JP2010123716A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、低駆動電圧で高効率の発光が得られる有機電界発光素子を提供することである。
【解決手段】基板上に、陽極と陰極の電極対、及び該電極対間に少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記陽極と前記発光層との間に少なくとも2層の電子注入層を有し、前記陽極に接して第1の正孔注入層を有し、前記第1の電子注入層の前記陽極とは反対面に第2の正孔注入層を有し、前記第1の正孔注入層が金属酸化物を含有し、前記第2の正孔注入層が正孔輸送材料と有機電子受容体を含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は低駆動電圧で高効率の発光が得られる有機電界発光素子に関する。
電流を通じることによって励起され発光する薄膜材料を用いた有機電界発光素子(以後の説明で、「有機EL素子」と呼ぶ場合がある)が知られている。有機電界発光素子は、低電圧で高輝度の発光が得られるために、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い潜在用途を有し、それらの分野でデバイスの薄型化、軽量化、小型化、および省電力のなどの利点を有する。このため、将来の電子ディスプレイ市場の主役としての期待が大きい。しかしながら、実用的にこれらの分野で従来ディスプレイに代わって用いられるためには、発光輝度と色調、広い使用環境条件下での耐久性、安価で大量生産性を有することなど多くの技術改良が課題となっている。
発光輝度は、用途によってはさらに高い輝度が要求されている。輝度を高める手段として、発光素子の量子効率を高めることはもちろんのこと、発光を効率良く外部に取り出す手段の改良も多方面より試みられている。
発光を電極間で互いに強度を強めあうように発光層と電極間距離を制御し、多重干渉を起こさせることによって、高輝度で指向性の強い発光を得る共振器構造を有する有機EL素子が開示されている(例えば、特許文献1参照)。該構成では、一方の電極が光反射電極、他方の電極が光半透過半透明電極であり、共振した光が該光半透過半透明電極を透過して外部に取り出される。
また、正孔注入及び電子注入を促進するために、第1の電極(陰極)に接する第1の有機膜を電子供与性材料をドープした層、第2の電極(陽極)に接する第2の有機膜を電子受容性材料をドープした層とする構成が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、正孔注入層にVやRe等の金属酸化物と有機化合物とを共蒸着した混合膜を用いた有機EL素子が開示されている(例えば、特許文献3参照)。電極間での電気的短絡の発生が防止されるとされている。
特開平7−240277号公報 特開平4−297076号公報 特開2005−123095号公報
本発明の課題は、取り出し効率が高く、低い駆動電圧で高効率の発光が得られる有機電界発光素子を提供することにある。特に、多重干渉構造を有する有機EL素子であって、低い駆動電圧で高効率の発光を示す有機電界発光素子を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決する事を見出された。
<1> 基板上に、一対の電極、及び該電極対間に少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記電極対の陽極と前記発光層との間に、少なくとも、前記陽極に接して第1の正孔注入層、及び前記第1の正孔注入層の前記陽極とは反対側に第2の正孔注入層を有し、前記第1の正孔注入層が金属酸化物を含有し、前記第2の正孔注入層が正孔輸送材料と有機電子受容体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記第1の正孔注入層の厚みが前記第2の正孔注入層の厚みより薄いことを特徴とする<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記第2の正孔注入層と前記発光層との間に正孔輸送層を有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の有機電界発光素子。
<4> 前記陽極が反射電極であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<5> 前記第1の正孔注入層の金属酸化物が、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び酸化ルテニウムより選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<6> 前記発光層の前記基板とは反対面側より光を取り出すトップエミッション型有機電界発光素子であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の有機電界発光素子。
<7> 前記陽極が反射電極であり、陰極が光半反射半透過電極であり、共振器構造を形成していることを特徴とする<6>に記載の有機電界発光素子。
本発明により、光の損失が少なく、取り出し効率が高く、低い駆動電圧で、高効率の発光が得られる有機電界発光素子が提供される。特に、多重干渉構造を有する有機EL素子であって、低い駆動電圧で高効率の発光を示す有機電界発光素子が提供される。さらに、本発明の有機電界発光素子は、駆動耐久性に優れる。また、素子を構成する各々の層の厚みを生産性上適切な厚みで形成することができるため、生産の歩留まりが向上する利点を有する。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも2層の正孔注入層を有し、陽極に接する第1の正孔注入層が金属酸化物を含有する層であり、前記第1の正孔注入層の前記陽極とは反対側の第2の正孔注入層は正孔輸送材料と有機電子供与体含有する層であることを特徴とする。
