明 細 書
p—ターフ ニル化合物混合物及び該化合物混合物を用いた電子写真 用感光体
技術分野
[0001] 本発明は、有機溶剤に対する溶解性を向上することで溶解性不足により生じるクラ ッキング現象が改善され、電子写真用感光体に用いられる電荷輸送剤として有用で ある p—ターフェ二ルイ匕合物混合物、および該化合物混合物を用いた電子写真用感 光体に関するものである。
背景技術
[0002] 電子写真方式とは、一般に光導電性材料を用いた感光体の表面に暗所で、例え ばコロナ放電によって帯電させ、これに露光を行い、露光部の電荷を選択的に逸散 させて静電潜像を得、これに対しトナーを用いて現像したのち紙等に転写、定着して 画像を得る画像形成方法の一種である。従来、電子写真用感光体には、セレン、酸 化亜鉛、硫ィ匕カドミウム、シリコン等の無機系光導電性物質が広く用いられてきた。こ れらの無機物質は多くの長所を持っていると同時に、種々の欠点も有していた。例え ばセレンは製造する条件が難しぐ熱や機械的衝撃で結晶化しやすいという欠点が あり、酸ィ匕亜鉛や硫ィ匕カドミウムは耐湿性や機械的強度に問題があり、また増感剤と して添加した色素により帯電や露光の劣化が起こり、耐久性に欠ける等の欠点がある 。シリコンも製造する条件が難しい事と刺激性の強いガスを使用するためコストが高く 、湿度に敏感であるため取り扱いに注意を要する。さらにセレンや硫化カドミウムには 毒性の問題もある。
[0003] これら無機感光体の有する欠点を改善した種々の有機化合物を用いた有機感光 体が、広く使用されている。有機感光体には電荷発生剤と電荷輸送剤を結着榭脂中 に分散させた単層型感光体と、電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した積層型感 光体がある。機能分離型有機感光体は、各々の材料の選択肢が広いこと、組み合わ せにより任意の性能を有する感光体を比較的容易に作製できる事から広く使用され ている。
[0004] 電荷発生剤としては、例えばァゾィ匕合物、ビスァゾィ匕合物、トリスァゾィ匕合物、テトラ キスァゾ化合物、チアピリリウム塩、スクァリリウム塩、ァズレニウム塩、シァニン色素、 ペリレンィ匕合物、無金属あるいは金属フタロシア-ンィ匕合物、多環キノンィ匕合物、チ ォインジゴ系化合物、またはキナクリドン系化合物等、多くの有機顔料や色素が提案 され実用に供されている。
[0005] 電荷輸送剤としては、例えばォキサジァゾ一ルイ匕合物(例えば、特許文献 1参照)、 ォキサゾールイ匕合物 (例えば、特許文献 2参照)、ピラゾリン化合物 (例えば、特許文 献 3参照)、ヒドラゾンィ匕合物 (例えば、特許文献 4〜7参照)、ジァミンィ匕合物 (例えば 、特許文献 8参照)、スチルベンィ匕合物(例えば、特許文献 9〜 11参照)、ブタジエン 化合物 (例えば、特許文献 12参照)等がある。これらの電荷輸送剤を用いた有機感 光体は優れた特性を有し、実用化されているものがあるが、電子写真方式の感光体 に要求される諸特性を十分に満たすものはまだ得られて ヽな 、のが現状である。ま た、感度等の諸特性はよいが、榭脂との相溶性や溶剤に対する溶解性が悪いために 実用化されて ヽな 、ものもある。
特許文献 1 特公昭 34- — 005466号公報
特許文献 2 特開昭 56 - — 123544号公報
特許文献 3 特公昭 52- —041880号公報
特許文献 4特公昭 55 - — 042380号公報
特許文献 5 特公昭 61 - — 040104号公報
特許文献 6 特公昭 62- — 035673号公報
特許文献 7 特公昭 63 - — 035976号公報
特許文献 8 特公昭 58 - — 032372号公報
特許文献 9 特公昭 63 - — 018738号公報
特許文献 10:特公昭 63— 019867号公報
特許文献 11:特公平 3— 039306号公報
特許文献 12 :特開昭 62— 030255号公報
過去に出願された特許文献の中で p—ターフェ二ルイ匕合物を電子写真用感光体の 用途として用いているものがいくつかある(例えば、特許文献 13〜14参照)。特許文
献 13では p—ターフェ-ルイ匕合物等の開示化合物が上げられている力 これは積層 型感光体の電荷発生層中に含有させることで耐久性および感度等の電子写真特性 の改善を図った方法である。また、特許文献 14で開示されている p—ターフェ-ルイ匕 合物の溶解性は優れて 、るが、耐久性等の諸特性が十分ではな 、。
有機感光体に用いる電荷輸送剤には、感度をはじめとする感光体としての電気特 性を満足する上に、光やオゾン、電気的負荷に耐える化学的安定性と繰り返し使用 や長期使用によっても感度が低下しない安定性や耐久性が要求される。更に有機感 光体を製造する際には、溶剤に対する高く安定した溶解性が必要である。しかし、優 れた溶解性を有し、安定性や耐久性に優れ、満足のいくような化合物は見出されて いない。
