JP4198253B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも称する場合がある。)およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、民生用および工業用の表示機器(ディスプレイ)あるいはプリンターヘッドの光源等に用いて好適な有機EL素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、以下に示すような理由から、電極間に有機発光層を挟持した有機EL素子が鋭意研究開発されている。
(1)完全固体素子であるため、取り扱いや製造が容易である。
(2)自己発光が可能であるため、発光部材を必要としない。
(3)視認性に優れているため、ディスプレイに好適である。
(4)フルカラー化が容易である。
しかしながら、有機EL素子における有機発光層は、有機物であるため電子や正孔を輸送しにくく、また、劣化しやすいために耐久性に乏しいという問題が見られた。
【0003】
そこで、特許2636341号公報には、p型無機半導体薄膜層からなる正孔注入層を備えた有機EL素子が開示されている。この有機EL素子は、具体的に、陽極と、有機発光層(有機蛍光体薄膜層)との間に、Si1-xx(0≦x≦1),CuI,CuS,ZnTe等のIII−V族化合物,あるいはII−VI族化合物のp型無機半導体材料からなる無機半導体薄膜層を備えている。
【0004】
また、特許282411号公報には、陽極と正孔輸送層との間のフェルミエネルギー差を小さくして、長寿命化を図ることを目的として、陽極に、酸化錫インジウム(ITO)よりも仕事関数が大きく、導電性の金属酸化物材料、例えば、RuO2、MoO3、V25を使用した有機EL素子が開示されている。
【0005】
さらに、特開平2−196475号公報には、第一電極層(ITO/SnO2)上に、水素化アモルファスシリコン(α−Si:H)等のn型の無機半導体薄膜層と、ニ層の有機化合物薄膜層と、第二電極層(金)とを積層して形成した有機EL素子が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許2636341号公報に開示された有機EL素子は、陽極とn型無機半導体薄膜層との間のフェルミエネルギーの関係を何ら考慮しておらず、正孔注入性に乏しい上、p型無機半導体薄膜層を設けたことにより、発光効率が逆に低下しやすいという問題が見られた。すなわち、p型半導体材料のエネルギーギャップは狭いために、有機発光層の励起状態における再結合エネルギーが移動しやすく、結果として、励起状態が失活して、発光効率が低下しやすかった。また、p型無機半導体薄膜層は、一般に良質な半導体薄膜とすることが容易でなく、製造が困難であるという問題も見られた。
【0007】
また、特許282411号公報に開示された有機EL素子に使用されるRuO2、MoO3、V25等の導電性材料は、陽極と正孔輸送層との間のフェルミエネルギーの関係を小さくしようと試みているが、正孔の移動性や耐久性がいまだ不充分であるという問題が見られた。また、これらの導電性材料は、光吸収係数が27000cm-1以上と大きく、激しく着色していた。したがって、可視光域における光透過率(%)が、例えばITOの約1/9〜1/5というように極端に低く、そのため発光効率が低かったり、外部に取り出せる光量が少ないという問題が見られた。
そこで、同特許公報において、光透過率(%)を向上させるために、導電性の金属酸化物薄膜とITOとからなる積層体を陽極に使用することが提案されている。しかしながら、その場合でも光透過率(%)はITOの約1/2程度であり、依然値が低くて、実用的でないという問題が見られた。また、導電性の金属酸化物薄膜とITOとからなる積層体を構成する場合、ITOや導電性の金属酸化物薄膜の膜厚を所定範囲内の値にそれぞれ制限しなければならず、製造上の制約が大きいという問題も見られた。
【0008】
さらに、特開平2−196475号公報に開示された有機EL素子は、陽極とn型無機半導体薄膜層との間のフェルミエネルギーの関係を何ら考慮しておらず、発光輝度がいまだ低く、耐久性も不充分であるという問題が見られた。具体的に、得られた有機EL素子の発光輝度の値は、電圧20Vの印加であっても、1500cd/m2程度であり、実用的な発光輝度を得るためには、高電圧の印加が必要であった。
【0009】
そこで、本発明の発明者らは上記問題を鋭意検討したところ、従来の知見とは異なるものの、有機EL素子における正孔注入層および陽極のフェルミエネルギー差を大きくする方向で、特定のn型無機半導体材料からなる正孔注入層を設けることにより、確実に整流接触させることができ、しかも、正孔注入層において高い光透過率が得られることを見出した。すなわち、本発明の目的は、特定のフェルミエネルギーおよび吸収係数を有するn型無機半導体材料からなる正孔注入層を備えた、外部に取り出せる光量が多い一方、駆動電圧が低くても、発光輝度が高く、しかも、耐久性に優れた有機EL素子およびこのような有機EL素子を効率的に提供することができる製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機EL素子によれば、少なくとも陽極層、正孔注入層、有機発光層および陰極層を順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層をn型無機半導体材料から構成するとともに、正孔注入層のフェルミエネルギーをΦh、前記陽極層のフェルミエネルギーをΦaとしたときに、Φh>Φaの関係を満足し、かつ、n型無機半導体材料の吸収係数を1×104cm-1以下の値とすることを特徴とする。
このように構成することにより、正孔注入層と陽極層との接合を整流接触させることができ、優れた正孔注入性を得ることができる。したがって、駆動電圧が低くなり、しかも、高い発光輝度が得られるとともに耐久性に優れた有機EL素子とすることができる。また、使用するn型無機半導体材料の吸収係数の値を所定範囲内に制限しているため、正孔注入層の光透過率を高くすることができる。
【0011】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、正孔注入層のフェルミエネルギー(Φh)を5.0〜6.0eVの範囲内の値とすることが好ましい。
このように正孔注入層のフェルミエネルギーを制限することにより、より効率的に正孔を陽極から注入することができる。
【0012】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、Φh>Φaの関係を満足する場合であっても、陽極層のフェルミエネルギー(Φa)を5.4eV以下の値とすることが好ましい。
このように陽極層のフェルミエネルギー(最高占有準位エネルギーと称する場合がある。)を制限することにより、より効率的に正孔を注入することができる。
【0013】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、n型無機半導体材料が、酸化インジウムおよび酸化亜鉛あるいはいずれか一方の酸化物を含むことが好ましい。
このようなn型無機半導体材料を使用することにより、透明性が高く、また、より優れた正孔移動性を得ることができる。
