JP2001527285A - フォーカスリングおよびそのための方法 - Google Patents

フォーカスリングおよびそのための方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマ処理チャンバ内で使用するように構成される、改良フォーカスリングを開示する。 【解決手段】 このフォーカスリングは、プラズマ処理の最中に高周波(RF)電源で通電されて電極として作用する基板保持チャックの少なくとも一部分に重なるように構成される。このフォーカスリングは、プラズマ処理の最中にプラズマ処理チャンバ内のプラズマ領域に露出する上部表面を有する。このフォーカスリングはさらに、基板保持チャックの一部分に重なり、少なくとも一部分はフォーカスリングの残りの部分より低誘電率の第1の材料で形成されるチャック重なり部分を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体製品の製造に関し、特に、プラズマ処理システムにおける
改良フォーカスリングおよびそのための方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
半導体製品(集積回路またはフラットパネルディスプレイ等)の製造において
、プラズマ処理の使用は周知である。プラズマ処理は一般に、プラズマ処理チャ
ンバ内における基板(例えば、ガラスパネルまたは半導体ウェハ)の処理を含む
。プラズマは、プラズマ処理チャンバのなかで、適切なエッチャントまたは堆積
用のソースガスから生成され、基板表面上の材料層のエッチングまたは堆積を行
う。
【0003】 議論を促進するため、図1に、基板上にプラズマ処理を施すのに適したプラズ
マ処理システムである誘導結合プラズマ処理システムの概略を示した。図の簡略
化のため、図1およびその他の図面のいずれも正確な縮尺率をもとには描かれて
いない。本明細書では、誘導結合プラズマ処理システムに関して詳細な論議を展
開するが、ここで開示する本発明は、堆積、洗浄、および/またはエッチングに
適用される処理システムを含んだ周知のあらゆるプラズマ処理システムに利用し
得る。エッチングシステムに関しては、本発明は、例えば誘導結合プラズマエッ
チング、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、磁気強化反応
性イオンエッチング(MERIE)、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチ
ング等に利用し得る。ここで、上記事実は、プラズマへのエネルギ供給が、静電
結合平行電極板、ECRマイクロ波プラズマソース、または、ヘリコン共振器、
ヘリカル共振器、およびコイル構成(平面状または非平面状のいずれかによらな
い)等の誘電結合RFソースの、いずれを通じてなされるかによらない。なかで
もECRおよび誘導結合プラズマ処理システムは、商業的に容易に入手可能であ
る。TCP(商標)誘導結合プラズマシステム等の誘導結合プラズマシステムは
、カリフォルニア州フリーモント市に所在のラム・リサーチ・コーポレーション
から入手することができる。
【0004】 図1に示されるように、プラズマ処理システム100は、プラズマ処理チャン
バ102を備えている。チャンバ102の上方には、電極104が配置されてい
る。電極104は、図1の例ではコイルにより具現化されている。電極104は
、従来の整合回路網108を介して高周波(RF)ジェネレータ106により通
電される。図1の例では、RFジェネレータ106は、周波数が約13.56M
HzのRFエネルギを供給するが、その他の適切な周波数を利用しても良い。
【0005】 プラズマ処理チャンバ102には、シャワーヘッド110が示されている。こ
れは、ガス状のエッチャントまたは堆積用のソースガスを、自身と基板114の
間に位置する領域112に放出するための、ガス分布装置を構成している。基板
114は、プラズマ処理チャンバ102に導入され、基板保持チャック116上
に配置される。このチャック116は、静電(ESC)チャック(単極または二
極のいずれかに構成される)として具現化しても良い。チャック116は、メカ
ニカルチャック、真空チャック、または単なるワークホルダでも良い。チャック
116は第2の電極として作用し、整合回路網120を介して高周波(RF)ジ
ェネレータ118によりバイアスをかけられる。図1の例のRFジェネレータ1
18もまた、周波数が約13.56MHzのRFエネルギを供給するが、その他
の適切な周波数を利用しても良い。
【0006】 プラズマ処理を促進するため、エッチャントまたは堆積用のソースガスをシャ
