JP4790932B2 - 電子写真画像形成部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光体の電荷輸送層に注入される電荷を前記電荷輸送層を横切って輸送する高移動度電荷輸送分子に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真(ゼログラフィーとしても知られている)の技術において、光導電性絶縁層を含む電子写真画像形成部材は、例えば、コロトロンの使用により、最初に画像形成部材の画像形成表面を均一に静電的に帯電させることにより画像形成される。その後、画像形成部材は、光導電性絶縁層の露光領域において電荷を選択的に散逸させることにより光などの活性化電磁放射線のパターンに露光される一方で、静電潜像を非露光領域に残す。その後、静電潜像は、光導電性絶縁層の表面上に微細エレクトロスコピックマーキング粒子を沈着させることにより可視画像を形成するために現像することができる。
【0003】
可撓性画像形成部材を含む層状または複合画像形成部材は技術上周知である。一つのこうした装置は、米国特許第4,265,990号に記載されたように、支持層、光電荷発生層および電荷輸送層を含む。もう一つの層状画像形成部材は、例えば、米国特許第4,251,612号に記載されたように、基板、上塗りされた正孔注入層、次に上塗りされた輸送層、光電荷発生層および最後に有機絶縁樹脂の最上コーティングから成る。
【0004】
電荷(または正孔)輸送層は、一般に、高分子マトリックスに溶解した電荷輸送分子から成り、その層は使用目的のスペクトル領域、例えば、可視光において実質的に非吸収性である一方で、光電荷発生層から発生された光電荷の注入を実行できる点で活性でもある。さらに、電荷輸送層は、輸送層の表面への正電荷の効率的な輸送を見込んでいる。電荷輸送層は、例えば、連続高分子結合剤に分散されたジアミンなどの正孔輸送分子を含むことが可能である。
【0005】
電荷発生層用の感光顔料および輸送層用の電荷輸送分子の選択のための設計基準の一つは、光子が顔料中で電荷を光発生する時、輸送層中の電荷輸送分子に電荷が効率的に注入されるべきことである。より詳しくは、顔料から輸送層への注入効率は高いのがよい。第2の設計基準は、特に画像形成装置における露光工程と現像工程との間の持続時間より短い短時間に、注入された電荷を電荷輸送層を横切って輸送するべきことである。輸送層を横切る移動時間は、輸送層中の電荷キャリア移動度によって決定される。電荷キャリア移動度は、単位場当たりの速度であり、cm2/V秒の次元を有する。電荷キャリア移動度は、一般に、電荷輸送分子の構造、輸送層中の電荷輸送分子の濃度および電荷輸送分子を分散させている電気的に「不活性な」結合剤ポリマーの濃度の関数である。
【0006】
従って、多層感光体における重要な特性は、電荷輸送層中の電荷キャリア移動度である。電荷キャリアは電荷発生層中で発生し、露光工程中に電荷輸送層に注入される(顔料から電荷輸送層へのキャリアの遅れた放出が短いことを仮定している)。電荷キャリア移動度は、露光工程と現像工程との間の時間間隔中に輸送層を横切って、露光工程中に電荷輸送層に注入された電荷を移動させるために十分に高くなければならない。
【0007】
従って、電荷キャリア移動度は、光注入されたキャリアが輸送層を移動する速度を決定する。一定露光に対する最大放電または感度を達成するために、光注入されたキャリアは、感光体の画像状露光領域が現像ステーションに達する前に輸送層を移動しなければならない。感光体の露光セグメントが現像ステーションに達する時にキャリアがまだ移動中である範囲で、放電は減少し、従って現像のために利用できるコントラスト電位も減少する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
処理量(プリント数/分)市場が低調になるにつれ、電子写真プリンタは、小規模部品を採用することにより小型化されてきた。光導電体(PC)ドラムは、直径20mm程度に小さく、なお更に小さく小型化されてきた。その傾向は、PCドラムの速度(回転数/分)を高めることによりこれらの小規模機において処理量を増加させることである。帯電、露光および現像ステーションがドラムの円周を取り巻いて設置されるので、露光ステーションと現像ステーションとの間の時間は、ドラムのrpm(回転速度)を高めるにつれて短くなる。これらの小直径ドラム高速機用の輸送層の電荷キャリア移動度は、50重量%の電荷輸送分子濃度で現在利用できる約10-5cm2/(ボルト秒)の値より相当に大きくなければならない。輸送層を横切る電荷キャリアの移動時間および電荷キャリア移動度は、式、移動時間=(輸送層の厚さ)2/(移動度X印加電圧)によって互いに関連付けられる。
【0009】
より高い電荷キャリア移動能力のために、結合剤に溶解または分子分散された活性小分子輸送材料の濃度を高めることが技術上便利である。相分離または結晶化は、結合剤に分散できる輸送分子の濃度に上限を設ける。輸送分子の溶解度限界を高める一つの方法は、輸送分子上に長いアルキル基を結合することである。しかし、これらのアルキル基は、「不活性」であると共に電荷を輸送しない。所定濃度の輸送分子の場合、これらの側鎖は、実際に電荷キャリア移動度を低下させる。電荷キャリア移動度を低下させる第2の要因は、電荷輸送分子、それらの側鎖基の双極子含有率(dipole content)および分子を分散させる結合剤の双極子含有率である。
【0010】
米国特許第4,780,385号には、負電荷を受取るようにされた画像形成表面、ジルコニウムを含む金属接地平面、正孔遮断層、膜形成樹脂結合剤に分散された光導電性粒子を含む電荷発生層および正孔輸送層を有する電子写真画像形成部材が記載されている。電荷輸送層が膜形成結合剤および芳香族アミンを含有できることが開示されている。種々の芳香族アミンが記載されている。
【0011】
米国特許第5,053,304号には、単一画像形成工程から多数の電子写真を複写するために適する光導電性要素が記載されている。この要素は、好ましくは、フタロシアニン染料(die)または顔料を含む電荷発生層を組み込んでいる。複写方法は、要素へのコロナ帯電(charge)と画像露光の同時利用、その後の要素の均一照射を含む。その後、受取り材料(receiver)へのトナー沈着、トナー転写およびトナーの熱定着の同一工程によって複数のコピーを作製することができる。感光体は、電荷輸送層、少なくとも一種の芳香族アミン正孔輸送剤および電気絶縁膜形成有機高分子結合剤、少なくとも一種の光導電性フタロシアニン材料を含む電荷発生層、接着剤層、溶媒提供層、電気絶縁層、導電性層および支持層を含む。芳香族アミン正孔輸送剤は、例えば、1,1−ビス(ジ−4−トリルアミノフェニル)シクロヘキサンまたはトリ−4−トリアミンと1,1−ビス(ジ−4−トリルアミノフェニル)シクロヘキサンとの混合物であることが可能である。
