JP2006182748A - 2,3−ジフェニルインデン系化合物およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

2,3−ジフェニルインデン系化合物およびそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】 パラフィン系溶媒を含む湿式現像剤を用いた湿式現像法での使用に適した電子写真感光体を提供することのできる、新規な2,3−ジフェニルインデン系化合物と、感度特性や上記湿式現像剤に対する耐溶剤性に優れた電子写真感光体とを提供すること。
【解決手段】 導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含有する感光層を備える電子写真感光体において、前記電荷輸送剤として、下記一般式(I)などで示される新規な2,3−ジフェニルインデン系化合物を使用する。
【化1】
Figure 2006182748

(式中、Zは、=O、=C(CN)、=C(CN)COOR、または=N−CNを示す。R、R、R、R、p、q、rは、明細書中に記載のとおりである。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な2,3−ジフェニルインデン系化合物と、それを用いた電子写真感光体とに関する。
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に使用される電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、バインダ樹脂とを含む感光層を形成した、いわゆる有機感光体(OPC)が主流である。
従来、有機感光体の感度特性などを向上させることを目的として、電荷輸送能に優れた種々の電荷輸送剤が開発されており、特許文献1および2には、下記一般式(A)に示す2,3−ジフェニルインデン系化合物が記載されている。
Figure 2006182748
(式(A)中、R、R、RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基およびニトロ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を示す。Xは、=O、=C(CN)、=C(CN)COOR、=N−CNなどの基を示す。Rはアルキル基または芳香族基を示す。)
また、有機感光体を用いた画像形成装置の現像方法としては、従来、粉体のトナー(乾式現像剤)を使用する乾式現像法が一般的であるが、電気絶縁性の高い溶剤中に着色剤、ポリマー粒子などを分散させた湿式現像剤(液体現像剤)を用いて、感光体表面の静電潜像にトナー粒子を電気泳動させることにより現像する湿式現像法(液体現像法)も知られている。
この湿式現像剤のトナー粒子は、これを形成するバインダ樹脂や帯電制御剤によって所定の電荷に帯電し、溶剤中で安定に分散するものであって、乾式現像剤のトナー粒子に比べて、その粒径を小さくできるという利点がある。しかも、湿式現像法では、乾式現像法でのリークといった不具合を生じない。
それゆえ、湿式現像法によれば、乾式現像法に比べて、より一層解像度が高く、高品位の画像形成を実現することができる。
特開平7−300434号公報 特開平7−333874号公報
しかるに、湿式現像剤は、溶剤に高い電気絶縁性が要求されることから、通常、イソパラフィン、n−パラフィンなどのパラフィン系溶媒が用いられているが、このようなパラフィン系溶媒を含む現像剤と、電子写真感光体とが、長時間にわたって接触した場合には、上記一般式(A)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物や正孔輸送剤が、感光層からパラフィン系溶媒中へと溶出するという不具合が生じて、電子写真感光体の感度が経時的に低下する。しかも、2,3−ジフェニルインデン系化合物(A)や正孔輸送剤が感光層から溶出することで、感光層に軟化、ひび割れなどの劣化を生じるという不具合もある。
そこで、本発明の目的は、特に、パラフィン系溶媒を含む湿式現像剤を用いた湿式現像法での使用に適した電子写真感光体を提供することのできる、新規な2,3−ジフェニルインデン系化合物と、感度特性や上記湿式現像剤に対する耐溶剤性に優れた電子写真感光体とを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1) 下記一般式(I)、一般式(II)または一般式(III)で示されることを特徴とする、2,3−ジフェニルインデン系化合物、
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
(式(I)〜(III)中、Zは、=O、=C(CN)、=C(CN)COOR、または=N−CNを示す。Rは、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。R、RおよびRは、互いに独立して、−COOR、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。但し、R、RおよびRの少なくとも1つは、−COORを示す。Rは、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。R、RおよびRは、互いに独立して、アルキル基、アリール基、−COOR、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。Rは、前記と同じである。Aは、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、または、−R−A−R−を示す。RおよびRは、互いに独立して、アルキレン基を示す。Aは、アリーレン基またはシクロアルキレン基を示す。pおよびsは、互いに独立して、0〜4の整数を示す。q、r、tおよびuは、互いに独立して、0〜5の整数を示す。p、q、r、s、tおよびuが2以上のとき、同一のベンゼン環に置換する2以上の基は、同一の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。)
(2) 導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体であって、前記感光層が、電荷発生剤と、前記(1)に記載の一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の少なくともいずれか1つと、バインダ樹脂とを含有することを特徴とする、電子写真感光体、
(3) 前記感光層が、単層型感光層であり、かつ、さらに、正孔輸送剤を含有することを特徴とする、前記(2)に記載の電子写真感光体、
(4) 湿式現像用の電子写真感光体であることを特徴とする、前記(2)または(3)に記載の電子写真感光体、
を提供する。
本発明の2,3−ジフェニルインデン系化合物は、上記一般式(I)〜(III)に示すように、分子中に、−COORで示される置換基や、−COO−A−OCO−で示される部分を有する点で、上記特許文献1および2に記載の2,3−ジフェニルインデン系化合物と相違している。
本発明の2,3−ジフェニルインデン系化合物は、上記特許文献1および2に記載の2,3−ジフェニルインデン系化合物に比べて、パラフィン系溶媒を含む湿式現像剤に対する耐溶剤性が著しく高く、それゆえ、電子写真感光体の電荷輸送剤として用いた場合に、上記湿式現像剤に対する耐溶剤性を向上させることができる。
しかも、本発明の2,3−ジフェニルインデン系化合物を電子写真感光体の電子輸送剤として用いた場合には、乾式現像法や湿式現像法のいずれの現像法を採用する場合であっても、上記特許文献1および2に記載の2,3−ジフェニルインデン系化合物を電子輸送剤として用いるに比べて、感度特性を向上させることができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、優れた感度特性を発揮することができ、しかも、パラフィン系溶媒を含む湿式現像剤による湿式現像に使用した場合であっても、感光層からの電荷輸送剤の溶出や、それに伴う感光層の劣化を防止することができ、長期にわたって良好な画像形成を実現することができる。
本発明の2,3−ジフェニルインデン系化合物は、上述のとおり、上記一般式(I)、一般式(II)または一般式(III)で示されることを特徴としている。
上記一般式(I)、一般式(II)または一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(またはその2量体)は、それぞれ、
(a) Zが=Oである、2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(またはその2量体)、
