WO2012114648A1 - 有機el表示パネルおよび有機el表示装置 - Google Patents

有機el表示パネルおよび有機el表示装置 Download PDF

Info

Publication number
WO2012114648A1
WO2012114648A1 PCT/JP2012/000288 JP2012000288W WO2012114648A1 WO 2012114648 A1 WO2012114648 A1 WO 2012114648A1 JP 2012000288 W JP2012000288 W JP 2012000288W WO 2012114648 A1 WO2012114648 A1 WO 2012114648A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
hole injection
injection layer
organic
electrode
layer
Prior art date
Application number
PCT/JP2012/000288
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
小松 隆宏
大内 暁
隆太 山田
藤田 浩史
慎也 藤村
西山 誠司
健一 年代
恒 菅野
矢田 修平
Original Assignee
パナソニック株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by パナソニック株式会社 filed Critical パナソニック株式会社
Priority to US13/995,205 priority Critical patent/US8829510B2/en
Priority to JP2013500855A priority patent/JP5884224B2/ja
Priority to CN201280004532.1A priority patent/CN103314462B/zh
Publication of WO2012114648A1 publication Critical patent/WO2012114648A1/ja

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/17Carrier injection layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/12Active-matrix OLED [AMOLED] displays
    • H10K59/131Interconnections, e.g. wiring lines or terminals
    • H10K59/1315Interconnections, e.g. wiring lines or terminals comprising structures specially adapted for lowering the resistance
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K59/00Integrated devices, or assemblies of multiple devices, comprising at least one organic light-emitting element covered by group H10K50/00
    • H10K59/10OLED displays
    • H10K59/17Passive-matrix OLED displays
    • H10K59/179Interconnections, e.g. wiring lines or terminals
    • H10K59/1795Interconnections, e.g. wiring lines or terminals comprising structures specially adapted for lowering the resistance
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

 本発明は、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率を実現できる有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置を提供する。 具体的には、基板10の上に、第1電極20及び補助配線30、ホール注入層40、機能層および第2電極90を順次形成する。前記ホール注入層40および前記第2電極90の各々は、前記第1電極20の上方および前記補助配線30の上方に連続して形成する。前記第2電極90と前記補助配線30とは、前記ホール注入層40を介して電気接続する。ホール注入層40は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有するように、厚さ2nm以上で形成する。