ワーヘッド110から流し、RFジェネレータ106,118から供給されるR
Fエネルギで点火する。プラズマ処理の最中には、副生物であるガスが、(適切
なターボポンプ構成を使用して)排気ポート122を経てチャンバ102から排
出される。プラズマ処理の完了後、基板114をプラズマ処理チャンバ102か
ら取り除き、完全なフラットパネルディスプレイまたは集積回路を形成するため
の、追加の処理工程を実施する。
【0007】 図1には、フォーカスリング124も示されている。図1の例では、フォーカ
スリング124の一部分が、基板114の下に位置するとともに基板保持チャッ
ク116を部分的に覆っている。プラズマ処理技術の当業者には周知のように、
フォーカスリングは、RF誘導プラズマ領域112からのイオンを基板114の
表面上で焦点合わせすることにより、基板(特にエッジ部分の)処理の均一性を
改良することができる。これは、RF電源が(高周波ジェネレータ118から)
基板保持チャック116に供給されると、基板114およびフォーカスリング1
24上に等電位線が形成されるためである。これらの等電位線は静止しておらず
、RFサイクルにともない変化する。場を時間平均すると、プラズマの全体部分
が正で、基板114および基板保持チャック116の表面が負となる。幾何学的
要因により、基板114のエッジ部分における等電位線は不均一である。フォー
カスリングは、プラズマと作動電極(例えば、RFで作動するチャック116)
の間でコンデンサとして作用することにより、大部分のRF結合が、基板114
を介してその上のプラズマと行われるように仕向けることができる。
【0008】 プラズマ処理では、陽イオンが等電位線(図1に等電位線130として示され
る)を通過しながら加速し、基板114の表面に衝突することにより、望ましい
処理効果(堆積または異方性エッチング等)を提供する。イオンの加速および基
板114へのその衝撃は、一般に適切に制御されるのが望ましいが、このような
イオンの加速およびフォーカスリング124への衝撃は、フォーカスリング12
4を不当に腐食する恐れがある。従来技術では、フォーカスリングの腐食は典型
的に不可避であると考えられてきたため、このような腐食が引き起こす影響(例
えば微粒子汚染)を最小化することに、ほとんどの注意が向けられていた。例え
ば、従来技術のシステム設計者は、プラズマ処理チャンバの壁または基板114
と類似の材料でフォーカスリング124を形成することにより、腐食が原因でチ
ャンバ内に異なるタイプの微粒子汚染が導入されないように工夫している。従来
技術では、フォーカスリング124の形成に酸化アルミニウム(Al23)を使
用することが多い。
【0009】 しかし、良く知られているように、酸化アルミニウムは、高誘電率すなわち低
インピーダンスの材料である。このため、フォーカスリング124の上面134
とプラズマシースの間には大きな電位差が生じる。この電位差は、フォーカスリ
ング124の上面134に沿って多数の等電位線130が存在することからも明
らかである。上面134の上に多数の等電位線が存在すると、フォーカスリング
124の上面134に、RF誘導プラズマ領域112からのイオンが強い力で衝
突する。これは、イオンが、等電位線を通過する際にその等電位線と直交する方
向に加速されるからである。
【0010】 イオンがフォーカスリング124の上面134におよぼす衝撃は、上述した汚
染問題以外にも望ましくない影響をもたらす。例えば、フォーカスリング124
が衝突イオンにより十分に腐食されると、今度はその下に配置されたチャック1
16がプラズマ材料の攻撃を受けるため、さらなる(そして異なるタイプの)微
粒子汚染が引き起こされ、最終的にはチャック116を交換する必要が生じる。
さらに、チャック116が静電(ESC)チャック(すなわち、静電力に依存し
てその上面に基板114をクランプするチャック)である場合には、チャックか
らプラズマへの電流漏れ(腐食されたフォーカスリング124を経てプラズマが
チャック116に直接接触するため)により、ESCチャックが基板114をク
ランプする能力が損なわれる恐れが生じる。適切にクランプされていないと、プ
ラズマ処理の最中に基板がチャックから外れたり、あるいは、基板とチャックの
間の熱伝導が、十分な処理結果を保証するためには不十分になったりする恐れが
ある。
【0011】 以上からわかるように、プラズマ処理チャンバにおいて、フォーカスリングの
腐食を軽減するための改良技術が望まれている。
【0012】
【発明の概要】
本発明の1つの実施形態は、プラズマ処理チャンバにおいて使用されるように
構成されたフォーカスリングに関する。フォーカスリングは、基板保持チャック
