JP6142323B2 - 有機el素子、およびそれを備える有機elパネル、有機el発光装置、有機el表示装置 - Google Patents

有機el素子、およびそれを備える有機elパネル、有機el発光装置、有機el表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機電界発光素子(以下「有機EL素子」と称する)の構造に関し、特に、ホール注入層においてホール注入効率を向上させる技術、および当該有機EL素子を備える有機ELパネル、有機EL発光装置、有機EL表示装置に関する。
近年、有機半導体を用いた各種機能素子の研究開発が進められており、代表的な機能素子として有機EL素子が挙げられる。有機EL素子は、電流駆動型の発光素子であり、陽極および陰極からなる電極対の間に、有機材料からなる発光層を含む機能層を設けた構成を有する。そして、有機EL素子は、電極対間に電圧を印加し、陽極から機能層に注入されるホールと陰極から機能層に注入される電子とを再結合させ、これにより発生する電界発光現象によって発光する。このように、有機EL素子は、自己発光を行うため視認性が高くかつ完全固体素子であるため耐衝撃性に優れることから、各種有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置における発光素子や光源としての利用が注目されている。
有機EL素子の発光効率を向上させるためには、電極対から機能層へキャリア(ホールおよび電子)を効率よく注入することが重要である。一般に、キャリアを効率よく注入するためには、各電極と機能層との間にキャリア注入の際のエネルギー障壁を低くするための注入層を設けることが有効である。そこで、機能層と陰極との間に設けられる電子注入層には、例えば、金属錯体やオキサジアゾールなどからなる有機物層、バリウムなどの金属、フッ化ナトリウムなどのイオン結合からなる結晶層が用いられている。また、機能層と陽極との間に設けられるホール注入層には、例えば、銅フタロシアニンやPEDOT(導電性高分子)などからなる有機物層、酸化タングステン(WOx)や酸化ニッケル(NiOx)などからなる金属酸化物層が用いられている。(特許文献1、非特許文献1)。中でも、ホール注入層としてNiOxなどの遷移金属原子を含む金属酸化物層を用いた有機EL素子では、ホール注入効率の向上および素子の寿命の改善が報告されている(特許文献2、非特許文献2)。
特開2011−044445号公報 特開平9−260063号公報
Jens Meyer et al.、 Advanced materials 20、3839−3843(2008) I−Min Chan et al.、Applied Phys icsLetters 81、1899(2002)
上記従来の有機EL素子に対し、有機EL素子をさらに高輝度で発光させるために、ホール注入効率をさらに向上させたいという要請がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであって、ホール注入効率をさらに向上させた有機EL素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る有機EL素子は、陽極および陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられ、有機材料を含む有機機能層と、前記陽極と前記有機機能層との間に設けられ、第1の価数および第2の価数を取り得る遷移金属の酸化物を含む金属酸化物層と、を備え、前記遷移金属が前記第1の価数のときの当該遷移金属の酸化物の導電性は、前記遷移金属が前記第2の価数のときの当該遷移金属の酸化物の導電性よりも大きく、前記金属酸化物層中において、前記第2の価数の遷移金属の原子数に対する、前記第1の価数の遷移金属の原子数の比は60%以上である、ことを特徴とする。
本発明の一態様に係る有機EL素子では、ホール注入効率をさらに向上できる。
実施の形態に係る有機EL素子1の構成を示す模式的な断面図である。 ホールオンリー素子の構成を示す模式的な断面図である。 ホールオンリー素子の印加電圧と電流密度の関係曲線を示すデバイス特性図である。 陽極とホール注入層との界面のショットキー障壁を説明するための図である。 NiOx膜表面のXPS測定によるO1sに帰属されるスペクトルとピークフィッティングによる解析結果を示す図である。 NiOx膜表面のXPS測定によるO1sに帰属されるスペクトルを示す図である。 NiOx膜表面の価電子帯近傍のXPSスペクトルを示す図である。 NiOx膜表面の価電子帯近傍のXPSスペクトルを示す図である。 ホールオンリー素子の駆動電圧とNi3+/Ni2+との関係を示す図である。 図1に示した有機ELパネルを備えた有機EL表示装置の外観図である。
[本発明の一態様を得るに至った経緯]
以下、本発明の態様を具体的に説明するに先立ち、本発明の態様を得るに至った経緯について説明する。