本発明者らによる詳細な検討の結果、有機電子供与体含有層が陽極と直接接する構成では駆動電圧が上昇し、駆動耐久性が悪化する問題があることが判明した。また、金属酸化物含有層は、金属酸化物により着色し、発光層で発生した光を金属酸化物が吸収するため輝度低下し、発光効率の低下を招く問題を有する。特に、共振器構造の有機EL素子では、電極間を繰り返し光反射するため、金属酸化物による光吸収は無視し得ない発光効率低下要因になる。従って、金属酸化物含有層の厚みが制限され、十分な正孔注入性を得ることが困難である。本願の少なくとも2層の正孔注入層よりなる正孔注入層の構成では、かかる問題を解決し、十分な正孔注入性を有し、低駆動電圧と駆動耐久性を有し、また、光損失が少ないため高い発光効率が得られる。
次に、本発明の有機電界発光素子について詳細に説明する。
(構成)
本発明の有機電界発光素子における有機化合物層の積層の形態としては、陽極側から、正孔注入層、発光層の順に積層されている。更に、正孔注入層と発光層との間に正孔輸送層、発光層と陰極間に電子輸送層、電子注入層を有しても良い。更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層(電子ブロック層、正孔ブロック層)等を有していてもよい。
本発明における陽極および陰極の少なくとも一方は光取り出し面にあって、発光層で発光した光に対して光透過性又は光半反射半透過性である。好ましくは、一方の電極が光反射電極であり、他方が光半反射半透過電極であり、共振器構造を形成する。
<共振器構造>
本発明の有機EL素子は、2つの対向する電極をミラーとする共振器構造を形成することができる。第1電極と第2電極が第1のミラーと第2ミラーを兼ねていて、発光層で発生した光を第1電極と第2電極との間で共振させる共振器構造を有するものである。共振器構造をとることで所望の波長の光を効率よく取り出すことが可能であり、発光効率が向上し、発光色も改善することが可能である。
本発明における光半反射半透過性金属の反射率および透過率は、下記の測定方法によって測定される。
<測定機器>
一般に市販されている分光光度計(例えば、日立製作所(株)製U−4100型分光光度計)。
<測定方法>
反射率:ガラス基板上に光半反射半透過性金属を成膜し、基板の法線方向に対して5度の入射角で測定光を入射し、−5度の反射角の反射光を検出する。反射光量÷入射光量で反射率が求まる。
透過率:上記と同様のサンプルに、基板の法線方向から光を入射し(入射角0度)、法線方向(出射角0度)に透過した光を検出する。透過光量÷入射光量で透過率が求まる。
上記方法で反射率を測定したとき、本願における光半反射半透過性金属は、発光スペクトルの極大波長において、30%以上80%以下の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは、40%以上70%以下である。
上記方法で透過率を測定したとき、本願における光半反射半透過性金属は、発光スペクトルの極大波長において、20%以上70%以下の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは、30%以上60%以下である。
本発明の有機電界発光素子における有機化合物層の構成は、好ましくは、陽極側から順に、少なくとも、第1正孔注入層、第2正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層を有する態様である。
図1は、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい態様の概略断面図であり、トップエミッション型素子構成を示すものである。基板1の上に、順に、陽極2(光反射電極)、第1正孔注入層3−1、第2正孔注入層3−2、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、及び陰極8(光半反射半透過性電極)が配置される。両電極間に電圧を印加して、発光層5で発光した光は、陽極2と陰極8の間で反射する過程で共振し、色純度が高く指向性の光が陰極8を透過して外部に取り出される。
図2は、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい別の態様の概略断面図であり、ボトムエミッション型素子構成を示すものである。基板1の上に、順に、陽極12(光半反射半透過性電極)、第1正孔注入層3−1、第2正孔注入層3−2、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7、及び陰極18(光反射電極)が配置される。両電極間に電圧を印加して、発光層5で発光した光は、陽極12と陰極18の間で反射する過程で共振し、色純度が高く指向性の光が基板1を透過して外部に取り出される。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
次に、本発明の発光素子を構成する要素について、詳細に説明する。
(有機化合物層の形成)
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、塗布法、インクジェット法、またはスプレー法等いずれによっても好適に形成することができる。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
本発明の正孔注入層は、少なくとも2層であって、陽極に接する第1の正孔注入層と、前記第1の正孔注入層の前記陽極とは反対面側に第2の正孔注入層を有する。
陽極に接する第1の正孔注入層が金属酸化物を含有する層であり、該第一の正孔注入層上の第2の正孔注入層は正孔輸送材料と有機電子供与体を含有する層である。
正孔注入層の総厚みは、10nm以上1000nm以下が好ましく、30nm以上700nm以下がより好ましく、50nm以上500nm以下が更に好ましい。