の少なくとも一部分に重なるように構成される。この基板保持チャックは、プラ
ズマ処理の最中に高周波(RF)電源で作動されて、電極として作用する。フォ
ーカスリングは、プラズマ処理の最中にプラズマ処理チャンバのプラズマ領域に
露出する上面を有している。フォーカスリングはさらに、基板保持チャックの一
部分に重なるチャック重なり部分を有しており、チャック重なり部分の少なくと
も一部分は、フォーカスリングの残りの部分よりも低誘電率の第1の材料で形成
される。
【0013】 本発明の別の実施形態は、プラズマ処理チャンバにおいて使用されるように構
成されたフォーカスリングに関する。フォーカスリングは、基板保持チャックの
少なくとも一部分に重なるように構成される。この基板保持チャックは、プラズ
マ処理の最中に高周波(RF)電源で作動されて、電極として作用する。フォー
カスリングは、プラズマ処理の最中にプラズマ処理チャンバのプラズマ領域に露
出する上面を有している。フォーカスリングはさらに、基板保持チャックの一部
分に重なるチャック重なり部分を有する。チャック重なり部分は、フォーカスリ
ングをプラズマ処理チャンバ内に設置した際に、基板保持チャックの一部分を少
なくとも部分的に覆うような、伝導インサートを有する。
【0014】 本発明のさらに別の実施形態は、プラズマ処理チャンバにおいて使用されるよ
うに構成されたフォーカスリングの腐食を軽減するための方法に関する。フォー
カスリングは、プラズマ処理の最中にプラズマ処理チャンバのプラズマ領域に露
出するように構成された上面を有する。フォーカスリングはまた、基板保持チャ
ックの少なくとも一部分に重なるように構成され、この基板保持チャックは、プ
ラズマ処理の最中に高周波(RF)電源で作動されて、電極として作用する。こ
の方法は、フォーカスリングのチャック重なり部分に、フォーカスリングの他の
部分よりも低誘電率の低誘電率部分を形成する工程を含む。このフォーカスリン
グにおいて、チャック重なり部分は基板保持チャックの一部分に重なる。
【0015】 本発明の上記およびその他の特徴を、以下に続く発明の詳細な説明において、
図と関連させながらさらに詳しく説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】
添付の図面に示される本発明のいくつかの好ましい実施形態にもとづき、本発
明を詳細に説明する。以下の説明では、本発明の完全な理解を促すために多くの
項目を特定している。しかしながら、当業者には明らかなように、本発明は、こ
れらの項目の一部または全てを特定しなくても実施することができる。また、本
発明を不必要に不明瞭化するのを避けるため、周知の処理工程および/または構
造の説明は省略した。
【0017】 本発明の特徴によれば、フォーカスリングは、その上面で等電位線(例えば、
図1の等電位線130)を曲げることにより、プラズマからのイオンがフォーカ
スリング124に衝突する際のエネルギを小さくするように構成されている。フ
ォーカスリングの上面に存在する等電位線の本数を減らすことにより、フォーカ
スリングの上面とプラズマの間の電位差を縮め、イオンがフォーカスリングの上
面に衝突する際のエネルギを小さくすることができる。イオンによる衝撃が小さ
くなると、これに付随してフォーカスリングの腐食も軽減される。
【0018】 本発明の実施形態では、RF作動チャックを覆うフォーカスリングの少なくと
も一部分を、低誘電率の材料または低誘電率の領域で形成し、その下に配置され
るチャックからフォーカスリングを経てプラズマに至るまでのインピーダンスを
増加させる。インピーダンスが増加すると、チャックからフォーカスリング上面
にかけてより大きな電圧降下が生じるため、フォーカスリングの上面とプラズマ
の間の電位差を縮め、フォーカスリング上面にイオンが衝突する際のエネルギを
小さくすることができる。
【0019】 上述した低誘電率の材料は、一般に、任意の適した材料で良い(従来技術の酸
化アルミニウムよりも低誘電率の任意の適した材料等)。このような低誘電率の
材料は、例えば、石英、プラスチック(例えばポリイミド)、窒化ホウ素、窒化
アルミニウムを含む。本発明の実施形態では、上述した低誘電率の領域を、フォ
ーカスリング自身に包括される真空間隙により具現化しても良い。別の実施形態
では、フォーカスリング全体を低誘電率の材料で形成しても良い。
【0020】 さらに別の実施形態では、接地されたインサート(挿入部)がフォーカスリン
グに組み込まれる。接地されたインサートは少なくとも、フォーカスリングのう
ちチャックを覆う部分に配置されている。接地されたインサートは、自身に向け
て有利に等電位線を曲げることにより、フォーカスリングの上面から等電位線を