近年、有機EL素子を備えた各種表示装置や光源が広く利用され、有機EL素子をさらに高輝度で発光させたいという要請がさらに高まっている。これに対して、発明者らは、陰極および陽極からなる電極対から有機機能層に注入されるキャリアを増大させることで、この要請に応えようとした。また、発明者らは、電極対から有機機能層に注入されるキャリアの増大方法のうち、金属からなる陽極からホール注入層を介して有機機能層へと注入されるホールの注入効率の向上について検討した。
一般に、陽極からホール注入層を介して有機機能層にホールが注入される際、陽極のフェルミ準位から、ホール注入層における価電子帯のうち最も浅いエネルギー準位(以下、「価電子帯上端」と呼ぶ)を経て、隣接する有機機能層へと注入される。なお、ホール注入層の価電子帯は、例えば、遷移金属原子Mの主に3d軌道成分と酸素原子の2p軌道成分とからなる。ここで、金属からなる陽極と金属酸化物からなるホール注入層とを接合させると、当該接合界面において、比較的大きなショットキー障壁が形成される。
ところで、有機EL素子のホール注入効率を向上させるためには陽極から有機機能層へ多くのホールを注入する必要があり、そのためには、多くのホールがショットキー障壁を越える必要がある。ホールが陽極から当該ショットキー障壁を越えてホール注入層に注入されるためには、有機EL素子に電圧を印加する必要がある。そして、当該印加電圧は、ショットキー障壁の大きさによって決まる。
発明者らは、価数の違う遷移金属の酸化物を含むホール注入層を用いれば、価数の違いによって遷移金属の酸化物の導電性が変化し、陽極とホール注入層との界面におけるショットキー障壁の大きさが変化することを見出した。これにより、ホール注入層を構成する遷移金属の酸化物の導電性が大きくなるように、ホール注入層に含まれる遷移金属の各価数の原子数の比を調整すれば、ホール注入効率をさらに向上できることが明らかになった。本発明の態様はこのような経緯により得られたものである。
以下、本発明の実施の形態の有機EL素子を説明し、続いて本発明の各性能確認実験の
結果と考察を述べる。なお、各図面における部材縮尺は、実際のものとは異なる。
[実施の一態様の概要]
本発明の一態様である有機EL素子は、陽極および陰極と、前記陽極と前記陰極との間に設けられ、有機材料を含む有機機能層と、前記陽極と前記有機機能層との間に設けられ、第1の価数および第2の価数を取り得る遷移金属の酸化物を含む金属酸化物層と、を備え、前記遷移金属が前記第1の価数のときの当該遷移金属の酸化物の導電性は、前記遷移金属が前記第2の価数のときの当該遷移金属の酸化物の導電性よりも大きく、前記金属酸化物層中において、前記第2の価数の遷移金属の原子数に対する、前記第1の価数の遷移金属の原子数の比は60%以上である、ことを特徴とする。
これにより、有機EL素子のホール注入効率を、さらに向上できる。
[実施の形態]
<実施の形態1>
1.構成
(有機EL素子)
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ、詳細に説明する。ここで、本発明における有機機能層は、陽極から金属酸化物層を介して注入されたホールと陰極から注入された電子とが再結合することにより発光する発光層、金属酸化物層と発光層との間に設けられ金属酸化物層から注入されたホールを発光層へと輸送するホール輸送層、陽極と発光層との間に設けられ陰極から注入された電子が陽極へと入り込むことを抑制するバッファ層等のいずれか、もしくはこれらの層のうち2層以上を組み合わせた層、またはこれらの層の全てを含む層を指す。本実施の形態では、有機機能層として、バッファ層および発光層を含む例を説明する。
有機EL素子は、例えば、有機機能層をウェットプロセスにより塗布して製造する塗布型である。また、有機EL素子は、陽極および陰極と、陽極と陰極との間に設けられた有機材料を含む有機機能層と、陽極と有機機能層との間に設けられたホール注入層とを備えた構成を有する。陽極および陰極には直流電源が接続され、外部より有機EL素子に給電されるようになっている。
図1は、本実施の形態に係る有機EL素子1の構成を示す模式的な断面図である。
具体的には図1に示すように、有機EL素子1は、基板10の片側主面上に、陽極2、ホール注入層3、バッファ層4、発光層5、陰極6を同順に積層して構成される。上述のように、陽極2および陰極6には直流電源11が接続されている。以下、各層について詳しく説明する。
(基板10)
基板10は、有機EL素子1の基材となる部分である。基板10の表面には、図示していないが、有機EL素子1を駆動するためのTFT(薄膜トランジスタ)が形成されている。また、基板10は、無アルカリガラスからなる。基板10の材料はこれに限らず、例えば、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコン系樹脂、またはアルミナ等の絶縁性材料のいずれかを用いることができる。
(陽極2)