第1の正孔注入層の厚みは第2の正孔注入層より薄いことが好ましい。第1の正孔注入層の厚みは、1nm以上100nm以下が好ましく、3nm以上50nm以下がより好ましく、5nm以上30nm以下が更に好ましい。
1)第1の正孔注入層
第1の正孔注入層は金属酸化物を含有する層である。好ましくは、第1の正孔注入層の金属酸化物含有率は、1質量%以上100質量%であり、より好ましくは、5質量%以上100質量%、更に好ましくは、10質量%以上100質量%である。
金属酸化物含有率が1質量%未満では、正孔注入層でのキャリヤの発生量が少なく、駆動電圧の上昇が見られる点で好ましくない。
第1の正孔注入層に含有される金属酸化物は、電子受容性を示す金属酸化物であり、好ましくは、前記第1の正孔注入層に含有される金属酸化物が酸化モリブデン、酸化バナジウム、、酸化タングステン、及び酸化ルテニウムより選ばれる少なくとも1種である。
第1の正孔注入層は、金属酸化物とともに正孔輸送材料を含有しても良い。
正孔輸送材料としては、具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、またはカーボン等を含有する層であることが好ましい。具体的には、後述の第2の正孔注入層に用いられる正孔輸送材料を挙げることができる。
2)第2の正孔注入層
第2の正孔注入層は正孔輸送材料と有機電子供与体を含有する層である。
第2の正孔注入層の有機電子供与体含有率は、好ましくは、0.01質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは、0.05質量%以上20質量%以下、更に好ましくは、0.1質量%以上5質量%以下である。
有機電子供与体含有率が0.01質量%未満では、駆動電圧が上昇する可能性があり好ましくない。また、30質量%を越えると、駆動電圧の上昇、着色による効率低下の点で好ましくない。
<有機電子供与体>
有機電子供与体としては、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、またはトリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
有機電子供与体として、具体的には、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、o−ジシアノベンゼン、p−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9−シアノアントラセン、9−ニトロアントラセン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、C60、およびC70などが挙げられる。
このうちヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、またはC60が好ましく、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、または2,3,5,6−テトラシアノピリジンが特に好ましい。
これらの有機電子供与体は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
<正孔輸送材料>
第2の正孔注入層に用いられる正孔輸送材料は、70質量%以上99.99質量%が好ましく、より好ましくは、80質量%以上99.95質量%が好ましく、更に好ましくは95質量%以上99.90質量%以下である。
正孔輸送材料としては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にインドール骨格、カルバゾール骨格、アザインドール骨格、アザカルバゾール骨格または芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
このような正孔輸送材料の具体的化合物例としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(正孔輸送層)
本発明の有機EL素子は、第2正孔輸送層と発光層との間に正孔輸送層を有しても良い。正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔輸送層に使用できる材料としては、特に限定はなく、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾール、フェニルアジンを配位子に有する金属錯体、等を含有する層であることが好ましい。
正孔輸送層には、電子受容性材料を含有させることができる。正孔輸送層に導入する電子受容性材料としては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、および三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153号公報、特開平11−111463号公報、特開平11−251067号公報、特開2000−196140号公報、特開2000−286054号公報、特開2000−315580号公報、特開2001−102175号公報、特開2001−160493号公報、特開2002−252085号公報、特開2002−56985号公報、特開2003−157981号公報、特開2003−217862号公報、特開2003−229278号公報、特開2004−342614号公報、特開2005−72012号公報、特開2005−166637号公報、特開2005−209643号公報等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
これらの電子受容性材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子受容性材料の使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜300nmであるのがより好ましく、10nm〜200nmであるのが更に好ましい。