逸らすことができる。上述したように、フォーカスリングの上面に存在する等電
位線の本数が少ないほど、イオンがフォーカスリングの上面に衝突する際のエネ
ルギは小さくなり、フォーカスリングの腐食を軽減することができる。
【0021】 本発明の特徴および利点に関する議論を促進するため、図2に、従来技術によ
るフォーカスリング124、チャック116、および基板114を部分的に拡大
して示した。図2に示されるように、フォーカスリング124は、基板保持チャ
ック116の上に重なる部分(すなわち、図2のフォーカスリングのうち点線2
02の左側に相当する部分)を有する。従来技術による酸化アルミニウム製のフ
ォーカスリング124を使用すると、酸化アルミニウムが高誘電率の材料である
ため、等電位線130は、フォーカスリング124のうちチャック116に重な
る部分に対して実質的平行な状態を維持する。その結果、プラズマシースからの
イオンは、等電位線に垂直な方向に加速されてフォーカスリング124の上部表
面(上面)134に衝突するとともに、間隙204を経てフォーカスリング12
4の下部の表面206にも衝突する。上述したように、上部表面134および下
部表面206に激しい衝撃が加わると、汚染の問題が生じ、フォーカスリング1
24の寿命が縮む原因となる。時間が経過し、フォーカスリング124のうちチ
ャック116に重なる部分が腐食されてしまうと、イオンはチャック116に直
接衝突するようになり、チャック116の損傷を引き起こす。腐食により、基板
114とフォーカスリングの下部表面206との間に間隙が増加するため、より
多くのプラズマ残渣がチャック116の上に堆積する。また、腐食によりフォー
カスリングの外観が損なわれ、フォーカスリングの交換が必要となる。
【0022】 図3に、本発明の実施形態にもとづく改良フォーカスリングの設計を示した。
この改良フォーカスリングは、プラズマ処理の最中に等電位線を有利に変形する
ことにより、プラズマシース内のイオンがフォーカスリングの上部および下部の
水平面に衝突する際の衝撃を小さくする。図3には、基板114およびチャック
116が再び示されている。フォーカスリング302は、図2のフォーカスリン
グ124と実質的に類似の形状を有するフォーカスリングである。ただし、特定
のシステムにおいては、フォーカスリング302の特定の形状は、チャック11
6、基板114、および/またはその他の構成に依存して変化しても良い。この
ため、図3のフォーカスリング302の厳密な形状は、例示のみを目的としてお
り、いかなる意味でも非限定的である。
【0023】 フォーカスリング302は、プラズマ処理の最中にプラズマ環境に露出する上
部表面304を有することが好ましい。フォーカスリング302はさらに、プラ
ズマ処理の最中に基板114および(基板114とフォーカスリング302との
間に位置する)間隙308の下に配置される下部表面306を有する。図3に示
されるように、フォーカスリング302の一部分(すなわち、フォーカスリング
302のうち点線310の左側に相当する部分)は、チャック116の上に重な
る。ここで、基板114の上方から見たときに、このチャック重なり部分が基板
114を実質的に取り囲んでいる点に理解する必要がある。
【0024】 本発明の実施形態によれば、チャック重なり部分312の少なくとも一部分は
、チャック116とフォーカスリング302の上部表面304の間でインピーダ
ンスが増加するように構成される。上述したように、インピーダンスが増加する
と、チャック116と上部表面304との間で大きな電圧降下が生じるため、フ
ォーカスリング302の上部表面304とその上を覆うプラズマシースの間で電
位差が小さくなる。また、チャック重なり部分312におけるインピーダンスの
増加により、間隙308内の等電位線をチャック116に向けて曲げ、上部表面
304からほぼ下向きに逸らすことができる。
【0025】 等電位線の形状がこのように変化すると、上部表面304の上方に存在する等
電位線の本数が少なくなるため、プラズマ領域からのイオンが、上部表面304
に衝突するまでに受け取るエネルギも減少する。等電位線が曲がることにより(
図3では等電位線314で示される)、間隙308に入射するイオンはすべて基
板114のエッジに向けて方向付けられる(イオンは、等電位線を通過する際に
その等電位線とほぼ直角の方向に加速されるため)。このため、下部表面306
に衝突するイオンは減少し、衝突するにしても、どのイオンも図2の状況に比べ
て一般に小さいエネルギで衝突するようになる。
【0026】 本発明の実施形態では、チャック重なり部分312の少なくとも一部分を従来