(b) Zが=C(CN)である、1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物(またはその2量体)、
(c) Zが=C(CN)COORである、2,3−ジフェニルインデン系化合物(またはその2量体)、もしくは、
(d) Zが=N−CNである、1−シアノイミノ−2,3−ジフェニルインデン系化合物(またはその2量体)
の4種に分けられる。
基:=C(CN)COORにおけるRのうち、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミルなどの、炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、o、mまたはp−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−キシリル、o、mまたはp−クメニル、メシチル、ナフチル、ビフェニルなどの、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。
一般式(I)のR、RおよびRのうち、アルキル基、アラルキル基およびアリール基としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
、RおよびRのうち、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
、RおよびRのうち、基:−COORにおけるアルキル基、アラルキル基およびアリール基としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
一般式(I)に示す2,3−ジフェニルインデン系化合物において、R、RおよびRは、少なくとも1つが−COORである。これに限定されないが、RとRとのいずれか一方、または両方が、−COORであることが好ましい。
一般式(I)のR、RおよびRの数を示すp、qおよびrが、それぞれ2以上であるとき、同一のベンゼン環(または縮合環のベンゼン部分)には、例えば、−COORとメチル基、メチル基とエチル基などのように、種類の異なる2以上の置換基を有していてもよい。
一般式(II)のRおよびRのうち、アルキル基、アラルキル基、アリール基、−COORの基R、およびハロゲン原子としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
一般式(II)のAのうち、アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどの、炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。
のうち、アリーレン基としては、例えば、o−、m−またはp−フェニレンなどの、炭素数が6〜18のアリーレン基が挙げられる。
のうち、シクロアルキレン基としては、例えば、1,2−、1,3−、1,4−シクロアルキレンなどの、炭素数が6〜18のシクロアルキレン基が挙げられる。
のうち、基:−R−A−R−のRおよびRにおけるアルキレン基としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
のうち、アリーレン基およびシクロアルキレン基としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
一般式(III)のRおよびAは、一般式(II)と同様である。
一般式(III)のRおよびRのうち、アルキル基、アラルキル基、アリール基、−COORの基R、およびハロゲン原子としては、上記したのと同じ基が挙げられる。
一般式(II)および(III)のR、RおよびRの数を示すs、tおよびuが2以上であるとき、同一のベンゼン環(または縮合環のベンゼン部分)には、例えば、メチル基とエチル基、−COORとメチル基などのように、種類の異なる2以上の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物のうち、Zが=Oである、2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物は、例えば、下記(i)〜(iii)に示す反応を経て、合成することができる。
下記反応式(i)に示すように、無水フタル酸系化合物(10)と、トリル酢酸系化合物(11)とを、酢酸ナトリウムの存在下で反応させることにより、ベンジリデンフタリド系化合物(12)が得られる。(無水フタル酸とフェニル酢酸とによるベンジリデンフタリドの合成についての参考文献:Richard Weiss、“Organic Syntheses, Collective Volume 2”、61頁(1941))
Figure 2006182748
(式(i)中、Rおよびpは、上記と同じである。Rb’は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。q’は、0〜4の整数を示す。)
次に、下記反応式(ii)に示すように、上記ベンジリデンフタリド系化合物(12)と、Grignard試薬であるトリルマグネシウムブロマイド(13)とを、無水エーテル、ベンゼンなどの溶媒中で反応させることにより、2,3−ジフェニル−1−インデノンの2つのフェニル基に、それぞれメチル基が置換してなる、2,3−ジトリル−1−インデノン系化合物(14)が得られる。(ベンジリデンフタリドとフェニルマグネシウムブロマイドとによる2,3−ジフェニル−1−インデノンの合成についての参考文献:C.F.H.Allen, J.W.Gaster,Jr., J.A.VanAllan、“Organic Syntheses, Collective Volume 3”、353頁(1955))
Figure 2006182748
(式(ii)中、R、Rb’、pおよびq’は、上記と同じである。Rc’は、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。r’は、0〜4の整数を示す。)
なお、上記反応式(i)に示す反応において、トリル酢酸系化合物に代えて、フェニル酢酸系化合物を用いたときには、2位のトリル基をフェニル基とすることができ、上記反応式(ii)に示す反応において、トリルマグネシウムブロマイドに代えて、フェニルマグネシウムブロマイドを用いたときには、3位のトリル基をフェニル基とすることができる。
次に、例えば、下記反応式(iii)に示すように、2,3−ジトリル−1−インデノン系化合物(14)の熱ピリジン溶液中に、過マンガン酸カリウム水溶液を滴下して、反応させることにより、2,3−ジフェニル−1−インデノンの2つのフェニル基に、それぞれ基:−COOHを導入してなる、2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(15)が得られる。さらに、こうして得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(15)に対して、過剰量のアルコールを加えて、酸触媒下でエステル化することにより、目的化合物である2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物、(16))が得られる。
Figure 2006182748
(式(iii)中、R、Rb’、Rc’、p、q’およびr’は、上記と同じである。)
一般式(I)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物のうち、Zが=C(CN)である、1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物(1b)は、例えば、上記反応式(iii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(Ia)と、マロノニトリルとを、ピリジン中で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(iv))。
Figure 2006182748
(式(iv)中、R、R、R、p、qおよびrは、上記と同じである。)
一般式(I)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物のうち、Zが=C(CN)COORである、2,3−ジフェニルインデン系化合物(Ic)は、例えば、上記反応式(iii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(Ia)と、シアノ酢酸エステルとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタン、N−メチルモルホリンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(v))。
Figure 2006182748
