JP2000223252A - 加熱装置 - Google Patents

加熱装置

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JP2000223252A
JP2000223252A JP11022306A JP2230699A JP2000223252A JP 2000223252 A JP2000223252 A JP 2000223252A JP 11022306 A JP11022306 A JP 11022306A JP 2230699 A JP2230699 A JP 2230699A JP 2000223252 A JP2000223252 A JP 2000223252A
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JP
Japan
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current
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resonance
switching element
fixing
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JP11022306A
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Hiroshi Mano
宏 真野
Minoru Hayashizaki
実 林崎
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
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Canon Inc
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    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B70/00Technologies for an efficient end-user side electric power management and consumption
    • Y02B70/10Technologies improving the efficiency by using switched-mode power supplies [SMPS], i.e. efficient power electronics conversion e.g. power factor correction or reduction of losses in power supplies or efficient standby modes

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  • General Induction Heating (AREA)
  • Inverter Devices (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー変換効率の改善、実現性、生産性
の向上、ノイズの低減を図る。 【解決手段】 励磁コイル18を備えた磁場発生手段
と、移動自在であり、磁場発生手段から発生される磁界
が存在する領域を通過した時に電磁誘導発熱する定着フ
ィルム10と、定着フィルム10に圧接して相互間に被
加熱部材Pを挟む加圧ローラ30と、定着フィルム10
に高周波電流を供給する高周波電源回路(図1)とから
構成される。高周波電源回路には、電源に接続された第
1のスイッチング素子(図12の201)と、第1のス
イッチング素子に直列に接続された第2のスイッチング
素子(図12の202)と、励磁コイル18(図12の
203)と、励磁コイルに直列に接続された共振コンデ
ンサ(図12の204,205)とから成り、励磁コイ
ルが第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子
との接続点に接続された共振回路とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱装置に関し、
特に、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設けられ、
ベルト(フィルム)状の電磁誘導発熱性部材の発熱で紙
等の被加熱材を加熱する加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】便宜上、複写機、プリンタ等の画像形成
装置に具備される、トナー画像を被記録材に加熱定着さ
せる像加熱装置(定着装置)を例にして説明する。
【0003】従来、画像形成装置においては、電子写真
プロセス、静電記録プロセス、磁気記録プロセス等のい
ずれかの画像形成プロセスによって、被記録材(転写材
シート、エレクトロファックスシート静電記録紙、OH
Pシート、印刷用紙、フォーマット紙など)に対して、
転写方式あるいは直接方式にて画像情報を形成担持させ
る。そして、その画像情報の未定着画像(トナー画像)
を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる。こ
の定着装置としては熱ローラ方式の装置が広く用いられ
ている。また、最近はクイックスタートや省エネルギー
の観点から、フィルム加熱方式(ベルト加熱方式)の定
着装置が実用化されている。また電磁誘導加熱方式の定
着装置も提案されている。以下に、これらを説明する。
【0004】a)熱ローラ方式の定着装置 これは、定着ローラ(加熱ローラ)と加圧ローラとから
成る圧接ローラ対を基本構成とし、該ローラ対を回転さ
せ、該ローラ対による相互圧接部分である定着ニップ部
に、未定着トナー画像が形成担持された被記録材を導入
して扶持搬送させて、定着ローラの熱と、定着ニップ部
の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着
させるものである。
【0005】定着ローラは、一般に、アルミニウムの中
空金属ローラを基体(芯金)とし、その内空に熱源とし
てのハロゲンランプが挿入配設されており、ハロゲンラ
ンプによる発熱で加熱される。定着ローラは、その外周
面が所定の定着温度に維持されるようにハロゲンランプ
ヘの通電が制御されて温調される。
【0006】特に、フルカラーの画像形成を行う画像形
成装置では、最大4層のトナー画像層を十分に加熱溶融
して混色することが求められるが、そうした加熱能力を
要求される画像形成装置の定着装置では、定着ローラの
芯金を高い熱容量を有するものにし、またその芯金外周
に、トナー画像を包み込んで均一に溶融するためのゴム
弾性層を備え、そのゴム弾性層を介してトナー画像の加
熱を行っている。また、加圧ローラ内にも熱源を設けて
加圧ローラも加熱・温調する構成にしたものもある。
【0007】しかし、熱ローラ方式の定着装置は、画像
形成装置の電源のオンと同時に、定着装置の熱源である
ハロゲンランプに通電を開始しても、定着ローラの熱容
量が大きいので、定着ローラ等が冷え切っている状態時
から所定の定着可能温度に立ち上がるまでにはかなりの
待ち時間(ウエイトタイム)を要し、クイックスタート
性に欠ける。また画像形成装置のスタンバイ状態時(非
画像出力時)に、何時でも画像形成動作が実行できるよ
うに、ハロゲンランプに通電して定着ローラを所定の定
着可能温度に温調維持しておく必要があり、電力消費量
が大きい等の問題があった。
【0008】また、上述したフルカラーの画像形成装置
における定着装置のように、特に熱容量の大きな定着ロ
ーラを用いるものにおいては、温調と定着ローラ表面の
昇温とに遅延が発生するため、定着不良、光沢ムラ、オ
フセット等の問題が発生していた。
【0009】b)フィルム加熱方式(ベルト加熱方式)
の定着装置 フィルム加熱方式の定着装置は、例えば特開昭63−3
13182号公報、特開平2−157878号公報、特
開平4−44075号公報、特開平4−204980号
公報等に提案されている。
【0010】即ち、加熱体としての一般のセラミックヒ
ータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フ
イルム(定着フィルム)を挟んでニップ部を形成し、該
ニップ部のフイルムと加圧ローラとの間に、未定着トナ
ー画像が形成担持された被記録材を導入して、フィルム
と一緒に扶持搬送する。これにより、ニップ部において
セラミックヒータの熱をフィルムを介して被記録材に与
え、またニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記
録材面に熱圧定着させるものである。
【0011】このフィルム加熱方式の定着装置では、セ
ラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用
いてオンデマンドタイプの装置を構成することができ
る。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ、熱
源としてのセラミックヒータに通電して発熱させ、所定
の定着温度状態にすればよく、従って、画像形成装置の
電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短
く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も
大幅に小さい(省電力性)等の利点がある。
【0012】つまり、フィルム加熱方式の定着装置は、
熱ローラ方式の定着装置が持つ問題点を略解決している
が、大きな熱量が要求されるフルカラー画像形成装置や
画像形成装置の高速機種用の定着装置としては熱量的に
難点がある。