技術のフォーカスリング(酸化アルミニウムAl23で形成されるのが典型的で
ある)より低誘電率の材料で形成することにより、チャック116とフォーカス
リング302の上部表面304との間におけるインピーダンスを達成することが
できる。本発明の実施形態では、フォーカスリング302は、石英、またはプラ
ズマエッチング環境に耐え得る任意のプラスチック材料で形成され得る。ここで
、従来技術では、プラズマエッチング環境においてプラスチック材料をフォーカ
スリング302に使用することは、微粒子汚染への懸念があるため望ましくない
とされていた点に注意が必要である。これに対して、本発明では、フォーカスリ
ング302の上部表面304および下部表面306に沿って腐食が軽減され、微
粒子汚染への懸念が緩和されるため、ポリイミド等の多用途プラスチック材料の
使用が促進される(市販の多用途プラスチック材料の一例に、デュポン[商標]社
のヴェスペルがある)。
【0027】 フォーカスリング302全体を低誘電率の材料で形成するか、あるいはフォー
カスリング302の一部分(例えばチャック重なり部分312)のみを低誘電率
の材料で形成するかの、いずれかの方法が考えられる。もちろん、チャック重な
り部分312の一部分のみを低誘電率の材料で形成した場合にも、チャック11
6と上部表面304の間のインピーダンスを増加させることができる。例えば、
点線310の左側に位置する任意の一部分を低誘電率の材料で形成し、フォーカ
スリングの腐食を軽減しても良い。例えば、フォーカスリング302を従来のフ
ォーカスリング用の材料で形成したうえで、チャック重なり部分312の少なく
とも一部分の内部に、低誘電率の材料で形成したインサートを(水平に、垂直に
、または傾いて)提供しても良い。フォーカスリングが従来の材料で形成され、
その内部にインサートが封入されている場合には、チャンバ内に新しい材料が導
入されることはない。このため、改良フォーカスリングの使用に先立って、多方
面の試験を行う必要がない。
【0028】 本発明の実施形態では、フォーカスリング302のチャック重なり部分312
に1つまたはそれ以上の低誘電率領域(例えば間隙)を提供することにより、チ
ャック116の低部とフォーカスリング302の上部表面304の間にインピー
ダンスを発生させる。図4は、チャック重なり部分312に2つの間隙402,
404が形成された場合の実施形態を示した図である。図4において、真空間隙
402,404は、それらの全体がチャック重なり部分312の中に完全に収ま
っているが、もし必要であれば、これらの間隙を、点線312を越えてフォーカ
スリング302の内部まで広げても良い。真空間隙はさらに、フォーカスリング
302の下部表面に対して水平または傾けて配置して良く、提供されるその数は
いくつでも良い。
【0029】 一般に、真空間隙は任意のサイズで良い。真空間隙のサイズは、しかしながら
、プラズマ処理中にプラズマが間隙内で発生できない大きさであることが好まし
い。もちろん、真空間隙の厳密なサイズは、プラズマ処理中におけるプラズマ処
理チャンバ内の圧力および/またはチャンク116への高周波(RF)電源の供
給量に依存する。例えば、プラズマ処理中に真空間隙内でプラズマが発生しない
ように、パッシェンの法則を利用して真空間隙のサイズを決定しても良い。また
、間隙の数およびサイズは、フォーカスリングの構造的・機械的完全性を熟考の
うえで決定するべきである。
【0030】 本発明の別の実施形態によれば、プラズマ処理中の等電位線の形状を変化させ
、フォーカスリングの腐食を軽減するために、導電性インサート(すなわち、金
属板または金属リング)をフォーカスリングに提供しても良い。図5には、フォ
ーカスリング302のチャック重なり部分312内に配置された、導電性インサ
ート502が示されている。導電性インサート502は任意の適した形状を採る
ことができるが、図5の実施形態では、フォーカスリング302のチャック重な
り部分312に埋め込まれた金属リングまたは金属板として表されている。導電
性インサート502はさらに、点線310を越えてフォーカスリング302の他
の部分に広がっても良く、フォーカスリング302の下部表面306に対してあ
らゆる角度(平行を含む)で配置されて良い。もし必要であれば、導電性インサ
ート502を、実質的に導電性のポリシリコンか、またはその他任意の適した実
質的に導電性の材料で形成しても良い。導電性インサート502はまた、RF阻
止コンデンサ(図5にコンデンサ504として示される)を経て接地されること
が好ましい。
【0031】 導電性インサート502の存在により、等電位線をフォーカスリング302の
上部表面304から逸らせ、上部表面304の上に存在する等電位線の本数を減