(式(v)中、R、R、R、p、qおよびrは、上記と同じである。)
一般式(I)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物のうち、Zが=N−CNである、1−シアノイミノ−2,3−ジフェニルインデン系化合物(Id)は、例えば、上記反応式(iii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物(Ia)と、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミドとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(vi))。
Figure 2006182748
(式(vi)中、R、R、R、p、qおよびrは、上記と同じである。)
一般式(II)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=Oである、2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIa)は、例えば、2−フェニル−3−カルボキシフェニル−1−インデノン(17)と、過剰量のジオール化合物(18)とを、酸触媒下でジエステル化することにより、合成することができる(下記反応式(vii))。
Figure 2006182748
(式(vii)中、R、R、A、sおよびtは、上記と同じである。)
また、2−フェニル−3−カルボキシフェニル−1−インデノン(17)を、塩化チオニルと反応させて酸塩化物にした後、アルゴン雰囲気下で、ジオール化合物(18)と反応させることにより、合成することもできる。
一般式(II)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=C(CN)である、1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物(IIb)の2量体は、例えば、上記反応式(vii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIa)と、マロノニトリルとを、ピリジン中で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(viii))。
Figure 2006182748
(式(viii)中、R、R、A、sおよびtは、上記と同じである。)
一般式(II)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=C(CN)COORである、2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体(IIc)は、例えば、上記反応式(vii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIa)と、シアノ酢酸エステルとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(ix))。
Figure 2006182748
(式(ix)中、R、R、A、sおよびtは、上記と同じである。)
一般式(II)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=N−CNである、1−シアノイミノ−2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体(IId)は、例えば、例えば、上記反応式(vii)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIa)と、シアノ酢酸エステルとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンやN−メチルモルホリンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(x))。
Figure 2006182748
(式(x)中、R、R、A、sおよびtは、上記と同じである。)
一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=Oである、2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIIa)は、例えば、2−ヒドロキシカルボニルフェニル−3−フェニル−1−インデノン(19)と、過剰量のジオール化合物(18)とを、酸触媒下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(xi))。
Figure 2006182748
(式(xi)中、R、R、A、sおよびuは、上記と同じである。)
また、2−ヒドロキシカルボニルフェニル−3−フェニル−1−インデノン(19)を、塩化チオニルと反応させて酸塩化物にした後、アルゴン雰囲気下で、ジオール化合物(18)と反応させることにより、合成することもできる。
一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=C(CN)である、1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体(IIIb)は、例えば、上記反応式(xi)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIIa)と、マロノニトリルとを、ピリジン中で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(xii))。
Figure 2006182748
(式(xii)中、R、R、A、sおよびuは、上記と同じである。)
一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=C(CN)COORである、2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体(IIIc)は、例えば、上記反応式(xi)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIIa)と、シアノ酢酸エステルとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(xiii))。
Figure 2006182748
(式(xiii)中、R、R、A、sおよびuは、上記と同じである。)
一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体のうち、Zが=N−CNである、1−シアノイミノ−2,3−ジフェニルインデン系化合物の2量体(IIId)は、例えば、上記反応式(xi)で得られた2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物の2量体(IIIa)と、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミドとを、アルゴン雰囲気下、四塩化チタンなどの触媒存在下で反応させることにより、合成することができる(下記反応式(xiv))。
Figure 2006182748
(式(xiv)中、R、R、A、sおよびuは、上記と同じである。)
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を備えており、この感光層が、電荷発生剤、上記一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(またはその2量体)の少なくともいずれか1つ、およびバインダ樹脂を含有することを特徴としている。
本発明の電子写真感光体において、上記一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物は、電子輸送剤として感光層に含有されるものである。
本発明の電子写真感光体において、導電性基体としては、基体自体が導電性を有するか、または、基体の表面が導電性を有する、種々の材料が挙げられる。具体的には、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体;上記の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料;ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス;カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散した樹脂基体などが挙げられる。導電性基体の形状は、本発明の電子写真感光体を使用する画像形成装置の構造に応じて、シート状、ドラム状などの種々の形状を採用することができる。