陽極2は、基板1におけるTFTの上方に形成されている。陽極2は、ITO(酸化インジウムスズ)からなる。また、陽極2の厚みは、50nmである。
(ホール注入層3)
ホール注入層3は、陽極2バッファ層4との間に設けられ、第1の価数として+3および第2の価数として+2とを取り得る遷移金属Niの酸化物NiOxを含む。Niの価数が+3のとき(以下、当該NiをNi3+と称する)のNiOxの導電性は、Niの価数が+2のとき(以下、当該NiをNi2+と称する)のNiOxの導電性よりも大きい。また、ホール注入層3においてNi2+の原子数に対する、Ni3+の原子数の比は60%以上である。
ホール注入層3を構成するNiOxの組成式において、xは概ね0.5<x<2の範囲における実数である。ホール注入層3はできるだけNiOxのみで構成されることが望ましいが、通常レベルで混入し得る程度に、微量の不純物が含まれていてもよい。ホール注入層3の厚みは、10nmである。なお、ホール注入層3は、上記構成とするために、所定の成膜条件で形成されている。この所定の成膜条件についての詳細は「ホール注入層3の成膜条件」の項で詳細に説明する。
(バッファ層4)
バッファ層4は、アミン系化合物であるTFB(poly(9、9−di−n−octylfluorene−alt−(1、4−phenylene−((4−sec−butylphenyl)imino)−1、4−phenylene))からなる。バッファ層4をアミン系化合物で構成することにより、ホール注入層3から伝導されてきたホールを、バッファ層4より上層に形成される機能層に効率的に注入できる。これは、アミン系化合物では、窒素原子の非共有電子対を中心にHOMOの電子密度が分布しているためである。これにより、当該HOMOの電子密度が分布している部分が、バッファ層4におけるホールの注入サイトとなる。従って、バッファ層4をアミン系化合物で構成することにより、バッファ層4側にホールの注入サイトを形成することができる。これにより、ホール注入層3から伝導されてきたホールを機能層に効率良く注入することが可能となる。バッファ層4の厚みは、例えば、20nmである。
(発光層5)
発光層5は、有機高分子であるF8BT(poly(9、9−di−n−octylfluorene−alt−benzothiadiazole))からなる。しかしながら、発光層5の材料はF8BTに限らず、公知の有機材料を用いてもよい。発光層5の材料は、例えば、特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等を用いることができる。発光層5の厚みは、例えば、70nmである。
(陰極6)
陰極6は、例えば、厚さ5nmのフッ化ナトリウム層6aと、厚さ100nmのアルミニウム層6bとからなる。しかしながら、これに限らず、陰極6は一層の金属膜からなってもよい。
(隔壁層12)
隔壁層12は、感光性レジスト材料、例えば、アクリル系樹脂からなる。しかしながら、これに限らず、隔壁層12の材料としては、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などの絶縁性を有する有機材料を用いることができる。
2.有機EL素子1の製造方法の概略
次に、有機EL素子1の全体的な製造方法を例示する。
まず、基板10をスパッタ成膜装置のチャンバー内に載置する。そして、チャンバー内に所定のスパッタガスを用い、ITO膜をターゲットとした反応性スパッタリングにより、基板10上にITOからなる陽極2を成膜する。
次に、陽極2上にホール注入層3を成膜する。成膜方法としては、高純度な組成での成膜が容易である方法、例えば、スパッタリング法で成膜することが好ましい。
スパッタリング法を採る場合では、アルゴンガスをスパッタガスとして用い、酸素ガスを反応性ガスとして用い、NiO焼結体または金属Niをターゲットとした反応性スパッタリングを行う。具体的には、アルゴンガスおよび酸素ガスを導入したチャンバー内において、高電圧を印加することによりアルゴンをイオン化させ、当該アルゴンイオンをターゲットに衝突させる。アルゴンイオンのターゲットへの衝突により、ターゲットから放出されたNiまたはNiOx粒子は酸素ガスと反応して膜質が調製されたNiOxとなる。これにより、陽極2上にNiOxからなるホール注入層3が成膜される。
次に、ホール注入層3の表面に、例えば、スピンコート法やインクジェット法によるウェットプロセスによりアミン系化合物と溶媒とを含むインクを滴下し、溶媒を揮発させて除去する。これにより、ホール注入層3上にバッファ層4が形成される。
さらに、バッファ層4の表面に、同様の方法で、有機発光材料と溶媒とを含むインクを滴下し、溶媒を揮発させて除去する。これにより、バッファ層4上に発光層5が形成される。
なお、バッファ層4および発光層5の形成方法はスピンコート法やインクジェット法に限らない。例えば、グラビア印刷法、ディスペンサー法、ノズルコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下および塗布してもよい。