少させる(これに付随して、イオンがフォーカスリング302の上部表面304
および下部表面306に衝突する際の衝撃も小さくなる)。導電性インサートは
フォーカスリングの内部に実質的に埋め込まれているため、フォーカスリングそ
のものは、処理環境との適合性を第一に考慮して選択される材料を含む任意の材
料で形成され得る。本発明のこの特徴は、システム設計者が、フォーカスリング
の構成に使用される材料を大きな柔軟性でもって設定でき、なお且つフォーカス
リングの腐食を軽減できるという点において、特に有益である。導電性インサー
トはまた、フォーカスリングの他の領域に対するイオンの衝撃を増大させて、ポ
リマの堆積が減少するように設計することもできる。
【0032】 図6は、本発明のさらに別の実施形態を示した図であり、チャック116とフ
ォーカスリング302の上部表面304との間のインピーダンスを増加させるた
め、チャック重なり部分312の少なくとも一部分に複数の低誘電率層が提供さ
れている。図6の実施形態では、3つの代表的な低誘電率インサート602,6
04,606が示されている。図6の複数のインサートは、チャック116と上
部表面304の間のインピーダンスを増加させてフォーカスリングの腐食を軽減
させるために、複数の水平、垂直、または傾いた低誘電率インサートが提供され
得ることを示している。
【0033】 もし必要であれば、インサート602,604,606のいずれかを省略する
か、またはより多数のインサートを利用しても良い。例えば、必要に応じて垂直
のインサート602を省略しても良く、または、垂直のインサート602,60
4を省略し、低誘電率インサート606がフォーカスリング材料内に完全に封入
されるようにしても良い。このように封入されると、低誘電率の材料は主として
処理環境から保護されるため、低誘電インサートに使用できる材料の範囲を実質
的に広げることができる。また、低誘電率材料をフォーカスリング内部に封入す
ることにより、上述したように、設計者はフォーカスリングの材料を腐食の軽減
以外の目的に合わせて設定することができる(すなわち設計者は、フォーカスリ
ング302の残りの部分を、処理との適合性を目的として従来技術の酸化アルミ
ニウム材料で形成するように設定しても良い)。
【0034】 以上からわかるように、本発明では、チャンバの設計を変更する(チャック1
16、基板114等の形状または相対位置の変更等)必要なくフォーカスリング
の腐食を軽減することができる。等電位線を逸らせ、イオンをフォーカスリング
の上部表面および下部表面に実質的に小さい衝撃力で衝突させて、フォーカスリ
ングの腐食を実質的に軽減することにより、プラズマ処理チャンバ内における微
粒子汚染の程度を下げ、フォーカスリングの寿命を延ばすことができる。
【0035】 当業者には理解できるように、微粒子生成の程度を下げることにより、平均洗
浄間隔時間(MTBC:mean time between cleans)を増加させ、プラズマ処理
システムの所有コストを下げることができる。さらに、低誘電率材料、低誘電率
領域、および/または導電性インサートを、フォーカスリングの腐食制御以外の
目的で(例えば処理の適合性を第1に考慮して)材料選択されたフォーカスリン
グ内に完全に封入した場合にも、腐食の制御という目的を達成することができる
【0036】 以上、本発明をいくつかの好ましい実施形態にもとづいて説明したが、本発明
の範囲内における他の選択肢、変形、および同等物を実施することも可能である
。本発明で開示したフォーカスリングは、例えば、その腐食を望ましい程度まで
軽減するために、上述した実施形態における低誘電率部分(間隙等の低誘電率領
域または低誘電率インサートのいずれか)および/または接地された導電性イン
サートを任意に組み合わせて具現化することもできる。また、本発明による方法
および装置は、代替の方式により具現化しても良い。このため、添付した請求の
範囲は、本発明の真の精神および範囲を逸脱しない全ての選択肢、変形、および
同等物を含むものとして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基板にプラズマ処理を施すのに適したプラズマ処理システムである誘電結合プ
ラズマ処理システムの概略図である。
【図2】 図1のプラズマ処理システムに設置された従来技術によるフォーカスリングの
部分的拡大図である。
【図3】 低誘電率のインサートを利用してチャックとフォーカスリング上部表面の間の
インピーダンスを増加させる、本発明の実施形態にもとづくフォーカスリングの
部分図である。
【図4】 間隙を利用してチャックとフォーカスリング上部表面の間のインピーダンスを