本発明の電子写真感光体において、感光層の層構成は、同一の層内に電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有する単層型感光層、および、電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)とが分離した積層型感光層のいずれであってもよいが、好ましくは、単層型感光層である。
本発明の電子写真感光体において、電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン(HPc)、チタニルフタロシアニン(TiOPc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(Ga(OH)Pc)、クロロガリウムフタロシアニン(Ga(Cl)Pc)などのフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。電荷発生剤は、画像形成装置の露光光源の波長に応じて、適宜選択すればよい。上記例示の電荷発生剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
レーザビームプリンタなどのデジタル光学系の画像形成装置は、一般に、露光光源として半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)を使用しており、その波長は680〜830nm前後(近赤外領域)が主流である。従って、本発明の電子写真感光体をデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、電荷発生剤として、好ましくは、近赤外領域での感度に優れた無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料が挙げられる。
上記フタロシアニン系顔料の結晶形は、特に限定されないが、例えば、無金属フタロシアニンは、X型またはτ型であることが好ましい。チタニルフタロシアニンは、α型(X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°および28.6°に主たる回折ピークを有するもの)、または、Y型(ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するもの)であることが好ましい。ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、V型であることが好ましく、クロロガリウムフタロシアニンはII型であることが好ましい。
なお、Y型チタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)は、例えば、特許第3463032号公報の製造例1に記載されている方法に従って作製することができる。
露光光源としてハロゲンランプなどの白色光源を使用するアナログ光学系の画像形成装置で、本発明の電子写真感光体を使用する場合には、電荷発生剤として、好ましくは、可視領域に感度を有するペリレン系顔料、ビスアゾ系顔料などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体において、電荷輸送剤としては、電子輸送剤としての上記一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の少なくともいずれか1つを含むこと以外は、特に限定されるものではなく、上記2,3−ジフェニルインデン系化合物(1)とともに、他の電子輸送剤や、正孔輸送剤を併用することができる。
他の電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ジナフトキノン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物、フルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、ニトロアントアラキノン系化合物、ジニトロアントラキノン系化合物などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体を湿式現像用の電子写真感光体として使用する場合において、上記他の電子輸送剤は、上記例示のものの中でも特に、分子量が600以上の化合物であることが好ましい。このような電子輸送剤を用いることによって、炭化水素系溶剤を含む湿式現像剤を用いて繰返し画像形成処理を実行した場合に、電子輸送剤および正孔輸送剤の溶出量をより一層抑制することができる。
正孔輸送剤としては、例えば、置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物(具体的には、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン系化合物、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物など。);2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物;ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物;1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物;有機ポリシラン化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などが挙げられる。
上記の「置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物」において、置換基を有することのある芳香族炭化水素の芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ビフェニル、o−,m−,p−ターフェニル、ビナフタレン、スチルベン、スチリルスチルベンなどが挙げられる。
また、置換基を有することのある芳香族炭化水素の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、2−メチルペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどの、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの、炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニルなどの、炭素数が1〜6のアルケニル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、o、mまたはp−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−キシリル、o、mまたはp−クメニル、メシチル、ナフチル、ビフェニルなどの、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、フェネチル、1−フェニルプロピル、ベンズヒドリル、o、mまたはp−メチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルベンジルなどの、炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル、シンナミルなどの、炭素数が8〜12のアリールアルケニル基が挙げられる。
上記の「置換基を有することのある芳香族炭化水素に、置換基を有することのあるジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物」において、置換基を有することのあるジアリールアミノ基のジアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジスチリルアミノなどが挙げられる。
また、置換基を有することのあるジアリールアミノ基の置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。これらの基は、上記例示の基と同様のものが挙げられる。
本発明の電子写真感光体を湿式現像用の電子写真感光体として使用する場合において、正孔輸送剤は、上記例示のものの中でも特に、下記一般式(h1)または下記一般式(h2)で示される部位を有する、分子量が900以上の化合物であることが好ましい。このような正孔輸送剤を用いたときには、炭化水素系溶剤を含む湿式現像剤を用いて繰返し画像形成処理を実行した場合に、正孔輸送剤の溶出量をより一層抑制することができる。
Figure 2006182748