【0014】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、n型無機半導体材料が、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化レニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物をさらに含むことが好ましい。
このようなn型無機半導体材料をさらに使用することにより、フェルミエネルギーや導電性を所定範囲内の値に調整することがより容易となる。
【0015】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、正孔注入層の膜厚を0.1〜1000nmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような範囲に正孔注入層の膜厚を制限することにより、均一な膜厚を有する緻密な薄膜を容易に形成することができる。したがって、駆動電圧がより低くなり、しかも、製造上の制約を小さくすることができる。
【0016】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、有機発光層と陰極層との間に、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、例えば、LiF,CsF,Li2O,MgF2から選択された化合物を含む電子注入層を設けることが好ましい。
このような電子注入層を設けることにより、極めて高い発光輝度を有し、しかも耐久性に優れた有機EL素子を提供することができる。
【0017】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、正孔注入層と発光層との間に、絶縁性無機化合物層を設けることが好ましい。
このような絶縁性無機化合物層を設けることにより、極めて高い発光輝度を有し、しかもより耐久性に優れた有機EL素子を提供することができる。
【0018】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、正孔注入層と発光層との間に、正孔輸送層を設けることが好ましい。
このような正孔輸送層を設けることにより、正孔の輸送性がより向上し、低電圧印加により、高い発光輝度が得られ、しかも耐久性に優れた有機EL素子を提供することができる。
【0019】
また、本発明の有機EL素子を構成するにあたり、正孔注入層と正孔輸送層との間に、絶縁性無機化合物層を設けることが好ましい。
このような絶縁性無機化合物層を設けることにより、極めて高い発光輝度を有し、しかもより耐久性に優れた有機EL素子を提供することができる。
【0020】
また、本発明の別の態様は、上述した有機EL素子の製造方法であり、少なくとも正孔注入層と有機発光層とを、大気にさらすことなく形成することを特徴とする。
このように形成すると、均一な発光輝度や耐久性等の特性を有する有機EL素子を効率的に提供することができる。
【0021】
また、本発明の有機EL素子の製造方法を実施するにあたり、正孔注入層をスパッタリング法により形成するとともに、有機発光層を真空蒸着法により形成することが好ましい。
このように形成すると、緻密で、均一な膜厚を有する正孔注入層や有機発光層を形成することができるとともに、均一な発光輝度を有する有機EL素子を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(第1〜第4の実施形態)について具体的に説明する。なお、参照する図面は、この発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状および配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。したがって、この発明は図示例にのみ限定されるものではない。また、図面では、断面を表すハッチングを省略する場合がある。
【0023】
[第1の実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の有機EL素子における第1の実施形態について説明する。図1は、有機EL素子100の断面図であり、陽極層10、正孔注入層12、有機発光層14および陰極層16を、基板上(図示せず。)に順次に積層した構造を有していることを表している。
以下、第1の実施形態における特徴的な部分である正孔注入層12および有機発光層14について中心に説明する。したがって、その他の構成部分、例えば、陽極層10や陰極層16の構成や製法については簡単に説明するものとし、言及していない部分については、有機EL素子の分野において一般的に公知な構成や製法を採ることができる。
【0024】
(1)正孔注入層
第1の実施形態において、正孔注入層を特定のフェルミエネルギーおよび吸収係数を有するn型半導体材料から構成することを特徴とする。このようにn型半導体材料から正孔注入層を構成することにより、高い光透過率(透明性)を有する正孔注入層が得られる一方、陽極層からの正孔の注入性や耐久性に優れた有機EL素子とすることができる。
【0025】
(フェルミエネルギー)
正孔注入層を構成するn型半導体材料として、当該n型半導体材料のフェルミエネルギーをΦh、前記陽極層のフェルミエネルギーをΦaとしたときに、Φh>Φaの関係を満足する材料を使用する必要がある。これは、正孔注入層と陽極層との接合を整流接触とするためであり、その結果、正孔注入層を介して、優れた正孔注入性を得るためである。なお、フェルミエネルギーを考慮した放出機構については、電場エミッション、熱エミッション、電場−熱エミッションなどが考えられるが、これらの学術的内容については、K.C.KAO,W.HWANG著、「Electrical Transport in Solids」, PERGAMON PRESS,1981,p106に記載された内容を参照することができる。
【0026】
ここで、図2(a)〜(b)を参照して、第1の実施形態におけるn型半導体材料(正孔注入層)および陽極材料(陽極層)のフェルミエネルギーと、これらの間の整流接触との関係を説明する。なお、フェルミエネルギーとは、絶対温度にて、電子の占有確率が0となる場合のそのエネルギー電位(準位)を意味している。また、半導体材料には、伝導帯と価電子帯とのそれぞれのエネルギー電位(準位)が存在しているが、一般にフェルミエネルギーは、これらの間のエネルギー電位(準位)であって、n型半導体材料の場合においては、伝導帯の下端のエネルギー電位に近接した位置にある。
【0027】
まず、図2(a)は、接合(積層)前の、n型半導体材料および陽極材料におけるフェルミエネルギー(Φh、Φa)の関係、およびそれぞれにおける伝導帯と価電子帯のエネルギー準位を示す概念図である。図2(a)中、縦方向にエネルギー準位を示しており、n型半導体材料および陽極材料におけるフェルミエネルギー(Φh、Φa)の大きさを、上位に位置する真空準位からの距離でそれぞれ表している。また、横方向は、相対的位置(距離)を表している。したがって、第1の実施形態においては、Φh>Φaの関係を満足することから、n型半導体材料のフェルミエネルギーを示すラインHが、陽極材料のフェルミエネルギーを示すラインAよりも、下方に位置している。
なお、図2は、陽極として汎用のITO等の縮退半導体を例に採っているが、原理は同一であるため、金属を用いることも可能である。