特許文献 13:特開昭 61— 129648号公報
特許文献 14 :特公平 6— 073018号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明の目的は、有機溶剤に対する溶解性を向上することで、感光体特性におい て問題となるクラッキング現象を改善し、高感度、高耐久性を有する電子写真用感光 体を実現し得る電荷輸送剤として有用な P—ターフェ-ル化合物混合物、および該 化合物混合物を用いた電子写真用感光体を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明は下記一般式(1)および一般式 (2)で表される 2種類の対称型 p—ターフェ ニル化合物と、該化合物の双方の置換基群を併せ持つ下記一般式 (3)で表される 非対称型 P—ターフェ二ルイ匕合物からなる p—ターフェ-ルイ匕合物混合物に関する。
[0009] [化 1]
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[0012] (式中、 Rl、 R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7および R8はそれぞれ独立して水素原子、ァ ルキル基、アルコキシ基、ァラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしく は無置換のフエ-ル基を表し、 R1と R2、 R3と R4、 R5と R6、 R7と R8は共同で環を 形成してもよい。但し、置換基群 R5、 R6、 R7および R8と置換基群 Rl、 R2、 R3およ び R4は置換基または置換位置が少なくとも 1つ異なっているものとする。 )
[0013] また、本発明は、上記一般式(1)および一般式 (2)で表される 2種類の対称型 p— ターフェ二ルイ匕合物と、該化合物の双方の置換基群を併せ持つ上記一般式 (3)で 表される非対称型 P—ターフェ-ルイ匕合物力 なる電子写真用感光体用 P—ターフェ ニル化合物混合物に関する。
[0014] さらに、本発明は、導電性支持体上に、上記 p—ターフェニル化合物混合物を含有 する層を有する電子写真用感光体に関する。
発明の効果
[0015] 本発明の p—ターフェ-ルイ匕合物混合物によれば、有機溶剤に対する溶解性が向 上し、クラッキング現象が改善され、ドリフト移動度に優れ、感光体特性を満足し高感 度、高耐久性を有する電子写真用感光体を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1]機能分離型電子写真用感光体の層構成を示す模式断面図である。
[図 2]機能分離型電子写真用感光体の層構成を示す模式断面図である。
[図 3]電荷発生層と導電性支持体との間にアンダーコート層を設けた機能分離型電 子写真用感光体の層構成を示す模式断面図である。
[図 4]電荷輸送層と導電性支持体との間にアンダーコート層を設け、かつ電荷発生層 上に保護層を設けた機能分離型電子写真用感光体の層構成を示す模式断面図で ある。
[図 5]電荷発生層と導電性支持体との間にアンダーコート層を設け、かつ電荷輸送層 に保護層を設けた機能分離型電子写真用感光体の層構成を示す模式断面図であ る。
[図 6]単層型電子写真用感光体の層構成を示す模式断面図である。
[図 7]感光層と導電性支持体との間にアンダーコート層を設けた単層型電子写真用
感光体の層構成を示す模式断面図である。
[図 8]合成実施例 1の IR ^ベクトルである。
[図 9]合成実施例 2の IR ^ベクトルである。
[図 10]合成実施例 3の IR ^ベクトルである。
符号の説明
[0017] 1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4 感光層
5 アンダーコート層
6 電荷輸送物質含有層
7 電荷発生物質
8 保護層
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明の前記一般式(1)および前記一般式 (2)で表される 2種類の対称型 p タ 一フ 二ルイ匕合物と前記一般式(3)で表される非対称型 p ターフェ二ルイ匕合物から なる p ターフェ二ルイ匕合物混合物は下記一般式 (4)および一般式(5)で表される 2 種類のジフエ-ルァミン化合物と 4, 4" ジョードー p—ターフェ-ルからウルマン反 応などの一段階の反応によって合成することができる。
[0019] [化 4]