(一般式(h1)または一般式(h2)中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4およびRh5は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を示す。a〜eは、互いに独立して、0〜3の整数を示す。a〜eが2または3であるとき、同一のベンゼン環に置換する複数の置換基は、互いに異なる基であってもよい。また、a〜eが2または3であるとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して、前記ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。)
本発明の電子写真感光体において、バインダ樹脂としては、特に限定されず、例えば、繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールを有するポリカーボネート樹脂;繰返し単位中に、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールと、ベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸と、を有するポリアリレート樹脂;ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
なかでも、上記ポリカーボネート樹脂や上記ポリアリレート樹脂は、感光層の強度、耐磨耗性などをより一層良好なものにすることができ、とりわけ、感光層が単層型である場合に好適である。しかも、電荷輸送剤との相溶性に優れ、その分子内に、電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害する部位を有しないものであることから、高感度な電子写真感光体を得る上でも好適である。
本発明の電子写真感光体が、単層型感光層を有する、いわゆる単層型感光体である場合において、その感光層は、例えば、電荷発生剤、上記一般式(I)〜(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(電子輸送剤)、およびバインダ樹脂を、必要に応じて、他の電子輸送剤、正孔輸送剤、後述する他の成分などとともに、後述する分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造することができる。なお、上記感光層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、下引き層(バリア層)を介して形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
感光層形成用塗布液を作製するための分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの分散媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
他の成分としては、例えば、分散剤、増感剤;酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤;軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー;電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性などを改善させるための界面活性剤、レベリング剤などが挙げられる。上記分散剤としては、例えば、バインダ樹脂中での電荷発生剤の分散性を向上させるための分散剤が挙げられ、このような分散剤としては、例えば、ジスアゾイエロー、ジアニシジンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッドなどのアゾ系顔料が挙げられる。上記増感剤としては、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどが挙げられる。
上記感光層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
単層型感光層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
単層型感光層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましくは、0.5〜30重量部である。正孔輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜200重量部、より好ましくは、20〜100重量部である。電子輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜100重量部、より好ましくは、10〜80重量部である。正孔輸送剤と電子輸送剤とを併用する場合において、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、20〜300重量部、より好ましくは、30〜200重量部である。
本発明の電子写真感光体が、積層型感光層を有する、いわゆる積層型感光体である場合において、その感光層は、例えば、まず、導電性基体上に電荷発生層を形成した上で、この電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成することにより、製造することができる。
電荷発生層は、例えば、電荷発生剤およびバインダ樹脂を、必要に応じて、正孔輸送剤や上記の他の成分とともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。電荷輸送層は、例えば、上記一般式(I)〜(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(電子輸送剤)、およびバインダ樹脂を、必要に応じて、他の電子輸送剤や、上記他の成分などとともに、上記分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を上記電荷発生層上に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。
電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、上記の場合と逆の順序であってもよいが、一般に、電荷発生層はその膜厚が薄く、強度が十分ではないことから、上記のとおりの積層順序とするのが好ましい。上記電荷発生層および電荷輸送層のうち、導電性基体側に形成される層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、下引き層を介して形成してもよい。また、上記電荷発生層および電荷輸送層のうち、感光体の外表面側に形成される層の表面には、保護層を形成してもよい。
上記電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液における分散媒としては、上記したものと同様のものが挙げられる。
上記電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
積層型感光層の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層が、好ましくは、0.01〜5μm、より好ましくは、0.1〜3μmであり、電荷輸送層が、好ましくは、2〜100μm、より好ましくは、5〜50μmである。
積層型感光層の電荷発生層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜1000重量部であり、より好ましくは、30〜500重量部である。また、積層型感光層の電荷輸送層において、電荷輸送剤(正孔輸送剤または電子輸送剤)の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
本発明の電子写真感光体は、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置において、とりわけ、パラフィン系溶媒を使用した湿式現像剤を用いて、湿式現像法により画像形成を実行する画像形成装置において、好適である。
次に、本発明を合成例および実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の合成例および実施例によって限定されるものではない。
<2,3−ジフェニルインデン系化合物の合成>
合成例1
無水フタル酸とフェニル酢酸とを酢酸ナトリウムの存在下で反応させて得られたベンジリデンフタリドと、p−トリルマグネシウムブロマイド(Grignard試薬)とを、無水ジエチルエーテル/ベンゼン混合溶媒中で反応させて、反応生成物を硫酸水溶液で加水分解することにより、2−フェニル−3−(p−トリル)−1−インデノンを得た。