また、図2(a)中に、n型半導体材料における伝導帯の下端および価電子帯の上端のエネルギー電位を示すラインを、記号HcおよびHdで表しており、同様に、陽極材料における伝導帯の下端および価電子帯の上端のエネルギー電位を示すラインを、記号AcおよびAdで表している。なお、これらの関係は、使用するn型半導体材料および陽極材料に拠るが、一般に、Hc>Ac、Hd>Adの関係を満足している。
【0028】
また、図2(b)は、接合(積層)後の、有機発光層を含めた状態での、n型半導体材料および陽極材料のフェルミエネルギー(Φh、Φa)の関係、およびn型半導体材料における伝導帯と価電子帯とのエネルギー準位を示す概念図である。接合後には、Φh>Φaの関係を満足することから、陽極層から正孔注入層(n型半導体材料)に電子が流入し、フェルミエネルギーの値は一致する。すなわち、n型半導体材料のフェルミエネルギー(Φh)が、陽極材料のフェルミエネルギー(Φa)の値と同一となり、この値が一致したフェルミエネルギーを示すラインを記号Cで図中表している。
【0029】
また、n型半導体材料および陽極材料における異なる値のフェルミエネルギーが一致する際に、Φh>Φaの関係を満足しているために、n型半導体材料における伝導帯と価電子帯とのエネルギー分布が、接合界面D付近にて大きく歪むことになる。図2(b)中、n型半導体材料の伝導帯および価電子帯のエネルギー電位を示すラインHcおよびHdが、接合界面Dにて、左下方に大きく落ち込んでいるのは、このことを示している。
なお、Φh<Φaの関係を有している場合には、n型半導体材料から陽極層に向かって電子が流入するため、n型半導体材料における伝導帯と価電子帯とのエネルギー分布が上記と逆になり、正孔注入層を介して、放出機構、例えば電場エミッションによって正孔を注入することが困難である。
【0030】
したがって、このように伝導帯および価電子帯のエネルギー電位が歪んだ状態にて、陽極層等を介して、n型半導体材料からなる正孔注入層に所定の電圧が印加されると、n型半導体層の膜厚が薄いため、その部分に高電界が加わることになる。また、陽極層と正孔注入層とは整流接触しているので、障壁の幅が薄くなり、上述した放出機構(注入機構)に基づいて、正孔が容易に移動するものと考えられる。すなわち、Φh>Φaの関係を満足することにより、n型半導体材料であっても、優れた正孔注入性を示すことができるものと推定される。
【0031】
また、n型半導体材料のフェルミエネルギー(Φh)を、陽極層のフェルミエネルギー(Φa)よりも、0.2〜0.8eVの範囲内の値だけ大きくすることがより好ましい。すなわち、Φh=Φa+0.2〜0.8eVの関係を満足することが好ましい。この理由は、このような関係を満足することにより、より確実に整流接触とすることができる一方、使用可能なn型半導体材料や陽極材料の種類の選択性が過度に狭められることがないからである。したがって、さらに好ましくは、n型半導体材料および陽極層のフェルミエネルギーにおいて、Φh=Φa+0.3〜0.6eVの関係を満足することである。
【0032】
また、n型半導体材料のフェルミエネルギー(Φh)を、正孔の移動しやすさおよび使用材料の入手性を考慮して、具体的に、5.0〜6.0eVの範囲内の値とすることが好ましく、5.2〜5.8eVの範囲内の値とすることがより好ましく、5.3〜5.6eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかるフェルミエネルギーは、例えば、光電子分光装置やオージェ電子分光装置を用いて測定することができる。
【0033】
また、陽極層のフェルミエネルギー(Φa)を、正孔の移動しやすさおよび使用材料の入手性を考慮して、具体的に、5.4eV以下の値とすることが好ましく、4.0〜5.1eVの範囲内の値とすることがより好ましく、4.3〜5.0eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0034】
(吸収係数)
また、第1の実施形態において、n型無機半導体材料の吸収係数を、高い光透過率が得られ、しかも材料の入手性が容易なことから、1×104cm-1以下の値とする必要があるが、8×103cm-1〜1×103cm-1の範囲内の値とすることがより好ましく、2×103cm-1〜6×103cm-1の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる吸収係数は、例えば、吸光度計や透過率測定装置を用いて測定することができる。
【0035】
(構成材料)
また、n型無機半導体材料の種類は、上記フェルミエネルギーの関係を満足するものであれば、特に制限されるものではないが、具体的に、酸化インジウムおよび酸化亜鉛あるいはいずれか一方の酸化物を成分として含むことが好ましい。
このような酸化物として、In23,ZnO,In23(ZnO)m (mは、2〜20)等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。したがって、In23とIn23(ZnO)mとの混合物や、In23とZnOとIn23との混合物を選択することも好ましい。また、In23(ZnO)mを選択する場合、InとZnの原子比[In/(In+Zn)]を0.2〜0.85の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、かかる原子比が0.2未満となると、導電性が低下する場合があるためであり、一方、原子比が0.85を超えると、耐熱性等の特性が低下する場合があるためである。
【0036】
また、これらの酸化インジウムおよび酸化亜鉛は、インジウム化合物および亜鉛化合物を焼成して得ることができる。具体的に、好ましいインジウム化合物および亜鉛化合物として、インジウム硝酸塩、インジウム硫酸塩、インジウムハロゲン化物、インジウム炭酸塩、インジウム有機酸塩、インジウムアルコキシド、インジウム金属錯体、亜鉛硝酸塩、亜鉛硫酸塩、亜鉛ハロゲン化物、亜鉛炭酸塩、亜鉛有機酸塩、亜鉛アルコキシド、亜鉛金属錯体等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0037】
また、n型無機半導体材料に、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化レニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物(第三の酸化物と称する場合がある。)をさらに含むことが好ましい。
このような第三の酸化物を含むことにより、n型半導体材料のフェルミエネルギー(Φh)や吸収係数を、所望の範囲内の値に容易に調整することができる。
【0038】
このような、第三の酸化物の添加量は、特に制限されるものではないが、例えば、n型無機半導体材料の全体量を100原子%としたときに、0.1〜50原子%の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、第三の酸化物の添加量が0.1原子%未満となると、添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、50原子%を超えると、イオン散乱により、導電性が低下する場合があるためである。