正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、陽極から注入され得た正孔を障壁する機能のいずれかを有している層である。
電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性材料としては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属などが好適に用いられる。
特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。
これらの電子供与性材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。電子供与性材料の使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜99質量%であることが好ましく、1.0質量%〜80質量%であることが更に好ましく、2.0質量%〜70質量%であることが特に好ましい。該使用量が、電子輸送層材料に対して0.1質量%未満のときには、本発明の効果が不十分であるため好ましくなく、99質量%を超えると電子輸送能力が損なわれるため好ましくない。
電子注入層、電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、具体的には、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、特に限定されるものではないが、駆動電圧低下、発光効率向上、耐久性向上の観点から、厚さが1nm〜5μmであることが好ましく、5nm〜1μmであることが更に好ましく、10nm〜500nmであることが特に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
(発光層)
本発明における発光層は、電界印加時に、陽極から正孔を受け取り、陰極から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明における発光層は、少なくとも一種の発光材料とホスト材料とを含むのが好ましい。
また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。発光層が複数の場合であっても、発光層の各層に、少なくとも一種の発光材料と複数のホスト材料とを含有することが好ましい。
本発明における発光層に含有する発光材料とホスト材料としては、一重項励起子からの発光(蛍光)が得られる蛍光発光材料とホスト材料との組み合せでも、三重項励起子からの発光(燐光)が得られる燐光発光材料とホスト材料との組み合せでもよいが、中でも、発光効率の観点から、燐光発光材料とホスト材料との組み合せが好ましい。
本発明における発光層は、色純度を向上させるためや発光波長領域を広げるために2種類以上の発光材料を含有することができる。
《燐光発光材料》
前記燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体を挙げることができる。
例えば、該遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、またはナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、フェノラト配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
これらの中でも、発光材料の具体例としては、例えば、US6303238B1号公報、US6097147号公報、WO00/57676号公報、WO00/70655号公報、WO01/08230号公報、WO01/39234A2号公報、WO01/41512A1号公報、WO02/02714A2号公報、WO02/15645A1号公報、WO02/44189A1号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−225352号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−170684号公報、EP1211257号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報、特開2004−357791号公報、特開2006−256999号公報等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい(2)の関係を満たす発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、Ce錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、Re錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、Re錯体が好ましい。
《蛍光発光材料》
前記蛍光発光材料としては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、ペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
これらの中でも、発光材料の具体例としては例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記の中でも、本発明で用いる発光材料としては、発光効率、耐久性の観点からD−2、D−3、D−4、D−5、D−6、D−7、D−8、D−9、D−10、D−11、D−12、D−13、D−14、D−15、D−16、D−21、D−22、D−23、D−24またはD−25が好ましく、D−2、D−3、D−4、D−5、D−6、D−7、D−8、D−12、D−14、D−15、D−16、D−21、D−22、D−23、D−24またはD−25がより好ましく、D−21、D−22、D−23、D−24またはD−25が更に好ましい。