【0013】c)電磁誘導加熱方式の定着装置 実開昭51−109739号公報には、磁束により定着
ローラに電流を誘導してジュール熱によって発熱させる
誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘導電流
の発生を利用することで直接定着ローラを発熱させるこ
とができて、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ロー
ラ方式の定着装置よりも高効率の定着プロセスを達成し
ている。
【0014】しかしながら、磁場発生手段として用いれ
られる励磁コイルにより発生した交番磁束のエネルギー
が定着ローラ全体の昇温に使われるため、放熱損失が大
きく、エネルギー効率が悪いという欠点があった。
【0015】そこで、定着に作用するエネルギーを高密
度で得るために、発熱体である定着ローラに励磁コイル
を接近させたり、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニッ
プ部近傍に集中させたりして、エネルギー変換効率を高
めた定着装置が考案されている。
【0016】図22は、電磁誘導加熱方式の定着装置に
おける従来の構成例の概略を示す断面図である。この装
置では加圧ローラ駆動方式が採用されており、励磁コイ
ルの交番磁束分布を定着ニップに集中させてエネルギー
変換効率を向上させるようにしている。
【0017】10は、電磁誘導発熱層(導電体層、磁性
体層、抵抗体層)を有する円筒状の定着フィルム(定着
ベルト)であり、回転可能な構成となっている。
【0018】16は、横断面が略半円弧状樋型のフィル
ムガイド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフ
ィルムガイド部材16の外側にルーズに外嵌されてい
る。
【0019】15は、フィルムガイド部材16の内側に
配設された磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型
の磁性コア(芯材)17とからなる。
【0020】30は弾性加圧ローラであり、定着フィル
ム10を間に挟んでフィルムガイド部材16の下面に所
定の圧接力をもって相互圧接される。この圧接部分に、
所定幅の定着ニップ部Nが形成される。上記磁場発生手
段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応した位置
に配設されている。
【0021】加圧ローラ30は駆動手段Mにより、矢印
A1で示す反時計方向に回転駆動される。この加圧ロー
ラ30の回転駆動により、定着フィルム10が摩擦力に
より、矢印A2で示す時計方向に移動回転する。この移
動回転では、定着ニップ部Nにおいて定着フィルム10
の内面がフィルムガイド部材16の下面に密着しながら
摺動し、加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周
速度でフィルムガイド部材16の外回りを回転する。
【0022】フィルムガイド部材16は、定着ニップ部
Nへの加圧、励磁コイル18と磁性コア17の支持、定
着フィルム10の支持、該定着フィルム10に対する回
転時の安定搬送等の役目を果たす。このフィルムガイド
部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、
高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
【0023】励磁コイル18は、不図示の励磁回路から
供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番
磁束は、定着ニップ部Nに対応した位置に配置されたE
型の磁性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布
し、その交番磁束は、定着ニップ部Nにおいて定着フィ
ルム10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この
渦電流は電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘導発
熱層にジュール熱を発生させる。
【0024】この定着フィルム10の電磁誘導発熱は、
交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて
集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0025】定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検
知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流
供給が制御されることで、所定の温度に維持される。
【0026】而して、加圧ローラ30が回転駆動され、
それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイ
ド部材16の外回りを回転する。一方、励磁回路から励
磁コイル18への給電により、上記のように定着フィル
ム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定
の温度に立ち上がって保持される。こうした状態におい
て、被記録材Pが、定着ニップ部Nの定着フィルム10
と加圧ローラ30との間に導入される。被記録材Pに
は、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナ
ー画像tが形成されており、画像面が上向き、即ち定着
フィルム10面に対向するようになっている。そして、
定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外
面に密着して定着フィルム10と一緒に定着ニップ部N
を扶持搬送されていく。この定着ニップ部Nを定着フィ
ルム10と一緒に被記録材Pが扶持搬送されていく過程
において、被記録材P上の未定着トナー画像tが、定着
フィルム10の電磁誘導発熱で加熱されて定着される。
被記録材Pは定着ニップ部Nを通過し終えると、定着フ
ィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。
【0027】以上のように、考案された電磁誘導加熱方
式の定着装置では、エネルギー変換効率がかなり改善さ
れている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
たエネルギー変換効率が改善された電磁誘導加熱方式の
定着装置においても、まだエネルギー変換効率の改善が
十分とは言えず、円筒状の被加熱部材(定着フィルム)
を効率よく発熱させることが求められている。
【0029】また、部品の組合わせによるばらつきに柔
軟に対応できる回路が求められ、実現性、生産性を高め
ることが要請されている。
【0030】さらには、スイッチング損失、スイッチン
グノイズが問題であり、これらを低く抑えることも求め
られる。
【0031】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、エネルギー変換効率の改善を図った加
熱装置を提供することを第1の目的とする。
【0032】また、実現性、生産性を高めた加熱装置を
提供することを第2の目的とする。
【0033】さらに、ノイズの低減を図った加熱装置を
提供することを第3の目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明によれば、電磁誘導発熱性部材
の発熱で被加熱材を加熱する加熱装置において、磁場発
生コイルを備えた磁場発生手段と、前記磁場発生手段か
ら発生される磁界が存在する領域を通過した時に電磁誘
導発熱する電磁誘導発熱性部材と、前記電磁誘導発熱性
部材に圧接して相互間に被加熱部材を挟む加圧部材と、
前記磁場発生手段に高周波電流を供給する高周波電源回
路と、前記高周波電源回路に含まれ、電源に接続された
第1のスイッチング素子と、前記高周波電源回路に含ま
れ、前記第1のスイッチング素子に直列に接続された第
2のスイッチング素子と、前記高周波電源回路に含ま
れ、前記磁場発生コイルと、当該磁場発生コイルに直列
に接続された共振コンデンサとから成り、前記磁場発生
コイルが前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイ
ッチング素子との接続点に接続された共振回路とを有し
たことを特徴とする。
【0035】また、請求項2記載の発明によれば、前記
加熱装置が、前記高周波電源回路に含まれ、前記共振回
路に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記第1の
スイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を交
互にスイッチングさせるとともに、スイッチング周期毎
に前記電流検出手段で検出された電流の波形の極性判定
を行い、当該判定結果に従い、前記スイッチング周期を
変更する制御手段とを更に有することを特徴とする。
【0036】さらに、請求項3記載の発明によれば、前
記加熱装置が、前記高周波電源回路に含まれ、前記共振
回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記第1
のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を
交互にスイッチングさせるスイッチング制御手段と、前
記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチン
グ素子をスイッチングさせるスイッチング信号のオフタ
イミングにおいて前記電流検出手段で検出されるべき電