Description

有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置
 本発明は、電気的発光素子である有機電界発光素子(以下「有機EL素子」と称する)を用いた有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置に関する。
 近年、有機半導体を用いた各種機能素子の研究開発が進められており、代表的な機能素子として有機EL素子が挙げられる。有機EL素子は、電流駆動型の発光素子であり、陽極および陰極とからなる一対の電極対の間に有機材料からなる発光層を含む機能層を設けた構成を有する。そして、電極対間に電圧を印加し、陽極から機能層に注入されるホールと陰極から機能層に注入される電子とを再結合させ、これにより発生する電界発光現象によって発光する。有機EL素子は、自己発光を行うため視認性が高くかつ完全固体素子であるため耐衝撃性に優れることから、各種有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置における発光素子や光源としての利用が注目されている。
 有機EL素子の発光光率を向上させるためには、電極から機能層へキャリア(ホールおよび電子)を効率よく注入することが重要である。一般に、キャリアを効率よく注入するためには、それぞれの電極と機能層との間に注入の際のエネルギー障壁を低くするための注入層を設けるのが有効である。このうち機能層と陽極との間に配設されるホール注入層には、銅フタロシアニンやPEDOT(導電性高分子)などの有機物、酸化モリブデンや酸化タングステンなどの金属酸化物が用いられている。また、機能層と陰極との間に配設される電子注入層には、金属錯体やオキサジアゾールなどの有機物、バリウムなどの金属が用いられている。
 中でも、酸化モリブデンや酸化タングステンなどの金属酸化物をホール注入層として用いた有機EL素子に関しては、ホール注入効率の改善や寿命の改善が報告されており(特許文献1、非特許文献1)、その改善にはホール注入層表面における金属酸化物の酸素欠陥に類する構造により形成される電子準位が影響しているとの報告がある(非特許文献2)。
 一方、有機EL表示パネルの大判化に伴い、パネルを構成する各有機EL画素の、電極から電源に繋がる配線部の低抵抗化が必要とされている。特に、トップエミッション型のアクティブマトリクス有機EL表示パネルにおいては、ITO、IZO等の透明電極材料を共通電極に用いる必要があるが、これらは比較的高抵抗のため、配線部としてはなるべく多用しないのが望ましい。
 これについて、例えば、特許文献2には、トップエミッション型の有機EL素子として、第2電極(共通電極)が補助配線に接続された構造の配線部を有する有機EL素子が開示されており、比較的高抵抗の共通電極の使用をなるべく抑えた配線部を実現している。ここで、補助配線とは、電源から共通電極へ電子を供給する構造を有する低抵抗配線のことである。
 補助配線は、発光部を遮らないよう非発光部に設けるのが好ましい。また、補助配線を非発光部に設ける場合、共通電極の上部と下部のどちらに設けてもよいが、下部に設ける構造は、薄膜トランジスタや画素電極などの形成工程を利用して補助配線も同時に形成できるため、より好ましい構造であると言える。
特開2005-203339号公報 特開2002-318556号公報
Jingze Li et al.,Synthetic Metals 151,141(2005). Kaname Kanai et al.,Organic Electronics 11,188(2010). 渡邊寛己 他,有機EL討論会第7回例会予稿集 17(2008). Hyunbok Lee et al., Applied Physics Letters 93, 043308(2008). 中山泰生 他, 有機EL討論会第7回例会予稿集 5(2008).
 ところで、共通電極の下部に補助配線を有する有機EL素子においては、一般には画素電極(陽極)と補助配線を同一膜で形成した後パターニングを行う。その後、ホール注入層を積層する。
 ここで、銅フタロシアニンやPEDOTなどのホール注入層は、補助配線の上には形成しないことが望まれる。なぜなら、これらのホール注入層は一般に高抵抗であるばかりでなく、補助配線の上に形成すると、補助配線から共通電極への電子の供給を阻害するからである。
 具体的には、これらのホール注入層は、その最高被占軌道の結合エネルギーが、一般に陽極に使われるITOなどのフェルミレベルに近接するように設計されており、逆に最低空軌道の結合エネルギーは、当該フェルミレベルからは相当離れている。このため、陽極からこれらのホール注入層へは、ホール注入は比較的容易であるものの、電子注入は困難である。このことは発光部においては有利に働くが、補助配線と共通電極の接続部においては、陽極と同一の材料を用いた補助配線から、これらのホール注入層を介しての共通電極への電子の供給が出来ず、配線部の高抵抗化の原因となる。
 またホール注入層に用いられる材料の中には、電子に対して化学的に不安定で、長時間電子を流し続けるとそれ自身が分解、劣化するものも多く、結果としてパネル特性の低下を招く恐れがある。
 そこで、これらのホール注入層は、パターニング成膜により、補助配線の上には形成されないようにする必要がある。このようなパターニング成膜の方法としては、1)マスク蒸着やスクリーン印刷、インクジェット印刷等を用いて、画素電極上に選択成膜する方法と、2)全面成膜形成した後に、フォトリソグラフィーやドライエッチング等を用いて、補助配線上のみを選択除去する方法とがある。しかしながら、いずれの方法によっても、工程数の増加は製造コストを増大させ、またパーティクルの増加などに繋がり歩留まりの低下を招く。さらにパターニングの際のレジスト残渣等が補助配線上に抵抗成分として残り、配線部の更なる高抵抗化に繋がる恐れがある。
 本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであって、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率を実現できる有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板上または前記基板内に形成された第1電極と、前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して形成された補助配線と、前記第1電極の上方に形成され、少なくとも発光層を含む機能層と、前記機能層と前記第1電極との間に介在し前記機能層へのホール注入を行うホール注入層と、前記機能層の上方に形成された第2電極と、を具備し、前記ホール注入層および前記第2電極の各々は、前記第1電極の上方および前記補助配線の上方に連続して形成され、前記第2電極と前記補助配線とは、前記ホール注入層を介して電気接続され、前記ホール注入層は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している構成とした。
 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置は、ホール注入層が、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有しているため、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率を実現できる。
 すなわち、ホール注入層が前記占有準位を有することから、画素部のホール注入層と機能層との間のホール注入障壁を小さく抑えることができると共に、画素部の画素電極とホール注入層、および配線部の補助配線とホール注入層、ホール注入層と共通電極の間においては、ほとんど障壁なくキャリアの授受ができる。これにより有機EL表示パネルを低電圧で駆動できるとともに、優れた発光効率を実現できる。
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルを説明するための図である。 本発明の一態様に係る有機EL表示装置の全体構成を示す図である。 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機表示ELパネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機表示ELパネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機表示ELパネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機表示ELパネルの製造方法を説明する断面図である。 本発明の一態様に係る有機表示ELパネルの製造方法を説明する断面図である。 ホールオンリー素子の構成を示す模式的な断面図である。 評価デバイスとしての有機EL素子の構成を示す模式的な断面図である。 ホール注入層の成膜条件に対するホールオンリー素子の駆動電圧の依存性を示すグラフである。 ホールオンリー素子の印加電圧と電流密度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 有機EL素子の印加電圧と電流密度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 有機EL素子の電流密度と発光強度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 光電子分光測定用のサンプルの構成を示す模式的な断面図である。 酸化タングステン層のUPSスペクトルを示す図である。 酸化タングステン層のUPSスペクトルを示す図である。 図18のUPSスペクトルの微分曲線を示す図である。 大気曝露した酸化タングステン層のUPSスペクトルを示す図である。 本発明の酸化タングステン層のUPSスペクトルおよびXPSスペクトルを併せて示す図である。 本発明の酸化タングステン層とα-NPD層の界面エネルギーダイアグラムである。 ホール注入層と機能層の注入サイトの効果を説明するための図である。 成膜条件Cの酸化タングステン層とα-NPD層の界面エネルギーダイアグラムである。 純水洗浄したIZO陽極と機能層の界面エネルギーダイアグラムである。 純水洗浄後ドライエッチング処理したIZO陽極と機能層の界面エネルギーダイアグラムである。 IPA洗浄したITO陽極と機能層の界面エネルギーダイアグラムである。 IPA洗浄後酸素プラズマ処理したITO陽極と機能層の界面エネルギーダイアグラムである。 純水洗浄したIZO陽極と本発明のホール注入層の界面エネルギーダイアグラムである。 純水洗浄後ドライエッチング処理したIZO陽極と本発明のホール注入層の界面エネルギーダイアグラムである。 IPA洗浄したITO陽極と本発明のホール注入層の界面エネルギーダイアグラムである。 IPA洗浄後酸素プラズマ処理したITO陽極と本発明のホール注入層の界面エネルギーダイアグラムである。 アルミニウム陽極と本発明のホール注入層の界面エネルギーダイアグラムである。
 [本発明の一態様の概要]
 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板上または前記基板内に形成された第1電極と、前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して形成された補助配線と、前記第1電極の上方に形成され、少なくとも発光層を含む機能層と、前記機能層と前記第1電極との間に介在し前記機能層へのホール注入を行うホール注入層と、前記機能層の上方に形成された第2電極と、を具備し、前記ホール注入層および前記第2電極の各々は、前記第1電極の上方および前記補助配線の上方に連続して形成され、前記第2電極と前記補助配線とは、前記ホール注入層を介して電気接続され、前記ホール注入層は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している構成とした。
 本態様によると、ホール注入層が酸化タングステンを含んで構成されている。さらに、このホール注入層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している。この占有準位がホール注入層中に存在することで、画素部のホール注入層と機能層との間のホール注入障壁を小さく抑えることができると共に、画素部の画素電極とホール注入層、および配線部の補助配線とホール注入層、ホール注入層と共通電極の間においては、ほとんど障壁なくキャリアの授受ができる。その結果、ホール注入効率が高く、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率を実現できる。
 また、本態様によると、配線部の補助配線とホール注入層、ホール注入層と共通電極の間はほとんど障壁なくキャリアの授受ができることから、補助配線上にホール注入層を形成してもなんら問題がなく、ホール注入層のパターニング工程が不要となることから、工程削減を可能とするだけでなく、安定した量産プロセスを実現できる。
 さらに、本態様によると、ホール注入層を、化学的に安定な酸化タングステンで構成しているので、バンク形成工程において、アルカリ溶液や水、有機溶媒等によりホール注入層が変質、分解することが抑制される。したがって、素子完成後も、ホール注入層の形態、ならびに画素部におけるホール注入層から機能層へのホール注入効率、および配線部におけるホール注入層と共通電極の間のキャリアの授受を、良好に保持できる。これにより、有機EL表示パネルの量産プロセスに耐えることのできる有機EL素子の製造を行うことが可能となる。
 有機EL素子の発光層は、ホール注入層形成後に積層される。一般的に発光層は発光色毎(例えばR、G、B)に塗り分けられるが、画素間の混色を防ぎ高精細化を実現するため、画素間には、例えば、隔壁(以下、バンクと称する)が配置される。バンク形成工程では、一般的にフォトリソグラフィー法を用い、例えば、ホール注入層表面に、感光性のレジスト材料からなるバンク材料を塗布し、プリベークした後、パターンマスクを用いて感光させ、未硬化の余分なバンク材料をアルカリ溶液等で構成される現像液で洗い出し、最後に純水で洗浄する。このように、バンク形成工程では、アルカリ溶液、水、有機溶媒等を用いるが、例えばホール注入層が有機系の材料で形成されている場合は、それらによって材料が変質、分解などしてホール注入層が損なわれるため、所望のホール注入効率が得られないという問題が生ずる。これに対して、本発明の一態様に係るホール注入層の場合は、酸化タングステンで形成されているため、前記溶液によってホール注入層が変質、分解し難いため、そのような問題が生じ難い。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第2電極は、透明電極である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記透明電極は、ITOまたはIZOである。
 前述のように、トップエミッション型の有機EL素子においては、共通電極(第2電極)にITO、IZO等の透明電極材料を用いる必要があるが、それらは金属材料より抵抗率が高い。そのため、配線部に共通電極を多用すると、表示パネルが大面積化されるほど、発光画素間で共通電極の配線長に差異が生じ、電源供給部の端と表示パネルの中央の間で大きな電圧降下が発生し、それに応じて輝度に差が出るため、中央が暗くなる。つまり、表示パネル面の有機EL素子の配置位置によって電圧がばらつき、表示品質の低下を生じるという課題がある。このため、前述のように低抵抗の補助配線を併用し、共通電極の使用を極力抑えた配線部を形成する。
 ここで、本発明における所定の物性を備えた酸化タングステンは、これらの透明電極材料ともショットキーオーミック接続するので、補助配線と透明電極材料との間に形成されても配線部の高抵抗化を引き起こさない。すなわち、補助配線とホール注入層、ホール注入層とITO、IZO等からなる共通電極との間は、ほとんど障壁なくキャリアの授受ができる。その結果、本発明の一態様の有機EL表示パネルは、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率の発揮を期待することができる。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第2電極は、Al(アルミニウム)またはAg(銀)を主成分とする。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極の上方および前記補助配線の上方に連続して形成された金属層を有し、前記金属層は、前記第1電極の上方では、前記第2電極と前記発光層との間に介在し、前記補助配線の上方では、前記第2電極と前記ホール注入層との間に介在する。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記金属層は、前記第1電極の上方にて、前記第2電極(共通電極)から前記発光層に電子を注入する電子注入層とする。
 また本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記金属層として、Ba(バリウム)を含む金属層を設ける。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、ボトムエミッション型の有機EL素子において、前記第2電極(共通電極)としてAgやAlなどの高反射率の金属材料を用いる。
 ここで、本発明における所定の物性を備えた酸化タングステンは、これらの金属ともショットキーオーミック接続するので、補助配線上に形成されても配線部の高抵抗化を引き起こさない。すなわち、補助配線とホール注入層、ホール注入層とBa、Al、Ag等からなる金属層や共通電極との間は、ほとんど障壁なくキャリアの授受ができる。その結果、本発明の一態様の有機EL表示パネルは、低電圧で駆動できるとともに、優れた発光効率の発揮を期待することができる。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記補助配線は、ITOまたはIZOである。
 前述のように、ITO、IZOからなる補助配線とホール注入層との間は、ほとんど障壁なくキャリアの授受ができる。したがって、本態様の有機EL表示パネルは、低電圧で駆動できるとともに優れた発光効率の発揮を期待することができる。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極の上方に形成されたホール注入層と同一層のホール注入層が、前記補助配線の上方に形成されている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、少なくとも前記補助配線上に形成されるホール注入層の膜厚が4nm以上である。
 本態様によれば、配線部の補助配線とホール注入層の間、およびホール注入層と金属層の間に、ショットキーオーミック接続が安定して形成され、安定したキャリアの授受を期待できるため、一層好適である。すなわち、補助配線とホール注入層の間の安定なショットキーオーミック接続のために2nm以上、ホール注入層と金属層の間の安定なショットキーオーミック接続のために2nm以上を確保することが好ましいことから、計4nm以上であれば一層好適であるといえる。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極の上方に開口部を有する隔壁が、前記ホール注入層上に形成され、前記機能層は、前記隔壁の開口部内に形成されている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極は画素単位に複数配置され、前記隔壁の開口部は、前記複数の第1電極の各々に対応して形成されている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極は画素単位に複数配置され、前記隔壁の開口部は、前記複数配置された第1電極のラインごとに、対応して形成されている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層の膜厚は2nm以上である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層は、UPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層は、XPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層は、UPSスペクトルの微分スペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0~3.2eV低い結合エネルギー領域に亘り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有する。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層における前記占有準位は、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0~3.2eV低い結合エネルギー領域内に存在している。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーが、前記占有準位の結合エネルギーの近傍に位置づけられている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーの差が±0.3eV以内である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記占有準位の存在によって、前記第1電極と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記第1電極のフェルミレベルの近傍に位置づけられている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記第1電極と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記第1電極のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記占有準位の存在によって、前記補助配線と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記補助配線のフェルミレベルの近傍に位置づけられている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記補助配線と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記補助配線のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記第2電極との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記第2電極のフェルミレベルの近傍に位置づけられている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層と前記第2電極との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記第2電極のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記電子注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記電子注入層のフェルミレベルの近傍に位置づけられている。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、前記ホール注入層と前記電子注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記電子注入層のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの特定の局面では、基板と、前記基板上または前記基板内に形成された第1電極と、前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して形成された配線と、前記第1電極の上方に形成され、有機材料を含む有機層と、前記有機層と前記第1電極との間に介在し、酸化タングステンを含む酸化タングステン層と、前記有機層の上方に形成された第2電極と、を具備し、前記酸化タングステン層および前記第2電極の各々は、前記第1電極の上方および前記配線の上方に連続して形成され、前記第2電極と前記配線とは、前記酸化タングステン層を介して電気接続され、前記酸化タングステン層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有する。
 本発明の一態様に係る有機EL表示装置は、上記いずれかに記載の有機EL表示パネルを備える。
 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板上または基板内に第1電極を形成する第一の工程と、前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して補助配線を形成する第二の工程と、前記第1電極の上方及び前記補助配線の上方に連続したホール注入層を形成する第三の工程と、前記第1電極の上方に少なくとも発光層を含む機能層を形成する第四の工程と、前記機能層の上方および前記補助配線上の前記ホール注入層の上方に連続した第2電極を形成する第五の工程と、を具備し、前記第2電極と前記補助配線とは、前記ホール注入層を介して電気接続され、前記ホール注入層は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有するものとする。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第三の工程と前記第四の工程との間に、前記第1電極上方の前記ホール注入層を露出させた開口部及び前記補助配線上方の前記ホール注入層を露出させた領域を有する隔壁を前記ホール注入層上に形成する工程を、さらに具備し、前記第四の工程において、前記機能層は前記隔壁の前記開口部内に形成されるものとする。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第三の工程において、前記第1電極の上方に形成されたホール注入層と同一層のホール注入層が前記補助配線の上方に形成されるものとする。
 また、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法の特定の局面では、基板上または基板内に第1電極を形成する第一の工程と、前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して配線を形成する第二の工程と、前記第1電極の上方及び前記配線の上方に連続した酸化タングステンを含む酸化タングステン層を形成する第三の工程と、前記第1電極の上方に有機材料を含む有機層を形成する第四の工程と、前記有機層の上方および前記配線上の前記酸化タングステン層の上方に連続した第2電極を形成する第五の工程と、を具備し、前記第2電極と前記配線とは、前記酸化タングステン層を介して電気接続され、前記酸化タングステン層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有しているものとする。
 なお、本願において数値範囲を「~」を用いて記載した場合は、その下限値および上限値もその数値範囲に含むものとする。例えば、1.8~3.6eVと記載した場合は、その数値範囲に1.8eVおよび3.6eVが含まれる。
 [本発明に至った経緯]
 本発明者らは、金属酸化物からなるホール注入層の表面に、酸素欠陥に類する構造が形成するフェルミ面近傍の占有準位が存在すれば、当該ホール注入層と機能層との界面において、当該フェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーと、機能層の最高被占軌道の結合エネルギーとの差が小さくなることを、後述するような実験により確認した。
 さらに、この点に着目し、当該ホール注入層にフェルミ面近傍の占有準位が存在すれば、陽極、陰極、補助配線等の電極との界面においても、当該フェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーと、電極のフェルミレベルとの差が小さくなり、良好なキャリアの授受が可能であるとの着想に至った。