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、発光効率の観点で、5nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
(ホスト材料)
本発明に用いられるホスト材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト化合物(電子輸送性ホストと記載する場合がある)を用いることができる。
《正孔輸送性ホスト》
本発明に用いられる正孔輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及び、それらの誘導体等が挙げられる。
好ましくは、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体であり、より好ましくは、分子内にカルバゾール基を有するものが好ましい。特に、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物が好ましい。
《電子輸送性ホスト》
本発明に用いられる発光層内の電子輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、またはパラジウムイオンである。
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座以上6座以下の配位子である。また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、およびキノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、および2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、およびトリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、およびアントラニルアニオンなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、およびベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる。)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、または芳香族ヘテロ環アニオン配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、または芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
金属錯体電子輸送性ホストの例としては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物が挙げられる。
本発明における発光層において、前記ホスト材料の三重項最低励起準位(T1)が、前記燐光発光材料のT1より高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
(電極)
本発明における陽極電極および陰極電極は、発光を取り出す面をどちらにするかによって、反射率の高い鏡面とするか光透過性若しくは光半反射半透過性とされる。通常、ボトムエミッション型と呼ばれる素子構成では、陽極面が発光取り出し面であって光透過性電極若しくは光半反射半透過性電極であり、トップエミッション型と呼ばれる素子構成では、陰極面が発光取り出し面であり、光透過性電極若しくは光半反射半透過性電極である。
本発明の有機EL素子は、好ましくは共振器構造を形成し、光取りだし面の電極が光半反射半透過性電極である。更に好ましくは、トップエミッション型素子構成で、陽極が光反射電極、陰極が光半反射半透過性電極である構成である。
<電極を光半反射半透過性に調整する手段>
電極の透過率の制御は、電極材料とその厚みを制御することによって行うことができる。電極の反射率の制御は、電極材料とその厚み、及び表面の鏡面度を制御することによって行うことができる。
光半反射半透過性電極を構成する材料としては、具体的には、白金、金、銀、クロム、タングステン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびナトリウムの単体もしくは合金より選ばれる金属材料が例示される。合金材料としては、例えば、銀を主成分とし、0.3質量%〜1質量%のパラジウム(Pd)と、0.3質量%〜1質量%の銅(Cu)とを含むAgPdCu合金が挙げられる。
好ましくは、白金,金,銀,クロム,タングステンあるいはアルミニウムなどの仕事関数の高い金属元素の単体または合金が挙げられる。
該電極の厚みは5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは、7nm以上45nm以下、更に好ましくは、10nm以上40nm以下である。
1)陽極
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有する。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル、アルミニウム等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極を光半反射半透過性電極とする場合は、上記の「電極を光半反射半透過性に調整する手段」に従って作製することができる。
陽極の抵抗値としては、10Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。
2)陰極