流波形の極性を規定する規定手段と、スイッチング周期
毎に前記電流検出手段で検出された電流の波形の極性
を、前記規定手段で規定された極性と比較し、合致した
場合、当該合致時点から前記電流が極性反転する時点ま
での時間幅を計測する計測手段と、前記計測手段により
計測された時間幅を所定値と比較し、当該比較結果に基
づき、前記スイッチング制御手段により行われる交互ス
イッチングの周期を変更する変更手段とを更に有するこ
とを特徴とする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。
【0038】(第1の実施の形態)まず、画像形成装置
を説明する。
【0039】(1)画像形成装置 図11は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置
の概略構成を示す図である。当該画像形成装置は電子写
真カラープリンタである。
【0040】101は、有機感光体やアモルファスシリ
コン感光体を備えた感光体ドラム(像担持体)であり、
矢示の反時計方向に所定のプロセススピード(周速度)
で回転駆動される。
【0041】感光体ドラム101は、その回転過程で帯
電ローラ等の帯電装置102により所定の極性・電位の
一様な帯電処理を受ける。
【0042】次いでその帯電処理面に、レーザ光学箱
(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光1
03による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。
レーザ光学箱110は、不図示の画像読み取り装置等の
画像信号発生装置から送られた目的画像情報の時系列電
気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)を行
って得られたレーザ光103を出力する。これによっ
て、回転感光体ドラム101面に走査露光が行われ、目
的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109
は、レーザ光学箱110からの出力レーザ光103を感
光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーであ
る。
【0043】フルカラー画像形成の場合は、目的のフル
カラー画像について、第1の色分解成分画像、例えばイ
エロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなさ
れ、その潜像が、4色カラー現像装置104のうちイエ
ロー現像器104Yの作動によりイエロートナー画像と
して現像される。そのイエロートナー画像は、感光体ド
ラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或い
は近接部)である1次転写部T1において中間転写体ド
ラム105の外面に転写される。中間転写体ドラム10
5面に対するトナー画像転写後、回転感光体ドラム10
1面は、クリーナ107により転写残りトナー等の付着
残留物の除去を受けて清掃される。
【0044】上記のような帯電・走査露光・現像・一次
転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画
像における第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分
画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解
成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104
Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画
像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像に
対して順次実行される。これにより、中間転写体ドラム
105面に、イエロートナー画像・マゼンタトナー画像
・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー
画像が順次重ねて転写され、目的のフルカラー画像に対
応したカラートナー画像が合成形成される。
【0045】中間転写体ドラム105は、金属ドラム上
に電気抵抗が中程度の弾性層と高程度の表層を有するも
ので、感光体ドラム101に接触して或いは近接して感
光体ドラム101と略同じ周速度で矢示の時計方向に回
転駆動される。中間転写体ドラム105の金属ドラムに
はバイアス電位が与えられ、感光体ドラム101との電
位差により、感光体ドラム101側のトナー画像が前記
中間転写体ドラム105面側に転写される。
【0046】上記の中間転写体ドラム105面に合成形
成されたカラートナー画像は、中間転写体ドラム105
と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部
T2において、被記録材Pの面に転写されていく。被記
録材Pは、不図示の給紙部から二次転写部T2に所定の
タイミングで送り込まれる。転写ローラ106は、被記
録材Pの背面にトナーと逆極性の電荷を供給し、これに
よって中間転写体ドラム105面側から被記録材P側へ
合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0047】被記録材Pは、二次転写部T2を通過し、
中間転写体ドラム105の面から分離されて定着装置
(像加熱装置)100へ導入され、未定着トナー画像の
加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不
図示の排紙トレーに排出される。定着装置100につい
ては詳しく後述する。
【0048】被記録材Pに対するカラートナー画像転写
後、中間転写体ドラム105はクリーナ108により転
写残りトナー、紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃
される。このクリーナ108は、常時は中間転写体ドラ
ム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ド
ラム105から被記録材Pに対するカラートナー画像の
二次転写実行過程において、中間転写体ドラム105に
接触状態に保持される。
【0049】また転写ローラ106も、常時は中間転写
体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転
写体ドラム105から被記録材Pに対するカラートナー
画像の二次転写実行過程において、中間転写体ドラム1
05に被記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0050】本実施形態における電子写真カラープリン
タは、白黒画像などのモノカラー画像のプリントモード
も実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多
重画像プリントモードも実行できる。
【0051】両面画像プリントモードの場合は、定着装
置100を出た片面画像プリント済みの被記録材Pは、
不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二
次転写部T2へ送り込まれる。そして、残りの片面に対
するトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導
入されてトナー画像の定着処理を受け、両面画像プリン
トが出力される。
【0052】多重画像プリントモードの場合は、定着装
置100を出た1回目画像プリント済みの被記録材P
は、不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転はされず
に再び二次転写部T2へ送り込まれる。そして1回目画
像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、
再度、像加熱装置100に導入されて2回目のトナー画
像の定着処理を受ける。これが繰り返得され、多重画像
プリントが出力される。
【0053】つぎに、定着装置(像加熱装置)100を
説明する。
【0054】(2)定着装置(加熱手段) 図2は定着装置100の要部の横断側面模型図、図3は
定着装置100の要部の正面模型図、図4は定着装置1
00の要部の縦断正面模型図である。第1の実施形態に
おける定着装置100は、図22に示した従来の定着装
置と同様に、円筒状の電磁誘導発熱性ベルトを用いた、
加圧ローラ駆動方式且つ電磁誘導加熱方式の定着装置で
ある。従って、図2〜図4では、図22に示した従来の
定着装置と同一の構成部分には同一の参照符号を付して
その説明を省略する。
【0055】第1の実施形態では、磁場発生手段が磁性
コア17a,17b,17c及び励磁コイル18からな
る。磁性コア17a,17b,17cは高透磁率の部材
で構成され、例えば、フェライトやパーマロイ等といっ
たトランスのコアに用いられる材料が用いられ、特に、
印加される電場の周波数が100kHz以上でも損失の
少ないフェライトを用いることが好ましい。
【0056】励磁コイル18には、図5に示すように給
電部18a,18bを介して励磁回路27を接続してあ
る。この励磁回路27は、20kHzから500kHz
の高周波電流をスイッチング電源で発生できるようにな
っている。
【0057】励磁コイル18は励磁回路27から供給さ
れる交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生す
る。
【0058】16a,16bは横断面において略半円弧
状樋型のベルトガイド部材であり、開口側を互いに向か
い合わせて略円柱体を構成し、外側に円筒状の電磁誘導
性発熱ベルトである定着フィルム(定着ベルト)10を
