JP2004045611A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被記録材Pを加熱しながら搬送する加熱手段100と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段130・131と、機内の気体を機外へ排気する排気手段140と、前記排気手段の動作を制御する排気制御手段151を有する画像形成装置において、被記録材のカールと排紙手段による光沢ムラを低コストで防止する。
【解決手段】1.画像形成中に排気手段140を停止させる。2.画像形成前に加熱手段100を温調空回転させる。3.加熱手段100の温調を、被記録材が加熱手段100に搬送されるまでの間、定着時の温調温度よりも高くする。
【選択図】図1
【解決手段】1.画像形成中に排気手段140を停止させる。2.画像形成前に加熱手段100を温調空回転させる。3.加熱手段100の温調を、被記録材が加熱手段100に搬送されるまでの間、定着時の温調温度よりも高くする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置にあっては、適宜の画像形成プロセスによって、加熱溶融性の樹脂等からなるトナーを用いて被記録材の面に直接若しくは間接方式で未定着トナー画像を形成し、前記未定着トナー画像を加熱手段たる定着装置によって被記録材の面に永久固着画像として加熱定着処理を施す画像形成装置が知られており、実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
画像形成装置を構成する各装置、例えば現像装置や転写装置や定着装置の配置構成は、画像形成装置のユーザビリティーや省スペース化などを考慮して決定される。その構成上、被記録材の搬送経路の一部を曲線経路とすることが多く、さらに場所によっては、曲線経路の曲率半径も比較的小さくとらねばならない場合がある。定着装置通過後の排紙部の搬送経路においても例外ではない。
【0004】
従来の画像形成装置では、定着装置下流の排紙部における被記録材の搬送経路が曲線で形成されている場合、被記録材が通紙方向に湾曲してしまうカールという現象が発生しやすい問題があった。
【0005】
これは、定着装置で加熱されて昇温した被記録材が、排紙部の搬送経路に沿って曲がった状態で冷却されて固まっていくためである。被記録材は、排紙部の搬送ローラや搬送コロ等の搬送部材に接触して熱を奪われるため、局所的に冷却されやすく、被記録材が曲がった状態で急激に冷却されてやすい。
【0006】
特に、本体電源投入直後のような、排紙部が十分に暖まっていない状態では、被記録材のカールが発生しやすい。また、被記録材の搬送速度が遅いほど、排紙部において冷却されやすいため、被記録材のカールが発生しやすい。さらに、被記録材の材質が、OHPフィルムやグロスフィルムといった熱可塑性の樹脂で構成されている場合、被記録材のカールが発生しやすい。
【0007】
また、排紙部の搬送経路の形状に関係なく、被記録材上の定着トナー画像面が排紙部の搬送ローラや搬送コロといった搬送部材に接触することにより、接触部の定着トナー画像面が局所的に冷却され、搬送部材の接触した跡が光沢ムラとして定着トナー画像に現われてしまい、画像品質を低下させる問題もあった。
【0008】
ところで、近年では、クイックスタートや省エネルギーの観点から、定着装置の加熱方法として加熱源にハロゲンヒータ等を用いた熱ローラ方式に代わり、加熱源にセラミックヒータや電磁誘導加熱を用いたフィルム加熱方式が実用化されている。
【0009】
このフィルム加熱方式の定着装置は、低熱容量の部材を定着フィルムとして用いて予熱不要のオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすれば良いため、スタンバイ時の消費電力を大幅に削減できる利点がある。また、昇温速度が速いため、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間も削減できる。
【0010】
しかしながら、上記の加熱方式を採用した従来の画像形成装置では、待機中に定着装置の予熱を行わない上に、電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間も短いため、定着装置下流の排紙部の温度が比較的冷えた状態で被記録材が通紙されることが多く、熱ローラ方式に比べ、前述のカールや光沢ムラがさらに発生しやすい問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、低コストで被記録材のカールおよび光沢ムラを抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0013】
(1)被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段と、機内の気体を機外へ排気する排気手段と、前記排気手段の動作を制御する排気制御手段を有する画像形成装置において、画像形成動作開始後の前記加熱手段の発熱中に、前記排気制御手段は前記排気手段を所定の速度にて動作させる第1のモードと、前記排気手段の動作を第1のモードよりも弱めるもしくは停止させる第2のモードとを選択可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(2)被記録材の搬送速度を複数有し、前記排気制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(3)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記排気制御手段は被記録材の種類に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(2)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0016】
(4)前記排気制御手段は被記録材の通紙枚数に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0017】
(5)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0018】
(6)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御することを特徴とする(1)から(5)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
(7)画像形成信号を受信後に画像形成開始時期を決定する画像形成開始決定手段と、被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、画像形成開始決定手段は画像形成開始時期を遅らせることにより画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの時間を延長させ、さらに前記温調制御手段は画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの温調時間を延長させることを特徴とする画像形成装置。
【0020】
(8)被記録材の搬送速度を複数有し、前記画像形成開始決定手段は被記録材の搬送速度に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)に記載の画像形成装置。
【0021】
(9)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記画像形成開始決定手段は被記録材の種類に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(8)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0022】
(10)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(9)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0023】
(11)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(10)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0024】
(12)被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、前記温調制御手段は画像形成動作開始から被記録材が加熱手段に到達するまでの間、前記加熱手段の温度を被記録材加熱時の温度よりも高く設定することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(13)被記録材の搬送速度を複数有し、前記温調制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)に記載の画像形成装置。
【0026】
(14)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記温調制御手段は被記録材の種類に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(13)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0027】
(15)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(14)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0028】
(16)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(15)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0029】
(17)前記排紙手段における被記録材の搬送経路が、前記加熱手段の被記録材加熱部から搬送方向下流側に被記録材の通紙方向の長さに渡る領域において、直線ではない部分を有することを特徴とする(1)から(16)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0030】
(18)前記排紙手段が、画像形成装置内において前記加熱手段よりも上方に位置することを特徴とする(1)から(17)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0031】
(19)前記加熱手段は、画像形成装置の待機中に予熱を必要としないことを特徴とする(1)から(18)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0032】
(20)前記加熱手段は、加熱部材として定着フィルムを用いていることを特徴する(19)に記載の画像形成装置。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、図面に則して詳しく説明する。
【0034】
<第1の実施形態例>
(1)画像形成装置の概略構成
本実施形態の画像形成装置は、インライン方式のフルカラーレーザープリンタである。図1に示すように、本実施形態の画像装置は、ユーザビリティーの向上・設置面積の低減のため、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成ステーションY,M,C,Kを転写搬送ベルト117の平面部に沿って鉛直方向に並置した構成を備えている。転写搬送ベルト117は、駆動ローラ120、転写前帯電対向ローラ119、テンションローラ118a、118bの各ローラに巻架されている。
【0035】
画像形成装置は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各画像形成ステーションY,M,C,Kにおいて、像担持体である感光ドラム111Y、111M、111C、111Kに対して帯電装置112Y、112M、112C、112Kにより均一帯電を行った後に、露光装置113Y、113M、113C、113Kにより、各々の感光ドラム111Y、111M、111C、111Kに各色の色情報に応じた潜像を形成する。その後、現像装置114Y、114M、114C,114Kにより各潜像を現像剤により未定着トナー画像として可視化する。