最後に、発光層5の表面に真空蒸着法でフッ化ナトリウム層6a、アルミニウム層6bを成膜する。これにより、発光層5上に陰極6が形成される。
なお、図1には図示しないが、有機EL素子1の完成後に、電極対や各種有機機能層が大気曝露されるのを抑制するため、陰極6の表面にさらに封止層を設けることができる。具体的には、例えばSiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等からなる封止層を、有機EL素子1を内部封止するように設ければよい。また、封止層の代わりに、有機EL素子1全体を空間的に外部から隔離する封止缶を設けてもよい。具体的には、例えば、基板10と同様の材料からなる封止缶を設け、密閉空間内部に水分などを吸着するゲッター剤を設ければよい。
以上の工程を経ることで、有機EL素子1が完成する。
3.ホール注入層3の成膜条件
(概要)
まず、ホール注入層3の成膜条件の概要について述べる。本実施の形態では、ホール注入層3を構成するNiOxを所定の成膜条件で成膜する。これにより、ホール注入層3中において、Ni2+の原子数に対するNi3+の原子数の比は60%以上となる。
具体的なホール注入層3の成膜方法としては、ターゲットをNiOとし、RF(Radio Frequency)マグネトロンスパッタ装置を用いたスパッタリング法を採ればよい。また、当該スパッタリングの際、基板の温度は制御せず、チャンバー内ガスはアルゴンガスまたはアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスで構成するものとする。
この成膜方法によると、チャンバー内の全圧は2.0Paより大きい範囲で大きいほど、投入電力密度は4.93W/cm2より小さい範囲で小さいほど、完成した有機EL素子を駆動させると、ホール注入効率が向上することがわかった。これについて、以下で詳細に説明する。
(ホールオンリー素子を用いた実験)
上記成膜条件の有効性を確認するために、陽極2からホール注入層3へのホール注入効率の成膜条件依存性の評価を行った。評価デバイスとして、図2に示すようなホールオンリー素子(Hole Only Device:HOD)1Bを作製した。
図2に示すように、ホールオンリー素子1Bは、図1の有機EL素子1における陰極6を、金からなる陰極9に置換えたものである。具体的には、基板10上に、厚さ50nmのITO薄膜からなる陽極2、厚さ10nmのNiOxからなるホール注入層3、厚さ20nmのTFBからなるバッファ層4、厚さ70nmのF8BTからなる発光層5、厚さ100nmの金からなる陰極9を順次積層した構成とした。また、ホールオンリー素子1Bの製造工程において、ホール注入層3は、RFマグネトロンスパッタ装置を用いたスパッタリング法、または高真空槽チャンバーで電子ビーム蒸着法を用いて成膜した。
ここで、実際に動作する有機EL素子1では、電流を形成するキャリアはホールおよび電子の両方である。そのため、有機EL素子1の電気的特性には、ホール電流以外にも電子電流が反映されている。しかしながら、ホールオンリー素子1Bでは、陰極が金からなり、陰極からの電子の注入が阻害されるため、電流を形成するキャリアはほぼホールのみとなる。従って、ホールオンリー素子1Bを用いれば、キャリアはホールのみと見なすことができるため、ホール注入効率の評価を行うことができる。
(ホール注入層の成膜条件)
表1はホール注入層3の成膜条件を示す表である。成膜条件A、B、Cにおける成膜手法はスパッタリング法であり、成膜条件Dにおける成膜手法は電子ビーム蒸着法である。
Figure 0006142323
成膜条件A、B、Cにおけるスパッタリング法では、チャンバー内ガスをアルゴンガスおよび酸素ガスの少なくともいずれかから構成し、ターゲットとしてNiO焼結体を用いた。基板温度は制御せず、全圧は各ガスの流量で調節するものとした。一方、成膜条件Dにおける電子ビーム蒸着法では、蒸着源にNiOの焼結体タブレットを用い、真空度5×10-5Pa程度の高真空中で蒸着レート約0.1Å/秒で成膜した。
以下、表1に示すうち、成膜条件Aでホール注入層を成膜したホールオンリー素子1BをHOD−A、成膜条件Bでホール注入層を成膜したホールオンリー素子1BをHOD−B、成膜条件Cでホール注入層を成膜したホールオンリー素子1BをHOD−C、成膜条件Dでホール注入層を成膜したホールオンリー素子1BをHOD−Dと称する。
(ホールオンリー素子のホール注入効率の評価の概要)
ホールオンリー素子のホール注入効率を評価するため以下の実験を行った。当該実験は、各成膜条件A〜Dで作製した各ホールオンリー素子を直流電源11に接続して行った。このとき、ホールオンリー素子に印加する電圧を変化させ、測定した電流値を素子の単位面積当たりの値である電流密度に換算し、印加電圧と電流密度との関係曲線を作成した。