ルーズに外嵌させてある。
【0059】前記ベルトガイド部材16aは、磁性コア
17a,17b,17cと励磁コイル18を内側に保持
している。
【0060】また、図4における紙面垂直方向及び左右
長手方向に延びる良熱伝導部材40が、ベルトガイド部
材16aに対して、ニップ部Nの加圧ローラ30と対向
し、定着フィルム10の内側になる位置において配設さ
れている。
【0061】本実施の形態においては、良熱伝導性部材
40に、熱伝導率kがk=240[W・m-1・K-1]で
あるアルミニウムを用い、厚さは1[mm]である。
【0062】また、良熱伝導部材40を、励磁コイル1
8と磁性コア17a,17b,17cとから発生する磁
場の影響を受けないように、この磁場の外に配設してあ
る。
【0063】具体的には、良熱伝導部材40を、磁性コ
ア17cによって隔てられた位置に配設し、励磁コイル
18による磁路の外側に位置させ、これによって良熱伝
導体40に影響を与えないようにしている。
【0064】22は、ベルトガイド部材16bの内面平
面部に当接して配設された横長の加圧用剛性ステイであ
る。
【0065】19は、磁性コア17a,17b,17c
及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22との間を絶
縁するための絶縁部材である。
【0066】フランジ部材23a,23bはベルトガイ
ド部材16a,16bの集合体の左右両端部に外嵌し、
前記左右両端を回転自在に保持し、定着フィルム10の
回転時に定着フィルム10の端部を受けて、ベルトガイ
ド部材16a,16bの長手方向への定着フィルム10
の移動を規制する役目をする。
【0067】加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金
30aと、芯金30a周りに同心一体にローラ状に成形
被覆された耐熱性・弾性材層30bとで構成される。耐
熱性・弾性材層30bは、シリコーンゴム、フッ素ゴ
ム、フッ素樹脂などで構成される。芯金30aの両端部
は、定着装置100の不図示のシャーシ側板金間に回転
自在に軸受け保持される。
【0068】加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャ
ーシ側のバネ受け部材29a,29bとの間にはそれぞ
れ加圧バネ25a,25bを縮設し、加圧用構成ステイ
22に押し下げ力を作用させている。これにより、図2
及び図4に示すように、ベルトガイド部材16aの下面
と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで
圧接されて所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
【0069】加圧ローラ30は、図2に示すように、駆
動手段Mにより矢示の反時計方向に回転駆動される。こ
の加圧ローラ30の回転駆動に伴う加圧ローラ30と定
着フィルム10の外面との摩擦力で、定着フィルム10
に回転力が作用し、定着フィルム10の内面が定着ニッ
プNにおいて良熱伝導部材40の下面に密着して摺動
し、その結果、定着フィルム10が、矢示の時計方向に
加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をも
ってベルトガイド部材16a,16bの外回りを回転す
る。
【0070】この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝
導部材40の下面と定着フィルム10の内面との相互摺
動摩擦力を低減化させるために、良熱伝導部材40の下
面と定着フィルム10の内面との間に耐熱性グリスなど
の潤滑剤を介在させたり、あるいは良熱伝導性部材40
の下面を潤滑部材で被覆するようにしてもよい。これ
は、良熱伝導部材40としてアルミニウムを用いた場合
のように、表面滑り性が材質的によくない場合や、仕上
げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着フィルム10
が傷つけられて定着フィルム10の耐久性が悪化してし
まうことを防ぐものである。
【0071】良熱伝導部材40は長手方向の温度分布を
均一にする効果がある。例えば、小サイズ紙を通紙した
場合、定着フィルム10の長手方向において被記録紙が
通過しない部分があるが、こうした定着フィルム10で
の非通紙部の熱量が、良熱伝導部材40へ伝熱し、良熱
伝導部材40における長手方向の熱伝導により、通紙部
へ伝熱される。これにより、良熱伝導部材40の長手方
向の温度分布が均一になるとともに、小サイズ紙通紙時
の消費電力を低減させる効果も得られる。
【0072】また、図5に示すように、ベルトガイド部
材16aの曲面に、その長手方向に沿い所定の間隔を置
いて凸リブ部16eを形成し、ベルトガイド部材16a
の曲面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低
減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしてい
る。このような凸リブ部16eはベルトガイド部材16
bにも同様に形成することができる。
【0073】図6は交番磁束の発生の様子を模式的に表
した図である。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表
す。
【0074】磁性コア17a,17b,17cに導かれ
た交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの
間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間にお
いて定着フィルム10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発
生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗に
作用して電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を
発生させる。ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通
る磁束の密度によって決まり、図6に示すグラフのよう
な分布を示す。図6のグラフは、縦軸が定着フィルム1
0における円周方向の角度位置(θ)を示し、磁性コア
17aの中心を0°とする。横軸が、定着フィルム10
の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱
域Hは最大発熱量をQ、電気素量をeとした場合、発熱
量がQ/e以上の領域と定義する。この領域は、定着に
必要な発熱量が得られる領域である。
【0075】定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検
知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流
供給が制御されることで所定の温度に維持される。な
お、図2に示す26は、定着フィルム10の温度を検知
するサーミスタなどの温度センサであり、本実施形態に
おいては温度センサ26で測定した定着フィルム10の
温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するよう
にしている。
【0076】而して、定着フィルム10が回転し、励磁
回路27から励磁コイル18への給電により、上記のよ
うに定着フィルム10で電磁誘導発熱がなされて定着ニ
ップ部Nが所定の温度に立ち上がって保持される。そう
した状態において、画像形成手段部から搬送された、未
定着トナー画像tの形成された被記録材Pが、定着ニッ
プ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に、
画像面が上向き、即ち定着フィルム面に対向して導入さ
れる。そして、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フ
ィルム10の外面に密着して定着フィルム10と一緒に
扶持搬送されていく。この定着ニップ部Nを、定着フィ
ルム10と一緒に被記録材Pが扶持搬送されていく過程
において、被記録材P上の未定着トナー画像tが、定着
フィルム10の電磁誘導発熱で加熱されて定着される。
被記録材Pは、定着ニップ部Nを通過すると回転定着フ
ィルム10の外面から分離されて排出搬送される。被記
録材P上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部N通過
後、冷却して永久固着像となる。
【0077】本実施の形態においては、図2に示すよう
に、定着フィルム10の発熱域H(図6)の対向位置
に、暴走時の励磁コイル18への給電を遮断するため温
度検知素子であるサーモスイッチ50を配設している。
【0078】図7は、第1の実施形態で使用する安全回
路の回路図である。温度検知素子であるサーモスイッチ
40は、+24VDC電源とリレースイッチ51とに直
列に接続されており、所定温度を越えるとサーモスイッ
チ50が切れる。サーモスイッチ50が切れると、リレ
ースイッチ51への給電が遮断され、リレースイッチ5
1への給電遮断により、励磁回路27への給電が遮断さ
れ、励磁コイル18への給電も遮断される。サーモスイ
ッチ50が切れる所定温度は、例えば220°Cに設定
される。
【0079】また、サーモスイッチ50は、定着フィル
ム10の発熱域Hに対向した位置に、定着フィルム10
の外面に非接触の状態で配設される。サーモスイッチ5
0と定着フィルム10との間の距離は略2mmとする。
これにより、定着フィルム10にサーモスイッチ50が
接触している場合と比べ、定着フィルム10に傷が付く