【0036】
一方、被記録材Pは給紙カセット110からピックアップローラ121によって画像形成装置内に送り出される。その後、被記録材Pは画像形成動作と被記録材Pの搬送との同期をとるためのレジストローラ122a及びレジスト対向ローラ122bに一旦挟持された後、被記録材Pと搬送ベルト117との吸着と転写前帯電がおこなわれる転写前帯電部に導かれる。
【0037】
転写前帯電部では、転写前帯電ローラ123が搬送ベルト117を介して転写前帯電対向ローラ119と対向し、搬送ベルト117及び被記録材Pを挟持するよう構成されている。転写前帯電ローラ123には不図示の高圧電源より電圧が印加されることによって、被記録材Pに電荷が付与され、電荷を付与された被記録材Pは転写搬送ベルト117を分極することによって転写搬送ベルト117に静電吸着され、搬送されていく。
【0038】
各々感光ドラム111Y、111M、111C、111K上に現像された未定着トナー画像は、各々の不図示の高圧電源に接続された転写装置115Y、115M、115C、115Kにより、転写搬送ベルト117上の被記録材Pに転写される。そして、未定着トナー画像を転写された被記録材Pは定着装置100に搬送され、未定着トナー画像が定着される。
【0039】
被記録材Pに対する未定着トナー画像転写後の各感光ドラム111Y、111M、111C、111Kの面は各々のクリーニング装置116Y、116M、116C、116Kにより転写残トナー等の残留物の除去を受けて清浄面化されて繰返して作像に供される。
【0040】
定着装置100を抜けた被記録材Pは、排紙手段としての排紙ローラ130・131を抜けて、機外の排紙トレー150へ排出される。排紙ローラ130・131は、定着ニップN通過後の被記録材Pを確実に機外へ搬送するために、定着装置100の定着ニップNから被記録材Pの通紙方向長さ内に収まるよう配置されている。
【0041】
定着装置100通過後の搬送経路は、画像形成装置の省スペース化の観点から、画像形成装置の高さを抑え、さらに排紙された被記録材Pの積載場所である排紙トレー150を画像形成装置本体上に収めるために、排紙ローラ130・131の配置によって矢印Rのように曲線で構成される。
【0042】
本実施形態の画像形成装置には、定着装置100からの熱による機内の昇温を防止するため、排気手段として、機内の気体を機外へ排出する排気ファン140が設けられている。本実施形態では、定着装置100の被記録材搬送方向上流あたりから矢印Qの方向に排気ファン140で機内の気体を吸引し、機外へ排気する構成としている。排気ファン140の設置場所は、これに限るものではない。
【0043】
排気ファン140は、少なくとも定着装置100が発熱している場合に作動させることにより画像形成装置内の昇温を防ぐものであるが、本発明では、排紙手段としての排紙ローラ130・131が冷えていると判断もしくは推測される場合に、画像形成中も排気ファン140の動作を停止させることを特徴とする。
【0044】
排気ファン140を停止させることにより、定着装置100からの放熱を利用して排紙部の排紙ローラ130・131の温度を上昇させることができる。特に、本実施形態の画像形成装置のように、排紙手段としての排紙ローラ130・131が加熱手段である定着装置100よりも上方に位置する構成では、定着装置100の熱で昇温した気体が上方へ移動するため、排気ファン140の動作停止による排紙部の昇温効果は大きい。排気ファン140の制御については、後述の(4)で説明する。
【0045】
(2)定着装置100
本実施形態の画像形成装置に搭載される定着装置100は、加熱部材として電磁誘導発熱性の円筒状の定着フィルムを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置である。この定着装置は昇温速度が速く、待機中に予熱を必要としないことを特徴とする。
【0046】
(2−A)定着装置100の概略構成
図2は本実施形態例における加熱手段としての定着装置100の要部の横断面側面模型図、図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断面正面模型図である。
【0047】
定着装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状の電磁誘導発熱性の定着フィルム10と、フィルムガイド部材16との間に定着フィルム10を挟んでニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0048】
円筒状のフィルムガイド部材(フィルム支持部材)16は、左右一対の横断面略半円弧状桶型半体16aと16bとを互いに開口部を向かい合わせて組み合わせることで円筒体を構成させてある。図2中で右側のフィルムガイド部材半体16aの内側には、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を配設して保持させてある。
【0049】
加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成型被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性弾性材層30bとで構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0050】
定着フィルム10を外嵌させたフィルムガイド部材16は加圧ローラ30の上側に配置され、フィルムガイド部材16内に挿通して配設した加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、フィルムガイド部材16の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0051】
加圧ローラ30は駆動手段M(図2)により矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、定着フィルム10の内周面が定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0052】
定着ニップ部Nにおけるフィルムガイド部材16の下面と定着フィルム10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、フィルムガイド部材16の下面の定着ニップ部Nに対応する面部分には、耐熱性・低摩擦性の摺動部材40を配設してある。摺動部材40は、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本実施形態では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを配設している。
【0053】
この摺動部材40は、少なくとも定着ニップ部Nの長さと幅に対応する長さと幅を有する帯板状あるいはテープ状の部材であり、本例ではフィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0054】
さらに、摺動部材40と定着フィルム10内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0055】
また、図2に示す右側のフィルムガイド部材半体16aの周面には、図5に示すように、その長手方向に所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、フィルムガイド部材半体16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eは図中左側のフィルムガイド部材半体16bにも同様に形成具備することができる。
【0056】
23a・23bは円筒状のフィルムガイド部材16の手前側と奥側の端部に嵌着して配設したフランジ部材であり、定着フィルム10の回転時に定着フィルム10の端部を受けて、定着フィルム10のフィルムガイド部材16の長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材23a・23bは定着フィルム10の回転に従動で回転する構成にしてもよい。
【0057】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、励磁回路27(図5)から励磁コイル18への給電により発生する磁場の作用で加熱部材としての定着フィルム10が電磁誘導発熱して定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。この状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルムの外面に密着して定着フィルム10と一緒に挟持搬送されていく。
【0058】
被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材P上の加熱定着トナー画像tは定着ニップNを通過後、冷却して永久固着画像となる。
【0059】
本実施形態における定着装置100では、トナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、オフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合には、オイル塗布機構を設けても良い。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行っても良い。
【0060】
(2−B)磁場発生手段
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が良く、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのが良い。
【0061】
磁場発生手段を構成する励磁コイル18は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本実施形態では12回巻きで励磁コイルを形成している。
【0062】
絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイミド等の被覆を用いるとよい。本実施形態においては、ポリイミドによる被覆を用いており耐熱温度は220℃である。
【0063】
励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0064】
磁場発生手段17a・17b・17c・18と加圧用剛性ステイ22の間には、絶縁部材19を配設してある。絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂等を選択するとよい。
【0065】
図6は、磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0066】
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
【0067】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段としての温度検知素子26(図2)を含む不図示の温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知素子26は定着フィルム10の温度を検知する温度センサであり、本実施形態においてはサーミスタを用いている。
【0068】
(2−C)定着フィルム10
図7は、本実施形態における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0069】
本実施形態の定着フィルム10は、基層となる電磁誘導発熱性の金属フィルム等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0070】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間に不図示のプライマー層を設けてもよい。