【0012】
米国特許第4,265,990号には、光導電性層および電荷輸送層を含む感光部材が記載されている。この電荷輸送層は、ポリカーボネート樹脂および特定の構造式によって表される一種以上のジアミン化合物を含む。
【0013】
米国特許第4,273,846号には、光導電性材料の層と一種以上のテルフェニルジアミン化合物約25〜約75%をその中に分散させた電気不活性ポリカーボネート樹脂材料の隣接電荷輸送層とを含む電荷発生層が記載されている。
【0014】
米国特許第4,297,425号には、発生剤層と、高分子結合剤に分散されたジアミンとトリフェニルメタン分子の混合物を含有する輸送層とを含む層状感光部材が記載されている。
【0015】
米国特許第4,050,935号には、三方晶セレンの発生剤層および高分子結合剤に分子分散されたビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタンの輸送層を含む層状感光部材が記載されている。
【0016】
米国特許第4,457,994号には、発生剤層と、高分子結合剤に分散されたジアミン型分子を含有する輸送層と、高分子結合剤に分散されたトリフェニルメタン分子を含有する上層とを含む層状感光部材が記載されている。
【0017】
米国特許第4,281,054号には、基板、注入接点、または基板の上にある正孔注入電極、分散電気活性材料を含有する電気不活性樹脂を含む電荷輸送層、電荷発生材料の層および電荷発生材料の上にある絶縁有機樹脂の層を含む画像形成部材が記載されている。
【0018】
米国特許第4,599,286号には、電荷発生層と、連続高分子結合剤相中の芳香族アミン電荷輸送分子およびニトロン、イソベンゾフラン、ヒドロキシ芳香族化合物およびそれらの混合物から成る群から選択される化学安定剤を含む電荷輸送層とを含む電子写真画像形成部材が記載されている。
【0019】
米国特許第6,025,102号には、長鎖アルキルカルボキシレート基を含まない電荷輸送材料と膜形成結合剤に溶解または分子分散された少なくとも二個の長鎖アルキルカルボキシレート基を含む少量の異なる第2の正孔輸送材料とを含む少なくとも一つの画像形成層が被覆され、低沸点成分を含有する溶媒と小濃度の高沸点溶媒との混合物から被覆される支持基板を含む可撓性電子写真画像形成部材が開示されている。長鎖アルキルカルボキシレート基を含まない第1の正孔輸送分子の例には、第2の異なる輸送材料と混合するための長鎖アルキルカルボキシレート基を含まない電荷輸送芳香族アミンが挙げられる。少なくとも二個の長鎖アルキルカルボキシレート基を含む輸送材料には、例えば、トリフェニルメタン、ビス(4−ジエチルアミン−2−メチルフェニル)フェニルメタン、4’,4’’−ビス(ジエチルアミノ)−2’,2’’−ジメチルトリフェニルメタン、N,N’−ビス(アルキルフェニル)−{1,1’−ビフェニル}4,4’−ジアミン(ここでアルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチルなどである)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(クロロフェニル)−{1,1’−ビフェニル}4,4’−ジアミンおよびN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3’’−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)4,4’−ジアミンなどが挙げられる。好ましくは、可撓性電子写真画像形成部材は耐カール裏当て層を含まず、この画像形成部材は、少なくとも電荷発生層と、第1の電荷輸送材料および膜形成結合剤に溶解または分子分散された少なくとも二個の長鎖アルキルカルボキシレート基を含む少量の異なる第2の正孔輸送材料を含む電荷輸送層とが片側に被覆されず逆側に被覆され、低沸点成分を含有する溶媒と小濃度の高沸点溶媒との混合物から被覆される支持基板を含む。
【0020】
米国特許第5,725,986号には、基板、電荷発生層および小分子正孔輸送アリールジアミン、小分子正孔輸送トリトリルアミンおよび膜形成結合剤を含む電荷輸送層を含む電子写真画像形成部材を形成する工程と、画像形成部材に近接し間隔を開けて配置されている少なくとも一つの金属裸線を含み電力が供給されるコロナ発生装置を用いて画像形成部材上に均一な静電荷を沈着させる工程と、静電潜像を形成するために画像構成において活性化放射線を画像形成部材に露光させる工程と、トナー画像を形成するためにマーキング粒子で潜像を現像する工程と、受取り部材にトナー画像を転写する工程と、沈着、露光、現像、転写工程を繰り返す工程と、コロナ発生装置への電力を取去りつつ且つトリトリルアミンが小分子正孔輸送アリールジアミンで置き換えられていればコロナ発生装置の下にある電子写真画像形成部材の表面領域を導電性にするために十分なエフルエントをコロナ発生装置が放出しつつコロナ発生装置下で少なくとも15分にわたり画像形成部材を静止させる工程と、コロナ発生装置に電力を供給する工程と、沈着、露光、現像、転写工程を少なくとも一度繰り返す工程とを含む画像形成方法が記載されている。
【0021】
さらに必要とされるものは、電荷輸送層を横切ってより迅速且つ効率的に電荷を移動させることが可能なより高い移動度の電荷輸送分子である。
【0022】
従って、本発明の目的は、高電荷キャリア移動度を示す新規電荷輸送分子を提供することである。本発明の目的はまた、高電荷キャリア移動度を示す電子写真画像形成部材を提供することである。本発明の目的はまた、露光と現像との間の時間を短縮することを可能にすることができるように電荷キャリア移動度を高めることである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
これらおよびその他の目的は、電荷発生層と、窒素原子間で3個より多いフェニル基を含み、非電荷輸送結合剤ポリマーに溶解または分子分散されたアリールジアミンの特定のタイプである電荷輸送分子を含む電荷輸送層とを含む電子写真画像形成部材を提供することにより本発明によって達成される。画像形成部材は電子写真画像形成プロセスにおいて用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
