
昇温工程における目標温度を定着温度Tfよりも低い温
度Tp reに設定している。これにより、第1の昇温工程
の時間を短縮でき、加圧ローラの昇温をさらに抑制する
ことができる。
第1の昇温工程開始時の温度T1からTpreまで昇温する
のに要した時間tpreと昇温速度ΔT/Δtを測定す
る。そして昇温時間tpreと昇温速度ΔT/Δtより、以
下に述べる式に従って、非加熱工程実施の可否を判断す
る。
時間をtoff、昇温速度ΔT/Δtに基づいて算出される
定着温度までの昇温時間をtcalc、定着温調工程開始か
ら被記録材が定着ニップに突入するまでの時間的余裕を
tαとすれば、 tp=tpre+toff+tcalc+tα …(4) の関係が成立する。ここでのtcalcは、第1の昇温工程
終了時の定着フィルム温度はTpreであることより、 tcalc=(Tf−Tpre)/(ΔT/Δt) …(5) と表される。
り、 toff=tp−(tpre+tcalc+tα)>0 …(6) を満たす必要がある。すなわち(5)式と(6)式よ
り、昇温速度ΔT/Δtと昇温時間tpreが、 (Tf−Tpre)/(ΔT/Δt)+tpre<tp−tα …(7) を満たしていれば、非加熱工程を実施できる。
(7)式を満たせない場合、被記録材の定着ニップ突入
までに時間的余裕がないため、非加熱工程を実施しな
い。この場合、目標温度を直ちにTpreから定着温度Tf
に切り替えて昇温を継続させ、定着温度Tfに達した時
点で定着温調工程を実施する。
(7)式を満たしている場合、第1の昇温工程終了後、
非加熱工程を実施する。この非加熱工程の時間t
offは、第1の昇温工程の終了タイミングから後述する
第2の昇温工程開始タイミングまでの時間であり、第2
の昇温工程開始タイミングにより、その長さが決定され
る。本実施例における第2の昇温工程開始タイミング
は、第1の昇温工程における昇温時間tpreと、昇温速
度ΔT/Δtと、非加熱工程における定着フィルム温度
Tに基づいて決定される。
より、 tcalc<tp−tpre−tα …(8) の関係が成立している。
程の時間の経過と共に0から増加していくパラメータで
あるtoffが加わることを考慮すると、 toff+tcalc<tp−tpre−tα …(9) の関係が成立する。ただし、この時点では、toffは0
である。
tcalcの変化を考える。(9)式の左辺のtoffは、非
加熱工程の時間であるから、時間の経過と共に0から増
加していく。また(9)式の左辺のtcalcは、非加熱工
程終了時の定着フィルム温度をTとすれば、 tcalc=(Tf−T)/(ΔT/Δt) …(10) と算出される。非加熱工程の時間の経過と共に、定着フ
ィルム温度TはTpreよりも低下していくため、(1
0)式よりtcalcは増加していく。
offとtcalcの2項の和からなる(9)式の左辺は増加
していく。
ち第2の昇温工程を開始するタイミングは、非加熱工程
の時間toffと定着フィルム温度Tの変化をモニター
し、to ffとtcalcの2つの項が toff+tcalc≧tp−tpre−tα …(11) の式を初めて満たすタイミングとすればよい。この時の
定着フィルム温度をT2とすれば、tcalcは、 tcalc=(Tf−T2)/(ΔT/Δt) …(12) と表せる。
する。第2の昇温工程における目標温度は、定着温度T
fである。第2の昇温工程には、(12)式に従って算
出された昇温時間tcalcが割り当てられる。
施する。定着温調工程では、定着温調工程開始から被記
録材が定着ニップに突入するまでに時間tαの余裕が設
けられている。この時間を利用して昇温後の定着フィル
ム温度のオーバーシュート等を収束させ、定着フィルム
温度を安定させる。そして、定着フィルムを定着温度T
fに維持し、被記録材が定着装置に搬送された後、被記
録材上の未定着トナー像を定着する。
立上げ工程における加圧ローラの過昇温を抑制できる。
また消費電力の低減や機内昇温の低減といった省エネ効
果も図ることができる。