【0071】
略円筒形状である定着フィルム10において、発熱層1が摺動部材40と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ若しくは被記録材と接触する外面側である。
【0072】
上述したように、発熱層1に交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱してトナー画像tの加熱定着がなされる。
【0073】
a.発熱層1
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
【0074】
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さσ[m]より厚く、且つ200μm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
【0075】
σ=(ρ/πfμ)1/2 …(1)
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、ρは発熱層1の固有抵抗[Ωm]である。
【0076】
この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図9に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
【0077】
発熱層1の厚さは、より好ましくは1〜100μmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、発熱層1の剛性が高くなりすぎ、又、屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0078】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
【0079】
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために10〜500μmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは50〜500μmが良い。
【0080】
弾性層2は、硬度が高すぎると被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
【0081】
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−1〜8.4×10−1W/m・℃であることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1W/m・℃が良い。
【0082】
c.離型層3
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
【0083】
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
【0084】
d.断熱層4
図8に示すように、定着フィルム10の構成において、発熱層1の摺動部材40との接触面側に断熱層4を設けてもよい。断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等の耐熱樹脂がよい。
【0085】
断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも薄い場合には断熱効果が得られず、又、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
【0086】
断熱層1は、発熱層1に発生した熱が定着フィルム10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層1がない場合と比較して被記録材Pへの熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0087】
又、断熱層10dを滑り性の良い材料で構成すれば、摺動部材40と定着フィルム10との摺動抵抗を軽減することができる。
【0088】
(3)排気ファン140の制御
本実施形態の画像形成装置は、加熱手段としての定着装置100の発熱中に、排気手段としての排気ファン140を所定の間停止させることにより、定着装置100からの放熱を利用して、排紙手段としての排紙ローラ130・131を暖めることを特徴とする。
【0089】
この排気ファン140の停止により得られる被記録材Pのカールと光沢ムラの防止効果と、排気ファン140本来の目的である機内昇温防止効果を両立させるため、以下に述べる排気ファン140の制御を行う。
【0090】
図1において、150は画像形成装置の制御回路部であり、画像形成装置の全体的なシーケンス制御を司る。151は排気ファン140の動作を制御する排気制御手段としてのコントローラであり、制御回路部150により制御される。
【0091】
図10は、本実施形態において制御回路部150が行う排気ファン140に関する制御を示すフローチャートである。
【0092】
まず、制御回路部150が不図示のコンピュータより画像形成信号ST(図1)を受信後(S11)、画像形成信号内の搬送速度に関する情報を確認する(S12)。
【0093】
本実施形態の画像形成装置は被記録材Pの搬送速度として、「通常速度」と通常速度の1/3の速さの「低速度」の2種類を有し、被記録材に応じて使い分けている。前者は普通紙、後者は熱容量の大きい厚紙やOHPフィルムに適用される。
【0094】
搬送速度が「通常速度」の場合、画像形成装置に設けられた排気制御手段としてのコントローラ151は、通紙枚数に関わらず排気ファン140を作動させて(S19)、画像形成を行う(S20)。
【0095】
そして、全ての画像形成が完了した時点で、排気ファン140を停止させて(S21)、画像形成動終了となる(S17)。
【0096】
「通常速度」では、比較的速度が早いために被記録材Pの熱が排紙ローラ130に奪われにくく、カールや光沢ムラが発生し難いため、画像形成中に排気ファン140を停止させる必要がない。
【0097】
逆に、「通常速度」では単位時間あたりの通紙枚数が多く、定着装置100は多量の熱供給を行う分、機内昇温が厳しくなるため、排気ファン140を作動させる必要がある。
【0098】
一方、搬送速度が「低速度」の場合、現在行おうとしている画像形成が、受信した画像形成信号中の何枚目の画像形成に相当するのか、すなわち被記録材の積算通紙枚数Nを確認する(S13)。
【0099】
この積算通紙枚数Nは画像形成終了後に0にリセットされる。1枚目に通紙される被記録材では、排紙ローラ130・131が冷えていることにより、被記録材のカールおよび光沢度および透過性のムラが発生しやすいが、通紙していくうちに定着装置100で加熱された被記録材Pが搬送されることで排紙ローラ130・131は昇温していくため、被記録材のカールおよび光沢ムラのレベルは徐々に良化していく傾向がある。
【0100】
そこで、被記録材Pの積算通紙枚数Nが5枚を超えるまでは、排気制御手段としてのコントローラ151は排紙ファン140を停止させて(S14)N枚目の画像形成を行う(S15)。
【0101】
本実施形態では、排紙ファン140を停止させているが、排紙ファン140の動作を弱める制御としても良い。
【0102】
N枚目の画像形成が完了後(S15)、N+1枚目の画像形成の有無を確認する(S16)。N+1枚目の画像形成が控えていなければ、画像形成終了となる(S17)。
【0103】
一方、N+1枚目の画像形成が控えていれば、積算通紙枚数Nに1を加算して(S18)、再び積算通紙枚数Nの確認を行って(S13)画像形成を繰り返していく。
【0104】
積算通紙枚数Nが5枚を超えてからは、機内昇温を抑制するため、通紙枚数に関わらず画像形成が完了するまで排気ファン140を作動させる(S19)。
【0105】
本発明の効果を、定着装置の排紙部が冷えている電源投入後においてOHTフィルムを連続10枚プリントし、そのカール量を測定することにより確認した。ここで述べるカール量は、OHTフィルムを水平な平面を有した盤上に載せた時の、OHTフィルムの4隅から平面に降ろした垂線長さのうちの最大値と定義した。この結果を図11に示す。図1に示す従来の制御とは、被記録材Pの搬送速度や通紙枚数に関わらず、常に排気ファン140を一定の速度で動作させるものである。
【0106】
図11から明らかなように、本実施形態の制御では、カール量が従来の制御よりも減少していることが分かる。これは、本制御により通紙枚数が5枚目に達するまで排紙ファン140が停止していたことにより、排紙部の排紙ローラ130・131が従来の制御の場合よりも昇温したためである。
【0107】
また、上述の評価に用いたサンプルのうち5枚目までをOHTフィルム画像を透過型プロジェクタにより投影し、排紙ローラによる透過性のムラのレベルを評価した。
【0108】
従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0109】
以上に述べた制御により、排気ファン140の本来の目的である機内昇温防止効果を損なうことなく、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材が通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0110】
本実施形態では、図10のフローチャートに示すように、搬送速度に応じて排気ファン140の制御を行っているが、同一の搬送速度の場合も被記録材Pの材質に応じて制御しても良い。
【0111】
例えば、OHPフィルムやグロスフィルムなどのような熱可塑性の樹脂で構成されている被記録材は、紙で構成された被記録材よりもカールが発生しやすい傾向がある。そこで例えば、搬送速度が同じ「低速度」でも、被記録材が厚紙の場合とOHPフィルムの場合とで、排気ファン140の停止時間を別々に設定しても良い。
【0112】
本実施形態では、通紙枚数により、排紙ローラ130・131の昇温度合いを予測して排気ファン140の制御を行っているが、定着装置100の温度検知素子26の検知結果を利用して排気ファン140の制御を行っても良い。
【0113】
例えば、定着装置100を発熱させる直前の温度検知素子26の検知結果を利用することによっても、定着装置100の暖気度合いや排紙部の排紙ローラ130・131の暖気度合いを予測することが可能である。
【0114】
また、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152(図1)を設け、その検知結果を制御回路部150にフィードバックしてその検知結果により排気ファン140の制御を行ってもよい。
【0115】
例えば、被記録材のカール・光沢ムラ防止の観点にたって、検知結果が所定温度未満である場合には排気ファン140を停止させ、所定温度以上である場合に排気ファン140を作動させる制御とする。この場合、排紙ローラ130・131の昇温状態を正確に把握できるので、より精度の高い排気ファン140の制御を行うことが可能となる。
【0116】
<第2の実施形態例>
本実施形態は、画像形成装置の制御において、画像形成信号受信後から画像形成動作の開始時期を遅らせることにより、定着装置100の温調時間を延長することを特徴とする。画像形成装置およびこれに具備された定着装置100の構成は、第1の実施形態例と同様であるので、再度の説明は省略する。
【0117】
本実施形態の画像形成装置の制御について、図12を用いて以下に説明する。図12は、本実施形態において、制御回路部150(図1)が行う画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【0118】
画像形成装置が不図示のコンピュータより画像形成信号ST(図1)を受信後(S31)、画像形成装置に設けられた温調制御手段としての温調装置(不図示)は、定着装置100の温調を開始させる(S32)。
【0119】