したがって、第三の酸化物の添加量を0.2〜20原子%の範囲内の値とするのがより好ましく、0.5〜15原子%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0039】
(膜厚)
また、正孔注入層の膜厚は特に制限されるものではないが、上述した注入機構による正孔注入性や薄層の機械的強度を考慮して、例えば、正孔注入層の膜厚を0.1〜1000nmの範囲内の値とすることが好ましく、0.2〜100nmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜50nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
ただし、正孔注入層を、比較的大面積とする場合には、正孔注入層の膜厚を0.2nm〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましい。
【0040】
(形成方法)
次に、正孔注入層を形成する方法について説明する。かかる形成方法は特に制限されるものではないが、例えば、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法を採ることができるが、特に、高周波マグネトロンスパッタリング法を採ることが好ましい。
具体的に、ガス導入前の真空度1×10-7〜1×10-3Pa、成膜速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃の条件でスパッタリングすることが好ましい。
また、得られる有機EL素子の特性が均一となり、また、製造時間が短縮できることから、少なくとも電子注入層と有機発光層とを同一真空条件で、大気にさらすことなく成膜することがより好ましい。したがって、例えば、電子注入層をガス導入前の真空度1×10-7〜1×10-3Paの真空条件で成膜する場合には、有機発光層も大気にさらすことなく、同様の真空条件で成膜することが好ましい。
【0041】
(2)有機発光層
(構成材料)
有機発光層の構成材料として使用する有機発光材料は、以下の3つの機能を併せ持つことが好ましい。
(a)電荷の注入機能:電界印加時に陽極あるいは正孔注入層から正孔を注入することができる一方、陰極層あるいは電子注入層から電子を注入することができる機能。
(b)輸送機能:注入された正孔および電子を電界の力で移動させる機能。
(c)発光機能:電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光につなげる機能。
【0042】
ただし、上記(a)〜(c)の各機能全てを併せもつことは、必ずしも必要ではなく、例えば正孔の注入輸送性が電子の注入輸送性より大きく優れているものの中にも有機発光材料として好適なものがある。したがって、本発明の目的に合致して、有機発光層における電子の移動が促進されて、有機発光層の中央付近で正孔と再結合可能な材料であれば好適に使用することができる。すなわち、本発明においては、有機発光材料における電子移動度をμeとし、正孔移動度をμhとしたときに、下記条件(1)および(2)を満足する有機発光材料が好ましい。ただし、第1の実施形態において、複数種の発光材料を使用した場合に、少なくとも一つの有機発光材料が、下記条件(1)および(2)を満足することが好ましく、より好ましくは、全ての有機発光材料が、当該条件を満足することである。
(1)μe≧1×10-7cm2/V・s
(2)μh>μe>μh/1000
【0043】
ここで、有機発光材料の電子移動度を、1×10-7cm2/V・s以上の値と制限するのは、これ未満の値となると、有機EL素子における高速応答が困難となったり、発光輝度が低下する場合があるためである。
したがって、有機発光材料の電子移動度を、1.1×10-7〜2×10-3cm2/V・sの範囲内の値とするのがより好ましく、1.2×10-7〜1.0×10-3cm2/V・sの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0044】
また、有機発光層における有機発光材料の正孔移動度よりも、電子移動度を小さく制限しているのは、この逆となると、有機発光層に使用可能な有機発光材料が過度に制限される場合があり、また、発光輝度が低下する場合があるためである。一方、有機発光材料の電子移動度を、正孔移動度の1/1000よりも大きく制限しているのは、電子移動度が過度に小さくなると、有機発光層の中央よりにおいて正孔と再結合することが困難となり、やはり発光輝度が低下する場合があるためである。
したがって、有機発光層における有機発光材料の正孔移動度(μh)と電子移動度(μe)とが、μh/2>μe>μh/500の関係を満足するのがより好ましく、μh/3>μe>μh/100の関係を満足するのがさらに好ましい。
【0045】
また、第1の実施形態において、有機発光層に下記一般式(1)〜(3)で表されるスチリル基を有する芳香族環化合物を使用することが好ましい。このようなスチリル基を有する芳香族環化合物を使用することにより、上述した有機発光層における有機発光材料の電子移動度および正孔移動度の条件を容易に満足することができる。
【0046】
【化1】
Figure 0004198253
【0047】
[一般式(1)中、Ar1は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar2、Ar3、およびAr4は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar1、Ar2、Ar3、およびAr4の少なくとも一つは芳香族基であり、縮合数nは、1〜6の整数である。]
【0048】
【化2】
Figure 0004198253
【0049】
[一般式(2)中、Ar5は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar6およびAr7は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar5、Ar6およびAr7の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数mは、1〜6の整数である。]
【0050】
【化3】
Figure 0004198253
【0051】
[一般式(3)中、Ar8およびAr14は、炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar9〜Ar13は、それぞれ水素原子または炭素数が6〜40の芳香族基であり、Ar8〜Ar14の少なくとも一つはスチリル基で置換されており、縮合数p、q、r、sは、それぞれ0または1である。]
【0052】
ここで、炭素数が6〜40の芳香族基のうち、好ましい核原子数5〜40のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンスリル、ピレニル、コロニル、ビフェニル、ターフェニル、ピローリル、フラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、オキサジアゾリル、ジフェニルアントラニル、インドリル、カルバゾリル、ピリジル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