 そして、フェルミ面近傍の占有準位を有する、金属酸化物からなるホール注入層は、比較的低抵抗であり、かつ、Al等の金属材料からなる電極や、ITO、IZO等の比較的高抵抗の透明電極材料からなる電極との間に、ショットキーオーミック接続を実現できるという理由によって、補助配線上に形成されても配線部の高抵抗化を引き起こさない、という知見を得るに至った。
 次に、本発明者らは、バンク形成工程において変質、分解され難いホール注入層を形成するための材料についても検討を行った。
 上記のように、有機EL素子の駆動電圧や寿命の改善を実現するホール注入層用の材料としては、無機材料である金属酸化物が好適であったが、実際に酸化モリブデンをホール注入層に用いて有機EL素子を製造してみると、バンク形成工程で用いられるアルカリ溶液、水、有機溶媒等によりホール注入層が変質、分解する可能性が示唆された。もしも、ホール注入層の変質、分解等の問題が発生すれば、発光部の画素電極上においてはホール注入層が本来有しているホール注入能力に支障を来たし、配線部の補助配線上においては配線部の高抵抗化を引き起こすなどして、正常な有機EL素子の駆動が行えない原因となるほか、有機EL素子およびこれを用いた有機EL表示パネルの量産プロセスに耐えることが難しくなる。したがって、変質、分解を生じる可能性がある酸化モリブデンを用いてホール注入層を形成することは、必ずしも好ましいとは言えない。
 そこで、本発明者らは、変質、分解が生じる可能性がより低い酸化タングステンに着目し、しかも、酸化タングステンの中でも所定の物性を備えたものであれば、前記溶液等に対する溶解性または分解性が低く且つホール注入能力が高い、ことを突き止めた。
 [実施の形態]
 以下、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置を説明し、続いて各性能確認実験の結果と考察を述べる。なお、各図面における部材縮尺は、実際のものとは異なる。
 <有機EL表示パネルの構成>
 図1は、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルを説明するための図であって、図1(a)は、有機EL表示パネルの要部を説明する部分平面図、図1(b)は、図1(a)におけるA-A’線に沿って切断した要部断面図である。
 図1(a)に示すように、本実施の形態に係る有機EL表示パネル110では、発光部95を有する発光画素95Aがマトリクス状に複数配置されており、陽極(画素電極、第1電極)20は画素単位に複数配置され、補助配線(配線にも該当する)30は各発光部95に沿って発光画素列ごとに配置して設けられている。
 図1(b)に示すように、有機EL表示パネル110は、基板10と、基板10上に形成された陽極20および補助配線30と、陽極20および補助配線30上に形成されたホール注入層(酸化タングステン層にも該当する)40と、ホール注入層40上に形成され、陽極20の上方に画素開口部45、および補助配線30の上方に接続開口部35を有するバンク50と、バンク50の画素開口部45内に形成されたバッファ層60と、バンク50の画素開口部45内のバッファ層60上に形成された発光層(有機層にも該当する)70と、それらの上面に形成された電子注入層(金属層にも該当する)80と、電子注入層80上に形成された陰極90(共通電極、第2電極)と、等から構成されている。
 ホール注入層40については、陽極20の上方に形成されたホール注入層と同一のホール注入層が補助配線30の上方に形成されている。すなわち、ホール注入層40は、図1(a)に記載された部分平面図の全面に亘って形成されている。また、電子注入層80および陰極90も、図1(a)に記載された部分平面図の全面に亘って形成されている。
 補助配線30と陰極90とは、補助配線30に沿って設けられた接続開口部35において、ホール注入層40と電子注入層80を介して電気的に接続され、陰極90から電源へと繋がる配線部を構成している。なお、接続開口部35における陰極90と補助配線30との間の層構造は、上記構造に限定されない。例えば、ホール注入層40および電子注入層80以外の層が含まれていても、あるいは電子注入層80がなくても良い。補助配線30から陰極90への電子の流れを阻止しない層構造であれば良く、このような多層構造を有する有機EL表示パネルも本発明に含まれ、本実施の形態に係る有機EL表示パネル110と同様の効果を有する。
 発光部95は、画素開口部45に設けられた、ホール注入層40、バッファ層60、発光層70および電子注入層80から構成され、発光層70に注入された電子とホールの再結合により発生する光を陰極90側から放出する。なお、陽極20は、発光部95に対応して画素ごとに離間して設けられている。すなわち、発光部がR、G、Bなどのサブ画素から構成されている場合には、各サブ画素に対応した発光部95および陽極20がサブ画素ごとに離間して設けられている。
 (基板)
 基板10は、有機EL素子の基材となる部分であり、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコン系樹脂、またはアルミナ等の絶縁性材料のいずれかで形成することができる。
 図示していないが、基板10の表面には有機EL素子を駆動するためのTFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。
 (陽極)
 陽極20は、例えば、Alからなる厚さ400nmの金属膜に、ITOからなる厚さ20nmの透明導電膜を積層させて構成される。なお、陽極20の構成はこれに限定されず、例えばITO、IZOなどの透明導電膜、Al、Agなどの金属膜、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などの合金膜の単層から構成されていてもよい。また、それら透明導電膜、金属膜および合金膜の中から選択した複数の膜を積層させて構成することもできる。
 (補助配線)
 補助配線30は、例えば、Alからなる厚さ400nmの金属膜に、ITOからなる厚さ20nmの透明導電膜を積層させて構成される。なお、補助配線30の構成はこれに限定されず、例えばITO、IZOなどの透明導電膜、Al、Agなどの金属膜、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などの合金膜の単層から構成されていてもよい。また、それら透明導電膜、金属膜および合金膜の中から選択した複数の膜を積層させて構成することもできる。
 (ホール注入層)
 ホール注入層40は、例えば、酸化タングステン(組成式WOxにおいて、xは概ね2<x<3の範囲における実数)を用いた、少なくとも膜厚が2nm以上(ここでは一例として30nm)の層として構成される。膜厚が2nm未満であると、均一な成膜を行いにくく、また、画素部の陽極20とホール注入層40の間のショットキーオーミック接続を形成しにくいので、好ましくない。前記ショットキーオーミック接続は酸化タングステンの膜厚が2nm以上で安定して形成されるため、これ以上の膜厚でホール注入層40を形成すれば、画素部の陽極20からホール注入層40への安定したホール注入効率を期待できる。
 さらに、酸化タングステンの膜厚が4nm以上であれば、配線部の補助配線30とホール注入層40の間、およびホール注入層40と電子注入層80の間も、ショットキーオーミック接続が安定して形成され、安定したキャリアの授受を期待できるため、一層好適である。
 ホール注入層40はできるだけ酸化タングステンのみで構成されることが望ましいが、通常レベルで混入し得る程度であれば、極微量の不純物が含まれていてもよい。
 ここで、ホール注入層40は、所定の成膜条件で成膜することにより、金属酸化物の酸素欠陥に類する構造が形成する電子準位を持つ。この電子準位の存在により、画素部の陽極20からホール注入層40、ホール注入層40からバッファ層60への良好なホール注入、および配線部の補助配線30とホール注入層40、ホール注入層40と電子注入層80の間の良好なキャリア授受が可能となっている。
 前記の「酸素欠陥に類する構造が形成する電子準位を持つ」ということをより具体的に書くと、ホール注入層40は、その電子状態において、価電子帯の上端、すなわち価電子帯で最も低い結合エネルギーよりも、1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位が存在している。この占有準位がホール注入層40の最高占有準位であり、その結合エネルギー範囲はホール注入層40のフェルミレベル(フェルミ面)に最も近い。したがって、以降では、この占有準位を「フェルミ面近傍の占有準位」と称する。
 このフェルミ面近傍の占有準位が存在することで、ホール注入層40と機能層(ここではバッファ層60)との積層界面では、いわゆる界面準位接続がなされ、バッファ層60の最高被占軌道の結合エネルギーが、ホール注入層40の前記フェルミ面近傍の占有準位の結合エネルギーと、ほぼ等しくなる。
 なお、ここで言う「ほぼ等しくなる」および「界面準位接続がなされた」とは、ホール注入層40とバッファ層60との界面において、前記フェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーと、前記最高被占軌道で最も低い結合エネルギーとの差が、±0.3eV以内の範囲にあることを意味している。
 さらに、ここで言う「界面」とは、ホール注入層40の表面と、当該表面から0.3nm以内の距離におけるバッファ層60とを含む領域を指す。
 さらに、ホール注入層40は、その特徴として陽極20や補助配線30、電子注入層80との界面において、いわゆるショットキーオーミック接続を形成している。
 なお、ここで言う「ショットキーオーミック接続」とは、陽極20や補助配線30、電子注入層80のフェルミレベルと、前述したホール注入層40のフェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーとの差が、陽極20や補助配線30、電子注入層80の表面からホール注入層40側への距離が2nmの位置において、±0.3eV以内に小さく収まっている接続を言う。また、ここで言う「界面」とは、陽極20や補助配線30、電子注入層80の表面と、当該表面からホール注入層40側に形成されるショットキーバリアを含む領域を指す。
 前記フェルミ面近傍の占有準位は、ホール注入層40の全体に存在することが望ましいが、少なくともバッファ層60および陽極20、補助配線30、電子注入層80との界面に存在すればよい。なお、このようなフェルミ面近傍の占有準位は、全ての酸化タングステンが有しているものではなく、特にホール注入層の内部や、バッファ層60との界面においては、後述する所定の成膜条件によって初めて形成できる、特有の準位である。
 (バンク)
 バンク50は、例えば、絶縁性の有機材料(例えばアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等)からなり、画素開口部45が複数の陽極20の各々に対応して形成された井桁構造、または、画素開口部45が複数配置された陽極20のラインごとに対応して形成されたストライプ構造をなすように形成されている。なお、バンク50は、本発明に必須の構成ではなく、有機EL素子を単体で使用する場合等には不要である。
 (バッファ層)
 バッファ層60は、例えば、厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFB(poly(9,9-di-n-octylfluorene-alt-(1,4-phenylene-((4-sec-butylphenyl)imino)-1,4-phenylene))で構成されている。
 (発光層)
 発光層70は、例えば、厚さ70nmの有機高分子であるF8BT(poly(9,9-di-n-octylfluorene-alt-benzothiadiazole))で構成される。しかしながら、発光層70はこの材料からなる構成に限定されず、公知の有機材料を含むように構成することが可能である。たとえば特開平5-163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8-ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2-ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等を挙げることができる。
 (機能層)
 本発明における機能層は、ホールを輸送するホール輸送層、注入されたホールと電子とが再結合することで発光する発光層、光学特性の調整または電子ブロックの用途に用いられるバッファ層等のいずれか、もしくはそれらの2層以上の組み合わせ、または全ての層を指す。本発明はホール注入層を対象としているが、有機EL素子はホール注入層以外に上記したホール輸送層、発光層等のそれぞれ所要機能を果たす層が存在する。機能層とは、本発明の対象とするホール注入層以外の、有機EL素子に必要な層を意味している。
 (電子注入層)
 電子注入層80は、例えば、厚さ5nmのバリウム層で構成されており、陰極90から発光層70に電子を注入する機能を有する。電子注入層80は、陽極20の上方および補助配線30の上方に連続して形成されており、陽極20の上方では陰極90と発光層70との間に介在し、補助配線30の上方では陰極90とホール注入層40との間に介在する。本実施の形態のように、光を上方に取り出す方式(トップ・エミッション方式)においては、電子注入層80は光透過性を有する必要があり、電子注入層を上記したように厚さ5nmのバリウム層で構成する場合には、光透過性を有する。なお、光を下方に取り出す方式(ボトムエミッション方式)においては、素子構造にも依存するが、電子注入層は必ずしも光透過性は求められない。
 (陰極)
 陰極90は、例えば、ITOからなる厚さ35nmの透明導電膜を積層させて構成される。なお、陰極90の構成はこれに限定されず、IZOなどの他の透明導電膜や、Al、Agなどの金属やAPC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などの合金からなる薄膜で構成されていてもよい。また、それら透明導電膜、金属膜および合金膜の中から選択した複数の膜を積層させて構成することもできる。
 陽極20および補助配線30には直流電源が接続され、外部より有機EL表示パネル110に給電されるようになっている。
 <有機EL表示装置の構成>
 図2に基づいて、本発明の一態様に係る有機EL表示装置について説明する。図2は、本発明の一態様に係る有機EL表示装置の全体構成を示す図である。
 図2に示すように、有機EL表示装置100は、本発明の一態様に係る有機EL表示パネル110と、これに接続された駆動制御部120とを備え、ディスプレイ、テレビ、携帯電話等に用いられる。駆動制御部120は、4つの駆動回路121~124と制御回路125とから構成されている。なお、実際の有機EL表示装置100では、表示パネル110に対する駆動制御部120の配置や接続関係については、これに限られない。
 <有機EL表示パネルの製造方法>
 以下に、本実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
 図3および図4は、本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法を説明する断面図である。
 まず、図3(a)に示すように、例えばTFT(Thin Film Transistor)とコンデンサなどで構成された駆動回路(図示せず)を備えた基板10を用意する。そして、例えば真空蒸着法やスパッタリング法を用いて、Alからなる金属膜およびITOからなる透明導電膜を、順次基板10上の全面に形成する。その後、フォトリソグラフィー法を用いて、金属膜および透明導電膜をエッチングして、所定の位置に陽極20を、また陽極20と電気的に絶縁された所定の位置に補助配線30を形成する。
 このとき、陽極20は、発光部に対応して個別に形成され、補助配線30は、二次元のマトリクス状に配列された発光画素の、例えば行または列に沿って、一次元的に配置して形成される。なお、基板10には、例えば、駆動回路などによる凹凸を解消するために、必要に応じて、平坦化層を設け、その上に陽極20と補助配線30とを形成してもよい。
 次に、図3(b)に示すように、ホール注入層40を、反応性スパッタ法で、陽極20上および補助配線30上に成膜する。具体的には、ターゲットを金属タングステンとし、反応性スパッタ法を実施する。スパッタガスとしてアルゴンガスを、反応性ガスとして酸素ガスを、それぞれチャンバー内に導入する。この状態で高電圧によりアルゴンをイオン化しターゲットに衝突させる。このとき、スパッタリング現象により放出された金属タングステンが酸素ガスと反応して酸化タングステンとなり、基板10の陽極20上および補助配線30上に連続した状態でホール注入層40が成膜され、中間製品110Aが得られる。
 上記の成膜条件は、基板温度は制御せず、ガス圧(全圧)を4.8Pa、酸素ガス分圧の全圧に対する比を50%、ターゲット単位面積当たりの投入電力(投入電力密度)を1.4W/cmとした。この条件で成膜した酸化タングステンからなるホール注入層40は、その表面に酸素欠陥に類する構造が形成する電子準位を有する。
 次に、中間製品110Aをチャンバーから取り出す。
 次に、図3(c)に示すように、ネガ型のフォトレジスト50Aを全面に塗布する。
 次に、図3(d)に示すように、ネガ型のフォトレジスト50Aの上に、発光部と接続部に相当する位置に遮光部を有するフォトマスク51を位置合わせして載置する。そして、このマスク51を介して、フォトリソグラフィー法を用いてフォトレジスト50Aを露光する。
 次に、図3(e)に示すように、現像処理をして、画素開口部45と接続開口部35を構成するバンク50を形成する。
 次に、図4(a)に示すように、例えばスピンコート法やインクジェット法によるウェットプロセスにより、アミン系有機分子材料を含む組成物インクを画素開口部45に滴下し、溶媒を揮発除去させる。これによりバッファ層60が形成される。
 次に、図4(b)に示すように、バッファ層60の表面に、同様の方法で、有機発光材料を含む組成物インクを画素開口部45に滴下し、溶媒を揮発除去させる。これにより、発光層70が形成される。
 なお、バッファ層60、発光層70の形成方法はこれに限定されず、スピンコート法やインクジェット法以外の方法、例えばグラビア印刷法、ディスペンサー法、ノズルコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。
 続いて、図4(c)に示すように、例えば真空蒸着法により、電子注入層80を、発光層70上および接続開口部35のホール注入層40上に連続した状態で成膜する。
 さらに、図4(d)に示すように、同様の方法により、電子注入層80上に陰極90を成膜する。
 なお、図1には図示しないが、有機EL素子が完成後に大気曝露されるのを抑制する目的で、陰極90の表面にさらに封止層を設けるか、あるいは素子全体を空間的に外部から隔離する封止缶を設けることができる。封止層は例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成でき、素子を内部封止するように設ける。封止缶を用いる場合は、封止缶は例えば基板10と同様の材料で形成でき、水分などを吸着するゲッターを密閉空間内に設ける。
 以上の工程を経ることで、有機EL表示パネル110が完成する。
 続いて、本実施の形態の変形例に係る有機EL表示パネル110Cの製造方法を図5~7を用いて例示する。この有機EL表示パネル110Cの構成は上記110とほぼ同じであるが、ホール注入層40Cが特にキャリアの伝導性に優れる、ナノクリスタル構造を有するように構成された特徴を持つ。
 <有機EL表示パネル110Cの製造方法>
 まず、基板10C上に例えばスパッタ法により銀からなる薄膜を形成し、当該薄膜を例えばフォトリソグラフィでパターニングすることにより、マトリックス状に陽極20Cおよび補助配線30Cを形成する(図5(a))。なお、当該薄膜は真空蒸着法等で形成しても良い。
 引き続き、例えばスパッタ法によりITO薄膜を形成し、当該ITO薄膜を例えばフォトリソグラフィによりパターニングすることにより、陽極20Cおよび補助配線30C上にITO層25Cを形成する。
 ここで有機EL表示パネル110Cでは、ITO層25Cを陽極20Cと分けているが、ITO層25Cを陽極20Cの一部とみなすこともできる。
 また、ITO層25Cは、補助配線30Cとホール注入層40Cの間にも介在する。有機EL表示パネル110Cでは、ITO層25Cを補助配線30Cと分けているが、ITO層25Cを補助配線30Cの一部とみなすこともできる。
 続いて、後述する所定の成膜条件で、酸化タングステンを含む薄膜40Xを形成する(図5(b))。
 次に、薄膜40X上に有機材料からなるバンク材料を用いてバンク材料層50Xを形成し、バンク材料層50Xの一部を除去して薄膜40Xの一部を露出させる(図5(c))。バンク材料層50Xの形成は、例えば塗布等により行うことができる。バンク材料層50Xの除去は、所定の現像液(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)溶液等)を用いてパターニングをすることにより行うことができる。
 このとき、薄膜40Xを構成する酸化タングステンは、化学耐性は良好ではあるものの、TMAH溶液には少し溶ける性質をもつので、前記現像液により薄膜40Xの表面に付着するバンク残渣を洗浄すると、薄膜40Xの露出部分が浸食され、凹入構造が形成される(図6(a))。この結果、陽極20Cに対応した凹部40a、および補助配線30Cに対応した凹部40bを具備するホール注入層40Cが形成される。
 次に、バンク材料層50Xの表面に例えばフッ素プラズマ等による撥液処理を施して、バンク50Cを形成する。続いて、陽極20Cに対応するようバンク50Cで規定された領域内に、例えばインクジェット法により有機材料を含む組成物インクを滴下し、そのインクを乾燥させてバッファ層60C、発光層70Cを形成する(図6(b))。補助配線30Cに対応しバンク50Cで規定された領域内には、バッファ層60C、発光層70Cを形成しない。なお、ディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等によりインクを滴下しても良い。
 次に、例えば真空蒸着法により、電子注入層85Cとなるバリウム薄膜を発光層70C上に形成する(図7(a))。
 次に、例えばスパッタ法により、陰極90CとなるITO薄膜を全面に亘って形成する(図7(b))。
 次に、陰極90Cの上に対して、封止層95Cを形成する(図7(c))。
 以上で有機EL表示パネル110Cが完成する。
 次に、ホール注入層40C(薄膜40X)の成膜条件について述べる。ホール注入層40C(薄膜40X)は、反応性スパッタ法で成膜することが好適である。具体的には、金属タングステンをターゲットとし、アルゴンガスをスパッタガスとし、酸素ガスを反応性ガスとしてチャンバー内に導入する。この状態で高電圧によりアルゴンをイオン化し、ターゲットに衝突させる。このとき、スパッタリング現象により放出された金属タングステンが酸素ガスと反応して酸化タングステンとなり、ITO層25C上に酸化タングステン層が成膜される。
 なお、この成膜条件の詳細について述べると、(1)チャンバー内のガスの全圧が2.3Pa以上7.0Pa以下であり、かつ、(2)全圧に対する酸素ガス分圧の割合が50%以上70%以下であり、かつ、(3)ターゲットの単位面積当たりの投入電力(投入電力密度)が1.5W/cm以上6.0W/cm以下であり、かつ、(4)全圧を投入電力密度で割った値である全圧/電力密度が0.7Pa・cm/Wより大きくなるように設定することが好適である。このような成膜条件により、ナノクリスタル構造を有する酸化タングステンからなるホール注入層40Cが形成される。
(陽極および補助配線形成工程からバンク形成工程までの別の工程例)
 次に図8、9を用いて、陽極および補助配線形成工程からバンク形成工程までのプロセスの別例を説明する。なお、当該プロセスでは、基板10Cの表面に平坦化膜17Cを形成する構成を例示している。
 まず、基板10C上にポリイミドやアクリル等の絶縁性樹脂材料を用いて平坦化膜17Cを形成する。当該平坦化膜17Cの上に、蒸着法に基づき、Al合金薄膜20X、IZO薄膜25X、薄膜(酸化タングステン膜)40Xの3層を順次形成する(図8(a))。Al合金材料としては、例えばACL(アルミコバルトランタン合金)材料を利用できる。
 次に、陽極20C、IZO層25D、ホール注入層40Dの3層、および、補助配線30C、IZO層25D、ホール注入層40Dの3層を形成させたい領域に、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンRを形成する(図8(b))。
 続いて、レジストパターンRに覆われていない薄膜40Xの領域をドライエッチング(D/E)処理し、パターニングする(図8(c))。このドライエッチング処理では、薄膜40Xのみを選択的にエッチングするため、F系ガスとNガスの混合ガス、もしくはF系ガスとOガスの混合ガスのいずれかを用いる。具体的なドライエッチング処理の設定条件は一例として以下の通りに定めることができる。
[ドライエッチング条件]
 処理対象;酸化タングステン膜
 エッチングガス;フッ素系ガス(SF、CFCHF
 混合ガス;O、N
 混合ガス比;CF:O=160:40
 供給パワー;Source 500W、Bias 400W
 圧力;10~50mTorr
 エッチング温度;室温
 上記ドライエッチング処理を実施後、ホール注入層40Dが形成される。その後はOガスでアッシング処理を行うことで、次のウェットエッチング(W/E)処理におけるレジストパターンRの剥離を容易にしておく。
 次に、ウェットエッチング処理により、レジストパターンRに覆われていないIZO薄膜25X、Al合金薄膜20Xの領域をパターニングする(図8(d))。エッチャントとして、硝酸、リン酸、酢酸、水の混合液を用い、IZO薄膜25X、Al合金薄膜20Xの2層を一括してウェットエッチングする。
 具体的なウェットエッチング処理の設定条件は一例として以下の通りに定めることができる。
[ウェットエッチング条件]
 処理対象;IZO薄膜及びAl合金薄膜
 エッチャント;リン酸、硝酸、酢酸の混合水溶液
 溶剤の混合比率;任意(一般的な条件で混合可能)
 エッチング温度;室温よりも低くする。
 なお、当該ウェットエッチング処理を良好に行うため、上層のIZO薄膜25Xの膜厚としては20nm以下が好ましい。膜厚が20nmを超えると、サイドエッチング量が多くなるからである。
 また、IZO薄膜を用いてIZO層を形成する代わりに、ITO薄膜を用いてITO層を形成することも勿論可能である。
 以上のプロセスを経ると、陽極20CとIZO層25Dの2層、および、補助配線30CとIZO層25Dの2層が形成される。その後、レジスト剥離工程を実施してレジストパターンRを除去することで、パターニングされた陽極20C、IZO層25D、ホール注入層40Dの3層構造、および、補助配線30C、IZO層25D、ホール注入層40Dの3層構造を得ることができる(図9(a))。このプロセスでは、ホール注入層40Dは、陽極20CとIZO層25Dの2層、および、補助配線30CとIZO層25Dの2層に対応する位置に合わせて形成される。
 次に、露出している平坦化膜17Cの表面にバンク材料層50X(不図示)を形成し、これをパターニングすることで、バンク50Cが形成される(図9(b))。
 なお、その後は上記した方法で所定のインクを調整し、これをバンク50Cに規定された領域に順次滴下・乾燥することで、バッファ層60C、発光層70Cをそれぞれ形成することができる(図9(c))。
<各種実験と考察>
 (酸化タングステンの成膜条件について)
 本実施の形態では、ホール注入層を構成する酸化タングステンを所定の成膜条件で成膜することで、ホール注入層に前記したフェルミ面近傍の占有準位を存在させ、ホール注入層とバッファ層との間のホール注入障壁を低減して、有機EL表示パネル110を低電圧駆動できるようにしている。
 このような性能を得るための酸化タングステンの成膜方法としては、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、ターゲットは金属タングステンとし、チャンバー内ガスはアルゴンガスと酸素ガスで構成し、ガス圧(全圧)が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらにターゲット単位面積当たりの投入電力(投入電力密度)が1W/cm以上2.8W/cm以下となる成膜条件に設定して、反応性スパッタ法で成膜することが好適であると考えられる。