次に、画像形成信号内の搬送速度に関する情報を確認する(S33)。本実施形態の画像形成装置も第1の実施形態例と同様に、被記録材Pの搬送速度として「通常速度」と通常速度の1/3の速さである「低速度」の2種類を有し、被記録材に応じて使い分けている。前者は普通紙、後者は熱容量の大きい厚紙やOHPフィルムに適用される。
【0120】
搬送速度が「通常速度」の場合、画像形成装置に設けられた画像形成開始決定手段としての制御回路部150(図1)は、直ちに画像形成動作を開始させる(S36)。画像形成開始後、被記録材Pは、現像、転写、定着工程を経て、画像形成動作終了となる(S37)。
【0121】
一方、搬送速度が「低速度」の場合、画像形成信号受信後、画像形成開始決定手段としての制御回路部150(図1)は、まず定着装置100の温調が始まる前に、定着装置の温度検知素子26の温度Tを確認する(S34)。この温度Tが判定温度T0以上であれば、定着装置100が暖まっている、すなわち排紙部の搬送ローラ130・131も暖まっていると判断し、直ちに画像形成を開始させる。
【0122】
この温度Tが判定温度T0未満の場合、画像形成信号を受信後から所定の時間αを経過してから(S35)、画像形成を開始するように制御する(S36)。本実施例では、この判定温度T0を80℃に設定し、時間αを30秒に設定した。温調前の温度検知素子の検知温度に応じて、時間αを可変にさせても良い。
【0123】
この制御により、定着装置100の温調時間は、被記録材Pが定着装置100へ到達する前までに30秒延長することができ、この分、排紙部の搬送ローラ130・131を定着装置100からの放熱により昇温させることができる。画像形成開始後、被記録材Pは、現像、転写、定着工程を経て、画像形成動作終了となる(S37)。
【0124】
本発明の効果を、第1の実施形態例と同様に、定着装置100の排紙部が冷えている電源投入後にプリントした1枚目のOHTフィルムのカール量と透過性のムラを本実施形態の制御と従来の制御とで比較することにより確認した。従来の制御とは、被記録材Pの搬送速度や定着装置100の温度によらず常に、画像形成受信後ただちに画像形成動作を開始させるものである。
【0125】
その結果、従来の実施例ではカール量は30mmであったのに対し、本実施形態の制御では17mmに減少していたことより、本実施形態の効果を確認することができた。
【0126】
また、排紙ローラ130・131による透過性のムラも、従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0127】
以上に述べた制御によっても、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材が通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0128】
本実施形態では、図12のフローチャートに示すように、搬送速度に応じて画像形成動作タイミングの制御を行っているが、同一の搬送速度の場合も被記録材Pの材質に応じて制御しても良い。
【0129】
また、本実施形態では、通紙枚数により、排紙ローラ130・131の昇温度合いを予測して画像形成動作タイミングの制御を行っているが、定着装置100の温度検知素子26の検知結果を利用して画像形成動作タイミングの制御を行っても良い。
【0130】
さらに、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152を設け、その検知結果により画像形成動作タイミングの制御を行ってもよい。
【0131】
本実施形態は、第1の実施形態例で述べた定着装置100の発熱中に排気ファン140を停止させる制御と組み合わせることで、被記録材のカールおよび光沢ムラをより一層防止することができる。
【0132】
<第3の実施形態例>
本実施形態は、画像形成装置の制御において、画像形成動作開始から被記録材Pが定着装置100に到達するまでの間、定着装置100の温度を、被記録材の定着時の温度よりも高く設定することを特徴とする。
【0133】
画像形成装置およびこれに具備された定着装置100の構成は、第1の実施形態例と同様であるので、再度の説明は省略する。
【0134】
本実施形態の画像形成装置の制御について、図13を用いて以下に説明する。図13は、画像形成中の定着装置100の定着フィルム10の温度と制御温度の時系列変化を示す図である。
【0135】
まず、画像形成装置は、画像形成動作開始後、定着装置100の定着フィルム10を所定の温度に昇温させる温調立上げを開始する。この時、画像形成装置に設けられた温調制御手段としての温調装置(不図示)は、定着装置100の制御温度を、被記録材Pの定着時に設定される制御温度TFよりもΔT高い温度TPに設定し、定着フィルム10は温度Tpに維持される。この設定温度TPは高いほど、定着装置100からの放熱によって、排紙手段としての排紙部の搬送ローラ130・131を昇温させることができ、被記録材のカールおよび光沢ムラ防止に効果がある。
【0136】
本実施形態においては、TFをトナー画像の定着性・透過性の観点から170℃に設定し、TPをカール・透過性ムラの観点から200℃に設定した。
【0137】
次に、温調制御手段として温調装置(不図示)は、被記録材Pが定着装置100に突入する前までに、制御温度をTPからTFに変更した後、被記録材P上の未定着トナー画像の定着を行う。制御温度を変更するタイミングは、定着フィルム10の温度がTPからTFへの低下に要する時間を考慮し、被記録材Pが定着装置100突入時には完全にTFで温調されることが可能なタイミングとする必要がある。
【0138】
本発明の効果を、第2の実施形態例と同様に、定着装置100の排紙部が冷えている電源投入後にプリントした1枚目のOHTフィルムのカール量と透過性のムラを本実施形態の制御と従来の制御とで比較することにより確認した。従来の制御とは、画像形成動作開始から被記録材の定着時まで制御温度TFで一定温調させるものである。
【0139】
その結果、従来の実施例ではカール量は30mmであったのに対し、本実施形態では21mmに減少していたことより、本実施形態の制御による効果を確認することができた。
【0140】
また、排紙ローラ130・131による透過性のムラも、従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0141】
以上に述べた制御によっても、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材Pが通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0142】
本実施形態では、第2の実施形態のように定着装置100の温調時間を延長する必要がないため、1枚目の被記録材をプリントして排出するまでの時間を延長せずに済む利点がある。
【0143】
また、被記録材の種類や搬送速度に応じて、定着装置100の温調制御を行っても良い。
【0144】
さらに、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152を設け、その検知結果により定着装置の温調制御を行ってもよい。
【0145】
本実施形態は、第1の実施形態例で述べた画像形成中に排気ファンを停止させる制御や、第3の実施形態例で述べた定着装置の温調時間を延長させる制御と組み合わせることで、被記録材のカールおよび光沢ムラをより一層防止することができる。
【0146】
〈その他〉
1)画像形成装置の作像原理・プロセスは実施形態例の電子写真方式に限れるものではないことは勿論であり、静電記録方式、磁気記録方式、中間転写方式等の装置であってもよい。直接方式の装置であってもよい。
【0147】
2)実施形態においては、加熱手段としての定着装置として、電磁誘導加熱を利用したフィルム加熱方式の定着装置を採用しているが、本発明はこれに限られるものではない。発熱手段として、セラミックヒータを用いたフィルム加熱方式の定着装置であってもよい。また、熱ローラ方式の装置であってもよい。熱板方式、熱チャンバー方式、赤外線照射方式等の装置であってもよい。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱手段としての定着装置からの放熱を利用して排紙手段としての搬送部材を暖めることができ、被記録材のカールと、排紙部の搬送部材による光沢ムラを低コストで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例の画像形成装置の横断面側面模型図
【図2】定着装置の要部の横断面側面模型図
【図3】同じく要部の正面模型図
【図4】同じく要部の縦断正面模型図
【図5】内部に磁場発生手段を配設支持させた右側のフィルムガイド部材半体の斜視模型図
【図6】磁場発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図8】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図9】発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラフ
【図10】第1の実施形態例の画像形成装置の制御を示すフローチャート
【図11】第1の実施形態例の制御と従来の制御におけるOHTフィルムのカール量を示す図
【図12】第2の実施形態例の画像形成装置の制御を示すフローチャート
【図13】第3の実施形態例の画像形成装置の画像形成中の定着装置の定着フィルム温度と制御温度の時系列変化を示した図
【符号の説明】
10 定着フィルム(加熱部材)
26 温度検知素子(温度検知手段)
100 定着装置(加熱手段)
130・131 排紙ローラ(排紙手段)
140 排気ファン(排気手段)
N 定着ニップ部
P 被記録材
Q 排気方向
R 排紙部における搬送経路
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式、磁気記録方式等の複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置にあっては、適宜の画像形成プロセスによって、加熱溶融性の樹脂等からなるトナーを用いて被記録材の面に直接若しくは間接方式で未定着トナー画像を形成し、前記未定着トナー画像を加熱手段たる定着装置によって被記録材の面に永久固着画像として加熱定着処理を施す画像形成装置が知られており、実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
画像形成装置を構成する各装置、例えば現像装置や転写装置や定着装置の配置構成は、画像形成装置のユーザビリティーや省スペース化などを考慮して決定される。その構成上、被記録材の搬送経路の一部を曲線経路とすることが多く、さらに場所によっては、曲線経路の曲率半径も比較的小さくとらねばならない場合がある。定着装置通過後の排紙部の搬送経路においても例外ではない。
【0004】
従来の画像形成装置では、定着装置下流の排紙部における被記録材の搬送経路が曲線で形成されている場合、被記録材が通紙方向に湾曲してしまうカールという現象が発生しやすい問題があった。
【0005】
これは、定着装置で加熱されて昇温した被記録材が、排紙部の搬送経路に沿って曲がった状態で冷却されて固まっていくためである。被記録材は、排紙部の搬送ローラや搬送コロ等の搬送部材に接触して熱を奪われるため、局所的に冷却されやすく、被記録材が曲がった状態で急激に冷却されてやすい。
【0006】
特に、本体電源投入直後のような、排紙部が十分に暖まっていない状態では、被記録材のカールが発生しやすい。また、被記録材の搬送速度が遅いほど、排紙部において冷却されやすいため、被記録材のカールが発生しやすい。さらに、被記録材の材質が、OHPフィルムやグロスフィルムといった熱可塑性の樹脂で構成されている場合、被記録材のカールが発生しやすい。
【0007】
また、排紙部の搬送経路の形状に関係なく、被記録材上の定着トナー画像面が排紙部の搬送ローラや搬送コロといった搬送部材に接触することにより、接触部の定着トナー画像面が局所的に冷却され、搬送部材の接触した跡が光沢ムラとして定着トナー画像に現われてしまい、画像品質を低下させる問題もあった。
【0008】