ところで、有機EL素子への駆動電圧は、ホール注入層におけるホール注入効率に依存すると考えられる。これは、各ホールオンリー素子の製造方法が、ホール注入層3の成膜条件のみで異なり、その他の各層の製造方法は同一であるためである。そのため、ホール注入層3を除く、隣接する2つの層の界面におけるホール注入についてのエネルギー障壁は一定と考えられる。
また、当該実験で用いたホールオンリー素子を含むいずれの成膜条件におけるホールオンリー素子でも、ホール注入層3とバッファ層4との界面においてエネルギー準位が接続し、当該界面においてエネルギー障壁を殆ど形成しないことが、本実験とは異なる実験で確認されている。当該界面におけるエネルギー準位の接続は、ホール注入層3を構成するNiOxの価電子帯上端が、部分占有状態にあるNi3d成分を多く含むことにより生じる。このように、当該界面では、エネルギー準位が接続しているため、ホール注入効率が非常に高いものと考えられる。したがって、ホール注入層3の成膜条件によるホール注入効率の違いは、陽極2からホール注入層3へのホール注入効率を強く反映したものであると言える。
図3は、各ホールオンリー素子の印加電圧と電流密度との関係曲線を示すデバイス特性図である。図3において、縦軸は電流密度(mA/cm2)、横軸は印加電圧(V)である。また、図3において、成膜条件D、C、B、Aの順に、同じ電圧を印加した時の電流密度が大きくなるという傾向がみられる。
表2は、当該実験によって得られたHOD−A〜HOD−Dの各サンプルの駆動電圧の値を示したものである。ここでは、有機EL素子1の駆動電圧を「実用的な具体値である電流密度10mA/cm2を実現するための有機EL素子への印加電圧」とする。
Figure 0006142323
表2に示すように、HOD−A、HOD−B、HOD−C、HOD―Dにおける駆動電圧は、それぞれ、16.9V、17.7V、20.4V、23.4Vとなる。すなわち、成膜条件D、C、B、Aの順に、駆動電圧を低下できるという傾向がみられる。駆動電圧が低下できるのは、ホールオンリー素子のホール注入効率が向上することで、小さな駆動電圧でも所望の電流密度を実現できたためである。このように、HOD−A、HOD−Bでは、HOD−C、HOD―Dよりも、ホール注入効率が向上している。
4.ホール注入層の価電子帯上端の深さの検討
(成膜条件の変化に伴うホール注入効率向上のメカニズム)
ホールオンリー素子1Bにおいて、ホール注入効率に上述のような影響を与えているのは、ホール注入層の成膜条件の変化であると考えられる。この成膜条件の変化に伴うホール注入効率向上のメカニズムについて、以下で詳しく考察する。
図4は、陽極2とホール注入層3との界面のショットキー障壁を説明するための図である。図4の左側の図および右側の図は、それぞれ陽極2とホール注入層3との接合前および接合後を示す。また、ITOのフェルミ準位をEx、ホール注入層の伝導帯下端、フェルミ準位、価電子帯上端をそれぞれCb、Ef、Vbとする。
ホールオンリー素子1Bにおいて、ホール注入層3を構成するNiOxは、ITOからなる陽極2と接合している。この接合に伴い、ITOとNiOxとの界面において電荷が授受され、図4に示すように、当該界面においてショットキー障壁Esが発生する。ここで、ホールがITOのフェルミ準位Exからショットキー障壁Esを越えてNiOxの価電子帯上端Vbに移動するためには、上述のように、有機EL素子1に電圧を印加することが必要である。
ここで、NiOxの価電子帯上端Vbが浅いほど、ショットキー障壁Esは小さくなる。また、ショットキー障壁Esが小さいほど、同じ電圧を有機EL素子に印加した場合であっても、多くのホールがショットキー障壁Esを越えることができるようになる。すなわち、NiOxの価電子帯上端Vbが浅いほど、ショットキー障壁Esが小さくなるため、ホール注入効率をさらに向上できる。
ところで、ホール注入層3を構成するNiOxに含まれるNiは、大部分がNi2+とNi3+とで構成されている。そして、ホール注入層3中において、原子数比Ni3+/Ni2+は成膜条件によって異なると考えられる。ここで、Ni3+原子は周囲のNi2+原子に対して電荷が+1大きい。そのため、Ni3+/Ni2+を増大させると、実効的にホール注入層3にドープされたホールを増大させることができる。そのため、Ni3+/Ni2+を増大させると、NiOxの価電子帯の上端Vbは浅い方向へシフトする。
(NiOxのXPS測定)
上述したNi3+/Ni2+の増大が価電子帯上端を浅い方向へシフトさせる効果を確認するために、成膜条件A〜Dで作成したNiOx膜についてX線光電子分光(XPS)測定実験を行った。
(XPS測定条件)
使用機器 :X線光電子分光装置 PHI5000 VersaProbe(アルバック・ファイ社製)
光源 :Al Kα線
光電子出射角 :基板法線方向
測定点間隔:0.1eV
(具体的な測定方法)