 上記成膜条件の有効性は以下の諸実験で確認された。
 まず、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率の、成膜条件依存性の評価を確実にするために、評価デバイスとして図10に示すホールオンリー素子1Bを用いた。
 有機EL素子においては、電流を形成するキャリアはホールと電子の両方であり、有機EL素子の電気特性にはホール電流以外にも電子電流が反映されている。しかし、ホールオンリー素子では、陰極からの電子の注入が阻害されるため、電子電流はほとんど流れず、全電流はほぼホール電流のみから構成され、キャリアはほぼホールのみと見なせる。したがって、ホールオンリー素子は、ホール注入効率の評価に好適である。
 具体的に作製したホールオンリー素子1Bは、図10に示す構成とし、基板9上に厚さ50nmのITO薄膜からなる陽極2をスパッタ成膜法にて成膜し、陽極2上に厚さ30nmの酸化タングステンからなるホール注入層4を下記の各成膜条件で成膜し、ホール注入層4上に厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFBからなるバッファ層6A、厚さ70nmの有機高分子であるF8BTからなる発光層6Bを各々スピンコート法で成膜し、さらに厚さ100nmのAu(金)からなる陰極8Cを蒸着法で成膜して作製した。なお、ホールオンリー素子1Bは、有機EL表示パネルの画素部におけるホール注入層からバッファ層へのホール注入効率を検討するための評価デバイスであるため、バンクや配線部は省略した。
 このホールオンリー素子1Bの作製工程において、ホール注入層は、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、反応性スパッタ法で成膜した。チャンバー内ガスは、アルゴンガスおよび酸素ガスの少なくともいずれかから構成し、ターゲットは金属タングステンを用いた。基板温度は制御せず、アルゴンガス分圧、酸素ガス分圧、全圧は各ガスの流量で調節するものとした。成膜条件は以下の表1に示すように、全圧、酸素ガス分圧、および投入電力の各条件を変化させるものとし、これにより各成膜条件で成膜したホール注入層を備えるホールオンリー素子1B(素子No.1~14)を得た。なおこれ以降、酸素ガス分圧は、全圧に対する比(%)として表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 
 上記DCマグネトロンスパッタ装置の、投入電力と投入電力密度の関係を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 
 作製した各ホールオンリー素子1Bを直流電源DCに接続し、電圧を印加した。このときの印加電圧を変化させ、電圧値に応じて流れた電流値を素子の単位面積当たりの値(電流密度)に換算した。以降、「駆動電圧」とは、電流密度10mA/cmのときの印加電圧とする。
 この駆動電圧が小さいほど、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率は高いと推測される。なぜなら、各ホールオンリー素子1Bにおいて、ホール注入層以外の各部位の作製方法は同一であるから、ホール注入層を除く、隣接する2つの層の間のホール注入障壁は一定と考えられる。また、後述のように、当該実験で用いた陽極2とホール注入層は、ショットキーオーミック接続をしていることが、別の実験により確認されている。したがって、ホール注入層の成膜条件による駆動電圧の違いは、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率、およびホール注入層自体のホール伝導効率を強く反映したものになる。
 ここで、本実施の形態の各実験における素子の特性には、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率の他に、ホール注入層のホール伝導効率も影響していると考えられる。しかしながら、当該素子の特性において、少なくともホール注入層とバッファ層との間のホール注入障壁が強く反映されていることは、後述するエネルギーダイアグラムの評価結果からも明確である。
 表3は、当該実験によって得られた、各ホールオンリー素子1Bの、全圧、酸素ガス分圧、投入電力の各成膜条件に対する、駆動電圧の値である。表3中、各ホールオンリー素子1Bの素子No.は囲み数字で示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 
 また、図12の(a)~(c)は、各ホールオンリー素子1Bの駆動電圧の成膜条件依存性をまとめたグラフである。図12(a)中の各点は、左から右に向かって、素子No.4、10、2の駆動電圧を表す。図12(b)中の各点は、左から右に向かって、素子No.13、10、1の駆動電圧を表す。さらに図12(c)中の各点は、左から右に向かって、素子No.14、2、8の駆動電圧を表す。
 なお当該実験では、全圧が2.7Paで酸素ガス分圧が100%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が30%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が70%の場合、全圧が4.8Paで酸素ガス分圧が100%の場合は、いずれもガス流量などのスパッタ装置の制約で成膜を行えなかった。
 まず、駆動電圧の全圧依存性は、図12(a)からわかるように、酸素ガス分圧50%、投入電力500Wの条件下では、少なくとも全圧が2.7Pa超4.8Pa以下の範囲において、駆動電圧の明確な低減が確認できた。この傾向は、少なくとも全圧が7.0Pa以下の範囲まで続くことが別の実験により分かった。したがって、全圧は2.7Pa超7.0Pa以下の範囲に設定することが望ましいと言える。
 次に、駆動電圧の酸素ガス分圧依存性は、図12(b)からわかるように、全圧2.7Pa、投入電力500Wの条件下では、少なくとも酸素ガス分圧が50%以上70%以下の範囲において、酸素ガス分圧の上昇とともに駆動電圧の低下が確認できた。ただし、これ以上に酸素ガス分圧が上昇すると、別の実験により逆に駆動電圧の上昇が確認された。したがって、酸素ガス分圧は50%以上で上限を70%程度に抑えることが望ましいと言える。
 次に、駆動電圧の投入電力依存性は、図12(c)からわかるように、全圧4.8Pa、酸素ガス分圧50%の条件下では、投入電力が500W超で、急激に駆動電圧が上昇することが確認された。したがって、投入電力は500W以下に抑えるのが望ましいと考えられる。なお、表3の素子No.1、3を見ると、投入電力が500Wであっても、全圧が2.7Pa以下であれば、駆動電圧が上昇するという結果が確認できる。
 次に、各ホールオンリー素子1Bのうち、代表して素子No.14、1、7の電流密度―印加電圧曲線を図13に示した。図中縦軸は電流密度(mA/cm)、横軸は印加電圧(V)である。素子No.14は、上記した全圧、酸素ガス分圧、投入電力の望ましい条件をすべて満たしている。一方、素子No.1、7は、上記望ましい条件を一部満たしていない。
 ここで、以降の説明のために、ホール注入層(および後述の酸化タングステン層12)の成膜条件に関しては、素子No.14の成膜条件を成膜条件A、素子No.1の成膜条件を成膜条件B、素子No.7の成膜条件を成膜条件Cと呼ぶことにする。また、それに倣い、図13では、素子No.14をHOD-A、素子No.1をHOD-B、素子No.7をHOD-Cとも記述した。
 図13に示されるように、HOD-AはHOD-B、HOD-Cと比較して、最も電流密度―印加電圧曲線の立ち上がりが早く、また最も低い印加電圧で高い電流密度が得られている。これにより、HOD-AはHOD-B、HOD-Cと比較し、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率が優れていることが推測される。なお、HOD-Aは、各ホールオンリー素子1Bの中で最も駆動電圧が低い素子である。
 以上は、ホールオンリー素子1Bにおけるホール注入層からバッファ層へのホール注入効率に関する検証であったが、本発明の有機EL表示パネルの画素部における有機EL素子においても、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率の成膜条件依存性は、本質的にホールオンリー素子1Bと同じである。このことを確認するために、成膜条件A、B、Cのホール注入層を用いて、図11に示す各有機EL素子1を作製した。
 作製した有機EL素子1は、図11に示すように、陰極以外はホールオンリー素子1Bと同一の構成である。具体的には、基板9上に厚さ50nmのITO薄膜からなる陽極2をスパッタ成膜法にて成膜し、陽極2上に厚さ30nmの酸化タングステンからなるホール注入層4を成膜条件A、B、Cで成膜し、ホール注入層4上に厚さ20nmのアミン系有機高分子であるTFBからなるバッファ層6A、厚さ70nmの有機高分子であるF8BTからなる発光層6Bを各々スピンコート法で成膜し、さらに厚さ5nmのBaからなる電子注入層8A、厚さ100nmのAlからなる陰極8Bを蒸着法で成膜して作製した。なお、有機EL素子1は、有機EL表示パネルの画素部におけるホール注入層からバッファ層へのホール注入効率を検討するための評価デバイスであるため、バンクや配線部は省略した。
 作製した成膜条件A、B、Cの各有機EL素子1を直流電源DCに接続し、電圧を印加した。このときの電流密度―印加電圧曲線を図14に示した。図中、縦軸は電流密度(mA/cm)、横軸は印加電圧(V)である。
 なお、以降の説明のために、図14では、成膜条件Aの有機EL素子1をBPD-A、成膜条件Bの有機EL素子1をBPD-B、成膜条件Cの有機EL素子1をBPD-Cと記述した。
 図14に示されるように、BPD-AはBPD-B、BPD-Cと比較して、最も電流密度―印加電圧曲線の立ち上がりが早く、また最も低い印加電圧で高い電流密度が得られている。これは、それぞれ同じ成膜条件のホールオンリー素子であるHOD-A、HOD-B、HOD-Cと同様の傾向である。
 さらに、上記の各有機EL素子1について、電流密度の変化に応じた発光強度の関係を表す、発光強度―電流密度曲線を図15に示した。図中、縦軸は発光強度(cd/A)、横軸は電流密度(mA/cm)である。これより、少なくとも測定した電流密度の範囲では、BPD-Aの発光強度が最も高いことがわかる。
 以上の結果により、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率の成膜条件依存性が、有機EL素子1においても、ホールオンリー素子1Bの場合と同様に作用していることが推測される。すなわち、当該実験の有機EL素子1において、ホール注入層を構成する酸化タングステンを、DCマグネトロンスパッタ装置を用い、ターゲットは金属タングステンとし、基板温度は制御せず、チャンバー内ガスはアルゴンガスと酸素ガスで構成し、全圧が2.7Pa超7.0Pa以下であり、かつ酸素ガス分圧の全圧に対する比が50%以上70%以下であって、さらに投入電力密度が1W/cm以上2.8W/cm以下となる成膜条件下で、反応性スパッタ法で成膜すると、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率が良く、それにより優れた低電圧駆動と高い発光効率が実現されることが推測される。
 なお、上記においては、投入電力の条件は、表2をもとに改めて投入電力密度で表した。本実験で用いたDCマグネトロンスパッタ装置とは異なるDCマグネトロンスパッタ装置を用いる場合は、ターゲットのサイズに合わせて、投入電力密度が上記条件になるように投入電力を調節することにより、本実験と同様に、優れた低電圧駆動と高い発光効率の有機EL素子1を実現するホール注入層が得られる。なお、全圧、酸素分圧については、装置やターゲットのサイズに依存しない。
 また、ホール注入層の反応性スパッタ法による成膜時は、室温環境下に配置されるスパッタ装置において、基板温度を意図的には設定していない。したがって、少なくとも成膜前は基板温度は室温である。ただし、成膜中に基板温度は数10℃程度上昇する可能性がある。
 本実施の形態の有機EL表示パネル110は、成膜条件Aでホール注入層を作製しており、前記したフェルミ面近傍の占有準位を持つ。これについては、以降で考察する。
 (ホール注入層の電子状態について)
 本実施の形態の有機EL表示パネル110のホール注入層を構成する酸化タングステンには、前記フェルミ面近傍の占有準位が存在している。このフェルミ面近傍の占有準位は、先の実験で示した成膜条件の調整により形成されるものである。詳細を以下に述べる。
 前述の成膜条件A、B、Cで成膜した酸化タングステンにおける、前記フェルミ面近傍の占有準位の存在を確認する実験を行った。
 各成膜条件で、光電子分光測定用のサンプルを作製した。当該サンプルの構成としては、図16に示す1Aのように、導電性シリコン基板11の上に、厚さ10nmの酸化タングステン層12(ホール注入層に該当する)を、前記の反応性スパッタ法により成膜した。以降、成膜条件Aのサンプル1AをサンプルA、成膜条件Bのサンプル1AをサンプルB、成膜条件Cのサンプル1AをサンプルCと記述する。
 サンプルA、B、Cは、いずれもスパッタ装置内において酸化タングステン層12を成膜した後、当該スパッタ装置に連結され窒素ガスが充填されたグローブボックス内に移送し、大気曝露しない状態を保った。そして、当該グローブボックス内でトランスファーベッセルに封入し、光電子分光装置に装着した。これにより、酸化タングステン層12を成膜後に大気曝露することなく、紫外光電子分光(UPS)測定を実施した。
 ここで、一般にUPSスペクトルは、測定対象物の表面から深さ数nmまでにおける、価電子帯などの占有準位の状態を反映したものになる。そこで本実験では、UPSを用いて酸化タングステン層12の表層における占有準位の状態を観察するものとした。
 UPS測定条件は以下の通りである。なお、サンプルA、B、Cでは導電性シリコン基板11を用いたため、測定中チャージアップは発生しなかった。
 光源   :He I線
 バイアス :なし
 出射角  :基板法線方向
 測定点間隔:0.05eV
 図17に、サンプルAの酸化タングステン層12のUPSスペクトルを示す。横軸の結合エネルギーの原点は導電性シリコン基板11のフェルミレベルとし、左方向を正の向きとした。
 以下、図17を用いて、酸化タングステン層12の各占有準位について説明する。
 一般に酸化タングステンが示すUPSスペクトルにおいて、最も大きく急峻な立ち上がりは一意に定まる。この立ち上がりの変曲点を通る接線を線(i)、その横軸との交点を点(iii)とする。これにより、酸化タングステンのUPSスペクトルは、点(iii)から高結合エネルギー側に位置する領域(x)と、低結合エネルギー側に位置する領域(y)に分けられる。
 ここで、以下の表4に示した酸化タングステン層12の組成比によれば、サンプルA、B、Cとも、タングステン原子と酸素原子の数の比率がほぼ1:3である。なお、この組成比は、X線光電子分光(XPS)により求めた。具体的には、当該光電子分光装置を用い、前記UPS測定と同様に、酸化タングステン層12を大気曝露することなくXPS測定し、酸化タングステン層12の表面から深さ数nmまでにおけるタングステンと酸素の組成比を見積もった。なお、表4には、酸化タングステン層12の成膜条件も併記してある。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 
 この組成比から、サンプルA、B、Cのいずれにおいても、酸化タングステン層12は少なくとも表面から深さ数nm以内の範囲において、三酸化タングステンを基本とする原子配置、つまり6つの酸素原子が1つのタングステン原子に対し8面体配位で結合し、8面体が互いに頂点の酸素原子を共有する構造を基本構造に持つと考えられる。したがって、図17における領域(x)は、三酸化タングステン結晶、あるいはその結晶の秩序が乱れた(ただし結合は切れておらず、上記基本構造が保たれている)アモルファス構造が持つ、上記基本構造に由来する占有準位であり、いわゆる価電子帯に対応する領域である。なお、本願発明者は酸化タングステン層12のX線吸収微細構造(XAFS)測定を行い、サンプルA、B、Cのいずれにおいても、上記基本構造が形成されていることを確認した。
 したがって、図17における領域(y)は、価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップに対応するが、本UPSスペクトルが示すように、酸化タングステンにはこの領域にも、価電子帯とは別の占有準位が存在することがあることが知られている。これは上記基本構造とは異なる別の構造に由来する準位であり、いわゆるバンドギャップ間準位(in-gap stateあるいはgap state)である。
 続いて図18に、サンプルA、B、Cにおける各酸化タングステン層12の、領域(y)におけるUPSスペクトルを示す。図18に示すスペクトルの強度は、図17における点(iii)よりも3~4eVほど高結合エネルギー側に位置するピーク(ii)のピークトップの値で規格化した。図18にも図17の点(iii)と同じ横軸位置に点(iii)を示している。横軸は点(iii)を基準とした相対値(相対結合エネルギー)として表し、左から右に向かって結合エネルギーが低くなるように示している。
 図18に示されるように、サンプルAの酸化タングステン層12では、点(iii)からおおよそ3.6eV低い結合エネルギーの位置から、点(iii)からおおよそ1.8eV低い結合エネルギーの位置までの領域に、ピークの存在が確認できる。このピークの明瞭な立ち上がり位置を図中に点(iv)で示した。このようなピークは、サンプルB、Cでは確認できない。
 本発明はこのように、UPSスペクトルにおいて点(iii)から1.8~3.6eV程度低い結合エネルギーの領域内に隆起(ピーク形状を持つとは限らない)した構造を持つ酸化タングステンを、ホール注入層として用いることにより、有機EL表示パネル110において優れたホール注入効率が発揮できるようになっている。
 ここで、当該隆起の程度が急峻であるほど、ホール注入効率が高くなる傾向があることが分かっている。したがって、図18に示すように、点(iii)から2.0~3.2eV程度低い結合エネルギーの領域は、比較的当該隆起構造を確認しやすく、かつ、その隆起が比較的急峻である領域として、特に重要であると言える。
 なお、以降、UPSスペクトルにおける当該隆起構造を、「フェルミ面近傍の隆起構造」と称する。このフェルミ面近傍の隆起構造に対応する占有準位が、前記した「フェルミ面近傍の占有準位」である。
 次に、上記フェルミ面近傍の隆起構造をより明確にするために、図18に示したサンプルA、B、CのUPSスペクトルにおける規格化強度の微分を計算した。
 具体的には、グラフ解析ソフトウェア「IGOR Pro 6.0」を用い、図18に示すUPSスペクトルについて2項スムージング(スムージングファクターは1とした)を11回行い、その後に中心差分法による微分処理を行った。これはUPS測定時のバックグラウンドノイズなどのばらつき要因を平滑化し、微分曲線をスムーズにし、下記の議論を明快にするためである。
 この処理により得られた微分曲線を図19に示した。図19中の点(iii)、(iv)は図18と同一の横軸位置である。
 図19に示す微分曲線によれば、サンプルB、Cの酸化タングステン層12では、光電子分光装置で測定可能な結合エネルギーから点(iv)に至るまでの領域(v)においては、微分値は0付近をほぼ前後するのみであり、さらに点(iv)から高結合エネルギー側におおよそ1.2eVまでの領域(vi)では、微分値は高結合エネルギー側に向かって、ほぼその増加率を増しながら漸増していくのみである。そして、この領域(v)、(vi)におけるサンプルB、Cの各微分曲線の形状は、当該各微分曲線の元である図18に示したサンプルB、CのUPSスペクトルとほぼ相似である。したがって、サンプルB、Cの領域(v)、(vi)におけるUPSスペクトルとその微分曲線の形状は、指数関数的な形状であると言える。
 一方、サンプルAの酸化タングステン層12では、点(iv)付近から高結合エネルギー側に向かって急峻な立ち上がりを見せており、領域(v)、(vi)における微分曲線の形状は指数関数的な曲線の形状とは明らかに異なっている。このようなサンプルAについては、図18の微分前のスペクトルにおいても、点(iv)付近から隆起し始め、また指数関数的なスペクトル形状とは異なる、フェルミ面近傍の隆起構造を持つことが確認できる。
 このようなサンプルAの特性は、言い換えると、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりおおよそ1.8~3.6eV低い範囲内にフェルミ面近傍の占有準位が存在し、特に、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりおおよそ2.0~3.2eV低い範囲内にて、この範囲に対応するフェルミ面近傍の隆起構造が、UPSスペクトルで明瞭に確認できるものである。
 次に、成膜後大気曝露せずに図18のUPSスペクトルを測定したサンプルA、B、Cの酸化タングステン層12に対し、常温にて大気曝露を1時間行った。そして、再びUPS測定を行い、これによるスペクトルの変化を確認した。その前記領域(y)におけるUPSスペクトルを図20に示す。横軸の取り方は図18と同様であり、図中の点(iii)、(iv)は図18と同一の横軸位置である。
 図20に示したUPSスペクトルによれば、サンプルB、Cの酸化タングステン層12では、大気曝露前と同様にフェルミ面近傍の隆起構造は確認できない。これに対し、サンプルAの酸化タングステン層12では、大気曝露後には強度やスペクトル形状に変化はみられるものの、依然としてフェルミ面近傍の隆起構造の存在を確認できる。これにより、サンプルAについては、一定時間大気曝露を行っても、大気曝露前の特性が維持でき、周辺雰囲気に対して一定の安定性を有することがわかる。
 以上では、サンプルA、B、Cについて測定したUPSスペクトルに対して議論を行ったが、上記フェルミ面近傍の隆起構造は、XPSや硬X線光電子分光測定で得たスペクトルでも同様に確認することができる。
 図21は、サンプルAの酸化タングステン層12の、前記大気曝露後のXPSスペクトルである。なお、比較のため、サンプルAの酸化タングステン層12のUPSスペクトル(図17と同一のもの)を重ね書きした。
 XPS測定条件は、光源がAl Kα線であること以外は、前述のUPS測定条件と同様である。ただし測定点の間隔は0.1eVとした。図21において、図中の点(iii)は図17と同一の横軸位置であり、横軸は図18と同様に、点(iii)を基準とした相対結合エネルギーで示している。また、XPSスペクトルにおける図17の(i)に該当する線を、図21中で(i)’で示した。
 図21に示すように、サンプルAの酸化タングステン層12におけるフェルミ面近傍の隆起構造は、XPSスペクトルにおいても、UPSスペクトルの場合と同様に、価電子帯で最も低い結合エネルギーよりもおおよそ1.8~3.6eV低い範囲内にて、相当の大きさの隆起構造として、存在を明確に確認することができる。なお、別の実験により、硬X線光電子分光のスペクトルでも同様にフェルミ面近傍の隆起構造が確認できた。
 なお、上記測定においては、光電子分光測定用のサンプルとして、図11に示す有機EL素子1の構造とは別に、導電性シリコン基板11の上に酸化タングステン層12を形成してなるサンプル1A(図16)を用いた。これは単に、測定中のチャージアップを防ぐための措置であり、本発明の有機EL表示パネル110の構造を当該構成に限定するものではない。
 本願発明者が行った別の実験によれば、図11に示す有機EL素子1の構成(基板10の片面にITOからなる陽極、および酸化タングステンからなるホール注入層を、順次積層した構成)を有するサンプルを用い、UPS、XPS測定を行った場合は、成膜条件B、Cの酸化タングステン層の測定中にチャージアップが発生した。
 しかしながら、チャージアップをキャンセルする中和銃を併用すれば、ホール注入層の各占有準位の示す結合エネルギーの絶対値(例えば、光電子分光装置自体のフェルミレベルを原点とするときの結合エネルギーの値)は、サンプル1Aの酸化タングステン層12のものとは異なることがあるものの、少なくともバンドギャップから価電子帯で最も低い結合エネルギーに至る範囲においては、サンプル1Aと同様の形状のスペクトルが得られている。
 (ホール注入層から機能層へのホール注入効率に関する考察)
 酸化タングステンからなるホール注入層において、UPSスペクトル等でフェルミ面近傍の隆起構造として確認できるフェルミ面近傍の占有準位が、ホール注入層から機能層へのホール注入効率に作用する原理は、以下のように考えることができる。
 酸化タングステンの薄膜や結晶に見られる、前記フェルミ面近傍の占有準位は、酸素欠陥に類する構造に由来することが、実験および第一原理計算の結果から多数報告されている。
 具体的には、酸素原子の欠乏により形成される隣接したタングステン原子の5d軌道同士の結合軌道や、酸素原子に終端されることなく膜表面や膜内に存在するタングステン原子単体の5d軌道に、前記フェルミ面近傍の占有準位が由来するものと推測されている。これらの5d軌道は、半占あるいは非占状態であれば、有機分子と接触したとき、相互のエネルギー安定化のために、有機分子の最高被占軌道から電子を引き抜くことが可能であると推測される。
 実際、酸化タングステンと、触媒作用やエレクトロクロミズム、フォトクロミズムなど、多くの共通した物性を持つ酸化モリブデンにおいては、その薄膜上に有機低分子のα-NPDからなる層を積層すると、α-NPD分子から酸化モリブデン薄膜に電子が移動するとの報告がある(非特許文献3参照)。
 なお、本願発明者は、酸化タングステンにおいては、隣接したタングステン原子の5d軌道同士の結合軌道よりも結合エネルギーが低い、タングステン原子単体の半占5d軌道あるいはそれに類似した構造が、フェルミ面近傍の占有準位に該当するものと考える。
 図22は、本発明のフェルミ面近傍の占有準位を持つ酸化タングステン層と、α-NPD層との界面における、エネルギーダイアグラムである。
 図22中では、まず、当該酸化タングステン層(ホール注入層に該当する)における、価電子帯で最も低い結合エネルギー(図中「価電子帯上端」と表記した)と、フェルミ面近傍の占有準位の立ち上がり位置に相当する、フェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギー(図中「in-gap state上端」と表記した)を示している。UPSスペクトルにおいては、価電子帯上端は図17の点(iii)に該当し、in-gap state上端は図18の点(iv)に該当する。
 そして、さらに当該酸化タングステン層の上に、α-NPD(機能層に該当する)を積層したときの、α-NPD層の膜厚と、α-NPDの最高被占軌道の結合エネルギー、また真空準位との関係も示している。ここで、α-NPDの最高被占軌道の結合エネルギーとは、UPSスペクトルにおける、当該最高被占軌道によるピークの立ち上がり位置の結合エネルギーであり、言い換えればα-NPDの最高被占軌道で最も低い結合エネルギーである。
 具体的には、ITO基板上に成膜した当該酸化タングステン層を、光電子分光装置と当該装置に連結された超高真空蒸着装置との間で基板を往復させながら、UPS測定とα-NPDの超高真空蒸着とを繰り返すことで、図22のエネルギーダイアグラムを得た。UPS測定中にチャージアップは確認されなかったので、図22では、縦軸の結合エネルギーをITO基板のフェルミレベルを原点とした絶対値表記にしている。
 図22から、α-NPD層の厚さが少なくとも0~0.3nmの範囲、つまり当該酸化タングステン層とα-NPD層との界面付近においては、当該酸化タングステン層のin-gap state上端と、α-NPDの最高被占軌道の結合エネルギーはほぼ等しく、言わば互いの準位が接続した状態(前述の界面準位接続の状態)になっていることがわかる。なお、ここで言う「等しい」とは、実際上多少の差を含んでおり、具体的には±0.3eV以内の範囲を指す。
 さらに、図22は、前記界面準位接続が、偶然によるものではなく、酸化タングステンとα-NPDとの相互作用により実現しているものであることを示している。
 例えば、界面における真空準位の変化(真空準位シフト)は、その変化の向きから、界面に電気二重層が、酸化タングステン層側を負、α-NPD層側を正として形成されていることを示す。また、その真空準位シフトの大きさが2eV近くと非常に大きいため、当該電気二重層は、物理吸着等ではなく、化学結合に類する作用により形成されたと考えるのが妥当である。すなわち、前記界面準位接続は、酸化タングステンとα-NPDとの相互作用により実現していると考えるべきである。