次いで、2−フェニル−3−(p−トリル)−1−インデノン35.56g(0.12モル)と水酸化カリウムとを、ピリジン60ミリリットルに溶解させ、得られたピリジン溶液を沸騰させつつ、過マンガン酸カリウム水溶液(75g/400ミリリットル)を2時間かけて適下し、30時間還流した。生成した沈澱物をろ過により除去して、ろ液を希塩酸中に滴下し、こうして得られた沈澱物を水洗、乾燥させて、2−フェニル−3−(p−カルボキシフェニル)−1−インデノンを得た。収量27.8g、収率71%。
次に、2−フェニル−3−(p−カルボキシフェニル)−1−インデノン27.8g(0.085モル)、過剰量(15倍当量)のn−ブタノール94.7g(1.28モル)、トルエン240ミリリットルおよび濃硫酸0.96ミリリットル(0.018モル)を配合して、ディーンスターク還流冷却器で10時間還流することにより、水を分離した後、反応溶液を冷却、濃縮して、得られた液をクロロホルムに溶解した。さらに、得られたクロロホルム溶液に対して、イオン交換水を加えて有機層を抽出する操作を、水層のpHが7になるまで繰り返した。次いで、クロロホルムを留去して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製し、こうして得られた粗生成物をクロロホルム/へキサン混合溶媒から再結晶することにより、下記式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物)を得た。収量25.7g、収率79%。
Figure 2006182748
合成例2
合成例1で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−1)7.65g(0.02モル)と、マロノニトリル2.6g(0.04モル)とを、ピリジン80ミリリットルに溶解させて、4時間還流した後、室温まで放冷した。反応溶液を水層に移して、塩酸を加えて酸性にした後、クロロホルムで抽出した。クロロホルムによる抽出操作は、水層のpHが7になるまで繰り返した。
次いで、クロロホルムを留去して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製し、こうして得られた粗生成物をクロロホルム/へキサン混合溶媒から再結晶することにより、下記式(I−2)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物)を得た。収量6.5g、収率75%。
Figure 2006182748
合成例3
アルゴン雰囲気下で、合成例1で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−1)7.65g(0.02モル)と、シアノ酢酸エチル4.5g(0.04モル)とを、クロロホルムに溶解させた後、氷冷撹拌下において、四塩化チタン7.6g(0.04モル)を滴下した。次に、N−メチルモルホリン8.2g(0.08モル)を滴下して、室温で4時間撹拌した後、得られた反応溶液を水層に移して、クロロホルムで抽出した。クロロホルムによる抽出操作は、水層のpHが7になるまで繰り返した。
次いで、クロロホルムを留去して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム)により精製し、こうして得られた粗生成物をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒から再結晶することにより、下記式(I−3)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を得た。収量4.8g、収率50%。
Figure 2006182748
合成例4
3−(p−カルボキシフェニル)−2−フェニル−1−インデノンと反応させるアルコールとして、n−ブタノールに代えて、ベンジルアルコールを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、下記式(I−a)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物)を得た。
次いで、式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物に代えて、式(I−a)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を用いたこと以外は、合成例2と同様にして反応させることにより、下記式(I−4)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例5
ベンジリデンフタリドと反応させるGrignard試薬として、p−トリルマグネシウムブロマイドに代えて、m−トリルマグネシウムブロマイドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、2−フェニル−3−(m−トリル)インデン、および、3−(m−カルボキシフェニル)−2−フェニル−1−インデノンを経て、下記式(I−b)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物)を合成した。
さらに、式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物に代えて、式(I−b)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を用いたこと以外は、合成例2と同様にして反応させることにより、下記式(I−5)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例6
フェニル酢酸に代えてp−トリル酢酸を用い、Grignard試薬としてのp−トリルマグネシウムブロマイドに代えてフェニルマグネシウムブロマイドを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応させることにより、3−フェニル−2−(p−トリル)−1−インデノン、および、2−(p−カルボキシフェニル)−3−フェニル−1−インデノンを経て、下記式(I−c)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物)を得た。
さらに、式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物に代えて、式(I−c)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を用いたこと以外は、合成例2と同様にして反応させることにより、下記式(I−6)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例7
フェニル酢酸に代えてp−トリル酢酸を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応させることにより、2,3−ジ(p−トリル)−1−インデノン、および、2,3−ジ(p−カルボキシフェニル)−1−インデノンを経て、下記式(I−d)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン系化合物)を得た。
さらに、式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物に代えて、式(I−d)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を用いたこと以外は、合成例2と同様にして反応させることにより、下記式(I−7)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン系化合物)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例8
2−フェニル−3−(p−カルボキシフェニル)−1−インデノン32.6g(0.10モル)、1,5−ペンタンジオール5.2g(0.05モル)、トルエン240ミリリットルおよび濃硫酸0.96ミリリットル(0.018モル)を配合して、ディーンスターク還流冷却器にて15時間還流することにより、水を分離した後、反応溶液を冷却し、得られた液をクロロホルムに溶解した。さらに、得られたクロロホルム溶液にイオン交換水を加えて有機層を抽出する操作を、水層のpHが7になるまで繰り返した。
次いで、クロロホルムを留去して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム)により精製し、こうして得られた組成生物をクロロホルム/ヘキサン混合溶媒から再結晶することにより、下記式(II−a)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン)の2量体22.0gを得た。収率61%。