特に、より高い電荷キャリア移動度を有する画像形成部材の電荷輸送層用のアリールジアミン電荷輸送分子は、アリールジアミンの窒素原子間のフェニル基の数を増加させることにより達成される。アリールジアミンは、
【化1】
Figure 0004790932
を有し、式中、Phはフェニル基を表し、Xは、水素原子または炭素原子数1〜約20のアルキル基を表し、Yは、水素原子または炭素原子数1〜約20のアルキル基を表し、nは4以上の整数である。電荷輸送層は、高分子結合剤にアリールジアミン電荷輸送分子を分子分散または溶解することにより調製される。
【0025】
電子写真画像形成部材および該部材を用いて画像を形成する電子写真法は技術上周知されている。電子写真画像形成部材は、適するあらゆる技術によって製造することができる。一般に、可撓性基板または硬質基板には導電性表面が形成される。その後、電荷発生性(または発生)層が導電性表面に塗布される。電荷遮断層は、任意に、電荷発生層の塗布前に導電性表面に塗布することができる。必要ならば、電荷遮断層と電荷発生層との間に接着剤層を用いることができる。通常は、電荷発生層は遮断層上に塗布され、電荷輸送層は電荷発生層上に形成される。この構造は、電荷輸送層の上に、あるいは電荷輸送層の下に電荷発生層を有することが可能である。
【0026】
画像形成部材は、複写機、複製機および印刷システムなどの電子写真画像形成装置のどのタイプにおいても用いることができる。これらの複写機、複製機および印刷システムは、現像しようとする画像を発生させるために、例えば、レーザー、例えば、砒化ガリウムレーザー、画像バーなどを含む種々の露光手段のどれをも用いることができる。
【0027】
画像形成部材の基板は、不透明または実質的に透明であることが可能であり、必要な機械的特性を有する適するあらゆる材料を含むことが可能である。従って、基板は、無機組成物または有機組成物などの非導電性材料または導電性材料の層を含むことが可能である。非導電性材料として、薄いウェブとして可撓性であるポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミドおよびポリウレタンなどを含むこの目的のために知られている種々の樹脂を挙げることができる。導電性基板は、あらゆる金属、例えば、アルミニウム、ニッケル、スチールおよび銅など、または炭素および金属粉末などの導電性物質が充填された上述した高分子材料、あるいは有機導電性材料であることが可能である。絶縁性基板または導電性基板は、エンドレス可撓性ベルト、ウェブ、硬質円筒体およびシートなどの形状をとることが可能である。
【0028】
基板層の厚さは、必要な強度および経済的配慮を含む多くの要素に応じて決まる。従って、ドラムの場合、この層は、例えば、数センチメートルに至る実質的厚さまたは1ミリメートル未満の最小厚さの層であることが可能である。同様に、可撓性ベルトは、最終の電子写真装置に悪い影響を及ぼさないかぎり、例えば、約250マイクロメートルの実質的厚さまたは50マイクロメートル未満の最小厚さのベルトであることが可能である。
【0029】
基板層が導電性でない実施形態において、導電性コーティングによってその表面を導電性にすることが可能である。導電性コーティングは、光学的透明性、必要な柔軟度および経済的要素に応じて実質的に広い範囲にわたって厚さが異なることが可能である。従って、可撓性感光画像形成装置の場合、導電性コーティングの厚さは、導電性、可撓性および光の透過性の最適な組合せのために、約20オングストローム〜約750オングストロームの間、より好ましくは約100オングストローム〜約200オングストロームであることが可能である。可撓性導電性コーティングは、真空蒸着技術または電着などの適するあらゆるコーティング技術によって基板上に形成される導電性金属層であることが可能である。代表的な金属には、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレススチール、クロム、タングステンおよびモリブデンなどが挙げられる。
【0030】
また特に非導電性基板を用いる時、導電性接地平面を用いることができ、接地平面は導電性層として機能する。導電性基板を用いる時、基板は導電性層として機能することが可能である。但し、必要ならば導電性接地平面を形成することもできる。接地平面は、溶液コーティング、蒸着およびスパッタリングなどの知られているコーティング技術によって塗布することが可能である。導電性接地表面を塗布する好ましい方法は真空蒸着によるものである。他の適する方法も用いることができる。
【0031】
場合によって、特に基板が有機高分子材料である時、バイエル(Farbenfaabricken Bayer A.G.)からMAKROLON(登録商標)として市販されているポリカーボネート材料、あるいはグッドイヤー(Goodyear Tire and Rubber Co.)から市販されているVitel PE−200などのコポリエステル樹脂などの耐カール層を基板の裏側に被覆することが望ましいことがある。さらに、本発明の実施形態における耐カールコーティングは、好ましくは耐カール層の10重量%以下の量で接着促進剤を含有することが可能である。耐カール層は、シリカなどの摩擦および/または磨耗減少剤を含有することも可能である。
【0032】
任意の正孔遮断層を基板に塗布することができる。基板の隣接光導電性層と下にある導電性表面との間に正孔に対する電子バリアを形成することが可能な適するあらゆる従来の遮断層を用いることができる。好ましい遮断層は、例えば、導電性アノードの加水分解シランと金属酸化物層との間の反応生成物を含むことが可能である。画像形成部材は、例えば、金属導電性アノード層の金属酸化物層上に約4〜約10の間のpHで加水分解シランの水溶液のコーティングを沈着させ、反応生成物層を乾燥してシロキサン膜を形成し、任意の接着剤層、発生層および電荷輸送層をシロキサン膜に塗布することにより製造することが可能である。代表的な加水分解性シランには、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジメチル3−アミノ)プロピルトリエトキシシラン、N,N−ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルプロピルエチレンジアミン、トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。一般に、薄いコーティングを達成するために希釈溶液が好ましい。溶液の全重量に対して約0.1重量%〜約1.5重量%のシランを含有する溶液を用いて、満足な反応生成物膜を達成することができる。加水分解シラン溶液を金属導電性層の金属酸化物層に塗布するために、適するあらゆる技術を用いることが可能である。代表的な塗布技術には、噴霧、浸漬コーティング、ロールコーティングおよび巻線ロッドコーティングなどが挙げられる。一般に、満足な結果は、加水分解シランおよび金属酸化物層の反応生成物が約20オングストローム〜約2,000オングストロームの間の厚さを有する層を形成する時に達成することができる。こうしたシロキサンコーティングは、米国特許第4,464,450号に記載されている。