 本願発明者は、具体的な相互作用として、以下のメカニズムを推察している。
 まず、フェルミ面近傍の占有準位は、上述のとおり、酸素欠陥に類する構造を構成しているタングステン原子の5d軌道に由来するものである。これを、以下「隆起構造のW5d軌道」と称する。
 当該酸化タングステン層の表面において、隆起構造のW5d軌道に、α-NPD分子の最高被占軌道が近づくと、相互のエネルギー安定化のために、α-NPD分子の最高被占軌道から、隆起構造のW5d軌道に電子が移動する。これにより、界面に電気二重層が形成され、図22に見られるような真空準位シフト、界面準位接続が起こる。
 さらに具体的には、α-NPD等のアミン系有機分子の最高被占軌道は、一般にその電子密度がアミン構造の窒素原子に偏って分布しており、当該窒素原子の非共有電子対を主成分として構成されていることが、第一原理計算による結果として多数報告されている。このことから、特に、当該酸化タングステン層と、アミン系有機分子の層との界面においては、アミン構造の窒素原子の非共有電子対から、隆起構造のW5d軌道に電子が移動すると推察される。
 上記の推察を支持するものとしては、前述のように酸化タングステンと共通の物性を持つ酸化モリブデンの蒸着膜と、α-NPD、F8BTとの各界面において、図22で示した酸化タングステン層とα-NPD層の界面準位接続と同様の界面準位接続の報告がある(非特許文献2、4、5参照)。
 本発明の有機EL表示パネルのホール注入層が持つ、機能層に対する優れたホール注入効率は、以上の界面準位接続により説明することができる。すなわち、フェルミ面近傍の占有準位を持つ酸化タングステンからなるホール注入層と、隣接した機能層との間で、界面準位接続が起こり、フェルミ面近傍の占有準位の立ち上がり位置の結合エネルギーと、機能層の最高被占軌道の立ち上がり位置の結合エネルギーがほぼ等しくなる。ホール注入は、この接続された準位間で起こる。したがって、本発明のホール注入層と機能層との間のホール注入障壁は、ほぼ無いに等しい。
 しかしながら、フェルミ面近傍の占有準位を形成する要因である酸素欠陥に類する構造が全く無い酸化タングステンというものが、現実に存在するとは考えにくい。例えば、前述のサンプルB、C等、光電子分光スペクトルにおけるフェルミ面近傍の隆起構造がない酸化タングステンにおいても、酸素欠陥に類する構造が、極めてわずかにでも存在はしていると考えるのが妥当である。
 これに対し、先の実験が示すように、サンプルAの酸化タングステン層12に該当するホール注入層を持つホールオンリー素子HOD-Aおよび有機EL素子BPD-Aが優れた低電圧駆動を示す理由を、図23を用いて説明する。
 酸化タングステン層に機能層を積層するとき、機能層を構成する有機分子の最高被占軌道と、酸化タングステン層のフェルミ面近傍の占有準位とが相互作用するには、その界面において、有機分子の最高被占軌道の電子密度が高い部位(例えば、アミン系有機分子におけるアミン構造の窒素原子。図中「注入サイト(y)」で示す)と、酸化タングステン層表面の酸素欠陥に類する構造(図中「注入サイト(x)」で示す)が、相互作用する距離まで接近(接触)する必要がある。
 しかし、図23(b)に示すように、前述のサンプルB、C等、フェルミ面近傍の隆起構造が存在しない酸化タングステン層には、注入サイト(x)が存在するとしても、その数密度は、UPSスペクトルにおいてフェルミ面近傍の隆起構造を発現するまでに至らないほど小さい。したがって、注入サイト(y)が注入サイト(x)と接触する可能性が非常に低い。注入サイト(x)と注入サイト(y)が接触するところにおいてホールが注入されるのであるから、サンプルB、Cはその効率が極めて悪いことがわかる。
 これに対し、図23(a)に示すように、前述のサンプルA等、フェルミ面近傍の隆起構造を持つ酸化タングステン層には、注入サイト(y)が豊富に存在する。したがって、注入サイト(y)が注入サイト(x)と接触する可能性が高く、ホール注入層から機能層へのホール注入効率が高いことがわかる。
 ここまでの一連の考察をより確実にするために、さらに、フェルミ面近傍の隆起構造が全く確認できない、成膜条件Cの酸化タングステン層に対しても、図22と同様に、α-NPD層との界面におけるエネルギーダイアグラムを測定した。
 図24にその結果を示す。ここで、上記のように、当該酸化タングステン層では、フェルミ面近傍の隆起構造に該当するin-gap state上端が全く確認できなかった。そこで、ホール注入に使われる準位の別の候補として、UPSスペクトルにおいてフェルミ面近傍の隆起構造の位置よりも高結合エネルギー側に見られる、当該隆起構造とは別の構造(図17の(z))の立ち上がり位置(「第2in-gap state上端」と表記した)と、価電子帯上端とを、図24中に示した。
 しかしながら、図24のα-NPDの最高被占軌道は図22とは全く異なり、第2in-gap state上端にも、価電子帯上端にも、全く近づいておらず、つまり全く界面準位接続が起こっていない。これは、第2in-gap stateも、価電子帯も、α-NPDの最高被占軌道とはほとんど相互作用していないことを意味する。そして、仮に第2in-gap state上端からα-NPDの最高被占軌道にホールが注入されるとしても、その注入障壁は0.75eVと、ほぼ0であった図22の場合に比べ極めて大きい。
 この注入障壁の差は、前述の各成膜条件のホールオンリー素子1B、有機EL素子1の駆動電圧や発光効率に大きく影響していると考えられる。すなわち、成膜条件A、B、Cの各ホールオンリー素子1B、有機EL素子1の特性の違いは、本発明の有機EL表示パネル110が、ホール注入層から機能層への優れたホール注入効率を持つことを強く示唆するものと考えられるのである。
 以上をまとめると、本発明の有機EL表示パネル110が優れたホール注入効率を持つことは、次のように説明できる。
 まず、酸化タングステンからなるホール注入層が、その光電子分光スペクトルにおいて、フェルミ面近傍の隆起構造を持つ。これは、酸素欠陥に類する構造、そしてそれに由来するフェルミ面近傍の占有準位が、当該ホール注入層の表面に少なからず存在することを意味する。
 そして、フェルミ面近傍の占有準位自体は、隣接する機能層を構成する有機分子から電子を奪うことで、有機分子の最高被占軌道と界面準位接続する作用を持つ。
 したがって、ホール注入層の表面に、少なからず酸素欠陥に類する構造が存在すれば、フェルミ面近傍の占有準位と、有機分子の最高被占軌道の電子密度が高い部位とが接触する確率が高く、界面準位接続の作用が効率的に起こり、ホール注入層から機能層への優れたホール注入効率が発現することになる。
 (陽極からホール注入層へのホール注入効率に関する考察)
 次に、陽極と、本発明の酸化タングステンからなるホール注入層との間に形成される、ショットキーオーミック接続、およびその安定性(陽極の材料や表面状態に対する依存性)について説明する。
 1.陽極とホール注入層との間のホール注入障壁について
 まず、陽極と機能層を直接積層した従来構成の有機EL素子における、陽極と機能層との界面付近におけるエネルギーダイアグラムを、図25~28にそれぞれ示す。なお、ここでは機能層としてα-NPDを用いた。また、図中の縦軸の結合エネルギーは、陽極のフェルミレベルを原点とした絶対値表記にしている。
 図25、26のように、陽極をIZOで構成する場合、当該陽極の表面に対し、純水洗浄のみを行ったもの(図25)、また純水洗浄後さらにドライエッチング処理を行ったもの(図26)とで、陽極のフェルミレベルと機能層の最高被占軌道との間のホール注入障壁は、いずれも1eV超という相当な大きさであり、しかもその大きさが、IZO表面に対する処理の違いで大きく変動していることが分かる。
 また、図27、28のように、陽極をITOで構成する場合においても、当該陽極の表面に対し、IPA(イソプロパノール)洗浄のみを行ったもの(図27)、またIPA洗浄後さらに酸素プラズマで処理したもの(図28)とも、やはり相当な高さのホール注入障壁が存在することが分かる。
 これらの図25~28に示すように、従来の有機EL素子では、陽極材料の種類や陽極の表面状態によって、陽極と機能層との間ホール注入障壁が相当に変動するほか、障壁自体も大きく、駆動電圧の面において改善の余地があったことを確認できる。
 一方、陽極と、本発明の酸化タングステンからなるホール注入層を積層した場合の、陽極と本発明のホール注入層との界面付近におけるエネルギーダイアグラムを、図29~33にそれぞれ示す。
 図29、30は、陽極をIZOで構成する場合である。図25、26と同様に、当該陽極の表面に対し、純水洗浄のみを行ったもの(図29)、また純水洗浄後さらにドライエッチング処理を行ったもの(図30)をそれぞれ作製し、その上に本発明のホール注入層を積層している。
 図31、32は、陽極をITOで構成する場合である。図27、28と同様に、当該陽極の表面に対し、IPA洗浄のみを行ったもの(図31)、またIPA洗浄後さらに酸素プラズマで処理したもの(図32)をそれぞれ作製し、その上に本発明のホール注入層を積層している。
 さらに、図33は、陽極をAlで構成する場合である。当該陽極を成膜した後、その表面が自然酸化されないように、大気曝露することなく本発明のホール注入層を積層している。
 これらの図29~33に示される結果から、次のことがわかる。
 まず、図29~33のすべてにおいて、ホール注入層の膜厚がおよそ2nm未満においては、フェルミ面近傍の占有準位の立ち上がり位置であるin-gap state上端の結合エネルギーは比較的急峻に変化しているが、膜厚2nm以上においては、ほぼ一定である。そして、その一定となった結合エネルギーの値は、陽極のフェルミレベルに非常に近く、差は±0.3eV以内に収まっている。これは、言い換えれば、図29~33のすべてにおいて、陽極と本発明のホール注入層の間では、ショットキーバリアの幅が2nm程度の良好なショットキーオーミック接続が実現されている、ということを意味する。
 さらに、図29、30のIZO陽極、また図31、32のITO陽極においては、ホール注入層の膜厚が2nm以上における陽極のフェルミレベルとin-gap state上端との結合エネルギー差は、陽極の表面状態に依存せず、ほぼ同じ値(高々0.02eVのずれ)となっている。
 したがって、次のことが言える。まず、陽極の材料がIZO、ITO、Alのいずれでも、陽極と本発明のホール注入層は、ホール注入層の膜厚が2nm以上であれば、ショットキーオーミック接続する。さらに、陽極の表面状態が少なくとも上記したいずれの処理を経た場合のものでも、この接続は依然良好に保たれるばかりでなく、その接続の程度(上記の結合エネルギー差)も、陽極の表面状態の違いに依存することなく、極めて安定した一定の状況を維持しているのである。
 これらの結果から、本発明の酸化タングステンからなるホール注入層を用いれば、陽極の仕事関数や表面状態を一定にするための諸作業、つまり陽極材料を厳密に選択したり、ホール注入層形成直前の陽極の表面状態を高度に一定に維持したりするなどの特別な配慮を行わなくても、陽極からホール注入層への良好なホール注入効率を期待できる。
 以上をまとめると、本発明における酸化タングステンからなるホール注入層は、フェルミ面近傍に占有準位を有することで、当該準位の作用により、陽極の仕事関数や表面状態にほとんど影響を受けずに陽極とショットキーオーミック接続を実現し、具体的には、陽極の表面からホール注入層側への距離が2nmの位置において、陽極のフェルミレベルと当該占有準位の結合エネルギー差が±0.3eV以内に収まっている。その結果、陽極とホール注入層との間のホール注入障壁を相当に緩和することができる。
 ここで、本発明のホール注入層は、前述のように当該占有準位の作用により、機能層との間のホール注入障壁も極めて小さい。したがって、陽極からホール注入層へ、またホール注入層から機能層へと、ほとんど障壁を受けることなくホールを注入することができる。このように、ホール注入層と機能層との間のホール注入障壁のみならず、陽極とホール注入層との間のホール注入障壁をも緩和することで、一層、良好な素子の低電圧駆動を実現できる。さらに、ホール注入効率の向上を図れば、駆動時に素子にかかる負荷が軽減されるため、素子の駆動寿命を延ばすことも期待できる。
 2.ショットキーオーミック接続の安定性の確認
 上記のように、本発明の酸化タングステンからなるホール注入層は、膜厚が2nm以上であれば、陽極との間に安定したショットキーオーミック接続を形成できる。このことを素子の特性によっても確認した。
 まず、前述のホールオンリー素子1Bを用いて、本発明のホール注入層における、陽極からホール注入層へのホール注入効率の膜厚依存性を評価した。
 ここでのホールオンリー素子1Bのホール注入層は、前述の成膜条件Aで成膜し、膜厚は5~30nmの範囲とした。また、比較のために、ホール注入層を省略した、すなわち陽極とバッファ層を直接積層した素子も作製した(以降「膜厚0nm」と称す)。他の各層の構成は「(酸化タングステンの成膜条件について)」にて述べたものと同じである。
 当該ホールオンリー素子1Bは、膜厚0nmの素子を除き、ホール注入層がいずれも成膜条件Aで成膜されているため、ホール注入層からバッファ層へのホール注入効率は全て同等と考えられる。さらに、ホール注入層の膜厚以外の構成も同一である。したがって、当該ホールオンリー素子1Bの特性には、ホール注入層の膜厚、および陽極とホール注入層との間のショットキーオーミック接続の形成の程度が主に影響するはずである。
 ここで、まず、ホール注入層の電気抵抗の影響が考えられる。ホール注入層の膜厚が大きいほどホール注入層の抵抗は増加する。しかしながら、成膜条件Aのホール注入層の抵抗率は、バッファ層や発光層6Bの100分の1以下であることが、別の実験により確認された。したがって、当該ホールオンリー素子1Bの特性には、ホール注入層の膜厚の違いによる抵抗の違いはほとんど寄与しない。
 したがって、当該ホールオンリー素子1Bは、膜厚0nmの素子を除き、陽極とホール注入層との間に一定のショットキーオーミック接続を形成できていれば、全て同等の特性になるはずである。
 作製したホール注入層の膜厚が0nm、5nm、30nmの各ホールオンリー素子1Bを直流電源に接続し、電圧を印加した。このときの印加電圧を変化させ、電圧値に応じて流れた電流値を素子の単位面積当たりの値(電流密度)に換算した。以降、「駆動電圧」とは、電流密度10mA/cmのときの印加電圧とする。
 各ホールオンリー素子1Bの駆動電圧を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 
 膜厚0nmの素子の駆動電圧は相当に高くなっている。これは、本発明のホール注入層を持たないために、陽極とバッファ層との間に大きなホール注入障壁が生じているためと考えられる。一方、膜厚5nm、30nmの各素子1Bでは、駆動電圧が低く抑えられており、その値も膜厚に依存せず、ほぼ同じであることがわかる。これより、ホール注入層の膜厚が少なくとも5nm以上であるとき、陽極と本発明のホール注入層の間には、ほぼ一定のショットキーオーミック接続が形成され、陽極からホール注入層への良好なホール注入効率が実現していると考えられる。
 次に、有機EL素子1においても、本発明のホール注入層における、陽極からホール注入層へのホール注入効率の膜厚依存性を評価した。ホール注入層の膜厚は2~30nmの範囲とした。
 当該有機EL素子1も、ホール注入層の膜厚以外の構成は全て同一であるから、陽極とホール注入層との間に一定のショットキーオーミック接続を形成できていれば、全て同等の特性になるはずである。
 作製したホール注入層の膜厚が2nm、5nm、15nm、20nm、30nmの各有機EL素子1を直流電源に接続し、電圧を印加した。このときの印加電圧を変化させ、電圧値に応じて流れた電流値を素子1の単位面積当たりの値(電流密度)に換算した。以降、「駆動電圧」とは、電流密度10mA/cmのときの印加電圧とする。
 各有機EL素子1の駆動電圧を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 
 駆動電圧はいずれも低く、良好である。素子の作製上必然的に生じる各層の膜厚のばらつきなどを考慮すれば、これらの駆動電圧は、膜厚に依存せず、十分に同等と見なせる。これより、ホールオンリー素子1Bの場合と同様に、当該有機EL素子1においても、ホール注入層の膜厚が2nm以上であるとき、陽極と本発明のホール注入層の間に、ほぼ一定のショットキーオーミック接続が形成されていると考えられる。
 続いて、有機EL素子1を用いて、本発明のホール注入層の膜厚と、素子の駆動寿命との関係についても評価を行った
 当該有機EL素子1は、表6で用いたものと同じ構成であり、ホール注入層の膜厚は2~30nmの範囲とし、また、比較のために、ホール注入層を省略した膜厚0nmの素子1も作製した。
 各素子1ともホール注入層の膜厚以外の構成は同一であり、したがって、陽極とホール注入層との間に一定のショットキーオーミック接続を形成できていれば、同程度の寿命が期待できる。
 作製したホール注入層の膜厚が0nm、2nm、5nm、30nmの各素子1を直流電源に接続し、電流密度10mA/cmの定電流で駆動し、発光輝度の駆動時間による変化を測定した。
 各素子1において、輝度が駆動開始時の60%に低下するまでの輝度低下時間を表7に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 
 これより、まず、膜厚0nmの素子1は輝度の低下が速く、つまり寿命が短いことがわかる。これは、本発明のホール注入層を持たないために、陽極とバッファ層との間に大きなホール注入障壁が生じ、定電流を流すためには駆動電圧を高くする必要があり、素子1への負荷が高くなることが大きく影響していると考えられる。
 一方、膜厚2nm、5nm、30nmの各素子1は、膜厚0nmの素子1に比べ輝度低下が遅く、つまり寿命が長い。これは、本発明のホール注入層により、ホール注入障壁が効果的に緩和され、駆動電圧が低くて済み、素子1への負担が軽減されたためであると考えられる。
 そして、膜厚2nm、5nm、30nmの各素子1は、いずれも良好で同程度の輝度低下を示している。したがって、やはりホール注入層の膜厚が2nm以上であれば、陽極と本発明のホール注入層の間に、ほぼ一定のショットキーオーミック接続が形成され、このためホール注入層の膜厚が2nm以上の素子1は駆動電圧が同程度となり、同程度の寿命を示すと考えられる。
 以上の実験により、本発明の酸化タングステンからなるホール注入層は、膜厚が2nm以上であれば、陽極との間に安定したショットキーオーミック接続を形成できることが、素子特性によっても確認された。
 なお、表1および図12~15で用いた素子1においては、ホール注入層の成膜条件に関わらず、陽極とホール注入層の間は、本発明のショットキーオーミック接続がなされている。これは、ITO陽極の表面処理により形成したものである。詳細を以下に述べる。
 図22で用いた方法と同様に、当該ITO陽極上への各成膜条件のホール注入層の成膜とUPS測定とを繰り返したところ、ホール注入層の膜厚がおよそ2nm以内では、成膜条件に関わらずフェルミ面近傍の隆起構造が確認され、陽極とショットキーオーミック接続を形成していた。しかし、膜厚が大きくなると、図18に示したように、成膜条件によってフェルミ面近傍の隆起構造の有無が異なるものとなった。
 これは、ホール注入層の成膜前に、当該ITO陽極の表面に対してアルゴンイオンスパッタ処理を行い、当該ITO陽極の洗浄をするとともに、その表面に酸素欠陥を形成したことによると考えられる。
 すなわち、当該ITO陽極の表面に酸素欠陥を形成することにより、ホール注入層の成膜開始直後においては、酸化タングステンの酸素原子が当該ITO側に奪われやすくなり、このため界面近傍のみにおいては、ホール注入層に酸素欠陥に類する構造が多くなる。このため、陽極とホール注入層の間に、本発明のショットキーオーミック接続が形成される。
 ホール注入層の成膜開始後、膜厚が数nm以上になれば、以降は各成膜条件で決まる膜質で一様に成膜されるため、ホール注入層の膜厚が30nmである表1および図12~15の特性は、成膜条件に依存するものになる。
 (補助配線、電子注入層とホール注入層の間のショットキーオーミック接続に関する考察)
 上記では、有機EL素子における陽極とホール注入層に関して考察するという観点から、キャリアとしてはホールと表現し、また電流は陽極からホール注入層への方向のみを議論した。しかしながら、陽極等の電極と本発明のホール注入層の間のショットキーオーミック接続は、電流の方向を電極からホール注入層のみに限定するものではない。
 前述のように、フェルミ面近傍の占有準位は、酸素欠陥に類する構造における、酸素原子と結合していないタングステン原子の5d軌道が持つ電子によるものであり、これは価電子帯の電子や、有機分子の持つ電子とは異なり、比較的自由に動けるキャリアである。言わば、フェルミ面近傍の占有準位は、電子の出し入れが容易なn型半導体のドナー準位、あるいは金属的な準位である。したがって、電極との電子の授受(ホールの授受とも言い換えられる)は双方向に容易であり、容易であるからこそショットキーオーミック接続を実現しているのである。実際、本発明者らは、別の実験により、ITO、IZO、Al、Baと本発明のホール注入層の2層構造において、双方向にオーミックに電流が流れることを確認した。
 電極と本発明のホール注入層の間の、上記のようなショットキーオーミック接続は、当然ながら補助配線とホール注入層の間、またホール注入層と電子注入層の間においても形成されており、これらの層の間ではキャリアの授受が容易である。このため、補助配線と電子注入層の間に位置している本発明のホール注入層が、ホール注入層から電子注入層への電子の注入を妨げたり、補助配線からホール注入層への電子の注入を妨げたりすることはない。この点において、本発明のホール注入層は、例えば補助配線からの電子の注入が困難な銅フタロシアニンやPEDOT等のホール注入層とは、大きく異なるものである。
 ここで、補助配線と電子注入層が直接接続する場合に比べれば、本発明のホール注入層が補助配線と電子注入層の間に介在することで、接続部の抵抗自体は大きくなる。しかしながら、本発明のホール注入層は、有機物からなる一般の機能層に比べ充分に抵抗率が低く、また膜厚も通常の有機EL素子の構成においては高々数十nm以内であるから、画素部、配線部を含めた有機EL表示パネル全体の抵抗に対する本発明のホール注入層の抵抗の寄与は極めて小さい。したがって、本発明のホール注入層が接続部に介在していても、実質的な配線部の高抵抗化を引き起こすことはなく、本発明のホール注入層を用いた有機EL表示パネルにおいては、補助配線上にホール注入層を形成しないようにする工程は必要がない。
 なお、本実施の形態では、接続部においては本発明のホール注入層に電子注入層が積層されているが、接続部の電子注入層は必ずしも必要ではなく、省略することができる。この場合は、ホール注入層と共通電極が直接ショットキーオーミック接続するから、やはり配線部の高抵抗化を引き起こすことはない。
 また、発光層を形成した後、主に有機材料や無機材料からなる電子輸送層を、発光部と接続部に連続して形成しても良い。この場合、接続部においては本発明のホール注入層と当該電子輸送層が隣接することになる。ここで、前述の通り、本発明のホール注入層は、そのフェルミ面近傍の占有準位により、n型半導体や金属としての性質を持つ。したがって、当該電子輸送層との界面において、いわゆるpn接合を起こすことがなく、エネルギー障壁の小さい界面を形成でき、本発明のホール注入層から当該電子輸送層への電子の注入は比較的容易である。本発明のホール注入層は、この点においても、当該電子輸送層との電子の授受が困難な銅フタロシアニンやPEDOT等のホール注入層とは、大きく異なるものである。
 なお、実施の形態1の有機EL表示パネル110では、基板10の上方に設けられた陽極(第1電極)20と補助配線30がホール注入層40を介して並設されているが、陽極20と補助配線30の間は数十μmの隔たりがあるため、同じホール注入層40を介して極性の異なる陽極20と補助配線30とが短絡を起こす問題はない。
 <その他>
 以上、本発明の一態様に係る有機EL表示パネル、および、有機EL表示装置を具体的に説明してきたが、上記実施の形態は、本発明の構成および作用・効果を分かり易く説明するために用いた例であって、本発明の内容は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、理解を容易にするために挙げた各部のサイズや材料などは、あくまでも典型的な一例に過ぎず、本発明がそれらサイズや材料などに限定されるものではない。
 本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、いわゆるトップエミッション型の構成でもよく、いわゆるボトムエミッション型の構成でもよい。
 トップエミッション型では図1に示す態様以外に、画素電極および補助配線を金属膜のみとした構成を採ることもできる。この場合、発光部の構成は、例えば基板側から画素電極(金属膜)/ホール注入層/バッファ層/発光層/電子注入層/共通電極(透明導電膜)となり、接続部の構成は、例えば基板側から補助配線(金属膜)/ホール注入層/電子注入層/共通電極(透明導電膜)となる。
 また、ボトムエミッション型では、例えば画素電極および補助配線を透明導電膜で、共通電極を金属膜で構成し、発光部の構成は、例えば基板側から画素電極(透明導電膜)/ホール注入層/バッファ層/発光層/電子注入層/共通電極(金属膜)となり、接続部の構成は、例えば基板側から補助配線(透明導電膜)/ホール注入層/電子注入層/共通電極(金属膜)となる。
 さらに、本発明は両面発光方式の態様も可能であり、この場合の発光部の構成は、例えば基板側から画素電極(透明導電膜)/ホール注入層/バッファ層/発光層/電子注入層/共通電極(透明導電膜)となり、接続部の構成は、例えば基板側から補助配線(透明導電膜)/ホール注入層/電子注入層/共通電極(透明導電膜)となる。このとき、さらに補助配線として、部分的に金属膜を設ける構成としてもよい。
 以上の態様において、共通電極下の電子注入層は、金属層に限定されず、主に有機材料や無機材料からなる電子注入層、電子輸送層、あるいはその両方から構成されたものでも良い。
 また、本発明の一態様として、画素電極上と補助配線上のホール注入層は、互いに分離されていても何ら問題はない。
 さらに本発明の一態様として、有機EL表示パネルの駆動方式は、アクティブマトリクス方式に限定するものではなく、例えばパッシブマトリクス方式であってもよい。
 本発明の一態様に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子は、携帯電話用のディスプレイやテレビなどの表示素子、各種光源などに利用可能である。いずれの用途においても、低輝度から光源用途等の高輝度まで幅広い輝度範囲で低電圧駆動される有機EL素子として適用できる。このような高性能により、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種ディスプレイ装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ、照明光源等として、幅広い利用が可能である。
 1  有機EL素子(評価デバイス)
 1A  光電子分光測定用サンプル
 1B  ホールオンリー素子
 2、20、20C  第1電極(陽極)
 4、12、40、40C、40D  ホール注入層(酸化タングステン層)
 6A、60、60C  バッファ層
 6B、70、70C  発光層(有機層)
 8A  バリウム層
 8B  アルミニウム層
 8C  陰極(Au)
 9、95C  封止層
 10、10C  基板
 11  導電性シリコン基板
 17C  平坦化膜
 20X  Al合金薄膜
 25C  ITO層
 25D  IZO層
 25X  IZO薄膜
 30、30C  補助配線(配線)
 35  接続開口部
 40X  薄膜(酸化タングステン膜)
 40a、40b  凹部
 45  画素開口部
 50、50C  隔壁(バンク)
 50A  フォトレジスト
 50X  バンク材料層
 51  マスク
 80、85C  金属層(電子注入層)
 90、90C  第2電極(陰極)
 95  発光部
 95A  発光画素
 100  有機EL表示装置
 110、110C  有機EL表示パネル
 110A  中間製品
 120  駆動制御部
 121~124  駆動回路
 125  制御回路