ところで、近年では、クイックスタートや省エネルギーの観点から、定着装置の加熱方法として加熱源にハロゲンヒータ等を用いた熱ローラ方式に代わり、加熱源にセラミックヒータや電磁誘導加熱を用いたフィルム加熱方式が実用化されている。
【0009】
このフィルム加熱方式の定着装置は、低熱容量の部材を定着フィルムとして用いて予熱不要のオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすれば良いため、スタンバイ時の消費電力を大幅に削減できる利点がある。また、昇温速度が速いため、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間も削減できる。
【0010】
しかしながら、上記の加熱方式を採用した従来の画像形成装置では、待機中に定着装置の予熱を行わない上に、電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間も短いため、定着装置下流の排紙部の温度が比較的冷えた状態で被記録材が通紙されることが多く、熱ローラ方式に比べ、前述のカールや光沢ムラがさらに発生しやすい問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、低コストで被記録材のカールおよび光沢ムラを抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0013】
(1)被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段と、機内の気体を機外へ排気する排気手段と、前記排気手段の動作を制御する排気制御手段を有する画像形成装置において、画像形成動作開始後の前記加熱手段の発熱中に、前記排気制御手段は前記排気手段を所定の速度にて動作させる第1のモードと、前記排気手段の動作を第1のモードよりも弱めるもしくは停止させる第2のモードとを選択可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【0014】
(2)被記録材の搬送速度を複数有し、前記排気制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(3)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記排気制御手段は被記録材の種類に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(2)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0016】
(4)前記排気制御手段は被記録材の通紙枚数に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0017】
(5)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする(1)から(4)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0018】
(6)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御することを特徴とする(1)から(5)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
(7)画像形成信号を受信後に画像形成開始時期を決定する画像形成開始決定手段と、被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、画像形成開始決定手段は画像形成開始時期を遅らせることにより画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの時間を延長させ、さらに前記温調制御手段は画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの温調時間を延長させることを特徴とする画像形成装置。
【0020】
(8)被記録材の搬送速度を複数有し、前記画像形成開始決定手段は被記録材の搬送速度に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)に記載の画像形成装置。
【0021】
(9)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記画像形成開始決定手段は被記録材の種類に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(8)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0022】
(10)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(9)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0023】
(11)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする(7)から(10)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0024】
(12)被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、前記温調制御手段は画像形成動作開始から被記録材が加熱手段に到達するまでの間、前記加熱手段の温度を被記録材加熱時の温度よりも高く設定することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(13)被記録材の搬送速度を複数有し、前記温調制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)に記載の画像形成装置。
【0026】
(14)複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記温調制御手段は被記録材の種類に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(13)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0027】
(15)前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(14)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0028】
(16)前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする(12)から(15)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0029】
(17)前記排紙手段における被記録材の搬送経路が、前記加熱手段の被記録材加熱部から搬送方向下流側に被記録材の通紙方向の長さに渡る領域において、直線ではない部分を有することを特徴とする(1)から(16)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0030】
(18)前記排紙手段が、画像形成装置内において前記加熱手段よりも上方に位置することを特徴とする(1)から(17)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0031】
(19)前記加熱手段は、画像形成装置の待機中に予熱を必要としないことを特徴とする(1)から(18)のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0032】
(20)前記加熱手段は、加熱部材として定着フィルムを用いていることを特徴する(19)に記載の画像形成装置。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、図面に則して詳しく説明する。
【0034】
<第1の実施形態例>
(1)画像形成装置の概略構成
本実施形態の画像形成装置は、インライン方式のフルカラーレーザープリンタである。図1に示すように、本実施形態の画像装置は、ユーザビリティーの向上・設置面積の低減のため、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成ステーションY,M,C,Kを転写搬送ベルト117の平面部に沿って鉛直方向に並置した構成を備えている。転写搬送ベルト117は、駆動ローラ120、転写前帯電対向ローラ119、テンションローラ118a、118bの各ローラに巻架されている。
【0035】
画像形成装置は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの各画像形成ステーションY,M,C,Kにおいて、像担持体である感光ドラム111Y、111M、111C、111Kに対して帯電装置112Y、112M、112C、112Kにより均一帯電を行った後に、露光装置113Y、113M、113C、113Kにより、各々の感光ドラム111Y、111M、111C、111Kに各色の色情報に応じた潜像を形成する。その後、現像装置114Y、114M、114C,114Kにより各潜像を現像剤により未定着トナー画像として可視化する。
【0036】
一方、被記録材Pは給紙カセット110からピックアップローラ121によって画像形成装置内に送り出される。その後、被記録材Pは画像形成動作と被記録材Pの搬送との同期をとるためのレジストローラ122a及びレジスト対向ローラ122bに一旦挟持された後、被記録材Pと搬送ベルト117との吸着と転写前帯電がおこなわれる転写前帯電部に導かれる。
【0037】
転写前帯電部では、転写前帯電ローラ123が搬送ベルト117を介して転写前帯電対向ローラ119と対向し、搬送ベルト117及び被記録材Pを挟持するよう構成されている。転写前帯電ローラ123には不図示の高圧電源より電圧が印加されることによって、被記録材Pに電荷が付与され、電荷を付与された被記録材Pは転写搬送ベルト117を分極することによって転写搬送ベルト117に静電吸着され、搬送されていく。
【0038】
各々感光ドラム111Y、111M、111C、111K上に現像された未定着トナー画像は、各々の不図示の高圧電源に接続された転写装置115Y、115M、115C、115Kにより、転写搬送ベルト117上の被記録材Pに転写される。そして、未定着トナー画像を転写された被記録材Pは定着装置100に搬送され、未定着トナー画像が定着される。
【0039】
被記録材Pに対する未定着トナー画像転写後の各感光ドラム111Y、111M、111C、111Kの面は各々のクリーニング装置116Y、116M、116C、116Kにより転写残トナー等の残留物の除去を受けて清浄面化されて繰返して作像に供される。
【0040】
定着装置100を抜けた被記録材Pは、排紙手段としての排紙ローラ130・131を抜けて、機外の排紙トレー150へ排出される。排紙ローラ130・131は、定着ニップN通過後の被記録材Pを確実に機外へ搬送するために、定着装置100の定着ニップNから被記録材Pの通紙方向長さ内に収まるよう配置されている。
【0041】
定着装置100通過後の搬送経路は、画像形成装置の省スペース化の観点から、画像形成装置の高さを抑え、さらに排紙された被記録材Pの積載場所である排紙トレー150を画像形成装置本体上に収めるために、排紙ローラ130・131の配置によって矢印Rのように曲線で構成される。
【0042】
本実施形態の画像形成装置には、定着装置100からの熱による機内の昇温を防止するため、排気手段として、機内の気体を機外へ排出する排気ファン140が設けられている。本実施形態では、定着装置100の被記録材搬送方向上流あたりから矢印Qの方向に排気ファン140で機内の気体を吸引し、機外へ排気する構成としている。排気ファン140の設置場所は、これに限るものではない。
【0043】
排気ファン140は、少なくとも定着装置100が発熱している場合に作動させることにより画像形成装置内の昇温を防ぐものであるが、本発明では、排紙手段としての排紙ローラ130・131が冷えていると判断もしくは推測される場合に、画像形成中も排気ファン140の動作を停止させることを特徴とする。