【0033】
任意の接着剤層を正孔遮断層に塗布することができる。技術上周知されている適するあらゆる接着剤層を用いることができる。代表的な接着剤層には、ポリエステルであるduPont49,000樹脂(デュポン・ヌムール(E.I.duPont de Nemours & Co.)製)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタンおよびポリメチルメタクリレートなどの膜形成ポリマーが挙げられる。満足な結果は、約0.01マイクロメートル(100オングストローム)〜約5マイクロメートルの間の接着剤層厚さで達成することができる。電荷遮断層に接着剤層コーティング混合物を塗布する従来の技術には、浸漬コーティング、ロールコーティング、巻線ロッドコーティング、グラビアコーティングおよびBird塗布機コーティングなどが挙げられる。沈着したコーティングの乾燥は、オーブン乾燥、赤外線乾燥および空気乾燥などの従来の適するあらゆる技術によって行うことができる。
【0034】
電荷発生層は、真空蒸発または真空蒸着によって作製される、セレン、セレンと砒素、テリリウムおよびゲルマニウムなどの合金、水素添加非晶質シリコンおよびシリコンとゲルマニウム、炭素、酸素および窒素などの化合物の非晶質膜を含むことが可能である。
【0035】
電荷発生層は、膜形成高分子結合剤に分散されると共に溶媒コーティング技術によって二次加工される、結晶セレンとその合金、第II〜VI族化合物の無機顔料、またはキナクリドンなどの有機顔料、ジブロモアンタントロン顔料、ペリレンおよびペリノンジアミン、多核芳香族キノンなどの多環式顔料、ビス−、トリス−およびテトラキスアゾなどのアゾ顔料も含むことが可能である。光発生層には、電荷キャリア輸送層に電気的に適合する、すなわち、光励起電荷キャリアを輸送層に効率的に注入できるかぎり、例えば、多くの光導電性電荷キャリア発生材料が含まれる。
【0036】
光吸収性光発生層(すなわち、電荷発生層)は有機光導電性顔料および/または無機光導電性顔料を含有することが可能である。代表的な有機光導電性顔料には、バナジルフタロシアニン、およびヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのその他のフタロシアニン化合物、銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン、例えば、デュポン(DuPont)から商品名Monastral Red、Monastral VioletおよびMonastral Red Yで入手できる米国特許第3,442,781号において開示された置換2,4−ジアミノ−トリアジンなどのキナクリドン、ヒドロキシルスクアリリウム顔料、スクアリリウム化合物などのスクアリン顔料、ピリジニウム化合物、アゾ染料、ジアゾ染料、アントラキノンおよびアライドケミカル(Allied Chemical Corporation)から商品名Indofast Double Scarlet、Indofast Violet Lake B、Indofast Brilliant ScarletおよびIndofast Orangeで入手できるものなどの多核芳香族キノン、チオピリリウム顔料、ベンズアミダゾールペリレンなどのペリレン顔料、キノメリドンまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0037】
代表的な無機感光顔料には、セレン、三方晶セレン、第IA族元素と第IIA族元素の混合物、As2Se3、セレン合金、カドミウムセレニド、カドミウムスルホセレニド、銅および塩素ドープカドミウムスルフィドおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
適するあらゆる不活性樹脂結合剤材料を発生層中で用いることができる。代表的な有機高分子膜形成結合剤には、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアリールエーテル、ポリアリールスルホン、ポリブタジエン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ酢酸ビニル、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、アミノ樹脂、フェニレンオキシド樹脂、テレフタル酸樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレンおよびアクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルおよび酢酸ビニルコポリマー、アクリレートコポリマー、アルキッド樹脂、セルロース膜形成剤、ポリ(アミドイミド)、スチレン−ブタジエンコポリマー、塩化ビニリデン−塩化ビニルコポリマー、酢酸ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、スチレン−アルキッド樹脂およびポリビニルカルバゾールなどの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。多くの有機樹脂結合剤は、例えば、米国特許第3,121,006号および米国特許第4,439,507号において開示されている。有機樹脂ポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーまたは交互コポリマーであることが可能である。
【0039】
光導電性組成物および/または顔料ならびに樹脂結合剤材料を含有する光発生層は、一般に、厚さが約0.01マイクロメートル〜約10マイクロメートルの範囲であり、好ましくは、約0.2マイクロメートル〜約3マイクロメートルの厚さを有する。一般に、この層の最大厚さは、主として機械的な配慮などの要素に応じて決まる一方で、この層の最小厚さは、例えば、光発生顔料の顔料粒子サイズおよび光学濃度などに応じて決まる。これらの範囲外の厚さを選択することが可能である。