Claims (35)

  1.  基板と、
     前記基板上または前記基板内に形成された第1電極と、
     前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して形成された補助配線と、
     前記第1電極の上方に形成され、少なくとも発光層を含む機能層と、
     前記機能層と前記第1電極との間に介在し前記機能層へのホール注入を行うホール注入層と、
     前記機能層の上方に形成された第2電極と、を具備し、
     前記ホール注入層および前記第2電極の各々は、前記第1電極の上方および前記補助配線の上方に連続して形成され、
     前記第2電極と前記補助配線とは、前記ホール注入層を介して電気接続され、
     前記ホール注入層は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している
     有機EL表示パネル。
  2.  前記第2電極は、透明電極である
     請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3.  前記透明電極は、ITOまたはIZOである
     請求項2に記載の有機EL表示パネル。
  4.  前記第2電極は、AlまたはAgを主成分とする
     請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  5.  前記第1電極の上方および前記補助配線の上方に連続して形成された金属層を有し、
     前記金属層は、
     前記第1電極の上方では、前記第2電極と前記発光層との間に介在し、
     前記補助配線の上方では、前記第2電極と前記ホール注入層との間に介在する
     請求項1~4のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  6.  前記金属層は、前記第1電極の上方にて、前記第2電極から前記発光層に電子を注入する電子注入層である
     請求項5に記載の有機EL表示パネル。
  7.  前記金属層がBaを含んでなる
     請求項6に記載の有機EL表示パネル。
  8.  前記補助配線は、ITOまたはIZOである
     請求項1~7のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  9.  前記第1電極の上方に形成されたホール注入層と同一層のホール注入層が、前記補助配線の上方に形成されている
     請求項1~8のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  10.  少なくとも前記補助配線上に形成されるホール注入層の膜厚が4nm以上である
     請求項1~9のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  11.  前記第1電極を露出させた開口部および前記補助配線を露出させた領域を有する隔壁が、前記ホール注入層上に形成され、
     前記発光層は、前記第1電極の上方であって前記隔壁の開口部内に形成されている
     請求項1~10のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  12.  前記第1電極は画素単位に複数配置され、
     前記隔壁の開口部は、前記複数の第1電極の各々に対応して形成されている
     請求項11に記載の有機EL表示パネル。
  13.  前記第1電極は画素単位に複数配置され、
     前記隔壁の開口部は、前記複数配置された第1電極のラインごとに、対応して形成されている
     請求項11に記載の有機EL表示パネル。
  14.  前記ホール注入層と前記第1電極との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記第1電極の最高被占軌道の結合エネルギーの差が±0.3eV以内である
     請求項1~13のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  15.  前記ホール注入層の膜厚は2nm以上である、
     請求項1~14のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  16.  前記ホール注入層は、UPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する
     請求項1~15のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  17.  前記ホール注入層は、XPSスペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に、隆起した形状を有する
     請求項1~16のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  18.  前記ホール注入層は、UPSスペクトルの微分スペクトルにおいて、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0~3.2eV低い結合エネルギー領域に亘り、指数関数とは異なる関数として表される形状を有する
     請求項1~17のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  19.  前記ホール注入層における前記占有準位は、価電子帯で最も低い結合エネルギーより2.0~3.2eV低い結合エネルギー領域内に存在している
     請求項1~18のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  20.  前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーが、前記占有準位の結合エネルギーの近傍に位置づけられている
     請求項1~19のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  21.  前記ホール注入層と前記機能層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記機能層の最高被占軌道の結合エネルギーの差が±0.3eV以内である
     請求項20に記載の有機EL表示パネル。
  22.  前記占有準位の存在によって、前記第1電極と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記第1電極のフェルミレベルの近傍に位置づけられている
     請求項1~21のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  23.  前記第1電極と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記第1電極のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である
     請求項22に記載の有機EL表示パネル。
  24.  前記占有準位の存在によって、前記補助配線と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記補助配線のフェルミレベルの近傍に位置づけられている
     請求項1~23のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  25.  前記補助配線と前記ホール注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記補助配線のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である
     請求項24に記載の有機EL表示パネル。
  26.  前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記第2電極との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記第2電極のフェルミレベルの近傍に位置づけられている
     請求項1~25のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  27.  前記ホール注入層と前記第2電極との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記第2電極のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である
     請求項26に記載の有機EL表示パネル。
  28.  前記占有準位の存在によって、前記ホール注入層と前記電子注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーが前記電子注入層のフェルミレベルの近傍に位置づけられている
     請求項1~27のいずれか1項に記載の有機EL表示パネル。
  29.  前記ホール注入層と前記電子注入層との積層界面において、前記占有準位の結合エネルギーと前記電子注入層のフェルミレベルの差が±0.3eV以内である
     請求項28に記載の有機EL表示パネル。
  30.  基板と、
     前記基板上または前記基板内に形成された第1電極と、
     前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して形成された配線と、
     前記第1電極の上方に形成され、有機材料を含む有機層と、
     前記有機層と前記第1電極との間に介在し、酸化タングステンを含む酸化タングステン層と、
     前記有機層の上方に形成された第2電極と、を具備し、
     前記酸化タングステン層および前記第2電極の各々は、前記第1電極の上方および前記配線の上方に連続して形成され、
     前記第2電極と前記配線とは、前記酸化タングステン層を介して電気接続され、
     前記酸化タングステン層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している
     有機EL表示パネル。
  31.  請求項1~30のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルを備える
     有機EL表示装置。
  32.  基板上または基板内に第1電極を形成する第一の工程と、
     前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して補助配線を形成する第二の工程と、
     前記第1電極の上方及び前記補助配線の上方に連続したホール注入層を形成する第三の工程と、
     前記第1電極の上方に少なくとも発光層を含む機能層を形成する第四の工程と、
     前記機能層の上方および前記補助配線上の前記ホール注入層の上方に連続した第2電極を形成する第五の工程と、を具備し、
     前記第2電極と前記補助配線とは、前記ホール注入層を介して電気接続され、
    前記ホール注入層は、酸化タングステンを含んで構成され、かつ、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している、
     有機EL表示パネルの製造方法。
  33.  前記第三の工程と前記第四の工程との間に、前記第1電極を露出させた開口部及び前記補助配線を露出させた領域を有する隔壁を前記正孔注入層上に形成する工程を、さらに具備し、
     前記第四の工程において、前記機能層は前記隔壁の前記開口部内に形成される、
     請求項32に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  34.  前記第三の工程において、前記第1電極の上方に形成されたホール注入層と同一層のホール注入層が前記補助配線の上方に形成される
     請求項32または33のいずれかに記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  35.  基板上または基板内に第1電極を形成する第一の工程と、
     前記基板上または前記基板内に前記第1電極と離間して配線を形成する第二の工程と、
     前記第1電極の上方及び前記配線の上方に連続した酸化タングステンを含む酸化タングステン層を形成する第三の工程と、
     前記第1電極の上方に有機材料を含む有機層を形成する第四の工程と、
     前記有機層の上方および前記配線上の前記酸化タングステン層の上方に連続した第2電極を形成する第五の工程と、を具備し、
     前記第2電極と前記配線とは、前記酸化タングステン層を介して電気接続され、
    前記酸化タングステン層は、その電子状態において、価電子帯で最も低い結合エネルギーより1.8~3.6eV低い結合エネルギー領域内に占有準位を有している
     有機EL表示パネルの製造方法。
PCT/JP2012/000288 2011-02-23 2012-01-18 有機el表示パネルおよび有機el表示装置 WO2012114648A1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US13/995,205 US8829510B2 (en) 2011-02-23 2012-01-18 Organic electroluminescence display panel and organic electroluminescence display device
JP2013500855A JP5884224B2 (ja) 2011-02-23 2012-01-18 有機el表示パネルおよび有機el表示装置
CN201280004532.1A CN103314462B (zh) 2011-02-23 2012-01-18 有机el显示面板和有机el显示装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011036920 2011-02-23
JP2011-036920 2011-02-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2012114648A1 true WO2012114648A1 (ja) 2012-08-30