さらに、式(I−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物に代えて、式(II−a)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を用い、かつ、マロノニトリルの配合量を、2,3−ジフェニルインデン系化合物(II−a)に対して4倍当量としたこと以外は、合成例2と同様にして反応させることにより、下記式(II−1)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例9
1,5−ペンタンジオールに代えて、1,4−ベンゼンジメタノール6.9g(0.05モル)を用いたこと以外は、合成例8と同様にして反応させることにより、下記式(II−b)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン)を経て、下記式(II−2)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
合成例10
Grignard試薬としてのp−トリルマグネシウムブロマイドに代えて、m−トリルマグネシウムブロマイドを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、2−フェニル−3−(m−トリル)−1−インデノンを経て、2−フェニル3−(m−カルボキシフェニル)−1−インデノンを得た。
次いで、2−フェニル3−(p−カルボキシフェニル)−1−インデノンに代えて、2−フェニル3−(m−カルボキシフェニル)−1−インデノン32.6g(0.10モル)を用いたこと以外は、合成例8と同様にして反応させることにより、下記式(II−c)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(2,3−ジフェニル−1−インデノン)を経て、下記式(II−3)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物(1−ジシアノメチレン−2,3−ジフェニルインデン)を得た。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
比較合成例1
無水フタル酸とフェニル酢酸とを酢酸ナトリウムの存在下で反応させて得られたベンジリデンフタリドと、フェニルマグネシウムブロマイド(Grignard試薬)とを、無水ジエチルエーテル/ベンゼン混合溶媒中で反応させて、反応生成物を硫酸水溶液で加水分解することにより、下記式(ETM−1)で示される2,3−ジフェニル−1−インデノンを得た。
Figure 2006182748
<電子写真感光体の製造>
下記の電子写真感光体の製造例(実施例および比較例)において、電荷発生剤としては、下記式(X−HPc)で示されるX型無金属フタロシアニン、下記式(Y−TiOPc)で示されるY型チタニルフタロシアニン、下記式(V−Ga(OH)Pc)で示されるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、および下記式(II−Ga(Cl)Pc)で示されるII型クロロガリウムフタロシアニンのいずれかを使用した。電荷発生剤の分散補助剤としては、下記式(PY−93)で示されるピグメントイエロー93を使用した。
正孔輸送剤としては、下記式(HTM−1)で示されるスチルベン系化合物を使用した。電子輸送剤としては、上記合成例1〜10で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物((I−1)〜(I−7)および(II−1)〜(II−3))、上記比較合成例1で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(ETM−1)、および下記式(ETM−2)で示されるジフェノキノン系化合物のいずれか1つまたは2つを使用した。
バインダ樹脂としては、下記式(RU−1)で示される繰返し単位と、下記式(RU−2)で示される繰返し単位とを、20:80のモル比で含有するポリカーボネート樹脂(Resin−1;粘度平均分子量50000)を使用した。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、品番「KF−96−50CS」)を使用した。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
Figure 2006182748
実施例1
X型無金属フタロシアニン(X−HPc)4重量部、スチルベン系化合物(HTM−1)40重量部、合成例2で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)40重量部、ジフェノキノン系化合物(ETM−2)10重量部、バインダ樹脂100重量部、レベリング剤0.1重量部およびテトラヒドロフラン750重量部を配合して、超音波分散機で分散・溶解させることにより、単層型感光層用の塗布液を調製した。次いで、上記塗布液を、導電性基体(直径30mmφ×長さ254mmのアルミニウム素管)上に、ブレード塗工法によって塗布して、140℃で30分間、熱風乾燥することにより、導電性基体上に膜厚20μmの単一の感光層を備える電子写真感光体(単層型)を製造した。
実施例2
X型無金属フタロシアニンに代えて、Y型チタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)4重量部およびピグメントイエロー93(PY−93)3重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例3
X型無金属フタロシアニンに代えて、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V−Ga(OH)Pc)4重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例4
X型無金属フタロシアニンに代えて、II型クロロガリウムフタロシアニン(II−GaClPc)4重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例5
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例1で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−1)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例6
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例3で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−3)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例7
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例4で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−4)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例8
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例5で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−5)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例9
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例6で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−6)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例10
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例7で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−7)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例11
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例8で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(II−1)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例12