(式中、 Rl、 R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7および R8はそれぞれ独立して水素原子、ァ ルキル基、アルコキシ基、ァラルキル基、ハロゲン原子、二置換アミノ基、置換もしく
は無置換のフエ-ル基を表し、 R1と R2、 R3と R4、 R5と R6、 R7と R8は共同で環を 形成してもよい。但し、置換基群 R5、 R6、 R7および R8と置換基群 Rl、 R2、 R3およ び R4は置換基または置換位置が少なくとも 1つ異なっているものとする。 )
[0022] 前記一般式(1)または一般式 (2)で表される対称型 p—ターフェ二ルイ匕合物の具体 的な例として、次のような化合物があげられる。尚、本発明においては、これらの化合 物に限定されるものではない。
[0023] 化合物 No. 1
[0024] [化 6]
[0025] 化合物 No. 2
[0026] [化 7]
[0027] 化合物 No. 3
[0028] [化 8]
[0029] 化合物 No. 4 [0030] [化 9]
[0031] 化合物 No. 5 [0032] [化 10]
[0033] 化合物 No. 6 [0034] [化 11]
[0035] 化合物 No. 7 [0036] [化 12]
[0037] 化合物 No. 8 [0038] [化 13]
[0039] 化合物 No. 9
[0040] [化 14]
[0041] 化合物 No. 10 [0042] [化 15]
[0043] 化合物 No. 11 [0044] [化 16]
[0045] 化合物 No. 12
[0046] [化 17]
[0047] 化合物 No. 13 [0048] [化 18]
[0049] 化合物 No. 14
[0050] [化 19]
[0051] 化合物 No. 15 [0052] [化 20]
[0053] 化合物 No. 16
[0054] [化 21]
[0055] 前記一般式(3)で表される非対称型 p—ターフ 二ルイ匕合物の具体的な例として、 次のような化合物があげられる。尚、本発明においては、これらの化合物に限定され るものではない。
[0056] 化合物 No. 17
[0057] [化 22]
[0058] 化合物 No. 18
[0059] [化 23]
[0060] 化合物 No. 19 [0061] [化 24]
[0062] 化合物 No. 20
[0063] [化 25]
[0064] 本発明の p—ターフェ-ルイ匕合物混合物において、一般式(1)で表される p—ター フエ二ルイ匕合物の含有率は 50〜80質量%であることが望ましい。さらに望ましくは、 一般式(1)で表される p ターフェ-ル化合物の含有率が 60〜70質量%の ター フエニル化合物混合物である。また、本発明の p—ターフェ-ルイ匕合物混合物におい て、一般式(3)で表される p ターフェ二ルイ匕合物の含有率は 2〜48質量%であるこ とが望ましい。
[0065] 本発明の電子写真用感光体は、前記一般式(1)、一般式 (2)および一般式 (3)で 表される P—ターフェ-ル化合物(但し、式中、置換基群 R5、 R6、 R7および R8と置 換基群 Rl、 R2、 R3および R4は置換基または置換位置が少なくとも 1つ異なってい るものとする。)からなる p—ターフ -ルイ匕合物混合物を含有する。さらに、上記一般 式(1)で表される p—ターフェ二ルイ匕合物の含有率が 50〜80質量%であることが望 ましぐさらに含有率が 60〜70質量%であることが望ましい。
[0066] 感光層の形態としては種々のものが存在し、本発明の電子写真用感光体の感光層 としてはその!/、ずれであってもよ!/、。代表例として図 1〜図 7にそれらの感光体を示し た。
[0067] 図 1および図 2では、導電性支持体 1上に電荷発生物質を主成分として含有する電 荷発生層 2と電荷輸送物質および結着榭脂を主成分として含有する電荷輸送層 3と の積層体よりなる感光層 4を設ける。このとき、図 3、図 4および図 5に示すように、感 光層 4は導電性支持体上に設けた電荷を調整するためのアンダーコート層 5を介し て設けてもよぐ最外層として保護層 8を設けてもよい。また本発明においては、図 6
および図 7に示すように前記電荷発生物質 7を電荷輸送物質と結着榭脂を主成分と する層 6中に溶解または分散させて成る感光層 4を導電性支持体 1上に直接、あるい はアンダーコート層 5を介して設けてもよい。