増加させる、本発明の別の実施形態にもとづくフォーカスリングの部分図である
【図5】 接地された導電性インサートを利用してチャックとフォーカスリング上部表面
の間のインピーダンスを増加させる、本発明のさらに別の実施形態にもとづくフ
ォーカスリングの部分図である。
【図6】 多数のインサートを利用してチャックとフォーカスリング上部表面の間のイン
ピーダンスを増加させる、本発明のさらに別の実施形態にもとづくフォーカスリ
ングの部分図である。
【符号の説明】
100 …プラズマ処理システム 102 …プラズマ処理チャンバ 104 …電極 106 …RFジェネレータ 108 …整合回路網 110 …シャワーヘッド 112 …RF誘導プラズマ領域 114 …基板 116 …基板保持チャック 118 …RFジェネレータ 120 …整合回路網 122 …排気ポート 124 …フォーカスリング 130 …等電位線 134 …フォーカスリングの上部表面 206 …フォーカスリングの下部表面 302 …フォーカスリング 304 …フォーカスリングの上部表面 306 …フォーカスリングの下部表面 308 …間隙 312…チャック重なり部分 314 …等電位線 402 …真空間隙 404 …真空間隙 502 …導電性インサート 504 …コンデンサ 602 …低誘電率のインサート 604 …低誘電率のインサート 606 …低誘電率のインサート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トクナガ・ケン アメリカ合衆国 カリフォルニア州94538 フリモント,マーベラ・テラザ,39250 (72)発明者 シング・ビクラム アメリカ合衆国 カリフォルニア州95054 サンタ・クララ,#110,モリソン・コ ート,530 Fターム(参考) 4K030 FA01 FA04 GA02 KA30 KA46 LA15 5F004 AA16 BA08 BA14 BA20 BB13 BB22 BB23 BB28 BB29 5F045 AA08 BB08 DP03 EH11 EH12 EH16 EH17 EM01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ処理チャンバで使用するように構成されるとともに
    、プラズマ処理の最中に高周波(RF)電源で通電されて電極として作用する基
    板保持チャックの少なくとも一部分に重なるように構成される、フォーカスリン
    グであって、 前記プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ領域に露出
    する上面と、 前記基板保持チャックの前記一部分に重なり、少なくとも一部分は前記フォー
    カスリングの残りの部分より低誘電率の第1の材料で形成される、チャック重な
    り部分と、 を備えるフォーカスリング。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフォーカスリングであって、 前記チャック重なり部分は、前記第1の材料で形成された複数のインサートを
    備える、フォーカスリング。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のフォーカスリングであって、 前記チャック重なり部分は、前記第1の材料で形成され前記上面に平行に配置
    されたインサートを備える、フォーカスリング。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のフォーカスリングであって、 前記インサートは、前記プラズマ処理チャンバ内でプラズマに露出しないよう
    に前記フォーカスリング内に封入されている、フォーカスリング。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のフォーカスリングであって、 前記第1の材料はチャンバ内の真空であり、前記チャック重なり部分は、前記
    基板保持チャックの前記一部分を少なくとも部分的に覆う真空間隙を備え、前記
    真空間隙のサイズは、前記プラズマ処理の最中にプラズマが前記真空間隙内で発
    生しないように、前記プラズマ処理の最中における前記プラズマ処理チャンバの
    作動電圧およびRF電源の設定に対応して決定されている、フォーカスリング。
  6. 【請求項6】 プラズマ処理チャンバで使用するように構成されるとともに
    、プラズマ処理の最中に高周波(RF)電源で通電されて電極として作用する基
    板保持チャックの少なくとも一部分に重なるように構成される、フォーカスリン