フィルム加熱方式の装置を採用しているが、本発明にお
いて定着装置はこれに限られるものではない。発熱手段
としてセラミックヒータを用いたフィルム加熱方式の装
置であってもよい。熱ローラ方式の装置であってもよ
い。
着トナー像の形成原理・プロセスに限定はなく任意であ
る。転写方式でも直接方式でもよい。
材を安定して搬送することが可能となる。また、消費電
力の低減や機内昇温の低減といった省エネ効果も図るこ
とができる。
略図
型図
から見た正面模型図
線に沿った断面模型図
に沿った断面を示す斜視模型図
ラフ
ける温調制御を示した概略図
ける温調制御を示した概略図
ける温調制御を示した概略図
調制御を示した概略図
0d…断熱層、10…定着フィルム、16a・16b…
フィルムガイド、17…磁性コア、18…励磁コイル、
22…加圧用剛性ステイ、23…フランジ部材、25…
加圧バネ、26…温度検知素子、27…励磁回路、30
…加圧ローラ、50…サーモスイッチ、100…定着装
置、101…感光ドラム、102…帯電装置、103…
レーザ光、104…現像器、105…中間転写ドラム、
106…転写ローラ、107…クリーナ、C…交番磁
束、H…発熱域、M…駆動手段、N…ニップ部、P…被
記録材、tn…未定着トナー、tn'…定着トナー、T
1…一次転写部、T2…二次転写部
Claims (22)
- 【請求項1】被記録材上に未定着トナー像を形成する画
像形成手段と、前記被記録材上の未定着トナー像を加熱
定着処理する加熱定着手段を有する画像形成装置におい
て、前記加熱定着手段の目標温度への昇温に要する時間
を予測する昇温時間予測手段と、プリント信号受信後に
おける前記加熱定着手段の昇温開始タイミングを制御す
る昇温開始タイミング制御手段を有し、前記昇温開始タ
イミング制御手段は、前記昇温時間予測手段の予測結果
に基づき、前記加熱定着手段の昇温開始タイミングを決
定することを特徴とする画像形成装置。 - 【請求項2】加熱定着手段の昇温開始タイミングは、画
像形成装置のプリント信号受信後から加熱定着処理前ま
での間で設定可能であって、加熱定着手段が加熱定着処
理までに目標温度まで昇温できるように決定されること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 【請求項3】定着可能温度で温調され加熱定着処理を行
う加熱定着手段は、画像形成装置のプリント信号受信後
から加熱定着処理前までの間において、定着可能温度よ
りも低い温度で温調する低温調工程もしくは加熱定着手
段を加熱しない非加熱工程を行うことを特徴とする請求
項1または2に記載の画像形成装置。 - 【請求項4】画像形成装置のプリント信号受信後から加
熱定着処理前までの間において、画像形成装置は前記低
温調工程もしくは前記非加熱工程を挟んで加熱定着手段
の昇温を複数回行い、このうち少なくとも最後に行われ
る昇温は目標温度を定着可能温度とし加熱定着処理に備
えるものであって、少なくとも最後に行われる昇温の昇
温開始タイミングは昇温開始タイミング制御手段により
決定されることを特徴とする請求項3に記載の画像形成
装置。 - 【請求項5】昇温時間予測手段は、プリント信号受信後
に加熱定着手段を一旦昇温させ、この昇温挙動より、最
後の昇温に要する時間を予測することを特徴とする請求
項4に記載の画像形成装置。 - 【請求項6】画像形成装置は、プリント信号受信後に加
熱定着手段を一旦定着可能温度まで昇温させることを特
徴とする請求項5に記載の画像形成装置。 - 【請求項7】画像形成装置はプリント信号受信後に前記
加熱定着手段を一旦定着可能温度よりも低いまで昇温さ
せることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。 - 【請求項8】加熱定着手段は、回転可能で被記録材を加
熱せしめる回転加熱部材と、これと共にニップを形成し
て被記録材を加熱加圧せしめる回転加圧部材と、前記回
転加熱部材を昇温させるための発熱手段より構成される