ことがなく、長時間の使用でも定着画像の劣化を防止す
ることができる。
【0080】第1の実施の形態によれば、装置故障によ
って、定着ニップNに紙が挟まった状態で定着装置が停
止し、しかも励磁コイル18に給電が続けられて定着フ
ィルム10が発熱し続けた場合でも、図22に示す従来
の定着装置のような定着ニップNで発熱する構成とは違
い、紙が挟まっている定着ニップ部Nでは発熱していな
いため、紙が直接加熱されることがない。また、発熱量
が多い発熱域Hには、サーモスイッチ50が配設してあ
るため、サーモスイッチ50が220°Cを感知して、
サーモスイッチ50が切れた時点で、リレースイッチ5
1により励磁コイル18への給電が遮断され、定着フィ
ルム10の発熱を停止することができる。温度検知素子
としてサーモスイッチ50のほかに温度ヒューズを用い
ることもできる。
【0081】なお、第1の実施の形態では、トナーに低
軟化物質を含有させたトナーを使用する。このため、定
着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設け
ていない。しかし、低軟化物質を含有させていないトナ
ーを使用した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。
また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合に
もオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0082】次に、定着装置100内の励磁コイル18
について説明する。
【0083】(2−1)励磁コイル18 励磁コイル18では、コイル(線輪)を構成させる導線
(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅
製の細線を複数本束ねたものを用い、これを複数回巻い
て励磁コイル18を形成している。本実施の形態では1
0ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
【0084】絶縁被覆は、定着フィルム10の発熱によ
る熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよ
い。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を
用いるとよい。
【0085】励磁コイル18は外部から圧力を加えて密
集度を向上させてもよい。
【0086】励磁コイル18の形状は、図2に示すよう
に定着フィルム10の曲面に沿うようにしている。本実
施形態では定着フィルム10の発熱層と励磁コイル18
との間の距離は略2mmになるように設定する。
【0087】励磁コイル保持部材19の材質としては絶
縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノ
ール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹
脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹
脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0088】磁性コア17a,17b,17c及び励磁
コイル18と、定着フィルム10の発熱層との間の距離
は、できる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高い。具
体的には、この距離が5mmを越えるとこの効率が著し
く低下するため5mm以内にするのがよい。また、5m
m以内であれば定着フィルム10の発熱層と励磁コイル
18の距離が一定である必要はない。
【0089】なお、図5に示す励磁コイル18におい
て、引出線18a,18bには、励磁コイル保持部材1
9から外の部分について絶縁被覆を施している。
【0090】次に、定着装置100内の定着フィルム1
0について説明する。
【0091】(2−2)定着フィルム10 図8は、本実施形態における定着フィルム10の層構成
模型図である。本実施形態の定着フィルム10は複合構
造をなし、電磁誘導発熱性の基層となる金属ベルト等で
できた発熱層1と、その外面に積層された弾性層2と、
その外面に積層された離型層3とから構成される。発熱
層1と弾性層2との間を接着するため、また弾性層2と
離型層3との間を接着するため、各層間にプライマー層
を設けてもよい。略円筒形状である定着フィルム10に
おいて発熱層1が内面側であり、離型層3が外面側であ
る。前述したように、発熱層1に交番磁束が作用するこ
とで発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。
その熱が弾性層2、離型層3を介して、定着ニップNに
通紙される被記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定着
がなされる。
【0092】(2−2−1)発熱層 発熱層1にはニッケル、鉄、強磁性SUS、ニッケル−
コバルト合金といった強磁性体の金属を用いることが好
ましい。
【0093】非磁性の金属でもよいが、より好ましくは
磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバ
ルト−ニッケル合金等の金属がよい。
【0094】その厚みは、次の式で表される表皮深さσ
より厚く、かつ200μm以下にすることが好ましい。
表皮深さσ[m]は、励磁回路27の出力電流の周波数
f[Hz]と、発熱層1の素材の透磁率μと、固有抵抗
ρ[Ωm]とにより σ=503×(ρ/fμ)1/2 と表される。
【0095】表皮深さσは、電磁誘導による電磁波の吸
収の深さを示しており、図10に示すように、これより
深いところでは電磁波の強度は1/e以下になってお
り、逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さに到達する
までに吸収されしまう。図10は、発熱層深さと電磁波
強度との関係を示したグラフである。
【0096】発熱層1の厚さは、好ましくは1〜100
μmがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいと、
ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため、エネ
ルギー変換効率が悪くなる。また、発熱層が100μm
を超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くな
り、定着フィルム10を回転体として使用するには現実
的ではない。従って、発熱層1の厚みは1〜100μm
が好ましい。
【0097】(2−2−2)弾性層 弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシ
リコーンゴム等の耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質で
構成される。
【0098】弾性層2の厚さは10〜500μmが好ま
しい。この弾性層2は定着画像品質を確保するために設
けられるものであり、弾性層2の厚さは定着画像品質に
関連する。
【0099】カラー画像を印刷する場合、特に写真画像
などでは被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が
形成される。この場合、被記録材Pの凹凸あるいはトナ
ー層の凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱
ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に
光沢ムラが発生する。伝熱量が多い部分は光沢度が高
く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低い。弾性層2の
厚さが、10μm以下では被記録材Pあるいはトナー層
の凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしま
う。また、弾性層2の厚さが1000μm以上の場合に
は弾性層2の熱抵抗が大きくなり、クイックスタートを
実現するのが難しくなる。より好ましくは弾性層2の厚
みは50〜500μmがよい。
【0100】弾性層2の硬度は、硬度が高すぎると被記
録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず、画像光沢
ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度として
は60°(JIS−A)以下、より好ましくは45°
(JIS−A)以下がよい。
【0101】弾性層2の熱伝導率λに関しては、6×1
-4〜2×10-3[cal/cm・sec・deg]が
よい。
【0102】熱伝導率λが6×10-4[cal/cm・
sec・deg]よりも小さい場合には、熱抵抗が大き
く、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度
上昇が遅くなる。
【0103】熱伝導率λが2×10-3[cal/cm・
sec・deg]よりも大きい場合には、硬度が高くな
りすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
【0104】よって熱伝導率λは6×10-4〜2×10
-3[cal/cm・sec・deg]がよい。より好ま
しくは8×10-4〜1−5×10-3[cal/cm・s
ec・deg]がよい。
【0105】(2−2−3)離型層 離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシ
リコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA,
PTFE,FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料で構
成される。
【0106】離型層3の厚さは1〜100μmが好まし
い。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ム
ラで雛型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足すると
いった問題が発生する。
【0107】また、離型層が100μmを超えると熱伝
導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の材料の
場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効果がなくなっ
てしまう。
【0108】なお、図9に示すように、定着フィルム1
0の構成において、発熱層1のフィルムガイド面側(発
熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱層4を設けても
よい。
【0109】断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PE
EK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PT
FE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂で構成するとよ
い。
【0110】また、断熱層4の厚さとしては10〜10
00μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも
小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不
足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17
a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1ま
での距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収さ
れなくなる。
【0111】断熱層4は、発熱層1に発生した熱が定着
フィルム10の外側に放出されないようにするので、断
熱層4がない場合と比較して被記録材P側への熱供給効
率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができ
る。
【0112】図5は、励磁コイル18と励磁回路27と
を示す図である。励磁コイル18に励磁回路27を接続
して励磁電流により交番磁界を発生する。この励磁回路
27では20kHzから100kHzの高周波電流を発
生する。
【0113】図12は、励磁回路27の回路構成を示す
回路図である。
【0114】図12において、201及び202はスイ
ッチング素子であり、コンプリメンタリ接続がされてい
る。203は励磁コイルであり、204及び205は共
振コンデンサである。共振コンデンサ204,205は
励磁コイル203と直列に接続され、スイッチング素子
201,202のオンにより、ハーフブリッジ電流共振
を行う。なお、励磁コイル203は励磁コイル18に相
当する。
【0115】次に、定着装置100内の誘導加熱制御部
を説明する。
【0116】(2−3)誘導加熱制御部 図1は、図12に示す励磁回路27を含む誘導加熱制御
部の全体構成を示すブロック図である。
【0117】301は電源ライン入力端子、302は過
電流ブレーカ、303はリレー、304は整流回路であ
る。整流回路304は、交流入力の両波整流を行うブリ
ッジ整流回路と、高周波フィルタリングを行うコンデン
サとで構成される。305、306はゲート制御トラン
ス、307はコンプリメンタリ接続されたハーフブリッ
ジの主スイッチング回路、308はカレントトランスで
ある。主スイッチング回路307は、図12に示す励磁
回路27から励磁コイル203を除いた部分に相当す
る。励磁コイル203は後述の定着機ユニット部311
に含まれる。カレントトランス308は、主スイッチン
グ回路307でスイッチングされたスイッチング電流を
検出するものであり、定着機ユニット部311内の励磁
コイル203と接続される。311は定着機ユニット部
であり、電気部品構成としては、前述した励磁コイル2
03の他、温度検出サーミスタ26と、過昇温を検出す
るサーモスイッチ50とを有している。
【0118】313は、サーミスタ26の温度検出値に
基づき、目標温度と比較しながら制御量をコントロール
するフィードバック制御回路、314は、フィードバッ
ク制御信号およびカレントトランス308で検出された
スイッチング電流量を受けて、主スイッチング回路30
7のスイッチ周波数を制御するドライバ回路である。
【0119】電源入力端子301から入力された交流電
力が、過電流を保護するブレーカ302及びリレー30
3の接点を介して整流回路304に送られる。ここでサ
ーモスイッチ50は、定着装置の定着フィルム温度を検
出し、検出温度が規定の温度を超え異常昇温した時、リ
レー303を遮断する。すなわち、仮にトラブルが生
じ、定着装置が異常昇温をした時、リレー303を遮断
して電源を切り、熱暴走から定着装置を守って安全を確
保している。整流回路304では、不図示の整流ブリッ
ジ回路により交流電流を基に直流化リップ波を生成し、
LCフィルタを介して主スイッチング回路307へ送
る。
【0120】主スイッチング回路307では、図12に
示すように、コンプリメンタリ接続のスイッチング素子
201,202は、その出力である中点を定着装置の励
磁巻線203に供給する。そして図1に示すように、励
磁巻線203は共振コンデンサ204に直列接続され、
電流検出カレントトランス308を介して主スイッチン
グ回路307に接続される。スイッチング素子201,
202は、ゲートトランス305,306で駆動され
る。
【0121】定着温度は温度検出サーミスタ26で検出
され、こうした定着温度に応じて、更に定着装置の通紙
状態や紙質に応じて、ドライバ回路314が最適な制御
係数を決定し、決定された制御係数を有した制御信号
を、ゲート制御トランス305,306へ送る。
【0122】ゲートトランス305,306の駆動によ
り、主スイッチング回路307において、図12に示す
ように、スイッチング素子201とスイッチング素子2
02とが交互にスイッチングを行い、これにより、励磁
コイル203と共振コンデンサ204,205とで形成
された共振回路に交流パルス電圧が印可される。
【0123】すなわち、スイッチング素子201,20
2はコンプリメンタリ接続されており、電圧源を交互に
スイッチングする。これにより、直列に接続された励磁
コイル203と共振コンデンサ204,205とから成
る共振回路に電圧パルスが印加され、共振回路は、その
共振周波数で最大値の共振電流を示し、共振周波数を中
心として高周波側及び低周波側に対して漸次共振電流が
減少するカーブを描く。このカーブのスロープを用い、
共振周波数を制御することによって共振電流が制御でき
る。こうした共振電流が励磁コイル203を流れるの
で、共振周波数を制御することによって、励磁コイル2
03を流れる電流量を制御することができ、これによっ
て定着フィルム10に流れる渦電流を可変し、発熱量を
制御する。共振周波数の可変は、主スイッチング回路3
07のスイッチング周期を変えることによって行うこと
ができ、スイッチング周期の可変は、ゲート制御トラン
ス305,306を制御するドライバ回路314によっ
て行う。
【0124】更に詳述すれば、主スイッチング回路30
7での発振特性は、図13に示すように、共振周波数f
0の電圧パルスが印加された時の出力電力を最大値とし
た単峰特性を示す。図13は、横軸に、共振負荷に印加
される電圧パルスの周波数を、縦軸に、共振負荷からの
出力電力を示した図である。
【0125】図から分かるように、一つの出力電圧を得
るための周波数は2つ存在しているため、主スイッチン
グ回路307の出力電圧または定着フィルム温度をフィ
ードバックして共振周波数を制御しようとした場合に、
フィードバック制御回路313、ドライバ回路314
が、2つの周波数の間を振動してしまうことが生じる可
能性があり、動作が不安定となる。また、例えば、図1
3に示す共振周波数の右側の領域においては、周波数を
上げると出力電圧が減少し、一方、共振周波数の左側の
領域においては、周波数を上げると出力電圧が増加す
る。そのため、仮に制御定数が不適正だった場合は、周
波数を上昇することで出力電圧を減じる筈の動作が実際
には出力電圧が上昇してしまうとか、その反対の現象が
発生してしまい、これによって、制御不能に陥ってしま
う。
【0126】従って、フィードバック制御回路313及
びドライバ回路314では、回路を安定に動作させるた
めに、図13において共振周波数の左右領域のうち一方
だけの領域において、制御を行うことが必要となる。
【0127】共振回路の共振周波数を計測し、共振点が
例えば制御範囲の最低周波数になるように、回路定数を
予め設定してしまう方法があるが、環境安定性や定着装
置の温度によって変動を受けてしまい、最適値とはなら
ない。そこで、本実施の形態における制御方法は、共振
周波数を中心として高周波側及び低周波側での出力波形
を予め観測してその動作特性を特定し、現在動作してい
る動作特性をそれと比較することにより、現在の動作領
域を判定し、制御を行うものである。
【0128】図14は、共振周波数で動作している主ス
イッチング回路307内の各部波形を示すタイミングチ
ャートである。(A)は一方のスイッチング素子のゲー
ト信号、(B)は他方(リターン側)のスイッチング素