まず、表1に示した成膜条件A〜DでXPS測定用のサンプルを作製した。具体的には、ガラス板上に成膜されたITO導電性基板の上に、厚さ10nmのホール注入層3を、成膜条件A〜Dで成膜することにより、XPS測定用のサンプルとした。(以降、成膜条件A〜Dで作製したXPS測定用サンプルを、それぞれサンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルDと称する。)続いて、サンプルA〜Dの各ホール注入層3の表面に対してXPS測定を行った。
(O1sスペクトルのピーク帰属)
まず、ホール注入層3中におけるNiの原子数比Ni3+/Ni2+を検討した。原子数比Ni3+/Ni2+の検討は、O1sスペクトルを解析して得られたピークを、Ni2+原子に配位したO原子のO1s準位、Ni3+原子に配位したO原子のO1s準位に分けることで行った。以下、これについて詳細に説明する。
図5は、NiOx膜表面のXPS測定によるO1sに帰属されるスペクトルとピークフィッティングによる解析結果を示す図である。
図5(a)は、サンプルAにおけるO原子のO1s準位のスペクトルを示す。
図5において、横軸は結合エネルギーを示しており、X線を基準としたときの各準位に存在する光電子のエネルギーに相当し、左方向を正の向きとした。すなわち、横軸に示される結合エネルギーは、用いたX線であるAl Kα線のエネルギー(1486.6eV)をゼロとしたときの、各準位に存在する光電子のエネルギーである。また、図5において、縦軸は光電子強度を示しており、観測された光電子の個数の相対値に相当する。
図5(a)に示すように、第1のピークは結合エネルギー529eV付近に観測され、第2のピークは第1のピークよりも比較的高い結合エネルギー側に観測される。第1および第2のピークは、図の右から左に向かって、それぞれNi2+原子に配位したO原子のO1s準位、Ni3+原子に配位したO原子のO1s準位を由来とするピークであると帰属した。
(O1sスペクトルのピークフィッティング解析)
ここで、O1sのスペクトルを構成するこれらのピークの面積比は、測定範囲内のNi原子におけるNi3+、Ni2+の存在比率(原子数比Ni3+/Ni2+)を反映している。そのため、これらのピークの面積比を定量して原子数比Ni3+/Ni2+を検討するために、まず、Ni2+と帰属されたピークに対し、ピークフィッティング解析を以下のようにして行った。具体的には、光電子分光解析用ソフト「PHI Multipak」を用いて、ピークフィッティング解析を行った。
まず、O1sスペクトルの結合エネルギーが525eVから535eVの範囲で、Shirley法によりバックグラウンドを引いた。そして、結合エネルギーが528eVから530eVまでの間で最大となる光電子強度の値を1、結合エネルギーが525eVのときの光電子強度の値を0として、縦軸の光電子強度を規格化した。なお、以下、図5、図6における光電子強度とは、特に断りの無い限り、この規格化された値を指す。
次に、Ni2+原子に配位したO原子に帰属される成分(以下、Ni2+成分)のフィッティング関数のピークトップの結合エネルギーを、O1sのスペクトルの528eVから530eVまでの間で光電子強度の値が最大になる結合エネルギーとし、ピークトップの強度を1とした。また、Ni2+成分のピークトップよりも低結合エネルギー側で規格化光電子強度が0.5となる結合エネルギーと、Ni2+成分のピークトップの結合エネルギーとの差を、Ni2+成分のフィッティング関数の半値半幅とした。フィッティング関数はGaussian関数とLorentzian関数の混合関数を用い、関数全体に占めるGaussian関数の混合比は85%で固定とし、図5(b)に示すようなNi2+成分のフィッティング関数を得た。
さらに、結合エネルギー525eVから535eVまでの光電子強度の総面積から、前記Ni2+成分のフィッティングに用いた関数の面積を差し引いた面積を、図5(c)に示すようにNi3+成分の面積とした。
上述したNiOx膜表面のXPS測定およびO1sのスペクトルのピークフィッティング解析を、サンプルAと同様に、サンプルB、C、Dでも行った。
図6は、NiOx膜表面のXPS測定によるO1sに帰属されるスペクトルを示す図である。これにより得られたサンプルA〜DのNi3+/Ni2+の値を表3に示す。
Figure 0006142323
表3に示すように、Ni3+/Ni2+はサンプルAで最も大きく、続いてサンプルB、サンプルCの順に減少し、サンプルDで最も小さい。そのため、成膜条件A〜Cにおいて、全圧は大きいほど、さらに、チャンバー内の全圧は2.0Paより大きい範囲で大きいほど、投入電力密度は4.93W/cm2より小さい範囲で小さいほど、Ni3+/Ni2+は増大する傾向があるといえる。
(NiOxの価電子帯上端のスペクトルの解析)
次に、ホール注入層を構成するNiOxの価電子帯上端の深さを検討するため、NiOxの価電子帯上端のスペクトルを解析した。
図7は、サンプルAにおけるNiOxの価電子帯近傍のXPSスペクトルを示す図である。図7より、NiOxの価電子帯上端の結合エネルギーを読み取り、NiOxの価電子帯上端の深さを読み取ることができる。以下、これについて詳しく説明する。