また、好ましい核原子数5〜40のアリーレン基としては、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン、フェナンスリレン、ピレニレン、コロニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ピローリレン、フラニレン、チオフェニレン、ベンゾチオフェニレン、オキサジアゾリレン、ジフェニルアントラニレン、インドリレン、カルバゾリレン、ピリジレン、ベンゾキノリレン等が挙げられる。
【0053】
なお、炭素数が6〜40の芳香族基は、さらに置換基により置換されていても良い。このような置換基として、炭素数1〜6のアルキル基(エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、核原子数5〜40のアリール基、核原子数5〜40のアリール基で置換されたアミノ基、核原子数5〜40のアリール基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0054】
また、有機発光層に、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物、8−キノリノール誘導体を配位子とする金属錯体を併用することも好ましい。
また、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料、例えば4,4'一ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)等をホストとし、当該ホストに青色から赤色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいはホストと同様の蛍光色素をドープしたものを併用することも好適である。
【0055】
(形成方法)
次に、有機発光層を形成する方法について説明する。かかる形成方法は特に制限されるものではないが、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、スパッタリング法等の方法を採ることができる。例えば、真空蒸着法により形成する場合、蒸着温度50〜450℃、真空度1×10-7〜1×10-3Pa、製膜速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃の条件を採ることが好ましい。
また、結着剤と有機発光材料とを溶剤に溶かして溶液状態とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機発光層を形成することができる。
なお、有機発光層は、形成方法や形成条件を適宜選択し、気相状態の材料化合物から沈着されて形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化されて形成された膜である分子堆積膜とすることが好ましい。通常、この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造や高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
【0056】
(膜厚)
有機発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、具体的に5nm〜5μmの範囲内の値であることが好ましい。この理由は、有機発光層の膜厚が5nm未満となると、発光輝度や耐久性が低下する場合があり、一方、有機発光層の膜厚が5μmを超えると、印加電圧の値が高くなる場合があるためである。したがって、有機発光層の膜厚を10nm〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20nm〜1μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0057】
(3)電極
(陽極層)
陽極層としては、仕事関数の大きい(例えば、4.0eV以上)金属、合金、電気電導性化合物またはこれらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、インジウムチンオキサイド(ITO)、インジウム銅、スズ、酸化亜鉛、金、白金、パラジウム等の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、陽極層の膜厚も特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
さらに、陽極層に関しては、有機発光層から発射された光を外部に有効に取り出すことが出来るように、実質的に透明、より具体的には、光透過率を10%以上の値とすることが好ましく、50%以上の値とすることがより好ましく、80%以上の値とすることがさらに好ましい。
【0058】
(陰極層)
一方、陰極層には、仕事関数の小さい(例えば、4.0eV未満)金属、合金、電気電導性化合物またはこれらの混合物を使用することが好ましい。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、リチウム、ナトリウム、セシウム、銀等の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また陰極層の膜厚も特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましく、10〜200nmの範囲内の値とするのがより好ましい。
【0059】
(4)その他
また、図1には示さないが、有機EL素子への水分や酸素の侵入を防止するための封止層を、素子全体を覆うように設けることも好ましい。
好ましい封止層の材料としては、テトラフルオロエチレンと、少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体;共重合主鎖中に環状構造を有する合フッ素共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体;吸収率1%以上の吸水性物質;吸水率0.1%以下の防湿性物質;In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,Ti,Ni等の金属;MgO,SiO,SiO2,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe2O,Y23,TiO2等の金属酸化物;MgF2,LiF,AlF3,CaF2等の金属フッ化物;パーフルオロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリエーテル等の液状フッ素化炭素;および当該液状フッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させた組成物等が挙げられる。
【0060】
また、封止層の形成にあたっては、真空蒸着法、スピンコート法、スパッタリング法、キャスト法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励超イオンプレーティング法)、反応性スパッタリング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法等を適宜採用することができる。
【0061】
[第2の実施形態]