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有する。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、またはCs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、およびイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
陰極を光半反射半透過性電極とする場合は、上記の「電極を光半反射半透過性に調整する手段」に従って作製することができる。
(基板)
本発明においては基板を用いることができる。用いられる基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、またはNi等の金属、MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、またはTiO等の金属酸化物、SiN、SiN等の金属窒化物、MgF、LiF、AlF、またはCaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、または転写法を適用できる。
(封止)
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号公報、同6−301355号公報、同5−29080号公報、同7−134558号公報、同8−234685号公報、同8−241047号公報、特許第2784615号公報、米国特許5828429号公報、同6023308号公報、等に記載の駆動方法を適用することができる。
(本発明の有機電界発光素子の用途)
本発明の有機電界発光素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、または光通信等に好適に利用できる。
以下に、本発明の有機電界発光素子の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1
1.有機EL素子の作製
1)本発明の素子1の作製
基板側より発光を取り出すボトムエミッション型素子である。
0.5mm厚み、2.5cm角のガラス基板を2−プロパノール中で超音波洗浄後、20分間UV−オゾン処理を行った。
・陽極:酸化インジウム錫(ITOと略記)を厚み100nmに蒸着した。
本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
・第1の正孔注入層:4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATAと略記する)およびMoOを、2−TNATAに対してMoOが30質量%となるように共蒸着した。厚みは20nmであった。
・第2の正孔注入層:2−TNATAおよび2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQと略記する)を、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは140nmであった。
・正孔輸送層:N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(α−NPDと略記する)を蒸着した。厚みは10nmであった。
・発光層:N,N’−di−carbazoly−3,5−benzene(mCPと略記する)と白金錯体Pt−1を、mCPに対してPt−1が15質量%となるように共蒸着した。厚みは30nmであった。
・電子輸送層:bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate) aluminium(BAlqと略記する)を蒸着した。厚みは30nmであった。
・電子注入層:LiFを蒸着した。厚みは1nmであった。
さらに、シャドウマスクによりパターニングして陰極として厚み70nmのAlを設けた。
各層はいずれも抵抗加熱真空蒸着により設けた。
作製した積層体を、窒素ガスで置換したグロ−ブボックス内に入れ、乾燥剤を貼り付けたステンレス製の封止缶および紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止した。
2)本発明の素子2の作製
上記本発明の素子1の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を下記に変更する以外は本発明の素子1の作製と同様に本発明の素子2を作製した。
・第1の正孔注入層:MoOを厚み10nmに蒸着した。
・第2の正孔注入層:2−TNATAおよびF4−TCNQを、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは150nmであった。
3)本発明の素子3の作製
上記本発明の素子1の作製において、陽極、電子注入層、及び陰極を下記に変更する以外は本発明の素子1の作製と同様に本発明の素子3を作製した。本発明の素子3は、陰極側より発光を取り出すトップエミッション共振器型素子である。
・陽極:Alを厚み100nmに蒸着した。
・電子注入層:LiFを厚み0.5nmに蒸着した。
・陰極:Alを厚み1.5nmに蒸着した上に、Agを厚み20nmに蒸着した。
4)本発明の素子4の作製
上記本発明の素子3の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を下記に変更する以外は本発明の素子3の作製と同様にして本発明の素子4を作製した。
・第1の正孔注入層:MoOを厚み10nmに蒸着した。
・第2の正孔注入層:2−TNATAおよびF4−TCNQを、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは150nmであった。
5)比較の素子1の作製
上記本発明の素子1の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を除き、代わりに下記の1層の正孔注入層を用いた以外は本発明の素子1の作製と同様に比較の素子1を作製した。
・正孔注入層:2−TNATAを厚み160nmに蒸着した。