【0040】
光発生組成物または顔料は、種々の量であるが、一般に層の約5重量%〜約90重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%の量で樹脂結合剤組成物中に存在する。従って、この実施形態において、樹脂結合剤は、約95重量%〜約20重量%、好ましくは約90重量%〜約50重量%の量で存在する。選択された特定の特性は発生層の厚さに応じてある程度決まる。
【0041】
光発生層コーティング混合物を混合し、その後塗布するために、適する従来のあらゆる技術を用いることができる。代表的な塗布技術には、噴霧、浸漬コーティング、ロールコーティング、巻線ロッドコーティングおよび真空昇華などが挙げられる。用途によって、発生層は、ドットパターンまたはラインパターンで作製することができる。溶媒被覆層の溶媒の除去は、オーブン乾燥、赤外線乾燥および空気乾燥などの適するあらゆる従来技術によって行うことができる。光発生層は、結合剤がない場合、真空昇華によって作製することも可能である。
【0042】
電荷輸送層は、膜形成電気的不活性ポリマーに溶解または分子分散された電荷輸送アリールジアミン小分子を含む。本願において用いられる「溶解された」という用語は、均質相を形成するために小分子をポリマーに溶解する溶液を形成するとして本願において定義される。本願において用いられる「分子分散された」という用語は、分子規模でポリマーに分散された電荷輸送アリールジアミンの小分子として定義される。本願において用いられる電荷輸送「小分子」は、光発生層中で光発生し、輸送層に注入される自由電荷を輸送層を横切って輸送することを可能にする材料に関連する。
【0043】
アリールジアミン小分子は、以下の構造を有する。
【0044】
【化2】
Figure 0004790932
式中、Phはフェニル基を表し、Xは、水素原子または炭素原子数1〜約20のアルキル基を表し、Yは、水素原子または炭素原子数1〜約20のアルキル基を表し、nは4以上の整数である。二種以上のこうしたアリールジアミン分子の混合分子を電荷輸送層中で用いることができる。
【0045】
nが2であり、YがHであり、XがCH3である場合、分子は、現在広く使われている周知のビフェニルジアミン電荷輸送分子である以下のN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)である。
【0046】
【化3】
Figure 0004790932
しかし、本発明者らは、驚くべきことに、nが増加するにつれて電荷キャリア移動度が劇的に増加することを見出した。例えば、nが3である時、分子は、特に低い電圧場で電荷輸送層高分子結合剤中の等濃度レベルにおけるTPD(n=2)よりも二桁以上高い電荷移動度を有する。
【0047】
本発明者らは、窒素原子間のフェニル基の数が増加するにつれて電荷キャリア移動度が高まることを見出した。しかし、本発明者らは、窒素原子間のフェニル基の数が増加するにつれてポリカーボネート中の電荷キャリアの溶解度が低下することも見出した。従って、窒素原子間でより多い数のフェニル基を含むこれらの分子の溶解度を高めるために、置換基XおよびYは、好ましくは、より多い炭素原子数を含むアルキル基である。
【0048】
上述したように、nが増加するにつれて、高分子結合剤中の電荷輸送分子の溶解度が低下する。しかし、結合剤中で25重量%のみの添加量においてさえ、n=4の分子は、高分子結合剤中で添加量50重量%におけるn=3の分子の2倍の電荷移動度を示す。
【0049】
より好ましくは、nは好ましくは4以上であり、最も好ましくは4〜10の間、例えば、4、5、6、7、8、9、10、あるいはその中のいずれかの範囲のどれかに等しい。nが10より大きいことももちろん可能である。但し、上述した通り、電荷輸送層高分子結合剤中の分子の溶解度はnが大きくなればなるほど低下する。これは、前述したように炭素原子数がより多い、例えば、炭素原子数約5〜約20のアルキル基をもつXまたはYによってある程度埋め合わせることが可能である。
【0050】
本発明の適するアリールジアミンには、テトラフェニルジアミン
【化4】
Figure 0004790932
が含まれる。
【0051】
輸送層中のアリールジアミン電荷輸送分子の濃度は、乾いた輸送層中の電荷輸送成分の全重量に対して例えば、約10〜約80重量%の間、好ましくは約10〜約70重量%の間、最も好ましくは約10〜約50重量%の間であることが可能である。乾いた輸送層中の全小分子正孔輸送分子の比率が約10重量%未満である時、層の電荷輸送特性は、画像露光領域中の表面電圧が露光ステーションおよび現像ステーションの持続時間内に減少しないように低下し、従って現像は起きない。輸送層中の全小分子電荷輸送材料の比率が乾いた上被覆層の全重量に対して約80重量%を超える時、結晶化が起きる可能性があり、よって残留サイクルアップ(cycle-up)の原因になる。膜の機械的特性も不都合に劣化しうるので、表面割れおよび層の互いからの離層の原因になる。こうした劣化は、装置の有効寿命を大幅に短縮する。20mm以下のドラムを用い高速で運転される機械における用途の場合、10-5cm2/(ボルト秒)を超える電荷キャリア移動度が必要である。
【0052】
前述したように、有用な画像形成部材は、露光工程中に輸送層に供給された電荷が露光工程と現像工程との間の時間間隔内で輸送層を横切るように設計しなければならない。これは、電圧がより低い、従って電荷キャリア速度(移動度と電場の積である)がより低い場合、特に装置のPhoto−Induced Discharge Characteristic(PIDC、それは画像形成部材の感度曲線である)のテールエンドにおいて電荷キャリア移動度に下限を設ける。
【0053】
より高い処理量の画像形成装置(例えば、複写機)に対する要求が高まり続けており、これにはより高い運転速度を必要とし、それは次に、より高い移動度の電荷輸送分子を必要とする。本発明の電荷輸送分子はこの高まった要求を満足させる。
【0054】
本発明の高移動度電荷輸送分子のもう一つの利点は、より高い移動度の結果として電荷輸送ポリマー結合剤中で分子をより低い濃度で使用できることである。これは、分子の濃度レベルが高まると移動度が高まり、従って、例えば、TPD輸送分子を用いる従来の画像形成部材と比べて、より低い濃度でさえ、より高い移動度を達成できるからである。これは次に、より高い電荷輸送分子濃度が技術上理解されるように画像形成部材のより高い磨耗速度の原因になるので画像形成部材の磨耗速度を低下させる利点を有し、従って、より低い電荷輸送分子濃度で運転できることは極めて有利である。