【0044】
排気ファン140を停止させることにより、定着装置100からの放熱を利用して排紙部の排紙ローラ130・131の温度を上昇させることができる。特に、本実施形態の画像形成装置のように、排紙手段としての排紙ローラ130・131が加熱手段である定着装置100よりも上方に位置する構成では、定着装置100の熱で昇温した気体が上方へ移動するため、排気ファン140の動作停止による排紙部の昇温効果は大きい。排気ファン140の制御については、後述の(4)で説明する。
【0045】
(2)定着装置100
本実施形態の画像形成装置に搭載される定着装置100は、加熱部材として電磁誘導発熱性の円筒状の定着フィルムを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置である。この定着装置は昇温速度が速く、待機中に予熱を必要としないことを特徴とする。
【0046】
(2−A)定着装置100の概略構成
図2は本実施形態例における加熱手段としての定着装置100の要部の横断面側面模型図、図3は要部の正面模型図、図4は要部の縦断面正面模型図である。
【0047】
定着装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状の電磁誘導発熱性の定着フィルム10と、フィルムガイド部材16との間に定着フィルム10を挟んでニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0048】
円筒状のフィルムガイド部材(フィルム支持部材)16は、左右一対の横断面略半円弧状桶型半体16aと16bとを互いに開口部を向かい合わせて組み合わせることで円筒体を構成させてある。図2中で右側のフィルムガイド部材半体16aの内側には、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を配設して保持させてある。
【0049】
加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成型被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性弾性材層30bとで構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0050】
定着フィルム10を外嵌させたフィルムガイド部材16は加圧ローラ30の上側に配置され、フィルムガイド部材16内に挿通して配設した加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、フィルムガイド部材16の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して、所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0051】
加圧ローラ30は駆動手段M(図2)により矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、定着フィルム10の内周面が定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0052】
定着ニップ部Nにおけるフィルムガイド部材16の下面と定着フィルム10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、フィルムガイド部材16の下面の定着ニップ部Nに対応する面部分には、耐熱性・低摩擦性の摺動部材40を配設してある。摺動部材40は、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本実施形態では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを配設している。
【0053】
この摺動部材40は、少なくとも定着ニップ部Nの長さと幅に対応する長さと幅を有する帯板状あるいはテープ状の部材であり、本例ではフィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0054】
さらに、摺動部材40と定着フィルム10内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0055】
また、図2に示す右側のフィルムガイド部材半体16aの周面には、図5に示すように、その長手方向に所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、フィルムガイド部材半体16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eは図中左側のフィルムガイド部材半体16bにも同様に形成具備することができる。
【0056】
23a・23bは円筒状のフィルムガイド部材16の手前側と奥側の端部に嵌着して配設したフランジ部材であり、定着フィルム10の回転時に定着フィルム10の端部を受けて、定着フィルム10のフィルムガイド部材16の長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材23a・23bは定着フィルム10の回転に従動で回転する構成にしてもよい。
【0057】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、励磁回路27(図5)から励磁コイル18への給電により発生する磁場の作用で加熱部材としての定着フィルム10が電磁誘導発熱して定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。この状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルムの外面に密着して定着フィルム10と一緒に挟持搬送されていく。
【0058】
被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材P上の加熱定着トナー画像tは定着ニップNを通過後、冷却して永久固着画像となる。
【0059】
本実施形態における定着装置100では、トナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、オフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合には、オイル塗布機構を設けても良い。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行っても良い。
【0060】
(2−B)磁場発生手段
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が良く、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのが良い。
【0061】
磁場発生手段を構成する励磁コイル18は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本実施形態では12回巻きで励磁コイルを形成している。
【0062】
絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイミド等の被覆を用いるとよい。本実施形態においては、ポリイミドによる被覆を用いており耐熱温度は220℃である。
【0063】
励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0064】
磁場発生手段17a・17b・17c・18と加圧用剛性ステイ22の間には、絶縁部材19を配設してある。絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂等を選択するとよい。
【0065】
図6は、磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0066】
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図6のグラフような分布を示す。図6に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
【0067】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段としての温度検知素子26(図2)を含む不図示の温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知素子26は定着フィルム10の温度を検知する温度センサであり、本実施形態においてはサーミスタを用いている。
【0068】
(2−C)定着フィルム10
図7は、本実施形態における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0069】
本実施形態の定着フィルム10は、基層となる電磁誘導発熱性の金属フィルム等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0070】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間に不図示のプライマー層を設けてもよい。
【0071】
略円筒形状である定着フィルム10において、発熱層1が摺動部材40と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ若しくは被記録材と接触する外面側である。
【0072】
上述したように、発熱層1に交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される被記録材Pを加熱してトナー画像tの加熱定着がなされる。
【0073】
a.発熱層1
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
【0074】
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さσ[m]より厚く、且つ200μm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
【0075】
σ=(ρ/πfμ)1/2 …(1)
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、ρは発熱層1の固有抵抗[Ωm]である。
【0076】
この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図9に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
【0077】
発熱層1の厚さは、より好ましくは1〜100μmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、発熱層1の剛性が高くなりすぎ、又、屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0078】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
【0079】
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために10〜500μmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラが発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートを実現するのが難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは50〜500μmが良い。
【0080】
弾性層2は、硬度が高すぎると被記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
【0081】