6)比較の素子2の作製
上記本発明の素子1の作製において、第1正孔注入層を除き、第2正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子1の作製と同様に比較の素子2を作製した。
7)比較の素子3の作製
上記本発明の素子1の作製において、第2正孔注入層を除き、第1正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子1の作製と同様に比較の素子3を作製した。
8)比較の素子4の作製
上記本発明の素子3の作製において、第1正孔注入層を除き、第2正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子3の作製と同様に比較の素子4を作製した。
9)比較の素子5の作製
上記本発明の素子3の作製において、第2正孔注入層を除き、第1正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子3の作製と同様に比較の素子5を作製した。
実施例1に用いた化合物の構造を下記に示す。
2.性能評価
得られた比較の有機EL素子および本発明の有機EL素子を同一条件で下記の手段によって駆動電圧、外部量子効率および駆動耐久性を測定した。いずれの素子も緑色の発光を示した。
《駆動電圧》
電流値が2.5mA/cmにおける直流電圧を駆動電圧とした。
《外部量子効率の測定方法》
作製した発光素子をKEITHLEY製ソ−スメジャ−ユニット2400型を用いて、直流電圧を発光素子に印加し発光させた。電圧を調整して、電流値2.5mA/cmで発光させ、その発光スペクトルと光量をトプコン社製輝度計SR−3を用いて測定し、発光スペクトル、光量と測定時の電流から外部量子効率を計算した。
《駆動耐久性率の測定方法》
各素子を輝度1000cd/mになるように直流電圧を印加し、一定電流で連続駆動して輝度が500cd/mになるまでの輝度半減時間を測定した。この輝度半減時間をもってして駆動耐久性の指標とした。比較の素子1の輝度半減時間を1としたときの相対比で示した。
得られた結果を表1に示した。
表1の結果より、本発明の有機EL素子は、いずれも駆動電圧が低く、発光効率が高く、駆動耐久性に優れていた。
例えば、ボトムエミッション型素子の本発明の素子1,2、比較の素子1〜3を比較する。比較の素子1に対して、比較の素子2は駆動電圧が低下するが駆動耐久性が低下する。原因は明らかではないが、有機電子受容体を電極に接する層に用いるとこのような現象が見られている。また、比較の素子1に対して、比較の素子3は駆動電圧が低下し、駆動耐久性も向上するが発光効率が低下する。金属酸化物含有正孔注入層の着色により素子の発光が吸収されて効率が低下したものと思われる。それに対して、本発明の素子1,2は、比較の素子1に対して、発光効率の低下を少なく保ち、駆動電圧が低く、駆動耐久性が向上する。すなわち、電極との相性が良い金属酸化物を用いた正孔注入層を薄く第一層として用いることで耐久性の悪化を防止し、欠陥防止のために厚くした第二層を光損失の少ない有機電子受容体含有層とすることで効率低下の防止が可能となっている。
また、トップエミッション型素子の本発明の素子3,4、比較の素子4,5を比較すると、比較の素子3に対して、比較の素子4は駆動電圧が低下するが発光効率と駆動耐久性が著しく低下する。それに対して、本発明の素子3,4は、比較の素子3に対して、駆動電圧が低く、発光効率が極めて高く、且つ、駆動耐久性が大きく向上する。
以上のように、本発明の効果は、金属電極を陽極として用いたトップエミッション共振器型素子構造で特に大きく発揮されることが判る。
実施例2
1)本発明の素子5の作製
陽極側より発光を取り出すボトムエミッション型素子である。
0.5mm厚み、2.5cm角のガラス基板を2−プロパノール中で超音波洗浄後、20分間UV−オゾン処理を行った。
・陽極:ITOを厚み100nmに蒸着した。
・第1の正孔注入層:2−TNATAおよびMoOを、2−TNATAに対してMoOが30質量%となるように共蒸着した。厚みは20nmであった。
・第2の正孔注入層:2−TNATAおよびF4−TCNQを、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは140nmであった。
・第1の正孔輸送層:α−NPDを蒸着した。厚みは10nmであった。
・第2の正孔輸送層:正孔輸送材料HT−1を厚み3nmに蒸着した。
・発光層:mCPと白金錯体Pt−2を、mCPに対してPt−2が30質量%となるように共蒸着した。厚みは30nmであった。
・電子輸送層:BAlqを厚み30nmに蒸着した。
・電子注入層:LiFを蒸着した。厚みは1nmであった。
さらに、シャドウマスクによりパターニングして陰極として厚み70nmのAlを設けた。
各層はいずれも抵抗加熱真空蒸着により設けた。
作製した積層体を、窒素ガスで置換したグロ−ブボックス内に入れ、乾燥剤を貼り付けたステンレス製の封止缶および紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止した。
2)本発明の素子6の作製
上記本発明の素子5の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を下記に変更する以外は本発明の素子5の作製と同様に本発明の素子6を作製した。
・第1の正孔注入層:MoOを厚み10nmに蒸着した。
・第2の正孔通入層:2−TNATAおよびF4−TCNQを、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは150nmであった。
3)本発明の素子7の作製
上記本発明の素子5の作製において、陽極、電子注入層、及び陰極を下記に変更する以外は本発明の素子5の作製と同様に本発明の素子7を作製した。本発明の素子7は、陰極側より発光を取り出すトップエミッション型素子である。
・陽極:Alを厚み100nmに蒸着した。