【0055】
従って、本発明は、より低い電荷輸送分子濃度でのより高い移動度、より低い単位製造コスト、特により低い電圧場におけるより高い処理量およびより小さい規模、例えば、より小さい直径のドラムの面で改善された装置性能、および改善された感光体の磨耗を達成する利点を有する。
【0056】
適するあらゆる電気的不活性高分子膜形成樹脂結合剤を電荷輸送層中で用いることができる。不活性高絶縁樹脂結合剤は、光発生層からの正孔の注入を支持することが必ずしも可能ではない材料であり、この材料を通してこれらの正孔の輸送を可能にすることができない。代表的な不活性樹脂結合剤には、例えば、Malrolon、MarlonおよびLexanとして市販されているポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリスルホンおよびそれらの混合物などが挙げられる。重量平均分子量は異なることが可能であり、例えば、約8,000〜約1,500,000、好ましくは20,000〜150,000であることが可能である。電荷輸送層中で電気的不活性分子を分散させるために一般に用いられる電気的不活性高分子結合剤には、ポリ(2,2’−メチル−4,4’−イソプロピリデンジフェニレン)カーボネート(ビスフェノールC−ポリカーボネートとも呼ばれる)、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニレン)カーボネート(ビスフェノールA−ポリカーボネートとも呼ばれる)およびポリ(4,4’−ジフェニル−1,1’−シクロヘキサンカーボネート)(ビスフェノールZ−ポリカーボネートとも呼ばれる)が挙げられる。
【0057】
画像形成部材の電荷輸送層は、別の添加剤、例えば酸化防止剤などを含有することも可能である。
【0058】
画像形成部材に電荷輸送コーティング混合物を混合し、その後塗布するために、適する従来のあらゆる技術を用いることができる。代表的な塗布技術には、噴霧コーティング、浸漬コーティング、ロールコーティングおよび巻線ロッドコーティングなどが挙げられる。塩化メチレン、トルエンおよびモノクロロベンゼンなどのコーティング溶媒を電荷輸送層の形成において用いることができる。沈着したコーティングの乾燥は、オーブン乾燥、赤外線乾燥および空気乾燥などの適する従来のあらゆる技術によって行うことができる。
【0059】
電荷輸送層は、感光体の画像形成表面上への静電潜像の形成および保持を妨げるために十分な速度において照射の存在しない状態で、感光体の画像形成表面上に置かれた静電荷を伝導しないし放電しない範囲で絶縁体であるべきである。換言すると、電荷輸送層は、使用目的の領域において可視光または可視線に対して実質的に非吸収性であるが、光導電性層、すなわち電荷発生層からの光発生正孔の注入を可能にする点で電気的に「活性」であると共に、活性層の表面上の表面電荷を選択的に放電するために電荷輸送層を通してこれらの正孔を輸送することを可能にする。
【0060】
電荷輸送層の厚さは、一般に約10〜約50マイクロメートルの間であるが、この範囲外の厚さも用いることができる。一般に、電荷輸送層対電荷発生層の厚さの比は、好ましくは、約2:1〜約200:1で、場合によって約400:1程に大きく維持される。
【0061】
耐磨耗性を改善するために、任意に上被覆層も用いることができる。これらの上被覆層は、電気的絶縁性または若干半導電性である有機ポリマーまたは無機ポリマーを含むことが可能である。上被覆層は、一般に、厚さが約0.05〜約10マイクロメートルの範囲であり、好ましくは、約0.2〜約5マイクロメートルの厚さを有すると共に、輸送層および/または光発生層中に含まれる材料の紫外線劣化を最小にするために紫外線を吸収することが可能な材料を含む。この上被覆層は感光装置のための保護層として機能することも可能である。
【0062】
本願において記載された光導電性画像形成部材を電子写真画像形成装置として、従来から知られているものなどの種々の画像形成システムに組み込むことが可能である。さらに、本発明の画像形成部材を可視光、近赤外光および/または赤外光を用いる画像形成および印刷システムのために選択することが可能である。この実施形態において、感光装置は、負または正に帯電し、ソリッドステートレーザー(layer)、例えば砒化物型レーザーによって逐次または同時に発生するような約700〜約900、好ましくは740〜800ナノメートルの波長を有する光に露光し、その後、生じた画像を現像し、トランスペアレンシまたは紙などのプリント基板に転写することが可能である。さらに、本発明の画像形成部材は、可視光を用いる画像形成および印刷システムのために選択することができる。この実施形態において、感光装置は、負または正に帯電し、約400〜約700ナノメートルの波長を有する光に露光し、その後、知られているトナーを用いて現像し、続いて、プリント基板上に画像を転写し定着させることが可能である。
【0063】
本発明はまた、本願において開示された光導電性画像形成部材を用いて画像を発生させる方法を包含する。本方法は、一般に、例えば、コロトロン、ジコロトロン、スコロトロン、ピン帯電装置またはバイアス帯電ロール(BCR)などのコロナ帯電装置を用いて最初に画像形成部材を帯電させる工程を含む。その後、静電画像は、前述したような静電画像形成装置によって光導電性画像形成部材上に生じる。その後、静電画像は、一つ以上の現像ステーションで知られている現像装置によって現像され、現像ステーションは、例えば、樹脂粒子、顔料粒子、電荷制御剤およびキャリア粒子などを含む添加剤から成る組成物などの現像剤組成物を用いる。米国特許第4,558,108号、第4,560,535号、第3,590,000号、第4,264,672号、第3,900,588号および第3,849,182号を参照すること。現像された静電画像は、その後、画像転写ステーションで紙またはトランスペアレンシなどの適するプリント基板に転写されると共に、基板に固定される。画像の現像は、カスケード、タッチダウン、パウダークラウドおよび磁気ブラシなどの多くの方法によって達成することができる。
【0064】
現像された画像は、コロトロンまたはバイアスロールが選択される方法を含む適するあらゆる方法によってプリント基板に転写することが可能である。定着工程は、フラッシュ融着、熱融着、圧力融着および蒸気融着などの適するあらゆる方法によって実施することができる。
【0065】