[0068] 以上に例示したような本発明の感光体は常法に従って製造される。例えば、前述し た一般式( 1)〜(3)で表される p—ターフェ二ルイ匕合物からなる p—ターフェニル化合 物混合物を結着榭脂とともに溶剤中に溶解し、電荷発生物質、必要に応じて増感色 素、電子輸送性化合物、電子吸引性化合物あるいは可塑剤、顔料、その他添加剤 を添加して調製される塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥して数; z m力 数十; z mの厚さの感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸 送層の二層よりなる感光層の場合は、電荷発生層の上に本発明の p—ターフェニル 化合物混合物を含有する電荷輸送層を積層するか、あるいは、このような電荷輸送 層の上に電荷発生層を形成させることにより製造できる。また、このようにして製造さ れる感光体には必要に応じ、アンダーコート層、接着層、中間層、保護層を設けても よい。
[0069] 塗布液調製用の溶剤としては、テトラヒドロフラン、 1, 4—ジォキサン、メチルェチル ケトン、シクロへキサノン、ァセトニトリル、 N, N—ジメチルホルムアミド、酢酸ェチル 等の極性有機溶剤、トルエン、キシレンのような芳香族有機溶剤ゃジクロロメタン、ジ クロロェタンのような塩素系炭化水素溶剤等があげられる。前述した一般式(1)〜(3
)で表される p -ターフェ-ルイ匕合物カゝらなる p -ターフェニル化合物混合物と結着榭 脂に対して溶解性の高い溶剤が好適に使用される。
[0070] 増感色素としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオ レット、アシッドバイオレットのようなトリアリールメタン染料、ローダミン B、ェォシン S、 ローズベンガルのようなキサンテン染料、メチレンブルーのようなチアジン染料、ベン ゾピリリウム塩のようなピリリウム染料やチアピリリウム染料、またはシァニン染料等があ げられる。
[0071] また、前述した一般式(1)〜(3)で表される p—ターフェ二ルイ匕合物力もなる p—タ 一フエニル化合物混合物と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物としては例 えば、クロラエル、 2, 3—ジクロロ一 1, 4—ナフトキノン、 1—二トロアントラキノン、 2-
クロ口アントラキノン、フエナントレンキノン等のキノン類、 4— -トロべンズアルデヒド等 のアルデヒド類、 9一べンゾィルアントラセン、インダンジオン、 3, 5—ジ-トロべンゾフ ェノン、 2, 4, 7 卜リニ卜ロフノレ才レノン、 2, 4, 5, 7 テ卜ラ二卜ロフノレ才レノン等のケ トン類、無水フタル酸、 4 クロ口ナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシァノエチ レン、テレフタラルマレノ-トリル、 9—アントリルメチリデンマレノ-トリル等のシァノィ匕 合物、 3—ベンザルフタリド、 3— —シァノ—p -トロベンザル)— 4, 5, 6, 7—テ トラクロロフタリド等のフタリド類があげられる。
[0072] 結着榭脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタク リル酸エステル、ブタジエン等のビュル化合物の重合体および共重合体、ポリビニル ァセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフエ-レンオキサイド、ポリウレタン、 セルロースエステル、フエノキシ榭脂、ケィ素榭脂、エポキシ榭脂等、前述した一般式 ( 1)〜(3)で表される p -ターフェ-ルイ匕合物力もなる p -ターフェ-ルイ匕合物混合物 と相溶性のある各種樹脂があげられる。結着樹脂の使用量は、通常、前述した一般 式( 1)〜(3)で表される p -ターフェ二ルイ匕合物カゝらなる p -ターフェニル化合物混合 物に対して 0. 4〜 10質量倍好ましくは 0. 5〜5質量倍の範囲である。
[0073] また、本発明の感光層には成膜性、可とう性、機械的強度を向上させる目的で周知 の可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル、リン酸エステ ル、塩素化パラフィン、メチルナフタリン、エポキシィ匕合物、塩素化脂肪酸エステル等 があげられる。