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−1〜8.4×10−1W/m・℃であることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1W/m・℃が良い。
【0082】
c.離型層3
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
【0083】
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
【0084】
d.断熱層4
図8に示すように、定着フィルム10の構成において、発熱層1の摺動部材40との接触面側に断熱層4を設けてもよい。断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等の耐熱樹脂がよい。
【0085】
断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも薄い場合には断熱効果が得られず、又、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
【0086】
断熱層1は、発熱層1に発生した熱が定着フィルム10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層1がない場合と比較して被記録材Pへの熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0087】
又、断熱層10dを滑り性の良い材料で構成すれば、摺動部材40と定着フィルム10との摺動抵抗を軽減することができる。
【0088】
(3)排気ファン140の制御
本実施形態の画像形成装置は、加熱手段としての定着装置100の発熱中に、排気手段としての排気ファン140を所定の間停止させることにより、定着装置100からの放熱を利用して、排紙手段としての排紙ローラ130・131を暖めることを特徴とする。
【0089】
この排気ファン140の停止により得られる被記録材Pのカールと光沢ムラの防止効果と、排気ファン140本来の目的である機内昇温防止効果を両立させるため、以下に述べる排気ファン140の制御を行う。
【0090】
図1において、150は画像形成装置の制御回路部であり、画像形成装置の全体的なシーケンス制御を司る。151は排気ファン140の動作を制御する排気制御手段としてのコントローラであり、制御回路部150により制御される。
【0091】
図10は、本実施形態において制御回路部150が行う排気ファン140に関する制御を示すフローチャートである。
【0092】
まず、制御回路部150が不図示のコンピュータより画像形成信号ST(図1)を受信後(S11)、画像形成信号内の搬送速度に関する情報を確認する(S12)。
【0093】
本実施形態の画像形成装置は被記録材Pの搬送速度として、「通常速度」と通常速度の1/3の速さの「低速度」の2種類を有し、被記録材に応じて使い分けている。前者は普通紙、後者は熱容量の大きい厚紙やOHPフィルムに適用される。
【0094】
搬送速度が「通常速度」の場合、画像形成装置に設けられた排気制御手段としてのコントローラ151は、通紙枚数に関わらず排気ファン140を作動させて(S19)、画像形成を行う(S20)。
【0095】
そして、全ての画像形成が完了した時点で、排気ファン140を停止させて(S21)、画像形成動終了となる(S17)。
【0096】
「通常速度」では、比較的速度が早いために被記録材Pの熱が排紙ローラ130に奪われにくく、カールや光沢ムラが発生し難いため、画像形成中に排気ファン140を停止させる必要がない。
【0097】
逆に、「通常速度」では単位時間あたりの通紙枚数が多く、定着装置100は多量の熱供給を行う分、機内昇温が厳しくなるため、排気ファン140を作動させる必要がある。
【0098】
一方、搬送速度が「低速度」の場合、現在行おうとしている画像形成が、受信した画像形成信号中の何枚目の画像形成に相当するのか、すなわち被記録材の積算通紙枚数Nを確認する(S13)。
【0099】
この積算通紙枚数Nは画像形成終了後に0にリセットされる。1枚目に通紙される被記録材では、排紙ローラ130・131が冷えていることにより、被記録材のカールおよび光沢度および透過性のムラが発生しやすいが、通紙していくうちに定着装置100で加熱された被記録材Pが搬送されることで排紙ローラ130・131は昇温していくため、被記録材のカールおよび光沢ムラのレベルは徐々に良化していく傾向がある。
【0100】
そこで、被記録材Pの積算通紙枚数Nが5枚を超えるまでは、排気制御手段としてのコントローラ151は排紙ファン140を停止させて(S14)N枚目の画像形成を行う(S15)。
【0101】
本実施形態では、排紙ファン140を停止させているが、排紙ファン140の動作を弱める制御としても良い。
【0102】
N枚目の画像形成が完了後(S15)、N+1枚目の画像形成の有無を確認する(S16)。N+1枚目の画像形成が控えていなければ、画像形成終了となる(S17)。
【0103】
一方、N+1枚目の画像形成が控えていれば、積算通紙枚数Nに1を加算して(S18)、再び積算通紙枚数Nの確認を行って(S13)画像形成を繰り返していく。
【0104】
積算通紙枚数Nが5枚を超えてからは、機内昇温を抑制するため、通紙枚数に関わらず画像形成が完了するまで排気ファン140を作動させる(S19)。
【0105】
本発明の効果を、定着装置の排紙部が冷えている電源投入後においてOHTフィルムを連続10枚プリントし、そのカール量を測定することにより確認した。ここで述べるカール量は、OHTフィルムを水平な平面を有した盤上に載せた時の、OHTフィルムの4隅から平面に降ろした垂線長さのうちの最大値と定義した。この結果を図11に示す。図1に示す従来の制御とは、被記録材Pの搬送速度や通紙枚数に関わらず、常に排気ファン140を一定の速度で動作させるものである。
【0106】
図11から明らかなように、本実施形態の制御では、カール量が従来の制御よりも減少していることが分かる。これは、本制御により通紙枚数が5枚目に達するまで排紙ファン140が停止していたことにより、排紙部の排紙ローラ130・131が従来の制御の場合よりも昇温したためである。
【0107】
また、上述の評価に用いたサンプルのうち5枚目までをOHTフィルム画像を透過型プロジェクタにより投影し、排紙ローラによる透過性のムラのレベルを評価した。
【0108】
従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0109】
以上に述べた制御により、排気ファン140の本来の目的である機内昇温防止効果を損なうことなく、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材が通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0110】
本実施形態では、図10のフローチャートに示すように、搬送速度に応じて排気ファン140の制御を行っているが、同一の搬送速度の場合も被記録材Pの材質に応じて制御しても良い。
【0111】
例えば、OHPフィルムやグロスフィルムなどのような熱可塑性の樹脂で構成されている被記録材は、紙で構成された被記録材よりもカールが発生しやすい傾向がある。そこで例えば、搬送速度が同じ「低速度」でも、被記録材が厚紙の場合とOHPフィルムの場合とで、排気ファン140の停止時間を別々に設定しても良い。
【0112】
本実施形態では、通紙枚数により、排紙ローラ130・131の昇温度合いを予測して排気ファン140の制御を行っているが、定着装置100の温度検知素子26の検知結果を利用して排気ファン140の制御を行っても良い。
【0113】
例えば、定着装置100を発熱させる直前の温度検知素子26の検知結果を利用することによっても、定着装置100の暖気度合いや排紙部の排紙ローラ130・131の暖気度合いを予測することが可能である。
【0114】
また、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152(図1)を設け、その検知結果を制御回路部150にフィードバックしてその検知結果により排気ファン140の制御を行ってもよい。
【0115】
例えば、被記録材のカール・光沢ムラ防止の観点にたって、検知結果が所定温度未満である場合には排気ファン140を停止させ、所定温度以上である場合に排気ファン140を作動させる制御とする。この場合、排紙ローラ130・131の昇温状態を正確に把握できるので、より精度の高い排気ファン140の制御を行うことが可能となる。
【0116】
<第2の実施形態例>
本実施形態は、画像形成装置の制御において、画像形成信号受信後から画像形成動作の開始時期を遅らせることにより、定着装置100の温調時間を延長することを特徴とする。画像形成装置およびこれに具備された定着装置100の構成は、第1の実施形態例と同様であるので、再度の説明は省略する。
【0117】
本実施形態の画像形成装置の制御について、図12を用いて以下に説明する。図12は、本実施形態において、制御回路部150(図1)が行う画像形成装置の制御を示すフローチャートである。
【0118】
画像形成装置が不図示のコンピュータより画像形成信号ST(図1)を受信後(S31)、画像形成装置に設けられた温調制御手段としての温調装置(不図示)は、定着装置100の温調を開始させる(S32)。
【0119】
次に、画像形成信号内の搬送速度に関する情報を確認する(S33)。本実施形態の画像形成装置も第1の実施形態例と同様に、被記録材Pの搬送速度として「通常速度」と通常速度の1/3の速さである「低速度」の2種類を有し、被記録材に応じて使い分けている。前者は普通紙、後者は熱容量の大きい厚紙やOHPフィルムに適用される。
【0120】
搬送速度が「通常速度」の場合、画像形成装置に設けられた画像形成開始決定手段としての制御回路部150(図1)は、直ちに画像形成動作を開始させる(S36)。画像形成開始後、被記録材Pは、現像、転写、定着工程を経て、画像形成動作終了となる(S37)。
【0121】
一方、搬送速度が「低速度」の場合、画像形成信号受信後、画像形成開始決定手段としての制御回路部150(図1)は、まず定着装置100の温調が始まる前に、定着装置の温度検知素子26の温度Tを確認する(S34)。この温度Tが判定温度T0以上であれば、定着装置100が暖まっている、すなわち排紙部の搬送ローラ130・131も暖まっていると判断し、直ちに画像形成を開始させる。
【0122】
この温度Tが判定温度T0未満の場合、画像形成信号を受信後から所定の時間αを経過してから(S35)、画像形成を開始するように制御する(S36)。本実施例では、この判定温度T0を80℃に設定し、時間αを30秒に設定した。温調前の温度検知素子の検知温度に応じて、時間αを可変にさせても良い。
【0123】
この制御により、定着装置100の温調時間は、被記録材Pが定着装置100へ到達する前までに30秒延長することができ、この分、排紙部の搬送ローラ130・131を定着装置100からの放熱により昇温させることができる。画像形成開始後、被記録材Pは、現像、転写、定着工程を経て、画像形成動作終了となる(S37)。
【0124】
本発明の効果を、第1の実施形態例と同様に、定着装置100の排紙部が冷えている電源投入後にプリントした1枚目のOHTフィルムのカール量と透過性のムラを本実施形態の制御と従来の制御とで比較することにより確認した。従来の制御とは、被記録材Pの搬送速度や定着装置100の温度によらず常に、画像形成受信後ただちに画像形成動作を開始させるものである。
【0125】
その結果、従来の実施例ではカール量は30mmであったのに対し、本実施形態の制御では17mmに減少していたことより、本実施形態の効果を確認することができた。
【0126】
また、排紙ローラ130・131による透過性のムラも、従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0127】
以上に述べた制御によっても、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材が通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0128】