Family

ID=46720445

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2012/000288 WO2012114648A1 (ja) 2011-02-23 2012-01-18 有機el表示パネルおよび有機el表示装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8829510B2 (ja)
JP (1) JP5884224B2 (ja)
CN (1) CN103314462B (ja)
WO (1) WO2012114648A1 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015030124A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
WO2015030125A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
JP2015222728A (ja) * 2013-09-02 2015-12-10 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
JP2016072118A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 株式会社Joled 表示装置および表示装置の製造方法
WO2016098544A1 (ja) * 2014-12-18 2016-06-23 株式会社ジャパンディスプレイ 有機el表示装置
KR20160094567A (ko) * 2015-01-30 2016-08-10 엘지디스플레이 주식회사 전면 발광형 유기발광소자, 그 제조 방법 및 이를 포함하는 표시장치
US10319935B2 (en) 2017-04-05 2019-06-11 Joled Inc. Organic EL display panel and method of manufacturing organic EL display panel
JP2019220289A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 東京エレクトロン株式会社 有機elパネル、および有機elパネルの製造方法
KR102050483B1 (ko) 2013-06-26 2020-01-09 삼성디스플레이 주식회사 유기발광 디스플레이 장치 및 그 제조 방법
WO2023281352A1 (ja) * 2021-07-08 2023-01-12 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置、表示装置の作製方法、表示モジュール、及び電子機器

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012017489A1 (ja) 2010-08-06 2012-02-09 パナソニック株式会社 有機el素子、表示装置および発光装置
WO2012114403A1 (ja) * 2011-02-25 2012-08-30 パナソニック株式会社 有機el表示パネルおよび有機el表示装置
KR20140035405A (ko) 2011-07-15 2014-03-21 파나소닉 주식회사 유기 발광 소자
US9065069B2 (en) 2011-07-15 2015-06-23 Joled Inc. Method for producing organic light-emitting element
WO2013011538A1 (ja) 2011-07-15 2013-01-24 パナソニック株式会社 有機発光素子の製造方法
WO2013128504A1 (ja) 2012-03-02 2013-09-06 パナソニック株式会社 有機el素子とその製造方法、および金属酸化物膜の成膜方法
JP6111484B2 (ja) * 2012-04-18 2017-04-12 株式会社Joled 有機el素子
JP6142323B2 (ja) 2012-04-27 2017-06-07 株式会社Joled 有機el素子、およびそれを備える有機elパネル、有機el発光装置、有機el表示装置
JP6168410B2 (ja) * 2012-04-27 2017-07-26 株式会社Joled 有機el素子、およびそれを備える有機elパネル、有機el発光装置、有機el表示装置
JP6199170B2 (ja) * 2013-12-04 2017-09-20 株式会社ジャパンディスプレイ 有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法
CN104752617B (zh) * 2015-04-14 2017-10-31 京东方科技集团股份有限公司 一种被动式有机电致发光器件及其制备方法
KR102453921B1 (ko) * 2015-09-03 2022-10-13 삼성디스플레이 주식회사 유기 발광 표시 장치 및 그 제조 방법
JP6666285B2 (ja) * 2017-03-03 2020-03-13 株式会社東芝 放射線検出器
WO2018179272A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 シャープ株式会社 El表示装置及びel表示装置の製造方法
KR102577233B1 (ko) * 2017-12-28 2023-09-08 엘지디스플레이 주식회사 전계발광 표시 장치
CN108281474B (zh) * 2018-03-28 2019-05-10 京东方科技集团股份有限公司 有机发光显示面板及其制作方法、显示装置
CN109166882B (zh) * 2018-08-01 2020-07-24 云谷(固安)科技有限公司 显示面板及其形成方法、显示装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007073499A (ja) * 2005-08-08 2007-03-22 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置およびその作製方法
JP2009277788A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセント素子およびその製造方法
JP2010103374A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2010161185A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Ulvac Japan Ltd 有機el表示装置、有機el表示装置の製造方法
JP2011040167A (ja) * 2008-11-12 2011-02-24 Panasonic Corp 表示装置およびその製造方法
WO2011021343A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 パナソニック株式会社 有機el素子