[0074] 更に、本発明の感光層が形成される導電性支持体として、周知の電子写真用感光 体に使用されている材料が使用できる。アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、 銅、亜鉛、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金や白金な どの金属ドラム、シートあるいはこれらの金属のラミネート物、蒸着物、または金属粉 末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質などの導電性物質を適当なバインダ 一とともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管、 あるいは導電性物質を含有させることにより導電性を付与したプラスチックフィルムや プラスチックドラムなどを使用することができる。
[0075] 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中の部は質量部を表わす
実施例 1
[0076] [合成実施例 1] (ィ匕合物 No. 1, No. 18および No. 9力 なる p ターフェ-ル化 合物混合物の合成)
4—メチルジフエ-ルァミン 16. 86g (92mmol)、ジフエ-ルァミン 3. 89g (23mmo 1)、4, 4,, ジョード— p ターフェ-ル 24. lg (50mmol)、無水炭酸カリウム 17. 2 5g (125mmol) , |¾¾0. 32g (5mmol)、亜硫酸水素ナトリウム 0. 52g (5mmol)、ス ルホラン 10mlを混合し、窒素ガスを導入しながら 220〜225°Cまで加熱し 6時間撹 拌した。反応終了後、キシレン 90mlおよびトルエン 150mlで反応生成物を抽出し、 不溶分をろ別除去した後、ろ液を濃縮乾固した。得られた固形物をカラムクロマトダラ フィー(担体;シリカゲル、溶離液;トルエン:へキサン = 1 :4)によって精製し、 4, 4, ビス(4ーメチルジフエ-ルァミノ) p—ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 1)、 4 (4ーメ チルジフエ-ルァミノ)—4,—ジフエ-ルァミノ— p ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 18) および 4, 4,一ビス (ジフエ-ルァミノ)一 p ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 9)からなる p— ターフェ-ル化合物混合物をィ匕合物 No. 1 :化合物 No. 18 :化合物 No. 9 = 65. 8 : 30. 5 : 3. 4 (高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積比)の混合比で 25. 78g ( 収率; 87. 8%、融点; 157. 2-159. 2°C)得た。
[0077] 化合物の同定は、個々の化合物について単一合成を実施し、高速液体クロマトグ ラフィ一によるリテンションタイムの比較によって行った。化合物の同定および混合比 を測定するための高速液体クロマトグラフィーの側定条件は以下の通りである。カラム : ODS系カラム、溶離液:テトラヒドロフラン Zメタノール = 1Z10 (VZV)、測定波長: 254應。
単一合成したものの同定は元素分析によって行い、それぞれ目的物であることを確 認した。元素分析値は以下の通りである。化合物 No. 1 ;炭素: 89. 13% (89. 15% )、水素: 6. 15% (6. 12%)、窒素: 4. 72% (4. 73%)、化合物 No. 18 ;炭素: 89. 15% (89. 24%)、水素: 5. 98% (5. 92%)、窒素: 4. 87% (4. 84%)、ィ匕合物 No . 9 ;炭素: 89. 24% (89. 33%)、水素: 5. 76% (5. 71%)、窒素: 5. 00% (4. 96 %) (計算値を力つこ内に示す。 ) o図 8に合成実施例 1で作製した化合物 No. 1、 No
. 18および No. 9からなる p ターフェ-ル化合物混合物の IRスペクトルを示す。 実施例 2
[0078] [合成実施例 2] (化合物 No. 1、 No. 17および No. 4からなる p—ターフェ-ル化 合物混合物の合成)