    グであって、 前記プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ領域に露出
    する上面と、 前記基板保持チャックの前記一部分に重なるチャック重なり部であって、前記
    フォーカスリングを前記プラズマ処理チャンバ内に設置したときに前記基板保持
    チャックの前記一部分を少なくとも部分的に覆う導電性インサートを備えるチャ
    ック重なり部分と、 を備えるフォーカスリング。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のフォーカスリングであって、 前記金属インサートは接地されている、フォーカスリング。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のフォーカスリングであって、 前記チャック重なり部分の少なくとも一部分は、前記フォーカスリングの残り
    の部分より低誘電率の第1の材料で形成され、前記チャック重なり部分の前記少
    なくとも一部分は、前記金属インサートおよび前記フォーカスリングの前記残り
    の部分と異なる、フォーカスリング。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のフォーカスリングであって、 前記第1の材料はチャンバ内の真空であり、前記チャック重なり部分は、前記
    基板保持チャックの前記一部分を少なくとも部分的に覆う真空間隙を備え、前記
    真空間隙のサイズは、前記プラズマ処理の最中にプラズマが前記真空間隙内で発
    生しないように、前記プラズマ処理の最中における前記プラズマ処理チャンバの
    作動電圧およびRF電源の設定に対応して決定されている、フォーカスリング。
  10. 【請求項10】 プラズマ処理チャンバで使用するように構成されるととも
    に、プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ領域に露出す
    るように構成される上面を有し、前記プラズマ処理の最中に高周波(RF)電源
    で通電されて電極として作用する基板保持チャックの少なくとも一部分に重なる
    ように構成される、フォーカスリングの腐食を軽減するための方法であって、 前記基板保持チャックの前記一部分に重なる前記フォーカスリングのチャック
    重なり部分に、前記フォーカスリングの他の部分より低誘電率の低誘電率部分を
    形成する工程を備える、方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の方法であって、 前記低誘電率部分は、前記上面に対して平行に配置されたインサートである、
    方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の方法であって、 前記インサートは、前記プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内で
    プラズマに露出しないよう前記フォーカスリング内に封入されている、方法。
  13. 【請求項13】 請求項10記載の方法であって、 前記低誘電率部分は、前記基板保持チャックの前記一部分を少なくとも部分的
    に覆う間隙であり、前記真空間隙のサイズは、前記プラズマ処理の最中にプラズ
    マが前記真空間隙内で発生しないように、前記プラズマ処理の最中における前記
    プラズマ処理チャンバの作動電圧およびRF電源の設定に対応して決定されてい
    る、方法。
  14. 【請求項14】 プラズマ処理チャンバで使用するように構成されるととも
    に、プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマ領域に露出す
    るように構成される上面を有し、前記プラズマ処理の最中に高周波(RF)電源
    で通電されて電極として作用する基板保持チャックの少なくとも一部分に重なる
    ように構成される、フォーカスリングの腐食を軽減するための方法であって、 前記プラズマ処理の最中に前記プラズマ処理チャンバ内の前記プラズマ領域に
    露出する上面と、前記基板保持チャックの前記一部分に重なり、少なくとも一部
    分は前記フォーカスリングの残りの部分より低誘電率であるチャック重なり部分
    と、を有する前記フォーカスリングを提供する工程と、 前記フォーカスリングを前記プラズマ処理チャンバの内部に設置する工程と、 を備える方法。
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