一般に、NiOxが示すXPSスペクトルにおいて、最も大きく急峻な立ち上がりは一意に定まる。この立ち上がりの変曲点を通る接線を(a)、低結合エネルギー側でその立ち上がりが開始するより低結合エネルギー側のバックグラウンド線の補助直線を(b)とした。このとき、接線(a)と補助直線(b)との交点を(c)とすると、交点(c)を価電子帯上端の結合エネルギーとして読み取ることができる。
図8は、サンプルA〜DにおけるNiOx膜表面の価電子帯近傍のXPSスペクトルを示す図である。上述の方法により、図8のスペクトルを基に、サンプルA〜Dの価電子帯上端の結合エネルギーを読み取った。なお、図8において、横軸に示される結合エネルギーは、各サンプルにおけるNiOxのフェルミ準位を基準(ゼロ)としたときの、各準位に存在する光電子のエネルギーである。
表4は、図8から読み取った、サンプルA〜DにおけるNiOx膜の価電子帯上端の結合エネルギーの値である。
Figure 0006142323
価電子帯上端の結合エネルギーは、サンプルAで最も小さく、続いてサンプルB、サンプルCの順に増大し、サンプルDで最も大きい。
これらの結果より、NiOxのNi3+/Ni2+を増大させると、NiOxの価電子帯上端の結合エネルギーが減少することが分かった。ここで、NiOxの価電子帯上端の結合エネルギーが減少することは、NiOxの価電子帯上端が浅くなるということである。そのため、NiOxのNi3+/Ni2+を増大させることで、NiOxの価電子帯上端が浅くなり、陽極とホール注入層との界面に形成されたショットキー障壁を小さくできると考えられる。その結果、ホールオンリー素子1Bにおけるホール注入効率をさらに向上できると考えられる。
6.効果
以上、ホールオンリー素子1Bにおけるホール注入層3のホール注入効率に関する評価について述べたが、ホールオンリー素子1Bは、陰極9以外は図1に示した実際に動作する有機EL素子1と同一の構成である。したがって、有機EL素子1においても、陽極2からホール注入層3へのホール注入効率の成膜条件依存性は、ホールオンリー素子1Bと同じと考えられる。よって、有機EL素子1では、Ni3+/Ni2+が増大することにより、価電子上端の結合エネルギーが小さくなり、ホール注入効率をさらに向上することができると考えられる。以下、本発明の効果を奏すことができる範囲について述べる。
図9は、ホールオンリー素子1Bの駆動電圧とNi3+/Ni2+との関係を示す図である。図9において、横軸がホールオンリー素子1Bの駆動電圧であり、縦軸がNi3+/Ni2+の割合である。
図9に示すように、Ni3+/Ni2+が大きいほど、ホールオンリー素子1Bの駆動電圧が小さくなる。有機EL素子1の駆動電圧は、当該素子が備えられるデバイスの構成にもよるが、概ね20V程度である。従って、有機EL素子の駆動電圧を20V以下とすれば、従来よりも駆動電圧を低下できると考えられる。そのためには、ホール注入層3におけるNi3+/Ni2+が60%以上であれば、図9に示すように駆動電圧を低下できるため、ホール注入効率を向上できる。また、ホール注入層3におけるNi3+/Ni2+が79.1%以上であれば、駆動電圧を17.7V以下とさらに低下できる。その結果、ホール注入効率をさらに向上できるため望ましい。
さらに、上述した実験により、成膜条件A、Bの範囲となる成膜条件下で成膜を行うことにより、駆動電圧を低下できることを確認できた。このように、有機EL素子1では、陽極2とホール注入層3との間のショットキー障壁を小さくでき、有機EL素子1の駆動電圧を低下できる。その結果、駆動時に有機EL素子1にかかる負荷が軽減されるため、有機EL素子1の駆動の寿命を延ばすことも期待できる。
[変形例]
本発明の一態様に係る有機EL素子は、素子を単一で用いる構成に限定されない。複数の有機EL素子を画素として基板上に集積することにより、有機EL発光装置を構成することもできる。このような有機EL発光装置は、各々の素子における各層の膜厚を適切に設定することにより実施可能であり、例えば、照明装置等として利用することが可能である。
1.有機EL素子の製造方法
各画素に対応する発光層をインクジェット法等の塗布工程により形成する場合には、ホール注入層の上に各画素を区画するバンクを設けることが望ましい。バンクを設けることにより、塗布工程において各色に対応する発光層材料からなるインク同士が互いに混ざり合うことを防止することができる。バンク形成工程としては、例えば、ホール注入層表面に、感光性のレジスト材料からなるバンク材料を塗布し、プリベークした後、パターンマスクを用いて感光させ、未硬化の余分なバンク材料を現像液で洗い出し、最後に純水で洗浄する方法がある。本発明は、このようなバンク形成工程を経た金属酸化物からなるホール注入層にも適用可能である。
2.有機EL素子の層構成
本発明の一態様に係る有機EL素子は、いわゆるボトムエミッション型の構成でもよく、いわゆるトップエミッション型の構成でもよい。