本実施形態では、図12のフローチャートに示すように、搬送速度に応じて画像形成動作タイミングの制御を行っているが、同一の搬送速度の場合も被記録材Pの材質に応じて制御しても良い。
【0129】
また、本実施形態では、通紙枚数により、排紙ローラ130・131の昇温度合いを予測して画像形成動作タイミングの制御を行っているが、定着装置100の温度検知素子26の検知結果を利用して画像形成動作タイミングの制御を行っても良い。
【0130】
さらに、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152を設け、その検知結果により画像形成動作タイミングの制御を行ってもよい。
【0131】
本実施形態は、第1の実施形態例で述べた定着装置100の発熱中に排気ファン140を停止させる制御と組み合わせることで、被記録材のカールおよび光沢ムラをより一層防止することができる。
【0132】
<第3の実施形態例>
本実施形態は、画像形成装置の制御において、画像形成動作開始から被記録材Pが定着装置100に到達するまでの間、定着装置100の温度を、被記録材の定着時の温度よりも高く設定することを特徴とする。
【0133】
画像形成装置およびこれに具備された定着装置100の構成は、第1の実施形態例と同様であるので、再度の説明は省略する。
【0134】
本実施形態の画像形成装置の制御について、図13を用いて以下に説明する。図13は、画像形成中の定着装置100の定着フィルム10の温度と制御温度の時系列変化を示す図である。
【0135】
まず、画像形成装置は、画像形成動作開始後、定着装置100の定着フィルム10を所定の温度に昇温させる温調立上げを開始する。この時、画像形成装置に設けられた温調制御手段としての温調装置(不図示)は、定着装置100の制御温度を、被記録材Pの定着時に設定される制御温度TFよりもΔT高い温度TPに設定し、定着フィルム10は温度Tpに維持される。この設定温度TPは高いほど、定着装置100からの放熱によって、排紙手段としての排紙部の搬送ローラ130・131を昇温させることができ、被記録材のカールおよび光沢ムラ防止に効果がある。
【0136】
本実施形態においては、TFをトナー画像の定着性・透過性の観点から170℃に設定し、TPをカール・透過性ムラの観点から200℃に設定した。
【0137】
次に、温調制御手段として温調装置(不図示)は、被記録材Pが定着装置100に突入する前までに、制御温度をTPからTFに変更した後、被記録材P上の未定着トナー画像の定着を行う。制御温度を変更するタイミングは、定着フィルム10の温度がTPからTFへの低下に要する時間を考慮し、被記録材Pが定着装置100突入時には完全にTFで温調されることが可能なタイミングとする必要がある。
【0138】
本発明の効果を、第2の実施形態例と同様に、定着装置100の排紙部が冷えている電源投入後にプリントした1枚目のOHTフィルムのカール量と透過性のムラを本実施形態の制御と従来の制御とで比較することにより確認した。従来の制御とは、画像形成動作開始から被記録材の定着時まで制御温度TFで一定温調させるものである。
【0139】
その結果、従来の実施例ではカール量は30mmであったのに対し、本実施形態では21mmに減少していたことより、本実施形態の制御による効果を確認することができた。
【0140】
また、排紙ローラ130・131による透過性のムラも、従来の制御では、透過性のムラが肉眼で明確に確認できるレベルであったのに対し、本実施形態の制御では、肉眼ではほとんど確認できず、実使用上問題のないレベルに改善されているのを確認することができた。
【0141】
以上に述べた制御によっても、定着装置100からの放熱を利用して、被記録材Pが通紙される前に排紙部の排紙ローラ130・131の温度を昇温させることが可能となり、何ら特別な部材を追加することなく、被記録材のカールおよび光沢ムラを防止できる。
【0142】
本実施形態では、第2の実施形態のように定着装置100の温調時間を延長する必要がないため、1枚目の被記録材をプリントして排出するまでの時間を延長せずに済む利点がある。
【0143】
また、被記録材の種類や搬送速度に応じて、定着装置100の温調制御を行っても良い。
【0144】
さらに、排紙手段としての排紙ローラ130・131に温度検知素子152を設け、その検知結果により定着装置の温調制御を行ってもよい。
【0145】
本実施形態は、第1の実施形態例で述べた画像形成中に排気ファンを停止させる制御や、第3の実施形態例で述べた定着装置の温調時間を延長させる制御と組み合わせることで、被記録材のカールおよび光沢ムラをより一層防止することができる。
【0146】
〈その他〉
1)画像形成装置の作像原理・プロセスは実施形態例の電子写真方式に限れるものではないことは勿論であり、静電記録方式、磁気記録方式、中間転写方式等の装置であってもよい。直接方式の装置であってもよい。
【0147】
2)実施形態においては、加熱手段としての定着装置として、電磁誘導加熱を利用したフィルム加熱方式の定着装置を採用しているが、本発明はこれに限られるものではない。発熱手段として、セラミックヒータを用いたフィルム加熱方式の定着装置であってもよい。また、熱ローラ方式の装置であってもよい。熱板方式、熱チャンバー方式、赤外線照射方式等の装置であってもよい。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱手段としての定着装置からの放熱を利用して排紙手段としての搬送部材を暖めることができ、被記録材のカールと、排紙部の搬送部材による光沢ムラを低コストで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態例の画像形成装置の横断面側面模型図
【図2】定着装置の要部の横断面側面模型図
【図3】同じく要部の正面模型図
【図4】同じく要部の縦断正面模型図
【図5】内部に磁場発生手段を配設支持させた右側のフィルムガイド部材半体の斜視模型図
【図6】磁場発生手段と発熱量Qの関係を示した図
【図7】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図8】電磁誘導発熱性の定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図9】発熱層深さと電磁波強度の関係を示したグラフ
【図10】第1の実施形態例の画像形成装置の制御を示すフローチャート
【図11】第1の実施形態例の制御と従来の制御におけるOHTフィルムのカール量を示す図
【図12】第2の実施形態例の画像形成装置の制御を示すフローチャート
【図13】第3の実施形態例の画像形成装置の画像形成中の定着装置の定着フィルム温度と制御温度の時系列変化を示した図
【符号の説明】
10 定着フィルム(加熱部材)
26 温度検知素子(温度検知手段)
100 定着装置(加熱手段)
130・131 排紙ローラ(排紙手段)
140 排気ファン(排気手段)
N 定着ニップ部
P 被記録材
Q 排気方向
R 排紙部における搬送経路
Claims (20)
- 被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段と、機内の気体を機外へ排気する排気手段と、前記排気手段の動作を制御する排気制御手段を有する画像形成装置において、
画像形成動作開始後の前記加熱手段の発熱中に、前記排気制御手段は前記排気手段を所定の速度にて動作させる第1のモードと、前記排気手段の動作を第1のモードよりも弱めるもしくは停止させる第2のモードとを選択可能とすることを特徴とする画像形成装置。 - 被記録材の搬送速度を複数有し、前記排気制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記排気制御手段は被記録材の種類に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排気制御手段は被記録材の通紙枚数に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記排気制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記排気手段の制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 画像形成信号を受信後に画像形成開始時期を決定する画像形成開始決定手段と、被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、
画像形成開始決定手段は画像形成開始時期を遅らせることにより画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの時間を延長させ、さらに前記温調制御手段は画像形成受信後から被記録材が加熱手段に到達するまでの温調時間を延長させることを特徴とする画像形成装置。 - 被記録材の搬送速度を複数有し、前記画像形成開始決定手段は被記録材の搬送速度に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記画像形成開始決定手段は被記録材の種類に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする請求項7から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始時期を決定することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記画像形成開始決定手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて画像形成開始タイミングを決定することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 被記録材を加熱しながら搬送する加熱手段と、前記加熱手段の温調制御を行う温調制御手段と、前記加熱手段にて加熱された被記録材を機外へ搬送する排紙手段を有する画像形成装置において、
前記温調制御手段は画像形成動作開始から被記録材が加熱手段に到達するまでの間、前記加熱手段の温度を被記録材加熱時の温度よりも高く設定することを特徴とする画像形成装置。 - 被記録材の搬送速度を複数有し、前記温調制御手段は被記録材の搬送速度に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 複数の種類の被記録材に対応することが可能であって、前記温調制御手段は被記録材の種類に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項12から13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段は加熱手段の温度を検知する温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排紙手段の温度を検知する排紙部温度検知手段を有し、前記温調制御手段は前記排紙部温度検知手段の検知結果に応じて前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排紙手段における被記録材の搬送経路が、前記加熱手段の被記録材加熱部から搬送方向下流側に被記録材の通紙方向の長さに渡る領域において、直線ではない部分を有することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記排紙手段が、画像形成装置内において前記加熱手段よりも上方に位置することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段は、画像形成装置の待機中に予熱を必要としないことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記加熱手段は、加熱部材として定着フィルムを用いていることを特徴する請求項19に記載の画像形成装置。
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