次に、図3を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態における有機EL素子102の断面図であり、陽極層10、正孔注入層12、有機発光層14、電子注入層15および陰極層16を順次に積層した構造を有している。
そして、この有機EL素子102は、陰極層16と有機発光層14との間に、電子注入層15を挿入してある点を除いては、第1の実施形態の有機EL素子100と同一の構造である。
したがって、以下の説明は、第2の実施形態における特徴的な部分である電子注入層15についてのものであり、その他の構成部分、例えば電極等については、第1の実施形態と同様の構成とすることができる。
【0062】
(1)電子親和力
また、第1実施形態における電子注入層の電子親和力を1.8〜3.6eVの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、電子親和力の値が1.8eV未満となると、電子注入性が低下し、駆動電圧の上昇,発光効率の低下をまねく傾向があるためであり、一方で、電子親和力の値が3.6eVを超えると、発光効率の低い錯体が発生しやすくなったり、有機発光層や電子注入層の界面におけるブロッキング接合の発生により、電子注入が抑制される場合があるためである。
したがって、電子注入層の電子親和力を、1.9〜3.0eVの範囲内の値とすることがより好ましく、2.0〜2.5eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0063】
また、電子注入層と有機発光層との電子親和力の差を1.2eV以下の値とすることが好ましく、0.5eV以下の値とすることがより好ましい。この電子親和力の差が小さいほど、電子注入層から有機発光層への電子注入が容易となり、高効率かつ高速応答可能な有機EL素子とすることができる。
【0064】
(2)エネルギーギャップ
また、第2実施形態における電子注入層のエネルギーギャップ(バンドギャップエネルギー)を2.5eV以上の値とすることが好ましく、2.7eV以上の値とすることがより好ましい。
このように、エネルギーギャップの値を所定値以上、例えば2.7eV以上と大きくしておけば、正孔が有機発光層を超えて電子注入層に移動することが少なくなり、いわゆる正孔障壁性が有効に得られる。したがって、正孔と電子との再結合の効率が向上し、有機EL素子の発光輝度が高まるとともに、電子注入層自体が発光することを回避することができる。
【0065】
(3)構成材料
電子注入層は、有機化合物あるいは無機化合物から構成することが好ましい。ただし、無機化合物から構成することにより、陰極からの電子の注入性や耐久性により優れた有機EL素子とすることができる。
ここで、好ましい有機化合物として、8―ヒドロキシキノリンやオキサジアゾール、あるいはこれらの誘導体、例えば、8―ヒドロキシキノリンを含む金属キレートオキシノイド化合物等が挙げられる。
また、電子注入層を構成する無機化合物として、絶縁体または半導体を使用することが好ましい。電子注入層が絶縁体や半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲナイド等で構成されていれば、電子注入性をさらに向上させることができる点で好ましい。
具体的に、好ましいアルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、Li2O、LiO、Na2S、Na2SeおよびNaOが挙げられ、好ましいアルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgOおよびCaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KClおよびNaCl等が挙げられる。また、好ましいアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2 、BaF2、SrF2、MgF2およびBeF2といったフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられ、これら絶縁体の一種単独あるいは二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電子注入層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnの少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電子注入層を構成する無機化合物は、微結晶または非晶質の絶縁性薄膜であることが好ましい。電子注入層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。
なお、このような無機化合物としては、上述したアルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられる。
【0066】
(4)構造
次に、電子注入層の構造について説明する。かかる電子注入層の構造は特に制限されるものではなく、例えば、一層構造であっても良く、あるいは、二層構造または三層構造であっても良い。
また、電子注入層の膜厚についても特に制限されるものではないが、例えば0.1nm〜1000nmの範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、電子注入層の膜厚が0.1nm未満となると、電子注入性が低下したり、あるいは機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、電子注入層の膜厚が1000nmを超えると高抵抗となり、有機EL素子の高速応答が困難となったり、あるいは成膜に長時間を要する場合があるためである。したがって、電子注入層の膜厚を0.5〜100nmの範囲内の値とするのがより好ましく、1〜50nmの範囲内の値とするのがさらに好ましい。
【0067】
(5)形成方法
次に、電子注入層を形成する方法について説明する。電子注入層の形成方法については、均一な膜厚を有する薄膜層として形成出来れば特に制限されるものではないが、例えば、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、スパッタリング法等の方法を採ることができる。
【0068】
[第3の実施形態]
次に、図4を参照して、この発明の第3の実施形態について説明する。図4は、第3の実施形態における有機EL素子104の断面図であり、陽極層10、正孔注入層12、正孔輸送層13、有機発光層14、電子注入層15および陰極層16を順次に積層した構造を有している。このように正孔輸送層を設けることにより、正孔の輸送および有機発光層への移動が容易となり、有機EL素子の高速応答が可能となる。
【0069】
なお、第3の実施形態の有機EL素子104は、正孔注入層12と有機発光層14との間に、正孔輸送層13を設けてある点を除いては、第2の実施形態の有機EL素子102と同一の構造を有している。したがって、以下の説明は、第3の実施形態における特徴的な部分である正孔輸送層13についてのものであり、その他の構成部分については、第1および第2の実施形態と同様の構成あるいは有機EL素子の分野において一般的に公知な構成とすることができる。
【0070】
(1)構成材料