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載
の画像形成装置。 - 【請求項9】前記回転加熱部材は、円筒状フィルムであ
ることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。 - 【請求項10】前記回転加熱部材は、回転加圧部材に従
動して駆動されることを特徴とする請求項8または9に
記載の画像形成装置。 - 【請求項11】前記回転加熱部材は導電部材を有し、前
記回転加熱部材を発熱させる発熱手段は励磁コイルを含
む磁場発生手段であり、前記導電部材に前記磁場発生手
段からの交番磁場を作用させて渦電流を発生させること
により前記回転加熱部材を発熱させることを特徴とする
請求項8から10のいずれか1項に記載の画像形成装
置。 - 【請求項12】画像形成手段から導入される被記録材上
の未定着トナー像を加熱定着処理する定着装置におい
て、定着装置の目標温度への昇温に要する時間を予測す
る昇温時間予測手段と、画像形成手段のプリント信号受
信後における定着装置の昇温開始タイミングを制御する
昇温開始タイミング制御手段を有し、前記昇温開始タイ
ミング制御手段は、前記昇温時間予測手段の予測結果に
基づき、定着装置の昇温開始タイミングを決定すること
を特徴とする定着装置。 - 【請求項13】定着装置の昇温開始タイミングは、画像
形成手段のプリント信号受信後から加熱定着処理前まで
の間で設定可能であって、定着装置が加熱定着処理まで
に目標温度まで昇温できるように決定されることを特徴
とする請求項12に記載の定着装置。 - 【請求項14】画像形成手段のプリント信号受信後から
加熱定着処理前までの間において、定着装置を定着可能
温度よりも低い温度で温調する低温調工程もしくは加熱
しない非加熱工程を行うことを特徴とする請求項12ま
たは13に記載の定着装置。 - 【請求項15】画像形成手段のプリント信号受信後から
加熱定着処理前までの間において、前記低温調工程もし
くは前記非加熱工程を挟んで定着装置の昇温を複数回行
い、このうち少なくとも最後に行われる昇温は目標温度
を定着可能温度とし加熱定着処理に備えるものであっ
て、少なくとも最後に行われる昇温の昇温開始タイミン
グは昇温開始タイミング制御手段により決定されること
を特徴とする請求項14に記載の定着装置。 - 【請求項16】昇温時間予測手段は、プリント信号受信
後に加熱定着手段を一旦昇温させ、この昇温挙動より、
最後の昇温に要する時間を予測することを特徴とする請
求項15に記載の定着装置。 - 【請求項17】プリント信号受信後に定着装置を一旦定
着可能温度まで昇温させることを特徴とする請求項16
に記載の定着装置。 - 【請求項18】プリント信号受信後に定着装置を一旦定
着可能温度よりも低いまで昇温させることを特徴とする
請求項16に記載の定着装置。 - 【請求項19】定着装置は、回転可能で被記録材を加熱
せしめる回転加熱部材と、これと共にニップを形成して
被記録材を加熱加圧せしめる回転加圧部材と、前記回転
加熱部材を昇温させるための発熱手段より構成されるこ
とを特徴とする請求項12から18のいずれか1項に記
載の定着装置。 - 【請求項20】前記回転加熱部材は、円筒状フィルムで
あることを特徴とする請求項19に記載の定着装置。 - 【請求項21】前記回転加熱部材は、回転加圧部材に従
動して駆動されることを特徴とする請求項19または2
0に記載の定着装置。 - 【請求項22】前記回転加熱部材は導電部材を有し、前
記回転加熱部材を発熱させる発熱手段は励磁コイルを含
む磁場発生手段であり、前記導電部材に前記磁場発生手
段からの交番磁場を作用させて渦電流を発生させること
により前記回転加熱部材を発熱させることを特徴とする
請求項19から21のいずれか1項に記載の定着装置。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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