4—メチルジフエ-ルァミン 16. 86g (92mmol)、 2, 4 ジメチルジフエ-ルァミン 4 . 53g (23mmol)、 4, 4"—ジョードー p ターフェ-ル 24. lg (50mmol)、無水炭 酸カリウム 17. 25g (125mmol)、銅粉 0. 32g (5mmol)、亜硫酸水素ナトリウム 0. 5 2g (5mmol)、スルホラン 10mlを混合し、窒素ガスを導入しながら 220〜225°Cまで 加熱し 6時間撹拌した。反応終了後、キシレン 90mlおよびトルエン 150mlで反応生 成物を抽出し、不溶分をろ別除去した後、ろ液を濃縮乾固した。得られた固形物を力 ラムクロマトグラフィー(担体;シリカゲル、溶離液;トルエン:へキサン = 1 : 4)によって 精製し、 4, 4,—ビス(4—メチルジフエ-ルァミノ)—p ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 1 )、 4一(4ーメチルジフエ-ルァミノ)ー4, 一 (2, 4ージメチルジフエ-ルァミノ) p— ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 17)および 4, 4,—ビス (2, 4 ジメチルジフエ-ルァミノ) p ターフェ-ル (ィ匕合物 No. 4)からなる p ターフェ-ル化合物混合物を化合物 No. 1 :化合物 No. 17 :化合物 No. 4 = 69. 0 : 27. 2 : 2. 9 (高速液体クロマトグラフ ィ一によるピーク面積比)の混合比で 26. 65g (収率; 89. 1%、融点; 174. 1〜177 . 0°C)得た。
[0079] 化合物の同定は、個々の化合物について単一合成を実施し、高速液体クロマトグ ラフィーによるリテンションタイムの比較によって行った。合成実施例 1記載の高速液 体クロマトグラフィー測定条件によって、化合物の同定および混合比を測定した。 単一合成したものの同定は元素分析によって行い、それぞれ目的物であることを確 認した。元素分析値は以下の通りである。化合物 No. 1 ;炭素: 89. 13% (89. 15% )、水素: 6. 15% (6. 12%)、窒素: 4. 72% (4. 73%)、化合物 No. 17 ;炭素: 89. 13% (89. 07%)、水素: 6. 41 % (6. 31%)、窒素: 4. 46% (4. 62%)、ィ匕合物 No . 4 ;炭素: 89. 04% (88. 99%)、水素: 6. 41% (6. 49%)、窒素: 4. 55% (4. 51 %) (計算値を力つこ内に示す。 ) o図 9に合成実施例 2で作製した化合物 No. 1、 No . 17および No. 4からなる p ターフェ-ル化合物混合物の IRスペクトルを示す。
実施例 3
[0080] [合成実施例 3] (化合物 No. 1、 No. 19および No. 6力もなる p ターフェ-ル化 合物混合物の合成)
4—メチルジフエ-ルァミン 16. 86g (92mmol)、 4, 4' ジメチルジフエ-ルァミン 4. 53g (23mmol)、 4, 4"—ジョードー p ターフェ-ル 24. lg (50mmol)、無水炭 酸カリウム 17. 25g (125mmol)、銅粉 0. 32g (5mmol)、亜硫酸水素ナトリウム 0. 5 2g (5mmol)、スルホラン 10mlを混合し、窒素ガスを導入しながら 220〜225°Cまで 加熱し 6時間撹拌した。反応終了後、キシレン 90mlおよびトルエン 150mlで反応生 成物を抽出し、不溶分をろ別除去した後、ろ液を濃縮乾固した。得られた固形物を力 ラムクロマトグラフィー(担体;シリカゲル、溶離液;トルエン:へキサン = 1 : 4)によって 精製し、 4, 4,—ビス(4—メチルジフエ-ルァミノ)—p ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 1 )、 4一(4ーメチルジフエ-ルァミノ)ー4, 一 (4, 4,ージメチルジフエ-ルァミノ) p— ターフェ-ル(ィ匕合物 No. 19)および 4, 4,—ビス (4, 4,ージメチルジフエ-ルァミノ) p ターフェ-ル (ィ匕合物 No. 6)からなる p ターフェ-ル化合物混合物を化合物 No. 1 :化合物 No. 19 :化合物 No. 6 = 64. 5 : 31. 4 : 3. 6 (高速液体クロマトグラフ ィ一によるピーク面積比)の混合比で 24. 68g (収率; 82. 5%、融点; 172. 6〜173 . 8°C)得た。
[0081] 化合物の同定は、個々の化合物について単一合成を実施し、高速液体クロマトグ ラフィーによるリテンションタイムの比較によって行った。合成実施例 1記載の高速液 体クロマトグラフィー測定条件によって、化合物の同定および混合比を測定した。 単一合成したものの同定は元素分析によって行い、それぞれ目的物であることを確 認した。元素分析値は以下の通りである。化合物 No. 1 ;炭素: 89. 13% (89. 15% )、水素: 6. 15% (6. 12%)、窒素: 4. 72% (4. 73%)、化合物 No. 19 ;炭素: 89. 15% (89. 07%)、水素: 6. 42% (6. 31%)、窒素: 4. 43% (4. 62%)、ィ匕合物 No . 6 ;炭素: 89. 02% (88. 99%)、水素: 6. 51% (6. 49%)、窒素: 4. 47% (4. 51 %) (計算値を力つこ内に示す。 ) o図 10に合成実施例 3で作製した化合物 No. 1、 N o. 19および No. 6からなる p—ターフェ-ル化合物混合物の IR ^ベクトルを示す。 実施例 4