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例9で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(II−2)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
実施例13
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、合成例10で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(II−3)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
比較例1
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)に代えて、比較合成例1で得られた2,3−ジフェニルインデン系化合物(ETM−1)40重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。
比較例2
2,3−ジフェニルインデン系化合物(I−2)40重量部を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、単層型電子写真感光体を製造した。なお、この単層型電子写真感光体の感光層は、電子輸送剤として、ジフェノキノン系化合物(ETM−2)10重量部のみを含有している。
<電子写真感光体の特性評価>
上記実施例1〜13および比較例1〜2で得られた電子写真感光体について、下記(1)〜(3)に示す特性を評価した。
(1)初期電気特性の評価
ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機を用いて、上記実施例および比較例の単層型電子写真感光体における感光層に、それぞれ印加電圧を加えて、感光層の表面を+850Vに帯電させた。次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm−2)を用いて、上記単層型電子写真感光体の感光層を露光し、露光開始から0.5秒経過した時点での上記感光層の表面電位(V)を測定した。
測定値の絶対値が小さいほど、電子写真感光体の感度が高く、初期の電気特性が優れていることを示している。
(2)繰返し特性の評価
上記実施例および比較例の単層型電子写真感光体を、京セラミタ(株)製のデジタル型電子写真複写機(品番「KM−1810」)に装着した。次いで、感光層の表面を+800Vに帯電させて、感光層全面に上記単色光(波長780nm、半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm−2)を照射した後、感光層の表面を除電した。上記帯電、露光および除電の操作を1時間繰返した後、露光直後の上記感光層の表面電位(帯電電位;V)を測定して、繰返し露光前と繰返し露光後とでの帯電変化を求めた。例えば、繰返し露光前の帯電電位(+800V)に対して、繰返し露光後の帯電電位が+727Vである場合には、帯電の変化量は−73Vとなる。
(3)耐溶剤性の評価
上記実施例および比較例の単層型電子写真感光体を、それぞれ、イソパラフィン系溶剤(エクソン化学社製の商品名「アイソパーL」)500ミリリットル中に、600時間浸析した。次いで、イソパラフィン系溶剤を取り出して、その吸光度を測定し、あらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、イソパラフィン系溶剤中での正孔輸送剤(HTM)の含有量(HTMの溶出量;単位g/cm)を算出した。
正孔輸送剤は、電子輸送剤として用いられている2,3−ジフェニルインデン系化合物とともに、感光層からイソパラフィン系溶剤中に溶出するものであって、2,3−ジフェニルインデン系化合物の溶出量が多くなるほど、正孔輸送剤の溶出量も増加する。2,3−ジフェニルインデン系化合物は、その吸収波長が短波長側にあるため、溶出量を正確に定量することが困難である。そこで、本発明においては、定量が容易な正孔輸送剤の溶出量を測定することにより、2,3−ジフェニルインデン系化合物の溶出量を推定している。正孔輸送剤の溶出量が少ないほど、2,3−ジフェニルインデン系化合物について、炭化水素系溶剤に対する耐溶剤性、および湿式現像に使用した場合の耐久性が優れているといえる。
また、イソパラフィン系溶剤への浸漬後に、電子写真感光体(感光ドラム)の外観を目視で確認して、クラック発生の有無を評価した。評価基準は、次のとおりである。
◎:クラックが観察されなかった。
○:クラックがわずかに観察されたが、実用上問題のないレベルであった。
△:クラックが、実用上支障を生じる程度に観察された。
×:クラックが顕著に観察された。
各実施例、比較例に使用した電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤およびバインダ樹脂を、表1に示す。また、上記(1)〜(3)の評価結果を、表2に示す。
Figure 2006182748
Figure 2006182748
表2に示すように、上記一般式(I)〜(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物を電子輸送剤として用いた実施例1〜13の電子写真感光体によれば、分子中に−COORで示される置換基や、−COO−A−OCO−で示される部分を有していない、上記特許文献1および2に記載の2,3−ジフェニルインデン系化合物を電子輸送剤として用いた比較例1や、ジフェノキノン系化合物を電子輸送剤として用いた比較例2に比べて、高感度な電子写真感光体を得ることができた。
しかも、実施例1〜13の電子写真感光体によれば、パラフィン系溶媒を用いた湿式現像剤に長時間接触させた場合であっても、感光層からの電子輸送剤の溶出、感度低下、および、感光層の劣化を、抑制・防止することができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)、一般式(II)または一般式(III)で示されることを特徴とする、2,3−ジフェニルインデン系化合物。
    Figure 2006182748
    Figure 2006182748
    Figure 2006182748
    (式(I)〜(III)中、
    Zは、=O、=C(CN)、=C(CN)COOR、または=N−CNを示す。Rは、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。
    、RおよびRは、互いに独立して、−COOR、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。但し、R、RおよびRの少なくとも1つは、−COORを示す。Rは、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を示す。
    、RおよびRは、互いに独立して、アルキル基、アリール基、−COOR、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子を示す。Rは、前記と同じである。
    は、アルキレン基、アリーレン基、シクロアルキレン基、または、−R−A−R−を示す。RおよびRは、互いに独立して、アルキレン基を示す。Aは、アリーレン基またはシクロアルキレン基を示す。
    pおよびsは、互いに独立して、0〜4の整数を示す。q、r、tおよびuは、互いに独立して、0〜5の整数を示す。p、q、r、s、tおよびuが2以上のとき、同一のベンゼン環に置換する2以上の基は、同一の基であってもよく、互いに異なる基であってもよい。)
  2. 導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体であって、
    前記感光層が、電荷発生剤と、請求項1に記載の一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)で示される2,3−ジフェニルインデン系化合物の少なくともいずれか1つと、バインダ樹脂とを含有することを特徴とする、電子写真感光体。
  3. 前記感光層が、単層型感光層であり、かつ、さらに、正孔輸送剤を含有することを特徴とする、請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 湿式現像用の電子写真感光体であることを特徴とする、請求項2または3に記載の電子写真感光体。
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