正孔輸送層は、有機材料または無機材料で構成することが好ましい。このような有機材料としては、例えば、フタロシアニン化合物、ジアミン化合物、含ジアミンオリゴマーおよび含チオフェンオリゴマー等を挙げることができる。また、好ましい無機材料としては、例えば、アモルファスシリコン(α−Si)、α−SiC、マイクロクリスタルシリコン(μC−Si)、μC−SiC、II−VI族化合物、III−V族化合物、非晶質炭素、結晶質炭素およびダイヤモンド等を挙げることができる。また、正孔輸送層を構成する別種の無機材料としては、酸化物、フッ化物およびチッ化物が挙げられ、より具体的には、Al23、SiO、SiOx(1≦x≦2)、GaN、InN、GaInN、GeO2、GeOx(1≦x≦2)、LiF、SrO、CaO、BaO、MgF2、CaF2、MgF2、SiNx(1≦x≦4/3)等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0071】
(2)構造および形成方法
また、正孔輸送層は、一層構造に限らず、例えば、二層構造または三層構造であっても良い。さらに、正孔輸送層の膜厚についても特に制限されるものではないが、例えば0.5nm〜5μmの範囲内の値とするのが好ましい。ただし、絶縁性無機化合物を設ける場合には、正孔輸送層の膜厚を0.1〜20nmの範囲内の値とするのが好ましい。
また、正孔輸送層の形成方法についても特に制限されるものでないが、正孔注入層の形成方法と同様の方法を採ることが好ましい。
【0072】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、複数の無機化合物を用いた場合であっても、構成材料の組成比が均一である正孔注入層が得られ、結果として、駆動電圧が小さくても高い発光輝度が得られ、しかも長寿命の有機EL素子が効率的に得られる製造方法を提供するものである。すなわち、第4の実施形態においては、特定のターゲットおよびスパッタリング法を用いて、正孔注入層を形成することを第1の特徴としている。
【0073】
また、第4の実施形態は、均一な特性を有する有機EL素子が得られることから、少なくとも正孔注入層と有機発光層とを一貫した同一真空条件で形成することが好ましい。したがって、第4の実施形態においては、スパッタリング法を実施する真空槽と真空蒸着法を実施する真空槽とを共用することが好ましい。すなわち、第4の実施形態においては、一つの真空槽内に、スパッタリング法を実施するために必要な加熱装置や基板保持手段や、真空蒸着法を実施するするために必要な加熱装置や蒸着源等を備え、それらを切り換えて使用することを第2の特徴とする。
ただし、第4の実施形態の変形例として、スパッタリング用の真空槽と真空蒸着法用の真空槽とをそれぞれ別途に設け、それらを予め連結しておき、真空蒸着法を実施した後、搬送装置により、基板をスパッタリング用の真空槽内に移動させることも好ましい。なお、有機EL素子の構成は、便宜上、第3の実施形態と同様としてある。
【0074】
第4の実施形態の製造法によれば、下記に示す各層を、それぞれ以下に示す製法により形成した。
陽極層:真空蒸着法
正孔注入層:高周波マグネトロンスパッタリング法
正孔輸送層:真空蒸着法
有機発光層:真空蒸着法
電子注入層:真空蒸着法
陰極層:真空蒸着法
【0075】
ここで、正孔注入層を高周波マグネトロンスパッタリング法で形成するにあたり、複数のn型無機半導体材料からなる特定のターゲットを用いている。具体的に、かかるターゲットは、例えば、In23,ZnO,In23(ZnO)m(mは、2〜20)等の一種単独または二種以上の六方晶層状酸化物焼結体を含み、さらに、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化レニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物を含んでいることが好ましい。
なお、ターゲットに、In23,ZnO,In23(ZnO)m(mは、2〜20)を用いた場合には、導電性や耐熱性を考慮して、InとZnの原子比[In/(In+Zn)]を0.2〜0.85の範囲内の値とするのが好ましい。
【0076】
そして、第4の実施形態で使用するターゲットは溶液法(共沈法)(濃度:0.01〜10mol/リットル、溶媒:多価アルコール等、沈殿形成剤:水酸化カリウム等)や、物理混合法(撹拌機:ボールミル等、混合時間:1〜200時間)により原材料を混合した後、焼結(温度500〜1200℃、時間1〜100時間)しさらに、成型(HIP成型等)して得られたものが好ましい。これらの方法により得られたターゲットは、均一な特性を有しているという特徴がある。
【0077】
【実施例】
[実施例1〜4]
(1)有機EL素子の作成
実施例1の有機EL素子は、第3の実施形態における有機EL素子の構成と同様である。したがって、実施例1の有機EL素子を製造するにあたっては、まず、膜厚1.1mm、縦25mm、横75mmの透明なガラス基板上に、陽極層として、ITO(Φa=5.0eV)からなる膜厚75nmの透明電極膜を形成した。以下、このガラス基板と陽極層とを併せて基板とする。続いて、この基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、さらに、N2(窒素ガス)雰囲気中で乾燥させた後、UV(紫外線)およびオゾンを用いて10分間洗浄した。
【0078】
次いで、基板を、高周波スパッタリング装置および真空蒸着装置における共用の真空槽の基板ホルダに装着するとともに、正孔注入層を構成する酸化インジウム/酸化亜鉛/酸化ルテニウムからなるターゲット(原子比率=0.65/0.25/0.1、InとZnの原子比[In/(In+Zn)]=0.72)をスパッタリング基板上に配置した。次いで、真空槽内を真空度5×10-4Paまで減圧した状態で、アルゴンガスを導入し、真空度を3×10-1Paに調整した。その後、出力100W、基板温度室温(25℃)の条件でスパッタリングし、膜厚60nm(実施例1)、膜厚20nm(実施例2)、膜厚8nm(実施例3)および膜厚0.7nm(実施例4)の正孔注入層をそれぞれ形成した。なお、この時点で、正孔注入層の吸収係数を測定したところ、3500cm-1であった。
【0079】
次いで、吸収係数を測定した基板とは異なる正孔注入層を形成した基板を、大気にさらすことなく真空層内に保持したまま、真空度3×10-1Paの条件で、正孔輸送層として、N,N′−ナフチル−N,N′−フェニル−4,4′−ベンジジン(NPD)を20nmの膜厚になるように真空蒸着法により形成した。続いて、同様の真空槽内にて、有機発光層である60nmの膜厚を有するトリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム(Alq)を真空蒸着し、さらに電子注入層として、0.5nmの膜厚となるようにLi2Oを真空蒸着し、最後に、陰極層として、150nmの膜厚でアルミニウムを真空蒸着し、有機EL素子を作成した。すなわち、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層および陰極層を、一貫して、同一真空条件にて形成し、有機EL素子を得た。
【0080】
(2)有機EL素子の評価