[0082] [有機溶剤に対する溶解度]
合成実施例 1〜3の p—ターフェニル化合物混合物および単一合成した p—ターフ ェニル化合物(化合物 No. 1, No. 4、 No. 6および No. 9)の 25°Cにおけるテトラヒ ドロフランに対する溶解度を測定した。結果を表 1に示した。溶解度の単位は0 /0 (重 量 Z体積)で表した。
[0083] [表 1]
[0084] 本発明の p—ターフェ-ルイヒ合物混合物と単一合成した p—ターフェ二ルイヒ合物の 溶解度を比較すると、 p—ターフェ二ルイ匕合物混合物では単一合成した p—ターフェ 二ルイヒ合物の 2〜38倍の溶解度を示し溶解性に優れていることが確認できた。 実施例 5
[0085] [感光体実施例 1]
アルコール可溶性ポリアミド(アミラン CM— 4000、東レ株式会社製) 1部をメタノー ル 13部に溶解した。これに酸ィ匕チタン (タイペータ CR— EL、石原産業株式会社製) 5部を加え、ペイントシェーカーで 8時間分散し、アンダーコート層用塗布液を作成し
た後、アルミ蒸着 PETフィルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布し、 60°Cで 1時間乾燥し、厚さ 1 μ mのアンダーコート層を形成した。
[0086] 電荷発生剤として Cu—Κ αの X線回折スペクトルにおける回折角 2 0 ±0. 2° 力 9 . 6、 24. 1、 27. 2に強いピークを有するチタ-ルフタロシアニン(電荷発生剤 No. 1 )
[0087] [化 26]
[0088] 1. 5部をポリビニルブチラール榭脂 (エスレック BL— S、積水化学工業株式会社製) の 3%シクロへキサノン溶液 50部に加え、超音波分散機で 1時間分散した。得られた 分散液を上記アンダーコ一ト層上にワイヤーバーを用 、て塗布後、常圧下 110°Cで 1時間乾燥して膜厚 0. 6 mの電荷発生層を形成した。
[0089] 一方、電荷輸送剤として合成実施例 1で合成した p—ターフェ-ル化合物混合物 1 . 5部をポリカーボネート榭脂(ユーピロン Z、三菱エンジニアリングプラスチック株式 会社製)の 12. 2%テトヒドロフラン溶液 15. 33部に加え、超音波をかけて p—ターフ ェニル化合物混合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイヤ 一バーで塗布し、常圧下 110°Cで 30分間乾燥して膜厚 20 mの電荷輸送層を形 成し感光体 No. 1を作製した。
実施例 6
[0090] [感光体実施例 2〜3]
感光体実施例 1で用いた電荷輸送剤を合成実施例 2〜3で合成した p—ターフェ-
ル化合物混合物に変えて、それ以外は感光体実施例 1と同様にして感光体 No. 2〜 3を作製した。
[0091] [感光体比較例 1]
感光体実施例 1で用 ヽた電荷輸送剤を化合物 No . 1の単一合成した p ターフェ -ル化合物に変えて、それ以外は感光体実施例 1と同様にして感光体 No. 4を作製 した。
[0092] [感光体比較例 2]
感光体実施例 1で用いた電荷輸送剤をィ匕合物 No. 4の単一合成した p—ターフェ -ル化合物に変えて、それ以外は感光体実施例 1と同様にして感光体 No. 5を作製 した。
[0093] [感光体比較例 3]
感光体実施例 1で用いた電荷輸送剤をィ匕合物 No. 6の単一合成した p—ターフェ -ル化合物に変えて、それ以外は感光体実施例 1と同様にして感光体 No. 6を作製 した。し力し、化合物 No. 6の単一合成した p ターフェ-ル化合物は溶解しなかつ たため感光体としての評価はできな力つた。
[0094] [感光体比較例 4]
感光体実施例 1で用いた電荷輸送剤をィ匕合物 No. 9の単一合成した p—ターフェ -ル化合物に変えて、それ以外は感光体実施例 1と同様にして感光体 No. 7を作製 した。し力し、化合物 No. 9の単一合成した p ターフェ-ル化合物は溶解しなかつ たため感光体としての評価はできな力つた。
実施例 7
[0095] 感光体実施例 1〜3、感光体比較例 1〜4の感光体について静電複写紙試験装置