3.ホール注入層の成膜条件
上記実施の形態では、表1に示すように、成膜条件A、成膜条件B、成膜条件Cの投入電力の条件は、投入電力密度で表した。しかしながら、本実験で用いたRFマグネトロンスパッタ装置とは異なるRFマグネトロンスパッタ装置を用いる場合は、ターゲット裏面のマグネットのサイズに合わせて、投入電力密度が上記条件になるように投入電力を調節してもよい。これにより、本実験と同様に、ホール注入効率の優れたNiOxからなるホール注入層3を得ることができる。なお、全圧、酸素分圧については、装置やターゲットサイズ及び、ターゲットマグネットサイズに依存しない。
また、ホール注入層のスパッタリング法による成膜時は、室温環境下に配置されるスパッタ装置において、基板温度を意図的には設定していない。したがって、少なくとも成膜前の基板温度は室温である。ただし、成膜中に基板温度は数10℃程度上昇する可能性がある。
なお、ホール注入層3の形成方法はスパッタリング法や蒸着法に限らず、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法により成膜することもできる。
4.ホール注入層の材料
上記実施の形態等では、ホール注入層をNiOxで構成した。しかしながら、これに限らず、ホール注入層をNi以外の遷移金属原子Mの酸化物で構成してもよい。Ni以外の遷移金属原子Mとしては、第1の価数と第2の価数とを取るSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Cuなどが考えられる。
例えば、遷移金属原子MがNi、Coであれば、M3+/M2+を増大させることで、遷移金属Mを含む酸化物膜MOxの価電子帯上端の結合エネルギーを小さくできると考えられる。また、遷移金属原子MがCrであれば、Cr4+/Cr3+を増大させることで、遷移金属Mを含む酸化物膜MOxの価電子帯上端の結合エネルギーを小さくできると考えられる。
5.有機EL素子の適用例
本発明の一態様に係る有機EL素子は、図10に示すような有機ELパネル100に適用することができる。また、本発明の一態様に係る有機EL素子は、有機EL発光装置、および有機EL表示装置にも適用することができる。有機ELパネル、有機EL発光装置、および有機EL表示装置に適用するに適用することで、これら装置の駆動電圧を低く保ちつつ、発光特性に優れた装置を実現できる。
有機ELパネルについては、有機EL素子を1つ配置してもよいし、同じ色に発光する赤色、緑色、青色の各画素に対応する有機EL素子を複数個配置してもよいし、同じ色の有機EL素子を複数個配置してもよい。有機EL発光装置は、例えば、照明装置等に利用することができる。有機EL表示装置は、例えば、有機ELディスプレイ等に利用することができる。
本発明の有機EL素子は、例えば、家庭用もしくは公共施設、あるいは業務用の各種表示装置、テレビジョン装置、携帯型電子機器用ディスプレイ等に用いられる有機EL装置に好適に利用可能である。
1 有機EL素子
1A ホールオンリー素子
2 陽極
3 ホール注入層
4 バッファ層(機能層)
5 発光層(機能層)
6 陰極
6a フッ化ナトリウム層
6b アルミニウム層
9 陰極(金層)
10 基板
11 直流電源
12 隔壁層

Claims (7)

  1. 陽極および陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられ、有機材料を含む有機機能層と、
    前記陽極と前記有機機能層との間に設けられ、価3+および価2+を取り得るNiの酸化物を含む金属酸化物層と、を備え、
    前記金属酸化物層中において、価数が2+の前記Niの原子数に対する、価数が3+の前記Niの原子数の比は60%以上である、
    有機EL素子。
  2. 前記金属酸化物層において、価数が2+の前記Niの原子数に対する、価数が3+の前記Niの原子数の比は79.1%以上である、
    請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記有機機能層は、アミン系化合物からなる、
    請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 前記有機機能層は、前記陽極から前記金属酸化物層を介して注入されたホールと前記陰極から注入された電子とが再結合することにより発光する発光層、前記金属酸化物層から注入されたホールを前記陰極側へと輸送するホール輸送層、前記陰極から注入された電子が前記陽極へと入り込むことを抑制するバッファ層のいずれかである、
    請求項1に記載の有機EL素子。
  5. 請求項1に記載の有機EL素子を複数備える有機ELパネル。
  6. 請求項1に記載の有機EL素子を備える有機EL発光装置。
  7. 請求項1に記載の有機EL素子を複数備える有機EL表示装置。
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