子のゲート信号である。(C)はスイッチング出力電圧
である。(D)はカレントトランス308で検出される
電流波形を示している。
【0129】同様に、図15は、共振周波数より高い周
波数域で動作している場合の主スイッチング回路307
内の各部波形を示すタイミングチャートである。図16
は、共振周波数より低い周波数域で動作している場合の
主スイッチング回路307内の各部波形を示すタイミン
グチャートである。
【0130】先ず、図14を参照して共振点での動作の
説明を行う。共振点駆動においては、印加電圧がパルス
電圧にも拘わらず、共振回路のインダクタンスLと容量
Cの基づき、ω=(L*C)1/2の角周波数でサイン波
振動が発生し、共振電流はその印加電圧波形の位相と同
期する。その様子を、図14(A)、図14(C)、図
14(D)の各波形が示している。
【0131】ここで、図14(B)に示すように、リタ
ーン側スイッチング素子のゲート信号は、図14(A)
に示すゲート信号との間に、時間幅τ(以下「デッドタ
イム」と称す)のクリアランスを有している。これは、
スイッチング遅れにより、両方のスイッチング素子が同
時にオンして、両方のスイッチング素子に過大電流が流
れ、異常発熱や素子破壊が発生することを防ぐためのも
のである。すなわち、スイッチング素子の遅れ時間を考
慮し、一旦、各スイッチング素子を完全にオフした後、
次の番のスイッチング素子をオンするように構成してい
る。従って、共振周波数で駆動されている時の電流波形
[図14(D)]のゼロクロス点は、デッドタイムτの
中点位置に存在することになる。
【0132】したがって、カレントトランス308で検
出される電流波形[図14(D)]は、図14(A)に
示すゲート信号のオン期間には正の値を示し、更に当該
ゲート信号のオフタイミングからデッドタイムτの1/
2の時間が経過するまで、正の値を示し、その時間の経
過した時点で負の電流側に反転する。
【0133】また、カレントトランス308で検出され
る電流波形[図14(D)]は、図14(B)に示すリ
ターン側ゲート信号のオン期間には負の値を示し、更に
当該リターン側ゲート信号のオフタイミングからデッド
タイムτの1/2の時間が経過するまで、負の値を示
し、その時間の経過した時点で正の電流側に反転する。
【0134】次に、図15を参照して共振周波数よりも
高い領域での動作の説明を行う。
【0135】共振回路の共振周期よりも短い時間幅でス
イッチングが行われるため、励磁コイル203に流れる
電流は共振の弧を中断される結果、図15(D)に示す
擬似のこぎり波の形となる。
【0136】従って、カレントトランス308で検出さ
れる電流波形[図15(D)]は、図15(A)に示す
ゲート信号のオン期間の略前半では負の値を示し、オン
期間の略後半では正の値を示す。
【0137】また、カレントトランス308で検出され
る電流波形[図15(D)]は、図15(B)に示すゲ
ート信号のオン期間の略前半では正の値を示し、オン期
間の略後半では負の値を示す。
【0138】このように、共振周波数よりも高い領域に
おいて動作した場合は、カレントトランス308で検出
される電流波形[図15(D)]は、誘導性電流とな
る。
【0139】次に、図16を参照して共振周波数よりも
低い領域での動作の説明を行う。
【0140】共振回路の共振周期よりも長い時間幅でス
イッチングが行われるため、励磁コイル203に流れる
電流は、共振の弧を完結した後、更に、印加電圧方向の
電流が重畳され、図16(D)に示す形となる。
【0141】従って、カレントトランス308で検出さ
れる電流波形[図16(D)]は、図16(A)に示す
ゲート信号のオン期間の大半において正の値を示す。
【0142】また、カレントトランス308で検出され
る電流波形[図16(D)]は、図16(B)に示すゲ
ート信号のオン期間の大半において負の値を示す。
【0143】このように、共振周波数よりも低い領域に
おいて動作した場合は、カレントトランス308で検出
される電流波形[図16(D)]は、容量性電流とな
る。
【0144】こうした波形の特徴から、共振周波数より
も高い周波数領域で制御動作を行うことが適切と判断で
きる。つまり、カレントトランス308で検出される電
流波形がゼロクロスから正負どちらに反転するによって
出力電圧の制御方向が判別できる。従って、共振点を最
低周波数として設定し、共振周波数よりも高い周波数域
で出力電圧制御を行う。
【0145】そこで、上述の波形の特徴から次のことが
結論される。
【0146】図15(A)に示すゲート信号のオフタイ
ミングには、カレントトランス308で検出される電流
波形は正の値を示す。且つ、その時点から電流波形のゼ
ロクロス点までの時間を計測し、その計測値を基準値と
照合することにより制御状態を維持出来る。
【0147】また、図15(B)に示すゲート信号のオ
フタイミングには、カレントトランス308で検出され
る電流波形は負の値を示す。従って、カレントトランス
308で検出される電流波形が正の値を示した時は、直
ちに制御周波数を上昇させる。または制御の停止を行
う。
【0148】以上が、発振回路の出力電圧を制御する上
での重要な着眼点といえる。
【0149】図17は、図1で示したドライバ回路31
4の詳細内容を示した回路図である。
【0150】305,306はコンプリメンタリスイッ
チング素子S1,S2の各々のゲート駆動トランスであ
る。315、316はスイッチング素子駆動信号であ
る。308はカレントトランスであり、共振回路に流れ
る電流を検出している。
【0151】カレントトランス308から送られた電流
検出信号が、インバータ321を介してフリップフロッ
プ322のリセット端子(R)に送られる。また、スイ
ッチング素子S1の駆動信号315が、フリップフロッ
プ322のクロック端子(CK)に送られる。フリップ
フロップ322は、スイッチング素子S1の駆動信号3
15の立ち上がりエッジを用い、電流検出信号の極性反
転信号で出力端子(Q)の出力をセットする。ゼロクロ
ス検出回路323は、電流検出信号のゼロクロスを検出
して、フリップフロップ322のD端子へパルスを出力
する。かくして、フリップフロップ322は、電流検出
信号の極性反転信号で出力端子(Q)の出力をセットし
た後、ゼロクロス検出回路323によりリセットされる
迄のパルス幅を波形繰り返しの周期で出力する。この出
力を基に平均値検出部324により波形平均値を検出
し、比較器325により基準値と比較する。その結果、
基準値よりも波形平均値が低い場合、即ち、共振周波数
に近い状態または共振周波数よりも低い周波数の場合は
周波数を優先的に上昇させるべくダイオード326を介
してフィードバック制御を行う。ここで、比較器325
の比較基準値には、上述したコンプリメンタリスイッチ
ング素子のデッドタイムτの1/2に相当するパルス幅
を共振周期で積分して得た値を設定する。なお、共振周
期がばらつくことを考慮すると、僅かに高い電圧値(共
振点よりも僅かに高い周波数)に設定しておくのがよ
い。
【0152】また、共振回路の共振電流が過大な値とな
らないようにするため、カレントトランス308で検出
した電流波形を基に、両波整流器317で波形最大値を
検出し、比較器319で基準電圧と比較し、過大な電流
が検出された際は、ダイオード320を介して優先的に
周波数を上昇するようにフィードバックし、リミッタ動
作を行う。
【0153】通常時は、定着フィルム温度に基づく制御
信号333により、抵抗332を介してトランジスタ3
29,330及び電圧−周波数変換部327において周
波数変調が行われ、上述した電流リミッタの生じない領
域で、また、共振回路の共振点よりも高い周波数領域
で、安全に安定した制御動作が行われる。
【0154】(第2の実施の形態)第2の実施形態にお
ける画像形成装置及び定着装置の構成は、第1の実施形
態における画像形成装置及び定着装置の構成と同じであ
る。また、定着装置内の誘導加熱制御部の構成も、基本
的には第1の実施形態における誘導加熱制御部と同じで
ある。そのため、同じ構成部分には同じ参照符号を付し
て、その説明を省略する。第2の実施形態では、誘導加
熱制御部のドライバ回路の構成が、第1の実施形態と異
なっている。
【0155】図18は、第2の実施の形態におけるドラ
イバ回路の構成を示す回路図である。
【0156】制御信号333として、上述したように、
高い電圧を入力することで、電圧−周波数変換部327
の出力周波数が高くなって、励磁コイル203(18)
へ送られる出力電力が絞り込まれる。
【0157】ところで、定着装置ではプリント時の通紙
初期は加圧ローラ30が冷えていることから、通電直後
は加圧ローラ30の熱蓄積に電力が費やされる。そのた
め、ドライバ回路の出力制御幅は比較的狭い制御幅でも
充分、定着フィルム10の出力温度を安定に保つことが
可能である。しかし、連続通紙を行った際には加圧ロー
ラ30の温度は、定着フィルム10の温度とほぼ同等に
なり、定着フィルム10を一定温度に保つための供給電
力は、立ち上げ初期値の1/7程度になる。このよう
に、立ち上げ時のウォームアップタイムを短縮する定着
装置では最大電力と最低電力の制御幅が広い事が必須条
件となる。
【0158】このような条件を実現する方法として、共
振回路の周波数制御に、スイッチング素子の導通時間を
制御するパルス幅変調方式を併用することが有効であ
る。
【0159】図18に示すドライバ回路では、制御信号
333によって入力される周波数が上限値を越えた場合
には、ゼナーダイオード334を導通させスイッチング
素子のオン幅を短くするように動作させる。その動作を
図19から図21を参照して説明する。
【0160】図19は、第2の実施形態における、共振
回路に印加される電圧パルスの周波数に対する、共振回
路からの出力電力を示した図である。また、図20及び
図21は、主スイッチング回路307内の各部波形を示
すタイミングチャートである。