・電子注入層:LiFを厚み0.5nmに蒸着した。
・陰極:Alを厚み1.5nmに蒸着した上に、Agを厚み20nmに蒸着した。
4)本発明の素子8の作製
上記本発明の素子7の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を下記に変更する以外は本発明の素子7の作製と同様にして本発明の素子8を作製した。
・第1の正孔注入層:MoOを厚み10nmに蒸着した。
・第2の正孔注入層:2−TNATAおよびF4−TCNQを、2−TNATAに対してF4−TCNQが0.3質量%となるように共蒸着した。厚みは150nmであった。
5)比較の素子6の作製
上記本発明の素子5の作製において、第1の正孔注入層及び第2の正孔注入層を除き、代わりに下記の1層の正孔注入層を用いた以外は本発明の素子5の作製と同様に比較の素子6を作製した。
・正孔注入層:2−TNATAを厚み160nmに蒸着した。
6)比較の素子7の作製
上記本発明の素子5の作製において、第1正孔注入層を除き、第2正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子5の作製と同様に比較の素子7を作製した。
7)比較の素子8の作製
上記本発明の素子5の作製において、第2正孔注入層を除き、第1正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子5の作製と同様に比較の素子8を作製した。
8)比較の素子9の作製
上記本発明の素子7の作製において、第1正孔注入層を除き、第2正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子7の作製と同様に比較の素子9を作製した。
9)比較の素子10の作製
上記本発明の素子7の作製において、第2正孔注入層を除き、第1正孔注入層の厚みを160nmに変更した以外は本発明の素子7の作製と同様に比較の素子10を作製した。
実施例2に用いた化合物の構造を下記に示す。
得られた結果を表2に示した。
表2の結果より、本発明の有機EL素子は、いずれも駆動電圧が低く、発光効率が高く、駆動耐久性に優れていた。
例えば、ボトムエミッション型素子の本発明の素子5,6、比較の素子6〜8を比較する。比較の素子6に対して、比較の素子7は駆動電圧が低下するが発光効率と駆動耐久性が低下する。原因は明らかではないが、有機電子受容体を電極に接する層に用いるとこのような現象が見られている。また、比較の素子6に対して、比較の素子8は駆動電圧が低下し、駆動耐久性も向上するが発光効率が低下する。金属酸化物含有正孔注入層の着色により素子の発光が吸収されて効率が低下したものと思われる。それに対して、本発明の素子5,6は、比較の素子6に対して、発光効率の低下を少なく保ち、駆動電圧が低く、駆動耐久性が向上する。すなわち、電極との相性が良い金属酸化物を用いた正孔注入層を薄く第一層として用いることで耐久性の悪化を防止し、欠陥防止のために厚くした第二層を光損失の少ない有機電子受容体含有層とすることで効率低下の防止が可能となっている。
また、トップエミッション型素子の本発明の素子7,8、比較の素子9,10を比較すると、比較の素子9に対して、比較の素子10は駆動電圧が低下するが発光効率が低下し、駆動耐久性に関しては比較の素子9が極めて駆動耐久性に劣り、比較の素子10が僅かに向上したとしてもなお0.6と著しく低い。それに対して、本発明の素子7,8は、比較の素子9に対して、駆動電圧が低く、発光効率が極めて高く、且つ、駆動耐久性が大きく向上する。
以上のように、本発明の効果は、金属電極を陽極として用いたトップエミッション共振器型素子構造で特に大きく発揮することが判る。
本発明有機EL素子の層構成を示す概略図である。トップエミッション型有機EL素子の層構成である。 本発明有機EL素子の別の層構成を示す概略図である。ボトムエミッション型有機EL素子の層構成である。

Claims (7)

  1. 基板上に、一対の電極、及び該電極対間に少なくとも発光層を含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記電極対の陽極と前記発光層との間に、少なくとも、前記陽極に接して第1の正孔注入層、及び前記第1の正孔注入層の前記陽極とは反対側に第2の正孔注入層を有し、前記第1の正孔注入層が金属酸化物を含有し、前記第2の正孔注入層が正孔輸送材料と有機電子受容体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記第1の正孔注入層の厚みが前記第2の正孔注入層の厚みより薄いことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 前記第2の正孔注入層と前記発光層との間に正孔輸送層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記陽極が反射電極であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記第1の正孔注入層の金属酸化物が、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、及び酸化ルテニウムより選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記発光層の前記基板とは反対面側より光を取り出すトップエミッション型有機電界発光素子であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
  7. 前記陽極が反射電極であり、陰極が光半反射半透過電極であり、共振器構造を形成していることを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光素子。
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