(商品名「EPA— 8300A」)を用いて電子写真特性評価を行った。まず感光体を喑 所で 6. 5kVのコロナ放電を行い、このときの帯電電位 V0を測定した。次いで 1. 0 WZcm2の 780nm単色光で露光し、半減露光量 E1Z2 jZcm2)、 5秒間露光 後の残留電位 Vr (— V)を求めた。また、感光層のクラッキング促進試験として、前記 のように作製した感光体の表面に指油を付着させ、常温常圧下で 24時間放置し、感 光層にクラッキングが生じる力否かを観察した。結果を表 2に示した。
[0096] [表 2]
実施例 8
[0097] [感光体実施例 4]
電荷発生剤として Cu—Κ αの X線回折スペクトルにおける回折角 2 0 ±0. 2° 1 . 5 10. 3 12. 6 22. 5 24. 3 25. 4 28. 6【こ強レヽピークを有するチタ二ノレフタ ロシアニン (電荷発生剤 No. 2)、 1. 5部をポリビュルブチラール榭脂(エスレック BL — S、積水化学工業株式会社製)の 3%シクロへキサノン溶液 50部に加え、超音波 分散機で 1時間分散した。得られた分散液を導電性支持体であるアルミ蒸着 PETフ イルムのアルミ面上にワイヤーバーを用いて塗布後、常圧下 110 Cで 1時間乾燥して 膜厚 0. 2 mの電荷発生層を形成した。
[0098] 一方、電荷輸送剤として合成実施例 1で合成した p—ターフェニル化合物混合物ェ . 0部をポリカーボネート榭脂(ユーピロン Z、三菱エンジニアリングプラスチック株式 会社製)の 12. 2%テトラヒドロフラン溶液 10. 22部に加え、超音波を力けて p—ター フエエル化合物混合物を完全に溶解させた。この溶液を前記の電荷発生層上にワイ ヤーパーで塗布し、常圧下 110°Cで 30分間乾燥して膜厚 10 mの電荷輸送層を形 成し、さらに電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して感光体 No. 8を作製した。
実施例 9
[0099] [感光体実施例 5〜6]
感光体実施例 4で用いた電荷輸送剤を合成実施例 2〜3で合成した p—ターフェ- ル化合物混合物に変えて、それ以外は感光体実施例 4と同様にして感光体 No. 9〜 10を作製した。
[0100] [感光体比較例 5〜6]
感光体実施例 4で用いた電荷輸送剤をィ匕合物 No. 1または No. 4の単一合成した p—ターフェ二ルイ匕合物に変えて、それ以外は感光体実施例 4と同様にして感光体 No. 11〜12を作製した。
[0101] [感光体比較例 7〜8]
感光体実施例 4で用いた電荷輸送剤をィ匕合物 No. 6または No. 9の単一合成した p—ターフェ二ルイ匕合物に変えて、それ以外は感光体実施例 4と同様にして感光体 No. 13〜14を作製した。しかし、化合物 No. 6または No. 9の単一合成した p—タ 一フエ二ルイ匕合物は溶解しな力つたため感光体としての評価はできな力つた。
実施例 10
[0102] [ドリフト移動度の測定]
感光体実施例 4〜6および感光体比較例 5〜8で作製した感光体についてドリフト 移動度を測定した。測定は Time— of— flight法で行い、 2 X 105 (VZcm)で測定 した。結果を表 3に示した。
[0103] [表 3]
実施例
感光体 ドリフト移動度
及び N o . [cmz/V- s]
比較例
感光体実施例 4 8 6. 9 X 10— 5
感光体実施例 5 9 6. 8 X 10一5
感光体実施例 6 1 0
感光体比較例 5 1 1 6. 7 X 10— 5
感光体比較例 6 1 2 分散波形
感光体比較例 7 1 3 溶解しなかつたため評価できず 感光体比較例 ト
8 1 4 溶解しなかったため評価できず
X
[0104] 以上のように本発明による p—ターフェ二ルイヒ合物混合物は有機溶剤に対する溶 解性が改善され、該化合物混合物を用いることにより、クラッキング現象を防止するこ とができる。また、ドリフト移動度に優れ、感光体特性を満足し高感度、高耐久性を有 する電子写真用感光体を提供することができる。
C0105] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明した力 本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
本出願は、 2006年 1月 25日出願の日本特許出願(特願 2006— 016623)に基づくも のであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0106] 本発明による p—ターフェ-ル化合物混合物は、有機溶剤に対する溶解性が改善 され、クラッキング現象を防止し、感光体特性を満足し高感度、高耐久性を有する電 子写真用感光体を実現し得る電荷輸送剤として有用である。