【0161】図20に示す各波形は、図19に示す動作
点(A)において主スイッチング回路307が動作して
いる場合の各部波形であり、図21に示す各波形は、パ
ルス幅を制御し出力を絞り込んだ、図19に示す動作点
(B)において主スイッチング回路307が動作してい
る場合の各部波形である。ここで、パルス幅変調を行う
と、図21(C)で示したスイッチング素子のコンプリ
メンタリ接続中点の出力電圧波形は、共振回路の共振現
象により、逆導通ダイオードの働きで電源電圧迄引き込
まれる現象が生じる。これは、共振回路による受動的な
回路の動作であり、共振回路への電力供給はあくまでも
ドライブした時間幅の電力供給の為、図21(D)の波
形のように共振電流波形の振幅は縮小され、出力の電力
制御はスムーズに無段階に絞り込むことが可能となる。
【0162】(その他の実施の形態) 1)電磁誘導発熱性の定着フィルム10は、モノクロあ
るいは1パスマルチカラー画像などの加熱定着用の場合
は、弾性層2を省略した構成にしてもよい。発熱層1
を、金属フィラーを混入した樹脂で構成してもよい。定
着フィルム10を発熱層単層で構成することもできる。
【0163】2)加圧ローラ30は回転体に限らず、回
動ベルト型など他の形態の部材にしてもよい。
【0164】また加圧ローラ30側からも被記録材Pに
熱エネルギーを供給するべく、加圧ルーラ30側にも電
磁誘導加熱などの発熱手段を設けて所定の温度に加熱・
温調する装置構成にしてもよい。
【0165】3)定着フィルム10を、剛体ローラなど
他の形態の部材にしてもよい。
【0166】4)本発明は、上述した画像加熱定着装置
に適用されるだけでなく、画像を担持した被記録材を加
熱して、つや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着
する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加
熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する装
置に適用可能である。
【0167】以上のように、各実施の形態において、励
磁コイルに流す電流波形が、共振したサイン波を描くた
め、波形率が向上し実効電力を高められる。また、単一
周波数成分の為、高電力を取扱うにもかかわらず比較的
低ノイズ化が実現できる。
【0168】
【発明の効果】以上説明したように、磁気誘導加熱定着
方式で金属フィルムの加熱を行うというオンディマンド
定着を実現すべく、電流共振方式のハーフブリッジ電源
を採用し、且つ、その電流と電圧の関係から共振負荷の
状態を判断し、共振点を境に高周波側で温度制御を行
う。
【0169】これにより、磁気誘導巻線への印加電圧が
プッシュプル駆動により実効印加電圧が向上する効果が
あり、巻線昇温に対するフィルム加熱効率が向上する。
【0170】また、電流共振点を境に高周波領域側の周
波数動作を自動的に検出して駆動するため、部品の組合
わせのばらつきに柔軟に対応でき、実現性、生産性を高
めることができる。
【0171】さらに、ハーフブリッジ電流共振方式を採
用しているため、大電力を取扱うにも拘わらず、スイッ
チング損失、スイッチングノイズを比較的低く抑えるこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】励磁回路を含む誘導加熱制御部の全体構成を示
すブロック図である。
【図2】定着装置の要部の横断側面模型図である。
【図3】定着装置の要部の正面模型図である。
【図4】定着装置の要部の縦断正面模型図である。
【図5】励磁コイルと励磁回路とを示す図である。
【図6】交番磁束の発生の様子を模式的に表した図であ
る。
【図7】第1の実施形態で使用する安全回路の回路図で
ある。
【図8】定着フィルムの層構成模型図である。
【図9】断熱層を設けた定着フィルムの層構成模型図で
ある。
【図10】発熱層深さと電磁波強度との関係を示したグ
ラフである。
【図11】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構
成を示す図である。
【図12】励磁回路の回路構成を示す回路図である。
【図13】横軸に、共振負荷に印加される電圧パルスの
周波数を、縦軸に、共振負荷からの出力電力を示した図
である。
【図14】共振周波数で動作している主スイッチング回
路内の各部波形を示すタイミングチャートである。
【図15】共振周波数より高い周波数域で動作している
場合の主スイッチング回路内の各部波形を示すタイミン
グチャートである。
【図16】共振周波数より低い周波数域で動作している
場合の主スイッチング回路内の各部波形を示すタイミン
グチャートである。
【図17】ドライバ回路の詳細内容を示した回路図であ
る。
【図18】第2の実施の形態におけるドライバ回路の構
成を示す回路図である。
【図19】第2の実施形態における、共振回路に印加さ
れる電圧パルスの周波数に対する、共振回路からの出力
電力を示した図である。
【図20】主スイッチング回路内の各部波形を示すタイ
ミングチャートである。
【図21】主スイッチング回路内の各部波形を示すタイ
ミングチャートである。
【図22】電磁誘導加熱方式の定着装置における従来の
構成例の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発熱層 2 弾性層 3 離型層 4 断熱層 10 定着フィルム(定着ベルト) 16 フィルムガイド部材 17 磁性コア 18 励磁コイル 19 励磁コイル保持部材 23a,23b フランジ部材 26 温度センサ(サーミスタ) 27 励磁回路 30 加圧ローラ 50 サーモスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 6/06 366 H05B 6/06 366 6/10 381 6/10 381 (72)発明者 阿部 篤義 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA13 BA25 BE03 BE06 CA23 CA45 CA48 3K059 AA03 AA07 AB00 AB08 AB19 AB23 AB28 AC07 AC10 AC35 AD03 AD23 BD02 BD23 BD24 CD09 CD10 CD14 CD38 5H007 AA01 BB04 CA02 CB12 CB22 DA06 DC02 DC08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁誘導発熱性部材の発熱で被加熱材を
    加熱する加熱装置において、 磁場発生コイルを備えた磁場発生手段と、 前記磁場発生手段から発生される磁界が存在する領域を
    通過した時に電磁誘導発熱する電磁誘導発熱性部材と、 前記電磁誘導発熱性部材に圧接して相互間に被加熱部材
    を挟む加圧部材と、 前記磁場発生手段に高周波電流を供給する高周波電源回
    路と、 前記高周波電源回路に含まれ、電源に接続された第1の
    スイッチング素子と、 前記高周波電源回路に含まれ、前記第1のスイッチング
    素子に直列に接続された第2のスイッチング素子と、 前記高周波電源回路に含まれ、前記磁場発生コイルと、
    当該磁場発生コイルに直列に接続された共振コンデンサ
    とから成り、前記磁場発生コイルが前記第1のスイッチ
    ング素子と前記第2のスイッチング素子との接続点に接
    続された共振回路とを有したことを特徴とする加熱装
    置。
  2. 【請求項2】 前記高周波電源回路に含まれ、前記共振
    回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、 前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチン
    グ素子を交互にスイッチングさせるとともに、スイッチ
    ング周期毎に前記電流検出手段で検出された電流の波形
    の極性判定を行い、当該判定結果に従い、前記スイッチ
    ング周期を変更する制御手段とを更に有することを特徴
    とする請求項1記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記高周波電源回路に含まれ、前記共振
    回路に流れる電流を検出する電流検出手段と、 前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチン
    グ素子を交互にスイッチングさせるスイッチング制御手
    段と、 前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチ
    ング素子をスイッチングさせるスイッチング信号のオフ
    タイミングにおいて前記電流検出手段で検出されるべき
    電流波形の極性を規定する規定手段と、 スイッチング周期毎に前記電流検出手段で検出された電
    流の波形の極性を、前記規定手段で規定された極性と比
    較し、合致した場合、当該合致時点から前記電流が極性
    反転する時点までの時間幅を計測する計測手段と、 前記計測手段により計測された時間幅を所定値と比較
    し、当該比較結果に基づき、前記スイッチング制御手段
    により行われる交互スイッチングの周期を変更する変更
    手段とを更に有することを特徴とする請求項1記載の加
    熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7113737B2 (en) 2002-06-11 2006-09-26 Kabushiki Kaisha Toshiba High frequency fixing apparatus
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