Family Cites Families (90)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05163488A (ja) 1991-12-17 1993-06-29 Konica Corp 有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子
US5443922A (en) 1991-11-07 1995-08-22 Konica Corporation Organic thin film electroluminescence element
US5294869A (en) 1991-12-30 1994-03-15 Eastman Kodak Company Organic electroluminescent multicolor image display device
US5688551A (en) 1995-11-13 1997-11-18 Eastman Kodak Company Method of forming an organic electroluminescent display panel
DE69729394T2 (de) 1996-11-29 2005-06-02 Idemitsu Kosan Co. Ltd. Organische elektrolumineszente Vorrichtung
JPH10162959A (ja) 1996-11-29 1998-06-19 Idemitsu Kosan Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP3782245B2 (ja) 1998-10-28 2006-06-07 Tdk株式会社 有機el表示装置の製造装置及び製造方法
US6309801B1 (en) 1998-11-18 2001-10-30 U.S. Philips Corporation Method of manufacturing an electronic device comprising two layers of organic-containing material
JP4198253B2 (ja) 1999-02-02 2008-12-17 出光興産株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
US7153592B2 (en) 2000-08-31 2006-12-26 Fujitsu Limited Organic EL element and method of manufacturing the same, organic EL display device using the element, organic EL material, and surface emission device and liquid crystal display device using the material
JP2002075661A (ja) 2000-08-31 2002-03-15 Fujitsu Ltd 有機el素子及び有機el表示装置
JP2002318556A (ja) 2001-04-20 2002-10-31 Toshiba Corp アクティブマトリクス型平面表示装置およびその製造方法
US6900470B2 (en) 2001-04-20 2005-05-31 Kabushiki Kaisha Toshiba Display device and method of manufacturing the same
WO2002095841A2 (en) 2001-05-18 2002-11-28 Cambridge University Technical Services Limited Electroluminescent device
JP2003007460A (ja) 2001-06-22 2003-01-10 Sony Corp 表示装置の製造方法および表示装置
JP3823916B2 (ja) 2001-12-18 2006-09-20 セイコーエプソン株式会社 表示装置及び電子機器並びに表示装置の製造方法
JP2003264083A (ja) 2002-03-08 2003-09-19 Sharp Corp 有機led素子とその製造方法
JP4165173B2 (ja) 2002-10-15 2008-10-15 株式会社デンソー 有機el素子の製造方法
JP2004228355A (ja) 2003-01-23 2004-08-12 Seiko Epson Corp 絶縁膜基板の製造方法、絶縁膜基板の製造装置及び絶縁膜基板並びに電気光学装置の製造方法及び電気光学装置
JP2004234901A (ja) 2003-01-28 2004-08-19 Seiko Epson Corp ディスプレイ基板、有機el表示装置、ディスプレイ基板の製造方法および電子機器
WO2004100282A2 (en) 2003-05-12 2004-11-18 Cambridge University Technical Services Limited Manufacture of a polymer device
ATE414995T1 (de) 2003-05-12 2008-12-15 Cambridge Entpr Ltd Polymerer transistor
JP2005012173A (ja) 2003-05-28 2005-01-13 Seiko Epson Corp 膜パターン形成方法、デバイス及びデバイスの製造方法、電気光学装置、並びに電子機器
JP2004363170A (ja) 2003-06-02 2004-12-24 Seiko Epson Corp 導電パターンの形成方法、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器
US20090160325A1 (en) 2003-12-16 2009-06-25 Panasonic Corporation Organic electroluminescent device and method for manufacturing the same
JP2005203339A (ja) 2003-12-16 2005-07-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子およびその製造方法
JP2005203340A (ja) 2003-12-16 2005-07-28 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子
DE602004021424D1 (de) 2003-12-16 2009-07-16 Panasonic Corp Organisches elektrolumineszenzbauelement und herstellungsverfahren dafür
JP4857521B2 (ja) 2004-01-09 2012-01-18 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び電子機器
JP4002949B2 (ja) 2004-03-17 2007-11-07 独立行政法人科学技術振興機構 両面発光有機elパネル
JP2005268099A (ja) 2004-03-19 2005-09-29 Mitsubishi Electric Corp 有機el表示パネル、有機el表示装置、および有機el表示パネルの製造方法
JP4645064B2 (ja) 2004-05-19 2011-03-09 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置の製造方法
US7541099B2 (en) 2004-05-21 2009-06-02 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Anthracene derivative and light emitting element and light emitting device using the same
JP4161956B2 (ja) 2004-05-27 2008-10-08 セイコーエプソン株式会社 カラーフィルタ基板の製造方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、電子機器
US7211456B2 (en) 2004-07-09 2007-05-01 Au Optronics Corporation Method for electro-luminescent display fabrication
JP2006185869A (ja) 2004-12-28 2006-07-13 Asahi Glass Co Ltd 有機電界発光素子及びその製造方法
JP2006253443A (ja) 2005-03-11 2006-09-21 Seiko Epson Corp 有機el装置、その製造方法および電子機器
JP2006294261A (ja) 2005-04-05 2006-10-26 Fuji Electric Holdings Co Ltd 有機el発光素子およびその製造方法
JP2006344459A (ja) 2005-06-08 2006-12-21 Sony Corp 転写方法および転写装置
TWI307612B (en) 2005-04-27 2009-03-11 Sony Corp Transfer method and transfer apparatus
US7994711B2 (en) * 2005-08-08 2011-08-09 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device and manufacturing method thereof
US7635858B2 (en) 2005-08-10 2009-12-22 Au Optronics Corporation Organic light-emitting device with improved layer conductivity distribution
JP2007095606A (ja) 2005-09-30 2007-04-12 Seiko Epson Corp 有機el装置、その製造方法、及び電子機器
JP4318689B2 (ja) 2005-12-09 2009-08-26 出光興産株式会社 n型無機半導体、n型無機半導体薄膜及びその製造方法
JP2007214066A (ja) 2006-02-13 2007-08-23 Seiko Epson Corp 有機エレクトロルミネセンス装置の製造方法
JP2007287353A (ja) 2006-04-12 2007-11-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法およびそれを用いて作成された有機エレクトロルミネッセント素子
US20070241665A1 (en) 2006-04-12 2007-10-18 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Organic electroluminescent element, and manufacturing method thereof, as well as display device and exposure apparatus using the same
JP2007288074A (ja) 2006-04-19 2007-11-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子およびその製造方法
JP2007288071A (ja) 2006-04-19 2007-11-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント素子およびその製造方法、それを用いた表示装置、露光装置
JP2008041747A (ja) 2006-08-02 2008-02-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 有機エレクトロルミネッセント発光装置およびその製造方法
US20070290604A1 (en) 2006-06-16 2007-12-20 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Organic electroluminescent device and method of producing the same
JP4915650B2 (ja) 2006-08-25 2012-04-11 パナソニック株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2008091072A (ja) 2006-09-29 2008-04-17 Seiko Epson Corp 電気光学装置、およびその製造方法
JP4915913B2 (ja) 2006-11-13 2012-04-11 パナソニック株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2008140724A (ja) 2006-12-05 2008-06-19 Toppan Printing Co Ltd 有機el素子の製造方法および有機el素子
WO2008075615A1 (en) 2006-12-21 2008-06-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light-emitting element and light-emitting device
JP5326289B2 (ja) 2007-03-23 2013-10-30 凸版印刷株式会社 有機el素子およびそれを備えた表示装置
WO2008120714A1 (ja) 2007-03-29 2008-10-09 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2009004347A (ja) 2007-05-18 2009-01-08 Toppan Printing Co Ltd 有機el表示素子の製造方法及び有機el表示素子
WO2008149499A1 (ja) 2007-05-30 2008-12-11 Panasonic Corporation 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法
JP4280301B2 (ja) 2007-05-31 2009-06-17 パナソニック株式会社 有機el素子、およびその製造方法
US20080312437A1 (en) 2007-06-04 2008-12-18 Semiconductor Energy Labratory Co., Ltd. Organometallic Complex, and Light-Emitting Element, Light-Emitting Device, and Electronic Device Using the Organometallic Complex
US8628986B2 (en) 2007-07-31 2014-01-14 Sumitomo Chemical Company, Limited Organic electroluminescent element and method for manufacturing the same
JP5001745B2 (ja) 2007-08-10 2012-08-15 住友化学株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子及び製造方法
JP2009048960A (ja) 2007-08-23 2009-03-05 Canon Inc 電極洗浄処理方法
JP2009058897A (ja) 2007-09-03 2009-03-19 Hitachi Displays Ltd 表示装置
US8310152B2 (en) 2007-12-10 2012-11-13 Panasonic Corporation Organic EL device and EL display panel having a low driving voltage and high light emitting frequency, and method for manufacturing
JP4439589B2 (ja) 2007-12-28 2010-03-24 パナソニック株式会社 有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル、ならびにそれらの製造方法
WO2009107323A1 (ja) 2008-02-28 2009-09-03 パナソニック株式会社 有機elディスプレイパネル
JP2009218156A (ja) 2008-03-12 2009-09-24 Casio Comput Co Ltd Elパネル及びelパネルの製造方法
JP5267246B2 (ja) 2008-03-26 2013-08-21 凸版印刷株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP2009239180A (ja) 2008-03-28 2009-10-15 Sumitomo Chemical Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4678421B2 (ja) 2008-05-16 2011-04-27 ソニー株式会社 表示装置
JP2008241238A (ja) 2008-05-28 2008-10-09 Mitsubishi Electric Corp 冷凍空調装置及び冷凍空調装置の制御方法
JP4975064B2 (ja) 2008-05-28 2012-07-11 パナソニック株式会社 発光装置及びその製造方法
JP2010021138A (ja) 2008-06-09 2010-01-28 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセント装置およびその製造方法
GB0811199D0 (en) 2008-06-18 2008-07-23 Cambridge Entpr Ltd Electro-optic diode devices
JP5199773B2 (ja) 2008-07-30 2013-05-15 住友化学株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
WO2010032444A1 (ja) 2008-09-19 2010-03-25 パナソニック株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2010123716A (ja) 2008-11-19 2010-06-03 Fujifilm Corp 有機電界発光素子
JP4856753B2 (ja) 2008-12-10 2012-01-18 パナソニック株式会社 光学素子および光学素子を具備する表示装置の製造方法
JP4852660B2 (ja) * 2008-12-18 2012-01-11 パナソニック株式会社 有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法
EP2398085B1 (en) 2009-02-10 2018-06-27 Joled Inc. Light-emitting element, display device, and method for manufacturing light-emitting element
JP5357194B2 (ja) 2009-02-10 2013-12-04 パナソニック株式会社 発光素子、発光素子を備えた発光装置および発光素子の製造方法
WO2011013523A1 (en) 2009-07-31 2011-02-03 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device and method for manufacturing the same
CN102473847B (zh) 2010-06-24 2015-01-14 松下电器产业株式会社 有机el元件、显示装置以及发光装置
JP5612693B2 (ja) 2010-08-06 2014-10-22 パナソニック株式会社 有機el素子およびその製造方法
JP5612691B2 (ja) 2010-08-06 2014-10-22 パナソニック株式会社 有機el素子およびその製造方法
JP5677437B2 (ja) 2010-08-06 2015-02-25 パナソニック株式会社 有機el素子
WO2012073270A1 (ja) 2010-11-29 2012-06-07 パナソニック株式会社 有機発光素子の製造方法、有機発光素子、発光装置、表示パネル、および表示装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007073499A (ja) * 2005-08-08 2007-03-22 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置およびその作製方法
JP2009277788A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセント素子およびその製造方法
JP2010103374A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JP2011040167A (ja) * 2008-11-12 2011-02-24 Panasonic Corp 表示装置およびその製造方法
JP2010161185A (ja) * 2009-01-08 2010-07-22 Ulvac Japan Ltd 有機el表示装置、有機el表示装置の製造方法
WO2011021343A1 (ja) * 2009-08-19 2011-02-24 パナソニック株式会社 有機el素子

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102050483B1 (ko) 2013-06-26 2020-01-09 삼성디스플레이 주식회사 유기발광 디스플레이 장치 및 그 제조 방법
KR20160047476A (ko) * 2013-09-02 2016-05-02 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 톱 에미션형 유기 일렉트로루미네센스 표시 장치 및 그 제조 방법
WO2015030125A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
JP2015065162A (ja) * 2013-09-02 2015-04-09 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
JP2015222728A (ja) * 2013-09-02 2015-12-10 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
WO2015030124A1 (ja) * 2013-09-02 2015-03-05 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
US9698388B2 (en) 2013-09-02 2017-07-04 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Top-emission organic electroluminescence display device and production method therefor
JP2016174007A (ja) * 2013-09-02 2016-09-29 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
JP2015065161A (ja) * 2013-09-02 2015-04-09 大日本印刷株式会社 トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス表示装置およびその製造方法
KR102152744B1 (ko) 2013-09-02 2020-09-07 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 톱 에미션형 유기 일렉트로루미네센스 표시 장치 및 그 제조 방법
JP2016072118A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 株式会社Joled 表示装置および表示装置の製造方法
WO2016098544A1 (ja) * 2014-12-18 2016-06-23 株式会社ジャパンディスプレイ 有機el表示装置
JP2016115905A (ja) * 2014-12-18 2016-06-23 株式会社ジャパンディスプレイ 有機el表示装置
KR102263522B1 (ko) * 2015-01-30 2021-06-10 엘지디스플레이 주식회사 전면 발광형 유기발광소자, 그 제조 방법 및 이를 포함하는 표시장치
KR20160094567A (ko) * 2015-01-30 2016-08-10 엘지디스플레이 주식회사 전면 발광형 유기발광소자, 그 제조 방법 및 이를 포함하는 표시장치
US10516133B2 (en) 2017-04-05 2019-12-24 Joled Inc. Organic EL display panel and method of manufacturing organic EL display panel
US10319935B2 (en) 2017-04-05 2019-06-11 Joled Inc. Organic EL display panel and method of manufacturing organic EL display panel
US10937988B2 (en) 2017-04-05 2021-03-02 Joled Inc. Organic EL display panel and method of manufacturing organic EL display panel
JP2019220289A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 東京エレクトロン株式会社 有機elパネル、および有機elパネルの製造方法
JP7182908B2 (ja) 2018-06-18 2022-12-05 東京エレクトロン株式会社 有機elパネル、および有機elパネルの製造方法
WO2023281352A1 (ja) * 2021-07-08 2023-01-12 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置、表示装置の作製方法、表示モジュール、及び電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
CN103314462B (zh) 2016-03-02
CN103314462A (zh) 2013-09-18
US20130285042A1 (en) 2013-10-31
US8829510B2 (en) 2014-09-09
JPWO2012114648A1 (ja) 2014-07-07
JP5884224B2 (ja) 2016-03-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5884224B2 (ja) 有機el表示パネルおよび有機el表示装置
JP5809234B2 (ja) 有機el表示パネルおよび有機el表示装置
JP5677437B2 (ja) 有機el素子
WO2012153445A1 (ja) 有機el表示パネルおよび有機el表示装置
JP5437736B2 (ja) 有機el素子
JP5677434B2 (ja) 有機el素子
JP5676652B2 (ja) 有機el素子
WO2012017502A1 (ja) 有機el素子およびその製造方法
JP5677436B2 (ja) 有機el素子
JP5677432B2 (ja) 有機el素子、表示装置および発光装置
JPWO2015141144A1 (ja) 有機el素子および有機el素子の製造方法
JP5861210B2 (ja) 有機発光素子
WO2012017485A1 (ja) 有機el素子、表示装置および発光装置
KR101702703B1 (ko) 유기 발광 소자의 제조 방법
JP6040445B2 (ja) 有機elパネルとその製造方法
KR101699119B1 (ko) 유기 발광 소자의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 12749448

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2013500855

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 13995205

Country of ref document: US

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 12749448

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1