画像形成部材表面からの現像画像の転写後に、画像形成部材は、好ましくは、後続画像または次の画像の現像のために帯電させる前に表面上に残っている一切の残留現像剤を除去され、一切の残留静電荷も除去される。
【0066】
【実施例】
比較例I
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス{3−メチルフェニル}−1,4−フェニレンジアミンの調製
メカニカルスターラーを装備しアルゴンでパージされた250ミリリットル三口丸底フラスコに、3−メチルフェニルフェニルアミン14.6g(0.08モル)、1,4−ジヨードベンゼン6.6g(0.02モル)、水酸化カリウム9g(0.16モル)、銅粉末6gおよびSoltrol(登録商標)170またはIsopar M(登録商標)炭化水素12ミリリットルを投入した。混合物を165℃の油浴内で攪拌しながら4時間にわたり加熱した。200ミリリットルのオクタンの添加によって生成物を単離し、高温で濾過して無機固体を除去した。冷却すると生成物は晶出し、それを濾過によって単離した。アルミナで処理すると、約81%の収率で純粋なN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス{3−メチルフェニル}−1,4−フェニレンジアミンが生じた。この分子(#1)の構造は
【化5】
Figure 0004790932
である。
【0067】
比較例II
N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス{3−メチルフェニル}{1,1’−ビフェニル}−4,4’−ジアミン(TPD)の調製
アルゴンでパージされコンデンサおよびメカニカルスターラーを装備した500ミリリットル三口丸底フラスコに、4,4’−ジヨードビフェニル81.2g(0.2モル)、3−メチルフェニルフェニルアミン146.4g(0.8モル)、KOHフレーク89.6g(1.6モル)および銅粉末80g(1.0モル)を投入した。フレークを165℃の油浴に浸漬し、二相溶融物を3時間にわたり攪拌した。熱い(140℃)Soltrol(登録商標)170を添加し、無機固体を真空濾過によって分離した。冷却すると生成物は濾液から晶出し、それを濾過によって収率89%で単離した。1リットルのSoltrol(登録商標)170中で150℃において6時間にわたりアルゴン雰囲気で中性アルミナ(10g)を用いて生成物をスラリーにすることにより精製を実行した。高温濾過によってアルミナを除去し、冷却すると生成物は濾液から晶出した。総合的な収率は85%であった。この分子(#2)の構造は
【化6】
Figure 0004790932
である。
【0068】
比較例III
テルフェニルジアミンの調製
メカニカルスターラーを装備しアルゴンでパージされた250ミリリットル三口丸底フラスコに、3−メチル−4’’−(1−ブチル)ジフェニルアミン14.3g(0.06モル)、4,4’’−ジヨードテルフェニル9.6g(0.02モル)、炭酸カリウム15g(0.11モル)、銅ブロンズ10gおよびSoltrol(登録商標)170またはIsopar M(登録商標)炭化水素50ミリリットルを投入した。混合物を210℃で18時間にわたり加熱した。200ミリリットルのオクタンの添加によって生成物を単離し、高温で濾過して無機固体を除去した。冷却すると生成物は晶出し、それを濾過によって単離した。アルミナで処理すると、約75%の収率で純粋なN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)(p−テルフェニル)−4,4’−ジアミンが生じた。この分子(#3)の構造は
【化7】
Figure 0004790932
である。
【0069】
実施例IV
クアトラフェニルアミンの調製
メカニカルスターラーを装備しアルゴンでパージされた250ミリリットル三口丸底フラスコに、N−(4−n−ドデシルフェニル)−N−(3−メチルフェニル)アミン21g(0.06モル)、4,4’’−ジヨードクアトラフェニル11.2g(0.02モル)、炭酸カリウム15g(0.11モル)、銅ブロンズ10gおよびSoltrol(登録商標)170またはIsopar M(登録商標)炭化水素50ミリリットルを投入した。混合物を210℃で18時間にわたり加熱した。200ミリリットルのオクタンの添加によって生成物を単離し、高温で濾過して無機固体を除去した。冷却すると生成物は晶出し、それを濾過によって単離した。アルミナで処理すると、約60%の収率で純粋なN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−n−ドデシルフェニル)(p−クアトラフェニル)−4,4’’’−ジアミンの無色結晶が生じた。この結晶の融点は185〜187℃であった。この分子(#4)の構造は
【化8】
Figure 0004790932
である。
【0070】
比較例V
N−(4−n−ブチルフェニル)−N−(4−t−ブチルフェニル)アミン
【化9】
Figure 0004790932
を用いる出発化合物
N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(分子#5)の調製
比較例Iと同じ装置および条件を以下の投入物と共に用いた。ジヨードベンゼン16.5g(0.05モル)、N−(4−n−ブチルフェニル)−N−(4−t−ブチルフェニル)アミン33g(0.12モル)、水酸化カリウム22.4g(0.4モル)、銅粉末5gおよびIsopar M(登録商標)25ミリリットル。融点134〜135℃の無色生成物として目的製品を得た。その構造は
【化10】
Figure 0004790932
である。
【0071】
比較例VI
N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(分子#6)の調製
比較例IIと同じ装置および条件を以下の投入物と共に用いた。4,4’−ジヨードビフェニル20.2g(0.05モル)、N−(4−n−ブチルフェニル)−N−(4−t−ブチルフェニル)アミン33g(0.12モル)、水酸化カリウム22.4g(0.4モル)、銅粉末5gおよびIsopar M(登録商標)25ミリリットル。融点190〜192℃の無色生成物として目的製品を得た。その構造は
【化11】
Figure 0004790932
である。
【0072】
比較例VII
N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(p−テルフェニル)−4,4’’−ジアミン(分子#7)の調製