得られた有機EL素子(実施例1〜4)における陰極層をマイナス(−)電極、陽極層をプラス(+)電極として、両電極間に10Vの直流電圧をそれぞれ印加した。このときの電流密度、発光輝度および半減寿命を測定した。なお、半減寿命を測定する際には、印加電圧を7Vに調整し、初期発光輝度を1000cd/cm2とした。
得られた結果を表1および図5に示す。図5は、横軸に正孔注入層の膜厚(nm)を採って示してあり、縦軸に発光輝度(cd/cm2)を採って示してある。図5から容易に理解されるように、膜厚が薄くなるほど、発光輝度が上昇する傾向を有している。ただし、膜厚が0である場合には、発光輝度は著しく小さい。また、得られた有機EL素子の発光色は緑色であることを確認した。
【0081】
【表1】
Figure 0004198253
【0082】
【表2】
Figure 0004198253
【0083】
[実施例5]
実施例1における正孔注入層のかわりに、正孔注入層を構成するn型半導体材料の種類を代え、膜厚を薄くしたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作成して、評価した。具体的に、酸化インジウム/酸化亜鉛/酸化モリブテン(比率=0.65/0.25/0.1、Φh=5.3ev)からなる膜厚8nmの正孔注入層を設けた。得られた結果を表2に示す。
【0084】
[実施例6]
実施例1における正孔注入層のかわりに、正孔注入層を構成するn型半導体材料の種類を代え、膜厚をより薄くしたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作成して、評価した。具体的に、酸化インジウム/酸化亜鉛/酸化イリジウム(比率=0.68/0.27/0.05、Φh=5.5ev)からなる膜厚0.7nmの正孔注入層を設けた。得られた結果を表2に示す。
【0085】
[比較例1]
実施例1における正孔注入層のかわりに、Φh<Φaの場合の正孔注入層を設けたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作成して、評価した。具体的に、膜厚20nmの酸化インジウム/酸化亜鉛/酸化タリウム(比率=0.65/0.25/0.1、Φh=4.8ev)を設けた。得られた結果を表2に示す。
【0086】
[比較例2]
実施例1におけるn型半導体材料からなる膜厚60nmの正孔注入層のかわりに、p型半導体材料からなる正孔注入層を設けたほかは、実施例1と同様に有機EL素子を作成して、評価した。具体的には、ECRプラズマCVD法により、Si1-xx(0≦x≦1)からなる膜厚20nmの正孔注入層を設けた。得られた結果を表2に示す。
【0087】
【発明の効果】
本発明の有機EL素子によれば、特定のフェルミエネルギー関係を有するn型無機半導体材料からなる正孔注入層を設けたことにより、例えば、駆動電圧が10V程度と低くとも、3000cd/cm2以上の高い発光輝度が得られ、しかも半減寿命が1000時間以上の有機EL素子を提供することができるようになった。また、本発明の有機EL素子によれば、n型無機半導体材料の吸収係数を一定範囲内の値に制限しているため、透明性に優れた正孔注入層が得られ、取り出す光量が低下することがなくなった。
【0088】
また、本発明の有機EL素子の製造方法によれば、特定のフェルミエネルギー関係を有するn型無機半導体材料からなる正孔注入層を容易かつ均一に形成することができるようになり、例えば、駆動電圧が10V程度であっても、3000cd/cm2以上の高い発光輝度が得られ、しかも半減寿命が1000時間以上の有機EL素子を効率的に提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図2】n型半導体材料のフェルミエネルギー関係を説明するための図である。
【図3】第2の実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図4】第3の実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図5】正孔注入層の膜厚と、発光輝度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 陽極層
12 正孔注入層
13 正孔輸送層
14 有機発光層
15 電子注入層
16 陰極層
20 透光性基板(ガラス基板)
30 基板
100、102、104 有機EL素子

Claims (11)

  1. 少なくとも陽極層、正孔注入層、有機発光層および陰極層を順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記正孔注入層をn型無機半導体材料から構成するとともに、
    前記正孔注入層のフェルミエネルギーをΦ、前記陽極層のフェルミエネルギーをΦとしたときに、Φ>Φの関係を満足し、かつ、
    前記n型無機半導体材料の吸収係数を1×10cm−1以下の値とし、
    前記n型無機半導体材料が、酸化インジウムおよび酸化亜鉛あるいはいずれか一方の酸化物と、
    酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化レニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記n型無機半導体材料が、酸化インジウムおよび酸化亜鉛あるいはいずれか一方の酸化物と、
    酸化イットリウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記有機発光層と陰極層との間に、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を含む電子注入層を設けてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物が、LiF,CsF,Li O,MgF から選択された化合物であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物がLi Oであることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記正孔注入層の膜厚を0.1〜1000nmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記正孔注入層と発光層との間に、絶縁性無機化合物層を設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記正孔注入層と発光層との間に、正孔輸送層を設けてあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記正孔注入層と前記正孔輸送層との間に、絶縁性無機化合物層を設けてあることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、少なくとも前記正孔注入層と有機発光層とを、大気にさらすことなく形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記正孔注入層をスパッタリング法により形成し、前記有機発光層を真空蒸着法により形成することを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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