比較例IIIと同じ装置および条件を以下の投入物と共に用いた。4,4’’−ジヨードビフェニル48g(0.1モル)、N−(4−n−ブチルフェニル)−N−(4−t−ブチルフェニル)アミン66g(0.24モル)、水酸化カリウム44.8g(0.8モル)、銅粉末10gおよびIsopar M(登録商標)50ミリリットル。融点184〜186℃の淡黄色生成物として目的製品を得た。その構造は
【化12】
Figure 0004790932
である。
【0073】
実施例VIII
N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(p−クアトラフェニル)−4,4’’’−ジアミン(分子#8)の調製
実施例IVと同じ装置および条件を以下の投入物と共に用いた。4,4’’’−ジヨードクアトラフェニル19g(0.034モル)、N−(4−n−ブチルフェニル)−N−(4−t−ブチルフェニル)アミン29g(0.102モル)、水酸化カリウム16g(0.29モル)、銅粉末4gおよびIsopar M(登録商標)20ミリリットル。融点132〜134℃の黄色生成物として目的製品を得た。その構造は
【化13】
Figure 0004790932
である。
【0074】
実施例IX
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に真空蒸着チタン層を含む基板上に従来の技術を用いてコーティングを形成することにより幾つかの感光体を製造した。チタン層上に形成された第1のコーティングは、厚さ0.005マイクロメートル(50オングストローム)の加水分解ガンマアミノプロピルトリエトキシシランから形成されたシロキサンバリア層であった。3−アミノプロピルトリエトキシシラン(フロリダ州のピーシーアールリサーチセンター(PCR Reseach Center Chemicals)製)を1:50体積比でエタノールと混合することによりバリア層コーティング組成物を調製した。多間隙フィルム塗布機によりコーティング組成物を塗布して、湿り厚さ0.5ミルのコーティングを形成させた。その後、コーティングを放置して室温で5分にわたり乾燥し、その後、強制空気炉内で110℃において10分にわたり硬化させた。第2のコーティングは、厚さ0.005マイクロメートル(50オングストローム)のポリエステル樹脂(49,000、デュポン・ヌムール(E.I.duPontde Nemours & Co.)製)の接着剤層であった。0.5ミルバーを用いて第2のコーティング組成物を塗布し、生じたコーティングを強制空気炉内で10分にわたり硬化させた。この接着剤界面層には、その後、ヒドロキシガリウムフタロシアニン40体積%およびMw11,000のスチレン(82%)/4−ビニルピリジン(18%)のブロックコポリマー60体積%を含有する光発生層を被覆した。42mlのトリエンにスチレン(82%)/4−ビニルピリジンのブロックコポリマー1.5gを溶解することにより光発生コーティング組成物を調製した。ヒドロキシガリウムフタロシアニン1.33gおよび直径1/8インチのステンレススチール散弾300gをこの溶液に添加した。その後、この混合物をボールミルに20時間にわたり入れた。その後、生じたスラリーをBird塗布機で接着界面に塗布して、湿り厚さ0.25ミルの層を形成させた。この層を強制空気炉内で135℃において5分にわたり乾燥して、乾燥厚さ0.4マイクロメートルの光発生層を形成させた。
【0075】
実施例X
四つの輸送層を実施例IXの発生層上に被覆した。四つの輸送層を被覆するために用いられた4種の分子は、(1)N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(分子#5)、(2)N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(分子#6)、(3)N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(p−テルフェニル)−4,4’’−ジアミン(分子#7)、(4)N,N’−ビス(4−n−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)−(p−クアテラフェニル)−4,4’’’−ジアミン(分子#8)であった。Birdコーティング塗布機を用いて、塩化メチレン溶媒35gに溶解されたポリカーボネート樹脂(バイエル(Farbenfabricken Bayer A.G.)からMakrolon Rとして入手できるポリ(4,4’−イソプロピリデン−ジフェニレンカーボネート))3gおよび前記分子1gを含有する溶液を塗布することにより輸送層を形成させた。被覆された装置を強制空気炉内で80℃において30分にわたり乾燥して、厚さ25マイクロメートルの乾いた電荷輸送層を形成させた。
【0076】
実施例XI
半透明の金電極を実施例Xの四つの装置上に真空蒸着した。電極付き装置の各一つを電源および電流測定抵抗を含む電気回路内で接続する。フライト技術の時間によってキャリアの移動時間を測定する。金電極を負にバイアスし、装置を短い光フラッシュに露光することによりこれを実行する。発生層中で光発生した正孔を輸送層を通して注入し移動させる。一面の正孔の移動に起因する電流をオシロスコープ上で時間分解し表示する。電流パルスは、後で急激に減少するフラット部分から成る。フラット部分は輸送層を通した一面の正孔の移動に起因する。電流の急激な低下は、負電極への正孔の到着の表れである。移動時間から、キャリアの速度を次の関係によって計算する。速度=輸送層厚さを移動時間で除したもの。正孔移動度は、次の関係により速度に関連づけられる。速度=(移動度)X(電場)
分子ID 低場移動度
#5 4.5X10-9
#6 4X10-8
#7 5X10-7
#8 9X10-7
窒素原子間のフェニル基の数が増加するにつれて、移動度(単位cm2/(ボルト秒)の一貫した増加を得た。窒素原子間で1、2、3および4個のフェニル基を含む四種の分子の中で、窒素間に四個のフェニル基をもつ分子で最高の移動度を得た。

Claims (1)

  1. 導電性層と、
    荷遮断層と、
    着剤層と、
    電荷発生層と、

    Figure 0004790932
    または
    Figure 0004790932
    を有し、高分子結合剤に分子分散または溶解しているアリールジアミンを含む電荷輸送分子を含む電荷輸送層と、
    を含む電子写真画像形成部材。
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